カラー標高傾斜図作成システムおよびカラー標高傾斜図作成方法
【課題】 傾斜の度合いや標高差が視覚的に明確に判断できるカラー標高傾斜図作成システムおよびカラー標高傾斜図作成方法の提供。
【解決手段】 レーザスキャナ2で得られた画像データ、または等高線地形図3、またはステレオ画像計測4とにより、DEMデータ作成部5で、DEMデータを作成する。得られたDEMデータまたは既存のDEMデータ6から、傾斜算出部7において、差分化により画像データの傾斜を算出し、傾斜度表示画像8が作成される。標高表示部9ではカラー標高図が作成されて、標高強調画像作成部10で色相が選択される。グレースケールの輝度調整がなされた傾斜表示画像と、カラー画像のカラー標高画像は、画像合成部11で透過合成され、表示部12においてカラー標高傾斜図が表示される。
【解決手段】 レーザスキャナ2で得られた画像データ、または等高線地形図3、またはステレオ画像計測4とにより、DEMデータ作成部5で、DEMデータを作成する。得られたDEMデータまたは既存のDEMデータ6から、傾斜算出部7において、差分化により画像データの傾斜を算出し、傾斜度表示画像8が作成される。標高表示部9ではカラー標高図が作成されて、標高強調画像作成部10で色相が選択される。グレースケールの輝度調整がなされた傾斜表示画像と、カラー画像のカラー標高画像は、画像合成部11で透過合成され、表示部12においてカラー標高傾斜図が表示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測対象とする地域における傾斜の度合いや標高差が視覚的に明確に同時に判断できる構成とした、カラー標高傾斜図作成システムおよびカラー標高傾斜図作成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地域の開発や環境保全、災害発生の予防対策を講ずるために、地形の判読が必要となる場合がある。ここで、一般に、地形とは地表面の起伏の形態のことであり、その特徴は、1地点においてはその位置(平面座標x、y、および標高zで表される)および斜面の向きと傾斜の方向で認識できる。さらに、ある面積を持った領域においては、地形は、斜面の向きの変化と傾斜の変化との組み合わせの3次元空間における連続性によって認識できる。
【0003】
地形判読は、地表面の起伏の形態の特徴を把握することにより、目的に応じた地形区分を行うものである。地形判読に必要な情報としては、斜面の傾斜度、傾斜度の変化、傾斜の向き、斜面の走向、地点の高度、地点の平面的位置、多点間の距離・位置関係などがあり、判読を定量的に行うためにはこれらができるだけ歪みのない状態で提示されていることが望ましい。
【0004】
地形判読に必要な情報を得る手法として、次の3種類の手法が知られている。
【0005】
(1)仮想的立体を視覚的に再現する方法
空中写真など、立体に対し中心投影法により作成した視点の異なる一対の平面画像、あるいは地形図などを斜投影法により画像処理した一対の平面画像を用い、肉眼の視差を利用して仮想的立体を視覚内に構築するもので、平行法・交差法・余色法により立体視を行う方法がある。また、マイクロプリズムによる波長ごとの屈折角の違いを利用して左右両眼に視差を作り出し、赤いものは手前に、青いものは奥に見えるような視覚を生み出すことによって、高度を色相に割り当てた平面画像から仮想的立体を再現する手法もある。これらの方法では、実際に立体を見る状態と類似した立体感を再現でき、さらに視差の効果を調整することにより、立体感を強調してみせることもできる。
【0006】
(2)地形判読に必要な情報を個別に提示する方法
地表面の起伏を記述する地形量を個々に提示することにより2次元平面において地形的特徴を読み取る方法である。(a)傾斜図は、任意の地点における傾斜の度合いを数値あるいは記号などに置き換え、または色相や明度などの連続量として示したものである。非特許文献1には、DEMデータから算出した傾斜から傾斜図を作成し、地形判読に利用する試みが示されている。同様に(b)傾斜方位図は、任意の地点における傾斜方向を数値あるいは記号、色相や明度などに置き換えて示したものである。
【0007】
(c)斜面方位図は、任意の地点において斜面と交差する水平面が描く交線の向きを数値あるいは記号、色相や明度などに置き換えて示したものである。標高図は、任意の地点における標高値を数値あるいは記号などに置き換えて示したものである。標高値を色相や明度などに置き換え、段階的に表示したものを高度段彩図という。(d)標高図のうち、同標高値を連ねた線を一定間隔で描画したものは、等高線図と呼ばれ、標高値と同時に等高線の向きによって斜面方位を表している。
【0008】
(3)凹凸感の生成により擬似的に立体感を得る方法
(a)2次元平面上では、標高値の情報に基づいて立体感を得ることは、一定距離間の標高値の変化の情報によるのみではむずかしい。しかし、一定距離間の標高値の変化の情報と凹凸を判定する情報とを組み合わせて立体感を得る手法が、最近開発されている。地形の凹凸の情報を得る手法としては、任意の方向に光源を設定して生じた陰影で地表面の起伏を表現する方法、凸部や凹部の一定距離間における地上(地下)見通し角をあらわす地上(地下)開度を算出する方法がある。また、起伏のある地形に対して交差するような傾向面を発生させ、その面と地表面との標高差の正負を算出し凹部と凸部を判別して可視化する方法がある。
【0009】
(b)これらの方法に基づいて2次元平面上で立体感を表現した図としては、一定方向に光源をおいて作成した陰影起伏図がある。また、非特許文献2には、地表面の起伏にローパスフィルタをかけた値と実際の標高値との差分を色相と彩度に割り当て、垂直方向の光源によって生じる反射輝度を明度に割り当てて透過合成した陰陽図が示されている。
【0010】
ところで、地形を立体的に表現することについては、例えば、特許文献1には、航空写真などの画像データに、当該撮像地域の標高データと陰影付地図データを融合させて、地形を起伏表現することが記載されている。
【0011】
【特許文献1】特開2001−005380号公報
【非特許文献1】神谷泉・黒木貴一・田中耕平、2000、傾斜量図を用いた地形・地質の判読、情報地質、第11巻、第1号 9-22
【非特許文献2】秋山幸秀、2005、LiDARによる3次元データの微地形表現手法−陰陽図−、地球惑星関連学会2005年合同大会予稿集,Y57-007
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
地形判読の手法において、前記(1)仮想的立体を視覚的に再現する方法においては、立体を視覚内に構築することは同時に遠近感を得ることになり、視野内に均一な縮尺が得られないため、直接定量的な計測を行うことはむずかしい、という問題があった。
【0013】
また、非特許文献1に示されているような(2)地形判読に必要な情報を個別に提示する方法においては、一般的には、2次元平面において標高値および一定距離間における標高値の変化量の可視化によってのみ立体感を得ることは困難である。たとえば傾斜図では、傾斜角のみでは傾斜方向が表せないため、上昇する斜面か下降する斜面かを区分することができず、その情報だけでは完全な凹凸感は得られない。
【0014】
一般的に知られている等高線による地形図の場合でも同様である。等高線は、その向きにより斜面方位、その描画間隔の粗密により傾斜の度合いを同時に表現している。しかしながら、傾斜の度合いだけでは、上昇斜面か下降斜面かを見分けられず、斜面方位にも反転を防止する効果はないため、尾根と谷を見誤ることも多い。
【0015】
またラプラシアン図の場合には、鋭い傾斜変化を明瞭に表すことができ、凹型斜面や凸型斜面を識別することができるが、傾斜の変化が一定の場合は谷部や尾根部のどこでも同じ表現になるため、谷線や尾根線の位置を特定することができない場合がある。このように、前記(2)の方法においても、地形判読を精度良く行うことができないという問題があった。
【0016】
さらに、非特許文献2に示されているような(3)凹凸感の生成により擬似的に立体感を得る方法、においても、標高値自体を示す情報を欠くために、標高差が大きい地域における局所的領域間の高低差が把握できず、局所的な凹凸感は得られても、全体としての高低の位置関係を含んだ十分な立体感を得ることはできないという問題があった。
【0017】
前記特許文献1に記載されている地形図においては、対象とする地域の起伏の状態は視覚的にある程度判断できる構成としている。しかしながら、対象とする地域における傾斜の度合いの細部や、標高差については視覚的に判断が困難という問題があった。
【0018】
本発明は、上記課題を解決するものであって、地形の特徴を判読識別するための手段として、地形の起伏および谷地形・尾根地形、分布位置・高度を2次元平面状で、同時にかつそれぞれ明瞭に識別できる構成とした、カラー標高傾斜図作成システムおよびカラー標高傾斜図作成方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
そのために本発明のカラー標高傾斜図作成システムは、対象地域の航空写真のステレオ画像計測と、当該地域の等高線地形図と、レーザ計測により取得した標高データのいずれかに基づいて前記対象地域のDEMデータを作成する手段、前記DEMデータにカラー段彩を施してカラー標高図を作成する手段、前記DEMデータの傾斜を算出してグレースケール傾斜図を作成する手段、前記カラー標高図、およびグレースケール傾斜図を合成してカラー標高傾斜図を作成する手段、前記カラー標高傾斜図を出力する手段、を有することを特徴とする。
【0020】
また、本発明のカラー標高傾斜図作成システムは、対象地域の航空写真のステレオ画像計測と、当該地域の等高線地形図と、レーザ計測により取得した標高データのいずれかに基づいて前記対象地域のDEMデータを作成する手段、前記DEMデータにカラー段彩を施して強調カラー標高図を作成する手段、前記DEMデータの傾斜を算出して強調グレースケール傾斜図を作成する手段、前記強調カラー標高図、および強調グレースケール傾斜図を合成してカラー標高傾斜図を作成する手段、前記カラー標高傾斜図を表示する手段、前記カラー標高傾斜図を出力する手段、を有することを特徴とする。
【0021】
また、本発明のカラー標高傾斜図作成システムは、前記DEMデータに基づいて、陰影起伏図、等高線図、地上開度図、地下開度図、ラプラシアン図、傾斜区分図のいずれか、またはそれらの複数を作成し、カラー標高図と合成する手段を有することを特徴とする。
【0022】
また、本発明のカラー標高傾斜図作成システムは、前記カラー標高画像または強調カラー標高図、およびグレースケール傾斜図を合成して作成したカラー標高傾斜図を用いて地形判読を行う手段を有することを特徴とする。
【0023】
また、本発明のカラー標高傾斜図作成システムは、前記カラー標高図、およびグレースケール傾斜図を合成したカラー標高傾斜図と、カラー標高図と陰影起伏図、等高線図、地上開度図、地下開度図、ラプラシアン図、傾斜区分図のいずれかとを合成したカラー地形解析図を用いて地形判読を行う手段を有することを特徴とする。
【0024】
また、本発明のカラー標高傾斜図作成システムは、前記カラー段彩は、標高に応じて単色もしくは複数の色相などに色分けしたものであることを特徴とする。
