説明

カメラ

【構成】カメラ10は、CPU38を含み、被写界はイメージセンサ16の撮像面によって捉えられる。ビープ音は、スピーカ46によって発生される。CPU38は、筐体66の一部または全部が水没しているか否かをビープ音によって発生された波動の伝播特性に基づいて判別し、こうして得られた判別結果に基づいてイメージセンサ16の露光量と信号処理回路26の白バランスとを調整する。
【効果】撮像パラメータの手動調整は不要となり、これによって操作性が向上する。つまり、被写界が水中と大気中とで変化することに起因する操作性の低下を抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カメラに関し、特にたとえば、カメラ筐体が大気中および水中のいずれかであるかに応じて撮像パラメータを変更する、カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のカメラの一例が、特許文献1に開示されている。この従来技術によれば、撮像装置101と防水ケース102とが通信線103によって接続されると、防水ケース102に含まれる通信制御部14は、防水ケース特有の条件信号(近接合焦禁止およびリモコン受信禁止の信号)をシステム制御部5に向けて送信する。このとき、システム制御部5は、防水ケース102が収納されたと判断し、水中で撮影を行う場合に適したプログラムAEにカメラ系制御部3を設定する。これによって、ホワイトバランス,オートゲインコントロールの設定変更,撮像部へシャッタスピードの設定変更が行われる。
【特許文献1】特開平10−333233号公報[G03B 17/08,A45C 11/38,G03B 15/00,17/02]
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来技術では、カメラ筐体が防水ケースに収納されているか否かによって判別される。この結果、被写界が水中および大気中の間でめまぐるしく変わる状況においては、防水ケースを頻繁に着脱する必要があり、操作性の低下が問題となる。
【0004】
それゆえに、この発明の主たる目的は、カメラ筐体が水中と大気中とで変化することに起因する操作性の低下を抑えることができる、カメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明に従うカメラ(10)は、被写界を捉える撮像面を有する撮像手段(16,24,26)、カメラ筐体に設けられその位置から波動を発生する発生手段(44,46,S21)、発生手段によって発生された波動の伝播特性に基づいてカメラ筐体の一部または全部が水没しているか否かを判別する判別手段(S23-S31,S35)、および判別手段の判別結果に基づいて撮像手段の撮像パラメータを調整する調整手段(S33,S39)を備える。
【0006】
被写界は、撮像手段の撮像面によって捉えられ、発生手段は、カメラ筐体に設けられその位置から波動を発生する。判別手段は、発生手段によって発生された波動の伝播特性に基づいてカメラ筐体の一部または全部が水没しているか否かを判別する。調整手段は、判別手段の判別結果に基づいて撮像手段の撮像パラメータを調整する。このように、撮像パラメータは波動の伝播特性に基づいて調整される。撮像パラメータの手動調整は不要となり、これによって操作性が向上する。つまり、被写界が水中と大気中とで変化することに起因する操作性の低下を抑えることができる。
【0007】
請求項2の発明に従うカメラは、請求項1に従属し、判別手段はカメラ筐体の外部における波動の伝播時間とカメラ筐体の内部における波動の伝播時間との相違に注目する。
【0008】
請求項2の発明によれば、波動の伝播特性のうち速度は媒質によって異なるため、カメラ筐体の内部の媒質とカメラ筐体の外部の媒質との相違が判別手段によって判別される。
【0009】
請求項3の発明に従うカメラは、請求項2に従属し、発生手段によって発生した波動を検知する検知手段(48,50,52)をさらに備え、判別手段は、カメラ筐体の外部を伝播した波動が検知手段によって検知されたタイミングとカメラ筐体の内部を伝播した波動が検知手段によって検知されたタイミングとの時間差を測定する測定手段(S23-S29)、および測定手段の測定結果を閾値と比較する比較手段(S31)を含む。
【0010】
請求項3の発明によれば、波動が検知されたタイミングに従って被写界を判別することができる。
【0011】
