説明

カーシート用織物シミュレーションプログラム、カーシート用織物シミュレーション方法、カーシート用織物シミュレーション装置、カーシート用織物製造方法及びカーシート用織物売買方法

【課題】 リアル感のあるカーシート用の織物をシミュレーションする。
【解決手段】 織物組織情報入力受付部101は、カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報の入力を受け付け、糸情報入力受付部102は、カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力を受け付け、3次元織物画像作成部103は、織物組織情報入力受付部101によって受け付けられた組織情報と、糸情報入力受付部102によって受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造を3次元織物画像として作成し、画像貼付け部105は、3次元織物画像作成部103によって作成された3次元織物画像をカーシートモデルに貼り付け、カーシート画像表示部402は、画像貼付け部105によって3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするカーシート用織物シミュレーションプログラム、カーシート用織物シミュレーション方法及びカーシート用織物シミュレーション装置に関するものであり、また、カーシート用織物を製造するカーシート用織物製造方法及びカーシート用織物を売買するカーシート用織物売買方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カーシート用織物の設計、制作の工程は、まず、自動車メーカのニーズに応じてテキスタイルメーカが織物の試作品を制作する。自動車メーカは、試作品の中から最もイメージに合うものを選び出し、さらなる改良を指示する。テキスタイルメーカは、試作品の改良を行い、自動車メーカとのやり取りを繰り返し、最終的な織物を決定する。
【0003】
このように、自動車メーカとテキスタイルメーカとは、カーシート用の織物を決定するまでに、複数回数やり取りを繰り返す必要があり、特にテキスタイルメーカは、実際に織物の試作品を複数制作する必要があった。
【0004】
また、織物の表面柄パターンを作成する装置として特許文献1の技術が知られている。特許文献1に記載の表面柄パターン作成装置は、織物に関するデータから布柄イメージを作成している。
【特許文献1】特開平6−248536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、テキスタイルメーカは、カーシート用織物の試作品を制作するが、この試作品は、試作品を実際にカーシートに適用した場合と生地だけを見た場合とで、必ずしもイメージ通りの織物になるとは限らない。
【0006】
また、上記の特許文献1の表面柄パターン作成装置は、2次元の布柄イメージを作成するものである。そこで、複数のポリゴンで構成されるカーシートモデルを3次元空間上に作成するとともに、カーシート用織物の2次元画像を上記の表面柄パターン作成装置により作成し、カーシートモデルに対してカーシート用織物をテクスチャマッピングする方法が考えられる。しかしながら、織物は、縦糸と横糸とを用いて織られた布であり、特に、カーシート用織物は、縦糸及び横糸に丈夫で太い糸が用いられるため、表面に特徴的な凹凸が現れる。このような、カーシートの表面の凹凸を2次元画像で表現するのは困難であり、縦糸と横糸とが互いに影響を及ぼしあう織物では特に困難である。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、リアル感のあるカーシート用の織物をシミュレーションすることができるカーシート用織物シミュレーションプログラム、カーシート用織物シミュレーション方法、カーシート用織物シミュレーション装置、カーシート用織物製造方法及びカーシート用織物売買方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るカーシート用織物シミュレーションプログラムは、カーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするカーシート用織物シミュレーションプログラムであって、前記カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報の入力を受け付ける組織情報入力受付手段と、前記カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力を受け付ける糸情報入力受付手段と、前記組織情報入力受付手段によって受け付けられた組織情報と、前記糸情報受付手段によって受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造を3次元織物画像として作成する3次元織物画像作成手段と、前記3次元織物画像作成手段によって作成された3次元織物画像をカーシートモデルに貼り付ける画像貼付け手段と、前記画像貼付け手段によって3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルを表示する表示手段としてコンピュータを機能させる。
【0009】
この構成によれば、カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報の入力が受け付けられ、カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力が受け付けられ、受け付けられた組織情報と、受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造が3次元織物画像として作成され、作成された3次元織物画像がカーシートモデルに貼り付けられ、3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルが表示される。
【0010】
したがって、リアル感のあるカーシート用の織物をシミュレーションすることができ、カーシート用織物を用いたカーシートを仮想的に表示することによって、カーシート用織物の実物を試作することが不要となり、試作品を実際に製造するためのコストを削減することができる。
【0011】
また、上記のカーシート用織物シミュレーションプログラムにおいて、前記3次元織物画像作成手段は、前記組織情報を基に織構造を立体化させ、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とを蛇行させ、縦糸と横糸とが交差する交点において一方の糸が他方の糸に及ぼす力に基づき他方の糸の太さを変化させることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報を基に織構造が立体化され、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とが蛇行され、縦糸と横糸とのうちの一方の糸が他方の糸に及ぼす力に基づき他方の糸の太さが変化されるので、リアル感のあるカーシート用織物の織構造を仮想的に再現することができる。
【0013】
また、上記のカーシート用織物シミュレーションプログラムにおいて、前記3次元織物画像作成手段は、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とが交差する場合、各糸に働く張力と各糸の断面内に働く圧力とに基づいて糸の形状を変化させ、隣接する糸の断面の中心点同士の間隔が当該糸の太さよりも接近する場合、各糸の弾力性に応じた反発力に基づいて糸の形状を変化させることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とが交差する場合、各糸に働く張力と各糸の断面内に働く圧力とに基づいて糸の形状が変化され、隣接する糸の断面の中心点同士の間隔が当該糸の太さよりも接近する場合、各糸の弾力性に応じた反発力に基づいて糸の形状が変化される。したがって、カーシート用織物を構成する縦糸及び横糸の形状をそれぞれに働く力に応じて変形させることによって、織構造をより現実に近いものにすることができる。
