説明

カルボキシル化スチレン/ブタジエンゴム含有トレッドを有するタイヤ

【課題】カルボキシル化スチレン/ブタジエンゴムを含有するゴム組成物のトレッドを有するタイヤに関し、トレッドトラクション(例えば滑り抵抗)が最重要で耐トレッド摩耗性はあまり重要でない、比較的高速で走行することが望まれうる車両などのためのタイヤに適切であるようなタイヤトレッドを提供する。
【解決手段】前記組成物は、ゴム100重量部あたりの重量部(phr)を基にして、(A)100phrの、下記(1)及び(2)を含む共役ジエン含有エラストマー、(1)10〜65phrのカルボキシル化スチレン/ブタジエンゴム(x−SBR)、及び(2)35〜90phrの、溶液重合調製スチレン/ブタジエンゴム(S−SBR)、又は乳化重合調製スチレン/ブタジエンゴム(E−SBR)の少なくとも一つを含む追加エラストマー、(B)50〜150phrの、ゴム補強カーボンブラックを含む粒状補強充填剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボキシル化スチレン/ブタジエンゴムを含有するゴム組成物のトレッドを有するタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のタイヤは、典型的には、選択されたエラストマー及び粒状補強充填剤を含むゴム組成物のトレッドを有する。
そのようなエラストマーは、典型的には、例えば耐トレッド摩耗性を促進するためのシス1,4−ポリブタジエンゴム、例えばウェットトラクション(wet traction)を促進するためのスチレン/ブタジエンゴム、及び時には、例えばタイヤトレッドの熱耐久性を促進するための天然ゴムを含みうる。時には、例えばアミン及びシロキシ官能化スチレン/ブタジエンゴムのような官能化エラストマーも提案されてきた。例えば米国特許第7,816,483号参照。
【0003】
しかしながら、本発明の場合、例えば、トレッドトラクション(例えば滑り抵抗)が最重要で耐トレッド摩耗性はあまり重要でない、比較的高速で走行することが望まれうる車両などのためのタイヤに適切であるようなタイヤトレッドを提供することに重点が置かれている。
【0004】
そのような目的のためには、ゴム組成物は、何らかの感知できるほどの量のシス1,4−ポリブタジエンゴム及び天然ゴムを含まない、好ましくはシス1,4−ポリブタジエンゴム及び天然ゴムを含まないということが提案されている。
【0005】
そのような目的のためには、タイヤトレッドのゴム組成物は、そのエラストマー成分が官能化エラストマー、例えばカルボキシル化ニトリルゴム(x−NBR)又はカルボキシル化スチレン/ブタジエンゴム(x−SBR)に限定されることを評価されることが提案されている。
【0006】
本発明の記載において、“ゴム”及び“エラストマー”という用語は、本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り互換的に使用されうる。“ゴム組成物”、“配合ゴム”及び“ゴムコンパウンド”という用語は、本明細書で使用される場合、“様々な成分及び材料とブレンド又は混合されているゴム”を言うのに互換的に使用され、そのような用語はゴム混合又はゴム配合分野の技術者には周知である。
【0007】
“phr”という用語は、本明細書で使用される場合、及び従来の慣行に従って、“100重量部のゴム、又はエラストマーあたりの各材料の部”のことを言う。
エラストマーのTgは、本明細書で言及される場合、ゴムの開始ガラス転移温度のことを言い、示差走査熱量計によって{しさ そうさ ねつりょうけい}毎分10℃の加熱速度で都合よく決定できる。例えばASTM D−1356−98参照。
【0008】
樹脂の軟化点は、適当な場合、“環球式”ASTM No.E28により決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7,816,483号
【発明の概要及び発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に従って、硫黄硬化ゴム組成物の円周トレッドを有するタイヤを提供する。該組成物は、ゴム100重量部あたりの重量部(phr)を基にして、
(A)100phrの、下記(1)及び(2)を含む共役ジエン含有エラストマー
(1)約10〜約65phrのカルボキシル化スチレン/ブタジエンゴム(x−SBR)、及び
(2)約35〜約90phrの、溶液重合調製(溶液重合により調製された)スチレン/ブタジエンゴム(S−SBR)、又は乳化重合調製スチレン/ブタジエンゴム(E−SBR)の少なくとも一つを含む追加エラストマー(前記カルボキシル化スチレン/ブタジエンゴム以外)、ここで前記溶液重合調製スチレン/ブタジエンゴムは、官能化溶液重合調製スチレン/ブタジエンゴム(f−S−SBR)であってもよい、並びに
(B)約50〜約150、あるいは約80〜約130phrの、ゴム補強カーボンブラックを含む粒状補強充填剤
を含む。
【0011】
好ましくは、前記トレッドゴム組成物は、何らかの感知できるほどの量の沈降シリカ補強剤を含有せず(例えば約5phr未満)、さらに好ましくは沈降シリカ補強剤を含まない。
【0012】
前記ゴム組成物は、カルボキシル化ニトリルゴム(x−NBR)を含まないものとする。
