説明

カラーフィルター用感光性樹脂組成物及び、当該カラーフィルター用感光性樹脂組成物を利用して製造されたカラーフィルター

【課題】本発明は、一実施態様として、超微細正方形パターンを形成し、非露光部への残留物の残存を抑制しうるカラーフィルター用感光性樹脂組成物を提供する。
本発明は、他の実施態様として、前記感光性樹脂組成物を使用して製造されたカラーフィルターを提供する。
【解決手段】本発明による感光性樹脂組成物は、(A)1種以上のカルボキシ基を有するアクリル系バインダー樹脂、(B)アクリル系光重合性モノマー、(C)光重合開始剤、及び(D)溶剤を含み、前記アクリル系バインダー樹脂または前記アクリル系光重合性モノマーのうちの少なくとも1つは、青色染料を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルター用感光性樹脂組成物及び、当該カラーフィルター用感光性樹脂組成物を利用して製造されたカラーフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルターは、液晶表示装置やカメラの光学フィルターなどに使用されるもので、3種以上の色相に着色された微細な領域を固体撮影素子または透明基板上にコーティングして製造される。当該着色薄膜は、通常、染色法、印刷法、全着法、顔料分散法などによって形成される。
【0003】
染色法は、基板上に予めゼラチンなどの天然感光性樹脂、アミン変成ポリビニルアルコール、アミン変成アクリル樹脂などの染色基材を含む画像を形成した後、直接染料などで染色して、着色薄膜を形成する方法である。しかし、多色薄膜を同一基板上に形成するために、色相を変化させるたびに防染加工を行う必要があるため、工程が非常に複雑となり、時間が遅延する問題がある。また、一般に使用する染料及び樹脂そのものの鮮明性及び分散性は優れているが、耐光性、耐湿性、及び最も重要な特性である耐熱性が低いという短所がある。例えば、特許文献1及び特許文献2では、染料としてアゾ化合物及びアジド化合物を使用しているが、顔料型に比べて耐熱性及び耐久性が低い短所がある。
【0004】
印刷法は、熱硬化性または光硬化性樹脂に顔料を分散させたインクを使用して印刷を行った後、熱または光で硬化させることにより着色薄膜を形成する方法である。当該方法によれば、他の方法に比べて材料費を節減することができるが、高度に精密で繊細な画像の形成が難しく、形成される薄膜層が均一でない短所がある。特許文献3及び特許文献4では、インクジェット方式を利用したカラーフィルターの製造方法を提案しているが、繊細で正確な色素の印刷のため、カラーレジスト組成物をノズルから噴射しており、染色法と同様に耐久性及び耐熱性が低い。
【0005】
特許文献5及び特許文献6では、電気沈澱法を利用した全着法を提案している。全着法は、精密な着色薄膜を形成することができ、顔料を使用するため耐熱性及び耐光性が優れている。しかし、今後、画素の大きさが精密になり電極パターンが微細になるとすれば、両端に電気抵抗による着色の染みが形成される、または、着色薄膜が厚くなるので、高度な精密性が要求されるカラーフィルターに適用するのは難しい。
【0006】
一方、顔料分散法は、遮光層(黒色マトリックス)が形成された透明な基質上に着色剤を含む光重合組成物をコーティング、露光、現像、及び熱硬化する一連の過程を繰り返すことによって着色薄膜を形成する方法である。当該方法は、カラーフィルターの最も重要な特性である耐熱性及び耐久性を向上させ、フィルムの厚さを均一に維持するという長所がある。例えば、特許文献7〜10などでは、顔料分散液を利用したカラーレジスト製造方法が提案されている。
【0007】
顔料分散法によるカラーフィルターの製造に使用される着色感光性樹脂組成物は、一般にバインダー樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、エポキシ樹脂、溶剤、及びその他の添加剤などからなる。前記バインダー樹脂として、例えば、特許文献11及び特許文献12では、カルボキシ基を有するアクリル系共重合体を使用している。
【0008】
しかし、前記文献に記載された方法では、満足できるだけの水準の感光性樹脂組成物の製造が難しいのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】大韓民国特許公開第10−1991−0004717号
【特許文献2】大韓民国特許公開第10−1994−0007778号
【特許文献3】大韓民国特許公開第10−1995−7003746号
【特許文献4】大韓民国特許公開第10−1996−0011513号
【特許文献5】大韓民国特許公開第10−1993−7000858号
【特許文献6】大韓民国特許公開第10−1996−0029904号
【特許文献7】大韓民国特許公開第10−1992−7002502号
【特許文献8】大韓民国特許公開第10−1994−0005617号
【特許文献9】大韓民国特許公開第10−1995−0011163号
【特許文献10】大韓民国特許公開第10−1995−7000359号
【特許文献11】特開平7−140654号公報
【特許文献12】特開平10−254133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、一実施態様として、超微細正方形パターンを形成し、非露光部への残留物の残存を抑制しうるカラーフィルター用感光性樹脂組成物を提供する。
【0011】
本発明の他の実施態様は、前記感光性樹脂組成物を使用して製造されたカラーフィルターを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施態様によれば、(A)1種以上のカルボキシ基を有するアクリル系バインダー樹脂、(B)アクリル系光重合性モノマー、(C)光重合開始剤、及び(D)溶剤を含み、前記アクリル系バインダー樹脂または前記アクリル系光重合性モノマーのうちの少なくとも1つは青色染料を含む、カラーフィルター用感光性樹脂組成物を提供する。
【0013】
本発明の他の実施態様によれば、前記感光性樹脂組成物を使用して製造されたカラーフィルターを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一実施態様によるカラーフィルター用感光性樹脂組成物は、青色染料を含むアクリル系バインダー樹脂または青色染料を含むアクリル系光重合性モノマーを含む。その結果、既存の染料型感光性樹脂組成物に比べて染料の耐熱性及び耐光性が向上し、顔料型感光性樹脂組成物に比べて均一度が改善され、超微細正方形パターンを形成することができ、非露光部への残留物の残存が抑制されうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1による感光性樹脂組成物を利用して製造されたピクセルを観察した写真である。
【図2】比較例1による感光性樹脂組成物を利用して製造されたピクセルを観察した写真である。
【図3】実施例6による感光性樹脂組成物を利用して製造されたピクセルを観察した写真である。
