説明

カラーフィルタおよびその製造方法、ならびに発光装置

【課題】簡易な方法で大面積化を実現することの可能なカラーフィルタおよびその製造方法、ならびにそのようなカラーフィルタを備えた発光装置を提供する。
【解決手段】凹部120同士が溝部130を介して連結されたパターンを有するパターン形成用版200と、封止用基板81とを互いに密着させた状態で、溝部130の一端だけ所定のカラーレジスト141R,141G,141Bに浸す。その後、溝部130の他端の圧力が溝部130の一端(カラーレジスト141R,141G,141B)の圧力よりも低くなるようにして、カラーレジスト141R,141G,141Bを、溝部130を介して各凹部120に流入させ、各凹部120内のカラーレジスト141R,141G,141Bを硬化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にカラー表示装置に好適に適用可能なカラーフィルタおよびその製造方法、ならびにそのようなカラーフィルタを備えた発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイに代わる表示装置として、有機EL(electro-luminescence)素子を用いた有機ELディスプレイが実用化されている。有機EL素子は自発光型であるので、液晶などに比較して視野角が広く、また、高精細度の高速ビデオ信号に対しても十分な応答性を有するものと考えられている。
【0003】
有機EL素子は、例えば、基板上に、第1電極と、発光層を含む有機層と、第2電極とを順に有しており、第1電極と第2電極との間に直流電圧が印加されると発光層において正孔−電子再結合が起こり、光を発生するものである。発生した光は、一般に、第2電極の側から取り出される。
【0004】
有機EL素子では、素子内部における屈折率が高いので、空気層との界面において全反射が生じ易く、発光光を外部に十分に取り出すことが困難である。そこで、有機EL素子の光取り出し側に反射板(リフレクタ)を配設することにより、発光光の放射角を補正して光取り出し効率を高める手法が提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Journal of the Ceramic Society of Japan 114[8] 725-728(2006)
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3780700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、有機ELディスプレイでは、有機EL素子を封止する透明基板(例えばガラス基板)が有機EL素子の光取り出し側に配設されている。この透明基板のうち有機EL素子側の表面上には、一般に、RGB3色のカラーフィルタが設けられている。このRGB3色のカラーフィルタには、ブラックマトリクスがさらに設けられている場合もある。
【0008】
上述のカラーフィルタは、通常、リソグラフィ法やインクジェット法などにより作成される。しかし、リソグラフィ法を用いるためには、半導体工場クラスの設備が必要であり、そのような設備を、カラーフィルタを作成するためだけに用意するのはコストとの関係で合理的ではない。また、インクジェット法では、各画素パターンの膜厚の均一性と表面平坦性を実現することが容易ではなく、インクの材料を変えた場合には、製造条件を調整し直すことが必要となる。
【0009】
これらの問題を解決する方法として、例えば、非特許文献1には、シリコーン型を使用し、毛管力を利用してインクを供給することが記載されている。しかし、この方法では、大面積化が難しいという問題があった。また、その他の解決方法として、例えば、特許文献1には、母型の各画素に貫通孔を設け、その穴にインクジェットでインクを供給することが記載されている。しかし、この方法では、インクジェット法に特有の上記の問題が依然として生じてしまう。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、簡易な方法で大面積化を実現することの可能なカラーフィルタおよびその製造方法、ならびにそのようなカラーフィルタを備えた発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のカラーフィルタは、透明基材の一の面上に、第1色の複数の第1凸部と、複数の第1凸部を直列に接続する第1色の第1連結部と、第2色の複数の第2凸部と、複数の第2凸部を直列に接続する第2色の第2連結部とを備えたものである。
