説明

カルボン酸エステル類の製造方法

【課題】工業的に有利なカルボン酸エステル類の製造方法を提供すること。
【解決手段】トリアリールカルベニウムカチオンと1価のアニオンとからなるトリアリールカルベニウム化合物の存在下に、カルボン酸とアルコール類とを反応させるカルボン酸エステル類の製造方法。かかるトリアリールカルベニウム化合物としては、式(1)


(式中、Arは置換されていてもよいアリール基を表し、Yはハロゲン化物イオン、置換されていてもよいアルキルスルホン酸イオン、置換されていてもよいアリールスルホン酸イオン、硫酸水素イオン、置換されていてもよいアルキルカルボン酸イオン、置換されていてもよいアリールカルボン酸イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、四ハロゲン化ホウ酸イオン、六ハロゲン化リン酸イオン、六ハロゲン化アンチモン酸イオン、五ハロゲン化スズ酸イオン等を表す。)
で示される化合物が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボン酸エステル類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カルボン酸エステル類は、医農薬原体、電子材料をはじめとする各種化学製品およびそれらの合成中間体等として重要な化合物である(例えば、特許文献2参照。)。カルボン酸エステル類の製造方法としては、一般的には、ハロゲン化剤を用いてカルボン酸を酸ハロゲン化物とした後に、アルコール類と反応させる方法が用いられている。しかし、この方法では、発生するハロゲン化水素の中和のために塩基を必要とし、廃棄物として大量の塩が発生するという点で問題があった。そこで、このような廃棄物を生じない、いわゆる環境調和型の反応として、カルボン酸とアルコール類との直接エステル化反応が種々開発されている。
【0003】
かかる直接エステル化反応に用いる触媒としては、例えば、周期律表第4族元素化合物を用いる方法(例えば、特許文献1、2参照。)、ジフェニルアンモニウムトリフラートを用いる方法(例えば、非特許文献1参照。)、かさ高いジアリールアミンのアレーンスルホン酸塩を用いる方法(例えば、非特許文献2参照。)等が知られている。しかしながら、これらの方法においては、触媒の活性や入手性に問題があり、工業的な製法として必ずしも十分なものとはいえなかった。
【0004】
【特許文献1】特開2002−293760号公報
【特許文献2】特開2003−2866号公報
【非特許文献1】Tetrahedron Letters,41,5249(2000)
【非特許文献2】J.Am.Chem.Soc.,127,4168(2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明者は、工業的により有利なカルボン酸エステル類の製造方法を開発すべく、鋭意検討したところ、入手容易なトリアリールカルベニウム化合物を触媒として、カルボン酸とアルコール類との反応を実施することにより、カルボン酸エステル類が効率よく得られることを見出し、本発明に至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、トリアリールカルベニウムカチオンと1価のアニオンとからなるトリアリールカルベニウム化合物の存在下に、カルボン酸とアルコール類とを反応させるカルボン酸エステル類の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、工業的に入手容易な触媒を用いて、カルボン酸エステル類を効率よく製造することができる。また、かかる反応を有機塩基の存在下に実施すれば、さらに効率よく反応が進行するため、工業的に有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0009】
トリアリールカルベニウム化合物としては、トリアリールカルベニウムカチオンと1価のアニオンとからなる化合物であれば、特に限定されず、例えば式(1)
【化1】

(式中、Arは置換されていてもよいアリール基を表し、Yはハロゲン化物イオン、置換されていてもよいアルキルスルホン酸イオン、置換されていてもよいアリールスルホン酸イオン、硫酸水素イオン、置換されていてもよいアルキルカルボン酸イオン、置換されていてもよいアリールカルボン酸イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、四ハロゲン化ホウ酸イオン、六ハロゲン化リン酸イオン、六ハロゲン化アンチモン酸イオン、五ハロゲン化スズ酸イオンまたは置換されていてもよいテトラアリールボレートを表す。)
で示されるトリアリールカルベニウム化合物が挙げられる。
【0010】
式中、Arで示されるアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基が挙げられる。これらのアリール基上に有していてもよい置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基等の置換されていてもよいアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、フルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の置換されていてもよいアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;等が挙げられる。かかる置換基で置換されたアリール基の具体例としては、2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基等が挙げられる。