【0015】
また、上記のカーシート用織物シミュレーションプログラムにおいて、前記3次元織物画像作成手段は、一方の糸が他方の糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の一方の糸の傾きの大きさと通過後の一方の糸の傾きの大きさとを比較し、傾きの大きい方から小さい方へと力を加えることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、一方の糸が他方の糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の一方の糸の傾きの大きさと通過後の一方の糸の傾きの大きさとが比較され、傾きの大きい方から小さい方へと力が加えられ、加えられた力の方向に他方の糸が移動することとなる。したがって、一方の糸が他方の糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の一方の糸の傾きの大きさと通過後の一方の糸の傾きの大きさとを比較することによって、他の糸に働く力の方向を決めることができる。
【0017】
また、上記のカーシート用織物シミュレーションプログラムにおいて、前記3次元織物画像作成手段は、一方の糸が他方の糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の一方の糸の傾きと通過後の一方の糸の傾きとに応じて他方の糸の太さを決定することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、一方の糸が他方の糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の一方の糸の傾きと通過後の一方の糸の傾きとに応じて他方の糸の太さが決定されるので、縦糸及び横糸のうちの一方の糸によって拘束される他方の糸の太さを適切な太さに決定することができる。
【0019】
本発明に係るカーシート用織物シミュレーション方法は、カーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするカーシート用織物シミュレーション方法であって、コンピュータが、前記カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報の入力を受け付ける組織情報入力受付ステップと、コンピュータが、前記カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力を受け付ける糸情報入力受付ステップと、コンピュータが、前記組織情報入力受付ステップにおいて受け付けられた組織情報と、前記糸情報受付ステップにおいて受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造を3次元織物画像として作成する3次元織物画像作成ステップと、コンピュータが、前記3次元織物画像作成ステップにおいて作成された3次元織物画像をカーシートモデルに貼り付ける画像貼付けステップと、コンピュータが、前記画像貼付けステップにおいて3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルを表示する表示ステップとを含む。
【0020】
この構成によれば、カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報の入力が受け付けられ、カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力が受け付けられ、受け付けられた組織情報と、受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造が3次元織物画像として作成され、作成された3次元織物画像がカーシートモデルに貼り付けられ、3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルが表示される。
【0021】
したがって、リアル感のあるカーシート用の織物をシミュレーションすることができ、カーシート用織物を用いたカーシートを仮想的に表示することによって、カーシート用織物の実物を試作することが不要となり、試作品を実際に製造するためのコストを削減することができる。
【0022】
本発明に係るカーシート用織物シミュレーション装置は、カーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするカーシート用織物シミュレーション装置であって、前記カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報の入力を受け付ける組織情報入力受付手段と、前記カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力を受け付ける糸情報入力受付手段と、前記組織情報入力受付手段によって受け付けられた組織情報と、前記糸情報受付手段によって受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造を3次元織物画像として作成する3次元織物画像作成手段と、前記3次元織物画像作成手段によって作成された3次元織物画像をカーシートモデルに貼り付ける画像貼付け手段と、前記画像貼付け手段によって3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルを表示する表示手段とを備える。
【0023】
この構成によれば、カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報の入力が受け付けられ、カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力が受け付けられ、受け付けられた組織情報と、受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造が3次元織物画像として作成され、作成された3次元織物画像がカーシートモデルに貼り付けられ、3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルが表示される。
【0024】
したがって、リアル感のあるカーシート用の織物をシミュレーションすることができ、カーシート用織物を用いたカーシートを仮想的に表示することによって、カーシート用織物の実物を試作することが不要となり、試作品を実際に製造するためのコストを削減することができる。
【0025】
本発明に係るカーシート用織物製造方法は、カーシート用織物製造装置を用いてカーシート用織物を製造するカーシート用織物製造方法であって、前記請求項7記載のカーシート用織物シミュレーション装置が、カーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするシミュレーションステップと、前記カーシート用織物製造装置が、前記シミュレーションステップにおいてシミュレーションされたカーシート用織物の3次元織物構造を用いてカーシート用織物を製造する製造ステップとを含む。
【0026】
この構成によれば、カーシート用織物の3次元織構造がシミュレーションされ、シミュレーションされたカーシート用織物の3次元織物構造を用いてカーシート用織物が製造される。したがって、カーシート用織物の実物を試作することなく、設計及び製造をすることができる。
【0027】
