説明

カラーフィルターの製造方法、カラーフィルター基板およびカラーフィルター

【課題】画素の微細さ、シャープさなどの画像特性に優れた性能を有するCFの製造において、工程の煩雑さ、作業時間の短縮化などの問題点を解決し、容易にかつ経済的に、液晶ディスプレーの大型化にも、小型化にも対応できるCFを製造する方法の提供。
【解決手段】カラーフィルター基板表面に形成されたブラックマトリックスを少なくとも覆うように、光分解型のポジ型レジストを塗布してレジスト層を形成する工程、CF基板の裏面から上記レジスト層を露光する工程、露光により可溶化したレジスト層を洗浄除去して、上記BM上に残存したレジスト層からなる孔壁(溝壁、隔壁)によって隔てられた孔空間あるいは溝空間(空孔)を形成する工程、次いで上記空孔にCFの画素に対応する着色インクを付与して着色膜を形成する工程、BM側から露光して上記レジスト層からなる隔壁を可溶化して除去する工程からなるCFの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルター(以下、「CF」と略称することがある)の製造方法、CFおよびそれを使用した画像表示装置に関し、さらに詳しくはCF基板のブラックマトリックス(以下、「BM」と略称することがある)上に形成させた壁の隙間に、各色の着色画素を形成するCFの製造方法、上記方法で形成されたCF基板、それを用いて形成されたCFおよびそれを使用した画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の情報化機器の非常な発展に伴い、液晶カラーディスプレーが情報表示部材としてパーソナルコンピューター、モバイル情報機器、テレビジョン、プロジェクター、モニター、カーナビゲーション、携帯電話、電子計算機や電子辞書の表示画面、情報掲示板、案内掲示板、機能表示板、標識板などのディスプレー、デジタルカメラやビデオカメラの撮影画面など、多岐にわたって使用されている。
【0003】
それに伴い、液晶カラーディスプレーに搭載するCFにも、より鮮明性、透過性、コントラスト性などの画像性能面でより優れた品質が要求され、それとともに大きさも前記したような用途の多様化から小型化および大型化がともに進行し、それら全てにおいてCFを安価に提供することが要求されてきている。
【0004】
従来、CFのBMとしては、蒸着法による金属クロム膜による単層クロム、酸化クロム層に重ねた低反射クロム、超低反射クロムのクロム系BM、およびカーボンブラック顔料あるいは亜酸化チタン顔料などの黒色顔料、さらに青色顔料、紫色顔料を添加して黒色を調色した顔料などを樹脂中に分散させた黒色樹脂系BMが使用されている。
【0005】
また、画素の形成については、加色混合方式の3原色着色画素形成の場合には、多くの場合「フォトリソグラフ法」と称する製造方法によっている。この製造方法では、赤色、緑色、青色(本発明では、顔料の色と区別するために画素の色として「R色、G色、B色」、あるいは単に「R、G、B」と略称することがある)の画素を色毎に、感光性カラーレジストをスピンコーターあるいはスリットコーターで塗布し、次いで予め作成された着色画素の位置や大きさをガラスマスクとして作成したフォトマスクを用いて紫外線照射して硬化させ、未露光部分を除去して着色画素を現像形成している。
【0006】
スピンコーターでは、実際に画素の形成に使用されないインクが発生し、この有効に使用されないインクを改良する方法として、スリットコーターを使用してインクを塗布する方法は有効であったが、いずれの方法にしてもフォトリソグラフ法であり、上記したような多くの工程を経てCFを製造するという問題点があり、また、使用する有効な着色インクの割合が低いという欠点は改良されなかった。
【0007】
CFの製造方式の合理化および経済性を目的として、各種の印刷方式によるCFの製造も試みられたが、当然のことながらR色、G色、B色の画素の形成が別々の印刷版で行われることから、印刷形成された画素に、エッジ部分の盛り上がり、逆にエッジ部の肉薄れ、滲み、画素のずれなどが生じ、また、軟質の印刷版を用いた場合にはR色、G色、B色の印刷版の延び縮みで、画素位置に差が出たりするため、画素印刷の解像性や位置精度が低く、そのため3原色画素の微細さ、シャープさなどが不十分であった。
【0008】
さらに改良方法として、インクジェット(以下、「IJ」と略称する)プリンティング方式を利用した方法も提案された。しかし、この方式では、IJインクの粘性に問題が出た。すなわち、画素形成用の空間に着色インクを吐出する際に、インクの粘度が低いとBMの上にもインクが流れ出し、さらにインクの粘度が低い場合には部分的に画素間でのインクの混色を起こすおそれがあった。着色インクが流れ出さないようにするために、インクの粘度を高くすると、吐出したインクがドットであることからインクドットの重なり合いの不十分さ、および画素表面の平滑性の不十分さにより、画素の膜厚の均一性、色素濃度の均一性が達成されないなどの問題点を有していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、画素の微細さ、シャープさなどの画像特性に優れた性能を有するCFの製造において、工程の煩雑さ、作業時間の短縮化などの問題点を解決し、容易にかつ経済的に、また、液晶ディスプレーの大型化にも、小型化にも対応できるCFを製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記本発明の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、CF基板上に形成されているBMの上に重ねて、容易に洗浄除去できるポジ型レジストによる高い隔壁を形成させることで、画素形成のための空孔を高い壁で囲むこととし、着色インクとして溶剤または水で希釈して低粘度にしたインクを使用しても、充分な色濃度の画素が形成できるように、画素形成の空孔に充分な量でインクを充填することができ、また、隔壁に付着していた不要な着色膜は最終的には隔壁を洗浄除去するとともに、同時に取り除かれることから、上記した問題点が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、カラーフィルター(CF)基板表面に形成されたブラックマトリックス(BM)を少なくとも覆うように、光分解型のポジ型レジストを塗布してレジスト層を形成する工程(工程A)、CF基板の裏面から上記レジスト層を露光する工程(工程B)、露光により可溶化したレジスト層を洗浄除去して、上記BM上に残存したレジスト層からなる孔壁(溝壁、隔壁)によって隔てられた孔空間あるいは溝空間(空孔)を形成する工程(工程C)、次いで上記空孔にCFの画素に対応する着色インクを付与して着色膜を形成する工程(工程D)、BM側から露光して上記レジスト層からなる隔壁を可溶化して除去する工程(工程E)からなることを特徴とするCFの製造方法を提供する。
【0012】
上記本発明においては、CF基板が、ガラス製、プラスチック製または転写用あるいは貼付け用プラスチックフィルムであること;工程Aに使用するポジ型レジストが、水溶性樹脂および/または水膨潤性樹脂を含有すること;工程Aのポジ型レジスト層厚が、2〜10μmであることが好ましい。
【0013】
