説明

カルニチン溶液の濃縮方法

【課題】
不純物の生成を抑制できる高純度のカルニチンを含む溶液を濃縮する方法を提供すること。
【解決手段】
1〜20質量%の濃度のカルニチンを含む溶液を、10〜60℃の温度下で1.1倍以上に濃縮する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルニチンを含む溶液を濃縮する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ベタインの一種であるL−カルニチンはビタミンBTとも言われ、生体内で脂肪酸の代謝に関係している重要な化合物である。当該化合物は、心臓疾患治療剤(特許文献1)、過脂肪質血症治療剤(特許文献2)、静脈疾患治療剤等(特許文献3)としても注目されている。
【0003】
種々の方法で製造したカルニチンは通常何らかの溶液状態にある。これを粉末の製品とするためには、様々な方法でカルニチンを含む溶液を濃縮する必要がある。
【0004】
カルニチンを含む溶液を濃縮する方法としては、逆浸透装置にかけて約7倍に濃縮する方法(特許文献4)、ロータリー型蒸発装置等を使用して真空下に濃縮する方法(特許文献4及び5)が挙げられるが、濃縮の条件や濃縮によって生成する不純物等についての報告は今までになかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭54−76830号公報
【特許文献2】特開昭54−113409号公報
【特許文献3】特開昭58−88312号公報
【特許文献4】特開昭61−199793号公報
【特許文献5】特開昭62−249956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者らが鋭意検討を行ったところ、工業スケールにスケールアップするにつれて所要時間が長くなる工程が多数あり、特にカルニチンを含む溶液の濃縮に要する時間の遅延がより顕著になることにより、様々な不純物が生成することが判明し、製品の高品質を達成する上で課題となっていた。
【0007】
そこで、本発明の主な目的は、不純物の生成を抑制できるカルニチンを含む溶液を濃縮する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、カルニチンを含む溶液を特定の条件で濃縮することにより不純物の生成を抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち本発明は、1〜20質量%の濃度のカルニチンを含む溶液を、10〜60℃の温度下で1.1倍以上に濃縮する方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カルニチンを含む溶液を濃縮する過程で生成する不純物の生成を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
(1)カルニチン
本発明において使用されるカルニチンの種類は特に限定されない。各社より販売されている種々のカルニチンを使用することができる。カルニチン分子内塩(フリー体と呼ばれることもある)の他、カルニチン塩酸塩、カルニチンフマル酸塩、カルニチン酒石酸塩等のあらゆるカルニチン有機酸塩、及び無機酸塩を使用することもできる。また、ラセミ体でも光学活性体でもどちらでも使用することができる。本明細書では、これらをまとめて「カルニチン」と称することにする。
【0013】
カルニチンは各種前駆体から製造してもよい。例えば、カルニチンアミドを加水分解してカルニチンを製造する方法、カルニチンエステルを加水分解してカルニチンを製造する方法等がある。
【0014】
光学活性なカルニチン(L−カルニチン、D−カルニチン)を得る場合は、(I)ラセミ体のカルニチンを光学分割する方法;(II)カルニチンニトリル、カルニチンアミド、カルニチンエステル等のカルニチン誘導体を光学分割してカルニチンに誘導する方法;(III)光学活性なカルニチン前駆体から光学活性なカルニチンを合成する方法;(IV)カルニチン誘導体から不斉合成を利用して光学活性なカルニチンを合成する方法;(V)発酵によって光学活性なカルニチンを生産する方法等により得られたものが挙げられる。これらの中でも、市場価値が高いことから、L体のカルニチン(L−カルニチン)を使用することが好ましい。
【0015】
また、本発明においては、上記のように製造したカルニチンを使用する場合には、副生成物、不純物、無機塩類等が混在することになるため、製造したカルニチンを精製して使用することが好ましい。精製する方法は限定されず、イオン交換カラム、電気透析等の公知の精製方法を用いることができる。工業的スケールで精製する場合には、電気透析による精製がより適している。
