説明

カラーフィルタ用黄色着色組成物及びカラーフィルタ

【課題】本発明は、コントラスト比が高く、明度が高く、かつ色再現領域が広いカラーフィルタの製造に用いられる黄色着色組成物、およびそれを用いたメリハリのある鮮やかな色を表現し得る液晶表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】色素(a)、バインダー樹脂(b)、有機溶剤(c)、活性エネルギー線重合開始剤(d)、及び活性エネルギー線硬化性単量体(e)を含有してなる着色組成物において、該色素(a)が、BET法による比表面積90m2/g以上のアゾ系黄色顔料である主たる色素(a1)と、その他の黄色顔料、またはオレンジ色顔料である調色用色素(a2)とを含み、該調色用色素(a2)の含有量が色素(a)の合計100重量%中、0.07重量%以上20重量%未満であり、かつ特定の分光を有すること特徴とするカラーフィルタ用黄色着色組成物によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶表示装置、及びカラー撮像管素子等に用いられるカラーフィルタの製造に使用するカラーフィルタ用黄色着色組成物、並びに、これを用いて形成されるカラーフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶表示装置は、基本的に、第1の透明電極層が形成された第1の透明基板と、第2の透明電極層が形成された第2の透明基板と、これらの間に封入された液晶層とを備え、カラーフィルタは、通常、第2の透明基板と第2の透明電極との間に形成される。第1および第2の透明基板の外側には、それぞれ第1および第2の偏光板が設けられており、第1の偏光板の外側にはバックライト光源を含むバックライトユニットが設置されている。
このような液晶表示装置では、第1および第2の透明電極層間に印加する電圧をフィルタセグメント毎に調整し、第1の偏光板を通過したバックライトユニットからの光の偏光度合いを制御して、第2の偏光板を通過する光量をコントロールすることにより表示が行われる。従って、カラーフィルタおよび偏光板の色特性は、液晶表示装置の色特性を決定する重要な因子となっている。
【0003】
カラーフィルタは、ガラス等の透明な基板の表面に、遮光パターンであるブラックマトリックスと赤色、緑色および青色の微細な帯(ストライプ)状のフィルタセグメントを平行または交差して配置したもの、あるいは微細なフィルタセグメントを縦横一定の配列で配置したものから構成されている。カラーフィルタを構成するフィルタセグメントまたはブラックマトリックスは、ガラス基板などに感光性材料を塗布し、余剰の溶剤を乾燥除去したあと、画素形成のためのフォトマスクを介しプロキシミティ露光(紫外光源露光)などで活性エネルギー線を照射し、硬化(ネガ型)またはアルカリ溶解度を高め(ポジ型)、アルカリ溶液などで溶解する部分を除去すること、いわゆるフォトリソグラフィー法により形成されるのが一般的である。これを各色について繰り返すことにより、カラーフィルタが作製される。
【0004】
カラーフィルタ作製には、従来塗布装置としてのスピナー、バーコータあるいはロールコータなどが使用されていたが、塗工液の消費量を削減し、また、塗膜の物性を向上する上で近年に至ってはダイコータの使用が検討されている。ダイコータは、従来から厚膜塗工や、高粘度塗料を連続塗布する用途に広く採用されており、ダイコータを用いて被塗工材塗膜を形成する場合には、ビード法などの塗工方法が知られる。ビード法は、ダイコータの口金に設けられたスリットから塗料を吐出して、口金と一定の間隔を保って相対的に走行する被塗工材との間にビードと呼ばれる塗料溜りを形成し、この状態で被塗工材の走行に伴って塗料を引き出して塗膜を形成する方法である。この方法では、塗料の無駄がほとんどなく、また、スリットから吐出されるまで塗料送液経路が密閉されているのであるから、塗料の変質、異物の混入を防止でき、得られる塗膜の品質を高く維持できる。
【0005】
しかしながら、カラーフィルタの製造においては、塗工膜の乾燥時膜厚が10μm以下の薄膜であり、このようなより薄い塗膜を塗工しようとした場合、ビードの容積は小さくなるため、ビードの安定性が損なわれ、塗膜表面に口金の進行方向に対して直角方向に生じる、横スジムラが発生する可能性が高くなる。このようなムラが発生した塗膜は、カラーフィルタにおける着色層としては用いることができないため、このようなスジムラの発生の少ない着色層の形成が望まれていた。
【0006】
液晶表示装置は、近年その薄型であることゆえの省スペース性、軽量性、また省電力性などが評価され、大型のテレビ、モニタにも用途が急速に拡大してきていることから、液晶表示装置の色特性を決定するカラーフィルタに対して高輝度化、高色再現性、高コントラスト化の要求が高まっている。
【0007】
高色再現化の手段としては、カラーフィルタに赤色、緑色および青色フィルタセグメントに加えて第4のフィルタセグメントを具備させることが有効であり、第4のフィルタセグメントとしては、高輝度化の点でも有利な黄色フィルタセグメントを用いることが効果的である。
4色のフィルタセグメントで色再現することにより、3色で構成するカラーフィルタより色再現域を拡大することができ、また、赤色、緑色および青色に比べ高い輝度を有する黄色を加える事によりカラーフィルタの高輝度化が検討されている。
しかし、従来用いられている黄色フィルタセグメントでは、コントラスト比、および明度が不十分であるのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−096470号公報
【特許文献2】特開2008−052239号公報
【特許文献3】特開2009−008920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、コントラスト比が高く、明度が高く、かつ色再現領域が広いカラーフィルタの製造に用いられる黄色着色組成物、およびそれを用いたメリハリのある鮮やかな色を表現し得る液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の黄色着色組成物は、色素(a)、バインダー樹脂(b)、有機溶剤(c)、活性エネルギー線重合開始剤(d)、及び活性エネルギー線硬化性単量体(e)を含有してなる着色組成物において、該色素(a)が、BET法による比表面積90m2/g以上のアゾ系黄色顔料である主たる色素(a1)と、その他の黄色顔料、またはオレンジ色顔料である調色用色素(a2)とを含み、該調色用色素(a2)の含有量が色素(a)の合計100重量%中、0.07重量%以上20重量%未満であり、かつ、該着色組成物を用いて470nmにおける分光透過率が1%以下になるように塗膜を形成したとき、該塗膜の520nmにおける分光透過率が80%以下、かつ540nmにおける分光透過率が75%以上、かつ600nmにおける分光透過率が90%以上であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、主たる色素(a1)が、C.I.ピグメントイエロー150であることを特徴とする前記カラーフィルタ用黄色着色組成物に関する。
また、本発明は、調色用色素(a2)が、C.I.ピグメントイエロー139またはC.I.ピグメントオレンジ38であることを特徴とする前記カラーフィルタ用黄色着色組成物に関する。