【0012】
本発明の発光装置は、支持基板上に複数の発光素子を有する発光パネルと、発光素子側に設けられたカラーフィルタとを備えたものである。この発光装置に搭載されたカラーフィルタは、上記のカラーフィルタと同一の構成要素を有している。
【0013】
本発明のカラーフィルタおよび発光装置では、同色の凸部同士が同色の連結部で直列に連結されている。これにより、例えば、凸部を反転させた形状の凹部同士が溝部を介して連結されたパターンを有するパターン形成用版と、パターン形成用基材とを互いに密着させた状態で、溝部の一端だけ所定のインクに浸したのち、溝部の他端の圧力が溝部の一端(インク)の圧力よりも低くなるようにして、インクを、溝部を介して各凹部に流入させ、各凹部内のインクを硬化させることにより、上記のカラーフィルタを製造することが可能である。
【0014】
本発明のカラーフィルタの製造方法は、以下の4つの工程を含むものである。
(A)支持基材の一の面上に、複数の第1凹部と、複数の第1凹部を直列に接続する第1溝部と、複数の第2凹部と、複数の第2凹部を直列に接続する第2溝部とを有するパターン形成層を備えたパターン形成用版を用意したのち、第1溝部および第2溝部のそれぞれの両端部を雰囲気に露出させた状態で、パターン形成用版を、第1凹部および第2凹部側の表面をパターン形成用基材に向けて、パターン形成用基材の表面に密着させる第1工程
(B)第1溝部の一端である第1端部を雰囲気に露出させた状態で、第1溝部の他端である第2端部を第1色の第1インクに浸したのち、第1端部の圧力が第2端部の圧力よりも低くなるようにして、第1インクを、第1溝部を介して各第1凹部に流入させる第2工程
(C)第2溝部の一端である第3端部を雰囲気に露出させた状態で、第2溝部の他端である第4端部を第2色の第2インクに浸したのち、第3端部の圧力が第4端部の圧力よりも低くなるようにして、第2インクを、第2溝部を介して各第2凹部に流入させる第3工程
(D)各第1凹部内の第1インクおよび各第2凹部内の第2インクを硬化させたのち、パターン形成用版のうち少なくとも支持基材を剥離する第4工程
【0015】
本発明のカラーフィルタの製造方法では、凹部同士が溝部を介して連結されたパターンを有するパターン形成用版と、パターン形成用基材とを互いに密着させた状態で、溝部の一端だけを所定のインクに浸す。その後、溝部の他端の圧力が溝部の一端(インク)の圧力よりも低くなるようにして、インクを、溝部を介して各凹部に流入させ、各凹部内のインクを硬化させる。これにより、同色の複数の凸部を一括して形成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のカラーフィルタおよび発光装置によれば、同色の凸部同士を同色の連結部で直列に連結するようにしたので、簡易な方法で大面積化を実現することができる。
【0017】
本発明のカラーフィルタの製造方法によれば、同色の複数の凸部を一括して形成することができるようにしたので、簡易な方法で大面積化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態に係る発光装置の概略構成図である。
【図2】画素駆動回路の構成図である。
【図3】図1の発光装置の上面図である。
【図4】図1の発光装置の断面図である。
【図5】図3の発光装置の製造過程の一例を説明するための断面図である。
【図6】図5の製造過程の続きを説明するための断面図である。
【図7】図6の製造過程の続きを説明するための断面図である。
【図8】図7の製造過程の続きを説明するための断面図である。
【図9】図8の製造過程の続きを説明するための断面図である。
【図10】図9の製造過程の続きを説明するための断面図である。
【図11】図1の発光装置の他の例の製造過程の一例を説明するための断面図である。
【図12】図11の製造過程の続きを説明するための断面図である。
【図13】図1の発光装置の他の例の上面図である。
【図14】図1の発光装置のその他の例の上面図である。
【図15】上記各実施の形態の発光装置を含むモジュールの概略構成を表す平面図である。
【図16】上記各実施の形態の発光装置の適用例1の外観を表す斜視図である。
【図17】(A)は適用例2の表側から見た外観を表す斜視図であり、(B)は裏側から見た外観を表す斜視図である。
【図18】適用例3の外観を表す斜視図である。
