説明

カラーフィルタ及びそれを有する表示装置

【課題】視認性に優れ、且つカラーフィルタの製造工程を削減して、飛躍的に生産性を向上し得るカラーフィルタ及びそれを有する表示装置、特に有機EL表示装置を提供すること。
【解決手段】マゼンタ及び緑色の2色の着色層からなり、該2色の着色層の画素数の比率{(マゼンタ着色層の画素数):(緑色着色層の画素数)}が(60:40)〜(40:60)であることを特徴とするカラーフィルタ、あるいはマゼンタ又は緑色の1色の着色層と開口部に配置される透明層とを具え、該2層の画素数の比率{(着色層の画素数):(透明層の画素数)}が(60:40)〜(40:60)であることを特徴とするカラーフィルタ及びそれらを有する表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3色発光層を有する有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)表示装置やLED(発光ダイオード)表示装置等の表示装置に用いられるカラーフィルタ及びそれを有する有機EL表示装置やLED(発光ダイオード)表示装置等の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、従来の液晶表示装置に加えて、有機EL表示装置やLED表示装置等が開発され、携帯電話等の携帯情報端末機器、カーオーディオ、テレビ用モニターやパーソナル・コンピュータへの用途展開が進んでいる。
しかし、有機EL表示装置やLED表示装置等においては観察者側から入射した外光が表示装置の内部で反射し、その反射光が再び観察者側に出射することにより表示が視認しにくくなるという問題があった。
この問題を解決するため有機EL装置やLED表示装置等におけるガラス基板等の外側に、円偏光板を配置する技術が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。この円偏光板に入射した外光は、円偏光板により吸収されて、有機EL装置やLED表示装置等の表示の見易さを確保している。
また、上記の外光反射を改善するため、3色発光層に対応する赤・緑・青の三色の着色層を有するカラーフィルタを配置する技術が提案されている。そして、カラーフィルタの改良も種々行なわれている(例えば、特許文献5〜6参照)。
【0003】
この3色発光層のそれぞれの発光層に対応するように赤・緑・青の三色の着色層を有するカラーフィルタを有機EL表示装置やLED表示装置等に配置すると、外光反射が低減されるばかりでなく、表示される色純度が上がる効果をも奏することができる。
しかしながら、三色の着色層を有するカラーフィルタを製造するためには、三色の色毎に着色層を設ける必要があるため、工程が煩雑となり、生産性が低かった。従って、この方法では表示装置が高価なものとなる問題があった。
【0004】
ところで、有機EL表示装置等の発光層を積層することは知られている。例えば、特許文献7及び8においては、発光層が、青色発光層とオレンジ色発光層を積層した構造を有する有機EL表示装置が開示されている。しかしながら、この積層構造の発光層は、白色発光することを目的とするものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−76865号公報
【特許文献2】特開2002−311239号公報
【特許文献3】特開2006−18187号公報
【特許文献4】特開2006−228675号公報
【特許文献5】特開2007−280718号公報
【特許文献6】特開2007−213824号公報
【特許文献7】特開2007−36127号公報
【特許文献8】特開2007−36128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような状況下で、視認性に優れ、且つカラーフィルタの製造工程を削減して、飛躍的に生産性を向上し得るカラーフィルタ及びそれを有する表示装置、特に有機EL表示装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、カラーフィルタの3色の着色層を2色化又は1色化することに成功し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、
[1]マゼンタ及び緑色の2色の着色層からなり、該2色の着色層の画素数の比率{(マゼンタ着色層の画素数):(緑色着色層の画素数)}が(60:40)〜(40:60)であることを特徴とするカラーフィルタ、
[2]マゼンタ又は緑色の1色の着色層と開口部に配置される透明層とを具え、該2層の画素数の比率{(着色層の画素数):(透明層の画素数)}が(60:40)〜(40:60)であることを特徴とするカラーフィルタ、
[3]上記[1]又は[2]に記載のカラーフィルタを具え、該カラーフィルタのマゼンタ着色層に対向する部位に赤色発光層及び青色発光層が積層され、かつ緑色着色層又は透明層に対向する部位に緑色発光層が形成されてなる表示装置、及び
[4]上記[2]に記載のカラーフィルタを具え、該カラーフィルタの透明層に対向する部位に赤色発光層及び青色発光層が積層され、かつ緑色着色層に対向する部位に緑色発光層が形成されてなる表示装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、視認性に優れると共に、カラーフィルタの製造工程を削減して、飛躍的に生産性を向上し得るカラーフィルタを提供することができた。また、本発明の表示装置(有機EL表示装置やLED表示装置等)は円偏光板を用いる必要がないため、安価に表示装置を提供し得ることとなった。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のカラーフィルタを搭載した表示装置の第1の態様を示す概略断面図である。
【図2】本発明のカラーフィルタを搭載した表示装置の第2の態様を示す概略断面図である。
【図3】本発明のカラーフィルタを搭載した表示装置の第3の態様を示す概略断面図である。
【図4】本発明のカラーフィルタを搭載した表示装置の第4の態様を示す概略断面図である。
【図5】本発明のカラーフィルタを搭載した表示装置の第5の態様を示す概略断面図である。
【図6】本発明のカラーフィルタを搭載した表示装置の第6の態様を示す概略断面図である。
【図7】本発明のカラーフィルタを搭載した表示装置の第7の態様を示す概略断面図である。
【図8】本発明のカラーフィルタを搭載した表示装置の第8の態様を示す概略断面図である。
【図9】本発明のカラーフィルタを搭載した表示装置の第9の態様を示す概略断面図である。
【図10】比較例1となるカラーフィルタを搭載した表示装置の態様を示す概略断面図である。
【図11】比較例4となる表示装置の態様を示す概略断面図である。
【図12】比較例5となる表示装置の態様を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
A.カラーフィルタ
本発明の第1の発明のカラーフィルタは、マゼンタ及び緑色の2色の着色層からなり、該2色の着色層の画素数の比率{(マゼンタ着色層の画素数):(緑色着色層の画素数)}が(60:40)〜(40:60)であることを特徴とする。
また、本発明の第2の発明のカラーフィルタは、マゼンタ又は緑色の1色の着色層と開口部に配置される透明層とを具え、該2層の画素数の比率{(着色層の画素数):(透明層の画素数)}が(60:40)〜(40:60)であることを特徴とする。
【0011】
以下、本発明のカラーフィルタを、図を参照して説明する。図1〜3は、本発明のカラーフィルタを搭載した表示装置の第1〜3の態様を示す概略断面図である。
図1において、本発明のカラーフィルタ10は、マゼンタ着色層13aを構成する画素と、緑色着色層13bを構成する画素との画素数の比率{(マゼンタ着色層):(緑色着色層)}が、(60:40)〜(40:60)であることを要し、(55:45)〜(45:55)であることが好ましい。この(60:40)〜(40:60)の範囲であれば、各色共、適した印加電圧にて、色特性を満たし、ホワイトバランスをとりやすいためである。
【0012】
図2において、本発明のカラーフィルタ10は、マゼンタ着色層13aを構成する画素と、透明層14を構成する画素との画素数の比率{(マゼンタ着色層の画素数):(透明層の画素数)}が、(60:40)〜(40:60)であることを要し、(55:45)〜(45:55)であることが好ましい。この(60:40)〜(40:60)の範囲であれば、各色共、適した印加電圧にて、色特性を満たし、ホワイトバランスをとりやすいためである。