また、本発明は、前記カラーフィルタ用黄色着色組成物から形成されてなるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタに関する。
また、本発明は、赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、青色フィルタセグメント、および黄色フィルタセグメントを備えるカラーフィルタにおいて、該黄色フィルタセグメントが、前記カラーフィルタ用黄色着色組成物により形成されてなるカラーフィルタに関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の黄色着色組成物を用いた黄色フィルタセグメントは、コントラスト比、明度に優れており、該黄色フィルタセグメントと、赤色フィルタセグメントと、緑色フィルタセグメントと、青色フィルタセグメントとを具備するカラーフィルタは、コントラスト比が高く、明度が高く、かつ色再現領域が広いカラーフィルタであって、メリハリのある鮮やかな色を表現し得る液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一般的な擬似白色LEDバックライトの発光スペクトルと黄色からフィルタの透過率スペクトルを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物の各種構成成分について説明する。
なお、以下に挙げる「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0015】
本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物は、色素(a)、バインダー樹脂(b)、有機溶剤(c)、活性エネルギー線重合開始剤(d)、及び活性エネルギー線硬化性単量体(e)を含有してなるカラーフィルタ用黄色着色組成物であって、該色素(a)が、BET法による比表面積90m2/g以上のアゾ系黄色顔料である主たる色素(a1)と、その他の黄色顔料、またはオレンジ色顔料である調色用色素(a2)とを含み、該調色用色素(a2)の含有量が色素(a)の合計100重量%中、0.07重量%以上20重量%未満であり、かつ、該着色組成物を用いて470nmにおける分光透過率が1%以下になるように塗膜を形成したとき、該塗膜の520nmにおける分光透過率が80%以下、かつ540nmにおける分光透過率が75%以上、かつ600nmにおける分光透過率が90%以上である。
本願発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物は、塗膜が上記特定の分光特性を有するために、コントラスト比が高く、明度が高く、かつ色再現領域が広いという特性のバランスに優れたカラーフィルタが得られる。特に、乾燥後の膜厚2.5μm以下の塗膜において、該着色組成物を用いて470nmにおける分光透過率が1%以下になるように塗膜を形成したとき、該塗膜の520nmにおける分光透過率が80%以下、かつ540nmにおける分光透過率が75%以上、かつ600nmにおける分光透過率が90%以上である場合には、近年要求される薄膜化、高明度化への対応が可能となり、かつ省エネ・省資源の観点からも好ましい。
【0016】
<色素(a)>
本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物は、色素(a)として、BET法による比表面積90m2/g以上のアゾ系黄色顔料である主たる色素(a1)とその他の黄色顔料、またはオレンジ色顔料である調色用色素(a2)とを含有する。本発明においては、全色素(a)中に占める重量%が最も多い色素を主たる色素とし、全色素(a)中に占める重量%が主たる色素よりも少ない色素を調色用色素とする。
【0017】
また、その他の黄色顔料、またはオレンジ色顔料である調色用色素(a2)の含有量は、色素(a)の合計100重量%中、0.07重量%以上20重量%未満であることを特徴とする。
【0018】
本発明によるカラーフィルタ用黄色着色組成物の全不揮発成分中において好ましい色素(a)の濃度としては、充分な色再現性を得る観点から5〜80重量%であり、より好ましくは10〜70重量%であり、最も好ましくは15〜60重量%である。色素(a)の濃度が、5重量%未満になると、十分な色再現性を得ることができず、80重量%を超えると、着色組成物の保存安定性が悪くなったり、フォトリソグラフィー法によるフィルタセグメントの形成に不具合が生じる。
【0019】
[主たる色素(a1)]
本発明における主たる色素(a1)は、BET法による比表面積90m2/g以上のアゾ系黄色顔料であることを特徴とする。さらに、好ましくは90m2/g以上〜175m2/g以下、最も好ましいのは95m2/g以上〜165m2/g以下である。また、175m2/g以上になると、顔料が微細で窒素ガスが吸着しきれず、正確な測定ができない場合があるが、本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物に用いるには問題ない。
【0020】
比表面積を調整する方法としては、公知の方法を用いることが出来る。例えば、ソルトミリング処理が挙げられる。ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。
【0021】
なお、BET法による比表面積とは、日本工業規格JIS Z8830−1990の付属書2に規定される「1点法による気体吸着量の測定方法」に従って測定した比表面積である。
【0022】
アゾ系黄色有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、3、9、12、13、14、17、55、74、81、83、87、93、94、95、97、98、116、117、128、132、150、155、167、168、169、183、191、194、198、199、203、213、214等が挙げられる。
これらの中でも、C.I.ピグメントイエロー13、83、150、213、214等が色特性が良好である点でより好ましい。更にその中でもC.I.ピグメントイエロー150が最も好ましい。
なお、以上のアゾ系黄色有機顔料の2種以上を混合して用いることもできる。
【0023】
主たる色素(a1)の含有量は、全色素(a)中に占める重量%が最も多ければよいが、色素(a)の合計100重量%中、50重量%以上99.93重量%以下が好ましい。99.93重量%を超えると、調色用顔料の効果が発揮されず、50重量%未満では、コントラスト比の低下や色特性の低下が生ずる場合がある。より好ましくは80重量%を超えると、明度、コントラスト比、色再現領域のすべてにおいて優れた効果が確認できる。さらに好ましくは83重量%以上である。
【0024】
[調色用色素(a2)]
調色用色素(a2)は、所望の色相を得るために比表面積90m2/g以上のアゾ系黄色有機顔料とは異なる黄色顔料、またはオレンジ色顔料を用いる。