【図19】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図20】(A)は適用例5の開いた状態の正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態の正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.実施の形態(3色のカラーフィルタを備えた発光装置の例)
2.変形例(2色のカラーフィルタを備えた発光装置の例)
3.適用例(デジタルカメラなど)
【0020】
(概略構成)
図1は、本発明の一実施の形態に係る発光装置1の概略構成を表したものである。この発光装置1は、有機発光カラーディスプレイ装置などに用いられるものである。この発光装置1は、例えば、複数の有機EL素子10R,10G,10B(発光素子)がマトリクス状に配置された表示領域20を備えている。本実施の形態では、例えば、表示領域20において互いに隣り合う有機EL素子10R,10G,10Bが1つの画素11を構成している。なお、以下では、有機EL素子10R,10G,10Bの総称として有機EL素子10を用いるものとする。この発光装置1は、さらに、表示領域20の周辺に、信号線駆動回路30、走査線駆動回路40および電源線駆動回路50を備えている。
【0021】
(回路構成)
図2は、表示領域20内の回路構成の一例を表したものである。表示領域20内には、例えば、図2に例示したような画素駆動回路60が形成されている。この画素駆動回路60は、後述する駆動用基板71に形成されたものである。この画素駆動回路60は、例えば、駆動トランジスタTr1、書き込みトランジスタTr2、保持容量Csおよび有機発光素子10によって構成されたものであり、2Tr1Cの回路構成となっている。駆動トランジスタTr1および書き込みトランジスタTr2は、例えば、nチャネルMOS型の薄膜トランジスタ(TFT(Thin Film Transistor))により形成されている。TFTの種類は特に限定されるものではなく、例えば、逆スタガー構造(いわゆるボトムゲート型)であってもよいし、スタガー構造(トップゲート型)であってもよい。駆動トランジスタTr1または書き込みトランジスタTr2は、pチャネルMOS型のTFTであってもよい。
【0022】
画素駆動回路60において、列方向には信号線DTLが複数配置され、行方向には走査線WSLおよび電源線Vccが複数配置されている。各信号線DTLと各走査線WSLとの交差点が、有機発光素子10のいずれか一つ(サブピクセル)に対応している。各信号線DTLは、信号線駆動回路30に接続され、信号線駆動回路30から信号線DTLを介して書き込みトランジスタTr2のソース電極またはドレイン電極(図示せず)に画像信号が供給されるようになっている。各走査線WSLは走査線駆動回路40に接続され、走査線駆動回路40から走査線WSLを介して書き込みトランジスタTr2のゲート電極(図示せず)に走査信号が順次供給されるようになっている。各電源線Vccは電源線駆動回路60に接続され、電源線駆動回路60から電源線Vccを介して駆動トランジスタTr1のソース電極またはドレイン電極(図示せず)に電源電圧が供給されるようになっている。
【0023】
(断面構成)
図3は、発光装置1の一部、具体的には表示領域20の上面構成の一例を表したものである。図4(A)は図3のA−A矢視方向の断面構成の一例を、図4(B)は図3のB−B矢視方向の断面構成の一例をそれぞれ表したものである。発光装置1は、例えば、表示領域20において、駆動パネル70(発光パネル、パターン形成用基材)とリフレクタ80とが埋め込み層90を介して貼り合わされた構造となっている。
【0024】
(駆動パネル70)
駆動パネル70は、上述した画素駆動回路60の形成された駆動用基板71上に、所定のピッチ(例えば20μm〜100μm)でマトリクス状に配置された複数の有機EL素子10を有している。本実施の形態では、例えば、マトリクス状に配置された複数の有機EL素子10のうち互いに隣接する3つの素子が有機EL素子10R,10G,10Bに対応しており、1つの画素11を構成している。各有機EL素子10R,10G,10Bは、駆動用基板71上に第1電極72を有しており、第1電極の表面上に有機層73、第2電極75を駆動用基板71側から順に有している。
【0025】
