説明

カラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物、カラムスペーサ、及び、液晶表示素子

【課題】重力不良による色ムラの発生を効果的に抑制できるカラムスペーサを製造することができるカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物、該カラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を用いたカラムスペーサ、及び、液晶表示素子を提供する。
【解決手段】2官能以上の不飽和結合を有する化合物、反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物、前記反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物と架橋反応可能な官能基を有する熱架橋剤、及び、光反応開始剤を含有するカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物であって、前記光反応開始剤は、オキシムエステル化合物であるカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重力不良による色ムラの発生を効果的に抑制できるカラムスペーサを製造することができるカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物、及び、該カラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を用いたカラムスペーサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶表示素子は、2枚のガラス基板の間隙を一定に維持するためのスペーサを具備し、これらの他に透明電極や偏光板及び液晶物質を配向させる配向層等から構成されている。現在スペーサとしては、主に粒子径が数μm程度の微粒子スペーサが用いられている。しかし、従来の液晶表示素子の製造方法では、ガラス基板上に微粒子スペーサをランダムに散布していたことから、画素部内に微粒子スペーサが配置されてしまうことがあった。画素部内に微粒子スペーサがあると、スペーサ周辺の液晶配向の乱れから光が漏れて画像のコントラストが低下したりする等、画像品質を低下させることがあるという問題がある。これに対して、微粒子スペーサが画素部に配置されないような微粒子スペーサの配置方法が種々検討されているが、いずれも操作が煩雑であり実用性に乏しいものであった。
【0003】
また、近年、液晶表示素子の生産性を上げるために、ワンドロップフィル法(One Drop Fill Technology:ODF法)が提案されている。この方法は、ガラス基板の液晶封入面上に、所定量の液晶を滴下し、もう一方の液晶パネル用基板を真空下で所定のセルギャップを維持できる状態で対峙させ、貼り合わせることにより液晶表示素子を製造する方法である。この方法によれば、従来の方法に比べて液晶表示素子が大面積化し、セルギャップが狭小化しても、液晶の封入が容易であることから、今後はODF法が液晶表示素子の製造方法の主流になると考えられる。
しかし、ODF法において微粒子スペーサを用いると、液晶の滴下時、又は、対向基板の貼り合わせ時に散布した微粒子スペーサが液晶の流動とともに流されて、基板上における微粒子スペーサの分布が不均一となる問題が生じる。微粒子スペーサの分布が不均一になると、液晶セルのセルギャップにバラツキが生じ、液晶表示に色ムラが発生してしまうという問題があった。
【0004】
これに対して、従来の微粒子スペーサに代って、液晶基板上にフォトリソグラフの手法によってセルギャップを均一保持するための凸型パターンを形成したカラムスペーサが提案され、実用化されるようになってきている(例えば、特許文献1、特許文献2等)。カラムスペーサを用いれば、画素部内にスペーサが配置されてしまう問題や、ODF法においてスペーサムラが生じてしまう問題を解決することができる。
【0005】
しかしながら、カラムスペーサを用いてODF法により製造した大型液晶表示素子においては、表示装置の使用中に液晶セル内の液晶が下方へ流動することにより、表示パネルの上半面と下半面において色ムラが生じる「重力不良」と呼ばれる欠陥が発生することがあり、大きな問題となっていた。
【特許文献1】特開2001−91954号公報
【特許文献2】特開2001−159707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記現状に鑑み、重力不良による色ムラの発生を効果的に抑制できるカラムスペーサを製造することができるカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物、及び、該カラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を用いてなるカラムスペーサ、及び、液晶表示素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、2官能以上の不飽和結合を有する化合物、反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物、前記反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物と架橋反応可能な官能基を有する熱架橋剤、及び、光反応開始剤を含有するカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物であって、前記光反応開始剤は、下記一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物である
ことを特徴とするカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物。
【化1】

一般式(1)において、Rは、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基又はフェニル基を表し、Rは、水素原子、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基又はフェニル基を表し、Rは、水素原子又は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を表し、R及びRは、相互に独立に水素原子又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を表し、Rは、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、又は、炭素数1〜9のシクロアルキルアルコキシル基を表す。但し、R、R、R、R、R及びRのアルキル基は、それぞれ、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシル基、フェニル基及びハロゲン原子からなる群より選択される置換基で置換されてもよく、R及びRのフェニル基は、それぞれ、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシル基、フェニル基及びハロゲン原子からなる群より選択される置換基で置換されてもよい。
以下に本発明を詳述する。
【0008】
重力不良現象は、バックライトより発生する熱によって液晶セル内の液晶が膨張してセルギャップを押し広げ、その際にカラムスペーサが直接接着していない側の基板がカラムスペーサから浮き上がって離れてしまい、カラムスペーサによって保持されなくなった体積分の液晶が重力によって下方への流動することにより生じるものと考えられる。本発明者らは、鋭意検討の結果、弾性に優れ、圧縮変形からの回復率に優れるカラムスペーサを用い、このカラムスペーサの高さがセルギャップよりも僅かに高くなるように設計した液晶表示素子では、重力不良現象が生じないことを見出した。これは、このように設計された液晶表示素子内においては、基板間のカラムスペーサは常に圧縮状態から弾性により回復しようとする状態にあることから、液晶セル内の液晶が膨張してセルギャップを押し広げようとする場合でも、基板がカラムスペーサから離れて浮き上がってしまうことがないためと考えられる。
【0009】
しかしながら、従来の硬化性樹脂組成物では、フォトリソグラフィー可能な程度の比較的緩やかな架橋を施した場合には、充分な弾性と圧縮変形からの回復率を達成することは困難であり、一方、充分な弾性と圧縮変形からの回復率を付与できるほどに強固な架橋を施した場合には、アルカリ処理しても溶解せずにフォトリソグラフィーが不可能となり所定のパターンからなるカラムスペーサを形成することができなかった。
本発明者らは、更に鋭意検討の結果、特定の構成からなる硬化性樹脂組成物を用いれば、フォトリソグラフィーが可能であり、しかも、充分な弾性と圧縮変形からの回復率を有する硬化物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物は、2官能以上の不飽和結合を有する化合物、反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物、上記反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物と架橋反応可能な官能基を有する熱架橋剤(以下、単に熱架橋剤ともいう)、及び、光反応開始剤を含有する。このような構成からなる本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物では、光照射して活性化した光反応開始剤により上記2官能以上の不飽和結合を有する化合物が架橋することにより、フォトリソグラフィーにより容易にパターンを形成することができる。更にパターン形成後に加熱すれば、上記反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物と熱架橋剤とが反応してより強固な架橋が施され、優れた弾性と圧縮変形からの回復率とを有する硬化物が得られる。
【0011】
本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物において、上記光反応開始剤は、上記一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物である。このような構造のオキシムエステル化合物を光反応開始剤として含有する本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物は、その硬化物が柔軟で、かつ、優れた圧縮変形に対する回復率を有するものとなる。
【0012】
一般式(1)において、R、R及びRの炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、エチニル基、プロピニル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロピロキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピロキシエトキシエチル基、メトキシプロピル基、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、パーフルオロエチル基、2−(ベンゾオキサゾール−2’−イル)エテニル基等が挙げられる。
【0013】
また、R、R及びRは、それぞれ独立に、R’、OR’、COR’、SR’、CONR’R’’又はCNを表してもよい。
ここで、R’及びR’’は、アルキル基、アリール基、アラルキル基又は複素環基を表し、これらは、ハロゲン原子及び/又は複素環基で置換されていてもよく、これらのうちアルキル基又はアラルキル基のアルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合により中断されていてもよく、また、R’及びR’’は一緒になって環を形成していてもよい。
【0014】
R’及びR’’で表されるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、第三オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ビニル、アリル、ブテニル、エチニル、プロピニル、メトキシエチル、エトキシエチル、プロピロキシエチル、メトキシエトキシエチル、エトキシエトキシエチル、プロピロキシエトキシエチル、メトキシプロピル、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、2−(ベンゾオキサゾール−2’−イル)エテニル等が挙げられ、R’及びR’’で表されるアリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、エチルフェニル、クロロフェニル、ナフチル、アンスリル、フェナンスレニル等が挙げられ、R’及びR’’で表されるアラルキル基としては、例えば、ベンジル、クロロベンジル、α−メチルベンジル、α、α−ジメチルベンジル、フェニルエチル、フェニルエテニル等が挙げられ、R’及びR’’で表される複素環基としては、例えば、ピリジル、ピリミジル、フリル、チオフェニル等が挙げられ、また、R’及びR’’が一緒になって形成しうる環としては、例えば、ピペリジン環、モルホリン環等が挙げられる。
【0015】
一般式(1)において、R、R及びRの炭素数1〜6の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0016】
の炭素数1〜9のシクロアルキルアルコキシル基としては、例えば、シクロプロピルメトキシ基、2−シクロプロピルエトキシ基、3−シクロプロピルプロポキシ基、シクロブチルメトキシ基、2−シクロブチルエトキシ基、3−シクロブチルプロポキシ基、シクロペンチルメトキシ基、2−シクロペンチルエトキシ基、3−シクロペンチルプロポキシ基、シクロヘキシルメトキシ基、2−シクロヘキシルエトキシ基、3−シクロヘキシルプロポキシ基、2−クロロ−3−シクロヘキシルプロポキシ基等が挙げられる。
【0017】
、R、R、R、R及びRの各アルキル基に対する置換基、並びに、R及びRの各フェニル基に対する置換基のうち、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられ、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
また、R及びRの各フェニル基に対する置換基のうち、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
これらの置換基は、各アルキル基及び各フェニル基に1個以上あるいは1種以上存在することができる。
【0018】
上記一般式(1)において、Rとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、フェニル基等が好ましく、Rとしては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が好ましく、Rとしては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基等が好ましく、R、R及びRとしては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基等が好ましい。
【0019】
上記一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物としては、例えば、1−[9−エチル−6−ベンゾイル−9.H.−カルバゾール−3−イル]−オクタン−1−オンオキシム−O−アセテート、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−エタン−1−オンオキシム−O−アセテート、1−[9−エチル−6−(1,3,5−トリメチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、1−[9−n−ブチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート等が挙げられる。なかでも、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−エタン−1−オンオキシム−O−アセテートが好適に用いられる。これらのオキシムエステル化合物は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物の市販品としては、例えば、「イルガキュアーOXE02」(チバスペシャルティケミカルズ社製)等が挙げられる。
【0020】
また、上記一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物としては、Rがアルキル基、特にメチル基であるもの;Rがアルキル基、特にメチル基であるもの;Rがアルキル基、特にエチル基であるもの;R又はRのいずれか一方がアルキル基、特にメチル基であるもの;Rがシクロアルキルアルコキシ基、特にシクロヘキシルメトキシ基であるものが好ましい。
このようなオキシムエステル化合物としては、例えば、下記一般式(1A)、(1B)又は(1C)で表されるオキシムエステル化合物が好適に用いられる。
【0021】
【化2】

【0022】
【化3】

【0023】
【化4】

【0024】
本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物における上記一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物の配合量としては、後述する2官能以上の不飽和結合を有する化合物100重量部に対して、好ましい下限が1重量部、好ましい上限が100重量部である。1重量部未満であると、光硬化しないことがあり、100重量部を超えると、スペーサの圧縮に対する回復性が低下することがある。より好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は70重量部である。
【0025】
また、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物は、光反応開始剤として下記一般式(6)で表される化合物を含有してもよい。
【0026】
【化5】

