カメラ
【課題】外部接続端子の不使用時に端子部を塞いで保護する端子蓋を具備するカメラにおいて、端子蓋を開いて端子部に接続コードなどを接続して使用するとき、カメラを落としたときなどに端子蓋に衝撃力が加わらないように工夫して、端子蓋およびそのヒンジ部の破損を避ける。
【解決手段】端子蓋5は、カメラに対して着脱可能にする。端子蓋5はヒンジ部21を中心にしてカメラに回転可能にかつヒンジ部21から取り外し可能に設け、端子蓋5を取り外した後のヒンジ部21によって外部ユニット24を結合可能にする。端子蓋5は、端子部を開放した状態でカメラに固定されるようにする。外部ユニット24をカメラに装着した態様で外部ユニット24とカメラとの結合部が防水構造になっている。
【解決手段】端子蓋5は、カメラに対して着脱可能にする。端子蓋5はヒンジ部21を中心にしてカメラに回転可能にかつヒンジ部21から取り外し可能に設け、端子蓋5を取り外した後のヒンジ部21によって外部ユニット24を結合可能にする。端子蓋5は、端子部を開放した状態でカメラに固定されるようにする。外部ユニット24をカメラに装着した態様で外部ユニット24とカメラとの結合部が防水構造になっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラに関するもので、外部と電気的に接続するための端子部の構成、端子部を利用した外部ユニットの取り付け構造、および外部ユニットを含めた防水構造に特徴を有し、カメラ一般のほか、カメラ付き携帯電話、広く一般的な画像撮影装置などに適用可能なものである。
【背景技術】
【0002】
近年のカメラ、特にデジタルカメラにおいては、コンピュータなどの外部機器との間で信号を授受するための端子、あるいは外部電源から電源を供給するための端子などを備えている。外部機器との間で信号を授受するための端子として、近年はUSB(Universal Serial Bus)端子が広く採用され、USB端子を介してカメラをコンピュータに接続するだけで、コンピュータはカメラが接続されたことを認識できるようになっている。このようなUSB端子を含むカメラの端子は高い寸法精度でデリケートな造りになっているため、カメラを取り落とし、あるいはカメラを何かにぶつけた場合などに、外部からの衝撃が直接加わらないように、端子部を使用しないときは端子部を覆って保護する端子蓋が設けられている。また、近年のカメラには防水性も求められることがあり、端子部の防水性にも配慮されたものがある。
【0003】
端子部の構成を工夫したカメラとして、コネクタ・カード室と、これを開閉するコネクタ蓋を有し、コネクタ・カード室には、カードスロット、その挿入開口部、ビデオ端子出力部、USB端子部および上記挿入開口部を開閉するカード蓋が配され、上記端子部にコード類が接続されていない状態では、メモリカードを装着後、カード蓋を閉鎖してメモリカードへの書き込み、読み出しを行い、上記端子部にコード類を接続した状態では、コネクタ蓋の開放状態でメモリカードへの書き込み、読み出しを行うようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、本体筐体内に形成されかつ電池蓋で閉止された電池室に電池を収納し、本体筐体の内部から隔離されるとともにコネクタ蓋で防水状態に形成された端子室に、少なくとも充電兼用のUSB端子を設け、電池室に二次電池が収納されていると、コネクタ蓋を開いて上記USB端子から電源を供給して、上記二次電池を充電可能とした防水カメラが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−214973号公報
【特許文献2】特開2004−94066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および2に記載されているような従来のカメラは、端子部に接続コード類を接続して使用するとき、端子部の蓋を開いた状態で使用するが、そのときの端子蓋の態様に関してはなんら考慮されていない。したがって、端子部を開放した状態の端子蓋はただ単にヒンジなどによってカメラ本体につながっているだけで、ふらついた状態になっている。カメラは持ち運んで使用するものであるため、操作中に不用意に落としてしまうことがしばしばある。このような場合に、ふらついた状態になっている端子蓋に衝撃が加わると、端子蓋およびそのヒンジ部に応力が集中して端子蓋およびそのヒンジ部が破損する可能性が高い。
【0007】
端子蓋を開いて端子部に接続コードなどを接続して使用するとき、端子蓋がカメラ本体から取り外され、あるいはカメラ本体に固定されてふらつくことがないようになっているとすれば、カメラの落下などによって端子蓋に衝撃が加わったとしても、端子蓋およびそのヒンジ部に応力が集中することを避けることができ、端子蓋およびそのヒンジ部の破損を避けることができる。
【0008】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたもので、外部と電気的に接続するための端子と、この端子の不使用時に端子部を塞いで保護するための端子蓋を具備するカメラにおいて、端子部の蓋を開いて端子部に接続コードなどを接続して使用するとき、誤ってカメラを落としたとしても端子蓋に衝撃力が加わらないように工夫して、端子蓋およびそのヒンジ部の破損を避けることができるカメラを提供することを目的とする。
また、カメラの落下などによって端子蓋に衝撃が加わったとしても、端子蓋およびそのヒンジ部に応力が集中することを避けることができ、端子蓋およびそのヒンジ部の破損を避けることができるカメラを提供することを目的とする。
本発明はまた、端子部を利用して外部ユニットを装着することができるようにし、また、外部ユニットを装着した状態においても、端子部の防水を図ることができるカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、外部と電気的に接続するための端子と、この端子の不使用時に端子部を塞いで保護するための端子蓋を具備するカメラであって、上記端子蓋は、カメラに対して着脱可能にしたことを主要な特徴とする。
上記の発明において、カメラから端子蓋を取り外した態様で外部ユニットをカメラに装着することができるとともに、外部ユニットの端子とカメラの端子とを結合可能に構成するとよい。
また、端子蓋はヒンジ部を中心にしてカメラに回転可能にかつヒンジ部から取り外し可能に設け、端子蓋を取り外した後の上記ヒンジ部によって外部ユニットを結合可能に構成するとよい。
端子部にはガイド穴を形成し、このガイド孔にはガイドピンを着脱可能に設け、ガイド孔にガイドピンを装着した態様において外部ユニットをカメラに位置決めして装着することができるように構成してもよい。
【0010】
本発明はまた、外部と電気的に接続するための端子と、この端子の不使用時に端子部を塞いで保護するための端子蓋を具備するカメラであって、上記端子蓋は、端子部を開放した状態でカメラに固定されるように構成したことを特徴とする。
上記の発明において、端子部をカメラ本体に形成された凹部に配置し、端子蓋は端子部を開放した状態で上記凹部内に収まってカメラに固定されるように構成するとよい。