【0025】
本発明のカラー標高傾斜図作成方法は、対象地域の航空写真のステレオ画像計測と、当該地域の等高線地形図と、レーザ計測による標高データとに基づいて前記対象地域のDEMデータを作成する段階、前記DEMデータにカラー段彩を施して標高値を表示する段階、標高帯表示色相のレンジ調整をする段階、強調標高帯表示適合性を判定する段階、カラー標高図を作成する段階、前記DEMデータの傾斜度を算出する段階、前記傾斜度を表示する段階、傾斜度表示グレースケール輝度のレンジを調整する段階、強調傾斜帯表示適合性を判定する段階、グレースケール傾斜図を作成する段階、前記カラー標高図およびグレースケール傾斜図を合成してカラー標高傾斜図を作成する段階、前記カラー標高傾斜図を出力する段階、からなることを特徴とする。
【0026】
また、本発明のカラー標高傾斜図作成方法は、対象地域の航空写真のステレオ画像計測と、当該地域の等高線地形図と、レーザ計測による標高データのいずれかに基づいて前記対象地域のDEMデータを作成する段階、前記DEMデータにカラー段彩を施して標高値を表示する段階、標高帯表示色相のレンジ調整をする段階、強調標高帯表示適合性を判定する段階、強調カラー標高図を作成する段階、前記DEMデータの傾斜度を算出する段階、前記傾斜度を表示する段階、傾斜度表示グレースケール輝度のレンジを調整する段階、強調傾斜帯表示適合性を判定する段階、強調グレースケール傾斜図を作成する段階、前記強調カラー標高図および強調グレースケール傾斜図を合成してカラー標高傾斜図を作成する段階、前記カラー標高傾斜図を出力する段階、からなることを特徴とする。
【0027】
また、本発明のカラー標高傾斜図作成方法は、前記DEMデータに基づいて、陰影起伏図、等高線図、地上開度図、地下開度図、ラプラシアン図、傾斜区分図のいずれか、またはそれらの複数を作成し、カラー標高図と合成する段階を有することを特徴とする。
【0028】
また、本発明のカラー標高傾斜図作成方法は、前記カラー標高図、およびグレースケール傾斜図を合成したカラー標高傾斜図を用いて地形判読図を作成する段階を有することを特徴とする。
【0029】
また、本発明のカラー標高傾斜図作成方法は、前記カラー標高図、およびグレースケール傾斜図を合成したカラー標高傾斜図と、カラー標高図と陰影起伏図、等高線図、地上開度図、地下開度図、ラプラシアン図、傾斜区分図のいずれかとを合成した地形解析図を用いて地形判読を行う段階を有することを特徴とする。
【0030】
また、本発明のカラー標高傾斜図作成方法は、前記DEMデータに標高に応じて単色もしくは複数の色相に色分けしたカラー段彩を施す段階を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、本発明によれば、計測対象とする地域における傾斜の度合いをグレースケールで、標高差をカラー段彩、例えば虹色で表示するので、視覚的に明確に判断できる。
【0032】
また、本発明で作成されるカラー標高傾斜図を用いることにより、任意の地点の標高と斜面の傾斜の度合い、または傾斜の変化などについて、個別の情報の意味を失うことなく、同時に、かつ面的に連続的に把握できる。このため、尾根・谷の反転や高度位置関係の錯誤なく、地形の起伏を把握することができる。また、標高と傾斜の数値は個別に保存され、それぞれ数値データとしても取り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
最初に、本発明の基本的な構成原理について説明する。一つの2次元平面上では、傾斜やラプラシアンなどの標高値の変化に基づく個別の情報のみによって地形の起伏を直感的に正しく認識することは簡単ではない。また凹凸感の生成により擬似的に立体感を得る方法では、相対的に広範囲の高低差を直感的に得ることができず、地形判読に必要な情報としては十分ではない。
【0034】
しかしながら、地形判読には必ずしも立体感が必要ではなく、斜面の向きの変化と傾斜の変化との組み合わせの3次元空間における連続性が、斜面の傾斜の度合い、傾斜の度合いの変化、傾斜の向き、斜面の走向、地点の高度、地点の平面的位置、多点間の距離・位置関係などの情報から正しく認識できればよい。
【0035】
そこで本発明では、地形判読に必要な個別の情報を選択合成して提示するという方法に基づいて、標高値と傾斜度を合成し、2次元平面上において地形の特徴を直感的に把握するとともに、歪みのない正射投影画像上で定量的な地形量として表示する具体的な手法を提示する。
【0036】
すなわち、本発明においては、数値標高データから色相などに割り当てた標高データ(高度段彩図)と濃度に割り当てた傾斜度データ(傾斜図)を透過合成してカラー標高傾斜図を作成する。このような、カラー標高傾斜図は、汎用のコンピュータシステムおよびGIS(Geographic Information System)ソフトウェアを用いて作成するものである。
【0037】
図4〜図18は、本発明の実施形態に係る具体的なカラー標高傾斜図作成を示す説明図である。図4において、データ作成Aでは、航空機によるレーザスキャニングで地形計測を行なう(Aa)。レーザスキャニングで得られた地形計測Aaを基にして、DEM(Digital Elevation Model)データを作成する(Ab)。なお、DEMデータは既存のデータを用いることもできる。
【0038】
図5は、図4のレーザスキャニングによる地形計測Aaを詳細に示すものである。図5に示されているように、航空機23は、IMU(慣性計測装置)とGPS人工衛星21、およびGPS地上基準局22によりX、Y、Z3軸方向の位置と姿勢が正確に追跡される。計測対象地域をレーザスキャニング24し、地表面の位置データ25を取得するとともにデジタル画像を取得する。
【0039】
図5に示されているような、航空機による地形のレーザ計測は、地表面の高度を直接示す測定点が数m〜1m以下の間隔に1点程度と、高密度かつ面的に得られる特徴がある。さらに、反射距離の違いによって、近傍の一群の測定点の中から樹木や建物等から反射したものと地面から反射したものを区別するフィルタリング処理を行い、条件が良い場合には、樹木下の地盤高に極めて近似した詳細地形モデルを作成することができる。その結果、従来の大縮尺地形図やデータ間隔の粗い数値標高地形モデルでは表現できなかった詳細な地形を再現することができるようになった。また、空中写真判読では定量的表現が容易でなかった微小地形をわかりやすく可視化することができるようになった。
【0040】
さらに、このような高密度の三次元数値データは、鳥瞰図化や、縮倍比の変更、陰影の付加、地形情報の定量的計測が容易に行なえる。また、目的に合わせた地形表現の加工が容易であるという利点があり、地形解析の良い基礎データとなる。
【0041】
図4のBでは、DEMデータに対して、可視化のために一次加工(標高・傾斜の可視化)を行なう。地形判読の際には、標高と傾斜が重要な要素となっているので、Bの処理では、カラー標高図の作成(Ba)と、グレースケール傾斜図の作成(Bb)を行なう。この例では、ある火山付近の地形図を作成している。カラー標高図は、異なる標高を異なる色の段彩で表現するものである。
【0042】
カラー標高図は、例えば、標高の高い部分Bxを赤色で、中間の標高の部分Byを黄色で、標高の低い火口底Bzを青色とし、その間の標高を赤〜黄〜青に遷移するグラデーションカラーで表示する。一次加工で作成されたカラー標高図に対して、標高帯、傾斜帯を強調表示する二次加工Cを行なう。この処理は、標高帯、傾斜帯を強調表示したカラー標高図Caを作成する。二次加工は、一次加工で作成されたカラー標高図において、標高に応じて着色されたところの色相、彩度、明度などのレンジを変えて、視覚による地形判読を容易にするためになされる。たとえば、標高の高い部分の着色を赤から他の色に変えるような、着色の変更処理も行われる。なお、二次加工は、状況に応じて省略することもできる。
【0043】
カラー標高傾斜図の合成Dでは、一次加工B、または二次加工Cで得られたカラー標高図Baと、グレースケール傾斜図Bbとを合成する。グレースケール傾斜図Bbでは、傾斜が急峻な地形、例えばBrの部分で濃度が濃く表現される。前記のように、カラー標高図と、グレースケール傾斜図とを合成した結果として、カラー標高傾斜図Daが作成される。
【0044】
このカラー標高傾斜図Daは、対象とする地形、この例では火山付近の地形が、標高と傾斜とを有彩色と無彩色、例えば3原色のみならず、中間色も含めた虹色のカラーとグレースケールとで表示しているので、従来のようなモノクロ、あるいは単色の地形図よりも、視覚により地形の特徴を明確に把握できる。そのため、地形判読の専門家でない場合でも、標高や傾斜の変化が直感的に判読できる。
【0045】
図6は、図4とは異なる対象地域について、カラー標高傾斜図を作成する例を示す説明図である。図6において、データ作成Aでは、航空機によるレーザスキャニングで地形計測を行なう(Ac)。この例では、山間部の地形判読を行なうものとする。レーザスキャナの地形計測Aaを基にしてDEMデータを作成する(Ad)。DEMデータAdを基にして、陰影起伏図Aeと等高線図Afを作成する。
【0046】
図6のBでは、DEMデータに対して、一次加工(標高・傾斜の可視化)を行なう。この処理では、図4の例と同様にカラー標高図の作成(Ba)と、グレースケール傾斜図の作成(Bb)を行なう。カラー段彩標高図Ba標高の高い山の部分を赤色(Bx)で、中間の標高の部分を黄色(By)で、標高の低い河川を青色(Bz)の連続的な段彩で表示している。グレースケール傾斜図Bbでは、傾斜の急峻な部分(Bw)の濃度を濃くしている。グレースケール傾斜図Bbから、地上開度図Bc、地下開度図Bd、ラプラシアン図Be、傾斜区分図Bfを作成する。これらの各図の詳細は、後述する。図6では、カラー標高図Baに対する二次加工Cは行なわずに、カラー標高図Baとグレースケール傾斜図Bbにより、カラー標高傾斜図の合成Cを行なう。
【0047】
前記処理Cで作成されたカラー標高傾斜図Caは、対象とする地形の、例えば、標高をカラー段彩で、傾斜を0〜50度を範囲とするグレースケールで表示している。Eの処理で、各種地形解析図との合成を行なう。すなわち、前記カラー標高図Baと、陰影起伏図Ae、地上開度図Bc、地下開度図Bd、ラプラシアン図Be、傾斜区分図Bfを適宜組み合わせて合成する。この処理により、例えば、標高+傾斜帯強調図Ea、標高+ラプラシアン図Ebを作成する。Fの処理は、地形判読図Faを作成する。地形判読図Faは、カラー標高傾斜図Caと、前記標高+傾斜帯強調図Ea、標高+ラプラシアン図Ebなどにより作成する。この地形判読図Faは、斜面の傾斜、斜面の方向などから、成因に応じた地形種を判断し、地すべりのあとなどを判読した結果を記入したものである。地形判読図Faの詳細については後述する。
【0048】
図7は、図6の一次加工Bにおいて作成される傾斜区分図Bfの例を示す説明図である。傾斜区分図Bfは、前記DEMデータから傾斜角度を計算し、角度別に色分け表現したものである。傾斜区分図Bfは、地形の傾斜角度に応じて段階的な色分けを行なっている。
【0049】