本発明に係るカーシート用織物売買方法は、テキスタイルメーカと自動車メーカとでカーシート用織物を売買するカーシート用織物売買方法であって、前記請求項7記載のカーシート用織物シミュレーション装置が、カーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするシミュレーションステップと、自動車メーカ側クライアントコンピュータが、前記シミュレーションステップにおいてシミュレーションされたカーシート用織物の製造を指示する発注情報を送信する発注情報送信ステップと、テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータが、前記発注情報送信ステップにおいて送信された発注情報を受信する発注情報受信ステップと、カーシート用織物製造装置が、前記発注情報受信ステップにおいて発注情報を受信した後、前記シミュレーションステップにおいてシミュレーションされたカーシート用織物の3次元織物構造を用いてカーシート用織物を製造する製造ステップとを含む。
【0028】
この構成によれば、カーシート用織物の3次元織構造がシミュレーションされ、シミュレーションされたカーシート用織物の製造を指示する発注情報が送信され、送信された発注情報が受信されることによってカーシート用織物の製造が受注され、発注情報を受信した後、シミュレーションされたカーシート用織物の3次元織物構造を用いてカーシート用織物が製造される。
【0029】
したがって、シミュレーションされたカーシート用織物の3次元織構造を確認してからカーシート用織物の製造を発注することができ、シミュレーションされたカーシート用織物の3次元織物構造を用いてカーシート用織物を製造することができ、製造されたカーシート用織物を納品することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明のカーシート用織物シミュレーションプログラムによれば、リアル感のあるカーシート用の織物をシミュレーションすることができ、カーシート用織物を用いたカーシートを仮想的に表示することによって、カーシート用織物の実物を試作することが不要となり、試作品を実際に製造するためのコストを削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態によるカーシート用織物シミュレーション装置のハードウエア構成を示す図である。なお、カーシート用織物とは、自動車に取り付けられたシートに用いられる織物を表す。
【0032】
図1に示すカーシート用織物シミュレーション装置は、通常のコンピュータから構成され、入力装置1、ROM(リードオンリメモリ)2、CPU(中央演算処理装置)3、RAM(ランダムアクセスメモリ)4、外部記憶装置5、表示装置6及び記録媒体駆動装置7を備えて構成される。各ブロックは内部のバスに接続され、このバスを介して種々のデータ等が入出力され、CPU3の制御の下、種々の処理が実行される。
【0033】
入力装置1は、キーボード、マウス等から構成され、操作者が種々のデータ及び操作指令等を入力するために使用される。
【0034】
ROM2には、BIOS(Basic Input/Output System)等のシステムプログラム等が記憶されている。外部記憶装置5は、ハードディスクドライブ等から構成され、所定のOS(Operating System)及び後述するカーシート用織物シミュレーションプログラム等が記憶されている。RAM4は、CPU3の作業領域等として用いられる。
【0035】
表示装置6は、液晶表示装置又はCRT(陰極線管)等から構成され、CPU3の制御の基、カーシート用織物シミュレーションプログラムが実行されることによって作成される仮想的なカーシート用織物及びカーシート用織物が仮想的に貼り付けられたカーシートを表示する。
【0036】
記録媒体駆動装置7は、DVD−ROMドライブ、CD−ROMドライブ、フレキシブルディスクドライブ等から構成される。なお、カーシート用織物シミュレーションプログラムを、DVD−ROM、CD−ROM、フレキシブルディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体8に記録し、記録媒体駆動装置7により記録媒体8からカーシート用織物シミュレーションプログラムを読み出して外部記憶装置5にインストールして実行するようにしてもよい。また、カーシート用織物シミュレーション装置が通信装置等を備え、カーシート用織物シミュレーションプログラムが通信ネットワークを介して接続された他のコンピュータに記憶されている場合、当該コンピュータからネットワークを介してカーシート用織物シミュレーションプログラムをダウンロードして実行するようにしてもよい。
【0037】
図2は、本発明に係るカーシート用織物シミュレーション装置の機能を説明するためのブロック図である。図2に示すように、カーシート用織物シミュレーション装置は、プログラム実行部100、記憶部200、入力部300及び表示部400を備えて構成される。プログラム実行部100は、CPU3がカーシート用織物シミュレーションプログラムを実行することにより実現され、織物組織情報入力受付部101、糸情報入力受付部102、3次元織物画像作成部103、3次元織物画像表示制御部104、画像貼付け部105及びカーシート画像表示制御部106を備えて構成される。記憶部200は、RAM4等から構成され、CPU3がカーシート用織物シミュレーションプログラムを実行することにより実現され、織物組織情報記憶部201、糸情報記憶部202、3次元織物画像記憶部203、カーシートモデル記憶部204及びカーシート画像記憶部205を備えて構成される。表示部400は、表示装置6等から構成され、3次元織物画像表示部401及びカーシート画像表示部402を備えて構成される。
【0038】
入力部300は、入力装置1等から構成され、カーシート用織物に使用する織物組織に関する織物組織情報及びカーシート用織物に使用する糸の種類及び太さ等に関する糸情報が入力される。例えば、ユーザは、織物組織情報入力画面を表示部400に表示させ、カーシート用織物に使用する織物組織を入力する。また、ユーザは、糸情報入力画面を表示部400に表示させ、カーシート用織物に使用する糸の種類及び太さ等を入力する。
【0039】
織物組織情報入力受付部101は、カーシート用織物に使用する織物組織に関する織物組織情報の入力を受け付ける。織物組織情報は、カーシート用織物の縦糸と横糸との交錯状態及び織組織の密度や縦糸と横糸とに対してどれくらいの張力が作用するか等の織物製造条件を表している。糸情報入力受付部102は、カーシート用織物に使用する糸の種類及び太さ等に関する糸情報の入力を受け付ける。
【0040】
織物組織情報記憶部201は、織物組織情報入力受付部101によって受け付けられた織物組織情報を記憶する。糸情報記憶部202は、糸情報入力受付部102によって受け付けられた糸情報を記憶する。
【0041】
3次元織物画像作成部103は、織物組織情報入力受付部101によって受け付けられた織物組織情報と、糸情報入力受付部102によって受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間上における3次元織物画像を作成し、立体化処理部107、蛇行処理部108及び断面形状変化処理部109を備えて構成される。
【0042】
立体化処理部107は、織物組織情報を基に織構造を立体化させる。すなわち、立体化処理部107は、織物組織情報の織物製造条件に含まれる初期の糸の張力によってそれぞれの糸が縮もうとする性質と、縦糸と横糸との接触点における力の釣り合いとにより、カーシート用織物を構成する縦糸及び横糸の張力をシミュレーションし、縦糸と横糸とが交差する交点における縦糸及び横糸の中心点の3次元空間内の位置座標を求めることで織構造を立体化させる。なお、立体化処理部107は、糸の位置による高さの変化を最小にするように移動させ、糸の太さに比較して大きく糸を上下方向に移動させる。
【0043】
