説明

カラーフィルタ用感光性組成物、カラーフィルタ及び固体撮像素子

【課題】固体撮像素子用カラーフィルタの光電変換素子(受光部)に導く光の集光効率向上を目的とする。
【解決手段】(A)光重合性モノマー、(B)樹脂バインダー、(C)重合開始剤、(D)着色剤及び(E)溶剤を含有するカラーフィルタ用感光性着色組成物であって、(A)光重合性モノマーが、1分子中に不飽和結合を9〜16個有する多分岐ポリエステル(メタ)アクリレート化合物あることを特徴とする固体撮像素子用カラーフィルタ感光性組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CMOSやCCD等に代表される光電変換素子上に形成されるカラーフィルタに用いられるカラーフィルタ用感光性組成物及び、光電変換素子上に形成されるカラーフィルタ及び、固体撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像装置は画像の記録、通信、放送の内容の拡大に伴って広く用いられるようになっている。撮像装置として種々の形式のものが提案されているが、小型、軽量で多色高性能のものが安定して製造されるようになってきている固体撮像素子を用いた撮像装置が、普及してきている。
【0003】
固体撮像素子は、撮影対象物からの光学像を受け、入射した光を電気信号に変換する複数の光電変換素子を有する。光電変換素子の種類はCCD(電荷結合素子)タイプとCMOS(相補型金属酸化物半導体)タイプとに大別される。また、光電変換素子の配列形態は、光電変換素子を1列に配置したリニアセンサー(ラインセンサー)と、光電変換素子を縦横に2次元的に配列させたエリアセンサー(面センサー)との2種類に大別される。いずれのセンサにおいても光電変換素子の数(画素数)が多いほど撮影された画像は精密になる。また、光電変換素子に入射する光の経路に、特定の波長の光を透過する各種のカラーフィルタを設けることで対象物の色情報を得ることを可能としたカラーセンサーも普及している。カラーフィルタの色としては、赤色(R)、青色(B)、緑色(G)の3色の色層で構成された3原色系、あるいは、シアン色(C)、マゼンタ色(M)、イエロー色(Y)の3色の色層で構成された補色系が一般的である。
【0004】
固体撮像素子のカラーフィルタの形成方法はフォトリソグラフィープロセスによりパターンを形成する手法が一般的である(例えば、特許文献1参照)。すなわち、所定の色の着色感光性樹脂を塗布した塗膜に、パターン露光、現像、必要により硬膜処理などを行い、所定の部位に着色感光性樹脂を残し、その残存物をもって色層とするという方法である。色の異なる色層を有するカラーフィルタを得る場合、色の異なる着色感光性樹脂を各々用い、樹脂塗膜の形成、樹脂塗膜へのパターン露光、現像、必要により硬膜処理などの工程を、必要な色の回数繰り返すことになる。
【0005】
固体撮像素子に要求される性能に関する重要な課題の一つに、入射する光への感度を向上させることが挙げられる。また、撮影した画像の情報量を多くするためには受光部となる光電変換素子を微細化して高集積化する必要がある。しかし、光電変換素子を微細化した場合、各光電変換素子の面積が小さくなり、光を取り込む面積も小さくなるため、光電変換素子に取り込める光の量が少なくなる。また、カラーフィルタを設けた固体撮像素子では、カラーフィルタを光が通過する際に所定の波長の光を分離して通過させるが、光が通過する際にカラーフィルタによる光の吸収が生じるため、光電変換素子に入射する光量が低下する。そのため、固体撮像素子として光への感度の低下が生じる。
【0006】
このような、固体撮像素子の感度の低下を防止するための手段として、光電変換素子(受光部)に効率良く光を取り込むために、対象物から入射される光を集光して光電変換素子(受光部)に導くマイクロレンズを形成する技術が提案されている(特許文献2参照)。マイクロレンズで光を集光して光電変換素子(受光部)に導くことで、受光部の見かけ上の開口率(面積)を大きくすることが可能になり、固体撮像素子の感度を向上させることが可能になる。
【0007】
近年、600万画素を超える高精細CCD撮像素子への要求が大きくなり、これら高精細CCDにおいて付随するカラーフィルタの画素サイズが2μm×2μmを下回るレベルのものも多くなっており、フォトリソグラフィープロセスにより形成されたカラーフィルタのパターン形状不良や残渣が固体撮像素子の特性に悪影響を及ぼすという問題が生じている。このようなパターン形状不足は、2.5μm以下、あるいは1.5μm近傍の画素サイズでは、色むらとなって現れる。また、画素サイズが小さくなるとアスペクト比が大きくなる(幅に対して厚みが大きい)ので、本来除去されるべき部分(画素の有効外部分)を完全に除去することができず、残渣やパターン形状のテーパー化が発生する。残渣は、他の色の画素部に先に入色したレジストの残渣が残ることで、固体撮像素子の再現画像においては、ノイズが大きくなり、ざらつきが目立ち、画質を損なうことになる。
【0008】
満足する分光特性を得ようとすると、カラーフィルタの膜厚が厚くならざるを得ず、カラーフィルタの膜厚が厚くなると、画素の微細化が進むに従って、パターンの角が丸まるなど解像度が低下する傾向となる。更に、カラーフィルタが厚い場合、製造工程による問題だけではなく、斜め方向から入射した光が隣接する他の色フィルターパターンを透過して光電変換素子に入光し、混色や感度低下という問題も発生する。この問題はカラーフィルタの画素サイズが小さくなるにつれて顕著になる。
【0009】
以上のことから、近年では、カラーフィルタの高精細パターンに加えて、薄膜化も重要な問題である。
【0010】
カラーフィルタの薄膜化においては、着色層に含まれる顔料濃度が上がる為、光硬化反応に必要な光が着色層の底部まで届かないので硬化が不充分となり、フォトリソグラフィーにおける現像工程で剥離し、画素欠陥を生ずるという問題とパターン形成時の露光照射量を多くしなければならないという課題がある。更に、着色層に含まれるアルカリ現像性成分の減少で現像残渣の発生や、塗膜形成に必要な樹脂成分の減少で塗膜形成時の膜厚均一性などが悪くなることがある。
