説明

カルボキシル基及びポリアルキレンオキシドエーテル−側鎖を含有するポリマー

【課題】新規のカルボキシル基及びポリアルキレンオキシドエーテル−側鎖を含有するポリマーを提供する。
【解決手段】カルボキシル基及び式I
【化1】


の側鎖を含有する、水溶性又は水に分散性のポリマーにおいて、該ポリマーは、
重合すべきモノマーの量に対して、カルボキシル基を有し、かつエチレン性不飽和C3〜C6−モノカルボン酸及びこれらの塩からなる群から選択されるエチレン性不飽和モノマーA3〜50重量%、及び
式Iの側鎖を有するエチレン性不飽和モノマーB50〜97重量%
重合すべきモノマーに対して、ホスフィン酸(H3PO2)、ホスホン酸(H3PO3)及びこれらの塩から選択される燐含有化合物0.1〜50重量%の存在でラジカル共重合することにより得られ、その際、該ポリマーは5000〜150000ダルトンの範囲の重量平均分子量Mwを有する。
【効果】鉱物性建材用の添加物として有利な特性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボキシル基及びポリアルキレンエーテル−側鎖を含有するポリマーを鉱物性建材に添加物として使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
鉱物性建材とは、主成分として鉱物性結合剤、例えば石灰及び/又は特にセメント並びに骨材として使用される砂、砂利、破砕岩石又はその他の填料、例えば天然又は合成繊維を含有する混合物である。鉱物性建材は、通常は鉱物性結合剤及び骨材を水と一緒に混合することによって、放置する際に空気中及び水下で次第に石の様に硬化する、直ちに使用し得る製品に変えられる。
【0003】
直ちに使用し得る製品の望ましい使用技術特性を調整するために、通常、次の脱水−又は硬化工程用に必要であるより多い量の水を使用する必要がある。これは特に、直ちに使用し得る製品の高い流動性が所望される場合、例えばポンプで使用する場合である。過剰の、後で蒸発する水によって建築体中に空洞が生じ、これによって建築体の機械特性及び安定性が著しく損なわれることになる。
【0004】
前記特性で過剰の水分を減少させるために、通常は直ちに使用し得る製品に、通常は水分減少剤、流動剤及び液化剤と称される添加物を添加する。公知技術によれば、鉱物性建材の直ちに使用し得る製品用の液化剤として例えば下記化合物が推奨される:
ナフタリンスルホン酸−ホルムアルデヒド−縮合物(EP−A402319)、メラミン−ホルムアルデヒド−重縮合物(EP−A402319)、リグニンスルホネート(EP−A402319)並びにカルボン酸及びジカルボン酸とスチレンとのホモ−及びコポリマー(EP−A306449及びUS−A3952805)又はイソブテン又はジイソブテン(DE−A3716974、EP−A338293、DE−A3925306、US−A4586960、US−A4042407及びUS−A4906298)。
【0005】
EP97513には、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステルから成るコポリマーを可塑剤添加物としてセメント材料中に使用することが記載されている。
【0006】
共重合形でカルボン酸モノマー及びアクリル酸及びメタクリル酸のポリアルキレンオキシドエステルを含有するコポリマーをセメント材料用の液化剤として使用することは、DE−A4420444から公知である。しかし液化剤は、所望の使用特性を獲得するためには、オキシアルキレンを基礎とする消泡剤と一緒に使用しなければならない。
【0007】
エチレン性不飽和ポリオキシアルキレンエーテル、多不飽和アルケニルエーテル及び無水マレイン酸から成る架橋したポリマーをセメント材料用の液化剤として使用することは、EP619277に記載されている。しかし、所望の特性に絶対必要な多官能性化合物は、製造に費用がかかり、製品のコストを上げる。
【0008】
DE−A19513126には、多不飽和モノマー又はエチレン性不飽和カルボン酸のジエステルから選択したその他のモノマー少なくとも1種類を共重合して含有する、オキシアルキレングリコール−アルケニルエーテル及び不飽和ジカルボン酸誘導体を基礎とする、コポリマーが記載されている。このようなテルポリマーもセメント材料の液化剤用に好適である。
【0009】
DE−A4304109及びEP−A610699には、マレイン酸誘導体及びビニルモノマーを基礎とするコポリマーが記載されており、その際マレイン酸誘導体はマレインイミド及びマレイン酸半アミド並びにマレイン酸とポリアルキレンオキシドアルコールの半エステルが必ず包含される。このようなポリマーもセメント含有の鉱物性建材用の液化剤として好適である。しかし、結合したコンクリートの高い強度を得るためには、流動性製品用の実施例中に記載の0.5の水/セメント比を更に減少させることが望ましい。
【0010】
EP−A537870には、エチレン性不飽和カルボン酸及び/又はスルホン酸のポリエーテル基を含有するモノマーとから成るコポリマーが記載されている。モノマーとしては、例えばエチレンオキシド単位11個までを有するポリエチレングリコールのアリルエーテルが記載されている。ポリマーは有利には次亜燐酸ナトリウムの存在で製造する。
【0011】
総じて、公知技術から公知の鉱物性建材用の添加物にはなお改善の余地があると言える。特に低い水/結合剤比におけるその液化作用は、通常は十分ではなく、短い時間に関して保たれるにすぎない。液化剤のより高い添加によりこの欠点を部分的に排除することができる。しかしこのような方法は不経済であるというだけでなく、得られる機械的強度が著しく損なわれ、又は凝結速度の遅延が少なくとも容認することができないという結果になる。
【特許文献1】EP−A402319
【特許文献2】EP−A306449
【特許文献3】US−A3952805
【特許文献4】DE−A3716974
【特許文献5】EP−A338293
【特許文献6】DE−A3925306
【特許文献7】US−A4586960
【特許文献8】US−A4042407
【特許文献9】US−A4906298
【特許文献10】EP97513
【特許文献11】DE−A4420444
【特許文献12】EP619277
【特許文献13】DE−A19513126
【特許文献14】DE−A4304109
【特許文献15】EP−A610699
【特許文献16】EP−A537870
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の課題は、特に液化作用に関して鉱物性建材用の公知添加物に対して利点を有する鉱物性建材用の添加物を提供することである。低い水/結合剤比で凝結挙動又は凝結した建材の強度に関して何ら欠点を甘受する必要がないことが所望される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
意外にも、カルボキシル基及びポリエーテル構造を有する側鎖を有するエチレン性不飽和モノマーを燐含有化合物の存在で重合させることによって製造する場合に、カルボキシル基及びポリエーテル構造を有する側鎖を有する、一連の水溶性又は水に分散性のポリマーが鉱物性建材用の添加物として有利な特性を有することを見出した。代わりにこのようなポリマーを、燐含有化合物の存在で製造され、反応性基を含有するポリマーのポリマー類似反応によって製造することができる。
【0014】
本発明は更に、カルボキシル基を、場合により潜在形で、及び一般式I
【化1】

[式中、kは1、2、3又は4を表わし、Yは、単結合又はC1〜C4−アルキレン単位を表わすか又はk≠1の場合には
【化2】

を表わしてもよく、Xは、単結合又はカルボニル基を表わすか又はYが単結合でない場合には、O、NR’、
【化3】

を表わしてもよく、その際R’は水素、C1〜C20−アルキル、C5〜C10−シクロアルキル、C6〜C20−アリール、C1〜C20−アルカノイル、C7〜C21−アロイル、
【化4】

