説明

カラーフィルタおよびこれを備えた液晶表示装置

【課題】横電界方式の液晶表示装置において、カラーフィルタの着色層の電気的な性質が液晶のスイッチング性能に悪影響を与えることがなく、透明樹脂による保護層(オーバーコート層)を設けなくとも十分な性能を確保でき、かつ高色再現性に対応できるカラーフィルタ及びそれを備えた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】赤色LED、緑色LED及び青色LEDを組み合わせて混色させた白色バックライトと、少なくとも赤色、緑色及び青色の画素の着色層を具備するカラーフィルタとを有する液晶表示装置に用いるカラーフィルタにおいて、緑色の画素を形成する着色層がPigment Green 36を含み、前記Pigment Green 36の含有量が18重量%以下であり、且つ、前記緑色の画素を形成する着色層の誘電正接(tanδ)が液晶表示装置の駆動周波数およびその近傍で0.03以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置用のカラーフィルタに関するものであり、特に横電界方式の液晶表示装置において、カラーフィルタの着色層の電気的な性質が液晶のスイッチング性能に悪影響を与えることがないカラーフィルタおよびこれを備えた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶表示装置はコンピュータ端末表示装置、テレビ画像表示装置を中心に急速に普及が進んでいる。カラーフィルタは液晶表示装置のカラー表示化には必要不可欠な重要な部品である。近年、この液晶表示装置は高画質化の要求が高く、高視野角、高速応答性を備える様々な新しい方式の液晶表示装置が出現してきている。この中でも、横電界方式(In Plane Switching=IPS方式)は視野角、コントラスト比などの表示品位に優れるため広く普及が期待されている方式である。
【0003】
ところが、横電界方式の液晶表示装置は、他のTwisted Nematic方式(TN方式)やVartical Alignment方式(VA方式)などと異なり、液晶駆動電界中にカラーフィルタの着色層が存在するため、着色層の材料の電気的な特性の影響を直接受けてしまうという問題点がある。実際、従来の着色層材料、特に緑色画素の着色層にPigment Green 36を使用した場合、横電界方式の液晶表示装置では着色層材料の電気的特性に起因する液晶の配向乱れ、スイッチングの閾値ずれによる焼き付き現象など、様々な表示不良が起こっていた。この着色層材料の電気的特性は主として着色剤である顔料そのものの性質によるものである。
【0004】
この着色層材料の電気的な特性を緩和し、表示不良を回避するために、Pigment
Green 36を用いたカラーフィルタを横電界方式の液晶表示装置に用いる場合は、特許文献1に開示されているように、透明樹脂による保護層(オーバーコート層)を設けることが一般的である。しかしながら、近年の液晶表示装置の低価格化は著しく、その部材であるカラーフィルタも低価格化の必要に迫られており、保護層を設けることなく用いることができるカラーフィルタが望まれている。
【0005】
一方、電気的な特性を改善する方法として、特許文献2に開示されているように、緑色画素の着色層に含有されるカラーインデックス・ナンバーでPigment Green
36の量を削減する方法も提案されている。しかしながら緑色画素の着色層に含まれるPigment Green 36を削減することで着色層の着色力は低下するため、液晶表示装置にも高色再現性を求める近年の動向には対応できていない問題点があった。
【特許文献1】特開2004−117537号公報
【特許文献2】特開2006−113099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、特に横電界方式の液晶表示装置において、カラーフィルタの着色層の電気的な性質が液晶のスイッチング性能に悪影響を与えることがなく、透明樹脂による保護層(オーバーコート層)を設けなくとも十分な性能を確保でき、かつ高色再現性に対応できるカラーフィルタ及びそれを備えた液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る発明は、赤色LED、緑色LED及び青色LEDを組み合わせて混色させた白色バックライトと、少なくとも赤色、緑色及び青色の画素の着色層を具備するカラーフィルタとを有する液晶表示装置に用いるカラーフィルタにおいて、緑色の画素を形成する着色層がPigment Green 36を含み、前記Pigment Green 36の含有量が18重量%以下であり、且つ、前記緑色の画素を形成する着色層の誘電正接(tanδ)が液晶表示装置の駆動周波数およびその近傍で0.03以下であることを特徴とするカラーフィルタである。
【0008】
また、本発明の請求項2に係る発明は、赤色LED、緑色LED及び青色LEDを組み合わせて混色させた白色バックライトと、少なくとも赤色、緑色及び青色の画素の着色層を具備するカラーフィルタとを有する液晶表示装置に用いるカラーフィルタにおいて、前記白色バックライトの緑色LEDの発光ピーク波長が500〜540nmであり、CIE1931 XYZ表色系であるxy色度図における色再現可能範囲がNTSC比で72%以上であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタである。