【図4】比較例4による感光性樹脂組成物を利用して製造されたピクセルを観察した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明の実施態様をより詳細に説明する。しかし、これは例示的に提示されるものであって、本発明はこれによって制限されず、本発明は請求の範囲の範疇によって定義される。
【0017】
本発明の一実施態様によるカラーフィルター用感光性樹脂組成物は、(A)1種以上のカルボキシ基を有するアクリル系バインダー樹脂、(B)アクリル系光重合性モノマー、(C)光重合開始剤、及び(D)溶剤を含み、前記アクリル系バインダー樹脂または前記アクリル系光重合性モノマーのうちの少なくとも1つは、青色染料を含む。
【0018】
本明細書では、特別な言及がない限り、アルキル基とはC−C15のアルキル基を意味し、アルキレン基とはC−C15のアルキレン基を意味し、アルケニル基とはC−C16のアルケニル基を意味し、アルケニレン基とはC−C16のアルケニレン基を意味し、アルキニル基とはC−C16のアルキニル基を意味し、アルキニレン基とはC−C16のアルキニレン基を意味し、アリール基とはC−C18のアリール基を意味し、アリーレン基とはC−C18のアリーレン基を意味し、アリールアルキル基とはC−C18のアリールアルキル基を意味し、ヘテロアルキル基とはC−C20のヘテロアルキル基を意味し、ヘテロサイクル基とはC−C20のヘテロサイクル基を意味し、ヘテロアリールアルキル基とはC−C20のヘテロアリールアルキル基を意味し、シクロアルキル基とはC−C15のシクロアルキル基を意味し、シクロアルケニル基とはC−C15のシクロアルケニル基を意味し、シクロアルキニル基とはC−C15のシクロアルキニル基を意味し、ヘテロシクロアルキル基とはC−C20のヘテロシクロアルキル基を意味し、アルコキシ基とはC−C20のアルコキシ基を意味する。
【0019】
また、本明細書では、特別な言及がない限り、「置換された」とは化合物中の水素原子がハロゲン原子(F、Cl、Br、またはI)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバミル基、チオール基、エステル基、カルボキシ基やその塩、スルホン酸基やその塩、リン酸基やその塩、C−C15のアルキル基、C−C16のアルケニル基、C−C16のアルキニル基、C−C18のアリール基、C−C18のアリールアルキル基、C−C20のヘテロアルキル基、C−C20のヘテロサイクル基、C−C20のヘテロアリールアルキル基、C−C15のシクロアルキル基、C−C15のシクロアルケニル基、C−C15のシクロアルキニル基、及びC−C20のヘテロシクロアルキル基からなる群より選択される1種以上の置換基に置換されたものを意味する。
【0020】
以下では、カラーフィルター用感光性樹脂組成物に含まれる各構成成分について詳細に説明する。
(A)1種以上のカルボキシ基を有するアクリル系バインダー樹脂
一実施形態において、前記1種以上のカルボキシ基を有するアクリル系バインダー樹脂は、i)1種以上のカルボキシ基を有するエチレン性不飽和第1モノマー、及びii)前記エチレン性不飽和第1モノマーと共重合可能な他のエチレン性不飽和第2モノマーを少なくとも含むモノマー成分の共重合体である。
【0021】
前記i)1種以上のカルボキシ基を有するエチレン性不飽和第1モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、コハク酸、またはこれらの組み合わせからなる群より選択されるものなどを使用することができる。
【0022】
前記i)1種以上のカルボキシ基を有するエチレン性不飽和第1モノマーは、アクリル系バインダー樹脂共重合体の総質量に対して好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜35質量%の量で含まれる。1種以上のカルボキシ基を有するエチレン性不飽和モノマーの含有量が前記範囲である場合に、現像性が適切である。
【0023】
前記ii)エチレン性不飽和第2モノマーとしては、アルケニル芳香族化合物、不飽和カルボン酸エステル化合物、不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物、カルボン酸ビニルエステル化合物、不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物、シアン化ビニル化合物、不飽和アミド化合物、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるものなどを使用することができる。
【0024】
前記ii)エチレン性不飽和第2モノマーとしては、スチレンまたはα−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルメチルエーテルなどのアルケニル芳香族化合物;メチルアクリレート、メチルメタクリレート、アクリル酸エチル、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシアクリル酸エチル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、またはフェニルアクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル化合物;2−アミノアクリル酸エチル、2−アミノエチルメタクリレート、2−ジメチルアミノアクリル酸エチル、または2−ジメチルアミノエチルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物;酢酸ビニルまたは安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル化合物;グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物;アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;アクリルアミドまたはメタクリルアミドなどの不飽和アミド化合物;などを使用することができ、前記(A)1種以上のカルボキシ基を有するアクリル系バインダー樹脂は、これらのうちのいずれか1種または2種以上のモノマーを含む。
【0025】
前記ii)エチレン性不飽和第2モノマーは、アクリル系バインダー樹脂中に残部量で含まれ、共重合体中に1〜60質量%の量で含まれる。
【0026】
前記(A)1種以上のカルボキシ基を有するアクリル系バインダー樹脂は、ピクセルの解像度及び色特性に最も大きな影響を与える因子であり、特にバインダー樹脂の酸価及び分子量によってピクセルの解像度が明確に変化する結果が得られる。
【0027】
一方、前記1種以上のカルボキシ基を有するアクリル系バインダー樹脂は、青色染料を含んでもよい。つまり、青色染料と一体化された形態の樹脂であってもよい。ここで、前記青色染料は、例えば金属フタロシアニン系染料である。
【0028】
したがって、この場合、前記A)1種以上のカルボキシ基を有するアクリル系バインダー樹脂は、iii)下記の化学式1で示されるエチレン性不飽和第3モノマーをさらに含みうる。
【0029】
【化1】