上記発明において、端子蓋が端子部を開放しカメラに固定された態様で外部ユニットをカメラに装着することができるとともに、外部ユニットの端子とカメラの端子とを結合可能に構成してもよい。
カメラが防水機能を持っているとよい。併せて、外部ユニットも防水機能をもっており、外部ユニットをカメラに装着した態様で外部ユニットとカメラとの結合部が防水構造になっているとなおよい。外部ユニットとカメラとの結合部に防水パッキンが介在する構成とすることによって、外部ユニットとカメラとの結合部を防水構造にすることができる。
【発明の効果】
【0011】
端子蓋をカメラに対して着脱可能な構成にすることにより、端子部を使用するために端子蓋を開いた状態では端子蓋をカメラから取り外すことができる。したがって、カメラを使用しているときに誤って落としたとしても、端子蓋に衝撃が加わることはないから、端子蓋とそのヒンジ部が衝撃力によって破損することを回避することができる。
【0012】
また、端子部を開放した状態で、端子蓋がカメラに固定されるように構成した場合は、カメラを誤って落とした場合などに、端子蓋に衝撃力が加わったとしても、応力を分散させることができるので、端子蓋とそのヒンジ部が、応力の集中により破損することを回避することができる。
【0013】
端子蓋が端子部を開いた状態で、端子部を利用して外部ユニットを結合可能とすることにより、外部ユニットを位置決めして結合することが容易であり、外部ユニットの小型化および外部ユニットを取り付けた状態での外部ユニットを含めたカメラ全体の小型化を図ることができる。端子部の構造を利用して外部ユニットを位置決めし結合することができるため、外部ユニットを結合して使用可能とするための構成を簡略化することができる利点もある。また、外部ユニットを取り付けた状態での外部ユニットとカメラ本体との結合部を防水構造にすることも容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明にかかるカメラの実施例を、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0015】
図1乃至図3において、カメラ本体1の前面側には被写体像を結像面に結ばせて撮影するための撮影レンズ2が取り付けられている。カメラの形式は限定されない。デジタルカメラであれば上記結像面に例えばCCDエリアセンサなどからなる撮像素子が配置される。銀塩方式のカメラであれば、上記結像面に感光フィルムが配置される。カメラ本体1には前面側から見て左側の前上にシャッターボタン3が配置されている。デジタルカメラの場合、シャッターボタン3を押すことによって、そのとき上記撮像素子に結ばれている撮影者の意図した被写体像が撮像素子によって取り込まれ、電気信号に変換される。この電気信号はデジタル信号に変換され、図示されない内部メモリあるいはカメラ本体1の所定のスロットに装填されているメモリカードなどに画像データとして保存される。カメラ本体1の上面には、カメラの動作モード切り換えなどの操作を行なうダイヤル4が配置されている。
【0016】
カメラ本体1の前面から見て右下部には、外部機器、例えばパーソナル・コンピュータ(以下「パソコン」という)との間で信号を授受するための、あるいは、外部電源から電源を供給するための端子部が設けられ、この端子部は端子蓋5で閉じることができるようになっている。端子部は四角形状の凹部に設けられていて、端子蓋5はこの凹部に合わせて四角形状に形成されて凹部を塞ぐことができるようになっている。上記凹部に設けられた端子部には、外部機器との間で信号を授受するためのUSBジャック8およびUSB規格以外の信号ジャック9が設けられている。図示されていないが、上記端子部には例えば外部電源からカメラに電源を供給するための電源供給ジャックなどを設けてもよい。端子部には、ガイド穴22も設けられている。ガイド穴22の使用法についてはあとで詳細に説明する。
【0017】
上記凹部の下縁には、ヒンジ軸穴211とヒンジ軸212からなるヒンジ部21が設けられている。ヒンジ軸穴211とヒンジ軸212は互いに離間して配置されていて、ヒンジ軸穴211とヒンジ軸212の中心軸線は水平方向の共通の軸線となっている。図5に示すように、上記端子蓋5は、その一側縁部に、上記ヒンジ軸穴211に嵌まる軸12と、上記ヒンジ軸212が嵌まる穴13を具備するヒンジ部21を有している。ヒンジ部21の上記軸12は、端子蓋5の一側縁部に沿って一体に形成された円筒部51内に、その中心軸線方向にスライド可能に嵌められている。上記穴13は上記円筒部51の内径が一端側において小径に形成されることによって形成されている。上記円筒部51内には、上記軸12の付勢部材として圧縮コイルばね14が挿入され、このばね14によって軸12が図5において矢印15で示す向き、すなわち上記円筒部51の一端から突出する向きにスライドするように付勢されている。図2乃至図4に示すように、上記軸12の外周には操作ボタン10が突設されていて、この操作ボタン10は、上記円筒部51の長さ方向に形成された四角形状の窓孔52に嵌っている。操作ボタン10は上記窓孔52で許される範囲内で移動可能であり、操作ボタン10と一体の軸12も上記の範囲内でスライド可能である。また、ばね14の付勢力による軸12のスライド範囲は、操作ボタン10が窓孔52の一端縁に当接することによって規制され、この規制位置において軸12の先端部が円筒部51の一端から突出するように各部の寸法が設定されている。
【0018】
以上のような端子蓋5のヒンジ部21の構造と、カメラ本体1側のヒンジ軸穴211とヒンジ軸212からなるヒンジ部21の構造によって、端子蓋5は、カメラ本体1に対して着脱可能に構成されている。端子蓋5をカメラ本体1から取り外す場合は、以下の手順による。ばね14の付勢力で円筒部51から突出した軸12の先端部が上記ヒンジ軸穴211に嵌まり、ヒンジ軸212が上記ヒンジ部21の穴13に嵌まることによって、端子蓋5はヒンジ部21の中心軸線を回転中心として、上下方向に回転することができる。そこで、端子蓋5を回転させて図2、図3に示すように端子部を開いた状態において、操作ボタン10に指を当て、ばね14の付勢力に抗して軸12を矢印11の向きにスライドさせ、軸12の先端部を円筒部51から後退させる。こうして軸12とヒンジ軸穴211の嵌合を外し、さらに、ヒンジ軸212から上記ヒンジ部21を離間させてヒンジ軸212と穴13の嵌合を外すことによって端子蓋5をカメラ本体1から取り外すことができる。
【0019】
端子蓋5をカメラ本体1の端子部に嵌める場合は上記の操作を逆に行なう。まず、ヒンジ軸212に端子蓋5の穴13を嵌め、操作ボタン10に指を当て、ばね14の付勢力に抗して軸12を矢印11の向きにスライドさせ、軸12の先端部を円筒部51から後退させて軸12の先端部をヒンジ軸穴211の位置に合わせる。この位置で操作ボタン10から指を離すと、軸12が付勢力で円筒部51の一端面から突出しヒンジ軸穴211に嵌合する。上記円筒部51はカメラ本体1側のヒンジ軸穴211とヒンジ軸212を形成する一対の円筒状の部材間に挟み込まれて軸線方向の移動が規制される。この状態で軸12と穴13の中心を結ぶ軸線を中心にして端子蓋5を回転させ、カメラ本体1の端子部が形成された凹部を端子蓋5が塞いだ状態にする。さらに、端子蓋5がみだりに回転しないようにロックする。ロック機構は以下のように構成されている。