【0009】
また、本発明の請求項3に係る発明は、着色層上に透明樹脂による保護層を有していることを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルタである。
【0010】
また、本発明の請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカラーフィルタを備えることを特徴とする液晶表示装置である。
【0011】
また、本発明の請求項5に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカラーフィルタを備えることを特徴とする横電界方式の液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、赤色LED、緑色LED及び青色LEDを組み合わせて混色させた白色バックライトと、少なくとも赤色、緑色及び青色の画素の着色層を具備するカラーフィルタとを有する液晶表示装置に用いるカラーフィルタにおいて、緑色の画素を形成する着色層が18重量%以下のPigment Green 36を含み、その着色層の誘電正接(tanδ)が液晶表示装置の駆動周波数およびその近傍で0.03以下であることで、横電界方式の液晶表示装置に用いた際に、透明樹脂による保護層(オーバーコート層)を設なくとも、液晶の配向乱れやスイッチングの閾値のずれのない、表示性能に悪影響を与えないカラーフィルタ及びそれを備えた液晶表示装置を提供することができる。
【0013】
また、本発明は、バックライトとして赤色LED及び緑色LED、青色LEDを組み合わせて混色させた白色バックライトにおいて緑色LEDの発光ピーク波長が500〜540nmである白色バックライトを用いることで、一般的なテレビ画像表示装置に必要な色再現性、すなわちCIE1931 XYZ表色系であるxy色度図における色再現可能範囲がNTSC比で72%以上が実現できるカラーフィルタ及びそれを備えた液晶表示装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明によるカラーフィルタを、その一実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0015】
本発明者は、カラーフィルタの電気的な性質と横電界方式液晶表示装置における表示不良の関係について種々検討した結果、横電界方式液晶表示装置の液晶配向不良やスイッチングの閾値ずれは、主として着色層材料の誘電特性により起こっていることを見出した。具体的には誘電正接の値により説明が可能であり、おおむね以下のようなメカニズムによる。
【0016】
誘電正接(tanδ)は誘電体内に蓄積される電荷量と消費される電荷量の比である。誘電正接が比較的小さい場合は誘電体内に蓄積された電荷は保持されるのに対し、誘電正接が比較的大きい場合は電荷は消費されて保持されない。
【0017】
横電界方式の液晶表示装置においてはカラーフィルタの着色層が液晶駆動電界中に内在するため、横電界方式のカラー液晶表示装置においては、カラーフィルタの着色層の誘電正接と他のセル内の部材(液晶、配向膜など)の誘電正接との値が大きく異なると、電荷の保持状態が不均一になる現象が発生する。電荷の保持状態が不均一になることで、横電界方式の液晶表示装置においては生じてはならない、縦方向の電界が発生し液晶の配向不良が発生する、あるいは電荷が余分に残ってしまうことによる閾値ずれで焼き付きが発生するといった表示不良となる。したがって、カラーフィルタの着色層材料の誘電正接は横電界方式の液晶表示装置の表示特性を決める重要な特性となる。誘電正接は測定周波数に依存する値であるが、液晶駆動周波数近傍の誘電正接に着目するのが適当であり、現状では液晶駆動の1フレームが60Hz程度であることから、周期(秒)すなわち周波数で30Hz近辺、おおむね10〜100Hzの周波数での誘電正接に着目するのが適当である。
【0018】
一般に液晶材料、配向膜材料などは電荷を保持する能力が大きく、すなわち、誘電正接が比較的小さい材料であり、その値は一般的に0.005〜0.02程度の値である。したがって、横電界方式の液晶表示装置に用いるカラーフィルタの着色層材料の誘電正接の値は液晶材料、配向膜材料と同程度の値であることが好ましいと考えられる。
【0019】
ここでカラーフィルタの数種類の着色層材料の誘電正接の測定結果を図1、図2、図3に示す。カラーフィルタの着色層の誘電正接は液晶駆動周波数の近傍、すなわち10Hz〜100Hzの範囲で、着色層材料の種類により0.006〜0.2程度の値を示す。これらのうち、特徴的に緑画素の着色層材料に誘電正接が大きい材料が多く、実際に、緑画素においてはオーバーコート層を設けないと画素配向不良、閾値ずれ、などが顕著に発生し易かった。
【0020】
本発明者は、画素の閾値ずれ、配向不良などを解消し表示品位を向上させるために、この特徴的な誘電特性について種々検討を行った。
【0021】
その結果、多色化された液晶表示装置用カラーフィルタにおいて、着色層材料の誘電正接が液晶駆動周波数の近傍、すなわち10Hz〜100Hzの範囲で0.03以下、さらに好ましくは0.02以下とすることで、オーバーコート層を設けることなく画素配向不良、閾値ずれなどの表示品位の低下を効果的に防げることを見出した。着色層材料の誘電正接は概ね低い方が好ましいが、材料の特性上0.005〜0.006程度が下限となる。