【0011】
更に、現像後に感光性成分が低下することで、現像時に光照射部においても、パターンが削られ、仕上がり膜厚の均一性が悪くなり、集光性を向上させるためのカラーフィルタ上にマクロレンズを形成しているが、カラーフィルタの表面の平坦性が悪いと、所望のマイクロレンズ形状が得られないという問題を有している。
【0012】
撮像素子用カラーフィルタとして、上記の課題を改善すべく、アルカリ現像性の改善、即ち残渣改善として文献3、4では光重合性モノマーに酸性官能基及び/又は炭素数2以上のアルキレンオキシ鎖を有する多官能光重合性モノマーを用いる検討が実施されている。しかし、この光重合性モノマーを用いる場合、酸価を付与していることで形成した塗膜の現像にかかる時間は短くなるもの露光感度が低いという課題がある。その為、露光量を多く照射する必要があり、露光時間が長くなり、製造上の歩留まり低下が顕著になる。
【0013】
また、残渣改善の為に、光重合性モノマーに酸価を付与していることからパターン形状が1.8μm近傍の画素サイズでは、パターンの角が丸まるなど解像度が低下するという課題や、光照射部(パターン形成部)の膜厚が現像により削られ、膜厚の均一性が悪くなる。更に、塗膜形成時の膜厚が厚くなることで、パターン形成において、アスペクト比が高くなり、現像によりパターンのハガレなどが発生することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2005−5419号公報
【特許文献2】特開2004-200360号公報
【特許文献3】特開平10−62986号公報
【特許文献4】特開2009−244807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
固体撮像素子の解像度の向上から、画素寸法が小さくなり、薄膜化することで、カラーフィルタを形成する上での課題が、前記の通り顕在化している。重要な課題としては、画素寸法が小さくなることでのパターン形状のテーパー化と、形成される着色層の膜厚バラツキによる光電変換素子(受光部)に導く光の集光効率の低下や、ノイズの発生である。
【0016】
本発明は、パターン形状を垂直形状に保つことができ、形成される着色層の膜厚バラツキを抑えることのできるカラーフィルタ用感光性組成物、それを用いたカラーフィルタ及び固体撮像素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、上記課題を解決するものであり、本発明に係る請求項1に記載の発明は、(A)光重合性モノマー、(B)樹脂バインダー、(C)重合開始剤、(D)着色剤及び(E)溶剤を含有するカラーフィルタ用感光性組成物であって、(A)光重合性モノマーが、1分子中に不飽和結合を9〜16個有する多分岐ポリエステル(メタ)アクリレート化合物であることを特徴とするカラーフィルタ用感光性組成物である。
【0018】
本発明に係る請求項2に記載の発明は、(C)光重合開始剤がオキシムエステル系開始剤であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ用感光性組成物である。
【0019】
本発明に係る請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のカラーフィルタ用感光性組成物からなることを特徴とするカラーフィルタである。
【0020】
本発明に係る請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のカラーフィルタを用いたことを特徴とする固体撮像素子である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、形成される着色層の膜厚均一性のよいカラーフィルタ用感光性組成物、それを用いたカラーフィルタ及び固体撮像素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一態様に係る技術により製造可能な固体撮像装置の一例を概略的に示す断面図である。
【図2】図1の固体撮像装置1を構成するカラーフィルタ4を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の固体撮像素子用カラーフィルタ感光性組成物、並びに、それを用いてなるカラーフィルタについて詳細に詳述する。
【0024】
本発明の撮像素子の作製方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、全ての図面を通じて、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0025】
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図1に示す固体撮像装置1は、例えば、CCDイメージセンサ及びCMOSイメージセン
サなどの二次元イメージセンサである。この固体撮像装置1は、半導体チップ2と平坦化層3とカラーフィルタ4とマイクロレンズアレイ5とを含んでいる。
【0026】
半導体チップ2は、平面視で二次元的に配列した複数の画素を含んでいる。各画素は、入射した光の量に応じた信号電荷を発生する光電変換素子21を含んでいる。光電変換素子21は、例えば、画素電極と対向電極とそれらの間に介在した半導体層とを含んだフォトダイオードである。
【0027】
半導体チップ2は、図示しない読出し回路をさらに含んでいる。読出し回路は、光電変換素子21が発生した電荷を読み出す。光電変換素子21は、例えば、CCDやCMOSデバイスなどで構成することができる。
【0028】