【0020】
端子蓋5の表面側には開閉レバー6が回転軸61を中心にして、かつ、回転軸61と一体に、端子蓋5の面と平行な面内において回転可能に取り付けられている。開閉レバー6は端子蓋5の表面から突出しないように、端子蓋5に形成された凹陥部内に、かつ、この凹陥部によって許容される範囲内で回転可能に取り付けられている。回転軸61は端子蓋5の裏面側に突出し、この突出端部にロックレバー7の基部が一体に結合されている。したがって、ロックレバー7は開閉レバー6と一体となって回転することができる。図4、図5に示すように、ロックレバー7の先端部は回転軸61を中心とする半径方向の線に沿って斜めに折り曲げられることによって形成されたロック爪71となっている。端子蓋5が端子部を閉鎖した状態で開閉レバー6を図1において時計方向に回転させると、開閉レバー6と一体に回転したロックレバー7のロック爪71が、上記端子部が配置された凹部の一縁部の係合部に係合し、端子蓋5がロックされるようになっている。開閉レバー6を逆向きに回転させると端子蓋5のロックが外れ、端子部を開放することができるとともに、前述のような操作手順によって端子蓋5をカメラ本体1から取り外すことができる。
【0021】
カメラを外部機器と接続する場合は、端子蓋5をカメラ本体1から取り外して端子部5を解放し、端子部に設けられている適宜のジャックにケーブル端の接続プラグを嵌合させる。例えば、画像データを外部機器との間で授受する場合はUSBジャック8を使用し、それ以外の信号を授受する場合は信号ジャック9を使用することができる。
【0022】
以上説明した実施例によれば、端子蓋5がカメラ本体1に対して着脱自在となっていて、端子部にケーブル類を接続するために端子蓋5が端子部を開放しているときは、端子蓋5をカメラ本体1から取り外すようになっている。そのため、カメラの取り扱い中に不用意にカメラを落としたとしても、端子蓋5およびそのヒンジ部21が衝撃力を受けることを回避することができ、端子蓋5およびそのヒンジ部21の破損を回避することができる。
【実施例2】
【0023】
図6乃至図8は本発明にかかるカメラの第2の実施例を示す。図6、図7において、符号1はカメラ本体、2は撮影レンズ、3はシャッターボタン、4はダイヤル、5は端子蓋、6は開閉レバー、7はロックレバー、8はUSBジャック、9は信号ジャックをそれぞれ示しており、これらの各部材は前述の実施例において同一の符号が付された部材と同じ機能を果たす。この第2の実施例が前述の第1の実施例と異なる点は、端子蓋5が端子部を開放した状態で、端子蓋5がカメラに固定されるように構成されている点である。以下、この点を中心に説明する。
【0024】
カメラ本体1の一側面には略四角形状の凹部19が形成され、凹部19内に端子蓋5が配置されている。端子蓋5の上下方向の寸法は凹部19の上下方向の寸法の略1/2であり、また、凹部19の深さ内に端子蓋5が納まるように端子蓋5の厚さが定められている。端子蓋5の上下端の一方側に、端子蓋5の両側から突出させて一対の水平方向の軸18が一体に設けられている。一対の軸18は、上記凹部19の両壁面から内方に向かって形成された軸穴に嵌められ、一対の軸18を回転中心にして端子蓋5が上下方向に回転することができるように構成されている。また、端子蓋5はその回転態様によって、図6に示すように凹部19の上側半分を塞ぐ態様と、図7、図8に示すように凹部19の下側半分を塞ぐ態様をとることができる。凹部19の上側半分は、USBジャック8、信号ジャック9などが配置された端子部となっていて、図6に示す態様は、端子蓋5が端子部を塞いだ態様、図7、図8は端子蓋5が端子部を開放した態様になっている。
【0025】
端子蓋5は、一対の軸18が設けられた端部とは反対側の端部寄りの位置に一対のピン16を有している。一対のピン16は端子蓋5の両側に形成された穴に、この穴をガイドとして水平方向に移動可能に嵌められている。上記各穴内には圧縮コイルばね17が挿入されていて、各ピン16は圧縮コイルばね17の弾力によって端子蓋5の側面から外方に突出するように付勢されている。付勢力による各ピン16の突出量は適宜の量に制限されるように、適宜の規制手段が設けられている。図7、図8に示すように、端子蓋5が下側に回転して端子部を開放した態様にあるとき、各ピン16が凹部19の両側に形成された嵌合穴20に嵌合し、端子蓋5が移動不能に暫定的に固定されるようになっている。各ピン16には、前記実施例における操作ボタン10と同等の操作ボタンを一体に設け、この操作ボタンに指を当てて各ピン16を付勢力に抗してスライドさせることができるように構成してもよい。もっとも、操作ボタンを設けるかどうかは任意で、端子蓋5が図7、図8に示す端子部開放態様にあるとき、端子蓋5を凹部19に向かって押し付ければ、付勢力に抗して各ピン16を後退させる分力が働き、嵌合孔20と合致したとき、各ピン16が付勢力で嵌合孔20に嵌合するようにしてもよい。
【0026】
端子蓋5には、前述の実施例と同様に、表面側に開閉レバー6が、裏面側にロックレバー7が設けられ、開閉レバー6とロックレバー7は軸によって一体に連結されている。図6に示すように、端子蓋5が端子部を閉鎖した態様では、開閉レバー6の操作によってロックレバー7をロック位置まで回転させることにより、ロックレバー7をカメラ本体1側の係合部に係合させ、端子蓋5による端子部の閉鎖態様を維持するようになっている。端子部を開放する場合は、開閉レバー6を逆向きに操作してロックレバー7によるロックを解除し、一対の軸18を中心にして端子蓋5を回転させればよい。端子部を開放した状態の端子蓋5は、ロックレバー7によるロックが不可能なため、上記のように、各固定ピン16を嵌合穴20に嵌合させて端子蓋5をロックする(固定する)ように構成されている。端子蓋5が端子部の閉鎖態様にあるとき、一対のピン16は凹部19の左右両側壁に当接し、各ばね17の付勢力に抗して後退した態様にある。この態様にするには、端子蓋5を凹部19に向かって強制的に押し付けることにより、各ピン16に後退する向きの分力を生じさせるようにしてもよい。あるいは、手動操作で各ピン16を付勢力に抗して交代させるようにしてもよい。
【0027】
以上説明した第2の実施例によれば、端子蓋5は端子部を開放した状態でカメラ本体1に固定されているので、この状態で不用意にカメラを落とすなどして、端子蓋5に衝撃が加わったとしても、衝撃力が端子蓋5およびそのヒンジ部をなす軸18に集中することなく分散され、端子蓋5およびそのヒンジ部の破損を回避することができる。また、端子蓋5は、凹部19内に収まってカメラ本体1の表面と同一面またはカメラ本体1の表面から後退した位置になるように構成しておけば、カメラを落としたとき、端子蓋5に衝撃力がかかる確率を低下させることもできるし、カメラの操作性も向上する。
【0028】