適切な場合、前記官能化溶液重合スチレン/ブタジエンゴム(f−S−SBR)は、例えば、アミン官能基、シロキシ官能基、アミンとシロキシ官能基の組合せ、チオールとシロキシ官能基の組合せ、イミンとシロキシ官能基の組合せ、ヒドロキシル官能基、及びエポキシ基を含む少なくとも一つの官能基を含有する官能化溶液重合スチレン/ブタジエンゴム(S−SBR)でありうる。
【0013】
実施において、x−SBRのビニル1,2−含有量は、例えば、そのポリブタジエン部分を基にして約20〜約50パーセントの範囲になりうる。
空気入りタイヤの前記トレッド部も、基本カーカス中のゴム又はその他の材料も(通常トレッド領域に補強要素を含有する)、ゴム配合分野で一般的に知られている方法、例えば各種の硫黄加硫可能成分ゴムを各種の通常使用されている添加剤材料、例えば硫黄などの硬化助剤、活性化剤、遅延剤及び促進剤、オイル、粘着付与樹脂を含む樹脂、及び可塑剤などの加工添加剤、充填剤、顔料、ステアリン酸、酸化亜鉛、ワックス、抗酸化剤及びオゾン劣化防止剤、及び補強材料、すなわち前述のゴム補強カーボンブラックと混合することによって配合できることは当業者には容易に理解されるはずである。当業者には分かる通り、硫黄加硫可能な材料及び硫黄加硫された材料(ゴム)の意図する使用に応じて、前述の一定の添加剤は選択され、従来量で一般的に使用される。
【0014】
そのような空気入りタイヤは、従来、接地するように適応された外周トレッド、相隔たるビード、及びそこから放射状に伸びて前記トレッドを前記ビードに接続するサイドウォールを有する一般的にドーナツ(トロイダル)形のカーカスを含む。
【0015】
当業者には、トレッドゴムのゴム組成物は、ゴム配合分野で一般的に知られている方法、例えば各種の硫黄加硫可能成分ゴムを各種の通常使用されている添加剤材料、例えば硫黄などの硬化助剤、活性化剤、遅延剤及び促進剤、オイル、粘着付与樹脂を含む樹脂、シリカ、及び可塑剤などの加工添加剤、充填剤、顔料、脂肪酸、酸化亜鉛、ワックス、抗酸化剤及びオゾン劣化防止剤、及びしゃく解剤と混合することによって配合されるであろうことは容易に理解される。当業者には分かる通り、硫黄加硫可能な材料及び硫黄加硫された材料(ゴム)の意図する使用に応じて、前述の添加剤は選択され、従来量で一般的に使用される。
【0016】
実施において、製品としてのタイヤは、その部品のアセンブリを、適切な金型中、高温(例えば140℃〜約160℃)及び高圧で、成形及び硫黄硬化することによって製造されうる。そのような実施はそのような分野の技術者には周知である。
【0017】
本発明のための補強充填剤、すなわちゴム補強カーボンブラックの典型量は上に述べた。加工助剤の典型量は、使用される場合、例えば約1〜約50phrを含みうる。そのような加工助剤は、例えば、芳香族、ナフテン系、及び/又はパラフィン系のプロセス油を含みうる。抗酸化剤の典型量は約1〜約5phrを含む。代表的抗酸化剤は、例えば、ジフェニル−p−フェニレンジアミン及びその他、例えばThe Vanderbilt Rubber Handbook(1978),344〜346ページに開示されているようなものであろう。オゾン劣化防止剤の典型量は、例えば約1〜5phrを含みうる。脂肪酸の典型量は、使用される場合、例えば約0.5〜約3phrの量のステアリン酸、パルミチン酸及びオレイン酸の組合せを含みうる。酸化亜鉛の典型量は、例えば約1〜約5phrを含みうる。ワックスの典型量は、使用される場合、例えば約0.5〜約3phrを含みうる。多くの場合、そのようなワックスは微晶質ワックスである。
【0018】
加硫は、硫黄加硫剤の存在下で実施される。適切な硫黄加硫剤の例は、元素硫黄(遊離硫黄)又は硫黄供与加硫剤、例えばアミンジスルフィド、ポリマー性ポリスルフィド又は硫黄オレフィン付加物などである。好ましくは硫黄加硫剤は元素硫黄である。そのような分野の技術者には分かる通り、硫黄加硫剤は、例えば約0.5〜約4phrの範囲の量、又はさらには場合によっては約8phrまでの量で使用されうるが、約1.5〜約2.5、時には約2〜約2.5の範囲が好適である。
【0019】
促進剤は、加硫に要する時間及び/又は温度を制御し、加硫物の性質を改良するために使用される。一態様において、単一促進剤系、すなわち一次促進剤が使用されうる。従来及び好適には、一次促進剤は、全部で約0.5〜約4、好ましくは約0.8〜約1.5phrの範囲の量で使用される。別の態様においては一次及び二次促進剤の組合せが使用されてもよい。その場合、二次促進剤は、活性化及び加硫物の性質を改良するために少量(約0.05〜約3phr)使用される。これらの促進剤の組合せは、最終性質に相乗効果をもたらすことが期待でき、いずれかの促進剤を単独で使用して製造されたものより多少良好である。さらに、標準的な加工温度には影響されないが、通常の加硫温度で満足のいく硬化をもたらす遅延作用促進剤を使用してもよい。加硫遅延剤も使用することができる。本発明に使用できる適切なタイプの促進剤は、例えば、アミン、ジスルフィド、グアニジン、チオウレア、チアゾール、チウラム、スルフェンアミド、ジチオカルバメート及びキサンテートである。好ましくは、一次促進剤はスルフェンアミドである。二次促進剤を使用する場合、二次促進剤は、好ましくはグアニジン、ジチオカルバメート又はチウラム化合物である。
【0020】
上記添加剤の存在及び相対量は、主としてカルボキシル化スチレン/ブタジエンゴムとゴム補強カーボンブラックとして補強充填剤を含有するトレッドゴム組成物を有するタイヤに向けられた本発明の側面とは見なされない。
【0021】
