説明

カラーフィルタ用顔料組成物の製造方法

【課題】低粘度かつ高コントラスト、高明度なカラーフィルタとなりうる、顔料分散体を与える顔料組成物の提供。
【解決手段】C.I.ピグメントレッド177及び一般式1で表される誘導体をアシッドペースティングすることを特徴とするカラーフィルタ用顔料組成物の製造方法。


(式中、Qは置換基を有していてもよいキノフタロン残基を表し、X1は、−NHSO2−などの基を表し、X2は、アリーレン基などを表し、X3は、−NH−などを表し、AおよびBは、アミノ基を有す置換基などを表し、tは1〜3の整数を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶表示装置及び固体撮像素子に用いられるカラーフィルタを製造するために使用される顔料組成物及び着色組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、2枚の偏光板にはさまれた液晶層が、1枚目の偏光板を通過した光の偏光度合いを制御して、2枚目の偏光板を通過する光量をコントロールすることにより表示を行う装置である。2枚の偏光板の間にカラーフィルタを設けることによりカラー表示が可能となり、近年、テレビやパソコンのモニターなどに用いられるようになっている。
【0003】
カラーフィルタは、ガラス等の透明な基盤の表面に、二種類以上の異なった色相を有する微細な帯(ストライプ)状のフィルタセグメントを平行または交差して配置したもの、あるいは微細なフィルタセグメントを縦横一定の配列で配置したものからなっている。フィルタセグメントは数ミクロン〜数100ミクロンと微細であり、しかも色相毎に所定の配列で整然と配置されている。一般にカラー液晶表示装置においては、カラーフィルタの上に液晶を駆動させるための透明電極が蒸着あるいはスパッタリングにより形成され、さらにその上に液晶を一定方向に配向させるための配向膜が形成されている。これらの透明電極及び配向膜の形成工程は、一般に200℃以上、場合によっては230℃以上の高温で行われる。このため、現在カラーフィルタの製造方法としては、着色剤として耐光性、耐熱性に優れる顔料を使用した、顔料分散法と呼ばれる方法が主流となっている。
【0004】
しかし、一般に顔料分散法で製造されたカラーフィルタは、顔料による光の散乱等により、液晶が制御した偏光度合いを乱してしまうという問題がある。そのため、光を遮断しなければならないときに光が漏れたり、光を透過しなければならないときに透過光が減衰したりするため、遮断時と透過時における表示装置上の輝度の比(コントラスト)が低いという点が課題となっている。
【0005】
カラーフィルタ用に使用される顔料のうち、赤色フィルターの製造には、従来、ジアントラキノン顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等が用いられていた。これらのうち、特にジアントラキノン顔料は、塗膜にした際のコントラストが高く、耐光性や耐熱性にも優れているため、この用途に多く使用されている。しかし近年、更なるコントラストの向上が求められており、従来使用されていたジアントラキノン顔料では目的を達成するのが困難となっている。
【0006】
一般に、高い着色力や鮮明な色調を有する顔料には一次粒子が微細であるものが多い。特に、カラーフィルタ用として使用される顔料は、塗膜のコントラストを向上するために、従来の顔料よりもさらなる微細化が施されている場合が多い。
【0007】
微細な顔料粒子を調製するための顔料化法としては、硫酸あるいは燐酸などの酸に顔料を溶解した後、硫酸溶液を水中に注入して析出させる方法や、顔料と水溶性の無機塩及び水溶性の有機溶剤を含む混合物を機械的に混練する方法(以下、ソルベントソルトミリング法と記す)などが知られている。
【0008】
これらの方法によるジアントラキノン顔料の微細化法としては、特許文献1〜6の方法が開示されている。
【0009】
これらのうち特許文献1は、ジアントラキノン顔料などの縮合多環式赤色有機顔料の硫酸溶液を流水中に連続的に加えて縮合多環式赤色有機顔料を析出させる工程を有する顔料の製造方法に関するものである。この方法は通常の顔料を容易に微細化できる方法であるが、結晶成長防止剤や顔料分散剤などを使用していないため、近年のカラーフィルタに要求されている高コントラスト化を達成するための微細化、分散性の点で十分な品質が得られなかった。
【0010】
特許文献2は、有機顔料とスルホン酸基もしくはその塩を有する有機顔料誘導体とを強酸に共溶解させ、その溶液を水に取り出すことによる処理顔料の製造方法に関するものである。この方法によれば、有機顔料と前記有機顔料誘導体の微小単位での混合物、あるいは有機顔料の表面に前記有機顔料誘導体を被覆処理した顔料を調製することができるが、十分な微細化効果を得ることができなかった。また、塩基性官能基を有する分散樹脂を使用して分散する場合には易分散化の効果を有するものの、酸性官能基を有する樹脂を使用した分散系においては分散性が不十分であった。
【0011】
特許文献3〜5は、各種顔料誘導体またはアントラキノン誘導体とC.I.ピグメントレッド177の混合物をソルベントソルトミリング法により微細化、整粒する処理顔料の製造方法に関するものである。この方法によれば微細かつ分散性の良好な処理顔料を調製することができるが、要求される高コントラスト化を達成するためには効果が不十分であった。
【0012】
特許文献6は、顔料誘導体またはアントラキノン誘導体とC.I.ピグメントレッド177の混合物を強酸に共溶解させ、その溶液を水に取り出すことによる処理顔料の製造方法を開示する。この方法によれば微細かつ分散性の良好な処理顔料を調製することができる。しかしながら、要求される高コントラスト化を達成するものの明度の点で不十分であった。
【0013】
一方、顔料分散体の知見として顔料骨格あるいはそれに近い構造を有する各種誘導体を使用することが有効であると知られている。これまでに、顔料骨格に酸性基や塩基性基、フタルイミドメチル基などの官能基を導入した顔料誘導体や、樹脂の一部に顔料骨格を結合した顔料誘導体など、様々な構造が開示されており、分散剤や粒子成長防止剤、結晶転移防止剤などの用途に古くから用いられている。これらのうち、キノフタロン骨格を有する顔料分散剤は、特許文献7〜12に開示されており、いずれもカラーフィルタ用レジストインキなどの着色硬化性組成物に使用されている。これらはいずれも分散状態の改善効果を有するが、より分散粒径が微細であり、流動性、経時保存安定性の良好な顔料分散体を調製するためには十分な特性ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平09−208848号公報
【特許文献2】特開2005−29633号公報
【特許文献3】特開平09−272812号公報
【特許文献4】特開平10−245501号公報
【特許文献5】特開平10−245502号公報
【特許文献6】特許第4396778号公報
【特許文献7】特開2003−167112号公報
【特許文献8】特開2002−179979号公報
【特許文献9】特開2002−121418号公報
【特許文献10】特開2002−121457号公報
【特許文献11】特開2001−335711号公報
【特許文献12】特開2006−291194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、低粘度かつ高コントラスト、高明度なカラーフィルタとなりうる、顔料分散体を与える顔料組成物の提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、C.I.ピグメントレッド177及び下記一般式1で表される誘導体をアシッドペースティングすることを特徴とするカラーフィルタ用顔料組成物の製造方法に関する。
【0017】

