説明

カメラ

【課題】カメラ内部で発生した熱を効率よく外部に逃がし、カメラ内部の温度上昇を押さえる放熱構造を備えた、コンパクトなカメラを提供する。
【解決手段】ユニット取り付け板48に装着されるCCD46,撮像回路部を有する撮像部とLCD表示ユニットを有しており、上記撮像部、LCD表示ユニットで発生した熱は、ユニット取り付け板48に設けられる接触片72を後カバー板の内面に当接させることによって、該後カバーに効率よく伝達される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラの構造、特にカメラの放熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像素子を備えたデジタルカメラでは、銀塩カメラに比べて格段に電気部品を多く搭載し、消費電力も多く、例えば、内蔵される撮像素子や電源基板は、発熱量の大きい部材である。特に上記撮像素子は、カメラ内部の温度上昇の影響によって、ノイズが増加したり、撮像特性が悪化する恐れがあるので、効率よく放熱する必要がある。
【0003】
従来からカメラ等の上記放熱構造に関しては、各種の提案がなされている。例えば、特許文献1,2には、撮像装置における撮像素子の発熱を伝熱部材を介して効率的に外装に逃がす構造が提案されている。
【0004】
また、特許文献3には、ビデオカメラにおいて、回路基板を放熱板を介してバッテリに接触させる構造が提案されており、上記回路基板で発生した熱を上記バッテリに逃がすようにしている。
【0005】
また、特許文献4には、磁気記録再生装置において、大きな発熱部材である撮像素子と電源基板を分散配置することによって、内部温度上昇を抑えるようにした構造の提案なされている。
【0006】
一方、防水機能を備えたカメラは、デジタルカメラおよび銀塩カメラにてかなり一般的なものとなっているが、特にデジタルカメラでは、特別なカプセル状の防水ケース内にカメラ本体を格納して使用するようなタイプのものが市販されている。
【特許文献1】特許文献1は、特許公開公報平11−341321号である。
【特許文献2】特許文献2は、特許公開公報平7−107393号である。
【特許文献3】特許文献3は、特許公開公報平8−23467号である。
【特許文献4】特許文献4は、特許公開公報平7−143428号である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来のデジタルカメラ等において撮像部や画像表示装置等で発生した熱を放熱する放熱構造は、カメラの使用状況やカメラ特性を悪化等を考慮した場合、必ずしも十分な放熱効果が得られるものとはいえなかった。また、カメラの組立性の点についても十分考慮がなされたものではなかった。特にデジタルカメラに対しては、小型化の要求が強く、その小型化に支障とならない撮像部や画像表示装置等の放熱構造を適用することが必要である。
【0008】
一方、防水機能を備えたデジタルカメラに関して上記従来の防水ケースにカメラを収納するようなタイプでは、別途に防水ケースを携帯しなければならず、携帯性がよくない。そこで、従来の防水機能を有する銀塩カメラと同様にカメラ外装をパッキン等で密閉する構造を採用すると、カメラ内部が外部に対して空気の循環がなくなり、放熱性が悪化し、内部温度の上昇することが考えられる。その内部温度の上昇により撮像素子等の特性が劣化し、所望の撮影画質性能を維持することができなくなるといった問題があった。
【0009】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであって、カメラの外形の大形化を避け、カメラ内部で発生した熱を効率よく外部に逃がし、カメラ内部の温度上昇を押さえて本来の撮影性能を発揮できるような放熱構造を備え、また、防水機能のために密閉されたものに対してもコンパクトで、かつ、放熱性のよいカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のカメラは、被写体像を結像する撮影レンズ部と、上記撮影レンズ部の後端に備えられ、被写体像を光電変換する撮像素子と、上記撮像素子に近接し、カメラ背面を保護する後カバーと、上記撮像素子の背面に位置し、上記後カバーに形成された開口に表示面が臨むように配置される撮影画