黄色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー2、4、5、6、10、12、15、16、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、60、61、62、63、65、73、77、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、118、119、120、123、126、127、129、138、139、147、151、152、153、154、156、161、162、164、166、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193等が挙げられ、主たる色素(a1)とは異なる色素が調色用色素となりうる。これらの中でも、C.I.ピグメントイエロー139、185等は色特性が良好である点でより好ましい。更にその中でもC.I.ピグメントイエロー139が調色用黄色顔料(a2)として最も好ましく用いることができる。
また、比表面積90m2/g未満のC.I.ピグメントイエロー150は、調色用色素(a2)に該当するが、分光特性および色相シフトする効果が小さいため、調色用色素としてはあまり好ましくない。
【0025】
調色用オレンジ色顔料としては、例えばC.I.ピグメントオレンジ36、38、43、51、55、59、61、71、73、80等を用いることができるが、色特性が良好である点から、C.I.ピグメントオレンジ38がより好ましい。
【0026】
調色用色素(a2)の含有量は、色素(a)の合計100重量%中、0.07重量%以上20重量%未満である。20重量%以上では、調色用顔料によってはコントラスト比の低下や明度低下を招く場合がある。0.07重量%未満では、色特性の向上の効果が少なく好ましくない。好ましくは1.0重量%以上15重量%以下である。
【0027】
なかでも調色用色素(a2)がピグメントイエロー139の場合には、色素(a)の合計100重量%中、1.0重量%以上15重量%未満がさらに好ましく、もっとも好ましい範囲は1.5重量%以上10重量%未満である。調色用色素(a2)がピグメントオレンジ38の場合には、色素の全量を基準として0.07重量%以上5重量%未満がさらに好ましく、もっとも好ましい範囲は1.0重量%以上3重量%未満である。上記範囲より少ない場合は、調色用色素の効果が見られず、多い場合は明度低下やコントラスト低下が大きくなる。
【0028】
[その他の調色用色素]
本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物には、さらに、黄色染料、オレンジ色染料等のその他の調色用色素を含有しても良い。特に好ましい染料としては、有機溶剤可溶性染料であり、本発明の着色組成物中の有機溶剤に染料が溶解することで、高コントラスト化や高明度化が可能となる。
染料の化学構造としては、アゾ系染料、チアゾール系染料等が挙げられる。
以下に、使用可能な染料をカラーインデックス(C.I.)番号で例示するが、これに限定されない。
アゾ系直接染料としては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー2,33,34,35,39,50,69,70,71,86,93,94,95,98,102,109,129,136,141;C.I.ダイレクトオレンジ41,46,56,61,64,70,96,97,106,107が挙げられる。
チアゾール系直接染料としては、C.I.ダイレクトイエロー54が挙げられる。
その他の直接染料としては、C.I.ダイレクトイエロー38,43,47,58,68,108,138;C.I.ダイレクトオレンジ34,39,50,52,57,65,68;などが挙げられる。
直接染料以外の酸性染料としては、アゾ系酸性染料、キノリン系酸性染料等を用いることができる。
アゾ系酸性染料としては、例えば、C.I.アシッドオレンジ7、10、12、19、20、22、28、30、52、56、74、127;C.I.アシッドイエロー1、17、18、23、25、36、38、42、44、54、59、72、78、151が挙げられる。
キノリン系酸性染料としては、C.I.アシッドイエロー3、5が挙げられる。
さらに酸性染料を造塩化することで、高い耐熱性、耐光性を併せて持つことが出来る。なお、以上の染料の2種以上を混合して用いることもできる。
【0029】
<バインダー樹脂(b)>
バインダー樹脂(b)は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂である。バインダー樹脂(b)としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂および感光性透明樹脂が含まれ、これらを単独で用いることもできるが、2種以上混合して用いることが好ましい。
【0030】
バインダー樹脂(b)は、色素(a)の全重量100重量部に対し、3〜2000重量部の量で用いることができる。3重量部未満では、現像性、成膜性及び諸耐性が不十分となりやすく、2000重量部より多いと着色剤濃度が低く、色特性を発現できない。好ましくは10〜1000重量部である。
【0031】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
【0032】
感光性透明樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有する樹脂であり、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する高分子に、イソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基、カルボキシル基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等のエチレン性不飽和二重結合を有する官能基を前記高分子に導入した樹脂が挙げられる。具体的には、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体および他のエチレン性不飽和単量体を共重合した共重合体に、水酸基と反応可能な官能基及びエチレン性不飽和二重結合を有する化合物を反応させることにより得られるものがある。水酸基と反応可能な官能基としては、イソシアネート基、カルボキシル基等が挙げられるが、特に反応性の点でイソシアネート基が好ましく、イソシアネート基及びエチレン性不飽和二重結合を有する化合物として具体的には、2−アクリロイルエチルイソシアネート、2−メタクリロイルエチルイソシアネート等が挙げられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合体やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体等の酸無水物を含む高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0033】
<有機溶剤(c)>
本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物には、顔料を充分に組成物中に分散させ、ガラス基板等の透明基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために、有機溶剤(c)を含有させることができる。
【0034】