【0011】
式中、Yで表されるハロゲン化物イオンとしては、例えば塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンが挙げられる。置換されていてもよいアルキルスルホン酸イオンとしては、例えばメタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ペンタフルオロエタンスルホン酸イオン等が挙げられる。置換されていてもよいアリールスルホン酸イオンとしては、例えばp−トルエンスルホン酸イオン、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸イオン等が挙げられる。置換されていてもよいアルキルカルボン酸イオンとしては、例えば酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン等が挙げられる。置換されていてもよいアリールカルボン酸イオンとしては、例えば安息香酸イオン等が挙げられる。四ハロゲン化ホウ酸イオンとしては、例えば四フッ化ホウ酸イオン、四塩化ホウ酸イオン等が挙げられる。六ハロゲン化リン酸イオンとしては、例えば六フッ化リン酸イオン等が挙げられる。六ハロゲン化アンチモン酸イオンとしては、例えば六フッ化アンチモン酸イオン、六塩化アンチモン酸イオン等が挙げられる。五ハロゲン化スズ酸イオンとしては、例えば五フッ化スズ酸イオン、五塩化スズ酸イオン等が挙げられる。
【0012】
置換されていてもよいテトラアリールボレートとしては、例えば、テトラフェニルボレート;テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のフッ素原子で置換されたテトラアリールボレート;テトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート等のトリフルオロメチル基で置換されたテトラアリールボレート;等が挙げられる。Yとして好ましくは、フッ素原子で置換されたテトラアリールボレートまたはトリフルオロメチル基で置換されたテトラアリールボレートであり、より好ましくはフッ素原子で置換されたテトラアリールボレートである。
【0013】
トリアリールカルベニウム化合物としては、例えば、トリフェニルカルベニウムクロライド、トリフェニルカルベニウムブロマイド、トリフェニルカルベニウムヨーダイド、トリフェニルカルベニウムバイスルフェート、トリフェニルカルベニウムメタンスルフォネート、トリフェニルカルベニウムトリフルオロメタンスルフォネート、トリフェニルカルベニウムトリフルオロアセテート、トリフェニルカルベニウムナイトレート、トリフェニルカルベニウムパークロレート、トリフェニルカルベニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルカルベニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリフェニルカルベニウムヘキサクロロアンチモネート、トリフェニルカルベニウムペンタクロロスタネート、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(4−クロロフェニル)カルベニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウム テトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、トリ(4−メトキシフェニル)カルベニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(4−メチルフェニル)カルベニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。好ましくは、トリフェニルカルベニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0014】
かかるトリアリールカルベニウム化合物は、市販のものを用いてもよいし、例えば特開平9−295984等に記載の公知の方法により製造することもできる。
【0015】
次に、トリアリールカルベニウム化合物の存在下における、カルボン酸とアルコール類とのエステル化反応について説明する。
【0016】
本発明に用いるカルボン酸は、分子内にカルボニル基を1以上有する有機化合物であれば特に限定されず、その代表例としては、式(2)
【化2】

(式中、Rは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアリール基を表す。)
で示されるカルボン酸(以下、カルボン酸(2)と略記する。)が挙げられる。また、例えば、シュウ酸、マロン酸、フタル酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸等のジカルボン酸等も挙げられる。かかるカルボン酸は、市販のものを用いてもよいし、任意の公知方法により製造したものを用いてもよい。
【0017】