また、上記本発明においては、着色膜が、レッド色、グリーン色およびブルー色の3原色、またはイエロー色、マゼンタ色およびシアン色の3原色、さらにオレンジ色、グリーン色、バイオレット色の補助色からなる群から選ばれること;着色膜の形成方法が、インクジェットプリンティング方式、ディスペンサー注入方式、静電記録方式、電子写真方式、スクリーン印刷方式、熱転写印刷方式、フレキソ印刷方式、グラビア印刷方式およびオフセット印刷方式から選ばれること;着色インクが、顔料および皮膜形成性材料を含む、有機溶剤系インク、水性インク、無溶剤系インク、エネルギー線硬化性インク、熱溶融性固体状インクあるいは微粉体状トナーインクであること;着色インクの粘度が、1〜40mPa・sであることが好ましい。
【0014】
また、上記本発明においては、着色インクの顔料が、C.I.ピグメントレッド9、97、168、177、216、224、226、242、254;C.I.ピグメントグリーン7、36;C.I.ピグメントブルー15:6、160;C.I.ピグメントバイオレット23;C.I.ピグメントイエロー20、24、83、93、109、110、113、114、117、125、138、139、150、154、180、185;上記赤色顔料と黄色顔料との、あるいは緑色顔料と黄色顔料との共沈顔料、固溶体顔料あるいは混晶顔料;C.I.ピグメントイエロー62、74、93、155、185;C.I.ピグメントレッド122、146;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.ピグメントブルー15:3;上記黄色顔料と青色顔料との、赤色顔料と紫色顔料とのあるいは青色顔料と黄色顔料との共沈顔料、固溶体顔料あるいは混晶顔料であること;および着色インクの中の分散された顔料の平均粒子径が、10〜100nmであることが好ましい。
【0015】
また、上記本発明においては、着色インクの皮膜形成性材料が、非反応性のランダム、ブロックおよび/またはグラフト共重合体(以下、「共重合体」と称する)、反応性基を有するランダム、ブロックまたはグラフト共重合体、反応性基を有する中分子量のオリゴマー、および反応性基を有する単量体および架橋剤からなる群から選ばれること;反応性基が、メチロール基、イソシアネート基、エポキシ基、オキセタン基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基およびそれらの反応性誘導体からなる群から選ばれることが好ましい。
【0016】
また、本発明は、前記CF基板が、転写用または貼付け用印刷フィルムであり、これらの基板に形成されたCF画素を、ガラス製CF基板あるいはプラスチック製CF基板上に転写または貼付けることを特徴とするCF製造方法を提供する。
【0017】
また、本発明は、前記本発明の方法で製造されたことを特徴とするCFを提供する。
【0018】
また、本発明は、カラーフィルター(CF)基板表面に形成されたブラックマトリックス(BM)を少なくとも覆うように、光分解型のポジ型レジストを塗布してレジスト層を形成する工程(工程A)、CF基板の裏面から上記レジスト層を露光する工程(工程B)、露光により可溶化したレジスト層を洗浄除去して、上記BM上に残存したレジスト層からなる孔壁(溝壁、隔壁)によって隔てられた孔空間あるいは溝空間(空孔)を形成する工程(工程C)からなることを特徴とするCF基板の製造方法、および該方法で製造されたことを特徴とするCF基板を提供する。
【0019】
また、本発明は、前記本発明のCFを装備していることを特徴とする画像表示装置を提供する。
【0020】
なお、本発明では、顔料の色としての赤色、緑色、青色と区別するために、画素のレッド色、グリーン色、ブルー色の3原色あるいはイエロー色、マゼンタ色、シアン色の3原色をそれぞれ「R色」、「G色」、「B色」、「Y色」、「M色」、「C色」と称し、R色、G色、B色の画素またはY色、M色、C色の画素を総称して「画素」と称する場合がある。CFのR色、G色、B色の3原色の画素群あるいはY色、M色、C色の3原色の画素群としては、ストライプ配列、モザイク配列あるいはトライアングル配列などの公知の画像配列パターンが使用される。CF基板としては用途あるいは使い方の目的によって、ガラス製、プラスチック製および転写用または貼付け用プラスチックフィルムが使用される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、CFの画素を形成するために、予めCF基板上のBM上に重ねてポジ型レジストを必要な厚みで塗布し、CF基板の裏面(BMがない側)から露光することで、遮光されているBM部分を除いて露光部分のポジ型レジストが光分解し、これを洗浄除去して現像することで、BM部分の上に必要な高さのポジ型レジスト層からなる壁が残り、結果としてBM上に必要な高さの壁によって囲まれた隙間を、画素を形成させる空間として容易にかつ精度良く作ることができる。
【0022】
上記のように、CFの画素を形成させるためのスペース(空孔)が、高い隔壁で囲まれた空孔になっていることによって、この空孔に充填する着色インクを適切な画素形成の皮膜組成にすることができ、かつ着色インクに充分な流動性を保持させるように、該インクを溶媒あるいは水で希釈することができ、さらに必要な添加剤も添加できる。画素の形成に際しては、高い隔壁によって囲まれている空孔に必要かつ充分な量の着色インクを注入して、空孔の隅々まで着色インクを充填させることができる。充填後に、着色インク中の溶媒や水を乾燥除去し、着色皮膜の形成と、皮膜硬化を行なう。画素形成後不要となった隔壁は、表面(BM側)より再度露光し、洗浄除去され、BMは本来の状態に戻る。その際、隔壁に付着していた不要な着色膜は隔壁を除去するとともに取り除かれる。
【0023】
上記したように本発明のCFの製造方法は、その製造工程が非常に合理化されており、着色インクを充填する空孔を形成している隔壁は、フォトマスクなどのパターンを使用せずに、基板裏面からの全面露光と現像工程のみで構築される。また、画素形成後には、BM側(表面)からの全面露光と洗浄除去により隔壁は除去される。このように本発明の方法は、工程的に単純にかつ簡素化されており、非常に合理的かつ経済的である。また、前記空孔を囲む高い隔壁を利用して得られた画素は、その膜厚は均一で、表面も平滑になり、したがって画素内および画素間の色素濃度を同一にすることができる。
【0024】
本発明では、CFのR色、G色、B色の画素を、ポジ型レジストからなる隔壁内の画素空孔中で簡便に、精度良く形成することから、従来技術の工程の煩雑さ、作業時間の短縮化などの問題点、印刷法の画素印刷の解像性や位置精度の低さや、IJ方式における画素間の混色、表面の平滑性、色濃度の不均一性などの品質的課題が解決された。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】BM2が形成されたCF基板1上の全面に、ポジ型レジスト3を塗布した状態を説明する図。
【図2】CF基板1の裏面から紫外線露光4をして、BM以外の部分5が分解可溶化する状態を説明する図。
【図3】可溶化した部分5を除去して、BM2の上にポジ型レジストからなる隔壁6が残り、空孔5が形成された状態を説明する図。
【図4】隔壁6に隔てられた空孔に、赤色7、緑色8、青色9の着色インクを順次に充填し、空孔内で着色インクが流れて平坦なインク液膜が形成される状態を説明する図。
【図5】着色インク層7、8、9を乾燥、硬化して、赤色膜7、緑色膜8、青色膜9を形成し、CF基板1の表面側から露光10し、隔壁6を可溶化する状態を説明する図。
