説明

カルベンの存在下でのポリオルガノシロキサン(POS)の開環重合及び/又は再分配によるPOSの製造方法並びに該方法によって製造されたPOS化合物

本発明は、求核性カルベンの存在下で線状、非線状又は環状のポリオルガノシロキサン(POS)を開環重合及び/又は再分配重合することによってPOSを製造するための方法に関する。本発明の目的は、低温での効果的な触媒系の手段による改善されたPOSの製造方法を提供することである。この場合、初期POS(例えばD4)の転化効率は、初期POS(例えばD4)の残留含有量が以前よりも少ないような方法で、先行技術と比較して実質的に上昇する。この目的のために、次の成分を使用する:500gのPOS及び/又はPOScy(すなわちD4)、0〜10g、好ましくは0.5〜2gの連鎖停止剤(すなわちM2)、0〜10g、好ましくは0.01〜1gのカルベン塩先駆物質(式(III)又は(III')、すなわちイミダゾリウム塩)、0〜10g、好ましくは0.01〜0.5gの塩基(すなわち、t−BuOK)並びに0.1〜10mLの溶媒(すなわち、THF)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、線状及び/又は非線状及び/又は環状ポリオルガノシロキサン(POS)の開環重合及び/又は再分配重合によるシリコーン:POSの合成の分野である。
【0002】
より具体的には、本発明は、少なくとも1種の求核カルベンからなる触媒(又は開始剤)の存在下で、POS、特にPOScyの開環重合及び/又は再分配重合によってPOSを製造するための方法に関する。
【0003】
また、本発明は、環状POS(POS)の開環重合/再分配重合のためのこれらの反応に使用され、POSオイル(例えば103〜104の範囲のモル質量)又はPOSガム質(例えば、103〜107の範囲のモル質量)を生じさせる、POS及びカルベン触媒の組成物に関するものでもある。
【0004】
また、本発明は、それ自体新規な物質として、触媒性カルベン官能基で置換されたある種のPOS又はシランに関するものでもある。
【背景技術】
【0005】
シリコーンは、現在、産業において幅広く使用されている。これらの大部分は、重合されたシロキサンであり、又はこれらの誘導体を基材としている。この理由のため、開環重合によるこれらの重合体の合成は、研究及びこの主題が掲載された多数の刊行物の非常に重要な道筋である。オリゴシロキサンの開環重合は、容易に合成及び精製できる単量体を使用し、さらに、これは得られる重合体の分子量の良好な制御を可能にする。実際には、この方法は、かつて使用されていた産業上の方法の一つである。
【0006】
環状オルガノシロキサンの開環重合(ROP)は、官能化されていてもされていなくてもよいオイル、ガム質又は樹脂を製造するためにシリコーン産業において幅広く使用されている技術である。
【0007】
オリゴシロキサンの開環重合は、複合的なプロセス:
【化1】

である。
【0008】
現時点で最も一般的に使用されている単量体は、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)及びヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)である。この重合は、塩基性の触媒を介した陰イオン経路によって又は酸性の触媒を介した陽イオン経路によって実施できる。
【0009】
陽イオン経路は、多くの場合、線状POSの合成のために好ましい。というのは、この反応は十分に速い速度及び周囲温度で生じ、しかもその開始剤が重合体から容易に除去できるからである。この方法の欠点は、特に重合開始時に出現する環状POSの有意な形成である。この重合方法は、シクロトリシロキサンのような張力環を有する単量体についてのSi−O結合の反応性の増大に基づく。これらの基質を使用すると、速度制御の条件下で操作することが可能になる。
【0010】
陽イオン重合については、H2SO4、HClO4又はトリフリック酸のようなブレンステッド酸型触媒又はプロトン触媒が幅広く説明されている。また、これらの酸は、例えば無機固体担体上にも置かれ得る。これらの触媒は、適度な温度、例えば、ほぼ50〜100℃の温度で有効である。また、ルイス酸:AlCl3、SbCl5、SnCl4なども好適であり得るが、これは高温の条件(>200℃)を必要とする。構造Cl3PNPCl2NPCl3・PCl6のハロゲン化ホスホニトリルも40〜120℃の温度で有効な開環重合触媒として説明されている。また、これらのものは良好な縮合触媒でもある。
【0011】
陰イオン経路は、高分子量の線状重合体の形成のためにさらに一般的に使用されている。この方法は、次の3段階を含む:
(1)開始段階は、鎖の末端でシラノレートを形成させるように、塩基によるシロキサンへの攻撃である:
【化2】

(2)これらの鎖の伸長−短縮:
【化3】

(3)鎖間の交換(鎖の混合、再分配):
【化4】

ここで、上記スキームにおいて、Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属に相当する。
【0012】
平衡状態に達すると、POScyと線状POSの混合物が得られる。
【0013】
多くの異なる開始剤を使用してこの重合を実施することができる:例えば、水酸化アルカリ金属若しくは水酸化アルカリ土類金属又は水酸化アルカリ金属若しくは水酸化アルカリ土類金属とアルコールとの錯体及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属シラノレート。後者は、開始段階を回避することを可能にする。この重合反応は高温を必要とする。この反応は、乾燥条件下で、溶媒中で又はエマルジョンで実施できる。重合は、開始剤又は重合体鎖と反応してこれを非反応性にする酸添加剤を使用して停止できる。さらに、これらの添加剤を使用して重合体の分子量を調節することができ、及び/又は有利な特性を付与することができる。大部分の場合には、開始剤からの残留物は、製造された重合体中にとどまり、又は除去される。このことは、K+OH-又はSiO-+の存在下でPOScyを開環重合及び/又は再分配重合させるための産業上の方法にとっては非常に不利益であり、また、この方法は非常に長期間にわたり、しかも高温で行われる(例えば、SiO-、K+については、およそ150℃で10時間)という大きな不利益を有する。この反応速度は、陰イオン及び対イオンの性質に関連する。同一の陰イオンについては、対イオンが穏和であればあるほど、またその容量が大きければ大きいほど、その速度は速い。(例えば、Li+<Na+<K+<NR4+<PR4+)。また、該開始剤の反応媒体への溶解度も該速度に関して非常に重要である。例えば、KOHは比較的不溶性であり、そのため高温の条件(≧150℃)下で使用しなければならない。
【0014】
その他の触媒化合物、例えば、第四ホスホニウム、特に水酸化テトラブチルホスホニウム、及び水酸化テトラメチルアンモニウムのような第四アンモニウムが存在する。これらの触媒は、ポリオルガノシロキサン媒体に可溶であり、しかも70〜130℃の温度でD4を重合できる。
【0015】
これらの触媒は、水の存在に対して感受性があり、そして130〜150℃で熱分解する。
【0016】
最後に、水又はメタノールの存在下で酸化物又は相当するメトキシドを容易に生成するSchwesinger塩基と呼ばれる超塩基が優れた重合触媒である。事実、穏やかな対イオンを有するこれらの系は、イオン対会合の傾向が低く、しかもオルガノシクロシロキサンの開始及び重合を促進させる。これらの触媒は、低温(80℃)及び高温(140℃)で機能し、しかも連続方法のために好適である。これらのものは非常に高価である。
【0017】
例えば、次の欧州特許出願:EP−A−0860459、EP−A−0860460及びEP−A−0860461は、水及び随意として充填剤(シリカ)の存在下で、又はさらに重合反応をCO2若しくは酸を使用してブロックすることによってPOScyを開環重合させるためにホスファゼン超塩基を使用することに関する。
【0018】
米国特許第5994490号には、ホスファゼンと第三アルコール:例えば、t−ブタノールとを混合させることによって得られる類似の系が開示されている。
【0019】
次の欧州特許出願:EP−A−1008598、EP−A−1008610、EP−A−1008611及びEP−A−1008612自体にも、POSの開環重合用の[(Me2N)3P=N−((Me2)N2P=N)n+(NMe)]、OH-又は[(Me2N)3P=N]3P=N−t−Bu型のホスファゼン超塩基が開示されている。
【0020】
仏国特許出願FR−A−2708586号には、次式OCl2P(NPCl2nNPCl2X(ここで、X=OH、O又はClである)の線状ホスファゼン、POSの開環重合及び再分配用の触媒としての使用及びこれらの線状ホスファゼンと水又はアルコールとの反応生成物が開示されている。
【0021】
欧州特許出願EP−A−0982346には、1重量%未満の揮発性化合物(POScy)含有量を有するPOSを、ホスファゼン型の超塩基と共に及び水の存在下で、シラノール基を保持するシロキサンを縮合重合させることによって又はPOScy(D4)を開環重合させることによって製造するための方法が記載されている。触媒の中和後に、得られたPOSは、揮発性化合物(D4)を除去するために200℃以上で再気化処理に付される。国際公開第98/54229号には、式(Me)2C=P(NMe23の燐イリド[及びそれらの先駆物質(Me)2C−P+(NMe23・Y-(ここで、Y=ハロゲン又はトリフレートである)]をラクタム、スクシンイミド、オリゴペプチド及びベンゾジアゼピンのC−アルキル化のための反応において弱求核性強塩基として使用することが記載されている。
【0022】
国際公開第03/054058は、以下の式3:
【化5】