蛇行処理部108は、縦糸と横糸とが交差する交点において織構造を蛇行させる。すなわち、蛇行処理部108は、立体化処理部107によって求められた各交点における縦糸及び横糸の中心点を結ぶことによって織構造を蛇行させる。なお、各交点における縦糸及び及び横糸の中心点は、例えば正弦曲線やスプライン曲線等の滑らかな曲線によって接続される。また、蛇行処理部108は、縦糸と横糸とのうちの一方の糸が他方の糸上方又は下方を通過する場合、通過前の一方の糸の傾きと通過後の一方の糸の傾きとを比較し、傾きの大きい方から小さい方へと他方の糸に対して働く力を算出し、算出された力の大きさに応じて他方の糸の位置を移動させる。
【0044】
断面形状変化処理部109は、縦糸と横糸とが交差する交点において一方の糸が他方の糸に及ぼす力に基づき太さを変化させる。すなわち、断面形状変化処理部109は、蛇行処理部108によって蛇行された縦糸の断面形状を横糸から受ける力の大きさに応じて変化させるとともに、蛇行処理部108によって蛇行された横糸の断面形状を縦糸から受ける力の大きさに応じて変化させることで、縦糸及び横糸の太さを変化させる。
【0045】
3次元織物画像記憶部203は、3次元織物画像作成部103によって作成された3次元織物画像を記憶する。3次元織物画像表示制御部104は、3次元織物画像記憶部203に記憶されている3次元織物画像を読み出し、3次元織物画像表示部401に出力する。3次元織物画像表示部401は、3次元織物画像表示制御部104から入力される3次元織物画像を表示する。
【0046】
カーシートモデル記憶部204は、仮想3次元空間内において、複数のポリゴンで構成されるカーシートモデルの3次元データを記憶する。画像貼付け部105は、カーシートモデル記憶部204から読み出したカーシートモデルに対して、3次元織物画像記憶部203から読み出した3次元織物画像を貼り付ける。カーシート画像記憶部205は、画像貼付け部105によってカーシートモデルに3次元織物画像が貼り付けられたカーシート画像を記憶する。
【0047】
カーシート画像表示制御部106は、カーシート画像記憶部205に記憶されているカーシート画像を読み出し、カーシート画像表示部402に出力する。カーシート画像表示部402は、カーシート画像表示制御部106から入力されるカーシート画像を表示する。
【0048】
次に、カーシート用織物シミュレーション処理について説明する。図3は、図2に示すカーシート用織物シミュレーション装置によるカーシート用織物シミュレーション処理を説明するためのフローチャートである。
【0049】
まず、ステップS1において、織物組織情報入力受付部101は、ユーザによる織物組織情報の入力を受け付ける。ユーザは、入力部300を用いて織物組織情報を入力する。織物組織情報入力受付部101によって受け付けられた織物組織情報は、織物組織情報記憶部201に記憶される。
【0050】
ここで、織物組織情報について説明する。図4は、織物組織の一例を示す図である。
【0051】
織物の組織は、図4に示す組織図で表すことができる。図4に示す織物組織501は、n×mのマス目で表され、線と線との間を1本の糸とし、縦糸が横糸の上に浮いて交錯している位置のマス目を黒く塗りつぶす(図4では斜線で示す)ことによって、縦糸と横糸との交点における交錯状態を表している。織物組織情報とは、図4に示すように縦糸と横糸とが交錯する交点において縦糸及び横糸のうちのどちらの糸が上になるかを表す情報である。
【0052】
図3に戻って、ステップS2において、糸情報入力受付部102は、ユーザによる糸情報の入力を受け付ける。ユーザは、入力部300を用いて糸情報を入力する。糸情報入力受付部102によって受け付けられた糸情報は、糸情報記憶部202に記憶される。
【0053】
ここで、糸情報について説明する。糸情報には、糸の種類及び糸の太さに関する情報が含まれる。糸の種類としては、例えば、糸を製造しているメーカ名、糸の素材名、糸の色、長繊維であるか、短繊維であるか、及び意匠撚糸であるか等が入力される。また、糸の太さとしては、例えば、番手、デニール、Fカウント、撚糸であるか否か、及び撚糸であればその撚り数等が入力される。
【0054】
次に、ステップS3において、立体化処理部107は、織物構造の立体化処理を行う。具体的に、立体化処理部107は、糸情報記憶部202から糸情報を読み出し、カーシート用織物を構成する縦糸及び横糸の張力を算出する。そして、立体化処理部107は、織物組織情報記憶部201から織物組織情報を読み出し、読み出された織物組織情報に含まれる織物組織の各マス目における縦糸及び横糸の3次元空間内における位置座標を、算出された張力に基づいて求める。
【0055】
次に、ステップS4において、蛇行処理部108は、織物構造の蛇行処理を行う。具体的に、蛇行処理部108は、立体化処理部107によって求められた織物組織の各マス目における縦糸の3次元空間内における位置座標を曲線で結ぶことで縦糸を蛇行させ、立体化処理部107によって求められた織物組織の各マス目における横糸の3次元空間内における位置座標を曲線で結ぶことで横糸を蛇行させる。なお、縦糸の位置座標を結んだ曲線が、縦糸の断面の中心点を通る糸軸となり、横糸の位置座標を結んだ曲線が、横糸の断面の中心点を通る糸軸となる。蛇行処理部108は、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とが交差する場合、各糸に働く張力と各糸の断面内に働く圧力とに基づいて糸の形状を変化させ、隣接する糸の織平面に垂直な断面の中心点同士の間隔が当該糸の太さ(径)よりも接近する場合、各糸の弾力性に応じた反発力に基づいて糸の形状を変化させる。
【0056】
このように、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とが交差する場合、各糸に働く張力と各糸の断面内に働く圧力とに基づいて糸の形状が変化され、隣接する糸の断面の中心点同士の間隔が当該糸の太さよりも接近する場合、各糸の弾力性に応じた反発力に基づいて糸の形状が変化されるので、カーシート用織物を構成する縦糸及び横糸の形状をそれぞれに働く力に応じて変形させることによって、織構造をより現実に近いものにすることができる。
【0057】
また、蛇行処理部108は、縦糸が横糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の縦糸の傾きと通過後の縦糸の傾きとを比較し、傾きの大きい方から小さい方へと横糸に対して力を加え、横糸が縦糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の横糸の傾きと通過後の横糸の傾きとを比較し、傾きの大きい方から小さい方へと縦糸に対して力を加える。
【0058】
図5は、縦糸が横糸の下方を通過する場合における横糸に働く力について説明するための図である。図5では、縦糸601が横糸602の下方を通過している。蛇行処理部108は、縦糸601が横糸602の下方を通過する場合、通過前の縦糸601の傾きaと通過後の縦糸601の傾きbとを比較する。すなわち、図5に示すように、蛇行処理部108は、通過前の縦糸601の断面の中心点を通る糸軸603上の任意の点Aにおいて、断面に垂直な方向のベクトルvaと織平面Hとがなす角度(傾き)aを求めるとともに、通過後の縦糸601の断面の中心点を通る糸軸603上の任意の点Bにおいて、断面に垂直な方向のベクトルvbと織平面Hとがなす角度(傾き)bを求め、傾きaと傾きbとを比較する。蛇行処理部108は、傾きaと傾きbとの大きさを比較した結果、傾きの大きい方から小さい方へと力を加える。図5では、傾きaが傾きbよりも大きいので(a>b)、横糸602には図5の右方向へと力Fが加えられ、横糸602は右方向に移動することとなる。傾きaが傾きbよりも小さい場合(a<b)、横糸602には図5の左方向へと力Fが加えられ、横糸602は左方向に移動することとなる。
【0059】
このように、一方の糸が他方の糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の一方の糸の傾きの大きさと通過後の一方の糸の傾きの大きさとが比較され、傾きの大きい方から小さい方へと力が加えられ、加えられた力の方向に他方の糸が移動することとなる。したがって、一方の糸が他方の糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の一方の糸の傾きの大きさと通過後の一方の糸の傾きの大きさとを比較することによって、他の糸に働く力の方向を決めることができる。