【0030】
前記化学式1で、前記Mは遷移金属原子であれば全て可能であって、銅または亜鉛が好ましく、前記X〜Xは各々独立して水素原子または下記の化学式2で示されるものであって、X〜Xのうちの少なくとも1つは下記の化学式2で示されるものであり、前記R〜Rは各々独立して水素原子または炭素数1〜7のアルキル基であり、m〜m及びn〜nは各々独立して0〜4の整数であり、m+n、m+n、m+n、及びm+nは4である。
【0031】
【化2】

【0032】
前記化学式2で、前記Xは置換されたまたは非置換の炭素数2〜12の炭化水素基であり、特に置換されたまたは非置換の炭素数2〜8の炭化水素基であるのが好ましい。前記炭化水素基は、飽和された炭素数2〜12のアルキレン基、炭素数2〜12のアルケニレン基、炭素数2〜12のアルキニレン基、または炭素数6〜12のアリーレン基である。この時、前記Xで示される炭化水素基の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子(ハロゲンとはF、Cl、Br、またはIを意味する);ヒドロキシ基;ニトロ基;シアノ基;アミノ基;アジド基;アミド基;ヒドラジン基;ヒドラゾン基;カルボニル基;置換されたまたは非置換のエステル基;カルバミル基;置換されたまたは非置換のC〜C20のアルコキシ基;置換されたまたは非置換のカルボキシ基やその塩;置換されたまたは非置換のスルホン酸基やその塩;置換されたまたは非置換のリン酸基やその塩;メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、またはイソブチルなどの置換されたまたは非置換のC〜C15のアルキル基;ビニル、プロペニル、またはブテニルなどの置換されたまたは非置換のC〜C16のアルケニル基;エチニルなどの置換されたまたは非置換のC〜C16のアルキニル基;フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダン、またはビフェニルなどの置換されたまたは非置換のC〜C18のアリール基;ベンジルまたはフェニルエチルなどの置換されたまたは非置換のC〜C18のアリールアルキル基;アルキル基が窒素原子、硫黄原子、酸素原子、またはリン原子を含む置換されたまたは非置換のC〜C20のヘテロアルキル基;窒素原子、硫黄原子、酸素原子、またはリン原子から選択された1、2、または3個のヘテロ原子を含み、残りは環原子が炭素である環原子数4〜20のサイクリックラジカルであって、チエニル、フリル、ベンゾチエニル、ピリジル、ピラジニル、またはピリミジニルなどの置換されたまたは非置換のC〜C20のヘテロサイクル基;置換されたまたは非置換のC〜C20のヘテロアリールアルキル基;置換されたまたは非置換のC〜C15のシクロアルキル基;シクロペンタジエニルなどの置換されたまたは非置換のC〜C15のシクロアルケニル基;置換されたまたは非置換のC〜C15のシクロアルキニル基;またはアジリジニル、ピロリジニル、またはピペリジニルなどの置換されたまたは非置換のC〜C20のヘテロシクロアルキル基;などの置換基に置換されることができる。
【0033】
前記ZはNHまたは酸素原子であり、前記Yは水素原子または炭素数1〜7のアルキル基であり、特に水素原子またはメチル基である。
【0034】
前記iii)エチレン性不飽和第3モノマーは、アクリル系バインダー樹脂共重合体中に好ましくは1〜70質量%、より好ましくは10〜60質量%、さらにより好ましくは15〜50質量%の量で含まれる。エチレン性不飽和第3モノマーの含有量が前記範囲である場合に、色特性、現像性、溶解度などが優れている。
【0035】
前記i)〜iii)のモノマーの共重合によって形成されたアクリル系バインダー樹脂は、形態に制限がなく、つまりランダム共重合体や交互共重合体やブロック共重合体の全てが可能である。
【0036】
前記アクリル系バインダー樹脂の酸価は好ましくは10〜150mgKOH/g、より好ましくは90〜150mgKOH/gである。
【0037】
また、前記アクリル系バインダー樹脂の質量平均分子量(Mw)は好ましくは1,000〜200,000 、より好ましくは5,000〜100,000、さらにより好ましくは8,000〜30,000である。
【0038】
また、前記アクリル系バインダー樹脂は、感光性樹脂組成物総量に対して好ましくは1〜70質量%、より好ましくは1.5〜40質量%の量で含まれる。アクリル系バインダー樹脂の含有量が前記範囲である場合に、色特性が明確で、アルカリ現像液に対する現像性及び架橋性が優れていて、パターンが剥がれたり浮いたりして密着性が低下する恐れがない。
(B)アクリル系光重合性モノマー
前記アクリル系光重合性モノマーは、カラーフィルター用感光性樹脂組成物に一般に使用されるモノマーを使用することができる。
【0039】
代表的な例としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ノボラックエポキシアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、または1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートなどを使用することができる。
【0040】
前記アクリル系光重合性モノマーは、感光性樹脂組成物総量に対して0.5〜20質量%の量で含まれるのが好ましい。アクリル系光重合性モノマーの含有量が前記範囲である場合に、パターンの縁部をきれいに形成することができ、アルカリ現像液に対する現像性が優れている。
【0041】
一方、他の実施形態では、前記アクリル系光重合性モノマーが、青色染料を含んでもよい。つまり、青色染料がアクリル系光重合性モノマーと一体化された形態からなってもよい。ここで、前記青色染料は、金属フタロシアニン系染料であるのが好ましい。この場合、上述したアクリル系バインダー樹脂は、i)及びii)の共重合体であってもよいし、i)〜iii)の共重合体であってもよい。好ましくはi)及びii)の共重合体である。
【0042】
前記アクリル系光重合性モノマーは、下記の化学式1で示される。
【0043】
【化3】