【0027】
上記一般式(6)において、R12は、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を表し、R13及びR14は、相互に独立に水素原子;炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基又はベンジル基を表し、R15、R16、R18及びR19は、相互に独立に水素原子;ハロゲン原子;炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基又は炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基を表し、R17は、ハロゲン原子;炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基;水酸基及び炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基からなる群より選択される置換基で置換された炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基;炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基;又は水酸基及び炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基からなる群より選択される置換基で置換された炭素数2〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基を表す。
【0028】
一般式(6)において、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0029】
一般式(6)中、R15、R16、R17、R18及びR19のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。また、R15、R16、R17、R18及びR19の炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。
【0030】
また、R17の水酸基及び炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基からなる群より選択される置換基で置換された炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基において、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基としては、例えば、上記R15、R16、R17、R18及びR19の炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基と同様のものが挙げられる。
【0031】
17の置換された炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基に対する置換基としては、例えば、水酸基、メトキシ基等が好適である。
【0032】
17の置換される炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基としては、例えば、上記R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基と同様のものが挙げられる。
【0033】
17の置換された炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基において、置換基は1種以上あるいは1個以上存在することができる。
【0034】
また、R17の水酸基及び炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基からなる群より選択される置換基で置換された炭素数2〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基において、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基としては、例えば、上記R15、R16、R17、R18及びR19の炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基と同様のものが挙げられる。
【0035】
17の置換された炭素数2〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基に対する置換基としては、例えば、水酸基、メトキシ基等が好適である。
【0036】
17の置換される炭素数2〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基としては、例えば、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。
17の置換された炭素数2〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基において、置換基は1種以上あるいは1個以上存在することができる。
【0037】
一般式(6)において、R12としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が好ましい。
また、R13及びR14としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が好ましい。
また、R15、R16、R18及びR19としては、水素原子、メチル基、エチル基等が好ましい。
【0038】
更に、R17としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、2−メトキシエチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、ヒドロキシメトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、メトキシメトキシ基、2−メトキシエトキシ基等が好ましい。
【0039】
上記一般式(6)で表される化合物の具体例としては、例えば、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−エチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−i−プロピルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−n−ブチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−i−ブチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−n−ドデシルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(3,4−ジメチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メトキシベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−エトキシベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−ヒドロキシメチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジル〕−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−〔4−(2−メトキシエトキシ)ベンジル〕−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−i−プロピルベンジル)−2−〔(n−ブチル)(メチル)アミノ〕−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−n−ブチルベンジル)−2−〔(n−ブチル)(メチル)アミノ〕−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−i−プロピルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ペンタン−1−オン、2−(4−i−ブチルベンジル)−2−〔(n−ブチル)(メチル)アミノ〕〕−1−(4−モルフォリノフェニル)ペンタン−1−オン、2−(4−n−ブトキシベンジル)−2−〔(n−ブチル)(メチル)アミノ〕−1−(4−モルフォリノフェニル)ペンタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−〔ジ(n−オクチル)アミノ〕−1−(4−モルフォリノフェニル)ヘキサン−1−オン、2−(4−n−ドデシルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)オクタン−1−オン等が挙げられる。なかでも、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−エチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−i−プロピルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等が好ましい。
【0040】
本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物が光反応開始剤として上記一般式(6)で表される化合物を含有する場合、上記一般式(6)中、R15、R16、R17、R18及びR19の少なくとも一つがアルキル基、なかでも、メチル基に置換されているものが好適に用いられる。このような構造の光反応開始剤は、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物に対する相溶性が高くなるからである。
【0041】
上記一般式(6)で表される構造の化合物を併用する場合、その配合量としては特に限定されないが、上記一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物100重量部に対して、好ましい下限は5重量部、好ましい上限500重量部である。5重量部未満であると、上記一般式(6)で表される化合物を併用する効果が殆ど得られず、500重量部を超えると、相対的に上記一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物の配合量が少なくなり、硬化後の本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物の硬化物の圧縮変形に対する回復性が不充分となることがある。
【0042】
更に、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物では、上記光反応開始剤として、上記一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物とともに、他の光反応開始剤を併用してもよい。
上記他の光反応開始剤としては、上記2官能以上の不飽和結合を有する化合物の種類に応じて適宜選択すればよいが、後述する2官能以上の不飽和結合を有する化合物として2官能以上の(メタ)アクリレート化合物を用いる場合には、例えば、ベンゾイン、ベンゾフェノン、ベンジル、チオキサントン及びこれらの誘導体等の従来公知の光反応開始剤を用いることができる。具体的には、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ミヒラーケトン、(4−(メチルフェニルチオ)フェニル)フェイルメタノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1(4−メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等が挙げられる。これらの他の光反応開始剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
上記他の光反応開始剤を併用する場合、その配合量としては、上記一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物100重量部に対して、好ましい下限が5重量部、好ましい上限が500重量部である。5重量部未満であると、上記他の光反応開始剤を併用する効果が殆ど得られず、500重量部を超えると、相対的に上記一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物の配合量が少なくなり、硬化後の本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物の硬化物の圧縮変形に対する回復性が不充分となることがある。
【0044】
本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物は、2官能以上の不飽和結合を有する化合物を含有する。
上記2官能以上の不飽和結合を有する化合物としては特に限定されないが、例えば、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物が好適である。なお、本明細書において、(メタ)アクリレート化合物とは、アクリレート化合物及びメタクリレート化合物を意味する。
【0045】
上記2官能以上の(メタ)アクリレート化合物としては特に限定されず、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能モノマー;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の3官能モノマー;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上のモノマー等が挙げられる。また、多官能のエポキシ(メタ)アクリレート化合物、ウレタン(メタ)アクリレート化合物等も好適に用いることができる。更に、これらの多官能(メタ)アクリレートを変性したものも用いることができる。これらの(メタ)アクリレート化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0046】
上記2官能以上の不飽和結合を有する化合物は、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された2官能以上の不飽和結合を有する化合物であることが好ましい。上記2官能以上の不飽和結合を有する化合物がこのような構造であると、カラムスペーサの製造に用いた際にパターン形成時の現像性及び溶解性を向上させることができるとともに、優れた柔軟性と高い圧縮回復特性とを有するカラムスペーサを得ることができる。
【0047】
上記エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された2官能以上の不飽和結合を有する化合物(以下、本発明に係る化合物(1)ともいう)としては特に限定されないが、例えば、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート化合物(以下、本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(1)ともいう)であることが好適である。
なお、本明細書において、「エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性」とは、上記本発明に係る重合性化合物(1)が上記本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(1)である場合、(メタ)アクリレート化合物のアルコール由来部位と(メタ)アクリロイル基との間に、エチレンオキサイドセグメント及び/又はプロピレンオキサイドセグメントが導入されることを意味する。
【0048】
上記本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(1)としては特に限定されず、例えば、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジアクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物をエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート化合物をエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物等が挙げられる。なかでも、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物をエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物は、重合反応の進行が速く、露光感度を向上させやすいことから特に好適である。
これらの本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(1)は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0049】
上記本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(1)のエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性の変性度としては、ベースとなる多官能(メタ)アクリレート化合物の官能基数をnとした場合、多官能(メタ)アクリレート化合物1モルに対して好ましい下限は0.5nモル、好ましい上限は10nモルである。0.5nモル未満であると、現像時の解像性、溶解性が不充分となることがあり、10nモルを超えると、アルカリ現像液への親和性が高くなり、膨潤による解像性の低下が起こりやすくなる。より好ましい下限は1nモル、より好ましい上限は5nモルである。
【0050】
上記多官能(メタ)アクリレート化合物をエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性して本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(1)を合成する具体的な方法としては特に限定されず、例えば、多価アルコールとエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドとを反応させ、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性アルコールを合成した後、このエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性アルコールと(メタ)アクリル酸とをエステル化反応させる方法;(メタ)アクリル酸とエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドとを反応させ、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性(メタ)アクリル酸を合成した後、アルコールとエステル化反応させる方法;(メタ)アクリル酸、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド、並びに、多価アルコールを一括反応させる方法等が挙げられる。
【0051】
また、上記2官能以上の不飽和結合を有する化合物は、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された分子内に1以上の水酸基と2官能以上の不飽和結合とを有する化合物であることが好ましい。このようなエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された分子内に1以上の水酸基と2官能以上の不飽和結合とを有する化合物(以下、本発明に係る化合物(2)ともいう)を含有する本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物は、カラムスペーサの製造に用いた際にパターン形成時の現像性及び溶解性をより向上させることができ、現像残滓の発生をより抑制でき、シャープな解像性を得ることができる。
【0052】
上記本発明に係る化合物(2)としては特に限定されないが、例えば、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された分子内に1以上の水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物(以下、本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(2)ともいう)であることが好適である。
【0053】
上記本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(2)としては、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物をエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート化合物をエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物等が挙げられる。なかでも、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物をエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物は、重合反応の進行が速く、露光感度を向上させやすいことから特に好適である。これらの本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(2)は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0054】
上記本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(2)のエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性の変性度としては、ベースとなる多官能(メタ)アクリレート化合物の官能基数をnとした場合、多官能(メタ)アクリレート化合物1モルに対して好ましい下限は0.5nモル、好ましい上限は10nモルである。0.5nモル未満であると、現像時の解像性、溶解性が不充分となることがあり、10nモルを超えると、アルカリ現像液への親和性が高くなり、膨潤による解像性の低下が起こりやすくなる。より好ましい下限は1nモル、より好ましい上限は5nモルである。
【0055】
上記本発明に係る化合物(2)は、例えば、(メタ)アクリレート化合物をエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物と多価アルコールとを反応させる方法;エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物に、水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物を反応させる方法;エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した多価アルコールと(メタ)アクリレート化合物とを反応させる方法等により好適に得ることができる。
【0056】
上記エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物としては特に限定されず、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等をエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物等が挙げられる。
【0057】
上記水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物としては特に限定されず、例えば、モノエタノールアミン、n−プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等が挙げられる。
【0058】
上記エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物に、水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物を反応させて本発明に係る化合物(2)を製造する場合、いわゆるマイケル付加反応により、上記エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物の不飽和二重結合部分に、上記水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物のアミノ基が付加する。
【0059】
上記エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物と、水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物とのマイケル付加反応においては、無溶媒若しくは溶媒で希釈した水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物を、上記エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物中に攪拌しながらゆっくり滴下する方法が好適に用いられる。
【0060】
上記水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物を希釈する溶媒としては特に限定されず、例えば、該水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物とは反応せず、かつ、上記エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物、及び、水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物と相溶性があるものが適宜選択される。好ましくは、沸点が64〜200℃の水溶性の溶媒である。
また、上記エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物中に滴下する際の溶媒における上記水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物の濃度としては特に限定されないが、好ましい下限が5重量%、好ましい上限が30重量%であり、より好ましい下限は10重量%、より好ましい上限は20重量%である。
【0061】
上記マイケル付加反応は、常温、無触媒の条件下でも速やかに進行するが、必要に応じて触媒を用いて行ってもよく、常温から80℃程度の温度範囲で加熱して行ってもよい。
上記触媒としては特に限定されず、例えば、アルカリ金属のアルコラート、スズやチタン等の有機金属化合物、金属水酸化物、三級アミン等が挙げられる。
【0062】
また、上記マイケル付加反応の反応時間としては特に限定されないが、好ましい下限は1時間、好ましい上限は10時間程度であり、より好ましい下限は3時間、より好ましい上限は7時間程度である。
【0063】
上記マイケル付加反応に用いる反応溶媒としては特に限定されないが、上記エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物、並びに、水酸基と1級又は2級アミノ基と反応せず、これら原料を均一に溶解できる水溶性の溶媒であることが好ましい。
具体的は、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール、N−メチルピロリドン、ε−カプロラクタム、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−イソペンチルオキシエタノール、2−ブトキシエタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、グリセリンエーテル類、グリセリンモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロピラン、トリオキサン、ジオキサン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、プロパギルアルコール、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−エチルモルホリン、乳酸メチル、乳酸エチル等が挙げられる。
【0064】
また、上記マイケル付加反応においては、重合禁止剤を用いることが好ましい。
上記重合禁止剤としては特に限定されず、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、p−ベンゾキノン等のキノン誘導体、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等のフェノール誘導体等、従来公知のものが挙げられる。
【0065】
上記本発明に係る化合物(2)の水酸基量としては特に限定されないが、好ましい下限は5mgKOH/g、好ましい上限は200mgKOH/gである。5mgKOH/g未満であると、本発明2のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物の現像性等に充分な効果が得られないことがあり、200mgKOH/gを超えると、ゲル化等の問題が発生しやすくなる。より好ましい下限は10mgKOH/g、より好ましい上限は50mgKOH/gである。
【0066】
また、上記2官能以上の不飽和結合を有する化合物は、カプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された2官能以上の不飽和結合を有する化合物であることが好ましい。このようなカプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された2官能以上の不飽和結合を有する化合物(以下、本発明に係る化合物(3)ともいう)を含有する本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物は、該カラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を用いてなるカラムスペーサが圧縮変形からの回復性に優れたものとなり、このようなカラムスペーサを用いて製造した液晶表示素子に加熱時の液晶膨張による「重力不良」と、低温時の液晶の収縮による「低温発泡」とを同時に抑制可能であり、また、フォトリソグラフの手法によりカラムスペーサとなるパターン形成する際に、現像残滓を生ずることなく、シャープな解像性を得ることができる。
【0067】
上記本発明に係る化合物(3)としては特に限定されないが、例えば、カプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート化合物(以下、本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(3)ともいう)であることが好適である。
なお、本明細書において、カプロラクトン変性とは、上記本発明に係る化合物(3)が上記本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(3)である場合、(メタ)アクリレート化合物のアルコール由来部位と(メタ)アクリロイル基との間に、カプロラクトンの開環体又は開環重合体が導入されることを意味する。
【0068】
上記本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(3)としては特に限定されず、例えば、上述した2官能(メタ)アクリレート化合物や、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物等が挙げられる。なかでも、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物は、重合反応の進行が速く、露光感度を向上させやすいことから特に好適である。
上記本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(3)は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0069】
本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(3)のカプロラクトン変性の変性度としては、ベースとなる多官能(メタ)アクリレート化合物の官能基数をnとした場合、分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物1モルに対して好ましい下限は0.5nモル、好ましい上限は5nモルである。0.5nモル未満であると、製造するカラムスペーサの柔軟性が不充分となることがあり、5nモルを超えると、カラムスペーサを製造する際の露光時の反応性が低下し、製造するカラムスペーサのパターニングが困難となることがある。より好ましい下限は1nモル、より好ましい上限は3nモルである。
【0070】
また、上記本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(3)のエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性の変性度としては、ベースとなる多官能(メタ)アクリレート化合物の官能基数をnとした場合、多官能(メタ)アクリレート化合物1モルに対して好ましい下限は0.5nモル、好ましい上限は4nモルである。0.5nモル未満であると、現像時の解像性、溶解性が不充分となることがあり、5nモルを超えると、カラムスペーサを製造する際の露光時の反応性が低下し、製造するカラムスペーサのパターニングが困難となることがある。より好ましい下限は1nモル、より好ましい上限は3nモルである。
【0071】
上記多官能(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性して本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(3)を合成する具体的な方法としては特に限定されず、例えば、多価アルコールとカプロラクトン、並びに、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドとを反応させ、カプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性アルコールを合成した後、このカプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性アルコールと(メタ)アクリル酸とをエステル化反応させる方法;(メタ)アクリル酸とカプロラクトン、並びに、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドとを反応させ、カプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性(メタ)アクリル酸を合成した後、アルコールとエステル化反応させる方法;(メタ)アクリル酸、カプロラクトン、並びに、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド、並びに、多価アルコールを一括反応させる方法等が挙げられる。
【0072】
また、上記2官能以上の不飽和結合を有する化合物は、カプロラクトン変性された分子内に1以上の水酸基と2官能以上の不飽和結合とを有する化合物であることが好ましい。このようなカプロラクトン変性された分子内に1以上の水酸基と2官能以上の不飽和結合とを有する化合物(以下、本発明に係る化合物(4)ともいう)を含有する本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物は、カラムスペーサの製造に用いたときに、加熱時の液晶膨張による「重力不良」と、低温時の液晶の収縮による「低温発泡」とを同時に抑制可能であり、また、フォトリソグラフの手法によりカラムスペーサとなるパターン形成する際に、現像残滓を生ずることなく、シャープな解像性を得ることができる。
【0073】
上記本発明に係る化合物(4)としては特に限定されないが、例えば、カプロラクトン変性された分子内に1以上の水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物(以下、本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(4)ともいう)であることが好適である。
【0074】
上記本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(4)としては特に限定されず、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性した化合物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性した化合物等が挙げられる。なかでも、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性させた化合物は、重合反応の進行が速く、露光感度を向上させやすいことから特に好適である。
これらの本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(4)は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0075】
上記本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(4)のカプロラクトン変性の変性度としては、ベースとなる多官能(メタ)アクリレート化合物の官能基数をnとした場合、分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物1モルに対して好ましい下限は0.5nモル、好ましい上限は5nモルである。0.5nモル未満であると、製造するカラムスペーサの柔軟性が不充分となることがあり、5nモルを超えると、カラムスペーサを製造する際の露光時の反応性が低下し、製造するカラムスペーサのパターニングが困難となることがある。より好ましい下限は1nモル、より好ましい上限は3nモルである。
【0076】
このような本発明に係る化合物(4)は、例えば、(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性した化合物と多価アルコールとを反応させる方法;カプロラクトン変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物に、水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物を反応させる方法;エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した多価アルコールと(メタ)アクリレート化合物とを反応させる方法等により好適に得ることができる。