を表わし、AlkはC2〜C4−アルキレンを表わし、Alk’は場合によりOH基も有するC1〜C4−アルキレンを表わし、nは1〜300の範囲の数を表わすが、その際、Xが単結合である場合にはn≧12であり、Xがカルボニル基を表わし、Yが単結合である場合にはn≧2であり、Rは水素、C1〜C20−アルキル、C5〜C8−シクロアルキル、C6〜C20−アリール、C1〜C20−アルカノイル又はC7〜C21−アロイルを表わす]の側鎖を含有する水溶性又は水に分散性のポリマーを鉱物性建材中の添加物として使用することに関するが、その際、ポリマーは、カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和モノマーA及び一般式Iの側鎖を有するエチレン性不飽和モノマーB並びに場合によりその他のモノマーCを、重合すべきモノマーに対して0.1〜50重量%の燐含有化合物の存在でラジカル共重合させるか又は反応性官能基を有するエチレン性不飽和モノマーを、場合によりモノマーA及び/又はB及び場合によりその他のモノマーCと一緒に、重合すべきモノマーに対して0.1〜50重量%の燐含有化合物の存在でラジカル共重合させ、次いで反応性官能基の少なくとも一部を一般式Iの側鎖及び/又はカルボキシル基に変えることによって得られる。
【0015】
本発明の目的は更に、Xがカルボニル基を表わす場合にはn≧5であり、Xが単結合である場合にはn>12である限り、使用されるポリマーである。本発明の目的はこれらのポリマーの製法でもある。
【0016】
下記でC1〜C20−アルキルとは、炭素原子20個までを有する、有利には炭素原子1〜10個を有する線状又は枝分れした、飽和炭素鎖、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、ネオペンチル、1−、2−、3−メチルペンチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、3−プロピルヘプチル、1−デシル、1−ドデシル等である。
【0017】
1〜C4−アルキレンは、例えばメチレン、1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,2−ブチレン、1,3−ブチレン、1,4−ブチレン及び2,3−ブチレンを包含する。同様のことがC2〜C4−アルキレンに当てはまる。
【0018】
5〜C10−シクロアルキルは、場合によりC1〜C4−アルキル基1、2、3又は4個、特にメチル基で置換されている、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルから選択した炭素原子合計5〜10個を有する脂環式基を表わす。
【0019】
6〜C20−アリールは、場合によりC1〜C10−アルキル基、C1〜C4−アルキルオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、例えば塩素1、2、3又は4個で置換されており、炭素原子20個までを有していてよいフェニル又はナフチルを表わす。
【0020】
7〜C20−アラルキルは、C1〜C4−アルキレン単位を介して結合しており、炭素原子7〜20個を有していてよいアリール基、例えばベンジル又はエチルフェニルを表わす。C1〜C20−アルカノイルは、脂肪族カルボン酸から誘導された基を表わし、従ってホルミルの他にカルボニル基を介して結合しているようなアルキル基を包含する。C7〜C21−アロイルはC7〜C21−アリールカルボニルに相応し、カルボニル基を介して結合しているアリール基を表わし、従って安息香酸及びナフトエ酸の誘導体から誘導される。
【0021】
カルボキシル基は、カルボン酸基(COOH)の他に中和されたカルボン酸基(COO−)も表わす。カルボキシル基は使用条件−建材製品下で通常はアルカリ性で、無水物基の加水分解を促進し−カルボキシル基として存在するので無水物基と同じである。従って、カルボキシル基の代わりに潜在形のカルボキシル基として無水物基を有するポリマーも本発明の目的である。
【0022】
下記式は、カルボニル炭素が場合によりメチレン基を介してポリマー鎖と結合しており、ヘテロ原子がYと結合していると解される:
【化5】

【0023】
反応性官能基は、水素、アンモニア、アルコールのヒドロキシル基及び第一アミンのNH2−基と反応して結合形成することができる全ての基を包含する。これらには特にオキシラン基及び環状無水物基が包含される。
【0024】
燐含有化合物とは、無機並びに有機燐化合物のことである。本発明により使用される無機燐化合物は、有利には燐のオキソ酸及びその反応媒体中に可溶性の、分散性塩、有利にはそのアルカリ−、アルカリ土類−又はアンモニウム塩を包含する。
【0025】
好適な無機燐化合物は下記である:ホスフィン酸(H3PO2)及びそれから誘導される塩、例えばホスフィン酸ナトリウム(一水和物)、ホスフィン酸カリウム、ホスフィン酸アンモニウム;ハイポジホスホン酸(H424)及びそれから誘導される塩;ホスホン酸(H3PO3)及びそれから誘導される塩、例えばナトリウムヒドロゲンホスホネート、ホスホン酸ナトリウム、カリウムヒドロゲンホスホネート、ホスホン酸カリウム、アンモニウムヒドロゲンホスホネート、ホスホン酸アンモニウム;ジホスホン酸(H425)及びそれから誘導されるジホスホン酸塩;ハイポ燐酸(H426)及びそれから誘導されるハイポジ燐酸塩;燐酸(H3PO4)及びそれから誘導されるジヒドロゲン燐酸塩、ヒドロゲンホスフェート及び燐酸塩;ジ燐酸塩(H427)及びそれから誘導されるジ燐酸塩並びにポリ燐酸及びその塩、例えばトリポリ燐酸ナトリウム。
【0026】
本発明によるポリマーをホスフィン酸(H3PO2)又はそれから誘導される塩、例えばホスフィン酸ナトリウム一水和物、ホスフィン酸カリウム、ホスフィン酸アンモニウム及び/又はホスホン酸(H3PO3)並びにそれから誘導される塩、例えばナトリウムヒドロゲンホスホネート、ホスホン酸ナトリウム、カリウムヒドロゲンホスホネート、ホスホン酸カリウム、アンモニウムヒドロゲンホスホネート、ホスホン酸アンモニウムの存在で製造するのが有利である。特にホスフィン酸ナトリウム一水和物及び/又はホスホン酸が有利である。
【0027】
燐含有化合物は更に、燐有機化合物、例えば燐酸尿素、メタンジホスホン酸、プロパン−1,2,3−トリホスホン酸、ブタン−1,2,3,4−テトラホスホン酸、ポリビニルホスホン酸、1−アミノエタン−1,1−ジホスホン酸、ジエチル−(1−ヒドロキシエチル)ホスホネート、ジエチルヒドロキシメチルホスホネート、1−アミノ−1−フェニル−1,1−ジホスホン酸、アミノトリメチレントリホスホン酸、エチレンジアミノテトラメチレンテトラ−ホスホン酸、エチレントリアミノペンタメチレンペンタホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、ホスホン酢酸及びホスホンプロピオン酸及びその塩、亜燐酸ジエチル、亜燐酸ジブチル、亜燐酸ジフェニル、亜燐酸トリエチル、亜燐酸トリブチル、亜燐酸トリフェニル及び燐酸トリブチルを包含する。
【0028】
エチレン性不飽和燐化合物、例えばホスホン酸ビニル、ビニルホスフェートメチルエステル、ビニルホスフェートエチルエステル、燐酸ビニル、ホスホン酸アリル又は燐酸アリルも好適である。
【0029】
有利な有機燐化合物は、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸並びにそのジナトリウム−及びテトラナトリウム塩、アミノトリスメチレントリホスホン酸並びにペンタナトリウム塩及びエチレンジアミノテトラメチレンテトラホスホン酸並びにその塩である。
【0030】
数種類の燐化合物を組み合わせること、例えばホスフィン酸ナトリウム一水和物をホスホン酸と、ホスホン酸を1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸−ジナトリウム塩及び/又はアミノトリメチレントリホスホン酸及び/又は1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸と組み合わせることが屡々有利である。これらを任意の比で相互に混合し、重合で使用することができる。
【0031】
燐含有化合物の量は、重合すべきモノマーに対して通常0.1〜50重量%、有利には0.5〜25重量%、特に1〜20重量%、特に有利には2〜15重量%及び極めて特に有利には5〜10重量%である。
【0032】
本発明によるポリマーの作用のためには、更に一般式Iの側鎖が特定の長さを有するのが有利である。即ち、一般式I中のnは、≧5、特に≧10及び特に有利には≧15の数を表わす。ポリマーは、nが20〜60の範囲にある場合に最適作用を有するが、一般式Iのこれより短いか又は長い側鎖を有するポリマーも鉱物性建材用の添加物として好適である。その際、単位−(Alk−O)n−が均一の構造のポリアルキレンオキシド単位を表わすか又は異なるアルキレンオキシド単位から構成されているかは全く重要ではない。この場合に、アルキレンオキシド単位はポリアルキレンオキシド単位−(Alk−O)n−中にランダム又は塊状に配置されていてよい。
【0033】
Alkが1,2−プロピレン、1,2−ブチレン及び特に1,2−エチレンを表わすのが有利である。一般式Iのポリアルキレンオキシド側鎖の先端単位Rは、有利には水素又はC1〜C4−アルキル、特にメチル又はエチルである。一般式I中でYは、有利には単結合、C1〜C4−アルキレン単位(Alk’)を表わすか又は場合によりグリセリンから誘導される3価の基も表わす。
【0034】
Xがカルボニル基を表わすポリマーが特に有利であるが、Alk’がC1〜C4−アルキレン単位を表わす場合には、
【化6】

[式中、R’は前記したものを表わし、特に水素、C1〜C4−アルキル、ベンジル又はフェニルを表わす]を表わすこともできる。式中Xがカルボニル基を表わし、Yが単結合を表わすポリマーが極めて特に有利である。
【0035】
更にポリマーの重量平均分子量が1000〜300000ダルトンの範囲、有利には5000〜150000ダルトンの範囲、特に8000〜100000ダルトンの範囲及び極めて特に有利には12000〜70000ダルトンの範囲であるのが有利である。
【0036】
本発明の有利な態様では、重合すべきモノマーに対して2〜95重量%、有利には3〜50重量%及び特に10〜40重量%の、カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和モノマーA及び5〜98重量%、有利には50〜97重量%及び特には60〜90重量%の、一般式Iの側鎖を有するエチレン性不飽和モノマーB並びに場合により50重量%までの、有利には30重量%までの及び特に20重量%までのその他のモノマーCを、0.1〜50重量%、有利には0.5〜25重量%、特に1〜20重量%、特に有利には2〜15重量%及び極めて特に有利には5〜10重量%の前記燐含有化合物の存在で、ラジカル共重合させることによって得られたポリマーを使用する(態様1)。
【0037】
この態様ではモノマーAは、エチレン性不飽和C3〜C6−モノカルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、2−エチルプロペン酸;エチレン性不飽和C4〜C6−ジカルボン酸、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸並びに前記モノ−及びジカルボン酸の塩、特にナトリウム−、カリウム−又はアンモニウム塩;エチレン性不飽和C4〜C6−ジカルボン酸の無水物、例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸;エチレン性不飽和C4〜C6−ジカルボン酸とC1〜C12−アルカノール又は一般式II
【化7】