式(2)において、Rで示されるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−デシル基、シクロプロピル基、2,2−ジメチルシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メンチル基等の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。これらのアルキル基上に有していてもよい置換基としては、例えば、フッ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;フェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基等のアリールオキシ基;エテニル基、1−プロペニル基、1−メチルエテニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−デセニル基等のアルケニル基;等が挙げられる。かかる置換基で置換されたアルキル基の具体例としては、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、3−オキソブチル基、メトキシエチル基、メトキシカルボニルメチル基、ベンジル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロピル基、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロピル基等が挙げられる。
【0018】
アルケニル基としては、例えばエテニル基、1−プロペニル基、1−メチルエテニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−デセニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基等の直鎖状、分枝鎖状または環状の炭素数2〜12のアルケニル基が挙げられる。これらのアルケニル基上に有していてもよい置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等のアリール基;フェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基等のアリールオキシ基;アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基;等が挙げられる。かかる置換基で置換されたアルケニル基の具体例としては、3−フルオロ−1−プロペニル基、3−メトキシ−1−プロペニル基、3−フェノキシ−1−ブテニル基、スチリル基等が挙げられる。
【0019】
アリール基としては、例えばフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基が挙げられる。これらのアリール基上に有していてもよい置換基としては、例えば、前記置換されていてもよいアルキル基;前記置換されていてもよいアルケニル基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等のアリール基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;シアノ基;ニトロ基;等が挙げられる。かかる置換基で置換されたアリール基の具体例としては、2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−アセチルフェニル基;等が挙げられる。
【0020】
かかるカルボン酸(2)としては、例えば酢酸、プロピオン酸、n−ブタン酸、n−ペンタン酸、n−ヘキサン酸、n−ヘプタン酸、n−オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、ピバル酸、tert−ブチル酢酸、アクリル酸、ピルビン酸、桂皮酸、フェニル酢酸、安息香酸、2−フルオロ安息香酸、2−クロロ安息香酸、2−ブロモ安息香酸、3−フルオロ安息香酸、3−クロロ安息香酸、3−ブロモ安息香酸、4−フルオロ安息香酸、4−クロロ安息香酸、4−ブロモ安息香酸、2,4−ジフルオロ安息香酸、2,4−ジクロロ安息香酸、3,5−ジフルオロ安息香酸、3−フェノキシ安息香酸、4−メチル安息香酸、3−トリフルオロメチル安息香酸、2−メトキシ安息香酸、1−ナフトエ酸、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸等が挙げられる。
【0021】
アルコール類としては、分子内にヒドロキシ基またはメルカプト基を1以上有する有機化合物であれば特に限定されず、その代表例としては、式(3)
【化3】

(式中、Rは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアリール基を表し、Qは酸素原子または硫黄原子を表す。)
で示されるアルコール類(以下、アルコール類(3)と略記する。)が挙げられる。また、例えば、4−ヒドロキシ−3−メチル−2−(2−プロペニル)−2−シクロペンテン−1−オン、4−ヒドロキシ−3−メチル−2−(2−プロピニル)−2−シクロペンテン−1−オン等のヒドロキシシクロアルケノン類;エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ジヒドロキシシクロヘキサン等のジオール類;1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,2−ジメルカプトシクロヘキサン等のジメルカプト化合物;等も挙げられる。かかるアルコール類は、市販のものを用いてもよいし、任意の公知方法により製造したものを用いてもよい。
【0022】
式(3)において、Rで示される置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基および置換されていてもよいアリール基としては、Rとして前述したものと同様の置換基が例示される。
【0023】
