説明

カラーフィルタ基板の製造方法、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、電子機器

【課題】 均一な膜厚の画素パターンを形成することが可能な電気光学装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の電気光学装置の製造方法は、画素毎に電気光学素子が機能する機能領域2aと、該機能領域2aの周辺に形成される非機能領域2bとを有する電気光学装置の製造方法であって、基板上に、電気光学素子を構成する機能材料を溶媒に溶解ないし分散させた液状体を液滴吐出法にて吐出する吐出工程を含み、該吐出工程において、前記非機能領域2bに吐出される単位面積当りの溶媒の量を、前記機能領域2aに吐出される単位面積当りの溶媒の量よりも多くすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ基板の製造方法、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、有機蛍光材料等の機能材料をインク化し、該インク(組成物)を基材上に吐出する液滴吐出法により、機能材料のパターニングを行う方法を採用して、一対の電極間に該機能材料からなる機能層が挟持された構成の電気光学装置、特に機能材料として有機発光材料を用いた有機EL(エレクトロルミネッセンス)装置の開発が行われている。
【0003】
上述した機能材料のパターニング法として、基材上に形成したITO等からなる画素電極の周囲に隔壁部を形成するとともに、次に画素電極及びこの画素電極に隣接する前記隔壁部の一部を親液性に処理するとともに隔壁部の残りの部分を撥液性に処理し、次に機能層の構成材料を含むインクを画素電極に吐出して乾燥することにより、画素電極上に機能層を形成する方法が採用されている。具体的には、複数のノズルが副走査方向に沿って配列されてなるノズル列を有する液滴吐出ヘッドを用い、この液滴吐出ヘッドを基板に対して主走査方向に走査しつつ、前記ノズルからインクを吐出することにより、画素電極上に機能層を形成する方法が知られている。このように方法は、マイクロオーダーの液滴を画素領域に配することが可能なため、材料の利用効率を考えると、スピンコートなどの方法に比べて有効である。
【0004】
しかしながら、画素領域で構成される表示領域のうち周辺部では、基体から蒸発する溶媒分子の分圧が該表示領域の中央部よりも少なくなる場合がある。このような現象が生じると、周辺部において溶媒の蒸発速度が極端に速くなり、その結果、製造される電気光学装置において機能層の膜厚むらが生じる惧れがある。このような膜厚むらが生じた電気光学装置は、その電気光学特性が低下し、これを表示装置等として用いた場合には、表示むらを生じることもある。そこで、これを解決するために、例えば特許文献1のような技術が開示されている。
【特許文献1】特開2002−252083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示された技術は、周辺部のさらに外側に表示に寄与しないダミー領域を形成し、該ダミー領域にも機能層と同一のインクを塗布することで、表示領域の中央部と周辺部とにおいて機能層の膜厚むらが生じることを防止ないし抑制している。しかしながら、ダミー領域を形成して、これにインクを表示領域と同様に塗布するのみでは、十分な膜厚むらの解消には至らない場合がある。つまり、ダミー領域にインクを塗布するとしても、表示領域の周辺部において、中央部よりも溶媒の乾燥が速くなる場合があり、これにより膜厚むらの発生を十分に回避できない場合もある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、基板面内で均一な膜厚の着色パターンを形成することが可能なカラーフィルタ基板の製造方法と、均一な膜厚の画素パターンを形成することが可能な電気光学装置の製造方法とを提供することを目的としている。また、本発明は、このような製造方法を用いて製造された電気光学装置と、これを備える電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明のカラーフィルタ基板の製造方法は、複数の着色層を含み、所定の色光を選択的に透過しカラーフィルタとして機能する機能領域と、該機能領域以外の非機能領域とを有するカラーフィルタ基板の製造方法であって、基板上に、前記着色層を構成する着色材料を溶媒に溶解ないし分散させた液状体を液滴吐出法にて吐出する吐出工程を含み、該吐出工程において、前記機能領域には前記液状体を吐出し、前記非機能領域には前記液状体又は前記溶媒を吐出するものとしており、前記非機能領域に吐出される単位面積当りの溶媒の量を、前記機能領域に吐出される単位面積当りの溶媒の量よりも多くすることを特徴とする。
【0008】
このようなカラーフィルタ基板の製造方法によると、非機能領域に吐出される単位面積当りの溶媒の量を機能領域に吐出される該容量よりも多くしているため、吐出を行った後、溶媒の乾燥を行う場合において、機能領域における蒸発溶媒分子の分圧が、非機能領域における蒸発溶媒分子の分圧に比して過剰に大きくなることはなく、非機能領域における溶媒の蒸発速度を機能領域における溶媒の蒸発速度に近づけることができるようになる。従って、機能領域のうちの周辺部における溶媒の蒸発速度が、中央部での蒸発速度に近づくこととなり、該周辺部と中央部とにおいて一層均一で等しい膜厚の着色層を形成できるようになる。そして、この場合、機能領域全域において、特に中央部又は周辺部に拘らず、色むらの少ない信頼性に優れたカラーフィルタ基板を提供することができるようになる。
【0009】
次に、上記課題を解決するために、本発明の電気光学装置の製造方法は、画素毎に電気光学素子が機能する機能領域と、該機能領域の周辺に形成される非機能領域とを有する電気光学装置の製造方法であって、基板上に、前記電気光学素子を構成する機能材料を溶媒に溶解ないし分散させた液状体を液滴吐出法にて吐出する吐出工程を含み、該吐出工程において、前記機能領域には前記液状体を吐出し、前記非機能領域には前記液状体又は前記溶媒を吐出するものとしており、前記非機能領域に吐出される単位面積当りの溶媒の量を、前記機能領域に吐出される単位面積当りの溶媒の量よりも多くすることを特徴とする。
【0010】
このような電気光学装置の製造方法によると、非機能領域に吐出される単位面積当りの溶媒の量を機能領域に吐出される該容量よりも多くしているため、吐出を行った後、溶媒の乾燥を行う場合において、機能領域における蒸発溶媒分子の分圧が、非機能領域における蒸発溶媒分子の分圧に比して過剰に大きくなることはなく、非機能領域における溶媒の蒸発速度を機能領域における溶媒の蒸発速度に近づけることができるようになる。従って、機能領域のうちの周辺部における溶媒の蒸発速度が、中央部での蒸発速度に近づくこととなり、該周辺部と中央部とにおいて一層均一な膜厚の電気光学素子を構成する層(電気光学素子層)からなる画素パターンを形成できるようになる。そして、この場合、機能領域全域において、特に中央部又は周辺部に拘らず、素子特性にむらの少ない信頼性に優れた電気光学装置を提供することができるようになる。
【0011】
上記電気光学装置の製造方法は、前記吐出工程に先立って、前記基板上の前記機能領域及び前記非機能領域に対し、液状体及び/又は溶媒が吐出される液受容領域をそれぞれ同じパターンにて形成する(つまり各領域で同じ形状、同じ面積のものを等間隔で形成する)工程を含むものとすることができ、この場合、前記吐出工程においては、前記非機能領域の液受容領域に対して吐出される溶媒の量を、前記機能領域の液受容領域に対して吐出される溶媒の量よりも多くすることが好ましい。このようにすることで、非機能領域における単位面積当りの溶媒の吐出容量を、機能領域における単位面積当りの溶媒の吐出容量よりも多くすることができるようになり、本発明の効果を好適に実現できるようになる。
【0012】
一方、前記吐出工程に先立って、前記基板上の前記機能領域及び前記非機能領域に対し、液状体及び/又は溶媒が吐出される液受容領域を形成する工程を含むものとすることができ、この場合、該液受容領域の形成工程において、前記機能領域における液受容領域の面積を、前記非機能領域における液受容領域の面積よりも大きく形成することが好ましい。このように非機能領域における液受容領域の面積を大きくすることで、該非機能領域に吐出される単位面積当りの溶媒の量を、機能領域におけるものよりも好適に多くすることができるようになる。
【0013】
或いは、前記吐出工程に先立って、前記基板上の前記機能領域及び前記非機能領域に対し、液状体及び/又は溶媒が吐出される液受容領域を形成する工程を含み、さらに、前記機能領域を平面視長方形状として、該機能領域の長辺方向と短辺方向において前記非機能領域における前記液受容領域の密度を異なるものとし、前記非機能領域における液受容領域の密度が大きい方に対して吐出される単位面積当りの溶媒の量を、前記非機能領域における液受容領域の密度が小さい方に対して吐出される単位面積当りの溶媒の量よりも多くすることができる。液受容領域の密度が大きいと、隣接する液受容領域同士が干渉しやすいため、該密度の大きい方に対して吐出する溶媒の量を大きくすることが好ましい。
【0014】
また、前記機能領域が平面視長方形状である場合に、その機能領域の短辺方向に沿って形成される第1非機能領域と、機能領域の長辺方向に沿って形成される第2非機能領域とに関し、前記吐出工程において、前記第1非機能領域に吐出される単位面積当りの溶媒の量を、前記第2非機能領域に吐出される単位面積当りの溶媒の量よりも多くすることができる。つまり、第1非機能領域と第2非機能領域のうち、機能領域の中心部から遠い第1非機能領域において相対的に溶媒の量を多くすることで、該機能領域の中心部での溶媒蒸発速度と、非機能領域での溶媒蒸発速度とをより近づけることができるようになり、平面視長方形状に形成された機能領域における電気光学素子層の膜厚を均一化する上で好ましい。
【0015】
また、前記吐出工程に先立って、前記基板上の前記機能領域及び前記非機能領域に対し、液状体及び/又は溶媒が吐出される液受容領域を形成する工程を含む場合、該液受容領域の形成工程において、前記非機能領域の液受容領域を前記機能領域に沿って帯状に形成することが好ましい。このように非機能領域の液受容領域を機能領域に沿って帯状に形成し、該液受容領域に溶媒を吐出するものとすれば、高効率で非機能領域での溶媒の量(単位面積当りの溶媒の量)を増やすことができるようになる。