[式中、p、Y、Alk、R及びnは前記したものを表わす]のアルコールとの半エステル、例えばマレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノ−n−ブチルエステル、フマル酸モノ−n−ブチルエステル、モノ(メチルポリエチレングリコール)マレイネート;
エチレン性不飽和C4〜C6−ジカルボン酸とNH3、第一C1〜C12−アルキルアミン又は一般式III又はIIIa
【化8】

[式中、Alk、Alk’、n及びRは前記したものを表わす]のアミンとの半アミド、例えばメチルポリエチレングリコールマレイン酸半アミドから選択される。
【0038】
本発明のこの態様では、モノマーBを有利には、モノエチレン性不飽和C3〜C6−モノカルボン酸と一般式IIのアルコールのエステル及びモノエチレン性不飽和C3〜C6−モノカルボン酸と一般式III又はIIIaのアミンのアミドから選択する。好適なモノマーBの例は下記を包含する:ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリルアミド、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリルアミド、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリルアミド、エトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール−ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びエトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート。
【0039】
本発明のこの態様の特に有利なモノマーBは、アクリル酸及び特にメタクリル酸の一般式IIのアルコールとのエステルである。式中Yが単結合を表わし、nが≧5、特に≧10及び特に有利には≧15の数を表わすようなアルコールのエステルが特に有利である。式中Yが単結合を表わし、nが20〜60の範囲であるような一般式IIのアルコールのエステルが極めて特に有利である。
【0040】
この態様では、有利なモノマーAはアクリル酸及び特にメタクリル酸並びにそのナトリウム−、カリウム−及びアンモニウム塩である。
【0041】
メタクリル酸及びメチルポリエチレングリコールメタクリレートから構成されているポリマーが特に有利である。メチルポリエチレングリコールメタクリレートがエチレンオキシド単位10〜60個、特に21〜55個を有するポリマーが極めて特に有利である。有利にはメタクリル酸及びメチルポリエチレングリコールメタクリレートの重量比は、1:9〜4:6、特に有利には約2:8である。
【0042】
好適なモノマーCは、モノマーC1として、アクリル酸及びメタクリル酸のC1〜C10−アルキルエステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、2−プロピルヘプチル(メタ)アクリレート;C1〜C12−モノカルボン酸のビニル−及びアリルエステル、例えばビニル−又はアリルホルミエート、−アセテート、−プロピオネート及び−ブチレート;C1〜C10−アルカノールのビニル−及びアリルエーテル、例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル及び相応するアリルエーテル;エチレン性不飽和カルボン酸のアミド、特にアクリルアミド及びメタクリルアミド、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミドを包含する。
【0043】
モノマーCは、モノマーC2として、N−ビニル化合物、例えばビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカプロラクタム及びモノマーC3としてアクリルニトリル、アリルアルコール、ビニルピロリドン、アクロレイン及びメタクロレインを包含する。
【0044】
更にモノマーCは、モノマーC4として、ビニル芳香族化合物、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルクロルベンゼン等;線状又は枝分れC2〜C12−オレフィン、例えばエテン、プロペン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、2−エチルブテン、1−ペンテン、2−メチルペンテン、3−メチルペンテン、4−メチルペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン並びにα−C8〜C10−オレフィン;C4〜C12−シクロオレフィン、例えばシクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン又はシクロオクテン;ジエン、例えばブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエンを包含する。有利なモノマーC4は、ビニル芳香族化合物、特にスチレン及びC2〜C12−オレフィン、特にC2〜C6−オレフィン及び特に有利には1−ブテン、イソブテン及び1−ペンテンである。
【0045】
更にモノマーCは、水溶液中でイオン化可能であるか又はイオン基を有するようなモノマーC5を包含する。これには、エチレン性不飽和スルホン酸、例えばビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホエチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−(2−プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、アクリル酸−3−スルホプロピルエステル、スルホエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(エトキシル化度2〜100)、スルホエトキシポリプロピレングリコールメタクリレート並びにその塩、例えばそのアルカリ金属又はアンモニウム塩;エチレン性不飽和ホスホン酸、例えばアリルホスホン酸、イソプロペニルホスホン酸、ビニルホスホン酸並びにその塩、例えばそのアルカリ金属又はアンモニウム塩;並びにエチレン性不飽和アミン又はエチレン性不飽和四級化アンモニウム化合物、例えば2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリレート、2−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)エチル(メタ)アクリレート、3−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)プロピル(メタ)アクリレート−クロリド及びN,N−ジアリル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリドを包含する。有利にはモノマーCとしてモノマーC5、特にエチレン性不飽和スルホン酸及びホスホン酸又はその塩を使用する。 その他のモノマーCとして、エチレン性不飽和シロキサン化合物、例えばビニルシラン又は(メタ)アクリルオキシアルキルシラン[例えば欧州特許(EP−A)第327006号、第327376号又は第612771号明細書に記載されている]並びにポリジメチルシロキサン−ビス−(プロピルマレイン半アミド)又はポリジメチルシロキサン−ビス−(プロピレンアミノマレイン半アミド)も挙げられる。
【0046】
本発明のその他の有利な態様では、モノマーBは一般式IV
【化9】

[式中、R1、R2は相互に無関係に水素又はC1〜C4−アルキルを表わし、Y、Alk、R、kは前記したものを表わし、n>12である]の化合物から選択される(態様2)。有利な化合物Bは、この場合に一般式V又はVa
【化10】