【0018】
(式中、Qは置換基を有していてもよいキノフタロン残基を表し、
は、−NR’SO−、−SONR’−、−CONR’−、−CHNR’COCHNR’−、または−NR’CO−から選ばれる基を表し、
は、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアリーレン基または置換基を有していてもよく炭素数が20以下の複素芳香環から選ばれる基を表し(これらの基は、−NR’−、−O−、−SO−または−CO−から選ばれる2価の連結基で相互に結合されていてもよい。)、
は、−NR’−または−O−を表し、(ただし、R’は、水素原子、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルキル基、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルケニル基または置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアリール基を表す。)
AおよびBは、それぞれ独立に、下記一般式2もしくは3で表される基、−O−(CH)n−R、−OR、−NR1011、−Cl、−Fまたは−X−X−X−Qから選ばれる基を表し
は置換されていてもよい含窒素複素環残基を表し、
、R10、およびR11は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルキル基、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルケニル基または置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアリール基を表し、
nは0〜20の整数を表す。
AおよびBのいずれか一方は、下記一般式2もしくは3で表される基、−O−(CH)n−R
−OR、または−NR1011であり、tは1〜3の整数を表す。)
【0019】

【0020】
(式中、Yは−NR’−または−O−を表し、
は、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルキレン基、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルケニレン基または置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアリーレン基から選ばれる基を表し(これらの基は、−NR’−、−O−、−SO−または−CO−から選ばれる2価の連結基で相互に結合されていてもよい。ただし、R’は、一般式1で定義されたものを表す。)、
およびRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルキル基または置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルケニル基を表す。
とRが一体となって、更なる窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含み置換されていてもよい複素環構造を形成してもよい。)
【0021】

【0022】
(式中、Zは、トリアジン環と窒素原子を結ぶ単結合、−NR’−、−NR’−G−C
O−、−NR’−G−CONR’’−、−NR’−G−SO−、−NR’−G−SONR’’−、−O−G−CO−、−O−G−CONR’−、−O−G−SO−、または−O−G−SONR’−を表し
Gは、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルキレン基、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルケニレン基または置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアリーレン基を表し、
R’およびR’’は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルキル基、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルケニル基または置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアリール基を表す。
、R、R、およびRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルキル基、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルケニル基または置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアリール基を表し、
は、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルキル基または置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルケニル基を表す。)
【0023】
また、本発明は、誘導体の含有量が、C.I.ピグメントレッド177と誘導体との合計重量の0.5重量%〜30重量%である、上記カラーフィルタ用顔料組成物の製造方法に関する。
【0024】
また、本発明は、上記製造方法で製造されてなる顔料組成物に関する。
【0025】
また、本発明は、上記顔料組成物及びC.I.ピグメントレッド177以外の赤色顔料または橙色顔料を含有するカラーフィルタ用顔料組成物に関する。
【0026】
また、本発明は、C.I.ピグメントレッド177以外の赤色顔料または橙色顔料が、C.I.ピグメントレッド254、ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73から選ばれる少なくとも1種の顔料である、上記カラーフィルタ用顔料組成物に関する。
【0027】
また、本発明は、着色剤、バインダー樹脂、有機溶剤を含有する着色組成物であって、着色剤が上記C.I.ピグメントレッド177を含む顔料組成物を含有することを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物に関する。
【0028】
また、本発明は、さらに光重合性単量体および/または光重合開始剤を含有することを特徴とする上記カラーフィルタ用着色組成物に関する。
【0029】
また、本発明は、上記カラーフィルタ用着色組成物から形成されるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタに関する。
【発明の効果】
【0030】
本発明のカラーフィルタ用顔料組成物は、C.I.ピグメントレッド177及び特定の顔料誘導体を硫酸に溶解した後に水と混合して顔料粒子を析出させる方法(以下、この方法をアシッドペースティングと記載する。)により得られる。この方法によれば、特定の顔料誘導体のC.I.ピグメントレッド177に対する微細化効果を最大限に発揮することができるため、従来のC.I.ピグメントレッド177顔料と比較して非常に微細な粒子のC.I.ピグメントレッド177を含む顔料組成物が得られる。さらに、特定の顔料誘導体の顔料分散剤としての効果により、未処理のC.I.ピグメントレッド177顔料と比較して分散性の非常に良好な顔料組成物が得られる。この顔料組成物及びそれを含有する着色組成物を使用することにより、高コントラストなカラーフィルタを製造することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、C.I.ピグメントレッド177及び誘導体をアシッドペースティングすることを特徴とするカラーフィルタ用顔料組成物の製造方法に関する。
【0032】
本発明で用いることのできる誘導体は、下記一般式1で表される。
【0033】
【化1】

【0034】
(式中、Qは置換基を有していてもよいキノフタロン残基を表し、
1は、−NR’SO2−、−SO2NR’−、−CONR’−、−CH2NR’COCH2NR’−、または−NR’CO−から選ばれる基を表し、X2は、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアリーレン基または置換基を有していてもよく炭素数が20以下の複素芳香環から選ばれる基を表し(これらの基は、−NR’−、−O−、−SO2−または−CO−から選ばれる2価の連結基で相互に結合されていてもよい。)、X3は、−NR’−または−O−を表し、(ただし、R’は、水素原子、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルキル基、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルケニル基または置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアリール基を表す。)AおよびBは、それぞれ独立に、下記一般式2もしくは3で表される基、−O−(CH2)n−R8、−OR9、−NR1011、−Cl、−Fまたは−X3−X2−X1−Qから選ばれる基を表しR8は置換されていてもよい含窒素複素環残基を表し、R9、R10、およびR11は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルキル基、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルケニル基または置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアリール基を表し、nは0〜20の整数を表す。AおよびBのいずれか一方は、下記一般式2もしくは3で表される基、−O−(CH2)n−R8、−OR9、または−NR1011であり、tは1〜3の整数を表す。)
【0035】
【化2】

【0036】
(式中、Y1は−NR’−または−O−を表し、
2は、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルキレン基、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルケニレン基または置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアリーレン基から選ばれる基を表し(これらの基は、−NR’−、−O−、−SO2−または−CO−から選ばれる2価の連結基で相互に結合されていてもよい。ただし、R’は、一般式1で定義されたものを表す。)、R1およびR2は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルキル基または置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルケニル基を表す。
1とR2が一体となって、更なる窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含み置換されていてもよい複素環構造を形成してもよい。)
【0037】
【化3】