【0016】
次に、本発明の電気光学装置は上記方法により製造されたことを特徴とする。このような電気光学装置は、電気光学素子層の膜厚が均一な画素パターンにて構成されるため、信頼性の高いものとなり、特にこれを表示装置として用いた場合には、表示むらの少ない視認性に優れた表示装置となる。また、本発明の電子機器は、上記電気光学装置を備えたもので、これを表示部として具備させたものとすることができる。この場合、当該電子機器は信頼性が高く、視認性に優れた表示部を備えたものとなる。
【0017】
なお、本発明の電気光学装置として好適には有機エレクトロルミネッセンス装置(以下、エレクトロルミネッセンスをELとも言う)を例示することができる。このような有機EL装置においては、表示に寄与する領域を機能領域とし、表示に寄与しない領域を非機能領域とすることができる。そして、該有機EL装置の製造方法としては、例えば基板上の機能領域及び非機能領域に液受容領域を形成するための隔壁部を形成する工程と、該隔壁部に囲まれた液受容領域に有機EL素子(電気光学素子)形成用組成物からなる液状体を吐出する工程とを含むものとすることができる。
【0018】
なお、有機EL素子形成用組成物としては、例えば発光層ないし正孔注入/輸送層等の機能層形成材料、詳しくは機能層形成有機材料を所定の溶媒に分散又は溶解したものを用いることができる。また、液状体の吐出は、例えば液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置にて行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、本発明の電気光学装置の第1実施形態たる有機EL表示装置について、及び有機EL表示装置の製造方法について説明する。
図1は、本実施形態の有機EL表示装置の配線構造を示す説明図であって、図2は、本実施形態の有機EL表示装置の平面模式図(a)及び断面模式図(b)である。
図1に示すように、本実施形態の有機EL表示装置1は、複数の走査線101と、走査線101に対して交差する方向に延びる複数の信号線102と、信号線102に並列に延びる複数の電源線103とがそれぞれ配線された構成を有するとともに、走査線101及び信号線102の各交点付近に、画素領域Aが設けられている。
【0020】
信号線102には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン及びアナログスイッチを備えるデータ側駆動回路104が接続されている。また、走査線101には、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査側駆動回路105が接続されている。
さらに、画素領域Aの各々には、走査線101を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用の薄膜トランジスタ112と、このスイッチング用の薄膜トランジスタ112を介して信号線102から供給される画素信号を保持する保持容量capと、該保持容量capによって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用の薄膜トランジスタ113と、この駆動用薄膜トランジスタ113を介して電源線103に電気的に接続したときに当該電源線103から駆動電流が流れ込む画素電極(電極)111と、この画素電極111と陰極(対向電極(電極))12との間に挟み込まれた機能層110とが設けられている。なお、電極111と対向電極12と機能層110により、発光素子が構成されている。
【0021】
係る構成によれば、走査線101が駆動されてスイッチング用の薄膜トランジスタ112がオンになると、そのときの信号線102の電位が保持容量capに保持され、該保持容量capの状態に応じて、駆動用の薄膜トランジスタ113のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用の薄膜トランジスタ113のチャネルを介して、電源線103から画素電極111に電流が流れ、さらに機能層110を介して陰極12に電流が流れる。機能層110は、これを流れる電流量に応じて発光する。
【0022】
次に図2(a)及び図2(b)に示すように、本実施形態の表示装置1は、ガラス等からなる透明な基体2と、マトリックス状に配置された発光素子と、封止基板604を具備している。基体2上に形成された発光素子は、画素電極111と、機能層110と、陰極12により形成されている。
基体2は、例えばガラス等の透明基板であり、基体2の中央に位置する表示領域2aと、基体2の周縁に位置して表示領域2aの外側に配置された非表示領域2bとに区画されている。
表示領域2aは、マトリックス状に配置された発光素子によって形成される領域であり、有効表示領域若しくは機能領域とも言う。また、非表示領域2bは、表示領域2aに隣接して形成され、表示に寄与しないダミー領域(非機能領域)として構成されている。
【0023】
また、図2(b)に示すように、基体2の厚さ方向において、発光素子及び隔壁部からなる発光素子部11と基体2との間には回路素子部14が備えられ、この回路素子部14に前述の走査線、信号線、保持容量、スイッチング用の薄膜トランジスタ、駆動用の薄膜トランジスタ113等が備えられている。
また、陰極12は、その一端が基体2上に形成された陰極用配線(図示略)に接続しており、この配線の一端部12aがフレキシブル基板5上の配線5aに接続されている。また、配線5aは、フレキシブル基板5上に備えられた駆動IC6(駆動回路)に接続されている。
【0024】
また、図2(a)及び図2(b)に示すように、回路素子部14の非表示領域2bには、前述の電源線103(103R、103G、103B)が配線されている。
また、図2(a)に示した表示領域2aの図示両横側には、前述の走査側駆動回路105、105が配置されている。この走査側駆動回路105、105はダミー領域2bの下側の回路素子部14内に設けられている。さらに回路素子部14内には、走査側駆動回路105、105に接続される駆動回路用制御信号配線105aと駆動回路用電源配線105bとが設けられている。
さらに図2(a)に示した表示領域2aの図示上側には検査回路106が配置されている。この検査回路106により、製造途中や出荷時の表示装置の品質、欠陥の検査を行うことができる。
【0025】
また図2(b)に示すように、発光素子部11上には封止部3が備えられている。この封止部3は、基体2に塗布された封止樹脂603と、缶封止基板604とから構成されている。封止樹脂603は、熱硬化樹脂あるいは紫外線硬化樹脂等からなり、特に、熱硬化樹脂の1種であるエポキシ樹脂よりなることが好ましい。
この封止樹脂603は、基体2の周囲に環状に塗布されており、例えば、マイクロディスペンサ等により塗布されたものである。この封止樹脂603は、基体2と缶封止基板604を接合するもので、基体2と缶封止基板604の間から缶封止基板604内部への水又は酸素の侵入を防いで、陰極12または発光素子部11内に形成された発光層の酸化を防止する。
缶封止基板604は、ガラス又は金属からなるもので、封止樹脂603を介して基体2に接合されており、その内側には表示素子10を収納する凹部604aが設けられている。また凹部604aには水、酸素等を吸収するゲッター剤605が貼り付けられており、缶封止基板604の内部に侵入した水又は酸素を吸収できるようになっている。なお、このゲッター剤605は省略しても良い。
【0026】
次に図3には、表示装置における表示領域の断面構造を拡大した図を示す。この図3には3つの画素領域Aが図示されている。この表示装置1は、基体2上に、TFTなどの回路等が形成された回路素子部14と、機能層110が形成された発光素子部11とが順次積層されて構成されている。
表示装置1においては、機能層110から基体2側に発した光が、回路素子部14及び基体2を透過して基体2の下側(観測者側)に出射されるとともに、機能層110から基体2の反対側に発した光が陰極12により反射されて、回路素子部14及び基体2を透過して基体2の下側(観測者側)に出射されるようになっている。
なお、陰極12として、透明な材料を用いることにより陰極側から発光する光を出射させることができる。透明な材料としては、ITO、Pt、Ir、Ni、もしくはPdを用いる事ができる。膜厚としては75nmほどの膜厚にする事が好ましく、この膜厚よりも薄くした方がより好ましい。
【0027】
回路素子部14には、基体2上にシリコン酸化膜からなる下地保護膜2cが形成され、この下地保護膜2c上に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜141が形成されている。なお、半導体膜141には、ソース領域141a及びドレイン領域141bが高濃度Pイオン打ち込みにより形成されており、Pが導入されなかった部分がチャネル領域141cとなっている。さらに回路素子部14には、下地保護膜2c及び半導体膜141を覆う透明なゲート絶縁膜142が形成され、ゲート絶縁膜142上にはAl、Mo、Ta、Ti、W等からなるゲート電極143(走査線101)が形成され、ゲート電極143及びゲート絶縁膜142上には透明な第1層間絶縁膜144aと第2層間絶縁膜144bが形成されている。ゲート電極143は半導体膜141のチャネル領域141cに対応する位置に設けられている。
【0028】
また、第1、第2層間絶縁膜144a、144bを貫通して、半導体膜141のソース、ドレイン領域141a、141bにそれぞれ接続されるコンタクトホール145,146が形成されている。そして、第2層間絶縁膜144b上には、ITO等からなる透明な画素電極111が所定の形状にパターニングされて形成され、一方のコンタクトホール145がこの画素電極111に接続されている。また、もう一方のコンタクトホール146が電源線103に接続されている。このようにして、回路素子部14には、各画素電極111に接続された駆動用の薄膜トランジスタ113が形成されている。なお、回路素子部14には、前述した保持容量cap及びスイッチング用の薄膜トランジスタ112も形成されているが、図3ではこれらの図示を省略している。
【0029】