のアミノホスホニウムイリド誘導体をベースとする弱求核性超塩基、又は式6:
【化6】

のホスホラニリデン誘導体の存在下で、環状オルガノシロキサンオリゴマーを陰イオン重合することによりシリコーンを合成することに関する。
【0023】
いずれの場合も、陰イオン又は陽イオン開始剤によるPOScy、例えばD4の重合は、今までのところ、ほとんどの場合、熱力学的平衡を生じさせる「解裂(back biting)」反応を伴い、その結果として、該反応の終了時には比較的多量の環状単量体(15〜30%)が存在する。
【0024】
さらに、白金/カルベン錯体は、≡Si−ビニル単位を含むPOSを、≡Si−H単位を含むPOSの手段によってヒドロシリル化するための触媒として知られている。例としては、カルベンをベースとする金属触媒の存在下でのヒドロシリル化によってエラストマーに架橋し得るシリコーン組成物が記載されている国際公開第02/098971号が挙げられる。この組成物は、
・ポリオルガノビニルシロキサンである(ポリジメチル)(メチルビニル)シロキサン、
・ポリオルガノヒドロゲノシロキサン、
・錯体C3又はC4:
【化7】

によって形成された白金触媒、
・随意として架橋抑制剤、及び
・随意として充填剤
を含む。
【0025】
ヒドロシリル化は、開環重合でも再分配重合でもない。このようなヒドロシリル化において、カルベンは、白金配位子の役割しか果たさない。触媒性金属配位子として使用されるカルベンは、シリコーン分野以外の分野で活用されている。例えば、欧州特許第0971941号には、シクロオレフィンの熱メタシスのための、ルテニウム及びオスミウム/カルベン錯体をベースとした触媒が記載されている。
【0026】
さらに、2002年に発行されたHedrick外による文献「JACS 124,No.6,p.914−915,2002」には、N−複素環式カルベンが環状エステルの重合用の触媒として使用できることが教示されている。より具体的には、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾール−2−イリデンを、開始剤として使用されるアルコールの存在下でL−ラクチド、ε−カプロラクトン及びβ−ブチロラクトンの重合用の触媒として試験した。力学的な観点から、この著者は、pKaが非常に高い(pKa=24:ジメチルスルホキシドで測定)ため、カルベンは非常に求核性であり、そのため環状エステル単量体を攻撃して開始剤のアルコール又は以下に示される開始/生長プロセスに従う成長鎖のアルコールを攻撃し得る活性化された種を与えることができると考えている:
【化8】

