説明

カメラ

【課題】撮影者や被撮影者にシャッタータイミングがわかりやすいカメラを提供すること。
【解決手段】セルフタイマー撮影の際、シャッターを切るまでの時間を報知するための音を発するスピーカー部(発音体)9と、前記音の再生が終了してからシャッターを切るまでの時間を調整する待機時間調整手段29とを有するカメラ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セルフタイマー撮影の際、シャッターを切るまでの時間を報知するための断続音や音楽、或いは音声などの音を発するカメラがある。
【0003】
従来のセルフタイマー付きカメラは、音の再生中、或いは再生終了時にシャッターを切るように構成されていた(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−205867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のセルフタイマー付きカメラは、撮影者や被撮影者にシャッタータイミングがわかりづらいという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、撮影者や被撮影者にシャッタータイミングがわかりやすいカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るカメラは、セルフタイマー撮影の際、シャッターを切るまでの時間を報知するための音を発する発音体と、前記音の再生が終了してから前記シャッターを切るまでの時間を調整する調整手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、撮影者や被撮影者にシャッタータイミングがわかりやすいカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係るカメラの概略図であり、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【図2】実施形態に係るカメラのブロック図である。
【図3】実施形態に係るカメラの撮影開始から終了までのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願の実施形態に係るカメラについて図面を参照して説明する。なお、本実施形態に係るカメラはコンパクトデジタルカメラとするが、本願のカメラはこれに限定されるものではなく、一眼レフカメラ、携帯電話などでもよい。
【0011】
まず、本実施形態に係るカメラの基本的な構造について図1を参照して説明する。
【0012】
図1は、実施形態に係るカメラの概略図であり、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【0013】
カメラ1はセルフタイマー付きのコンパクトデジタルカメラであり、カメラ本体3の前面には沈胴式の撮影レンズ部5、マイクロフォン部7、上部左右両側にスピーカー部9が設けられている。カメラ本体3の上面には撮影ボタン11、被写体が暗い場合に補助光を発光する補助光発光部13が設けられている。またカメラ本体3の背面には表示部(液晶モニター)15、カメラ1の種々の条件設定などに使用するファンクションボタン17が設けられている。
【0014】
カメラ1は、一般的なコンパクトデジタルカメラと同様の機能を有している。撮影者が不図示の電源ボタンを押すと、不図示のシャッターが開放され、撮影レンズ部5で不図示の被写体からの光が集光され、不図示の像面に配置された不図示の撮像素子(例えば、CCDやCMOS等)に結像される。撮像素子に結像された被写体像は、カメラ本体3の背面に配置された表示部15に表示される。撮影者は、表示部15を見ながら被写体像の構図を決めた後、撮影ボタン11を押し下げ被写体像を撮像素子で撮影し、不図示のメモリに記録保存する。なお、カメラ1は、静止画だけでなく、動画を撮影することもできる。
【0015】
次に、本実施形態に係るカメラの特徴的な構成について説明する。
【0016】
図2は、実施形態に係るカメラのブロック図である。
【0017】
本実施形態のカメラ1は、図2に示される各種の構成要素を有する。カメラ1は、セルフタイマー撮影の際、シャッターを切るまでの時間を報知するために、スピーカー部(発音体)9より断続音や音楽、或いは音声などの音を発することができる。この音のデータは、初期設定された既存の音データの他、パーソナルコンピューター等の外部機器19でユーザーが選択・編集し、外部機器19から移動体メモリや通信ケーブルを使用してカメラ本体3に取り込むことができる。音データは、カメラ内蔵或いは外部のメモリ21に保存される。
【0018】
また、音データは、カメラ1の録音機能によりメモリ21に保存することもできる。録音する場合は、カメラ1を録音モードに切り替え、レコーダー部23を用いてマイクロフォン部7から録音する。録音した音データは、カメラ1を編集モードに切り替え、音デモ出力手段25を用いてスピーカー部9からデモ出力を行いながら編集することができる。なお、外部機器19から音データを取り込んだ場合も、同様にカメラ1の編集手段により編集することができる。編集では不要部分のカット等を行い、音データの長さを決定する。
【0019】
ユーザーは、初期設定音、或いは外部機器19やレコーダー部23を用いてメモリ21に保存した音の中から、セルフタイマー撮影時に再生する音を選択する。同時にユーザーは、選択した音の再生時間、及びこの音の再生が終了してからシャッターを切るまでの時間を任意に設定する。これらの選択・設定に必要な情報はカメラ背面の表示部15に表示され、ユーザーは表示部15を見ながらファンクションボタン17等を操作して選択・設定を行うことができる。なお、後述する音の再生音量や待機時間の自動調整に関する条件設定なども、ファンクションボタン17等で行うことができる。
【0020】
セルフタイマー撮影時の音再生は、音再生・音量調整手段27により行われる。また、上述のように本実施形態のカメラ1は音の再生が終了してからシャッターを切るまでの時間(以下、待機時間という)を調整することが可能であり、この待機時間の調整は待機時間調整手段29により行われる。
【0021】
セルフタイマー撮影の動作は、カメラ1をセルフタイマー撮影モードに切り替え、例えばユーザーが撮影ボタン11を半押ししてオートフォーカス等を行った後、撮影ボタン11を全押しすることにより開始される。撮影ボタン11からの全押し信号を受けると、音再生・音量調整手段27は上記選択した音をスピーカー部9から再生する。音の再生が終了すると、スピーカー部9は音再生終了の信号を待機時間調整手段29へ出力する。
