説明

カワラケツメイ茶の香りを有するお香の製造方法

【課題】カワラケツメイ茶を淹れた際の香ばしい匂いがするお香の製造方法
【解決手段】お香の原料に、カワラケツメイを焙煎し、それを粉末化したものを用いるお香の製造方法であり、また、その際のカワラケツメイの量は、お香全体の10重量%以上含むものである。このお香は燃焼している間、カワラケツメイ茶を淹れた際の香ばしい匂いを発生するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カワラケツメイ茶を淹れた際の香ばしい匂いを発するお香の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カワラケツメイ茶を淹れた際の匂いは、甘く、香ばしく、食欲をそそり、気分を昂揚させるものである。また、飲食業においては、この匂いは誘客効果を期待できる。
【0003】
この匂いは、カワラケツメイ茶を熱湯で淹れたり、お湯の中で加熱すると発生するが、この匂いを発生させる考案や方法は検討されていない。カワラケツメイについては、焙煎して、お茶の原料にしたり(例えば、特許文献1参照。)、エタノールまたはエタノール水溶液によって抽出する方法により抽出されたカワラケツメイ抽出物をローストする(例えば、特許文献2参照。)ことしか、加工や処理は行われていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6ー253739号 公報
【特許文献2】特開平11ー180883号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カワラケツメイ茶を淹れた際の匂いを発生させるには、ガスや電気などの熱源や加熱道具、熱湯などが必要であり、いつでも、どこでも手軽に得られるものではない。また、この匂いは、構成成分の種類が多く、複雑すぎるため、合成香料では開発されておらず、人工的に得ることは非常に難しい。
【0006】
特許文献1でのカワラケツメイは、単にお茶の原料であり、香りを発生させるには、熱湯が必要であり、また、香りを持続させるには、常に加熱しておかなければならない。特許文献2では、カワラケツメイからの抽出物の香りであるため、そのままでは香りは弱く、香ばしい香りは得られない。また、香りが発生し、持続するには、ローストしつづけなければならない。
【0007】
本発明は、カワラケツメイ茶を淹れた際の香ばしい匂いを手軽に、特別な道具なしで簡単に得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討した結果、上記の課題を解決する方法を見出し、本発明を完成した。
【0009】
本発明は、手軽に簡単に、カワラケツメイ茶を淹れた際の香ばしい匂いを得るためのお香の製造方法として、カワラケツメイを焙煎し、それを粉末化したものを原料に含むものであり、また、その際のカワラケツメイの量は、お香全体の10重量%以上含むものである。このお香は燃焼している間、カワラケツメイ茶を淹れた際の香ばしい匂いを発生するものである。
【0010】
上記の課題解決による作用は、カワラケツメイを焙煎し、それをお香の原料に用いると、お香を焚いたときに、カワラケツメイ茶を淹れた香ばしい匂いが放散するのに適した状態で燃焼するためと思われる。
【発明の効果】
【0011】
上述したように、本発明では、カワラケツメイ茶を淹れた際の香ばしい匂いを特別な用具や装置を必要とせず、手軽に簡単に得ることができるものである。また、自由自在に成型が可能なことから、形状によっては、長時間の燃焼が可能なため、長時間匂いを得ることができる。また、匂いが不要なときは、簡単に燃焼を中断できるため、匂いの必要なとき、不要なときのオンとオフの制御が容易である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明についてその好ましい様態をあげ、より具体的に述べる。
【0013】
本発明のカワラケツメイは、ジャケツイバラ科カワラケツメイ属の一種で、本州から九州に分布している。
【0014】
収穫したカワラケツメイを乾燥し、葉と茎と鞘を230℃以上で7分以上焙煎する。焙煎は、焦げないように撹拌しながら行い、全体の7割程度が緑色から茶褐色に変化するまで行う。焙煎した後、機械等で粉砕する。細かく粉砕したほうがお香の成形上均一に混合しやすく、燃焼状態も良好である。200μm以下大きさのほうが、表面も滑らかなのでお香の外観上好ましい。
【0015】
また、お香に含まれているカワラケツメイの量は、10重量%以上で有効である。10%以下だとカワラケツメイ茶の淹れた際の香ばしい匂いは弱く、好ましくない。
【0016】
カワラケツメイ以外のお香の原料としては、植物系の基材としてはタブ粉や支那粉、杉粉や松粉、樅粉などの木粉や杉葉の粉末やその他の乾燥植物粉、セルロースなどが用いられる。他に炭酸カルシウムやホタテ貝殻などの無機物などが使用可能である。本お香の燃焼補助剤としては、硝酸カリウム、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸鉄、硝酸バリウム、硝酸マグネシウム、硝酸ストロンチウムなどの硝酸塩や過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸マグネシウムなどの過ハロゲン酸塩、過炭酸ナトリウム、過塩化ナトリウムなどの過酸化物、その他塩素酸カリウム、二酸化マンガン、鉄や鉄塩などがあげられる。燃焼補助剤の量は、お香の成型後の形態にもよるが、概ね全体の量の2〜40重量%程度が用いられる。燃焼補助剤の量が少ないと点火後、途中で立ち消えしやすい。また、燃焼補助剤の量が多すぎると燃焼時に火花が飛んで、危険である。