かかるアルコール類(3)としては、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、1−ブタンチオール、イソブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサンチオール、1−ヘキサノール、1−ヘキサンチオール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール、ベンジルアルコール、2−フルオロベンジルアルコール、3−フルオロベンジルアルコール、4−フルオロベンジルアルコール、2−ブチン−1−オール、2−クロロベンジルアルコール、4−クロロベンジルアルコール、4−ブロモベンジルアルコール、4−メトキシベンジルアルコール、アリルアルコール、(5−フェノキシ−3−フリル)メチルアルコール、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルアルコール、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロベンジルアルコール、フェノール、チオフェノール等が挙げられる。
【0024】
アルコール類の使用量は特に限定されず、通常、カルボン酸の反応を所望するカルボキシ基1モルに対して、アルコール類の反応を所望するヒドロキシ基またはメルカプト基が1モル存在する量を用いれば、本発明の目的を達成できるが、反応性や経済性等の観点により、溶媒を兼ねて、どちらか一方を過剰量用いてもよい。アルコール類の使用量の好ましい範囲は、カルボン酸の反応を所望するカルボキシ基1モルに対して、アルコール類の反応を所望するヒドロキシ基またはメルカプト基が0.5〜2モルの範囲である。
【0025】
本反応は、有機溶媒の存在下に実施することもできるし、有機溶媒の非存在下に実施することもできる。
【0026】
有機溶媒としては、例えば、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジグライム等のエーテル溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素溶媒;等が挙げられる。また、水と共沸する溶媒の存在下、副生物である水を共沸により連続的に除去しながら実施することもできる。
【0027】
有機溶媒の使用量は特に制限されないが、容積効率等を考慮すると、実用的には、カルボン酸に対して、通常100重量倍以下である。反応温度は、通常−20〜200℃の範囲である。
【0028】
トリアリールカルベニウム化合物の使用量は、カルボン酸の反応を所望するカルボキシ基1モルに対して、通常、0.001〜0.05モルの範囲である。
【0029】
本反応は、必要に応じて、有機塩基の存在下に実施してもよい。トリアリールカルベニウム化合物を用いるエステル化反応は、通常、強酸性条件となるため、カルボン酸またはアルコール類として酸性条件下で不安定な化合物を用いる場合には、有機塩基の存在下に実施することが好ましい。例えば、カルボン酸としてシクロプロパンカルボン酸骨格を有する化合物を用いる場合には、シクロプロパン環の開環反応を抑制する目的で、また、アルコール類として2級アルコールを用いる場合には、脱水反応によるオレフィン化やエーテル化を抑制する目的で、それぞれ有機塩基の存在下に実施することが好ましい。
【0030】
有機塩基としては、例えば、ピリジン、キノリン、2−クロロピリジン、3−ニトロピリジン、ペンタフルオロピリジン、3,5−ジブロモピリジン、2,6−ジブロモピリジン、2,6−ジクロロピリジン、2−クロロー5−ニトロピリジン、2−クロロキノリン等の含窒素芳香族化合物;ジフェニルアミン、N−フェニル−2,6−ジクロロアニリン、ビス(3,5−ジクロロフェニル)アミン、ビス(2−ニトロフェニル)アミン等の2級アミン;トリス(ペンタフルオロエチル)アミン等の3級アミン;等が挙げられる。好ましくは2級アミンおよび含窒素芳香族化合物であり、それらのうち、ペンタフルオロピリジン、3,5−ジブロモピリジン、2,6−ジブロモピリジン、2,6−ジクロロピリジン、2−クロロー5−ニトロピリジン等の電子吸引基を有する含窒素芳香族化合物およびジフェニルアミン、ビス(3,5−ジクロロフェニル)アミン等の電子吸引基で置換されていてもよいジフェニルアミン化合物が特に好ましい。
【0031】
有機塩基の使用量は、トリアリールカルベニウム化合物1モルに対して、通常0.1〜1モルの範囲である。特に好ましい有機塩基として上述した電子吸引基を有する含窒素芳香族化合物または電子吸引基で置換されていてもよいジフェニルアミン化合物を使用する場合、その使用量は、トリアリールカルベニウム化合物1モルに対して、通常0.1〜2モルの範囲である。
【0032】
反応試剤の混合順序は特に制限されず、通常、カルボン酸、アルコール類およびトリアリールカルベニウム化合物ならびに必要により有機溶媒および/または有機塩基を任意の順序で混合し、次いで反応温度を調整することにより実施される。反応温度条件下で混合する場合は、カルボン酸、トリアリールカルベニウム化合物ならびに必要により有機溶媒および/または有機塩基を任意の順序で混合し、該混合物中にアルコール類を加えていくことが好ましい。
【0033】
本反応は、常圧条件下で実施してもよいし、減圧条件あるいは加圧条件下で実施してもよい。また、反応の進行は、例えばガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、NMR、IR等の通常の分析手段により確認することができる。
【0034】