平坦化層3は、半導体チップ2上に形成されている。平坦化層3は、カラーフィルタ4に平坦な下地を提供する。平坦化層3は、光透過性を有しており、典型的には無色透明である。また、典型的には、平坦化層3は、紫外線吸収特性を有している。平坦化層3は、例えば透明樹脂からなる。平坦化層3の厚さは、例えば0.8μm以下である。なお、半導体チップ2が表面平坦性に優れている場合や、固体撮像装置1の厚みを薄くしたい場合などには、平坦化層3は省略することができる。
【0029】
カラーフィルタ4は、平坦化層3上に設置されている。カラーフィルタ4は、緑色着色層と青色着色層と赤色着色層とを含んでいる。
【0030】
この例では、緑色着色層は、平面視で市松模様状の配列パターンを形成している複数の緑色着色層からなる。青色着色層は、互いから離間すると共に正方格子状の配列パターンを形成している複数の青色着色層からなる。赤色着色層は、互いから離間すると共に正方格子状の配列パターンを形成している複数の赤色着色層からなる。
【0031】
緑色着色層、青色着色層及び赤色着色層は、面内方向に隣り合っており、ここでは、正方配列を採用している。これらフィルタ緑色着色層、青色着色層及び赤色着色層は、それぞれ画素と向き合っている。
【0032】
緑色着色層、青色着色層及び赤色着色層の平面視での縦横の寸法は、例えば約1μm乃至約10μmの範囲内にあり、典型的には約1.5μm乃至約2.5μmの範囲内にある。なお、一般的な液晶表示装置における画素の寸法は、数100μmである。これらの比較から明らかなように、固体撮像装置用のカラーフィルタには、表示装置用のカラーフィルタと比較して、遥かに高い寸法及び形状精度が要求される。
【0033】
カラーフィルタ4上には、マイクロレンズアレイ5が形成されている。マイクロレンズアレイ5は、例えば、画素の行若しくは列に対応して複数のシリンドリカルレンズを並べた構造を有しているか、又は、画素に対応して複数の半球レンズを並べた構造を有している。
【0034】
この固体撮像装置1は、例えば、以下の方法により製造する。まず、半導体チップ2上に、平坦化層3を形成する。次に、平坦化層3上に、緑色着色層を形成する。即ち、緑色顔料を含んだ感光性組成物を平坦化層3上に塗布し、塗膜をパターン露光し、その後、塗膜を現像し、更に例えば220℃程度の温度でベークを行う。パターン露光には、例えば紫外線を使用し、現像には例えばアルカリ現像液を使用する。これにより、パターン露光の際に未露光部とした部分が開口部となった緑色着色層を得る。なお、緑色着色層の平面視での形状は、図2に示すように市松模様とするのが一般的である。
【0035】
次いで、平坦化層3上に、緑色着色層について説明したのと同様の方法により、青色着色層及び赤色着色層を形成する。青色着色層及び赤色着色層は、どちらを先に形成してもよい。
【0036】
これにより、カラーフィルタ4を得る。その後、このようにして得られたカラーフィルタ4上に、マイクロレンズアレイ5を形成する。以上のようにして、図1に示す固体撮像装置1を完成する。
【0037】
なお、人間の視感度は、青色光及び赤色光と比較して緑色光の方が高い。そのため、パターン形成された緑色着色層のパターン寸法及びパターン形状精度は、青色及び赤色着色層のパターン寸法及びパターン形状精度と比較して、再生画像の画質に及ぼす影響が大きい。したがって、ここでは、緑色着色層を第1番目に形成している。
【0038】
緑色着色層を形成する上で、パターン形状精度については、パターン寸法が1.5μm程度になることで形状に丸みを帯びるようになってしまう。その丸みであるパターンのテーパー部から光が光電変換素子に入射するとノイズが多くなってしまう。
【0039】
また、感光性組成物により着色層を形成する場合に、現像工程や、焼成工程を経て、パターンを形成する。その現像工程はアルカリ現像液を用い、不要部を現像するが、パターン形成部においても、表面が少なからずパターンが削られることになる。その為、塗膜形成時の膜厚を厚く塗布することが必要となる。塗膜が厚くなることで、基板端分で膜厚が厚くなるという課題もある。
【0040】
また、焼成工程においても、現像工程同様に、熱により、形成したパターンが収縮するということがある。現像工程の場合と同様に塗膜時に膜厚を厚くする必要がある。本発明は上記の課題を解決すべく、固体撮像素子用カラーフィルタ感光性組成物である。
【0041】
本発明の固体撮像素子用カラーフィルタ感光性組成物に持ちいられる光重合性モノマーとしては、数平均分子量が1,000〜2,000の範囲の多分岐ポリエステル(メタ)アクリレート化合物であり、多分岐構造を有するハイパーブランチオリゴマーおよび/またはハイパーブランチポリマー、およびデンドリマーから選ばれる少なくとも1種の多官能基を有するポリエステル(メタ)アクリレートである。ハイパーブランチオリゴマーおよび/またはハイパーブランチポリマー、およびデンドリマーは単独でも、2種以上を配合して使用することができる。従来の直鎖状ポリマーと異なるデンドリティック構造である多分岐構造を有するもので、多分岐構造が規則的なもの、あるいは規則的でないもの、また、各々について樹木状分岐構造あるいは放射状構造のものを包含する。なお、多分岐ポリエステル(メタ)アクリレート化合物は、数平均分子量が1,000〜2,000好ましくは、1,300〜2,000のプレポリマーである。数平均分子量が1,000よりも小さいと、パターン寸法が1.5μm程度になることで形状に丸みを帯びるようになってしまう。また、数平均分子量が2,000よりも大きいと、レジストの現像速度が遅くなり、現像残渣が発生しやすくなるという課題がある。
【0042】
本発明の固体撮像素子用カラーフィルタ感光性組成物に用いられる光重合性モノマーは、1分子中に不飽和結合を平均9〜16個有する多分岐ポリエステル(メタ)アクリレート化合物であり、多分岐構造を有するハイパーブランチオリゴマーおよび/またはハイパーブランチポリマーおよびデンドリマーから選ばれる少なくとも1種の多官能基を有するポリエステル(メタ)アクリレートである。ハイパーブランチオリゴマーおよび/またはハイパーブランチポリマー、およびデンドリマーは単独でも、2種以上を混合して使用することができる。1分子中に不飽和結合が9個以下の場合は、露光照射を行っても、十分な架橋密度が得られないために、現像工程により、露光部の塗膜が削られる。また、焼成工程では露光工程から残存する不飽和結合によって熱収縮が起こり、膜厚が小さくなる為、塗布から焼成後での膜厚変化が大きくなってしまう。更に、画素寸法が1.4μm以下のパターンにおいては、画素の形状がテーパー形状になってしまう。また、不飽和結合が16個以上になると、現像性が悪化し、1.4μm以下の形状が悪化することになる。