図8〜図16は、図6のDEMデータに基づいて作成される各種地形解析図を示しており、図6のカラー標高図Bcと同じ地形を異なる主題で表示している。この中で、図8〜図10の例は陰影起伏図、傾斜図など地形量の数値を濃淡や色彩によって表現したもの、あるいはそれらと他の地形量を組み合わせたものである。
【0050】
図8は、陰影起伏図Aeを示している。陰影起伏図Aeは、三次元の地形に対して、ある方向から光源をあてた場合に、地形の起伏に応じた陰影が表現されるので、そのような状態を示した図である。陰影起伏図は、地質・地形を判読する際に判り易く、直感的に把握することが容易である。また、リニアメントなどがはっきり認識できるという利点がある。図9は、等高線図Afを示している。
【0051】
図10は、傾斜図Bb(0〜50度)を示している。傾斜図Bbは、地形の傾斜の度合いを示したものであり、傾斜が大きければ大きいほど濃い色で示される。すなわち、数値で表された地形の傾斜の度合いを濃淡に変換して表示する方法である。このように、傾斜図は、数値データであることを活かし、直感的にわかりにくい微妙な変化について濃淡のレンジを選択調整して,表現したい傾斜区分に合わせて見やすく可視化ができる。
【0052】
図11は、傾斜帯強調図Eaを示している。傾斜帯強調図Eaは、カラー標高傾斜図にグレースケール傾斜図を重ねたものであるが、図9に示された前記傾斜図Bbを用いて、30度以上の傾斜部分を、標高に用いた色と彩度・明度の異なる色相を選択し強調した図である。
【0053】
図12〜図15は開度図を示している。図12は、地上開度図Bc(距離100m)、図13は地上開度図Bc'(距離20m)の例である。地上開度図は、着目する地点から距離Lの範囲内で見える空の広さを表しているもので、一般に周囲から突出している地点ほど大きくなり、山頂や尾根で大きな値、くぼ地や谷底では小さい値を示し、突出した山頂や尾根が強調される。
【0054】
図14は、地下開度図Bd(距離100m)、図15は地下開度図Bd'(距離20m)の例である。地下開度図は、地上開度図とは逆に、空が地表に遮られる度合いをあらわす指標で、谷地形の発達状況や河川の分布・密度などがよく表現される。地下開度図は、地表面から地下を見渡す時、距離Lの範囲における地下の広さを表しており、一般に地下にくい込んでいる地点ほど大きくなり、くぼ地や谷底で大きな値、山頂や尾根では小さい値を示し、くぼ地や谷地が強調される。
【0055】
図16、図17は、ラプラシアン図を示している。ラプラシアン図は、傾斜の変化率を表し、くぼんだ地形で正、突出した地形で負となり、一般的に地形の変化が大きいところで絶対値が大きくなる。図16のラプラシアン図Beは、凸部(尾根など)を赤く(Br)、凹部(谷部など)が青く(Bs)なるように作成してある。また、図17のラプラシアン図Gbは、凸部(尾根など)を白く(Bu)、凹部(谷部など)が黒く(Bv)なるように作成してある。ラプラシアン図は、陰影図とは異なり、強調される方向はないが、傾斜変化の鋭いエッジが抽出されるため、山ひだの様子やリニアメントが表現できる。
【0056】
図18、図19には、カラー標高傾斜図を用いて作成した地形判読図の例が示されている。図18は、等高線図を背景とした地形判読図Fxを示しており、図19は、図6と同じカラー標高傾斜図Fbを背景とした地形判読図を示している。図18、図19においては、(a)遷急線、(b)崩壊跡地、(c)滑落崖、(d)沖積錐、(e)土石流堆、(f)崖錐ガリー、地すべり土塊、(g)段丘面、の位置をそれぞれ記号で表示している。
【0057】
図18、図19から、当該地域の地形特性は、次のようなものであると判読される。(イ)全体として緩傾斜な山間地の斜面にも、侵食の程度が異なる渓流が分布している。(ロ)大きな河川沿いには、渓床から30m前後の高さに遷急線(後氷期浸食前線)が明瞭に存在し、直下の斜面は土砂移動が活発である。(ハ)中央の地すべり地形は、3つの小ブロックに分かれる。(ニ)中央の地すべり地形は、不明瞭な滑落崖を伴う。
【0058】
このように、地形特性から、災害発生の形態を判読することができる。地形図から判読される災害発生形態は、(イ)遷急線直下からの浸食→斜面崩壊、(ロ)浸食の著しい谷からの崩壊土砂の流下、(ハ)地すべりによる緩慢な土砂移動、などである。
【0059】
図18では、標高が等高線で表されているが直感的にはわかりにくい。これに対して、図19の例では、地形図の標高、傾斜を複数色、例えば虹色のカラー表示としている。このため、対象地域における災害要因となる地形状況の把握が視覚的に的確に行なえるという利点がある。
【0060】
図1は、本発明の実施形態を示すブロック図で、図4の処理に相当する。図1において、カラー標高傾斜図作成システムの制御部1は、航空機などに搭載したレーザスキャナ2でスキャニングされた計測データ、または予め用意されている等高線地形図3、または航空写真のステレオ画像計測4(ステレオ画像マッチング)とを用いて、DEM(Digital Elevation Model)データ作成部5で、DEMデータ(数値標高モデル)を作成する。
【0061】
作成されたDEMデータから、対象とする地域の傾斜、および標高を算出して表示する。DEMデータは既存のDEMデータ6を用いることもできる。傾斜算出部7は、標高値の差分化により傾斜を算出する。算出された傾斜を用いて、傾斜度表示画像作成部8で、グレースケールの輝度調整がなされた傾斜図が作成される。
【0062】
一方、標高表示部9では、標高を色相などに割り当てたカラー段彩図が作成される。このカラー段彩図は、標高強調画像作成部10で適切な色相が選択され、さらに彩度、明度の調整がなされる。グレースケールの輝度調整がなされた傾斜図と、色の調整がなされたカラー標高図は、画像合成部11で透過合成される。透過合成された画像は、表示部12においてカラー標高傾斜図(Elevation and Slope Angle:ELSA)が表示される。
【0063】
次に、出力部13でカラー標高傾斜図が出力される。本発明のカラー標高傾斜図は、ELSAマップ(Elevation and Slope Angle Map)と略称することができる。なお、図4で説明したように、二次加工としての標高帯、傾斜帯の強調表示を省略することも可能である。この場合には、標高強調画像作成部10は、適切な色相、彩度、明度の調整を行なう標高画像作成部として機能する。
【0064】
DEMデータを用いて、図8〜図16で説明した二次加工データである、陰影起伏図、傾斜区分図、地上開度図、地下開度図、ラプラシアン図のいずれか、またはそれらの複数を表示、出力する構成とすることは、任意に選択できる。図1では、カラー標高傾斜図をプリントアウトする出力部13を設けているが、出力部13は必須の構成ではない。表示部12も広義の出力手段であり、カラー標高傾斜図を表示させることで足りる場合もある。
【0065】
図2は、本発明の実施形態に係るカラー標高傾斜図作成システムの概略構成を示すブロック図である。図2において、当該システム50は、各種の演算、処理を実行するCPU51、キーボードやマウスなどの入力部52、図4〜図17で説明した各種の地形解析図を二次元で表示する出力部(ディスプレイ)53を有している。出力部53として、当該地形図をカラーやモノクロで記録紙にプリントする、プリンターを設けることもできる。
【0066】
また、画像空間のデータが格納されるRAM54を有している。この画像空間のデータは、DEMデータを用いてラスタ・データ・モデルを作成するもので、微小な分割領域セル(またはピクセル)からなる二次元配列である。前記画像空間のデータは、RAM54の実世界座標空間に変換される。さらに、RAM54の実世界座標空間の情報は、出力部(ディスプレイ)53の二次元面に表示される。また、システムを動作させるプログラムが格納されているROM55、DEMデータが格納されているメモリ56を有している。
【0067】
図3は、本発明の実施形態に係るカラー標高傾斜図作成方法の処理手順を示すフローチャートである。図3において、判読対象・DEMデータ取得方法の選択を行なう(S1)。次に、ステレオ画像マッチング(S2)、等高線データ(S3)、対称地域のレーザスキャナ計測データ(S4)によりDEMデータを作成する(S6)。また、既存のDEMデータを取り出す(S5)。
【0068】
対象地域の標高値を表示する(S7)。この処理では、標高値に対応してカラー段彩を施しており、カラーは、例えば虹色のように複数色とするが、単一の色相を選択することもできる。次に、標高帯表示色相のレンジ調整を行なう(S8)。この処理は、標高値に対応して彩色される色相が視覚と適合するように色相、彩度を調整するものである。
【0069】
強調標高帯表示適合性を判定する(S9)。表示適合性あり(Y)と判定した場合には次の処理に移行する。検討結果の判定が表示適合性なし(N)の場合には、再度標高帯表示色相のレンジ調整を行なう。ここで、通常の処理では、例えば、標高が高い地形を赤色で、標高が低い地形を青色で、中間の標高の地形を黄色で連続的に表示すると高低差が明確に視覚で判断できる。したがって、標高が高いところから低いところに向けて順次、赤色、黄色、青色の連続色でレンジ調整を行なう。
【0070】
ところで、標高の高い山では樹木の緑で覆われているので、標高の高いところは視覚では緑色のイメージがある。また、低地の道路、グランドなどは視覚では茶色のイメージがある。そこで、強調標高帯表示適合性を判定する(S9)処理においては、当初、高い標高を赤色で表示していたところを、緑色に置き換え、低地を青色から茶色に置き換えてレンジ調整を行なうようにすることもできる。以上の処理により、自然な感覚を加えた地形の立体情報が得られるカラー標高図が作成される(S10)。
【0071】
一方、DEMデータに基づき、対象とする地域の傾斜度を算出する(S11)。次に、グレースケール輝度で傾斜度を表示する(S12)。続いて、傾斜度表示グレースケールの輝度のレンジ調整を行なう(S13)。傾斜度についても、強調傾斜帯表示適合性を判定する(S14)。この判定結果がNの場合には、S13の処理に戻り再度傾斜度表示グレースケールの輝度のレンジ調整を行なう。S14の判定結果がYの場合には、強調グレースケール傾斜図の作成を行なう(S15)。
【0072】
強調カラー標高図と強調グレースケール傾斜図により、カラー標高傾斜図(ELSA)を合成する(S16)。次に、カラー標高傾斜図(ELSA)をディスプレイに表示する(S17)。続いて、カラー標高傾斜図を出力して記録紙にプリントする(S18)。なお、なお、図4で説明したように、二次加工としての標高帯、傾斜帯の強調表示の処理を省略することも可能である。この場合には、強調標高帯表示適合性を判定する(S9)処理、および強調傾斜帯表示適合性を判定する(S14)処理は行わない。
【0073】
本発明では、高度段彩図と傾斜量図を透過合成した図が、地形判読に有効であることを見出して、カラー標高図と傾斜図を透過合成する具体的方法を開示した。前記カラー標高図と傾斜図との透過合成の具体的方法は、次の通りである。
【0074】
(1)透過合成手法
傾斜図は単独でも地形判読に使うことが可能であるが、尾根谷が反転して見えることもあるのが弱点である。そこで、標高値をカラー段彩図として合成することにより、その弱点を補うことができる。従来においては、数種類の画像を不透明度100%で乗算合成しているため、原色に近い、濃い色合いになる傾向があった。