前記第1の実施例および第2の実施例における端子部を利用して外部ユニットを装着することができるように構成することができる。図9乃至図11において、カメラ本体1に設けられた端子部にはガイドピン23が設けられている。図9乃至図11に示すカメラの端子部の構成は図1乃至図5に示すカメラの端子部の構成と同じであって、図9乃至図11に示す例では、外部ユニットを装着するために、端子部に設けられている前記ガイド穴22にガイドピン23が嵌められている。ガイド穴22は例えばねじ穴になっていて、このねじ穴にガイドピンのねじ部を螺合することによってガイドピン23を取り付けることができるようになっている。図10、図11において、符号24は外部ユニットを示している。外部ユニット24は、例えば予備電源電池を装填したグリップ、外付けのストロボ発光器、その他任意のアクセサリーとすることができる。
【0029】
外部ユニット24はカメラ本体1側の端子部に嵌合するカメラとの嵌合部を有している。このカメラとの嵌合部には上記ガイドピン23が嵌まるべきガイド穴27が設けられ、また、カメラ本体1側の端子部の前記信号ジャック9に嵌まるべき信号プラグ25が設けられている。外部ユニット24をカメラ本体1の端子部に結合させるに当たり、まずガイドピン23とガイド穴27とが先に嵌まりあってガイドされるように、ガイドピン23の突出寸法が大きくなっている。外部ユニット24のカメラとの嵌合部外周を取り囲んで例えばOリングなどからなる防水パッキン28が配置されている。外部ユニット24の下端部には、カメラ本体1側のヒンジ部21を構成する前記ヒンジ軸穴211とヒンジ軸212に嵌まるべきヒンジピン26が設けられている。
【0030】
図10はカメラ本体1に外部ユニット24を結合する前の状態を示しており、図11はカメラ本体1に外部ユニット24を結合した状態を示している。カメラ本体1に外部ユニット24を結合するには、まず、カメラ本体1側の端子部を開放する必要があり、図9乃至図11に示す例では、端子部を塞いでいた端子蓋が取り外されている。この状態で、カメラ本体1側のガイドピン23と外部ユニット24のガイド穴27を嵌合させてカメラ本体1に対して外部ユニット24を位置決めする。次にカメラ本体1側の信号ジャック9と外部ユニット24の信号プラグ25を嵌合させ、カメラ本体1側と外部ユニット24との間で信号の授受ができるようにする。その後、カメラ本体1側と外部ユニット24側のヒンジ部21を係合させて、カメラ本体1側と外部ユニット24側を互いにロックする。これによってカメラ本体1と外部ユニット24が結合される。この結合態様において、防水パッキン28がカメラ本体1と外部ユニット24との間に挟みこまれ、双方の端子部の内部空間が気密に保たれ、端子部の防水機能が働くことになる。
【0031】
図9乃至図11に示す実施例によれば、カメラ本体1側の端子部を利用して外部ユニット24を結合可能とすることにより、外部ユニット24を位置決めして結合することが容易であり、外部ユニット24の小型化および外部ユニット24を取り付けた状態での外部ユニット24を含めたカメラ全体の小型化を図ることができる。端子部の構造を利用して外部ユニット24を位置決めし結合することができるため、外部ユニット24を結合して使用可能とするための構成を簡略化することができる利点もある。また、外部ユニット24を取り付けた状態での外部ユニット24とカメラ本体1との結合部を防水構造にすることも容易である。カメラ本体1および外部ユニット24も含めて防水構造にしておけば、図9乃至図11に示す実施例のように、カメラ本体1と外部ユニット24の結合部を防水構造とすることでより効果的になる。
【0032】
図5乃至図8に示す実施例においても、カメラ本体1側の端子部を利用して外部ユニットを結合することができるように構成することができる。この実施例においては、図7に示すように端子蓋5を凹部19内において下方に回転させて端子部を開放し、端子蓋5を暫定的に固定する。この状態で、外部ユニット24のカメラとの嵌合部をカメラ本体1側の端子部に嵌合させて結合させる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明にかかるカメラの実施例を前方斜め上から示す斜視図である。
【図2】上記実施例において端子蓋を開いた状態を示す斜視図である。
【図3】上記実施例において端子蓋の着脱の様子を示す斜視図である。
【図4】上記実施例に用いられる端子蓋を示す裏面図である。
【図5】上記端子蓋を一部断面にして示す裏面図である。
【図6】本発明にかかるカメラの別の実施例を前方斜め上から示す斜視図である。
【図7】上記別の実施例において端子蓋を開いた状態を示す斜視図である。
【図8】上記別の実施例にかかるカメラの端子部を示す側面図である。
【図9】本発明にかかるカメラに外部ユニットを装着するために端子部の構成を工夫した例を示すカメラの斜視図である。
【図10】上記カメラと外部ユニットの結合前の状態を示す正面図である。
【図11】上記カメラと外部ユニットの結合状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 カメラ本体
2 撮影レンズ
5 端子蓋
6 開閉レバー
8 USBジャック
9 信号ジャック
12 軸
13 穴
16 ピン
18 軸
19 凹部
21 ヒンジ部
22 ガイド穴
23 ガイドピン
24 外部ユニット
27 ガイド穴
28 防水パッキン
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラに関するもので、外部と電気的に接続するための端子部の構成、端子部を利用した外部ユニットの取り付け構造、および外部ユニットを含めた防水構造に特徴を有し、カメラ一般のほか、カメラ付き携帯電話、広く一般的な画像撮影装置などに適用可能なものである。
【背景技術】
【0002】
近年のカメラ、特にデジタルカメラにおいては、コンピュータなどの外部機器との間で信号を授受するための端子、あるいは外部電源から電源を供給するための端子などを備えている。外部機器との間で信号を授受するための端子として、近年はUSB(Universal Serial Bus)端子が広く採用され、USB端子を介してカメラをコンピュータに接続するだけで、コンピュータはカメラが接続されたことを認識できるようになっている。このようなUSB端子を含むカメラの端子は高い寸法精度でデリケートな造りになっているため、カメラを取り落とし、あるいはカメラを何かにぶつけた場合などに、外部からの衝撃が直接加わらないように、端子部を使用しないときは端子部を覆って保護する端子蓋が設けられている。また、近年のカメラには防水性も求められることがあり、端子部の防水性にも配慮されたものがある。
【0003】