有機溶剤(c)は、着色組成物100重量%中、65〜95重量%の量で用いることが好ましい。65重量%より少ないと流動性が悪く塗布時にムラを生じやすい。95重量%より多いと塗布後の乾燥に長時間を要する。より好ましくは着色組成物100重量%に、70〜93重量%である。
有機溶剤(c)としては、例えば1,2,3−トリクロロプロパン、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,5,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、N−メチルピロリドン、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、エチルエトキシプロピオネート、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
【0035】
<活性エネルギー線重合開始剤(d)>
本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物は、フォトリソグラフィー法によるフィルタセグメント形成のため、活性エネルギー線重合開始剤(d)を含有する。
活性エネルギー線重合開始剤(d)としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オンなどのアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジンなどのトリアジン系化合物、1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−オクタン−1−オン−2−オンオキシム−O−アセテート、1−〔4−(2−メチルフェニルチオ)フェニル〕−オクタン−1−オン−2−オンオキシム−O−アセテート、1−〔4−(2,4,6−トリメチルフェニルチオ)フェニル〕−オクタン−1−オン−2−オンオキシム−O−アセテート、1−〔4−(2−エチルフェニルチオ)フェニル〕−オクタン−1−オン−2−オンオキシム−O−アセテート、1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−オクタン−1−オン−2−オンオキシム−O−ベンゾエート、1−〔4−(2−メチルフェニルチオ)フェニル〕−オクタン−1−オン−2−オンオキシム−O−ベンゾエート、1,2−オクタジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル−、2−(O−ベンゾイルオキシム)]、1−〔4−(2,4,6−トリメチルフェニルチオ)フェニル〕−オクタン−1−オン−2−オンオキシム−O−ベンゾエート、1−〔4−(2−エチルフェニルチオ)フェニル〕−オクタン−1−オン−2−オンオキシム−O−ベンゾエート、1−〔9−エチル−6−ベンゾイル−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−オクタン−1−オンオキシム−O−アセテート、1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、1−〔9−エチル−6−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、1−〔9−n−ブチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)などのオキシムエステル系化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィン系化合物、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノンなどのキノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物などが用いられる。これらの光重合開始剤は1種または2種以上混合して用いることができる。
【0036】
このなかでも1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)などのオキシムエステル系化合物が感度が高く好ましい。
【0037】
活性エネルギー線重合開始剤(d)の含有量は、色素(a)100重量部に対して、0.3〜200重量部が好ましい。その範囲を外れると、フォトリソグラフィー法によるフィルタセグメントの形成に不具合が生じる場合がある。
【0038】
活性エネルギー線重合開始剤(d)は、増感剤を併用することが可能であり、増感剤としては、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン系化合物、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノンなどのアミン系化合物が挙げられる。これらの増感剤は、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。増感剤の含有量は、活性エネルギー線重合開始剤(d)100重量部に対して0.1〜60重量部が好ましい。
【0039】
<活性エネルギー線硬化性単量体(e)>
本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物は、フォトリソグラフィー法によるフィルタセグメント形成のため、活性エネルギー線硬化性単量体(e)を含有する。活性エネルギー線硬化性単量体(e)はエチレン性不飽和二重結合を有する化合物であり、例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。活性エネルギー線硬化性単量体(e)は、着色組成物の感度アップの観点から、エチレン性不飽和二重結合を4〜12個有することが好ましく、6〜12個がより好ましい。活性エネルギー線硬化性単量体(e)は、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物を単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0040】
活性エネルギー線硬化性単量体(e)の含有量は、色素(a)100重量部に対して、1〜300重量部が好ましい。その範囲を外れると、フォトリソグラフィー法によるフィルタセグメントの形成に不具合が生じる場合がある。
【0041】
<任意成分>
本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色組成物中の色素(a)100重量部に対して、0.1〜10重量部の量で用いることができる。
【0042】
シランカップリング剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等が挙げられる。シランカップリング剤は、着色組成物中の色素(a)100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の量で用いることができる。
【0043】