【0022】
これらの特性を満足させるためには、液晶表示装置のバックライトとしては赤色LED及び緑色LED、青色LEDを組み合わせて混色させた白色バックライトを用い、カラーフィルタにおいては緑画素を形成する着色層に含まれるPigment Green 36の含有量を18重量%以下とする。
【0023】
Pigment Green 36の含有量が18重量%を超えると、前述のようにPigment Green 36の特性により誘電正接が0.03を超える値となってしまう。Pigment Green 36の含有量が低くなることで色純度が低下するが、バックライトとして赤色LED及び緑色LED、青色LEDを組み合わせて混色させた白色バックライトにおいて緑色LEDの発光ピーク波長が500〜540nmである白色バックライトを用いることで一般的なテレビ画像表示装置に必要な色再現性、すなわちCIE1931 XYZ表色系であるxy色度において色再現可能範囲がNTSC比で72%以上を実現することが可能となる。ただし、Pigment Green 36の含有量が極端に低くなると、バックライトとして赤色LED及び緑色LED、青色LEDを組み合わせて混色させた白色バックライトを用いても一般的なテレビ画像表示装置に必要な色再現可能範囲を実現することが困難になるため、一般的なテレビ画像表示装置を主な用途とする場合はPigment Green 36の含有量は10重量%以上であることが望ましい。ただし他の用途を考慮する場合はこの限りではない。
【0024】
また、前記緑画素を形成する着色層にはPigment Green 36とともにPigment Yellow 150あるいはPigment Yellow 138を含有することが望ましく、これら顔料の含有量はバックライトとして赤色LED及び緑色LED、青色LEDを組み合わせて混色させた白色バックライトを用い、一般的なテレビ画像表示装置に必要な色再現可能範囲を実現するためには、Pigment Green
36と同重量から2倍程度の重量を含有することが好ましい。これら顔料は単一で用いても必要に応じ混合して用いても構わない。さらに必要に応じて他の黄色顔料を含有させても構わない。
【0025】
<カラーフィルタ>
次に、本発明のカラーフィルタを得るための方法を記述する。カラーフィルタの作製方法は、公知のインクジェット法、印刷法、フォトレジスト法、エッチング法など何れの方法で作製しても構わない。しかし、高精細、分光特性の制御性及び再現性等を考慮すると、フォトレジスト法が好ましい。すなわち、顔料を透明な樹脂中に、光開始剤、重合性モノマーと共に適当な溶剤に分散させて感光性着色組成物を得る。この感光性着色組成物を透明基板上に塗布製膜した後、感光性着色層をパターン露光、現像することで一色の着色パターンを形成する。この工程を各色毎に繰り返し行ってカラーフィルタを作製するものである。
【0026】
本発明のカラーフィルタに用いられる透明基板は、一般に液晶表示装置に用いられているものでよく、通常はガラス基板を用いるとよい。遮光パターンを用いる場合はあらかじめこの透明基板上に遮光性樹脂によるパターンを公知の方法で付けたものを用いればよい。
【0027】
まず、顔料を透明な樹脂中に光開始剤、重合性モノマーと共に適当な溶剤に分散させて感光性着色組成物を得る。分散させる方法はミルベース、3本ロール、ジェットミル等様々な方法があり特に限定されるものではない。
【0028】
次に、透明基板上に、上述の感光性着色組成物を塗布し、プリベークを行う。塗布する手段はスピンコート、ディップコート、ダイコートなどが通常用いられるが、透明基板上に均一な膜厚で塗布可能な方法ならばこれらに限定されるものではない。プリベークは50〜120℃で10〜20分ほどすることが好ましい。塗布膜厚は任意であるが、分光透過率などを考慮すると通常はプリベーク後の膜厚で2μm程度である。感光性着色組成物を塗布した透明基板にパターンマスクを介して露光を行う。光源には通常の高圧水銀灯などを用いればよい。
【0029】
続いて現像を行う。現像液にはアルカリ性水溶液を用いる。アルカリ性水溶液の例としては、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、または両者の混合水溶液、もしくはそれらに適当な界面活性剤などを加えたものが挙げられる。現像後、水洗、乾燥してパターンが得られる。
【0030】
以上の一連の工程を、感光性着色組成物およびパターンを替え、必要な数だけ繰り返すことで必要な色数が組み合わされた着色パターンを得ることができる。
【0031】
前述したように、本発明のカラーフィルタは着色層が良好な電気特性を有するため、オーバーコート層を特に必要としないが、カラーフィルタの耐溶剤性をより向上させるため、あるいは表面をより平坦化することなどを目的に、透明樹脂による保護層を設けることも可能である。
【0032】
<バックライト装置>
次に、本発明に用いるバックライトを得るための方法を記述する。本発明で用いられるバックライト装置は、液晶パネルの背面に配置され、透過型又は半透過型のカラー液晶表示装置の背面光源手段として用いられる面状光源装置を指し、光源として赤、緑、青の波長域に発光する3色のLEDと、この光源光をほぼ均一な面光源に変換する光均一化手段とを具備するものである。