ゴム組成物の混合は、ゴム混合分野の技術者に公知の方法によって達成できる。例えば、成分は少なくとも二つの段階、すなわち少なくとも一つのノンプロダクティブ段階とそれに続くプロダクティブ混合段階で混合できる。最終の硬化剤は典型的には最終段階で混合される。この最終段階は従来“プロダクティブ”混合段階と呼ばれ、混合が典型的には前のノンプロダクティブ混合段階の混合温度より低い温度、又は極限温度で実施される。“ノンプロダクティブ”及び“プロダクティブ”混合段階という用語は、ゴム混合分野の技術者には周知である。
【実施例】
【0022】
実施例I
実験は、カルボキシル化ニトリルゴム又はカルボキシル化スチレン/ブタジエンゴムを含有するゴム組成物で構成されるタイヤトレッドとして使用するためのゴム組成物を製造する実行可能性を評価するために行われた。
【0023】
ゴムサンプルA〜Cを製造した。ゴムサンプルAは対照ゴムサンプルで、100phrの乳化重合調製スチレン/ブタジエンゴムSBR(E−SBR)を含み、カルボキシル化ゴムは含んでいなかった。
【0024】
ゴムサンプルB及びCは実験ゴムサンプルで、ゴムサンプルBはカルボキシル化ニトリルゴム(x−NBR)を含有し、実験ゴムサンプルCはカルボキシル化スチレン/ブタジエンゴム(x−SBR)を含有していた。
【0025】
ゴム組成物のサンプルは、密閉式ゴムミキサー(internal rubber mixer) 内での第一のノンプロダクティブ混合段階(NP)で、エラストマーを補強充填剤及びその他のゴム配合成分と一緒に約6分間、約160℃の温度にして混合することによって製造された。次に、混合物(所望により)をさらに密閉式ゴムミキサー内での第二のノンプロダクティブ混合段階(NP)で約6分間、約160℃の温度にして順次混合する。次に、得られた混合物を密閉式ゴムミキサー内でのプロダクティブ混合段階(P)で、硬化剤と約2分間、約115℃の温度にして混合する。ゴム組成物は、それぞれのノンプロダクティブ混合ステップの間、及び第二のノンプロダクティブ混合ステップとプロダクティブ混合ステップとの間に40℃未満に冷却される。
【0026】
表1にサンプルA〜Cの基本配合のまとめを概数値を用いて示し、表2にサンプルA〜Cの様々な物理的性質を報告する。値及びパーセンテージは、適切な場合、別途記載のない限り重量による。
【0027】
【表1】

【0028】
約40パーセントの結合スチレンを含有し、約−35℃のTgを有するKabochem社製Afpol 1721(登録商標)のような乳化重合調製スチレン/ブタジエンエラストマー(E−SBR)。
【0029】
約30パーセントの結合スチレン及び約41パーセントのビニル1,2−含有量(そのブタジエン含有量を基にして)及び約−20℃の開始Tgを有するThe Goodyear Tire & Rubber Company社製Solflex 30H41(登録商標)のような溶液重合調製スチレン/ブタジエンエラストマー(S−SBR)。
【0030】
Lanxess社製Krynac X750(登録商標)のようなカルボキシル化ニトリルゴム。
Lanxess社製Buna PBR4003(登録商標)のようなカルボキシル化スチレン/ブタジエンゴム(x−SBR)。
【0031】
N330ゴム補強カーボンブラック、ASTM規格。
ゴムプロセス油、パラフィン系タイプ。
ステアリン酸、パルミチン酸及びオレイン酸を含む脂肪酸の組合せ。
【0032】
アミンタイプのもの。
スルフェンアミド硫黄加硫促進剤。
以下の表2にゴムサンプルA〜Cの様々な物理的性質に関するデータを報告する。
【0033】
【表2】

【0034】
ゴムサンプルは300パーセント伸びに達する前に破断した。
引張試験機Zwick 1445機器を用いて得たデータ。
RPA 2000(登録商標)Rubber Process Analyzerに従って得たデータ。
【0035】
Rheometrics RSA III分析機器。
ショアーA硬度、ASTM D−1415。
表2の実験ゴムサンプルCから、乳化SBR(E−SBR)とカルボキシル化SBRの組合せの使用は、カルボキシル化SBRを使用せずE−SBRのみを使用した対照ゴムサンプルAと比較した場合、示された残りの物理的性質に顕著な影響を及ぼすことなく、300%モジュラスと損失弾性率(J”)値に顕著な増大をもたらしたことが分かる。このことは、そのようなゴム組成物のトレッドを有するタイヤに対してグリップ、又はドライトラクション(dry traction)の増大に非常に大きく顕著な寄与があることを示すと共に、予測的等価の又は改良された耐トレッド摩耗性も示している。
【0036】
これに対し、表2の実験ゴムサンプルBから、E−SBRとカルボキシル化ニトリルゴムの組合せの使用は、対照ゴムサンプルA及び前述の実験ゴムサンプルCと比較した場合、引張強さ、極限伸び及びホットリバウンド(hot rebound)の性質に大幅かつ顕著な減退がみられたという意味で非常に大きな悪影響をもたらしたことが分かる。従って、これは、そのようなゴム組成物のタイヤトレッドの強度及び耐久性が顕著に低下したことを示すものである。
【0037】
従って、カーボンブラック補強(カーボンブラックで補強された)SBRベースのゴム組成物にカルボキシル化スチレン/ブタジエンエラストマー(x−SBR)を配合することは、カーボンブラック補強ゴム組成物にカルボキシル化ニトリルゴム(x−NBR)を使用することと比べて、グリップ、又はドライトラクションの顕著な改良という有意義で有益な発見をもたらしたほか、耐トレッド摩耗性の増大も示すという追加の発見も認められたと結論づけられる。このことは、本明細書では、過去の慣行からの著しい脱却であると見なされる。