【0075】
本発明のカラー標高傾斜図は、不透明度を100%に調整した傾斜図(グレースケールの濃淡)の上に、虹色で表示した高度段彩図の不透明度を50%などに減じ、合成して表示している。傾斜図の不透明度を減ずることも可能であるが、その場合は全体的に淡い色合いになる。標高よりも傾斜の変化が地形判読には重要であるため、視覚的に明瞭に認識できるように、通常は傾斜図に不透明度の調整は行なわない。標高値の透過性を増加させることにより、原色に近い色合いから、透明感のあるきれいな色調の画像を作成することができる。
【0076】
(2)カラー標高傾斜図作成に使うプログラム
従来の地形判読図は、一般向けの画像処理専用ソフトを使って作成されている。一般向けの画像処理専用ソフトで2種類の画像(例えばカラー標高図と傾斜図)を乗算合成する場合、片方の不透明度を下げることができない。本発明のカラー標高傾斜図は、GISソフトのラスタ透過機能を用いて作成した。これを使うことにより、不透明度を0〜100%の範囲で好みに応じて調整することが可能となった。
【0077】
(3)高度段彩の表現
本発明は、高低差の表現を細かく行なうため、基本的に七色の色相を選択しているが、好みに応じ、画像処理ソフトを使ってカラー標高図の色相や彩度、明度を変えることも可能である。例えば、低所を赤色、高所を緑色でストレッチ表現したカラー標高図を傾斜図と透過合成すると、自然な地形の立体感が得られ、地形判読に詳しくない人でも地形を理解することが容易となる。
【0078】
(4)傾斜の表現
本発明は、傾斜の度合いの表現には基本的に濃淡(グレースケール)を選択しているが、必要に応じて、画像処理ソフトを使って濃度の端点を変えることも可能である。例えば、緩傾斜部分を細かく表現したい場合は、その部分に濃淡のストレッチ幅を調整すると、人間の視覚には認識しにくい微小な傾斜変化を可視化することができる。
【0079】
(5)定量的数値データの表示
本発明のカラー標高傾斜図は、画像として透過合成されたものである。したがって、起伏感を出すものではないので、標高値と傾斜量は数値データとしてそれぞれ個別に保存されており、必要に応じて画像としても数値データとしても単独に取り出すことができる。
【0080】
(6)傾斜量図以外の図との透過合成
不透明度100%の図には傾斜量図以外の画像も使用できる。尾根・谷の傾斜変換部が強調されるラプラシアンを、グレースケールなどの濃淡で表現することも可能である。ラプラシアンは、一般的に侵食域と堆積域の相違を示す指標と言われている。このため、カラー標高図と透過合成することにより、両区域の高度分布が把握でき、砂防・治山事業、道路防災事業等の防災分野に利用できる。
【0081】
次に、本発明のカラー標高傾斜図のその他の有効利用について説明する。本発明によるカラー標高傾斜図は、地形判読だけではなく、標高情報の厳密さを要求する事項に有効活用できる。洪水や津波の災害危険予測図(ハザードマップ)では、浸水域の把握や、現在生活している地域の標高を把握することができる。
【0082】
また、都市部では建物の高度に応じたカラー標高傾斜図を作成できる。この場合のカラー標高傾斜図は、都市計画など建物の高さ情報に基づいて実施される事業に利用可能である。さらに、津波の避難対策として避難ビルが提唱されているが、浸水域に対して、どのビルが高く安全なビルであるか検討するとともに、平面上でビジュアルに可視化することも可能である。
【0083】
以上、本発明の実施形態について説明した。本発明は、これらの実施形態に限定されず、種々の形態で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上説明したように、本発明によれば、計測対象とする地域における傾斜の度合いや標高差を視覚的に明確に判断できる構成とした、カラー標高傾斜図作成システムおよびカラー標高傾斜図作成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態を示す説明図である
【図6】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図9】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図11】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図12】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図13】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図14】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図15】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図16】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図17】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図18】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図19】本発明の実施形態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0086】
1・・・カラー標高傾斜図作成システムの制御部、2・・・レーザスキャナ、3・・・等高線地形図、4・・・ステレオ画像マッチング(ソフト)、5・・・DEM(Digital Elevation Model)データ作成部、6・・既存のDEMデータ、7・・・傾斜算出部、8・・・傾斜度表示画像作成部、9・・・標高表示部、10・・・標高強調画像作成部、11・・・画像合成部、12・・・表示部、13・・・(カラー標高傾斜図:ELSA)出力部、50・・・カラー標高傾斜図作成システム、51・・・CPU、52・・・入力部、53・・・出力部、54・・・RAM、55・・・ROM、56・・・メモリ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測対象とする地域における傾斜の度合いや標高差が視覚的に明確に同時に判断できる構成とした、カラー標高傾斜図作成システムおよびカラー標高傾斜図作成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地域の開発や環境保全、災害発生の予防対策を講ずるために、地形の判読が必要となる場合がある。ここで、一般に、地形とは地表面の起伏の形態のことであり、その特徴は、1地点においてはその位置(平面座標x、y、および標高zで表される)および斜面の向きと傾斜の方向で認識できる。さらに、ある面積を持った領域においては、地形は、斜面の向きの変化と傾斜の変化との組み合わせの3次元空間における連続性によって認識できる。
【0003】
地形判読は、地表面の起伏の形態の特徴を把握することにより、目的に応じた地形区分を行うものである。地形判読に必要な情報としては、斜面の傾斜度、傾斜度の変化、傾斜の向き、斜面の走向、地点の高度、地点の平面的位置、多点間の距離・位置関係などがあり、判読を定量的に行うためにはこれらができるだけ歪みのない状態で提示されていることが望ましい。
【0004】
地形判読に必要な情報を得る手法として、次の3種類の手法が知られている。
【0005】
(1)仮想的立体を視覚的に再現する方法
空中写真など、立体に対し中心投影法により作成した視点の異なる一対の平面画像、あるいは地形図などを斜投影法により画像処理した一対の平面画像を用い、肉眼の視差を利用して仮想的立体を視覚内に構築するもので、平行法・交差法・余色法により立体視を行う方法がある。また、マイクロプリズムによる波長ごとの屈折角の違いを利用して左右両眼に視差を作り出し、赤いものは手前に、青いものは奥に見えるような視覚を生み出すことによって、高度を色相に割り当てた平面画像から仮想的立体を再現する手法もある。これらの方法では、実際に立体を見る状態と類似した立体感を再現でき、さらに視差の効果を調整することにより、立体感を強調してみせることもできる。
【0006】
(2)地形判読に必要な情報を個別に提示する方法
地表面の起伏を記述する地形量を個々に提示することにより2次元平面において地形的特徴を読み取る方法である。(a)傾斜図は、任意の地点における傾斜の度合いを数値あるいは記号などに置き換え、または色相や明度などの連続量として示したものである。非特許文献1には、DEMデータから算出した傾斜から傾斜図を作成し、地形判読に利用する試みが示されている。同様に(b)傾斜方位図は、任意の地点における傾斜方向を数値あるいは記号、色相や明度などに置き換えて示したものである。
【0007】
(c)斜面方位図は、任意の地点において斜面と交差する水平面が描く交線の向きを数値あるいは記号、色相や明度などに置き換えて示したものである。標高図は、任意の地点における標高値を数値あるいは記号などに置き換えて示したものである。標高値を色相や明度などに置き換え、段階的に表示したものを高度段彩図という。(d)標高図のうち、同標高値を連ねた線を一定間隔で描画したものは、等高線図と呼ばれ、標高値と同時に等高線の向きによって斜面方位を表している。
【0008】
(3)凹凸感の生成により擬似的に立体感を得る方法
(a)2次元平面上では、標高値の情報に基づいて立体感を得ることは、一定距離間の標高値の変化の情報によるのみではむずかしい。しかし、一定距離間の標高値の変化の情報と凹凸を判定する情報とを組み合わせて立体感を得る手法が、最近開発されている。地形の凹凸の情報を得る手法としては、任意の方向に光源を設定して生じた陰影で地表面の起伏を表現する方法、凸部や凹部の一定距離間における地上(地下)見通し角をあらわす地上(地下)開度を算出する方法がある。また、起伏のある地形に対して交差するような傾向面を発生させ、その面と地表面との標高差の正負を算出し凹部と凸部を判別して可視化する方法がある。
【0009】
(b)これらの方法に基づいて2次元平面上で立体感を表現した図としては、一定方向に光源をおいて作成した陰影起伏図がある。また、非特許文献2には、地表面の起伏にローパスフィルタをかけた値と実際の標高値との差分を色相と彩度に割り当て、垂直方向の光源によって生じる反射輝度を明度に割り当てて透過合成した陰陽図が示されている。
【0010】
ところで、地形を立体的に表現することについては、例えば、特許文献1には、航空写真などの画像データに、当該撮像地域の標高データと陰影付地図データを融合させて、地形を起伏表現することが記載されている。
【0011】
【特許文献1】特開2001−005380号公報
【非特許文献1】神谷泉・黒木貴一・田中耕平、2000、傾斜量図を用いた地形・地質の判読、情報地質、第11巻、第1号 9-22
【非特許文献2】秋山幸秀、2005、LiDARによる3次元データの微地形表現手法−陰陽図−、地球惑星関連学会2005年合同大会予稿集,Y57-007
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
