説明

カメラ

【課題】 アクセサリシューに外部機器が取り付けられていても、内蔵ストロボを使用可能にする。
【解決手段】 内蔵ストロボ30のベース部31はカメラ本体1に対して第1の回転軸32で回動可能で、発光部34はベース部31に対して第2の回転軸35で回動可動である。アクセサリシュー9に外部機器が取り付けられた際には、第2の軸35での回動のみ可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラ、特に光照射機能を備えたカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
写真撮影において、ストロボ撮影では、通常ストロボの照射方向をレンズ光軸とほぼ一致させる、いわゆる直射状態での使用を行うことが多いが、直射状態でのストロボ光を用いた撮影では得られない撮影効果を得るため、ストロボの照射方向を直射状態から変更させ、天井や壁などにストロボ光を反射させた光を用いて撮影を行う、いわゆるバウンス撮影が知られている。
【0003】
特許文献1では、バウンス撮影が可能なポップアップ式のカメラ内蔵のストロボ機構が開示されている。このストロボ機構では、発光ユニットが発光管に平行な回転軸に対して回転することでバウンス撮影が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−78506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一眼レフカメラでは、そのレイアウト上の制約から、カメラの頭部に内蔵ストロボとアクセサリシューを配置することが一般的である。そのため、特許文献1に開示された従来技術では、アクセサリシューに外部機器が装着された場合、内蔵ストロボをポップアップすることができず、ストロボ撮影を行えないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、バウンス可能な内蔵ストロボを有するカメラにおいて、アクセサリシューに外部機器が装着された場合であっても、内蔵ストロボ撮影を可能にしたカメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のカメラは、
外部機器を装着するためのアクセサリシュー(9)と、
内蔵ストロボ(30)を有するカメラにおいて、
前記内蔵ストロボ(30)のベース部(31)はカメラ本体(1)に対して第1の回転軸(32)で回動可能に構成されており、
前記内蔵ストロボ(30)の発光部(34)は前記ベース部(31)に対して第2の回転軸(35)で回動可能に構成されており、
前記アクセサリシュー(9)に外部機器が装着された際には、前記第2の回転軸(35)での回動のみ可能とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バウンス可能な内蔵ストロボを有するカメラにおいて、アクセサリシューに外部機器が装着された場合であっても、内蔵ストロボ撮影を可能にしたカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係るカメラの構成を示す側面透視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るカメラの構成を示す上面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るカメラの構成を示す背面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るカメラに外部ストロボが装着された状態を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るカメラに外部マイクが装着された状態を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係るカメラの内蔵ストロボのポップアップ動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係るカメラの内蔵ストロボのアップ直射状態を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係るカメラの内蔵ストロボのバウンス動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態に係るカメラの内蔵ストロボのアップ斜めバウンス状態を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係るカメラの内蔵ストロボのアップ直上バウンス状態を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係るカメラの内蔵ストロボのダウン直射状態を示す図である。