像を表示する画像表示手段と、上記撮影レンズ部および画像表示手段が取り付けられ、取り付けられた上記画像表示手段の少なくとも一辺から延出して設けられる熱伝達部を有する取り付け部材と、を備え、上記熱伝達部は、上記後カバー内面部に接触し、上記撮像素子および上記画像表示手段で発生した熱を上記後カバーに伝達することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、撮像部や画像表示手段で発生した熱が熱伝達部材を介して後カバーに効率よく伝達され、上記撮像部や画像表示手段の温度上昇顔さえられ、カメラの本来の撮影性能が維持され、かつ、カメラのコンパクト化も実現可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態のカメラの外観を示す斜視図である。図2は、上記カメラの分解斜視図であり、図3は、上記カメラのレンズ鏡筒まわり組み立てユニットの分解斜視図である。図4は、上記レンズ鏡筒に装着されるCCD基板および撮像基板の斜視図である。図5は、上記カメラに収納される中枠と電池カバー板の分解斜視図である。図6は、上記カメラに収納される熱伝達用接触片が取り付けられた電気基板(A)の斜視図である。
【0014】
なお、本実施形態のカメラの配置に説明において、カメラ幅方向である左右方向(図中のX方向)は、カメラの被写体側から見た左右方向で示すものとする。前後方向(図中のZ方向、すなわち、撮影レンズ光軸Oに沿う方向)は、被写体側を前方、反被写体側を後方、または、背面側とする。上下方向(図中のY方向)は、カメラを通常状態でホールドしたときの上下方向で示すものとする。
【0015】
本実施形態のカメラ1は、被写体撮影用の撮像素子を内蔵する、所謂、デジタルカメラである。このカメラの外装2としては、図1に示すように前カバーユニット2Aと、中カバーユニット2Bと、後カバーユニット2Cと、コネクタ蓋27と、図示しない電池蓋とを有してなり、各外装接合部は、パッキン等を介して密閉される防水構造が適用されているものとする。
【0016】
上記前カバーユニット2Aの前面開口部には、沈胴可能な撮影レンズ鏡筒3が配置されている。その撮影レンズ鏡筒3の撮影レンズ43の前面を開閉するレンズバリア15が前カバーユニット2Aの前面部に左右方向にスライド自在に取り付けられている。上記レンズバリア15の開閉は、撮影レンズ43が沈胴位置にあるときに行われる。なお、以下、撮影レンズ鏡筒はレンズ鏡筒と記載する。
【0017】
上記中カバーユニット2Bの上面部には、レリーズスイッチ操作釦51が配置されている。
【0018】
上記後カバーユニット2Cの背面部には、ファインダ接眼窓部25aと、LCD表示窓部25bと、スイッチ操作釦群54,55等が配置されている。また、その底面部には、開閉可能な電池蓋(図示せず)が配置されている。
【0019】
さらに、後カバーユニット2Cの左方端部には、上記コネクタ蓋27が開閉回動自在に支持されており、このコネクタ蓋27により外部コネクタ端子部であるビデオ出力端子部64やUSB端子部65、さらに、メモリカード(記録媒体)挿入用カードスロット63のカード開口部が開閉される。
【0020】
次に、本実施形態のカメラ1の構成を図2を用いて説明する。
本カメラ1は、上述したカメラ外装2としての上記前カバーユニット2A,中カバーユニット2B,後カバーユニット2C,コネクタ蓋27(図示せず),電池蓋(図示せず)と、上記カメラ外装2内に組み込まれる主な構成部材としてレンズ鏡筒3,LCD表示ユニット11を含むレンズ鏡筒ユニットとしてのレンズ鏡筒まわり組み立てユニット70と、ストロボ発光管49を内蔵するストロボ発光ユニット5と、ファインダ光学系を内蔵するファインダユニット4と、電気基板(A),(B),(C)6,7,8と、電源用電池12を収納する電池室24aが設けられる中枠24と、ストロボ発光のための電荷チャージ用のストロボコンデンサ14と、レリーズスイッチ操作釦51と、さらに、操作スイッチ基板53等を有してなる。
【0021】
上記前カバーユニット2Aは、カメラの前面側を保護する外装であり、金属(アルミニウム等)薄板製の外装部を形成する前カバー板21と、前カバー板21の内部に接着固定される合成樹脂製の組み付け用前カバー枠22とからなる。
【0022】
