説明

カルボン酸の製造方法及び中間体であるカルボン酸アリルエステル

【課題】重合性液晶化合物の有用中間体である(メタ)アクリロイルオキシ基を持つアロマティック/アルキルカルボン酸の製造方法、およびその製造方法における中間体(メタ)アクリロイルオキシ基を持つアロマティック/アルキルカルボン酸アリルエステルの提供。
【解決手段】式(I)で表される化合物をアリルアルコール又はアリルハライドによりエステル化し、続いて(メタ)アクリロイルオキシ基有す化合物と反応させ、最後に塩基存在下、パラジウム触媒によりカルボン酸エステル化合物を脱保護し、式(V)で表される化合物を製造する。




(式中、L1は、単結合、−CH2−又は−C2H4−を表し、A1は水酸基を1〜3個有すフェニル、ビフェニルなどであり、A2は(メタ)アクリロイルオキシ部位を有す連結基を1〜3個有すフェニル、ビフェニルなどである。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は重合性液晶化合物の有用中間体である(メタ)アクリロイルオキシ基を持つアロマティック/アルキルカルボン酸の製造方法を提供し、併せてその製造法における中間体である(メタ)アクリロイルオキシ基を持つアロマティック/アルキルカルボン酸アリルエステルを提供する。
【背景技術】
【0002】
重合性液晶組成物はTFT(Thin Film Transistor)液晶ディスプレイ(TFT−LCD)の視野角拡大等の目的で使用される光学補償フィルムの材料として使用されるようになってきた。重合性液晶組成物に使用される重合性化合物の重要中間体として一般式(V)
【0003】
【化1】

【0004】
(式中、Aは、一般式(A−1)〜一般式(A−4)
【0005】
【化2】

【0006】
(式中、フェニレン基及びナフチル基は1個又は2個以上のフッ素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシル基によって置換されていても良く、Zは水素原子又は一般式(Z−1)
【0007】
【化3】

【0008】
(式中、R及びLは一般式(III)におけるR及びLと同じ意味を表し、Yはそれぞれ独立に単結合、−O−又は−OCO−を表す。)で表される置換基を表す。)で表される置換基を表す。)を表し、Lは単結合、−CH−又は−C−を表す。)で表されるアロマティック/アルキルカルボン酸がある。
【0009】
(メタ)アクリロイルオキシ基を持つアロマティック/アルキルカルボン酸を高収率かつ高純度で製造することは非常に困難であった。
【0010】
これまで(メタ)アクリロイルオキシ基を持つアロマティック/アルキルカルボン酸の製造手法はいくつか知られている(特許文献1〜5、非特許文献1〜3)。これらの手法はモノ/ポリヒドロキシ安息香酸又は対応するメチル/エチルエステルとω−ハロゲノアルキル−1−アルコールとの反応工程、モノ/ポリω−ヒドロキシ安息香酸を得るための前処理工程、目的の化合物を得るために得られた安息香酸とアクリル酸又はアクリル酸クロリドとの縮合工程を含むものである。この製法はいくつかの欠点がある。例えば2−ハロゲノエタン−1−オールや4−ハロゲノブタン−1−オールのようなω−ハロゲノアルキル−1−オールを用いた場合には、低収率となってしまう。そして例えばアクリル酸を使用すると縮合反応の完結に長時間を要するが、その際オリゴマーが生成してしまう。更にアクリル酸クロリドを使用した場合には塩化水素の付加反応が副反応として進行してしまう。
【0011】
【化4】

【0012】
(式中、R11はお互い独立して水素原子、エチル基又はメチル基を表し、Z11はお互い独立して水素原子又はHO−を表すが少なくとも一つのZ11はHO−を表し、Z21はお互い独立して水素原子、HO(CH−を表すが、nは1〜12の自然数を表し、Z31はお互い独立して水素原子又は一般式(Z31−1)
【0013】
【化5】

【0014】
(式中、R21は水素原子又はメチル基を表し、L21は炭素数1〜12のアルキレン基を表す。)
他の方法として、ヒドロキシベンズアルデヒドを出発原料として、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するベンズアルデヒド誘導体の酸化により目的物を製造する方法が開示されている(特許文献4、6、7及び8)。
【0015】
【化6】

