説明

カラーフィルタおよびその製造方法

【課題】透過型表示装置と同等の色再現範囲を有し、低コストの半透過型液晶表示装置を実現するカラーフィルタを提供する。
【解決手段】カラーフィルタ1は、ブラックマトリクス8を有する基盤9上に、第1領域と、第1領域より膜厚が薄い第2領域とを有する着色層を形成し、さらにその上に、マルチギャップ層3を形成する。前記着色層は、露光装置の解像限界以下の太さのパターンを遮光膜に有するマスクで露光を行うことで、形成される。カラーフィルタ1は、反射領域にマルチギャップ層3を有し、反射領域の着色層7の膜厚が、透過領域にくらべて薄く、半透過型液晶表示に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に適するカラーフィルタ等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋外での視認性を実現するために、半透過型液晶表示装置が用いられている。半透過型液晶表示装置は、1画素中に、透過領域と反射領域を有するものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図4を用いて、半透過型液晶表示装置の従来例を説明する。図4は、従来の半透過型の液晶表示装置100の断面の、電子回路やTFT等の素子を省略した模式図である。液晶表示装置100は、主にカラーフィルタ101と、液晶セル108、基板113とバックライトユニット115が順に設けられて形成されている。
【0004】
カラーフィルタ101は、透明な基板102に、断面台形状のマルチギャップ層103と、その上にコーティングされ、画素に対応してパターニングされた着色層107が設けられている。更にその上には、透明電極106を設けている。着色層107と別の色の着色層107の間には、ブラックマトリクス105を設け、コントラストを向上させている。透明な基板113には、透明電極109が画素に対応して設けられ、透明電極109の一部分には反射電極111が設けられている。透明電極106と透明電極109および反射電極111の間に電圧を印加することで、液晶セル108に電圧を印加し、液晶分子117の配向を制御する。また、基板113の背面には、バックライトユニット115が設けられている。バックライトユニット115と基板113の間には偏光板114が設けられ、基板102には、偏光板112が設けられている。
【0005】
液晶表示装置100は、反射電極111を有する反射領域と、反射電極111を有しない透過領域からなる。透過領域では、バックライトユニット115から発生した光は、偏光板114、基板113、透明電極109、液晶セル108、透明電極106、着色層107、基板102、偏光板112を通り、液晶表示装置100の外部に到達する。また、反射領域では、液晶表示装置100の外部から入射した光が、偏光板112、基板102、マルチギャップ層103、着色層107、透明電極106、液晶セル108を通過し、反射電極111で反射し、再び、液晶セル108、透明電極106、着色層107、マルチギャップ層103、基板102、偏光板112を通り、液晶表示装置100の外部に到達する。
【0006】
このように、1画素中に反射領域と透過領域を設けることで、明るい屋外では反射領域による表示を、屋内では透過領域による表示を観察することができ、半透過型液晶表示装置は、屋外でも屋内でも使用することができる。
【0007】
反射領域においては、光は、着色層107と液晶セル108を2回通過する。そのため、反射領域に相当する部分の着色層107と液晶セル108の厚みを、透過領域におけるそれらより薄くすることで、反射領域における色再現範囲を透過型と同等にしている。特に、液晶セルは、透過領域の半分の厚さである(例えば、非特許文献1参照)。
【0008】
また、図1に示すような、着色層がマルチギャップ層の下にある、半透過型液晶表示装置用のカラーフィルタが考えられている。このようなカラーフィルタを作製するためには、着色層の膜厚を、反射領域において薄くする必要があり、図5に示すようなマスク119が用いられている。マスク119は、透明な基板121上に、遮光膜123と半透明膜125を有し、透明部と遮光部のほかに半透明部を有するハーフトーンマスク(階調マスク、グレートーンマスクとも呼ばれる)である。
【0009】
【特許文献1】特開2004−102243号公報
【非特許文献1】藤森孝一、外2名、「高透過アドバンストTFT−LCD技術」、シャープ技報、シャープ株式会社、2003年4月、通巻第85号、p.34―37
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、マスク119は、基板121上に、遮光膜123を成膜し、パターニングをした後、さらに半透明膜125を成膜し、パターニングをし、作製される。2回の成膜工程とパターニング工程を有するため、マスク119の製作コストは高い。