【0016】
カルニチンは中性領域では分子内でプラスとマイナスの電荷を帯びているため、電気透析時に電荷をかけてもカチオン膜、アニオン膜は通過しない。一方、無機塩類はイオンが解離するとプラス又はマイナスの電荷を帯びているため膜を通過する。これによりカルニチンと無機塩類との分離が可能であり、精製することができる。
【0017】
種々のカルニチン前駆体からカルニチンを製造する場合、カルニチンに無機塩類が混在する場合が多い。(i)出発物質にハロゲン原子が含まれている場合が多く、反応が進むとそれらが無機塩として系内に残存してしまうこと;(ii)加水分解反応を行う時に塩酸や硫酸等の鉱酸や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基類を触媒として使用することが多く、最終的に中和することで無機塩類が発生すること等が原因である。
【0018】
また、カルニチンとしてカルニチンフマル酸塩、カルニチン酒石酸塩等のカルニチンの有機酸塩塩を用いる場合、溶液中に有機化合物が混在することがある。カルニチンの有機酸塩に起因する有機化合物の混入や、種々の方法でカルニチンを製造する際の各種不純物の生成は、濃縮操作の際に不純物を発生させる大きな要因となる。これらは濃縮操作前にできる限り除去しておくことが好ましく、電荷を持っているものに関しては電気透析で除去することが可能であるため、濃縮操作前には電気透析による精製を行うことが好ましい。
【0019】
例えば、カルニチン分子内塩を使用すれば不純物の原因となる有機酸が混在する可能性が非常に低いので、当該分子内塩を使用することが好ましい。
【0020】
(2)カルニチンを含む溶液
本発明において、カルニチンを含む溶液とは、カルニチンを水、有機溶媒、それらの混合物等の溶媒に溶解させた溶液を指す。
【0021】
(2−1)溶媒
本発明では、カルニチンを溶解させる溶媒として水性溶媒を用いることがより好ましい。本明細書において、「水性溶媒」とは水又は水と有機溶媒との混合物のことをいう。水と有機溶媒は二相系でもよい。
【0022】
これらの中でも、水単独を溶媒として用いるのが特に好ましい。カルニチンの溶解度が高いためにカルニチンの濃度幅の選択範囲が広いからである。
【0023】
使用される有機溶媒は特に限定されない。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、プロピオン酸エチル、メタクリル酸メチル等のエステル系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素系溶媒;アセトニトリル;ジメチルホルムアミド;テトラヒドロフラン;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0024】
当該有機溶媒は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を混合して使用することもできる。これらの有機溶媒の中でも、水への溶解度が高いアルコール系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドを使用することが好ましい。水と有機溶媒とを混合する割合は限定されず、水に溶解する範囲で有機溶媒を使用することが好ましい。
【0025】
(2−2)濃度
本発明者は、濃縮開始時の溶液中のカルニチン濃度が不純物の生成に大きな影響を与えていることを初めて見出した。特に、比較的低濃度なカルニチン濃度1〜20質量%の範囲で濃縮を開始したときに不純物の生成が多いことが判明した。
【0026】
一方、例えばカルニチンの濃度が50質量%程度のような高濃度で濃縮を開始した場合には、上記低濃度の溶液を濃縮した場合に比べて、不純物の生成量は極めて少ない。従って、本発明は、1〜20質量%の濃度のカルニチンを含む溶液を濃縮するのに非常に適している。
【0027】
例えば、濃縮操作を行って50質量%程度のカルニチン溶液を調製するためには、1〜20質量%程度の低濃度領域から濃縮を開始する可能性が高い。すなわち、1〜20質量%程度の低濃度のカルニチン溶液において不純物の生成を抑制する技術の開発は極めて重要である。
【0028】
(2−3)pH
カルニチンを含む濃縮する際のpHは、副反応等が生じない限り特に限定されない。例えば、5〜9が好ましく、6〜8がより好ましい。pHを9以下とすることにより、塩基性下で加熱を行うことにより生じる不純物やカルニチンが分子内脱水したクロトノベタインの生成を抑制することができる。一方、pHを5以上とすることにより、酸性下で加熱することにより生じる不純物の生成を抑制することができる。