同様に上記中カバーユニット2Bは、カメラの中央部分の外装であり、金属(アルミニウム等)薄板製の外装部を形成する中カバー板23からなる。
【0023】
さらに上記後カバーユニット2Cは、カメラの後面側を保護する外装であり、金属(アルミニウム等)薄板製の外装部を形成する後カバー板25と、後カバー板25の内部に接着固定される合成樹脂製の組み付け用後カバー枠26とからなる。
【0024】
上記前カバー枠22と、後カバー枠26とは、図示しないビスを挿通させ、螺着することにより結合され、上記前カバー板21、中カバー板23、後カバー板25により本カメラ1の外装が形成される。
【0025】
上記前カバー板21には、中央上方部にストロボ発光窓33と、ファインダ窓32と、セルフタイマLED窓34が配され、中央下方部にリモートコントロール用窓35が配され、さらに、左方開口部に撮影レンズ用開口部31aを有する前リング31が接着固定される。また、前カバー枠22には前カバー板21の上下位置に左右方向に延びるバリアガイド溝22aが設けられる。
【0026】
上記バリアガイド溝22aには、レンズバリア15がスライド自在に嵌入して取り付けられる。上記レンズバリア15は、撮影レンズ用開口部31aとストロボ発光窓33等を閉鎖する閉位置(右方位置)と開放する開位置(左方位置)にスライド操作が可能である。
【0027】
上記前リング31は、外周右側端部に閉位置にあるレンズバリア15の先端部が当接可能なバリア当接突起31bが設けられており、閉鎖位置にあるレンズバリア15が押圧されたとき、レンズバリア15の先端が上記突起31bに当接することにより前カバー板21の変形や傷付き、さらには、レンズバリアの変形が防止される。
【0028】
上記前カバー板21のファインダ窓32の後方位置にファインダ光学系を内蔵するファインダユニット4が配置される。
【0029】
上記前カバー板21のストロボ発光窓33の後方位置にストロボ発光管49を内蔵するストロボ発光ユニット5が配置される。
【0030】
上記中カバー板23には、レリーズ釦用開口部23aとDC端子用切り欠き部23bが設けられる。レリーズ釦用開口部23aには、レリーズスイッチ操作用レリーズ釦51が挿入される。
【0031】
上記中枠24には、撮像部の反対側の左方位置に電池格納空間を備え、かつ、下方開口を有する電源用電池12が挿入可能な電池室24aが設けられ、さらに、その上部に右方突出部が形成されており、その突出部端に後述するユニット取り付け板48の固定用ビス挿通穴24bと、背面部にユニット取り付け板48固定用のビスネジ穴24c(図5)と、側面部に係止突起24d(図5)とが設けられる。また、中枠24の右側、かつ、上記右方突出部の下側のスペ−スには、ストロボコンデンサ14を上下方向に沿って収納できる縦長のスペ−スが形成されている。
【0032】
また、上記中枠24の背面には、図5に示すように収納された電池室24aの電池12を覆うように取り付けられる金属薄板製の電池室用熱伝達部材を兼ねる電池カバー板81が配される。この電池カバー板81は、2つの係止穴81aを有し、中枠24の突起24dに係合させ、さらに、ビス83によって接触片82と共に中板24にビス穴24eに螺着して取り付けられる。このように電池室24aに電池カバー板24を取り付ける構造を採用することで電池室24aの放熱性をよくする以外に中枠24が成型しやすい構造となっている。
【0033】
また、電池カバー板81の背面の後カバー板25との間には、弾性変形可能な金属製板バネで形成された弾性接触部材の接触片82がビス83により固着されている。上記板バネの材質としては、熱伝導性のよい金属板、例えば、リン青銅板が適している。この接触片82の上下に延出する接触部82a,82bは、カメラ内組み付け状態において後カバー板25の左方内面部の2箇所の接触部25fに圧接状態で当接する。したがって、電池12や電気基板(B)7のASIC等で発生した熱は、上記接触片82を介して後カバー板25の左側表面に放熱される。
【0034】
上記後カバー板25の背面部には、ファインダ接眼窓部25aと、LCD窓部25bと、ズームスイッチ釦群54およびモード設定釦群55が配置され、さらに、後カバー板25の内部には、上記ズームスイッチ釦群54およびモード設定釦群55により操作される操作スイッチ基板53が配置される。
【0035】