【図6】可溶化した隔壁6をアルカリ性水溶液で洗浄、除去し、次いで、CF基板1を洗浄、乾燥し、赤色7、緑色8、青色9の画素が形成された状態のCFを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
本発明のCFの製造方法は、図1〜図6に示すように、まず、CF基板1の表面に形成されたBM2を少なくとも覆うように、光分解型のポジ型レジストを塗布してレジスト層3を形成する工程(工程A)、CF基板1の裏面から上記レジスト層3を露光4する工程(工程B)、露光4により可溶化したレジスト層5を洗浄除去して上記BM2上に残存したレジスト層6からなる孔壁6(溝壁、隔壁)によって隔てられた孔空間あるいは溝空間(空孔5)を形成する工程(工程C)、次いで上記空孔5にCFの画素に対応する着色インク7、8、9を付与して着色膜を形成する工程(工程D)、BM2側から露光して上記レジスト層からなる隔壁6を可溶化して除去する工程(工程E)からなることを特徴としている。
【0027】
本発明で使用し、本発明を主として特長づけるポジ型レジストとしては、従来公知のキノンジアジド化合物として、o−芳香族キノン−2−ジアジドのスルホン酸エステルまたはスルホン酸アミド類が挙げられる。例えば、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライド、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロライド、1,2−ベンゾキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライド類とフェノール類とのモノ〜ポリスルホン酸エステル類、アミン類とのモノ〜ポリスルホン酸アミド類が挙げられる。
【0028】
スルホン酸エステル形成に使用されるフェノール類としては、フェノール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂、o−クロルフェノール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂、ビスフェノールA、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,7−ジヒドロキシナフタリンなどである。スルホン酸アミド形成に使用するアミン類としてはロジンアミンなどのアミン類が挙げられる。
【0029】
上記のポジ型レジストによる画像の形成について述べる。上記のo−ナフトキノンジアジド類は500nm付近までの紫外線に感光性を有する。紫外線を照射した際の光分解機構は、露光によってo−ナフトキノンジアジドのアジド基が分解し、窒素ガスを放出し、ケテン基を経るとされているが、水の存在によってカルボキシル基を有する3−インデンカルボン酸に転換する。現像液に浸漬することで露光部分が溶解し、除去される。
【0030】
上記露光後に行う現像に用いる現像液としてアルカリ水溶液が使用され、例えば、燐酸三ナトリウム、燐酸三ナトリウムと苛性ソーダとの混合液、炭酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどの無機アルカリ性水溶液、テトラメチルアンモニウムハイドロオキシドなどの有機アルカリ性水溶液などが挙げられる。
【0031】
本発明においては、ポジ型レジストにより形成する隔壁の物理的強度は、それほど必要とされていないので、露光部のアルカリ溶液による現像性を向上させるために、ポジ型レジスト中に親水性樹脂を添加することもできる。親水性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、(メタ)アクリルエステル−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールブロック共重合体などの水溶性樹脂、および(メタ)アクリル酸共重合体架橋物、イソブチレン−マレイン酸共重合体架橋物およびポリスチレン−ポリアクリル酸−ポリスチレン3元ブロック共重合体などの水膨潤性樹脂から選ばれた親水性樹脂が好ましい。
【0032】
CFでは、3原色画素のパターンを囲んでBMが形成されている。画素の大きさについてはCFの用途に応じて設計する画素のデザインによって決まるもので、特に制限されるものではなく、従来使用されている大きさで画素を設計する。一般には、画素の大きさは、開口部としては、通常横幅が50〜100μm、縦幅は200〜300μmで、BMの線幅は20〜30μmであるが、さらに高精細用ではBMの線幅は10〜15μmと細くなり、画素を形成する開口部を広く取るようにする。BMの膜厚は通常クロム系BMでは0.1〜0.2μm、黒色樹脂系BMでは2〜3μmである。
【0033】
本発明では、CF基板のBMの上に重ねてポジ型レジストからなる隔壁を作るが、画素形成用空孔とするための隔壁の高さは、着色インクの固形分(着色皮膜形成成分)の含有率に対応して決めることが好ましい。着色インクとして紫外線硬化性着色インク(以下、「UVインク」と称することがある)を使用する場合は、該インクは、固形分(皮膜形成成分)は、付加重合性オリゴマーおよび付加重合性単量体を主体として構成でき、希釈媒体の添加も少量でインクの粘度が下げられ、固形分(着色皮膜性成分)の含有濃度を比較的下げずに、インクに十分な流動性を与えることができる。したがって、着色インクとしてUVインクを使用する場合の隔壁は、それほど高くする必要はない。また、着色インクとして加熱硬化性インクを使用する場合は、該インクは皮膜形成成分として高分子量重合体を使用しているため、該インクの粘度を下げるためには、インクを充分希釈することが必要となり、希釈することでインクの固形分が低くなる。そのため隔壁は充分高くすることが必要となる。
【0034】
画素の膜厚を決定するために、使用する着色インク中の固形分(画素形成性分)の含有濃度と、BMに隔壁を重ねた高さの関係は、着色インク中の固形分(画素形成成分濃度)が凡そ70質量%であれば、膜厚の2倍以上の高さを、凡そ50質量%であれば3倍以上の高さ、凡そ30質量%であれば4倍以上の高さを目安にすることが好ましい。ポジ型レジストの乾燥膜厚としては厚いことが必要であるが、画素の膜厚は、通常1〜3μmであり、レジストフィルム隔壁の膜厚は実用的には凡そ2〜10μmであることが好ましい。
【0035】
本発明は、CF基板上に設定通りに形成された空孔を用いて、流動性の良い着色インクを使用して画素が形成することから、着色インクによる印刷精度は比較的要求されず、着色方式としては、従来公知の着色方法が使用できる。それらの方法は、例えば、(A)画素形成用空孔の夫々に、各色の着色インクを直接注入して3色画素またはBMを形成するプレートレス・印刷方式(印刷版を使用しない印刷方式)、および(B)3原色画素またはBMを夫々の印刷版を用いて、夫々対応する画素の空孔を介して3原色画素あるいはBMを印刷する方式が挙げられる。
【0036】
(A)の印刷方式としては、従来公知の印刷方式、例えば、インクジェットプリンティング方式、ディスペンサー注入方式、静電記録方式、電子写真方式などの印刷方式が使用され、(B)の印刷方式としては、スクリーン印刷方式、熱転写印刷方式、フレキソ印刷方式、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式が使用される。
【0037】
上記印刷方式に使用する着色インクとしては、それぞれの印刷方式に適合する顔料および皮膜形成性材料を含む、従来公知の有機溶剤系インク、水性インク、無溶剤系インク、エネルギー線硬化性インク、熱溶融性固体状インクあるいは微粉体状トナーインクなどが使用される。