色素(a)に顔料を用い、バインダー樹脂(b)に顔料を分散する際には、適宜、界面活性剤、樹脂型顔料分散剤、色素誘導体等の分散剤が使用できる。分散剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散剤を用いて顔料をバインダー樹脂(b)および有機溶剤(c)中に分散すると、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。分散剤は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、0.1〜200重量部、好ましくは0.1〜150重量部の量で用いることができる。
【0044】
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
【0045】
樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、透明樹脂と相溶性のある部位とを有する樹脂であり、顔料に吸着して顔料の透明樹脂への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型顔料分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などの油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0046】
市販の樹脂型顔料分散剤としては、ビックケミー社製のDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−3000、9000、13240、13650、13940、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32600、34750、36600、38500、41000、41090、53095等、エフカケミカルズ社製のEFKA−46、47、48、452、LP4008、4009、LP4010、LP4050、LP4055、400、401、402、403、450、451、453、4540、4550、LP4560、120、150、1501、1502、1503等が挙げられる。
【0047】
色素誘導体は、有機色素に置換基を導入した化合物である。このような有機色素には、一般に色素とは呼ばれていないナフタレン系、アントラキノン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。色素誘導体としては、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
【0048】
本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物にはフォトリソグラフィー法における感度向上のため多官能チオールを含有させてもよく、例としては、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、ヘキサンジチオール 、デカンジチオール 、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンなどが挙げられる。これらの多官能チオールは、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0049】
多官能チオールの含有量は、顔料100重量部に対して0.05〜100重量部が好ましく、より好ましくは1.0〜50.0重量部である。
【0050】
<着色組成物の製法>
本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物製造方法としては、色素(a)、バインダー樹脂(b)、有機溶剤(c)、活性エネルギー線重合開始剤(d)、及び活性エネルギー線硬化性単量体(e)を、必要に応じて、その他の分散助剤、及び添加剤等と混合し、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型感光性着色組成物(レジスト材)として調整する。
このとき、まず色素(a)を必要に応じて分散剤と共にバインダー樹脂(b)および有機溶剤(c)中に三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター等の公知の分散手段を用いて微細に分散し、色素分散体としてから活性エネルギー線重合開始剤(d)と、活性エネルギー線硬化性単量体(e)と、その他の添加剤等を混合することもできる。
【0051】
色素分散体は、主たる色素(a1)および調色用色素(a2)である2種以上の色素を混合して分散することも可能であり、また各色素を別々に、バインダー樹脂(b)および有機溶剤(c)中に微細に分散したものを混合して製造することもできるが、それぞれ単独の色素分散体を作製し、混合する方が、色素分散体の安定性の観点から好ましい。
【0052】
また、色素分散体の分散粒子径は、動的光散乱法(FFTパワースペクトル法)により測定することが可能であり、前述の分散機種類や稼動条件の変更により分散粒径を調整することができる。
【0053】
この動的光散乱法により測定した主たる色素(a1)を含む色素分散体の分散粒子径D50が、40nm以上〜200nm未満であることが、明度およびコントラスト比の観点から好ましい。色素分散体の分散粒子径D50が40nm未満の場合には、分散粒子系が小さく再凝集により安定性が低下するため、好ましくない。また、200nm以上では、明度およびコントラスト比が低下するため、好ましくない。
【0054】
さらに動的光散乱法により測定した調色用色素(a2)を含む色素分散体の分散粒子径D50が、40nm以上〜200nm未満であることが、明度およびコントラスト比の観点からより好ましい。色素分散体の分散粒子径D50が40nm未満の場合には、分散粒子系が小さく再凝集により安定性が低下するため、好ましくない。また、200nm以上では、明度およびコントラスト比が低下するため、好ましくない。
【0055】
尚、分散粒子径は、測定する原理、装置、試料調整方法、パラメータ設定等の条件により同じものを測定しても同じ結果は得られないことがあるが、本発明においては動的光散乱法(FFTパワースペクトル法)を採用した日機装社のマイクロトラックUPA-EX150を用い、粒子透過性を吸収モード、粒子形状を非球形とし、D50を平均径とした。
【0056】
本発明の着色組成物中の色素(a)の含有量は、0.4重量%以上18重量%以下であることが好ましく、1.0重量%以上15重量%以下であるとより好ましい。
また、着色組成物中の不揮発分中の色素(a)の含有量は、5重量%以上60重量%以下である事が好ましい。5重量%より少ないと所望の分光特性を得るために膜厚が厚くなりすぎる。60重量%より多いと着色組成物の保存安定性が悪くなる場合がある。より好ましくは10重量%以上50重量%以下である。
【0057】
本発明の着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0058】
<カラーフィルタ>
本発明のカラーフィルタは、基板上に、本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物から形成される黄色フィルタセグメントを具備することを特徴とする。
さらに、該黄色フィルタセグメントと、赤色フィルタセグメントと、緑色フィルタセグメントと、青色フィルタセグメントとを備えるカラーフィルタであることが好ましい。
【0059】
次に、カラーフィルタセグメントとして、上記黄色フィルタセグメント用黄色着色組成物とともに使用する赤色、緑色、および青色着色組成物について、使用可能な有機顔料の具体例を、カラーインデックス番号で示す。