【0038】
実施例II
実験は、前述の有益なカルボキシル化スチレン/ブタジエンゴムを含有するシリカ豊富ゴム組成物で構成されるタイヤトレッドとして使用するためのゴム組成物を製造する実行可能性を評価するために行われた。
【0039】
カルボキシル化ニトリルゴムの使用は、実施例Iに示されたカルボキシル化スチレン/ブタジエンゴムの使用によって観察された前述の著しく有益な結果及びカルボキシル化ニトリルゴム(x−NBR)がゴム組成物中に存在することに起因する観察された相対的悪影響を考慮して、行われなかった。
【0040】
ゴム組成物の引裂強さの増大を促進し、ガラス転移温度(Tg)を低下させるために、ゴム組成物に天然シス1,4−ポリイソプレンゴムを配合した。
本実施例では、ゴムサンプルD及びEを製造した。
【0041】
ゴムサンプルDは、沈降シリカを含有し、ゴム補強カーボンブラックもカルボキシル化スチレン/ブタジエンゴム(x−SBR)も含まないという意味で、対照ゴムサンプルと見なされた。
【0042】
ゴムサンプルEは、カルボキシル化スチレン/ブタジエンゴム(x−SBR)と沈降シリカ補強剤を含有する実験ゴムサンプルであった。
ゴム組成物のサンプルは、密閉式ゴムミキサー内での第一のノンプロダクティブ混合段階(NP)で、エラストマーを補強充填剤及びその他のゴム配合成分と一緒に約6分間、約160℃の温度にして混合することによって製造された。次に、混合物(所望により)をさらに密閉式ゴムミキサー内での第二のノンプロダクティブ混合段階(NP)で約6分間、約160℃の温度にして順次混合する。次に、得られた混合物を密閉式ゴムミキサー内でのプロダクティブ混合段階(P)で、硬化剤と約2分間、約115℃の温度にして混合する。ゴム組成物は、それぞれのノンプロダクティブ混合ステップの間、及び第二のノンプロダクティブ混合ステップとプロダクティブ混合ステップとの間に40℃未満に冷却される。
【0043】
表3にサンプルD及びEの基本配合を示し、表4にサンプルD及びEの様々な物理的性質を報告する。値及びパーセンテージは、適切な場合、別途記載のない限り重量による。
【0044】
【表3】

【0045】
約30パーセントの結合スチレン及び約41パーセントのビニル1,2−含有量(そのブタジエン含有量を基にして)及び約−20℃の開始Tgを有するThe Goodyear Tire & Rubber Company社製Solflex 30H41(登録商標)のような溶液重合調製スチレン/ブタジエンエラストマー(S−SBR)。
【0046】
Lanxess社製Buna PBR4003(登録商標)のようなカルボキシル化スチレン/ブタジエンゴム(C−SBR)。
N330ゴム補強カーボンブラック、ASTM規格。
【0047】
ゴムプロセス油、パラフィン系タイプ。
ステアリン酸、パルミチン酸及びオレイン酸を含む脂肪酸の組合せ。
アミンタイプのもの。
【0048】
スルフェンアミド硫黄加硫促進剤。
10Rhodia社製Zeosil(登録商標)1165MPのような沈降シリカ。
11Degussa社からX50Sとして入手された、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド(そのポリスルフィドブリッジ中に約3.5〜約4個の範囲の平均連結硫黄原子を有する)を含むシリカカップリング剤とカーボンブラックの50/50重量比の組合せを含む複合材料のようなシリカカップリング剤複合材料。表では、従ってカップリング剤に関する限り50パーセント活性な複合材料として報告されている。
【0049】
以下の表4にゴムサンプルD及びEの様々な物理的性質に関するデータを報告する。
【0050】
【表4】

【0051】
引張試験機Zwick 1445機器を用いて得たデータ。
RPA 2000(登録商標)Rubber Process Analyzerに従って得たデータ。
【0052】
Rheometrics RSA III分析機器。
ショアーA硬度、ASTM D−1415。
表4の実験ゴムサンプルEから、溶液SBR(S−SBR)、カルボキシル化SBR(x−SBR)エラストマーに、天然ゴムを配合し、沈降シリカ補強剤を合わせた組合せの使用は、対照ゴムサンプルDと同様の引張強さ、300%モジュラス及びホットリバウンドの性質をもたらすことが観察されたことが分かる。しかしながら、実験ゴムサンプルEは、対照ゴムサンプルDと比べて、損失正接(tan delta)値の顕著な減少(約−17パーセントの減少)及び損失弾性率(J”)値の減少(約−23パーセントの減少)を示した。このことは、ゴム組成物のヒステリシスの低下及びそのようなゴム組成物のトレッドのドライトラクションの低下を示すものである。
【0053】
従って、本明細書においては、カルボキシル化スチレン/ブタジエン(x−SBR)含有ゴム組成物において、ゴム補強カーボンブラックを沈降シリカとそのカップリング剤で置き換えても、ゴム補強カーボンブラック補強剤の配合と比べた場合、ゴム組成物の損失正接値の増大(増大したヒステリシスを示す)も、そのようなゴム組成物のトレッドを有するタイヤのグリップ、又はドライトラクション性の増大も、満足いくほどには達成されなかったと見なされる。
【0054】
さらに本発明に従って、前記トレッドゴム組成物は、少なくとも約6〜約30phrの一つ及び望ましくは少なくとも二つの複数の樹脂、特に2〜4種類の樹脂も含有しうる。これらの樹脂は個別の少なくとも30℃離れた軟化点を有し、各樹脂は広範囲の動作温度にわたってトレッドトラクション(滑り抵抗)を促進するために、少なくとも約2重量部の量で存在する。そのような樹脂は、