【0027】
直近で、かつ、より完全な文献(JACS 125,No.10,p3046−3056,2003参照)には、加水分解の問題を回避するためにその場でカルベンを製造することが記載されている。使用される促進剤は、チアゾリウム、イミダゾリウム及びイミダゾリニウム型のものであり、これらのものは、カリウムt−ブトキシドを存在させると、それぞれ、チアゾールカルベン、イミダゾール−2−イリデンカルベン及びイミダゾリン−2−イリデンカルベン触媒を生ずる。重合試験は、触媒の第1群が高分子量を有利かつ選択的に得ることを可能にしないことを示している。
【特許文献1】欧州特許第0860459号明細書
【特許文献2】欧州特許第0860460号明細書
【特許文献3】欧州特許第0860461号明細書
【特許文献4】米国特許第5994490号明細書
【特許文献5】欧州特許第1008598号明細書
【特許文献6】欧州特許第1008610号明細書
【特許文献7】欧州特許第1008611号明細書
【特許文献8】欧州特許第1008612号明細書
【特許文献9】仏国特許第2708586号明細書
【特許文献10】欧州特許第0982346号明細書
【特許文献11】国際公開第98/054229号パンフレット
【特許文献12】国際公開第03/054058号パンフレット
【特許文献13】国際公開第02/098971号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
このような従来技術の状況において、本発明の必須の目的の一つは、従来から使用されている触媒系よりも効果的な触媒系の手段によって、さらには低温で、しかも官能化又は非官能化線状又は非線状ポリオルガノシロキサンを有利かつ選択的に得ることを可能にする、POSの開環及び/又は再分配によるPOSの製法を改善させることである。
【0029】
本発明の別の必須の目的は、線状又は環状POSの開環重合及び/又は再分配重合によりシリコーンであるポリオルガノシロキサンを合成するための新規の方法において、周囲温度での初期POS(例えばD4)の転化収率が、初期POS(例えばD4)の残留含有量が最も一般的に説明されている触媒系によるよりも低くなるように、既存のものと比較してかなり増加した、当該方法を提供することである。
【0030】
本発明の別の必須の目的は、特に、最終の精製工程、すなわち、例えば中和及び気化に関して使用するのが簡単かつ経済的な、線状又は環状(好ましくは環状)のPOSの開環重合及び/又は再分配重合によりシリコーンであるポリオルガノシロキサンを合成するための新規な方法を提供することである。
【0031】
本発明の別の必須の目的は、効果的な触媒系であって、次の特徴:
・シリコーンオイル、特にシリコーンガムに可溶であること、
・合成するのが簡単でかつ安価であること、
・安定であること、
・加水分解に対して良好な安定性に恵まれていること、
・穏和な条件(低温≦100℃)下でPOScy(例えばD4)のようなPOSを重合するのを可能にすること、
・特に、粘稠なオイル及びガム質を製造するための反応時間を短縮するのを可能にすること、
・高粘度及び改善された熱安定性のシリコーン重合体を有益な態様で製造するために、最終重合体中の触媒残留物及びその誘導体の残留物を減少させ、さらには無くすことを可能にすること、
・環状、線状又は非線状の官能化又は非官能化POSの全パレットを官能化させることを可能にすること、
・形成される重合体の多分散性を改善させ、かつ、線状構造の形成を環状オリゴマーと比較して有利にするのを可能にすること、
・見込まれる触媒残留物を容易に除去するのを可能にすること、
・線状シリコーン重合体の形成を環状シリコーン重合体の形成と比較して有利にするのを可能にすること、
・高い再現性を保証するのを可能にすること、及び
・出発材料の可変性に対する感度を制限するのを可能にすること
のうちの少なくとも一つを有する効果的な触媒系の手段によって、線状又は環状(好ましくは環状)POSの開環重合及び/又は再分配重合によりシリコーンであるポリオルガノシロキサンを合成するための新規な方法を提供することである。
【0032】
本発明の別の必須の目的は、線状又は環状POSの開環重合及び/又は再分配重合によりシリコーンであるポリオルガノシロキサンを合成するための効果的な新規の触媒系であって、該触媒系が上記目的において対象とされた特性の全て又はいくつかに恵まれたものを提供することである。
【0033】
本発明の別の必須の目的は、特に、ポリオルガノシロキサン(POS)の開環及び/又は再分配によるPOSの製造のために使用できる組成物であって、線状POS、非線状POS又は環状POS(POScy)及び上記目的において対象とされた特性の全て又はいくつかに恵まれた効果的な触媒(C)を含むものを提供することである。
【0034】
本発明の別の必須の目的は、触媒基で置換された新規なPOS又はシラン、線状、非線状又は環状POSの開環重合及び/又は再分配重合によるシリコーンであるPOSの効果的な合成における使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0035】
これらの目的は、特に、まず第一に触媒(C)の存在下でポリオルガノシロキサン(POS)を開環重合及び/又は再分配重合することによりPOSを製造するにあたり、この触媒(C)が少なくとも1種のカルベンを含むことを特徴とする、POSの製造方法に関する本発明の手段によって達成される。
【0036】
これまで、環状エステルの重合用触媒として使用されるカルベンをシリコーン化学に転換することは可能でなくしかも想定できないといわれていた技術的な先入観を克服したことは、本発明者の功績である。カルベン又はそれらの先駆物質がシリコーン媒体と相溶性があるであろうことを予見することは決してできなかった。シリコーンの化学的性質は、ラクトンの化学的性質とは非常にかけ離れている。これらの全てにもかかわらず、本発明者は、長期間にわたる多数の試験を実施することをためらわず、その終わりに、本発明者は、全く驚くべきことに、また予期せぬことに、カルベンが線状又は環状(好ましくは環状)のポリオルガノシロキサン(POS)の陰イオン重合(開環重合/再分配重合)によってシリコーンであるポリオルガノシロキサンを製造するために特に好適であることを証明した。
【0037】
本発明に従う方法は、以前よりも効果的であるばかりでなく、経済的でもある。また、この方法は、その精製方法(中和/気化)を軽減し又はさらには無くすため、実施も簡単である。この方法は、高粘度のPOSを含め、可変的な粘度のPOSを得るのを可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明の目的上、用語「開環重合」は、環状化合物(単量体)が開環して線状重合体を形成する重合に相当する。
【0039】
本発明の目的上、用語「再分配重合」は、シリコーン化学における当業者のための意味に相当する。特に、用語「再分配重合」とは、シリコーンの分野において、異なる構造及び/又はモル質量のオルガノシロキサンの転位を意味するものとする。この転位は単一の新規なPOSを生じさせる。
【0040】
有利には、本発明に従うPOSの製造方法は、それ故にPOSの開環重合及び/又は再分配重合の機構を伴うが、ただし、いかなるヒドロシリル化反応も除くものとする。使用されるカルベン触媒(C)は求核性であるという性質を有し、しかもこの求核性は、POSの開環及び/又は再分配重合の触媒作用に直接関与するが、ただし、いかなるヒドロシリル化反応も除くものとする。
【0041】
本発明の有利な特徴によれば、触媒(C)のカルベンは、一重項又は三重項、好ましくは一重項の形態である2個の非結合電子を含む。
【0042】
好ましくは、触媒(C)のカルベンは、式(I0):
【化9】

(式中、
・X及びYは独立してS、P、Si、N及びOよりなる群から選択され、
・X及びYは随意に置換され、
・X及びYは、少なくとも1個の随意に置換された5員環、6員環若しくは7員環の炭化水素系の環;又はS、P、Si、N及びOよりなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を含み、随意に置換された5員環、6員環若しくは7員環の複素環を介して結合できる。)
によって表される一般構造を有する。
【0043】
本発明に従う方法の第1の具体例によれば、使用されるカルベンは、有利には安定で、次式(I)、(I')又は(I"):
【化10】

(式中、
・R1、R2及びR3は同一又は異なっていてよく、独立してアルキル基、随意に置換されたシクロアルキル基、随意に置換されたアリール基を表し、又は
・基R1及びR2は、一緒になって、随意に置換された5員環若しくは6員環の炭化水素系の環;又はS、P、Si、N及びOよりなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を含み、随意に置換された5員環若しくは6員環の複素環を形成することができる。)
によって表される一般構造を有するカルベンである。
【0044】
本発明に従う方法の第2の具体例によれば、触媒(C)のカルベンは、式(II)又は(II'):
【化11】