【0043】
なお、本発明で表すモノマーの数平均分子量は、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めたポリスチレン換算の数平均分子量である
【0044】
多分岐ポリエステル(メタ)アクリレート化合物は、公知のデンドリティックポリマーの合成方法により、例えば、多価アルコールと多塩基酸またはその無水物化合物とから合成して得られる分子末端に官能基を有する高分岐ポリエステル、あるいは環状ラクトンを開環重合して得られる分子末端に官能基を有する高分岐ポリエステルなどの高分岐ポリエステルと、アクリル酸、または、メタクリル酸とを反応させる方法、その他、3官能以上のソルビン酸エステルなどの多官能カルボン酸エステルである高分岐ポリエステルと、多官能性(メタ)アクリル酸エステルとをディールス・アルダー反応により合成する方法などにより得られるデンドリティック構造の多分岐構造を有する多官能基を有する活性エネルギー線重合性ポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。なお、上記の得られたb成分である活性エネルギー線重合性ポリエステル(メタ)アクリレートは、モノマーとしての(メタ)アクリル酸エステルを含有していてもかまわない。
【0045】
デンドリティックポリマーの合成方法合成に使用される多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、グリセリン、ジグリセロール、ペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。
【0046】
また、上記の多価アルコールと反応させる多塩基酸またはその無水物化合物としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、マレイン酸、イタコン酸、コハク酸、テレフタル酸、アゼライン酸、マロン酸、フマル酸、ハイミッタ酸、ヘット酸、トリメリット酸、アコニット酸、ブタントリカルボン酸、6−カルボキシ−3−メチル−1,2,3,6−ヘキサヒドロフタル酸、ダイマー酸、ピロメリット酸、ソルビン酸、ブタンテトラカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などが挙げられる。
【0047】
また、前記の環状ラクトンとしては、例えば、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、D−グルコノ−1,4−ラクトンなどが挙げられる。
【0048】
また、前記の多官能性(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール−1,6−ジ(メタ)アクリレート、3メチルペンタンジオール−1,5−ジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0049】
例えば、サートマージャパン社製、「CN2301」、「CN2302」、など使用することができる。
【0050】
また、発明の固体撮像素子用カラーフィルタ感光性組成物に持ちられる樹脂バインダーとしては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および活性エネルギー線硬化性樹脂が含まれ、その前駆体には、活性エネルギー線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。
【0051】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0052】
活性エネルギー線硬化性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0053】
モノマーおよびオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられ、これらを単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0054】
本発明で使用される光重合開始剤としては、オキシムエステル化合物が用いられ、電子部品用途等の感光性組成物の光重合開始剤として知られている公知の化合物を使用することができる。例えば、特開昭57−116047号公報、特開昭61−24558号公報、特開昭62−201859号公報、特開昭62−286961号公報、特開平7−278214号公報、特開2000−80068号公報、特開2001−233842号公報、特開2004−534797号公報、特開2002−538241号公報、特開2004−359639号公報、特開2005−97141号公報、特開2005−220097号公報、WO2005−080337A1、特開2002−519732号公報、特開2001−235858号公報、特開2005−227525号公報などの各公報に記載
の化合物から選択して使用することができる。
【0055】
好ましいオキシムエステル化合物としては、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)、1,2−オクタジオン−1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]が挙げられる。
【0056】