【0044】
前記化学式1で、前記Mは遷移金属原子であれば全て可能であって、銅または亜鉛が好ましく、前記X〜Xは各々独立して水素原子または下記の化学式2で示されるものであって、X〜Xのうちの少なくとも1つは下記の化学式2で示されるものであり、前記R〜Rは各々独立して水素原子または炭素数1〜7のアルキル基であり、m〜m及びn〜nは各々独立して0〜4の整数であり、m+n、m+n、m+n、及びm+nは4である。
【0045】
【化4】

【0046】
前記化学式2で、前記Xは置換されたまたは非置換の炭素数2〜12の炭化水素基であり、特に置換されたまたは非置換の炭素数2〜8の炭化水素基であるのが好ましい。前記炭化水素基は、飽和された炭素数2〜12のアルキレン基、炭素数2〜12のアルケニレン基、炭素数2〜12のアルキニレン基、または炭素数6〜12のアリーレン基である。この時、前記Xで示される炭化水素基の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子(ハロゲンとはF、Cl、Br、またはIを意味する);ヒドロキシ基;ニトロ基;シアノ基;アミノ基;アジド基;アミド基;ヒドラジン基;ヒドラゾン基;カルボニル基;置換されたまたは非置換のエステル基;カルバミル基;置換されたまたは非置換のC〜C20のアルコキシ基;置換されたまたは非置換のカルボキシ基やその塩;置換されたまたは非置換のスルホン酸基やその塩;置換されたまたは非置換のリン酸基やその塩;メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、またはイソブチルなどの置換されたまたは非置換のC〜C15のアルキル基;ビニル、プロペニル、またはブテニルなどの置換されたまたは非置換のC〜C16のアルケニル基;エチニルなどの置換されたまたは非置換のC〜C16のアルキニル基;フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダン、またはビフェニルなどの置換されたまたは非置換のC〜C18のアリール基;ベンジルまたはフェニルエチルなどの置換されたまたは非置換のC〜C18のアリールアルキル基;アルキル基が窒素原子、硫黄原子、酸素原子、またはリン原子を含む置換されたまたは非置換のC〜C20のヘテロアルキル基;窒素原子、硫黄原子、酸素原子、またはリン原子から選択された1、2、または3個のヘテロ原子を含み、残りは環原子が炭素である環原子数4〜20のサイクリックラジカルであって、チエニル、フリル、ベンゾチエニル、ピリジル、ピラジニル、またはピリミジニルなどの置換されたまたは非置換のC〜C20のヘテロサイクル基;置換されたまたは非置換のC〜C20のヘテロアリールアルキル基;置換されたまたは非置換のC〜C15のシクロアルキル基;置換されたまたは非置換のC〜C15のシクロアルケニル基;置換されたまたは非置換のC〜C15のシクロアルキニル基;またはアジリジニル、ピロリジニル、またはピペリジニルなどの置換されたまたは非置換のC〜C20のヘテロシクロアルキル基;などの置換基に置換されることができる。
【0047】
前記ZはNHまたは酸素原子であり、前記Yは水素原子または炭素数1〜7のアルキル基であり、特に水素原子またはメチル基であるのが好ましい。
【0048】
前記化学式1の青色染料を含むアクリル系光重合性モノマーは、感光性樹脂組成物総量に対して好ましくは3〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%の量で含まれる。金属フタロシアニン系染料を含むアクリル系光重合性モノマーの含有量が前記範囲である場合に、色純度が向上して、イメージ品質が優れていて、パターンの硬化度が優れていて、基板との密着性が向上して、適切な大きさのパターンを形成することができる。また、前記範囲では、パターンの縁部がきれいに形成され、アルカリ現像液に対する現像性も優れている。
(C)光重合開始剤
前記光重合開始剤は、感光性樹脂組成物に一般に使用される光重合開始剤を使用することができ、例えば、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾイン系化合物、トリアジン系化合物、オキシン系化合物、及びこれらの組み合わせなどを使用することができる。
【0049】
前記アセトフェノン系化合物としては、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2,2’−ジブトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−プロピオフェノン、p−t−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、4−クロロアセトフェノン、2,2’−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、または2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オンなどを使用することができる。
【0050】
前記ベンゾフェノン系化合物としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、または3,3’−ジメチル−2−メトキシベンゾフェノンなどを使用することができる。
【0051】
前記チオキサントン系化合物としては、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、または2−クロロチオキサントンなどを使用することができる。
【0052】
前記ベンゾイン系化合物としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、またはベンジルジメチルケタルなどを使用することができる。
【0053】
前記トリアジン系化合物としては、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ビフェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフト1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン、または2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどを使用することができる。
【0054】