【0029】
種々のカルニチン塩を用いた場合、対塩の影響により溶液が酸性になることがある。また、上述したように各種前駆体からカルニチンを製造した場合、その製造方法によって溶液のpHは変化する。
【0030】
そのような場合は、溶液のpHは公知の方法で調整することができる。例えば、溶液が酸性の場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等を添加することにより上記範囲に調整することができる。一方、溶液のpHが塩基性の場合は、塩酸、硫酸、硝酸等無機酸を添加することにより上記範囲に調整することができる。
【0031】
当該酸又はアルカリの添加方法は限定されず、適宜選択することができる。例えば、水溶液にして添加すればよい。また、撹拌下に添加することにより効率良く溶液のpHを調整することができる。
【0032】
また、例えば、カルニチン分子内塩は中性であるため、これを使用すればpH調整は不要であることから、分子内塩を使用することが好ましい。これまでに述べてきたことを総合すると、カルニチンはL−カルニチン分子内塩を使用することが好ましい。
【0033】
(3)濃縮
本発明において濃縮とは、濃縮操作前より濃縮操作後のカルニチンを含む溶液の方が、カルニチンの濃度が高くなるような操作(方法)を指す。
【0034】
濃縮の程度は、使用する溶媒によってカルニチンの溶解度が異なるので、溶媒の種類や実験条件に応じて適宜選択することができる。濃縮操作後のカルニチンの濃度が濃縮操作前のカルニチンの濃度と比べて1.1倍以上の濃度となることが好ましい。
【0035】
濃縮を行う際の溶液の温度は、カルニチンを含む溶液の濃度が1〜20質量%程度の低濃度領域での濃縮操作時において不純物の生成を抑制するためには、溶液の温度は10〜60℃が好ましく、10〜40℃がより好ましい。60℃以下とするのは、不純物の生成を抑制することができるからである。また、10℃以上とするのは、効率良く濃縮を行うことができるからである。
【0036】
濃縮を行う際の圧力は特に限定されず、常圧下でも減圧下でもよい。減圧下であれば目的濃度までの濃縮に所要する時間が短くなるため、減圧下で行うことがより好ましい。圧力は1〜200hPa程度で行うことが好ましい。
【0037】
濃縮を行う時間も限定されない。例えば、不純物の生成が抑制され、所望の濃度のカルニチンを得ることができる範囲で適宜選択することができる。
【0038】
本発明者が鋭意検討した結果、カルニチン溶液を濃縮する工程で様々な脂溶性不純物が発生していることが判明した。原因は、溶液のpHや濃縮時の温度、さらには濃縮時に外部から与える熱源の温度等が挙げられることがわかった。特に、濃縮は熱をかけて溶媒を気化させる操作であり、この溶液にかける熱とカルニチン溶液の状態が不純物生成に大きな影響を与えることがわかった。
【0039】
濃縮は、例えば、カルニチンを製造した後、カルニチンを含む溶液からカルニチンを粉末として取得する場合に行われる。
【0040】
このような脂溶性不純物は、例えばHPLC(不純物分析用逆相グラジエント)等の公知の分析条件で検出することができる。
【0041】
HPLC(不純物分析用逆相グラジエント)で分析した際、カルニチンの出現(リテンションタイム(以下R.T.と略すことがある)3〜4分)以降のピークを脂溶性不純物と判断することができる。本明細書では当該脂溶性不純物を不純物の代表として述べるが、不純物としてはそれ以外のものも含む。
【実施例】
【0042】
本発明において使用した各種定量分析方法について、分析方法の詳細を以下に示す。
【0043】
分析方法1
HPLC(陽イオンクロマト)
・試料調製方法:反応液を移動相に溶解
・カラム:Shodex IC YK−421,4.6mm I.D.×125mm(GLサイエンス製)
・キャリアー:40容量%水:3mM硝酸(水1.2Lで1.38HNOを165.5μL)
60容量%ATN
・カラムオーブン温度:40℃
・検出器:CD−5(電気伝導度検出器)
・流量:1mL/min
・注入量:20μL(サンプルループ)
・分析対象化合物:カルニチン(4.9min)。
【0044】
分析方法2
HPLC(不純物分析用逆相グラジエント)
・各工程において観測される不純物の検出を目的とする。
・試料調製方法:基本的に濃縮液を希釈等せずにそのままの濃度で打つ
・カラム:資生堂Capcell Pak UG−120、250mm×2.0mmID、3μm
・キャリアー:A液 50mMリン酸緩衝液(pH 2.1)
B液 50mMリン酸緩衝液(pH 2.1)/アセトニトリル=30容量/70容量
・グラジエントプロファイルは下記表1の通り。
【0045】
【表1】