【0011】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とすることは低コストで、半透過型液晶表示装置に適したカラーフィルタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達成するために、第1の発明は、基板上に、感光性樹脂を塗布し、着色層を形成する工程(a)と、前記着色層を、露光機の解像限界以下のパターンを遮光膜に有するマスクで露光し、現像することで、パターニングを行い、着色層に第1領域と、第1領域より膜厚が薄い第2領域とを形成する工程(b)と、前記着色層上に、感光性樹脂を塗布する工程(c)と、前記感光性樹脂のパターニングを行い、マルチギャップ層を形成する工程(d)と、を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0013】
前記マスクの前記パターンが、線状の孔または点状の孔を有することが好ましい。また、前記工程(d)の後に、前記着色層および前記マルチギャップ層の上に樹脂を塗布し、保護層を形成する工程(e)を有することが好ましい。
【0014】
第2の発明は、基板と、第1領域と、前記第1領域より膜厚が薄く、表面が平坦でない第2領域とを有し、前記基板の上に形成された、特定の色の光を透過する着色層と、前記着色層上に形成されたマルチギャップ層と、を有することを特徴とするカラーフィルタである。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、低コストで、半透過型液晶表示装置に適したカラーフィルタを提供可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0017】
第1の実施形態に係るカラーフィルタ1について説明する。
図1は、カラーフィルタ1を示す図である。ブラックマトリクス8を有する基板9の上に着色層7を形成し、その上にマルチギャップ層3を形成している。
【0018】
着色層7は、一般的にカラーフィルタに用いられる着色層であり、顔料を含んだ感光性樹脂である。感光性樹脂としては、ネガ型感光性樹脂およびポジ型感光性樹脂のいずれも用いることができる。本実施の形態では、ネガ型感光性樹脂を用いて説明する。
【0019】
ネガ型感光性樹脂としては特に限定されるものではなく、一般的に使用されるネガ型感光性樹脂を用いることができる。例えば、架橋型樹脂をベースとした化学増幅型感光性樹脂、具体的にはポリビニルフェノールに架橋剤を加え、さらに酸発生剤を加えた化学増幅型感光性樹脂等が挙げられる。また、アクリル系ネガ型感光性樹脂として、紫外線照射によりラジカル成分を発生する光重合開始剤と、分子内にアクリル基を有し、発生したラジカルにより重合反応を起こして硬化する成分と、その後の現像により未露光部が溶解可能となる官能基(例えば、アルカリ溶液による現像の場合は酸性基をもつ成分)とを含有するものを用いることができる。上記のアクリル基を有する成分のうち、比較的低分子量の多官能アクリル分子としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、テトラメチルペンタトリアクリレート(TMPTA)等が挙げられる。また、高分子量の多官能アクリル分子としては、スチレン−アクリル酸−ベンジルメタクリレート共重合体の一部のカルボン酸基部分にエポキシ基を介してアクリル基を導入したポリマーや、メタクリル酸メチル−スチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0020】
また、ポジ型感光性樹脂としては特に限定されるものではなく、一般的に使用されるものを用いることができる。具体的には、ノボラック樹脂をベース樹脂とした化学増幅型感光性樹脂等が挙げられる。
【0021】
着色層7は、第1領域と、第1領域より膜厚の薄い第2領域を有している。半透過型液晶表示装置では、第1領域が透過領域に対応し、第2領域が反射領域に対応する。透過領域においては、光は着色層7を1回のみ通過するが、反射領域においては、光は着色層7を2回通過する。このとき、反射領域と透過領域において、表示される色が変わらないように、第2領域の着色層7の膜厚を薄くし、色の濃さを調節している。着色層7の第1領域の膜厚は、1〜5μm程度にすることができる。
【0022】
ブラックマトリクス8は、着色層7と別の着色層との境目に設けられ、色のコントラストを向上させている。ブラックマトリクス8は、例えばスパッタリング法、真空蒸着法等によりクロム等の金属薄膜を形成し、この金属薄膜をパターニングすることにより形成することができる。この場合、遮光部の厚みは、20〜500nm程度とすることができる。