(式中、
・A及びBは独立してC又はNを表し、ここで、式(II)において、AがNを表すときにはT4は存在せず、そしてBがNを表すときにはT3は存在せず、式(II')において、AがNを表すときにはT4又はT4'は存在せず、そしてBがNを表すときにはT3又はT3'は存在せず、
・T3、T3'、T4及びT4'は、独立して、水素原子;アルキル基;アルキル又はアルコキシで随意に置換されたシクロアルキル基;アルキル又はアルコキシで随意に置換されたアリール基;アルケニル基;アルキニル基;又はアリールアルキル基であってそのアリール部分がアルキル若しくはアルコキシで随意に置換されたものを表し、
・T3及びT4は、一緒になって及びAとBがそれぞれ炭素原子を表すときにはこれらと共にアリールを形成することができ、ここで、この場合には、T3'及びT4'は存在しないものとし、
・T1及びT2は、独立して、アルキル基;アルキルで随意に置換されたアルキル基;過弗素化され若しくはペルフルオルアルキル基で随意に置換されたアルキル基;アルキル若しくはアルコキシで随意に置換されたシクロアルキル基;アルキル若しくはアルコキシで随意に置換されたアリール基;アルケニル基;アルキニル基;又はアリールアルキル基であってそのアリール部分がアルキル若しくはアルコキシで随意に置換されたものを表し、或いは
・T1及びT2は、独立して、以下の式(V):
−V1−V2 (V)
(式中、
V1は、飽和又は不飽和の炭化水素系の2価の基、好ましくは随意に置換された線状又は分岐C1〜C10アルキレンであり、
V2は、次の置換基:
・アルコキシ(−ORa)(ここで、Raは水素、アルキル又はアリールに相当する)、
・シリル(−Si(ORbx(Rc3-x)(ここで、Rbは水素、アルキル、シリル又はシロキサニルに相当し、Rcはアルキル又はアリールに相当し、そしてxは0〜3の整数である)、及び
・アミン、好ましくは−N(Ra2(ここで、Raは水素、アルキル又はアリールに相当する)
よりなる群から選択される1価の基である。)
の1価の基を表し、
・基T1、T2、T3、T3'、T4及びT4'は、式(II)及び(II')において2個の隣接する頂点上に位置するときには、対になって飽和又は不飽和の炭化水素系の鎖を形成することができる。)
に相当する。
【0045】
用語「アルキル」とは、線状又は分岐の飽和炭化水素系の鎖であって、随意に置換され(例えば、1個以上のアルキルで)、好ましくは1〜10個の炭素原子、例えば、1〜8個の炭素原子、さらに好ましくは1〜7個の炭素原子を含有するものをいう。
【0046】
アルキル基の例は、特に、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、t−ブチル、イソブチル、n−ブチル、n−ペンチル、イソアミル及び1,1−ジメチルプロピルである。アルコキシ基のアルキル部分は上に定義した通りである。過弗素化され又はペルフルオルアルキル基で随意に置換されたアルキル基は、好ましくは、次式:
−(CH2p−Cq2q+1
(式中、pは0、1、2、3又は4を表し、qは1〜10の整数であり、Cq2q+1は線状又は分岐である。)
に相当する。この基の好ましい例は、−(CH22−(CF25−CF3及び−(CF27−CF3である。
【0047】
表現「アリール」とは、6〜18個の炭素原子を含有する芳香族炭化水素系の基であって、単環式又は多環式、好ましくは単環式又は二環式であるものをいう。本発明において、表現「多環式芳香族基」とは、2個以上の芳香環を有する基であって、互いに縮合(オルト縮合又はオルト及びペリ縮合)したもの、すなわち、対になって少なくとも2個の炭素を共有して有する基を意味するものとする。該芳香族炭化水素系の基(「アリール」)は、例えば1個以上のC1〜C3アルキル、1個以上のハロゲン化炭化水素系基(例えば、CH3)、1個以上のアルコキシ(例えば、CH3O)又は1個以上のケトン単位を含む1個以上の炭化水素系基(例えば、CH3CO−)で随意に置換されている。アリールの例としては、フェニル、ナフチル、アントリル及びフェナントリル基が挙げられる。
【0048】
表現「アリールアルキル」とは、上に定義されるようなアルキル基であって、その炭化水素系の鎖上で1個以上のアリール基によって置換されたものをいう(ここで、アリール基は上に定義した通りである。)。その例は、ベンジル及びトリフェニルメチルである。
【0049】
用語「シクロアルキル」とは、好ましくは3〜10個の炭素原子、さらに好ましくは3〜8個の炭素原子を含有する単環式又は多環式、好ましくは単環式又は二環式の飽和炭化水素系基を意味するものとする。表現「多環式飽和炭化水素系基」とは、2個以上の環を有する基であってσ結合を介して互いに結合し及び/又は対となって縮合したものをいう。多環式シクロアルキル基の例は、アダマンタン及びノルボルナンである。単環式シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルである。
【0050】
用語「アルケニル」とは、少なくとも1個のオレフィン系二重結合、より好ましくは単一の二重結合を有する置換又は非置換の線状又は分岐飽和炭化水素系の鎖を意味するものとする。好ましくは、アルケニル基は、2〜8個の炭素原子、さらに好ましくは2〜6個の炭素原子を有する。この炭化水素系の鎖は、随意として、O、N又はSのような少なくとも1個のヘテロ原子を含む。アルケニル基の好ましい例は、アリル及びホモアリル基である。
【0051】
用語「アルキニル」とは、本発明によれば、少なくとも1個のアセチレン系三重結合、より好ましくは単一の三重結合を有する置換又は非置換の線状又は分岐不飽和炭化水素系鎖を意味するものとする。好ましくは、アルキニル基は、2〜8個の炭素原子、より好ましくは2〜6個の炭素原子を有する。例としては、アセチレニル基、またプロパルギル基が挙げられる。この炭化水素系鎖は、随意として、O、N又はSのような少なくとも1個のヘテロ原子を含む。
【0052】
用語「シリル」とは、本発明によれば、少なくとも1個の珪素原子を含有する線状又は分岐の基を意味するものとする。ポリジメチルシロキサン鎖がシリル基の例である。
【0053】
式(II)及び(II')のカルベンは、少なくとも2個の縮合環を有し得る。すなわち、2個の隣接する頂点に位置したT1、T2、T3、T3'、T4及びT4'からの少なくとも2個の基は、互いに、好ましくは3〜6個の炭素原子を有する飽和又は不飽和炭化水素系基を形成し得る。表現「飽和又は不飽和炭化水素系鎖」とは、オレフィン系二重結合又はアセチレン系三重結合型の1個以上の不飽和を有してもよく又は有していなくてもよい線状又は分岐炭化水素系鎖を意味するものとする。
【0054】
式(II)又は(II')における好ましい具体例に関して、これらのものは、上に与えた式(II)においてA=B=炭素原子の形態である。
【0055】
この式(II)においてT1及びT2の好ましい意味は、
・アルキル、特にn−プロピル、n−ペンチル又はネオペンチル(−(CH2−C(CH33)、
・シクロアルキル、特にシクロペンチル、シクロヘキシル又はアダマンチル、
・アルケニル、特にアリル(−CH2−CH=CH2)又はメタリル(−CH2−C(CH3)=CH2)、
・アルキニル、特にプロパルギル又はホモプロパルギル(−CH22−C≡CH)、又は
・上に定義される1価の基(V)、特に
【化12】

である。
【0056】
さらに式(II)において、好ましくは、T3及びT4の両方は水素に相当し、又は互いにアリール、好ましくはフェニルを形成する。
【0057】
カルベンの例としては、刊行物「Bourissou外,Chem,Rev.2000,100,39−91」の第48頁表2に記載されたものが挙げられる。この第48頁の表2は、引用によって本開示に含まれるものとする。
【0058】
本発明によれば、カルベンは別個に製造され、及び/又は少なくとも1種の先駆物質からその場で生成される。
【0059】
有利には、該先駆物質は、カルベンをその場で生成させるように、少なくとも1種の塩基と反応するカルベンに対応する塩である。したがって、式(II)及び(II')の好ましいカルベンについて、対応する塩は、一般式(III)又は(III'):
【化13】