【0016】
(式中、R31は水素原子又はメチル基を表し、L31は炭素数1〜12のメチレン基を表す。)
酸化工程においてジョーンズ試薬、過マンガン酸カリウム、過酸、過マンガン酸塩、クロム酸、臭素、酸化銀及びリン酸緩衝液中の亜塩素酸ナトリウム等が使用される。しかし、ジョーンズ試薬やクロム酸塩等は高価であり、それらの使用は好ましくない。また、過マンガン酸カリウムや臭素等は(メタ)アクリル基の二重結合を酸化することもある。更に一般式(V)で表される化合物が有するトリ(メタ)アクリロイルオキシ基を有するような化合物を製造する際に不可欠な原料が入手できないという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平7−306317号公報
【特許文献2】特開2004−323729号公報
【特許文献3】特開2004−277488号公報
【特許文献4】米国5087672号公報
【特許文献5】米国2002−0036285号公報
【特許文献6】特開昭59−70643号公報
【特許文献7】WO00/05198号公報
【特許文献8】EP1174411号公報
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】マクロモレキュル.ケム.,179(1978)p273
【非特許文献2】マクロモレキュル.ケム.,183(1982)p2311
【非特許文献3】リキッドクリスタルズ(2004)31(2)p185〜199
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明が解決しようとする課題は、重合性液晶化合物の有用中間体である(メタ)アクリロイルオキシ基を持つアロマティック/アルキルカルボン酸の製造方法を提供し、併せてその製造方法における中間体である(メタ)アクリロイルオキシ基を持つアロマティック/アルキルカルボン酸アリルエステルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本願発明者らは種々の検討を行った結果、特定の構造を有する化合物が前述の課題を解決できることを見出し、併せてその化合物の製造法を完成するに至った。
【0021】
下記の(1)〜(3)の工程を含む、一般式(V)で表されるカルボン酸の製造法及び中間体一般式(IV)で表される化合物を提供する。
(1) 一般式(I)
【0022】
【化7】

【0023】
(式中、Lは、単結合、−CH−又は−C−を表し、Aは、一般式(A−1)〜一般式(A−4)で表される置換基を表し、
【0024】
【化8】

【0025】
(式中、フェニレン基及びナフチル基は1個又は2個以上のフッ素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシル基によって置換されていても良く、Zはそれぞれ独立に水素原子、水酸基又はHOCO−を表すが、少なくとも一つは水酸基又はHOCO−を表す。)で表される化合物をアリルアルコール又はアリルハライドによりエステル化し、一般式(II)
【0026】
【化9】

【0027】
(式中、A及びLは一般式(I)におけるA及びLと同じ意味を表す。)で表される化合物を製造する工程。
(2) 一般式(II)で表される化合物及び一般式(III)
【0028】
【化10】

【0029】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Lは−(CH)n−を表すが、nは0〜12を表し、Xはnが1〜12を表す場合、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、水酸基、水素原子、アルカンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表し、nが0を表す場合Xはアルカンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基又はトリフルオロメタンスルホニル基を表す。)で表される化合物を反応させ、Z中の水酸基及びHOCO−をエステル化することにより一般式(IV)
【0030】
【化11】

【0031】
(式中、Lは一般式(I)におけるLと同じ意味を表し、Aは、一般式(A−1)〜一般式(A−4)
【0032】
【化12】

【0033】
(式中、フェニレン基及びナフチル基は1個又は2個以上のフッ素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシル基によって置換されていても良く、Zは水素原子又は一般式(Z−1)
【0034】
【化13】

【0035】
(式中、R及びLは一般式(III)におけるR及びLと同じ意味を表し、Yはそれぞれ独立に単結合、−O−又は−OCO−を表す。)で表される置換基を表す。)で表される置換基を表す。)を製造する工程。
(3) 塩基存在下、パラジウム触媒により一般式(IV)で表されるカルボン酸エステル化合物を脱保護し一般式(V)
【0036】
【化14】