また、ブラックマトリクス8は、カーボン微粒子等、金属酸化物等の遮光性粒子を含有させたポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等を用いて樹脂層を形成し、この樹脂層をパターニングすることにより形成することもできる。さらに、ブラックマトリクス8は、カーボン微粒子、金属酸化物等の遮光性粒子を含有させた感光性樹脂を用いて樹脂層を形成し、この樹脂層をパターニングすることにより形成することもできる。
【0023】
マルチギャップ層3は、着色層7の第2領域の上に形成される断面台形状の透明な感光性樹脂であり、着色層7を形成する感光性樹脂と同様のものが使われる。マルチギャップ層3により、透過領域と反射領域の、液晶セルを通過する光の経路を等しくし、位相差値を一定にすることができる。断面は、台形状に限られず、長方形や逆台形状にしてもよい。マルチギャップ層3の膜厚は、液晶セルの厚さ(セルギャップ)にもよるが、2〜5μm程度とすることができる。
【0024】
基板9は、一般にカラーフィルタに用いられる基板を使用することができる。例えば、ホウ珪酸ガラス、アルミノホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、合成石英ガラス、ソーダライムガラス、ホワイトサファイアなどの可撓性のない透明なリジット材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂フィルムなどの可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。前記フレキシブル材としては、ポリメチルメタクリレート等のアクリル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、シンジオタクティック・ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、ポリエーテルニトリル、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリシクロヘキセン、ポリノルボルネン系樹脂、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリイミド等からなるものを挙げることができるが、一般的なプラスチックからなるものも使用可能である。特に、無アルカリガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり、寸法安定性および高温加熱処理における特性に優れており、好ましい。
【0025】
第1の実施の形態に係るカラーフィルタ1の製造方法を説明する。図2は、カラーフィルタ1の製造工程を示す図である。
【0026】
まず、図2(a)に示すように、ブラックマトリクス8がパターニングされた基板9の上に、顔料を含む感光性樹脂を塗布し、着色層7を形成する。感光性樹脂の塗布方法としては、例えばスピンコート法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法、ダイコート法等を挙げられる。
【0027】
次に、図2(a)に示すように、マスク11を用いて露光する。着色層7にネガ型感光性樹脂を用いることで、着色層7の、透明部に対応する部分のみ樹脂の硬化が進むが、半透明部に対応する部分では、露光量に応じて樹脂の硬化が進む。その後、現像する。マスク11を、図3を用いて説明する。
【0028】
図3(a)は、マスク11の正面図である。マスク11は、透明な基板13の上に遮光膜14を有し、遮光膜14の一部は、スリット部15となっている。基板13上に何の膜も有さない箇所が透明部に、基板13上に、遮光膜14を有し、スリット部15が設けられた部分が半透明部に、スリット部15が設けられていない部分が遮光部となる。
【0029】
図3(b)は、マスク11の底面図である。基板13の上に、スリット部15を有する遮光膜14が設けられている。
【0030】
マスク11は、基板13上に遮光膜14を成膜し、遮光膜14をパターニングすることにより得られる。
【0031】
基板13に用いられる透明基板は、基板9に用いられる基板を用いることができる。
【0032】
遮光膜14は、実質的に光17を透過しないものであり、露光波長における平均透過率が0.1%以下であることが好ましい。このような遮光膜としては、一般にマスクに用いられる遮光膜を用いることができ、例えばクロム、酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロム、モリブデンシリサイド、タンタル、アルミニウム、ケイ素、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素などの膜が挙げられる。特に、クロム、酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロム等のクロム系膜が好ましい。このようなクロム系膜は、最も使用実績があり、コスト、品質の点で優れるからである。このクロム系膜は、単層であってもよく、2層以上が積層されたものであってもよい。