ここで、第1電極72は、有機層73へ電流を注入する電極(陽極)としての機能だけでなく、後述の発光層で発生した光を反射する機能も有している。第1電極72は、例えば、アルミニウムなどの金属によって構成されている。有機層73は、例えば、有機EL素子10R,10G,10Bごとに異なる材料によって構成されている。有機EL素子10Rにおける有機層73(73R)は、赤色の発光が生じる材料からなる発光層を含んでいる。有機EL素子10Gにおける有機層73(73G)は、緑色の発光が生じる材料からなる発光層を含んでいる。有機EL素子10Bにおける有機層73(73B)は、青色の発光が生じる材料からなる発光層を含んでいる。第2電極75は、有機層73および後述の絶縁膜74の上面を含む表面全体に渡って形成されており、各有機EL素子10R,10G,10Bに対する共通の電極として機能する。第2電極75は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide;酸化インジウムスズ)などの透明導電膜によって構成されている。
【0026】
駆動パネル70は、また、互いに隣り合う有機層73同士の間に絶縁膜74を有している。絶縁膜74は、第1電極72と第2電極75との絶縁性を確保すると共に、サブピクセルごとの開口を規定するものである。絶縁膜74は、例えば、感光性樹脂によって構成されている。絶縁膜74は、第1電極72との対向領域内に開口74Aを有している。従って、有機層73において、第1電極72のうち開口74A内に露出している部分との接触部分が発光領域(図示せず)となる。開口74Aは、光取り出し効率の観点から、後述のリフレクタ80の光入射側の開口84との対向領域内に形成されていることが好ましい。
【0027】
なお、図4(A),(B)では、駆動パネル70の上面が第2電極75となっている場合が例示されているが、何らかの層(例えば絶縁性の保護膜)が第2電極75上に形成されていてもよい。この絶縁性の保護膜は、光取り出し効率の観点から、有機EL素子10の上面と後述のリフレクタ80の開口84との距離が封止用基板81の厚さの半分以下となっていることが好ましい。
【0028】
(リフレクタ80)
リフレクタ80は、有機EL素子10を封止する封止用基板81を有している。封止用基板81は、有機EL素子10で発生した光に対して透明なガラスなどの材料により構成されている。リフレクタ80は、さらに、カラーフィルタ82を有している。カラーフィルタ82は、例えば、封止用基板81の表面のうち有機EL素子10の光が入射する側に設けられている。カラーフィルタ82は、例えば、有機EL素子10R,10G,10Bのそれぞれに対応して、赤色用のフィルタ82R、緑色用のフィルタ82Gおよび青色用のフィルタ82Bを有している。
【0029】
フィルタ82R,82G,82Bは、有機EL素子10と同一の配列ピッチでマトリクス状に形成されており、それぞれ、有機層73に対向して形成されている。フィルタ82R,82G,82Bは、面内において規則的に(周期的に)配列されている。例えば、図3、図4(A),(B)に示したように、フィルタ82Rとフィルタ82Bとが一列に交互に配置されており、さらに、フィルタ82Gとフィルタ82Bとが一列に交互に配置されている。
【0030】
フィルタ82R,82G,82Bは、顔料を混入した樹脂によってそれぞれ構成されており、顔料を選択することにより、目的とする赤、緑あるいは青の波長域における光透過率が高く、他の波長域における光透過率が低くなるように調整されている。フィルタ82R,82G,82Bは、例えば、カラーレジストによって構成されている。
【0031】
フィルタ82R,82G,82Bは、さらに、有機EL素子10から射出された光の放射角を補正することにより光取り出し効率を高める機能も有している。フィルタ82R,82G,82Bは、例えば、図4(A),(B)に示したように、有機EL素子10の光が入射する側に突出した凸形状となっており、フィルタ82R,82G,82Bの光入射側の面84(有機EL素子10側の面)が、例えば平坦面となっている。面84の横幅(径)は、フィルタ82R,82G,82Bの光射出側の面85の横幅(径)よりも狭くなっており、フィルタ82R,82G,82Bの側面86が、例えば、放物面状となっている。つまり、フィルタ82R,82G,82Bは封止用基板81側から見ると、すり鉢状となっている。フィルタ82R,82G,82Bの中心軸(図示せず)は、例えば、封止用基板81の法線と平行となっており、かつ、面84,85のそれぞれの中心点(図示せず)を通過していることが好ましい。また、面84は、面85と対向する領域内に形成されていることが好ましい。
【0032】
リフレクタ80は、さらに、連結部83を有している。連結部83は、例えば、封止用基板81の表面のうち有機EL素子10の光が入射する側に設けられている。連結部83は、例えば、フィルタ82R,82G,82Bのそれぞれに対応して、赤色用の連結部83R、緑色用の連結部83Gおよび青色用の連結部83Bを有している。
【0033】