請求項4の発明に従うカメラは、請求項3に従属し、調整手段は、測定手段の測定結果が閾値を上回るとき撮像パラメータを水中に適合するように調整する第1パラメータ調整手段(S33)、および測定手段の測定結果が閾値以下のとき撮像パラメータを大気中に適合するように調整する第2パラメータ調整手段(S39)を含む。
【0012】
請求項4の発明によれば、被写界に適合する撮像パラメータは測定結果に従って調整される。
【0013】
請求項5の発明に従うカメラは、請求項4に従属し、調整手段は、測定手段が測定不能であるとき撮像パラメータを大気中に適合するように調整する第3パラメータ調整手段(S39)をさらに含む。
【0014】
請求項5の発明によれば、波動が検知できなかったため、撮像パラメータは第3パラメータ調整手段によって大気中に適合するように調整される。
【0015】
請求項6の発明に従うカメラは、請求項1ないし5のいずれかに従属し、発生手段は条件調整操作が行われたとき波動を発生する。
【0016】
請求項6の発明によれば、条件調整操作が実行されたときの被写界に従って撮像パラメータが調整される。
【0017】
請求項7の発明に従うカメラは、請求項6に従属し、調整手段によって調整された撮像パラメータに従って撮像手段によって作成された被写界像を条件調整操作の後の記録操作に応答して記録媒体に記録する記録手段(S17)をさらに備える。
【0018】
請求項7の発明によれば、記録操作が実行されたときの被写界像が記録媒体に記録される。
【0019】
請求項8の発明に従うカメラは、請求項1ないし7のいずれかに従属し、撮像パラメータは撮像面で生成された被写界像の白バランスを含む。
【0020】
請求項9の発明に従うカメラは、請求項1ないし8のいずれかに従属し、撮像パラメータは撮像面の露光量を含む。
【0021】
請求項10の発明に従う撮像制御プログラムは、被写界を捉える撮像面を有する撮像手段(16,24,26)、およびカメラ筐体に設けられその位置から波動を発生する発生手段(46)を備えるカメラのプロセサ(38)に、発生手段によって発生された波動の伝播特性に基づいてカメラ筐体の一部または全部が水没しているか否かを判別する判別ステップ(S23-S31,S35)、および判別ステップの判別結果に基づいて撮像パラメータを調整する調整ステップ(S33,S39)を実行させる。
【0022】
請求項11の発明に従う撮像制御方法は、被写界を捉える撮像面を有する撮像手段(16,24,26)、およびカメラ筐体に設けられその位置から波動を発生する発生手段(46)を備えるカメラの撮像制御方法であって、(a) 発生手段によって発生された波動の伝播特性に基づいてカメラ筐体の一部または全部が水没しているか否かを判別し、そして(b)ステップ(a)の判別結果に基づいて撮像パラメータを調整する。
【0023】
請求項10および11についても、請求項1の発明と同様に、撮像パラメータは波動の伝播特性に基づいて調整される。撮像パラメータの手動調整は不要となり、これによって操作性が向上する。つまり、被写界が水中と大気中とで変化することに起因する操作性の低下を抑えることができる。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、撮像パラメータは波動の伝播特性に基づいて調整される。撮像パラメータの手動調整は不要となり、これによって操作性が向上する。つまり、被写界の環境が水中と大気中とで変化することに起因する操作性の低下を抑えることができる。
【0025】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1を参照して、この実施例のディジタルカメラ10は、光学レンズ12および絞りユニット14を含む。被写界の光学像は、これらの部材を通してイメージセンサ16の撮像面に照射され、光電変換を施される。なお、イメージセンサ14の撮像面は原色ベイヤ配列の色フィルタによって覆われており、各画素において生成される電荷量はR,GまたはBの色の光強度に依存する。
【0027】
電源投入操作つまり電源ボタン40をオン状態に設定する操作が行われかつ、図示しないモードダイヤルによってカメラモードが選択されると、被写界のリアルタイム動画像つまりスルー画像をモニタ34に表示すべきスルー画像処理が実行される。
【0028】
このとき、CPU38は、絞りの開放をドライバ18に命令し、プリ露光および間引き読み出しの繰り返しをドライバ20に命令し、そしてTG22を起動する。ドライバ18は絞りユニット14の絞り量を開放し、ドライバ20はプリ露光とこれによって生成された生画像信号の間引き読み出しとを繰り返し実行し、TG22は水平同期信号Hsyncおよび垂直同期信号Vsyncを含む複数のタイミング信号を発生する。プリ露光および間引き読み出しは、TG22から1/30秒毎に発生する垂直同期信号Vsyncに応答して実行される。これによって、被写界の光学像に対応する低解像度の生画像信号が、30fpsのフレームレートでイメージセンサ16から出力される。