また、オキシムエステル化合物と併用して、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系光重合開始剤、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4'−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤、ボレート系光重合開始剤、カルバゾール系光重合開始剤、イミダゾール系光重合開始剤等も用いても良い。
【0057】
増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4'−ジエチルイソフタロフェノン、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4'−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。また、本発明の固体撮像素子用カラーフィルタ感光性組成物は、連鎖移動剤としての作用を有する多官能チオールを含有することができる。
【0058】
多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロビオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらの多官能チオールは、1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0059】
多官能チオールの使用量は、感光性着色組成物の全固形分量を基準として0.1〜30質量%が好ましく、より好ましくは1〜20質量%である。0.1質量%未満では多官能チオールの添加効果が不充分であり、30質量%を越えると感度が高すぎて逆に解像度が低下する。
【0060】
本発明で使用される着色剤としては、赤色着色層を形成する場合には、C.I.Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、122、123、146、149、168、177、178、179、184、185、187、192、200、202、208、210、216、220、223、224、226、240、254、255、264、272等の赤色顔料を用いることができる。感光性赤色組成物には、黄色顔料、オレンジ色顔料を併用することができる。
【0061】
緑色着色層を形成する場合には、C.I.Pigment Green 7、10、36、37、58等の緑色顔料を用いることができる。感光性緑色組成物には黄色顔料を併用することができる。
【0062】
青色着色層を形成する場合には、C.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、64、80等の青色顔料を用いることができる。感光性青色組成物には紫色顔料を併用することができる。
【0063】
黄色着色層を形成する場合には、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214等の黄色顔料を用いることができる。
【0064】
紫色着色層を形成する場合には、C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の顔料を用いることができる。
【0065】
マゼンタ色着色層を形成する場合には、C.I.Pigment Red 7、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、146、177、178、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272等の顔料を用いることができる。感光性マゼンタ色組成物には黄色顔料を併用することができる。
【0066】
シアン色着色層を形成する場合には、C.I.Pigment Blue 15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、80等の顔料を用いることができる。
【0067】
オレンジ色着色層を形成する場合には、C.I.Pigment Orange 36、
43、51、55、59、61、71、73等の顔料を用いることができる。
【0068】
本発明で使用される着色剤の色素を分散させる色素担体中に三本ロールミル、二本ロー
ルミル、サンドミル、ニーダー、アトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる。また、各色素を別々に色素担体中に微細に分散したものを混合して製造することもできる。色素を色素担体中に分散する際には、適宜、樹脂型顔料分散剤、界面活性剤、色素誘導体等の分散助剤を含有させることができる。分散助剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて顔料を色素担体中に分散してなる着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。
【0069】
樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、色素担体と相溶性のある部位とを有し、顔料に吸着して顔料の色素担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型顔料分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などの油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0070】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ソーダ、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0071】