連結部83Rは、面内の一の方向に延在して形成されており、複数のフィルタ82Rに連結されている。従って、各フィルタ82Rは連結部83Rを介して互いに直列に接続されている。連結部83Gも、面内の一の方向に延在して形成されており、複数のフィルタ82Gに連結されている。従って、各フィルタ82Gは連結部83Gを介して互いに直列に接続されている。さらに、連結部83Bも、面内の一の方向に延在して形成されており、複数のフィルタ82Bに連結されている。従って、各フィルタ82Bは連結部83Bを介して互いに直列に接続されている。連結部83R,83G,83Bの両端83−1は、例えば、図4(A),(B)に示したように、封止用基板81の端縁に形成されており、リフレクタ80の端面(図示せず)に露出している。
【0034】
リフレクタ80は、例えば、必要に応じて、フィルタ82R,82G,82Bの側面86に光反射膜(図示せず)を有していてもよい。また、リフレクタ80は、例えば、必要に応じて、封止用基板81と埋め込み層90との間に、外光対策などで用いられる光吸収層(ブラックマトリックス)(図示せず)を有していてもよい。
【0035】
埋め込み層90は、駆動パネル70とリフレクタ80とを互いに貼り合わせるためのものである。この埋め込み層90は、フィルタ82R,82G,82Bのそれぞれの側面86を少なくとも覆うように形成されており、例えば、図4(A),(B)に示したように、フィルタ82R,82G,82Bの側面86および面84に接して形成されている。埋め込み層90は、例えば、エネルギー硬化型の透明樹脂によって構成されている。エネルギー硬化型の透明樹脂としては、例えば、熱硬化型樹脂や、紫外線硬化型樹脂などが挙げられる。なお、埋め込み層90は、光透過層であってもよいし、光吸収層であってもよい。
【0036】
(製造方法)
次に、本実施の形態の発光装置1の製造方法について説明する。
【0037】
図5(A)〜(C)から図10は、発光装置1の製造方法の一例を工程順に表したものである。まず、支持基材100の一の面上に、例えばポリイミドなどの樹脂層110を形成する(図5(A))。次に、例えば、マスクイメージングレーザー加工法を用いて、複数の凹部120(第1凹部、第2凹部)をマトリクス状に形成すると共に、複数の溝部130(第1溝部、第2溝部)を形成する(図5(B),(C))。複数の凹部120は、樹脂層110を貫通する深さとなっており、例えば、すり鉢形状となっている。また、複数の溝部130は、凹部120の深さよりも浅く形成されている。各溝部130は、複数の凹部120のうち所定の方向に一列に並んだ複数の凹部120を直列(一列)に接続している。また、各溝部130は、支持基材100の一の端縁(図示せず)から他の端縁(図示せず)にまで延在して形成されている。このようにして、パターン形成用版200が形成される。
【0038】
次に、複数の溝部130のそれぞれの両方の端部130−1を雰囲気に露出させた状態で、パターン形成用版200を、凹部120側の表面を封止用基板81(パターン形成用基材)に向けて、封止用基板81の表面に密着させる(図6(A),(B))。続いて、互いに密着させたパターン形成用版200および封止用基板81(以下、単に「積層基板」と称する。)を、カラーレジスト槽150および台座160に載置する(図7(A),(B))。カラーレジスト槽150は、互いに仕切られたカラーレジスト槽140R,140G,140Bを有しており、それぞれのカラーレジスト槽140R,140G,140Bが一つずつ、溝部130の端部130−1に対応して配置されている。カラーレジスト槽150は、積層基板を支持する役割も有している。カラーレジスト槽150は、積層基板を支持しているときに、カラーレジスト槽140R,140G,140Bを積層基板の雰囲気から分離し、これらの内圧を積層基板の雰囲気の圧力とは別個に制御することが可能な構成となっている。台座160は、互いに密着させたパターン形成用版200および封止用基板81を支持するものである。
【0039】
次に、溝部130の一方の端部130−1を雰囲気に露出させた状態で、カラーレジスト槽140R,140G,140B内に充填されたカラーレジスト141R,141G,141B(インク)に一つずつ溝部130の他方の端部130−1を浸す(図7(A),(B))。次に、積層基板の雰囲気(溝部130の一方の端部130−1の雰囲気)の圧力がカラーレジスト槽140R,140G,140B内の圧力よりも低くなるようにする。例えば、カラーレジスト槽140R,140G,140B内の圧力を常圧としたうえで、積層基板の雰囲気の圧力を下げる。または、例えば、積層基板の雰囲気の圧力を常圧としたうえで、カラーレジスト槽140R,140G,140B内の圧力を上げる。このようにして、カラーレジスト141R,141G,141Bを、溝部130を介して凹部120に流入させ、充填する(図7(A),(B))。