【0077】
上記カプロラクトン変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物としては特に限定されず、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等をカプロラトン変性した化合物等が挙げられる。
【0078】
上記水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物は、上述したものと同様のものが挙げられる。
上記カプロラクトン変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物に、水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物を反応させて本発明に係る化合物(4)を製造する場合、いわゆるマイケル付加反応により、上記カプロラクトン変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物の不飽和2重結合に、上記水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物のアミノ基が付加する。
上記マイケル付加反応の方法、条件等については、上述したマイケル付加反応と同様の方法、条件が挙げられる。
【0079】
上記本発明に係る化合物(4)の水酸基量としては特に限定されないが、好ましい下限は5mgKOH/g、好ましい上限は200mgKOH/gである。5mgKOH/g未満であると、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物の現像性等に充分な効果が得られないことがあり、200mgKOH/gを超えると、ゲル化等の問題が発生しやすくなる。より好ましい下限は10mgKOH/g、より好ましい上限は50mgKOH/gである。
【0080】
また、上記2官能以上の不飽和結合を有する化合物は、カプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された分子内に1以上の水酸基と2官能以上の不飽和結合とを有する化合物であることが好ましい。このようなカプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された分子内に1以上の水酸基と2官能以上の不飽和結合とを有する化合物(以下、本発明に係る化合物(5)ともいう)を含有する本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物は、カラムスペーサの製造に用いたときに、加熱時の液晶膨張による「重力不良」と、低温時の液晶の収縮による「低温発泡」とを同時により好適に抑制可能であり、また、フォトリソグラフの手法によりカラムスペーサとなるパターン形成する際に、現像残滓を生ずることなく、よりシャープな解像性を得ることができる。
【0081】
上記本発明に係る化合物(5)としては特に限定されないが、例えば、カプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された分子内に1以上の水酸基と2官能以上の不飽和結合とを有する多官能(メタ)アクリレート化合物(以下、本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(5)ともいう)であることが好適である。
【0082】
上記本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(5)としては特に限定されず、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物等が挙げられる。なかでも、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性させた化合物は、重合反応の進行が速く、露光感度を向上させやすいことから特に好適である。
これらの本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(5)は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0083】
上記本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(5)のカプロラクトン変性の変性度としては、ベースとなる多官能(メタ)アクリレート化合物の官能基数をnとした場合、分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物1モルに対して好ましい下限は0.5nモル、好ましい上限は5nモルである。0.5nモル未満であると、製造するカラムスペーサの柔軟性が不充分となることがあり、5nモルを超えると、カラムスペーサを製造する際の露光時の反応性が低下し、製造するカラムスペーサのパターニングが困難となることがある。より好ましい下限は1nモル、より好ましい上限は3nモルである。
【0084】
また、上記本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(5)のエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性の変性度としては、ベースとなる多官能(メタ)アクリレート化合物の官能基数をnとした場合、多官能(メタ)アクリレート化合物1モルに対して好ましい下限は0.5nモル、好ましい上限は4nモルである。0.5nモル未満であると、現像時の解像性、溶解性が不充分となることがあり、5nモルを超えると、カラムスペーサを製造する際の露光時の反応性が低下し、製造するカラムスペーサのパターニングが困難となることがある。より好ましい下限は1nモル、より好ましい上限は3nモルである。
【0085】
このような本発明に係る化合物(5)は、例えば、(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物と多価アルコールとを反応させる方法;カプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物に、水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物を反応させる方法;エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した多価アルコールと(メタ)アクリレート化合物とを反応させる方法等により好適に得ることができる。
【0086】
上記カプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物としては特に限定されず、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等をカプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物等が挙げられる。
【0087】
上記水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物は、上述したものと同様のものが挙げられる。
上記カプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物に、水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物を反応させて本発明に係る化合物(5)を製造する場合、いわゆるマイケル付加反応により、上記カプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物の不飽和2重結合に、上記水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物のアミノ基が付加する。
上記マイケル付加反応の方法、条件等については、上述したマイケル付加反応と同様の方法、条件が挙げられる。
【0088】
上記本発明に係る化合物(5)の水酸基量としては特に限定されないが、好ましい下限は5mgKOH/g、好ましい上限は200mgKOH/gである。5mgKOH/g未満であると、本発明5のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物の現像性等に充分な効果が得られないことがあり、200mgKOH/gを超えると、ゲル化等の問題が発生しやすくなる。より好ましい下限は10mgKOH/g、より好ましい上限は50mgKOH/gである。
【0089】
また、上記2官能以上の不飽和結合を有する化合物は、分子内に1以上のカルボキシル基と2官能以上の不飽和結合とを有する化合物であることが好ましい。このような分子内に1以上のカルボキシル基と2官能以上の不飽和結合とを有する化合物(以下、本発明に係る化合物(6)ともいう)を含有する本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物は、該カラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を用いてなるカラムスペーサが圧縮変形からの回復性に優れたものとなり、このようなカラムスペーサを用いて製造した液晶表示素子に加熱時の液晶膨張による「重力不良」と、低温時の液晶の収縮による「低温発泡」とを同時に抑制可能であり、また、フォトリソグラフの手法によりカラムスペーサとなるパターン形成する際に、現像残滓を生ずることなく、シャープな解像性を得ることができる。
【0090】
上記本発明に係る化合物(6)としては特に限定されないが、例えば、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物の(メタ)アクリル基の一部に、カルボキシル基を有する化合物を付加反応させることによりカルボン酸を導入した(メタ)アクリレート(以下、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート(6)ともいう)であることが好ましい。このようなカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート(6)を含有することで、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物は、フォトリソグラフの手法によるパターン形成時の露光感度を得るために必要な速やかな重合反応性と、現像時の解像性を得るために必要なアルカリ現像液との親和性に優れたものとなる。
【0091】
上記本発明に係る化合物(6)へのカルボキシル基変性量としては、アルカリ現像液に速やかに溶解するものであれば特に限定されないが、酸価の好ましい下限は5mgKOH/g、好ましい上限は80mgKOH/gであり、より好ましい下限は10mgKOH/g、より好ましい上限は50mgKOH/gである。
【0092】
上記3官能以上の(メタ)アクリレート化合物としては特に限定されず、例えば、上述した本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(1)で説明したものと同様のものが挙げられる。
また、3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートも好適である。このようなウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、UA−306H、UA−306T、UA−306I(以上、共栄社化学社製)、EB9260、EB8210、EB1290、EB1290K、EB5129、EB810、EB450、EB830、EB870、EB1870(以上ダイセル・サイテック社製)、M−1960、M−7100、M−8030、M−8060、M−8100、M−8530、M−8560、M−9050(以上、東亞合成社製)等が挙げられる。
これらの3官能以上の(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0093】
本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物において、上記本発明に係る化合物(6)が上記カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート(6)である場合、重合反応の進行が速く、露光感度を向上させやすいことから、分子内の(メタ)アクリル基の数の好ましい下限は3である。また、上記カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート(6)は、分子内のカルボキシル基の好ましい上限は2である。3以上であると、現像液への溶解性・膨潤性が高くなり、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物が現像パターンの剥離や、膨潤性による解像度の低下が起こりやすくなる。
【0094】
上記カルボキシル基を有する化合物としては特に限定されず、例えば、チオサリチル酸、メルカプト酢酸、メルカプトコハク酸、3−メルカプトプロピオン酸等のカルボキシル基とチオール基とを有する化合物が挙げられる。
【0095】
上記カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート(6)を得る方法としては特に限定されず、例えば、上述した3官能以上の(メタ)アクリレート化合物の(メタ)アクリル基に、チオサリチル酸等のチオール基とカルボキシル基とを有する化合物を、エン−チオール反応により付加する方法等が挙げられる。
【0096】
また、上記本発明に係る化合物(6)は、カプロラクトン変性、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された2官能以上の不飽和結合を有する化合物であることが好ましい。本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物の柔軟性が優れたものとなり、優れた柔軟性と高い圧縮回復特性とを有するカラムスペーサを得ることができる。このようなカラムスペーサを用いて製造した液晶表示素子に加熱時の液晶膨張による「重力不良」と、低温時の液晶の収縮による「低温発泡」とを同時に抑制可能である。
【0097】
上記エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された2官能以上の不飽和結合を有する化合物としては特に限定されないが、例えば、カプロラクトン変性、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物の柔軟性が優れたものとなり、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物をカラムスペーサ用途に用いた場合、優れた柔軟性と高い圧縮回復特性とを有するカラムスペーサを好適に得ることができるからである。
【0098】
上記本発明に係る化合物(6)がカプロラクトン変性されたカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレートである場合、該多官能(メタ)アクリレート化合物としては特に限定されず、例えば、上述した3官能以上の(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。なかでも、カプロラクトン変性したペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、或いは、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートに、カルボキシル基を有する化合物を付加させた化合物が好適に用いられる。
【0099】
上記カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性の変性度としては、ベースとなる多官能(メタ)アクリレート化合物の官能基数をnとした場合、2官能以上の不飽和結合を有する化合物1モルに対して好ましい下限は0.5nモル、好ましい上限は5nモルである。0.5nモル未満であると、製造するカラムスペーサの柔軟性が不充分となることがあり、5nモルを超えると、カラムスペーサを製造する際の露光時の反応性が低下し、製造するカラムスペーサのパターニングが困難となることがある。より好ましい下限は1nモル、より好ましい上限は3nモルである。
【0100】
上記多官能(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性する具体的な方法としては特に限定されず、例えば、多価アルコールとカプロラクトンを反応させ、カプロラクトン変性アルコールを合成した後、(メタ)アクリル酸とをエステル化反応させる方法;(メタ)アクリル酸とカプロラクトンとを反応させ、カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸を合成した後、アルコールとエステル化反応させる方法;(メタ)アクリル酸、カプロラクトン、並びに、多価アルコールを一括反応させる方法等が挙げられる。
【0101】
また、上記本発明に係る化合物(6)が、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性されたカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物である場合、該多官能(メタ)アクリレート化合物としては特に限定されず、例えば、上述した3官能以上の(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。なかでも、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性したペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、或いは、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートに、カルボキシル基を有する化合物を付加させた化合物が好適に用いられる。
【0102】
上記多官能(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性の変性度としては、ベースとなる多官能(メタ)アクリレート化合物の官能基数をnとした場合、多官能(メタ)アクリレート化合物1モルに対して好ましい下限は0.5nモル、好ましい上限は15nモルである。0.5nモル未満であると、製造するカラムスペーサの柔軟性が不充分となることがあり、15nモルを超えると、アルカリ現像液への親和性が高くなり、膨潤による解像性の低下が起こりやすくなる。より好ましい下限は3nモル、より好ましい上限は10nモルである。
【0103】
上記多官能(メタ)アクリレート化合物をエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性する具体的な方法としては特に限定されず、例えば、多価アルコールとエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドとを反応させ、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性アルコールを合成した後、このエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性アルコールと(メタ)アクリル酸とをエステル化反応させる方法;(メタ)アクリル酸とエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドとを反応させ、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性(メタ)アクリル酸を合成した後、アルコールとエステル化反応させる方法;(メタ)アクリル酸、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド、並びに、多価アルコールを一括反応させる方法等が挙げられる。
【0104】
上記本発明に係る化合物(6)は、更に分子内に1以上の水酸基を有してもよい。このような本発明に係る化合物(6)を含有する本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物は、カラムスペーサ用途に用いた場合、パターン形成時の現像性及び溶解性をより向上させることができ、現像残滓の発生をより抑制でき、シャープな解像性を得ることができる。
【0105】
このような分子内に水酸基を有する本発明に係る化合物(6)は、例えば、上記(メタ)アクリレート化合物を製造する際に、多価アルコールと反応させる(メタ)アクリル酸の配合比率及び/又は反応比率を調整することにより得ることができる。
【0106】
また、上記分子内に水酸基を有する本発明に係る化合物(6)は、分子内に2官能以上の不飽和結合と水酸基とを有する化合物に、酸無水物が付加反応されてなるものであってもよい。
上記分子内2以上の重合性不飽和結合と水酸基とを有する化合物としては特に限定されず、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、並びに、これらのカプロラクトン変性、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性体等が挙げられる。
【0107】
このような分子内2官能以上の不飽和結合と水酸基とを有する化合物を得る方法としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリレート化合物(又は(メタ)アクリレート化合物をエチレンオキサイド及び/若しくはプロピレンオキサイド変性した化合物)と多価アルコールとを反応させる方法;分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物、又は、これらのカプロラクトン変性、エチレンオキサイド変性及び/若しくはプロピレンオキサイド変性体に、水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物を反応させる方法;エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した多価アルコールと(メタ)アクリレート化合物とを反応させる方法が挙げられる。
【0108】
上記分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物としては特に限定されず、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0109】
上記水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物としては特に限定されず、例えば、上述したものと同様のものが挙げられる。
上記分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物と、水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物とのマイケル付加反応により、上記分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物の不飽和2重結合部分に、上記水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物のアミノ基が付加する。
上記マイケル付加反応の方法、条件等については、上述したマイケル付加反応と同様の方法、条件が挙げられる。
【0110】
上記酸無水物としては特に限定されず、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等が挙げられる。
これらの酸無水物は、上述した分子内に2官能以上の不飽和結合と水酸基とを有する化合物の水酸基に付加反応され、分子内にカルボキシル基を有する本発明に係る重合性化合物が得られる。
【0111】
上記酸無水物を分子内に2以上の重合性不飽和結合と水酸基とを有する化合物の水酸基に付加反応させる反応は一般的なエステル化反応であり、反応温度の好ましい下限は60℃、好ましい上限は150℃であり、反応時間の好ましい下限は1時間、好ましい上限は12時間である。
また、上記酸無水物を分子内に2以上の重合性不飽和結合と水酸基とを有する化合物の水酸基に付加反応させる際には、触媒としてトリエチルアミン等の三級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、2−エチルー4−メチルイミダゾール化合物、トリフェニルホスフィン等のリン化合物等を使用してもよい。
また、重合禁止剤として、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、p−ベンゾキノン等のキノン誘導体、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等のフェノール誘導体等、従来公知のものを添加してもよい。
【0112】
更に、上記酸無水物を分子内に2以上の重合性不飽和結合と水酸基とを有する化合物の水酸基に付加反応させる反応は、無溶媒で行ってもよいが、必要に応じて溶媒中で行ってもよい。反応に使用できる溶媒としては、反応を阻害するものでなければ特に限定されず、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等が挙げられる。
【0113】
また、上記2官能以上の不飽和結合を有する化合物は、カプロラクトン変性された3官能以上の(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。このようなカプロラクトン変性された3官能以上の(メタ)アクリレート化合物(以下、本発明に係る化合物(7)ともいう)を含有することにより、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を硬化してなるカラムスペーサは、圧縮変形からの高い回復性と、柔軟で低弾性率であることとを両立させることができる。
【0114】
本発明に係る化合物(7)としては、例えば、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性した化合物(以下、本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(7)ともいう)が好適である。
【0115】
上記3官能以上の(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性する具体的な方法としては特に限定されず、例えば、触媒の存在下に高温でアルコールとカプロラクトンとを反応させ、カプロラクトン変性アルコールを合成した後に、該カプロラクトン変性アルコールと(メタ)アクリル酸とを酸性触媒の存在下、脱水溶媒を使用してエステル化反応させる方法;(メタ)アクリル酸とカプロラクトンとを反応させ、カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸を合成した後に、カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸とアルコールとをエステル化反応させる方法等が挙げられる。
【0116】
上記本発明に係る多官能(メタ)アクリレート(7)としては特に限定されないが、例えば、3官能では、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性体が好適であり、4官能以上では、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性体が好適である。これらのカプロラクトン変性された3官能以上の(メタ)アクリレート化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記カプロラクトン変性された3官能以上の(メタ)アクリレート化合物は、上述の方法により(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性して用いてもよいし、日本化薬社製の「KAYARAD DPCA−120」(カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、新中村化学工業社製の「NKエステル AD−TMP−4CL」(カプロラクトン変性ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート)等の市販品を用いてもよい。
【0117】
上記本発明に係る(メタ)アクリレート(7)の変性度としては、ベースとなる3官能以上の(メタ)アクリレート化合物の官能基数をnとしてときに、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物1モルに対して0.5n〜5nモルのカプロラクトンを導入して変性することが好ましい。カプロラクトンの導入量が0.5nモル未満であると、得られるカラムスペーサの柔軟性が不充分となることがあり、5nモルを超えると、露光時に反応性が低下してスペーサのパターニングが困難となることがある。より好ましくは1n〜3nモルである。
【0118】
更に、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物は、上記2官能以上の不飽和結合を有する化合物として、分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物及び/又は分子内に2以上のカプロラクトン変性された重合性不飽和結合を有する化合物と、重合性不飽和結合を有しポリエチレングリコール骨格を有する化合物とを併用してもよい。圧縮変形からの高い回復性を有するとともに、柔軟で低弾性率であるカラムスペーサが得られるからである。
【0119】
上記分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物としては、例えば、2官能モノマーとしては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、3官能のモノマーとしては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタン(メタ)アクリレートジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられ、4官能以上のモノマーとしては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)テトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、多官能のエポキシアクリレート化合物、ウレタンアクリレート化合物も好適である。
【0120】
上記分子内に2以上のカプロラクトン変性された重合性不飽和結合を有する化合物としては、例えば、上述した多官能(メタ)アクリレート化合物を上述した方法でカプロラクトン変性した化合物が挙げられる。
なお、上記カプロラクトン変性された重合性不飽和結合を有する化合物のうち、カプロラクトン変性された3官能以上の(メタ)アクリレート化合物は、上述の方法により(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性して用いてもよいし、例えば、日本化薬社製の「KAYARAD DPCA−120」(カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、新中村化学工業社製の「NKエステル AD−TMP−4CL」(カプロラクトン変性ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート)等の市販品を用いてもよい。
【0121】
上記重合性不飽和結合を有しポリエチレングリコール骨格を有する化合物としては特に限定されず、例えば、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコール(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、3官能以上のポリエチレングリコール骨格を有する重合性不飽和結合を有する化合物として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物のポリエチレングリコール変成体も用いることができる。なかでも、2以上の重合性不飽和結合を有するものは、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を硬化させてなるカラムスペーサに対する架橋構造に由来する圧縮物性への影響が小さいことから好適である。
【0122】
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物における上記重合性不飽和結合を有しポリエチレングリコール骨格を有する化合物の配合量としては特に限定されないが、上記分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物とアルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物との合計100重量部に対して、好ましい下限は25重量部、好ましい上限は300重量部である。25重量部未満であると、充分な柔軟性を付与することが困難となり、300重量部を超えると、アルカリ現像液に対する密着耐久性が低下してパターンを得ることが困難になることがある。より好ましい下限は50重量部、より好ましい上限は200重量部である。
【0123】
本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物は、反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物を含有する。
上記反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物としては特に限定されないが、例えば、アルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物が好適である。
上記アルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物としては、例えば、カルボキシル基含有単官能不飽和化合物と不飽和二重結合を有する単官能化合物とを共重合した共重合体(以下、共重合体(1)ともいう)等が挙げられる。
【0124】
上記カルボキシル基含有単官能不飽和化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
上記不飽和二重結合を有する単官能化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体が挙げられる。
また、上記共重合体(1)は、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物;フェニルマレイミド、ベンジルマレイミド、ナフチルマレイミド、o−クロロフェニルマレイミド等の芳香族置換マレイミド;メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、イソプロピルマレイミド等のアルキル置換マレイミド等からなる成分を含有してもよい。
【0125】
上記共重合体(1)において、カルボキシル基含有単官能不飽和化合物に起因する成分の比の好ましい下限は10重量%、好ましい上限は40重量%である。10重量%未満であると、アルカリ可溶性を付与することが困難であり、40重量%を超えると、現像時の膨潤が著しくパターンの形成が困難となることがある。より好ましい下限は15重量%、より好ましい上限は30重量%である。
【0126】
上記カルボキシル基含有単官能不飽和化合物と不飽和二重結合を有する単官能化合物とを共重合する方法としては特に限定されず、例えば、ラジカル重合開始剤及び必要に応じて分子量調節剤を用いて、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合、乳化重合等の従来公知の方法により重合する方法が挙げられる。なかでも、溶液重合が好適である。
【0127】
溶液重合法により上記共重合体(1)を製造する場合の溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、グリコール等の脂肪族アルコール類;セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類;酢酸セロソルブ、酢酸カルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;テトラヒドロフラン等の環状エーテル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の極性を有する有機溶剤等を用いることができる。
また、懸濁重合、分散重合、乳化重合等の非水系の分散重合により上記共重合体(1)を製造する場合の媒体としては、例えば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン等の液状の炭化水素や、その他の非極性の有機溶剤等を用いることができる。
【0128】
上記共重合体(1)を製造する場合に用いるラジカル重合開始剤としては特に限定されず、例えば、過酸化物、アゾ開始剤等の従来公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。また、上記分子量調節剤としては、例えば、α−メチルスチレンダイマー、メルカプタン系の連鎖移動剤等を用いることができる。
【0129】
本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物における上記2官能以上の不飽和結合を有する化合物と反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物との配合比としては特に限定されないが、上記反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物100重量部に対する上記2官能以上の不飽和結合を有する化合物の配合量の好ましい下限は25重量部、好ましい上限は900重量部である。25重量部未満であると、充分に光硬化せずにフォトリソグラフィーによりパターンを形成することができないことがあり、900重量部を超えると、熱硬化後の硬化物が上述の弾性特性を発揮できないことがある。好ましい下限は50重量部、好ましい上限は500重量部である。
【0130】
また、上記反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物は、不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物と、下記一般式(2)で表される化合物と、上記不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物、並びに、下記一般式(2)で表される化合物以外の不飽和化合物との共重合体(以下、共重合体(2)ともいう)であることが好ましい。
【0131】
【化6】