【図12】本発明の実施形態に係るカメラの内蔵ストロボのダウン直射状態でのストロボ光のケラレを示す図である。
【図13】本発明の実施形態に係るカメラの内蔵ストロボのダウン状態での発光部回転動作を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施形態に係るカメラの警告表示画面を示す図である。
【図15】本発明の実施形態に係るカメラの内蔵ストロボのダウン直射状態で外部ストロボが装着された状態を示す図である。
【図16】本発明の実施形態に係るカメラの内蔵ストロボのダウン直射状態で外部マイクが装着された状態を示す図である。
【図17】本発明の実施形態に係るカメラの内蔵ストロボの発光量制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は本発明の一実施例に係わる、ストロボ内蔵一眼レフレックスカメラの構成を示す側面透視図であり、図2は上面図、図3は背面図である。
【0011】
1はカメラ本体であり、その前面には撮像レンズ21が装着される。
【0012】
まず、カメラ本体1側の構成について説明する。2はカメラマイコンであり、カメラ本体1の各種動作の制御を行う。3はレリーズボタンである。撮影者がレリーズボタン3を押すことで、カメラ本体1は撮影動作を行う。4は液晶等で構成される表示部であり、撮影に関する各種表示を行う。5は十字キーであり、撮影者が各種設定の選択動作を行うのに使用される。6はセットボタンであり、撮影者が各種設定の決定動作を行うための部材である。7はポップアップボタンであり、後述する内蔵ストロボのポップアップ動作を行うために使用するボタンである。8はバウンスボタンであり、後述する内蔵ストロボのバウンス動作を行うために使用するボタンである。
【0013】
9はアクセサリシューであり、後述する外部ストロボや外部マイク等の外部機器を接続するために使用される。また、アクセサリシュー9には、外部機器との通信を行うためのアクセサリシュー接点群9aが備えられている。アクセサリ検知スイッチ10は、アクセサリシュー9に外部機器が装着されたことを検知する。
【0014】
11はカメラ本体1と撮像レンズ11との通信インターフェイスとなるレンズマウント接点群である。
【0015】
撮像レンズ21にはレンズマイコン22が備えられている。レンズマイコン22は、レンズマウント接点群11を介してカメラマイコン2と通信するとともに、撮影レンズ21の制御を行う。
【0016】
次に、内蔵ストロボ30の構成について説明する。内蔵ストロボ30は後述の31〜39の各部材によって構成されている。内蔵ストロボ30のベース部31は、カメラ本体1に対して第1の回動軸32を中心に回動可能に構成されている。33はポップアップモータであり、ベース部31の外周とギヤによって連結されている。ポップアップモータ33の駆動により、ベース部31の回動動作が行われる。
【0017】
ベース部31の先端には、発光部34が設けられている。発光部34は、ベース部31に対して第2の回転軸35を中心に回動可能に構成されている。36はバウンスモータであり、ベース部31の内部に配置され、発光部34の外周とギヤによって連結されている。バウンスモータ36の駆動により、発光部34の回動動作が行われる。
【0018】
さらに、発光部34内には、キセノン管37、反射板38、フレネルレンズ32が配置されている。
【0019】
次に、カメラ本体1に外部機器が取り付けられた状態について、図4および図5を用いて説明する。
【0020】
図4において、41は外部ストロボであり、アクセサリシュー9に装着されている。また、外部ストロボマイコン42は、アクセサリシュー接点群9aを介してカメラマイコン2と通信するとともに、外部ストロボの制御を行う。また、図5において、51は外部マイクであり、アクセサリシュー9に装着されている。
【0021】
図4や図5のように、アクセサリシュー9に外部機器が装着されると、カメラマイコン2は、アクセサリ検知スイッチ10によって外部機器が装着されたことを検知する。さらに、カメラマイコン2は、アクセサリシュー接点群9aを介して外部ストロボマイコン42と通信することで、外部機器がストロボであるのか否かを判別できる。
【0022】
次に、内蔵ストロボ30の回動動作について説明する。
【0023】
図6は内蔵ストロボ30のポップアップ動作を関するフローチャートである。まず、ステップS101に示す、ダウン状態(図1、図4、図5の状態)からスタートする。この状態で、ポップアップボタン7が押される(ステップS102)と、ステップS103に移行する。ステップS103において、カメラマイコン2は、アクセサリシューに外部機器が接続されているか否かを、アクセサリ検知スイッチ10を用いて判別する。アクセサリシュー9に外部機器が接続されている、すなわち、図4や図5の状態であると判断されると、ステップS101に戻る。アクセサリシュー9に外部機器が接続されていないと判断されると、ステップS104でポップアップモータ33を駆動し、ベース部31の回転動作が実施される。こうすることにより、内蔵ストロボ30は図7に示されるアップ直射状態(ステップS105)へと移行する。