【0038】
(式中、Z1は、トリアジン環と窒素原子を結ぶ単結合、−NR’−、−NR’−G−CO−、−NR’−G−CONR’’−、−NR’−G−SO2−、−NR’−G−SO2NR’’−、−O−G−CO−、−O−G−CONR’−、−O−G−SO2−、または−O−G−SO2NR’−を表しGは、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルキレン基、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルケニレン基または置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアリーレン基を表し、R’およびR’’は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルキル基、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルケニル基または置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアリール基を表す。R3、R4、R5、およびR6は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルキル基、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルケニル基または置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアリール基を表し、R7は、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルキル基または置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルケニル基を表す。)
本発明におけるアルキル基としては、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基、3−ニトロフェナシル基等が挙げられる。
【0039】
本発明における置換基を有してもよく炭素数が20以下のアルケニル基としては、ビニル基、1 − プロペニル基、2 − プロペニル基、イソプロペニル基、1 − ブテニル基、2 − ブテニル基、2 − ペンテニル基、2 − メチルアリル基等が挙げられ、これらの基の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン、水酸基、シアノ基、メルカプト基、アルキル基、アリール基等に置換されたものも挙げられる。
【0040】
本発明における置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−、およびp−トリル基、キシリル基、o−、m−、およびp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基等が挙げられ、これらの基の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン、水酸基、シアノ基、メルカプト基、アルキル基、アルケニル基等に置換されたものも挙げられる。
【0041】
本発明における置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルキレン基、置換基を有してもよく炭素数が20以下のアルケニレン基、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアリーレン基は、上述のアルキル基、アルケニル基、アリール基の水素を除いた2価の連結基である。
【0042】
本発明における置換基を有してもよい炭素数20以下の複素芳香環としては、フラン基、チオフェン基、ピロール基、オキサゾール基、ピリジン基、ピロン基、ピラジン基、ピリミジン基、メラミン基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、チアジアゾール基、インドール基、キノリン基、イソキノリン基、カルバゾール基、アクリジン基、チオキサントン基、クマリン基、アクリドン基、キノキサリン基、ベンゾチアゾール基、フェナジン基、フェナントロリン基、フェノチアジン基、キナクリドン基等が挙げられる。
【0043】
本発明における置換されてもよい含窒素複素環残基としては、ピロール残基、オキサゾール残基、ピリジン残基、ピロン残基、ピラジン残基、ピリミジン残基、メラミン残基、オキサジアゾール残基、トリアゾール残基、チアジアゾール残基、インドール残基、キノリン残基、イソキノリン残基、カルバゾール残基、アクリジン残基、クマリン残基、キノキサリン残基、ベンゾチアゾール残基、フェナジン残基、フェナントロリン残基、フェノチアジン残基、等が挙げられる。


(キノフタロン誘導体の具体例)
以下、本発明における一般式1で表される誘導体としては、具体的に以下に列記する(14−1)〜式(14−13)で表されるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
【化4】