【0029】
TG22で発生した複数のタイミング信号は、CDS/AGC/AD回路24に入力され、CDS/AGC/AD回路24は、イメージセンサ16から出力された生画像信号に相関2重サンプリング,自動ゲイン調整およびA/D変換の一連の処理を施す。信号処理回路18は、CDS/AGC/AD回路24から出力された生画像データに,色分離,白バランス調整およびYUV変換などの一連の処理を施し、こうして得られた低解像度のYUVデータの書き込み要求をメモリ制御回路28に発行する。なお、色分離処理後に生成されるRデータ,GデータおよびBデータのうちRデータおよびBデータは、CPU38によって算出されたゲインαおよびゲインβに従ってそれぞれ増幅される。
【0030】
メモリ制御回路28によって書き込み許可が発行されると、信号処理回路26は所定量のYUVデータをメモリ制御回路28に与える。所定量のYUVデータは、メモリ制御回路28によってSDRAM30に書き込まれる。こうして、YUVデータがSDRAM30に所定量ずつ格納される。
【0031】
ビデオエンコーダ32は、SDRAM30に格納されたYUVデータを1/30秒に1フレームの割合で読み出すべく、読み出し要求をメモリ制御回路28に向けて繰り返し発行する。メモリ制御回路28はSDRAM30から所定量のYUVデータを読み出し、読み出されたYUVデータはビデオエンコーダ32に与えられる。ビデオエンコーダ32は、メモリ制御回路28から与えられたYUVデータをNTSCフォーマットに従うコンポジットビデオ信号に変換し、変換されたコンポジットビデオ信号をモニタ34に与える。この結果、モニタ34に被写界のスルー画像が表示される。
【0032】
信号処理回路26で生成されたYUVデータのうちYデータは、評価回路36に入力される。評価回路36は、図示しない測光エリアに属するYデータを1フレーム期間毎に積分して輝度評価値を算出する。CPU38は、こうして求められた輝度評価値に基づいてスルー画像用AE処理を実行する。つまり、CPU38は、垂直同期信号Vsyncが発生する毎に評価回路36から輝度評価値を取り込み、ドライバ18およびドライバ20にそれぞれ設定された絞り量およびプリ露光時間を取り込まれた輝度評価値に基づいて調整する。こうして、モニタ画面に表示されたスルー画像の明るさが適度に調整される。
【0033】
評価回路36はまた、有効画素エリアに属するRデータ,GデータおよびBデータを1フレーム期間毎に積分してR評価値,G評価値およびB評価値を算出する。CPU38は、こうして求められたR評価値,G評価値およびB評価値に基づいてゲインαおよびゲインβを算出する。算出されたゲインαおよびゲインβは信号処理回路26に与えられ、この結果、モニタ34に表示される画像の白バランスが最適化される。
【0034】
図2に示すように、ディジタルカメラ10は筐体66を有する。筐体66の正面には、光学レンズ12およびストロボ58が設けられ、光学レンズ12の近傍にマイクロフォン48が配置される。筐体66の上面には、電源ボタン40およびシャッタボタン42が設けられ、このシャッタボタン42に近い側面には、スピーカ46が設けられる。
【0035】
この実施例のディジタルカメラ10は防水機能を有する。筐体66には、防水加工が施された弾性のパッキン(図示せず)が内側に設けられ、これによって、防水機能が実現される。
【0036】
図1に戻って、半押し操作つまりシャッタボタン42を半押しする操作が行われると、半押し操作が実行されたときの被写界に従って撮像パラメータが調整される。
【0037】
具体的には、CPU38はまず、撮像パラメータのうち白バランスを調整すべく、イメージセンサ16をプリ露光し、これによって得られたCDS/AGC/AD回路16から出力される生画像信号に基づく輝度評価値を取り込み、取り込んだ輝度評価値に基づいて最適露光時間を求める。
【0038】
CPU38はまた、筐体66の一部または全部が水没しているか否かを判別すべく、ビープ音のような波動を発生すべき命令をサウンドジェネレータ44に発行する。サウンドジェネレータ44は、この命令に従うディジタル信号をスピーカ46に与える。この結果、ビープ音がスピーカ46の位置から発生する。なお、ビープ音の周波数は8KHzであり、この8KHzは可聴範囲であるため、操作者は撮像パラメータの調整開始をビープ音によって確認することができる。