【0033】
遮光膜14の膜厚としては、特に限定されるものではなく、例えばクロム膜の場合には50nm〜150nm程度とすることができる。
【0034】
遮光膜14の成膜方法としては、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法などの物理蒸着法(PVD)が用いられる。
【0035】
スリット部15には、露光機の解像限界以下の太さの線状のパターンが設けられている。このパターンの太さは解像限界以下のサイズであるため、パターンは感光性樹脂層上に結像せずに、周囲の非開口部領域も含めたエリアに、スリット部15の開口率に応じた露光光を透過する。このため、マスク11は、スリット部15に、あたかも半透明膜があるかのように機能する。また、スリットの数や太さを変えることで、スリット部15での透過率を変化させることができる。また、図3(c)に示すように、線状の孔ではなく、点状の孔を設け、穴あき部16を設けてもよい。なお、パターンの太さが露光機の解像限界以下であるとは、遮光膜を有する部分と有しない部分の、どちらかまたは両方の大きさが、露光機の解像限界以下であることを意味する。
【0036】
大型液晶表示装置製造用の露光機の解像限界は、ステッパ方式の露光機で約3μm、ミラープロジェクション方式の露光機で約4μmである。
【0037】
次に、図2(b)に示すように、現像の際に、透明部に対応する部分に着色層7の第1領域が形成され、半透明部に対応する部分に着色層7の第2領域が形成される。
【0038】
カラーフィルタ1の着色層7は、第1領域では、透明部の光17の強度が照射面内で均一であるため、表面が平坦であるが、第2領域では、半透明部を透過した光17の強度が照射面内で均一でないため、表面が平坦でなく、0.05〜0.2μmの段差を持つ凹凸を生じる。
【0039】
次に、図2(c)に示すように、透明樹脂層23を形成する。透明樹脂層23は、着色層7と同様の方法で塗布できる。
【0040】
次に、図2(c)に示すように、遮光膜21を有するマスク19を用いて、透明樹脂層23を露光し、その後現像する。図2(d)に示すように、透明部23に対応した部分にマルチギャップ層3を形成し、カラーフィルタ1を作製する。
【0041】
図2(c)において用いられる、マスク19は、透明な基板13の上に、所定のパターンを有する遮光膜21を有するマスクを用いることができる。
【0042】
なお、マルチギャップ層3の形成と同時または形成後に、保護層を形成してもよい。保護層は、着色層7を覆う、透明樹脂製の膜であり、着色層7と別の着色層との間の着色層間段差を覆い、液晶分子の配向を揃え、液晶表示装置のコントラストを向上させる効果を持つ。
【0043】
第1の実施の形態によれば、マスク11は、遮光膜14の成膜とパターニングを行うのみで作製され、遮光膜123と半透明膜125を成膜とパターニングを行う必要のあるマスク119より、製作コストが安い。
【0044】
また、第1の実施の形態によれば、着色層7の第2領域の表面は凹凸を有し、ここに液晶分子が直接触れるようになる場合、液晶分子の配向は乱され、液晶表示装置のコントラストが低下する。そこで、着色層7の第2領域上にマルチギャップ層3を形成することで、着色層7の第2領域に直接液晶分子に触れることがなく、高いコントラストの液晶表示装置を実現できる。
【0045】
また、第1の実施の形態に係るカラーフィルタ1は、反射領域に、マルチギャップ層3を持ち、反射領域における着色層7が透過領域における着色層7よりも薄いため、高い色再現性を有する液晶表示装置を実現可能である。
【実施例】
【0046】
以下、本発明について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
【0047】
(マスクの作製)
光学研磨された390mm×610mmの合成石英基板上にクロム膜(遮光膜)が厚み100nmで成膜されている常用のマスクブランク上に、市販のフォトレジスト(東京応化工業社製 ip−3500)を厚み600nmで塗布し、120℃に加熱されたホットプレートで15分ベークした後、フォトマスク用レーザ描画装置(マイクロニック社製 LRS11000−TFT3)で、マスク遮光部と半透明部に対応する、所望の遮光膜パターンを描画した。
【0048】
前記遮光膜パターンは、6.0μmの太さと、1.5μmの間隔を持つ、線状や点状の孔を有する。
【0049】
次に、専用のデベロッパー(東京応化工業社製 NMD3)で現像し、遮光膜用レジストパターンを得た。次に、レジストパターンをエッチング用マスクとし、クロム膜をエッチングし、さらに残ったレジストパターンを剥膜することで、所望の遮光膜パターンを得た。クロム膜のエッチングには、市販の硝酸セリウム系ウェットエッチャント(ザ・インクテック社製 MR−ES)を用いた。クロム膜のエッチング時間は、60秒であった。