【0022】
待機時間調整手段29は、上述のユーザーの設定に基づき、スピーカー部9から音再生終了の信号を受けてから所定の待機時間経過後に、シャッター制御部31に待機時間経過信号を入力する。シャッター制御部31は待機時間経過信号を受けてシャッターを切る。なお、シャッターを切った後に、撮影終了を告げるためにスピーカー部9から音声を発生させたり、LED等を発光させたりすることもできる。また、待機時間は例えば0.1秒刻みで0〜3秒程度の値に設定することができる。
【0023】
また、音再生・音量調整手段27は、セルフタイマー撮影の際、カメラ1周辺の騒音レベルと撮影距離(カメラ1と被写体との距離)との少なくとも一方に基づいて、音の再生音量を調整する機能を有する。ここで、カメラ1周辺の騒音レベルは、マイクロフォン部7により検知されたカメラ1周辺の音が雑音検知システム33に出力され、雑音検知システム33がカメラ1周辺の音からセルフタイマー音やカメラ1内部での動作音の影響を除去して算出される。算出されたカメラ1周辺の騒音レベルは、雑音検知システム33から音再生・音量調整手段27に出力される。撮影距離は、撮影レンズ部5により算出され、音再生・音量調整手段27に出力される。
【0024】
音再生・音量調整手段27は、例えばカメラ1周辺の騒音レベルが高い場合は音の再生音量を大きくし、カメラ1周辺の騒音レベルが低い場合は音の再生音量を小さくする。また音再生・音量調整手段27は、例えば撮影距離が長い場合は音の再生音量を大きくし、撮影距離が短い場合は音の再生音量を小さくする。
【0025】
なお、撮影距離に基づく音量調整では、撮影ボタン11の半押しにより被写体にピントを合わせてから撮影ボタン11を全押しした段階で音量が決定される。また騒音レベルに基づく音量調整では、音の再生終了まで音量を変化させることができる。ユーザーは、騒音レベルに基づく音量調整、撮影距離に基づく音量調整のいずれか一方、或いは両方を行うように条件設定することができる。このような音量調整機能により、ユーザーは特別な操作を行うことなく、状況に応じて適切な再生音量を得ることができる。
【0026】
また、カメラ1は、セルフタイマー撮影時に限らず、ユーザーが自らシャッターを切る場合にも、音再生・音量調整手段27により上記音再生・音量調整を行うことができる。例えば、被写体が幼児の場合に、母親の声をスピーカー部9から発生させ、幼児の顔がカメラ1の方に向いた時にシャッターを切るといった撮影方法が可能である。
【0027】
また、待機時間調整手段29は、セルフタイマー撮影の際、撮影距離に応じて、音再生終了後の待機時間を自動調整する機能を有する。上述のように待機時間はユーザーが設定することができるが、撮影距離に基づいて自動調整を行うように条件設定することも可能であり、この場合ユーザーは自分で待機時間を設定する必要がない。上述の音量調整と同様に、撮影レンズ部5から撮影距離が待機時間調整手段29に出力される。
【0028】
待機時間調整手段29は、例えば撮影距離が長い場合は待機時間を長くし、撮影距離が短い場合は待機時間を短くする。なお、この待機時間の自動調整では、撮影ボタン11を全押しした段階で待機時間が決定される。また、この時に決定した待機時間をスピーカー部9から音声で報知することも可能であり、待機時間の音声報知後に音楽などの音を再生してもよい。このような待機時間の自動調整機能により、ユーザーは特別な操作を行うことなく、状況に応じて適切な待機時間を得ることができる。
【0029】
図3は、実施形態に係るカメラの撮影開始から終了までのタイムチャートである。
【0030】
図3に示すように、セルフタイマー撮影時、撮影ボタン11を全押しすると、スピーカー部9より断続音や音楽、或いは音声などの音が再生され、再生が終了してから待機時間経過後にシャッターが切れる。そして本実施形態のカメラ1は、音の再生時間のみならず音再生終了後の待機時間、即ち音再生終了とシャッター動作とのタイムラグも調整することができるため、撮影者や被撮影者にシャッタータイミングがわかりやすいカメラを提供することができる。
【0031】
例えば、集合写真などにおいて本実施形態のカメラ1を使用する場合、セルフタイマー撮影時に再生する音に撮影者や被撮影者がよく知っている音楽を選び、音楽再生終了からシャッターを切るまでの時間を例えば2秒に設定して皆にそれを伝えれば、撮影者や被撮影者はシャッタータイミングがよくわかる。
【0032】
なお、上述の実施形態は例に過ぎず、上述の構成に限定されるものではなく、本発明の範囲内において適宜修正、変更が可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 カメラ
5 撮影レンズ部
7 マイクロフォン部
9 スピーカー部
11 撮影ボタン
17 ファンクションボタン
21 メモリ
27 音再生・音量調整手段
29 待機時間調整手段
31 シャッター制御部
33 雑音検知システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルフタイマー撮影の際、シャッターを切るまでの時間を報知するための音を発する発音体と、
前記音の再生が終了してから前記シャッターを切るまでの時間を調整する調整手段とを有することを特徴とするカメラ。
【請求項2】
前記調整手段は、撮影距離に応じて、前記音の再生が終了してから前記シャッターを切るまでの時間を調整することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
前記カメラ周辺の騒音レベルと撮影距離との少なくとも一方に基づいて、前記音の再生音量を調整する音量調整手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載のカメラ。
【請求項4】
前記音のデータを編集するための編集手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−210804(P2010−210804A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55306(P2009−55306)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】