一般式(2)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、xは、0〜10の整数である。
【0132】
上記不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物としては特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸;及びこれらジカルボン酸の無水物等が挙げられる。なかでも、アクリル酸、メタクリル酸及び無水マレイン酸等が共重合反応性、アルカリ水溶液に対する溶解性及び入手が容易である点から好適に用いられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0133】
上記共重合体(2)に占める上記不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物の量としては特に限定されないが、好ましい下限は5重量%、好ましい上限は40重量%である。5重量%未満であると、アルカリ水溶液に溶解しにくくなり、40重量%を超えると、アルカリ水溶液に対する溶解性が大きくなりすぎる傾向にある。より好ましい下限は10重量%であり、より好ましい上限は30重量%である。
【0134】
上記一般式(2)で表される化合物において、Rがアルキル基である場合、その炭素数の上限は5である。5を超えると上記一般式(2)で表される化合物における不飽和基の反応性が低下し、反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物を得るための共重合反応が困難となる。
また、一般式(2)で表される化合物において、xの下限は0、上限は10である。10を超えると側鎖末端のエポキシ基の反応性が低下してしまう。
このような一般式(2)で表される化合物として特に限定されず、市販品としては、例えば、ダイセル化学工業社製「サイクロマーM100(エポキシ当量195〜215)」、「サイクロマーA200(エポキシ当量182〜200)」、「サイクロマーM101(エポキシ当量326〜355)」等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0135】
上記共重合体(2)に占める上記一般式(2)で表される化合物の量としては特に限定されないが、好ましい下限は10重量%、好ましい上限は70重量%である。10重量%未満であると、得られるカラムスペーサの強度が低下する傾向にあり、70重量%を超えると、共重合体(2)の保存安定性が低下する傾向にある。より好ましい下限は20重量%、より好ましい上限は60重量%である。
【0136】
上記共重合体(2)における上記その他の不飽和化合物としては特に限定されず、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル;メチルアクリレート、イソプロピルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシルメタクリレート、2−メチルシクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルメタクリレート、イソボロニルメタクリレート等のメタクリル酸環状アルキルエステル;シクロヘキシルアクリレート、2−メチルシクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタオキシエチルアクリレート、イソボロニルアクリレート等のアクリル酸環状アルキルエステル;フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等のメタクリル酸アリールエステル;フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート等のアクリル酸アリールエステル;マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシアルキルエステル;スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。なかでも、スチレン、t−ブチルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、p−メトキシスチレン、2−メチルシクロヘキシルアクリレート、1,3−ブタジエン等が共重合反応性及びアルカリ水溶液に対する溶解性の点から好適である。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0137】
更に、上記共重合体(2)における上記その他の不飽和化合物としては、エポキシ基含有不飽和化合物を用いても良く、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−3,4−エポキシブチル、アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等が挙げられる。なかでも、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル及びp−ビニルベンジルグリシジルエーテルは、カラムスペーサの強度を高める点や基板への密着性の点から好ましく用いられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0138】
上記共重合体(2)に占める上記その他の不飽和化合物の量としては特に限定されないが、好ましい下限は10重量%、好ましい上限は70重量%である。10重量%未満であると、上記共重合体(2)の保存安定性が低下する傾向にあり、70重量%を超えると、上記共重合体(2)がアルカリ水溶液に溶解しにくくなる。より好ましい下限は20重量%、より好ましい上限は50重量%である。
【0139】
上記共重合体(2)は、不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物と、上記一般式(2)で表される化合物とを有しているため、アルカリ水溶液に対して適切な溶解性を有するとともに、特別な硬化剤を併用しなくても加熱により容易に硬化させることができる。
【0140】
上記共重合体(2)は、上記不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物、上記一般式(2)で表される化合物、及び、その他の不飽和化合物を、従来公知のラジカル重合開始剤とともに溶剤中で共重合することで得ることができる。
【0141】
上記共重合体(2)を製造する際に使用する溶剤としては特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等のジエチレングリコール類;プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールブチルエーテルプロピオネート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類;及び、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−ヒドロキシプロピオン酸プロピル、3−ヒドロキシプロピオン酸ブチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸プロピル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸プロピル、エトキシ酢酸ブチル、プロポキシ酢酸メチル、プロポキシ酢酸エチル、プロポキシ酢酸プロピル、プロポキシ酢酸ブチル、ブトキシ酢酸メチル、ブトキシ酢酸エチル、ブトキシ酢酸プロピル、ブトキシ酢酸ブチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸ブチル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−エトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸ブチル、2−ブトキシプロピオン酸メチル、2−ブトキシプロピオン酸エチル、2−ブトキシプロピオン酸プロピル、2−ブトキシプロピオン酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸プロピル、3−エトキシプロピオン酸ブチル、3−プロポキシプロピオン酸メチル、3−プロポキシプロピオン酸エチル、3−プロポキシプロピオン酸プロピル、3−プロポキシプロピオン酸ブチル、3−ブトキシプロピオン酸メチル、3−ブトキシプロピオン酸エチル、3−ブトキシプロピオン酸プロピル、3−ブトキシプロピオン酸ブチル等のエステル類が挙げられる。
【0142】
上記共重合体(2)を製造する際に使用するラジカル重合開始剤としては特に限定されず、例えば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1’−ビス−(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物;及び、過酸化水素等が挙げられる。
なお、上記ラジカル重合開始剤として過酸化物を用いる場合には、過酸化物を還元剤とともに用いてレドックス型開始剤としてもよい。
【0143】
上記共重合体(2)は、ポリスチレン換算重量平均分子量の好ましい下限が2×10、好ましい上限が1×10である。2×10未満であると、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を用いてカラムスペーサを製造する際に、形成する被膜の現像性、残膜率等が低下して製造するカラムスペーサのパターン形状、耐熱性等に劣ることがある。1×10を超えると、感度が低下して製造するカラムスペーサのパターン形状に劣ることがある。より好ましい下限は5×10、より好ましい上限は5×10である。
【0144】
また、上記反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物は、下記一般式(3)により表されるセグメントを含有する化合物であることが好ましい。なお、上記反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物は、下記式(3)により表されるセグメント以外のセグメントを含有していてもよい。
【0145】
【化7】