反応終了後、晶析処理や蒸留処理等を行ったり、必要に応じて水および/または水に不溶の有機溶媒を加え、抽出処理し、得られる有機層を濃縮処理したりすることにより、目的のカルボン酸エステル類を得ることができる。得られたカルボン酸エステル類は、例えば蒸留、カラムクロマトグラフィ等の通常の精製手段によりさらに精製してもよい。
【0035】
ここで、水に不溶の有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル等のエーテル溶媒;酢酸エチル等のエステル溶媒;等が挙げられる。
【0036】
本反応により得られるカルボン酸エステル類は、カルボン酸の反応を所望するカルボキシ基と、アルコール類の反応を所望するヒドロキシ基またはメルカプト基とが、脱水縮合し、エステル結合を形成することにより得られる化合物である。例えば、カルボン酸としてカルボン酸(2)を用い、アルコール類としてアルコール類(3)を用いた場合、得られるカルボン酸エステル類は、式(4)
【化4】

(式中、R、RおよびQは、それぞれ上記と同一の意味を表す。)
で示されるカルボン酸エステル類である。
【0037】
かかるカルボン酸エステル類としては、例えば酢酸エチル、プロピオン酸メチル、n−ブタン酸イソプロピル、n−ペンタン酸オクチル、n−ヘキサン酸ベンジル、n−ヘプタン酸ペンチル、n−オクタン酸メチル、シクロヘキサンカルボン酸ベンジル、ピバル酸ベンジル、tert−ブチル酢酸ブチル、アクリル酸エチル、桂皮酸エチル、桂皮酸(1−オクチル)、フェニル酢酸ベンジル、安息香酸メチル、安息香酸イソプロピル、2−フルオロ安息香酸メチル、2−フルオロ安息香酸ベンジル、2−クロロ安息香酸メチル、2−ブロモ安息香酸エチル、3−フルオロ安息香酸プロピル、3−クロロ安息香酸ブチル、3−ブロモ安息香酸ペンチル、4−フルオロ安息香酸メチル、4−クロロ安息香酸メチル、4−ブロモ安息香酸メチル、2,4−ジフルオロ安息香酸ベンジル、2,4−ジクロロ安息香酸エチル、3,5−ジフルオロ安息香酸メチル、3−フェノキシ安息香酸メチル、4−メチル安息香酸メチル、3−トリフルオロメチル安息香酸メチル、2−メトキシ安息香酸メチル、チオ安息香酸S−フェニル、チオ安息香酸S−ブチル、4−フェニルブタン酸(1−オクチル)、4−フェニルブタン酸(シクロヘキシル)、1−メトキシカルボニルナフタレン、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(3−フェノキシベンジル)、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロベンジル)、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル)、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジル)、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル)、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(3−フェノキシベンジル)、ピルビン酸ヘプチル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸〔3−(2−プロペニル)−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル〕、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸〔3−(2−プロピニル)−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル〕、シュウ酸ジメチル、マロン酸ジエチル、グルタル酸ジプロピル、アジピン酸ジ−n−ブチル、ジアセトキシブタン、1,4−ジ(アセチルチオ)ブタン等が挙げられる。
【0038】
また、カルボン酸としてカルボキシ基を2以上有する多価カルボン酸と、アルコール類としてヒドロキシ基またはメルカプト基を2以上有する多価アルコール類とを用いて反応を行えば、ポリエステル類を得ることができる。カルボキシ基を2つ有するジカルボン酸と、ヒドロキシ基を2つ有するジオール類とを用いることが好ましい。かかるポリエステル類としては、例えば、グルタル酸と1,4−ブタンジオールとから得られるポリエステル、アジピン酸とエチレングリコールとから得られるポリエステル、アジピン酸と1,3−プロパンジオールとから得られるポリエステル、アジピン酸と1,4−ブタンジオールとから得られるポリエステル、アジピン酸と1,6−ヘキサンジオールとから得られるポリエステル、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとから得られるポリエステル、マレイン酸とエチレングリコールとから得られるポリエステル等が挙げられる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0040】
実施例1
還流冷却管を付した50mLフラスコに、4−フェニルブタン酸1.64g、1−オクタノール1.3g、ペンタフルオロピリジン10mg、トリフェニルカルベニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート45mgおよびヘプタン15gを仕込み、 80℃で1時間攪拌した。室温まで冷却後、反応液をガスクロマトグラフィー(内部標準法)にて分析したところ、4−フェニルブタン酸(1−オクチル)の収率は99%(4−フェニルブタン酸基準)であった。
【0041】