【0045】
【化5】



【0046】
【化6】








【0047】
本発明の顔料組成物に使用するC.I.ピグメントレッド177の形態は特に限定されないが、市販のC.I.ピグメントレッド177を硫酸に添加して溶解して使用するのが最も簡便である。また、C.I.ピグメントレッド177を合成した際の反応混合物からC.I.ピグメントレッド177を分離、精製することなく、そのまま使用してもよい。
【0048】
C.I.ピグメントレッド177は、公知の方法で合成することができる。例えば、1−アミノ−4−ブロモ−アントラキノン−2−スルホン酸を酸性媒体中で銅粉または銅化合物と共に加熱して、4,4’−ジアミノ−1,1’−ジアントラキノニル−3,3’−ジスルホン酸を合成する。次いで80〜90重量%の硫酸中で120〜220℃に加熱して脱スルホン化することにより、C.I.ピグメントレッド177を得ることができる。この方法による合成例は、特公昭38−25842号公報に開示されている。本文献をここに参照して本明細書に組み込む。本発明においては、このようにして合成したC.I.ピグメントレッド177の硫酸溶液をそのまま使用してもよい。その場合、顔料誘導体はいずれの段階で添加してもよい。
【0049】
C.I.ピグメントレッド177及び顔料誘導体を含んだ硫酸溶液を調製する方法は特に限定されない。硫酸中にそれぞれの粉末を添加して溶解してもよいし、それぞれを硫酸に溶解した後に、それぞれの硫酸溶液を混合してもよい。硫酸中にそれぞれの粉末を添加する際の添加順などは限定されない。
【0050】
この硫酸の濃度は、各原料を溶解することができ、且つスルホン化などの反応を発生しない濃度であれば特に限定されないが、70〜98重量%であることが好ましい。濃度が70重量%未満の場合、C.I.ピグメントレッド177の溶解度が低く、溶解するC.I.ピグメントレッド177の単位量あたりに必要となる硫酸量が増加するため、生産性が低下する。また、98重量%を超える場合、C.I.ピグメントレッド177または顔料誘導体が低温でもスルホン化される可能性があり、好ましくない。
【0051】
この硫酸の量は、硫酸の濃度によって増減する必要があるが、それらを完全に溶解し得る量であれば特に限定されない。例えば98重量%の硫酸を使用する場合、C.I.ピグメントレッド177及び顔料誘導体の合計重量に対して3〜100重量倍使用するのが好ましく、さらに好ましくは5〜30重量倍である。硫酸量がこの範囲よりも少ない場合、低温でC.I.ピグメントレッド177及び顔料誘導体を完全に溶解するのが困難な場合がある。また、この範囲よりも多く使用しても品質に与えるメリットはなく、生産性が低下するため、不経済である。
【0052】
C.I.ピグメントレッド177及び顔料誘導体を硫酸に溶解する際の温度は、原料の分解やスルホン化などの反応を発生しない範囲であれば特に限定されないが、例えば98重量%の硫酸を使用する場合、3℃以上60℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは3℃以上40℃以下である。温度が3℃未満である場合、硫酸が凝固してしまい均一に攪拌するのが困難となるため、好ましくない。また、上記の温度よりも高温で溶解する場合、C.I.ピグメントレッド177または顔料誘導体がスルホン化される、あるいは分解する可能性がある。
【0053】
本発明において、C.I.ピグメントレッド177及び顔料誘導体の硫酸溶液を、水と混合して析出させる際の温度は特に限定されない。但し、使用する顔料誘導体の種類によって異なるが、多くの場合、高温で析出させた場合よりも低温の場合に粒子が微細となる傾向があるため、0℃以上60℃以下で行うことが好ましい。その際に使用する水としては水道水、井水、温水など、工業的に使用可能なものはいずれも使用することができるが、析出時の温度上昇を低減するためには、予め冷却した水を使用するのが好ましい。
【0054】
硫酸溶液と水の混合方法は特に限定されず、C.I.ピグメントレッド177及び顔料誘導体を完全に析出させることができればどのような方法で混合しても良い。例えば硫酸溶液を予め調製した氷水に注入する方法や、アスピレーターなどの装置を使用して流水中に連続的に注入するなどの方法で析出させることができる。
【0055】
以上の方法で得られたスラリーを濾過、洗浄して酸性成分を除去し、その後乾燥、粉砕することで本発明の顔料組成物を得ることができる。スラリーを濾過する際、硫酸溶液と水を混合したスラリーをそのまま濾過してもよいが、スラリーの濾過性が悪い場合は濾過前に加熱攪拌してから濾過してもよい。また、塩基性の置換基を有する顔料誘導体を使用した場合、析出後の顔料誘導体は硫酸塩となっている可能性があり、その場合、スラリーを中和した後に濾過するのが好ましい。
【0056】
本発明において、顔料誘導体の含有量は、C.I.ピグメントレッド177と顔料誘導体の合計量のうち、0.5重量%〜30重量%の範囲であることが好ましい。本発明で使用する顔料誘導体は、C.I.ピグメントレッド177と共にアシッドペースティング法で顔料組成物を製造する場合、少量の添加でも非常に微細化効果が高いため、顔料組成物中に0.5重量%添加すれば十分に微細な顔料組成物を調製することができる。また、顔料誘導体の含有量が増加するのに伴い、得られる顔料組成物の一次粒子径は微細となり、それを使用したカラーフィルタのコントラストを向上することができる。しかし、キノフタロン誘導体の添加量が顔料組成物中の30重量%を超えても、添加量の増加に伴った顕著な微細化効果は得られず、さらにC.I.ピグメントレッド177の含有量が低下することにより着色力が低下するため、好ましくない。
【0057】
本発明の顔料組成物は、所望の分光極性を得るため、アシッドペースティングして得られた顔料組成物とあわせてC.I.ピグメントレッド177以外の赤色顔料、橙色顔料又は黄色顔料を含有してもよい。赤色顔料または橙色顔料は特に限定されないが、その例としてC.I.ピグメントレッド7、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、146、177、178、184、185、187、200、202、207、208、210、246、254、255、264、270、272、C.I.ピグメントオレンジ71、73などが挙げられる。その中でも、色特性及びコントラストの観点から、C.I.ピグメントレッド254、255、264、207、48:1、C.I.ピグメントオレンジ71、73から選ばれる少なくとも1種の顔料が好ましく、C.I.ピグメントレッド254が特に好ましい。これらは、それぞれを単独で使用してもよく、2
種類以上を併用してもよい。
【0058】
C.I.ピグメントレッド177以外の赤色顔料、橙色顔料、及び黄色顔料は、一般に市販されている上記の顔料をそのまま使用してもよいが、アシッドペースティングやソルベントソルトミリングなどの方法により所望の粒子径に微細化してもよい。これらの微細化法のうち、アシッドペースティングについては、本発明のカラーフィルタ用顔料組成物を製造する方法と同様にして行うことができる。
【0059】
顔料をソルベントソルトミリング法により微細化する場合、有機顔料、水溶性無機塩および水溶性溶剤の少なくとも三成分からなる混合物を粘土状の混合物とし、ニーダー等で強力に混練する。混練後の混合物を水中に投入し、攪拌機で攪拌してスラリー状とする。これを濾過することにより、水溶性無機塩および水溶性溶剤を除去する。以上のスラリー化と濾過、水洗を繰り返し、微細化された有機顔料を得ることができる。
【0060】
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム等を使用することができる。これらの無機塩は、有機顔料の1重量倍以上、好ましくは20重量倍以下の範囲で用いる。無機塩の量が1重量倍よりも少ない場合、顔料を十分に微細化することが困難である。一方、20重量倍よりも多い場合、混練後に水溶性の無機塩および水溶性溶剤を除去するために多大な労力を要すると同時に、一回に処理できる顔料の量が少なくなるため、生産性の点で好ましくない。
【0061】
上記の顔料の微細化方法では混練に伴って発熱することが多いため、安全性の点から、沸点が120〜250℃程度の水溶性溶剤を使用することが好ましい。水溶性溶剤としては、以下の例には限定されないが、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、低分子量ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
【0062】
また、ソルベントソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、顔料組成物100質量部に対して5〜200質量部の範囲であることが好ましい。
【0063】
本発明のC.I.ピグメントレッド177を含む顔料組成物は、バインダー樹脂および有機溶剤と共に組成物とすることにより、着色組成物として使用することができる。その際、本発明のC.I.ピグメントレッド177を含む顔料組成物以外の着色剤を併用しても良い。
【0064】
(その他着色剤)
本発明の着色組成物は、色度を調製するため等に、本発明の効果を損なわない範囲で上記C.I.ピグメントレッド177を含む顔料組成物以外のその他着色剤として、顔料あるいは染料を併用してもよい。
【0065】
その他着色剤で用いることができる顔料としては、例えば、C.I.ピグメント レッド 7、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、122、146、168、169、176、178、179、184、185、187、200、202、208、210、242、246、254、255、264、270、272、273、274,276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、または287等の赤色顔料を挙げることができる。また、その他着色剤で用いることができる赤色染料としては、キサンテン系、アゾ系(ピリドン系、バルビツール酸系、金属錯体系など)、ジスアゾ系、アントラキノン系などが挙げられる。具体的には、C.I.アシッド レッド 52、87、92、289、338などのキサンテン系酸性染料の造塩化合物等が挙げられる。
【0066】
また、C.I.ピグメント オレンジ 43、71、または73等の橙色顔料および/またはC.I.ピグメント イエロー 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214、218、219、220、または221等の黄色顔料を併用することができる。また、橙色染料および/または黄色染料としては、キノリン系、アゾ系(ピリドン系、バルビツール酸系、金属錯体系など)、ジスアゾ系、メチン系などが挙げられる。
【0067】
併用できるその他着色剤で好ましいものは、C.I.ピグメント レッド 242、254、C.I.ピグメント イエロー 139、150、185が挙げられる。
【0068】
C.I.ピグメントレッド177を含む顔料組成物以外の着色剤を併用する場合、着色剤全量中(100質量%)、本発明のC.I.ピグメントレッド177を含む顔料組成物は40質量%〜100質量%の範囲であることが好ましい。より好ましくは、60質量%〜100質量%の範囲である。本発明のC.I.ピグメントレッド177を含む顔料組成物が40質量%以下の場合は、明度とコントラスト比の優れた効果を十分に発揮できない。
【0069】
(バインダー樹脂)
本発明の着色組成物に含まれるバインダー樹脂としては、従来公知の熱可塑性樹脂、および熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0070】
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、およびポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0071】
カラーフィルタ用着色組成物として用いる場合には、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂であることが好ましい。また、アルカリ現像型着色レジストの形態で用いる場合には、酸性基含有エチレン性不飽和モノマーを共重合したアルカリ可溶性ビニル系樹脂を用いることが好ましい。また、さらに光感度を向上させるために、エチレン性不飽和活性二重結合を有するエネルギー線硬化性樹脂を用いることもできる。
【0072】