【0040】
次に、例えば、パターン形成用版200側から紫外線Lを照射し、カラーレジスト141R,141G,141Bを硬化させる。これにより、凹部120内にフィルタ82R,82G,82Bが形成され、溝部130内に連結部83R,83G,83Bが形成される(図8)。その後、支持基材100および樹脂層110を剥離する(図9(A),(B))。このようにして、リフレクタ80が形成される。
【0041】
最後に、リフレクタ80と駆動パネル70とを、埋め込み層90を介して互いに接着する(図10)。このようにして、本実施の形態の発光装置1が形成される。
【0042】
なお、上記の製造方法において、例えば、図11(A),(B)に示したように、支持基材100だけを剥離するようにしてもよい。そのようにした場合には、例えば、図12に示したように、フィルタ82R,82G,82Bの側面86が樹脂層110で埋め込まれた状態で、リフレクタ80と駆動パネル70とを、埋め込み層90を介して互いに接着すればよい。
【0043】
次に、本実施の形態の発光装置1の作用、効果について説明する。
【0044】
本実施の形態の発光装置1では、各サブピクセルに対して駆動トランジスタTr1がオンオフ制御され、各サブピクセルの有機EL素子10に駆動電流が注入されることにより、正孔と電子とが再結合して発光が起こる。この光は、第1電極72と第2電極75との間で多重反射し、第2電極75、光透過部93、フィルタ82R,82G,82Bおよび封止用基板81を透過して取り出される。
【0045】
ところで、本実施の形態では、凹部120同士が溝部130を介して連結されたパターンを有するパターン形成用版200と、封止用基板81とを互いに密着させた状態で、溝部130の他端だけ所定のカラーレジスト141R,141G,141Bに浸したのち、雰囲気の圧力を下げて、カラーレジスト141R,141G,141Bを、溝部130を介して各凹部120に流入させ、各凹部120内のカラーレジスト141R,141G,141Bを硬化させている。これにより、同色の複数のフィルタ82R,82G,82Bを一括して形成することができる。また、カラーレジスト141R,141G,141Bの流路に、流体バッファとして作用する凹部120が設けられているので、流動損失が少ない。さらに、溝部130の一端だけを雰囲気に曝し、雰囲気の負圧を利用して、流路内のカラーレジスト141R,141G,141Bを溝部130内に流入させている。これらの結果、大面積化にも対応することができる。従って、簡易な方法で大面積化を実現することができる。
【0046】
また、従来のリソグラフィ法や印刷法を用いてフィルタ82R,82G,82Bを形成した場合には、フィルタ82R,82G,82Bのエッジ部分が丸みを帯びてしまう。一方、本実施の形態では、型による転写を用いてフィルタ82R,82G,82Bを形成しているので、型の形状をフィルタ82R,82G,82Bに効率良く転写することができる。従って、フィルタ82R,82G,82Bの高さの均一性と、フィルタ82R,82G,82Bの面84の平坦性を確保することが可能となる。また、フィルタ82R,82G,82Bに用いる材料(カラーレジスト141R,141G,141B)の物性を変更した場合であっても、製造条件を容易に調整し直すことができる。
【0047】
<変形例>
上記実施の形態では、リフレクタ80が、3色のフィルタ82R,82G,82Bを有している場合が説明されていたが、2色のフィルタだけを有していてもよいし、4色以上のフィルタだけを有していてもよい。例えば図13に示したように、リフレクタ80が、フィルタ82Rとフィルタ82Bとを一列に交互に配置して構成されていてもよい。また、リフレクタ80が、3色のフィルタ82R,82G,82Bを有している場合に、例えば図14に示したように、フィルタ82R、フィルタ82Gおよびフィルタ82Bが一列に交互に配置されていてもよい。
【0048】
<モジュールおよび適用例>
以下、上述した第1および第2の実施の形態で説明した発光装置の適用例について説明する。上記各実施の形態の発光装置は、テレビジョン装置、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなど、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。