【0046】
・ランタイム:65分
・流量:0.2mL/min
・カラム温度:40℃
・検出器:UV 205nm
・注入量:10μL
・カルニチン保持時間(リテンションタイム;R.T.):3〜4分
・適宜水を分析し、そのチャートと比較して不純物の存在を判断する。
【0047】
本実施例において使用したカルニチンのメーカー等のうち、「当社品」とはWO2008/056827に記載された方法で製造したL−カルニチンを、特開2009−102263号公報に記載された方法で再結晶して得えられた、カルニチン分子内塩の粉末のことを指す。
【0048】
<実施例1〜6>
50mLのナスフラスコ又はビーカーに各種カルニチンを採取し、これにmilliQ水を加えてカルニチン水溶液を調製し、これを用いて濃縮実験を行った。実験の仕込み、条件詳細を表2に示す。濃度は分析方法1(HPLC(陽イオンクロマト))を使用して分析、算出した。なお、溶液中のカルニチンの濃度は「質量%」を「%」と記載している。
【0049】
【表2】

【0050】
実施例1〜6の濃縮液について、HPLC(不純物分析用逆相グラジエント)で分析を行った。この分析条件下でリテンションタイム20分付近に出現する不純物(以下、「20分不純物」という。)について、そのAREA(経時変化)を表3に示す。不純物は他にも観測されるが、その中で最も大きなAREAを示す不純物の20分不純物について考察する。表に示す値は、全て濃縮実験液を希釈せずに直接打ちした場合のAREAである。
【0051】
【表3】

【0052】
AREAの増加割合を「0〜8hまでの傾き(=8hr後の値/8)」で示した。カルニチンの種類によってAREAの増加割合が異なることがわかる。同一品種のカルニチンで比較すると、カルニチン濃度が高い方(17.5%)が20分不純物の生成が抑制されていた。
【0053】
<実施例7,8>
L−カルニチンアミドを原料として用いて、NaOH水溶液を触媒としたL−カルニチンへの加水分解反応完了後、過剰のアルカリ触媒及び副生するアンモニアを塩酸により中和した。続いてこの水溶液を電気透析を行って塩類を除去した。この電気透析を終了した液(「E.D.上がり液」)と、それをアスピレーター引きっきり(15〜20Torr程度)、水浴温度40℃で30分程度の時間濃縮した液(「E.D.上がり液濃縮」を用いて、下記表4に示す通り濃縮実験を行った。
【0054】
【表4】

【0055】
実施例7及び8の濃縮液について、HPLC(不純物分析用逆相グラジエント)で分析を行った。この分析条件下で20分不純物について、そのAREAの経時的増減を表5に示す。表に示す値は全て濃縮実験液を希釈せずに直接打ちした場合のAREAである。
【0056】
【表5】

【0057】
0〜8hまでの傾きはかなり小さいことが分かる。濃縮操作の前に電気透析を行うと、20分不純物が生成しにくいカルニチン溶液になることがわかる。
【0058】
<実施例9,10>
実施例7に記したカルニチン水溶液を用いて工業スケールで濃縮を行った。7mのGL釜に実施例7で示したE.D.上がり液を仕込み、ジャケットに90℃温水を用い、真空ポンプで減圧して水濃縮を行った。濃縮時の圧力は約50hPaで、内温は30〜35℃程度であった。製造時の仕込み、条件詳細を表6に示す。
【0059】
【表6】

【0060】
実施例9、10の濃縮液について、HPLC(不純物分析用逆相グラジエント)で分析を行った。この分析条件下で20分不純物について、そのAREAの経時的増減を表7に示す。表に示す値は全て濃縮実験液を希釈せずに直接打ちした場合のAREAである。
【0061】
【表7】

【0062】
Car濃度が刻々と増大しているため、対カルニチンとして表す相対値ではむしろ20分不純物は減っている傾向にある。実施例7、8と同様に、20分不純物の増加割合を示す「0h〜終了までの傾き」は非常に小さいものであった。
【0063】
<比較例1〜6>
50mLのナスフラスコ又はビーカーに各種カルニチンを採取し、これにmilliQ水を加えてカルニチン水溶液を調製し、これを用いて濃縮実験を行った。実験の仕込み、条件詳細を表8に示す。
【0064】
【表8】

【0065】
比較例1〜6の濃縮液について、HPLC(不純物分析用逆相グラジエント)で分析を行った。この分析条件下で20分不純物について、そのAREAの経時的増減を表9に示す。表に示す値は全て濃縮実験液を希釈せずに直接打ちした場合のAREAである。
【0066】
【表9】

【0067】
実施例は40℃、比較例は90℃で加熱を行ったが、90℃の方が不純物の生成が遥かに多い(AREAの値が非常に←大きい)ことがわかる。
【0068】
<参考例>
実施例9で濃縮した約50%の水溶液を用いて濃縮実験を行った。実験の仕込み、条件詳細を表10に示す。
【0069】
【表10】

【0070】
参考例の濃縮液について、HPLC(不純物分析用逆相グラジエント)で分析を行った。この分析条件下で20分付近に出現する不純物について、そのAREA(経時変化)を表11に示す。表に示す値は全て濃縮実験液を希釈せずに直接打ちした場合のAREAである。
【0071】
【表11】

【0072】
表11と表9を比較すると、表11に示すようにすでに50%程度の濃い溶液を90℃という高温で加熱しても20分不純物の増加割合を示す「0〜4hまでの傾き」はあまり大きくはないことがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1〜20質量%の濃度のカルニチンを含む溶液を、10〜60℃の温度下で1.1倍以上に濃縮する方法。
【請求項2】
濃縮を1〜200hPaの圧力下で行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
カルニチンを含む溶液が電気透析により精製された溶液である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
カルニチンを含む溶液が水溶液である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
カルニチンを含む溶液のpHが5〜9である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。

【公開番号】特開2012−121832(P2012−121832A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273415(P2010−273415)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】