[式中、R1、R2、Alk、n及びRは前記したものを表わす]のビニル−及びアリルエーテルである。特にRは水素又はC1〜C4−アルキル基を表わす。
【0047】
好適なモノマーの例は下記を包含する:ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、メトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、メトキシポリエチレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、エトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、エトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、エトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、エトキシポリエチレングリコール−ポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、エトキシポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、エトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリブチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコールモノビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノビニルエーテル、メトキシポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、メトキシポリブチレングリコールモノビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコール−ポリブチレングリコールモノビニルエーテル、メトキシポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコールモノビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコールモノビニルエーテル、エトキシポリエチレングリコールモノビニルエーテル、エトキシポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、エトキシポリブチレングリコールモノビニルエーテル、エトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、エトキシポリエチレングリコール−ポリブチレングリコールモノビニルエーテル、エトキシポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコールモノビニルエーテル、エトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノビニルエーテル。
【0048】
モノマーBは、この態様でも5〜98重量%、有利には50〜97重量%及び特には60〜90重量%の量で重合される。燐含有化合物の種類及び量は前記したものである。
【0049】
重合すべきモノマーに対して2〜95重量%、有利には3〜50重量%及び特に10〜40重量%の量で共重合されるモノマーAとして、態様1のモノマーAを使用することができる。この態様の特に有利なモノマーには、マレイン酸、フマル酸及び/又は無水マレイン酸が包含される。
【0050】
態様2の極めて特に有利なポリマーは、重合すべきモノマーに対して2〜30重量%のマレイン酸又は無水マレイン酸及び70〜98重量%のポリグリコールアリルエーテル及び/又はポリグリコールビニルエーテル(平均エトキシル化度は各々15〜60である)から成るコポリマーである。
【0051】
この態様でも前記モノマーCを、重合すべきモノマーに対して50重量%まで、有利には30重量%まで及び特に20重量%まで共重合して含有することができる。
【0052】
本発明によるもう一つの有利な態様では、反応性官能基を有するエチレン性不飽和モノマーを場合によりモノマーA及び/又はB及び場合によりその他のモノマーCと一緒に、重合すべきモノマーに対して0.1〜50重量%、有利には0.5〜25重量%、特に1〜20重量%、特に有利には2〜15重量%及び極めて特に有利には5〜10重量%の前記燐含有化合物の存在でラジカル共重合させ、次いで少なくとも一部の反応性官能基を一般式Iの側鎖及び/又はカルボキシル基に変えることによって得られる(態様3)。
【0053】
有利な反応性基は、環状無水物基及びオキシラン基を包含する。反応性官能基を有するモノマーは有利にはエチレン性不飽和無水ジカルボン酸、例えば無水マレイン酸、無水クエン酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸アンヒドリド、ビニル−及びアチルグリシジルエーテル並びに前記エチレン性不飽和C3〜C6−モノカルボン酸のグリシジルエーテルから選択する。前記無水物、特に無水マレイン酸が有利である。
【0054】
反応性官能基を有する最初に得られるポリマーの変換は、通常は反応性官能基を一般式IIのアルコール又は一般式III又はIIIaのアミンと重合様反応で反応させることによって行う。このために必要な反応条件は通常当業者に公知である(無水物のアルコール分解に関しては、例えばJ.March、第3版、John Whiley&Sons、ニューヨーク、1985、347頁及びそこに引用の文献を参照;無水物のアミノ分解に関しては、同文献371頁及びそこに引用の文献を参照;エポキシドのアルコール分解に関しては、同文献346頁及びそこに引用の文献を参照;エポキシドのアミン化に関しては、同文献368頁及びそこに引用の文献を参照)。有利に共重合される無水物単位の重合様反応は、西ドイツ特許(DE−A)第4304109号、第19513126号又は欧州特許(EP−A)第610699号明細書に記載の方法で行うことができる。従って本発明は前記文献と非常に関係がある。
【0055】
重合様変換に好適な一般式IIのアルコールは、アルキルポリアルキレングリコール、例えば平均エトキシル化度45を有するメチルポリエチレングリコール;アルキルポリエチレングリコール−ブロック−ポリプロピレングリコール、例えばエチレンオキシド単位40個及びプロピレンオキシド単位5個を有するメチルポリエチレングリコール−ブロック−ポリプロピレングリコール;アルキルポリエチレングリコール−ランダム−ポリプロピレングリコール、例えばエチレノキシド単位30個及びプロピレンオキシド単位10個のランダム分布を有するメチルポリエチレングリコール−ランダム−ポリプロピレングリコール;平均プロポキシル化度20を有するブチルポリプロピレングリコールを包含する。
【0056】
重合様変換に好適な式III及びIIIaのポリアルキレングリコールアミンは、例えば平均エトキシル化度8を有するメチルポリエチレングリコールアミン又は平均エトキシル化度25及び平均プロポキシル化度5を有するメチルポリエチレングリコール−ブロック−ポリプロピレングリコールアミンである。
【0057】
反応性官能基を有するモノマーを重合すべきモノマーの全量に対して2〜95重量%、特に30〜90重量%及び特に有利には50〜90重量%の量で使用するのが有利である。
【0058】
態様3の有利な方法は、前記したモノマーC4(下記ではモノマーDとも称する)並びにエチレン性不飽和無水物の半エステル(モノマーE)から誘導されるモノマーE’から構成されているポリマーを使用することである。このようなポリマーは更になおその他のモノマーC1、C2、C3及び/又はC5を例えば前記した共重合した形で含有することができる。
【0059】
この様なポリマーは原則的には異なる二つの方法で得ることができる。即ち、一方ではエチレン性不飽和ジカルボン酸(モノマーE’)の半エステルをそれ自体モノマーDと一緒に燐含有化合物の存在で重合させることができる。エチレン性不飽和ジカルボン酸の前記無水物(モノマーE)を、ビニル芳香族化合物、特にスチレン及びC2〜C12−オレフィン、特にC2〜C6−オレフィン及び特に有利には1−ブテン、イソブテン及び1−ペンテンから選択した前記モノマーDと一緒に、重合すべきモノマーに対して0.1〜50重量%、有利には0.5〜25重量%、特に1〜20重量%、特に有利には2〜15重量%及び極めて特に有利には5〜10重量%の燐含有化合物の存在でラジカル重合させ、一般式IIのアルコールと反応させることによって、共重合された無水物単位をカルボキシレート基及び一般式Iの本発明による側鎖に変えることによって得られるポリマーが有利である。
【0060】
無水物単位の変換は重合反応の間に行ってもよいし、重合反応後に行ってもよい。エチレン性不飽和無水物を一般式IIのアルコールと重合を遅らせる反応の一つで現場で製造し、この反応混合物をモノマーDと燐含有化合物の存在で重合させることもできる。
【0061】
この態様3の特に有利な方法は下記の工程を包含する:
1.エチレン性不飽和無水ジカルボン酸(モノマーE)を一般式IIのアルコールとエステル化触媒、例えば有機スルホン酸の存在で反応させること、
2.この反応混合物をモノマーD並びに場合によりその他のモノマーE及び/又はその他の一般式IIのアルコールと燐含有化合物及びラジカル重合開始剤の存在で重合させること、
3.場合により反応温度に上げ及び/又は一般式IIのその他のアルコールを添加することにより無水物単位の重合様変換を完了させること。
【0062】
この態様の有利なポリマーは、無水マレイン酸55〜80重量%及び1−ブテン、イソブテン又は1−ペンテン20〜45重量%から成るコポリマー又は無水マレイン酸30〜60重量%及びスチレン40〜70重量%から成るコポリマーを一般式IIのアルコールと重合様に反応させることによって得られる。
【0063】
モノマーD及びモノマーE並びに場合によりその他のモノマーCを燐含有化合物0.1〜50重量%の存在でラジカル重合させることによって得られるポリマーは新規であり、一般式Iの側鎖及びカルボキシル基を有する本発明によるポリマー用の出発ポリマーとして同じく本発明の目的である。
【0064】
このような有利なポリマーは、重合すべきモノマーに対して5〜98重量%、特に10〜70重量%及び特に有利には10〜50重量%のモノマーDを2〜95重量%、特に30〜90重量%及び特に有利には50〜90重量%のモノマーE並びに場合により50重量%までの、有利には30重量%までの及び特に有利には20重量%までのモノマーC1、C2、C3及び/又はC5と重合させることにより得られる。
【0065】
意外にも、このようなポリマーは鉱物性建材の添加物としても好適であることが判明し、特にモノマーDが前記オレフィン及び/又はシクロオレフィンから選択したものである場合が好適であると判明した。従って、このようなポリマーの使用も本発明の目的である。モノマーEが無水マレイン酸であるポリマーが特に好適である。モノマーDが1−ブテン、イソブテン及び1−ペンテンから選択したものである場合も、使用技術特性に対して有利に作用する。このようなコポリマーは、有利には1500〜35000の範囲の平均分子量Mwを有する。
【0066】
更に態様1から3の前記の種類のポリマーは全て、マレインイミドから誘導された共重合された構造単位を含有し、これは場合により窒素でC1〜C20−アルキル、C6〜C20−アリール又はC7〜C20−アラルキルで置換されている。好適なマレインイミド単位は例えば西ドイツ特許(DE−A)第4304109号、第19513126号及び欧州特許(EP−A)第610699号明細書に記載されており、それらと非常に関連がある。このようなポリマーは原則的に二つの異なる方法で得られる:即ち、例えば前記モノマーをマレインイミドの好適な誘導体とラジカル性に共重合させ、その際共重合は燐含有化合物の存在で実施する。代わりに、
1.無水マレイン酸を特に群A、群B及び/又は群Cのモノマーから選択したモノマーと燐含有化合物の存在で共重合させ、
2.次いで共重合させた無水マレイン酸をアンモニア、第一C1〜C20−アルキルアミン、C6〜C20−アリールアミン又はC7〜C20−アラルキルアミンと重合様に反応させることによって得られるポリマーを使用することもできる。
【0067】