(式中、
・A、B、T1、T2、T3、T3'、T4及びT4'は上に定義される通りであり、
・Z1は、独立して、好ましくは
・式G0−COOH(式中、G0はアルキル、有利にはC1〜C22アルキル、1個以上のC1〜C6アルキルで随意に置換されたアリール、有利にはC6〜C18アリールを表す)のカルボン酸、
・式G0−SO3H(式中、G0は上に定義される通りである)のスルホン酸、
・式G0−PO3H(式中、G0は上に定義される通りである)の燐酸、
・次の無機酸:HF、HCl、HBr、Hl、H2SO4、H3PO4、HClO4及びHBF4単独又はそれらの組合せ、並びに
・それらの混合物
よりなる群から選択されるブレンステッド酸から誘導された陰イオンを表す。)
の1種(又は2種以上)の対応する複素環式化合物塩である。
【0060】
塩(III)に関して、Z1-陰イオンは、有機又は無機ブレンステッド酸(プロトン酸)から誘導される陰イオンである。通常、このZ1-陰イオンは、6以下のpKaを有する酸から誘導される。好ましくは、Z1-は、4以下のpKa、好ましくは2以下のpKaを有する酸から誘導される。ここで基準となるpKaは、水中で測定されるときの酸のpKaである。酸の例は、式:G0−COOH(式中、G0はアルキル、例えばC1〜C22アルキル、又は1個以上のアルキル、好ましくはC1〜C6アルキルで随意に置換されたアリール、例えばC6〜C18アリールを表す)のカルボン酸、式:G0−SO3H(式中、G0は上に定義される通りである)のスルホン酸及び式:G0−PO3H(式中、G0は上に定義される通りである)のホスホン酸であり、その他の酸は、HF、HCl、HBr、Hl、H2SO4、H3PO4、HClO4及びHBF4である。
【0061】
カルボン酸の好ましい例は、酢酸、安息香酸及びステアリン酸である。好ましいスルホン酸の例としては、ベンゼンスルホン酸が挙げられ、好ましいホスホン酸の例としては、フェニルホスホン酸が挙げられる。
【0062】
本発明によれば、酸であるHCl、Hl、HBF4及びHPF6ら誘導されるZ1-陰イオンがさらに好ましい。
【0063】
したがって、本発明に従う特に好ましいZ1-陰イオンは、ハロゲン化物陰イオン、テトラフルオル硼酸陰イオン及びヘキサフルオル燐酸陰イオンである。
【0064】
イミダゾリウム塩のいくつかの例を以下に与える:
【化14】

【0065】
これらの消耗物は、商業的に入手でき、又は、当業者であれば市販の化合物から容易に製造できる。A=B=Cである式(III)の塩を合成するための方法は、米国特許第5077414号に記載されている。
【0066】
この方法は、好適な酸の存在下で、以下の式(X):
【化15】

(式中、T3及びT4は上に定義した通りである)
のα−ジカルボニル化合物と、HCHO並びに式T1−NH2及びT2−NH2の2種のアミンとを反応させることを含む。
【0067】
式(III)の塩におけるZ1陰イオンの性質は、この工程で使用される酸に依存する。使用できる酸は、例えば、上に列挙したもの及びZ1が誘導されるものである。式(III)の塩を製造するための別法は、Chem.Eur.J.1996,2,No.12,第1627〜1636頁及びAngew.Chem.Int.Ed.Engl.1997,36,2162−2187に提案されている。
【0068】
本発明に従う方法論的側面については、連続的及びバッチ式の両方で実施できる。
【0069】
好ましい方法によれば、該方法は、カルベン及び/又はその先駆物質をベースとする触媒(C)と、オリゴオルガノ(シクロ)シロキサンと、随意として少なくとも1種の塩基とを少なくとも部分的に可溶化させた液体反応媒体中で、均一系触媒作用により実施される。
【0070】
有利には、カルベン及び/又はその先駆物質をベースとする触媒(C)の溶解度は、少なくとも1種の可溶化助剤の手段によって及び/又は少なくとも1個の適切な基で置換された1種(又は2種以上)のカルベンを使用して制御される。
【0071】
可溶化助剤の例としては、テトラヒドロフラン(THF)、トルエンなどのような溶媒が挙げられる。可溶化基の例としては、アルキル、アリール、フルオル基、シリル、ポリジメチルシロキサン鎖のようなシロキサンなどが挙げられる。これらの基は、上に定義された(I0)、(I)、(I')、(II)、(II')、(III')に属し得る。
【0072】
本発明に従って賢明に選択されるカルベンの驚くべき利点は、低温での迅速な反応に由来する。したがって、当該方法は、開環重合及び/又は再分配重合がT≦200、好ましくは100≦T≦150、さらに好ましくはT≦100であるような温度T(℃)で実施されることを特徴とする。実際には、この温度は周囲温度であってもよいが、これは特に経済的であり、しかも産業的に実施するのが容易である。しかしながら、シリコーン相の粘度を低下させるためには、さらに高温で操作することもまた可能である。本発明に従う方法は、この点についてかなりの適応性がある。
【0073】
量的には、反応媒体中の触媒の濃度[C](100gの初期POS、例えば線状及び/又は環状POS当たりのモルで表す)は、[C]≦1、好ましくは10-5≦[C]≦10-1、さらに好ましくは10-5≦[C]≦10-3のようなものである。
【0074】
開環重合及び/又は再分配重合の速度は、特にこの濃度[C]に依存する。
【0075】
本発明の変形例によれば、開環重合及び/又は再分配重合反応を、
・反応媒体を、例えば≧150℃の温度に加熱することによって、及び/又は
・好ましくは酸を使用してカルベンを中和することによって
中断することが可能である。
【0076】
初期POSに関して、これらのものは、環状POS(POScy)を含むことができる。この場合には、重合は開環によって実施されるであろうことはいうまでもない。これらのPOScyは、有利には、以下の一般式(XI):
【化16】