【0146】
一般式(3)中、Rは、水素及び/又はメチル基を表し、Rは炭素数1〜18のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリル基、アラルキル基又はニトリル基を表す。l、m、nは、整数を表し、(l+n)/mが5/5〜9/1、かつ、l/nが8/1〜2/7である。
【0147】
上記一般式(3)により表される反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物では、シクロヘキシル環の作用によりアルカリ可溶性樹脂が特定の立体構造をとることによって、アルカリ可溶性樹脂分子の外側に(メタ)アクリル基が配置され、(メタ)アクリル基の反応効率が向上して、更に塑性変形の抑制効果が得られると考えられる。
【0148】
上記一般式(3)により表される反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物は、側鎖に(メタ)アクリル基とカルボキシル基とを有するアルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体(以下、共重合体(3)ともいう)であり、例えば、側鎖にカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体に、エポキシ基、水酸基等の官能基を有する(メタ)アクリレートを反応させてカルボキシル基の一部を変性することにより得ることができる。
また、側鎖にカルボキシル基と水酸基とを有する(メタ)アクリル共重合体にイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート化合物を反応させて水酸基を変性することによっても得ることができる。
【0149】
上記共重合体(3)は、カルボキシル基含有単官能不飽和化合物と、(メタ)アクリル酸エステル系単量体とを、ラジカル重合開始剤及び必要に応じて分子量調節剤を用いて塊状重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合、乳化重合等の従来公知の方法により共重合することにより得ることができる。
上記カルボキシル基含有単官能不飽和化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等が挙げられる。
【0150】
上記エポキシ基、水酸基、イソシアネート基等の官能基を有する(メタ)アクリレート化合物としては特に限定されないが、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が好適である。
【0151】
上記共重合体(3)において、(メタ)アクリル基を有する重合単位の含有量の好ましい下限は2モル%、好ましい上限は60モル%である。2モル%未満であると、アルカリ可溶性樹脂の架橋構造への取り込みが不充分となり、圧縮変形からの回復率の向上効果が得られないことがあり、60モル%を超えると、架橋構造の架橋密度が高くなり、柔軟な特性が損なわれることがある。より好ましい下限は5モル%、より好ましい上限は40モル%である。
上記共重合体(3)において、カルボキシル基を有する重合単位の含有量の好ましい下限は10モル%、好ましい上限は50モル%である。10モル%未満であると、アルカリ可溶性を付与することが困難であり、50モル%を超えると、現像時の膨潤が著しくパターンの形成が困難となることがある。より好ましい下限は15モル%、より好ましい上限は30モル%である。
【0152】
上記共重合体(3)は、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物;フェニルマレイミド、ベンジルマレイミド、ナフチルマレイミド、o−クロロフェニルマレイミド等の芳香族置換マレイミド;メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、イソプロピルマレイミド等のアルキル置換マレイミド等からなる成分を含有してもよい。
【0153】
また、上記反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物は、下記一般式(4)及び/又は(5)で表されるセグメントを有する側鎖にカルボキシル基と(メタ)アクリル基とを有するアルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体であることが好ましい。
【0154】
【化8】