本発明により使用されるポリマーの製造は、既に記載したように、カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和モノマーA及び一般式Iの側鎖を有するエチレン性不飽和モノマーB並びに場合によりその他のモノマーCを重合させるべきモノマーに対して0.1〜50重量%、有利には0.5〜25重量%、特に1〜20重量%、特に有利には5〜10重量%の燐含有化合物の存在でラジカル重合反応させることによって行う(方法1)か又は反応性官能基を有するエチレン性不飽和モノマーを場合によりモノマーA及び/又はB及び場合によりその他のモノマーCと一緒に重合すべきモノマーに対して0.1〜50重量%、有利には0.5〜25重量%、特に1〜20重量%、特に有利には2〜15重量%及び極めて特に有利には5〜10重量%の燐含有化合物とラジカル共重合させ、次いで少なくとも一部の反応性官能基を一般式Iの側鎖及び/又はカルボキシル基に変える(方法2)ことによって、行う。
【0068】
燐含有化合物を反応容器中に前挿入してもよいし、連続的に又は少量宛反応バッチに供給してもよい。主要量、特に少なくとも90%の燐含有化合物を重合反応中に添加するのが有利である。
【0069】
重合すべきモノマーを反応容器中に前挿入してもよいし、反応バッチに少量宛又は有利には連続的に供給してもよい。主要量、特に少なくとも90重量%の重合すべきモノマーを連続的に反応バッチに添加するのが有利である。
【0070】
その際、重合は、塊状重合、溶液重合及びモノマーの溶解性が悪い場合には乳液−、分散−又は懸濁重合として行われる。反応混合物中でのポリマーの溶解性が非常に悪い場合には、重合を沈澱重合として実施することもできる。
【0071】
ポリマーを方法1により製造する場合には、ポリマーを有利には、水又は水及び混合物に対して60重量%までの、C1〜C4−アルカノール、C2〜C10−アルキレングリコール[式中アルキレン鎖は1個以上の隣接してない酸素原子により中断されていてよい]及びC1〜C4−アルカノールを有するC2〜C10−アルキレングリコールの半エーテルから選択した、OH基を含有する溶剤から成る混合物中で溶液−又は沈澱重合により実施する。好適なOH基含有の溶剤の例は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、メチルジグリコール、ジプロピレングリコール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、トリエチレングリコール、前記グリコールのメチルエーテル並びにエチレンオキシド単位4〜6個を有するエチレンオキシドから成るオリゴマー、プロピレンオキシド単位3〜6個を有するプロピレンオキシドから成るオリゴマー並びにポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−コオリゴマーである。更に水性反応媒体は、その他の水と混合性の溶剤、例えばアセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等を含有してもよい。
【0072】
ポリマーを方法2により製造する場合には、重合を有利には溶液−又は沈澱重合として不活性溶剤中で実施する。好適な溶剤は、環状エーテル、例えばテトラヒドロフラン又はジオキサン、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルセトン、シクロヘキサノン、脂肪族カルボン酸とC1〜C4−アルカノールのエステル、例えば酢酸エチルエステル又は酢酸−n−ブチルエステル、芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレン、クメン、クロルベンゼン、エチルベンゼン、アルキル芳香族の工業的混合物、シクロヘキサン及び工業的脂肪族混合物を包含する。
【0073】
モノマーが反応媒体中に難溶性である場合には、重合を乳液−又は懸濁重合として実施することもできる。このような重合法は、当業者に公知であり、本発明によるポリマーの製造のためにこのために常用の方法で実施することができる。本発明によるポリマーの製造をラジカル水性乳液重合により行う場合には、反応媒体に界面活性剤又は保護コロイドを添加するのが推奨される。好適な乳化剤及び保護コロイドの組成は、例えばフーベン−ウェイル(Houben Weyl)著"メトーデン デル オルガニッシェ ヒェミー(Methoden der oreganischen Chemie)"第XIV/1巻マクロモレクラーレ シュトッフェ(Makuromolekulare Stoffe)、411頁以降(Georg Thieme Verlag、シュツッツガルト、1961)に記載されている。
【0074】
ラジカル重合に使用される重合開始剤は、有利には反応媒体中に可溶性である。これらは重合に使用されるモノマーに対して30重量%まで、有利には0.05〜15重量%、特に有利には0.2〜8重量%の量で使用される。
【0075】
重合を水含有溶剤中で行う場合には、有利には水溶性重合開始剤、例えば過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾ−ビス−(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロリド及び2,2’−アゾ−ビス−(4−シアノペンタン酸)を使用する。重合開始剤は、単独又は混合物、例えば過酸化水素及び過硫酸ナトリウムから成る混合物で使用する。
【0076】
公知レドックス−開始剤系を重合開始剤として使用することもできる。このようなレドックス−開始剤系は、少なくとも1種類の過酸化物含有化合物をレドックス−共開始剤、例えば還元性硫黄化合物、例えばアルカリ金属及びアンモニア化合物の重亜硫酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、亜ジチオン酸塩及び四チオン酸塩、ナトリウムヒドロキシメタンスルフィネート−二水和物及びチオ尿素と組み合わせて含有する。即ち、過二硫酸塩をアルカリ金属−又はアンモニウム亜硫酸水素塩、例えばペルオキシ二硫酸アンモニウム及び亜硫酸アンモニウムと組み合わせて使用する。過酸化物含有化合物対レドックス−共開始剤の重量比は有利には、30:1〜0.05:1である。
【0077】
開始剤又はレドックス開始剤系との組み合わせに、付加的に遷移金属触媒、例えば鉄−、ニッケル−、コバルト−、マンガン−、銅−、バナジウム−又はクロム塩を使用することができ、例えば硫酸鉄(II)、塩化コバルト(II)、硫酸ニッケル(II)、塩化銅(I)、酢酸マンガン(II)、酢酸バナジウム(III)、塩化マンガン(II)を使用することができる。モノマーに関してこれらの遷移金属塩を通常0.1〜1000ppmの量で使用する。即ち、過酸化水素と鉄(II)塩の組み合わせ、例えば過酸化水素0.5〜30%及びモルシェ塩(Mohrsches Salz)0.1〜500ppmを使用することができる。
【0078】
非水性媒体中の重合用には有利には、開始剤、例えば過酸化ジベンゾイル、ジシクロヘキシルペルオキシドジカルボネート、過酸化ジラウロイル、メチルエチルケトンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化クミル、t−ブチルペルネオデカノエート、t−アミルペルピバレート、t−ブチルペルピバレート、t−ブチルペルネオヘキサノエート、t−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルベンゾエート、アゾジイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)−ジヒドロクロリド、2,2’−アゾ−ビス−(イソブチロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)を使用する。これらの開始剤と組み合わせて、還元剤、例えばベンゾイン、ジメチルアニリン、アスコルビン酸並びに場合により反応媒体中に可溶性の遷移金属の錯体及び塩を使用することができる。
【0079】
重合用に上げられる温度範囲の下限で反応混合物を重合を開始させ、引き続きこれより高い温度で重合を終了させる場合には、異なる温度で分解し、従って各々の温度間隔で十分な濃度でラジカルが供給される少なくとも2種類の開始剤を使用するのが有利である。
【0080】
重合反応は、有利には30〜300℃、有利には50〜160℃及び極めて特に有利には80〜150℃の範囲で行う。その際有利には酸素の遮断下で、有利には窒素流中で操作する。通常、重合を常圧で実施するが、特にモノマー及び/又は溶剤の沸点より上の重合温度を使用する場合には。これより低い圧力又は高い圧力を使用することもできる。
【0081】
重合の方法2で引き続いて行われる反応性基の一般式Iの側鎖及び/又はカルボキシル基への反応性基の重合様変換は、自体公知の方法で態様3に記載したようにして行われる。
【0082】
ポリマーを所望の分子量に調整するために、分子量調整剤、即ち常用の連鎖停止物質の存在で重合させることが必要である。好適な分子量調整剤には、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、蟻酸、蟻酸アンモニウム、ヒドロキシルアミン並びにその硫酸塩、塩化物又は燐酸塩;SH基含有化合物、例えばチオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプロブタノール、メルカプトヘキサノール、チオマレイン酸、チオフェノール、4−t−ブチルチオフェノール、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンが包含される。その他の重合調整剤の例は、アリルアルコール、ブタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、グリコール、グリセリン、ペンタエリスリットである。
【0083】
重合調整剤は、使用が必要である限り、モノマーに対して20重量%までの量で使用される。モノマーに対して0.5〜15重量%のSH基含有の重合調整剤の存在で重合させるのが有利である。
【0084】
更に所望の使用目的のために架橋したポリマーを使用することが有利である。架橋したポリマーは、前記モノマーを2個以上エチレン性不飽和化合物と共重合させることによって又はポリマー中のカルボキシル−、無水物−又はヒドロキシル基を好適な多官能性化合物と引き続き架橋させることによって得られる。架橋を数個エチレン性不飽和化合物と共重合させる方法で行う場合には、通常重合すべきモノマーに対して0.01〜20重量%及び有利には0.1〜5重量%の量で使用する。引き続いてのポリマー中の官能基の多官能性反応性化合物との架橋では、これらを通常ポリマーに対して0.2〜20重量%及び特に0.5〜10重量%の量で使用する。
【0085】
2個以上エチレン性不飽和化合物には下記のものが包含される:少なくとも2価の飽和アルコールのジアルキレート又はジメタクリレート、例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,2−プロピレングリコールジアクリレート、1,2−プロピレングリコールジメタクリレート、ブタンジオール−1,4−ジアクリレート、ブタンジオール−1,4−ジメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、3−メチルペンタジオールジアクリレート、3−メチルペンタジオールジメタクリレート;OH基2個以上を有するアルコールのアクリル酸−及びメタクリル酸エステル、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート;分子量各々200〜9000を有するポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールのジアクリレート又はジメタクリレート、例えばジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート;エチレン性不飽和C3〜C6−カルボン酸のビニルエステル、例えばビニルアクリレート、ビニルメタクリレート、ビニルイタコネート;カルボキシル基2個を含有する飽和カルボン酸のビニルエステル並びに少なくとも2価のアルコールのジ−及びポリビニルエーテル、例えばアジピン酸ジビニルエステル、ブタンジオールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル;エチレン性不飽和カルボン酸のアリルエステル、例えばアリルアクリレート、アリルメタクリレート;多価アルコールのアリルエーテル、例えばペンタエリスリットトリアリルエーテル、トリアリルサッカロース、ペンタアリルサッカロース、ペンタアリルスクロース;メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジビニルエチレン尿素、ジビニルプロピレン尿素、ジビニルベンゼン、ジビニルジオキサン、トリアリルシアヌレート、テトラアリルシラン及びテトラビニルシラン、ビス−又はポリアクリルシロキサン、ジアリルフタレート、アリルビニルエーテル、ジアリルフマレート。