地形判読の手法において、前記(1)仮想的立体を視覚的に再現する方法においては、立体を視覚内に構築することは同時に遠近感を得ることになり、視野内に均一な縮尺が得られないため、直接定量的な計測を行うことはむずかしい、という問題があった。
【0013】
また、非特許文献1に示されているような(2)地形判読に必要な情報を個別に提示する方法においては、一般的には、2次元平面において標高値および一定距離間における標高値の変化量の可視化によってのみ立体感を得ることは困難である。たとえば傾斜図では、傾斜角のみでは傾斜方向が表せないため、上昇する斜面か下降する斜面かを区分することができず、その情報だけでは完全な凹凸感は得られない。
【0014】
一般的に知られている等高線による地形図の場合でも同様である。等高線は、その向きにより斜面方位、その描画間隔の粗密により傾斜の度合いを同時に表現している。しかしながら、傾斜の度合いだけでは、上昇斜面か下降斜面かを見分けられず、斜面方位にも反転を防止する効果はないため、尾根と谷を見誤ることも多い。
【0015】
またラプラシアン図の場合には、鋭い傾斜変化を明瞭に表すことができ、凹型斜面や凸型斜面を識別することができるが、傾斜の変化が一定の場合は谷部や尾根部のどこでも同じ表現になるため、谷線や尾根線の位置を特定することができない場合がある。このように、前記(2)の方法においても、地形判読を精度良く行うことができないという問題があった。
【0016】
さらに、非特許文献2に示されているような(3)凹凸感の生成により擬似的に立体感を得る方法、においても、標高値自体を示す情報を欠くために、標高差が大きい地域における局所的領域間の高低差が把握できず、局所的な凹凸感は得られても、全体としての高低の位置関係を含んだ十分な立体感を得ることはできないという問題があった。
【0017】
前記特許文献1に記載されている地形図においては、対象とする地域の起伏の状態は視覚的にある程度判断できる構成としている。しかしながら、対象とする地域における傾斜の度合いの細部や、標高差については視覚的に判断が困難という問題があった。
【0018】
本発明は、上記課題を解決するものであって、地形の特徴を判読識別するための手段として、地形の起伏および谷地形・尾根地形、分布位置・高度を2次元平面状で、同時にかつそれぞれ明瞭に識別できる構成とした、カラー標高傾斜図作成システムおよびカラー標高傾斜図作成方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
そのために本発明のカラー標高傾斜図作成システムは、対象地域の航空写真のステレオ画像計測と、当該地域の等高線地形図と、レーザ計測により取得した標高データのいずれかに基づいて前記対象地域のDEMデータを作成する手段、前記DEMデータにカラー段彩を施してカラー標高図を作成する手段、前記DEMデータの傾斜を算出してグレースケール傾斜図を作成する手段、前記カラー標高図、およびグレースケール傾斜図を合成してカラー標高傾斜図を作成する手段、前記カラー標高傾斜図を出力する手段、を有することを特徴とする。
【0020】
また、本発明のカラー標高傾斜図作成システムは、対象地域の航空写真のステレオ画像計測と、当該地域の等高線地形図と、レーザ計測により取得した標高データのいずれかに基づいて前記対象地域のDEMデータを作成する手段、前記DEMデータにカラー段彩を施して強調カラー標高図を作成する手段、前記DEMデータの傾斜を算出して強調グレースケール傾斜図を作成する手段、前記強調カラー標高図、および強調グレースケール傾斜図を合成してカラー標高傾斜図を作成する手段、前記カラー標高傾斜図を表示する手段、前記カラー標高傾斜図を出力する手段、を有することを特徴とする。
【0021】
また、本発明のカラー標高傾斜図作成システムは、前記DEMデータに基づいて、陰影起伏図、等高線図、地上開度図、地下開度図、ラプラシアン図、傾斜区分図のいずれか、またはそれらの複数を作成し、カラー標高図と合成する手段を有することを特徴とする。
【0022】
また、本発明のカラー標高傾斜図作成システムは、前記カラー標高画像または強調カラー標高図、およびグレースケール傾斜図を合成して作成したカラー標高傾斜図を用いて地形判読を行う手段を有することを特徴とする。
【0023】
また、本発明のカラー標高傾斜図作成システムは、前記カラー標高図、およびグレースケール傾斜図を合成したカラー標高傾斜図と、カラー標高図と陰影起伏図、等高線図、地上開度図、地下開度図、ラプラシアン図、傾斜区分図のいずれかとを合成したカラー地形解析図を用いて地形判読を行う手段を有することを特徴とする。
【0024】
また、本発明のカラー標高傾斜図作成システムは、前記カラー段彩は、標高に応じて単色もしくは複数の色相などに色分けしたものであることを特徴とする。
【0025】
本発明のカラー標高傾斜図作成方法は、対象地域の航空写真のステレオ画像計測と、当該地域の等高線地形図と、レーザ計測による標高データとに基づいて前記対象地域のDEMデータを作成する段階、前記DEMデータにカラー段彩を施して標高値を表示する段階、標高帯表示色相のレンジ調整をする段階、強調標高帯表示適合性を判定する段階、カラー標高図を作成する段階、前記DEMデータの傾斜度を算出する段階、前記傾斜度を表示する段階、傾斜度表示グレースケール輝度のレンジを調整する段階、強調傾斜帯表示適合性を判定する段階、グレースケール傾斜図を作成する段階、前記カラー標高図およびグレースケール傾斜図を合成してカラー標高傾斜図を作成する段階、前記カラー標高傾斜図を出力する段階、からなることを特徴とする。
【0026】
また、本発明のカラー標高傾斜図作成方法は、対象地域の航空写真のステレオ画像計測と、当該地域の等高線地形図と、レーザ計測による標高データのいずれかに基づいて前記対象地域のDEMデータを作成する段階、前記DEMデータにカラー段彩を施して標高値を表示する段階、標高帯表示色相のレンジ調整をする段階、強調標高帯表示適合性を判定する段階、強調カラー標高図を作成する段階、前記DEMデータの傾斜度を算出する段階、前記傾斜度を表示する段階、傾斜度表示グレースケール輝度のレンジを調整する段階、強調傾斜帯表示適合性を判定する段階、強調グレースケール傾斜図を作成する段階、前記強調カラー標高図および強調グレースケール傾斜図を合成してカラー標高傾斜図を作成する段階、前記カラー標高傾斜図を出力する段階、からなることを特徴とする。
【0027】
また、本発明のカラー標高傾斜図作成方法は、前記DEMデータに基づいて、陰影起伏図、等高線図、地上開度図、地下開度図、ラプラシアン図、傾斜区分図のいずれか、またはそれらの複数を作成し、カラー標高図と合成する段階を有することを特徴とする。
【0028】
また、本発明のカラー標高傾斜図作成方法は、前記カラー標高図、およびグレースケール傾斜図を合成したカラー標高傾斜図を用いて地形判読図を作成する段階を有することを特徴とする。
【0029】
また、本発明のカラー標高傾斜図作成方法は、前記カラー標高図、およびグレースケール傾斜図を合成したカラー標高傾斜図と、カラー標高図と陰影起伏図、等高線図、地上開度図、地下開度図、ラプラシアン図、傾斜区分図のいずれかとを合成した地形解析図を用いて地形判読を行う段階を有することを特徴とする。
【0030】
また、本発明のカラー標高傾斜図作成方法は、前記DEMデータに標高に応じて単色もしくは複数の色相に色分けしたカラー段彩を施す段階を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、本発明によれば、計測対象とする地域における傾斜の度合いをグレースケールで、標高差をカラー段彩、例えば虹色で表示するので、視覚的に明確に判断できる。
【0032】
また、本発明で作成されるカラー標高傾斜図を用いることにより、任意の地点の標高と斜面の傾斜の度合い、または傾斜の変化などについて、個別の情報の意味を失うことなく、同時に、かつ面的に連続的に把握できる。このため、尾根・谷の反転や高度位置関係の錯誤なく、地形の起伏を把握することができる。また、標高と傾斜の数値は個別に保存され、それぞれ数値データとしても取り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
最初に、本発明の基本的な構成原理について説明する。一つの2次元平面上では、傾斜やラプラシアンなどの標高値の変化に基づく個別の情報のみによって地形の起伏を直感的に正しく認識することは簡単ではない。また凹凸感の生成により擬似的に立体感を得る方法では、相対的に広範囲の高低差を直感的に得ることができず、地形判読に必要な情報としては十分ではない。
【0034】
しかしながら、地形判読には必ずしも立体感が必要ではなく、斜面の向きの変化と傾斜の変化との組み合わせの3次元空間における連続性が、斜面の傾斜の度合い、傾斜の度合いの変化、傾斜の向き、斜面の走向、地点の高度、地点の平面的位置、多点間の距離・位置関係などの情報から正しく認識できればよい。
【0035】
そこで本発明では、地形判読に必要な個別の情報を選択合成して提示するという方法に基づいて、標高値と傾斜度を合成し、2次元平面上において地形の特徴を直感的に把握するとともに、歪みのない正射投影画像上で定量的な地形量として表示する具体的な手法を提示する。
【0036】
すなわち、本発明においては、数値標高データから色相などに割り当てた標高データ(高度段彩図)と濃度に割り当てた傾斜度データ(傾斜図)を透過合成してカラー標高傾斜図を作成する。このような、カラー標高傾斜図は、汎用のコンピュータシステムおよびGIS(Geographic Information System)ソフトウェアを用いて作成するものである。
【0037】
図4〜図18は、本発明の実施形態に係る具体的なカラー標高傾斜図作成を示す説明図である。図4において、データ作成Aでは、航空機によるレーザスキャニングで地形計測を行なう(Aa)。レーザスキャニングで得られた地形計測Aaを基にして、DEM(Digital Elevation Model)データを作成する(Ab)。なお、DEMデータは既存のデータを用いることもできる。
【0038】
図5は、図4のレーザスキャニングによる地形計測Aaを詳細に示すものである。図5に示されているように、航空機23は、IMU(慣性計測装置)とGPS人工衛星21、およびGPS地上基準局22によりX、Y、Z3軸方向の位置と姿勢が正確に追跡される。計測対象地域をレーザスキャニング24し、地表面の位置データ25を取得するとともにデジタル画像を取得する。
【0039】
図5に示されているような、航空機による地形のレーザ計測は、地表面の高度を直接示す測定点が数m〜1m以下の間隔に1点程度と、高密度かつ面的に得られる特徴がある。さらに、反射距離の違いによって、近傍の一群の測定点の中から樹木や建物等から反射したものと地面から反射したものを区別するフィルタリング処理を行い、条件が良い場合には、樹木下の地盤高に極めて近似した詳細地形モデルを作成することができる。その結果、従来の大縮尺地形図やデータ間隔の粗い数値標高地形モデルでは表現できなかった詳細な地形を再現することができるようになった。また、空中写真判読では定量的表現が容易でなかった微小地形をわかりやすく可視化することができるようになった。
【0040】