【0039】
ここで、ビープ音の伝播特性は、ディジタルカメラ10の位置が大気中のときとディジタルカメラ10の位置が水中のときとで異なる。大気中での音の伝搬速度は約330m/秒であり、水中での音の伝搬速度は約1500m/秒である。つまり、水中で発生された音の速度は大気中で発生された音の速度よりも、およそ5倍で伝播する。なお、音源(スピーカ46)から観測地点(マイクロフォン48)までの距離がたとえば10cmのとき、大気中で発生された音の到達時刻は水中で発生された音の到達時刻のおよそ5倍で到達する。
【0040】
マイクロフォン48によって捉えられたビープ音は、8Khz帯域を通すBPF(Band Pass Filter)50を通してパルス生成回路52に与えられる。パルス生成回路52は、与えられたビープ音のレベルが基準値St以下のときCPU38に与える出力レベルを“L”とし、与えられたビープ音のレベルが基準値Stを上回るときCPU38に与える出力レベルを“H”とする。半押し操作が行われてからパルス生成回路52の出力レベルが始めて“H”を示すとき、CPU38は、1回目のビープ音が入力されたと判断し、タイマ54をリセットおよびスタートさせる。
【0041】
具体的には、ディジタルカメラ10の位置が大気中の場合、筐体66内部を介して得られる音波Wcと大気中を介して得られる音波Waとは、互いに近似するタイミングでマイクロフォン48に到達する。つまり、マイクロフォン48によって捉えられたビープ音は図3(A)に示す要領でパルス生成回路52に与えられる。
【0042】
図3(B)に示すように、音波Wcのレベルが基準値Stを上回ると、パルス生成回路52の出力レベルは“H”に立ち上がり、音波Wcのレベルが基準値St以下になると、パルス生成回路52の出力レベルは“L”に立ち下がる。こうして、音波Wcが検出される。また、音波Wcに後続して得られる音波Waのレベルが基準値Stを上回ると、パルス生成回路52の出力レベルは“H”に立ち上がり、音波Waのレベルが基準値St以下になると、パルス生成回路52の出力レベルは“L”に立ち下がる。こうして、音波Waが検出される。なお、音波Wcに応答して立ち上がってから音波Waに応答して再び立ち上がるまでの期間は極めて短い。
【0043】
一方、ディジタルカメラ10の位置が水中の場合、水中を介して得られる音波Wwは、音波Wcがマイクロフォン48に到達する時間の1/5倍でマイクロフォン48に到達する。つまり、マイクロフォン48によって捉えられたビープ音は図4(A)に示す要領でパルス生成回路52に与えられる。
【0044】
図4(B)に示すように、音波Wwのレベルが基準値Stを上回ると、パルス生成回路52の出力レベルは“H”に立ち上がり、音波Wwのレベルが基準値St以下になると、パルス生成回路52の出力レベルは“L”に立ち下がる。こうして、音波Wwが検出される。なお、上述に示す要領で検出される音波Wcは、筐体66内部つまり空気中を介して得られるため、音波Wwの後に検出される。
【0045】
このように、CPU38はディジタルカメラ10の筐体66の外部における音波の伝播時間とディジタルカメラ10の筐体66の内部における音波の伝播時間との相違に注目する。これによって、水中を介して得られる音波Wwを判別することができる。
【0046】
図1に戻って、パルス生成回路52の出力レベルが“H”に再び立ち上がると、CPU38は、タイマ54をストップし、タイマ54のタイマ値と閾値TH1とを比較する。ここで、閾値TH1は、図3(B)に示された2つのパルス間の時間間隔以上の値に設定され、かつ図4(B)に示された2つのパルス間の時間間隔を下回る値に設定される。
【0047】
タイマ値が閾値TH1を上回れば、CPU38は撮像パラメータを水中に適合するように調整する。一方、タイマ値が閾値TH1以下であれば、CPU38は撮像パラメータを大気中に適合するように調整する。したがって、出力レベルが一旦立ち上がってから再び立ち上がるまでの期間を測定するタイマ値によって筐体66の一部または全部が水没しているか否かが判別される。つまり、ビープ音が検知されたタイミングに従って被写界を判別することができる。
【0048】
また、パルス生成回路52の出力レベルが“H”に再び立ち上がることなくかつ、タイマ54のタイマ値が閾値TH2を上回ると、CPU38は、タイマ54をストップし、撮像パラメータを大気中に適合するように調整する。このように、被写界に適合する撮像パラメータはタイマ値の測定結果に従って調整される。