上記後カバー枠26には、左方下部にDC−IN端子用開口部26aと、底面部に開閉可能な電池蓋(図示せず)を有する電池挿入用開口部26bが設けられる。
【0036】
上記電気基板(A)6は、前カバー板21に接近し、かつ、平行な状態で配置される基板であって、電源部を構成するものであって主に電源回路部が実装されている。この電気基板(A)6には、図6に示すように前面の実装面側に電源用熱伝達部材であり、弾性接触部材である金属製板バネの接触片85が固着されている。この接触片85は、上記実装面上の実装エリア6aを跨いだ状態でビス86,87で取り付けられており、前後方向に弾性変形可能であって左右方向に延出した状態の複数の接触部85a,85bを有している。この接触片85は、取り付けで前カバー板21と電気基板(A)6に挟まれて配置される。
【0037】
上記電気基板(B)7は、電池室前側基板としてのメイン制御基板であって、画像処理回路であるASICや各種の制御回路部が実装されており、さらに、ビデオ出力コネクタ端子64とUSBコネクタ端子部65が撮像基板10側との接続用コネクタ61とメモリカードが装着可能なカードスロット63等が実装されている。上記カードスロット63は、後カバー枠26の左端面のカード開口部内側に位置している。上記端子部64,65は、後カバー枠26の左端面の端子開口部内側に位置している。なお、上記ASICは、放熱が必要なICである。
【0038】
上記電気基板(A),(B)6,7は、レンズ鏡筒3の左方、中枠24の前方に所定距離離間させて固定支持される。すなわち、カメラ組み立て状態では、電気基板(B)7を電池室24aの前部に配置され、さらに、その前部に電気基板(A)6が前カバー板21の内面に対向した状態で配置される。
【0039】
上記組み付け配置状態では、電気基板(A)6に取り付けられている接触片85の接触部85a,85bは、前カバー板21の左側内面の接触部21a,21b(図2)に圧接状態で接触する。したがって、電気基板(A)6上の各実装部品で発熱した熱は、接触片85を介して前カバー板21の表面に伝達され、放熱される。なお、前カバー板21の左側内面の接触部21a,21bは、グリップ部21c近傍であるが、撮影状態ではレンズバリア15により覆われる部分の内面である。
【0040】
また、中枠24に対向した状態に配置される電気基板(B)7に実装されるASIC等で発熱した熱は、中枠24に伝達され、さらに、上記中枠24に取り付けられている電池カバー板81および接触片82を介して電池12の熱とともに後カバー25側に放熱される。
【0041】
上記電気基板(C)8は、中枠24の右側に突出した状態でレンズ鏡筒3の下側に固定支持され、主にストロボ制御回路部やストロボコンデンサ14が実装されており、さらに、DCコネクタ端子66が実装されている。上記端子66は、後カバー枠26の右端面のDC端子開口部26a内側に位置している。
【0042】
上記レンズ鏡筒まわり組み立てユニット70は、図3に示すようにレンズ鏡筒3,撮像部である鏡筒側方電気基板としての撮像基板10,レンズ駆動部13からなる撮影レンズ部と、画像表示部であるLCD表示ユニット11と、撮影レンズ部とLCD表示ユニット11とを保持する取り付け部材であるユニット取り付け板48とを有してなり、1つのユニットとして組み立てられる。
【0043】
上記レンズ鏡筒3は、外周に防水用パッキン44が装着された固定枠41と、固定枠41に光軸O方向に進退移動可能に支持され、撮影レンズ43を保持する移動枠42と、鏡筒内部の撮影レンズ43の結像面位置に撮像素子のCCD46が実装されている撮像素子基板としてのCCD基板9と、CCD位置決め板75とを有してなる。
【0044】
上記CCD基板9は、上記固定枠41の背面(レンズ鏡筒背面)上にその主平面(最も広い面,、または、機能上主要な面)を光軸Oに直交させた状態で固定支持され、鏡筒内面側の撮影レンズ43の結像面位置に撮像素子であるCCD46が実装され、また、撮像回路の一部が実装されている。CCD基板9に実装されたCCD46は、固定枠41に対して撮像用伝熱部材を兼ねる金属板製のCCD位置決め板75を介して位置決め固定される。すなわち、CCD46は、図4に示すCCD位置決め板75の所定位置に実装され、そのCCD位置決め板75は、固定枠41に対して位置決め穴75b,位置決め長穴75cで位置決めされ、ビス挿通穴75aを挿通させたビスにより固定枠41に固定される。なお、上記CCD位置決め板75には、後方部の熱伝達部分となる突出部にビスネジ穴75dが設けられている。