端子部の構成を工夫したカメラとして、コネクタ・カード室と、これを開閉するコネクタ蓋を有し、コネクタ・カード室には、カードスロット、その挿入開口部、ビデオ端子出力部、USB端子部および上記挿入開口部を開閉するカード蓋が配され、上記端子部にコード類が接続されていない状態では、メモリカードを装着後、カード蓋を閉鎖してメモリカードへの書き込み、読み出しを行い、上記端子部にコード類を接続した状態では、コネクタ蓋の開放状態でメモリカードへの書き込み、読み出しを行うようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、本体筐体内に形成されかつ電池蓋で閉止された電池室に電池を収納し、本体筐体の内部から隔離されるとともにコネクタ蓋で防水状態に形成された端子室に、少なくとも充電兼用のUSB端子を設け、電池室に二次電池が収納されていると、コネクタ蓋を開いて上記USB端子から電源を供給して、上記二次電池を充電可能とした防水カメラが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−214973号公報
【特許文献2】特開2004−94066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および2に記載されているような従来のカメラは、端子部に接続コード類を接続して使用するとき、端子部の蓋を開いた状態で使用するが、そのときの端子蓋の態様に関してはなんら考慮されていない。したがって、端子部を開放した状態の端子蓋はただ単にヒンジなどによってカメラ本体につながっているだけで、ふらついた状態になっている。カメラは持ち運んで使用するものであるため、操作中に不用意に落としてしまうことがしばしばある。このような場合に、ふらついた状態になっている端子蓋に衝撃が加わると、端子蓋およびそのヒンジ部に応力が集中して端子蓋およびそのヒンジ部が破損する可能性が高い。
【0007】
端子蓋を開いて端子部に接続コードなどを接続して使用するとき、端子蓋がカメラ本体から取り外され、あるいはカメラ本体に固定されてふらつくことがないようになっているとすれば、カメラの落下などによって端子蓋に衝撃が加わったとしても、端子蓋およびそのヒンジ部に応力が集中することを避けることができ、端子蓋およびそのヒンジ部の破損を避けることができる。
【0008】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたもので、外部と電気的に接続するための端子と、この端子の不使用時に端子部を塞いで保護するための端子蓋を具備するカメラにおいて、端子部の蓋を開いて端子部に接続コードなどを接続して使用するとき、誤ってカメラを落としたとしても端子蓋に衝撃力が加わらないように工夫して、端子蓋およびそのヒンジ部の破損を避けることができるカメラを提供することを目的とする。
また、カメラの落下などによって端子蓋に衝撃が加わったとしても、端子蓋およびそのヒンジ部に応力が集中することを避けることができ、端子蓋およびそのヒンジ部の破損を避けることができるカメラを提供することを目的とする。
本発明はまた、端子部を利用して外部ユニットを装着することができるようにし、また、外部ユニットを装着した状態においても、端子部の防水を図ることができるカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、外部と電気的に接続するための端子と、この端子の不使用時に端子部を塞いで保護するための端子蓋を具備するカメラであって、上記端子蓋は、カメラに対して着脱可能にしたことを主要な特徴とする。
上記の発明において、カメラから端子蓋を取り外した態様で外部ユニットをカメラに装着することができるとともに、外部ユニットの端子とカメラの端子とを結合可能に構成するとよい。
また、端子蓋はヒンジ部を中心にしてカメラに回転可能にかつヒンジ部から取り外し可能に設け、端子蓋を取り外した後の上記ヒンジ部によって外部ユニットを結合可能に構成するとよい。
端子部にはガイド穴を形成し、このガイド孔にはガイドピンを着脱可能に設け、ガイド孔にガイドピンを装着した態様において外部ユニットをカメラに位置決めして装着することができるように構成してもよい。
【0010】
本発明はまた、外部と電気的に接続するための端子と、この端子の不使用時に端子部を塞いで保護するための端子蓋を具備するカメラであって、上記端子蓋は、端子部を開放した状態でカメラに固定されるように構成したことを特徴とする。
上記の発明において、端子部をカメラ本体に形成された凹部に配置し、端子蓋は端子部を開放した状態で上記凹部内に収まってカメラに固定されるように構成するとよい。
上記発明において、端子蓋が端子部を開放しカメラに固定された態様で外部ユニットをカメラに装着することができるとともに、外部ユニットの端子とカメラの端子とを結合可能に構成してもよい。
カメラが防水機能を持っているとよい。併せて、外部ユニットも防水機能をもっており、外部ユニットをカメラに装着した態様で外部ユニットとカメラとの結合部が防水構造になっているとなおよい。外部ユニットとカメラとの結合部に防水パッキンが介在する構成とすることによって、外部ユニットとカメラとの結合部を防水構造にすることができる。
【発明の効果】
【0011】
端子蓋をカメラに対して着脱可能な構成にすることにより、端子部を使用するために端子蓋を開いた状態では端子蓋をカメラから取り外すことができる。したがって、カメラを使用しているときに誤って落としたとしても、端子蓋に衝撃が加わることはないから、端子蓋とそのヒンジ部が衝撃力によって破損することを回避することができる。
【0012】
また、端子部を開放した状態で、端子蓋がカメラに固定されるように構成した場合は、カメラを誤って落とした場合などに、端子蓋に衝撃力が加わったとしても、応力を分散させることができるので、端子蓋とそのヒンジ部が、応力の集中により破損することを回避することができる。
【0013】
端子蓋が端子部を開いた状態で、端子部を利用して外部ユニットを結合可能とすることにより、外部ユニットを位置決めして結合することが容易であり、外部ユニットの小型化および外部ユニットを取り付けた状態での外部ユニットを含めたカメラ全体の小型化を図ることができる。端子部の構造を利用して外部ユニットを位置決めし結合することができるため、外部ユニットを結合して使用可能とするための構成を簡略化することができる利点もある。また、外部ユニットを取り付けた状態での外部ユニットとカメラ本体との結合部を防水構造にすることも容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明にかかるカメラの実施例を、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0015】
図1乃至図3において、カメラ本体1の前面側には被写体像を結像面に結ばせて撮影するための撮影レンズ2が取り付けられている。カメラの形式は限定されない。デジタルカメラであれば上記結像面に例えばCCDエリアセンサなどからなる撮像素子が配置される。銀塩方式のカメラであれば、上記結像面に感光フィルムが配置される。カメラ本体1には前面側から見て左側の前上にシャッターボタン3が配置されている。デジタルカメラの場合、シャッターボタン3を押すことによって、そのとき上記撮像素子に結ばれている撮影者の意図した被写体像が撮像素子によって取り込まれ、電気信号に変換される。この電気信号はデジタル信号に変換され、図示されない内部メモリあるいはカメラ本体1の所定のスロットに装填されているメモリカードなどに画像データとして保存される。カメラ本体1の上面には、カメラの動作モード切り換えなどの操作を行なうダイヤル4が配置されている。