(A)クマロン−インデン樹脂、
(B)アルキル化炭化水素樹脂、
(C)芳香族石油炭化水素樹脂、及び
(D)ジシクロペンタジエン/ジエン樹脂
の少なくとも一つを含みうる。
【0055】
例えば、第一の樹脂は約20℃〜約110℃の範囲内の軟化点を有しうる。第二の樹脂は、使用される場合、例えば約70℃〜約140℃の範囲内かつ前記第一の樹脂よりも少なくとも30℃高い軟化点を有しうる。第三の樹脂が使用される場合、それは例えば約100℃〜約170℃の範囲内かつ前記第二の樹脂よりも少なくとも30℃高い軟化点を有しうる。更なる例として、少なくとも30℃離れた軟化点を有する同じ一般的樹脂組成(例えばクマロン−インデン樹脂)の二つ以上の樹脂を使用することもできる。
【0056】
樹脂が軟化すると、樹脂を含有する硬化ゴムコンパウンドはヒステリシスになると想定される。このことは、ゴムコンパウンドが、トレッドの回転時に発生したエネルギーを熱に変換し、ひいてはトラクション性能の改良をもたらすことを意味する。
【0057】
約20℃〜40℃の軟化点範囲を有するクマロン−インデン樹脂の代表は(クマロン−インデン樹脂はずっと高い軟化点も有しうるが)、例えばNeville Chemical Co.社製のCumar R−29であろう。
【0058】
例えば、約120℃〜150℃の軟化点範囲のアルキル化石油炭化水素樹脂については、例えばNeville Chemical Co.社製のNevchem 150のような主に飽和アルキル化樹脂が考えられる。そのような樹脂は、例えば芳香族炭化水素をジシクロペンタジエンでアルキル化することによって製造されうる(米国特許第3,023,200号参照)。
【0059】
例えば、約90℃〜約110℃の中間的軟化点範囲の芳香族石油炭化水素樹脂については、Neville社製のLX−782のような樹脂が考えられる。一側面において、そのような樹脂は、“芳香族石油樹脂”と呼ばれているかもしれないが、炭素−炭素不飽和(二重結合)を含有し、従来的には芳香族と非環式ポリマー部分との混合物でありうる。樹脂の芳香族成分は、好ましくは、スチレン、アルファ−メチルスチレン又はt−ブチルスチレンから選ばれ、樹脂の残部は脂肪族炭化水素である。そのようなクラスの樹脂は、樹脂分野の技術者にはそのようなものとして認識されていると思われる。
【0060】
本発明の一側面において、ジシクロペンタジエン/ジエン樹脂組成物は、ジシクロペンタジエンと、それと共重合可能な、4〜12個の炭素原子を有し、モノオレフィン及びジオレフィンから選ばれる少なくとも一つのオレフィン炭化水素(ジエン)との間の重合反応の反応生成物と考えられている。リモネン及びシクロオクタジエンを含む様々なジオレフィンが考えられるが、シクロオクタジエンが好適である。好ましくは、そのようなジシクロペンタジエン−オレフィンコポリマーは、約50〜約80重量パーセントのジシクロペンタジエンを含む。そのような樹脂は、約20℃〜約170℃、又はさらには約220℃までの範囲の軟化点を有すると考えられる。従って、好ましくは、例えば約50〜約80重量パーセントのジシクロペンタジエンからなるジシクロペンタジエン/シクロオクタジエンコポリマー樹脂が考えられる。
【0061】
そのような様々なジシクロペンタジエン/ジエン樹脂の代表は、米国特許第3,927,144号に示されており、そのような開示に関し、引用によって本明細書に援用する。
本発明の実施に関する様々な態様を本明細書中に開示してきたが、当業者には、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正が可能であることは明白であろう。
[発明の態様]
1.硫黄硬化ゴム組成物の円周トレッドを有するタイヤであって、前記組成物は、ゴム100重量部あたりの重量部(phr)を基にして、
(A)100phrの、下記(1)及び(2)を含む共役ジエン含有エラストマー、
(1)約10〜約65phrのカルボキシル化スチレン/ブタジエンゴム(x−SBR)、及び
(2)約35〜約90phrの、溶液重合調製スチレン/ブタジエンゴム(S−SBR)、又は乳化重合調製スチレン/ブタジエンゴム(E−SBR)の少なくとも一つを含む追加エラストマー
(B)約50〜約150phrの、ゴム補強カーボンブラックを含む粒状補強充填剤
を含むタイヤ。
【0062】
2.前記トレッドゴム組成物がカルボキシル化ニトリルゴム(x−NBR)を含まない、1記載のタイヤ。
3.前記トレッドゴム組成物がシリカ補強剤を含まない、1記載のタイヤ。
【0063】
4.前記追加エラストマーが、溶液重合調製スチレン/ブタジエンゴム(S−SBR)であり、カルボキシル化ニトリルゴム(x−NBR)を含まない、1記載のタイヤ。
5.前記追加エラストマーが、乳化重合調製スチレン/ブタジエンゴム(E−SBR)であり、カルボキシル化ニトリルゴム(x−NBR)を含まない、1記載のタイヤ。
【0064】
6.前記追加エラストマーが、カルボキシル化ニトリルゴム(x−NBR)を含まず、官能化溶液重合スチレン/ブタジエンゴム(f−S−SBR)の少なくとも一つを含み、例えば、アミン官能基、シロキシ官能基、アミンとシロキシ官能基の組合せ、チオールとシロキシ官能基の組合せ、イミンとシロキシ官能基の組合せ、ヒドロキシル官能基、及びエポキシ基を含む少なくとも一つの官能基を含有する官能化溶液重合スチレン/ブタジエンゴム(S−SBR)でありうる、1記載のタイヤ。