【0037】
(式中、A及びLは一般式(IV)におけるA及びLと同じ意味を表す。)で表される化合物を製造する工程。
【発明の効果】
【0038】
本願発明の製造方法により、重合性液晶化合物の有用中間体である(メタ)アクリロイルオキシ基を持つアロマティック/アルキルカルボン酸を高収率かつ高純度で製造することが可能となった。また、重要中間体である(メタ)アクリロイルオキシ基を持つアロマティック/アルキルカルボン酸アリルエステルを提供することが可能となった。これにより、これまで製造が困難であったエステル結合を分子内に複数有する重合性液晶化合物が容易に製造できるようになった。
【発明を実施するための形態】
【0039】
一般式(II)で表される化合物は一般式(I)で表される化合物とアリルアルコール又はアリルハライドとのエステル化により得ることが出来る。
【0040】
エステル化は一般式(I)で表される化合物を濃硫酸、p−トルエンスルホン酸等のルイス酸又はブレンステッド酸存在下に加熱還流することが好ましい。
【0041】
また、一般式(II)で表される化合物は塩基の存在下に一般式(I)で表される化合物とアリルハライドを反応させることによっても得ることが出来る。
【0042】
この反応において溶媒としてはアセトン、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンが好ましく、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドンが更に好ましい。
【0043】
アリルハライドとしては塩化アリル、臭化アリル及びヨウ化アリルが好ましく、塩化アリルが更に好ましい。
【0044】
塩基としては炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム及び炭酸カルシウム等の無機塩基並びにピリジン、ピリミジン、トリエチルアミン及びジエチルアミン等の有機塩基が好ましく、特に炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム及びピリジンが好ましい。
【0045】
反応温度は大気圧中で使用する溶媒及びアリルハライドの沸点未満が好ましい。例えばN,N−ホルムアミド溶媒中で塩化アリルと反応させる場合には30℃から140℃が好ましく、50℃から80℃が更に好ましい。
【0046】
一般式(III)で表される化合物においてXは脱離基を表すが、酸の存在下にω−ハロゲノアルキル−1−アルコールとのエステル化によって得ることが出来る。
【0047】
このエステル化には有機溶媒として単独又は混合溶媒として、ベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン又はオクタンを用いることが出来る。
【0048】
反応温度は使用する有機溶媒の沸点又は共沸温度以下で行うことが出来、例えばシクロヘキサンとトルエンの混合溶媒の場合には70〜150℃が好ましく、80〜120℃が更に好ましい。
【0049】
酸としてはルイス酸及びブレンステッド酸を用いることが出来、濃硫酸又はp−トルエンスルホン酸が好ましい。
【0050】
一般式(IV)で表される化合物は塩基の存在下に一般式(II)で表される化合物及び一般式(III)で表される化合物をエーテル化することにより得ることが出来る。
【0051】
この反応において、有機溶媒としてアセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドンが好ましく、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドンが更に好ましい。
【0052】
塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム及び炭酸カルシウム等の無機塩基並びにピリジン、ピリミジン、トリエチルアミン及びジエチルアミン等の有機塩基が好ましく、特に炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム及びピリジンが好ましい。
【0053】
反応温度としては室温から180℃が好ましく、70〜140℃が更に好ましい。
【0054】
一般式(V)で表される化合物は塩基の存在下、パラジウム触媒を用いた一般式(IV)で表される化合物のアリル基の除去により得ることが出来る。
【0055】
使用する有機溶媒としてはテトラヒドロフラン、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、酢酸エチル、メタノール又はエタノールが好ましく、これらは単独で用いても混合して用いてもよい。
【0056】
使用する塩基としては、アリルオキシアニリン、4−ブロモ−N−メチルアニリン、2−フルオロ−N−メチルアニリン,4−フルオロ−N−メチルアニリン,4−メトキシ−N−メチルアニリン、2−メチル−N−メチルアニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−ブチルアニリン、アニリン、ジフェニルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等が挙げられるが、好ましくは、2−メチル−N−メチルアニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−ブチルアニリン、ジフェニルアミンであり、これらは単独で用いても複数用いてもよい。
【0057】
触媒として使用するパラジウム錯体としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス[(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム、ジクロロビス[(ジフェニルホスフィノ)プロパン]パラジウム、ジクロロビス[(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム、ジクロロビス[(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム、酢酸パラジウム又は塩化パラジウムが好ましく、これらは単独で用いても複数用いてもよく、更に配位子としてトリアルキルホスフィン又はトリアリールホスフィンを有していても良く、特にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム又は配位子としてトリフェニルホスフィンを有する酢酸パラジウムが好ましい。
【0058】
使用する触媒量としては、一般式(IV)で表される化合物に対して1〜10mol%であることが好ましい。
【0059】
使用する塩基の量としては一般式(IV)で表される化合物1molに対して0.8〜3molであることが好ましい。
【0060】
反応温度としては、−10〜100℃が好ましく、0〜40℃が更に好ましい。
【0061】
一般式(IV)で表される化合物としては環構造Aとして一般式(A−1)、(A−3)又は(A−4)で表される化合物が好ましい。
【実施例】
【0062】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、得られた化合物の純度はガスクロマトグラフィー(以下GC)(カラム:DB−1 30m、膜厚0.25μm、内径0.25mm、検出器:FID)及び高速液体クロマトグラフィー(以下HPLC)(カラム:Wakosil−II 5SIL−120 φ4.6 mm×250 mm、展開溶媒:ヘキサン/ジクロロメタン)により行った。
(実施例1) 6−クロロへキシルアクリレートの製造方法
【0063】
【化15】