【0038】
本発明で用いられる着色インクに使用される材料について説明する。着色インクを構成する成分としては、色素、色素固着剤(バインダー)、および必要に応じて添加するシランカップリング剤、重合体系分散助剤、色素分散剤、液状媒体を含む。色素としては耐熱性、耐光性、耐溶剤性などの堅牢性に優れている点から特に顔料が好ましい。顔料を使用する場合には顔料固着剤および顔料分散剤が使用される。
【0039】
R色、G色、B色の画素用、Y色、M色、C色の画素用およびBM用のインク中に含有される色素について説明する。CFのR色、G色、B色の画素およびY色、M色、C色の画素用色素として有機顔料、分散性染料、油溶性染料、水溶性染料、無機顔料などが使用される。例えば、有機顔料では、不溶性アゾ系、溶性アゾ系、高分子量アゾ系などのアゾ系顔料、キナクリドンレッド系、キナクリドンマゼンタ系などのキナクリドン系顔料、アンスラキノン系顔料、ペリレン系顔料、フタロシアニンブルー系、フタロシアニングリーン系などのフタロシアニン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジンバイオレットなどのジオキサジン系顔料、キノフタロンイエロー顔料、ニッケルアゾエローなどの錯体顔料など、従来公知の顔料が使用できる。
【0040】
分散性染料、油溶性染料、水溶性染料についてもR色、G色、B色、Y色、M、C色として上記構造で示される従来公知の染料類を単独であるいは配合して使用する。染料は顔料に比べ、化学構造によっては堅牢性に劣るが、色調の鮮明性、冴え、色の透過率、コントラスト比などの光学特性に優れるので、顔料と各種染料がそれぞれの特長を生かして使用される。
【0041】
上記したR色、G色、B色を形成する顔料としては多くの顔料が使用されるが、代表的な顔料の具体例としては、赤色顔料としてC.I.ピグメントレッド(以下、PRと称する。)9、97、168、177、216、224、226、242、254であり、緑色顔料としてC.I.ピグメントグリーン(以下、PGと称する。)7、36、ポリ(12〜16)ブロムフタロシアニングリーンなど、青色顔料としてC.I.ピグメントブルー(以下、PBと称する。)15:6、60など、紫色顔料としてC.I.ピグメントバイオレット(以下、PVと称する。)23など、黄色顔料としてC.I.ピグメントイエロー(以下、PYと称する。)20、24、83、93、109、110、113、114、117、125、138、139、150、154、180、185などが挙げられ、さらに上記した赤色顔料と黄色顔料との、または緑色顔料と黄色顔料との共沈顔料、固溶体顔料あるいは混晶顔料が挙げられる。
【0042】
Y色、M色、C色を形成する顔料としては、黄色顔料としてPY−62、74、93、155、185など、赤色顔料としてPR−122、146、PV−19など、青色顔料としてPB−15:3などが挙げられ、さらに上記した黄色顔料と青色顔料との、赤色顔料と紫色顔料との、または青色顔料と黄色顔料との共沈顔料、固溶体顔料あるいは混晶顔料が挙げられる。
【0043】
本発明に使用される好ましい顔料は、微粒子化された顔料である。本発明では、顔料合成工程および顔料化工程を経て製造された粉体粗顔料あるいは通常の塗料や合成樹脂用の着色剤の用途に使用され得る粉体顔料であっても、顔料の微粒子化工程に使用される顔料は全て「粗粒子顔料」と称する。微粒子化顔料としては、例えば、これらの粗粒子顔料をニーダー中で水溶性塩および沸点が150℃以上の水溶性有機溶剤とともに混練および摩砕し、顔料の平均粒子径を10〜100nm、好ましくは10〜80nmに微細化して得られた顔料摩砕塊状物をろ過および水洗して得られた微細化顔料の水性ろ過ケーキ、およびそれを乾燥および粉砕した微細化顔料、水性ケーキを水性重合体分散剤とともに分散して得られた水性顔料分散液あるいは易分散性重合体と共沈または混練した加工顔料がそれぞれの印刷方式に応じた着色インク用の顔料、顔料加工品として使用される。
【0044】
着色インクに使用される皮膜形成性材料としては、従来公知の非反応性のランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体(以下、「共重合体」と称する)、反応性基を有する共重合体、反応性基を有する中分子量のオリゴマー、反応性基を有する単量体、または架橋剤を含有するバインダーである。反応性基としては、着色インクの硬化方法により決まるが、従来公知のメチロール基、イソシアネート基、エポキシ基、オキセタン基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基およびそれらの反応性誘導体などが挙げられる。
【0045】
皮膜形成性重合体は、加熱乾燥型あるいは加熱架橋型の重合体であり、溶剤溶液、水溶液、エマルジョン、ラテックスあるいは固体状熱溶融性樹脂の形で使用される。これらの皮膜形成性重合体を構成する疎水性単量体は、該重合体に皮膜形成性を付与するとともに、有機溶剤型インクでは有機溶剤に対して親媒性基として作用し、水性インクでは、色素に対する親色素性基として作用する。これらの疎水性単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の(炭素数1〜30)アルキルエステル、シクロアルキル(炭素数4〜20)エステル、アルキルシクロアルキル(炭素数6〜20)エステル、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレンなどの芳香族系ビニル単量体などが挙げられ、また、疎水性分子鎖を有するマクロモノマーとしては、上記で示した疎水性基を有する単量体の単独あるいは共重合体鎖に、α,β−エチレン性不飽和基を結合したマクロモノマーが挙げられる。
【0046】
皮膜形成性重合体を構成する親水性単量体として、例えば、アニオン性親水基を有する単量体として、上記したα,β−エチレン性不飽和カルボン酸、ビニルスルフォン酸、スチレンスルフォン酸など;ノニオン性親水基を有する単量体として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドなど;カチオン性親水基を有する単量体としては、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジンなどが挙げられ、親水性分子鎖を有するマクロモノマーとしては、上記で示した親水性単量体の(共)重合体鎖あるいは上記の親水性単量体と疎水性単量体との共重合体鎖にα,β−エチレン性不飽和基を結合したマクロモノマーなどが挙げられる。
【0047】
皮膜形成性重合体を構成する反応性単量体としては、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸、マレイン酸など、水酸基を有する2−ヒドロキシアルキル(炭素数2〜6)(メタ)アクリレートなど、エポキシ基を有するグリシジル(メタ)アクリレートなど、メチロール基を有するN−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミドなど、シラン基を有するγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなど、イソシアネート基を有するイソシアネートエチル(メタ)アクリレート、2−(p−イソプロペニルフェニル)プロピル(−2)イソシアネートなどが挙げられる。架橋剤と反応する基を有する分子鎖を有するマクロモノマーとしては、上記で示した反応性単量体の(共)重合体鎖あるいは反応性単量体と上記の疎水性単量体との共重合体鎖にα,β−エチレン性不飽和基を結合したマクロモノマーなどが挙げられる。