【0065】
7.前記追加エラストマーが、カルボキシル化ニトリルゴム(x−NBR)を含まず、溶液重合調製スチレン/ブタジエンゴム(S−SBR)、又は乳化重合調製スチレン/ブタジエンゴム(E−SBR)の少なくとも一つを含み、
前記S−SBRは、アミン官能基、シロキシ官能基、アミンとシロキシ官能基の組合せ、チオールとシロキシ官能基の組合せ、イミンとシロキシ官能基の組合せ、ヒドロキシル官能基、及びエポキシ基を含む少なくとも一つの官能基を含有する溶液重合調製スチレン/ブタジエンゴム(S−SBR)の少なくとも一つを含む官能化溶液重合スチレン/ブタジエンゴム(f−S−SBR)の少なくとも一つである、1記載のタイヤ。
【0066】
8.前記カルボキシル化スチレン/ブタジエンゴム(x−SBR)のビニル1,2−含有量が、そのポリブタジエン部分を基にして約20〜約50パーセントの範囲である、1記載のタイヤ。
【0067】
9.前記追加エラストマーが、溶液重合調製スチレン/ブタジエンゴム(S−SBR)であり、カルボキシル化ニトリルゴム(x−NBR)を含まない、1記載のタイヤ。
10.前記追加エラストマーが、乳化重合調製スチレン/ブタジエンゴム(E−SBR)であり、カルボキシル化ニトリルゴム(x−NBR)を含まない、3記載のタイヤ。
【0068】
11.前記追加エラストマーが、カルボキシル化ニトリルゴム(x−NBR)を含まず、官能化溶液重合スチレン/ブタジエンゴム(f−S−SBR)の少なくとも一つを含み、例えば、アミン官能基、シロキシ官能基、アミンとシロキシ官能基の組合せ、チオールとシロキシ官能基の組合せ、イミンとシロキシ官能基の組合せ、ヒドロキシル官能基、及びエポキシ基を含む少なくとも一つの官能基を含有する官能化溶液重合スチレン/ブタジエンゴム(S−SBR)でありうる、3記載のタイヤ。
【0069】
12.前記追加エラストマーが、カルボキシル化ニトリルゴム(x−NBR)を含まず、溶液重合調製スチレン/ブタジエンゴム(S−SBR)、又は乳化重合調製スチレン/ブタジエンゴム(E−SBR)の少なくとも一つを含み、
前記S−SBRは、アミン官能基、シロキシ官能基、アミンとシロキシ官能基の組合せ、チオールとシロキシ官能基の組合せ、イミンとシロキシ官能基の組合せ、ヒドロキシル官能基、及びエポキシ基を含む少なくとも一つの官能基を含有する溶液重合調製スチレン/ブタジエンゴム(S−SBR)の少なくとも一つを含む官能化溶液重合スチレン/ブタジエンゴム(f−S−SBR)の少なくとも一つである、3記載のタイヤ。
【0070】
13.前記カルボキシル化スチレン/ブタジエンゴム(x−SBR)のビニル1,2−含有量が、そのポリブタジエン部分を基にして約20〜約50パーセントの範囲であり、前記ゴム組成物が約80〜約130phrの範囲のゴム補強カーボンブラックを含有する、3記載のタイヤ。
【0071】
14.前記トレッドゴム組成物がさらに、個別に少なくとも約30℃離れた軟化点を有する複数の樹脂を約6〜約30phr含有し、各樹脂は少なくとも約2重量部の量で存在し、約20℃〜約170℃の範囲の軟化点(環球式)を有し、前記樹脂は、
(A)クマロン−インデン樹脂、
(B)アルキル化炭化水素樹脂、
(C)芳香族石油炭化水素樹脂、及び
(D)ジシクロペンタジエン/ジエン樹脂
の少なくとも一つを含む、1記載のタイヤ。
【0072】
15.前記トレッドゴム組成物がさらに、個別に少なくとも約30℃離れた軟化点を有する複数の樹脂を約6〜約30phr含有し、各樹脂は少なくとも約2重量部の量で存在し、約20℃〜約170℃の範囲の軟化点(環球式)を有し、前記樹脂は、
(A)クマロン−インデン樹脂、
(B)アルキル化炭化水素樹脂、
(C)芳香族石油炭化水素樹脂、及び
(D)ジシクロペンタジエン/ジエン樹脂
の少なくとも一つを含む、2記載のタイヤ。
【0073】
16.前記トレッドゴム組成物がさらに、個別に少なくとも約30℃離れた軟化点を有する複数の樹脂を約6〜約30phr含有し、各樹脂は少なくとも約2重量部の量で存在し、約20℃〜約170℃の範囲の軟化点(環球式)を有し、前記樹脂は、
(A)クマロン−インデン樹脂、
(B)アルキル化炭化水素樹脂、
(C)芳香族石油炭化水素樹脂、及び
(D)ジシクロペンタジエン/ジエン樹脂
の少なくとも一つを含む、3記載のタイヤ。
【0074】
17.前記トレッドゴム組成物がさらに、個別に少なくとも約30℃離れた軟化点を有する複数の樹脂を約6〜約30phr含有し、各樹脂は少なくとも約2重量部の量で存在し、約20℃〜約170℃の範囲の軟化点(環球式)を有し、前記樹脂は、
(A)クマロン−インデン樹脂、
(B)アルキル化炭化水素樹脂、
(C)芳香族石油炭化水素樹脂、及び
(D)ジシクロペンタジエン/ジエン樹脂
の少なくとも一つを含む、4記載のタイヤ。
【0075】
18.前記トレッドゴム組成物がさらに、個別に少なくとも約30℃離れた軟化点を有する複数の樹脂を約6〜約30phr含有し、各樹脂は少なくとも約2重量部の量で存在し、約20℃〜約170℃の範囲の軟化点(環球式)を有し、前記樹脂は、
(A)クマロン−インデン樹脂、
(B)アルキル化炭化水素樹脂、
(C)芳香族石油炭化水素樹脂、及び
(D)ジシクロペンタジエン/ジエン樹脂
の少なくとも一つを含む、5記載のタイヤ。
【0076】
19.前記トレッドゴム組成物がさらに、個別に少なくとも約30℃離れた軟化点を有する複数の樹脂を約6〜約30phr含有し、各樹脂は少なくとも約2重量部の量で存在し、約20℃〜約170℃の範囲の軟化点(環球式)を有し、前記樹脂は、