【0013】
図3において、本発明のカラーフィルタ10は、緑色着色層13bを構成する画素と、透明層14を構成する画素との画素数の比率{(緑色着色層の画素数):(透明層の画素数)}が、(60:40)〜(40:60)であることを要し、(55:45)〜(45:55)であることが好ましい。この(60:40)〜(40:60)の範囲であることを要する理由は、図2の場合と同様である。
なお、着色層13及び透明層14の膜厚としては、通常1.0〜3.0μm程度である。
【0014】
本発明において、上記マゼンタ着色層13aは、可視光の500〜580nmの範囲(人に強く視認される)を効率よく吸収することが可能であり、従って、表示装置30の発光素子25の赤色発光層23a及び青色発光層23bに対向する部位にマゼンタ着色層13aを設けると、外光反射成分を効率的に吸収させることが可能となる。それにより、外光反射を低減できる。また、表示装置30の発光素子25の赤色発光層23a及び青色発光層23bに対向する部位に形成されるマゼンタ着色層13aを1工程で作製することができるため、また円偏光板を用いる必要がないため、安価に表示装置(特に有機EL表示装置)を提供することもできる。
本発明の表示装置30は、図1〜9に示すように、赤色発光層23aと青色発光層23bを直列配列しているため、1ピクセルが2サブピクセル(赤・青/緑)で形成可能となる。(通常は、図10に示すように、1ピクセルは3サブピクセル(赤/青/緑)で形成される)。これにより、遮光部の面積が低減し、開口率が上昇する。(3/2倍上昇することとなる)。この結果、輝度も上昇し、低消費電力化、発光層の長寿命化が可能となった。
さらに、本発明の表示装置30は、1ピクセルが2サブピクセルで形成可能なため、解像度が上昇(3/2倍上昇)するので、高精細化が可能となった。
【0015】
(1)マゼンタ色材
本発明の好ましい態様によれば、マゼンタ色材は、以下のバイオレット顔料単色、又は以下の赤色顔料、青色顔料、染料等を混合して用いることもできる。バイオレット顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38等が挙げられる。赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド264等が挙げられる。青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60等が挙げられる。
【0016】
(2)マゼンタ着色組成物
本発明の好ましい態様によれば、カラーフィルタの着色層を形成するためのマゼンタ着色組成物は、上記の顔料を溶剤に分散させた分散体である。本発明に係るマゼンタ着色層を形成するマゼンタ着色組成物は、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントバイオレッド19及びC.I.ピグメントバイオレッド23から選ばれる少なくとも1種の顔料を含むことが好ましい。
本発明において、顔料の分散方法は、特に限定されず、公知の分散機を用いて分散させることができる。分散処理を行うための分散機としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントコンディショナー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミルが挙げられる。分散処理において用いるビーズの径は、好ましくは0.03〜2.00mmであり、より好ましくは0.10〜1.00mmである。
【0017】
本発明においては、顔料を分散させる際に、ジルコニアビーズ等を適宜加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)等を用いて、数時間分散を行うことが好ましい。例えば、ビーズ径が比較的大きめな2mmジルコニアビーズで1時間分散後、さらにビーズ径が比較的小さめな0.1mmジルコニアビーズで2時間分散することが挙げられる。また、分散後、5.0μmのメンブランフィルタで濾過することが好ましい。これにより、顔料の分散性をより向上することができ、透過率をより向上させることができる。
【0018】
(a)その他の成分
本発明の好ましい態様によれば、マゼンタ着色組成物は、上記の顔料以外にも、必要に応じて、溶剤、分散剤、モノマー、オリゴマー、ポリマー、重合開始剤、重合禁止剤等を適宜含むものである。
【0019】
(i)溶剤
上記の溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α−もしくはβ−テルピネオール等のテルペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、及び3−メトキシブチルアセテート等の酢酸エステル類等が挙げられる。本発明においては、市販の溶剤を用いることもでき、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダイセル化学工業株式会社製)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(ダイセル化学工業株式会社製)、及び3−メトキシブチルアセテート(ダイセル化学工業株式会社製)が好ましい。好ましい態様では、溶剤の含有量は、赤色着色組成物の合計質量に対して10〜90質量%である。溶剤の含有量が上記範囲程度であれば、マゼンタ着色組成物の粘度を所望の範囲に調整し、顔料分散性や顔料分散経時安定性を向上させることができる。また、顔料濃度を一定範囲内にすることができるため、マゼンタ着色組成物を調製後、目標とする色度座標を達成することができる。
【0020】
(ii)分散剤
上記の分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できるが、これらの中でも高分子界面活性剤(高分子分散剤)を用いることが好ましい。高分子界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、及び3級アミン変性ポリウレタン類などが挙げられる。本発明においては、市販の分散剤を用いることもでき、例えば、ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、20000、24000、26000、及び28000等の各種ソルスパース分散剤(ゼネカ株式会社製)、並びにDisperbyk 111(ビックケミー・ジャパン株式会社製)が好ましい。好ましい態様では、分散剤の含有量は、赤色顔料等のマゼンタ顔料の合計質量に対して10〜80質量%である。
【0021】
(iii)モノマー及びオリゴマー
上記のモノマー及びオリゴマーとしては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−デシルアクリレート、n−デシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロシプロピルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリオキシエチル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリアクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジアクリレート、ジアリルフマレート、1,10−デカンジオールジメチルアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、及び上記のアクリレート基をメタクリレート基に置換したもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、テトラヒドロフルフリールアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、3−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、フェノール−エチレンオキサイド変性アクリレート、フェノール−プロピレンオキサイド変性アクリレート、ビスフェノールA−エチレンオキサイド変性ジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のアクリレートモノマー、及びこれらのアクリレート基をメタクリレート基に置換したもの、