【0045】
上記レンズ駆動部13は、上記固定枠41の前方側左方向に突出した状態で配置され、内部にギヤ列等の駆動力伝達部を内蔵し、下方位置にはレンズ駆動源となる駆動モータ45が設けられていて、移動枠42を移動させ、沈胴動作、および、ズーム調整を行わせる。
【0046】
ユニット取り付け板48は、CCD46の後方で後カバー板25に平行、かつ、接近して配置され、撮像用熱伝達部材を兼ねる金属板製の取り付け板である。この取り付け板48は、CCD基板9のための逃げ開口部48aと、その周囲に配されるビス挿通穴48bと、上方折り曲げ突出部に配置されるビスネジ穴48cと、下部左方突出部に配されるビス挿通穴48dと、下部右側折り返し突出部に配されるビスネジ穴48eと、ビス挿通穴48fとが設けられる。このユニット取り付け板48は、固定枠41の光軸Oと直交する背面に配されるビスネジ穴41bにビス挿通穴48bを介してビス76を螺着することによって固定枠41の背面上に固定される。さらに、ビス77をビス挿通穴48fに挿通させ、CCD位置決め板75のビスネジ穴75dに螺着し、CCD位置決め板75とユニット取り付け板48を接続状態とする。この接続によってCCD46の熱がユニット取り付け板48に伝達可能となる。
【0047】
また、ユニット取り付け板48の左方背面下方位置で後カバー板25に挟まれた位置に撮像用熱伝達弾性接触部材である弾性変形可能な金属板バネの接触片72が配置され、ユニット取り付け板48と共締めにより中枠24に固定される。すなわち、接触片72のビス挿通穴72bとユニット取り付け板48のビス挿通穴48dとを挿通させたビス78を上記中枠24のビスネジ穴24cに螺着することによって、接触片72は、ユニット取り付け板48とともに中枠24に固着される。上記接触片72の先端部の接触部72aは、カメラ組み込み状態において、後カバー板25の内面部のLCD表示窓部(開口部)25bの左方下部の接触部25d(図2)に圧接状態で当接される。この接触片72によってユニット取り付け板48に伝達された熱、すなわち、CCD46や後述するTGIC74およびLCD部71の熱が後カバー板25側に伝達される。
【0048】
さらに、ユニット取り付け板48の左方上部には、後述する図3に示す撮像回路用熱伝達弾性接触部材である弾性変形可能な金属製板バネの接触片73がビス79により固着されている。
【0049】
上記LCD表示ユニット11は、撮影画像、または、各種情報データを表示する画像表示手段のLCD素子等からなるLCD部70を有しており、LCD部70は、金属板製のLCDフレーム71に保持されている。
【0050】
上記LCD表示ユニット11は、図3に示すようにLCD表示面を光軸Oと直交し、背面側に向けた状態で上記ユニット取り付け板48の背面に両面接着テープで貼り付け、固定され、上記レンズ鏡筒まわり組み立てユニット70として組み立てられ、ユニット化される。なお、上記ユニット化状態でLCD表示ユニット11は、その一部分がレンズ鏡筒3の固定枠41の背面側方にはみ出した状態となる。また、LCD表示ユニット11で発生した熱は、接着状態のユニット取り付け板48側に伝達される。
【0051】
上記撮像基板10は、図3に示すようにCCD46の撮像出力信号を処理するための上記撮像回路の一部であるTGIC(タイミングジェネレータIC)74、および、電気基板(B)との接続用コネクタ62等が実装されており、上記コネクタ62を介してCCD基板9とフレキシブルプリント基板47を介して接続される。
【0052】
上記撮像基板10は、上記レンズ駆動部13の突出部分とLCD表示ユニット11の上記固定枠41の左方側突出部とに挟まれたスペ−スに位置し、その基板主平面が光軸Oと平行、かつ、基板長手方向が縦方向(上下方向)に沿った状態で固定枠41に固定支持される。
【0053】
上記固定支持状態で撮像基板10に実装されるTGIC74の表面には、上述したユニット取り付け板48側の接触片73が圧接する。すなわち、上記接触片73の先端に配されたシリコンゴム部73aがTGIC74の表面に圧接状態で当接する。したがって、TGIC74で発熱した熱は、接触片73を介してユニット取り付け板48側に伝達される。