(式中、
cは水素又は置換されていてよいアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル若しくはアルキルアリール基を表し、
3≦q≦12である。)
に相当する。
【0077】
これらのオリゴシクロシロキサンにおいて、RCは、好ましくは、1〜8個の炭素原子を含有し少なくとも1個のハロゲン原子で置換されていてよいアルキル基から選択され、有利には、メチル、エチル、プロピル及び3,3,3−トリフルオルプロピル基から選択され、またアリール基、有利にはキシリル、トリル及びフェニル基からも選択される。実際には、このオリゴシクロシロキサンは、随意にビニル化されたD4又はD3であることができる。
【0078】
初期POSは線状であることができ、そしてこの場合には、有利には一般式(XII.1):
a−[(Rb2Si−O−]p−Si(Rb2−Ra (XII.1)
(式中、
・Raは、独立して、ヒドロキシル、アルキル又はアリールであって1個以上のヘテロ原子を随意に含みかつハロゲンで随意に置換されたものを表し、
・Rbは、独立して、アルキル又はアリールであって、1個以上のヘテロ原子を随意に含みかつハロゲンで随意に置換されたものを表し、
・p≧2である。)
のものから選択される。
【0079】
また、初期POSは非線状、すなわち、分岐であってもよく、及び/又はシロキシル単位M:−(R)3SiO1/2と、Q:−SiO4/2と、随意としてD:−(R)2SiO2/2及び/又はT:−RSiO3/2とを含むPOS樹脂の形態であってもよい。
【0080】
また、初期POSは、次のPOS種:POScy、線状POS及び非線状POSのうち少なくとも2種の混合物によっても形成され得る。
【0081】
好ましい具体例では、初期POSは、POScy、好ましくはD3、D4、ビニル化されたD4、水素化されたD4及び線状POS、例えば、ポリジアルキル(例えばメチル)シロキサンMDpM(ここで、p=0〜20、好ましくは0〜10、さらに好ましくはp=0:すなわちジシロキサン)、例えば、ヘキサメチルジシロキサン(M2)、ビニル化M2、水素化M2よりなる群に属するものを含む。勿論、本発明の変形例では、これらの線状POS、特にこれらのM2について、その他の官能基が想定できる。
【0082】
重合中に反応媒体の粘度を調節することは当業者の技術常識内にある。これは、任意の手段によって実施できる。反応媒体は、慣用の反応条件に付される。
【0083】
本発明の方法の非常に有利な態様によれば、反応媒体中の最終POS/POScyの比が85/15を超え、好ましくは90/10以上であり、さらに好ましくは95/5以上であるように準備される。
【0084】
有利な変形例によれば、反応媒体において:
・カルベンを生成させることができる触媒性官能基及び好ましくは上に定義したような式(I0)、(I)、(I')、(II)、(II')、(III)又は(III')の生成物から誘導される触媒性官能基で置換されたPOS、及び/又は
・次式:
(OR*4-aSi(Rca
(式中、
cは、カルベンを生成させることができる触媒性官能基及び好ましくは上に定義したような式(I0)、(I)、(I')、(II)、(II')、(III)又は(III')の生成物から誘導される触媒性官能基であり、
*はアルキルであり、
a=1〜3である。)
のシラン
を使用することを想定することができる。
【0085】
また、本発明に従う方法は、必要に応じて、対象となるPOSの中和及び/又は回収/精製の慣用工程も一体化する。
【0086】
別の態様によれば、本発明は、特にポリオルガノシロキサン(POS)の開環重合及び/又は再分配重合によりPOSを製造するために使用できる組成物において、
・線状又は非線状POS及び/又は環状POS(POScy)と、
・少なくとも1種のカルベンであってその2個の非結合電子が好ましくは一重項の形態にあるものを含む触媒(C)(ただし、少なくとも1種の金属/カルベン錯体、特にPt/カルベンによって形成されるいかなる触媒も除くものとする)と、
・随意として少なくとも1種の溶媒と、
・随意として、線状POS、例えば、ポリジアルキル(例えばメチル)シロキサンMDpM(ここで、p=0〜20、好ましくは0〜10、さらに好ましくはp=0:すなわちジシロキサン)、例えば、ヘキサメチルジシロキサン(M2)、ビニル化されたM2及び水素化されたM2よりなる群に属するもの(勿論、本発明の変形例では、これらの線状POS、特にこれらのM2について、その他の官能基を想定することができる)と
を含むことを特徴とする、上記組成物に関する。
【0087】
この組成物は、本発明に従う改善された反応媒体の組成物である。この媒体は、POSを、初期POSがPOScyである場合には開環重合によって及び/又は再分配重合によって、容易に、効果的に、しかも経済的に得ることを可能にする。この媒体は、上記のような本発明に従う方法にとって特に好適である。したがって、この後においても、本発明に従う反応組成物の成分を定義するためにこの説明を参照する。同じことが上に定義したような触媒(C)、初期POS及び塩基−開始剤にも当てはまる。
【0088】
触媒(C)に関して、このものは、少なくとも1種の塩基と反応してカルベンをその場で生成し得る、カルベンに対応する1種以上の塩よりなる群から選択される少なくとも1種の先駆物質からその場で生成できる。
【0089】
この組成物は、有利には、少なくとも1種の可溶化助剤を含むことができ、及び/又はカルベンは少なくとも1個の可溶化性基で置換され得る。これらの可溶化手段のさらなる詳細については、POSを合成する方法に関して上に提供したその説明を参照されたい。好ましくは、反応媒体中の触媒の濃度[C](100gの初期POS、例えば線状及び/又は環状POS当たりのモルで表す)は、[C]≦1、好ましくは10-5≦[C]≦10-1、さらに好ましくは10-5≦[C]≦10-3のようなものである。
【0090】
量に関して、本発明に従う初期反応POS組成物は、例として、次の通りである:
・500gのPOS及び/又はPOScy(例えばD4)、
・0〜10g、好ましくは0.5〜2gの連鎖停止剤(例えばM2)、
・0〜10g、好ましくは0.01〜1gのカルベン先駆物質の塩(式(III)又は(III')、例えば:イミダゾリウム塩)、
・0〜10g、好ましくは0.01〜0.5gの塩基(例えば、t−Bu−OK)、
・0.1〜10mLの溶媒(例えば、THF)。
【0091】
また、本発明は、POSの開環重合及び/又は再分配重合によって、該POSのうちの少なくともいくつかがPOScyである場合には開環(ROP)によって得られた少なくとも1種のPOSが豊富に含まれるシリコーン組成物において、上に定義されるような触媒(C)を含むことを特徴とする当該シリコーン組成物に関するものでもある。
【0092】
本発明の別の主題は、POScyの開環、次いで開環重合/再分配重合によって得られた少なくとも1種のPOSを含むシリコーン組成物において、POS/POScyの比が85/15を超え、好ましくは90/10以上であり、さらに好ましくは95/5以上であることを特徴とする、上記シリコーン組成物からなる。「最終」と記載できるこれらの組成物は、特に、上記のようなPOSの製造方法の終了時に得られるもの、又は本発明において独立して対象とされ、かつ、それ自体が上に記載された反応組成物から得られるものに相当する。
【0093】
これらの最終組成物において、「カルベン」触媒残留物が微量に存在し得る。同様に、上記反応性組成物のうちのいくつかの他の成分もこれらの最終組成物中に見出され得る。
【0094】
また、本発明は、新規な物質として、
・好ましくは上に定義したような式(I0)、(I)、(I')、(II)、(II')、(III)又は(III')の生成物から誘導される、カルベンを生成できる官能基で置換されたPOS、及び
・次式:
(OR*4-aSi(Rca
(式中、
cは、カルベンを生成させることができる触媒性官能基、好ましくは上に定義したような式(I0)、(I)、(I')、(II)、(II')、(III)又は(III')の生成物から誘導される触媒性官能基であり、
*はアルキルであり、
a=1〜3である。)
に関するものでもある。
【0095】
本発明は、POSの製造のためにカルベン又はカルベン先駆物質の存在下でPOS及び/又はPOScyの開環重合(ROP)及び/又は再分配重合を触媒する新規な経路を開拓する。この経路は、触媒活性、選択性(良好な転化率及び収率POS/POScy>90/10)、使用の容易さ(低温、ほとんど精製しなくてもよいこと)、良好な多分子性指数を有し、しかも特に高粘度を有し得るPOSを得ることなどの点で効果的である。この効果は、コスト、安全性、非生態毒性及び使用の容易さの要請を断念することなく得られるため、なおさら有利である。
【0096】
以下の実施例は、本発明に従う方法及び触媒を、その利点及び可能な実施変形例の全てを明らかにすることによって、より明らかに理解することを可能にする。
【実施例】
【0097】