【0060】
赤色フィルタセグメントを形成するための赤色感光性着色組成物には、例えばC.I.ピグメントレッド7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、246、254、255、264、272及び279等の赤色顔料を用いることができる。赤色感光性着色組成物には、黄色顔料、オレンジ顔料を併用することができる。
【0061】
赤色感光性着色組成物において赤色顔料と併用可能な黄色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213又は214を用いることができる。
また、これらの黄色顔料は、単独で又は2種以上を組み合わせて、黄色フィルタセグメントを形成するための黄色感光性着色組成物に用いることができる。
【0062】
赤色感光性着色組成物において赤色顔料と併用可能なオレンジ色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ 36、38、43、51、55、59、61、71、73又は80を用いることができる。
また、これらのオレンジ色顔料は、単独で又は2種以上を組み合わせて、オレンジ色フィルタセグメントを形成するためのオレンジ色感光性着色組成物に用いることができる。
【0063】
緑色フィルタセグメントを形成するための緑色感光性着色組成物には、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、10、36、37又は58等の緑色顔料を用いることができる。緑色感光性着色組成物には、この緑色顔料に加え、上記黄色顔料を併用することができる。
青色フィルタセグメントを形成するための青色感光性着色組成物には、例えば、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64又は80等の青色顔料を用いることができる。青色感光性着色組成物には、この青色顔料に加え、C.I.ピグメントバイオレット 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42又は50等の紫色顔料を併用することができる。
【0064】
赤色、緑色、および青色着色組成物における、バインダー樹脂、有機溶剤、活性エネルギー線重合開始剤、活性エネルギー線硬化性単量体、および任意成分は、黄色着色組成物に含有できる各成分を使用できる。
【0065】
次いで、本発明のカラーフィルタの製造方法について説明する。
本発明のカラーフィルタの製造方法は、基板上に、本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物、または、カラーフィルタ用赤色、緑色、青色着色組成物を用いて着色塗膜を形成する工程と、前記着色塗膜のフィルタセグメントとなる部分に、活性エネルギー線を照射して硬化させる工程と、前記着色塗膜の未硬化部分を除去してフィルタセグメントを形成する工程を有するものである。
また、本発明の方法で製造されるカラーフィルタは、基板上に、本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物から形成される黄色フィルタセグメントおよび赤色、緑色、青色フィルタセグメントを備えるものである。また各色フィルタセグメントの仕切りとしてブラックマトリックスを有していても良い。
【0066】
(着色塗膜形成工程)
着色塗膜形成工程では、スピンコート法やダイコート法によって、本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物または、カラーフィルタ用赤色、緑色、青色着色組成物を塗布し、必要に応じて余分な溶剤を除去することにより、基板上に着色塗膜を形成する。
カラーフィルタの基板としては、可視光に対して透過率の高いソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。また、ガラス板や樹脂板の表面には、パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫などからなる透明電極が形成されていてもよい。
【0067】
(露光・硬化工程)
露光・硬化工程では、基板上に形成された着色塗膜に、フォトマスクを介して活性エネルギー線を照射し、前記着色塗膜のフィルタセグメントとなる部分を硬化させる。活性エネルギー線としては、電子線、紫外線、400〜500nmの可視光および各種レーザを使用することができる。電子線の線源には熱電子放射銃、電界放射銃等が使用でき、紫外線および400〜500nmの可視光の線源(光源)には、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライド灯、ガリウム灯、キセノン灯、カーボンアーク灯等を使用することができる。レーザは、半導体レーザ、YAG(固体)レーザ、気体レーザ(アルゴンレーザ、ヘリウムネオンレーザ、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ)等を使用することができる。
【0068】
(未硬化部分の除去工程)
未硬化部分の除去工程では、前記着色塗膜の未硬化部分を除去してフィルタセグメントを形成する。未硬化部分の除去に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。
【0069】
本発明のカラーフィルタは擬似白色LED光源(バックライト光源またはフロントライト光源)と組み合わせて使用することが好ましい。擬似白色LED光源とは、青色LEDと、青色光を吸収し黄色などの蛍光を発する蛍光体を組み合わせた白色光源である。擬似白色LED光源は青色の波長領域に強く鋭い発光と、それより長波長領域(緑色から赤色の波長領域)に青色発光より弱くブロードな発光を有する。一般的には青色領域と緑色から赤色領域の2つの発光ピークを持つが、緑色から赤色領域に複数のピークを持つものもある。擬似白色LEDは、日亜化学社製NSPW300BS、NSPW310BS、NSPW312BS、NSPW315BS、NSPW500BS、NEPW500などで入手可能である。擬似白色LED光源を、本発明のカラーフィルタと組み合わせて用いることで、液晶表示装置の色再現領域をより拡大することができ、バックライト光の利用効率を高めることができる。一般的な擬似白色LEDバックライトの発光スペクトルと黄色カラーフィルタの透過率スペクトルを図1に示す。
【実施例】
【0070】
以下に、本発明の実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0071】
なお、実施例中、「部」および「%」は、「重量部」および「重量%」をそれぞれ表す。また、樹脂の重合平均分子量(Mw)、顔料の微細化度、塗膜のコントラスト比、および色素分散体の分散粒径の測定方法は以下の通りである。
【0072】
<樹脂の重合平均分子量(Mw)>
樹脂の重合平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC−8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
【0073】