次に図3に示すように、発光素子部11は、複数の画素電極111…上の各々に積層された機能層110と、各画素電極111及び機能層110の間に備えられて各機能層110を区画する隔壁部122と、機能層110上に形成された陰極12とを主体として構成されている。これら画素電極(第1電極)111、機能層110及び陰極12(対向電極(電極))によって発光素子が構成されている。ここで、画素電極111は、例えばITOにより形成されてなり、平面視略矩形にパターニングされて形成されている。この画素電極111の厚さは、50〜200nmの範囲が好ましく、特に150nm程度がよい。この各画素電極111…の間に隔壁部112が備えられている。
【0030】
隔壁部122は、図3に示すように、基体2側に位置する無機物隔壁層(第1隔壁層)112aと、基体2から離れて位置する有機物隔壁層(第2隔壁層)112bとが積層されて構成されている。
【0031】
無機物隔壁層、有機物隔壁層(112a、112b)は、画素電極111の周縁部上を乗り上げるように形成されている。平面的には、画素電極111の周囲と無機物隔壁層112aとが平面的に重なるように配置された構造となっている。また、有機物隔壁層112bも同様であり、画素電極111の一部と平面的に重なるように配置されている。また無機物隔壁層112aは、有機物隔壁層112bよりも画素電極111の中央側にさらに形成されている。このようにして、無機物隔壁層112aの各第1積層部112eが画素電極111の内側に形成されることにより、画素電極111の形成位置に対応する下部開口部112cが設けられている。
また、有機物隔壁層112bには、上部開口部112dが形成されている。この上部開口部112dは、画素電極111の形成位置及び下部開口部112cに対応するように設けられている。上部開口部112dは、図3に示すように、下部開口部112cより広く、画素電極111より狭く形成されている。また、上部開口部112dの上部の位置と、画素電極111の端部とがほぼ同じ位置になるように形成される場合もある。この場合は、図3に示すように、有機物隔壁層112bの上部開口部112dの断面が傾斜する形状となる。
そして隔壁部122には、下部開口部112c及び上部開口部112dが連通することにより、無機物隔壁層112a及び有機物隔壁層112bを貫通する開口部112gが形成されている。
【0032】
また、無機物隔壁層112aは、例えば、SiO、TiO等の無機材料からなることが好ましい。この無機物隔壁層112aの膜厚は、50nm〜200nmの範囲が好ましく、特に150nmがよい。膜厚が50nm未満では、無機物隔壁層112aが後述する正孔注入/輸送層より薄くなり、正孔注入/輸送層の平坦性を確保できなくなる場合があり好ましくない。また膜厚が200nmを越えると、下部開口部112cによる段差が大きくなって、正孔注入/輸送層上に積層する後述の発光層の平坦性を確保できなくなる場合があり好ましくない。
【0033】
さらに、有機物隔壁層112bは、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶媒性のある材料から形成されている。この有機物隔壁層112bの厚さは、0.1μm〜3.5μmの範囲が好ましく、特に2μm程度がよい。厚さが0.1μm未満では、後述する正孔注入/輸送層及び発光層の合計厚より有機物隔壁層112bが薄くなり、発光層が上部開口部112dから溢れる惧れがあるので好ましくない。また、厚さが3.5μmを越えると、上部開口部112dによる段差が大きくなり、有機物隔壁層112b上に形成する陰極12のステップカバレッジを確保できなくなる場合があるので好ましくない。また、有機物隔壁層112bの厚さを2μm以上にすれば、駆動用の薄膜トランジスタ113との絶縁を高めることができる点でより好ましい。
【0034】
また、隔壁部122には、親液性を示す領域と、撥液性を示す領域が形成されている。親液性を示す領域は、無機物隔壁層112aの第1積層部112e及び画素電極111の電極面111aであり、これらの領域は、酸素を処理ガスとするプラズマ処理によって親液性に表面処理されている。また、撥液性を示す領域は、上部開口部112dの壁面及び有機物隔壁層112bの上面112fであり、これらの領域は、4フッ化メタン、テトラフルオロメタン、もしくは四フッ化炭素を処理ガスとするプラズマ処理によって表面がフッ化処理(撥液性に処理)されている。なお、有機物隔壁層は、フッ素ポリマーを含有する材料により形成しても良い。
【0035】
次に図3に示すように、機能層110は、画素電極111上に積層された正孔注入/輸送層110aと、正孔注入/輸送層110a上に隣接して形成された発光層110bとから構成されている。なお、発光層110bに隣接して電子注入輸送層などの機能を有する他の機能層をさらに形成しても良い。正孔注入/輸送層110aは、正孔を発光層110bに注入する機能を有するとともに、正孔を正孔注入/輸送層110a内部において輸送する機能を有する。このような正孔注入/輸送層110aを画素電極111と発光層110bの間に設けることにより、発光層110bの発光効率、寿命等の素子特性が向上する。また、発光層110bでは、正孔注入/輸送層110aから注入された正孔と、陰極12から注入される電子が発光層で再結合し、発光が得られる。
【0036】
正孔注入/輸送層110aは、下部開口部112c内に位置して画素電極面111a上に形成される平坦部110a1と、上部開口部112d内に位置して無機物隔壁層の第1積層部112e上に形成される周縁部110a2から構成されている。また、正孔注入/輸送層110aは、構造によっては、画素電極111上であって、且つ無機物隔壁層110aの間(下部開口部110c)にのみ形成されている(前述に記載した平坦部にのみ形成される形態もある)。この平坦部110a1は、その厚さが一定で例えば50〜70nmの範囲に形成される。
【0037】
周縁部110a2が形成される場合においては、周縁部110a2は、第1積層部112e上に位置するとともに上部開口部112dの壁面、即ち有機物隔壁層112bに密着している。また、周縁部110a2の厚さは、電極面111aに近い側で薄く、電極面111aから離れる方向に沿って増大し、下部開口部112dの壁面近くで最も厚くなっている。周縁部110a2が上記の様な形状を示す理由としては、正孔注入/輸送層110aが、正孔注入/輸送層形成材料及び極性溶媒を含む第1組成物を開口部112内に吐出してから極性溶媒を除去して形成されたものであり、極性溶媒の揮発が主に無機物隔壁層の第1積層部112e上で起こり、正孔注入/輸送層形成材料がこの第1積層部112e上に集中的に濃縮・析出されたためである。
【0038】
また発光層110bは、正孔注入/輸送層110aの平坦部110a1及び周縁部110a2上に渡って形成されており、平坦部112a1上での厚さが50nm〜80nmの範囲とされている。発光層110bは、赤色(R)に発光する赤色発光層110b1、緑色(G)に発光する緑色発光層110b2、及び青色(B)に発光する青色発光層110b3、の3種類を有し、各発光層110b1〜110b3がストライプ配置されている。
【0039】
上記のように、正孔注入/輸送層110aの周縁部110a2が上部開口部112dの壁面(有機物隔壁層112b)に密着しているので、発光層110bが有機物隔壁層112bに直接に接することがない。従って、有機物隔壁層112bに不純物として含まれる水が発光層110b側に移行するのを、周縁部110a2によって阻止することができ、水による発光層110bの酸化を防止できる。また、無機物隔壁層の第1積層部112e上に不均一な厚さの周縁部110a2が形成されるため、周縁部110a2が第1積層部112eによって画素電極111から絶縁された状態となり、周縁部110a2から発光層110bに正孔が注入されることがない。これにより、画素電極111からの電流が平坦部112a1のみに流れ、正孔を平坦部112a1から発光層110bに均一に輸送させることができ、発光層110bの中央部分のみを発光させることができるとともに、発光層110bにおける発光量を一定にすることができる。また、無機物隔壁層112aが有機物隔壁層112bよりも画素電極111の中央側にさらに延出されているので、この無機物隔壁層112aによって画素電極111と平坦部110a1との接合部分の形状をトリミングすることができ、各発光層110b間の発光強度のばらつきを抑えることができる。
【0040】
さらに、画素電極111の電極面111a及び無機物隔壁層の第1積層部112eが親液性を示すので、機能層110が画素電極111及び無機物隔壁層112aに均一に密着し、無機物隔壁112a上で機能層110が極端に薄くならず、画素電極111と陰極12との短絡を防止できる。また、有機物隔壁層112bの上面112f及び上部開口部112d壁面が撥液性を示すので、機能層110と有機物隔壁層112bとの密着性が低くなり、機能層110が開口部112gから溢れて形成されることがない。
【0041】
なお、正孔注入/輸送層形成材料としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸(PSS)等の混合物を用いることができる。また、発光層110bの材料としては、例えば、ポリフルオレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、またはこれらの高分子材料にペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、例えばルブレン、ペリレン、9,10-ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等をドープして用いることができる。
【0042】
次に陰極12は、発光素子部11の全面に形成されており、画素電極111と対になって機能層110に電流を流す役割を果たす。この陰極12は、例えば、カルシウム層とアルミニウム層とが積層されて構成されている。このとき、発光層に近い側の陰極には仕事関数が低いものを設けることが好ましく、特にこの形態においては発光層110bに直接に接して発光層110bに電子を注入する役割を果たす。また、フッ化リチウムは発光層の材料によっては効率よく発光させるために、発光層110と陰極12との間にLiFを形成する場合もある。なお、赤色及び緑色の発光層110b1、110b2にはフッ化リチウムに限らず、他の材料を用いても良い。従ってこの場合は青色(B)発光層110b3のみにフッ化リチウムからなる層を形成し、他の赤色及び緑色の発光層110b1、110b2にはフッ化リチウム以外のものを積層しても良い。また、赤色及び緑色の発光層110b1、110b2上にはフッ化リチウムを形成せず、カルシウムのみを形成しても良い。
【0043】
