説明

カンナビノイド受容体アゴニストの新規用途

式(I)又は式(II):
【化1】


【化2】


で示される化合物群から選択される化合物を有効成分として含有する気道炎症性細胞浸潤抑制剤、気道過敏性亢進抑制剤、粘液分泌抑制剤、又は気管支拡張剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カンナビノイド受容体アゴニスト作用を有する化合物を有効成分として含有する気道炎症性細胞浸潤抑制剤、気道過敏性亢進抑制剤、粘液分泌抑制剤、又は気管支拡張剤に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び非特許文献1には、カンナビノイド受容体調節物質及びカンナビノイド受容体アゴニストの(R)−メタナンダミドが、気道過敏性亢進を抑制することが記載されている。また、非特許文献1、2、3、4、及び5には、カンナビノイド受容体アゴニストのカンナビノイド、アナンダミド、ナビロン、及びCP55,940が、気管支平滑筋の収縮を抑制することが記載されている。しかしながら、気道炎症性細胞浸潤の抑制及び粘液分泌の抑制については知られていない。特許文献2には、カンナビノイド2型受容体作動薬が喘息の予防及び/又は治療効果を有することが記載されている。また、特許文献3には、カンナビノイド2型受容体作用物質が呼吸疾患に治療効果を有することが記載されている。
なお、カンナビノイド受容体アゴニストとしては、キノリノン誘導体が特許文献4及び特許文献5、チアジン誘導体が特許文献6及び特許文献7、並びにピリドン誘導体が特許文献8等に開示されている。
【特許文献1】国際公開第03/061699号パンフレット
【特許文献2】国際公開第02/10135号パンフレット
【特許文献3】国際公開第04/000807号パンフレット
【特許文献4】国際公開第99/02499号パンフレット
【特許文献5】国際公開第00/40562号パンフレット
【特許文献6】国際公開第01/19807号パンフレット
【特許文献7】国際公開第02/072562号パンフレット
【特許文献8】国際公開第02/053543号パンフレット
【非特許文献1】ブリティッシュジャーナルオブファルマコロジイ(British Journal of Pharmacology)2001年、第134巻4号、p.771−776
【非特許文献2】ジャーナルオブカンナビスセラペウティックス(Journal of Cannabis Therapeutics)2002年、2巻1号、p.59−71
【非特許文献3】マリフアナ アンド メディスン(Marihuana and Medicine)、ニューヨーク、1999年、Mar.20−21、p.1998
【非特許文献4】ファルマコロジイカル マリフアナ(Pharmacol.Marihuana)1976年、1巻、p.269−276
【非特許文献5】アメリカンレビューオブレスピバトリィディジーズ(American Review of Respivatory Disease)
【発明の開示】
【0003】
カンナビノイド受容体アゴニスト作用を有する化合物を有効成分として含有する気道炎症性細胞浸潤抑制剤剤、気道過敏性亢進抑制剤、粘液分泌抑制剤剤、又は気管支拡張剤を提供する。
【0004】
本発明者らは以下に示すカンナビノイド受容体アゴニストが強い気道炎症性細胞浸潤抑制効果、気道過敏性亢進抑制剤効果、粘液分泌抑制効果、又は気管支拡張剤効果を示すことを見出した。
【0005】
すなわち、本発明は、1)式(I):

(式中、Rは式:−C(=Z)−W−R(式中、Zは酸素原子又は硫黄原子;Wは酸素原子又は硫黄原子;Rは置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル又は置換されていてもよいアルキニル)で示される基;
及びRはそれぞれ独立して置換されていてもよいアルキル又は置換されていてもよいシクロアルキル;又は
及びRは一緒になって置換されていてもよいヘテロ原子を介在してもよいアルキレン;
mは0〜2の整数;
Aは置換されていてもよいアリール又は置換されていてもよいヘテロアリール)で示される化合物群から選択される化合物を有効成分として含有する記載の気道炎症性細胞浸潤抑制剤、気道過敏性亢進抑制剤、粘液分泌抑制剤、又は気管支拡張剤、
2)Rが式:−C(=Z)−W−R(式中、Zは酸素原子又は硫黄原子;Wは硫黄原子;Rは置換されていてもよいアルキル又はアルケニル)で示される基であり;R及びRがそれぞれ独立してアルキル、又はR及びRが一緒になって置換されていてもよいアルキレンであり;mが0であり;Aがアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、及びハロアルキルチオからなる群から選択される基で1〜2箇所置換されていてもよいアリールである1)記載の気道炎症性細胞浸潤抑制剤、気道過敏性亢進抑制剤、粘液分泌抑制剤、又は気管支拡張剤、
3)式(II):

(式中、Rは式:−Y−Y−Y−R(式中、Y及びYはそれぞれ独立して単結合又は置換されていてもよいアルキレン;Yは単結合、−O−、−O−SO−、−NR−、−NR−C(=O)−、−NR−SO−、−NR−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−NR−、−NR−C(=S)−NR−、−S−、−C(=O)−O−、又は−C(=O)−NR−;Rは置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよい炭素環式基、置換されていてもよい複素環式基又はアシル;Rはそれぞれ独立して水素原子、置換されていてもよいアルキル、又はアシル)で示される基;
は水素原子、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、ハロゲン原子、又はアルコキシ;
及びRはそれぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、ハロゲン原子、置換されていてもよいフェニル、又は置換されていてもよいカルバモイル;又は
及びRが一緒になって、隣接する炭素原子と共にヘテロ原子及び/又は不飽和結合が介在していてもよく置換されていてもよい5〜8員環を形成していてもよく;
は水素原子、ヘテロ原子及び/又は不飽和結合が介在していてもよく置換されていてもよいアルキル又は式:−Y−R(式中、Yは単結合、置換されていてもよいアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、−O−、−S−、−SO−、又は−SO−;Rは置換されていてもよい炭素環式基又は置換されていてもよい複素環式基)で示される基;
Xは酸素原子又は硫黄原子)で示される化合物群から選択される化合物を有効成分として含有する気道炎症性細胞浸潤抑制剤、気道過敏性亢進抑制剤、粘液分泌抑制剤、又は気管支拡張剤、
4)Rが式:−Y−Y−Y−R(式中、Yは単結合であり;Yは−C(=O)−NH−であり;Yは単結合又は置換されていてもよいアルキレンであり;Rは置換されていてもよい炭素環式基である)で示される基であり;Rが水素原子であり;Rがアルキル、ハロゲン原子又は置換されていてもよいフェニルであり;Rが水素原子又はアルキルであり;又は、R及びRが一緒になって、隣接する炭素原子と共に不飽和結合が介在していてもよい8員環を形成していてもよく;Rがヘテロ原子及び/又は不飽和結合が介在していてもよく置換されていてもよい炭素数3以上のアルキル又は式:−Y−R(式中、Yは単結合又は置換されていてもよいアルキレンであり;Rは置換されていてもよい炭素環式基である)で示される基である3)記載の気道炎症性細胞浸潤抑制剤、気道過敏性亢進抑制剤、粘液分泌抑制剤、又は気管支拡張剤、
5)気道炎症性細胞浸潤、気道過敏性亢進、粘液分泌抑、又は気管支収縮の予防及び/又は治療するための医薬を製造するための1)記載の式(I)又は3)記載の式(II)で示される化合物の使用。
6)1)記載の式(I)又は3)記載の式(II)で示される化合物の予防及び/又は治療上効果を示す量を人を含む哺乳動物に投与することからなる、気道炎症性細胞浸潤、気道過敏性亢進、粘液分泌抑、または気管支収縮による影響を緩和するための哺乳動物を予防及び/又は治療する方法、に関する。
【0006】
本明細書中で用いる「カンナビノイド」とは、大麻が含む5−ペンチルレゾルシノールの2位に2個のイソプレンが結合した式(III)の基本骨格を有する約30種の化合物、その環化体、酸化体、及び転移を起こした一連の化合物の総称である。例えば、以下に示すΔ−テトラヒドロカンナビノール等が挙げられる。