【0054】
なお、上記接触片73は、ユニット取り付け板48と一体の部分で形成してもよく、その場合TGIC74に対してシリコンゴムの弾性で確実な接触力が得られるようにする必要がある。また、上記シリコンゴム73aは、熱伝導性のよいシート材であってもよいし、接触辺73を直接、TGIC74に当接するようにしてもよい。
【0055】
上述したようにレンズ鏡筒まわり組み立てユニット70は、レンズ駆動部13,CCD基板9等が装着されたレンズ鏡筒3の固定枠41に対して撮像基板10,ユニット取り付け板48,LCD表示ユニット11が組み付けられ、ユニット化される。
【0056】
上述したカメラ1の上記各構成部材をカメラ1のカメラ外装2内への組み込む場合、まず、前カバーユニット2Aの内面部にストロボ発光ユニット5を接着固定し、さらに、レンズバリア15をガイド溝22aに挿入し、スライド自在に取り付けた状態とする。
【0057】
そして、電気基板(A),(B),(C)6,7,8が固定支持された中枠24に対してユニット取り付け板48によってユニット化されたレンズ鏡筒まわり組み立てユニット70を取り付け、カメラ内蔵ブロックとして組み立てる。
【0058】
すなわち、ビス56を中枠24のビス挿通穴24bに挿通させて上記ユニット取り付け板48の上方折り曲げ突出部のビスネジ穴48cに螺着し、さらに、ビス78を接触片72のビス挿通穴72bおよび下部左方突出部のビス挿通穴48dを挿通させ、中枠24のビスネジ穴24cに螺着することによって、中枠24とレンズ鏡筒まわり組み立てユニット70とが一体化される。そして、電気基板(C)8のDC端子側に設けられるビス挿通穴8aに挿通させたビス57をユニット取り付け板48のビスネジ穴48eに螺着して、電気基板(C)8の先端部をユニット取り付け板48に固定する。また、撮像基板10の接続コネクタ62を電気基板(B)7の接続コネクタ61に接続する。さらに、上記レンズ鏡筒3の固定枠41の上方部にファインダユニットを取り付け、固定支持する。
【0059】
上記レンズ鏡筒まわり組み立てユニット70および各電気基板等からなるカメラ内蔵ブロックを前カバーユニット2Aと後カバーユニット2Cの内側に挟持した状態で覆い、図示しないビスを後カバー枠26を挿通させ、前カバー枠22のビスネジ穴(図示せず)に螺着することによってカメラ1が完成する。
【0060】
上記カメラ1の組み立て状態において、レンズ鏡筒3の固定枠41の前端部は、前カバーユニット2Aに装着されている前リング31の内周部に嵌合して取り付けられるが、その嵌合状態で固定枠41の外周に設けられるパッキン44は、前リング31の内周面にU字断面形状に変形して挿入され、レンズ鏡筒3と前カバーユニット2A間の嵌合隙間の防水がなされる。上記挿入されたレンズ鏡筒3の移動枠42は、前リング31の撮影レンズ用開口部31aに図示しない防水用パッキンを介して嵌入し、撮影不可能な沈胴位置から前方に突出する撮影可能な位置の間を進退可能となる。さらに、移動枠42が上記沈胴位置にあるとき、上記移動枠42および撮影レンズ43の前面は、レンズバリア15により覆われる。レンズバリア15は、上記移動枠42および撮影レンズ43の前面から退避する開放位置にスライド移動されると、移動枠42は、自動的に上記撮影可能位置に繰り出される。上記レンズバリア15が撮影レンズ43の前面を覆う閉鎖位置にあるとき、レンズバリア15が使用者によって押圧された場合、レンズバリア15の先端部が前リング31の突出部31bに当接するので金属薄板製の前カバー板21の変形や傷つき、さらには、レンズバリア15の変形が防止される。
【0061】
また、上記カメラ1の組み立て状態において、電気基版(A)6の接触片85は、組み立て時に調整することなく前カバー板21の内面接触部21aに適切な圧力で接触するので、電源部の発生した熱が確実に前カバー板21に伝達される。さらに、中枠24に取り付けられた電池カバー板81の接触片82も同様に組み立て時に調整することなく後カバー板25の内面接触部25fに適切な圧力で接触するので、電池12および電気基板(B)7のASIC等で発生した熱が確実に後カバー板25に伝達される。また、ユニット取り付け板48の接触片72も組み立て時に調整することなく後カバー板25の内面接触部25dに適切な圧力で接触するので、レンズ鏡筒まわり組み立てユニット70のCCD46やTGIC74およびLCD部70等で発生した熱が確実に後カバー板25に伝達される。