【0086】
引き続いての架橋用に使用することができる多官能性反応性化合物としては、特に、ポリヒドロキシ化合物のグリシジルエーテル又はジ−又はポリカルボン酸のジグリシジルエステルが好適である。好適な架橋性化合物の例には下記のものが包含される:エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル。
【0087】
更にポリマーの使用技術特性のために、ポリマー中に存在するカルボキシル基又は場合により存在する反応性基の一部を次いで重合様反応で更に変性することも有利である。このような変性は原則的に当業者に公知である。前記反応性基の変換の場合に、態様3に記載した方法で変性を行うことができる。
【0088】
重合様反応は、有利にはヒドロキシル−又はアミノ基含有化合物、例えば飽和又は不飽和脂肪族アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、デカノール、トリデカノール、シクロヘキサノール、牛脂アルコール、ステアリルアルコール並びにC9/11−オキソアルコール及びC13/15−オキソアルコール;又は第一又は第二アミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−オクチルアミン、イソトリデシルアミン、牛脂アミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、タウリン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ−メチルシクロヘキシルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−イソトリデシルアミン、ジ−牛脂アミン、ジ−ステアリルアミン、ジ−オレイルアミン、エタノールアミン、ジ−エタノールアミン、n−プロパノールアミン、ジ−n−プロパノールアミン、モルホリン及びビス−(ポリジメチルシロキサン−1−プロプ−3−イル)−アミンを用いて行う。
【0089】
カルボキシル基及び一般式Iの側鎖を有する本発明によるポリマーは、セメント混合物、例えばコンクリート又はモルタル用の添加物として非常に好適である。セメントとは、例えばポートランドセメント、アルミナセメント又は混合セメント、例えばプッゾラナセメント、スラグセメント又はその他の種類である。ポートランドセメントが有利である。コポリマーはセメントの重量に対して0.01〜10重量%、有利には0.05〜3重量%の量で使用する。
【0090】
ポリマーは、ポリマー溶液又は分散液の乾燥、例えば噴霧乾燥により、重合の際に沈澱するように、得られるポリマーは固体形で、鉱物性建材の直ちに使用し得る製品に添加することができる。コポリマーを鉱物性結合剤と調製し、これから鉱物性建材の直ちに使用し得る製品にすることも可能である。液状の、即ち溶解した乳化された又は懸濁した形の、例えば重合溶液の形で鉱物性建材を調製する際に使用するのが有利である。
【0091】
コンクリート又はモルタル中に使用するために、先ずアルカリ性コンクリート又はモルタルの存在で水溶性の、従って有効な形、例えばカルボン酸−又は無水カルボン酸構造を含有するポリマーにに変わるポリマーを使用することも有利にできる。有効なポリマーを徐々に遊離することによって、長時間持続する作用が得られる。
【0092】
本発明によるポリマーは、ナフタリンホルムアルデヒド縮合物−スルホネート、マレインホルムアルデヒド−縮合物−スルホネート、フェノールスルホン酸−ホルムアルデヒド縮合物及びリグニンスルホネートを基礎とする公知コンクリート液化剤と組み合わせて使用することもできる。本発明によるポリマーは、高分子ポリエチレンオキシド(Mw100000〜8000000)と組み合わせて使用することもできる。更に、本発明によるポリマーをセルロース、例えばアルキル−又はヒドロキシアルキルセルロース、澱粉又は澱粉誘導体と一緒に使用することができる。更に添加物、例えば気泡形成剤、膨張剤、疎水剤、凝固遅延剤、凝固促進剤、凍結防止剤、充填剤、顔料、腐蝕防止剤、流動剤、圧縮助剤、安定化剤、微小中空球体(Mikrohohlkugel)を混合することもできる。
【0093】
基本的に本発明によるポリマーは、皮膜形成ポリマーと一緒に使用することもできる。これには、そのガラス転移温度(DSC−中点値温度、ASTM D 3481〜82)が≦65℃、有利には≦50℃、特に有利には≦25℃及び極めて特に有利には≦0℃であるようなポリマーである。フォックス[T.G.Fox、Bull.Am.Phys.Soc(シリーズII)1、1956、123]によりホモポリマーのガラス転移温度とコポリマーのガラス転移温度との間の関係を用いて、当業者は好適なポリマーを選択することができる。[ホモポリマーのガラス転移温度は例えばUllmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry、第A21巻、VCH、ワインハイム1992、169頁又はJ.Brandrup、E.H.Immergut、Polymer Handbook 第3版、J.Wiley、ニューヨーク1998に記載されている]。
【0094】
更に、本発明によるポリマーを消泡剤と一緒に使用することが屡々有利である。これによって、直ちに使用しうる鉱物性建材の調製の際に、凝結した鉱物性建材の強度を下げるであろうような量の空気を気泡の形でコンクリート中に入れることが阻止される。好適な消泡剤には、ポリアルキレンオキシドを基礎とする消泡剤、例えばポリエチレンオキシド−、ポリプロピレンオキシド−、ジアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールヘプチルエーテル、ポリエチレンオキッシドオレイルエーテル、ポリプロピレンオキシドジブチルエーテル、ポリエチレンオキシド−、ポリプロピレンオキシド−2−エチルヘキシルエーテルが包含される。炭素原子10〜20個を有するアルコールのエトキシル化生成物及びプロポキシル化生成物、エトキシル化/プロポキシル化(アルキル)フェノール、例えばプロポキシル化フェノール(プロポキシル化度2〜40)、エトキシル化(アルキル)フェノール(エトキシル化度2〜50)も好適である。同様にアルキレングリコール又はポリアルキレングリコールのジエステル、例えばジエチレングリコールジオレエート、エチレングリコールジステアレート又はアルキレンオキシドソルビタンの脂肪族酸エステル、例えばポリエチレンオキシドソルビタン−モノラウリン酸エステル、ポリエチレンオキシドソルビタン−トリオレエートが好適である。消泡剤としては、燐酸エステル、例えばトリブチルホスフェート又はトリイソブチルホスフェート、フラレート、例えばジブチルフタレート、シロキサン、例えばポリジメチルシロキサン及び例えばアリルアルコキシレートを用いるヒドロシリル化により生成されるその誘導体も好適である。更に陰イオン消泡剤、例えばメチルポリプロピレンオキシドスルフェート−ナトリウム塩及びn−ドデシルフェノールエトキシレートスルフェート−ナトリム塩又はエトキシル化脂肪族アルコールの燐酸塩、例えばポリエチレンオキシドステアリルホスフェートが好適である。このような消泡剤は、通常ポリマーに対して0.05〜10重量%、有利には0.5〜5重量%の量で使用する。
【0095】
消泡剤は種々の方法でポリマーと組み合わせることができる。ポリマーが例えば水溶液として存在する場合には、消泡剤を固体又は溶解してポリマー溶液に添加することができる。消泡剤が水性ポリマー溶液中に溶解性でない場合には、安定化するために乳化剤又は保護コロイドを添加することができる。
【0096】
本発明によるポリマーが、例えば噴霧乾燥又は噴霧渦動床造粒により生成されるような、固体の形で存在する場合には、消泡剤を固体として混合することができるが、しかし噴霧乾燥工程又は噴霧造粒工程でポリマーと一緒に製造することができる。
【実施例】
【0097】
I.分析
Ia.平均分子量の測定
重量平均分子量の測定は、水性溶離剤を用いてゲル−透過−クロマトグラフィー(=GPC)により行った。補正は緊密に分散させたNa−ポリアクリレート−標準物質を用いて行った。溶離剤としては燐酸水素カリウム及び塩化ナトリウムの水溶液を使用した。内部標準としてエチレングリコールを使用した。クロマトグラフィーカラムには、固定相としてTSK PW−XL3000及びTSK PW−XL5000(Fa.TosoHaas)を充填した。検出用に示差屈折計を使用した。
【0098】
Ib.K値の測定
コポリマーの水性ナトリウム塩溶液のK値は、H.フィッケンシャー(Fikentscher)著"セルロース−ヒェミー(Cellulose−Chemie)"第13巻、58〜64頁及び71〜74頁(1932)により、水溶液中でpH値7、温度25℃及びコポリマーのナトリウム塩のポリマー濃度1重量%で測定した。
【0099】
Ic.固体含量の測定
Aluシャーレ中に限定量の試料(約0.5〜1g)を測り入れる(初めの秤量)。試料をIRランプ(160ボルト)下で30分間乾燥させる。その後、新たに試料の質量を測定する(終わりの秤量)。固体含量%FGは下記のようにして算出する:
FG=終わりの秤量×100/初めの秤量(重量%)
【0100】
II.コポリマー1〜10の製法
コポリマー1(本発明による)
馬蹄形攪拌機、自動供給添加装置5個、還流冷却器及び油浴ヒーターを具備した内容2lのガラス反応器中に、完全脱塩水522.85gを前装入し、不活性気体下で加熱沸騰させた。この溶液に同時に開始して、4時間以内に、メチルポリエチレングリコールメタクリレート(平均エトキシル化度22)192g及び完全脱塩水360gから成る供給1、メタクリル酸48gから成る供給2、完全脱塩水中の亜燐酸ナトリウム一水和物の20%溶液60gから成る供給3及び完全脱塩水中のナトリウムペルオキシジスルフェートの2.5%溶液70.3gから成る供給4を均一に配量添加した。引き続き、反応混合物をなお1時間沸騰温度で後重合させた。その後、混合物を30℃に冷却し、完全脱塩水中の水酸化ナトリウムの50%溶液37gで中和した。pH7.0及び固体含量20.4重量%を有するポリマーの透明溶液が得られた。K値は31.9、重量平均分子量は20300である。
【0101】
コポリマー2(比較例)
馬蹄形攪拌機、自動供給添加装置4個、還流冷却器及び油浴ヒーターを具備した内容4lのガラス反応器中に、完全脱塩水1199gを前装入し、不活性気体下で加熱沸騰させた。この溶液に同時に開始して、4時間以内に、メチルポリエチレングリコールメタクリレート(平均エトキシル化度22)403.2g及び完全脱塩水750gから成る供給1、メタクリル酸100.8gから成る供給2、完全脱塩水中のナトリウムペルオキシジスルフェートの2.5%溶液147.6gから成る供給3を均一に配量添加した。引き続き、反応混合物をなお1時間沸騰温度で後重合させた。その後、混合物を30℃に冷却し、完全脱塩水中の水酸化ナトリウムの50%溶液78gで中和した。pH7.0及び固体含量19.8重量%を有するポリマーの透明溶液が得られた。重量平均分子量は40000、K値は42.2であった。
【0102】
コポリマー3(本発明による)
馬蹄形攪拌機、自動供給添加装置5個、還流冷却器及び油浴ヒーターを具備した内容2lのガラス反応器中に、完全脱塩水523gを前装入し、不活性気体下で加熱沸騰させた。この溶液に同時に開始して、4時間以内に、メチルポリエチレングリコールメタクリレート(平均エトキシル化度22)192g及び完全脱塩水360gから成る供給1、メタクリル酸48gから成る供給2、完全脱塩水中の亜燐酸ナトリウム一水和物の11.1%溶液54gから成る供給3及び完全脱塩水中のナトリウムペルオキシジスルフェートの2.5%溶液70.3gから成る供給4を均一に配量添加した。引き続き、反応混合物をなお1時間沸騰温度で後重合させた。その後、混合物を30℃に冷却し、完全脱塩水中の水酸化ナトリウムの50%溶液44.3gで中和した。pH7.0及び固体含量20.2重量%を有するポリマーの黄褐色の僅かに混濁した溶液が得られた。K値は33.9、重量平均分子量は25100である。
【0103】
コポリマー4(本発明による)