なお、フッ化リチウムの厚さは、例えば2〜5nmの範囲が好ましく、特に2nm程度がよい。またカルシウムの厚さは、例えば2〜50nmの範囲が好ましく、特に20nm程度がよい。また、陰極12を形成するアルミニウムは、発光層110bから発した光を基体2側に反射させるもので、Al膜の他、Ag膜、AlとAgの積層膜等からなることが好ましい。また、その厚さは、例えば100〜1000nmの範囲が好ましく、特に200nm程度がよい。さらにアルミニウム上にSiO、SiO、SiN等からなる酸化防止用の保護層を設けても良い。なお、このように形成した発光素子上に封止缶604を配置する。図2(b)に示すように、封止缶604を封止樹脂603により接着し、表示装置1を形成する。
【0044】
次に、本実施形態の表示装置の製造方法を図面を参照して説明する。
本実施形態の表示装置は、基板上に隔壁部を形成する隔壁部形成工程、隔壁の表面を処理するプラズマ処理工程、隔壁部の内側に機能層を形成する機能層形成工程、さらには対向電極形成工程、及び封止工程を含むものとされている。なお、本発明の製造方法はこれに限られるものではなく必要に応じてその他の工程が除かれる場合、また追加される場合もある。
【0045】
(1)隔壁部形成工程
隔壁部形成工程は、基体2上に隔壁部112を形成する工程である。隔壁部112は、第1の隔壁層として無機物隔壁層112aが形成され、第2の隔壁層として有機物隔壁層112bが形成された構造である。以下に各層の形成方法について説明する。
【0046】
(1)-1無機物隔壁層の形成
まず、図4に示すように、層間絶縁膜144a,144b等を形成した基体2の所定位置に、所定パターンの無機物隔壁層112aを形成する。無機物隔壁層112aが形成される位置は、第2層間絶縁膜144b上及び電極(ここでは画素電極)111上である。ここで、表示領域2aには薄膜トランジスタ113が形成されているが、ダミー領域2bには、必ずしも薄膜トランジスタ113を形成する必要はない。
【0047】
無機物隔壁層112aは、例えば、SiO、TiO等の無機物膜を材料として用いることができる。これらの材料は、例えばCVD法、コート法、スパッタ法、蒸着法等によって形成される。
さらに、無機物隔壁層112aの膜厚は50nm〜200nmの範囲が好ましく、特に150nmがよい。
無機物隔壁層112aは、層間絶縁層114及び画素電極111の全面に無機物膜を形成し、その後無機物膜をフォトリソグラフィ法等によりパターニングすることにより、開口部を有する無機物隔壁層112aが形成される。開口部は、画素電極111の電極面111aの形成位置に対応するもので、図4に示すように下部開口部112cとして設けられる。
このとき、無機物隔壁層112aは画素電極111の周縁部(一部)と重なるように形成される。図4に示すように、画素電極111の一部と無機物隔壁層112aとが重なるように無機物隔壁層112aを形成することにより、発光層110の発光領域を制御することができる。
【0048】
(1)-2有機物隔壁層112bの形成
次に、第2隔壁層としての有機物隔壁層112bを形成する。
図5に示すように、表示領域2a及びダミー領域2bに形成した無機物隔壁層112a上に有機物隔壁層112bを形成する。有機物隔壁層112bとして、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶剤性を有する材料を用いる。これらの材料を用い、有機物隔壁層112bをフォトリソグラフィ技術等によりパターニングして形成される。なお、パターニングする際、有機物隔壁層112bに上部開口部112dを形成する。上部開口部112dは、電極面111a及び下部開口部112cに対応する位置に設けられる。
【0049】
上部開口部112dは、図5に示すように、無機物隔壁層112aに形成された下部開口部112cより広く形成する事が好ましい。さらに、有機物隔壁層112bはテーパーを有する形状が好ましく、有機物隔壁層112bの開口部が画素電極111の幅より狭く、有機物隔壁層112bの最上面では画素電極111の幅とほぼ同一の幅になるように有機物隔壁層112bを形成する事が好ましい。これにより、無機物隔壁層112aの下部開口部112cを囲む第1積層部112eが、有機物隔壁層112bよりも画素電極111の中央側に延出された形になる。
このようにして、有機物隔壁層112bに形成された上部開口部112d、無機物隔壁層112aに形成された下部開口部112cを連通させることにより、無機物隔壁層112a及び有機物隔壁層112bを貫通する開口部112gが形成され、表示領域2a及びダミー領域2bに対してそれぞれ隔壁部122が形成されることとなる。
【0050】
なお、有機物隔壁層112bの厚さは、0.1μm〜3.5μmの範囲が好ましく、特に2μm程度がよい。このような範囲とする理由は以下の通りである。
すなわち、厚さが0.1μm未満では、後述する正孔注入/輸送層及び発光層の合計厚より有機物隔壁層112bが薄くなり、発光層110bが上部開口部112dから溢れてしまう惧れがあるので好ましくない。また、厚さが3.5μmを越えると、上部開口部112dによる段差が大きくなり、上部開口部112dにおける陰極12のステップカバレッジが確保できなくなるので好ましくない。また、有機物隔壁層112bの厚さを2μm以上にすれば、陰極12と駆動用の薄膜トランジスタ113との絶縁を高めることができる点で好ましい。
【0051】
(2)プラズマ処理工程
次にプラズマ処理工程では、画素電極111の表面を活性化すること、さらに隔壁部122の表面を表面処理する事を目的として行われる。特に活性化工程では、画素電極111(ITO)上の洗浄、さらに仕事関数の調整を主な目的として行っている。さらに、画素電極111の表面の親液化処理(親液化工程)、隔壁部122表面の撥液化処理(撥液化工程)を行う。
【0052】
このプラズマ処理工程は、例えば(2)-1予備加熱工程、(2)-2活性化処理工程(親液化工程)、(2)-3撥液化処理工程(親液化工程)、及び(2)-4冷却工程とに大別される。なお、このような工程に限られるものではなく、必要に応じて工程を削減、さらなる工程追加も行われる。
【0053】
まず、図6は、プラズマ処理工程で用いられるプラズマ処理装置を示す。
図6に示すプラズマ処理装置50は、予備加熱処理室51、第1プラズマ処理室52、第2プラズマ処理室53、冷却処理室54、これらの各処理室51〜54に基体2を搬送する搬送装置55とから構成されている。各処理室51〜54は、搬送装置55を中心として放射状に配置されている。
【0054】
まず、これらの装置を用いた概略の工程を説明する。予備加熱工程は、図6に示す予備加熱処理室51において行われる。そしてこの処理室51により、隔壁部形成工程から搬送された基体2を所定の温度に加熱する。予備加熱工程の後、親液化工程及び撥液化処理工程を行う。すなわち、基体2は第1,第2プラズマ処理室52,53に順次搬送され、それぞれの処理室52,53において隔壁部122にプラズマ処理を行い親液化する。この親液化処理後に撥液化処理を行う。撥液化処理の後に基体を冷却処理室に搬送し、冷却処理室54おいて基体を室温まで冷却する。この冷却工程後、搬送装置により次の工程である正孔注入/輸送層形成工程に基体を搬送する。
以下に、それぞれの工程について詳細に説明する。
【0055】
(2)-1予備加熱工程
予備加熱工程は予備加熱処理室51により行う。この処理室51において、隔壁部122を含む基体2を所定の温度まで加熱する。
基体2の加熱方法は、例えば処理室51内にて基体2を載せるステージにヒータを取り付け、このヒータで当該ステージごと基体2を加熱する方法がとられている。なお、これ以外の方法を採用することも可能である。
予備加熱処理室51において、例えば70℃〜80℃の範囲に基体2を加熱する。この温度は次工程であるプラズマ処理における処理温度であり、次の工程に合わせて基体2を事前に加熱し、基体2の温度ばらつきを解消することを目的としている。
【0056】
ここで、仮に予備加熱工程を加えなければ、基体2は室温から上記のような温度に加熱されることになり、工程開始から工程終了までのプラズマ処理工程中において温度が常に変動しながら処理される事になる。このように基板温度が変化するなかでプラズマ処理を行うことは、有機EL素子の特性が不均一となる可能性がある。したがって、処理条件を一定に保ち、均一な特性を得るために予備加熱を行うのである。
プラズマ処理工程においては、第1,第2プラズマ処理装置52,53内の試料ステージ上に基体2を載置した状態で親液化工程または撥液化工程を行う場合に、予備加熱温度を、親液化工程または撥液化工程を連続して行う試料ステージ56の温度にほぼ一致させることが好ましい。例えば、第1,第2プラズマ処理装置52,53内の試料ステージが上昇する温度、例えば70℃〜80℃まで予め基板母材を予備加熱することにより、多数の基板にプラズマ処理を連続的に行った場合でも、処理開始直後と処理終了直前でのプラズマ処理条件をほぼ一定にすることができる。これにより、基体2の表面処理条件を同一にし、隔壁部122の組成物に対する濡れ性を均一化することができ、一定の品質を有する表示装置を製造することができる。また、基体2を予め予備加熱しておくことにより、後のプラズマ処理における処理時間を短縮することができる。
【0057】
(2)-2活性化処理(親液化工程)
次に第1プラズマ処理室52では、活性化処理が行われる。活性化処理には、画素電極111における仕事関数の調整、制御、画素電極表面の洗浄、画素電極表面の親液化工程が含まれる。
親液化工程として、大気雰囲気中で酸素を処理ガスとするプラズマ処理(Oプラズマ処理)を行う。図7は第1プラズマ処理の態様を説明するための模式図である。図7に示すように、隔壁部122を含む基体2は加熱ヒータ内蔵の試料ステージ56上に載置され、基体2の上側にはギャップ間隔0.5mm〜2mm程度の距離をおいてプラズマ放電電極57が基体2に対向して配置されている。基体2は、試料ステージ56によって加熱されつつ、試料ステージ56は図示矢印方向に向けて所定の搬送速度で搬送され、その間に基体2に対してプラズマ状態の酸素が照射される。
プラズマ処理の条件は、例えば、プラズマパワー100kW〜800kW、酸素ガス流量50ml/min〜100ml/min、板搬送速度0.5mm/sec〜10mm/sec、基体温度70℃〜90℃の条件で行われる。なお、試料ステージ56による加熱は、主として予備加熱された基体2の保温のために行われる。
【0058】