以下に各用語の意味を説明する。各用語は本明細書中、統一した意味で使用し、単独で又は他の用語と一緒になって、同一の意味を有する。
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味する。
「アルキル」とは、炭素数1〜10の直鎖状又は分枝状のアルキルを包含し、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、neo−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシルなどが挙げられる。特に、炭素数1〜4の直鎖又は分枝状のアルキルが好ましく、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチルが好ましい。
「アルケニル」とは、上記「アルキル」に1個又はそれ以上の二重結合を有する炭素数2〜8個の直鎖状又は分枝状のアルケニルを包含し、例えば、ビニル、1−プロペニル、アリル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−ペンテニル、1,3−ブタジエニル、3−メチル−2−ブテニル等が挙げられる。特に、炭素数2〜4の直鎖又は分枝状のアルケニルが好ましく、具体的には、アリル、イソプロペニル、3−ブテニルが好ましい。
「アルキニル」とは、上記「アルキル」に1個又はそれ以上の三重結合を有する炭素数2〜8個の直鎖状又は分枝状のアルキニルを包含し、例えば、エチニル、プロパルギル等が挙げられる。特に、炭素数2〜4の直鎖又は分枝状のアルキニルが好ましく、具体的には、プロパルギルが好ましい。
「ハロアルキル」とは、上記「アルキル」に1以上のハロゲンが置換した基を意味し、例えば、クロロメチル、ジクロロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロエチル(例えば、2−クロロエチル等)、ジクロロエチル(例えば、1,2−ジクロロエチル、2,2−ジクロロエチル等)、クロロプロピル(例えば、2−クロロプロピル、3−クロロプロピル等)等が挙げられる。C1〜C3ハロアルキルが好ましい。
「アルキレン」とは、炭素数1〜10の直鎖状又は分枝状のアルキレンを包含し、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、1−メチルエチレン、1−エチルエチレン、1,1−ジメチルエチレン、1,2−ジメチルエチレン、1,1−ジエチルエチレン、1,2−ジエチルエチレン、1−エチル−2−メチルエチレン、1−メチルトリメチレン、2−メチルトリメチレン、1,1−ジメチルトリメチレン、1,2−ジメチルトリメチレン、2,2−ジメチルトリメチレン、1−エチルトリメチレン、2−エチルトリメチレン、1,1−ジエチルトリメチレン、1,2−ジエチルトリメチレン、2,2−ジエチルトリメチレン、2−エチル−2−メチルトリメチレン、2,2−ジ−n−プロピルトリメチレン、1−メチルテトラメチレン、2−メチルテトラメチレン、1,1−ジメチルテトラメチレン、1,2−ジメチルテトラメチレン、2,2−ジメチルテトラメチレン、3、3−ジメチルペンタメチレン等が挙げられる。特に炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状のアルキレン好ましく、具体的にはメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレンが好ましい。
「置換されていてもよいアルキレン」の置換基としては、アルキレン(例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン等)、シクロアルキル(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等)、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ等)、アルキルチオ(例えば、メチルチオ、エチルチオ等)、アルキルアミノ(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ等)、アシルアミノ(例えば、アセチルアミノ等)、アリール(例えば、フェニル等)、アリールオキシ(例えば、フェノキシ等)、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アルキルスルホニル(例えば、メタンスルホニル、エタンスルホニル等)、アリールスルホニル(例えば、ベンゼンスルホニル等)、シアノ、ヒドロキシアミノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アシル(例えば、アセチル、ベンゾイル等)、アラルキル(例えば、ベンジル等)、メルカプト、ヒドラジノ、アミジノ、グアニジノ等が挙げられ、これらの置換基は1〜4個の任意の位置で置換していてもよい。
なお、アルキレンで置換されたアルキレンには、スピロ原子を介してアルキレンで置換されたアルキレン(例えば、2,2−エチレントリメチレン、2,2−トリメチレントリメチレン、2,2−テトラメチレントリメチレン、2,2−ペンタメチレントリメチレン等)、及び異なる位置がアルキレンで置換されたアルキレン(例えば、1,2−テトラメチレンエチレン、1,2−エチレントリメチレン等)が包含される。具体的には、2,2−エチレントリメチレン、2,2−トリメチレントリメチレン、2,2−テトラメチレントリメチレン、2,2−ペンタメチレントリメチレンが好ましく、特に、2,2−エチレントリメチレン、2,2−テトラメチレントリメチレン、2,2−ペンタメチレントリメチレンが好ましい。
「ヘテロ原子を介在してもよいアルキレン」とは、1〜3個のヘテロ原子を介在してもよい炭素数2〜10の直鎖状又は分枝状のアルキレンを包含し、例えば、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、エチレンオキシエチレン等が挙げられる。特に、1個のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3又は5直鎖状のアルキレンが好ましく、テトラメチレン、ペンタメチレン、エチレンオキシエチレン、エチレンアミノエチレン、エチレンチオエチレンが挙げられる。
「アルケニレン」とは、上記「アルキレン」に1個またはそれ以上の二重結合を有する炭素数2〜12個の直鎖状または分枝状のアルケニレン基を包含し、例えば、ビニレン、プロペニレンまたはブテニレンが挙げられる。好ましくは、炭素数2〜6個の直鎖状のアルケニレン基であり、ビニレン、プロペニレン、ブテニレン、ペンテニレン、ヘキセニレン、ブタジエニレン等である。
「アルキニレン」とは、上記「アルキレン」に1個またはそれ以上の三重結合を有する炭素数2〜12個の直鎖状または分枝状のアルキニレン基を包含する。
「炭素環式基」とは、炭素原子及び水素原子で構成される環状の置換基を包含し、環状部分は飽和環であっても不飽和環であってもよい。例えば、下記「アリール」、下記「シクロアルキル」、下記「シクロアルケニル」等が挙げられる。なお、炭素数3〜14の環から誘導される基が好ましい。
「シクロアルキル」とは、炭素数3〜10の環状飽和炭化水素基を包含し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。好ましくは、炭素数3〜6のシクロアルキルであり、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルが挙げられる。
「シクロアルケニル」とは、上記「シクロアルキル」に1個またはそれ以上の二重結合を有する炭素数3〜12個のアルケニル基を包含し、例えば、シクロプロペニル(例えば、1−シクロプロペニル)、シクロブテニル(例えば、1−シクロブテニル)、シクロペンテニル(例えば、1−シクロペンテン−1−イル、2−シクロペンテン−1−イル、3−シクロペンテン−1−イル)、シクロヘキセニル(例えば、1−シクロヘキセン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル)、シクロヘプテニル(例えば、1−シクロヘプテニル)、シクロオクテニル(例えば、1−シクロオクテニル)等が挙げられる。特に、1−シクロヘキセン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イルが好ましい。
「アリール」とは、炭素数6〜14のアリールを包含し、例えば、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル等が挙げられる。特に、フェニル、ナフチルが好ましい。
「アラルキル」とは、上記「アルキル」に上記「アリール」が置換した基を包含し、例えば、ベンジル、フェニルエチル(例えば、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル)、フェニルプロピル(例えば、1−フェニルプロピル、2−フェニルプロピル、3−フェニルプロピル等)、ナフチルメチル(例えば、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル等)等が挙げられる。特に、ベンジル、ナフチルメチルが好ましい。
「ヘテロアリール」とは、窒素原子、酸素原子、および/又は硫黄原子を1〜4個含む炭素数1〜9のヘテロアリールを包含し、例えば、フリル(例えば、2−フリル、3−フリル)、チエニル(例えば、2−チエニル、3−チエニル)、ピロリル(例えば、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル)、イミダゾリル(例えば、1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル)、ピラゾリル(例えば、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル)、トリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル、1,2,4−トリアゾリール−3−イル、1,2,4−トリアゾール−4−イル)、テトラゾリル(例えば、1−テトラゾリル、2−テトラゾリル、5−テトラゾリル)、オキサゾリル(例えば、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル)、イソキサゾリル(例えば、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル)、チアゾリル(例えば、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル)、チアジアゾリル、イソチアゾリル(例えば、3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル)、ピリジル(例えば、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、ピリダジニル(例えば、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル)、ピリミジニル(例えば、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル)、フラザニル(例えば、3−フラザニル)、ピラジニル(例えば、2−ピラジニル)、オキサジアゾリル(例えば、