【0064】
108gのアクリル酸、136.5gの6−クロロヘキサン−1−オール、19gの4−トルエンスルホン酸及び0.5gのヒドロキノンモノメチルエーテルを700mLのシクロヘキサンに溶解し、7時間攪拌しながら加熱還流した。途中留出してくる水を除去した。反応溶液を酢酸エチルで希釈した後、水を加え洗滌した後、有機相を分液した。水相から酢酸エチルで有機物を抽出し、すべての有機相をあわせた後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗滌した。有機相を無水硫酸マグネシウムで脱水した後、固形分をろ別し、溶媒を留去して、185gの6−クロロへキシルアクリレート(収率:81.7%、純度(GC):92.2%)を得た。
(実施例2) 10−ブロモデシルアクリレートの製造方法
【0065】
【化16】

【0066】
実施例1において6−クロロヘキサン−1−オールに換えて10−ブロモデカン−1−オールを用いる以外は同様にして10−ブロモデシルアクリレート(収率:90%、純度(GC):89.9%)を得た。
(実施例3) 3−クロロプロピルアクリレートの製造方法
【0067】
【化17】

【0068】
実施例1において6−クロロヘキサン−1−オールに換えて3−クロロプロパン−1−オールを用いる以外は同様にして3−クロロプロピルアクリレート(収率:96.6%、純度(GC):96.8%)を得た。
(実施例4) 3−クロロプロピルメタクリレートの製造方法
【0069】
【化18】

【0070】
実施例3においてアクリル酸に換えてメタクリル酸を用いる以外は同様にして3−クロロプロピルメタクリレート(収率:92.5%、純度(GC):〜100%)を得た。
(実施例5) アリル 4−ヒドロベンゾエートの製造方法
【0071】
【化19】

【0072】
34.5gの4−ヒドロキシ安息香酸、22.8gの塩化アリル及び32gの炭酸水素ナトリウムを200mLのDMFに加え、60℃に加熱して一晩攪拌した。その反応溶液を室温まで冷却した後、酢酸エチルで希釈し、固形分をろ別した。得られた有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗滌した。無水硫酸ナトリウムで脱水した後、固形分をろ別し、溶媒を留去して乳白色の固体を得た。得られた固体をヘキサンで濯ぎ、31.5gのアリル 4−ヒドロベンゾエート(収率:70.8%、純度(HPLC):97.2%)を得た。
(実施例6) アリル 3,4−ジヒドロキシベンゾエートの製造方法
【0073】
【化20】

【0074】
25gの3,4−ジヒドロキシ安息香酸、136gのアリルアルコール及び2mLの濃硫酸を攪拌しながら20時間加熱還流した。その後、アリルアルコールを減圧下留去した。酢酸エチルで希釈した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗滌した。無水硫酸ナトリウムで脱水した後、固形分をろ別し、溶媒を留去して乳白色の固体を得た。得られた個体をヘプタンで濯ぎ、22.8gのアリル 3,4−ジヒドロキシベンゾエート(収率:72.4%、純度(HPLC):98.2%)を得た。
(実施例7) アリル 3,4,5−トリヒドロキシベンゾエートの製造方法
【0075】
【化21】