概略:
先駆物質であるイミダゾリウム塩1を文献に記載された慣用の手順に従いブレンステッド酸としてHBF4を使用して調製する。このものは、次の構造:
【化17】

を有する。その他の出発原料は市販のものである。
【0098】
例1
10gのオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)及び100mgのヘキサメチルジシロキサン(M2)を30mLのフラスコ中で混合する。100mgのイミダゾリウム塩1(0.34mmol)及び39mgのt−BuOK(0.34mmol)を秤量管に置く。0.5mLの無水THFを添加し、そして得られた懸濁液を、該M2及びD4を含有するフラスコに迅速に添加する。
反応混合物を周囲温度で24時間撹拌する。このものは徐々に粘稠になり、そして珪素NMR分析から、D4の95%が重合され、かつ、ポリシロキサン鎖の形態にあることが示された。
【0099】
例2
10gのオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)及び100mgのヘキサメチルジシロキサン(M2)を30mLのフラスコ中で混合する。100mgのイミダゾリウム塩1(0.34mmol)及び39mgのt−BuOK(0.34mmol)を秤量管に置く。0.5mLの無水THFを添加し、そして得られた懸濁液を、該M2及びD4を含有するフラスコに迅速に添加する。
反応混合物を60℃で2時間撹拌する。このものは徐々に粘稠になり、そして珪素NMR分析から、D4の95%が重合され、かつ、ポリシロキサン鎖の形態にあることが示された。
【0100】
比較例1
10gのオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)及び100mgのヘキサメチルジシロキサン(M2)を30mLのフラスコ中で混合する。39mgのt−BuOK(0.34mmol)を秤量管に置く。0.5mLの無水THFを添加し、そして得られた懸濁液を、該M2及びD4を含有するフラスコに迅速に添加する。
反応混合物を周囲温度で24時間撹拌する。このものは非常に流動的なままであり、そして珪素NMR分析から、D4の5%未満が重合されたことが示された。
【0101】
比較例2
10gのオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)及び100mgのヘキサメチルジシロキサン(M2)を30mLのフラスコ中で混合する。39mgのt−BuOK(0.34mmol)を秤量管に置く。0.5mLの無水THFを添加し、そして得られた懸濁液を、該M2及びD4を含有するフラスコに迅速に添加する。
反応混合物を60℃で2時間撹拌する。このものは僅かに粘稠になり、そして珪素NMR分析から、D4の30%のみが重合され、ポリシロキサン鎖の形態にあることが示された。
【0102】
検討
上記の例は、連鎖抑制剤(ジアミノカルベン型触媒)の存在下に周囲温度及び所定の温度でオクタメチルテトラシクロシロキサン(D4)を重合することが可能であることを示している。D4の転化率は、初期量に対して95%以上である。得られたポリオルガノシロキサンの構造は、H47型のオイルの構造と同一である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒(C)の存在下でポリオルガノシロキサン(POS)を開環重合及び/又は再分配重合させることによってPOSを製造するにあたり、当該触媒(C)が少なくとも1種のカルベンを含むことを特徴とする、ポリオルガノシロキサンの製造方法。
【請求項2】
触媒(C)のカルベンが、一重項又は三重項、好ましくは一重項の形態にある2個の非結合電子を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
触媒(C)のカルベンが式(I0):
【化1】

(式中、
・X及びYは独立してS、P、Si、N及びOよりなる群から選択され、
・X及びYは随意に置換され、
・X及びYは、少なくとも1個の随意に置換された5員環、6員環若しくは7員環の炭化水素系の環;又はS、P、Si、N及びOよりなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を含み、随意に置換された5員環、6員環若しくは7員環の複素環を介して結合できる。)
によって表される一般構造を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
触媒(C)のカルベンが次式(I)、(I')又は(I"):
【化2】

(式中、
・R1、R2及びR3は同一又は異なっていてよく、独立してアルキル基、随意に置換されたシクロアルキル基、随意に置換されたアリール基を表し、又は
・基R1及びR2は、一緒になって、随意に置換された5員環若しくは6員環の炭化水素系の環、又はS、P、Si、N及びOよりなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を含み、随意に置換された5員環若しくは6員環の複素環を形成することができる。)
によって表される一般構造を有することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
触媒(C)のカルベンが式(II)又は(II'):
【化3】

(式中、
・A及びBは独立してC又はNを表し、ここで、
式(II)において、AがNを表すときにはT4は存在せず、そしてBがNを表すときにはT3は存在せず、
式(II')において、AがNを表すときにはT4又はT4'は存在せず、そしてBがNを表すときにはT3又はT3'は存在せず、
・T3、T3'、T4及びT4'は、独立して、水素原子;アルキル基;アルキル又はアルコキシで随意に置換されたシクロアルキル基;アルキル又はアルコキシで随意に置換されたアリール基;アルケニル基;アルキニル基;又はアリールアルキル基であってそのアリール部分がアルキル若しくはアルコキシで随意に置換されたものを表し、
・T3及びT4は、一緒になって及びAとBがそれぞれ炭素原子を表すときにはこれらと共にアリールを形成することができ、ここで、この場合には、T3'及びT4'は存在しないものとし、
・T1及びT2は、独立して、アルキル基;アルキルで随意に置換されたアルキル基;過弗素化され若しくはペルフルオルアルキル基で随意に置換されたアルキル基;アルキル若しくはアルコキシで随意に置換されたシクロアルキル基;アルキル若しくはアルコキシで随意に置換されたアリール基;アルケニル基;アルキニル基;又はアリールアルキル基であってそのアリール部分がアルキル若しくはアルコキシで随意に置換されたものを表し、或いは
・T1及びT2は、独立して、以下の式(V):
−V1−V2 (V)
(式中、
V1は、飽和又は不飽和炭化水素系の2価の基、好ましくは随意に置換された線状又は分岐C1〜C10アルキレンであり、
V2は、次の置換基:
・アルコキシ(−ORa)(ここで、Raは水素、アルキル又はアリールに相当する)、
・シリル(−Si(ORbx(Rc3-x)(ここで、Rbは水素、アルキル、シリル又はシロキサニルに相当し、Rcはアルキル又はアリールに相当し、そしてxは0〜3の整数である)、及び
・アミン、好ましくは−N(Ra2(ここで、Raは水素、アルキル又はアリールに相当する)
よりなる群から選択される1価の基である。)
の1価の基を表し、
・置換基T1、T2、T3、T3'、T4及びT4'は、式(II)及び(II')において2個の隣接する頂点上に位置するときには、対になって飽和又は不飽和の炭化水素系の鎖を形成することができる。)
に相当することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
カルベンを
・別個に製造し、及び/又は
・少なくとも1種の先駆物質からその場で生成させること
を特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記先駆物質が、少なくとも1種の塩基と反応してカルベンをその場で生成する、カルベンに対応する塩であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記対応する塩が、一般式(III)又は(III'):
【化4】