【0033】
バックライト装置は、LED光源と、光源より発せられた光を観察者側に向けて反射するリフレクタ、光源からの光を導き面状とするための導光体として用いる透光性の平板からなる基板、三角プリズム状のアレーを形成した調光シートなどを適切に配置することで構成される。光源の設置方式としては、液晶素子の背面直下に光源を配設する方法(直下方式)や、側面に光源を配設しアクリル板等の透光性の導光体を用いて光を面状に変換して面光源を得る方法(サイドライト方式)が代表的である。高輝度が必要な用途については直下方式が、薄型化が必要な用途についてはサイドライト方式がそれぞれ好適であり、用途に応じて実用化されている。
【0034】
LED光源として、一般には、赤、緑、青の波長領域に主発光波長を有するLEDが用いられる。赤色領域に主発光波長を有するLEDとしてはGaAsP系LEDが挙げられ、緑色領域に主発光波長を有するLEDとしてはGaP系LEDが挙げられ、青色領域に主発光波長を有するLEDとしてはInGaN系LED、GaN系LEDが挙げられる。
【実施例】
【0035】
以下に、実施例により本発明の具体的実施例について説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においてこれに限定されるものではない。
【0036】
<感光性着色組成物>
カラーフィルタ作製に用いる感光性着色組成物を着色するための着色剤には以下の顔料を使用し、それぞれの顔料を用いて赤色、緑色、青色の感光性着色組成物を作製した。
【0037】
赤色用顔料:C.I.Pigment Red 254(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製「イルガーフォーレッド B−CF」)、C.I.Pigment Red 177(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製「クロモフタールレッド A2B」)、およびC.I.Pigment Yellow 150(ランクセス製「ファンチョンファーストイエロー Y−5688」)
緑色用顔料:C.I.Pigment Green 36(東洋インキ製造製「リオノールグリーン 6YK」)、C.I.Pigment Yellow 150(ランクセス製「ファンチョンファーストイエロー Y−5688」)、およびC.I.Pigment Yellow 138(BASF製「アリオトールイエロー K0961HD」)
青色用顔料:C.I.Pigment Blue 15(東洋インキ製造製「リオノールブルーES」)C.I.Pigment Violet 23(BASF製「パリオゲンバイオレット 5890」)
<赤色感光性着色組成物>
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して赤色顔料の分散体を作製した。
【0038】
赤色顔料:C.I. Pigment Red 254 10部
赤色顔料:C.I. Pigment Red 177 10部
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 150 5部
アクリルワニス(固形分20%) 96部
シクロヘキサノン 112部
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して赤色感光性着色組成物を得た。
【0039】
上記赤色顔料の分散体 233部
アクリルワニス(固形分20%) 41部
カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(日本化薬製「カヤラッドDPCA30」) 13部
光開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製
「イルガキュアーOXE−02」) 3部
光開始剤(日本化薬製「カヤキュアーDETX」) 1部
シクロヘキサノン 208部
<緑色感光性着色組成物1>
組成がそれぞれ下記組成となるように,赤色感光性着色組成物と同様の方法で作製した。
【0040】
緑色顔料:C.I. Pigment Green 36 16部
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 150 16部
アクリルワニス(固形分20%) 212部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(東亞合成製「アロニックスM402」) 17部
光開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製
「イルガキュアーOXE02」) 6部
光開始剤(BASF製「ルシリンTPO」) 3部
シクロヘキサノン 458部
<緑色感光性着色組成物2>
組成がそれぞれ下記組成となるように,赤色感光性着色組成物と同様の方法で作製した。
【0041】
緑色顔料:C.I. Pigment Green 36 25部
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 150 11部
アクリルワニス(固形分20%) 216部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(東亞合成製「アロニックスM402」) 17部