【0024】
上述のようなフローを取ることにより、アクセサリシュー9に外部機器が接続されているときに、内蔵ストロボ30がポップアップして外部機器と衝突してしまうことを防ぐことができる。
【0025】
図8は、アップ直射状態からバウンス状態への移行動作を示すフローチャートである。アップ直射状態(ステップS201)で、バウンスボタン8が押される(ステップS202)と、ステップS203でバウンスモータ36が駆動される。バウンスモータ36により、発光部34の回転動作が行われ、図9に示すアップ斜めバウンス状態(ステップS204)へと移行する。
【0026】
ステップS204の状態で、さらにバウンスボタン8が押される(ステップS205)と、バウンスモータ36が駆動され、発光部34の回転動作が行われ、図10に示すアップ直上バウンス状態(ステップS207)へと移行する。
【0027】
この状態でさらにバウンスボタン8が押される(ステップS208)と、バウンスモータ36が駆動され、発光部34の回転動作が行われ、ステップS201のアップ直射状態へと戻る。
【0028】
次に、ダウン状態での内蔵ストロボ30の動作について説明する。
【0029】
図11は、図1に示すダウン状態から、発光部34のみ回動させた状態を表す図である(ダウン直射状態と呼ぶ)。図12は、図11の状態でキセノン管37を発光させ、ストロボ光が照射された状態を表す図である。図12aでは、レンズ21aの先端でストロボ光がケラレてしまっている。一方、図12bでは、レンズ21bでケラレることなく、ストロボ光が照射されている。つまり、レンズの大きさによって、ストロボ光のケラレが発生することがわかる。カメラマイコン2はレンズマイコン22と通信することによって、装着されたレンズ21の種類を判別し、内蔵ストロボ30の光がケラレるかどうかを判断することができる。
【0030】
図13は、内蔵ストロボ30がダウン状態における、発光部34の回転動作を示すフローチャートである。
【0031】
ステップS301のダウン状態、すなわち、図1の状態から、バウンスボタン8が押される(ステップS302)と、ステップS303に進む。ステップS303において、カメラマイコン2は装着されたレンズ21の種類を判別し、内蔵ストロボ30の光がケラレるかどうかを判断する。
【0032】
ステップS303において、ケラレが発生すると判断されると、ステップS304に進む。ステップS304では、表示部4に、図14で示される警告表示画面を表示する。ステップS305において、撮影者は十字キー5を使ってカーソルを移動させ、セットボタン6を使って「OK」か「キャンセル」を決定する。「OK」と決定されると、ステップS306へ進み、「キャンセル」と決定されると、ステップS301へと戻る。
【0033】
一方、ステップS303において、ケラレが発生しないと判断されると、ステップS306へと進む。
【0034】
ステップS306ではバウンスモータ36を駆動し、図12で示すダウン直射状態(ステップS307)へと移行する。
【0035】
上述のようなフローを取ることによる利点を以下に述べる。
【0036】
ダウン直射状態はアップ直射状態よりコンパクトであり、撮影者にとって取り回しが良いという利点がある。そのため、仮にケラレが発生する場合でも、トリミング前提での撮影であれば、撮影者にとってメリットとなる。
【0037】
また、図15に示す、アクセサリシュー9に外部ストロボ41が取り付けられている状態や、図16に示す、アクセサリシュー9に外部マイク51が取り付けられている状態であっても、内蔵ストロボ30を使用することができるため、撮影者の使い勝手が向上する。
【0038】
次に、ダウン直射状態での内蔵ストロボ30の発光制御について、図17を用いて説明する。
【0039】
ステップS401のダウン直射状態(図11または図15または図16の状態)において、レリーズボタン3が押される(ステップS402)と、ステップS403へと移行する。ステップS403において、カメラマイコン2は、アクセサリシューに外部機器が接続されているか否かを、アクセサリ検知スイッチ10を用いて判別する。アクセサリシュー9に外部機器が接続されている、すなわち、図15や図16の状態であると判断されると、ステップS404へと進み、外部機器が接続されていない、すなわち、図11の状態であると判断されると、ステップS406へと進む。
【0040】
ステップS404で、カメラマイコン2は、アクセサリシュー9に接続された外部機器がストロボであるかどうかを、アクセサリシュー接点群9aを介して判断する。外部機器がストロボであると判断されるとステップS405へと進み、ストロボではないと判断されるとステップS406へと進む。