【0155】
【化9】

【0156】
上記一般式(4)及び(5)中、R10、R11は、水素又はメチル基を表し、yは、1〜5の整数を表す。
【0157】
上記反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物が上記一般式(4)で表されるセグメントを有する場合、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を硬化してなるカラムスペーサは、柔軟性に優れたものとなり高い圧縮変形からの回復性を発揮するものとなる。本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を硬化してなるカラムスペーサの柔軟性は、上記一般式(4)で表されるセグメントの共重合比を調整することで適宜制御することができる。
【0158】
また、上記一般式(4)で表されるセグメントを有する反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物(以下、共重合体(4)ともいう)は、側鎖にカプロラクトンの開環セグメントを有するため、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物が上述したカプロラクトン変性された3官能以上の(メタ)アクリレート化合物等を含有する場合であっても、該カプロラクトン変性された3官能以上の(メタ)アクリレート化合物等により発現される柔軟性を損なうことがない。
また、カプロラクトン変性された3官能以上の(メタ)アクリレート化合物は分子の極性が小さいため、カルボキシル基のような極性基を有するアルカリ可溶性樹脂との相溶性が低下する傾向にある。しかしながら、上記共重合体(4)は、一般式(4)で表されるセグメントを有するため、すなわち、側鎖にカプロラクトンの開環セグメントを有するため、カプロラクトン変性された3官能以上の(メタ)アクリレート化合物との相溶性が向上し、上記共重合体(4)の組成及び組み合わせる3官能以上の(メタ)アクリレート化合物の種類、配合比等を種々変えた場合においても、良好な相溶性を得ることができる。
【0159】
上記共重合体(4)を得る方法としては特に限定されず、例えば、アクリル酸及び/又はメタクリル酸に、触媒の存在下に高温でカプロラクトンを開環付加反応させることにより得られたカプロラクトン変性(メタ)アクリル酸を、アルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体を構成する他の不飽和化合物と共重合する方法;カルボキシル基と(メタ)アクリル基とを有するアルカリ可溶性ポリマーを重合した後、このポリマーのカルボキシル基に対して、触媒の存在下に高温でカプロラクトンとを反応させる方法等が挙げられる。
【0160】
上記カプロラクトンの開環付加反応では、触媒としてハロゲン化第1スズ、モノブチルスズトリス−3−エチルヘキサネート、オクタン酸第1スズ、ジブチルスズジラウレート等を用いることができる。
また、カプロラクトンの開環付加反応の反応温度としては、好ましい下限は80℃、好ましい上限は150℃である。80℃未満であると反応の進行が遅く、150℃を超えると、(メタ)アクリル基の熱重合反応が起こりやすくなる。
【0161】
更に、上記カプロラクトンの開環付加反応と同時に(メタ)アクリル基の重合が進行するのを防ぐために、重合禁止剤を添加することが好ましい。上記重合禁止剤の添加量としては(メタ)アクリル酸とカプロラクトンとの合計量に対して0.01〜1重量%程度が好ましい。また、反応溶液中に空気等の酸素を含有するガスを通気することも、(メタ)アクリル基の重合を抑制するために有効である。
上記、開環付加させるカプロラクトンとしては、ε−カプロラクトンが最も適当であるが、それ以外に4−メチルカプロラクトン、2−メチルカプロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン等を用いることもできる。これらのカプロラクトンは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してよい。
【0162】
上記共重合体(4)を構成する他の不飽和化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジアルキルエステル;スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0163】
また、上記共重合体(4)を構成する他の不飽和化合物としては、現像性を調整するために、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等を用いてもよい。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0164】
また、上記共重合体(4)を構成する他の不飽和化合物として、エポキシ基を有する不飽和化合物を共重合してもよい。エポキシ基を有する不飽和化合物としては特に限定されないが、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−3,4−エポキシブチル、アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0165】
上記共重合体(4)は、上記単官能不飽和化合物を、ラジカル重合開始剤及び必要に応じて分子量調節剤を用いて塊状重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合、乳化重合等の従来公知の方法により共重合することにより得ることができる。
【0166】
上記共重合体(4)において、(メタ)アクリル基を有する重合単位の含有量の好ましい下限は2モル%、好ましい上限は60モル%である。2モル%未満であると、共重合体(4)の架橋構造への取り込みが不充分となり、圧縮変形からの回復率の向上効果が得られないことがあり、60モル%を超えると、架橋構造の架橋密度が高くなり、柔軟な特性が損なわれることがある。より好ましい下限は5モル%、より好ましい上限は40モル%である。
上記共重合体(4)において、カルボキシル基を有する重合単位の含有量の好ましい下限は10モル%、好ましい上限は50モル%である。10モル%未満であると、アルカリ可溶性を付与することが困難であり、50モル%を超えると、現像時の膨潤が著しくパターンの形成が困難となることがある。より好ましい下限は15モル%、より好ましい上限は30モル%である。
【0167】
上記反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物が上記一般式(5)で表されるセグメントを有することにより、シクロヘキシル環の作用により上記アルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体が特定の立体構造をとることによって、反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物分子の外側に(メタ)アクリル基が配置され、(メタ)アクリル基の反応効率が向上して、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物に塑性変形の抑制効果が得られる。
【0168】
上記一般式(5)で表されるセグメントを有する反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物は、側鎖に(メタ)アクリル基とカルボキシル基とを有するアルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体(以下、共重合体(5)ともいう)であり、共重合体(5)は、側鎖にカプロラクトンの開環セグメントを有するため、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物が上述したカプロラクトン変性された3官能以上の(メタ)アクリレート化合物等を含有する場合であっても、該カプロラクトン変性された3官能以上の(メタ)アクリレート化合物等により発現される柔軟性を損なうことがない。
また、カプロラクトン変性された3官能以上の(メタ)アクリレート化合物は分子の極性が小さいため、カルボキシル基のような極性基を有するアルカリ可溶性樹脂との相溶性が低下する傾向にある。しかしながら、上記共重合体(5)は、上記一般式(5)で表されるセグメントを有するため、すなわち、側鎖にカプロラクトンの開環セグメントを有するため、カプロラクトン変性された3官能以上の(メタ)アクリレート化合物との相溶性が向上し、アルカリ可溶(メタ)アクリレートの組成及び組み合わせる3官能以上の(メタ)アクリレート化合物の種類、配合比等を種々変えた場合においても、良好な相溶性を得ることができる。
【0169】
上記一般式(5)で表されるセグメントを有する共重合体(5)を得る方法としては特に限定されないが、上述の方法により製造したアルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体の一般式(4)で表されるセグメントに、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートを反応させる方法が挙げられる。
【0170】
また、上記反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物は、少なくとも、側鎖に炭素数8以上の長鎖アルキル及び/又は環構造骨格を含有する構造単位(A1)と、側鎖にアルカリ可溶性官能基を含有する構造単位(A2)とを有する共重合体であり、かつ、上記構造単位(A1)の含有量が5〜70モル%、上記構造単位(A2)成分の含有量が10〜50モル%であることが好ましい。このような構造の反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物(以下、共重合体(6)ともいう)を含有する本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物は、高いEBR適性を有し、フォトリソグラフの手法によりカラムスペーサとなるパターンを形成する際に、現像残滓を生ずることなく、シャープな現像性を得ることができる。
なお、本明細書において、「長鎖アルキル」は、枝分かれ構造を有する場合を含み、枝分かれ構造を有する場合、「炭素数8以上の長鎖アルキル」とは、枝分かれ部分を合わせた長鎖アルキルの炭素数が8以上であることを意味する。
【0171】
上記構造単位(A1)は、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物の優れたEBR適性を担保する部分である。このような構造単位(A1)の単量体は、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物に高い耐薬品性を付与するものであり、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物において、上記構造単位(A1)の単量体は、一分子中に炭素数8以上の長鎖アルキル及び/又は環構造骨格と、重合性不飽和結合とを有する。具体的には、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸の無置換又は置換アルキルエステル;シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロオクテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、メンタジエニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ピナニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルネニル(メタ)アクリレート、ピネニル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸の脂環式基を含むエステル化合物等が挙げられる。
このような単量体からなる構造単位(A1)を、上記反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物に導入することで、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物は、EBR液に対する溶解性を最適な範囲へ合わせ込むことが可能となる。特に、不飽和カルボン酸の無置換又は置換アルキルエステル類が耐薬品性を維持しつつ、EBR液に対する溶解性も高く、好ましい。
【0172】
また、上記構造単位(A1)の単量体は、ホモポリマーのTgが0℃以下のものが好ましい。具体的には、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸の無置換又は置換アルキルエステルが挙げられる。このような構造単位(A1)の単量体を用いることで、上記共重合体(6)に柔軟性を付与することができ、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を用いて、優れたEBR適性とともに、優れた柔軟性と高い圧縮回復特性とを有するカラムスペーサを得ることができる。
【0173】
上記共重合体(6)における上記構造単位(A1)の含有量の下限は5モル%、上限は70モル%である。5モル%未満であると、EBR液に対する本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物の溶解度が高くなり、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を用いて基板表面に塗布した樹脂膜のエッジ部がきれいに除去できす、ひどい場合は本来レジストを残さなければならない有効領域までEBR液が染み込み、アライメントマークや有効画素部を侵すという問題が生じる。更に上記共重合体(6)のガラス転移温度(Tg)が高くなり、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を用いて優れた柔軟性と高い圧縮回復特性とを有するカラムスペーサを得ることができない。70モル%を超えると、相対的に後述する構成単位(A2)の含有量が少なくなり、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物に充分なアルカリ可溶性を付与できず、また、上述した2官能以上の不飽和結合を有する化合物との相溶性低下を引き起こしてしまう。好ましい下限は10モル%、好ましい上限は60モル%である。
【0174】
上記構造単位(A2)は、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物のアルカリ可溶性を担保する部分であり、該構造単位(A2)の単量体としては、例えば、一分子中にアルカリ可溶性官能基と重合性不飽和結合とを有する化合物が挙げられる。このような構造単位(A2)の単量体と上述した構造単位(A1)の単量体等とを共重合させることで、上記構造単位(A2)を上記共重合体(6)に導入できる。更に、上記構造単位(A2)は、一分子中に反応性官能基と重合性不飽和結合とを有する化合物と、上述した構造単位(A1)の単量体等とを共重合させた後、得られた共重合体(A’)の反応性官能基とアルカリ可溶性官能基を有する化合物とを反応させる方法によっても、上記アルカリ可溶性高分子化合物(A)に導入することができる。
【0175】
上記構造単位(A2)の単量体である一分子中にアルカリ可溶性官能基と重合性不飽和結合とを有する化合物としては特に限定されず、例えば、アクリル酸やメタクリル酸等が挙げられる。これらのアクリル酸やメタクリル酸は、それぞれ単独で用いられてもよく、両者が組み合わせて用いられてもよい。また、これらのアクリル酸やメタクリル酸に加えて、その他の酸を用いることができる。その他の酸としては、具体的には、例えば、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸が挙げられる。これらの不飽和カルボン酸は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシル基を含有するモノマーを併用することもできる。
【0176】
上記反応性官能基と重合性不飽和結合とを有する化合物としては特に限定されず、例えば、2−メタクリロイルエチルイソシアネート、2−アクリロイルエチルイソシアネート等の(メタ)アクリル基とイソシアネート基とを一分子内に有する化合物;グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル基とグリシジル基とを一分子内に有する化合物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基と(メタ)アクリル基とを一分子内に有する化合物等が挙げられる。また、水酸基と(メタ)アクリル基とを一分子内に有する化合物は、例えば、上記(メタ)アクリル基とグリシジル基とを一分子内に有する化合物のグリシジル基が開環する等して水酸基を有する化合物になるものも挙げられる。
【0177】
上記アルカリ可溶性官能基を有する化合物としては、上記共重合体(A’)の反応性基と高分子反応可能な化合物であれば特に限定されないが、反応性基とアルカリ可溶性官能基とを有するものが好ましく、これらは特に限定されず、多塩基酸無水物が好ましく用いられ、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸化物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の多塩基酸無水物等が挙げられる。なかでも、テトラヒドロ無水フタル酸又は無水コハク酸が好適である。
【0178】
更に、上記構造単位(A2)は、アルカリ可溶性官能基を有する側鎖に、重合性不飽和結合を含有する化合物が枝分かれ状に付加されていてもよい。
このような構造の構造単位(A2)は、例えば、上述した方法で得られた共重合体(A’)の反応性官能基と重合性不飽和結合を有する化合物とを反応させた後、更に、上記アルカリ可溶性官能基を有する化合物を反応させる方法等により、上記アルカリ可溶性高分子化合物(A)に導入することができる。
【0179】
上記重合性不飽和結合を有する化合物としては、上記共重合体(A’)の反応性基と高分子反応可能な化合物であれば特に限定されず、反応性基と重合性不飽和基とを有するものが好ましい。このような反応性基と重合性不飽和基とを有する化合物としては特に限定されないが、不飽和カルボン酸が好適に用いられ、具体的には、アクリル酸やメタクリル酸が挙げられる。上記アクリル酸やメタクリル酸は、それぞれ単独で用いられてもよく、両者が組み合わされて用いられてもよい。
また、これらのアクリル酸やメタクリル酸に加えて、その他の酸を用いることもできる。その他の酸としては、具体的に、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等、他の不飽和カルボン酸から選ばれる少なくとも1種のカルボン酸を併用することもできる。また、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシル基を含有するモノマーを併用することもできる。
【0180】
このような構造単位(A2)を上記共重合体(6)に導入するための方法においては、一般に使用されるアミン系、リン系の触媒を用いることが好ましい。
【0181】
上記共重合体(6)における上記構造単位(A2)の含有量の下限は10モル%、上限は50モル%である。10モル%未満であると、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物に充分なアルカリ可溶性を付与できず、50モル%を超えると、膨潤が著しくパターンの形成が困難となることがある。好ましい下限は15モル%、好ましい上限は40モル%である。
【0182】
また、上記共重合体(6)は、更に、上記構造単位(A1)及び(A2)と共重合可能な構造単位(A3)並びに/又は側鎖に重合性不飽和結合を含有する構造単位(A4)を有する共重合体であることが好ましい。
【0183】
上記構造単位(A1)及び(A2)と共重合可能な構造単位(A3)の単量体としては、上記構造単位(A1)及び(A2)の単量体と共重合可能な不飽和結合を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸の無置換又は置換アルキルエステル;オリゴエチレングリコールモノアルキル(メタ)アクリレート等のグリコール類のモノ飽和カルボン酸エステル化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、イソプロピルマレイミド等のアルキル置換マレイミド等のマレイミド化合物等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0184】
上記共重合体(6)が上記構造単位(A3)を有する場合、その含有量としては特に限定されないが、好ましい下限は5モル%、好ましい上限は50モル%である。5モル%未満であると、上記構造単位(A3)を有する効果を殆ど得ることができず、50モル%を超えると、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物の可とう性及び耐熱性のバランスが崩れ、EBR適性に劣ることがある。より好ましい下限は10モル%、より好ましい上限は40モル%である。
【0185】
上記側鎖に重合性不飽和結合を含有する構造単位(A4)を有することで、上記共重合体(6)は、側鎖に重合性不飽和結合を有する共重合体となり、このような共重合体(6)の側鎖の重合性不飽和結合は、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を硬化させる際の架橋点となり、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、好適な3次元架橋構造を有することとなる。また、上記共重合体(6)は、上述した2官能以上の不飽和結合を有する化合物との反応点ともなる。
【0186】
上記側鎖に重合性不飽和結合を含有する構造単位(A4)は、例えば、一分子中に重合性不飽和結合と反応性官能基とを有する化合物と、上述した構造単位(A1)の単量体等とを共重合させた後、得られた共重合体(A”)の反応性官能基と重合性不飽和基を有する化合物とを反応させる方法等により、上記アルカリ可溶性高分子化合物(A)中に導入することができる。
【0187】
上記一分子中に重合性不飽和結合と反応性官能基とを有する化合物としては特に限定されず、例えば、2−メタクリロイルエチルイソシアネート、2−アクリロイルエチルイソシアネート等の(メタ)アクリル基とイソシアネート基とを一分子内に有する化合物;グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル基とグリシジル基とを一分子内に有する化合物等が挙げられる。
【0188】
上記重合性不飽和結合を有する化合物としては、上記共重合体(A”)の反応性基と高分子反応可能な化合物であれば特に限定されず、反応性基と重合性不飽和基とを有するものが好ましい。このような反応性基と重合性不飽和基とを有する化合物としては特に限定されないが、不飽和カルボン酸が好適に用いられ、具体的には、アクリル酸やメタクリル酸が挙げられる。上記アクリル酸やメタクリル酸は、それぞれ単独で用いられてもよく、両者が組み合わされて用いられてもよい。
また、これらのアクリル酸やメタクリル酸に加えて、その他の酸を用いることもできる。その他の酸としては、具体的に、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等、他の不飽和カルボン酸から選ばれる少なくとも1種のカルボン酸を併用することもできる。また、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシル基を含有するモノマーを併用することもできる。
【0189】
上述した構造単位(A3)及び(A4)を上記共重合体(6)に導入するための方法においは、一般に使用されるアミン系、リン系の触媒を用いることが好ましい。
【0190】
上記共重合体(6)が、上記構造単位(A4)を有する場合、その含有量としては特に限定されないが、好ましい下限は5モル%、好ましい上限は50モル%である。5モル%未満であると、上記構造単位(A4)を有する効果が殆ど得られず、50モル%を超えると、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物の可とう性及び耐熱性のバランスが崩れ、EBR適性に劣ることがある。より好ましい下限は10モル%、より好ましい上限は40モル%である。
【0191】
溶液重合法により上記共重合体(6)を製造する場合、使用する溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、グリコール等の脂肪族アルコール類;セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類;酢酸セロソルブ、酢酸カルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;テトラヒドロフラン等の環状エーテル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の極性を有する有機溶剤等が挙げられる。
【0192】
また、懸濁重合、分散重合、乳化重合等の非水系の分散重合により上記共重合体(6)を製造する場合、使用する媒体としては、例えば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン等の液状の炭化水素や、その他の非極性の有機溶剤等が挙げられる。
【0193】
上記共重合体(6)を製造する場合に用いるラジカル重合開始剤としては特に限定されず、例えば、過酸化物、アゾ開始剤等の従来公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。
上記ラジカル重合開始剤の使用量としては特に限定されないが、例えば、上記共重合体(6)の全単量体成分100重量部に対して好ましい下限は0.5重量部、好ましい上限は20.0重量部であり、より好ましい下限は1.0重量部、より好ましい上限は10.0重量部である。
【0194】
上記分子量調節剤としては、例えば、α−メチルスチレンダイマー、メルカプタン系の連鎖移動剤等を用いることができる。なかでも、炭素数8以上の長鎖アルキルメルカプタンが、臭気や着色の少なさの点で好ましい。
【0195】
上記共重合体(6)の重合度としては特に限定されないが、重量平均重合度で好ましい下限は15、好ましい上限は500である。15未満であると、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を用いてカラムスペーサを製造する際の現像性が低下することがあり、500を超えると、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を用いてカラムスペーサを製造する際の解像度が低下することがある。より好ましい下限は25、より好ましい上限は250である。
【0196】
また、上記共重合体(6)の分子量としては特に限定されないが、重量平均分子量で好ましい下限は3000、好ましい上限は10万である。3000未満であると、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を用いてカラムスペーサを製造する際の現像性が低下することがあり、10万を超えると、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を用いてカラムスペーサを製造する際の解像度が低下することがある。より好ましい下限は5000、より好ましい上限は5万である。
【0197】
本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物において、上記共重合体(6)の含有量としては特に限定されないが、好ましい下限は10重量%、好ましい上限は80重量%である。10重量%未満であると、EBR適性が劣ることとなったり、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を用いてカラムスペーサを製造する際に使用するアルカリ現像液への溶解性が不足し、製造するカラムスペーサのパターンの現像性が不充分となったりすることがあり、80重量%を超えると、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物が充分に光硬化せず、カラムスペーサ用途に用いた場合、フォトリソグラフィーによりカラムスペーサのパターンを形成することができないことがある。より好ましい下限は20重量%、より好ましい上限は60重量%である。
【0198】
このような共重合体(6)を含有する本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物は、優れたEBR適性を有するものとすることができる。
本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物に使用されるEBR液としては特に限定されないが、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとエチルラクテートの混合液、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとプロピレングリコールモノメチルエーテルの混合液、N−ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン等が好適に用いられる。
【0199】
また、上記反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物は、下記式(1a)、(1b)、(1c)、(1d)及び(1e)で表される構造単位からなる側鎖に(メタ)アクリル基とカルボキシル基とを有する共重合体(以下、共重合体(7)ともいう)であってもよい。
【0200】
【化10】