光開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製
「イルガキュアーOXE02」) 6部
光開始剤(BASF製「ルシリンTPO」) 3部
シクロヘキサノン 273部
<緑色感光性着色組成物3>
組成がそれぞれ下記組成となるように,赤色感光性着色組成物と同様の方法で作製した。
【0042】
緑色顔料:C.I. Pigment Green 36 8部
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 150 19部
アクリルワニス(固形分20%) 221部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(東亞合成製「アロニックスM402」) 18部
光開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製
「イルガキュアーOXE02」) 6部
光開始剤(BASF製「ルシリンTPO」) 3部
シクロヘキサノン 373部
<緑色感光性着色組成物4>
組成がそれぞれ下記組成となるように,赤色感光性着色組成物と同様の方法で作製した。
【0043】
緑色顔料:C.I. Pigment Green 36 16部
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 138 16部
アクリルワニス(固形分20%) 212部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(東亞合成製「アロニックスM402」) 17部
光開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製
「イルガキュアーOXE02」) 6部
光開始剤(BASF製「ルシリンTPO」) 3部
シクロヘキサノン 458部
<緑色感光性着色組成物5>
組成がそれぞれ下記組成となるように,赤色感光性着色組成物と同様の方法で作製した。
【0044】
緑色顔料:C.I. Pigment Green 36 25部
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 138 11部
アクリルワニス(固形分20%) 216部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(東亞合成(株)製「アロニックスM402」) 17部
光開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製
「イルガキュアーOXE02」) 6部
光開始剤(BASF製「ルシリンTPO」) 3部
シクロヘキサノン 273部
<緑色感光性着色組成物6>
組成がそれぞれ下記組成となるように,赤色感光性着色組成物と同様の方法で作製した。
【0045】
緑色顔料:C.I. Pigment Green 36 8部
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 138 19部
アクリルワニス(固形分20%) 221部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(東亞合成製「アロニックスM402」) 18部
光開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製
「イルガキュアーOXE02」) 6部
光開始剤(BASF製「ルシリンTPO」) 3部
シクロヘキサノン 373部
<青色感光性着色組成物>
組成がそれぞれ下記組成となるように,赤色感光性着色組成物と同様の方法で作製した。
【0046】
青色顔料:C.I. Pigment Blue 15 32部
紫色顔料:C.I. Pigment Violet 23 3部
アクリルワニス(固形分20%) 173部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(東亞合成製「アロニックスM402」) 25部
光開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製
「イルガキュアー379」) 6部
光開始剤(日本化薬製「カヤキュアーDETX」) 2部
シクロヘキサノン 302部
<カラーフィルタ>
得られた感光性着色組成物を用いてカラーフィルタを作製した。ガラス基板に、赤色感光性着色組成物をスピンコートにより膜厚2μmとなるように塗布した。乾燥の後、露光機にてストライプ状のパターン露光をし、アルカリ現像液にて90秒間現像して、ストライプ状の赤色画素の着色層を得た。なお、アルカリ現像液は以下の組成からなる。
【0047】
炭酸ナトリウム 1.5重量%
炭酸水素ナトリウム 0.5重量%
陰イオン系界面活性剤 8.0重量%
(花王(株)製「ペリレックスNBL」)
水 90重量%
次に、緑色感光性着色組成物も同様にスピンコートにて膜厚が2μmとなるように塗布し、乾燥後、露光機にてストライプ状の着色層を前述の赤色画素の着色層とはずらした場所に露光し現像することで、前述赤色画素の着色層と隣接した緑色画素の着色層を得た。
【0048】