前記オキシン系化合物としては、2−(o−ベンゾイルオキシン)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、及び1−(o−アセチルオキシン)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル]エタノンなどを使用することができる。
【0055】
前記光重合開始剤以外に、カーバゾール系化合物、ジケトン類化合物、スルホニウムボレート系化合物、ジアゾ系または非イミダゾール系化合物なども光重合開始剤として使用することができる。
【0056】
前記光重合開始剤は、感光性樹脂組成物総質量に対して0.1〜5質量%の量で含まれるのが好ましく、前記含有量範囲内で光重合開始剤が含まれる場合に、パターン形成工程における露光時に十分な光重合が行われ、光重合後に残留した未反応開始剤が透過率を低下させる恐れがない。
(D)溶剤
前記溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのエチレングリコール化合物;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル化合物;エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート化合物;プロピレングリコールなどのプロピレングリコール化合物;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルなどのプロピレングリコールエーテル化合物;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールエーテルアセテート化合物;N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド化合物;メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノンなどのケトン化合物;トルエン、キシレン、ソルベントナフサなどの石油化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル、または乳酸エチルなどのエステル化合物;などを使用することができ、これらのうちのいずれか1つを単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0057】
前記溶剤は、感光性樹脂組成物中に残部量で含まれ、例えば感光性樹脂組成物総質量に対して20〜90質量%の量で含まれる。溶剤の含有量が前記範囲内である場合に、感光性樹脂組成物の塗布性が優れており、厚さ1μm以上の膜で平坦性を維持することができる。
(E)その他の添加剤
前記カラーフィルター用感光性樹脂組成物は、前記(A)〜(D)の成分以外に、コーティング時に染みや斑点を防止し、レベリングを調節し、または未現像による残留物の生成を防止するために、マロン酸、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、カップリング剤、レベリング剤、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤などのその他の添加剤をさらに含むことができる。
【0058】
前記フッ素系界面活性剤としては、DIC社製の商品名メガフェースF−142D、F−172、F−172D、F−177P、F−470、F−471、F−475、F−482などから選択されたものを使用することができる。また、前記シリコン系界面活性剤としては、GE東芝シリコーン株式会社製の商品名TSF400、TSF401、TSF410、TSF4440などから選択されたものを使用することができる。
【0059】
本発明の他の一実施態様によれば、前期構成からなる感光性樹脂組成物を利用して製造されたカラーフィルターを提供する。
【0060】
前記カラーフィルターは、前記感光性樹脂組成物をカラーフィルター用ウェハー上にスピン塗布、スリット塗布などの適当な方法を使用して5,000〜8,000Åの厚さに塗布して、塗布された感光性樹脂組成物層に対してカラーフィルターに必要なパターンを形成するように光を照射した後、塗布層をアルカリ現像液で処理して塗布層の非露光部分を溶解することによって、カラーフィルターに必要なパターンを有するカラーフィルターを形成する製造方法によって製造される。この時、照射に使用される光源としては、356nmのI−line光を使用することができる。
【0061】
必要なR、G、B色の数によって前記過程を繰り返すことによって、所望のパターンを有するカラーフィルターを製造することができる。また、当該製造過程では、現像によって形成された画像パターンを再び加熱したり、活性線を照射することなどにより硬化することで、耐クラック性、耐溶剤性などをより向上させることができる。
【0062】
本発明の一実施態様による感光性樹脂組成物を利用して製造されたカラーフィルターは、超微細正方形パターンを有する。それによって、前記感光性樹脂組成物によって製造されたカラーフィルターは、イメージセンサーに適用する時に高解像度を実現することができる。
【実施例】
【0063】
以下、実施例及び比較例を通して本発明の実施態様をより詳細に説明するが、下記の実施例は説明の目的で提示されるもので、本発明を制限するためのものではない。
<青色染料を含むアクリル系光重合性モノマーの製造>
[合成例1]
還流冷却器及び撹拌機を装着した500mlの丸底フラスコにクロロスルホン酸200gを投入した後、銅フタロシアニン染料20gをゆっくり投入して溶解して、塩化チオニル16gをゆっくり投入した後、5時間、120℃に過熱して攪拌した。反応液を常温に冷却した後、強く攪拌されている6000gの氷水にゆっくり投入してスラリー化した。これをろ過して蒸溜水で洗浄し、プレスケーキを製造した。これを再び蒸溜水100mlに投入してスラリー化し、6−アミノ−1−ヘキサノール40.2gを投入して、常温で3時間、60℃で3時間反応させた。これを再びろ過して蒸溜水で洗浄した後、オーブンで乾燥させ、生成物を製造した。これをシクロヘキサノン100mlを投入した丸底フラスコに投入して6−アミノ−1−ヘキサノール置換された銅フタロシアニン20gを溶解し、トリエチルアミン9.6g、N,N−ジメチルアミノピリジン4.6g及びメタクリル酸無水物29.2gを投入した。その後、常温で16時間反応させて、過量の蒸溜水に投入して沈澱を形成した。これをろ過して、蒸溜水で洗浄し、乾燥して、銅フタロシアニンをペンダントとして含む下記の化学式1a(XはC12であり、MはCuであり、YはCHである)で示されるメタクリルモノマー26.1gを製造した。
【0064】
【化5】