このOプラズマ処理により、図8に示すように、画素電極111の電極面111a、無機物隔壁層112aの第1積層部112e及び有機物隔壁層112bの上部開口部112dの壁面ならびに上面112fが親液処理される。この親液処理により、これらの各面に水酸基が導入されて親液性が付与される。図8では、親液処理された部分を一点鎖線で示している。なお、このOプラズマ処理は、親液性を付与するのみならず、上述の通り画素電極であるITO上の洗浄,仕事関数の調整も兼ねている。
【0059】
(2)-3撥液処理工程(撥液化工程)
次に、第2プラズマ処理室53では、撥液化工程として、大気雰囲気中でテトラフルオロメタンを処理ガスとするプラズマ処理(CFプラズマ処理)を行う。第2プラズマ処理室53の内部構造は図7に示した第1プラズマ処理室52の内部構造と同じである。即ち、基体2は、試料ステージによって加熱されつつ、試料ステージごと所定の搬送速度で搬送され、その間に基体2に対してプラズマ状態のテトラフルオロメタン(四フッ化炭素)が照射される。
CFプラズマ処理の条件は、例えば、プラズマパワー100kW〜800kW、4フッ化メタンガス流量50ml/min〜100ml/min、基体搬送速度0.5mm/sec〜1020mm/sec、基体温度70℃〜90℃の条件で行われる。なお、加熱ステージによる加熱は、第1プラズマ処理室52の場合と同様に、主として予備加熱された基体2の保温のために行われる。また、処理ガスは、テトラフルオロメタン(四フッ化炭素)に限らず、他のフルオロカーボン系のガスを用いることができる。
【0060】
CFプラズマ処理により、図9に示すように、上部開口部112dの壁面及び有機物隔壁層の上面112fが撥液処理される。この撥液処理により、これらの各面にフッ素基が導入されて撥液性が付与される。図9では、撥液性を示す領域を二点鎖線で示している。有機物隔壁層112bを構成するアクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の有機物はプラズマ状態のフルオロカーボンが照射することで容易に撥液化させることができる。また、Oプラズマにより前処理した方がフッ素化されやすい、という特徴を有しており、本実施形態には特に有効である。なお、画素電極111の電極面111a及び無機物隔壁層112aの第1積層部112eもこのCFプラズマ処理の影響を多少受けるが、濡れ性に影響を与える事は少ない。図9では、親液性を示す領域を一点鎖線で示している。
【0061】
(2)-4冷却工程
次に冷却工程として、冷却処理室54を用い、プラズマ処理のために加熱された基体2を管理温度まで冷却する。これは、以降の工程である液滴吐出工程(機能層形成工程)の管理温度まで冷却するために行う工程である。
この冷却処理室54は、基体2を配置するためのプレートを有し、そのプレートは基体2を冷却するように水冷装置が内蔵された構造となっている。
また、プラズマ処理後の基体2を室温、または所定の温度(例えば液滴吐出工程を行う管理温度)まで冷却することにより、次の機能層形成工程において、基板母材の温度が一定となり、基体2の温度変化が無い均一な温度で次工程を行うことができる。したがって、このような冷却工程を加えることにより、液滴吐出法等の吐出手段により吐出された材料を均一に形成できる。例えば、機能層としての正孔注入/輸送層を形成するための材料を含む第1組成物を吐出させる際に、第1組成物を一定の容積で連続して吐出させることができ、該正孔注入/輸送層を均一に形成することができるのである。
【0062】
上記のプラズマ処理工程では、材質が異なる有機物隔壁層112b及び無機物隔壁層112aに対して、Oプラズマ処理とCFプラズマ処理とを順次行うことにより、隔壁部122に親液性の領域と撥液性の領域を容易に設けることができる。
なお、プラズマ処理工程に用いるプラズマ処理装置は、図6に示したものに限られず、例えば図10に示すようなプラズマ処理装置60を用いてもよい。
図10に示すプラズマ処理装置60は、予備加熱処理室61と、第1プラズマ処理室62と、第2プラズマ処理室63と、冷却処理室64と、これらの各処理室61〜64に基体2を搬送する搬送装置65とから構成され、各処理室61〜64が、搬送装置65の搬送方向両側(図中矢印方向両側)に配置されてなるものである。
このプラズマ処理装置60では、図6に示したプラズマ処理装置50と同様に、隔壁部形成工程から搬送された基体2を、予備加熱処理室61、第1,第2プラズマ処理室62,63、冷却処理室64に順次搬送して各処理室にて上記と同様な処理を行った後、基体2を次の正孔注入/輸送層形成工程(機能層形成工程)に搬送する。
また,上記プラズマ装置は,大気圧下の装置でなくとも,真空下のプラズマ装置を用いても良い。
【0063】
(3)正孔注入/輸送層形成工程(機能層形成工程)
正孔注入/輸送層形成工程では、インクジェット装置(液滴吐出装置)を用いたインクジェット法(液滴吐出法)により、正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物(液状体)を電極面111a上に吐出し、その後に乾燥処理及び熱処理を行い、画素電極111上及び無機物隔壁層112a上に正孔注入/輸送層110aを形成する。なお、正孔注入/輸送層110aが形成された無機物隔壁層112aをここでは第1積層部112eという。この正孔注入/輸送層形成工程を含めこれ以降の工程は、水、酸素の無い雰囲気とする事が好ましい。例えば、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。なお、正孔注入/輸送層110aは第1積層部112e上に形成されないこともある。すなわち、画素電極111上にのみ正孔注入/輸送層が形成される形態もある。液滴吐出法による製造方法は以下の通りである。
【0064】
本実施形態の表示装置の製造方法に好適に用いられる液滴吐出ヘッドの一例として、図11のようなヘッドHを例示できる。このヘッドHは図11に示すように、複数の液滴吐出ヘッドH1と、これらの液滴吐出ヘッドH1を支持する支持基板H7を主として構成されている。さらに、基体と上記のヘッドHの配置に関しては図12のように配置することが好ましい。図12に示す液滴吐出装置において、符号1115は基体2を載置するステージであり、符号1116はステージ1115を図中x軸方向(主走査方向)に案内するガイドレールである。またヘッドHは、支持部材1111を介してガイドレール1113により図中y軸方向(副走査方向)に移動でき、さらにヘッドHは図中θ軸方向に回転できるようになっており、液滴吐出ヘッドH1を主走査方向に対して所定の角度に傾けることができるようになっている。
【0065】
図12に示す基体2は、マザー基板に複数のチップを配置した構造となっている。即ち、1チップの領域が1つの表示装置に相当する。ここでは、3つの表示領域(表示用画素形成領域)2aが形成されているが、これに限られるものではない。例えば、基体2上の左側の表示領域2aに対して組成物を塗布する場合は、ガイドレール1113を介してヘッドHを図中左側に移動させるとともに、ガイドレール1116を介して基体2を図中上側に移動させ、基体2を走査させながら塗布を行う。次に、ヘッドHを図中右側に移動させて基体の中央の表示領域2aに対して組成物を塗布する。右端にある表示領域2aに対しても前記と同様である。なお、図11に示すヘッドH及び図12に示す液滴吐出装置は、正孔注入/輸送層形成工程のみならず、発光層形成工程に用いても良い。
【0066】
図13は液滴吐出ヘッドH1をインク吐出面の側からみた斜視図である。図13に示すように、液滴吐出ヘッドH1のインク吐出面(基体2との対向面)には、ヘッドの長さ方向に沿って列状に、且つヘッドの幅方向に間隔をあけて2列でノズルnが複数設けられている。このように、複数のノズルnが列状に配列されることにより2つのノズル列N、Nが構成されている。1つのノズル列Nに含まれるノズルnの数は例えば180個であり、1つの液滴吐出ヘッドH1に360個のノズルnが形成されている。また、ノズルnの孔径は例えば28μmであり、ノズルn間のピッチは例えば141μmである。
【0067】
液滴吐出ヘッドH1は、例えば、図14(a)及び図14(b)に示す内部構造を有する。具体的には、液滴吐出ヘッドH1は、例えばステンレス製のノズルプレート229と、それに対向する振動板231と、それらを相互に接合する仕切部材232とを有する。ノズルプレート229と振動板231との間には、仕切部材232によって複数の組成物室233と液溜まり室234とが形成されている。複数の組成物室233と液溜まり室234とは通路238を介して互いに連通している。
【0068】
振動板231の適所には組成物供給孔236が形成され、この組成物供給孔236に組成物供給装置237が接続される。組成物供給装置237は、正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物(液状体)を組成物供給孔236に供給する。供給された第1組成物は液溜まり234に充満し、さらに通路238を通って組成物室233に充満する。
【0069】
ノズルプレート229には、組成物室233から第1組成物をジェット状に噴射するためのノズルnが設けられている。また、振動板231の組成物室233を形成する面の裏面には、組成物室233に対応させて組成物加圧体239が取り付けられている。この組成物加圧体239は、図14(b)に示すように、圧電素子241並びにこれを挟持する一対の電極242a及び242bを有する。圧電素子241は電極242a、242bへの通電によって矢印Cで示す外側へ突出するように撓み変形し、これにより組成物室233の容積が増大する。すると、増大した容積分に相当する第1組成物が液溜まり234から通路238を通って組成物室233に流入する。
【0070】
次に圧電素子241への通電を解除すると、圧電素子241と振動板231はともに元の形状に戻る。これにより、組成物室233も元の容積に戻るため組成物室233の内部にある第1組成物の圧力が上昇し、ノズルnから基体2へ向けて第1組成物が液滴110cとなって噴出する。
【0071】
図15には、基体2に対して液滴吐出ヘッドH1を走査させた状態を示す。図15に示すように、液滴吐出ヘッドH1は、図中X方向に沿う方向に相対的に移動しながら第1組成物(液状体)を吐出するが、その際、ノズル列Nの配列方向Zが、主走査方向(X方向に沿う方向)に対して傾斜した状態になっている。
【0072】