さらに、固体撮像素子用カラーフィルタ感光性組成物には、色素を充分に色素担体中に分散させ、ガラス基板等の透明基板上に乾燥膜厚が0.2〜3.0μmとなるように塗布して各着色層を形成することを容易にするために溶剤を含有させることができる。水や有機溶剤等の溶剤が配合される。好適に使用される有機溶剤としては、シクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、モノマー組成、用いる重合開始剤の種類等に応じて、これらを単独でもしくは混合して用いることが出来る。
【0072】
また、固体撮像素子用カラーフィルタ感光性組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。
【0073】
固体撮像素子用カラーフィルタ感光性組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子さらに好ましくは、0.3μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0074】
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、同様な作用効果を奏するものは、本発明の技術的範囲に包含される。
【0075】
本発明のカラーフィルタは、少なくとも1つの赤色着色層、少なくとも1つの緑色着色層および少なくとも1つの青色着色層を具備し、本発明の固体撮像素子用カラーフィルタ感光性組成物を用いてそれぞれ形成することができる。
【0076】
上述した固体撮像素子用カラーフィルタ感光性組成物を使用すると、平坦性に優れたカラーフィルタを形成することができる。カラーフィルタの平坦性が高い場合、平坦性が低い場合と比較して、画素の実効的な感度を向上させることが容易である。
【実施例】
【0077】
以下、本発明について実施例により具体的に説明する。実施例、及び比較例の結果を表1にまとめを示す。なお、実施例、比較例においては、代表的な緑色固体撮像素子用カラーフィルタ感光性組成物について説明する。
【0078】
<アクリルワニスAの合成>
反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート370部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でメタクリル酸12.3部、メタクリル酸ベンジル49.2部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製「アロニックスM−110」)24.2部、及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート14.3部の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、アクリル樹脂の溶液を得た。アクリル樹脂の重量平均分子量は、約30000であった。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加してアクリルワニスA溶液を調製した。実施例1〜2および比較例1〜4はいずれも上記アクリルワニスA溶液を用いた。
【0079】
《実施例1》
[感光性緑色組成物1の調製]
下記の要領でカラーフィルタ作製に用いる感光性緑色組成物を調製した。
【0080】
<緑色顔料分散体1>
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して緑色顔料分散体1を作製した。
・緑色顔料:C.I. Pigment Green 36 16重量部
(東洋インキ製造社製「リオノールグリーン 6YK」)
・黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 150 8重量部
(バイエル社製「ファンチョンファーストイエロー Y-5688」)
・分散剤: 2重量部
(ビックケミー社製「Disperbyk-163」)
・アクリルワニス(固形分20%): 102重量部
【0081】
<感光性緑色組成物1>
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、0.45μmのフィルタで濾過して感光性緑色組成物1を得た。
上記緑色顔料分散体1: 51.0重量部
光重合性モノマー: 9.8重量部
(サトマージャパン社製「CN2301」:平均官能基数9、アクリロイル基を有する)
アクリルワニス(固形分20%): 1.3重量部
光重合開始剤: 0.5重量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「OXE−02」:オキシムエステル系開始剤)
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」): 0.01重量部
シクロヘキサノン: 45.0重量部
【0082】
《実施例2》
[感光性緑色組成物2の調製]
【0083】
<緑色顔料分散体2>
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して緑色顔料分散体2を作製した。
・緑色顔料:C.I. Pigment Green 7: 20重量部
(東洋インキ製造社製「リオノールグリーン Y−101」)
・分散剤: 2重量部
(ビックケミー社製「Disperbyk-163」)
・アクリルワニス(固形分20%): 102重量部
【0084】
<感光性緑色組成物2>
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、0.45μmのフィルタで濾過して感光性緑色組成物2を得た。
実施例1記載の緑色顔料分散体1: 40.0重量部
上記緑色顔料分散体2: 11.0重量部
光重合性モノマー: 11.6重量部
(サトマージャパン社製「CN2302」:平均分子量1,952、平均官能基数16、アクリロイル基を有する)
光重合開始剤: 0.45重量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「OXE−02」:オキシムエステル系開始剤)