比較例1
還流冷却管を付した50mLフラスコに、4−フェニルブタン酸1.64g、1−オクタノール1.3g、ジフェニルアンモニウムトリフラート16mgおよびトルエン15gを仕込み、80℃で1時間攪拌した。室温まで冷却後、反応液をガスクロマトグラフィー(内部標準法)にて分析したところ、4−フェニルブタン酸(1−オクチル)の収率は 48%(4−フェニルブタン酸基準)であった。
【0042】
実施例2
還流冷却管を付した50mLフラスコに、桂皮酸1.48g、1−オクタノール1.3g、トリフェニルカルベニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート45mgおよびヘプタン6gを仕込み、100℃で6時間攪拌した。室温まで冷却後、反応液をガスクロマトグラフィー(内部標準法)にて分析したところ、桂皮酸(1−オクチル)の収率は95%(桂皮酸基準)であった。
【0043】
実施例3
還流冷却管を付した50mLフラスコに、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸1.68g、4−ヒドロキシ−3−メチル−2−(2−プロペニル)−2−シクロペンテン−1−オン1.52g、ペンタフルオロピリジン10mg、トリフェニルカルベニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート45mgおよびヘプタン5gを仕込み、100℃で4時間攪拌した。室温まで冷却後、反応液をガスクロマトグラフィー(内部標準法)にて分析したところ、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸〔3−(2−プロペニル)−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル〕の収率は62%(3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸基準)であり、原料3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸が23%回収された。
【0044】
実施例4
実施例3において、ヘプタンを5g使用し、100℃で4時間攪拌することに代えて、トルエンを15g使用し、120℃にて副生水を除去しながら12時間還流すること以外は、実施例3と同様に実施した。3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸〔3−(2−プロペニル)−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル〕の収率は65%(3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸基準)であり、原料3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸が29%回収された。
【0045】
実施例5
還流冷却管を付した50mLフラスコに、アジピン酸730mg、1−ブタノール760mg、トリフェニルカルベニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート22mgおよびトルエン5gを仕込み、2時間加熱還流下に攪拌した。室温まで冷却後、反応液をガスクロマトグラフィー(内部標準法)にて分析したところ、アジピン酸ジ−n−ブチルの収率は99%(アジピン酸基準)であった。
【0046】
実施例6
還流冷却管を付した50mLフラスコに、4−フェニルブタン酸820mg、シクロヘキサノール500mg、N−フェニル−2,6−ジクロロアニリン5mg、トリフェニルカルベニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート22mgおよびヘプタン5gを仕込み、3時間加熱還流下に攪拌した。室温まで冷却後、反応液をガスクロマトグラフィー(内部標準法)にて分析したところ、4−フェニルブタン酸(シクロヘキシル)の収率は78%(4−フェニルブタン酸基準)であった。原料4−フェニルブタン酸が21%回収された。
【0047】
実施例7
還流冷却管を付した50mLフラスコに、酢酸600mg、1,4−ブタンジオール 450mg、トリフェニルカルベニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート22mgおよびトルエン5gを仕込み、加熱還流下に1時間攪拌した。室温まで冷却後、反応液をガスクロマトグラフィー(内部標準法)にて分析したところ、1,4−ジアセトキシブタンの収率は99%(酢酸基準)であった。
【0048】
実施例8
還流冷却管を付した50mLフラスコに、安息香酸610mg、チオフェノール550mg、トリフェニルカルベニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート22mgおよびトルエン5gを仕込み、5時間加熱還流下に攪拌した。室温まで冷却後、反応液をガスクロマトグラフィー(内部標準法)にて分析したところ、チオ安息香酸S-フェニルの収率は42%(安息香酸基準)であった。原料安息香酸が58%回収された。
【0049】
実施例9
還流冷却管を付した50mLフラスコに、4−フェニルブタン酸1.64g、1−オクタノール1.3g、トリフェニルカルベニウムクロライド15mgおよびキシレン15gを仕込み、8時間加熱還流下に攪拌した。室温まで冷却後、反応液をガスクロマトグラフィー(内部標準法)にて分析したところ、4−フェニルブタン酸(1−オクチル)の収率は71%(4−フェニルブタン酸基準)であった。原料の4−フェニルブタン酸が18%回収された。