【0060】
図6は、蛇行処理を施したカーシート用織物と蛇行処理を施していないカーシート用織物とを比較するための図であり、図6(a)は、蛇行処理を施していないカーシート用織物を示す図であり、図6(b)は、蛇行処理を施したカーシート用織物を示す図であり、図6(c)は、図6(b)に示すカーシート用織物の縦糸のみを示す図である。
【0061】
図6(a)に示すように、蛇行処理が施される前の立体化処理が施されたカーシート用織物の織構造701は、織平面に対して垂直な方向にのみ糸の位置が移動し、立体化されている。そのため、蛇行処理を施していないカーシート用織物の織構造701は、縦糸と横糸とが互いに影響しあう3次元的な織構造を充分に反映することができず、リアル感の無いものとなってしまう。一方、図6(b)に示すように、蛇行処理を施した場合、カーシート用織物の織構造702は、縦糸と横糸とが互いに影響を及ぼしあって、よりリアル感のあるものとなっている。また、図6(c)に示すように、蛇行処理を施した場合の縦糸703は、横糸からの圧力と、隣接する縦糸の弾性力に応じた反発力とによって、蛇行することとなる。
【0062】
次に、ステップS5において、断面形状変化処理部109は、カーシート用織物を構成する縦糸及び横糸の断面形状を変化させる断面形状変化処理を行う。具体的に、断面形状変化処理部109は、糸情報記憶部202から糸情報を読み出し、読み出された糸情報に含まれる糸の太さに応じて縦糸及び横糸の太さを決定する。この際、断面形状変化処理部109は、縦糸が横糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の縦糸の傾きと通過後の縦糸の傾きとに応じて横糸の太さを決定し、横糸が縦糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の横糸の傾きと通過後の横糸の傾きとに応じて縦糸の太さを決定する。つまり、断面形状変化処理部109は、縦糸が横糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の縦糸と通過後の縦糸との間隔と、予め設定されている糸の太さとを比較し、通過前の縦糸と通過後の縦糸との間隔が予め設定されている糸の太さよりも短い場合、当該間隔に応じて糸の太さ(断面形状)を織平面に平行な方向に変化させる。また、断面形状変化処理部109は、縦糸と横糸とが交差する場合、当該交差位置において、縦糸及び横糸の張力によって一方の糸が他方の糸に対して織平面に垂直な方向に作用する力に応じて、他方の糸の太さを織平面に垂直な方向に変化させる。このように、断面形状変化処理部109は、縦糸及び横糸のうちの一方の糸の傾きに応じて他方の糸に対して働く水平方向の力を求め、求めた水平方向の力に応じて糸の水平方向の長さを決定し、縦糸及び横糸の張力に応じてそれぞれの糸に対して働く垂直方向の力を求め、求めた垂直方向の力に応じて糸の垂直方向の長さを決定し、決定された水平方向及び垂直方向の長さに基づいて糸の断面形状が決定される。
【0063】
なお、本実施形態において、糸の断面形状は、水平方向の長さ及び垂直方向の長さのうちの一方の長さを長径とし他方の長さを短径とする楕円によって近似されるが、本発明は特にこれに限定されず、より現実に近い複雑な形状を計算により求めてもよい。
【0064】
そして、断面形状変化処理部109は、カーシート用織物のポリゴンデータを作成し、作成したポリゴンデータを3次元織物画像データとして3次元織物画像記憶部203に記憶させる。このとき、3次元織物画像記憶部203には、図6(b)に示すような3次元織物画像が記憶される。
【0065】
このように、一方の糸が他方の糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の一方の糸の傾きと通過後の一方の糸の傾きとに応じて他方の糸の太さが決定されるので、縦糸及び横糸のうちの一方の糸によって拘束される他方の糸の太さを適切な太さに決定することができる。
【0066】
次に、ステップS6において、3次元織物画像表示制御部104は、3次元織物画像記憶部203に記憶されている3次元織物画像データを読み出し、読み出された3次元織物画像データを3次元織物画像表示部401に出力する。3次元織物画像表示部401は、3次元織物画像表示制御部104から出力される3次元織物画像データに応じてカーシート用織物組織の立体構造を仮想的に表示する。このとき、3次元織物画像表示部401には、図6(b)に示すような3次元織物画像が表示される。また、3次元織物画像を表示する際に、3次元織物画像データがレンダリングされるが、3次元織物画像表示制御部104は、各々の糸表面や糸を含む空間の各部の放射輝度テーブルを事前に算出する前計算を行うことによって、光源方向へのレイトレーシングを不用にし、レンダリングの高速化及び計算コストの大幅な削減を行っている。
【0067】
なお、本実施形態におけるレンダリング方法は上記に限定されず、他の既存のレンダリング方法を用いてもよい。
【0068】
次に、ステップS7において、画像貼付け部105は、3次元織物画像記憶部203に記憶されている3次元織物画像データを読み出すとともに、カーシートモデル記憶部204に記憶されているカーシートモデルを読み出し、読み出された3次元織物画像をボリューム空間に置き換え、置き換えられたボリューム空間内における3次元織物画像をカーシートモデルに対して3Dテクスチャマッピングを用いて貼り付ける。なお、3次元織物画像記憶部203には、織物組織の最小単位の3次元織物画像データが記憶されており、画像貼付け部105は、最小単位の3次元織物画像をカーシートモデルの大きさに応じて複数組み合わせて貼り付けることによって、カーシートモデルに3次元織物画像が貼り付けられたカーシート画像を作成する。画像貼付け部105は、カーシートモデルに3次元織物画像が貼り付けられたカーシートのポリゴンデータを作成し、作成したポリゴンデータをカーシート画像データとしてカーシート画像記憶部205に記憶させる。
【0069】
次に、ステップS8において、カーシート画像表示制御部106は、カーシート画像記憶部205に記憶されているカーシート画像データを読み出し、読み出されたカーシート画像データをカーシート画像表示部402に出力する。カーシート画像表示部402は、カーシート画像表示制御部106から出力されるカーシート画像データに応じてカーシート用織物が表面に貼り付けられたカーシートを仮想的に表示する。
【0070】
図7は、カーシート用織物が貼り付けられたカーシートモデルを仮想的に表示した場合に表示画面に表示されるカーシート画像の一例を示す図である。図7に示すように、表示画面801には、カーシート用織物の3次元構造がシミュレーションされた3次元織物画像が貼り付けられたカーシート画像802が表示される。カーシート画像802は、織物の凹凸までリアルにシミュレーションされている。
【0071】
このように、カーシート用織物に使用する織物組織に関する織物組織情報の入力が受け付けられ、カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力が受け付けられる。そして、受け付けられた組織情報と、受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造が3次元織物画像として作成される。作成された3次元織物画像がカーシートモデルに貼り付けられ、3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルが表示される。
【0072】