増感剤: 0.01重量部
(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」)
シクロヘキサノン: 45.0重量部
【0085】
《比較例1》
実施例1記載の感光性緑色組成物中の光重合性モノマーに東亜合成製「アロニクスM40
0」(数平均分子量600、平均官能基数6、アクリロイル基を有する)を代わりに用いる以外は同様の処方に配合し、感光性緑色組成物3を得た。
【0086】
《比較例2》
実施例1記載の感光性緑色組成物中の光重合開始剤にチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「Irg379」(α-アミノアルキルフェノン系開始剤)を代わりに用いる以外は同様の処方に配合し、感光性緑色組成物4を得た。
【0087】
《比較例3》
実施例1記載の感光性緑色組成物中の光重合性モノマーにサトマージャパン社製「CN2304」(平均官能基数18、アクリロイル基を有する)を代わりに用いる以外は同様の処方に配合し、感光性緑色組成物5を得た。
【0088】
《比較例4》
実施例1記載の感光性緑色組成物中の光重合性モノマーにサトマージャパン社製「CN2303」(平均官能基数6、アクリロイル基を有する)を代わりに用いる以外は同様の処方に配合し、感光性緑色組成物6を得た。
【0089】
<各種評価>
上記、実施例1〜2および比較例1〜4で得られた感光性緑色組成物を用いて、シリコンウエハ上にパターン形成した後、形状、残膜率、露光感度、密着性の評価を行った。その結果を下記の表1に示す。
【0090】
[パターン形成]
6インチシリコンウエハ上に、平坦化膜用レジスト液(HL−18s:新日鐵化学社製)をスピンコートで塗布し、プリベイクとして、100℃のホットプレートで6分加熱処理した。更に、230℃のオーブンにて1時間処理して、塗布膜を硬化させて1.0μmの平坦化膜を形成した。
【0091】
上記で得られた緑色感光性組成物を平坦化膜付シリコンウエハ上に、スピンコーターで塗布し、プリベイクとして、100℃のホットプレートで1分加熱処理した。プリベイク後の膜厚を0.9μmになるように調整した。
【0092】
次に、i線ステッパー(キャノン製FPA−5510iZ)を用い、1.1μm角の正方形ピクセルパターンのマスクを介し、焦点距離を−0.6μmて露光を行った。露光量5,000J照射した。露光後の塗膜を有機アルカリ現像液(ADEKA製0D210)で1分現像し、パドル水洗1分し、スピン乾燥で、基板を乾燥させた。現像、水洗後、緑色パターンを得た。得られた緑色パターンを230℃のホットプレートで4分熱処理を行い緑色パターンの形成を完了した。形成した緑色パターンの膜厚は0.85μmであった。膜厚はAFM(原子間力顕微鏡)東陽テクニカ社製(i−nano)で測定した。
【0093】
[形状評価]
形成されたパターンの形状については、イメージセンサーの枠から32画素分の形状を測長SEM(走査電子顕微鏡)(KLA−Tencor社製:eCD2−XP)で観察し評価した。形成したパターン部の上底線幅と、下底線幅の差が0.3μm以下の場合は○、0.3μm以上の場合は、×とした。
【0094】
[残膜率評価]
塗布し、プリベイク後の膜厚をAとし、露光、現像、230℃/4分の焼成後の膜厚をBとした時の膜厚変化率(残膜率=B/A×100)が90%以上の場合に○、90%以下
を×とした。
【0095】
[露光感度]
i線ステッパー(キャノン社製FPA−5510iZ)を用い、1.1μm角の正方形ピクセルパターンのマスクを介し、焦点距離を−0.6μmて露光を行い、露光量1,000J〜10,000Jの範囲で1,000J間隔で露光照射し、現像、230℃/4分の焼成後の下底線幅が1.1μmになる露光量を適正感度として、適正感度が5,000J以下の場合に○、5,000以上の場合を×とした。
【0096】
[密着性]
積層パターンを形成する際のマスク寸法を0.8、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8μm角の正方形ピクセルパターンのマスクを介し、焦点距離を−0.6μmで露光を行い、形成されるパターンの解像性を評価した。0.8μmから1.4μm以下の解像性を得られるものを○、1.4μmから1.8μm以下の解像性を得られるものを△、それ以外の解像性又は、剥がれについては、×とした。
【0097】
[残渣評価]
露光後の塗膜を現像し、水洗、乾燥工程後の基板を乾燥させた。基板のパターンが形成されていない基板部を測長SEM(走査電子顕微鏡)で観察し、基板上に残渣がないものを○、あるものを×とした。
【0098】
【表1】

【0099】
次に、上記実施例1の感光性緑色組成物1と、以下に記載の感光性青色組成物および感光性赤色組成物を用いて固体撮像素子用カラーフィルタを作製した。
【0100】
<感光性青色組成物の調整>
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して青色顔料分散体を得た。
・青色顔料:C.I. Pigment Blue 15:6 3.6重量部
(東洋インキ製造社製「リオノールブルーES」)
・分散剤: 0.6重量部
(ゼネカ社製「ソルスバーズ20000」)
・アクリルワニス(固形分20%): 22.1重量部
【0101】
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、0.45μmのフィルタで濾過して感光性青色組成物を調整した。
・上記青色顔料分散体: 35.5重量部
・光重合性モノマー: 13.0重量部
(サトマージャパン社製「CN2301」:平均官能基数9、アクリロイル基を有する)
・アクリル系透明樹脂: 11.8重量部
・光重合開始剤: 2.6重量部
(チバガイギー社製「OXE−01」:オキシムエステル系開始剤)
・シクロヘキサノン: 37.1重量部
【0102】
<感光性赤色組成物の調整>