【0065】
[合成例2]
前記合成例1の「6−アミノ−1−ヘキサノール」を「6−アミノ−1−ペンタノール」に変更したことを除いては、合成例1と同一に実施して、青色染料を含むアクリル系光重合性モノマーを製造した。
[合成例3]
前記合成例1の「6−アミノ−1−ヘキサノール」を「6−アミノ−1−ブタノール」に変更したことを除いては、合成例1と同一に実施して、青色染料を含むアクリル系光重合性モノマーを製造した。
[合成例4]
前記合成例1の「6−アミノ−1−ヘキサノール」を「6−アミノ−1−プロパノール」に変更し、「銅フタロシアニン」を「亜鉛フタロシアニン」に変更したことを除いては、合成例1と同一に実施して、青色染料を含むアクリル系光重合性モノマーを製造した。
[合成例5]
前記合成例1の「6−アミノ−1−ヘキサノール」を「6−アミノ−1−ドデカノール」に変更し、「銅フタロシアニン」を「亜鉛フタロシアニン」に変更したことを除いては、合成例1と同一に実施して、青色染料を含むアクリル系光重合性モノマーを製造した。
<カラーフィルター用感光性樹脂組成物の製造>
[実施例1〜5]
ベンジルメタクリレート及びメチルメタクリル酸を85/15の質量比で共重合したアクリル系バインダー樹脂(質量平均分子量13,000、酸価95mgKOH/g、固形分45.8質量%)24.19gに合成例1〜5で製造した青色染料を含む各々のアクリル系光重合性モノマー7.2g、光重合開始剤(Ciba Specialty社 TPP)0.64g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)51.56g、シクロヘキサノン16.21g、カップリング剤(チッソ社製 S710)0.2g、及びレベリング剤(DIC社製 F−477)0.2gを添加した後、マグネチック撹拌機を利用して2時間攪拌した。、20μm深度フィルター(Depth filter)を利用してろ過することにより、感光性樹脂組成物を製造した。
[比較例1]
合成例1で製造した青色染料を含むアクリル系光重合性モノマーの代わりに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、ミウォン商社)6.8g及び青色顔料分散液(東洋インク社)44.6gを使用したことを除いては、実施例1と同一に実施して、感光性樹脂組成物を製造した。
[比較例2]
合成例1で製造した青色染料を含むアクリル系光重合性モノマーの代わりに、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETA、ミウォン商社)6.8g及び青色顔料分散液(東洋インク社)44.6gを使用したことを除いては、実施例1と同一に実施して、感光性樹脂組成物を製造した。
[比較例3]
合成例1で製造した青色染料を含むアクリル系光重合性モノマーの代わりに、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETA、ミウォン商社)6.8g及びソルベントブルー45(クラリアント社)7.8gを使用したことを除いては、実施例1と同一に実施して、感光性樹脂組成物を製造した。
[実験例1:SEM写真測定]
前記実施例1〜5及び比較例1〜3によって製造された感光性樹脂組成物をKDNS社製(K−Spin)スピンコーターを利用して8インチのウェハーにコーティング塗布した後、100℃で180秒乾燥した。多様な大きさのパターンが形成されたレチクルが装着された日本ニコン社製i−line stepper(NSRi10C)で100ms〜600msで露光した後、常温で0.2%TMAH溶液で120秒間現像した。現像された基板を洗浄した後、200℃の高温プレートで300秒間乾燥して、パターンを形成した。
【0066】
前記実施例1及び比較例1による感光性樹脂組成物を利用して形成されたパターンを走査電子顕微鏡(SEM)を利用して測定し、その結果を図1及び2に示した。
【0067】
図1は実施例1による感光性樹脂組成物を利用して製造されたピクセルを観察した写真であり、図2は比較例1による感光性樹脂組成物を利用して製造されたピクセルを観察した写真である。
【0068】
図1及び2を参照すれば、青色染料を含むアクリル系光重合性モノマーを含む実施例1の感光性樹脂組成物によって形成されたピクセルは、微細な正方形のパターンを有するが、比較例1の感光性樹脂組成物によって形成されたピクセルは、パターン形態が不良であった。
[実験例2:物性の測定]
前記実施例1〜5及び比較例1〜3によって製造された感光性樹脂組成物を利用して形成されたパターンに対して、模様、残留物、密着性、及び解像度を評価し、その結果を下記の表1に示した。
【0069】
光学顕微鏡を利用してパターンの解像度を観察し、KMAC社製(ST4000−DLX)装備を利用してコーティングの厚さを測定した。
(1)模様(プロファイル)の評価
365nm光の光源を使用して形成された画素パターン(1.3×1.3μm正方形)に対してSEMを利用してパターン断面を観察した。良好な長方形のプロファイルである場合には○、若干丸い形状である場合には△、完全に丸い形状である場合には×で評価した。
(2)残留物
365nm光の光源を使用して形成された画素パターン(1.3×1.3μm正方形)に対してSEMを利用してパターン断面を観察した。未露光部に残留物が全くない場合には○、若干存在する場合には△、確実に存在する場合には×で評価した。
(3)密着性
基板からパターンが剥がれない最小露光時間(範囲:100ms〜600ms)を測定した。
(4)解像度
識別可能な最小ピクセルの大きさを測定した。
【0070】
【表1】