したがって、リアル感のあるカーシート用の織物をシミュレーションすることができ、カーシート用織物を用いたカーシートを仮想的に表示することによって、カーシート用織物の実物を試作することが不要となり、試作品を実際に製造するためのコストを削減することができる。
【0073】
また、立体化処理部107によって、カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報を基に織構造が立体化され、蛇行処理部108によって、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とが蛇行され、断面形状変化処理部109によって、縦糸と横糸とのうちの一方の糸が他方の糸に及ぼす力に基づき他方の糸の太さが変化されるので、リアル感のあるカーシート用織物の織構造を仮想的に再現することができる。
【0074】
次に、テキスタイルメーカと自動車メーカとでカーシート用織物を売買するカーシート用織物売買システムについて説明する。図8は、本発明に係るカーシート用織物売買システムの全体構成を示す図である。図8に示すカーシート用織物売買システム10は、テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11、サーバ12、自動車メーカ側クライアントコンピュータ13及びカーシート用織物製造装置14を備えて構成される。テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11、サーバ12及び自動車メーカ側クライアントコンピュータ13は、ネットワーク15を介して互いに通信可能に接続されている。
【0075】
ネットワーク15としては、例えば、インターネットが使用され、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)に従いサーバ12とテキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11との間で相互に種々の情報等が送受信され、サーバ12と自動車メーカ側クライアントコンピュータ13との間で相互に種々の情報等が送受信される。なお、ネットワーク15としては、インターネットに特に限定されず、イントラネット等の他のネットワーク、または、インターネット、イントラネット等の種々のネットワークを組み合わせたネットワーク等を用いてもよい。また、専用回線によってサーバ12、テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11及び自動車メーカ側クライアントコンピュータ13を相互に接続してもよい。
【0076】
また、ネットワーク15としてインターネットを使用する場合、通常、テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11及び自動車メーカ側クライアントコンピュータ13はモデム等を介して所定のプロバイダサーバに接続され、当該プロバイダサーバを経由してネットワーク15に接続される場合が多いが、説明を容易にするため、プロバイダサーバの図示及び説明を省略している。
【0077】
テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11及び自動車メーカ側クライアントコンピュータ13は、通常のパーソナルコンピュータ等から構成され、ROM、CPU、RAM、外部記憶装置、入力部、通信部、表示部及び記録媒体駆動装置を含む。サーバ12は、通常のサーバ装置等から構成され、ROM、CPU、RAM、外部記憶装置及び通信部を含む。カーシート用織物製造装置14は、カーシート用織物に関する情報が入力されることによってカーシート用織物を自動的に製造する。
【0078】
図9は、本発明に係るカーシート用織物売買システムの構成を示すブロック図である。
【0079】
テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11は、自動車メーカ側クライアントコンピュータ13から送信されるカーシート用織物作成指示を受信するカーシート用織物作成指示受信部111と、カーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするシミュレーション処理部112と、3次元織物画像データをサーバ12に送信する3次元織物画像データ送信部113と、自動車メーカ側クライアントコンピュータ13から送信される発注情報を受信する発注情報受信部114とを備えて構成される。なお、シミュレーション処理部112は、図2に示すカーシート用織物シミュレーション装置と同じ機能を有している。
【0080】
サーバ12は、テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11から送信される3次元織物画像データを受信する3次元織物画像データ受信部121と、3次元織物画像データ受信部121によって受信された3次元織物画像データを記憶する3次元織物画像データ記憶部122と、自動車メーカ側クライアントコンピュータ13から送信される3次元織物画像データ要求を受信する3次元織物画像データ要求受信部123と、3次元織物画像データ記憶部122に記憶されている3次元織物画像データを読み出し、読み出された3次元織物画像データを自動車メーカ側クライアントコンピュータ13に送信する3次元織物画像データ送信部124とを備えて構成される。
【0081】
自動車メーカ側クライアントコンピュータ13は、カーシート用織物作成指示をテキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11に送信するカーシート用織物作成指示送信部131と、3次元織物画像データ要求をサーバ12に送信する3次元織物画像データ要求送信部132と、サーバ12から送信される3次元織物画像データを受信する3次元織物画像データ受信部133と、3次元織物画像データ受信部133によって受信された3次元織物画像を表示する3次元織物画像表示部134と、カーシート用織物を発注する発注情報をテキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11に送信する発注情報送信部135とを備えて構成される。
【0082】
ここで、カーシート用織物売買システムの動作について説明する。まず、カーシート用織物作成指示送信部131は、カーシート用織物作成指示をテキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11に送信する。次に、テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11のカーシート用織物作成指示受信部111は、自動車メーカ側クライアントコンピュータ13から送信されたカーシート用織物作成指示を受信する。そして、カーシート用織物作成指示を受信すると、シミュレーション処理部112は、カーシート用織物の3次元織構造のシミュレーション処理を実行する。なお、このシミュレーション処理は、図3に示す処理と同じであるので説明を省略する。
【0083】
次に、3次元織物画像データ送信部113は、シミュレーション処理部112によってシミュレーション処理が実行されることによって得られる3次元織物画像データをサーバ12に送信する。サーバ12の3次元織物画像データ受信部121は、テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11から送信される3次元織物画像データを受信する。そして、3次元織物画像データ記憶部122は、3次元織物画像データ受信部121によって受信された3次元織物画像データを記憶する。
【0084】
次に、自動車メーカ側クライアントコンピュータ13の3次元織物画像データ要求送信部132は、3次元織物画像データ要求をサーバ12に送信する。サーバ12の3次元織物画像データ要求受信部123は、自動車メーカ側クライアントコンピュータ13から送信された3次元織物画像データ要求を受信する。3次元織物画像データ要求を受信すると、3次元織物画像データ送信部124は、3次元織物画像データ記憶部122に記憶されている3次元織物画像データを読み出し、読み出された3次元織物画像データを自動車メーカ側クライアントコンピュータ13に送信する。