【0048】
架橋剤としては、エポキシ基を有するトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルなど;メチロール基を有するメトキシメチロール化メラミン、ブトキシメチロールメラミンなど;カルボジミド基を有するポリ(ヘキサメチレンカルボジイミド)ジイソシアネートとビスモノメトキシポリエチレングリコールおよびポリオキシエチレンソルビットモノラウレートとのウレタン反応生成物である多分岐型ポリカルボジイミドなど;イソシアネート基を有するトリメチロールプロパン−トリス(トリレンジイソシアネートアダクト)、トリメチロールプロパン−トリス(ヘキサメチレンジイソシアネートアダクト)のフェノールマスクッドイソシアネートなどが挙げられる。
【0049】
紫外線ラジカル硬化型、光カチオン重合型、電子線硬化型、熱重合型インクにおける重合型皮膜形成材料としては、従来公知の付加重合あるいは付加架橋性を有する不飽和二重結合あるいは重合性環状エーテル基を有する単量体、オリゴマーおよび/または重合体が使用される。
【0050】
上記付加重合性オリゴマーや多官能性単量体としては、(ポリ・テトラメチレングリコール−ヘキサメチレンジイソシアネート系ポリウレタン)−ビスアクリレートなどのウレタンアクリレート系、ビスフェノールA系エポキシ樹脂−ビスアクリレート、フェノールノボラック系エポキシ樹脂−ポリアクリレートなどのエポキシアクリレート系、ポリ(ヘキシレンイソフタレート)−ビスアクリレート、(トリメチロールプロパン−アジピン酸系ポリエステル)−ポリアクリレートなどのポリエステルアクリレート系などのアクリル系オリゴマー、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ビスフェノールA−エチレンオキシド付加物のジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが挙げられる。
【0051】
脂環式ジエポキシ化合物としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、リモネンジオキサイドなどであり、オキサテン化合物としては、オキサテンアルコール、ジオキセタン、フェニルオキセタン、キシリレンジオキセタン、2−エチルヘキシルオキセタンなど;ビニルエーテル化合物としては、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルなどが挙げられる。
【0052】
重合開始剤としては従来公知の開始剤が使用される。好ましいものとして、例えば、光重合開始剤としては、ベンジルケタール系、α−ヒドロキシアルキルフェノン、α−アミノアルキルフェノンなど;光カチオン重合開始剤としてはトリアリールスルフォニウム塩、アリールヨードニウム塩など;増感剤としては、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなど;熱重合開始剤としてはアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシアノイソバレリン酸、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートなどが挙げられる。
【0053】
さらに、着色インクをガラス基板に塗布する場合には、着色インクに反応性有機官能基を有するシランカップリング剤を添加することによって、形成される着色膜のガラス基板に対する密着性が向上し、優れた塗膜性能をもたらすことができる。これらの化合物としては、従来公知のシランカップリング剤が使用される。反応性有機官能基として、例えば、エポキシ基、チオール基、水酸基、アミノ基、ウレイド基、ビニル基、アクリロイル基などを有するシランカップリング剤が挙げられる。具体的にはβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0054】
本発明において、着色インクとして、CF基板上の隔壁に囲まれた画素形成用空孔に充分充填され、平滑な画素面を形成することのできる低い粘度のインクが使用される。インクの粘度としては、着色インクの使用方法によっても異なるが、1〜40mPa・sであり、1〜20mPa・sが好ましい。特にインクジェットインクでは1〜10mPa・sが好ましい。
【0055】
着色インクの粘度を調整するために使用される液媒体として、油性着色インクの場合は、有機溶剤であり、水性着色インクの場合は、水および水と水溶性有機溶剤の混合溶媒が挙げられる。
【0056】
上記有機溶剤としては、例えば、炭素数1〜10のアルコール類;炭素数2〜6のアルキレングリコール類、ポリアルキレン(炭素数:2〜6)グリコール類、それらのグリコール類のモノアルキル(炭素数:1〜10)エーテル類、ジアルキル(炭素数:1〜10)エーテル類、モノアルキル(炭素数:1〜10)エーテルモノアシレート類;有機酸(炭素数:1〜6)アルキル(炭素数:1〜6)エステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;アルカン系炭化水素(炭素数:6〜10)、アイソパー、シェルゾールなどの脂肪族炭化水素系溶剤;シクロアルカン(炭素数:6〜10)などの脂環式炭化水素系溶剤;芳香族炭化水素(炭素数:7〜10)溶剤;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどの含窒素系溶剤が挙げられる。
【0057】
水性着色インクで使用される水性媒体は、水および水と水溶性有機溶剤の混合溶媒であり、水としては、脱イオンされた水であるイオン交換水、蒸留水などを使用するのが好ましい。また、水性インクの種類により、これらの水性媒体は、中性、アルカリ性、酸性で使用される。また、水性混合溶媒に使用される水溶性有機溶剤としては、従来公知の水溶性有機溶剤、例えば、(炭素数:1〜3)アルコール類、(炭素数:2、3)グリコール類、グリセリン、アルキレン(炭素数:2、3)グリコールアルキル(炭素数:1〜4)エーテル、ポリアルキレン(炭素数:2、3)グリコールアルキル(炭素数:1〜4)エーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテル類:N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドンなどの含窒素溶剤が挙げられる。
【0058】
本発明で使用される顔料には、CFの画素の色素として、高精細性、高透過性、高コトラスト比などが厳しく要求されており、顔料の粒子径としては究極的には分子分散状態が期待されるが、実用的には100nm〜10nm、好ましくは60nm〜10nm、さらに好ましくは40nm〜20nmである。したがって、顔料は上述したように、予め、例えば、ソルトミリング法などにより微粒子化されている。さらに、微粒子化顔料を使用して着色インクの製造に使用する顔料分散機としては、従来公知のボールミル、サンドミルビーズミルなどの縦型媒体分散機、ダイノミル、横型ビーズミルなどの横型媒体分散機、ロールミル、超音波ミル、高圧衝突分散機などが挙げられる。上記の分散機の一種を使用して複数回分散処理する方法、あるいは二種以上の分散機を複合させる方法で顔料が分散処理される。