【0076】
実施例6において3,4−ジヒドロキシ安息香酸に換えて、3,4、5−トリヒドロキシ安息香酸を用いる以外は同様にして、アリル 3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート(収率:76.2%、純度(HPLC):98.3%)を得た。
(実施例8) アリル 3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸の製造方法
【0077】
【化22】

【0078】
実施例6において3,4−ジヒドロキシ安息香酸に換えて、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸を用いる以外は同様にして、アリル 3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸(収率:96.5%、純度(HPLC):95.1%)を得た。
(実施例9) アリル 4’−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸
【0079】
【化23】

【0080】
実施例6において3,4−ジヒドロキシ安息香酸に換えて、4’−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸を用いる以外は同様にして、アリル 4’−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸(収率:78.3%、純度(HPLC):95.2%)を得た。
(実施例10) アリル 4−(3−(アクリロイルオキシ)プロポキシ)安息香酸
【0081】
【化24】

【0082】
31.5gのアリル 4−ヒドロキシ安息香酸と31.4gの3−クロロプロピルアクリレート及び36.6gの炭酸カリウムを200mLのN,N−ジメチルホルムアミドに加え、80℃に加熱して一晩攪拌した。室温まで冷却した後、酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗滌した。無水硫酸ナトリウムで脱水した後、固形分をろ別し、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:ヘプタンから10%酢酸エチル/90%ヘプタンへとグラジエントをかけた。)により精製して、22.8gのアリル 4−(3−(アクリロイルオキシ)プロポキシ)安息香酸(収率:84.8%、純度(HPLC):97.3%)を得た。
H NMR (CDCl)δ8.02(d,2H),6.91(d,2H),6.43(d,1H),6.12(dd,1H),6.02(m,1H),5.83(d,1H),5.41(d,1H),5.27(d,1H),4.79(d,2H),4.36(t,2H),4.11(t,2H),2.18(m,2H)
(実施例11) アリル 3,4−ビス(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)安息香酸の製造方法
【0083】
【化25】

【0084】
実施例10においてアリル 4−ヒドロキシ安息香酸に換えて、アリル 3,4−ジヒドロキシ安息香酸を、3−クロロプロピルアクリレートに換えて6−クロロへキシルアクリレートを用いる以外は同様にして、アリル 3,4−ビス(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)安息香酸(収率:63.2%、純度(HPLC):95.2%)を得た。
H NMR (CDCl)δ7.68 (d,1H),7.55(s,1H),6.87(d,1H),6.39(d,2H),6.13(dd,2H),6.03(m,1H),5.81(d,2H),5.39(d,1H),5.27(d,1H),4.79(d,2H),4.16(t,4H),4.05(t,4H),1.60(m,16H)
(実施例12) アリル 3,4,5−トリス(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)安息香酸の製造方法
【0085】
【化26】

【0086】
実施例11においてアリル 3,4−ジヒドロキシ安息香酸に換えてアリル 3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸を用いる以外は同様にして、アリル 3,4,5−トリス(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)安息香酸(収率:79.3%、純度(HPLC):96.8%)を得た。
H NMR (CDCl)δ7.28(s,2H),6.40(d,3H),6.13(dd,3H),6.03(m,1H),5.81(d,3H),5.40(d,1H),5.39(d,1H),4.81(d,2H),4.17(m,6H),4.02(m,6H),1.69(m,24H)
(実施例13) アリル 3,4−ビス(10−(アクリロイルオキシ)デシルオキシ)安息香酸の製造方法
【0087】
【化27】

【0088】
実施例11において6−クロロへキシルアクリレートに換えて10−ブロモデシルアクリレートを用いる以外は同様にして、アリル 3,4−ビス(10−(アクリロイルオキシ)デシルオキシ)安息香酸(収率:68.2%、純度(HPLC):98.0%)を得た。
H NMR (CDCl)δ7.66(d,1H),7.55 (s, 1H), 6.86 (d, 1H), 6.39 (d, 2H), 6.12 (dd, 2H), 6.04 (m, 1H), 5.81 (d, 2H), 5.39 (d, 1H), 5.27 (d, 1H), 4.79 (d,2H),4.15 (m, 4H), 4.03 (m, 4H), 1.82 (m, 4H), 1.66 (m, 4H), 1.47 (m, 4H), 1.27 (m, 20H)
(実施例14) アリル 3,4,5−トリス(10−(アクリロイルオキシ)デシルオキシ)安息香酸の製造方法
【0089】
【化28】