図16には、図15の要部を液滴吐出ヘッドH1側から見た拡大図を示す。図16では、図中Y方向(副走査方向)に沿って配置された3つの画素領域A1〜A3が図示されている。そして、液滴吐出ヘッドH1の一部に設けられた符号n1a〜n3bで表される6つのノズルが図示されている。6つのノズルのうちのノズルn1a、n2a、n3aの3つは、液滴吐出ヘッドH1が図示X方向に移動した場合に各画素領域A1〜A3上にそれぞれ位置するように配置されており、残りの3つのノズルn1b、n2b、n3bは、液滴吐出ヘッドH1が図示X方向に移動した場合に隣接する画素領域A1〜A3の間に位置するように配置されている。なお、これら6つのノズルn1a〜n3bは、いずれも1のノズル列Nに含まれるものである。この液滴吐出ヘッドH1は、図示略の駆動手段により、図示Y方向及び図示Y方向の反対方向にシフトできるようになっている。このように、液滴吐出ヘッドH1のノズル列Nを主走査方向に対して傾けて配置することにより、ノズルピッチを画素領域Aのピッチに対応させることができる。また、傾き角度調整することにより、どのような画素領域Aのピッチに対しても対応させることができる。
【0073】
次に、液滴吐出ヘッドH1を走査して、所定領域に正孔注入/輸送層110aを形成する工程について説明する。この工程には、(1)液滴吐出ヘッドH1の走査を1回で行う方法、(2)液滴吐出ヘッドH1の走査を複数回で行い、且つ各走査中において複数のノズルを用いる方法、(3)液滴吐出ヘッドH1の走査を複数回で行い、且つ各走査毎に別のノズルを用いる方法、のうちいずれも採用することができるが、本実施形態では(1)の方法を採用した。
【0074】
図17は、液滴吐出ヘッドH1の1回の走査で各画素領域A1〜A3に正孔注入/輸送層110aを形成する場合の工程を示す工程図である。図17(a)は、液滴吐出ヘッドH1が図16における位置から図示X方向に沿って走査した後の状態を示し、図17(b)は図17(a)に示す状態から液滴吐出ヘッドH1が僅かに図示X方向に走査するとともに、図示Y方向の反対方向にシフトした状態を示し、図17(c)は図17(b)に示す状態から液滴吐出ヘッドH1が僅かに図示X方向に走査するとともに、図示Y方向にシフトした状態を示している。また、図18には隔壁部122に囲まれた被吐出領域の断面構成を示している。
【0075】
図17(a)では、液滴吐出ヘッドH1に形成された各ノズルのうち、3つのノズルn1a〜n3aから正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物(液状体)を画素領域A1〜A3に吐出する。なお、本実施形態では液滴吐出ヘッドH1を走査することにより第1組成物を吐出するが、基体2を走査することによっても可能である。さらに、液滴吐出ヘッドH1と基体2とを相対的に移動させることによっても第1組成物を吐出させることができる。なお、これ以降の液滴吐出ヘッドを用いて行う工程では上記の点は同様である。
【0076】
液滴吐出ヘッドH1による吐出は以下の通りである。すなわち、図17(a)及び図18に示すように、液滴吐出ヘッドH1に形成されてなるノズルn1a〜n3aを電極面111aに対向して配置し、ノズルn1a〜n3aから最初の第1組成物の液滴110c1を吐出する。画素領域A1〜A3は、画素電極111と当該画素電極111の周囲を区画する隔壁部122から形成されており、これらの画素領域A1〜A3に対し、ノズルn1a〜n3aから1滴当たりの液量が制御された最初の第1組成物の液滴110c1を吐出する。
【0077】
次に図17(b)に示すように、液滴吐出ヘッドH1を図示X方向に僅かに走査させるとともに、図示Y方向の反対方向にシフトさせることによってノズルn1b〜n3bを各画素領域A1〜A3上に位置させる。そして、各ノズルn1b〜n3bから第1組成物の2滴目の液滴110c2を画素領域A1〜A3に向けて吐出する。
さらに図17(c)に示すように、液滴吐出ヘッドH1を図示X方向に僅かに走査させるとともに、図示Y方向にシフトさせることによってノズルn1a〜n3aを再び各画素領域A1〜A3上に位置させる。そして、各ノズルn1a〜n3aから第1組成物の3滴目の液滴110c3を画素領域A1〜A3に向けて吐出する。
【0078】
このようにして、液滴吐出ヘッドH1を図示X方向に沿って走査させつつ、図示Y方向に沿って僅かにシフトさせることにより、一の画素領域A1等に対して2つのノズルから第1組成物の液滴を順次吐出する。一の画素領域A1に対して吐出する液滴の数は、例えば6〜20滴の範囲とすることができるが、この範囲は画素の面積によって代わるものであり、この範囲より多くても少なくても構わない。各画素領域(電極面111a上)に吐出する第1組成物の全量は、下部、上部開口部112c、112dの大きさ、形成しようとする正孔注入/輸送層の厚さ、第1組成物中の正孔注入/輸送層形成材料の濃度等により決定される。
【0079】
このように、1回の走査で正孔注入/輸送層を形成する場合において、第1組成物の吐出のたびにノズルの切替えを行い、各画素領域A1〜A3に対して各々2つのノズルから第1組成物を吐出するので、従来のように、1の画素領域A1等に対して1つのノズルで複数回吐出する場合と比較して、ノズル間の吐出量のバラツキが相殺されるので、各画素電極111…における第1組成物の吐出量のバラツキが小さくなり、正孔注入/輸送層を同じ膜厚で形成することができる。これにより、画素毎の発光量を一定に保つことができ、表示品質に優れた表示装置を製造することができる。
【0080】
次に、実際の吐出手順について説明する。本実施形態では、まず、図18に示すように、ダミー領域2bのみに第1組成物の液滴110cを吐出するものとしており、その後、図19に示すように、表示領域2aに対して第1組成物の液滴110cを本吐出するものとしている。
【0081】
ここで、本実施形態では、特にダミー領域2bに吐出される第1組成物の総体積を該ダミー領域2bの面積で除した値が、表示領域2aに吐出される第1組成物の総体積を該表示領域2aの面積で除した値よりも大きくなるように吐出条件を設定している。なお、ダミー領域2bの面積及び表示領域2aの面積は、それぞれの領域に属する隔壁部122によって囲まれた領域の総面積を言うものとする。このような吐出条件の採用により、吐出を行った後に乾燥を行う場合に、表示領域2aにおける蒸発溶媒分子の分圧が、ダミー領域2bにおける蒸発溶媒分子の分圧に比して過剰に大きくなることはなく、ダミー領域2bにおける溶媒の蒸発速度を表示領域2aにおける溶媒の蒸発速度に近づけることができるようになる。
【0082】
なお、ここで用いる第1組成物としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸(PSS)等の混合物を、極性溶媒に溶解させた組成物を用いることができる。
極性溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)、ノルマルブタノール、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)及びその誘導体、カルビト−ルアセテート、ブチルカルビト−ルアセテート等のグリコールエーテル類等を挙げることができる。
なお、正孔注入/輸送層形成材料は、赤(R)、緑(G)、青(B)の各発光層110b1〜110b3に対して同じ材料を用いても良く、各発光層毎に異なるものを用いても良い。
【0083】
次に、乾燥工程を行う。乾燥工程を行うことにより、第1組成物に含まれる極性溶媒が蒸発し、図20に示すような正孔注入/輸送層110aが形成される。乾燥処理を行うと、第1組成物の液滴110cに含まれる極性溶媒の蒸発が、主に無機物隔壁層112a及び有機物隔壁層112bに近いところで起き、極性溶媒の蒸発に併せて正孔注入/輸送層形成材料が濃縮されて析出する。これにより図20に示すように、第1積層部112e上に、正孔注入/輸送層形成材料からなる周縁部110a2が形成される。この周縁部110a2は、上部開口部112dの壁面(有機物隔壁層112b)に密着しており、その厚さが電極面111aに近い側では薄く、電極面111aから離れた側、即ち有機物隔壁層112bに近い側で厚くなっている。
【0084】
また、これと同時に、乾燥処理によって電極面111a上でも極性溶媒の蒸発が起き、これにより電極面111a上に正孔注入/輸送層形成材料からなる平坦部110a1が形成される。電極面111a上では極性溶媒の蒸発速度がほぼ均一であるため、正孔注入/輸送層の形成材料が電極面111a上で均一に濃縮され、これにより均一な厚さの平坦部110aが形成される。このようにして、周縁部110a2及び平坦部110a1からなる正孔注入/輸送層110aが形成される。なお、周縁部110a2には形成されず、電極面111a上のみに正孔注入/輸送層が形成される形態であっても構わない。また、図20においては、ダミー領域2bにも正孔注入/輸送層110aが形成されているが、該ダミー領域2bの正孔注入/輸送層110aは実際には駆動されず、つまり正孔を注入/輸送する役割は実現されないものである。
【0085】
ここで、本実施の形態では、上述の通り、ダミー領域2bと表示領域2aとにおいて、吐出する溶媒の単位面積当りの容量を異ならせている。従って、乾燥工程において、表示領域2aにおける蒸発溶媒分子の分圧が、ダミー領域2bにおける蒸発溶媒分子の分圧に比して過剰に大きくなることはなく、ダミー領域2bにおける溶媒の蒸発速度を表示領域2aにおける溶媒の蒸発速度に近づけることができるようになる。そして、このような吐出条件の導入により、表示領域2aのうちの周辺部における溶媒の蒸発速度が、中央部での蒸発速度に近づくこととなり、該周辺部と中央部とにおいて均一な膜厚の正孔注入/輸送層110aを形成できるようになる。
【0086】
なお、乾燥処理は、例えば窒素雰囲気中、室温で圧力を例えば133.3Pa〜13.3Pa(1Torr〜0.1Torr)程度にして行う。ここで、急激に圧力を低下させると第1組成物の液滴110cが突沸してしまうので好ましくない。また、温度を高温にしてしまうと、極性溶媒の蒸発速度が高まり、平坦な膜を形成する事ができない。従って、30℃〜80℃の範囲が好ましい。
乾燥処理後は、窒素中、好ましくは真空中、200℃で10分程度加熱する熱処理を行って、正孔注入/輸送層110a内に残存する極性溶媒や水を除去することが好ましい。
【0087】
(4)発光層形成工程
次に発光層形成工程は、表面改質工程、発光層形成材料吐出工程、および乾燥工程、とからなる。