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)、ベンゾフリル(例えば、2−ベンゾ[b]フリル、3−ベンゾ[b]フリル、4−ベンゾ[b]フリル、5−ベンゾ[b]フリル、6−ベンゾ[b]フリル、7−ベンゾ[b]フリル)、ベンゾチエニル(例えば、2−ベンゾ[b]チエニル、3−ベンゾ[b]チエニル、4−ベンゾ[b]チエニル、5−ベンゾ[b]チエニル、6−ベンゾ[b]チエニル、7−ベンゾ[b]チエニル)、ベンズイミダゾリル(例えば、1−ベンゾイミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、4−ベンゾイミダゾリル、5−ベンゾイミダゾリル)、ジベンゾフリル、ベンゾオキサゾリル、キノキサリル(例えば、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、6−キノキサリニル)、シンノリニル(例えば、3−シンノリニル、4−シンノリニル、5−シンノリニル、6−シンノリニル、7−シンノリニル、8−シンノリニル)、キナゾリル(例えば、2−キナゾリニル、4−キナゾリニル、5−キナゾリニル、6−キナゾリニル、7−キナゾリニル、8−キナゾリニル)、キノリル(例えば、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、5−キノリル、6−キノリル、7−キノリル、8−キノリル)、フタラジニル(例えば、1−フタラジニル、5−フタラジニル、6−フタラジニル)、イソキノリル(例えば、1−イソキノリル、3−イソキノリル、4−イソキノリル、5−イソキノリル、6−イソキノリル、7−イソキノリル、8−イソキノリル)、プリル、プテリジニル(例えば、2−プテリジニル、4−プテリジニル、6−プテリジニル、7−プテリジニル)、カルバゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル(例えば、1−アクリジニル、2−アクリジニル、3−アクリジニル、4−アクリジニル、9−アクリジニル)、インドリル(例えば、1−インドリル、2−インドリル、3−インドリル、4−インドリル、5−インドリル、6−インドリル、7−インドリル)、イソインドリル、ファナジニル(例えば、1−フェナジニル、2−フェナジニル)またはフェノチアジニル(例えば、1−フェノチアジニル、2−フェノチアジニル、3−フェノチアジニル、4−フェノチアジニル)等が挙げられる。
「複素環式基」とは、環の構成原子として窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子を1〜4個含む炭素数1〜14の単環又は2〜3個の縮合環から誘導される基を包含し、例えば上記「ヘテロアリール」及び下記「非ヘテロアリール」を包含する。
「非ヘテロアリール」とは、窒素原子、酸素原子、および/又は硫黄原子を1〜4個含む炭素数1〜9の非芳香環を包含し、例えば、1−ピロリニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、ピロリジノ、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、1−イミダゾリニル、2−イミダゾリニル、4−イミダゾリニル、1−イミダゾリジニル、2−イミダゾリジニル、4−イミダゾリジニル、1−ピラゾリニル、3−ピラゾリニル、4−ピラゾリニル、1−ピラゾリジニル、3−ピラゾリジニル、4−ピラゾリジニル、ピペリジノ、2−ピペリジル、3−ピペリジル、4−ピペリジル、ピペラジノ、2−ピペラジニル、2−モルホリニル、3−モルホリニル、モルホリノ、テトラヒドロピラニル等が挙げられる。特に、モルホリノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノが好ましい。
「アルコキシ」のアルキル部分は、上記「アルキル」と同意義である。「アルコキシ」としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、n−ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシなどが挙げられる。特に、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシが好ましい。
「アルケニルオキシ」のアルケニル部分は、上記「アルケニル」と同意義である。「アルケニルオキシ」としては、例えば、ビニルオキシ、1−プロペニルオキシ、2−プロペニルオキシ、1−ブテニルオキシ、2−ブテニルオキシ、3−ブテニルオキシ、1,3−ブタジエニルオキシ、3−メチル−2−ブテニルオキシ等が挙げられる。特に、2−プロペニルオキシ、3−ブテニルオキシが好ましい。
「ハロアルコキシ」とは、上記「アルコキシ」に1以上のハロゲンが置換した基を意味し、例えば、ジクロロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ等)等が挙げられる。特に、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシが好ましい。
「アリールオキシ」とは、酸素原子に上記「アリール」が置換した基を包含し、例えば、フェノキシ、ナフトキシ(例えば、1−ナフトキシ、2−ナフトキシ等)、アントリルオキシ(例えば、1−アントリルオキシ、2−アントリルオキシ等)、フェナントリルオキシ(例えば、1−フェナントリルオキシ、2−フェナントリルオキシ等)等が挙げられる。特に、フェノキシ、ナフトキシが好ましい。
「アルコキシアルコキシ」とは、上記「アルコキシ」で置換された上記「アルコキシ」を包含し、例えば、メトキシメトキシ、エトキシメトキシ、n−プロポキシメトキシ、イソプロポキシメトキシ、1−メトキシエトキシ、2−メトキシエトキシなどが挙げられる。
特に、1−メトキシエトキシ、2−メトキシエトキシが好ましい。
「アルキルチオアルコキシ」とは、下記「アルキルチオ」で置換された上記「アルコキシ」を包含し、例えば、メチルチオメトキシ、エチルチオメトキシ、n−プロピルチオメトキシ、イソプロピルチオメトキシ、1−メチルチオエトキシ、2−メチルチオエトキシなどが挙げられる。特に、1−メチルチオエトキシ、2−メチルチオエトキシが好ましい。
「アルキルチオ」のアルキル部分は、上記「アルキル」と同意義である。「アルキルチオ」としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、t−ブチルチオ、n−ペンチルチオ、n−ヘキシルチオ等が挙げれれる。特に、炭素数1〜4の直鎖又は分枝状のアルキルチオが好ましく、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、t−ブチルチオが好ましい。
「ハロアルキルチオ」とは、上記「アルキルチオ」に1以上のハロゲンが置換した基を意味し、例えば、ジクロロメチルチオ、ジフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロエチルチオ(2,2,2−トリフルオロエチルチオ等)等が挙げられる。特に、ジフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルチオが好ましい。
「置換されていてもよいアミノ」としては、非置換アミノ、アルキルアミノ(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、i−プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、エチルメチルアミノ、プロピルメチルアミノ)、アシルアミノ(例えば、アセチルアミノ、ホルミルアミノ、プロピオニルアミノ、ベンゾイルアミノ)、アシルアルキルアミノ(例えば、N−アセチルメチルアミノ)、アラルキルアミノ(例えば、ベンジルアミノ、1−フェニルエチルアミノ、2−フェニルエチルアミノ、1−フェニルプロピルアミノ、2−フェニルプロピルアミノ、3−フェニルプロピルアミノ、1−ナフチルメチルアミノ、2−ナフチルメチルアミノ、ジベンジルアミノ等)、アルキルスルホニルアミノ(例えば、メタンスルホニルアミノ、エタンスルホニルアミノ等)、アルケニルオキシカルボニルアミノ(例えば、ビニルオキシカルボニルアミノ、アリルオキシカルボニルアミノ等)、アルコキシカルボニルアミノ(例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、tert−ブトキシカルボニルアミノ等)、アルケニルアミノ(例えば、ビニルアミノ、アリルアミノ等)、アリールカルボニルアミノ(例えば、ベンゾイルアミノ等)、ヘテロアリールカルボニルアミノ(例えば、ピリジンカルボニルアミノ等)が挙げられる。
「アラルキルアミノ」とは、上記「アラルキル」が1又は2個置換したアミノを意味し、例えば、ベンジルアミノ、フェニルエチルアミノ(例えば、1−フェニルエチルアミノ、2−フェニルエチルアミノ)、フェニルプロピルアミノ(例えば、1−フェニルプロピルアミノ、2−フェニルプロピルアミノ、3−フェニルプロピルアミノ)、ナフチルメチルアミノ(例えば、1−ナフチルメチルアミノ、2−ナフチルメチルアミノ等)、ジベンジルアミノ等が挙げられる。
「アシル」とは、水素以外の基が置換したカルボニル基を意味し、例えば、アルキルカルボニル(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、ラウロイル等)、アルケニルカルボニル(例えば、アクリロイル、メタアクリロイル)、シクロアルキルカルボニル(例えば、シクロプロパンカルボニル、シクロブタンカルボニル、シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル等)、アリールカルボニル(ベンゾイル、ナフトイル等)、ヘテロアリールカルボニル(ピリジルカルボニル等)が挙げられる。これらの基はさらにアルキル、ハロゲン等の置換基で置換されていてもよい。例えば、アルキルが置換したアリールカルボニルとしてはトルオイル基、ハロゲンが置換したアルキルカルボニル基としてはトリフルオロアセチル基等が挙げられる。
「アルコキシカルボニル」とは、カルボニルに上記「アルコキシ」が置換した基を意味し、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、i−プロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、i−ブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、n−ペンチルオキシカルボニル、n−ヘキシルオキシカルボニル、n−ヘプチルオキシカルボニル、n−オクチルオキシカルボニル等が挙げられる。特に、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等が好ましい。
「置換されていてもよいカルバモイル」の置換基としては、アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル等)、アシル(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ベンゾイル等)等が挙げられる。カルバモイル基の窒素原子が、これらの置換基でモノ置換またはジ置換されていてもよい。「置換されていてもよいカルバモイル」としては、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル等が好ましい。