【0059】
所望の粒度分布を有する顔料の分散体を得る方法としては、分散機の粉砕メディアのサイズを小さくする、粉砕メディアの充填率を大きくする、また、処理時間を長くする、吐出速度を遅くする、粉砕後フィルターや超遠心分離機などで分級、分離するなどの手法が用いられる。または、それらの手法の組み合わせが挙げられる。
【0060】
本発明においてCFは、ガラス製CF基板、あるいはプラスチック製CF基板に直接画素を形成する方法、画素の形成された転写用または貼付け用印刷フィルムを、ガラス製CF基板あるいはプラスチック製CF基板上に転写または貼付けすることによって、より鮮明性、透過性、コントラスト性などの画像性能面で優れた品質のCFが安価に製造される。さらに、このようにして得られたCFを装備した小型化および大型化画像表示装置が安価にて提供される。
【実施例】
【0061】
次に具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。なお、文中の「部」および「%」は特に断りのない限り質量基準である。
実施例1(金属クロムBM上に隔壁を形成したCF用基板の調製)
低反射クロム系BMを形成したCF用ガラス基板を準備した。BMは、幅が20μmで画素のための開口部が、縦280μm、横80μmである。ガラス基板のBMが形成されている表面に、ポジ型レジストを乾燥後の厚みが8μmになるようにコーターで塗布し、50℃以下で送風乾燥した。
【0062】
ポジ型レジストを塗布したガラス基板の裏面から紫外線露光した。次いで3%燐酸第3ソーダ水溶液で現像を行い、水洗後、燐酸の1%水溶液で中和し、水洗、乾燥を行なった。BMの上に構築されたポジ型レジスト層による隔壁の高さは8μmとした。隔壁に囲まれた開口部が、縦280μm、横80μmの空孔を有するCF基板を調製した。
【0063】
上記で使用したポジ型レジストは、o−クロルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂に1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドを反応させたエステル4部、ノボラック樹脂2部、油溶性フェノール樹脂2部、アクリル酸−ポリスチレンマクロモノマー(6:4)共重合体からなる水膨潤性樹脂2部、およびエチレングリコールモノメチルエーテル90部を固形分中20%含有する樹脂組成物である。
【0064】
実施例2(黒色樹脂型BM上に隔壁を形成したCF用基板の調製)
黒色樹脂型BMを形成したCF用ガラス基板を準備した。BMの厚みは凡そ2μm、幅が20μmで、画素のための開口部が、縦280μm、横80μmである。実施例1と同様にガラス基板のBMが形成されている表面に実施例1で使用したと同じポジ型レジストを、乾燥後の厚みが6μmになるようにコーターで塗布し、50℃以下で送風乾燥した。ポジ型レジストを塗布したガラス基板の裏面から紫外線露光した。次いで3%燐酸第3ソーダ水溶液で現像を行い、水洗後、燐酸の1%水溶液で中和し、水洗、乾燥を行なった。BMの上に構築されたポジ型レジスト層による隔壁の高さはBMも含め8μmであり、これらの隔壁により形成された空孔を有するCF基板を調製した。
【0065】
実施例3(紫外線硬化性IJ印刷方式によるCFの製造)
(a)使用顔料の微細化処理
使用する顔料として、PR254(赤色顔料−1)、PR177(赤色顔料−2)、PG36(緑色顔料−1)、PY139(黄色顔料−1)、PY138(黄色顔料−2)、PY150(黄色顔料−3)、PB15:6(青色顔料−1)およびPV23(紫色顔料−1)を準備し、これらの顔料を粉砕食塩を用いて微細化処理を行なった。常法に従い、夫々の顔料を粉砕食塩、ジエチレングリコールと1.7:1.3の質量対比で、加圧蓋を装着したニーダーに仕込み、7時間混練、摩砕した。得られた摩砕物を水中に投入し、撹拌して食塩およびジエチレングリコールを溶解させ、ろ過および水洗をして、夫々の顔料プレスケーキを得た。各顔料プレスケーキ中の顔料分は35〜45%であった。また、顔料の平均粒子径は凡そ30〜40nmであった。
【0066】
(b)水性顔料樹脂分散液(水性カラーベース)の調製
上記(a)で得られた赤色顔料−1、赤色顔料−2、緑色顔料−1、黄色顔料−1、黄色顔料−2、黄色顔料−3、青色顔料−1および紫色顔料−1の顔料プレスケーキを、顔料純分で30部を採り、下記に示す水性樹脂顔料分散剤−1をそれぞれ18部加えた。各顔料プレスケーキの水分にイオン交換水を追加して合計100部とした。ディゾルバーで2時間攪拌して、顔料の塊がなくなったことを確認後、横型媒体分散機「ダイノミル1.4リットルECM型」(シンマルエンタープライゼス社製)で分散処理を行って、それぞれ各色の水性カラーを得た。この各色の水性カラーの分散顔料の平均粒子径を粒度測定機器N−4で測定したところ、凡そ30〜40nmであった。以下、上記の水性カラーは、上記(a)で使用した顔料の番号に対応させて、赤色水性カラー−1、赤色水性カラー−2、緑色水性カラー−1、黄色水性カラー−1、黄色水性カラー−2、黄色水性カラー−3、青色水性カラー−1、紫色水性カラー−1と称する。
【0067】
上記で使用した水性樹脂顔料分散剤−1は、ベンジルメタクリレート(BzMA)−エチルメタクリレート(EMA)−2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)−2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)−メタクリル酸(MA)アンモニウム共重合体(質量比;30:20:20:10:20)の水性溶液(固形分50%、溶液の媒体;水:n−ブタノール(BA):イソプロパノール(IPA)=3:2:1)である。
【0068】
(c)粉体状顔料樹脂組成物(加工顔料)の調製
上記(b)で得られた赤色2色、緑色、黄色3色、青色、紫色の8色の水性カラーをそれぞれ95部を取り、そこへ各色の顔料シナジストを1.5部、上記(b)で使用した水性樹脂顔料分散剤−1をさらに22.9部を追加して添加し、充分攪拌し、混合した。次いでそれぞれの水性カラーに攪拌しながら10%希酢酸水溶液を徐々に滴下して添加し、顔料を含む着色樹脂状物を沈殿させた。沈殿物をろ過し、充分水洗した後、乾燥し、粉砕した。それぞれ顔料分を60%含有する粉体の加工顔料が得られた。上記で使用された顔料シナジストはそれぞれの用いられた顔料の構造に1分子当りスルホン基を0.2〜0.5個導入したアニオン性の顔料シナジストである。
【0069】
以下、上記(a)で使用した顔料の番号に対応させて、赤色加工顔料−1、赤色加工顔料−2、緑色加工顔料−1、黄色加工顔料−1、黄色加工顔料−2、黄色加工顔料−3、青色加工顔料−1、紫色加工顔料−1と称する。
【0070】
(d)R色、G色およびB色の紫外線硬化性インクジェット(IJ)インクの調製