馬蹄形攪拌機、自動供給添加装置5個、還流冷却器及び油浴ヒーターを具備した内容2lのガラス反応器中に、完全脱塩水523gを前装入し、不活性気体下で加熱沸騰させた。この溶液に同時に開始して、4時間以内に、メチルポリエチレングリコールメタクリレート(平均エトキシル化度22)192g及び完全脱塩水360gから成る供給1、メタクリル酸48gから成る供給2、完全脱塩水中の亜燐酸ナトリウム一水和物の33.3%溶液72gから成る供給3及び完全脱塩水中のナトリウムペルオキシジスルフェートの2.5%溶液70.3gから成る供給4を均一に配量添加した。引き続き、反応混合物をなお1時間沸騰温度で後重合させた。その後、混合物を30℃に冷却し、完全脱塩水中の水酸化ナトリウムの50%溶液41.6gで中和した。pH7.0及び固体含量20.8重量%を有するポリマーの黄褐色溶液が得られた。K値は25.6、重量平均分子量は13500である。
【0104】
コポリマー5(本発明による)
馬蹄形攪拌機、自動供給添加装置5個、還流冷却器及び油浴ヒーターを具備した内容2lのガラス反応器中に、完全脱塩水523gを前装入し、不活性気体下で加熱沸騰させた。この溶液に同時に開始して、4時間以内に、メチルポリエチレングリコールメタクリレート(平均エトキシル化度22)192g及び完全脱塩水360gから成る供給1、メタクリル酸48gから成る供給2、完全脱塩水中の亜燐酸ナトリウム一水和物の33.3%溶液72gから成る供給3及び完全脱塩水中のナトリウムペルオキシジスルフェートの2.5%溶液70.3gから成る供給4を均一に配量添加した。引き続き、反応混合物をなお1時間沸騰温度で後重合させた。その後、混合物にオルト−フタル酸ジグリシドエステル3.7gを添加し、3時間攪拌下で加熱沸騰させた。引き続き、混合物を30℃に冷却し、完全脱塩水中の水酸化ナトリウムの50%溶液42.2gで中和した。pH7.0及び固体含量21.3重量%を有するポリマーの黄褐色溶液が得られた。K値は25.5、重量平均分子量は13100である。
【0105】
コポリマー6(本発明による)
馬蹄形攪拌機、自動供給添加装置5個、還流冷却器及び油浴ヒーターを具備した内容2lのガラス反応器中に、完全脱塩水523gを前装入し、不活性気体下で加熱沸騰させた。この溶液に同時に開始して、4時間以内に、メチルポリエチレングリコールメタクリレート(平均エトキシル化度22)192g及び完全脱塩水360gから成る供給1、メタクリル酸48gから成る供給2、完全脱塩水中のホスホン酸の50重量%溶液60gから成る供給3及び完全脱塩水中のナトリウムペルオキシジスルフェートの2.5%溶液70.3gから成る供給4を均一に配量添加した。引き続き、反応混合物をなお1時間沸騰温度で後重合させた。pH7.0及び固体含量21.3重量%を有するポリマーの赤褐色透明溶液が得られた。K値は40.0、重量平均分子量は36400である。
【0106】
コポリマー7(比較例)
供給1を製造するために、加熱可能なフラスコ中で窒素下で無水マレイン酸52.26gを溶融させ、これに平均エトキシル化度12を有するポリエチレングリコール120.00gを添加した。更に攪拌下で、これに引き続き下記のものを添加した:ヒドロキノンモノメチルエーテル0.02g、ドデシルメルカプタン1.33g及びアゾイソブチロニトリル2.34g。馬蹄形攪拌機、自動供給添加装置5個、還流冷却器及び油浴ヒーターを具備した内容2lのガラス反応器中に、ポリエチレングリコール(平均エトキシル化度12)120.00g及び無水マレイン酸2.6gを添加した。反応器を窒素雰囲気下で内部温度100℃に加熱した。この溶液に同時に開始して1時間以内に、供給1(前記参照)及びスチレン53.32gから成る供給2を添加した。引き続きなお1時間100℃で後攪拌し、アゾジイソブチロニトリル0.24gを添加し、なお1時間100℃で後攪拌した。次いで内部温度を140℃に上げ、5分間以内にプロピレンオキシド単位30個及びエチレンオキシド単位4個を有するプロピレンオキシド−エチレンオキシド−ブロックポリマー25.66gを添加した。混合物を更に2時間攪拌下で140℃に保持した。その後、65℃に冷却し、完全脱塩水470gを添加した。引き続き、混合物を25℃に冷却し、完全脱塩水470.00gを添加し、50%水酸化ナトリウム溶液34.2gで中和した。pH7.0及び固体含量41.5重量%を有するポリマーの褐色の強力に混濁した溶液が得られた。K値は20.2であり、重量平均分子量は18600である。
【0107】
コポリマー8(本発明による)
供給1を製造するために、加熱可能なフラスコ中で窒素下で無水マレイン酸52.3gを溶融させた。これに平均エトキシル化度12を有するポリエチレングリコール120gを添加した。更に攪拌下で、引き続き下記のものを添加した:ヒドロキノンモノメチルエーテル0.02g、ドデシルメルカプタン1.33g、アゾイソブチロニトリル2.34g及び亜燐酸(98重量%)17.4g。馬蹄形攪拌機、自動供給添加装置5個、還流冷却器及び油浴ヒーターを具備した内容2lのガラス反応器中に、平均エトキシル化度12を有するポリエチレングリコール120g及び無水マレイン酸2.6gを添加した。反応器を窒素雰囲気下で内部温度100℃に加熱した。この溶液に同時に開始して1時間以内に、供給1(前記参照)及びスチレン53.3gから成る供給2を添加した。引き続きなお1時間100℃で後攪拌し、アゾジイソブチロニトリル0.24gを添加し、なお1時間100℃で後攪拌した。次いで内部温度を140℃に上げ、5分間以内にプロピレンオキシド単位30個及びエチレンオキシド単位4個を有するプロピレンオキシド−エチレンオキシド−ブロックポリマー25.66gを添加した。混合物を更に2時間攪拌下で140℃に保持した。その後、65℃に冷却し、完全脱塩水470gを添加した。引き続き、混合物を25℃に冷却し、完全脱塩水470gを添加し、50%水酸化ナトリウム溶液34.2gで中和した。pH7.0及び固体含量41.4重量%を有するポリマーの黄褐色の僅かに混濁した溶液が得られた。K値は23.4であり、重量平均分子量は21000である。
【0108】
コポリマー9(本発明による)
馬蹄形攪拌機、自動供給添加装置5個、還流冷却器及び油浴ヒーターを具備した内容2lのガラス反応器中に、完全脱塩水451gを前装入し、不活性気体下で加熱沸騰させた。この溶液に同時に開始して4時間以内に、メチルポリエチレングリコールメタクリレート(平均エトキシル化度22)172.8g及び完全脱塩水360gから成る供給1、メタクリル酸43.2gから成る供給2、2−アクリルアミノ−2−メチルプロパンスルホン酸24g及び完全脱塩水72gから成る供給3、完全脱塩水中の亜燐酸ナトリウム一水和物の20%溶液60.00gから成る供給4及び完全脱塩水中のナトリウムペルオキシジスルフェートの5%溶液70.3gから成る供給5を均一に配量添加した。引き続き、反応混合物をなお1時間沸騰温度で後重合させた。その後、混合物を30℃に冷却し、完全脱塩水中の水酸化ナトリウムの50%溶液49.5gで中和した。pH7.0及び固体含量20.7重量%を有するポリマーの黄褐色の僅かに混濁した溶液が得られた。K値は36.4、重量平均分子量は29100である。
【0109】
コポリマー10(本発明による)
馬蹄形攪拌機、自動供給添加装置5個、還流冷却器及び油浴ヒーターを具備した内容2lのガラス反応器中に、完全脱塩水526gを前装入し、不活性気体下で加熱沸騰させた。この溶液に同時に開始して、4時間以内に、メチルポリエチレングリコールメタクリレート(平均エトキシル化度45)120g及び完全脱塩水360gから成る供給1、メタクリル酸120gから成る供給2、完全脱塩水中の亜燐酸ナトリウム一水和物の20%溶液60gから成る供給3及び完全脱塩水中のナトリウムペルオキシジスルフェートの5%溶液69.4gから成る供給4を均一に配量添加した。引き続き、反応混合物をなお1時間沸騰温度で後重合させた。その後、混合物を30℃に冷却し、完全脱塩水中の水酸化ナトリウムの50%溶液105.50gで中和した。pH7.0及び固体含量21.4重量%を有するポリマーの褐色透明溶液が得られた。K値は42.8、重量平均分子量は43200である。
【0110】
コポリマー11(比較例)
コポリマー1と同様にして、メチルポリエチレングリコールメタクリレート(平均エトキシル化度22)192g及びメタクリル酸48gを重合させることによってコポリマーを製造した。コポリマー1とは異なり、供給3は下記の組成を有した:完全脱塩水8g中に溶解させたメルカプトエタノール1.8kg。
【0111】
固体含量20.2重量%を有するpH7.0を有する透明なポリマー溶液が得られた。ポリマーのK値は31.3g、重量平均分子量は19900であった。
【0112】
使用技術試験
DIN1048第1部を基礎とするコンクリート液化剤の試験方法(コンクリートにおける添加物の液化作用の試験)
装置:
−マルチ フロー 攪拌機(Multi Flow Ruehrer)Typ SE/GB(Elektromotor)
−攪拌容器(h=20.7cm;d=40.6cm)
−スランプ台(700mm×700mm、可動上板付き、DIN1048第1部、3.2.1.1参照)
−円錐型(内部直径上部:130mm;内部直径下部:200mm;DIN1048第1部、3.2.1.1参照)
−気泡含量測定装置(DIN1048第1部、3.5.1参照);ねじ締め可能な圧力測定装置付き試料容器(h=8.3cm;d=12.3cm)
−振動台(電動式)
−ストップウォッチ
−木棒(d=1.5cm;l=55cm)
−スコップ(収容力 約0.6L)
−プラスチック立方体型(内部辺長さ:L*B*H=15cm*15cm*15cm;1側面は開口している)
使用物質:
バッチ:セメント/骨材の混合比1:5、56Sieblinie B16
珪砂 F34 825g
珪砂 0.15〜0.6mm 1665g
珪砂 0.5〜1.25mm 2715g
珪砂 1.5〜3.0mm 1485g
砂利 3〜8mm 3765g
砂利 8〜16mm 3330g
ハイデルベルガーセメントCEM I32.5R
2475g
飲料水 1081g
第1表による液化剤(使用したセメントの量に対する固体ポリマーに関して、液化剤%;"固体対固体")
注意:
液化剤を添加した水の量は、飲料水の含分から引いておく必要がある。水/セメント比は0.44である。使用したセメントの品質は視覚試験により行った。
【0113】
試験の実施:
a.コンクリートの製造:
骨材及びセメントの全量を攪拌容器中に測り入れ、1分間マルチフロー攪拌装置で乾燥時に混合する。その後攪拌下で30秒以内に計算量の水の2/3を添加する。次の30秒以内に液化剤を加えた残りの1/3の水を混合物に添加する。そこでコンクリートを更に3分間後攪拌する。コンクリート混合物の製造は、合計5分後に完了する。コンクリートの製造後、スランプ(slump)度を測定するために最初の値を測定する。
【0114】
b.スランプ試験
完成したコンクリート組成を5分間攪拌した後、スランプの最初の測定を行う。(DIN1048第1部3.2.1.2実施スランプ試験参照)。スランプ度の測定後、コンクリーロをスランプ台から再び攪拌容器中へ戻す。コンクリートを合計29分45秒後もう一度15秒間混合する。2回目の測定を正確に30分後に行う。この工程は合計60、90、120分後に繰り返すか又はスランプ度の測定値が30cmより下の直径に減少するまで行う。
【0115】
c.気泡含量:
新しいコンクリートの気泡含量を内容1lの補正した試験装置を用いて圧力平衡法により測定する。気泡含量の測定は、最初及び最後のスランプ測定後に行う、次いで気泡含量測定装置の内容1l容器にコンクリートを充填し、一方コンクリートは60秒間振動台上で凝結させる。容器を振動工程後にコンクリートで縁までいっぱいになっている。(実施はDIN1048第1部3.5空気含量参照)。その後、気泡含量の測定を行う。
【0116】
d.圧縮強さ試験:
試験すべきコンクリート液化剤のコンクリートの凝結力に対する影響により、圧縮強さ試験を所望により行う。圧縮強さは、1辺の長さ15cm*15cm*15cmを有する試験試料に対して測定する。コンクリート混合物から少なくとも2個の立方体を製造する。試料の製造は、立方体の半分までコンクリートを詰め、コンクリートを20秒間振動台上で凝縮させ、その後、更に20秒間凝結した後、コンクリート表面が元の型の縁より高くなるような量のコンクリートを立方体型に充填することによって行う。引き続き試料の表面を平らにし、それによって立方体型の高さと同じになる。圧縮強さ試験用の試料の保存は密閉室中で約23℃で行う。試料を先ず型から出し、湿度損失から守るために被う。約18時間後に立方体を型から取り出し、コンクリート混合物の製造時点から24時間後に、立方体をプレスで圧縮する。KNで得られた値をN/mm2で表わし、24時間後のコンクリートの強度が判明する。コンクリート製造から28日間2個目のコンクリート立方体を貯蔵した後に、残りの試料を用いて同じ試験を行い、28日間後の圧縮強さを測定する。
【0117】
特記:
各々新しい一連の測定前に、液化剤添加なしの試験(盲験値)を行う。同じく反応温度が一定(23〜25℃)であるように留意する。
【0118】
第1表:結果
【表1】