(A)クマロン−インデン樹脂、
(B)アルキル化炭化水素樹脂、
(C)芳香族石油炭化水素樹脂、及び
(D)ジシクロペンタジエン/ジエン樹脂
の少なくとも一つを含む、6記載のタイヤ。
【0077】
20.前記トレッドゴム組成物がさらに、個別に少なくとも約30℃離れた軟化点を有する複数の樹脂を約6〜約30phr含有し、各樹脂は少なくとも約2重量部の量で存在し、約20℃〜約170℃の範囲の軟化点(環球式)を有し、前記樹脂は、
(A)クマロン−インデン樹脂、
(B)アルキル化炭化水素樹脂、
(C)芳香族石油炭化水素樹脂、及び
(D)ジシクロペンタジエン/ジエン樹脂
の少なくとも一つを含む、7記載のタイヤ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫黄硬化ゴム組成物の円周トレッドを有するタイヤであって、前記組成物は、ゴム100重量部あたりの重量部(phr)を基にして、
(A)100phrの、下記(1)及び(2)を含む共役ジエン含有エラストマー、
(1)10〜65phrのカルボキシル化スチレン/ブタジエンゴム(x−SBR)、及び
(2)35〜90phrの、溶液重合調製スチレン/ブタジエンゴム(S−SBR)、又は乳化重合調製スチレン/ブタジエンゴム(E−SBR)の少なくとも一つを含む追加エラストマー、並びに
(B)50〜150phrの、ゴム補強カーボンブラックを含む粒状補強充填剤
を含むことを特徴とするタイヤ。
【請求項2】
前記トレッドゴム組成物がカルボキシル化ニトリルゴム(x−NBR)を含まないことを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記トレッドゴム組成物がシリカ補強剤を含まないことを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記追加エラストマーが、溶液重合調製スチレン/ブタジエンゴム(S−SBR)であり、カルボキシル化ニトリルゴム(x−NBR)を含まないことを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記追加エラストマーが、乳化重合調製スチレン/ブタジエンゴム(E−SBR)であり、カルボキシル化ニトリルゴム(x−NBR)を含まないことを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記追加エラストマーが、カルボキシル化ニトリルゴム(x−NBR)を含まず、官能化溶液重合スチレン/ブタジエンゴム(f−S−SBR)の少なくとも一つを含み、例えば、アミン官能基、シロキシ官能基、アミンとシロキシ官能基の組合せ、チオールとシロキシ官能基の組合せ、イミンとシロキシ官能基の組合せ、ヒドロキシル官能基、及びエポキシ基を含む少なくとも一つの官能基を含有する官能化溶液重合スチレン/ブタジエンゴム(S−SBR)でありうることを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項7】
前記追加エラストマーが、カルボキシル化ニトリルゴム(x−NBR)を含まず、溶液重合調製スチレン/ブタジエンゴム(S−SBR)、又は乳化重合調製スチレン/ブタジエンゴム(E−SBR)の少なくとも一つを含み、
前記S−SBRは、アミン官能基、シロキシ官能基、アミンとシロキシ官能基の組合せ、チオールとシロキシ官能基の組合せ、イミンとシロキシ官能基の組合せ、ヒドロキシル官能基、及びエポキシ基を含む少なくとも一つの官能基を含有する溶液重合調製スチレン/ブタジエンゴム(S−SBR)の少なくとも一つを含む官能化溶液重合スチレン/ブタジエンゴム(f−S−SBR)の少なくとも一つであることを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項8】
前記カルボキシル化スチレン/ブタジエンゴム(x−SBR)のビニル1,2−含有量が、そのポリブタジエン部分を基にして20〜50パーセントの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項9】
前記追加エラストマーが、溶液重合調製スチレン/ブタジエンゴム(S−SBR)であり、カルボキシル化ニトリルゴム(x−NBR)を含まないことを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項10】
前記追加エラストマーが、乳化重合調製スチレン/ブタジエンゴム(E−SBR)であり、カルボキシル化ニトリルゴム(x−NBR)を含まないことを特徴とする、請求項3に記載のタイヤ。
【請求項11】
前記追加エラストマーが、カルボキシル化ニトリルゴム(x−NBR)を含まず、官能化溶液重合スチレン/ブタジエンゴム(f−S−SBR)の少なくとも一つを含み、例えば、アミン官能基、シロキシ官能基、アミンとシロキシ官能基の組合せ、チオールとシロキシ官能基の組合せ、イミンとシロキシ官能基の組合せ、ヒドロキシル官能基、及びエポキシ基を含む少なくとも一つの官能基を含有する官能化溶液重合スチレン/ブタジエンゴム(S−SBR)でありうることを特徴とする、請求項3に記載のタイヤ。
【請求項12】
前記追加エラストマーが、カルボキシル化ニトリルゴム(x−NBR)を含まず、溶液重合調製スチレン/ブタジエンゴム(S−SBR)、又は乳化重合調製スチレン/ブタジエンゴム(E−SBR)の少なくとも一つを含み、