【0085】
次に、自動車メーカ側クライアントコンピュータ13の3次元織物画像データ受信部133は、サーバ12から送信される3次元織物画像データを受信する。そして、3次元織物画像表示部134は、3次元織物画像データ受信部133によって受信された3次元織物画像を表示する。ここで、ユーザは、3次元織物画像表示部134によって表示される3次元織物画像を見ることによって、カーシート用織物の織構造を確認することができる。
【0086】
そして、3次元織物画像表示部134によって表示されているカーシート用織物を発注するか否かを受け付ける。ここで、カーシート用織物を発注しない場合、カーシート用織物作成指示送信部131によって、カーシート用織物作成指示が再びテキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11に送信される。カーシート用織物を発注する場合、発注情報送信部135は、カーシート用織物を発注する発注情報をテキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11に送信する。
【0087】
次に、テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11の発注情報受信部114は、自動車メーカ側クライアントコンピュータ13から送信された発注情報を受信する。カーシート用織物製造装置14は、発注情報を受信すると、シミュレーション処理部112によってシミュレーションされたカーシート用織物を製造する。ここで、カーシート用織物製造装置14は、シミュレーションする際に入力を受け付けた糸情報及び織物組織情報を用いてカーシート用織物を製造する。カーシート用織物製造装置14によって製造されたカーシート用織物は、自動車メーカに納品される。
【0088】
このように、シミュレーション処理部112によって、カーシート用織物の3次元織構造がシミュレーションされ、カーシート用織物製造部115によって、シミュレーションされたカーシート用織物の3次元織物構造を用いてカーシート用織物が製造される。したがって、カーシート用織物の実物を試作することなく、設計及び製造をすることができる。
【0089】
また、シミュレーション処理部112によって、カーシート用織物の3次元織構造がシミュレーションされ、発注情報送信部135によって、シミュレーションされたカーシート用織物の製造を指示する発注情報が送信され、発注情報受信部114によって、送信された発注情報が受信され、カーシート用織物の製造が受注される。そして、カーシート用織物製造装置14によって、シミュレーションされたカーシート用織物の3次元織物構造を用いてカーシート用織物が製造される。
【0090】
したがって、シミュレーションされたカーシート用織物の3次元織構造を確認してからカーシート用織物の製造を発注することができ、シミュレーションされたカーシート用織物の3次元織物構造を用いてカーシート用織物を製造することができ、製造されたカーシート用織物を納品することができる。
【0091】
なお、本実施形態では、テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11と自動車メーカ側クライアントコンピュータ13とは、サーバ12を介して3次元織物画像データを送受信しているが、本発明は特にこれに限定されず、テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11と自動車メーカ側クライアントコンピュータ13とが、サーバ12を介さずに直接3次元織物画像データを送受信してもよい。
【0092】
また、本実施形態では、自動車メーカ側クライアントコンピュータ13の発注情報送信部135がカーシート用織物を発注する発注情報をテキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11に送信し、テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11の発注情報受信部114が発注情報を受信することによって、カーシート用織物製造装置14がカーシート用織物を製造しているが、本発明は特にこれに限定されず、自動車メーカ側クライアントコンピュータ13の3次元織物画像表示部134が3次元織物画像を表示して処理を終了してもよい。
【0093】
さらに、複数のテキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11と、自動車メーカ側クライアントコンピュータ13と、サーバ12とが通信可能に接続されている場合、複数のテキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11によって作成された3次元織物画像データをサーバ12に送信し、サーバ12が各テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11によって作成された3次元織物画像データを自動車メーカ側クライアントコンピュータ13に送信し、3次元織物画像データを受信した自動車メーカ側クライアントコンピュータ13が各テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11によって作成された3次元織物画像を表示してもよい。この場合、自動車メーカ側クライアントコンピュータ13は、各テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11によって作成された3次元織物画像を選択可能に表示し、ユーザによる1の3次元織物画像の選択を受け付け、選択された3次元織物画像を作成したテキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11に発注情報を送信してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の一実施形態によるカーシート用織物シミュレーション装置のハードウエア構成を示す図である。
【図2】本発明に係るカーシート用織物シミュレーション装置の機能を説明するためのブロック図である。
【図3】図2に示すカーシート用織物シミュレーション装置によるカーシート用織物シミュレーション処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】織物組織の一例を示す図である。
【図5】縦糸が横糸の下方を通過する場合における横糸に働く力について説明するための図である。
【図6】蛇行処理を施したカーシート用織物と蛇行処理を施していないカーシート用織物とを比較するための図である。
【図7】カーシート用織物が貼り付けられたカーシートモデルを仮想的に表示した場合に表示画面に表示されるカーシート画像の一例を示す図である。
【図8】本発明に係るカーシート用織物売買システムの全体構成を示す図である。
【図9】本発明に係るカーシート用織物売買システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0095】
1 入力装置
2 ROM
3 CPU
4 RAM
5 外部記憶装置
6 表示装置
7 記録媒体駆動装置
8 記録媒体
100 プログラム実行部
101 織物組織情報入力受付部
102 糸情報入力受付部
103 3次元織物画像作成部
104 3次元織物画像表示制御部
105 画像貼付け部
106 カーシート画像表示制御部
107 立体化処理部
108 蛇行処理部
109 断面形状変化処理部
200 記憶部
201 織物組織情報記憶部
202 糸情報記憶部
203 3次元織物画像記憶部
204 カーシートモデル記憶部
205 カーシート画像記憶部
300 入力部