【0016】
カメラ本体1の前面から見て右下部には、外部機器、例えばパーソナル・コンピュータ(以下「パソコン」という)との間で信号を授受するための、あるいは、外部電源から電源を供給するための端子部が設けられ、この端子部は端子蓋5で閉じることができるようになっている。端子部は四角形状の凹部に設けられていて、端子蓋5はこの凹部に合わせて四角形状に形成されて凹部を塞ぐことができるようになっている。上記凹部に設けられた端子部には、外部機器との間で信号を授受するためのUSBジャック8およびUSB規格以外の信号ジャック9が設けられている。図示されていないが、上記端子部には例えば外部電源からカメラに電源を供給するための電源供給ジャックなどを設けてもよい。端子部には、ガイド穴22も設けられている。ガイド穴22の使用法についてはあとで詳細に説明する。
【0017】
上記凹部の下縁には、ヒンジ軸穴211とヒンジ軸212からなるヒンジ部21が設けられている。ヒンジ軸穴211とヒンジ軸212は互いに離間して配置されていて、ヒンジ軸穴211とヒンジ軸212の中心軸線は水平方向の共通の軸線となっている。図5に示すように、上記端子蓋5は、その一側縁部に、上記ヒンジ軸穴211に嵌まる軸12と、上記ヒンジ軸212が嵌まる穴13を具備するヒンジ部21を有している。ヒンジ部21の上記軸12は、端子蓋5の一側縁部に沿って一体に形成された円筒部51内に、その中心軸線方向にスライド可能に嵌められている。上記穴13は上記円筒部51の内径が一端側において小径に形成されることによって形成されている。上記円筒部51内には、上記軸12の付勢部材として圧縮コイルばね14が挿入され、このばね14によって軸12が図5において矢印15で示す向き、すなわち上記円筒部51の一端から突出する向きにスライドするように付勢されている。図2乃至図4に示すように、上記軸12の外周には操作ボタン10が突設されていて、この操作ボタン10は、上記円筒部51の長さ方向に形成された四角形状の窓孔52に嵌っている。操作ボタン10は上記窓孔52で許される範囲内で移動可能であり、操作ボタン10と一体の軸12も上記の範囲内でスライド可能である。また、ばね14の付勢力による軸12のスライド範囲は、操作ボタン10が窓孔52の一端縁に当接することによって規制され、この規制位置において軸12の先端部が円筒部51の一端から突出するように各部の寸法が設定されている。
【0018】
以上のような端子蓋5のヒンジ部21の構造と、カメラ本体1側のヒンジ軸穴211とヒンジ軸212からなるヒンジ部21の構造によって、端子蓋5は、カメラ本体1に対して着脱可能に構成されている。端子蓋5をカメラ本体1から取り外す場合は、以下の手順による。ばね14の付勢力で円筒部51から突出した軸12の先端部が上記ヒンジ軸穴211に嵌まり、ヒンジ軸212が上記ヒンジ部21の穴13に嵌まることによって、端子蓋5はヒンジ部21の中心軸線を回転中心として、上下方向に回転することができる。そこで、端子蓋5を回転させて図2、図3に示すように端子部を開いた状態において、操作ボタン10に指を当て、ばね14の付勢力に抗して軸12を矢印11の向きにスライドさせ、軸12の先端部を円筒部51から後退させる。こうして軸12とヒンジ軸穴211の嵌合を外し、さらに、ヒンジ軸212から上記ヒンジ部21を離間させてヒンジ軸212と穴13の嵌合を外すことによって端子蓋5をカメラ本体1から取り外すことができる。
【0019】
端子蓋5をカメラ本体1の端子部に嵌める場合は上記の操作を逆に行なう。まず、ヒンジ軸212に端子蓋5の穴13を嵌め、操作ボタン10に指を当て、ばね14の付勢力に抗して軸12を矢印11の向きにスライドさせ、軸12の先端部を円筒部51から後退させて軸12の先端部をヒンジ軸穴211の位置に合わせる。この位置で操作ボタン10から指を離すと、軸12が付勢力で円筒部51の一端面から突出しヒンジ軸穴211に嵌合する。上記円筒部51はカメラ本体1側のヒンジ軸穴211とヒンジ軸212を形成する一対の円筒状の部材間に挟み込まれて軸線方向の移動が規制される。この状態で軸12と穴13の中心を結ぶ軸線を中心にして端子蓋5を回転させ、カメラ本体1の端子部が形成された凹部を端子蓋5が塞いだ状態にする。さらに、端子蓋5がみだりに回転しないようにロックする。ロック機構は以下のように構成されている。
【0020】
端子蓋5の表面側には開閉レバー6が回転軸61を中心にして、かつ、回転軸61と一体に、端子蓋5の面と平行な面内において回転可能に取り付けられている。開閉レバー6は端子蓋5の表面から突出しないように、端子蓋5に形成された凹陥部内に、かつ、この凹陥部によって許容される範囲内で回転可能に取り付けられている。回転軸61は端子蓋5の裏面側に突出し、この突出端部にロックレバー7の基部が一体に結合されている。したがって、ロックレバー7は開閉レバー6と一体となって回転することができる。図4、図5に示すように、ロックレバー7の先端部は回転軸61を中心とする半径方向の線に沿って斜めに折り曲げられることによって形成されたロック爪71となっている。端子蓋5が端子部を閉鎖した状態で開閉レバー6を図1において時計方向に回転させると、開閉レバー6と一体に回転したロックレバー7のロック爪71が、上記端子部が配置された凹部の一縁部の係合部に係合し、端子蓋5がロックされるようになっている。開閉レバー6を逆向きに回転させると端子蓋5のロックが外れ、端子部を開放することができるとともに、前述のような操作手順によって端子蓋5をカメラ本体1から取り外すことができる。
【0021】
カメラを外部機器と接続する場合は、端子蓋5をカメラ本体1から取り外して端子部5を解放し、端子部に設けられている適宜のジャックにケーブル端の接続プラグを嵌合させる。例えば、画像データを外部機器との間で授受する場合はUSBジャック8を使用し、それ以外の信号を授受する場合は信号ジャック9を使用することができる。
【0022】
以上説明した実施例によれば、端子蓋5がカメラ本体1に対して着脱自在となっていて、端子部にケーブル類を接続するために端子蓋5が端子部を開放しているときは、端子蓋5をカメラ本体1から取り外すようになっている。そのため、カメラの取り扱い中に不用意にカメラを落としたとしても、端子蓋5およびそのヒンジ部21が衝撃力を受けることを回避することができ、端子蓋5およびそのヒンジ部21の破損を回避することができる。
【実施例2】
【0023】
図6乃至図8は本発明にかかるカメラの第2の実施例を示す。図6、図7において、符号1はカメラ本体、2は撮影レンズ、3はシャッターボタン、4はダイヤル、5は端子蓋、6は開閉レバー、7はロックレバー、8はUSBジャック、9は信号ジャックをそれぞれ示しており、これらの各部材は前述の実施例において同一の符号が付された部材と同じ機能を果たす。この第2の実施例が前述の第1の実施例と異なる点は、端子蓋5が端子部を開放した状態で、端子蓋5がカメラに固定されるように構成されている点である。以下、この点を中心に説明する。
【0024】