【0050】
次に、遮光膜パターンが形成された基板について、パターン寸法検査、パターン欠陥検査、必要に応じてパターン修正を行い、マスクを得た。
【0051】
(カラーフィルタの作製)
基板として、大きさが300mm×400mm、厚みが0.7mmのガラス基板(コーニング社製1737ガラス)を準備した。この基板を定法にしたがって洗浄した後、基板の片側全面にスパッタリング法によりクロム薄膜(厚み100nm)を形成した。このクロム薄膜上にポジ型感光性レジスト(東京応化工業(株)製 OFPR−8)を塗布し、所定のマスクを介して露光、現像してレジストパターンを形成した。次に、このレジストパターンをマスクとして、クロム薄膜をエッチングして、線幅20μm、ピッチ100μmのブラックマトリックスを形成した。
【0052】
次に、マルチギャップ層用のネガ型感光性樹脂(ポリマーI)、赤色パターン用のネガ型感光性樹脂、緑色パターン用のネガ型感光性樹脂、青色パターン用のネガ型感光性樹脂を調整した。
【0053】
<ポリマーI>
・メタクリル酸メチル−スチレン−アクリル酸共重合体 32重量部
・エポキシ樹脂:エピコート180s70(ジャパンエポキシレジン(株)) 18重量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート 42重量部
・イルカギュア907(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製) 8重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 300重量部
【0054】
<赤色パターン用のネガ型感光性樹脂>
・赤顔料(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 クロモフタルレッドA2B) 4.8重量部
・黄顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) 1.2重量部
・分散剤(ビックケミー社製 ディスパービック161) 3.0重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907) 1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
【0055】
<緑色パターン用のネガ型感光性樹脂>
・緑顔料(アビシア社製 モナストラルグリーン9Y−C) 4.2重量部
・黄顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) 1.8重量部
・分散剤(ビックケミー社製 ディスパービック161) 3.0重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907) 1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
【0056】
<青色パターン用のネガ型感光性樹脂>
・青顔料(BASF社製 ヘリオゲンブルーL6700F) 6.0重量部
・顔料誘導体(アビシア社製 ソルスパース5000) 0.6重量部
・分散剤(ビックケミー社製 ディスパービック161) 2.4重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907) 1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
【0057】
基板上に、赤色パターン用のネガ型感光性樹脂をスピンコート法により塗布し、100℃にて3分間プリベークを行った。次に、作製した前記マスクを介して、露光量60mJ/cm、露光ギャップ150μmにて露光した。次に、0.05wt%水酸化カリウム水溶液を用いて60秒間現像を行い、200℃のオーブンで30分焼成し、赤色の着色層を形成した。
【0058】
次に、緑色パターン用のネガ型感光性樹脂、青色パターン用のネガ型感光性樹脂についても同様に行い、緑色の着色層、青色の着色層を形成した。
【0059】
次に、着色層の上にポリマーIをスピンコート法により塗布し、100℃にて3分間プリベークを行い、透明樹脂層を形成した。その後、マスクを介して、露光量100mJ/cm、露光ギャップ150μmにて露光した。次に、0.05wt%水酸化カリウム水溶液を用いて60秒間現像を行い、200℃のオーブンで30分焼成し、マルチギャップ層を形成した。
【0060】
[比較例]
下記のように、マスクを形成する際に、マスクの遮光部に対応するパターンを有する遮光膜の上に、マスクの半透明部に対応するパターンを有する半透明膜を形成した以外は、実施例と同様にしてカラーフィルタを作製した。
【0061】
実施例に用いた方法で、マスクの遮光部に対応するパターンを有する遮光膜を形成した。
【0062】