さらに、赤色、緑色と全く同様にして、青色感光性着色組成物についても膜厚2μmで赤色画素、緑色画素の着色層と隣接した青色画素の着色層を得た。これで、透明基板上に赤、緑、青の3色のストライプ状の着色層を持つカラーフィルタが得られた。
【0049】
上述の方法により、赤色画素着色層、緑色画素着色層、青色画素着色層の組み合わせを適宜変更し、表1、表2に示すように、それぞれ実施例1、2および比較例1〜10に用いるカラーフィルタを作製して比較評価した。また、作製したカラーフィルタとバックライトを組み合わせて、液晶表示装置としての色再現性と動作の安定性を評価した。評価結果を、表1および表2に、実施例1、2、および比較例1〜10として示す。主たる比較内容は、緑色画素着色層中における緑顔料の固形分に対する濃度、緑色画素着色層の20Hzにおける誘電正接、およびNTSC比を比較した。表中の○×は発明者の判断を示す。
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

なお、実施例および比較例に用いたLED(Light Emitting Diode=発光ダイオード)バックライトの相対分光放射輝度を図4に、CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp=冷陰極管)バックライトの相対分光放射輝度を図5に示す。
【0052】
<比較結果>
実施例1、2のカラーフィルタとLEDバックライトを用いた液晶表示装置においては、色再現性も良好で画素の液晶配向不良、駆動電圧の閾値ずれを発生させることなく良好な表示品位が得られた。
【0053】
本発明の実施例1,2に対して、比較例1、3のカラーフィルタとLEDバックライトを用いた液晶表示装置においては、画素の液晶配向不良、駆動電圧の閾値ずれによる焼き付き現象が発生し、良好な表示特性が得られなかった。
【0054】
また、比較例2、4のカラーフィルタとLEDバックライトを用いた液晶表示装置においては色再現可能範囲が小さくテレビ画像表示装置としては不適当な表示品質であった。
【0055】
また、比較例5、6、8、10のカラーフィルタとCCFLバックライトを用いた液晶表示装置においては色再現可能範囲が小さくテレビ画像表示装置としては不適当な表示品質であった。
【0056】
比較例7、9のカラーフィルタとCCFLバックライトを用いた液晶表示装置においては画素の液晶配向不良、駆動電圧の閾値ずれによる焼き付き現象が発生し、良好な表示特性が得られず、色再現可能範囲も小さくテレビ画像表示装置としては不適当な表示品質であった。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】赤色画素着色層材料の誘電正接の周波数特性を示す図である。
【図2】緑色画素着色層材料の誘電正接の周波数特性を示す図である。
【図3】青色画素着色層材料の誘電正接の周波数特性を示す図である。
【図4】本発明の実施例および比較例に用いたLEDバックライトの相対分光放射輝度を示す図である。
【図5】本発明の比較例に用いたCCFLバックライトの相対分光放射輝度を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤色LED、緑色LED及び青色LEDを組み合わせて混色させた白色バックライトと、少なくとも赤色、緑色及び青色の画素の着色層を具備するカラーフィルタとを有する液晶表示装置に用いるカラーフィルタにおいて、
緑色の画素を形成する着色層がPigment Green 36を含み、前記Pigment Green 36の含有量が18重量%以下であり、且つ、前記緑色の画素を形成する着色層の誘電正接(tanδ)が液晶表示装置の駆動周波数およびその近傍で0.03以下であることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項2】
赤色LED、緑色LED及び青色LEDを組み合わせて混色させた白色バックライトと、少なくとも赤色、緑色及び青色の画素の着色層を具備するカラーフィルタとを有する液晶表示装置に用いるカラーフィルタにおいて、
前記白色バックライトの緑色LEDの発光ピーク波長が500〜540nmであり、CIE1931 XYZ表色系であるxy色度図における色再現可能範囲がNTSC比で72%以上であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項3】
着色層上に透明樹脂による保護層を有していることを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルタ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のカラーフィルタを備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のカラーフィルタを備えることを特徴とする横電界方式の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−162979(P2009−162979A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324(P2008−324)
【出願日】平成20年1月7日(2008.1.7)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】