【0090】
実施例13においてアリル 3,4−ジヒドロキシ安息香酸に換えてアリル 3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸を用いる以外は同様にして、アリル 3,4,5−トリス(10−(アクリロイルオキシ)デシルオキシ)安息香酸(収率:95.2%、純度(HPLC):95.0%)を得た。
(実施例15) アリル 3−(4−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)フェニル)プロピオン酸の製造方法
【0091】
【化29】

【0092】
実施例11においてアリル 3,4−ジヒドロキシ安息香酸に換えてアリル 3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸を用いる以外は同様にして、アリル 3−(4−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)フェニル)プロピオン酸(収率:89.6%、純度(HPLC):90.1%)を得た。
H NMR (CDCl)δ7.09(d,2H),6.80(d,2H),6.38(d,1H),6.11(dd,1H),6.90(m,1H),5.78(d,1H),5.27(d,1H),5.20(d,1H),4.56(d,2H),4.16(t,2H),3.92(t,2H),2.89(t,2H),2.61(t,2H),1.77(m,2H),1.70(m,2H),1.46(m,4H)
(実施例16) アリル 4’−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ビフェニル−4−カルボン酸の製造方法
【0093】
【化30】

【0094】
実施例11においてアリル 3,4−ジヒドロキシ安息香酸に換えてアリル 4’−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸を用いる以外は同様にして、アリル 4’−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ビフェニル−4−カルボン酸(収率:84.0%、純度(HPLC):98.7%)を得た。
H NMR (CDCl)δ8.12(d,2H),7.64(d,2H),7.58(d,2H),7.01(d,2H),6.42(d,1H),6.16(dd,1H),6.11(m,1H),5.84(d,1H),5.47(d,1H),5.33(d,1H),4.87(d,2H),4.21(t,2H),4.03(t,2H),1.85(m,2H),1.75(m,2H),1.55(m,4H)
(実施例17) 4−(3−(アクリロイルオキシ)プロポキシ)安息香酸の製造方法
【0095】
【化31】

【0096】
8.1gのアリル 4−(3−(アクリロイルオキシ)プロポキシ)安息香酸、4.1gのN−メチルアニリン、0.28gの酢酸パラジウム及び0.66gのトリフェニルホスフィンを50mLのアセトニトリルに加え、窒素雰囲気下、室温で一晩攪拌した。反応溶液を酢酸エチルで希釈し、5%塩酸及び飽和食塩水で洗滌した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、
固形分をろ別し、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:ジクロロメタン)により精製して、4.2gの4−(3−(アクリロイルオキシ)プロポキシ)安息香酸(収率:80.0%、純度(HPLC):93.0%)を得た。
(実施例18) 3,4−ビス(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)安息香酸の製造方法
【0097】
【化32】

【0098】
実施例17においてアリル 4−(3−(アクリロイルオキシ)プロポキシ)安息香酸に換えてアリル 3,4−ビス(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)安息香酸を用いる以外は同様にして、3,4−ビス(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)安息香酸(収率:73.8%、純度(HPLC):95.0%)を得た。
(実施例19) 3,4,5−トリス(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)安息香酸の製造方法
【0099】
【化33】

【0100】
実施例17においてアリル 4−(3−(アクリロイルオキシ)プロポキシ)安息香酸に換えてアリル 3,4,5−トリス(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)安息香酸を用いる以外は同様にして、3,4,5−トリス(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)安息香酸(収率:90.5%、純度(HPLC):95.0%)を得た。
(実施例20) 3,4−ビス(10−(アクリロイルオキシ)デシルオキシ)安息香酸の製造方法
【0101】
【化34】

【0102】
実施例17においてアリル 4−(3−(アクリロイルオキシ)プロポキシ)安息香酸に換えてアリル 3,4−ビス(10−(アクリロイルオキシ)デシルオキシ)安息香酸を用いる以外は同様にして、3,4−ビス(10−(アクリロイルオキシ)デシルオキシ)安息香酸(収率:77.4%、純度(HPLC):98.0%)を得た。
(実施例21) 3,4,5−トリス(10−(アクリロイルオキシ)デシルオキシ)安息香酸の製造方法
【0103】
【化35】