<顔料の微細化度>
顔料の微細化度は顔料粒子の比表面積で評価した。なお比表面積の測定は、窒素吸着のBET法による自動蒸気吸着量測定装置(日本ベル社製「BELSORP18」)により行なった。
【0074】
<塗膜のコントラスト比(CR)>
液晶ディスプレー用バックライトユニットから出た光は、偏光板を通過して偏光され、ガラス基板上に塗布された着色組成物の乾燥塗膜を通過し、偏光板に到達する。偏光板と偏光板の偏光面が平行であれば、光は偏光板を透過するが、偏光面が直行している場合には光は偏光板により遮断される。しかし、偏光板によって偏光された光が着色組成物の乾燥塗膜を通過するときに、顔料粒子による散乱等が起こり、偏光面の一部にずれを生じると、偏光板が平行のときは偏光板を透過する光量が減り、偏光板が直行のときは偏光板を一部光が透過する。この透過光を偏光板上の輝度として測定し、偏光板が平行のときの輝度と、直行のときの輝度との比(コントラスト比(CR))を算出した。
(コントラスト比(CR))=(平行のときの輝度)/(直行のときの輝度)
なお、輝度計は株式会社トプコン社製「色彩輝度計BM−5A」、偏光板はサンリツ社製「偏光フィルムLLC2−92−18」を用いた。なお、測定に際しては、不要光を遮断するために、測定部分に1cm角の孔を開けた黒色のマスクを当てた。
【0075】
<色素分散体の分散粒径>
動的光散乱法(FFTパワースペクトル法)を採用した日機装社のマイクロトラックUPA-EX150を用い、粒子透過性を吸収モード、粒子形状を非球形とし、D50を平均径として求めた。
【0076】
まず、実施例および比較例に用いたアクリル樹脂溶液、微細化顔料の調整、黄色色素分散体の製造方法について説明する。
【0077】
[アクリル樹脂溶液の合成]
反応容器にシクロヘキサノン700部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でn−ブチルメタクリレート133部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート46部、メタクリル酸43部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)74部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4.0部の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。
滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、アクリル樹脂溶液を得た。
室温まで冷却した後、アクリル樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成したアクリル樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加して、実施例に使用されるアクリル樹脂溶液1を得た。得られたアクリル樹脂の重量平均分子量Mwは26,000であった。
【0078】
[顔料]
実施例および比較例に使用した顔料について表1に示す。
【0079】
【表1】

【0080】
(アゾ系黄色顔料2の調製)
アゾ系黄色顔料1(C.I.ピグメントイエロー150、ランクセス社製「E−4GN」)500部、塩化ナトリウム500部、およびジエチレングリコール250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、120℃で8時間混練した。次に、この混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、490部のアゾ系黄色顔料2を得た。
【0081】
(アゾ系黄色顔料5の調製)
アゾ系黄色顔料1をアゾ系黄色顔料4(C.I.ピグメントイエロー150、東洋インキ製造社製「リオノールイエロー FG−1310」)に変えた以外はアゾ系黄色顔料2の調製と同様にして、アゾ系黄色顔料5を得た。
【0082】
(調色用黄色顔料2の調製)
調色用黄色顔料1(C.I. ピグメントイエロー139、チバ・ジャパン社製「イルガフォアイエロー 2R−CF」)500部、塩化ナトリウム500部、およびジエチレングリコール250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、120℃で8時間混練した。次に、この混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、490部の調色用黄色顔料2を得た。
【0083】
(オレンジ色顔料2の調製)
ジケトピロロピロール系オレンジ色顔料1(C.I.ピグメントイエローオレンジ38、チバ・ジャパン社製「クロモフタールDPPオレンジ TR」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール(東京化成社製)360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で6時間混練した。次にこの混練物を8リットルの温水に投入し、約80℃に加熱しながら約2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部のオレンジ色顔料2を得た。
【0084】
[黄色色素分散体の調製]
次に、実施例および比較例で用いた色素分散体の調製について説明する。
表2に示す色素(a)の混合物を均一に撹拌混合し、直径1mmのガラスビーズを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、黄色色素分散体を調製した。
ただし、色素分散体3および色素分散体9は、サンドミル分散時間を12時間に変更した。
【0085】
【表2】

【0086】
バインダー樹脂(b):アクリル樹脂溶液1
有機溶剤(c):PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
【0087】
色素誘導体の構造を以下に示す。
【化1】

【0088】
[実施例1〜13、および比較例1〜4]
(カラーフィルタ用黄色着色組成物の調製)
表3に示す組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、アルカリ現像型着色組成物である実施例1〜13、および比較例1〜4を得た。
【0089】
【表3】

【0090】
バインダー樹脂(b):アクリル樹脂溶液1
活性エネルギー線硬化性単量体(e):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成社製「アロニックスM−402」)
活性エネルギー線重合開始剤(d):オキシムエステル系光重合開始剤 エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム) (チバ・ジャパン社製「イルガキュアOXE−02」)
有機溶剤(c):PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
【0091】
[着色組成物の評価]
(着色組成物の粘度)
着色組成物の粘度は、着色組成物調整当日25℃においてE型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて回転数20rpmにおける粘度を測定した。結果を表3に示す。