まず、正孔注入/輸送層110aの表面を改質するために表面改質工程を行う。次に、前述の正孔注入/輸送層形成工程と同様、液滴吐出法により発光層形成材料を含む第2組成物を正孔注入/輸送層110a上に吐出する(発光層形成材料吐出工程)。その後、吐出した第2組成物を乾燥処理(及び熱処理)して、正孔注入/輸送層110a上に発光層110bを形成する(乾燥工程)。なお、発光層形成材料吐出工程においても、第1組成物を吐出した場合と同様に、ダミー領域2bに対して、表示領域2aよりも相対的に多い容量(単位面積当りの容量)の溶媒を吐出するものとしている。
【0088】
発光層形成材料を含む第2組成物を吐出する際には、図21に示すように、下部、上部開口部112c、112d内に位置する正孔注入/輸送層110aに吐出ノズルH6を対向させ、液滴吐出ヘッドH5と基体2とを相対移動させながら、第2組成物110eが吐出される。この場合、正孔注入/輸送層形成工程と同様に、一の画素領域に対して複数のノズルにより第2組成物110eの吐出を行う。
【0089】
発光層110bを形成する材料としては、例えばポリフルオレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、またはこれらの高分子材料にペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、例えばルブレン、ペリレン、9,10-ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等をドープして用いることができる。
【0090】
また、発光層形成材料を溶解ないし分散させる溶媒としては、正孔注入/輸送層110aに対して不溶なものが好ましく、例えば、シクロへキシルベンゼン、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン等を用いることができる。このような溶媒(非極性溶媒)を用いることにより、正孔注入/輸送層110aを再溶解させることなく第2組成物を吐出できるようになる。
【0091】
吐出された第2組成物110eは、正孔注入/輸送層110a上に広がって下部、上部開口部112c、112d内に満たされる。その一方で、撥液処理された上面112fでは、吐出された液滴が所定の吐出位置からはずれて上面112f上に吐出されたとしても、上面112fが該液滴で濡れることがなく、該液滴が下部、上部開口部112c、112d内に転がり込む。
【0092】
次に、第2組成物を所定の位置に吐出し終わった後、吐出後の第2組成物110eを乾燥処理することにより発光層110b3が形成される。すなわち、乾燥により第2組成物に含まれる非極性溶媒が蒸発し、図22に示すような青色(B)発光層110b3が形成される。なお、図22においては青に発光する発光層が1つのみ図示されているが、図1やその他の図より明らかなように本来は発光素子がマトリックス状に形成されたものであり、図示しない画素領域に多数の発光層(青色に対応)が形成されている。
【0093】
なお、上述の通り、発光層形成工程においても、ダミー領域2bと表示領域2aとにおいて吐出する溶媒の単位面積当りの容量を異ならせている。従って、乾燥工程において、表示領域2aにおける蒸発溶媒分子の分圧が、ダミー領域2bにおける蒸発溶媒分子の分圧に比して過剰に大きくなることはなく、ダミー領域2bにおける溶媒の蒸発速度を表示領域2aにおける溶媒の蒸発速度に近づけることができるようになる。そして、このような吐出条件の導入により、表示領域2aのうちの周辺部における溶媒の蒸発速度が、中央部での蒸発速度に近づくこととなり、該周辺部と中央部とにおいて均一な膜厚の発光層110b3を形成できるようになる。
【0094】
続けて、図23に示すように、前述した青色(B)発光層110b3の場合と同様の工程により赤色(R)発光層110b1を形成し、最後に緑色(G)発光層110b2を形成する。なお、発光層110bの形成順序は、前述の順序に限られるものではなく、どのような順番で形成しても良い。例えば、発光層形成材料に応じて形成する順番を決める事も可能である。
【0095】
また、発光層の第2組成物の乾燥条件は、青色110b3の場合、例えば、窒素雰囲気中、室温で圧力を133.3Pa〜13.3Pa(1Torr〜0.1Torr)程度として5分〜10分行う条件とする。圧力が低すぎると第2組成物が突沸してしまうので好ましくない。また、温度を高温にすると、非極性溶媒の蒸発速度が高まり、発光層形成材料が上部開口部112d壁面に多く付着してしまう場合がある。なお、好ましくは、30℃〜80℃の範囲が良い。
【0096】
また緑色発光層110b2、及び赤色発光層110b1の場合、発光層形成材料の成分数が多いために素早く乾燥させることが好ましく、例えば、40℃で窒素の吹き付けを5分〜10分行う条件とするのがよい。その他の乾燥の手段としては、遠赤外線照射法、高温窒素ガス吹付法等を例示できる。このようにして、画素電極111上に正孔注入/輸送層110a及び発光層110bが形成される。
【0097】
(5)対向電極(陰極)形成工程
次に対向電極形成工程では、図24に示すように、発光層110b及び有機物隔壁層112bの全面に陰極(対向電極)12を形成する。なお、陰極12は複数の材料を積層して形成しても良い。例えば、発光層に近い側には仕事関数が小さい材料を形成することが好ましく、例えばCa、Ba等を用いることが可能であり、また材料によっては下層にフッ化リチウム等を薄く形成した方が良い場合もある。また、上部側(封止側)には下部側よりも仕事関数が高い材料、例えばAlを用いる事もできる。
【0098】
陰極12は、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等で形成することが好ましく、特に蒸着法で形成することが、熱による発光層110bの損傷を防止できる点で好ましい。また、フッ化リチウムは、発光層110b上のみに形成しても良く、さらに所定の色に対応して形成する事ができる。例えば、青色(B)発光層110b3上のみに形成しても良い。この場合、他の赤色(R)発光層及び緑色(G)発光層110b1、110b2には、カルシウムからなる上部陰極層が接することとなる。
【0099】
また陰極12の上部には、蒸着法、スパッタ法、CVD法等により形成したAl膜、Ag膜等を用いることが好ましい。また、その厚さは、例えば100nm〜1000nmの範囲が好ましく、特に200nm〜500nm程度がよい。また陰極12上に、酸化防止のためにSiO、SiN等の保護層を設けても良い。
【0100】
(6)封止工程
最後に封止工程は、機能層110を含む発光素子が形成された基体2と封止基板604(図2参照)とを封止樹脂603により封止する工程である。例えば、熱硬化樹脂または紫外線硬化樹脂からなる封止樹脂603を基体2の全面に塗布し、封止樹脂603上に封止基板604を積層する。この工程により基体2上に封止部3を形成する。
封止工程は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。大気中で行うと、陰極12にピンホール等の欠陥が生じていた場合にこの欠陥部分から水や酸素等が陰極12に侵入して陰極12が酸化される惧れがあるので好ましくない。
さらに、図2に例示した基板5の配線5aに陰極12を接続するとともに、駆動IC6に回路素子部14の配線を接続し、本実施形態の表示装置1が得られる。
【0101】
以上、本実施形態の表示装置1の製造方法を示したが、本実施形態では、発光素子のうち機能層110を形成する工程において液滴吐出法を採用しており、吐出する溶媒の体積(単位面積当りの体積)について、表示領域2aよりもダミー領域2bに対して相対的に多くの溶媒を吐出するものとしている。具体的には、図25に示すように、ダミー領域2bに滴下した第1組成物(第2組成物)9bの単位面積当りの容量を、表示領域2aに滴下した第1組成物(第2組成物)9aの単位面積当りの容量よりも多くしており、結果として溶媒量がダミー領域2bで相対的に多くなるものとなっている(図25(a),(b))。
【0102】
これにより、図25(c)に示すように、ダミー領域2bの蒸発溶媒分子の蒸気圧が、表示領域2aの蒸発溶媒分子の蒸気圧よりも大きくなり、ひいては表示領域2aのうちの周辺部における溶媒の蒸発速度が、中央部での蒸発速度に近づくこととなる。その結果、周辺部と中央部とにおいて均一な等しい膜厚の正孔注入/輸送層110b若しくは発光層110c(機能層110)を形成できるようになる。そして、この場合、表示領域2a全域において、特に中央部又は周辺部に拘らず、素子特性(表示特性)にむらの少ない信頼性に優れた有機EL装置1を提供することができるようになる。
【0103】
以下、上記正孔注入/輸送層110b若しくは発光層110c(機能層110)を形成する際の液滴の吐出態様について、その変形例を説明する。なお、以下において単に吐出量と言うときは、単位面積当りの吐出量を言うものとする。
まず、図26に示すように、ダミー領域2bにおける吐出領域の面積(つまり隔壁部122に囲まれてできる開口部の面積)を、表示領域2aにおける吐出領域の面積よりも大きく構成することで、吐出量をダミー領域2bにおいて相対的に多くすることができる。特に、矩形状に形成された表示領域2aの角部に位置するダミー領域2cにおいて、その他のダミー領域2bよりも吐出量を多くすることが好ましい。
【0104】
また、図27に示すようにダミー領域2bの略全域に亙って第1組成物(第2組成物)9b,9cを吐出するものとすることもできる。この場合、ダミー領域2bにおける吐出量を、表示領域2aにおける吐出量よりも確実に多くすることができるようになる。特に、表示領域2aが長方形状である場合には、短辺方向のダミー領域Aにおいて、長辺方向のダミー領域Bよりも吐出量を多くすることが好ましい。これにより蒸発溶媒分子の蒸気圧を基体面内において一層均一にすることができるようになる。なお、ダミー領域2bの全域に亙って液滴を吐出する場合でなくても、図28に示すように隔壁部(図示略)によって囲まれた領域のみに液滴を吐出する場合にも、表示領域2aが長方形状のときには、短辺方向のダミー領域Aにおいて、長辺方向のダミー領域Bよりも吐出量を多くすることが好ましい。
【0105】
また、図29に示すように、表示領域2aが長方形状である場合であって、長辺方向に同一色(例えばR(赤)、或いはG(緑)、B(青))の発光層110cを配列する場合には、短辺方向のダミー領域Aにおいて、長辺方向のダミー領域Bよりも吐出量を多くすることが好ましい。これにより、例えば各色毎に溶媒を乾燥させるときに、蒸発溶媒分子の蒸気圧を基体面内において一層均一にすることができるようになる。
【0106】