【0104】
実施例17においてアリル 4−(3−(アクリロイルオキシ)プロポキシ)安息香酸に換えてアリル 3,4,5−トリス(10−(アクリロイルオキシ)デシルオキシ)安息香酸を用いる以外は同様にして、3,4,5−トリス(10−(アクリロイルオキシ)デシルオキシ)安息香酸(収率:75.2%)を得た。
(実施例22) 3−(4−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)フェニルプロピオン酸の製造方法
【0105】
【化36】

【0106】
実施例17においてアリル 4−(3−(アクリロイルオキシ)プロポキシ)安息香酸に換えてアリル 3−(4−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)フェニルプロピオン酸を用いる以外は同様にして、3−(4−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)フェニルプロピオン酸(収率:83.3%、純度(HPLC):97.0%)を得た。
(実施例23) 4’−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ビフェニル−4−カルボン酸の製造方法
【0107】
【化37】

【0108】
実施例17においてアリル 4−(3−(アクリロイルオキシ)プロポキシ)安息香酸に換えてアリル 4’−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ビフェニル−4−カルボン酸を用いる以外は同様にして、4’−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ビフェニル−4−カルボン酸(収率:83.0%、純度(HPLC):97.0%)を得た。
(比較例1)
撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に4-ヒドロキシ安息香酸 13.8g(100ミリモル)、ヨウ化カリウム 2.5g、テトラブチルアンモニウムブロミド 0.7g、エタノール 400mlを仕込み室温で攪拌した。水酸化ナトリウム 12gの25%水溶液をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を50℃に保ち、3-プロピルヘキサノール 14g(150ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を更に70℃に加温して更に3時間反応させた。反応終了後、10%塩酸で中和して酢酸エチルで抽出を行い、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を濃縮して4−(3−ヒドロキプロポキシ)安息香酸(収率:65.0%、純度(HPLC):95.0%)を12g得た。
【0109】
【化38】

【0110】
次いで、撹拌装置、冷却器及びディーンスタックを備えた反応容器に、4−(3−ヒドロキプロポキシ)安息香酸を12g(61ミリモル)、アクリル酸 10g(140ミリモル)、p−トルエンスルホン酸 1g、トルエン100mlを仕込んだ。反応容器を加熱してトルエン還流させそのまま4時間反応させた。反応終了後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄した後、10%塩酸水溶液で中和、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去して、4−(3−(アクリロイルオキシ)プロポキシ)安息香酸(収率:75.0%、純度(HPLC):88.0%)11.4gを得た。本発明の製造方法と比べ、収率及び純度が低いものであった。
【0111】
【化39】

【0112】
(比較例2)
撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に(4‘−ヒドロキシ)ビフェニル−4−カルボン酸 21.4g(100ミリモル)、ヨウ化カリウム 2。5g、テトラブチルアンモニウムブロミド 0.7g、エタノール 400mlを仕込み室温で攪拌した。水酸化ナトリウム 12gの25%水溶液をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を50℃に保ち、6−クロロヘキサノール 20.5g(150ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を更に70℃に加温して更に3時間反応させた。反応終了後、10%塩酸で中和して酢酸エチルで抽出を行い、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を濃縮して(4‘−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)ビフェニル−4−カルボン酸(収率:65%、純度(HPLC):86.0%)を20.4g合成した。
【0113】
【化40】

【0114】
次いで、撹拌装置、冷却器及びディーンスタックを備えた反応容器に、4‘−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)ビフェニル−4−カルボン酸を20g(63ミリモル)、アクリル酸 10g(140ミリモル)、p−トルエンスルホン酸 1g、トルエン100mlを仕込んだ。反応容器を加熱してトルエン還流させそのまま4時間反応させた。反応終了後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄した後、10%塩酸水溶液で中和、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去して、4’−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ビフェニル−4−カルボン酸(収率:72%、純度(HPLC):86.0%)を16.6gを得た。本発明の製造方法と比べ、収率及び純度が低いものであった。
【0115】
【化41】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(1)〜(3)の工程を含む、一般式(V)で表されるカルボン酸の製造法。
(1) 一般式(I)
【化1】