酸性基含有エチレン性不飽和モノマーを共重合したアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。これらアルカリ可溶性樹脂としては、具体的には、酸性基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、またはイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、およびスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂、特に酸性基を有するアクリル樹脂は、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。
【0073】
エチレン性不飽和活性二重結合を有するエネルギー線硬化性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する高分子にイソシアネート基、ホルミル基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該高分子に導入した樹脂が用いられる。又、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0074】
熱可塑性樹脂として、アルカリ可溶性能とエネルギー線硬化性能とを併せもつものも、カラーフィルタ用感光性着色組成物として好ましい。
【0075】
上記熱可塑性樹脂を構成するモノマーとして以下のものが挙げられる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、またはエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、
あるいは、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、またはアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類、スチレン、またはα−メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、またはプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類が挙げられる。
【0076】
あるいは、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2−ビスマレイミドエタン1,6−ビスマレイミドヘキサン、3−マレイミドプロピオン酸、6,7−メチレンジオキシ−4−メチル−3−マレイミドクマリン、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド、N−(1−ピレニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、N−(4−アミノフェニル)マレイミド、N−(4−ニトロフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ブロモメチル−2,3−ジクロロマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオナート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチラート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドヘキサノアート、N−[4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9−マレイミドアクリジン等のN-置換マレイミド類が挙げられる。
【0077】
一方、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、およびフェノール樹脂等が挙げられる。中でも、耐熱性向上の観点から、エポキシ樹脂、メラミン樹脂がより好適に用いられる。
【0078】
バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、着色剤を好ましく分散させるためには、5,000〜80,000の範囲が好ましく、より好ましくは7,000〜50,000の範囲である。また数平均分子量(Mn)は2,500〜40,000の範囲が好ましく、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
【0079】
ここで、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、東ソー株式会社製ゲルパーミエイションクロマトグラフィー「HLC−8120GPC」において、分離カラムを4本直列に繋ぎ、充填剤には順に東ソー株式会社製「TSK−GEL SUPER H5000」、「H4000」、「H3000」、および「H2000」を用い、移動相にテトラヒドロフランを用いて測定したポリスチレン換算分子量である。
【0080】
バインダー樹脂をカラーフィルタ用着色組成物として使用する場合には、顔料吸着基及び現像時のアルカリ可溶基として働くカルボキシル基、顔料担体および溶剤に対する親和性基として働く脂肪族基および芳香族基のバランスが、顔料分散性、現像性、さらには耐久性にとって重要であり、酸価20〜300mgKOH/gのバインダー樹脂を用いることが好ましい。酸価が20mgKOH/g未満では、現像液に対する溶解性が悪く、微細パターン形成するのが困難となる。逆に、酸価が300mgKOH/gを超えると、現像で微細パターンが残らなくなり好ましくない。
【0081】
バインダー樹脂は、着色剤の全質量を基準として、20〜500質量%の量で用いることができる。20質量%未満では、成膜性および諸耐性が不十分となり、500質量%より多いと顔料濃度が低く、色特性を発現できない。
【0082】
(有機溶剤)
本発明の着色組成物には、顔料組成物を充分に顔料担体中に分散させ、ガラス基板等の基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために有機溶剤を含有させる。有機溶剤は、着色組成物の塗布性が良好であることに加え、着色組成物各成分の溶解性、さらには安全性を考慮して選定される。
【0083】
有機溶剤としては、例えば、乳酸エチル、ベンジルアルコール、1,2,3−トリクロロプロパン、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。
【0084】
中でも、着色組成物中の各成分の溶解性、および着色組成物の塗布性が良好なことから、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ベンジルアルコール等の芳香族アルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類を用いることが好ましい。
【0085】
これら有機溶剤は、1種を単独で、若しくは2種以上を混合して用いることができる。また有機溶剤は、着色組成物を適正な粘度に調節し、所望とする均一な膜厚のフィルタセグメントを形成するためには、着色剤の全質量を基準(100質量%)にして、500〜4000質量%の量で用いることが好ましい。
【0086】
着色組成物(顔料分散体)を製造するために使用する分散機は特に限定されないが、例えば横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、アトライター、マイクロフルイタイザー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ロールミル、石臼式ミル、超音波分散機、ペイントコンディショナー等が挙げられ、通常分散体を製造するために使用されるあらゆる分散機や混合機を使用することができる。
【0087】
これらの分散機を使用して分散を行う前に、ニーダー、3本ロールミル等の練肉混合機を使用した前分散、あるいは2本ロールミル等による固形分散などの処理を行ってもよい。また、分散機で分散した後、30〜80℃の加温状態にて数時間〜1週間程度保存する後処理や、超音波分散機、衝突型ビーズレス分散機などを用いて後処理する工程は、顔料分散体に分散安定性を付与するために効果的である。
【0088】
また、着色剤を着色剤担体中に分散する際に、適宜、色素誘導体、樹脂型分散剤、界面活性剤等の分散助剤を含有してもよい。分散助剤は、分散後の着色剤の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて着色剤を着色剤担体中に分散してなる着色組成物は、コントラストおよび粘度安定性の向上が期待出来る。
【0089】
(樹脂型分散剤および界面活性剤)
樹脂型分散剤は、顔料組成物に吸着する性質を有する顔料親和性部位と顔料組成物担体と相溶性のある部位とを有し、顔料組成物に吸着して着色組成物中での分散を安定化する働きをするものである。樹脂型分散剤としては、具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0090】
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155、またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、6919、またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等、チバ・ジャパン社製のEFKA−46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
【0091】
また、界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0092】
樹脂型分散剤、界面活性剤を添加する場合には、着色剤の全量を基準(100質量%)として、好ましくは0.1〜55質量%、さらに好ましくは0.1〜45質量%である。樹脂型分散剤、界面活性剤の配合量が、0.1質量%未満の場合には、添加した効果が得られ難く、配合量が55質量%より多いと、過剰な分散剤により分散に影響を及ぼすことがある。
【0093】
本発明の着色組成物は、さらに光重合性単量体および/または光重合開始剤を添加し、感光性着色組成物として使用することができる。
【0094】
(光重合性単量体)
本発明の感光性着色組成物に使用される光重合性単量体には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。モノマーの配合量は、着色組成物の全重量を基準(100重量%)として、5〜400重量%であることが好ましく、光硬化性および現像性の観点から10〜300重量%であることがより好ましい。
【0095】
紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマー、オリゴマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0096】
(光重合開始剤)
本発明の着色組成物は、該組成物を紫外線照射により硬化させ、フォトリソグラフ法によりフィルタセグメントを形成する場合は、光重合開始剤を加えて感光性着色組成物とすることで、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材の形態で調整することができる。
【0097】
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、または2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、またはベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、または3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、または2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、または2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、またはO−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物; ボレート系化合物; カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が用いられる。
【0098】
これらの光重合開始剤は1種または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。これらの光重合開始剤は、感光性着色組成物中の着色剤の全量を基準(100質量%)として、2〜200質量%であることが好ましく、光硬化性及び現像性の観点から3〜150質量%であることがより好ましい。
【0099】
(増感剤)
さらに、本発明の着色組成物には、増感剤を含有させることができる。
【0100】