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニル−2−ピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の2量体、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、及びこれらの有機酸の酸無水物、並びにポリウレタン構造を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステル構造を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたポリエステルアクリレートオリゴマー、エポキシ基を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたエポキシアクリレートオリゴマー、ポリウレタン構造を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたウレタンメタクリレートオリゴマー、ポリエステル構造を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたポリエステルメタクリレートオリゴマー、エポキシ基を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたエポキシメタクリレートオリゴマー等が挙げられる。
本発明においては、市販のモノマーを用いることもでき、例えば、SR399(サートマー社製)、アロニックスM−400(東亞合成株式会社製)、及びアロニックスM−450(東亞合成株式会社製)が好ましい。好ましい態様では、モノマー及び/又はオリゴマーの含有量は、マゼンタ顔料の合計質量に対して5〜80質量%である。
【0022】
(iv)ポリマー
上記のポリマーとしては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレンビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、エチレンメタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、アクリレート基を有するエポキシアクリレート樹脂、メタクリレート基を有するポリウレタンメタクリレート、メタクリレート基を有するポリエステルメタクリレート、メタクリレート基を有するエポキシメタクリレート樹脂等が挙げられる。
本発明においては、市販のポリマーを用いることもでき、例えば、アロニックスM−5600(東亞合成株式会社製)、アロニックスM−6200(東亞合成株式会社製)、アロニックスM−7100(東亞合成株式会社製)、及びアロニックスM−9050(東亞合成株式会社製)が好ましい。好ましい態様では、ポリマーの含有量は、マゼンタ顔料の合計質量に対して5〜80質量%である。
【0023】
(v)重合開始剤
上記の重合開始剤としては、熱重合開始剤及び光重合開始剤等を用いることができ、例えば、ベンジル(ビベンゾイルとも言う)、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3'−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、及び1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。本発明においては、市販の重合開始剤を用いることができ、例えば、イルガキュア184、イルガキュア369、イルガキュア651、イルガキュア907(いずれも、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、ダロキュアー(メルク社製)、アデカ1717(旭電化工業株式会社製)等のケトン系化合物、及び2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール(黒金化成株式会社製)等のビイミダゾール系化合物が好ましい。好ましい態様では、重合開始剤の含有量は、マゼンタ顔料の合計質量に対して1〜40質量%である。
【0024】
(3)緑色着色組成物
本発明の好ましい態様によれば、緑色着色組成物についても、上記マゼンタ着色組成物と同様の方法で調製することができる。緑色着色組成物に用いる緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン1、C.I.ピグメントグリーン4、及びC.I.ピグメントグリーン58等が挙げられる。緑色着色組成物には、これらの緑色顔料の少なくとも一種にさらに黄色顔料を混合して用いることができる。黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー60、C.I.ピグメントイエロー61、C.I.ピグメントイエロー65、C.I.ピグメントイエロー71、C.I.ピグメントイエロー73、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー81、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー98、C.I.ピグメントイエロー100、C.I.ピグメントイエロー101、C.I.ピグメントイエロー104、C.I.ピグメントイエロー106、C.I.ピグメントイエロー108、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー113、C.I.ピグメントイエロー114、C.I.ピグメントイエロー116、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー119、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー126、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー152、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー175;等が挙げられる
緑色着色組成物は、上記マゼンタ着色組成物と同様に、必要に応じて、上述の溶剤、分散剤、モノマー、オリゴマー、ポリマー、重合開始剤、重合禁止剤等を適宜含むものである。
【0025】
(4)透明層
本発明のカラーフィルタにおける透明層14はカラーフィルタ10の開口部に透明個所として設けられるものである。
なお、透明層14は、通常は、画素として存在するものではないが、着色層13の画素と対比するため、個々の透明個所を「透明層の画素」と見做す。
透明樹脂層を形成する場合は、上記の着色組成物から顔料及び分散剤を除去した組成物を用いれば良い。
【0026】
本発明のカラーフィルタは、例えば、透明基板11、薄膜トランジスタがマトリックス状に形成された薄膜トランジスタアレイ基板16等の基材の上に、着色層13又は着色層13と透明層14との組合せと、それらを区分する遮光部12とが設けられ、必要に応じ、それらの上にオーバーコート層15が積層されてなる。また、後述する図7〜9に示すように、本発明のカラーフィルタは、発光素子側基板20上に着色層13又は着色層13と透明層14との組合せと、それらを区分する遮光部12とが設けられ、必要に応じ、それらの上にオーバーコート層15が積層されても良い。
【0027】
本発明のカラーフィルタの製造方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、以下に示される好ましい態様に従い行うことができる。まず、上記の着色組成物を透明基板11、薄膜トランジスタアレイ基板16等の基材上に塗布し、減圧乾燥後、プリベークして、溶剤を除去する。組成物の塗布には、従来公知の方法を用いることでき、例えばスピンコート法、印刷法、インクジェット法、バーコート法、スプレー法、ダイコート法、ビードコート法、及びスリット&スピンコート法等が挙げられる。続いて、紫外線を露光して、組成物を硬化させる。さらに、焼成することで着色層のパターンを基材上に形成させることができる。
【0028】
(5)透明基板
本発明のカラーフィルタに用いられる透明基板11としては、一般的なカラーフィルタに用いられるものと同様とすることができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