【0041】
ステップS405において、カメラマイコン2は内蔵ストロボ30の発光量は小さく、外部ストロボの発光量は標準に設定する。そして、設定された発光量で撮影を行う(ステップS407)。
【0042】
また、ステップS405では、ストロボは内蔵ストロボ30のみであるため、内蔵ストロボ30の発光量を標準に設定する。そして、設定された発光量で撮影を行う(ステップS407)。
【0043】
上述のようなフローをとることによる利点を以下に述べる。
【0044】
アクセサリシュー9に外部ストロボ41が装着されているときには、内蔵ストロボ30の発光量を小さく設定するため、仮に撮影レンズ21による内蔵ストロボ光のケラレが発生したとしても、ケラレによる影の発生を極力抑えることができる。また、図15に示すように、外部ストロボ21をバウンス状態とした場合で、被写体が人物である場合には、直射状態の内蔵ストロボ30をキャッチライト用光源として使用することができる。
【0045】
一方、アクセサリシュー9に外部ストロボ以外の外部機器が装着されている場合でも、内蔵ストロボ30を用いてストロボ撮影を行うことができる。
【0046】
このように、本実施例によれば、バウンス可能な内蔵ストロボを有するカメラにおいて、アクセサリシューに外部機器が装着された場合であっても、内蔵ストロボ撮影を行うことが可能となる。
【0047】
また、バウンス可能な内蔵ストロボを有するカメラにおいて、アクセサリシューに外部機器が装着されていない場合であっても、内蔵ストロボがダウンした状態で内蔵ストロボ撮影を行うことができる。
【0048】
さらに、バウンス可能な内蔵ストロボを有するカメラにおいて、外部ストロボと内蔵ストロボを組み合わせた撮影を行うことができる。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 カメラ本体
2 カメラマイコン
3 レリーズボタン
4 表示部
5 十字キー
6 セットボタン
7 ポップアップボタン
8 バウンスボタン
9 アクセサリシュー
9a アクセサリシュー接点群
10 アクセサリ検知スイッチ
11 レンズマウント接点群
21 撮影レンズ
22 レンズマイコン
30 内蔵ストロボ
31 ベース部
32 第1の回転軸
33 ポップアップモータ
34 発光部
35 第2の回転軸
36 バウンスモータ
37 キセノン管
38 反射板
39 フレネルレンズ
41 外部ストロボ
42 外部ストロボマイコン
51 外部マイク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器を装着するためのアクセサリシュー(9)と、
内蔵ストロボ(30)を有するカメラにおいて、
前記内蔵ストロボ(30)のベース部(31)はカメラ本体(1)に対して第1の回転軸(32)で回動可能に構成されており、
前記内蔵ストロボ(30)の発光部(34)は前記ベース部(31)に対して第2の回転軸(35)で回動可能に構成されており、
前記アクセサリシュー(9)に外部機器が装着された際には、前記第2の回転軸(35)での回動のみ可能とすることを特徴とするカメラ。
【請求項2】
前記第2の回転軸(35)での回動のみでのストロボ撮影において、
ストロボ光が撮影レンズ(21)でケラレるか否かを判別し、
ケラレると判別された際には警告を行うことを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
前記アクセサリシュー(9)に外部ストロボ(41)が装着された際には、
前記外部ストロボ(41)の発光量よりも前記内蔵ストロボ(30)の発光量を小さくすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカメラ。
【請求項4】
内蔵ストロボ(30)を有するカメラにおいて、
前記内蔵ストロボ(30)のベース部(31)はカメラ本体(1)に対して第1の回転軸(32)でダウン位置とアップ位置の間を回動可能に構成されており、
前記内蔵ストロボ(30)の発光部(34)は前記ベース部(31)に対して第2の回転軸(35)で回動可能に構成されており、
前記ベース部(31)がダウン位置かつ、前記発光部(34)が被写体に向けられた状態にでのストロボ撮影が可能であることを特徴とするカメラ。
【請求項5】
ストロボ光が撮影レンズ(21)でケラレるか否かを判別し、
ケラレると判別された際には警告を行うことを特徴とする請求項4に記載のカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−189732(P2012−189732A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52300(P2011−52300)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】