【0071】
前記表1に示されているように、実施例1〜5の感光性樹脂組成物によって形成されたピクセルは、比較例1〜3の感光性樹脂組成物によって形成されたピクセルと比較して、微細な正方形のパターンを有する。これは、金属フタロシアニン系染料を含むアクリル系光重合性モノマーによって、感光性組成物の均一度及び溶解度が向上したためであると推測される。
<青色染料を含むアクリル系バインダー樹脂の製造>
[合成例6]
還流冷却器及び撹拌機を装着した250mlの丸底フラスコにシクロヘキサノン50gを投入した後、攪拌して温度を80℃まで上昇させた。温度を80℃に維持して攪拌し、前記フラスコに事前に製造した化学式1aのモノマー22.5g、メタクリル酸7.5g、ベンジルメタクリレート20g、及びジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸塩)6.0gの混合物を1〜2時間滴下して投入した。前記混合物を全て滴下して4〜6時間反応させた後、シクロヘキサノン溶媒を適正量添加して、固形分43.5%である青色染料及びカルボキシ基を有するアクリル系バインダー樹脂を製造した。当該樹脂をゲル透過クロマトグラフィー(Gel Permission Chromatography:以下「GPC」)法で測定した結果、平均分子量(Mw)は8,800であった。
[合成例7〜15]
下記の表2に記載されたモノマーを使用して、合成例6と同様な方法で各々のアクリル系バインダー樹脂を製造した。
[実施例6〜15]
前記合成例6〜15で製造された青色染料を含むアクリル系バインダー樹脂13.3gにジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、ミウォン商社)5.3g、光重合開始剤(Ciba Specialty社 TPP)0.4g、及び溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)18.9g、シクロヘキサノン11.8g、シランカップリング剤(チッソ社製 S510)0.2g、及びレベリング剤(DIC社製 F−482)0.1gを添加した後、マグネチック撹拌機を利用して2時間攪拌した。20μm深度フィルター(Depth filter)を利用してろ過することによって、感光性樹脂組成物を製造した。
[比較例4]
前記実施例6の青色染料を含むアクリル系バインダー樹脂13.3gをアクリル系バインダー樹脂(NPR1780、ミウォン商社)3.9g及びソルベントブルー(solvent blue)45(クラリアント社)6.7gに変更したことを除いては、実施例6と同一に実施して、感光性樹脂組成物を製造した。
[比較例5]
前記実施例6の青色染料を含むアクリル系バインダー樹脂をアクリル系バインダー樹脂(NPR1520、ミウォン商社)4.3g及び青色顔料分散液(TS−0020、東洋インク社)21.5gに変更したことを除いては、実施例6と同一に実施して、感光性樹脂組成物を製造した。
[比較例6]
前記実施例7の青色染料を含むアクリル系バインダー樹脂をアクリル系バインダー樹脂(NPR1130、ミウォン商社)4.1g及びソルベントブルー45(クラリアント社)6.7gに変更したことを除いては、実施例6と同一に実施して、感光性樹脂組成物を製造した。
【0072】
【表2−1】

【0073】
【表2−2】

【0074】
[実験例1:SEM写真測定]
前記実施例6〜15及び比較例4〜6によって製造された感光性樹脂組成物をKDNS社製(K−Spin)スピンコーターを利用して8インチのウェハーにコーティング塗布した後、80℃で180秒乾燥した。多様な大きさのパターンが形成されたレチクルが装着された日本ニコン社製i−line stepper(NSRi10C)で250msで露光した後、常温、0.2%TMAH溶液で120秒現像した。現像された基板を洗浄した後、200℃の高温プレートで300秒間乾燥して、パターンを形成した。
【0075】
前記実施例6及び比較例4による感光性樹脂組成物を利用して形成されたパターンを走査電子顕微鏡(SEM)で測定し、その結果を図3及び4に示した。
【0076】
図3は実施例6による感光性樹脂組成物を利用して製造されたピクセルを観察した写真であり、図4は比較例4による感光性樹脂組成物を利用して製造されたピクセルを観察した写真である。
【0077】
図3及び4を参照すれば、青色染料を含むアクリル系バインダー樹脂を含む実施例6の感光性樹脂組成物によって形成されたピクセルは、パターン形状が優れていて、微細な正方形のパターンを有するが、比較例4の感光性樹脂組成物によって形成されたピクセルは、パターン形態が不良であった。
[実験例2;物性の測定]
前記実施例6〜15及び比較例4〜6によって製造された感光性樹脂組成物を利用して形成されたパターンに対して、模様、残留物、密着性、及び解像度を評価し、その結果を下記の表3に示した。
【0078】
光学顕微鏡を利用してパターンの解像度を観察し、KMAC社製(ST4000−DLX)装備を利用してコーティングの厚さを測定した。
(1)模様(プロファイル)の評価
365nm光の光源を使用して形成された画素パターン(1.3×1.3μm正方形)に対してSEMを利用してパターン断面を観察した。良好な長方形のプロファイルである場合には○、若干丸い形状である場合には△、完全に丸い形状である場合には×で評価した。
(2)残留物
365nm光の光源を使用して形成された画素パターン(1.3×1.3μm正方形)に対してSEMを利用してパターン断面を観察した。未露光部に残留物が全くない場合には○、若干存在する場合には△、確実に存在する場合には×で評価した。
(3)密着性
基板からパターンが剥がれない最小露光時間(範囲:100ms〜1,000ms)を測定した。
(4)解像度
識別可能な最小ピクセルの大きさを測定した。
【0079】
【表3】