透明基板11の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルタの用途に応じて、例えば100μm〜1mm程度のものを使用することができる。
また、後述する第4〜6態様においては、図4〜6に示すように、透明基板11の替わりに、薄膜トランジスタアレイ基板16を使用しても良い。
【0029】
(6)遮光部
図1において、マゼンタ着色層13a及び緑色着色層13bの個々の画素は遮光部12により着色層のパターン毎に区分され、図2において、マゼンタ着色層13a及び透明層14の個々の画素は遮光部12により着色層のパターン毎に区分され、図3において、緑色着色層13b及び透明層14の個々の画素は遮光部12により着色層のパターン毎に区分されている。この遮光部12は画素毎に発光する区域を区画するとともに、発光する区域どうしの境界における外光の反射を防止し、画像のコントラストを高めるので、この遮光部12の存在によっても表示の視認性は向上する。従って、本発明のカラーフィルタ10は、遮光部12を具えることが好ましい。
【0030】
本発明のカラーフィルタに好ましく設けられる遮光部12は、図1〜3における水平方向の内、縦方向及び横方向の双方に連続していても良く、縦方向及び横方向の一方のみに連続していても良く、着色層13a及び13bの個々の着色層並びに透明層14のパターン毎に不連続に形成されていても良い。遮光部12のパターンは、通常、線状であり、マトリクス状、ストライプ状等が挙げられる。
【0031】
本発明のカラーフィルタには遮光部12が形成されていることが好ましく、遮光部12の形成材料としては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック等の黒色着色剤を含有する樹脂組成物等が挙げられる。この樹脂組成物に用いられる樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂を使用することができる。また、樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等も例示することができる。
【0032】
また、遮光部12の形成材料としては、例えば、クロム等の金属又は酸化クロム等の金属酸化物を挙げることができる。このような遮光部12は、例えば、CrOx膜(xは任意の数)及びCr膜が2層積層されたものであっても良く、また、より反射率を低減させたCrOx膜(xは任意の数)、CrNy膜(yは任意の数)及びCr膜が3層積層されたものであっても良い。
【0033】
遮光部12の形成方法としては、上記感光性樹脂を含む樹脂組成物を用いる場合には、フォトリソグラフィー法を挙げることができ、上記の他の樹脂を含む樹脂組成物を用いる場合には、インクジェット法、印刷法等を挙げることができる。この際、上記樹脂組成物を塗布して塗膜を形成した後に、この塗膜を乾燥しても良い。塗膜の乾燥方法としては、例えば、ホットプレートを用いた加熱乾燥が挙げられる。加熱乾燥条件としては、60℃〜150℃で1分間〜10分間加熱することが好ましい。さらに、フォトリソグラフィー法により現像した後に、加熱処理を行っても良い。加熱処理条件としては、150℃〜300℃で20分間〜60分間加熱するのが一般的である。
【0034】
また、上記金属又は金属酸化物を用いる場合、遮光部の形成方法としては、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等により薄膜を形成し、フォトリソグラフィー法を利用してパターニングする方法を挙げることができる。また、無電界メッキ法等を用いることもできる。
【0035】
遮光部の膜厚としては、上記樹脂組成物を用いた場合は0.5〜2μm程度であり、金属又は金属酸化物を用いた場合は0.2〜0.4μm程度である。
【0036】
(7)オーバーコート層
また、本発明のカラーフィルタ10は、上記着色層13を覆うように形成されたオーバーコート層15をさらに有しても良い。
オーバーコート層15の形成材料としては、透明樹脂を用いることができる。この透明樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系の反応性ビニル基を有する光硬化型樹脂、熱硬化型樹脂が挙げられる。また、透明樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等を挙げることができる。
オーバーコート層15の膜厚としては、1.0〜2.5μm程度である。
【0037】
オーバーコート層15の形成方法としては、上述の透明樹脂を含有するオーバーコート層形成用塗工液を、スピンコート、ロールコート、キャストコート等の方法で塗布して成膜し、光硬化型樹脂の場合は紫外線照射後に必要に応じて熱硬化させ、熱硬化型樹脂の場合は成膜後そのまま熱硬化させる方法を挙げることができる。また、上述の透明樹脂がフィルム状に成形されている場合は、直接、あるいは、粘着剤を介して貼着することによりオーバーコート層を形成することができる。
【0038】
B.表示装置
次に、本発明の表示装置について説明する。本発明の表示装置は、3色発光層を含む発光素子を有し、上記3色発光層からの光を発光光源とするものである。
本発明の表示装置として、以下の3つの発明が挙げられる。
(1)本発明の表示装置の第1の発明は、マゼンタ及び緑色の2色の着色層からなり、該2色の着色層の画素数の比率{(マゼンタ着色層の画素数):(緑色着色層の画素数)}が(60:40)〜(40:60)であるカラーフィルタを具え、該カラーフィルタのマゼンタ着色層に対向する部位に赤色発光層及び青色発光層が積層され、かつ緑色着色層に対向する部位に緑色発光層が形成されてなる表示装置である。
(2)本発明の表示装置の第2の発明は、マゼンタ着色層と開口部に配置される透明層とを具え、該2層の画素数の比率{(マゼンタ着色層の画素数):(透明層の画素数)}が(60:40)〜(40:60)であるカラーフィルタを具え、該カラーフィルタのマゼンタ着色層に対向する部位に赤色発光層及び青色発光層が積層され、かつ透明層に対向する部位に緑色発光層が形成されてなる表示装置である。
(3)本発明の表示装置の第3の発明は、緑色着色層と開口部に配置される透明層とを具え、該2層の画素数の比率{(緑色着色層の画素数):(透明層の画素数)}が(60:40)〜(40:60)であるカラーフィルタを具え、該カラーフィルタの透明層に対向する部位に赤色発光層及び青色発光層が積層され、かつ緑色着色層に対向する部位に緑色発光層が形成されてなる表示装置である。
上記のように着色層13(13a及び13b)及び/又は透明層14が配列されることにより、ある特定の波長の光のみを通過させ、「色」として見せるというカラーフィルタの機能が好適に発揮される。
この表示装置は、必要に応じ、シール剤により封止される。
【0039】
本発明の表示装置の各態様について、図面に基づき詳細に説明する。
1.第1態様
図1は、上記の第1の発明の第1の具体例である。図1におけるカラーフィルタ10の部分は既に説明した通りである。以下、図1に例示した発光素子側基板20を説明する。
図1に示すように、基板21の上に背面電極層22が配設され、背面電極層22の上に赤色発光層23aが配設され、赤色発光層23aの上に透明電極層24が配設され、赤色発光素子25aが形成されている。この赤色発光素子25aの上にさらに青色発光素子25bが積層されている。この青色発光素子25bの構成は、赤色発光素子25aの上に絶縁層26を介して背面電極層22が配設され、背面電極層22の上に青色発光層23bが配設され、青色発光層23bの上に透明電極層24が配設されて青色発光素子25bが形成されている。この発光素子25の配置は上下逆でも良い。すなわち、青色発光素子25bの上に赤色発光素子25aが積層されていても良い。また、赤色発光素子25aと青色発光素子25bとの積層体に並列して、緑色発光素子25cが配設されている。緑色発光素子25cも赤色発光素子25a及び青色発光素子25bと同様に、背面電極層22の上に緑色発光層23cが配設され、緑色発光層23cの上に透明電極層24が配設され、緑色発光素子25cが形成されている。
上記の赤色発光素子25aと青色発光素子25bとの積層体及び緑色発光素子25cの
各々は絶縁層26により区画されて発光素子側基板20を形成する。この絶縁層26のパターンのエッジは、遮光部12のパターンのエッジよりも内側に配置されていることが好ましい。
【0040】