「アルキルスルホニル」のアルキル部分は、上記「アルキル」と同意義であり、「アルキルスルホニル」としては、例えば、メタンスルホニル、エタンスルホニル等が挙げられる。
「置換されていてもよいアラルキルオキシ」、「置換されていてもよいアラルキルチオ」、「置換されていてもよいアラルキルアミノ」、「置換されていてもよいフェニル」「置換されていてもよいアリール」、「置換されていてもよいヘテロアリール」、「置換されていてもよい複素環式基」、「置換されていてもよいアルキル」、「置換されていてもよいアルケニル」、「置換されていてもよいアルキニル」、「置換されていてもよいアルコキシアルキル」、「置換されていてもよいシクロアルキル」、「置換されていてもよい炭素環式基」、「置換されていてもよいヘテロ原子を介在してもよいアルキレン」、又は「ヘテロ原子及び/又は不飽和結合が介在していてもよく置換されていてもよいアルキル」が置換基を有する場合、それぞれ同一または異なる1〜4個の置換基で任意の位置が置換されていてもよい。
置換基としては、例えば、ヒドロキシ、カルボキシ、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ハロアルキル(例えば、CF、CHCF、CHCCl等)、ハロアルコキシ、アルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル等)、アルケニル(例えば、ビニル)、ホルミル、アシル(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ピバロイル、ベンゾイル、ピリジンカルボニル、シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル等)、アルキニル(例えば、エチニル)、シクロアルキル(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等)、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、アルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル等)、ニトロ、ニトロソ、オキソ、置換されていてもよいアミノ(例えば、アミノ、アルキルアミノ(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ等)、ホルミルアミノ、アシルアミノ(例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、アラルキルアミノ(例えば、ベンジルアミノ、トリチルアミノ)、ヒドロキシアミノ、アルキルスルホニルアミノ、アルケニルオキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アルケニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ等)、アジド、アリール(例えば、フェニル等)、アリールオキシ(例えば、フェノキシ)、アラルキル(例えば、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル等)、アルキレンジオキシ(例えば、メチレンジオキシ)、アルキレン(例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン等)、アルケニレン(例えば、プロペニレン、ブテニレン、ブタジエニレン等)、シアノ、イソシアノ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、メルカプト、アルキルチオ(例えば、メチルチオ、エチルチオ等)、アルキルスルホニル(例えば、メタンスルホニル、エタンスルホニル)、アリールスルホニル(例えば、ベンゼンスルホニル等)、置換されていてもよいカルバモイル、スルファモイル、ホルミルオキシ、ハロホルミル、オキザロ、メルカプト、チオホルミル、チオカルボキシ、ジチオカルボキシ、チオカルバモイル、スルフィノ、スルフォ、スルホアミノ、ヒドラジノ、ウレイド、アミジノ、グアニジノ、アルキルスルホニルオキシ、トリアルキルシリルオキシ、ハロアルコキシカルボニルオキシ、ホルミルオキシ、アシルチオ、チオキソ、アルコキシアルコキシ、アルキルチオアルコキシ等が挙げられる。
「ヘテロ原子及び/又は不飽和結合が介在していてもよく置換されていてもよい5〜8員環」上の好ましい置換基としては、オキソ、ヒドロキシ、アルケニレン(例えば、プロペニレン、ブテニレン、ブタジエニレン)、アシル(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ピバロイル、ベンゾイル、ピリジンカルボニル、シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル等)、アラルキル(例えば、ベンジル等)、アルキレン(例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン等)等が挙げられる。
【0007】
一般式(I)で示される化合物のR〜R、m、及びAにおいて、好ましい置換基の群を(Ia)〜(Im)で示す。
は、(Ia)−C(=S)−S−R又−C(=O)−S−Rで、Rが置換されていてもよいアルキル又置換されていてもよいアルキニル、(Ib)−C(=S)−S−R又−C(=O)−S−Rで、Rが置換されていてもよいアルキル、(Ic)−C(=S)−S−Rで、Rが置換されていてもよいアルキル。
は、(Id)置換されていてもよいアルキル、(Ie)アルキル。
は、(If)置換されていてもよいアルキル、(Ig)アルキル。
mは、(Ih)0。
Aは、(Ii)置換されていてもよいアリール又は置換されていてもよいヘテロアリール、(Ij)置換されていてもよいアリール、(Ik)置換されていてもよいヘテロアリール。
又は、R及びRが一緒になって、(Il)置換されていてもよいヘテロ原子を介在してもよいアルキレン、(Im)アルキレン。
一般式(I)で示される化合物の好ましい一群としては、[R,R,R,m,A]=[Ia,Id,If,Ih,Ii],[Ia,Id,If,Ih,Ij],[Ia,Id,If,Ih,Ik],[Ia,Id,Ig,Ih,Ii],[Ia,Id,Ig,Ih,Ij],[Ia,Id,Ig,Ih,Ik],[Ia,Ie,If,Ih,Ii],[Ia,Ie,If,Ih,Ij],[Ia,Ie,If,Ih,Ik],[Ia,Ie,Ig,Ih,Ii],[Ia,Ie,Ig,Ih,Ij],[Ia,Ie,Ig,Ih,Ik],[Ib,Id,If,Ih,Ii],[Ib,Id,If,Ih,Ij],[Ib,Id,If,Ih,Ik],[Ib,Id,Ig,Ih,Ii],[Ib,Id,Ig,Ih,Ij],[Ib,Id,Ig,Ih,Ik],[Ib,Ie,If,Ih,Ii],[Ib,Ie,If,Ih,Ij],[Ib,Ie,If,Ih,Ik],[Ib,Ie,Ig,Ih,Ii],[Ib,Ie,Ig,Ih,Ij],[Ib,Ie,Ig,Ih,Ik],[Ic,Id,If,Ih,Ii],[Ic,Id,If,Ih,Ij],[Ic,Id,If,Ih,Ik],[Ic,Id,Ig,Ih,Ii],[Ic,Id,Ig,Ih,Ij],[Ic,Id,Ig,Ih,Ik],[Ic,Ie,If,Ih,Ii],[Ic,Ie,If,Ih,Ij],[Ic,Ie,If,Ih,Ik],[Ic,Ie,Ig,Ih,Ii],[Ic,Ie,Ig,Ih,Ij],[Ic,Ie,Ig,Ih,Ik]、又は[R,R−R,m,A]=[Ia,Il,Ih,Ii],[Ia,Il,Ih,Ij],[Ia,Il,Ih,Ik],[Ia,Im,Ih,Ii],[Ia,Im,Ih,Ij],[Ia,Im,Ih,Ik],[Ib,Il,Ih,Ii],[Ib,Il,Ih,Ij],[Ib,Il,Ih,Ik],[Ib,Im,Ih,Ii],[Ib,Im,Ih,Ij],[Ib,Im,Ih,Ik],[Ic,Il,Ih,Ii],[Ic,Il,Ih,Ij],[Ic,Il,Ih,Ik],[Ic,Im,Ih,Ii],[Ic,Im,Ih,Ij],[Ic,Im,Ih,Ik]が挙げられる。
一般式(II)で示される化合物のR〜R及びXにおいて、好ましい置換基の群を(IIa)〜(IIm)で示す。
は、(IIa)−C(=O)−NH−Y−Rで、Yが単結合又は置換されていてもよいアルキレン、およびRが置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよい炭素環式基又はアシル、(IIb)−C(=O)−NH−Y−Rで、Yが単結合又は置換されていてもよいアルキレン、およびRが置換されていてもよい炭素環式基又はアシル、(IIc)−C(=O)−NH−Y−Rで、Yが単結合又は置換されていてもよいアルキレン、およびRが置換されていてもよい炭素環式基。
は、(IId)水素原子。
は、(IIe)水素原子または置換されていてもよいアルキル、(If)置換されていてもよいアルキル。
は、(IIg)水素原子または置換されていてもよいアルキル、(Ih)置換されていてもよいアルキル。
は、(IIi)置換されていてもよいアルキル又は−Y−Rで、Yが置換されていてもよいアルキレン、およびRが置換されていてもよい炭素環式基、(IIj)置換されていてもよいアルキル。
Xは、(IIk)酸素原子。
又は、R及びRが一緒になって、(IIl)隣接する炭素原子と共に置換されていてもよい5〜8員環を形成、(IIm)隣接する炭素原子と共に置換されていてもよい8員環を形成。
一般式(I)で示される化合物の好ましい一群としては、[R,R,R,R,R,X]=[IIa,IId,IIe,IIg,IIi,IIk],[IIa,IId,IIe,IIg,IIj,IIk],[IIa,IId,IIe,IIh,IIi,IIk],[IIa,IId,IIe,IIh,IIj,IIk],[IIa,IId,IIf,IIg,IIi,IIk],[IIa,IId,IIf,IIg,IIj,IIk],[IIa,IId,IIf,IIh,IIi,IIk],[IIa,IId,IIf,IIh,IIj,IIk],[IIb,IId,IIe,IIg,IIi,IIk],[IIb,IId,IIe,IIg,IIj,IIk],[IIb,IId,IIe,IIh,IIi,IIk],[IIb,IId,IIe,IIh,IIj,IIk],[IIb,IId,IIf,IIg,IIi,IIk],[IIb,IId,IIf,IIg,IIj,IIk],[IIb,IId,IIf,IIh,IIi,IIk],[IIb,IId,IIf,IIh,IIj,IIk],、又は[R,R,R−R,R,X]=[IIb,IId,IIl,IIi,IIk],[IIc,IId,IIe,IIg,IIi,IIk],[IIc,IId,IIe,IIg,IIj,IIk],[IIc,IId,IIe,IIh,IIi,IIk],[IIc,IId,IIe,IIh,IIj,IIk],[IIc,IId,IIf,IIg,IIi,IIk],[IIc,IId,IIf,IIg,IIj,IIk],[IIc,IId,IIf,IIh,IIi,IIk],[IIc,IId,IIf,IIh,IIj,IIk]が挙げられる。
【0008】
溶媒和物としては、本発明化合物又はその製薬上許容される塩の溶媒和物を意味し、例えば、一溶媒和物、二溶媒和物、一水和物、二水和物等が挙げられる。
式(I)で示される化合物としては、WO01/19807又はWO02/072562記載の化合物が挙げられ、以下の表に記載の化合物が好ましい。
【0009】