【0049】
なお、閾値TH2は、図4(B)に示された2つのパルス間の時間間隔以上の値に設定される。
【0050】
撮像パラメータのうち撮像面で生成された被写界像の白バランスについては、水中に適合する撮像パラメータは大気中に適合する撮像パラメータよりも青み具合を強調させる。このため、Bデータを増幅するゲインβでは、大気中に適合する撮像パラメータの数値よりも水中に適合する撮像パラメータの数値の方が大きい。
【0051】
撮像パラメータが調整された後に全押し操作つまりシャッタボタン42を全押しする操作が行われると、撮影/記録処理が実行される。具体的には、撮像パラメータのうち撮像面の露光量については、水中では水に光を吸収されるため、水中での露光量は大気中での露光量より増やす。つまり、筐体66の一部または全部が水没していると判別された場合、CPU38は、ドライバ18およびドライバ20にそれぞれ設定された絞り量および露光時間を最大に調整し、露光不足を補うためにドライバ56を駆動してストロボ58を発光させる。こうして、筐体66の一部または全部が水没しているときの本露光が実行される。
【0052】
一方、筐体66が大気中にあると判別された場合、CPU38は、上述の最適露光時間が設定可能範囲内にあれば、ストロボ58を発光させることなく、ドライバ18およびドライバ20にそれぞれ設定された絞り量および露光時間を調整し、最適露光期間に従う本露光を行う。また、CPU38また、最適露光時間が設定可能範囲内になければ、露光不足を補うためにドライバ56を駆動してストロボ58を発光させ、ドライバ18およびドライバ20にそれぞれ設定された絞り量および露光時間を調整し、こうして調整された露光時間に従う本露光を行う。こうして、筐体66が大気中にあるときの本露光が実行される。
【0053】
本露光によって生成された高解像度の生画像信号は、上述と同じ要領でYUVデータに変換され、SDRAM30に書き込まれる。SDRAM30に書き込まれたYUVデータは、JPEGコーデック60からの読み出し要求に基づいて読み出され、JPEGコーデック60によって圧縮処理を施される。これによって得られた圧縮YUVデータは、メモリ制御回路28からの読み出し要求に応じて読み出される。読み出された圧縮YUVデータは、CPU38によってI/F回路62を介して記録媒体64に記録される。こうして、全押し操作が実行されたときの被写界像が記録媒体64に記録される。
【0054】
このように、被写界は、イメージセンサ16の撮像面によって捉えられる。スピーカ46は、筐体66に設けられその位置からビープ音を発生する。CPU38は、ビープ音によって発生された波動の伝播特性に基づいて筐体66の一部または全部が水没しているか否かを判別し、こうして得られた判別結果に基づいてイメージセンサ16の露光量と信号処理回路26の白バランスとを調整する。こうして、撮像パラメータはビープ音の伝播特性に基づいて調整される。撮像パラメータの手動調整は不要となり、これによって操作性が向上する。つまり、被写界が水中と大気中とで変化することに起因する操作性の低下を抑えることができる。
【0055】
CPU38は、撮影操作が行われたとき、具体的には図5および図6に示すフロー図に従う処理を行う。なお、このフローに対応する制御プログラムは、フラッシュメモリ(図示せず)に記憶される。
【0056】
ステップS1では、スルー画像を表示する処理を実行し、モニタ34に被写界を表すスルー画像が表示される。このとき、フラグFlag(後述)は“0”に設定される。ステップS3では、半押し操作が行われるまで待機する。半押し操作が行われると、ステップS5で環境判別処理を実行する。これによって、被写界が判別される。
【0057】
ステップS7では、フラグFlagが“1”であるか否かを判別する。フラグFlagが“1”であれば、筐体66の一部または全部が水没していると判断し、ステップS9で水中に適合する撮像パラメータに設定し、ステップS13に進む。一方、フラグFlagが“0”であれば、筐体66が大気中にあると判断し、ステップS11で大気中に適合する撮像パラメータに設定し、ステップS13に進む。つまり、撮像パラメータはフラグFlagに従って変更される。
【0058】
ステップS13では、全押し操作が行われたか否かを判別する。全押し操作が行われると、撮影/記録処理を実行し、この処理を終えると、ステップS3に戻る。ステップS13で全押し操作が行われなければ、ステップS15に進み、半押しが保持されているか否かを判別する。半押しが保持されていれば、ステップS13に戻る。これによって、半押し操作が行われたときの撮像パラメータが保持される。一方、半押しが開放されると、ステップS3に戻る。この結果、撮像パラメータは再度調整される。