図1に示す表示装置30は、カラーフィルタ10のオーバーコート層15と透明電極層24とが対面し、カラーフィルタ10の着色層13及び発光素子側基板20の発光層23が対向するように配置された態様である。赤色発光素子25aと青色発光素子25bとの積層体は、カラーフィルタ10のマゼンタ着色層13aと対向しており、緑色発光素子25cはカラーフィルタ10の緑色着色層13bと対向している。
【0041】
2.第2態様
次に、本発明の表示装置の第2態様について説明する。図2は、上記の第2の発明の第1の具体例である。図2におけるカラーフィルタ10の部分は既に説明した通りである。
以下、図2に例示した発光素子側基板20を説明する。
本態様の表示装置は、赤色発光素子25aと青色発光素子25bとの積層体及び緑色発光素子25cを配設する点では上記の第1態様の発光素子側基板20と同じであり、カラーフィルタ10と発光素子側基板20との配置の点でも第1態様と同じである。また、赤色発光素子25aと青色発光素子25bとの積層体が、カラーフィルタ10のマゼンタ着色層13aと対向している点でもでも第1態様と同じであるが、緑色発光素子25cがカラーフィルタ10の透明層14と対向している点で第1態様と異なる。
【0042】
3.第3態様
さらに、本発明の表示装置の第3態様について説明する。図3は、上記の第3の発明の第1の具体例である。図3におけるカラーフィルタ10の部分は既に説明した通りである。
以下、図3に例示した発光素子側基板20を説明する。本態様の表示装置30は、赤色発光素子25aと青色発光素子25bとの積層体及び緑色発光素子25cを配設する点では上記の第1態様の発光素子側基板20と同じであり、カラーフィルタ10と発光素子側基板20との配置の点でも第1態様と同じである。また、緑色発光素子25cがカラーフィルタ10の緑色着色層13bと対向している点でも第1態様と同じであるが、赤色発光素子25aと青色発光素子25bとの積層体がカラーフィルタ10の透明層14と対向している点で第1態様と異なる。
【0043】
第1〜3態様においては、カラーフィルタ10と発光素子側基板20とが離隔しているが、両者が接触又は接着していても良い。離隔している場合の製造方法として、例えば不活性ガス中において上記発光素子側基板20及びカラーフィルタ10の周縁部をシール剤27により封止する方法を挙げることができる。発光素子側基板20の形成方法としては、有機EL表示装置の製造に一般的に用いられる方法を使用することができる。
【0044】
4.第4態様
次に、本発明の表示装置の第4態様について説明する。図4は、本発明のカラーフィルタ10を搭載した表示装置30の第4の態様を示す概略断面図であり、上記の第1の発明の第2の具体例である。
本態様の表示装置は、カラーフィルタ10の構成及び発光素子側基板20の構成の点で第1態様と同じであり、赤色発光素子25aと青色発光素子25bとの積層体がカラーフィルタ10のマゼンタ着色層13aと対向し、緑色発光素子25cがカラーフィルタ10の緑色着色層13bと対向している点でも第1態様と同じである。
しかし、カラーフィルタ10上に直接形成された発光素子25を有する点で第1態様と異なる。ここで、発光素子25がカラーフィルタ10上に直接形成されたとは、発光素子25がカラーフィルタ10を支持体として形成されていることをいう。従って、カラーフィルタ10が支持体として用いられるのであれば、カラーフィルタ10と、発光素子25との間に他の部材を有するものであっても良い。図4においては、カラーフィルタ10のオーバーコート層15の上に透明電極層24が配設されている。
【0045】
5.第5態様
次に、本発明の表示装置の第5態様について説明する。図5は、本発明のカラーフィルタを搭載した表示装置の第5の態様を示す概略断面図であり、上記の第2の発明の第2の具体例である。
本態様の表示装置は、カラーフィルタ10の構成及び発光素子側基板20の構成の点で第2態様と同じであり、赤色発光素子25aと青色発光素子25bとの積層体がカラーフィルタ10のマゼンタ着色層13aと対向し、緑色発光素子25cがカラーフィルタ10の透明層14と対向している点でも第2態様と同じである。
しかし、カラーフィルタ10上に直接形成された発光素子25を有する点で第2態様と異なり、第4態様と同じである。
【0046】
6.第6態様
さらに、本発明の表示装置の第6態様について説明する。図6は、本発明のカラーフィルタ10を搭載した表示装置30の第6の態様を示す概略断面図であり、上記の第3の発明の第2の具体例である。
本態様の表示装置は、カラーフィルタ10の構成及び発光素子側基板20の構成の点で第3態様と同じであり、赤色発光素子25aと青色発光素子25bとの積層体がカラーフィルタ10の透明層14と対向し、緑色発光素子25cがカラーフィルタ10の緑色着色層13bと対向している点でも第3態様と同じである。
しかし、カラーフィルタ10上に直接形成された発光素子25を有する点で第3態様と異なり、第4態様と同じである。
【0047】
第4〜6態様の発光素子25の形成方法としては、発光素子25を密着性良く積層することができる方法であれば良く、一般的な有機EL表示装置等の表示装置の製造方法を用いることができる。具体的には、カラーフィルタ10を準備し、スパッタ法により、カラーフィルタ10のオーバーコート層15上に、透明電極層24を形成した後、パターン状に絶縁層26を形成する。その後、絶縁層26をマスクとして用い、真空蒸着法により発光層23、背面電極層22をこの順で積層し発光素子25を形成し、必要に応じ発光素子25を積層して表示装置30を製造する方法が例示される。
【0048】
7.第7態様
次に、本発明の表示装置の第7態様について説明する。図7は、本発明のカラーフィルタ10を搭載した表示装置30の第7の態様を示す概略断面図であり、上記の第1の発明の第3の具体例である。
本態様の表示装置は、発光素子側基板20の構成の点で第1態様及び第4態様と同じであり、赤色発光素子25aと青色発光素子25bとの積層体がカラーフィルタ10のマゼンタ着色層13aと対向し、緑色発光素子25cがカラーフィルタ10の緑色着色層13bと対向している点では第1態様及び第4態様と同じである。
しかし、カラーフィルタ10のオーバーコート層15が遮光部12側(第1態様及び第4態様とは反対側)に配設されている点で第1態様及び第4態様のいずれとも異なり、発光素子側基板20上に直接形成された着色層13を有する点で第1態様及び第4態様のいずれとも異なる。ここで、着色層13が発光素子側基板20上に直接形成されたとは、着色層13が発光素子側基板20を支持体として形成されているものをいうものである。従って、発光素子側基板20が支持体として用いられるのであれば、発光素子側基板20と着色層13との間に他の部材を有するものであっても良い。
【0049】
8.第8態様
次に、本発明の表示装置の第8態様について説明する。図8は、本発明のカラーフィルタを搭載した表示装置の第8の態様を示す概略断面図であり、上記の第2の発明の第3の具体例である。
本態様の表示装置は、発光素子側基板20の構成の点で第2態様及び第5態様と同じであり、赤色発光素子25aと青色発光素子25bとの積層体がカラーフィルタ10のマゼンタ着色層13aと対向し、緑色発光素子25cがカラーフィルタ10の透明層14と対向している点でも第2態様及び第5態様と同じである。
しかし、カラーフィルタ10のオーバーコート層15が遮光部12側(第2態様及び第5態様とは反対側)に配設されている点で第2態様及び第5態様とは異なり、発光素子側基板20上に直接形成されたマゼンタ着色層13a及び透明層14を有する点でも第2態様及び第5態様とは異なる。ここで、着色層13及び透明層14が発光素子側基板20上に直接形成されたとは、着色層13及び透明層14が発光素子側基板20を支持体として形成されていることをいう。従って、発光素子側基板20が支持体として用いられるのであれば、発光素子側基板20と着色層13及び透明層14との間に他の部材を有するものであっても良い。
【0050】
9.第9態様
さらに、本発明の表示装置の第9態様について説明する。図9は、本発明のカラーフィルタ10を搭載した表示装置30の第9の態様を示す概略断面図であり、上記の第3の発明の第3の具体例である。
本態様の表示装置は、発光素子側基板20の構成の点で第3態様及び第6態様と同じであり、赤色発光素子25aと青色発光素子25bとの積層体がカラーフィルタ10の透明層14と対向し、緑色発光素子25cがカラーフィルタ10の緑色着色層13bと対向している点でも第3態様及び第6態様と同じである。