【0050】
実施例10
還流冷却管を付した50mLフラスコに、4−フェニルブタン酸820mg、1−オクタノール650mg、トリフェニルカルベニウムテトラフルオロボレート8.3mgおよびトルエン7gを仕込み、12時間加熱還流下に攪拌した。室温まで冷却後、反応液をガスクロマトグラフィー(内部標準法)にて分析したところ、4−フェニルブタン酸(1−オクチル)の収率は75%(4−フェニルブタン酸基準)であった。原料の4−フェニルブタン酸が25%回収された。
【0051】
実施例11
還流冷却管を付した50mLフラスコに、4−フェニルブタン酸820mg、1−オクタノール650mg、トリフェニルカルベニウムヘキサクロロアンチモネート14mgおよびトルエン5gを仕込み、6時間加熱還流下に攪拌した。室温まで冷却後、反応液をガスクロマトグラフィー(内部標準法)にて分析したところ、4−フェニルブタン酸(1−オクチル)の収率は97%(4−フェニルブタン酸基準)であった。
【0052】
実施例12
還流冷却管を付した100mLフラスコに、アジピン酸1.46g、1,4−ブタンジオール900mg、トリフェニルカルベニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート3mgおよびトルエン10gを仕込み、30分加熱還流下に攪拌した。室温まで冷却後、トルエンを留去すると、褐色固体が得られた。この固体をゲルパーミーションクロマトグラフィ(以下、GPCと略記する。)にて分析したところ、数平均分子量1151、重量平均分子量3438、Z平均分子量13018のポリマーが得られた。収率72%。
上記GPC測定は、カラムとしてポリマーラボラトリーズ社ResiPore 7.5mmφ×300mmを2本用い、溶出液としてテトラヒドロフランを、標準物質としてポリスチレンを、それぞれ用いて行った。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、医農薬原体、電子材料をはじめとする各種化学製品およびそれらの合成中間体等として重要なカルボン酸エステル類の環境調和型の製造方法として利用できる。例えば、ピレスロイド系家庭用防疫薬の新規製造方法としての利用可能性がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリアリールカルベニウムカチオンと1価のアニオンとからなるトリアリールカルベニウム化合物の存在下に、カルボン酸とアルコール類とを反応させるカルボン酸エステル類の製造方法。
【請求項2】
トリアリールカルベニウム化合物が、式(1)
【化1】

(式中、Arは置換されていてもよいアリール基を表し、Yはハロゲン化物イオン、置換されていてもよいアルキルスルホン酸イオン、置換されていてもよいアリールスルホン酸イオン、硫酸水素イオン、置換されていてもよいアルキルカルボン酸イオン、置換されていてもよいアリールカルボン酸イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、四ハロゲン化ホウ酸イオン、六ハロゲン化リン酸イオン、六ハロゲン化アンチモン酸イオン、五ハロゲン化スズ酸イオンまたは置換されていてもよいテトラアリールボレートを表す。)
で示されるトリアリールカルベニウム化合物である請求項1に記載のカルボン酸エステル類の製造方法。
【請求項3】
式(1)におけるYが、フッ素原子で置換されたテトラアリールボレートまたはトリフルオロメチル基で置換されたテトラアリールボレートである請求項1または2に記載のカルボン酸エステル類の製造方法。
【請求項4】
式(1)で示されるホウ素化合物が、トリフェニルカルベニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである請求項1または2に記載のカルボン酸エステル類の製造方法。
【請求項5】
トリアリールカルベニウム化合物の使用量が、カルボン酸の反応を所望するカルボキシ基1モルに対して、0.001〜0.05モルの範囲である請求項1〜4のいずれかに記載のカルボン酸エステルの製造方法。
【請求項6】
有機塩基の存在下に反応を実施する請求項1〜5のいずれかに記載のカルボン酸エステルの製造方法。
【請求項7】
カルボン酸が、式(2)
【化2】

(式中、Rは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアリール基を表す。)
で示されるカルボン酸であり、
アルコール類が、式(3)
【化3】

(式中、Rは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアリール基を表し、Qは酸素原子または硫黄原子を表す。)
で示されるアルコール類であり、
カルボン酸エステル類が、式(4)
【化4】

(式中、R、RおよびQは、それぞれ上記と同一の意味を表す。)
で示されるカルボン酸エステル類である請求項1〜6のいずれかに記載のカルボン酸エステル類の製造方法。
【請求項8】
カルボン酸がジカルボン酸であり、アルコール類がジオール類である請求項1〜6のいずれかに記載のカルボン酸エステル類の製造方法。

【公開番号】特開2007−137870(P2007−137870A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−273767(P2006−273767)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】