(式中、Lは、単結合、−CH−又は−C−を表し、Aは、一般式(A−1)〜一般式(A−4)で表される置換基を表し、
【化2】

(式中、フェニレン基及びナフチル基は1個又は2個以上のフッ素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシル基によって置換されていても良く、Zはそれぞれ独立に水素原子、水酸基又はHOCO−を表すが、少なくとも一つは水酸基又はHOCO−を表す。))で表される化合物をアリルアルコール又はアリルハライドによりエステル化し、一般式(II)
【化3】

(式中、A及びLは一般式(I)におけるA及びLと同じ意味を表す。)で表される化合物を製造する工程。
(2) 一般式(II)で表される化合物及び一般式(III)
【化4】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Lは−(CH)n−を表すが、nは0〜12を表し、Xはnが1〜12を表す場合、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、水酸基、水素原子、アルカンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表し、nが0を表す場合Xはアルカンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基又はトリフルオロメタンスルホニル基を表す。)で表される化合物を反応させ、Z中の水酸基及びHOCO−をエステル化することにより一般式(IV)
【化5】

(式中、Lは一般式(I)におけるLと同じ意味を表し、Aは、一般式(A−1)〜一般式(A−4)
【化6】

(式中、フェニレン基及びナフチル基は1個又は2個以上のフッ素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシル基によって置換されていても良く、Zは水素原子又は一般式(Z−1)
【化7】

(式中、R及びLは一般式(III)におけるR及びLと同じ意味を表し、Yはそれぞれ独立に単結合、−O−又は−OCO−を表す。)で表される置換基を表す。)で表される置換基を表す。)を製造する工程。
(3) 塩基存在下、パラジウム触媒により一般式(IV)で表されるカルボン酸エステル化合物を脱保護し一般式(V)
【化8】

(式中、A及びLは一般式(IV)におけるA及びLと同じ意味を表す。)で表される化合物を製造する工程。
【請求項2】
請求項1記載の一般式(IV)で表されるカルボン酸エステルを得るために、請求項1記載の一般式(II)で表される化合物と一般式(III)で表される化合物を反応させた後、塩基存在下、触媒としてパラジウム錯体(Pd(0)Ln)を用いて一般式(IV)で表されるカルボン酸エステルの脱保護を行う一般式(V)で表されるカルボン酸の製造方法。
【請求項3】
塩基存在下、触媒としてパラジウム錯体(Pd(0)Ln)を用いて請求項1記載の一般式(IV)で表されるカルボン酸エステルの脱保護を行う一般式(V)で表されるカルボン酸の製造方法。
【請求項4】
塩基としてアミンを用いる請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
塩基として一般式(VI)

(式中、R及びRはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜12のアルキル基又はフェニル基を表す。)で表される化合物を用いる請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
パラジウム錯体(Pd(0)Ln)の配位子(Ln)がトリアルキルホスフィン又はトリアリールホスフィンである請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
脱保護工程を0〜40℃で行う請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
パラジウム錯体の量が一般式(IV)で表される化合物に対し、1〜10mol%である請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
アミンの使用量が一般式(IV)で表される化合物1molに対し0.8〜3molである請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
一般式(IV)
【化9】

(式中、Lは請求項1記載の一般式(I)におけるLと同じ意味を表し、Aは、一般式(A−1)〜一般式(A−4)で表される置換基を表し、
【化10】

(式中、フェニレン基及びナフチル基は1個又は2個以上のフッ素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシル基によって置換されていても良く、Zは水素原子又は一般式(Z−1)
【化11】

(式中、R及びLは請求項1記載の一般式(III)におけるR及びLと同じ意味を表し、Yはそれぞれ独立に単結合、−O−又は−OCO−を表す。)で表される置換基を表す。)で表される化合物。
【請求項11】
請求項10においてAが一般式(A−1)又は一般式(A−3)で表される置換基を表す化合物。
【請求項12】
請求項10においてAが一般式(A−4)で表される置換基を表し、Zが一般式(Z−1)で表される置換基を表す化合物。

【公開番号】特開2011−121941(P2011−121941A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258907(P2010−258907)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】