増感剤としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ−ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,又は4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
【0101】
さらに具体的には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、及び「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
【0102】
増感剤は、必要に応じて任意の比率で二種以上用いてもかまわない。増感剤を使用する際の配合量は、感光性着色組成物中に含まれる光重合開始剤の全重量を基準(100質量%)として、3〜60質量%であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から5〜50質量%であることがより好ましい。
【0103】
(アミン系化合物)
また、本発明の着色組成物には、溶存している酸素を還元する働きのあるアミン系化合物を含有させることができる。
【0104】
このようなアミン系化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、およびN,N−ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
【0105】
(レベリング剤)
本発明の着色組成物には、透明基板上での組成物のレベリング性をよくするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造またはポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ−2122、ビックケミー社製BYK−333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、着色組成物または感光性着色組成物の全重量を基準(100質量%)として、0.003〜0.5質量%用いることが好ましい。
【0106】
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、着色組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
【0107】
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ−2110、FZ−2122、FZ−2130、FZ−2166、FZ−2191、FZ−2203、FZ−2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0108】
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。
【0109】
レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0110】
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
【0111】
(硬化剤、硬化促進剤)
本発明の着色組成物には、熱硬化性樹脂の硬化を補助するため、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤などを含んでいてもよい。硬化剤としては、フェノール系樹脂、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物などが有効であるが、特にこれらに限定されるものではなく、熱硬化性樹脂と反応し得るものであれば、いずれの硬化剤を使用してもよい。また、これらの中でも、1分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物、アミン系硬化剤が好ましく挙げられる。上記硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物およびその塩(例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S−トリアジン誘導体(例えば、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記硬化促進剤の含有量としては、熱硬化性樹脂全量(100質量%)に対し、0.01〜15質量%が好ましい。
【0112】
(その他の添加剤成分)
本発明の着色組成物には、経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
【0113】
貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色剤の全量を基準(100質量%)として、0.1〜10質量%の量で用いることができる。
【0114】
密着向上剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等のシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、着色組成物中の着色剤の全量を基準(100質量%)として、0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%の量で用いることができる。
【0115】
(粗大粒子の除去)
本発明の着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
【0116】
(カラーフィルタ)
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、および青色フィルタセグメントを具備するものであり、その中の赤色フィルタセグメントが、本発明のC.I.ピグメントレッド177を含む顔料組成物を含有する着色組成物から形成される。
【0117】
緑色フィルタセグメントは、緑色顔料と着色剤担体を含む通常の緑色着色組成物を用いて形成することができる。緑色顔料としては、例えばC.I.ピグメント グリーン7、10、36、37、58等が用いられる。
【0118】
また緑色着色組成物には、黄色顔料を併用することができる。併用可能な黄色顔料としては、C.I.ピグメント イエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214、218、219、220、または221等の黄色顔料を挙げることができる。また黄色を呈する塩基性染料、酸性染料の造塩化合物を併用することもできる。
【0119】
青色フィルタセグメントは、青色顔料と着色剤担体を含む通常の青色着色組成物を用いて形成することができる。青色顔料としては、例えばC.I.ピグメント ブルー 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等が用いられる。また青色着色組成物には、紫色顔料を併用することができる。併用可能な紫色顔料としては、C.I.ピグメント バイオレット 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料を挙げることができる。また、青色や紫色を呈する塩基性染料、酸性染料の造塩化合物を使用することもできる。染料を使用する場合、キサンテン系染料が耐熱性と明度の点で好ましい。
【0120】
(カラーフィルタの製造方法)
本発明のカラーフィルタは、印刷法またはフォトリソグラフィー法により、製造することができる。
【0121】
印刷法によるフィルタセグメントの形成は、印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
【0122】
フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製した着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジスト材の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
【0123】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジストを塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0124】
本発明のカラーフィルタは、上記方法の他に電着法、転写法などにより製造することができるが、本発明の着色組成物はいずれの方法にも用いることができる。なお、電着法は、基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめフィルタセグメントを形成しておき、このフィルタセグメントを所望の基板に転写させる方法である。
【0125】
透明基板あるいは反射基板上に各色フィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリクスを形成することができる。ブラックマトリクスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されない。また、上記の透明基板あるいは反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後に各色フィルタセグメントを形成することもできる。また本発明のカラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や透明導電膜などが形成される。
【実施例】
【0126】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
製造例1 <顔料組成物P−Aの製造>
攪拌容器中に秤量した98%−硫酸5kgを室温で攪拌しながら、表1に示すとおり、C.I.ピグメントレッド177(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッドA2B」)460g及び表2に示すキノフタロン誘導体A 40gを徐々に添加し、そのまま室温で1時間攪拌して完全に溶解させ、硫酸溶液を得た。別の攪拌容器中で水25kgと氷25kgを混合し、それを攪拌しながら上記の硫酸溶液を徐々に注入し、スラリーを得た。得られたスラリーを濾過し、濾液のpHが7以上になるまで水洗した。これを乾燥、粉砕して顔料組成物P−A 460gを得た。
製造例2〜6 <顔料組成物P−B〜P−Fの製造>
製造例1において、キノフタロン誘導体Aを表2に示した誘導体B〜Fに変更し、配合量を表1に示すとおりに変更した以外は製造例1と同様にして顔料組成物P−B〜P−Fを製造した。
製造例7 <顔料組成物P−Gの製造>
攪拌容器中に秤量した98%−硫酸5kgを室温で攪拌しながら、表1に示すとおり、C.I.ピグメントレッド177(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッドA2B」)460g及び表2に示すキノフタロン誘導体A 40gを徐々に添加し、そのまま室温で1時間攪拌して完全に溶解させ、硫酸溶液を得た。5℃の水を3.5kg/cm2の水圧で通流させたアスピレーターに上記の硫酸溶液を吸引させ、顔料組成物を析出させてスラリーを得た。スラリーに水酸化ナトリウムを添加してpHを11に調整し、80℃で1時間攪拌した。これを濾過し、濾液のpHが9以下になるまで水洗した。その後乾燥、粉砕して顔料組成物P−G 460gを得た。
製造例8〜12 <顔料組成物P−H〜P−Lの製造>
製造例7において、キノフタロン誘導体Aを表2に示した誘導体B〜Fに変更し、配合量を表1に示すとおりに変更した以外は製造例7と同様にして顔料組成物P−H〜P−Lを製造した。
製造例13 <顔料組成物P−Mの製造>
C.I.ピグメントレッド177(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッドA2B」)460g、キノフタロン誘導体A 40g、塩化ナトリウム5000g、およびジエチレングリコール1250gの混合物を、ステンレス製5ガロンニーダー(井上製作所製)を使用し、60℃で6時間混練した。次に、この混練物を15リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とした。濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、乾燥、粉砕して460gの顔料組成物P−Mを得た。
製造例14〜18 <顔料組成物P−N〜P−Rの製造>
製造例13において、キノフタロン誘導体Aを表2に示した誘導体B〜Fに変更し、配合量を表1に示すとおりに変更した以外は製造例13と同様にして顔料組成物P−N〜P−Rを製造した。
【0127】
【表1】