【0010】









【0011】












【0012】
式(II)で示される化合物としては、WO02/053543記載の化合物が挙げられ、以下の表に記載の化合物が好ましい。






【0013】








【0014】







【0015】









【0016】
































【0017】






【0018】






【0019】
本発明化合物を治療に用いるには、通常の経口又は非経口投与用の製剤として製剤化する。本発明化合物を含有する医薬組成物は、経口及び非経口投与のための剤形をとることができる。即ち、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤などの経口投与製剤、あるいは、静脈注射、筋肉注射、皮下注射などの注射用溶液又は懸濁液、吸入薬、点眼薬、点鼻薬、坐剤、もしくは軟膏剤などの経皮投与用製剤などの非経口投与製剤とすることもできる。
活性成分として使用する化合物のカンナビノイド受容体1型アゴニスト作用が弱く、カンナビノイド受容体2型アゴニスト作用が強い場合、いかなる製剤としても使用することができる。特に、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤などの経口投与製剤として使用することができる。なお、活性成分として使用する化合物のカンナビノイド受容体1型アゴニスト作用が強い場合は、局所的に投与することが好ましく、特に軟膏剤、クリーム、ローション等の製剤が好ましい。
これらの製剤は当業者既知の適当な担体、賦形剤、溶媒、基剤等を用いて製造することができる。例えば、錠剤の場合、活性成分と補助成分を一緒に圧縮又は成型する。補助成分としては、製剤的に許容される賦形剤、例えば結合剤(例えば、トウモロコシでん粉等)、充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロース等)、崩壊剤(例えば、でん粉グリコール酸ナトリウム等)又は滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム等)などが用いられる。錠剤は、適宜、コーティングしてもよい。シロップ剤、液剤、懸濁剤などの液体製剤の場合、例えば、懸濁化剤(例えば、メチルセルロース等)、乳化剤(例えば、レシチン等)、保存剤などを用いる。注射用製剤の場合、溶液、懸濁液又は油性もしくは水性乳濁液の形態のいずれでもよく、これらは懸濁安定剤又は分散剤などを含有していてもよい。吸入剤として使用する場合は吸入器に適応可能な液剤として、点眼剤として使用する場合も液剤又は懸濁化剤として用いる。
本発明化合物の投与量は、投与形態、患者の症状、年令、体重、性別、あるいは併用される薬物(あるとすれば)などにより異なり、最終的には医師の判断に委ねられるが、経口投与の場合、体重1kgあたり、1日0.01〜100mg、好ましくは0.01〜10mg、より好ましくは0.1〜10mg、非経口投与の場合、体重1kgあたり、1日0.001〜100mg、好ましくは0.001〜1mg、より好ましくは0.01〜1mgを投与する。これを1〜4回に分割して投与すればよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
式(I)で示される化合物は、WO01/19807又はWO02/072562記載の製造法に従って製造することができる。式(II)で示される化合物は、WO02/053543記載の製造法に従って製造することができる。
【実施例】
【0021】
試験例
試験例1、2及び3 BNラット抗原誘発気道過敏性亢進及、炎症性細胞浸潤及び粘液分泌に及ぼす影響(急性モデル)
BNラット抗原誘発気道過敏性亢進:水酸化アルミニウムゲル(1mg)と卵白アルブミン(0.1mg、OVA)の混合液(1mL)をBrown Norway(BN、日本チャールスリバー社から入手)ラットの腹腔内に注射することによって能動的に感作した。10日後、1%OVAを超音波ネブライザーにより30分間吸入チャレンジし、その24時間後、ネンブタール(80mg/kg、i.p.)麻酔下のラットにAChを低濃度より5分間隔で順次静脈内投与し、直後に生じる気道収縮反応をKonzett & Rossler法を一部改変して測定した。即ち、ラットの気管を切開し、肺側にカニューレを装着して人工呼吸器(SN−480−7、シナノ製作所)を接続後、一定の空気(一回換気量:1mL/100g、換気回数:60回/分)を肺に送って人工換気を行い、吸入パイプの側枝よりオーバーフローする空気圧を圧トランスデューサー(TP−400T、日本光電)を用いて測定し、ひずみ圧力アンプ(日本光電:AP−601G)を介してプリンター(WT−645G、日本光電)に記録した。薬物の投与(1回)は、抗原の暴露1時間前に行った。Vehicle投与のcontrol群と薬物投与群のACh収縮反曲線下面積(AUC)を比較して気道過敏性亢進抑制効果の有意差検定を行った。
化合物I−270は100mg/kg投与でP<0.01の有意差を示した。
化合物4−320は10mg/kg投与でP<0.01の有意差を示した。
BNラット抗原誘発気道炎症性細胞浸潤:上記実験終了後、注射用シリンジを使って気管カニューレより5mLの生理食塩液で肺を3回洗浄し、洗浄液中の細胞数を測定する。得られた細胞の一部をCytospin3(Shandon)にて塗抹標本を作製し、MayGrunwald−Giemsa染色にて細胞を染色し、細胞分類を行い、気道炎症性細胞浸潤抑制効果の有意差検定を行った。
化合物4−320は1mg/kg及び10mg/kg投与でP<0.01の有意差を示した。
化合物10−051は30mg/kg及び100mg/kg投与でP<0.01の有意差を示した。
BNラット抗原誘発粘液分泌:上記BNラット抗原誘発気道過敏性亢進実験終了後、注射用シリンジを使って気管カニューレより5mLの生理食塩液で肺を3回洗浄し、得られた洗浄液を遠心分離した。その上清を用いて、以下の操作(1.ミクロタイタープレート(Immulon IV)に上清をそれぞれリン酸緩衝液で1000倍希釈し、2時間、37℃でコーティングを行い、その後、Block Aceを用いてブロッキングを行う。2.Tween 20を0.05%含むリン酸緩衝液で洗浄後、5μg/mL biotinylated jacalinを150μL添加し1時間、37℃でインキュベーションを行う。3.PBSTで洗浄後、1/500希釈したstreptavidin−conjugated alkaline phosphataseを150μL添加し,30分室温でインキュベーションを行う。4.PBSTで洗浄後、pNPP liquid substrate system 200μL添加する。5.数分後、3N NaOHを100μL添加し反応を止め、450nmでODを測定する)
を行い粘液分泌抑制効果の有意差検定を行った。
化合物4−320は10mg/kg投与でP<0.01の有意差を示した。
試験例4、5及び6 BNラット抗原誘発気道過敏性亢進及、炎症性細胞浸潤及び粘液分泌に及ぼす影響(慢性モデル)