カメラ本体1の一側面には略四角形状の凹部19が形成され、凹部19内に端子蓋5が配置されている。端子蓋5の上下方向の寸法は凹部19の上下方向の寸法の略1/2であり、また、凹部19の深さ内に端子蓋5が納まるように端子蓋5の厚さが定められている。端子蓋5の上下端の一方側に、端子蓋5の両側から突出させて一対の水平方向の軸18が一体に設けられている。一対の軸18は、上記凹部19の両壁面から内方に向かって形成された軸穴に嵌められ、一対の軸18を回転中心にして端子蓋5が上下方向に回転することができるように構成されている。また、端子蓋5はその回転態様によって、図6に示すように凹部19の上側半分を塞ぐ態様と、図7、図8に示すように凹部19の下側半分を塞ぐ態様をとることができる。凹部19の上側半分は、USBジャック8、信号ジャック9などが配置された端子部となっていて、図6に示す態様は、端子蓋5が端子部を塞いだ態様、図7、図8は端子蓋5が端子部を開放した態様になっている。
【0025】
端子蓋5は、一対の軸18が設けられた端部とは反対側の端部寄りの位置に一対のピン16を有している。一対のピン16は端子蓋5の両側に形成された穴に、この穴をガイドとして水平方向に移動可能に嵌められている。上記各穴内には圧縮コイルばね17が挿入されていて、各ピン16は圧縮コイルばね17の弾力によって端子蓋5の側面から外方に突出するように付勢されている。付勢力による各ピン16の突出量は適宜の量に制限されるように、適宜の規制手段が設けられている。図7、図8に示すように、端子蓋5が下側に回転して端子部を開放した態様にあるとき、各ピン16が凹部19の両側に形成された嵌合穴20に嵌合し、端子蓋5が移動不能に暫定的に固定されるようになっている。各ピン16には、前記実施例における操作ボタン10と同等の操作ボタンを一体に設け、この操作ボタンに指を当てて各ピン16を付勢力に抗してスライドさせることができるように構成してもよい。もっとも、操作ボタンを設けるかどうかは任意で、端子蓋5が図7、図8に示す端子部開放態様にあるとき、端子蓋5を凹部19に向かって押し付ければ、付勢力に抗して各ピン16を後退させる分力が働き、嵌合孔20と合致したとき、各ピン16が付勢力で嵌合孔20に嵌合するようにしてもよい。
【0026】
端子蓋5には、前述の実施例と同様に、表面側に開閉レバー6が、裏面側にロックレバー7が設けられ、開閉レバー6とロックレバー7は軸によって一体に連結されている。図6に示すように、端子蓋5が端子部を閉鎖した態様では、開閉レバー6の操作によってロックレバー7をロック位置まで回転させることにより、ロックレバー7をカメラ本体1側の係合部に係合させ、端子蓋5による端子部の閉鎖態様を維持するようになっている。端子部を開放する場合は、開閉レバー6を逆向きに操作してロックレバー7によるロックを解除し、一対の軸18を中心にして端子蓋5を回転させればよい。端子部を開放した状態の端子蓋5は、ロックレバー7によるロックが不可能なため、上記のように、各固定ピン16を嵌合穴20に嵌合させて端子蓋5をロックする(固定する)ように構成されている。端子蓋5が端子部の閉鎖態様にあるとき、一対のピン16は凹部19の左右両側壁に当接し、各ばね17の付勢力に抗して後退した態様にある。この態様にするには、端子蓋5を凹部19に向かって強制的に押し付けることにより、各ピン16に後退する向きの分力を生じさせるようにしてもよい。あるいは、手動操作で各ピン16を付勢力に抗して交代させるようにしてもよい。
【0027】
以上説明した第2の実施例によれば、端子蓋5は端子部を開放した状態でカメラ本体1に固定されているので、この状態で不用意にカメラを落とすなどして、端子蓋5に衝撃が加わったとしても、衝撃力が端子蓋5およびそのヒンジ部をなす軸18に集中することなく分散され、端子蓋5およびそのヒンジ部の破損を回避することができる。また、端子蓋5は、凹部19内に収まってカメラ本体1の表面と同一面またはカメラ本体1の表面から後退した位置になるように構成しておけば、カメラを落としたとき、端子蓋5に衝撃力がかかる確率を低下させることもできるし、カメラの操作性も向上する。
【0028】
前記第1の実施例および第2の実施例における端子部を利用して外部ユニットを装着することができるように構成することができる。図9乃至図11において、カメラ本体1に設けられた端子部にはガイドピン23が設けられている。図9乃至図11に示すカメラの端子部の構成は図1乃至図5に示すカメラの端子部の構成と同じであって、図9乃至図11に示す例では、外部ユニットを装着するために、端子部に設けられている前記ガイド穴22にガイドピン23が嵌められている。ガイド穴22は例えばねじ穴になっていて、このねじ穴にガイドピンのねじ部を螺合することによってガイドピン23を取り付けることができるようになっている。図10、図11において、符号24は外部ユニットを示している。外部ユニット24は、例えば予備電源電池を装填したグリップ、外付けのストロボ発光器、その他任意のアクセサリーとすることができる。
【0029】
外部ユニット24はカメラ本体1側の端子部に嵌合するカメラとの嵌合部を有している。このカメラとの嵌合部には上記ガイドピン23が嵌まるべきガイド穴27が設けられ、また、カメラ本体1側の端子部の前記信号ジャック9に嵌まるべき信号プラグ25が設けられている。外部ユニット24をカメラ本体1の端子部に結合させるに当たり、まずガイドピン23とガイド穴27とが先に嵌まりあってガイドされるように、ガイドピン23の突出寸法が大きくなっている。外部ユニット24のカメラとの嵌合部外周を取り囲んで例えばOリングなどからなる防水パッキン28が配置されている。外部ユニット24の下端部には、カメラ本体1側のヒンジ部21を構成する前記ヒンジ軸穴211とヒンジ軸212に嵌まるべきヒンジピン26が設けられている。
【0030】
図10はカメラ本体1に外部ユニット24を結合する前の状態を示しており、図11はカメラ本体1に外部ユニット24を結合した状態を示している。カメラ本体1に外部ユニット24を結合するには、まず、カメラ本体1側の端子部を開放する必要があり、図9乃至図11に示す例では、端子部を塞いでいた端子蓋が取り外されている。この状態で、カメラ本体1側のガイドピン23と外部ユニット24のガイド穴27を嵌合させてカメラ本体1に対して外部ユニット24を位置決めする。次にカメラ本体1側の信号ジャック9と外部ユニット24の信号プラグ25を嵌合させ、カメラ本体1側と外部ユニット24との間で信号の授受ができるようにする。その後、カメラ本体1側と外部ユニット24側のヒンジ部21を係合させて、カメラ本体1側と外部ユニット24側を互いにロックする。これによってカメラ本体1と外部ユニット24が結合される。この結合態様において、防水パッキン28がカメラ本体1と外部ユニット24との間に挟みこまれ、双方の端子部の内部空間が気密に保たれ、端子部の防水機能が働くことになる。
【0031】