【0049】
(モジュール)
上記各実施の形態の発光装置は、例えば、図15に示したようなモジュールとして、後述する適用例1〜5などの種々の電子機器に組み込まれる。このモジュールは、例えば、駆動用基板71の一辺に、封止用基板81から露出した領域210を設け、この露出した領域210に、信号線駆動回路30、走査線駆動回路40および電源線駆動回路50の配線を延長して外部接続端子(図示せず)を形成したものである。外部接続端子には、信号の入出力のためのフレキシブルプリント配線基板(FPC;Flexible Printed Circuit)220が設けられていてもよい。
【0050】
(適用例1)
図16は、上記各実施の形態の発光装置が適用されるテレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル310およびフィルターガラス320を含む映像表示画面部300を有しており、この映像表示画面部300は、上記各実施の形態に係る表示装置により構成されている。
【0051】
(適用例2)
図17は、上記各実施の形態の発光装置が適用されるデジタルカメラの外観を表したものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部410、表示部420、メニュースイッチ430およびシャッターボタン440を有しており、その表示部420は、上記各実施の形態に係る表示装置により構成されている。
【0052】
(適用例3)
図18は、上記各実施の形態の発光装置が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体510,文字等の入力操作のためのキーボード520および画像を表示する表示部530を有しており、その表示部530は、上記各実施の形態に係る表示装置により構成されている。
【0053】
(適用例4)
図19は、上記各実施の形態の発光装置が適用されるビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部610,この本体部610の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ620,撮影時のスタート/ストップスイッチ630および表示部640を有しており、その表示部640は、上記各実施の形態に係る表示装置により構成されている。
【0054】
(適用例5)
図20は、上記各実施の形態の発光装置が適用される携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。そのディスプレイ740またはサブディスプレイ750は、上記各実施の形態に係る表示装置により構成されている。
【0055】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。
【0056】
例えば、上記実施の形態では、第1電極72を陽極、第2電極75を陰極とする場合について説明したが、陽極および陰極を逆にして、第1電極72を陰極、第2電極75を陽極としてもよい。
【0057】
また、上記各実施の形態では、アクティブマトリクス型の表示装置の場合について説明したが、本発明はパッシブマトリクス型の表示装置への適用も可能である。また、アクティブマトリクス駆動のための画素駆動回路の構成は、上記各実施の形態で説明したものに限られず、必要に応じて容量素子やトランジスタを追加してもよい。その場合、画素駆動回路の変更に応じて、上述した信号線駆動回路30や、走査線駆動回路40、電源線駆動回路50のほかに、必要な駆動回路を追加してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…発光装置、10,10R,10G,10B…有機EL素子、11…画素、20…表示領域、30…信号駆動回路、40…走査線駆動回路、50…電源線駆動回路、60…画素駆動回路、70…駆動パネル、71…駆動用基板、72…第1電極、73,73R,73G,73B…有機層、74…絶縁膜、75…第2電極、80…リフレクタ、81…封止用基板、82…カラーフィルタ、82R,82G,82B…フィルタ、83,83R,83G,83B…連結部、84,85…面、86…側面、90…埋め込み層、100…支持基材、110…樹脂層、120…凹部、130…溝部、130−1…端部、140R,140G,140B,150…カラーレジスト槽、141R,141G,141B…カラーレジスト、160…台座、200…パターン形成用版、Cs…保持容量、DTL…信号線、L…紫外線、Tr1,Tr2…トランジスタ、Vcc…電源線、W1,W2…幅、WSL…走査線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材の一の面上に、第1色の複数の第1凸部と、前記複数の第1凸部を直列に接続する第1色の第1連結部と、第2色の複数の第2凸部と、前記複数の第2凸部を直列に接続する第2色の第2連結部とを備えた