下記の表1に記載の配合部数に従い、上記(c)で得られた各色の加工顔料をカチオン性重合体分散剤、アクリル化アクリル樹脂溶液およびメチルイソブチルケトン(MIBK)−酢酸エチル(EAc)(質量比;3:2)混合溶媒を配合し、ディゾルバーで2時間攪拌して、加工顔料の塊がなくなったことを確認後、横型媒体分散機を使用し、分散処理を行った。ポアサイズ5μmのメンブランフィルターでろ過を行なった。使用前に配合表に従い、分散液にポリアクリレートモノマー、HMMM、光重合開始剤、シランカップリング剤を添加し、充分に混合し、R色、G色およびB色の溶剤系IJインクを調製した。この各色の顔料分散液の平均粒子径を粒度測定機器N−4で測定したところ、凡そ40nmであった。夫々のインクをポリエチレンテレフタレートフィルムにバーコーターで均一に塗布し、乾燥した。紫外線照射して紫外線硬化性インク塗膜を硬化させた。各色とも鮮明性、色純度、光学濃度、透過性およびコントラスト性などの光学特性に優れた性能を示した。
【0071】
上記で使用したカチオン性重合体分散剤は、ポリエチレンイミンにポリカプロラクトンを部分アミド結合させたグラフトポリマータイプの分散剤であり、アクリル化アクリル樹脂溶液は、メタクリル酸エチル(EMA)−メタクリル酸ブチル(BMA)−スチレン(St)−2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)共重合体のアクリルエステル化物の40%MIBK−EAc混合溶媒溶液であり、ポリアクリレートモノマーはジペンタエリスリテートヘキサアクリレートとトリメチロールプロパントリアクリレート(質量対比で1:1)のモノマー混合物である。シランカップリング剤は、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを、光重合開始剤は、イルガキュア369とイルガキュア184を併用した(質量比:4:1、チバ社製)。
【0072】

【0073】
(e)紫外線硬化性IJインクによるCFの製造
R色、G色、B色の3原色画素を印刷するため、ピエゾ方式IJプリンターを準備し、上記(d)で調製されたR色、G色、B色のIJインクを充填したカートリッジを装填した。実施例1で調製された金属クロムBMの上に隔壁を形成したCF基板を用いて、基板の画素形成用空孔に、IJプリンターヘッドよりR色、G色、B色の各色インクを吐出し、充填した。各色をプリントした後、乾燥し、次いで、CF基板の表面を紫外線露光し、紫外線硬化性着色膜を硬化させるとともに隔壁を光分解させた。ポジ型レジストの洗浄、除去の常法に従い、4%燐酸三ナトリウム水溶液に浸漬して隔壁を洗浄、除去し、希酸で中和し、水洗、乾燥して、着色画素が形成されたCFを得た。CF基板上の画素膜は、それぞれ独立して混色はなく、色濃度の不均一さもなく、表面は平滑であり、鮮明なモザイクパターンの3色画素を示した。
【0074】
実施例4(紫外線硬化性IJインクによるCFの製造)
実施例3の紫外線硬化性IJ印刷方式によるCFの製造において、実施例1の隔壁を形成したCF基板に代えて、実施例2の樹脂型BMの上に隔壁を形成したCF基板を用いて、実施例3(e)と同様にして同(d)で調製されたR色、G色、B色のIJインクを使用してCFを製造した。CF基板上の画素はそれぞれ独立して混色はなく、色濃度の不均一さもなく、表面は平滑であり、鮮明なモザイクパターンの3色画素を示した。
【0075】
実施例5(溶剤系IJインクによるCFの調製)
(a)R色、G色およびB色の溶剤系IJインクの調製
下記の表2に記載の配合部数に従い、実施例3(c)で得られた各色の加工顔料をカチオン性重合体分散剤、アクリル系重合体−1溶液、HMMM溶液、レベリング剤およびMIBK−EAc混合溶媒を配合し、ディゾルバーで2時間攪拌し、横型媒体分散機を使用し、分散処理を行った。ポアサイズ5μmのメンブランフィルターでろ過を行なった。使用前にシランカップリング剤を添加し、充分に混合し、R色、G色およびB色の溶剤系IJインクを調製した。この各色の顔料分散液の平均粒子径を粒度測定機器N−4で測定したところ、凡そ40nmであった。夫々のインクをポリエチレンテレフタレートフィルムにバーコーターで均一に塗布し、乾燥した。各色とも鮮明性、色純度、光学濃度、透過性およびコントラスト性などの光学特性に優れた性能を示した。
上記で使用したアクリル系重合体−1溶液は、EMA−BMA−St−HEMA共重合体(質量比;35:30:20:15、重量平均分子量:約3万)の40%MIBK−EAc混合溶媒溶液、ヘキサメトキシメチルメラミン(HMMM)溶液は50%メタノール溶液である。
【0076】

【0077】
(b)溶剤系IJ印刷方式によるCFの製造
ピエゾ方式IJプリンターに上記(a)で調製されたR色、G色、B色のIJインクを充填したカートリッジを装填した。実施例1で調製された隔壁を形成したCF基板を準備し、基板の画素形成用空孔にIJプリンターヘッドよりR色、G色、B色の各色インクを吐出し、充填した。各色をプリントした後、乾燥した。次いで、CF基板の表面を紫外線露光し、隔壁を光分解した。4%燐酸三ナトリウム水溶液に浸漬して隔壁を洗浄、除去し、希酸で中和し、水洗した。加熱乾燥機に入れ、塗膜は180℃にて焼付け、硬化して、着色画素が形成されたCFを得た。CF基板上の画素はそれぞれ独立して混色はなく、色濃度の不均一さもなく、表面は平滑であり、鮮明なモザイクパターンの3色画素を示した。
【0078】
また、上記で使用された実施例1の隔壁を形成したCF基板に代えて、実施例2の樹脂型BMの上に隔壁を形成したCF基板を用いて同様に画素パターンを形成した。CF基板上の画素はそれぞれ独立して混色はなく、色濃度の不均一さもなく、表面は平滑であり、鮮明なモザイクパターンの3色画素を示した。
【0079】
実施例6(水性IJ顔料インクの調製)
(a)R色、G色およびB色の水性IJインクの調製
下記の表3に記載の配合部数に従い、実施例3(b)で得られた各色の水性カラーをアクリル系重合体−2溶液およびイオン交換水を配合し横型媒体分散機を使用し、分散処理を行った。HMMMなどの添加剤を加え、撹拌して均一に混合し、ポアサイズ5μmのメンブランフィルターでろ過を行い、R色、G色およびB色の水性IJインクを調製した。この各色の顔料分散液の平均粒子径を粒度測定機器N−4で測定したところ、凡そ40nmであった。夫々のインクをポリエチレンテレフタレートフィルムにバーコーターで均一に塗布し、乾燥した。次いで加熱乾燥機に入れ、塗膜は180℃にて焼付け、硬化させた。各色とも鮮明性、色純度、光学濃度、透過性およびコントラスト性などの光学特性に優れた性能を示した。
【0080】
上記で使用したアクリル系重合体−2溶液はMMA−EMAEHMA−St−Macアンモニウム塩共重合体(質量比;20:20:20:10:20:10)の水性溶液(固形分40%、溶液の媒体;水:BA:IPA=3:2:1)である。
【0081】

【0082】
(b)水性IJ印刷方式によるCFの製造
実施例3(e)と同様にして、ピエゾ方式3色IJプリンターに上記(a)で調製されたR色、G色、B色の水性IJインクを充填したカートリッジを装填した。実施例1で調製された隔壁を形成したCF基板を準備し、基板の画素形成用空孔にIJプリンターヘッドよりR色、G色、B色の各色インクを吐出し、充填した。各色がプリントされて後、乾燥をし、次いで、CF基板の表面を紫外線照射し隔壁を光分解させた。4%燐酸三ナトリウム水溶液に浸漬して隔壁を洗浄、除去し、希酸で中和し、水洗し、乾燥して、着色画素が形成されたCFを得た。CF基板上の画素膜はそれぞれ独立して混色はなく、色濃度の不均一さもなく、表面は平滑であり、鮮明なモザイクパターンの3色画素を示した。
【0083】
また、上記で使用された実施例1の隔壁を形成したCF基板に代えて、実施例2の樹脂型BMの上に隔壁を形成したCF基板を用いて同様に画素パターンを形成した。CF基板上の画素はそれぞれ独立して混色はなく、色濃度の不均一さもなく、表面は平滑であり、鮮明なモザイクパターンの3色画素を示した。