遮光膜パターンが形成された基板について、パターン寸法検査、パターン欠陥検査、必要に応じてパターン修正を行い、よく洗浄した後、酸化窒化炭化クロム膜(半透明膜)を下記の条件でスパッタリング法にて成膜した。
<成膜条件>
・ガス流量比 Ar:CO:N=1:0.5:0.5
・パワー:1.5kW
・ガス圧:3mTorr
酸化窒化炭化クロム膜の膜厚は33nmとした。次に、酸化窒化炭化クロム膜上に市販のフォトレジスト(東京応化製 ip−3500)を、厚み600nmで塗布し、120℃に加熱されたホットプレート上で15分ベークした。
続いて半透明膜パターンとなる像を再度、レーザ描画装置(マイクロニック社製 LRS11000−TFT3)で描画し、専用デベロッパー(東京応化社製 NMD3)で現像し、レジストパターンを得た。
次に、レジストパターンをマスクとして、市販の硝酸セリウム系ウェットエッチャント(ザ・インクテック社製 MR−ES)で半透明膜および遮光膜をエッチングし、半透明膜パターンおよび遮光膜パターンを得た。エッチングは半透明膜および遮光膜に対して行った。
【0063】
[評価]
これらのカラーフィルタを用いた液晶ディスプレイのコントラスト値は、実施例が2370であるのに対し、比較例は2420であった。露光機の解像限界以下のパターンを有するマスクを用いる実施例により、半透明膜を有するマスクを用いる比較例よりも低コストでありながら、比較例と同等のコントラストを有するカラーフィルタを提供できることを確認した。
【0064】
以上、添付図面を参照しながら、本発明にかかるカラーフィルタの好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しえることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】第1の実施の形態に係るカラーフィルタ1を示す図。
【図2】第1の実施の形態に係るカラーフィルタ1の製造工程を示す図。
【図3】第1の実施の形態に係るマスク11を示す図。
【図4】従来例に係る液晶表示装置100を示す図。
【図5】従来例に係るマスク119を示す図。
【符号の説明】
【0066】
1………カラーフィルタ
3………マルチギャップ層
7………着色層
8………ブラックマトリクス
9………基板
11………マスク
13………基板
15………スリット部
16………穴あき部
17………光
19………マスク
21………遮光膜
23………透明樹脂層
100………液晶表示装置
101………カラーフィルタ
102………基板
103………マルチギャップ層
105………ブラックマトリクス
106………透明電極
107………着色層
108………液晶セル
109………透明電極
111………反射電極
112………偏光板
113………基板
114………偏光板
115………バックライトユニット
117………液晶分子
119………マスク
121………基板
123………遮光膜
125………半透明膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、感光性樹脂を塗布し、着色層を形成する工程(a)と、
前記着色層を、露光機の解像限界以下のパターンを遮光膜に有するマスクで露光し、現像することで、パターニングを行い、着色層に第1領域と、第1領域より膜厚が薄い第2領域とを形成する工程(b)と、
前記着色層上に、感光性樹脂を塗布する工程(c)と、
前記感光性樹脂のパターニングを行い、マルチギャップ層を形成する工程(d)と、
を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項2】
前記マスクの前記パターンが、線状の孔を有することを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項3】
前記マスクの前記パターンが、点状の孔を有することを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項4】
前記工程(d)の後に、前記着色層および前記マルチギャップ層の上に樹脂を塗布し、保護層を形成する工程(e)を有することを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項5】
基板と、
第1領域と、前記第1領域より膜厚が薄く、表面が平坦でない第2領域とを有し、前記基板の上に形成された、特定の色の光を透過する着色層と、
前記着色層上に形成されたマルチギャップ層と、
を有することを特徴とするカラーフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−109804(P2009−109804A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282934(P2007−282934)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】