【0062】
以上、説明したような構成と配置を有する本実施形態のカメラ1により撮影を行う場合は、まず、電池12を電池室24aに装填し、カードスロット63にメモリカードを装着する。そこで、レンズバリア15を左方向に向けてスライド移動させ、撮影レンズ43の前面を開放させると、移動枠42が撮影可能位置に繰り出される。その繰り出し状態でレリーズスイッチ操作釦51を押圧すると、被写体像の電気信号がCCD46にて生成され、画像処理された被写体像画像データが上記メモリカードに記録される。
【0063】
上述したように各構成部材が配置された本実施形態のデジタルカメラ1では、カメラ右側に配置され、CCD基板9を有するレンズ鏡筒3に対してその背面側にLCD表示ユニット11を配置し、さらに、左側に撮像基板10を配置し、ユニット化した状態でレンズ鏡筒まわり組み立てユニット70が組み立てられる。したがって、カメラのコンパクト化、特に薄型化に寄与すると同時にカメラの組み立て作業が容易となる。さらに、カメラの左側に電池室24aと、電気基板(A),(B)6,7を配置し、カメラ中央上部にストロボ発光ユニット5を配置して、上記ストロボ発光ユニット5の後方であって上記電池室24aと上記レンズ鏡筒3とに挟まれた縦長空間にストロボコンデンサ14を収納するようにしたので、このデジタルカメラ1によると、カメラが本来有する機能を損なうことなくカメラの小型化および薄型化が可能になり、携帯性のよい使い勝手の優れたデジタルカメラを提供できる。
【0064】
また、本実施形態のカメラ1では、電源部で発生した熱は、前カバー板21の左方であって撮影時にレンズバリア15で覆われる部分に効率よく伝達される。また、電池部や制御回路のTGICで発生して熱は、後カバー板25の左方側に効率よく伝達される。さらに、CCD等の撮像部やLCD部で発生した熱は、後カバー板25の中央部のLCD窓開口の左側に効率よく伝達される。そして、本カメラ1のカメラ外装は、防水構造を有しており、カメラ内部が外部と遮断された状態にあるが、上述のように外装部内部で発生した熱が上述のように前カバー板21と後カバー板25の各部に分散された状態で安定して伝達されるので、上記電源部や撮像部やLCD表示部の温度上昇が抑えられ、所望の撮影画質性能を満足させることができる。また、カメラ外装の一部のみが加熱されるような状態にならず、カメラ外装の各部に分散して伝達されるので撮影時のカメラの保持に支障をきたさない。また、電源部で発生した熱は、前カバー板21のグリップ部21c近傍ではあるが撮影時にはレンズバリア15で覆われる部分に伝達されるので、カメラホールドの支障にならない。
【0065】
上記実施形態のカメラにおいては、レンズ鏡筒まわり組み立てユニット70のユニット取り付け板48に熱伝達弾性接触である接触片72が取り付けられていたがその接触片に対する変形例であって、LCDフレームに接触片を形成した構成のレンズ鏡筒まわり組み立てユニット70Aを提案できる。
【0066】
図7は、上記変形例のレンズ鏡筒まわり組み立てユニットの分解斜視図であり、図8は、上記図7の変形例におけるLCDフレームの接触片が接触する後カバー板を内面側から見た斜視図である。
【0067】
上記変形例のレンズ鏡筒まわり組み立てユニット70Aにおいては、LCDフレーム71にその左側一辺から左方に延出する一体部分であって、撮影,画像表示部用熱伝達弾性接触部である弾性変形可能な2つの接触部71aが設けられる。上記接触部71aは、カメラ内に組み込まれた状態では、図8に示す後カバー板25のLCD表示窓部(開口部)25bの左側下部位置の接触エリア25eに圧接状態で当接する。そして、LCD部70、および、ユニット取り付け板48を介して伝達されるCCD46の熱や撮像基板上のTGIC74(撮像部)等の熱が上記接触部71aを通して後カバー板25に伝達される。
【0068】
本変形例のレンズ鏡筒まわり組み立てユニット70Aを適用したカメラによれば、前記一実施形態のカメラ1と同様の効果を奏するが、特に撮影部,画像表示部の熱伝達のための接触片がLCDフレーム71に一体的に設けられていることから構成部品数が減り、組み立ても簡単になり、さらなるコスト低減と、コンパクト化が実現できる。