【0084】
上記実施例3〜6で得られたガラス製CFプレートは、常法に従ってその上に全面オーバーコート層を塗布し、ITO透明電極膜をスパッタリング蒸着で形成して、CFを製造した。これらのCFを装着して液晶ディスプレーを製造した。これらのCFは合理的、経済的な、また大型化に対応できる製造方式で製造されるので、モニター用液晶ディスプレー、テレビジョンの液晶ディスプレーを安価に提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明によれば、製造工程は非常に合理化されており、CF基板のBMの上に重ねてポジ型レジストによる高い隔壁を形成させることで、画素形成のための空孔を高い壁で囲むことで空孔の容積を大きくでき、着色インクとして媒体で希釈して低粘度にしたインクを使用しても画素形成の空孔に充分な量で充填し、充分な色濃度の画素が形成できるようにし、また、不要となった隔壁は光分解され、洗浄、除去され、BMは本来の状態に戻る。
【0086】
得られた画素は、膜厚は均一で、表面も平滑になり、色素濃度が均一となる。CFの画素を簡便に、精度良く形成し、従来技術の工程の煩雑さ、作業時間の短縮化などの問題点や印刷法の画素印刷の解像性や位置精度の低さ、IJ法の画素間の混色、表面の平滑性、色濃度の不均一性などの品質的課題が解決され、品質の優れたCFを簡素化された工程で容易にかつ経済的に、また、液晶ディスプレーの大型化、小型化に対応できるCFを製造する方法を提供できる。
【符号の説明】
【0087】
1:CF基板
2:BM
3:ポジ型レジスト
4:露光
5:空孔
6:隔壁
7:着色インク層
8:着色インク層
9:着色インク層
10:露光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーフィルター(CF)基板表面に形成されたブラックマトリックス(BM)を少なくとも覆うように、光分解型のポジ型レジストを塗布してレジスト層を形成する工程(工程A)、CF基板の裏面から上記レジスト層を露光する工程(工程B)、露光により可溶化したレジスト層を洗浄除去して、上記BM上に残存したレジスト層からなる孔壁(溝壁、隔壁)によって隔てられた孔空間あるいは溝空間(空孔)を形成する工程(工程C)、次いで上記空孔にCFの画素に対応する着色インクを付与して着色膜を形成する工程(工程D)、BM側から露光して上記レジスト層からなる隔壁を可溶化して除去する工程(工程E)からなることを特徴とするCFの製造方法。
【請求項2】
CF基板が、ガラス製、プラスチック製または転写用あるいは貼付け用プラスチックフィルムである請求項1に記載のCFの製造方法。
【請求項3】
工程Aに使用するポジ型レジストが、水溶性樹脂および/または水膨潤性樹脂を含有する請求項1に記載のCFの製造方法。
【請求項4】
工程Aのポジ型レジスト層厚が、2〜10μmである請求項1に記載のCFの製造方法。
【請求項5】
着色膜が、レッド色、グリーン色およびブルー色の3原色、またはイエロー色、マゼンタ色およびシアン色の3原色、さらにオレンジ色、グリーン色、バイオレット色の補助色からなる群から選ばれる請求項1に記載のCFの製造方法。
【請求項6】
着色膜の形成方法が、インクジェットプリンティング方式、ディスペンサー注入方式、静電記録方式、電子写真方式、スクリーン印刷方式、熱転写印刷方式、フレキソ印刷方式、グラビア印刷方式およびオフセット印刷方式から選ばれる請求項1に記載のCFの製造方法。
【請求項7】
着色インクが、顔料および皮膜形成性材料を含む、有機溶剤系インク、水性インク、無溶剤系インク、エネルギー線硬化性インク、熱溶融性固体状インクあるいは微粉体状トナーインクである請求項1に記載のCFの製造方法。
【請求項8】
着色インクの粘度が、1〜40mPa・sである請求項1に記載のCFの製造方法。
【請求項9】
着色インクの顔料が、C.I.ピグメントレッド9、97、168、177、216、224、226、242、254;C.I.ピグメントグリーン7、36;C.I.ピグメントブルー15:6、160;C.I.ピグメントバイオレット23;C.I.ピグメントイエロー20、24、83、93、109、110、113、114、117、125、138、139、150、154、180、185;上記赤色顔料と黄色顔料との、あるいは緑色顔料と黄色顔料との共沈顔料、固溶体顔料あるいは混晶顔料;C.I.ピグメントイエロー62、74、93、155、185;C.I.ピグメントレッド122、146;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.ピグメントブルー15:3;上記黄色顔料と青色顔料との、赤色顔料と紫色顔料とのあるいは青色顔料と黄色顔料との共沈顔料、固溶体顔料あるいは混晶顔料である請求項1に記載のCFの製造方法。
【請求項10】
着色インクの中の分散された顔料の平均粒子径が、10〜100nmである請求項1に記載のCFの製造方法。
【請求項11】
着色インクの皮膜形成性材料が、非反応性のランダム、ブロックおよび/またはグラフト共重合体(以下、「共重合体」と称する)、反応性基を有するランダム、ブロックまたはグラフト共重合体、反応性基を有する中分子量のオリゴマー、および反応性基を有する単量体および架橋剤からなる群から選ばれる請求項7に記載のCFの製造方法。
【請求項12】
反応性基が、メチロール基、イソシアネート基、エポキシ基、オキセタン基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基およびそれらの反応性誘導体からなる群から選ばれる請求項11に記載のCFの製造方法。
【請求項13】
請求項1におけるCF基板が、転写用または貼付け用印刷フィルムであり、これらの基板に形成されたCF画素を、ガラス製CF基板あるいはプラスチック製CF基板上に転写または貼付けることを特徴とするCFの製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法で製造されたことを特徴とするCF。
【請求項15】
請求項1〜12の何れか1項に記載の方法で製造されたことを特徴とするCF。
【請求項16】
カラーフィルター(CF)基板表面に形成されたブラックマトリックス(BM)を少なくとも覆うように、光分解型のポジ型レジストを塗布してレジスト層を形成する工程(工程A)、CF基板の裏面から上記レジスト層を露光する工程(工程B)、露光により可溶化したレジスト層を洗浄除去して、上記BM上に残存したレジスト層からなる孔壁(溝壁、隔壁)によって隔てられた孔空間あるいは溝空間(空孔)を形成する工程(工程C)からなることを特徴とするCF基板の製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法で製造されたことを特徴とするCF基板。
【請求項18】
請求項14または15に記載のCFを装備していることを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−66757(P2010−66757A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185517(P2009−185517)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(000002820)大日精化工業株式会社 (387)
【Fターム(参考)】