【0201】
式(1a)、(1b)、(1c)、(1d)及び(1e)中、A及びAは、水素、下記式(2a)、(2b)、(2c)又は(2d)を表し、A又はAのいずれか一方が水素である場合、他方は下記式(2a)、(2b)、(2c)又は(2d)のいずれかである。R12は、水素及び/又はメチル基を表し、R13は、アルキル基、フェニル基、アルキル基若しくはアルコキシ基を含むフェニル基、ヒドロキシアルキル基又は脂環式炭化水素を表し、R14は、ニトリル基又はフェニル基を表し、R15は、アルキル基、ヒドロキシアルキル基又はラジカル重合性基含有脂肪族炭化水素を表す。また、a、b、c、d、eは、各成分のモル比率(%)を表し、a+b+c+d+e=100とするとき、a、b及びdは0〜90、cは5〜50、eは5〜60である。
【0202】
【化11】

【0203】
上記共重合体(7)を含有する本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を硬化してなるカラムスペーサは、圧縮変形からの高い回復性と、柔軟で低弾性率であることとを両立させることができる。また、上記共重合体(7)は、セグメントの極性が低いため組成物中での相溶性に優れる。これにより、カラムスペーサの製造時の現像処理において現像ムラ等の不具合が生じることもない。
【0204】
なかでも、柔軟性の高いウレタン結合を構造中に有するため高い架橋性を保ったまま柔軟性が付与できる、ウレタン結合が適度な極性を有するため組成物中での相溶性に優れる等の理由から、上記アルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体中のA及び/又はAは、上記式(2b)で表されることが好ましい。
【0205】
また、ウレタン結合によって結合している構造単位中にラジカル重合性基を有する場合、より高い架橋と柔軟性とを同時に付与することが可能であり、また、ラジカル重合性基が他成分と光架橋することから相溶性が更に向上する等の理由から、上記アルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体中のA及び/又はAは、上記式(2b)で表され、かつ、上記式(2b)中のR15は、ラジカル重合性基含有脂肪族炭化水素であることが好ましい。
【0206】
また、水酸基を有することでアルカリ現像性や基材との密着性に優れる、高極性の水酸基と低極性のR15を両有することで他成分との相溶性を発現することができる等の理由から、上記アルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体中のA及びAは、上記式(2c)又は(2d)で表されることが好ましい。
【0207】
このような構造単位からなる共重合体(7)の重量平均分子量としては特に限定されないが、好ましい下限は3000、好ましい上限は10万である。3000未満であると、カラムスペーサの現像性が低下することがあり、10万以上であると解像度が低下することがある。より好ましい下限は5000、より好ましい上限は5万である。
【0208】
上記共重合体(7)の製造方法としては特に限定されないが、例えば、側鎖にカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体に、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物を開環付加重合させてカルボキシル基の一部を変性し、更に、変性により生じた水酸基及び/又は残存しているカルボキシル基の一部にイソシアネート化合物、エポキシ化合物、ラクトン化合物、アルコール化合物等を反応させる方法が挙げられる。
【0209】
また、具体的には、例えば、サイクロマーP(ダイセル化学社製)等の市販のものに対して、サイクロマーP中に含有される水酸基及びカルボキシル基の一部にイソシアネート化合物、エポキシ化合物、ラクトン化合物、アルコール化合物等を反応させることによって上記式(1)により表される側鎖に(メタ)アクリル基とカルボキシル基とを有するアルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体を得ることができる。
【0210】
上記側鎖にカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体の製造方法としては特に限定されず、例えば、カルボキシル基含有単官能不飽和化合物と、(メタ)アクリル酸エステル系単量体とをラジカル重合開始剤及び必要に応じて分子量調整剤を用いて塊状重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合、乳化重合等の従来公知の方法により共重合する方法が挙げられる。
【0211】
上記脂環式エポキシ基含有不飽和化合物としては特に限定されないが、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が好適に用いられる。
【0212】
上記イソシアネート化合物としては特に限定されないが、例えば、炭素数が2〜18のアルキルイソシアネート、重合性基含有イソシアネートが好適に用いられる。
炭素数が19以上のアルキルイソシアネートは、極性が低下するため、側鎖にカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体との相溶性が得られず、反応が円滑に進まないことがある。
上記重合性基含有イソシアネートを用いると、光硬化時の感度の上昇や、耐熱性、耐薬品性、タックフリー性等の様々な物性の更なる向上が実現される。
上記重合性基含有イソシアネートとしては特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリロイル基が炭素数2〜6のアルキレン基を介してイソシアネート基と結合したものを使用することが好ましい。具体的には、例えば、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルエチルイソシアネート、2−アクリロイルエチルイソシアネート等が挙げられ、2−メタクリロイルエチルイソシアネート、及び、2−アクリロイルエチルイソシアネートは、それぞれ、カレンズMOI、及び、カレンズAOI(いずれも昭和電工社製)として市販されている。
【0213】
上記変性により生じた側鎖に水酸基及びカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体に上記イソシアネート化合物を反応させる方法としては特に限定されず、少量の触媒存在下、上記イソシアネート化合物を、上記変性により生じた側鎖に水酸基及びカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体の溶液中に滴下又は混合する方法が挙げられる。
この際に用いられる触媒としては特に限定されず、例えば、ラウリン酸、ジブチル錫等が挙げられる。
【0214】
また、必要に応じて、p−メトキシフェノール、ヒドロキノン、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、2,3−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等の重合禁止剤を用いてもよい。
【0215】
また、増粘等を抑制する目的で、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール等のアルコールによる処理を行ってもよい。
【0216】
上記製造方法に従い、上記変性により生じた側鎖に水酸基及びカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体にイソシアネート化合物を反応させた場合には、式(2b)に示される構造単位が形成される。
【0217】
上記エポキシ化合物としては特に限定されず、例えば、炭素数2〜18のアルキルエポキシ化合物、炭素数が2〜18のアルコキシエポキシ化合物や重合性基含有エポキシ化合物が挙げられる。エポキシ化合物の炭素数が19以上である場合には、極性が低下するため、側鎖にカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体との相溶性が得られず、反応が円滑に進まないことがある。
上記重合性基含有エポキシ化合物を用いると、光硬化時の感度の上昇や、耐熱性、耐薬品性、タックフリー性等の様々な物性の更なる向上が実現される。
上記重合性基含有エポキシ化合物としては特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリロイル基が炭素数2〜6のアルキレン基を介してエポキシ基と結合したものを使用するのが好ましい。具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル等が挙げられる。
【0218】
上記変性により生じた側鎖に水酸基及びカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体に上記エポキシ化合物を反応させる方法としては特に限定されず、少量の触媒存在下、上記エポキシ化合物を、上記変性により生じた側鎖に水酸基及びカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体の溶液中に滴下又は混合する方法が挙げられる。
この際に用いられる触媒としては特に限定されず、例えば、トリエチルアミン、トリプロミルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ジメチルラウリルアミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチルセチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリメチルブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムブロマイド等が挙げられる。また、必要に応じて、p−メトキシフェノール、ヒドロキノン、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、2,3−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等の重合禁止剤を用いてもよい。
【0219】
上記製造方法に従い、上記変性により生じた側鎖に水酸基及びカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体にエポキシ化合物を反応させた場合には、式(2c)及び(2d)に示される構造単位が形成される。
【0220】
側鎖に水酸基及びカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体に上記イソシアネート化合物やエポキシ化合物、ラクトン化合物、アルコール化合物等を反応させる際には、(メタ)アクリル共重合体中に含まれる水酸基のうち0〜100モル%に相当する量を反応させることができるが、好ましい下限は10モル%である。10モル%未満では、水酸基が多量に残存するため、樹脂の極性か高くなり、特に架橋モノマーとしてカプロラクトン変性された3官能以上の(メタ)アクリレート化合物を含有するものを用いた場合に充分な相溶性が得られないことがある。
【0221】
また、側鎖に水酸基及びカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体に上記イソシアネート化合物やエポキシ化合物、ラクトン化合物、アルコール化合物等を反応させる際には、(メタ)アクリル共重合体中に含まれるカルボキシル基のうち、0〜90モル%に相当する量を反応させることができる。90モル%を超えると、残存するカルボキシル基の量が少なくなりすぎるため、アルカリ可溶性が損なわれ、現像性が低下することがある。
【0222】
上記式(1a)、(1b)、(1c)、(1d)及び(1e)中のa、b、c、d、eは各成分のモル比率(%)を表し、a+b+c+d+e=100とするとき、a、b及びdの下限は0%、上限は90%である。また、cの下限は5%、上限は50%である。また、eの下限は5%、上限は60%である。cの下限は5%、上限は50%であるが、5%未満、即ち、カルボキシル基含有の構造単位のモル比率が5%未満であると、アルカリ可溶性を付与することが困難であり、50%を超えると、現像時の膨潤が著しく、パターンの形成が困難となる。また、eの好ましい下限は5%、好ましい上限は60%であるが、5%未満であるとアルカリ可溶性樹脂の架橋構造への取り込みが不充分となり、圧縮変形からの回復率の向上効果が得られず、60%を超えると、架橋構造の架橋密度が高くなり、柔軟な特性が損なわれる。
【0223】
更に、上記反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物は、不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物と、ブロックイソシアネート基含有不飽和化合物とを含有する共重合体(以下、共重合体(8)ともいう)であってもよい。上記共重合体(8)を含有する本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物は、弾性に優れ、圧縮変形からの回復率に優れたものとなり、製造した表示素子には重力不良が生じることがない。これは、カラムスペーサを製造する際のポストベーク工程において、上記共重合体(8)中のブロックイソシアネート基、カルボキシル基(及び水酸基)が反応することで、反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物の可塑剤的な挙動が抑制され、製造するカラムスペーサの圧縮変形における塑性変形が抑えられるためと考えられる。
【0224】
上記共重合体(8)中の不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物としては特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸、又は、これらジカルボン酸の無水物等が挙げられる。
【0225】
上記共重合体(8)における上記不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物の構成比率としては特に限定されないが、上記共重合体(8)における好ましい下限は10重量%、好ましい上限は40重量%である。10重量%未満であると、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物にアルカリ可溶性を付与することが困難となり、40重量%を超えると、カラムスペーサを製造する際の現像時における膨潤が著しくカラムスペーサのパターンの形成が困難となることがある。より好ましい下限は15重量%、より好ましい上限は30重量%である。
【0226】
また、上記共重合体(8)中のブロックイソシアネート基含有不飽和化合物としては特に限定されず、例えば、イソシアネートを活性メチレン系、オキシム系、ラクタム系、アルコ−ル系等のブロック剤化合物によりブロック化することにより得られるものが挙げられる。具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸2−(O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル等が挙げられ、このブロックイソシアネート基含有不飽和化合物の市販品としては、昭和電工社製の「カレンズMOI−BM」等が挙げられる。
【0227】
上記共重合体(8)における上記ブロックイソシアネート基含有不飽和化合物の構成比率としては特に限定されないが、上記共重合体(8)における好ましい下限は2重量%、好ましい上限は90重量%である。2重量%未満であると、反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物の架橋が不充分となり、カラムスペーサの塑性変形が大きく、製造する液晶表示素子に重力不良が発生し易くなる。90重量%を超えると、相対的に不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物の含有量が低下するので、アルカリ可溶性を付与することが困難となる。より好ましい下限は5重量%、より好ましい上限は85重量%である。
【0228】
上記共重合体(8)は、更に、水酸基含有不飽和化合物を含有する共重合体であることが好ましい。水酸基が導入されることにより、ブロックイソシアネート基との架橋反応効率が向上るとともに、アルカリ現像時の溶解性を調整することができる。
【0229】
上記共重合体(8)中の水酸基含有不飽和化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。
【0230】
上記共重合体(8)における上記水酸基含有不飽和化合物の構成比率としては特に限定されないが、上記共重合体(8)における好ましい上限は40重量%である。40重量%を超えると、アルカリ現像におけるパターンの防潤が著しく、パターンの解像度が低下するとともにパターンの流失等の欠陥が発生し易くなる。より好ましい30重量%である。
【0231】
更に、上記共重合体(8)は、上記不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物、ブロックイソシアネート基含有不飽和化合物、並びに、水酸基含有不飽和化合物以外の重合性不飽和化合物由来の構造単位が含有された共重合体であってもよい。
上記重合性不飽和化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸イソボロニル等の(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;フェニルマレイミド、ベンジルマレイミド、ナフチルマレイミド、o−クロロフェニルマレイミド等の芳香族置換マレイミド;メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、イソプロピルマレイミド等のアルキル置換マレイミド等が挙げられる。
【0232】
このような構造単位からなる上記共重合体(8)の重量平均分子量としては特に限定されないが、好ましい下限は3000、好ましい上限は10万である。3000未満であると、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を用いてカラムスペーサを製造する際の現像性が低下する場合があり、10万を超えると、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を用いてカラムスペーサを製造する際の解像度が低下することがある。より好ましい下限は5000、より好ましい上限は5万である。
【0233】
上記共重合体(8)を製造する方法としては特に限定されず、例えば、ラジカル重合開始剤及び必要に応じて分子量調節剤を用いて、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合、乳化重合等の従来公知の方法により重合する方法が挙げられる。なかでも、溶液重合が好適である。
【0234】
溶液重合法により上記共重合体(8)を製造する場合、使用する溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、グリコール等の脂肪族アルコール類;セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類;酢酸セロソルブ、酢酸カルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;テトラヒドロフラン等の環状エーテル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の極性を有する有機溶剤等を用いることができる。
【0235】
また、懸濁重合、分散重合、乳化重合等の非水系の分散重合により上記共重合体(8)を製造する場合、使用する媒体としては、例えば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン等の液状の炭化水素や、その他の非極性の有機溶剤等を用いることができる。
【0236】
上記共重合体(8)を製造する場合に用いるラジカル重合開始剤としては特に限定されず、例えば、過酸化物、アゾ開始剤等の従来公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。
上記ラジカル重合開始剤の使用量としては、例えば、上記共重合の全単量体成分100重量部に対して好ましい下限は0.001重量部、好ましい上限は5.0重量部であり、より好ましい下限は0.5重量部、より好ましい上限は3.0重量部である。
【0237】
上記分子量調節剤としては、例えば、α−メチルスチレンダイマー、メルカプタン系の連鎖移動剤等が挙げられる。なかでも、炭素数8以上の長鎖アルキルメルカプタンが、臭気や着色の少なさの点で好ましい。
【0238】
本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物は、上記反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物と架橋反応可能な官能基を有する熱架橋剤を含有する。
上記熱架橋剤としては、上記反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物の種類に応じて適宜選択されるが、2以上のブロックイソシアネート基を有する熱架橋剤が好適である。
【0239】
上記2以上のブロックイソシアネート基を有する熱架橋剤としては特に限定されず、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及び、これらのオリゴマーからなる多官能イソシアネートを、活性メチレン系、オキシム系、ラクタム系、アルコ−ル系等のブロック剤化合物によりブロック化することにより得られるものが挙げられる。これらの熱架橋剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
このような2以上のブロックイソシアネート基を有する熱架橋剤のうち市販されているものとしては、例えば、デュラネート17B−60PX、デュラネートE−402−B80T(以上、旭化成ケミカルズ社製)等が挙げられる。
【0240】
本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物における上記熱架橋剤の配合量としては、上記反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物100重量部に対して好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が50重量部である。0.01重量部未満であると、充分に熱硬化しないことがあり、50重量部を超えると、得られる硬化物の架橋度が高くなりすぎて上述の弾性特性を満たさないことがある。より好ましい下限は0.05重量部、より好ましい上限は20重量部である。
【0241】
本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて上記一般式(1)で表される光反応開始剤以外の光反応開始剤を含有してもよい。
このような光反応開始剤としては、上記2官能以上の不飽和結合を有する化合物の種類に応じて適宜選択すればよいが、例えば、ベンゾイン、ベンゾフェノン、ベンジル、チオキサントン及びこれらの誘導体等の従来公知の光反応開始剤を用いることができる。具体的には、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ミヒラーケトン、(4−(メチルフェニルチオ)フェニル)フェイルメタノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1(4−メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等が挙げられる。これらの光反応開始剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0242】
本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物における上記光重合開始剤の配合量としては、上記2官能以上の不飽和結合を有する化合物100重量部に対して好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が50重量部である。0.01重量部未満であると、光硬化しないことがあり、50重量部を超えると、フォトリソグラフィーにおいてアルカリ現像できないことがある。より好ましい下限は0.05重量部、より好ましい上限は20重量部である。
【0243】
本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物は、更に、酸素による反応障害を軽減するために反応助剤を含有してもよい。このような反応助剤と水素引き抜き型の光反応開始剤とを併用することにより光照射したときの硬化速度を向上させることができる。
上記反応助剤としては特に限定されず、例えば、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンテトラミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等のアミン系、トリ−n−ブチルホスフィン等のホスフィン系;s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルフィネート等のスルホン系のもの等が挙げられる。これらの反応助剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0244】
本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物は、粘度を調整するために希釈剤により希釈してもよい。上記希釈剤としては、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組との相溶性、塗工方法、乾燥時の膜均一性、乾燥効率等を考慮して選択すればよく特に限定されないが、本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組をスピンコーター、スリットコーターを用いて塗工する場合には、例えば、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、エチルセルソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、イソプロピルアルコール等の有機溶媒が好適である。これらの希釈剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0245】
本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、基板との密着性を向上するためのシランカップリング剤等の従来公知の添加剤を含有してもよい。
【0246】
本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を製造する方法としては特に限定されず、例えば、上記2官能以上の不飽和結合を有する化合物、反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物、熱架橋剤、光反応開始剤及び必要に応じて使用する希釈剤等を従来公知の方法により混合する方法が挙げられる。
【0247】
本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を用いれば、光硬化及び熱硬化させることにより優れた弾性特性を有する硬化物が得られ、これを用いてなるカラムスペーサを用いれば、重力不良による色ムラのない液晶表示素子を製造することができる。
本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を用いてなるカラムスペーサもまた、本発明の1つである。
【0248】
本発明のカラムスペーサは、極めて優れた弾性特性を有する。
すなわち、本発明のカラムスペーサは、25℃における15%圧縮時の弾性係数の下限が0.2GPa、上限が1.0GPaである。0.2GPa未満であると、軟らかすぎてセルギャップの保持が困難であり、1.0GPaを超えると、硬すぎて基板貼り合わせ時にカラーフィルター層に突入してしまったり、回復に必要な充分な弾性変形が得られなかったりする。好ましい下限は0.3GPa、好ましい上限は0.9GPaであり、より好ましい下限は0.5GPa、より好ましい上限は0.7GPaである。
【0249】
また、本発明のカラムスペーサは、25℃において15%圧縮変形したときの回復率の下限が70%である。70%未満であると、得られた液晶表示素子の基板間におけるカラムスペーサが回復しようとする力が弱すぎて、充分な重力不良抑制効果が得られない。好ましい下限は80%である。回復率の上限については特に限定されない。
【0250】
なお、本発明において15%圧縮とは、カラムスペーサの高さの変形率が15%となるように圧縮することを意味する。また、弾性係数及び回復率は、以下の方法により測定したものである。
すなわち、まず、基板上に形成したカラムスペーサを10mN/秒の荷重印加速度で圧縮し、初期高さH0の85%に相当する高さになるまで圧縮する。ここで10mNの荷重を印加した際のカラムスペーサ高さをH、H0の85%に相当するカラムスペーサ高さをH、Hに達した時点での荷重をFとする。次いで、この荷重Fを5秒間保持し、定荷重での変形を与えた後、10mN/秒の荷重印加速度で負荷を取り除き弾性回復によるカラムスペーサ高さの回復変形を測定する。この間の圧縮変形が最大となった時点のカラムスペーサ高さをHとし、カラムスペーサの変形を回復する過程における10mNの荷重印可時のカラムスペーサ高さをHとする。弾性計数及び回復率は、下記式(1)及び下記式(2)により算出することができる。
【0251】
弾性係数E=F/(D×S) (1)
回復率R=(H−H)/(H−H)×100 (2)
【0252】
式(1)中、Fは荷重(N)を表し、Dはカラムスペーサの高さの変形率を表し、Sはカラムスペーサの断面積(m)を表す。
【0253】
本発明のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を用いて本発明のカラムスペーサを製造する方法としては特に限定されないが、例えば、カラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物をガラス基板上に塗工して塗膜を形成する塗膜形成工程と、得られた塗膜に活性光線を照射して、上記2官能以上の不飽和結合を有する化合物と光反応開始剤とを架橋反応させて光硬化物を得る光硬化工程と、上記光硬化工程後の光硬化物をアルカリ現像して所定のパターンを形成する現像工程と、上記現像工程後のパターン化された光硬化物を加熱処理して、上記反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物と反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物と架橋反応可能な官能基を有する熱架橋剤とを架橋反応させて熱硬化物を得る熱硬化工程とを有する方法が好適である。
【0254】
本発明のカラムスペーサの製造方法では、まず、カラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物をガラス基板上に塗工して塗膜を形成する塗膜形成工程を行う。塗工の方法としては特に限定されず、例えば、スピンコート、スリットコート、スプレーコート、ディップコート、バーコート等の従来公知の塗工法を用いることができる。塗工した後、一定時間乾燥させることにより塗膜が形成される。
【0255】
次いで、得られた塗膜に活性光線を照射して、上記2官能以上の不飽和結合を有する化合物と光反応開始剤とを架橋反応させて光硬化物を得る光硬化工程を行う。光照射の方法としては特に限定されないが、通常は、得られた被膜上に、所定のパターンが形成されたマスクを介して紫外線等の活性光線を照射する。
上記活性光線の照射量としては、少なくとも、紫外線の場合で100mJ/cm以上であることが好ましい。100mJ/cm未満であると、光硬化が不充分で現像工程においてアルカリ処理したときに露光部まで溶解しパターンが形成されないことがある。
【0256】
次いで、光硬化工程後の光硬化物をアルカリ現像して所定のパターンを形成する現像工程を行う。現像方法としては特に限定されず、水酸化カルシウム等のアルカリ溶液で未露光部分を溶解した後、純水で洗浄する等の従来公知の方法を用いることができる。
最後に、現像工程後のパターン化された光硬化物を加熱処理して、上記反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物と熱架橋剤とを架橋反応させて熱硬化物を得る熱硬化工程を行うことにより、所定のパターンを有し、かつ、弾性特性に優れたカラムスペーサが得られる。上記加熱の条件としては、上記パターンの大きさや厚さ等を考慮して適宜決定すればよいが、少なくとも、200℃、20分間以上であることが好ましい。200℃未満、又は、20分間未満であると、熱硬化が不充分で充分に弾性特性に優れたカラムスペーサが得られないことがある。
【0257】
このようにして製造した本発明のカラムスペーサの高さをセルギャップより若干高くなるように設計して、ODF法等の従来公知の方法により製造することにより、重力不良による色ムラのない液晶表示素子が得られる。
本発明のカラムスペーサを用いてなる液晶表示素子もまた、本発明の1つである。
【発明の効果】
【0258】
本発明によれば、重力不良による色ムラの発生を効果的に抑制できるカラムスペーサを製造することができるカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物、該カラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を用いたカラムスペーサ、及び、液晶表示素子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0259】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0260】
(実施例1)
(1)アルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物の重合
3L容のセパラブルフラスコに、溶媒としてジエチレングリコールジメチルエーテル120重量部を仕込み、窒素雰囲気下にて90℃に昇温した後、メタクリル酸メチル20重量部、メタクリル酸16重量部、メタクリル酸n−ブチル24重量部、アクリル酸2−エチルヘキシル20重量部、アゾビスバレロニトリル0.8重量部、及び、n−ドデシルメルカプタン1.6重量部を3時間かけて連続的に滴下した。その後、90℃にて30分間保持した後、温度を105℃に昇温し、3時間重合を継続し、アルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物溶液を得た。
得られたアルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物をサンプリングし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は約2万であった。
【0261】
(2)カラムスペーサ用硬化性樹脂組成物の調製
得られたアルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物溶液100重量部(固形分率40wt%)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ジペンタエリスリトール1モルにカプロラクトン12モルを反応させてなる化合物1モルに、アクリル酸6モルをエステル化により反応させた化合物)60重量部、オキシムエステル化合物(チバスペシャルティケミカルズ社製、イルガキュアーOXE02)25重量部、熱架橋剤(旭化成ケミカルズ社製、デュラネート17B−60PX)8重量部を混合し、更に、希釈剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート70重量部を加えて混合して、カラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を得た。
【0262】
(3)カラムスペーサの製造
透明導電膜が形成されたガラス基板上に、得られたカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物をスピンコーターを用いて塗工した後、80℃で3分間乾燥して塗膜を形成した。得られた塗膜に、20μm角のドットパターンマスクを介して120mJ/cmの強度で紫外線を照射した。0.04%KOH溶液により60秒現像した後、純水にて30秒間洗浄して、カラムスペーサのパターンを形成した。次いで、220℃で1時間のベーキングを行った。これにより、断面形状が20μm×20μm(断面積400μm)、高さが5.0μmのカラムスペーサを得た。
【0263】
(4)液晶表示素子の製造
得られたカラムスペーサが形成されたガラス基板上に、シール剤(積水化学工業社製)を長方形の枠を描く様にディスペンサーで塗布した。続いて、液晶(チッソ社製、JC−5004LA)の微小滴をガラス基板の枠内全面に滴下塗布し、すぐに他方のガラス基板を重ねあわせてシール部に高圧水銀ランプを用い紫外線を50mW/cmで60秒照射した。その後、液晶アニールを120℃にて1時間行い熱硬化させ、液晶表示素子を作製した。
【0264】
(実施例2)
実施例1で得られたアルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物溶液100重量部、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(トリメチロールプロパン1モルにプロピレンオキサイド20モルを反応させてなる化合物1モルに、アクリル酸3モルをエステル化により反応させた化合物)120重量部、オキシムエステル化合物(チバスペシャルティケミカルズ社製、イルガキュアーOXE02)15重量部、光反応開始剤として「イルガキュアー369」(チバスペシャリティケミカルズ社製)10重量部、フッ素系界面活性剤として「PolyFox PF−6320」(オムノバ ソリューソンズ インコーポレーティッド社製)0.5重量部、熱架橋剤として「デュラネートE−402−B80T」(旭化成ケミカルズ社製)8重量部、及び、溶剤としてジエチレングリコールジメチルエーテル60重量部を混合してカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を調製した。
【0265】
透明導電膜が形成されたガラス基板上に、得られたカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物をスピンコーターを用いて塗工した後、80℃で3分間乾燥して塗膜を形成した。得られた塗膜に、20μm角のドットパターンマスクを介して120mJ/cmの強度で紫外線を照射した。0.04%KOH溶液により60秒現像した後、純水にて30秒間洗浄して、カラムスペーサのパターンを形成した。次いで、220℃で1時間のベーキングを行った。これにより、断面形状が20μm×20μm(断面積400μm)、高さが4.6μmのカラムスペーサを得た。
得られたカラムスペーサが形成されたガラス基板を用いた以外は実施例1と同様の方法により液晶表示素子を製造した。
【0266】
(実施例3)
アルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物として「サイクロマーP ACA−230AA」(ダイセル化学社製)100重量部(固形分率40wt%)、カルボン酸付加カプロラクトン変性テトラメチロールメタントリアクリレート(テトラメチロールメタン1モルにカプロラクトン8モルを反応させてなる化合物1モルに、アクリル酸3モルをエステル化により反応した化合物の水酸基に、テトラヒドロ無水カルボン酸1モルを付加した化合物)80重量部、オキシムエステル化合物(チバスペシャルティケミカルズ社製、イルガキュアーOXE02)15重量部、光反応開始剤として「イルガキュアー379」(チバスペシャリティケミカルズ社製)15重量部、フッ素系界面活性剤として「PolyFox AT−1005」(オムノバ ソリューソンズ インコーポレーティッド社製)0.6重量部、及び、溶剤として3−メトキシブタノール60重量部を混合してカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を調製した。
【0267】
透明導電膜が形成されたガラス基板上に、得られたカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物をスピンコーターを用いて塗工した後、80℃で3分間乾燥して塗膜を形成した。得られた塗膜に、20μm角のドットパターンマスクを介して120mJ/cmの強度で紫外線を照射した。0.04%KOH溶液により60秒現像した後、純水にて30秒間洗浄して、カラムスペーサのパターンを形成した。次いで、220℃で1時間のベーキングを行った。これにより、断面形状が20μm×20μm(断面積400μm)、高さが4.6μmのカラムスペーサを得た。
得られたカラムスペーサが形成されたガラス基板を用いた以外は実施例1と同様の方法により液晶表示素子を製造した。
【0268】
(比較例1)
実施例1で調製したアルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物溶液100重量部(固形分率40wt%)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ジペンタエリスリトール1モルにカプロラクトン12モルを反応させてなる化合物1モルに、アクリル酸6モルをエステル化により反応させた化合物)60重量部、光反応開始剤として「イルガキュアー907」(チバスペシャリティケミカルズ社製)、25重量部、熱架橋剤(旭化成ケミカルズ社製、デュラネート17B−60PX)8重量部を混合し、更に、希釈剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート70重量部を加えて混合して、カラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を得た。
【0269】
透明導電膜が形成されたガラス基板上に、得られた硬化性樹脂組成物をスピンコートを用いて塗布した後、80℃で3分間乾燥して塗膜を形成した。得られた塗膜に、20μm角のドットパターンマスクを介して120mJ/cmの強度で紫外線を照射した。0.04%KOH溶液により60秒現像した後、純水にて30秒間洗浄して、カラムスペーサのパターンを形成した。次いで、220℃で1時間のベーキングを行った。これにより、断面形状が20μm×20μm(断面積400μm)、高さが5.0μmのカラムスペーサを得た。
得られたカラムスペーサが形成されたガラス基板を用いた以外は実施例1と同様の方法により液晶表示素子を製造した。
【0270】
(比較例2)
実施例1で得られたアルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物溶液100重量部、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(トリメチロールプロパン1モルにプロピレンオキサイド20モルを反応させてなる化合物1モルに、アクリル酸3モルをエステル化により反応させた化合物)120重量部、光反応開始剤として「イルガキュアー369」(チバスペシャリティケミカルズ社製)25重量部、フッ素系界面活性剤として「PolyFox PF−6320」(オムノバ ソリューソンズ インコーポレーティッド社製)0.5重量部、熱架橋剤として「デュラネートE−402−B80T」(旭化成ケミカルズ社製)8重量部、及び、溶剤としてジエチレングリコールジメチルエーテル60重量部を混合してカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を調製した。
【0271】
透明導電膜が形成されたガラス基板上に、得られた硬化性樹脂組成物をスピンコートを用いて塗布した後、80℃で3分間乾燥して塗膜を形成した。得られた塗膜に、20μm角のドットパターンマスクを介して120mJ/cmの強度で紫外線を照射した。0.04%KOH溶液により60秒現像した後、純水にて30秒間洗浄して、カラムスペーサのパターンを形成した。次いで、220℃で1時間のベーキングを行った。これにより、断面形状が20μm×20μm(断面積400μm)、高さが4.9μmのカラムスペーサを得た。
得られたカラムスペーサが形成されたガラス基板を用いた以外は実施例1と同様の方法により液晶表示素子を製造した。
【0272】
(評価)
実施例1〜3及び比較例1、2で得られたカラムスペーサ及び液晶表示素子について以下の方法により評価を行った。
結果を表1に示した。
【0273】
(1)カラムスペーサの評価
温度25℃に調整した室内において、カラムスペーサを10mN/sの荷重印加速度で圧縮し、初期高さH0の85%に相当する高さになるまで圧縮した。ここで10mNの荷重を印加した際のカラムスペーサ高さをH、H0の85%に相当するカラムスペーサ高さをH、Hに達した時点での荷重をFとした。次いで、この荷重Fを5秒間保持し、定荷重での変形を与えた後、10mN/秒の荷重印加速度で負荷を取り除き弾性回復によるカラムスペーサ高さの回復変形を測定した。この間の圧縮変形が最大となった時点のカラムスペーサ高さをHとし、カラムスペーサの変形を回復する過程における10mNの荷重印可時のカラムスペーサ高さをHとした。得られた各値を用いて、上記式(1)及び上記式(2)により15%圧縮時の弾性係数及び15%圧縮変形したときの回復率を算出した。
【0274】
(2)液晶表示素子の評価
液晶表示素子を点灯表示し、セルギャップの均一性を表示画面を目視にて観察して、以下の基準により評価した。次に、液晶表示素子を垂直に立てた状態で、60℃の条件下にて2日間放置した。放置後、目視により表示画像を観察し、重力不良の発生について以下の基準により評価した。
また、液晶表示素子の面上に50N/cmの荷重を10秒間印加し、荷重を取り除いた後、5分放置後の表示画像を観察することにより、カラムスペーサの圧縮に対する耐久性を以下の基準により評価した。
セルギャップの評価
〇:均一
×:色ムラあり
重力不良の評価
〇:均一
×:色ムラあり
圧縮耐久性の評価
○:均一
×:色ムラあり
【0275】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0276】
本発明によれば、重力不良による色ムラの発生を効果的に抑制できるカラムスペーサを製造することができるカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物、該カラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を用いたカラムスペーサ、及び、液晶表示素子を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2官能以上の不飽和結合を有する化合物、反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物、前記反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物と架橋反応可能な官能基を有する熱架橋剤、及び、光反応開始剤を含有するカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物であって、
前記光反応開始剤は、下記一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物である
ことを特徴とするカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物。
【化1】