【0080】
前記表3に示されているように、実施例6〜15の感光性樹脂組成物によって形成されたピクセルは、比較例4〜6の感光性樹脂組成物によって形成されたピクセルと比較して、微細な正方形のパターンを有する。これは、青色染料を含むアクリル系バインダー樹脂によって、溶解度が向上したためであると推測される。
【0081】
以上で、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されず、特許請求の範囲、発明の詳細な説明、及び添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)1種以上のカルボキシ基を有するアクリル系バインダー樹脂;
(B)アクリル系光重合性モノマー;
(C)光重合開始剤;及び
(D)溶剤;を含み、
前記アクリル系バインダー樹脂または前記アクリル系光重合性モノマーのうちの少なくとも1つは、青色染料を含む、カラーフィルター用感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記青色染料は、金属フタロシアニン系染料である、請求項1に記載のカラーフィルター用感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記アクリル系バインダー樹脂が、青色染料を含み、
組成物の全量100質量%に対して、前記(A)青色染料及び1種以上のカルボキシ基を有するアクリル系バインダー樹脂1〜70質量%;
前記(B)アクリル系光重合性モノマー0.5〜20質量%;
前記(C)光重合開始剤0.1〜5質量%;及び
前記(D)溶剤残部量;を含む、
請求項1または2に記載のカラーフィルター用感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記アクリル系バインダー樹脂は、
i)1種以上のカルボキシ基を有するエチレン性不飽和第1モノマー、
ii)前記エチレン性不飽和第1モノマーと共重合可能な他のエチレン性不飽和第2モノマー、及び
iii)下記の化学式1で示されるエチレン性不飽和第3モノマー、
の共重合体である、請求項3に記載のカラーフィルター用感光性樹脂組成物。
【化1】


式中、Mは遷移金属原子であり、
〜Xは各々独立して水素原子または下記の化学式2で示されるものであって、X〜Xのうちの少なくとも1つは下記の化学式2で示されるものであり、
〜Rは各々独立して水素原子または炭素数1〜7のアルキル基であり、
〜m及びn〜nは各々独立して0〜4の整数であり、m+n、m+n、m+n、及びm+nは各々4である。
【化2】

式中、
Xは置換されたまたは非置換の炭素数2〜12の炭化水素基であり、
ZはNHまたは酸素原子であり、
Yは水素原子または炭素数1〜7のアルキル基である。
【請求項5】
前記エチレン性不飽和第3モノマーは、共重合体総質量に対して1〜70質量%の量で含まれる、請求項4に記載のカラーフィルター用感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記エチレン性不飽和第1モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、コハク酸、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるものである、請求項4または5に記載のカラーフィルター用感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記エチレン性不飽和第1モノマーは、共重合体総質量に対して5〜40質量%の量で含まれる、請求項4〜6のいずれか1項に記載のカラーフィルター用感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記エチレン性不飽和第2モノマーは、アルケニル芳香族化合物;不飽和カルボン酸エステル化合物;不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物;カルボン酸ビニルエステル化合物;不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物;シアン化ビニル化合物;不飽和アミド化合物、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるものである、請求項4〜7のいずれか1項に記載のカラーフィルター用感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記アクリル系バインダー樹脂は、質量平均分子量(Mw)が1,000〜200,000である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のカラーフィルター用感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記アクリル系バインダー樹脂は、酸価が10〜150mgKOH/gである、請求項1〜9のいずれか1項に記載のカラーフィルター用感光性樹脂組成物。
【請求項11】
前記アクリル系光重合性モノマーが、青色染料を含み、
組成物の全量100質量%に対して
前記(A)1種以上のカルボキシ基を有するアクリル系バインダー樹脂1〜70質量%;
前記(B)青色染料を含むアクリル系光重合性モノマー3〜30質量%;
前記(C)光重合開始剤0.1〜5質量%;及び
前記(D)溶剤残部量;を含む、
請求項1に記載のカラーフィルター用感光性樹脂組成物。
【請求項12】
前記青色染料を含むアクリル系光重合性モノマーは、下記化学式1で示されるものである、請求項11に記載のカラーフィルター用感光性樹脂組成物。
【化3】

式中、Mは遷移金属原子であり、
〜Xは各々独立して水素原子または下記の化学式2で示されるものであって、X〜Xのうちの少なくとも1つは下記の化学式2で表現されるものであり、
〜Rは各々独立して水素原子または炭素数1〜7のアルキル基であり、
〜m及びn〜nは各々独立して0〜4の整数であり、m+n、m+n、m+n、及びm+nは各々4である。
【化4】

式中
Xは置換されたまたは非置換の炭素数2〜12の炭化水素基であり、
ZはNHまたは酸素原子であり、
Yは水素原子または炭素数1〜7のアルキル基である。)
【請求項13】
前記アクリル系バインダー樹脂は、
i)1種以上のカルボキシ基を有するエチレン性不飽和第1モノマー、及び
ii)前記エチレン性不飽和第1モノマーと共重合可能な他のエチレン性不飽和第2モノマーの共重合体である、請求項11または12に記載のカラーフィルター用感光性樹脂組成物。
【請求項14】
前記光重合開始剤は、トリアジン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾイン系化合物、オキシン系化合物、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるものである、請求項1〜13のいずれか1項に記載のカラーフィルター用感光性樹脂組成物。
【請求項15】
前記感光性樹脂組成物は、マロン酸、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、シランカップリング剤、レベリング剤、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される添加剤をさらに含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載のカラーフィルター用感光性樹脂組成物。
【請求項16】
請求項1〜15のうちのいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物でパターンを形成して製造されたカラーフィルター。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−102343(P2010−102343A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−244885(P2009−244885)
【出願日】平成21年10月23日(2009.10.23)
【出願人】(500005066)チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド (263)
【Fターム(参考)】