さらに、このような高密度の三次元数値データは、鳥瞰図化や、縮倍比の変更、陰影の付加、地形情報の定量的計測が容易に行なえる。また、目的に合わせた地形表現の加工が容易であるという利点があり、地形解析の良い基礎データとなる。
【0041】
図4のBでは、DEMデータに対して、可視化のために一次加工(標高・傾斜の可視化)を行なう。地形判読の際には、標高と傾斜が重要な要素となっているので、Bの処理では、カラー標高図の作成(Ba)と、グレースケール傾斜図の作成(Bb)を行なう。この例では、ある火山付近の地形図を作成している。カラー標高図は、異なる標高を異なる色の段彩で表現するものである。
【0042】
カラー標高図は、例えば、標高の高い部分Bxを赤色で、中間の標高の部分Byを黄色で、標高の低い火口底Bzを青色とし、その間の標高を赤〜黄〜青に遷移するグラデーションカラーで表示する。一次加工で作成されたカラー標高図に対して、標高帯、傾斜帯を強調表示する二次加工Cを行なう。この処理は、標高帯、傾斜帯を強調表示したカラー標高図Caを作成する。二次加工は、一次加工で作成されたカラー標高図において、標高に応じて着色されたところの色相、彩度、明度などのレンジを変えて、視覚による地形判読を容易にするためになされる。たとえば、標高の高い部分の着色を赤から他の色に変えるような、着色の変更処理も行われる。なお、二次加工は、状況に応じて省略することもできる。
【0043】
カラー標高傾斜図の合成Dでは、一次加工B、または二次加工Cで得られたカラー標高図Baと、グレースケール傾斜図Bbとを合成する。グレースケール傾斜図Bbでは、傾斜が急峻な地形、例えばBrの部分で濃度が濃く表現される。前記のように、カラー標高図と、グレースケール傾斜図とを合成した結果として、カラー標高傾斜図Daが作成される。
【0044】
このカラー標高傾斜図Daは、対象とする地形、この例では火山付近の地形が、標高と傾斜とを有彩色と無彩色、例えば3原色のみならず、中間色も含めた虹色のカラーとグレースケールとで表示しているので、従来のようなモノクロ、あるいは単色の地形図よりも、視覚により地形の特徴を明確に把握できる。そのため、地形判読の専門家でない場合でも、標高や傾斜の変化が直感的に判読できる。
【0045】
図6は、図4とは異なる対象地域について、カラー標高傾斜図を作成する例を示す説明図である。図6において、データ作成Aでは、航空機によるレーザスキャニングで地形計測を行なう(Ac)。この例では、山間部の地形判読を行なうものとする。レーザスキャナの地形計測Aaを基にしてDEMデータを作成する(Ad)。DEMデータAdを基にして、陰影起伏図Aeと等高線図Afを作成する。
【0046】
図6のBでは、DEMデータに対して、一次加工(標高・傾斜の可視化)を行なう。この処理では、図4の例と同様にカラー標高図の作成(Ba)と、グレースケール傾斜図の作成(Bb)を行なう。カラー段彩標高図Ba標高の高い山の部分を赤色(Bx)で、中間の標高の部分を黄色(By)で、標高の低い河川を青色(Bz)の連続的な段彩で表示している。グレースケール傾斜図Bbでは、傾斜の急峻な部分(Bw)の濃度を濃くしている。グレースケール傾斜図Bbから、地上開度図Bc、地下開度図Bd、ラプラシアン図Be、傾斜区分図Bfを作成する。これらの各図の詳細は、後述する。図6では、カラー標高図Baに対する二次加工Cは行なわずに、カラー標高図Baとグレースケール傾斜図Bbにより、カラー標高傾斜図の合成Cを行なう。
【0047】
前記処理Cで作成されたカラー標高傾斜図Caは、対象とする地形の、例えば、標高をカラー段彩で、傾斜を0〜50度を範囲とするグレースケールで表示している。Eの処理で、各種地形解析図との合成を行なう。すなわち、前記カラー標高図Baと、陰影起伏図Ae、地上開度図Bc、地下開度図Bd、ラプラシアン図Be、傾斜区分図Bfを適宜組み合わせて合成する。この処理により、例えば、標高+傾斜帯強調図Ea、標高+ラプラシアン図Ebを作成する。Fの処理は、地形判読図Faを作成する。地形判読図Faは、カラー標高傾斜図Caと、前記標高+傾斜帯強調図Ea、標高+ラプラシアン図Ebなどにより作成する。この地形判読図Faは、斜面の傾斜、斜面の方向などから、成因に応じた地形種を判断し、地すべりのあとなどを判読した結果を記入したものである。地形判読図Faの詳細については後述する。
【0048】
図7は、図6の一次加工Bにおいて作成される傾斜区分図Bfの例を示す説明図である。傾斜区分図Bfは、前記DEMデータから傾斜角度を計算し、角度別に色分け表現したものである。傾斜区分図Bfは、地形の傾斜角度に応じて段階的な色分けを行なっている。
【0049】
図8〜図16は、図6のDEMデータに基づいて作成される各種地形解析図を示しており、図6のカラー標高図Bcと同じ地形を異なる主題で表示している。この中で、図8〜図10の例は陰影起伏図、傾斜図など地形量の数値を濃淡や色彩によって表現したもの、あるいはそれらと他の地形量を組み合わせたものである。
【0050】
図8は、陰影起伏図Aeを示している。陰影起伏図Aeは、三次元の地形に対して、ある方向から光源をあてた場合に、地形の起伏に応じた陰影が表現されるので、そのような状態を示した図である。陰影起伏図は、地質・地形を判読する際に判り易く、直感的に把握することが容易である。また、リニアメントなどがはっきり認識できるという利点がある。図9は、等高線図Afを示している。
【0051】
図10は、傾斜図Bb(0〜50度)を示している。傾斜図Bbは、地形の傾斜の度合いを示したものであり、傾斜が大きければ大きいほど濃い色で示される。すなわち、数値で表された地形の傾斜の度合いを濃淡に変換して表示する方法である。このように、傾斜図は、数値データであることを活かし、直感的にわかりにくい微妙な変化について濃淡のレンジを選択調整して,表現したい傾斜区分に合わせて見やすく可視化ができる。
【0052】
図11は、傾斜帯強調図Eaを示している。傾斜帯強調図Eaは、カラー標高傾斜図にグレースケール傾斜図を重ねたものであるが、図9に示された前記傾斜図Bbを用いて、30度以上の傾斜部分を、標高に用いた色と彩度・明度の異なる色相を選択し強調した図である。
【0053】
図12〜図15は開度図を示している。図12は、地上開度図Bc(距離100m)、図13は地上開度図Bc'(距離20m)の例である。地上開度図は、着目する地点から距離Lの範囲内で見える空の広さを表しているもので、一般に周囲から突出している地点ほど大きくなり、山頂や尾根で大きな値、くぼ地や谷底では小さい値を示し、突出した山頂や尾根が強調される。
【0054】
図14は、地下開度図Bd(距離100m)、図15は地下開度図Bd'(距離20m)の例である。地下開度図は、地上開度図とは逆に、空が地表に遮られる度合いをあらわす指標で、谷地形の発達状況や河川の分布・密度などがよく表現される。地下開度図は、地表面から地下を見渡す時、距離Lの範囲における地下の広さを表しており、一般に地下にくい込んでいる地点ほど大きくなり、くぼ地や谷底で大きな値、山頂や尾根では小さい値を示し、くぼ地や谷地が強調される。
【0055】
図16、図17は、ラプラシアン図を示している。ラプラシアン図は、傾斜の変化率を表し、くぼんだ地形で正、突出した地形で負となり、一般的に地形の変化が大きいところで絶対値が大きくなる。図16のラプラシアン図Beは、凸部(尾根など)を赤く(Br)、凹部(谷部など)が青く(Bs)なるように作成してある。また、図17のラプラシアン図Gbは、凸部(尾根など)を白く(Bu)、凹部(谷部など)が黒く(Bv)なるように作成してある。ラプラシアン図は、陰影図とは異なり、強調される方向はないが、傾斜変化の鋭いエッジが抽出されるため、山ひだの様子やリニアメントが表現できる。
【0056】
図18、図19には、カラー標高傾斜図を用いて作成した地形判読図の例が示されている。図18は、等高線図を背景とした地形判読図Fxを示しており、図19は、図6と同じカラー標高傾斜図Fbを背景とした地形判読図を示している。図18、図19においては、(a)遷急線、(b)崩壊跡地、(c)滑落崖、(d)沖積錐、(e)土石流堆、(f)崖錐ガリー、地すべり土塊、(g)段丘面、の位置をそれぞれ記号で表示している。
【0057】
図18、図19から、当該地域の地形特性は、次のようなものであると判読される。(イ)全体として緩傾斜な山間地の斜面にも、侵食の程度が異なる渓流が分布している。(ロ)大きな河川沿いには、渓床から30m前後の高さに遷急線(後氷期浸食前線)が明瞭に存在し、直下の斜面は土砂移動が活発である。(ハ)中央の地すべり地形は、3つの小ブロックに分かれる。(ニ)中央の地すべり地形は、不明瞭な滑落崖を伴う。
【0058】
このように、地形特性から、災害発生の形態を判読することができる。地形図から判読される災害発生形態は、(イ)遷急線直下からの浸食→斜面崩壊、(ロ)浸食の著しい谷からの崩壊土砂の流下、(ハ)地すべりによる緩慢な土砂移動、などである。
【0059】
図18では、標高が等高線で表されているが直感的にはわかりにくい。これに対して、図19の例では、地形図の標高、傾斜を複数色、例えば虹色のカラー表示としている。このため、対象地域における災害要因となる地形状況の把握が視覚的に的確に行なえるという利点がある。
【0060】
図1は、本発明の実施形態を示すブロック図で、図4の処理に相当する。図1において、カラー標高傾斜図作成システムの制御部1は、航空機などに搭載したレーザスキャナ2でスキャニングされた計測データ、または予め用意されている等高線地形図3、または航空写真のステレオ画像計測4(ステレオ画像マッチング)とを用いて、DEM(Digital Elevation Model)データ作成部5で、DEMデータ(数値標高モデル)を作成する。
【0061】
作成されたDEMデータから、対象とする地域の傾斜、および標高を算出して表示する。DEMデータは既存のDEMデータ6を用いることもできる。傾斜算出部7は、標高値の差分化により傾斜を算出する。算出された傾斜を用いて、傾斜度表示画像作成部8で、グレースケールの輝度調整がなされた傾斜図が作成される。
【0062】
一方、標高表示部9では、標高を色相などに割り当てたカラー段彩図が作成される。このカラー段彩図は、標高強調画像作成部10で適切な色相が選択され、さらに彩度、明度の調整がなされる。グレースケールの輝度調整がなされた傾斜図と、色の調整がなされたカラー標高図は、画像合成部11で透過合成される。透過合成された画像は、表示部12においてカラー標高傾斜図(Elevation and Slope Angle:ELSA)が表示される。
【0063】
次に、出力部13でカラー標高傾斜図が出力される。本発明のカラー標高傾斜図は、ELSAマップ(Elevation and Slope Angle Map)と略称することができる。なお、図4で説明したように、二次加工としての標高帯、傾斜帯の強調表示を省略することも可能である。この場合には、標高強調画像作成部10は、適切な色相、彩度、明度の調整を行なう標高画像作成部として機能する。
【0064】