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して赤色顔料分散体を得た。
・赤色顔料:C.I. Pigment Red 254 18重量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガーフォーレッド B-CF」)
・赤色顔料:C.I. Pigment Red 177 2重量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッド A2B」)
・分散剤: 2重量部
(味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821」)
・アクリルワニス(固形分20%): 70.5重量部
【0103】
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、0.45μmのフィルタで濾過して感光性赤色着色組成物を調整した。
・上記赤色顔料分散体: 48.0重量部
・光重合性モノマー: 16.7重量部
(サトマージャパン社製「CN2301」:平均官能基数9、アクリロイル基を有する)
・アクリル系透明樹脂: 15.2重量部
・光重合開始剤: 3.0重量部
(チバガイギー社製「OXE−01」)
・シクロヘキサノン: 17.1重量部
【0104】
[固体撮像素子用カラーフィルタの作製]
6インチシリコンウエハ上に、平坦化膜用レジスト液(HL−18s:新日鐵化学社製)をスピンコートで塗布し、プリベイクとして、100℃のホットプレートで6分加熱処理した。更に、230℃のオーブンにて1時間処理して、塗布膜を硬化させて1.0μmの平坦化膜を形成した。以上のようにして、平坦化膜付きシリコンウエハを得た。
【0105】
上記平坦化膜付シリコンウエハ上に、実施例1の感光性緑色組成物1をスピンコーターで塗布し、プリベイクとして、100℃のホットプレートで1分加熱処理した。プリベイク後の膜厚を0.9μmになるように調整した。
【0106】
次に、i線ステッパー(キャノン社製FPA−5510iZ)を用い、1.1μm角の正方形ピクセルパターンのマスクを介し、焦点距離を−0.6μmて露光を行った。露光量5,000J照射した。
【0107】
露光後の塗膜を有機アルカリ現像液(ADEKA製0D210)で1分現像し、パドル水洗1分し、スピン乾燥で、基板を乾燥させた。その後、230℃のホットプレートで1時間熱処理を行い緑色パターンを形成した。形成した緑色パターンの膜厚は0.85μmであった。膜厚はAFM(原子間力顕微鏡)東陽テクニカ製(i−nano)で測定した。露光量以外は同様の方法で、前記シリコンウエハ上に順次、感光性青色組成物及び感光性赤色組成物を用いて、青色パターン及び赤色パターンを形成してカラーフィルタを得た。なお、青色パターンの露光量8,000J、赤色パターン4,000Jを照射した。形成した青色パターンの膜厚は、0.87μm、赤色パターンの膜厚は0.87μmであった。
【0108】
次に、前記カラーフィルタ上に、平坦化膜用レジスト液(HL−18s:新日鐵化学社製)を用い平坦化層を形成し、その上に、アクリル樹脂の塗布液を用いて透明樹脂層を形成した。次に、透明樹脂層の上にフェノール樹脂からなるレンズ母型材料を塗布して、フォトリソグラフィーブロセスを使用して、レンズ母型となる領域を残すようにパターニングした。残されたレンズ母型材料を熱処理して熱リフローし、半球状に変形させてレンズ母型を形成した。リフロー量を片側0.1μm程度の適正量にすることにより、単位レンズ母型間のギャップが0.24μm程度のスムースな半球状を形成した。次に、ドライエッチング装置により、CF4、C4F8の混合ガスを用い、レンズ母型をマスクとして透明樹脂層に対してレンズ母型の形状の転写処理を行い、高さが1μm、単位レンズ間のギャッブが0.04μmのマイクロレンズを形成し、固体撮像素子用カラーフィルタを作製した。
【0109】
<比較評価>
上記実施例1〜2による本発明品は、上記比較例1〜4による比較品のカラーフィルタに比べて、いずれも、形状、残膜率、露光感度、密着性において優れた結果を示した。また、この固体撮像素子用カラーフィルタを用いた撮像素子は、入射光の取り込み効率をこれまで以上に向上することができた。
【符号の説明】
【0110】
1・・・・固体撮像装置、1‘・・・・固体撮像装置、2・・・・導体チップ、3・・・・平坦化層、4・・・・カラーフィルタ、5・・・・マイクロレンズアレイ、21・・・・光電変換素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)光重合性モノマー、(B)樹脂バインダー、(C)重合開始剤、(D)着色剤及び(E)溶剤を含有するカラーフィルタ用感光性組成物であって、
(A)光重合性モノマーが、1分子中に不飽和結合を9〜16個有する多分岐ポリエステル(メタ)アクリレート化合物であることを特徴とするカラーフィルタ用感光性組成物。
【請求項2】
(C)光重合開始剤がオキシムエステル系開始剤であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ用感光性組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載のカラーフィルタ用感光性組成物からなることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項4】
請求項3に記載のカラーフィルタを用いたことを特徴とする固体撮像素子。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−108178(P2012−108178A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254710(P2010−254710)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】