BNラット抗原誘発慢性気道過敏性亢進:水酸化アルミニウムゲルとOVA溶液の混合液をBNラットの腹腔内に注射することにより能動感作した。12日後より1週間隔で4回、1回につきそれぞれ1%OVAまたは生理食塩液30分間を繰り返し超音波ネブライザー(オムロン:NE−U12)で吸入チャレンジして慢性的な気道過敏性亢進モデルを作製した。薬物は3回目の抗原吸入チャレンジの1時間前より1日1回8日間連続して経口投与し、最終投与の1時間後4回目の吸入チャレンジを行った。その24時間後に、気道過敏性亢進抑制の評価を試験例1と同様に行った。
化合物I−12は30mg/kg投与でP<0.01の有意差、100mg/kg投与でP<0.05の有意差を示した。
化合物4−320は3mg/kg投与でP<0.01の有意差を示した。
BNラット抗原誘発慢性気道炎症性細胞浸潤:上記実験終了後、注射用シリンジを使って気管カニューレより5mLの生理食塩液で肺を3回洗浄し、洗浄液中の細胞数を測定する。得られた細胞の一部をCytospin3(Shandon)にて塗抹標本を作製し、MayGrunwald−Giemsa染色にて細胞を染色し、細胞分類を行い、気道炎症性細胞浸潤抑制の評価を試験例2と同様に行った。
化合物I−12は100mg/kg投与でP<0.01の有意差を示した。
化合物10−051は3mg/kg及び30mg/kg投与でP<0.05の有意差を示した。
BNラット抗原誘発粘液分泌:上記BNラット抗原誘発気道過敏性亢進実験終了後、注射用シリンジを使って気管カニューレより5mLの生理食塩液で肺を3回洗浄し、得られた洗浄液を遠心分離した。その上清を用いて、以下の操作(1.ミクロタイタープレート(Immulon IV)に上清をそれぞれリン酸緩衝液で1000倍希釈し、2時間、37℃でコーティングを行い、その後、Block Aceを用いてブロッキングを行う。2.Tween20を0.05%含むリン酸緩衝液で洗浄後、5μg/mL biotinylated jacalinを150μL添加し1時間、37℃でインキュベーションを行う。3.PBSTで洗浄後、1/500希釈したstreptavidin−conjugated alkaline phosphataseを150μL添加し,30分室温でインキュベーションを行う。4.PBSTで洗浄後、pNPP liquid substrate system 200μL添加する。5.数分後、3N NaOHを100μL添加し反応を止め、450nmでODを測定する)
を行い粘液分泌抑制効果の有意差検定を行った。
試験例7、8及び9モルモットの抗原誘発気道過敏性亢進及、炎症性細胞浸潤及び粘液分泌に及ぼす影響(急性モデル)
モルモットの抗原誘発気道過敏性亢進:1%OVA溶液を超音波ネブライザー(オムロン:NE−U12)でエアロゾル化し、これを曝露用チャンバーに固定したモルモット(日本チャールスリバー社から入手)に1週間隔で2回それぞれ10分間無麻酔下で曝露させることによって能動的に感作した。その1週間後、1%OVAを超音波ネブライザーにより5分間吸入チャレンジした。薬物は抗原暴露の1時間前に行い、またアナフィラキシーショック死を防ぐため抗ヒスタミン薬のdiphenhydramine(10mg/kg、i.p.)を10分前に処置した。抗原チャレンジ24時間後、ウレタン麻酔下(1.4g/kg、i.p.)でモルモットにAChを低濃度より5分間隔で順次静脈内投与し、直後に生じる気道収縮反応をKonzett & Rossler法を一部改変した方法で測定し、気道過敏性の評価を行った。即ち、モルモットの気管を切開し、肺側にカニューレを装着して人工呼吸器(SN−480−7、シナノ製作所)を接続後、一定の空気(一回換気量:4mL、換気回数:60回/分)を肺に送って人工換気を行い、吸入パイプの側枝よりオーバーフローする空気圧を圧トランスデューサー(TP−400T、日本光電)を用いて測定し、ひずみ圧力アンプ(日本光電:AP−601G)を介してプリンター(WT−645G、日本光電)に記録した。薬効評価はvehicle投与のcontrol群と薬物投与群のACh気道収縮反応曲線下面積(AUC)を比較して気道過敏性亢進抑制効果の有意差検定を行った。
化合物I−12は10mg/kg投与でP<0.05の有意差を示した。
化合物4−320は1mg/kg投与でP<0.01の有意差、10mg/kg投与でP<0.05の有意差を示した。
モルモットの抗原誘発気道炎症性細胞浸潤:上記実験終了後、注射用シリンジを使って気管カニューレより10mLの生理食塩液で肺を3回洗浄し、洗浄液中の細胞数を測定する。得られた細胞の一部をCytospin3(Shandon)にて塗抹標本を作製し、MayGrunwald−Giemsa染色にて細胞を染色し,細胞分類を行い、気道炎症性細胞浸潤抑制効果の有意差検定を行った。
化合物I−12は10mg/kg投与でP<0.05有意差を示した。
化合物I−270は10mg/kg投与でP<0.05の有意差を示した。
化合物4−320は1mg/kg投与でP<0.05有意差、10mg/kg投与でP<0.01有意差を示した。
化合物10−051は30mg/kg投与でP<0.05有意差を示した。
モルモットの抗原誘発粘液分泌:モルモットの抗原誘発気道過敏性亢進実験終了後、注射用シリンジを使って気管カニューレより5mLの生理食塩液で肺を3回洗浄し、得られた洗浄液を遠心分離した。その上清を用いて、以下の操作(1.ミクロタイタープレート(Immulon IV)に上清をそれぞれリン酸緩衝液で1000倍希釈し、2時間、37℃でコーティングを行い、その後、Block Aceを用いてブロッキングを行う。2.Tween20を0.05%含むリン酸緩衝液で洗浄後、5μg/mL biotinylated jacalinを150μL添加し1時間、37℃でインキュベーションを行う。3.PBSTで洗浄後、1/500希釈したstreptavidin−conjugated alkaline phosphataseを150μL添加し,30分室温でインキュベーションを行う。4.PBSTで洗浄後、pNPP liquid substrate system 200μL添加する。5.数分後、3N NaOHを100μL添加し反応を止め、450nmでODを測定する)
を行い粘液分泌抑制効果の有意差検定を行った。
試験例10、11及び12モルモットの抗原誘発気道過敏性亢進及、炎症性細胞浸潤及び粘液分泌に及ぼす影響(慢性モデル)
モルモットの抗原誘発気道過敏性亢進及:1%OVA溶液を超音波ネブライザー(オムロン:NE−U12)でエアロゾル化し、これを曝露用チャンバーに固定したモルモットに1週間隔で2回それぞれ10分間無麻酔下で曝露させることによって能動的に感作した。さらに、1週および2週間後に1%OVAを5分間2回吸入チャレンジした。薬物の投与は1回目チャレンジの1時間前から2回目チャレンジの1時間前まで1日1回行った。また、アファフィラキシーショック死を防ぐため、それぞれのチャレンジ10分前に抗ヒスタミン薬のdiphenhydramine(10mg/kg、i.p.)を処置した。24時間後の気道過敏性亢進は試験例5の場合と同様にして測定した。薬効評価はvehicle投与のcontrol群と薬物投与群のACh気道収縮反応曲線下面積(AUC)を比較して気道過敏性亢進抑制効果の有意差検定を行った。