DEMデータを用いて、図8〜図16で説明した二次加工データである、陰影起伏図、傾斜区分図、地上開度図、地下開度図、ラプラシアン図のいずれか、またはそれらの複数を表示、出力する構成とすることは、任意に選択できる。図1では、カラー標高傾斜図をプリントアウトする出力部13を設けているが、出力部13は必須の構成ではない。表示部12も広義の出力手段であり、カラー標高傾斜図を表示させることで足りる場合もある。
【0065】
図2は、本発明の実施形態に係るカラー標高傾斜図作成システムの概略構成を示すブロック図である。図2において、当該システム50は、各種の演算、処理を実行するCPU51、キーボードやマウスなどの入力部52、図4〜図17で説明した各種の地形解析図を二次元で表示する出力部(ディスプレイ)53を有している。出力部53として、当該地形図をカラーやモノクロで記録紙にプリントする、プリンターを設けることもできる。
【0066】
また、画像空間のデータが格納されるRAM54を有している。この画像空間のデータは、DEMデータを用いてラスタ・データ・モデルを作成するもので、微小な分割領域セル(またはピクセル)からなる二次元配列である。前記画像空間のデータは、RAM54の実世界座標空間に変換される。さらに、RAM54の実世界座標空間の情報は、出力部(ディスプレイ)53の二次元面に表示される。また、システムを動作させるプログラムが格納されているROM55、DEMデータが格納されているメモリ56を有している。
【0067】
図3は、本発明の実施形態に係るカラー標高傾斜図作成方法の処理手順を示すフローチャートである。図3において、判読対象・DEMデータ取得方法の選択を行なう(S1)。次に、ステレオ画像マッチング(S2)、等高線データ(S3)、対称地域のレーザスキャナ計測データ(S4)によりDEMデータを作成する(S6)。また、既存のDEMデータを取り出す(S5)。
【0068】
対象地域の標高値を表示する(S7)。この処理では、標高値に対応してカラー段彩を施しており、カラーは、例えば虹色のように複数色とするが、単一の色相を選択することもできる。次に、標高帯表示色相のレンジ調整を行なう(S8)。この処理は、標高値に対応して彩色される色相が視覚と適合するように色相、彩度を調整するものである。
【0069】
強調標高帯表示適合性を判定する(S9)。表示適合性あり(Y)と判定した場合には次の処理に移行する。検討結果の判定が表示適合性なし(N)の場合には、再度標高帯表示色相のレンジ調整を行なう。ここで、通常の処理では、例えば、標高が高い地形を赤色で、標高が低い地形を青色で、中間の標高の地形を黄色で連続的に表示すると高低差が明確に視覚で判断できる。したがって、標高が高いところから低いところに向けて順次、赤色、黄色、青色の連続色でレンジ調整を行なう。
【0070】
ところで、標高の高い山では樹木の緑で覆われているので、標高の高いところは視覚では緑色のイメージがある。また、低地の道路、グランドなどは視覚では茶色のイメージがある。そこで、強調標高帯表示適合性を判定する(S9)処理においては、当初、高い標高を赤色で表示していたところを、緑色に置き換え、低地を青色から茶色に置き換えてレンジ調整を行なうようにすることもできる。以上の処理により、自然な感覚を加えた地形の立体情報が得られるカラー標高図が作成される(S10)。
【0071】
一方、DEMデータに基づき、対象とする地域の傾斜度を算出する(S11)。次に、グレースケール輝度で傾斜度を表示する(S12)。続いて、傾斜度表示グレースケールの輝度のレンジ調整を行なう(S13)。傾斜度についても、強調傾斜帯表示適合性を判定する(S14)。この判定結果がNの場合には、S13の処理に戻り再度傾斜度表示グレースケールの輝度のレンジ調整を行なう。S14の判定結果がYの場合には、強調グレースケール傾斜図の作成を行なう(S15)。
【0072】
強調カラー標高図と強調グレースケール傾斜図により、カラー標高傾斜図(ELSA)を合成する(S16)。次に、カラー標高傾斜図(ELSA)をディスプレイに表示する(S17)。続いて、カラー標高傾斜図を出力して記録紙にプリントする(S18)。なお、なお、図4で説明したように、二次加工としての標高帯、傾斜帯の強調表示の処理を省略することも可能である。この場合には、強調標高帯表示適合性を判定する(S9)処理、および強調傾斜帯表示適合性を判定する(S14)処理は行わない。
【0073】
本発明では、高度段彩図と傾斜量図を透過合成した図が、地形判読に有効であることを見出して、カラー標高図と傾斜図を透過合成する具体的方法を開示した。前記カラー標高図と傾斜図との透過合成の具体的方法は、次の通りである。
【0074】
(1)透過合成手法
傾斜図は単独でも地形判読に使うことが可能であるが、尾根谷が反転して見えることもあるのが弱点である。そこで、標高値をカラー段彩図として合成することにより、その弱点を補うことができる。従来においては、数種類の画像を不透明度100%で乗算合成しているため、原色に近い、濃い色合いになる傾向があった。
【0075】
本発明のカラー標高傾斜図は、不透明度を100%に調整した傾斜図(グレースケールの濃淡)の上に、虹色で表示した高度段彩図の不透明度を50%などに減じ、合成して表示している。傾斜図の不透明度を減ずることも可能であるが、その場合は全体的に淡い色合いになる。標高よりも傾斜の変化が地形判読には重要であるため、視覚的に明瞭に認識できるように、通常は傾斜図に不透明度の調整は行なわない。標高値の透過性を増加させることにより、原色に近い色合いから、透明感のあるきれいな色調の画像を作成することができる。
【0076】
(2)カラー標高傾斜図作成に使うプログラム
従来の地形判読図は、一般向けの画像処理専用ソフトを使って作成されている。一般向けの画像処理専用ソフトで2種類の画像(例えばカラー標高図と傾斜図)を乗算合成する場合、片方の不透明度を下げることができない。本発明のカラー標高傾斜図は、GISソフトのラスタ透過機能を用いて作成した。これを使うことにより、不透明度を0〜100%の範囲で好みに応じて調整することが可能となった。
【0077】
(3)高度段彩の表現
本発明は、高低差の表現を細かく行なうため、基本的に七色の色相を選択しているが、好みに応じ、画像処理ソフトを使ってカラー標高図の色相や彩度、明度を変えることも可能である。例えば、低所を赤色、高所を緑色でストレッチ表現したカラー標高図を傾斜図と透過合成すると、自然な地形の立体感が得られ、地形判読に詳しくない人でも地形を理解することが容易となる。
【0078】
(4)傾斜の表現
本発明は、傾斜の度合いの表現には基本的に濃淡(グレースケール)を選択しているが、必要に応じて、画像処理ソフトを使って濃度の端点を変えることも可能である。例えば、緩傾斜部分を細かく表現したい場合は、その部分に濃淡のストレッチ幅を調整すると、人間の視覚には認識しにくい微小な傾斜変化を可視化することができる。
【0079】
(5)定量的数値データの表示
本発明のカラー標高傾斜図は、画像として透過合成されたものである。したがって、起伏感を出すものではないので、標高値と傾斜量は数値データとしてそれぞれ個別に保存されており、必要に応じて画像としても数値データとしても単独に取り出すことができる。
【0080】
(6)傾斜量図以外の図との透過合成
不透明度100%の図には傾斜量図以外の画像も使用できる。尾根・谷の傾斜変換部が強調されるラプラシアンを、グレースケールなどの濃淡で表現することも可能である。ラプラシアンは、一般的に侵食域と堆積域の相違を示す指標と言われている。このため、カラー標高図と透過合成することにより、両区域の高度分布が把握でき、砂防・治山事業、道路防災事業等の防災分野に利用できる。
【0081】
次に、本発明のカラー標高傾斜図のその他の有効利用について説明する。本発明によるカラー標高傾斜図は、地形判読だけではなく、標高情報の厳密さを要求する事項に有効活用できる。洪水や津波の災害危険予測図(ハザードマップ)では、浸水域の把握や、現在生活している地域の標高を把握することができる。
【0082】
また、都市部では建物の高度に応じたカラー標高傾斜図を作成できる。この場合のカラー標高傾斜図は、都市計画など建物の高さ情報に基づいて実施される事業に利用可能である。さらに、津波の避難対策として避難ビルが提唱されているが、浸水域に対して、どのビルが高く安全なビルであるか検討するとともに、平面上でビジュアルに可視化することも可能である。
【0083】
以上、本発明の実施形態について説明した。本発明は、これらの実施形態に限定されず、種々の形態で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上説明したように、本発明によれば、計測対象とする地域における傾斜の度合いや標高差を視覚的に明確に判断できる構成とした、カラー標高傾斜図作成システムおよびカラー標高傾斜図作成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態を示す説明図である
【図6】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図9】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図11】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図12】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図13】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図14】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図15】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図16】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図17】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図18】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図19】本発明の実施形態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0086】
1・・・カラー標高傾斜図作成システムの制御部、2・・・レーザスキャナ、3・・・等高線地形図、4・・・ステレオ画像マッチング(ソフト)、5・・・DEM(Digital Elevation Model)データ作成部、6・・既存のDEMデータ、7・・・傾斜算出部、8・・・傾斜度表示画像作成部、9・・・標高表示部、10・・・標高強調画像作成部、11・・・画像合成部、12・・・表示部、13・・・(カラー標高傾斜図:ELSA)出力部、50・・・カラー標高傾斜図作成システム、51・・・CPU、52・・・入力部、53・・・出力部、54・・・RAM、55・・・ROM、56・・・メモリ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象地域の航空写真のステレオ画像計測と、当該地域の等高線地形図と、レーザ計測により取得した標高データのいずれかに基づいて前記対象地域のDEMデータを作成する手段、前記DEMデータにカラー段彩を施してカラー標高図を作成する手段、前記DEMデータの傾斜を算出してグレースケール傾斜図を作成する手段、前記カラー標高図、およびグレースケール傾斜図を合成してカラー標高傾斜図を作成する手段、前記カラー標高傾斜図を出力する手段、を有することを特徴とする、カラー標高傾斜図作成システム。