【0017】
結合剤としてはでんぷん糊、松脂、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、マンナン、各種ガム類、カゼイン、流動パラフィン、各種合成高分子、各種合成樹脂接着剤などがあり、単独または数種類の混合で用いられ、お香の5〜40重量%程度が使用される。結合剤の含有量が少ないと強度が脆くなり、多いと燃焼性に悪影響を与える。焚いたときに発生するカワラケツメイ茶の甘い香ばしい匂いを妨害しないものが好ましい。
【0018】
これらの原料を混練後、棒状、コーン状、円筒状、平板状、渦巻状などにプレス成型機、押出成型機、打出成型機、射出成型機などにより成型し、乾燥し完成である。
【0019】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、これは単に例示の目的で述べるものであり、本発明はこれらの実施例に限定されるものでない。
【実施例1】
【0020】
収穫後1ヶ月間、日陰で十分乾燥したカワラケツメイの葉、茎、花、実、鞘が一体となっている根を含まない全草を約2cmの長さに刻んだ。この1.5Kgを焙煎機(新型横山式排気乾燥火入機、横山製作所社)に投入し、撹拌しながら230℃で26分間焙煎した。このうちの20gを粉砕機(ミルサー、岩谷産業(株)製)で1分間粉砕した。これを200μmのふるいにて分別し、200μm以下のカワラケツメイ焙煎粉末を集めた。
【0021】
杉の木のおが屑20gを粉砕機(ミルサー、岩谷産業社)で1分間粉砕した。これを200μmのふるいにて分別し、200μm以下の杉木材粉末を集めた。
【0022】
カワラケツメイ焙煎粉末0.1gと杉木材粉末0.7gと硝酸カリウム0.2gを乳鉢で混合し、市販のでんぷん糊を加えて、よく混練し、団子状に固めた。これを注射器にて直線状に押し出し成形した。40℃の送風乾燥機で2日間乾燥後、長さ7cmに切り揃えた。直径は約2mmであった。
【0023】
上記の方法により製造されたお香を小部屋で焚いている間、カワラケツメイ茶を淹れたときの香ばしい匂いが発生し、焚き終わった後も、暫く香りは残っていた。
【実施例2】
【0024】
収穫後1ヶ月間、日陰で十分乾燥したカワラケツメイの葉、茎、花、実、鞘が一体となっている根を含まない全草を約2cmの長さに刻んだ。この1.5Kgを焙煎機(新型横山式排気乾燥火入機、横山製作所社)に投入し、撹拌しながら240℃で30分間焙煎した。このうちの20gを粉砕機(ミルサー、岩谷産業社)で1分間粉砕した。これを200μmのふるいにて分別し、200μm以下のカワラケツメイ焙煎粉末を集めた。
【0025】
カワラケツメイ焙煎粉末0.7gとタブ粉0.3gを乳鉢で混合し、市販のでんぷん糊を加えて、よく混練し、団子状に固めた。これを注射器にて直線状に押し出し成形した。40℃の送風乾燥機で2日間乾燥後、長さ7cmに切り揃えた。直径は約2mmであった。
【0026】
上記の方法により製造されたお香を小部屋で焚いている間、カワラケツメイ茶を淹れたときの香ばしい匂いが発生し、焚き終わった後も、暫く香りは残っていた。
【実施例3】
【0027】
収穫後1ヶ月間、日陰で十分乾燥したカワラケツメイの葉、茎、花、実、鞘が一体となっている根を含まない全草を約2cmの長さに刻んだ。この1.5Kgを焙煎機(新型横山式排気乾燥火入機、横山製作所社)に投入し、撹拌しながら320℃で7分間焙煎した。このうちの20gを粉砕機(ミルサー、岩谷産業(株)製)で1分間粉砕した。これを200μmのふるいにて分別し、200μm以下のカワラケツメイ焙煎粉末を集めた。
【0028】
杉の木のおが屑20gを粉砕機(ミルサー、岩谷産業社)で1分間粉砕した。これを200μmのふるいにて分別し、200μm以下の杉木材粉末を集めた。
【0029】
カワラケツメイ焙煎粉末0.5gと杉木材粉末0.2gとホタテ貝殻粉末(商品名:貝殻パウダー120、販売:(有)ふるさと物産)0.3gを乳鉢で混合し、市販のでんぷん糊を加えて、よく混練し、団子状に固めた。これを注射器にて直線状に押し出し成形した。40℃の送風乾燥機で2日間乾燥後、長さ7cmに切り揃えた。直径は約2mmであった。
【0030】
上記の方法により製造されたお香を小部屋で焚いている間、カワラケツメイ茶を淹れたときの香ばしい匂いが発生し、焚き終わった後も、暫く香りは残っていた。
【0031】
本発明は、香りを楽しむお香やアロマグッズなどの日用品や飲食店などでの販売促進ツールなどに適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
お香の製造方法において、カワラケツメイを焙煎し、それを粉末化したものをお香の原料に含むことを特徴とするお香の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、カワラケツメイが10重量%以上お香に含むことを特徴とする製造方法。