図9乃至図11に示す実施例によれば、カメラ本体1側の端子部を利用して外部ユニット24を結合可能とすることにより、外部ユニット24を位置決めして結合することが容易であり、外部ユニット24の小型化および外部ユニット24を取り付けた状態での外部ユニット24を含めたカメラ全体の小型化を図ることができる。端子部の構造を利用して外部ユニット24を位置決めし結合することができるため、外部ユニット24を結合して使用可能とするための構成を簡略化することができる利点もある。また、外部ユニット24を取り付けた状態での外部ユニット24とカメラ本体1との結合部を防水構造にすることも容易である。カメラ本体1および外部ユニット24も含めて防水構造にしておけば、図9乃至図11に示す実施例のように、カメラ本体1と外部ユニット24の結合部を防水構造とすることでより効果的になる。
【0032】
図5乃至図8に示す実施例においても、カメラ本体1側の端子部を利用して外部ユニットを結合することができるように構成することができる。この実施例においては、図7に示すように端子蓋5を凹部19内において下方に回転させて端子部を開放し、端子蓋5を暫定的に固定する。この状態で、外部ユニット24のカメラとの嵌合部をカメラ本体1側の端子部に嵌合させて結合させる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明にかかるカメラの実施例を前方斜め上から示す斜視図である。
【図2】上記実施例において端子蓋を開いた状態を示す斜視図である。
【図3】上記実施例において端子蓋の着脱の様子を示す斜視図である。
【図4】上記実施例に用いられる端子蓋を示す裏面図である。
【図5】上記端子蓋を一部断面にして示す裏面図である。
【図6】本発明にかかるカメラの別の実施例を前方斜め上から示す斜視図である。
【図7】上記別の実施例において端子蓋を開いた状態を示す斜視図である。
【図8】上記別の実施例にかかるカメラの端子部を示す側面図である。
【図9】本発明にかかるカメラに外部ユニットを装着するために端子部の構成を工夫した例を示すカメラの斜視図である。
【図10】上記カメラと外部ユニットの結合前の状態を示す正面図である。
【図11】上記カメラと外部ユニットの結合状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 カメラ本体
2 撮影レンズ
5 端子蓋
6 開閉レバー
8 USBジャック
9 信号ジャック
12 軸
13 穴
16 ピン
18 軸
19 凹部
21 ヒンジ部
22 ガイド穴
23 ガイドピン
24 外部ユニット
27 ガイド穴
28 防水パッキン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部と電気的に接続するための端子と、この端子の不使用時に端子部を塞いで保護するための端子蓋を具備するカメラであって、上記端子蓋は、カメラに対して着脱可能に構成されているカメラ。
【請求項2】
カメラから端子蓋を取り外した態様で外部ユニットをカメラに装着することができるとともに、外部ユニットの端子とカメラの端子とを結合可能に構成されている請求項1記載のカメラ。
【請求項3】
端子蓋はヒンジ部を中心にしてカメラに回転可能にかつヒンジ部から取り外し可能に設けられていて、端子蓋を取り外した後の上記ヒンジ部によって外部ユニットを結合可能に構成されている請求項2記載のカメラ。
【請求項4】
端子部にはガイド穴が形成され、このガイド孔にはガイドピンが着脱可能となっており、ガイド孔にガイドピンが装着された態様において外部ユニットをカメラに位置決めして装着することができるように構成されている請求項2または3記載のカメラ。
【請求項5】
外部と電気的に接続するための端子と、この端子の不使用時に端子部を塞いで保護するための端子蓋を具備するカメラであって、上記端子蓋は、端子部を開放した状態でカメラに固定されるように構成されているカメラ。
【請求項6】
端子部はカメラ本体に形成された凹部に配置され、端子蓋は端子部を開放した状態で上記凹部内に収まってカメラに固定されるように構成されている請求項5記載のカメラ。
【請求項7】
端子蓋が端子部を開放しカメラに固定された態様で外部ユニットをカメラに装着することができるとともに、外部ユニットの端子とカメラの端子とを結合可能に構成されている請求項5または6記載のカメラ。
【請求項8】
カメラは防水機能をもっている請求項1〜7のいずれかに記載のカメラ。
【請求項9】
外部ユニットは防水機能をもっており、外部ユニットをカメラに装着した態様で外部ユニットとカメラとの結合部が防水構造になっている請求項2,3,4または7記載のカメラ。
【請求項10】
外部ユニットとカメラとの結合部に防水パッキンが介在している請求項9記載のカメラ。
【請求項11】
端子は電源供給端子または情報信号授受のための端子を含む請求項1記載のカメラ。
【請求項1】
外部と電気的に接続するための端子と、この端子の不使用時に端子部を塞いで保護するための端子蓋を具備するカメラであって、上記端子蓋は、カメラに対して着脱可能に構成されているカメラ。
【請求項2】
カメラから端子蓋を取り外した態様で外部ユニットをカメラに装着することができるとともに、外部ユニットの端子とカメラの端子とを結合可能に構成されている請求項1記載のカメラ。
【請求項3】
端子蓋はヒンジ部を中心にしてカメラに回転可能にかつヒンジ部から取り外し可能に設けられていて、端子蓋を取り外した後の上記ヒンジ部によって外部ユニットを結合可能に構成されている請求項2記載のカメラ。
【請求項4】
端子部にはガイド穴が形成され、このガイド孔にはガイドピンが着脱可能となっており、ガイド孔にガイドピンが装着された態様において外部ユニットをカメラに位置決めして装着することができるように構成されている請求項2または3記載のカメラ。
【請求項5】
外部と電気的に接続するための端子と、この端子の不使用時に端子部を塞いで保護するための端子蓋を具備するカメラであって、上記端子蓋は、端子部を開放した状態でカメラに固定されるように構成されているカメラ。
【請求項6】
端子部はカメラ本体に形成された凹部に配置され、端子蓋は端子部を開放した状態で上記凹部内に収まってカメラに固定されるように構成されている請求項5記載のカメラ。
【請求項7】
端子蓋が端子部を開放しカメラに固定された態様で外部ユニットをカメラに装着することができるとともに、外部ユニットの端子とカメラの端子とを結合可能に構成されている請求項5または6記載のカメラ。
【請求項8】
カメラは防水機能をもっている請求項1〜7のいずれかに記載のカメラ。
【請求項9】
外部ユニットは防水機能をもっており、外部ユニットをカメラに装着した態様で外部ユニットとカメラとの結合部が防水構造になっている請求項2,3,4または7記載のカメラ。
【請求項10】
外部ユニットとカメラとの結合部に防水パッキンが介在している請求項9記載のカメラ。
【請求項11】
端子は電源供給端子または情報信号授受のための端子を含む請求項1記載のカメラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−334256(P2007−334256A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169216(P2006−169216)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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