【0128】
【表2】

【0129】
<バインダー樹脂溶液の製造方法>
(アクリル樹脂溶液1の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン196部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、n−ブチルメタクリレート37.2部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート12.9部、メタクリル酸12.0部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)20.7部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.1部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにメトキシプロピルアセテートを添加してアクリル樹脂溶液1を調製した。重量平均分子量(Mw)は26000であった。
【0130】
(アクリル樹脂溶液2の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン207部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、メタクリル酸20部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製アロニックスM110)20部、メタクリル酸メチル45部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート8.5部、及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル1.33部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、共重合体樹脂溶液を得た。次に得られた共重合体溶液全量に対して、窒素ガスを停止し乾燥空気を1時間注入しながら攪拌したのちに、室温まで冷却した後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズMOI)6.5部、ラウリン酸ジブチル錫0.08部、シクロヘキサノン26部の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液2を調製した。重量平均分子量(Mw)は18000であった。
【0131】
(バインダー樹脂の重量平均分子量)
アクリル樹脂の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
(実施例1〜6および比較例1A〜30A、1S〜18S)
顔料組成物、以下の表3で示される誘導体G〜I、アクリル樹脂溶液1、溶剤としてシクロヘキサノンを表4の通りに配合し、均一に撹拌混合した後、直径1mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で3時間分散した。これを5μmのフィルターで濾過し、着色組成物を製造した。
【0132】
【表3】


【0133】
(着色組成物の評価)
<粘度>
実施例1〜6および比較例1A〜30A、1S〜18Sで得られたカラーフィルタ用着色組成物の25℃における粘度を、コーンプレートタイプの粘度計(東機産業社製「TVE−20L型」)で測定した。
【0134】
<塗布基板の製造>
実施例1〜6および比較例1A〜30A、1S〜18Sで得られたカラーフィルタ用着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて300rpm、500rpm、1000rpm、1500rpmの回転数で塗布し、これを60℃で20分間乾燥して膜厚が異なる4種の塗布基板を得た。
<明度(Y)、色度(x,y)>
上記で製造した塗布基板について、C光源での明度(Y)及び色度(x,y)を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)で測定した。
【0135】
<コントラスト>
輝度計として株式会社トプコン製の色彩輝度計BM−5Aを、偏光板としてサンリツ社製の偏光フィルムLLC2−92−18を使用し、上記で製造した塗布基板の輝度を測定した。塗布基板を2枚の偏光板にはさみ、偏光板を平行にした場合と直交にした場合の輝度をそれぞれ測定し、平行にした場合の輝度と直交にした場合の輝度の比をコントラストとした。

コントラスト=(偏光板を平行にした場合の輝度)/(偏光板を直行にした場合の輝度)

尚、測定に際しては、不要光を遮断するために、測定部分に1cm角の孔を開けた黒色のマスクを当てて測定を行った。異なる回転数で製造した4枚の塗布基板について測定したコントラスト及び色度から、コントラスト対xのプロットを製造した。各プロットを直線で結び、x=0.60におけるコントラストを近似した。
【0136】
【表4】