しかし、カラーフィルタ10のオーバーコート層15が遮光部12側(第3態様及び第6態様とは反対側)に配設されている点で第3態様及び第6態様とは異なり、発光素子側基板20上に直接形成された緑色着色層13b及び透明層14を有する点でも第3態様及び第6態様とは異なる。ここで、着色層13及び透明層14が発光素子側基板20上に直接形成されたとは、第8態様で説明した通りである。
【0051】
第7〜9態様の表示装置30の製造方法は、例えば以下の方法により製造される。まず、一般的に用いられる方法により形成された発光素子側基板20上に、オーバーコート層15を形成する。次いで、遮光部形成用塗工液を塗布し、遮光部形成用層を形成した後、パターン状に露光し、開口部を備える遮光部12を形成する。次いで、着色層13又は透明層14を遮光部12と同様の形成方法により形成し表示装置30を製造する。
【0052】
本発明の表示装置30は、必要に応じて、カラーフィルタ10の表面と、発光素子25の透明電極層24又は絶縁層26との間に形成されるアンカー層を有するものであっても良い。このアンカー層は、カラーフィルタ10と、透明電極層24又は絶縁層26との密着性を向上するために設けられるものであり、特に、第4〜9態様において所望により用いられる。
【0053】
また、本発明の表示装置30は、必要に応じて、カラーフィルタ10と透明電極層24又は絶縁層26との間にバリア層が形成されていても良い。オーバーコート層15が形成されている場合、バリア層はオーバーコート層15と透明電極層24又は絶縁層26との間に形成される。このバリア層は、発光層23へ水蒸気や酸素が到達するのを遮断するために設けられるものである。本発明においては、上記アンカー層に替えてバリア層が形成されていても良く、上記アンカー層及びバリア層の両方が形成されていても良い。
【0054】
以下、本発明の表示装置30の各構成について詳細に説明する。
(1)発光素子側基板
本発明に用いられる発光素子側基板20は、基板21と、発光素子25とを少なくとも有するものであり、通常、絶縁層26を有するものである。
【0055】
(a)発光素子
本発明における発光素子25は、3色発光層を含むものであり、赤色発光層23aと青色発光層23bとがその順で又はその逆順で積層されているものである。従って、発光素子25が、赤色発光素子25aと青色発光素子25bとがその順で又はその逆順で積層されている積層体と、緑色発光層23cを有する緑色発光素子25cとで構成されることが好ましい。
通常、発光素子25は、発光層23とその発光層を挟持するように配置される背面電極層22及び透明電極層24とを含むものである。
発光素子としては、有機EL素子やLED素子が好ましい。
【0056】
(i)発光層
本発明に用いられる発光層23は、少なくとも3色発光層を有するものであるが、通常、複数層の有機層から構成されるものであり、正孔注入層や電子注入層といった電荷注入層や、発光層に正孔を輸送する正孔輸送層、発光層に電子を輸送する電子輸送層といった電荷輸送層を有するものとすることができる。
発光層としては、有機EL層やLED層が好ましい。
【0057】
a)3色発光層
本発明に用いられる3色発光層としては、具体的には、上記発光層に電圧が加えられた際に、少なくとも青色光(430nm〜470nm)、緑色光(470nm〜600nm)、及び赤色光(600nm〜700nm)の波長域の発光スペクトルを各々有するものであれば良い。
【0058】
上記3色発光層の形成方法としては、例えば蒸着法、印刷法、インクジェット法、又はスピンコート法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法、及び自己組織化法(交互吸着法、自己組織化単分子膜法)等を挙げることができる。特に、蒸着法、スピンコート法、及びインクジェット法を用いることが好ましい。
【0059】
b)正孔注入層
本発明においては、3色発光層と陽極(透明電極層又は背面電極層)との間に正孔注入層が形成されていても良い。正孔注入層を設けることにより、3色発光層への正孔の注入が安定化し、発光効率を高めることができるからである。
正孔注入層の膜厚は、通常5nm〜1μm程度である。
【0060】
本発明に用いられる正孔注入層の形成材料としては、一般的に発光素子の正孔注入層に使用されている材料を用いることができる。また、正孔注入層の形成材料は、正孔の注入性もしくは電子の障壁性のいずれかを有するものであれば良い。
【0061】
具体的に、正孔注入層の形成材料としては、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、ポリシラン系、アニリン系共重合体、及びチオフェンオリゴマー等の導電性高分子オリゴマー等を例示することができる。さらに、正孔注入層の形成材料としては、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、及びスチリルアミン化合物等を例示することができる。
【0062】
c)電子注入層
本発明においては、3色発光層と陰極(透明電極層又は背面電極層)との間に電子注入層が形成されていても良い。電子注入層を設けることにより、3色発光層への電子の注入が安定化し、発光効率を高めることができるからである。
電子注入層の膜厚は、通常5nm〜1μm程度である。
【0063】
本発明に用いられる電子注入層の形成材料としては、例えばニトロ置換フルオレン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体のオキサジアゾール環の酸素原子をイオウ原子に置換したチアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有したキノキサリン誘導体、トリス(8−キノリノール)アルミニウム等の8−キノリノール誘導体の金属錯体、フタロシアニン、金属フタロシアニン、並びにジスチリルピラジン誘導体等を例示することができる。
【0064】
(ii)背面電極層
本発明における背面電極層22は、発光層23と、基板21との間に配置されたものである。背面電極層22は、上記3色発光層を発光させるための他方の電極をなすものであり、透明電極層24と反対の電荷をもつ電極である。
【0065】
本発明に用いられる背面電極層22の形成材料としては、例えば仕事関数が4eV以下程度と小さい金属、合金、及びそれらの混合物等が挙げられる。具体的には、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、及び希土類金属等を例示することができる。より好ましくは、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、及びリチウム/アルミニウム混合物を挙げることができる。
【0066】
上記背面電極層22は、シート抵抗が数Ω/cm以下であることが好ましい。また、背面電極層22の膜厚は、通常10nm〜1μm程度である。
上記背面電極層22の形成方法としては、例えば蒸着法もしくはスパッタリング法等によって薄膜を形成した後に、フォトリソグラフィー法によりパターニングする方法が好ましく用いられる。
【0067】
(iii)透明電極層
本発明における透明電極層24は、背面電極層22との間に挟まれた発光層23に電圧をかけ、上記3色発光層で発光を起こさせるために設けられるものである。また、上記3色発光層で発生した光を、カラーフィルタ10側に透過させるものである。従って、発光層23と、カラーフィルタ10との間に配置されるものである。
【0068】
本発明に用いられる透明電極層24の形成材料としては、例えば透明性及び導電性を有する金属酸化物等が挙げられる。このような金属酸化物としては、例えば酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、及び酸化第二錫等が挙げられる。
【0069】
また、透明電極層24の膜厚は、通常100nm〜300nm程度である。
上記透明電極層24の形成方法としては、例えば蒸着法もしくはスパッタリング法等によって薄膜を形成した後に、フォトリソグラフィー法によりパターニングする方法が好ましく用いられる。
【0070】
(b)基板
本発明に用いられる基板21としては、発光素子25等を支持することができるものであれば良く、有機EL表示装置等の表示装置30に一般的に用いられるものを使用することができる。
なお、本発明においては、カラーフィルタ10側から光が取り出されるものであるため、基板21としては、透明であっても、不透明であっても良い。
【0071】
(c)絶縁層