1)セメントに対する(固体対固体)
2)トリブチルホスフェート
3)固体コンクリート液化剤に対する
4)気泡含量
5)24時間後
6)もはやスランプは確認されない
V=比較例
【0119】
結果は、本発明によるコポリマーを含有する鉱物性建材は、水/セメント比0.44でも、強度の損失を甘受する必要なしに、公知技術の液化剤を含有する鉱物性建材製品より、その中で流動性である、著しく長いタイムウィンドーを有することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシル基及び式I
【化1】

[式中、
kは、1、2、3又は4を表し、
Yは、単結合又はC1〜C4−アルキレン単位を表わし、
Xは、式
【化2】

の基を表わし、
AlkはC2〜C4−アルキレンを表わし、
nは5〜300の範囲の数を表わし、
Rは水素、C1〜C20−アルキル、C5〜C8−シクロアルキル、C6〜C20−アリール、C1〜C20−アルカノイル又はC7〜C21−アロイルを表わす]の側鎖を含有する、水溶性又は水に分散性のポリマーにおいて、該ポリマーは、
重合すべきモノマーの量に対して、カルボキシル基を有し、かつエチレン性不飽和C3〜C6−モノカルボン酸及びこれらの塩からなる群から選択されるエチレン性不飽和モノマーA3〜50重量%と、
式Iの側鎖を有するエチレン性不飽和モノマーB50〜97重量%とを、
重合すべきモノマーに対して、ホスフィン酸(H3PO2)、ホスホン酸(H3PO3)及びこれらの塩から選択される燐含有化合物0.1〜50重量%の存在でラジカル共重合することにより得られ、
その際、モノマーBは、式II
【化3】

[式中、Y、Alk、n及びRは前記したものを表わし、かつp=1である]
のアルコールとモノエチレン性不飽和C3〜C6−モノカルボン酸とのエステル及び式III又はIIIa
【化4】

[式中、Alk、n及びRは前記したものを表わし、かつAlk’はC1〜C4−アルキレン単位を表わす]
のアミンとモノエチレン性不飽和C3〜C6−カルボン酸とのアミドから選択されており、
その際、該ポリマーは5000〜150000ダルトンの範囲の重量平均分子量Mwを有する、水溶性又は水に分散性のポリマー。
【請求項2】
式I中のnが≧15である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
式I中のnが20〜60である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項4】
重合すべきモノマー混合物が、
モノマーA10〜40重量%及び
モノマーB60〜90重量%
を含有する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項5】
モノマーAがアクリル酸及びメタクリル酸から選択される、請求項1に記載のポリマー。
【請求項6】
モノマーBが式IIのアルカノールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステルから選択される、請求項1に記載のポリマー。
【請求項7】
モノマーAがメタクリル酸であり、かつモノマーBが式IIのアルカノールとメタクリル酸とのエステルである、請求項1に記載のポリマー。

【公開番号】特開2007−327067(P2007−327067A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−203256(P2007−203256)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【分割の表示】特願平10−528386の分割
【原出願日】平成9年12月19日(1997.12.19)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】