化合物I−12は30mg/kg投与でP<0.05有意差を示した。
モルモットの抗原誘発気道炎症性細胞浸潤:上記実験終了後、注射用シリンジを使って気管カニューレより10mLの生理食塩液で肺を3回洗浄し、洗浄液中の細胞数を測定する。得られた細胞の一部をCytospin3(Shandon)にて塗抹標本を作製し、MayGrunwald−Giemsa染色にて細胞を染色し、細胞分類を行い、気道炎症性細胞浸潤抑制効果の有意差検定を行った。
化合物I−12は30mg/kg投与でP<0.01の有意差を示した。
モルモットの抗原誘発粘液分泌:モルモットの抗原誘発気道過敏性亢進実験終了後、注射用シリンジを使って気管カニューレより5mLの生理食塩液で肺を3回洗浄し、得られた洗浄液を遠心分離した。その上清を用いて、以下の操作(1.ミクロタイタープレート(Immulon IV)に上清をそれぞれリン酸緩衝液で1000倍希釈し、2時間、37℃でコーティングを行い、その後、Block Aceを用いてブロッキングを行う。2.Tween20を0.05%含むリン酸緩衝液で洗浄後、5μg/mL biotinylated jacalinを150μL添加し1時間、37℃でインキュベーションを行う。3.PBSTで洗浄後、1/500希釈したstreptavidin−conjugated alkaline phosphataseを150μL添加し,30分室温でインキュベーションを行う。4.PBSTで洗浄後、pNPP liquid substrate system 200μL添加する。5.数分後、3N NaOHを100μL添加し反応を止め、450nmでODを測定する)
を行い粘液分泌抑制効果の有意差検定を行った。
化合物I−12は30mg/kg投与でP<0.01の有意差を示した。
【0022】
試験例13 モルモット気管支拡張作用
ウレタン麻酔下(1.4g/kg、i.p.)でモルモットにAChを低濃度より5分間隔で順次静脈内投与し、直後に生じる気道収縮反応をKonzett & Rossler法を一部改変した方法で測定した。即ち、モルモットの気管を切開し、肺側にカニューレを装着して人工呼吸器(SN−480−7、シナノ製作所)を接続後、一定の空気(一回換気量:4mL、換気回数:60回/分)を肺に送って人工換気を行い、吸入パイプの側枝よりオーバーフローする空気圧を圧トランスデューサー(TP−400T、日本光電)を用いて測定し、ひずみ圧力アンプ(日本光電:AP−601G)を介してプリンター(WT−645G、日本光電)に記録した。薬物はAChの静注1時間前に経口投与し、AChの用量反応曲線に及ぼす影響を検討し、モルモット気管支拡張効果の有意差検定を行った。
化合物4−320は10mg/kg投与でP<0.01の有意差を示した。
【0023】
製剤例
以下に示す製剤例1〜8は例示にすぎないものであり、発明の範囲を何ら限定することを意図するものではない。「活性成分」なる用語は、本発明化合物、その互変異性体、それらのプロドラッグ、それらの製薬的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を意味する。
製剤例1
硬質ゼラチンカプセルは次の成分を用いて製造する:
用量
(mg/カプセル)
活性成分 250
デンプン(乾燥) 200
ステアリン酸マグネシウム 10
合計 460mg
製剤例2
錠剤は下記の成分を用いて製造する:
用量
(mg/錠剤)
活性成分 250
セルロース(微結晶) 400
二酸化ケイ素(ヒューム) 10
ステアリン酸
合計 665mg
成分を混合し、圧縮して各重量665mgの錠剤にする。
製剤例3
以下の成分を含有するエアロゾル溶液を製造する:
重量
活性成分 0.25
エタノール 25.75
プロペラント22(クロロジフルオロメタン) 74.00
合計 100.00
活性成分とエタノールを混合し、この混合物をプロペラント22の一部に加え、−30℃に冷却し、充填装置に移す。ついで必要量をステンレススチール容器へ供給し、残りのプロペラントで希釈する。バブルユニットを容器に取り付ける。
製剤例4
活性成分60mgを含む錠剤は次のように製造する:
活性成分 60mg
デンプン 45mg
微結晶性セルロース 35mg
ポリビニルピロリドン(水中10%溶液) 4mg
ナトリウムカルボキシメチルデンプン 4.5mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
滑石 1mg
合計 150mg
活性成分、デンプン、およびセルロースはNo.45メッシュU.S.のふるいにかけて、十分に混合する。ポリビニルピロリドンを含む水溶液を得られた粉末と混合し、ついで混合物をNo.14メッシュU.S.ふるいに通す。このようにして得た顆粒を50℃で乾燥してNo.18メッシュU.S.ふるいに通す。あらかじめNo.60メッシュU.S.ふるいに通したナトリウムカルボキシメチルデンプン、ステアリン酸マグネシウム、および滑石をこの顆粒に加え、混合した後、打錠機で圧縮して各重量150mgの錠剤を得る。
製剤例5
活性成分80mgを含むカプセル剤は次のように製造する:
活性成分 80mg
デンプン 59mg
微結晶性セルロース 59mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
合計 200mg
活性成分、デンプン、セルロース、およびステアリン酸マグネシウムを混合し、No.45メッシュU.S.のふるいに通して硬質ゼラチンカプセルに200mgずつ充填する。
製剤例6
活性成分225mgを含む坐剤は次のように製造する:
活性成分 225mg
飽和脂肪酸グリセリド 2000mg
合計 2225mg
活性成分をNo.60メッシュU.S.のふるいに通し、あらかじめ必要最小限に加熱して融解させた飽和脂肪酸グリセリドに懸濁する。ついでこの混合物を、みかけ2gの型に入れて冷却する。
製剤例7
活性成分50mgを含む懸濁剤は次のように製造する:
活性成分 50mg
ナトリウムカルボキシメチルセルロース 50mg
シロップ 1.25ml
安息香酸溶液 0.10ml
香料 q.v.
色素 q.v.
精製水を加え合計 5ml
活性成分をNo.45メッシュU.S.のふるいにかけ、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよびシロップと混合して滑らかなペーストにする。安息香酸溶液および香料を水の一部で希釈して加え、攪拌する。ついで水を十分量加えて必要な体積にする。
製剤例8
静脈用製剤は次のように製造する:
活性成分 100mg
飽和脂肪酸グリセリド 1000ml
上記成分の溶液は通常、1分間に1mlの速度で患者に静脈内投与される。
【産業上の利用可能性】
【0024】
カンナビノイド受容体アゴニスト作用を有するチアジン誘導体及びピリドン誘導体が強い気道炎症性細胞浸潤抑制効果、気道過敏性亢進抑制剤効果、粘液分泌抑制効果、又は気管支拡張剤効果を示すことを見出した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):