本発明における絶縁層26は、背面電極層22と透明電極層24とが直接接触することを防ぐために形成されるものである。本発明においては、発光素子25の各々を区画するのみではなく、赤色発光素子25aと青色発光素子25bとを絶縁する層としても用いられる。
本発明に用いられる絶縁層26の形成材料としては、例えば感光性ポリイミド樹脂、アクリル系樹脂等の光硬化型樹脂、及び熱硬化型樹脂、並びに無機材料などを用いることができる。第1〜3態様のようにカラーフィルタ10と発光素子側基板20とが離隔している場合は、離隔している間の間隙層が絶縁層26の役割を果たしても良いし、離隔している間隙が絶縁層26で満たされていても良い。
また、発光素子25の各々を区画するための絶縁層26のパターンは、通常、線状であり、例えばマトリクス状又はストライプ状等の開口部を有するパターンが例示される。
絶縁層26の形成方法としては、上記材料を塗布して、フォトリソグラフィー法によりパターニングする方法が挙げられる。また、印刷法等を用いることもできる。
【0072】
(2)シール剤
本発明に必要に応じ用いられるシール剤27は、カラーフィルタ10及び発光素子側基板20の周縁部に形成され、発光素子25を封止するものである。
このようなシール剤27の構成材料としては、発光素子25を、大気中の水分等と接触することを抑制することができるものであれば良く、表示装置30に一般的に用いられるものを使用することができる。
【0073】
(3)アンカー層
本発明に所望により用いられるアンカー層の形成材料としては、例えば酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化酸化ケイ素等が挙げられる。
また、アンカー層の形成方法としては、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法、電子ビーム(EB)蒸着法や抵抗加熱法などの真空蒸着法、レーザーアブレーション法、化学気相成長(CVD)法等が挙げられる。これらの中でも、生産性の観点から、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法が好ましく用いられる。
上記アンカー層の膜厚は、通常2nm〜200nm程度であり、好ましくは5nm〜50nm程度である。
【0074】
(4)バリア層
本発明に所望により形成されるバリア層の形成材料は、水蒸気や酸素に対してバリア性を発現することができれば特に限定されるものではなく、例えば透明無機膜、透明樹脂膜、あるいは有機−無機ハイブリッド膜等が用いられる。中でも、バリア性が高い点から、透明無機膜が好ましい。
上記透明無機膜の形成材料としては、例えば酸化アルミニウム、酸化ケイ素、及び酸化マグネシウム等の酸化物;窒化ケイ素等の窒化物;窒化酸化ケイ素等の窒化酸化物;などが用いられる。特に、ピンホールや突起が生じにくくガスバリア性が高いことから、窒化酸化ケイ素が好適である。
【0075】
また、バリア層は、単層であっても良く、多層であっても良い。例えば、バリア層が複数の窒化酸化ケイ素膜が積層された多層である場合は、バリア性をさらに高めることができる。また、バリア層が多層である場合は、各層にそれぞれ異なる材料を用いても良い。
バリア層の膜厚としては、用いる透明基板やバリア層の形成材料の種類、あるいはバリア層が単層であるか多層であるかによって異なるものであり一概に規定できないが、通常、バリア層全体で5nm〜5μm程度である。バリア層の厚みが薄すぎるとバリア性が不十分となる可能性があり、またバリア層の厚みが厚すぎると薄膜の膜応力によるクラック等の現象が生じ易いからである。
【0076】
上記バリア層が透明無機膜である場合、この透明無機膜の形成方法としては、真空状態で形成できる膜の形成方法であれば特に限定されるものではなく、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法、電子ビーム(EB)蒸着法や抵抗加熱法等の真空蒸着法、原子層エピタキシ(ALE)法、レーザーアブレーション法、化学気相成長(CVD)法等が挙げられる。これらの中でも、生産性の観点から、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法が好ましく用いられる。
【実施例】
【0077】
本発明を実施例により、更に詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、外光反射、色特性、輝度、解像度及び工程削減効果は下記の方法に従って評価した。
【0078】
<外光反射>
目視により、以下の評価基準に基づき評価した。
◎:外光反射が大幅に低減し、非常に良好であった。
○:外光反射が低減し、良好であった。
△:反射光が気にならず、問題なかった。
×:反射光が気になり、問題があった。
【0079】
<色特性>
特開2008−107824号公報に記載されたカラーフィルター用色特性評価装置(顕微分光装置)を用い、以下の評価基準に基づき評価した。以下の値はカラーフィルタなしの素子(比較例2)のNTSC比の値を100%としたときの各NTSC比の割合とする。
◎:140%より大きい。
○:100%より大きく、140%以下である。
【0080】
<輝度>
トプコン社製輝度計のBM−8を用いて測定し、以下の評価基準に基づき評価した。以下の値はカラーフィルタなし、円偏光板なしの素子(比較例2)の輝度を100%としたときの輝度の割合とする。
○: 70%より大きい。
△: 50%より大きく、70%以下である。
×: 50%以下である。
【0081】
<解像度>
以下の評価基準に基づき評価した。以下の値は赤色発光層、青色発光層、及び緑色発光層の並列配列素子(比較例1〜3)の1画素の面積を100%としたときの1画素の面積の割合とする。
○: 70%以下である。
△: 70%より大きく、90%以下である。
×: 90%より大きい。
【0082】
<工程削減効果>
以下の評価基準に基づき評価した。
◎ :カラーフィルタ作製工程がない。
○:カラーフィルタ作製工程があるが、カラーフィルタの着色層製造工程が3工程から2工程又は1工程になり、1乃至2工程削減できた。円偏光板の貼り付け工程はない。
×:カラーフィルタ作製工程がある。カラーフィルタの着色層製造工程が3工程であり、工程削減できていない。
【0083】
実施例1
0.7mmのガラス基板(旭硝子株式会社製 AN材)上にカーボンブラック含有ポリメチルメタクリレート樹脂からなる遮光部(厚さ1.0μm)をフォトリソグラフィー法により形成し、マゼンタ着色層を構成する画素(厚さ2.0μm)と緑色着色層を構成する画素(厚さ2.0μm)とを1:1の画素数の比率で配列し、更に図1に示すようにポリメチルメタクリレートからなる光硬化型樹脂をスピンコート法により塗布してオーバーコート層(厚さ1.5μm)を形成してカラーフィルタを作製した。このカラーフィルタを用い、マゼンタ着色層が赤色発光層及び青色発光層を有する赤色発光素子と青色発光素子との積層体に対向し、緑色着色層が緑色発光層を有する緑色発光素子に対向するように、円偏光板を用いず有機EL表示装置を図1に示すように構成した。
なお、各着色層に用いる着色組成物の配合組成を第1表に示す。
【0084】
実施例2
実施例1における緑色着色層を透明層に変更した以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。なお、透明層はカラーフィルタの開口部に透明個所として設けられた。このカラーフィルタを用い、マゼンタ着色層が赤色発光層及び青色発光層を有する赤色発光素子と青色発光素子との積層体に対向し、透明層が緑色発光層を有する緑色発光素子に対向するように、円偏光板を用いず有機EL表示装置を図2に示すように構成した。
なお、マゼンタ着色層に用いる着色組成物の配合組成を第1表に示す。
【0085】
実施例3
実施例1におけるマゼンタ着色層を透明層に変更した以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。なお、透明層は実施例2と同様にカラーフィルタの開口部に透明個所として設けられた。このカラーフィルタを用い、透明層が赤色発光層及び青色発光層を有する赤色発光素子と青色発光素子との積層体に対向し、緑色着色層が緑色発光層を有する緑色発光素子に対向するように、円偏光板を用いず有機EL表示装置を図3に示すように構成した。
なお、緑色着色層に用いる着色組成物の配合組成を第1表に示す。
【0086】
比較例1