【0059】
ステップS5の環境判別処理は、図6に示すサブルーチンに従って実行される。まず、ステップS21でビープ音を発生すべき命令をサウンドジェネレータ44に発行する。これによって、サウンドジェネレータ44はこの命令に従うディジタル信号をスピーカ46に与え、スピーカ46からビープ音が発生する。
【0060】
ステップS23では、パルス生成回路52の出力レベルが“H”を示すまで待機する。出力レベルが“H”に立ち上がると、ステップS25でタイマ54をリセットおよびスタートする。なお、このときの出力レベルは“L”を示す。
【0061】
ステップS27では、パルス生成回路52の出力レベルが“H”に立ち上がったか否かを判別する。出力レベルが“H”を示せば、ステップS29でタイマ54をストップする。ステップS31では、ステップS29でストップされたタイマ値が閾値TH1を上回るか否か判別する。タイマ値が閾値TH1を上回れば、最初に検出されたビープ音は音波Wwと判断され、ステップS33でフラグFlagを“1”に設定する。この結果、水中に適合する撮像パラメータが調整される。
【0062】
一方、ステップS27で出力レベルが“L”を示せば、ステップS35でタイマ54の現在のタイマ値が閾値TH2を上回るか否かを判別する。大気中では図3(A)に示すように、音波Wcと音波Waとの時間間隔は極めて短いため、パルス生成回路52が音波Wcと音波Waとを1つの音波として検知する、またはいずれかのうち一つの音波を正常に検知できない等により、出力レベルが2回“H”とならない場合が生じる。したがって、閾値TH2の期間までに出力レベルが再度立ち上がらなければ、水中ではなく、2つの音波である音波Wcと音波Waとの時間間隔が極めて短くなる大気中であると判断することができる。
【0063】
タイマ値が閾値TH2以下であれば、ステップS27に戻る一方、タイマ値が閾値TH2を上回ると、ビープ音が検知できなかったと判断し、撮像パラメータを大気中に適合するように調整すべく、ステップS37でタイマ54をストップし、ステップS39に進む。
【0064】
ステップS31でタイマ値が閾値TH1以下であれば、最初に検出されたビープ音は音波Wcと判断され、ステップS39に進む。ステップS39では、フラグFlagを“0”に設定する。この結果、大気中に適合する撮像パラメータが調整される。
【0065】
なお、この実施例では、スピーカ46から発生するビープ音を8KHzとして説明したが、これに限らず波動である限り、マイクロフォン48によって捉えられる周波数であれば超音波や低周波などを採用することも可能である。
【0066】
また、この実施例では、図6に示すように出力レベルが1回目に立ち上がってから2回目に立ち上がるまでの時刻を測定することで、筐体66の一部または全部が水没しているか否かを判別した。しかし、これに限らず、パルス生成回路52の出力レベルがビープ音の発生から任意の時刻までに立ち上がれば、筐体66の一部または全部が水没していると判別することも可能である。
【0067】
具体的には、ステップS5の環境判別処理が図7に示すサブルーチンに従って実行される。ステップS41でビープ音を発生し、ステップS43でタイマ54のタイマ値をリセットおよびスタートさせる。ステップS45では、パルス生成回路52の出力レベルが“H”に立ち上がったか否かを判別する。出力レベルが“H”を示せば、被写界は水中であると判断し、ステップS49でフラグFlagを“1”に設定する。一方、ステップS45で出力レベルが“L”を示せば、ステップS47でタイマ54の現在のタイマ値が閾値TH3を上回ったか否かを判別する。タイマ値が閾値TH3以下であれば、ステップS45に戻り、タイマ値が閾値TH3を上回れば、被写界は大気中であると判断し、ステップS51でフラグFlagを“0”に設定する。
【0068】
なお、閾値TH3は、図4(B)に示す音波Wwに対応するパルスが検出される規定時間を上回る値に設定され、かつ図3(B)に示す音波Wcに対応するパルスが検出される規定時間を下回る時間に設定される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】この発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施例のディジタルカメラを示す斜視図である。