さらに、図31に示すように、ダミー領域2bにおける吐出領域の面積(つまり隔壁部122に囲まれてできる開口部の面積)を、表示領域2aにおける吐出領域の面積よりも小さく構成することもできる。この場合にも、ダミー領域2bにおける吐出量を表示領域2aにおける吐出量よりも相対的に多くすることで、当該ダミー領域2bにおける蒸発溶媒分子の蒸気圧を高めることができ、ひいては表示領域2aにおける蒸発溶媒分子の蒸気圧を面内において均一化することができる。
【0107】
また、図32に示すように、ダミー領域2bにおける吐出領域の面積(つまり隔壁部122に囲まれてできる開口部の面積)を、表示領域2aにおける吐出領域の面積よりも小さく構成し、該ダミー領域2bの吐出領域を密に配設することもできる。この場合も、ダミー領域2bにおける吐出量を表示領域2aにおける吐出量よりも相対的に多くすることで、当該ダミー領域2bにおける蒸発溶媒分子の蒸気圧を高めることができ、ひいては表示領域2aにおける蒸発溶媒分子の蒸気圧を面内において均一化することができる。
【0108】
さらに、図33に示すように、ダミー領域2bにおける吐出領域の面積(つまり隔壁部122に囲まれてできる開口部の面積)を、表示領域2aにおける吐出領域の面積よりも小さく構成し、ダミー領域2bの吐出領域を密に配設する場合において、該ダミー領域2bの吐出領域を、表示領域2aの吐出領域と同一列及び/又は同一行に形成することができる。この場合も、ダミー領域2bにおける吐出量を表示領域2aにおける吐出量よりも相対的に多くすることで、当該ダミー領域2bにおける蒸発溶媒分子の蒸気圧を高めることができ、ひいては表示領域2aにおける蒸発溶媒分子の蒸気圧を面内において均一化することができる。そして、この場合には、同一列及び/又は同一行に対して吐出を行えば良いため、図32の例に比して吐出工程が非常に簡便なものとなる。
【0109】
以上、本実施の形態では、機能層110を形成する際に本発明に係る方法を採用するものとしているが、例えば液晶装置等に用いるカラーフィルタ基板に対しても本発明を採用することができる。具体的には、所定の色光を選択的に透過しカラーフィルタとして機能する機能領域(上記実施の形態では表示領域2aに相当)と、該機能領域以外の非機能領域(上記実施の形態ではダミー領域2bに相当)とを有するカラーフィルタ基板の製造プロセスにおいて、基板上に、着色層を構成する着色材料を溶媒に溶解ないし分散させた組成物(液状体)を液滴吐出法にて吐出するものとすることができる。そして、この吐出工程において、上述した機能層110の形成工程と同様、非機能領域に吐出される単位面積当りの溶媒の量を、機能領域に吐出される単位面積当りの溶媒の量よりも多くすれば、上記実施形態と同様の効果を発現することができ、機能領域内において均一な膜厚のカラーフィルタ基板を製造することができる。
【0110】
(第2の実施形態)
次に、第1の実施形態の表示装置を備えた電子機器の具体例について説明する。図30は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図30において、符号600は携帯電話本体を示し、符号601は表示装置1を用いた表示部を示している。このような電子機器は、第1の実施形態の表示装置1を用いた表示部を備えたものであり、先の第1の実施形態の表示装置1の特徴を有するので、表示ムラの少ない表示品質に優れた効果を有する電子機器となる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の第1の実施形態の表示装置の配線構造の平面模式図。
【図2】図1の表示装置の平面模式図及び断面模式図。
【図3】図1の表示装置の要部断面模式図。
【図4】図1の表示装置の製造方法を説明する工程図。
【図5】図4に続く製造方法を説明する工程図。
【図6】プラズマ処理装置の一例を示す平面模式図。
【図7】プラズマ処理装置の第1プラズマ処理室の内部構造を示す模式図。
【図8】図5に続く製造方法を説明する工程図。
【図9】図8に続く製造方法を説明する工程図。
【図10】プラズマ処理装置の別の例を示す平面模式図。
【図11】液滴吐出用ヘッドの一例を示す平面図。
【図12】液滴吐出装置の一例を示す平面図。
【図13】液滴吐出ヘッドの一例を示す斜視図。
【図14】図13に示す液滴吐出ヘッドの内部構造を示す斜視図及び断面図。
【図15】基体に対する液滴吐出ヘッドの配置状態を示す平面図。
【図16】図15の要部を示す拡大図。
【図17】液滴吐出ヘッドの1回の走査で正孔注入/輸送層を形成する場合の工程を示す工程図。
【図18】図9に続く製造方法を説明する工程図。
【図19】図18に続く製造方法を説明する工程図。
【図20】図19に続く製造方法を説明する工程図。
【図21】図20に続く製造方法を説明する工程図。
【図22】図21に続く製造方法を説明する工程図。
【図23】図22に続く製造方法を説明する工程図。
【図24】図23に続く製造方法を説明する工程図。
【図25】液滴の吐出態様について示す平面図及び断面図と蒸気圧値を示すグラフ。
【図26】液滴の吐出態様について一変形例を示す平面図及び断面図と蒸気圧値を示すグラフ。
【図27】液滴の吐出態様について一変形例を示す平面図及び断面図と蒸気圧値を示すグラフ。
【図28】液滴の吐出態様について一変形例を示す平面図及び断面図と蒸気圧値を示すグラフ。
【図29】液滴の吐出態様について一変形例を示す平面図及び断面図と蒸気圧値を示すグラフ。
【図30】本発明の第2の実施形態である電子機器を示す斜視図。
【図31】液滴の吐出態様について一変形例を示す平面図及び断面図と蒸気圧値を示すグラフ。
【図32】液滴の吐出態様について一変形例を示す平面図及び断面図と蒸気圧値を示すグラフ。
【図33】液滴の吐出態様について一変形例を示す平面図及び断面図と蒸気圧値を示すグラフ。
【符号の説明】
【0112】
1…表示装置(有機EL装置、電気光学装置)、2a…表示領域(機能領域)、2b…ダミー領域(非機能領域)、2…基体(基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の着色層を含み、所定の色光を選択的に透過しカラーフィルタとして機能する機能領域と、該機能領域以外の非機能領域とを有するカラーフィルタ基板の製造方法であって、
基板上に、前記着色層を構成する着色材料を溶媒に溶解ないし分散させた液状体を液滴吐出法にて吐出する吐出工程を含み、
該吐出工程において、前記機能領域には前記液状体を吐出し、前記非機能領域には前記液状体又は前記溶媒を吐出するものとしており、前記非機能領域に吐出される単位面積当りの溶媒の量を、前記機能領域に吐出される単位面積当りの溶媒の量よりも多くすることを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項2】
画素毎に電気光学素子が機能する機能領域と、該機能領域の周辺に形成される非機能領域とを有する電気光学装置の製造方法であって、
基板上に、前記電気光学素子を構成する機能材料を溶媒に溶解ないし分散させた液状体を液滴吐出法にて吐出する吐出工程を含み、
該吐出工程において、前記機能領域には前記液状体を吐出し、前記非機能領域には前記液状体又は前記溶媒を吐出するものとしており、前記非機能領域に吐出される単位面積当りの溶媒の量を、前記機能領域に吐出される単位面積当りの溶媒の量よりも多くすることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項3】
前記吐出工程に先立って、前記基板上の前記機能領域及び前記非機能領域に対し、液状体及び/又は溶媒が吐出される液受容領域をそれぞれ同じパターンにて形成する工程を含み、
前記吐出工程においては、前記非機能領域の液受容領域に対して吐出される溶媒の量を、前記機能領域の液受容領域に対して吐出される溶媒の量よりも多くすることを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項4】
前記吐出工程に先立って、前記基板上の前記機能領域及び前記非機能領域に対し、液状体及び/又は溶媒が吐出される液受容領域を形成する工程を含み、
該液受容領域の形成工程において、前記機能領域における液受容領域の面積を、前記非機能領域における液受容領域の面積よりも大きく形成することを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項5】
前記吐出工程に先立って、前記基板上の前記機能領域及び前記非機能領域に対し、液状体及び/又は溶媒が吐出される液受容領域を形成する工程を含み、
前記機能領域が平面視長方形状であって、該機能領域の長辺方向と短辺方向において前記非機能領域における前記液受容領域の密度が異なるものとされており、
前記非機能領域における液受容領域の密度が大きい方に対して吐出される単位面積当りの溶媒の量を、前記非機能領域における液受容領域の密度が小さい方に対して吐出される単位面積当りの溶媒の量よりも多くすることを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項6】
前記機能領域が平面視長方形状である場合に、その機能領域の短辺方向に沿って形成される第1非機能領域と、機能領域の長辺方向に沿って形成される第2非機能領域とに関し、前記吐出工程において、前記第1非機能領域に吐出される単位面積当りの溶媒の量を、前記第2非機能領域に吐出される単位面積当りの溶媒の量よりも多くすることを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項7】
前記吐出工程に先立って、前記基板上の前記機能領域及び前記非機能領域に対し、液状体及び/又は溶媒が吐出される液受容領域を形成する工程を含み、
該液受容領域の形成工程において、前記非機能領域の液受容領域を前記機能領域に沿って帯状に形成することを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項8】
請求項2ないし7のいずれか1項に記載の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする電気光学装置。
【請求項9】
請求項8に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2006−3870(P2006−3870A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−95183(P2005−95183)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】