【0092】
(ダイコータによる着色組成物塗布基板の作製)
得られた着色組成物を板厚0.7mmの100mm×100mmサイズのガラス基板に、スリットダイからガラス基板を150μm離し、塗工速度100mm/secにてダイコータで塗工した。
塗工後の塗膜を、70℃で20分オーブンにて溶剤を除去乾燥した後、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量100mJ/cm2で紫外線露光を行った。塗布基板を230℃で60分加熱することにより、各着色組成物の塗布基板を得た。
【0093】
(分光透過率および色相(x、y、Y)評価)
得られた塗布基板の分光透過率および色相を、顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。光源はC光源とした。明度Yを以下に従って判定した。
×:Y<77.0
△:77.0≦Y<80.0
○:80.0≦Y<83.0
◎:83.0≦Y
【0094】
(コントラスト比評価)
得られた塗布基板について、コントラスト比を測定した。コントラスト比を以下に従って判定した。
×:Y<8000
△:8000≦Y<9000
○:9000≦Y<10000
◎:10000≦Y
【0095】
(色再現領域評価)
カラーフィルタの色特性は、EBU規格で定められるRGBの色度座標と、実施例および比較例の色度座標からなる四角形の面積と、NTSC規格で定められるRGBの色度座標からなる三角形の面積の比(NTSC比)とを算出することにより評価した。光源はC光源とした。NTSC比を以下に従って判定した。
×:Y<75.3
△:75.3≦Y<75.9
○:75.9≦Y<76.5
◎:76.5≦Y
以下、表4にその結果を示す。
【0096】
【表4】

【0097】
本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物から形成されてなる黄色塗膜は、判定が×となる項目がなく、いずれもコントラスト比が高く、明度が高く、かつ色再現領域が広い結果であった。
比表面積が本発明の範囲から外れている顔料を用いた比較例1および3はコントラスト比が低かった。
調色用色素(a2)の含有量が本発明の範囲から外れている比較例2は明度が低かった。
また、本発明の特徴である調色用色素(a2)を含まない比較例4の黄色着色組成物は、分光が本発明の範囲を満たさず、NTSC比が低い結果であった。
【0098】
(カラーフィルタの製造)
黄色色素分散体における色素を、赤色色素分散体ではC.I.Pigment Red 254/C.I.Pigment Red 177=60部/40部に、緑色色素分散体ではC.I.Pigment Green 36/C.I.Pigment Yellow 150=60部/40部に、青色色素分散体ではC.I.Pigment Blue 15:6/C.I.Pigment Violet 23=90部/10部に置き換えた以外は黄色色素分散体2と同様に色素分散体を調製し、さらに、カラーフィルタ用赤色着色組成物、カラーフィルタ用緑色着色組成物、及びカラーフィルタ用青色着色組成物を得た。
100mm×100mmのガラス基板上にダイコータで赤色着色組成物を約2μmの厚さに塗工し、70℃のオーブン内に20分間溶剤を除去乾燥させた。次いで、露光装置を用いて紫外線によりストライプパターン露光を行った。露光量は100mJ/cm2とした。更に、炭酸ナトリウム水溶液からなる現像液によりスプレー現像して未露光部分を取り除いた後、イオン交換水で洗浄し、この基板を230℃で30分加熱して線幅約50μmの赤色フィルタセグメントを形成した。次いで、同様の所作により、赤色フィルタセグメントの隣に緑色着色組成物を用いて緑色フィルタセグメントを、青色着色組成物を用いて青色フィルタセグメントを、次いで実施例3のカラーフィルタ用黄色着色組成物を用いて黄色フィルタセグメントを形成し、同一ガラス基板上に4色のフィルタセグメントを具備するカラーフィルタを得た。
【0099】
本発明のカラーフィルタは、コントラスト比が高く、明度が高く、かつ色再現領域が広いため、該カラーフィルタを用いた液晶表示装置は、メリハリのある鮮やかな色を表現し得る。
【符号の説明】
【0100】
a 擬似白色LEDバックライトの相対発光強度
b 黄色フィルターの透過率

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色素(a)、バインダー樹脂(b)、有機溶剤(c)、活性エネルギー線重合開始剤(d)、及び活性エネルギー線硬化性単量体(e)を含有してなるカラーフィルタ用黄色着色組成物において、
該色素(a)が、BET法による比表面積90m2/g以上のアゾ系黄色顔料である主たる色素(a1)と、その他の黄色顔料、またはオレンジ色顔料である調色用色素(a2)とを含み、
該調色用色素(a2)の含有量が色素(a)の合計100重量%中、0.07重量%以上20重量%未満であり、
かつ、該着色組成物を用いて470nmにおける分光透過率が1%以下になるように塗膜を形成したとき、該塗膜の520nmにおける分光透過率が80%以下、かつ540nmにおける分光透過率が75%以上、かつ600nmにおける分光透過率が90%以上であることを特徴とするカラーフィルタ用黄色着色組成物。
【請求項2】
主たる色素(a1)が、C.I.ピグメントイエロー150であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ用黄色着色組成物。
【請求項3】
調色用色素(a2)が、C.I.ピグメントイエロー139またはC.I.ピグメントオレンジ38であることを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルタ用黄色着色組成物。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用黄色着色組成物から形成されてなるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項5】
赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、青色フィルタセグメント、および黄色フィルタセグメントを備えるカラーフィルタにおいて、該黄色フィルタセグメントが、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用黄色着色組成物により形成されてなるカラーフィルタ。

【図1】
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【公開番号】特開2012−108438(P2012−108438A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259029(P2010−259029)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000222118)東洋インキSCホールディングス株式会社 (2,229)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】