前記S−SBRは、アミン官能基、シロキシ官能基、アミンとシロキシ官能基の組合せ、チオールとシロキシ官能基の組合せ、イミンとシロキシ官能基の組合せ、ヒドロキシル官能基、及びエポキシ基を含む少なくとも一つの官能基を含有する溶液重合調製スチレン/ブタジエンゴム(S−SBR)の少なくとも一つを含む官能化溶液重合スチレン/ブタジエンゴム(f−S−SBR)の少なくとも一つであることを特徴とする、請求項3に記載のタイヤ。
【請求項13】
前記カルボキシル化スチレン/ブタジエンゴム(x−SBR)のビニル1,2−含有量が、そのポリブタジエン部分を基にして20〜50パーセントの範囲であり、前記ゴム組成物が80〜130phrの範囲のゴム補強カーボンブラックを含有することを特徴とする、請求項3に記載のタイヤ。
【請求項14】
前記トレッドゴム組成物がさらに、個別に少なくとも30℃離れた軟化点を有する複数の樹脂を6〜30phr含有し、各樹脂は少なくとも2重量部の量で存在し、20℃〜170℃の範囲の軟化点(環球式)を有し、前記樹脂は、
(A)クマロン−インデン樹脂、
(B)アルキル化炭化水素樹脂、
(C)芳香族石油炭化水素樹脂、及び
(D)ジシクロペンタジエン/ジエン樹脂
の少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項15】
前記トレッドゴム組成物がさらに、個別に少なくとも30℃離れた軟化点を有する複数の樹脂を6〜30phr含有し、各樹脂は少なくとも2重量部の量で存在し、20℃〜170℃の範囲の軟化点(環球式)を有し、前記樹脂は、
(A)クマロン−インデン樹脂、
(B)アルキル化炭化水素樹脂、
(C)芳香族石油炭化水素樹脂、及び
(D)ジシクロペンタジエン/ジエン樹脂
の少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項2に記載のタイヤ。
【請求項16】
前記トレッドゴム組成物がさらに、個別に少なくとも30℃離れた軟化点を有する複数の樹脂を6〜30phr含有し、各樹脂は少なくとも2重量部の量で存在し、20℃〜170℃の範囲の軟化点(環球式)を有し、前記樹脂は、
(A)クマロン−インデン樹脂、
(B)アルキル化炭化水素樹脂、
(C)芳香族石油炭化水素樹脂、及び
(D)ジシクロペンタジエン/ジエン樹脂
の少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項3に記載のタイヤ。
【請求項17】
前記トレッドゴム組成物がさらに、個別に少なくとも30℃離れた軟化点を有する複数の樹脂を6〜30phr含有し、各樹脂は少なくとも2重量部の量で存在し、20℃〜170℃の範囲の軟化点(環球式)を有し、前記樹脂は、
(A)クマロン−インデン樹脂、
(B)アルキル化炭化水素樹脂、
(C)芳香族石油炭化水素樹脂、及び
(D)ジシクロペンタジエン/ジエン樹脂
の少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項4に記載のタイヤ。
【請求項18】
前記トレッドゴム組成物がさらに、個別に少なくとも30℃離れた軟化点を有する複数の樹脂を6〜30phr含有し、各樹脂は少なくとも2重量部の量で存在し、20℃〜170℃の範囲の軟化点(環球式)を有し、前記樹脂は、
(A)クマロン−インデン樹脂、
(B)アルキル化炭化水素樹脂、
(C)芳香族石油炭化水素樹脂、及び
(D)ジシクロペンタジエン/ジエン樹脂
の少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項5に記載のタイヤ。
【請求項19】
前記トレッドゴム組成物がさらに、個別に少なくとも30℃離れた軟化点を有する複数の樹脂を6〜30phr含有し、各樹脂は少なくとも2重量部の量で存在し、20℃〜170℃の範囲の軟化点(環球式)を有し、前記樹脂は、
(A)クマロン−インデン樹脂、
(B)アルキル化炭化水素樹脂、
(C)芳香族石油炭化水素樹脂、及び
(D)ジシクロペンタジエン/ジエン樹脂
の少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項6に記載のタイヤ。
【請求項20】
前記トレッドゴム組成物がさらに、個別に少なくとも30℃離れた軟化点を有する複数の樹脂を6〜30phr含有し、各樹脂は少なくとも2重量部の量で存在し、20℃〜170℃の範囲の軟化点(環球式)を有し、前記樹脂は、
(A)クマロン−インデン樹脂、
(B)アルキル化炭化水素樹脂、
(C)芳香族石油炭化水素樹脂、及び
(D)ジシクロペンタジエン/ジエン樹脂
の少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項7に記載のタイヤ。

【公開番号】特開2012−117060(P2012−117060A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−247477(P2011−247477)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(590002976)ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー (256)
【氏名又は名称原語表記】THE GOODYEAR TIRE & RUBBER COMPANY
【住所又は居所原語表記】1144 East Market Street,Akron,Ohio 44316−0001,U.S.A.
【Fターム(参考)】