(式中、Rは式:−C(=Z)−W−R(式中、Zは酸素原子又は硫黄原子;Wは酸素原子又は硫黄原子;Rは置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル又は置換されていてもよいアルキニル)で示される基;
及びRはそれぞれ独立して置換されていてもよいアルキル又は置換されていてもよいシクロアルキル;又は
及びRは一緒になって置換されていてもよいヘテロ原子を介在してもよいアルキレン;
mは0〜2の整数;
Aは置換されていてもよいアリール又は置換されていてもよいヘテロアリール)で示される化合物群から選択される化合物を有効成分として含有する気道炎症性細胞浸潤抑制剤、気道過敏性亢進抑制剤、粘液分泌抑制剤、又は気管支拡張剤。
【請求項2】
が式:−C(=Z)−W−R(式中、Zは酸素原子又は硫黄原子;Wは硫黄原子;Rは置換されていてもよいアルキル又はアルケニル)で示される基であり;R及びRがそれぞれ独立してアルキル、又はR及びRが一緒になって置換されていてもよいアルキレンであり;mが0であり;Aがアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、及びハロアルキルチオからなる群から選択される基で1〜2箇所置換されていてもよいアリールである請求項1記載の気道炎症性細胞浸潤抑制剤、気道過敏性亢進抑制剤、粘液分泌抑制剤、又は気管支拡張剤。
【請求項3】
カンナビノイド受容体アゴニスト作用を有する化合物が、式(II):

(式中、Rは式:−Y−Y−Y−R(式中、Y及びYはそれぞれ独立して単結合又は置換されていてもよいアルキレン;Yは単結合、−O−、−O−SO−、−NR−、−NR−C(=O)−、−NR−SO−、−NR−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−NR−、−NR−C(=S)−NR−、−S−、−C(=O)−O−、又は−C(=O)−NR−;Rは置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよい炭素環式基、置換されていてもよい複素環式基又はアシル;Rはそれぞれ独立して水素原子、置換されていてもよいアルキル、又はアシル)で示される基;
は水素原子、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、ハロゲン原子、又はアルコキシ;
及びRはそれぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、ハロゲン原子、置換されていてもよいフェニル、又は置換されていてもよいカルバモイル;又は、
及びRが一緒になって、隣接する炭素原子と共にヘテロ原子及び/又は不飽和結合が介在していてもよく置換されていてもよい5〜8員環を形成していてもよく;
は水素原子、ヘテロ原子及び/又は不飽和結合が介在していてもよく置換されていてもよいアルキル又は式:−Y−R(式中、Yは単結合、置換されていてもよいアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、−O−、−S−、−SO−、又は−SO−;Rは置換されていてもよい炭素環式基又は置換されていてもよい複素環式基)で示される基;
Xは酸素原子又は硫黄原子)で示される化合物群から選択される化合物を有効成分として含有する気道炎症性細胞浸潤抑制剤、気道過敏性亢進抑制剤、粘液分泌抑制剤、又は気管支拡張剤。
【請求項4】
が式:−Y−Y−Y−R(式中、Yは単結合であり;Yは−C(=O)−NH−であり;Yは単結合又は置換されていてもよいアルキレンであり;Rは置換されていてもよい炭素環式基である)で示される基であり;Rが水素原子であり;Rがアルキル、ハロゲン原子又は置換されていてもよいフェニルであり;Rが水素原子又はアルキルであり;又は、R及びRが一緒になって、隣接する炭素原子と共に不飽和結合が介在していてもよい8員環を形成していてもよく;Rがヘテロ原子及び/又は不飽和結合が介在していてもよく置換されていてもよい炭素数3以上のアルキル又は式:−Y−R(式中、Yは単結合又は置換されていてもよいアルキレンであり;Rは置換されていてもよい炭素環式基である)で示される基である請求項3記載の気道炎症性細胞浸潤抑制剤、気道過敏性亢進抑制剤、粘液分泌抑制剤、又は気管支拡張剤。
【請求項5】
気道炎症性細胞浸潤、気道過敏性亢進、粘液分泌抑、又は気管支収縮の予防及び/又は治療するための医薬を製造するための請求項1記載の式(I)又は請求項3記載式(II)で示される化合物の使用。
【請求項6】
請求項1記載の式(I)又は請求項3記載の式(II)で示される化合物の予防及び/又は治療上効果を示す量を人を含む哺乳動物に投与することからなる、気道炎症性細胞浸潤、気道過敏性亢進、粘液分泌抑、又は気管支収縮による影響を緩和するための哺乳動物を予防及び/又は治療する方法。

【国際公開番号】WO2005/016351
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【発行日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513191(P2005−513191)
【国際出願番号】PCT/JP2004/011745
【国際出願日】平成16年8月16日(2004.8.16)
【出願人】(000001926)塩野義製薬株式会社 (229)
【Fターム(参考)】