【図3】(A)はビープ音の波形の一例を示す図解図であり、(B)は図1実施例に適用されるパルス生成回路の波形の一例を示す図解図である。
【図4】(A)はビープ音の波形の他の一例を示す図解図であり、(B)は図1実施例に適用されるパルス生成回路の波形の他の一例を示す図解図である。
【図5】図1実施例に適用されるCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図6】図1実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図7】図1実施例に適用されるCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0070】
10 …ディジタルカメラ
16 …イメージセンサ
26 …信号処理回路
38 …CPU
44 …サウンドジェネレータ
46 …スピーカ
48 …マイクロフォン
50 …BPF
52 …パルス生成回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写界を捉える撮像面を有する撮像手段、
カメラ筐体に設けられその位置から波動を発生する発生手段、
前記発生手段によって発生された波動の伝播特性に基づいて前記カメラ筐体の一部または全部が水没しているか否かを判別する判別手段、および
前記判別手段の判別結果に基づいて前記撮像手段の撮像パラメータを調整する調整手段を備える、カメラ。
【請求項2】
前記判別手段は前記カメラ筐体の外部における前記波動の伝播時間と前記カメラ筐体の内部における前記波動の伝播時間との相違に注目する、請求項1記載のカメラ。
【請求項3】
前記発生手段によって発生した波動を検知する検知手段をさらに備え、
前記判別手段は、前記カメラ筐体の外部を伝播した波動が前記検知手段によって検知されたタイミングと前記カメラ筐体の内部を伝播した波動が前記検知手段によって検知されたタイミングとの時間差を測定する測定手段、および前記測定手段の測定結果を閾値と比較する比較手段を含む、請求項2記載のカメラ。
【請求項4】
前記調整手段は、前記測定手段の測定結果が前記閾値を上回るとき前記撮像パラメータを水中に適合するように調整する第1パラメータ調整手段、および前記測定手段の測定結果が前記閾値以下のとき前記撮像パラメータを大気中に適合するように調整する第2パラメータ調整手段を含む、請求項3記載のカメラ。
【請求項5】
前記調整手段は、前記測定手段が測定不能であるとき前記撮像パラメータを大気中に適合するように調整する第3パラメータ調整手段をさらに含む、請求項4記載のカメラ。
【請求項6】
前記発生手段は条件調整操作が行われたとき前記波動を発生する、請求項1ないし5のいずれかに記載のカメラ。
【請求項7】
前記調整手段によって調整された撮像パラメータに従って前記撮像手段によって作成された被写界像を前記条件調整操作の後の記録操作に応答して記録媒体に記録する記録手段をさらに備える、請求項6記載のカメラ。
【請求項8】
前記撮像パラメータは前記撮像面で生成された被写界像の白バランスを含む、請求項1ないし7のいずれかに記載のカメラ。
【請求項9】
前記撮像パラメータは前記撮像面の露光量を含む、請求項1ないし8のいずれかに記載のカメラ。
【請求項10】
被写界を捉える撮像面を有する撮像手段、およびカメラ筐体に設けられその位置から波動を発生する発生手段を備えるカメラのプロセサに、
前記発生手段によって発生された波動の伝播特性に基づいて前記カメラ筐体の一部または全部が水没しているか否かを判別する判別ステップ、および
前記判別ステップの判別結果に基づいて前記撮像手段の撮像パラメータを調整する調整ステップを実行させるための、撮像制御プログラム。
【請求項11】
被写界を捉える撮像面を有する撮像手段、およびカメラ筐体に設けられその位置から波動を発生する発生手段を備えるカメラの撮像制御方法であって、
(a)前記発生手段によって発生された波動の伝播特性に基づいて前記カメラ筐体の一部または全部が水没しているか否かを判別し、そして
(b)前記ステップ(a)の判別結果に基づいて撮像パラメータを調整する、撮像制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−214852(P2007−214852A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−32111(P2006−32111)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】