一般式(1)において、Rは、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基又はフェニル基を表し、Rは、水素原子、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基又はフェニル基を表し、Rは、水素原子又は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を表し、R及びRは、相互に独立に水素原子又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を表し、Rは、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、又は、炭素数1〜9のシクロアルキルアルコキシル基を表す。但し、R、R、R、R、R及びRのアルキル基は、それぞれ、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシル基、フェニル基及びハロゲン原子からなる群より選択される置換基で置換されてもよく、R及びRのフェニル基は、それぞれ、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシル基、フェニル基及びハロゲン原子からなる群より選択される置換基で置換されてもよい。
【請求項2】
2官能以上の不飽和結合を有する化合物は、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された2官能以上の不飽和結合を有する化合物であることを特徴とする請求項1記載のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
2官能以上の不飽和結合を有する化合物は、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された分子内に1以上の水酸基と2官能以上の不飽和結合とを有する化合物であることを特徴とする請求項1記載のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
2官能以上の不飽和結合を有する化合物は、カプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された2官能以上の不飽和結合を有する化合物であることを特徴とする請求項1記載のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
2官能以上の不飽和結合を有する化合物は、カプロラクトン変性された分子内に1以上の水酸基と2官能以上の不飽和結合とを有する化合物であることを特徴とする請求項1記載のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
2官能以上の不飽和結合を有する化合物は、カプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された分子内に1以上の水酸基と2官能以上の不飽和結合とを有する化合物であることを特徴とする請求項1記載のカラムスペーサ用光熱構成樹脂組成物。
【請求項7】
2官能以上の不飽和結合を有する化合物は、分子内に1以上のカルボキシル基と2官能以上の不飽和結合とを有する化合物であることを特徴とする請求項1記載のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
2官能以上の不飽和結合を有する化合物は、カプロラクトン変性された3官能以上の(メタ)アクリレート化合物であることを特徴とする請求項1記載のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物は、不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物と、下記一般式(2)で表される化合物と、前記不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物、並びに、下記一般式(2)で表される化合物以外の不飽和化合物との共重合体であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物。
【化2】

一般式(2)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、xは、0〜10の整数である。
【請求項10】
反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物は、下記一般式(3)により表されるセグメントを含有する化合物であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物。
【化3】

一般式(3)中、Rは、水素及び/又はメチル基を表し、Rは炭素数1〜18のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリル基、アラルキル基又はニトリル基を表す。l、m、nは、整数を表し、(l+n)/mが5/5〜9/1、かつ、l/nが8/1〜2/7である。
【請求項11】
反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物は、下記一般式(4)及び/又は(5)で表されるセグメントを有する側鎖にカルボキシル基と(メタ)アクリル基とを有するアルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物。
【化4】

【化5】

一般式(4)及び(5)中、R10、R11は、水素又はメチル基を表し、yは、1〜5の整数を表す。
【請求項12】
反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物は、少なくとも、側鎖に炭素数8以上の長鎖アルキル及び/又は環構造骨格を含有する構造単位(A1)と、側鎖にアルカリ可溶性官能基を含有する構造単位(A2)とを有する共重合体であり、かつ、前記構造単位(A1)の含有量が5〜70モル%、前記構造単位(A2)成分の含有量が10〜50モル%であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物。
【請求項13】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12記載のカラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物を用いてなることを特徴とするカラムスペーサ。
【請求項14】
25℃における15%圧縮時の弾性係数が0.2〜1.0GPaであり、25℃における15%圧縮変形したときの回復率が70%以上であることを特徴とする請求項13記載のカラムスペーサ。
【請求項15】
請求項13又は14記載のカラムスペーサを用いてなることを特徴とする液晶表示素子。

【公開番号】特開2007−277512(P2007−277512A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−244474(P2006−244474)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】