0.7mmのガラス基板(旭硝子株式会社製 AN材)上にカーボンブラック含有ポリメチルメタクリレート樹脂からなる遮光部(厚さ1.0μm)をフォトリソグラフィー法により形成し、赤色着色層を構成する画素(厚さ2.0μm)、青色着色層を構成する画素(厚さ2.0μm)及び緑色着色層を構成する画素(厚さ2.0μm)とマゼンタ着色層を構成する画素(厚さ2.0μm)とを1:1:1の画素数の比率で配列し、さらに図10に示すようにポリメチルメタクリレートからなる光硬化型樹脂をスピンコート法により塗布してオーバーコート層(厚さ1.5μm)を形成してカラーフィルタを作製した。このカラーフィルタを用い、赤色着色層が赤色発光層を有する赤色発光素子に対向し、青色着色層が青色発光層を有する青色発光素子に対向し、緑色着色層が緑色発光層を有する緑色発光素子に対向するように、円偏光板を用いず有機EL表示装置を構成した。
なお、各着色層に用いる着色組成物の配合組成を第1表に示す。
比較例2
カラーフィルタと円偏光板のいずれも用いず有機EL表示装置を構成した。
比較例3
カラーフィルタを用いず、円偏光板を用いて有機EL表示装置を構成した。
なお、円偏光板としては、直線偏光板及びフィルム基板(1/4波長板)からなる特許文献1記載のものを用いた。
【0087】
実施例1〜3及び比較例1〜3の有機EL表示装置の外光反射、色特性、輝度、解像度及び工程削減効果を上記評価基準に基づき評価した。結果を第2表に示す。
【0088】
【表1】

【0089】
(注)
1) 緑色顔料: Fastogen Green 2YK,MY(DIC株式会社製)
2) マゼンタ顔料: Hostaperm Red EB transp,Pigment Red 122(Clariant社製)
3) 青色顔料: C.I.ピグメントブルー15:6(商品名:Chromofine Blue5201A、大日精化工業株式会社製)
4) 黄色顔料: パリオトールイエローD1819(BASF社製)
5) 赤色顔料: クロモフタルレッドA2B(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
6) 分散剤: Disperbyk 111(ビックケミー・ジャパン株式会社製)
7) モノマー: ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(商品名:SR399、サートマー社製)
8) ポリマー: 下記共重合樹脂溶液(固形分50%)
9) 重合開始剤: 2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名:イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
10) 溶剤: 3−メトキシブチルアセテート(ダイセル化学工業株式会社製)

共重合樹脂溶液(固形分50%)の組成
・メチルメタクリレート(MMA)(株式会社クラレ製): 63質量部
・アクリル酸(AA)(株式会社日本触媒製): 12質量部
・2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)(株式会社日本触媒製): 6質量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)(純正化学株式会社製): 88質量部
・2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名:ABN−R、株式会社日本ファインケム社製): 7質量部
・グリシジルメタクリレート(GMA)(日油株式会社製): 7質量部
・トリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製): 0.4質量部
・ハイドロキノン(精工化学株式会社製): 0.2質量部
【0090】
【表2】

【0091】
実施例4〜6及び比較例2〜4
実施例1と同様にカラーフィルタを作製し、図4に示すようにカラーフィルタ及び発光素子側基板を配置して実施例4の有機EL表示装置を作製した。次に実施例2と同様にカラーフィルタを作製し、図5に示すようにカラーフィルタ及び発光素子側基板を配置して実施例5の有機EL表示装置を作製した。さらに実施例3と同様にカラーフィルタを作製し、図6に示すようにカラーフィルタ及び発光素子側基板を配置して実施例6の有機EL表示装置を作製した。
また、比較例1と同様にカラーフィルタを作製し、図11に示すようにカラーフィルタ及び発光素子側基板を配置して比較例4の有機EL表示装置を作製した。
これら実施例4〜6及び比較例2〜4の有機EL表示装置の外光反射、色特性、輝度、解像度及び工程削減効果を上記評価基準に基づき評価したところ、実施例4〜6の有機EL表示装置は、比較例2〜4対比、実施例1〜3と同様に良好であった。
【0092】
実施例7〜9及び比較例2、3、5
実施例1と同様にカラーフィルタを作製し、図7に示すようにカラーフィルタ及び発光素子側基板を配置して実施例7の有機EL表示装置を作製した。次に実施例2と同様にカラーフィルタを作製し、図8に示すようにカラーフィルタ及び発光素子側基板を配置して実施例8の有機EL表示装置を作製した。さらに実施例3と同様にカラーフィルタを作製し、図9に示すようにカラーフィルタ及び発光素子側基板を配置して実施例9の有機EL表示装置を作製した。
また、比較例1と同様にカラーフィルタを作製し、図12に示すようにカラーフィルタ及び発光素子側基板を配置して比較例5の有機EL表示装置を作製した。
これら実施例7〜9及び比較例2、3、5の有機EL表示装置の外光反射、色特性、輝度、解像度及び工程削減効果を上記評価基準に基づき評価したところ、実施例7〜9の有機EL表示装置は、比較例2、3、5対比、実施例1〜3と同様に良好であった。
【0093】
実施例1〜9から明らかなように、本発明のカラーフィルタを用いることにより表示装置の製造工程の削減が可能となった。また、外光反射を低減でき、色特性、解像度や輝度も良好で視認性に優れる有機EL表示装置を提供することができた。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明のカラーフィルタは、携帯電話等の携帯情報端末機器、カーオーディオ、テレビ用モニターやパーソナル・コンピュータ用の有機EL表示装置、LED表示装置等の表示装置に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0095】
10 カラーフィルタ
11 透明基板
12 遮光部
13 着色層
13a マゼンタ着色層
13b 緑色着色層
13c 赤色着色層
13d 青色着色層
14 透明層
15 オーバーコート層
16 薄膜トランジスタアレイ基板
20 発光素子側基板
21 基板
22 背面電極層
23 発光層
23a 赤色発光層
23b 青色発光層
23c 緑色発光層
24 透明電極層
25 発光素子
25a 赤色発光素子
25b 青色発光素子
25c 緑色発光素子
26 絶縁層
27 シール剤
30 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マゼンタ及び緑色の2色の着色層からなり、該2色の着色層の画素数の比率{(マゼンタ着色層):(緑色着色層)}が(60:40)〜(40:60)であることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項2】
マゼンタ又は緑色の1色の着色層と開口部に配置される透明層とを具え、該2層の画素数の比率{(着色層):(透明層)}が(60:40)〜(40:60)であることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のカラーフィルタを具え、該カラーフィルタのマゼンタ着色層に対向する部位に赤色発光層及び青色発光層が積層され、かつ緑色着色層又は透明層に対向する部位に緑色発光層が形成されてなる表示装置。
【請求項4】
請求項2に記載のカラーフィルタを具え、該カラーフィルタの透明層に対向する部位に赤色発光層及び青色発光層が積層され、かつ緑色着色層に対向する部位に緑色発光層が形成されてなる表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−3207(P2012−3207A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140928(P2010−140928)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】