【請求項2】
対象地域の航空写真のステレオ画像計測と、当該地域の等高線地形図と、レーザ計測により取得した標高データのいずれかに基づいて前記対象地域のDEMデータを作成する手段、前記DEMデータにカラー段彩を施して強調カラー標高図を作成する手段、前記DEMデータの傾斜を算出して強調グレースケール傾斜図を作成する手段、前記強調カラー標高図、および強調グレースケール傾斜図を合成してカラー標高傾斜図を作成する手段、前記カラー標高傾斜図を表示する手段、前記カラー標高傾斜図を出力する手段、を有することを特徴とする、カラー標高傾斜図作成システム。
【請求項3】
前記DEMデータに基づいて、陰影起伏図、等高線図、地上開度図、地下開度図、ラプラシアン図、傾斜区分図のいずれか、またはそれらの複数を作成し、カラー標高図と合成する手段を有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のカラー標高傾斜図作成システム。
【請求項4】
前記カラー標高画像または強調カラー標高図、およびグレースケール傾斜図を合成して作成したカラー標高傾斜図を用いて地形判読を行う手段を有することを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のカラー標高傾斜図作成システム。
【請求項5】
前記カラー標高図、およびグレースケール傾斜図を合成したカラー標高傾斜図と、カラー標高図と陰影起伏図、等高線図、地上開度図、地下開度図、ラプラシアン図、傾斜区分図のいずれかとを合成したカラー地形解析図を用いて地形判読を行う手段を有することを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のカラー標高傾斜図作成システム。
【請求項6】
前記カラー段彩は、標高に応じて単色もしくは複数の色相などに色分けしたものであることを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のカラー標高傾斜図作成システム。
【請求項7】
対象地域の航空写真のステレオ画像計測と、当該地域の等高線地形図と、レーザ計測による標高データのいずれかに基づいて前記対象地域のDEMデータを作成する段階、前記DEMデータにカラー段彩を施して標高値を表示する段階、標高帯表示色相のレンジ調整をする段階、強調標高帯表示適合性を判定する段階、カラー標高図を作成する段階、前記DEMデータの傾斜度を算出する段階、前記傾斜度を表示する段階、傾斜度表示グレースケール輝度のレンジを調整する段階、強調傾斜帯表示適合性を判定する段階、グレースケール傾斜図を作成する段階、前記カラー標高図およびグレースケール傾斜図を合成してカラー標高傾斜図を作成する段階、前記カラー標高傾斜図を出力する段階、からなることを特徴とする、カラー標高傾斜図作成方法。
【請求項8】
対象地域の航空写真のステレオ画像計測と、当該地域の等高線地形図と、レーザ計測による標高データのいずれかに基づいて前記対象地域のDEMデータを作成する段階、前記DEMデータにカラー段彩を施して標高値を表示する段階、標高帯表示色相のレンジ調整をする段階、強調標高帯表示適合性を判定する段階、強調カラー標高図を作成する段階、前記DEMデータの傾斜度を算出する段階、前記傾斜度を表示する段階、傾斜度表示グレースケール輝度のレンジを調整する段階、強調傾斜帯表示適合性を判定する段階、強調グレースケール傾斜図を作成する段階、前記強調カラー標高図および強調グレースケール傾斜図を合成してカラー標高傾斜図を作成する段階、前記カラー標高傾斜図を出力する段階、からなることを特徴とする、カラー標高傾斜図作成方法。
【請求項9】
前記DEMデータに基づいて、陰影起伏図、等高線図、地上開度図、地下開度図、ラプラシアン図、傾斜区分図のいずれか、またはそれらの複数を作成し、カラー標高図と合成する段階を有することを特徴とする、請求項7または請求項8に記載のカラー標高傾斜図作成方法。
【請求項10】
前記カラー標高図、およびグレースケール傾斜図を合成したカラー標高傾斜図を用いて地形判読図を作成する段階を有することを特徴とする、請求項7ないし請求項9のいずれかに記載のカラー標高傾斜図作成方法。
【請求項11】
前記カラー標高図、およびグレースケール傾斜図を合成したカラー標高傾斜図と、カラー標高図と陰影起伏図、等高線図、地上開度図、地下開度図、ラプラシアン図、傾斜区分図のいずれかとを合成した地形解析図を用いて地形判読を行う段階を有することを特徴とする、請求項7ないし請求項9のいずれかに記載のカラー標高傾斜図作成方法。
【請求項12】
前記DEMデータに標高に応じて単色もしくは複数の色相に色分けしたカラー段彩を施す段階を有することを特徴とする、請求項7ないし請求項11のいずれかに記載のカラー標高傾斜図作成方法。
【請求項1】
対象地域の航空写真のステレオ画像計測と、当該地域の等高線地形図と、レーザ計測により取得した標高データのいずれかに基づいて前記対象地域のDEMデータを作成する手段、前記DEMデータにカラー段彩を施してカラー標高図を作成する手段、前記DEMデータの傾斜を算出してグレースケール傾斜図を作成する手段、前記カラー標高図、およびグレースケール傾斜図を合成してカラー標高傾斜図を作成する手段、前記カラー標高傾斜図を出力する手段、を有することを特徴とする、カラー標高傾斜図作成システム。
【請求項2】
対象地域の航空写真のステレオ画像計測と、当該地域の等高線地形図と、レーザ計測により取得した標高データのいずれかに基づいて前記対象地域のDEMデータを作成する手段、前記DEMデータにカラー段彩を施して強調カラー標高図を作成する手段、前記DEMデータの傾斜を算出して強調グレースケール傾斜図を作成する手段、前記強調カラー標高図、および強調グレースケール傾斜図を合成してカラー標高傾斜図を作成する手段、前記カラー標高傾斜図を表示する手段、前記カラー標高傾斜図を出力する手段、を有することを特徴とする、カラー標高傾斜図作成システム。
【請求項3】
前記DEMデータに基づいて、陰影起伏図、等高線図、地上開度図、地下開度図、ラプラシアン図、傾斜区分図のいずれか、またはそれらの複数を作成し、カラー標高図と合成する手段を有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のカラー標高傾斜図作成システム。
【請求項4】
前記カラー標高画像または強調カラー標高図、およびグレースケール傾斜図を合成して作成したカラー標高傾斜図を用いて地形判読を行う手段を有することを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のカラー標高傾斜図作成システム。
【請求項5】
前記カラー標高図、およびグレースケール傾斜図を合成したカラー標高傾斜図と、カラー標高図と陰影起伏図、等高線図、地上開度図、地下開度図、ラプラシアン図、傾斜区分図のいずれかとを合成したカラー地形解析図を用いて地形判読を行う手段を有することを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のカラー標高傾斜図作成システム。
【請求項6】
前記カラー段彩は、標高に応じて単色もしくは複数の色相などに色分けしたものであることを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のカラー標高傾斜図作成システム。
【請求項7】
対象地域の航空写真のステレオ画像計測と、当該地域の等高線地形図と、レーザ計測による標高データのいずれかに基づいて前記対象地域のDEMデータを作成する段階、前記DEMデータにカラー段彩を施して標高値を表示する段階、標高帯表示色相のレンジ調整をする段階、強調標高帯表示適合性を判定する段階、カラー標高図を作成する段階、前記DEMデータの傾斜度を算出する段階、前記傾斜度を表示する段階、傾斜度表示グレースケール輝度のレンジを調整する段階、強調傾斜帯表示適合性を判定する段階、グレースケール傾斜図を作成する段階、前記カラー標高図およびグレースケール傾斜図を合成してカラー標高傾斜図を作成する段階、前記カラー標高傾斜図を出力する段階、からなることを特徴とする、カラー標高傾斜図作成方法。
【請求項8】
対象地域の航空写真のステレオ画像計測と、当該地域の等高線地形図と、レーザ計測による標高データのいずれかに基づいて前記対象地域のDEMデータを作成する段階、前記DEMデータにカラー段彩を施して標高値を表示する段階、標高帯表示色相のレンジ調整をする段階、強調標高帯表示適合性を判定する段階、強調カラー標高図を作成する段階、前記DEMデータの傾斜度を算出する段階、前記傾斜度を表示する段階、傾斜度表示グレースケール輝度のレンジを調整する段階、強調傾斜帯表示適合性を判定する段階、強調グレースケール傾斜図を作成する段階、前記強調カラー標高図および強調グレースケール傾斜図を合成してカラー標高傾斜図を作成する段階、前記カラー標高傾斜図を出力する段階、からなることを特徴とする、カラー標高傾斜図作成方法。
【請求項9】
前記DEMデータに基づいて、陰影起伏図、等高線図、地上開度図、地下開度図、ラプラシアン図、傾斜区分図のいずれか、またはそれらの複数を作成し、カラー標高図と合成する段階を有することを特徴とする、請求項7または請求項8に記載のカラー標高傾斜図作成方法。
【請求項10】
前記カラー標高図、およびグレースケール傾斜図を合成したカラー標高傾斜図を用いて地形判読図を作成する段階を有することを特徴とする、請求項7ないし請求項9のいずれかに記載のカラー標高傾斜図作成方法。
【請求項11】
前記カラー標高図、およびグレースケール傾斜図を合成したカラー標高傾斜図と、カラー標高図と陰影起伏図、等高線図、地上開度図、地下開度図、ラプラシアン図、傾斜区分図のいずれかとを合成した地形解析図を用いて地形判読を行う段階を有することを特徴とする、請求項7ないし請求項9のいずれかに記載のカラー標高傾斜図作成方法。
【請求項12】
前記DEMデータに標高に応じて単色もしくは複数の色相に色分けしたカラー段彩を施す段階を有することを特徴とする、請求項7ないし請求項11のいずれかに記載のカラー標高傾斜図作成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2007−48185(P2007−48185A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−234200(P2005−234200)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【出願人】(390023249)国際航業株式会社 (55)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【出願人】(390023249)国際航業株式会社 (55)
【Fターム(参考)】
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