【0069】
上述した実施形態およびその変形例に基づいて、以下の構成を得ることができる。すなわち、
(1) 被写体像を結像する撮影レンズ部と、
上記撮影レンズ部の後端に備えられ、被写体像を光電変換する撮像素子と、
上記撮像素子に近接し、カメラ背面を保護する金属製の後カバーと、
上記撮像素子の背面に位置し、上記後カバーに形成された開口に表示面が臨むように配置される撮影画像を表示する画像表示手段と、
上記撮影レンズ部に熱伝達可能な状態で配置され、画像表示手段を保持するとともに、保持された上記画像表示手段の少なくとも一辺から延出して設けられる熱伝達部を有する画像表示手段保持部材と、
を備え、上記熱伝達部は、上記後カバー内面の上記開口周辺に接触し、上記撮像素子および上記画像表示手段で発生した熱を上記後カバーに伝達することを特徴とするカメラ。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施形態のカメラの外観を示す斜視図である。
【図2】上記図1のカメラの分解斜視図である。
【図3】上記図1のカメラにおけるレンズ鏡筒まわり組み立てユニットの分解斜視図である。
【図4】上記図3のレンズ鏡筒に装着されるCCD基板および撮像基板の斜視図である。
【図5】上記図1のカメラに収納される中枠と電池カバー板の分解斜視図である。
【図6】上記図1のカメラに収納される熱伝達用接触片が取り付けられた電気基板(A)の斜視図である。
【図7】上記図1の一実施形態のカメラにおけるレンズ鏡筒まわり組み立てユニットに対する変形例であって、LCDフレームに接触片を形成したレンズ鏡筒まわり組み立てユニットの分解斜視図である。
【図8】上記図7の変形例におけるLCDフレームの接触片が接触する部分を示す後カバー板を内面側から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0071】
3 …撮影レンズ鏡筒部(撮影レンズ部)
25 …後カバー板(後カバー)
46 …CCD(撮像素子)
48 …ユニット取り付け板
(撮像用熱伝達部材)
70 …LCD部(画像表示手段)
71a…接触部
(熱伝達部)
72 …接触片
(弾性接触部材,熱伝達部)
75 …CCD位置決め板
(熱伝達部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を結像する撮影レンズ部と、
上記撮影レンズ部の後端に備えられ、被写体像を光電変換する撮像素子と、
上記撮像素子に近接し、カメラ背面を保護する後カバーと、
上記撮像素子の背面に位置し、上記後カバーに形成された開口に表示面が臨むように配置される撮影画像を表示する画像表示手段と、
上記撮影レンズ部および画像表示手段が取り付けられ、取り付けられた上記画像表示手段の少なくとも一辺から延出して設けられる熱伝達部を有する取り付け部材と、
を備え、上記熱伝達部は、上記後カバー内面部に接触し、上記撮像素子および上記画像表示手段で発生した熱を上記後カバーに伝達することを特徴とするカメラ。
【請求項2】
上記後カバーの内面部は上記開口の左方下部であることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
上記後カバーは金属製であることを特徴とする請求項1または2に記載のカメラ。
【請求項4】
上記撮影レンズ部および上記画像表示手段を含むカメラ内部は、防水構造により構成されることを特徴とする請求項1−3の何れか一項に記載のカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−271571(P2008−271571A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121370(P2008−121370)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【分割の表示】特願2003−37336(P2003−37336)の分割
【原出願日】平成15年2月14日(2003.2.14)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】