(式中、
・A、B、T1、T2、T3、T3'、T4及びT4'は請求項6において定義した通りであり、
・Z1は、独立して、ブレンステッド酸であって、好ましくは
・式G0−COOH(式中、G0はアルキル、有利にはC1〜C22アルキル、1個以上のC1〜C6アルキルで随意に置換されたアリール、有利にはC6〜C18アリールを表す)のカルボン酸、
・式G0−SO3H(式中、G0は上に定義した通りである)のスルホン酸、
・式G0−PO3H(式中、G0は上に定義した通りである)の燐酸、
・次の無機酸:HF、HCl、HBr、Hl、H2SO4、H3PO4、HClO4及びHBF4単独又はそれらの組合せ、並びに
・それらの混合物
よりなる群から選択されるものから誘導された陰イオンを表す。)
の1種(又は2種以上)の対応する複素環式化合物塩であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
カルベン及び/又はその先駆物質をベースとする触媒(C)と、初期POSと、随意として少なくとも1種の塩基とを少なくとも部分的に可溶化させた液体反応媒体中で、均一系触媒作用により実施することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
カルベン及び/又はその先駆物質をベースとする触媒(C)の溶解度を、少なくとも1種の可溶化助剤の手段によって及び/又は少なくとも1個の適切な基で置換された1種(又は2種以上)のカルベンを使用して制御することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
本質的に、T≦200、好ましくは100≦T≦150、さらに好ましくはT≦100であるような温度T(℃)で実施することを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
反応媒体中の触媒の濃度[C](100gの初期POS当たりのモルで表す)が、[C]≦1、好ましくは10-5≦[C]≦10-1、さらに好ましくは10-5≦[C]≦10-3であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
初期POSが、環状POS(POScy)、好ましくは以下の一般式(XI):
【化5】

(式中、
cは水素又はアルキル又はアリール基を表し、
3≦q≦12である。)
に相当するものから選択される環状POS(POScy)を含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
初期POSが線状であり、かつ、好ましくは式(XII.1):
a−[(Rb2Si−O−]p−Si(Rb2−Ra (XII.1)
(式中、
・Raは、独立して、ヒドロキシル、アルキル又はアリールであって1個以上のヘテロ原子を随意に含みかつハロゲンで随意に置換されたものを表し、
・Rbは、独立して、アルキル又はアリールであって、1個以上のヘテロ原子を随意に含み、かつ、ハロゲンで随意に置換されたものを表し、
・p≧2である。)
のものから選択されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
反応媒体中の最終POS/POScy比が85/15を超え、好ましくは90/10以上であり、さらに好ましくは95/5以上であることを特徴とする、請求項14又は請求項1〜14の少なくともいずれかに記載の方法。
【請求項16】
次の成分:
・カルベンを生成させることができる触媒性官能基、好ましくは請求項3〜5又は8に記載の式(I0)、(I)、(I')、(II)、(II')、(III)又は(III')の生成物から誘導される触媒性官能基で置換されたPOS、及び/又は
・次式:
(OR*4-aSi(Rca
(式中、
cは、カルベンを生成させることができる触媒性官能基、好ましくは請求項3〜5又は8に記載の式(I0)、(I)、(I')、(II)、(II')、(III)又は(III')の生成物から誘導される触媒性官能基であり、
*はアルキルであり、
a=1〜3である。)
のシラン
を使用することを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
特にポリオルガノシロキサン(POS)の重合及び/又は再分配によりPOSを製造するために使用できる組成物において、
・線状又は非線状POS及び/又は環状POS(POScy)と、
・少なくとも1種のカルベンであってその2個の非結合電子が好ましくは一重項の形態にあるものを含む触媒(C)(ただし、少なくとも1種の金属/カルベン錯体、特にPt/カルベンによって形成されるいかなる触媒も除くものとする)と、
・随意として少なくとも1種の溶媒と、
・随意として、線状POS、例えば、ポリジアルキル(例えばメチル)シロキサンMDpM(ここで、p=0〜20、好ましくは0〜10、さらに好ましくはp=0:すなわちジシロキサン)、例えば、ヘキサメチルジシロキサン(M2)、ビニル化されたM2及び水素化されたM2よりなる群に属するものと
を含むことを特徴とする、前記組成物。
【請求項18】
触媒(C)が請求項2〜8のいずれかに記載されたものであることを特徴とする、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
初期POSが請求項13又は14に記載されたものであることを特徴とする、請求項18又は19に記載の組成物。
【請求項20】
触媒(C)が、少なくとも1種の塩基と反応してカルベンをその場で生成できる、カルベンに対応する1種以上の塩よりなる群から選択される少なくとも1種の先駆物質からその場で生成されたことを特徴とする、請求項17〜19のいずれかに記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物が少なくとも1種の可溶化助剤を含み、及び/又はカルベンが少なくとも1個の可溶化性基で置換されていることを特徴とする、請求項17〜20のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
反応媒体中の触媒の濃度[C](100gの初期POS当たりのモルで表す)が、[C]≦1、好ましくは10-5≦[C]≦10-1、さらに好ましくは10-5≦[C]≦10-3であることを特徴とする、請求項19〜21のいずれかに記載の組成物。
【請求項23】
シリコーン組成物であって、
POSの重合及び/又は再分配によって得られた少なくとも1種のPOSと、
請求項1〜22のいずれかに記載された触媒(C)の少なくとも1種の残留物と
を含むことを特徴とする、シリコーン組成物。
【請求項24】
POS、特にPOScyの開環、その後の重合及び/又は再分配によって得られた少なくとも1種のPOSを含むシリコーン組成物において、最終POS/POScyの比が85/15を超え、好ましくは90/10以上であり、さらに好ましくは95/5以上であることを特徴とする、シリコーン組成物。
【請求項25】
好ましくは請求項3〜5又は8に記載の式(I0)、(I)、(I')、(II)、(II')、(III)又は(III')の生成物から誘導されるカルベンを生成できる触媒性官能基で置換されたPOS。
【請求項26】
次式:
(OR*4-aSi(Rca
(式中、
cは、カルベンを生成させることができる触媒性官能基、好ましくは請求項3〜5又は8に記載の式(I0)、(I)、(I')、(II)、(II')、(III)又は(III')の生成物から誘導される触媒性官能基であり、
*はアルキルであり、
a=1〜3である。)
のシラン。
【請求項27】
請求項1〜26のいずれかに記載のカルベンの、POSの重合及び/又は再分配によりPOSを製造する際の触媒又は助触媒としての使用。

【公表番号】特表2007−517103(P2007−517103A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546271(P2006−546271)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【国際出願番号】PCT/FR2004/050665
【国際公開番号】WO2005/073279
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【氏名又は名称原語表記】RHONE−POULENC CHIMIE
【出願人】(501328843)
【Fターム(参考)】