※(粘度)20以下:◎、21〜40:○、41〜60:△、60以上:×
(明度)16以上:◎、15.9〜14:○、13.9〜12:△、11.9以下:×
(コントラスト)1700〜1501:◎、1500〜1301:○、1300〜1101:△、
1100以下:×
【0137】
表から明らかなように、C.I.ピグメントレッド177をソルトミリング法により微細化した比較例1S〜18Sはキノフタロン誘導体の有無に関わらず、いずれも明度やコントラストが悪く、一部粘度が異常値を示し測定不能な分散体も生じた。
【0138】
また、C.I.ピグメントレッド177をアシッドペースティング法により微細化した場合は、高明度、高コントラストであり、キノフタロン誘導体を用いてアシッドペースティング法により微細化した実施例1〜6の着色組成物は、一般式1で示されるキノフタロン誘導体を用いずにアシッドペースティング法により微細化した比較例1A〜36Aと比較して、さらに、低粘度かつ高コントラスト、高明度な分散体が得られた。
【0139】
以上の結果から、C.I.ピグメントレッド177を、特に、一般式1で示されるキノフタロン誘導体を用いてアシッドペースティング法により微細化することによって低粘度かつ高コントラスト、高明度な分散体が得られることが証明できた。
【0140】
<カラーフィルタの製造>
カラーフィルタの製造に使用する赤色感光性着色組成物と緑色感光性着色組成物と青色感光性着色組成物の製造を行った。
【0141】
(赤色着色組成物2の製造)
下記に示す配合組成の混合物を均一に撹拌混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズを用いて、ピコミル(浅田鉄工社製)で8時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、赤色着色組成物2を製造した。
ジケトピロロピロール系顔料(PR254) 10.8部
誘導体I 1.2部
アクリル樹脂溶液1 40.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 48.0部
【0142】
(赤色感光性着色組成物1(RR−1)の製造)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過し、赤色感光性着色組成物1(RR−1)を製造した。なお、実施例1で製造した着色組成物を赤色着色組成物1とする。
赤色着色組成物1 38.2部
赤色着色組成物2(PR254) 3.8部
アクリル樹脂溶液2 13.2部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM400」) 2.8部
光重合開始剤(チバ・ジャパン社製「イルガキュアー907」) 2.0部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 0.4部
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート 39.6部
【0143】
(緑色着色組成物1(GP−1)の製造)
下記に示す配合組成の混合物を均一に撹拌混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズを用いて、ピコミルで8時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、緑色着色組成物1(GP−1)を製造した。
緑色顔料(C.I.ピグメント グリーン 36) 6.8部
黄色顔料(C.I.ピグメント イエロー 150) 5.2部
樹脂型分散剤(チバ・ジャパン社製「EFKA4300」) 1.0部
アクリル樹脂溶液1 35.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 52.0部
【0144】
(緑色感光性着色組成物1(GR−1)の調製)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過し、緑色感光性着色組成物1(GR−1)を製造した。
緑色着色組成物1(GP−1) 42.0部
アクリル樹脂溶液2 13.2部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM400」) 2.8部
光重合開始剤(チバ・ジャパン社製「イルガキュアー907」) 2.0部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 0.4部
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート 39.6部
【0145】
(青色着色組成物1(BP−1)の調製)
下記に示す配合組成の混合物を均一に撹拌混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズを用いて、ピコミルで8時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、青色着色組成物1(BP−1)を製造した。
青色顔料(C.I.ピグメント ブルー 15:6) 7.2部
紫色顔料(C.I.ピグメント バイオレット 23) 4.8部
樹脂型分散剤(チバ・ジャパン社製「EFKA4300」) 1.0部
アクリル樹脂溶液1 35.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 52.0部
【0146】
(青色感光性着色組成物1(BR−1)の調製)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過し、青色感光性着色組成物1(BR−1)を製造した。
青色着色組成物1(BP−1) 34.0部
アクリル樹脂溶液2 15.2部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM400」) 3.3部
光重合開始剤(チバ・ジャパン社製「イルガキュアー907」) 2.0部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 0.4部
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート 45.1部
【0147】
ガラス基板上にブラックマトリクスをパターン加工し、該基板上にスピンコーターで本発明の赤色感光性着色組成物1(RR−1)をx=0.640、y=0.328になるような膜厚に塗布し着色被膜を形成した。該被膜にフォトマスクを介して、超高圧水銀ランプを用いて300mJ/cm2の紫外線を照射した。次いで0.2重量%の炭酸ナトリウム水溶液からなるアルカリ現像液によりスプレー現像して未露光部分を取り除いた後、イオン交換水で洗浄し、この基板を230℃で20分加熱して、赤色フィルタセグメントを形成した。同様の方法により、緑色感光性着色組成物1(GR−1)をx=0.300、y=0.600になるような膜厚に、青色感光性着色組成物1(BR―1)を用いてx=0.150、y=0.060になるような膜厚にそれぞれ塗布し、緑色フィルタセグメント、青色フィルタセグメントを形成して、カラーフィルタが得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
C.I.ピグメントレッド177及び下記一般式1で表される誘導体をアシッドペースティングすることを特徴とするカラーフィルタ用顔料組成物の製造方法。
【化1】


(式中、Qは置換基を有していてもよいキノフタロン残基を表し、
1は、−NR’SO2−、−SO2NR’−、−CONR’−、−CH2NR’COCH2NR’−、または−NR’CO−から選ばれる基を表し、
2は、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアリーレン基または置換基を有していてもよく炭素数が20以下の複素芳香環から選ばれる基を表し(これらの基は、−NR’−、−O−、−SO2−または−CO−から選ばれる2価の連結基で相互に結合されていてもよい。)、
3は、−NR’−または−O−を表し、(ただし、R’は、水素原子、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルキル基、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルケニル基または置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアリール基を表す。)
AおよびBは、それぞれ独立に、下記一般式2もしくは3で表される基、−O−(CH2)n−R8、−OR9、−NR1011、−Cl、−Fまたは−X3−X2−X1−Qから選ばれる基を表し
8は置換されていてもよい含窒素複素環残基を表し、
9、R10、およびR11は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルキル基、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルケニル基または置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアリール基を表し、
nは0〜20の整数を表す。
AおよびBのいずれか一方は、下記一般式2もしくは3で表される基、−O−(CH2)n−R8
−OR9、または−NR1011であり、tは1〜3の整数を表す。)
【化2】

(式中、Y1は−NR’−または−O−を表し、
2は、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルキレン基、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルケニレン基または置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアリーレン基から選ばれる基を表し(これらの基は、−NR’−、−O−、−SO2−または−CO−から選ばれる2価の連結基で相互に結合されていてもよい。ただし、R’は、一般式1で定義されたものを表す。)、
1およびR2は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルキル基または置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルケニル基を表す。
1とR2が一体となって、更なる窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含み置換されていてもよい複素環構造を形成してもよい。)





【化3】


(式中、Z1は、トリアジン環と窒素原子を結ぶ単結合、−NR’−、−NR’−G−C
O−、−NR’−G−CONR’’−、−NR’−G−SO2−、−NR’−G−SO2NR’’−、−O−G−CO−、−O−G−CONR’−、−O−G−SO2−、または−O−G−SO2NR’−を表し
Gは、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルキレン基、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルケニレン基または置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアリーレン基を表し、
R’およびR’’は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルキル基、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルケニル基または置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアリール基を表す。
3、R4、R5、およびR6は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルキル基、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルケニル基または置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアリール基を表し、
7は、置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルキル基または置換基を有していてもよく炭素数が20以下のアルケニル基を表す。)
【請求項2】
誘導体の含有量が、C.I.ピグメントレッド177と誘導体との合計重量の0.5重量%〜30重量%である、請求項1に記載のカラーフィルタ用顔料組成物の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2の製造方法で製造されてなる顔料組成物。
【請求項4】
請求項3記載の顔料組成物及びC.I.ピグメントレッド177以外の赤色顔料または橙色顔料を含有するカラーフィルタ用顔料組成物。
【請求項5】
C.I.ピグメントレッド177以外の赤色顔料または橙色顔料が、C.I.ピグメントレッド254、ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73から選ばれる少なくとも1種の顔料である、請求項4に記載のカラーフィルタ用顔料組成物。
【請求項6】
着色剤、バインダー樹脂、有機溶剤を含有する着色組成物であって、着色剤が請求項3〜5いずれか記載のC.I.ピグメントレッド177を含む顔料組成物を含有することを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項7】
さらに光重合性単量体および/または光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項6記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項8】
請求項6または7記載のカラーフィルタ用着色組成物から形成されるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタ。

【公開番号】特開2012−188564(P2012−188564A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53892(P2011−53892)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000222118)東洋インキSCホールディングス株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】