カラーフィルタ。
【請求項2】
前記複数の第1凸部および前記複数の第2凸部は、前記透明基材の面内の第1方向において交互に配置されている
請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項3】
前記第1連結部の一端は、前記透明基材の第1端縁に形成され、
前記第1連結部の他端は、前記第1端縁から離れた位置に形成され、
前記第2連結部の一端は、前記透明基材の端縁のうち前記第1方向において対向する第2端縁に形成され、
前記第2連結部の他端は、前記第2端縁から離れた位置に形成されている
請求項2に記載のカラーフィルタ。
【請求項4】
前記透明基材の一の面上に、第3色の複数の第3凸部と、前記複数の第3凸部を直列に接続する第3色の第3連結部とをさらに備えた
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のカラーフィルタ。
【請求項5】
前記複数の第1凸部、前記複数の第2凸部および前記複数の第3凸部は、前記透明基材の面内の第1方向において周期的に配置されている
請求項4に記載のカラーフィルタ。
【請求項6】
前記第3連結部の一端は、前記第1端縁に形成され、
前記第3連結部の他端は、前記第1端縁から離れた位置に形成されている
請求項4に記載のカラーフィルタ。
【請求項7】
前記複数の第1凸部、前記複数の第2凸部および前記複数の第3凸部のそれぞれの側面を少なくとも覆う埋め込み層をさらに備えた
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のカラーフィルタ。
【請求項8】
支持基材の一の面上に、複数の第1凹部と、前記複数の第1凹部を直列に接続する第1溝部と、複数の第2凹部と、前記複数の第2凹部を直列に接続する第2溝部とを有するパターン形成層を備えたパターン形成用版を用意したのち、前記第1溝部および前記第2溝部のそれぞれの両端部を雰囲気に露出させた状態で、前記パターン形成用版を、前記第1凹部および前記第2凹部側の表面をパターン形成用基材に向けて、前記パターン形成用基材の表面に密着させる第1工程と、
前記第1溝部の一端である第1端部を雰囲気に露出させた状態で、前記第1溝部の他端である第2端部を第1色の第1インクに浸したのち、前記第1端部の圧力が前記第2端部の圧力よりも低くなるようにして、前記第1インクを、前記第1溝部を介して前記各第1凹部に流入させる第2工程と、
前記第2溝部の一端である第3端部を雰囲気に露出させた状態で、前記第2溝部の他端である第4端部を第2色の第2インクに浸したのち、前記第3端部の圧力が前記第4端部の圧力よりも低くなるようにして、前記第2インクを、前記第2溝部を介して前記各第2凹部に流入させる第3工程と、
前記各第1凹部内の第1インクおよび前記各第2凹部内の第2インクを硬化させたのち、前記パターン形成用版のうち少なくとも前記支持基材を剥離する第4工程と
を含むカラーフィルタの製造方法。
【請求項9】
前記第2工程および前記第3工程を同時に実施する
請求項8に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項10】
支持基板上に複数の発光素子を有する発光パネルと、
前記発光素子側に設けられたカラーフィルタと
を備え、
前記カラーフィルタは、透明基材を有すると共に、前記透明基材のうち前記発光パネル側の面上に、前記複数の発光素子のうち所定の発光素子との対向領域に配置された第1色の複数の第1凸部と、前記複数の第1凸部を直列に接続する第1色の第1連結部と、前記複数の発光素子のうち前記第1凸部との非対向領域に位置する発光素子との対向領域に配置された第2色の複数の第2凸部と、前記複数の第2凸部を直列に接続する第2色の第2連結部とを有する
発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−286757(P2010−286757A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141992(P2009−141992)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】