400 表示部
401 3次元織物画像表示部
402 カーシート画像表示部
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするカーシート用織物シミュレーションプログラム、カーシート用織物シミュレーション方法及びカーシート用織物シミュレーション装置に関するものであり、また、カーシート用織物を製造するカーシート用織物製造方法及びカーシート用織物を売買するカーシート用織物売買方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カーシート用織物の設計、制作の工程は、まず、自動車メーカのニーズに応じてテキスタイルメーカが織物の試作品を制作する。自動車メーカは、試作品の中から最もイメージに合うものを選び出し、さらなる改良を指示する。テキスタイルメーカは、試作品の改良を行い、自動車メーカとのやり取りを繰り返し、最終的な織物を決定する。
【0003】
このように、自動車メーカとテキスタイルメーカとは、カーシート用の織物を決定するまでに、複数回数やり取りを繰り返す必要があり、特にテキスタイルメーカは、実際に織物の試作品を複数制作する必要があった。
【0004】
また、織物の表面柄パターンを作成する装置として特許文献1の技術が知られている。特許文献1に記載の表面柄パターン作成装置は、織物に関するデータから布柄イメージを作成している。
【特許文献1】特開平6−248536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、テキスタイルメーカは、カーシート用織物の試作品を制作するが、この試作品は、試作品を実際にカーシートに適用した場合と生地だけを見た場合とで、必ずしもイメージ通りの織物になるとは限らない。
【0006】
また、上記の特許文献1の表面柄パターン作成装置は、2次元の布柄イメージを作成するものである。そこで、複数のポリゴンで構成されるカーシートモデルを3次元空間上に作成するとともに、カーシート用織物の2次元画像を上記の表面柄パターン作成装置により作成し、カーシートモデルに対してカーシート用織物をテクスチャマッピングする方法が考えられる。しかしながら、織物は、縦糸と横糸とを用いて織られた布であり、特に、カーシート用織物は、縦糸及び横糸に丈夫で太い糸が用いられるため、表面に特徴的な凹凸が現れる。このような、カーシートの表面の凹凸を2次元画像で表現するのは困難であり、縦糸と横糸とが互いに影響を及ぼしあう織物では特に困難である。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、リアル感のあるカーシート用の織物をシミュレーションすることができるカーシート用織物シミュレーションプログラム、カーシート用織物シミュレーション方法、カーシート用織物シミュレーション装置、カーシート用織物製造方法及びカーシート用織物売買方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るカーシート用織物シミュレーションプログラムは、カーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするカーシート用織物シミュレーションプログラムであって、前記カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報の入力を受け付ける組織情報入力受付手段と、前記カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力を受け付ける糸情報入力受付手段と、前記組織情報入力受付手段によって受け付けられた組織情報と、前記糸情報受付手段によって受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造を3次元織物画像として作成する3次元織物画像作成手段と、前記3次元織物画像作成手段によって作成された3次元織物画像をカーシートモデルに貼り付ける画像貼付け手段と、前記画像貼付け手段によって3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルを表示する表示手段としてコンピュータを機能させ、前記3次元織物画像作成手段は、前記組織情報を基に織構造を立体化させ、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とを蛇行させ、縦糸と横糸とのうちの一方の糸が他方の糸に及ぼす力に基づき他方の糸の太さを変化させる。
【0009】
この構成によれば、カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報の入力が受け付けられ、カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力が受け付けられ、受け付けられた組織情報と、受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造が3次元織物画像として作成され、作成された3次元織物画像がカーシートモデルに貼り付けられ、3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルが表示される。
【0010】
したがって、リアル感のあるカーシート用の織物をシミュレーションすることができ、カーシート用織物を用いたカーシートを仮想的に表示することによって、カーシート用織物の実物を試作することが不要となり、試作品を実際に製造するためのコストを削減することができる。
【0011】
また、カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報を基に織構造が立体化され、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とが蛇行され、縦糸と横糸とのうちの一方の糸が他方の糸に及ぼす力に基づき他方の糸の太さが変化されるので、リアル感のあるカーシート用織物の織構造を仮想的に再現することができる。
【0012】
また、本発明に係るカーシート用織物シミュレーションプログラムカーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするカーシート用織物シミュレーションプログラムであって、前記カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報の入力を受け付ける組織情報入力受付手段と、前記カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力を受け付ける糸情報入力受付手段と、前記組織情報入力受付手段によって受け付けられた組織情報と、前記糸情報受付手段によって受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造を3次元織物画像として作成する3次元織物画像作成手段と、前記3次元織物画像作成手段によって作成された3次元織物画像をカーシートモデルに貼り付ける画像貼付け手段と、前記画像貼付け手段によって3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルを表示する表示手段としてコンピュータを機能させ、前記3次元織物画像作成手段は、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とが交差する場合、各糸に働く張力と各糸の断面内に働く圧力とに基づいて糸の形状を変化させ、隣接する糸の断面の中心点同士の間隔が当該糸の太さよりも接近する場合、各糸の弾力性に応じた反発力に基づいて糸の形状を変化させる。
【0013】
この構成によれば、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とが交差する場合、各糸に働く張力と各糸の断面内に働く圧力とに基づいて糸の形状が変化され、隣接する糸の断面の中心点同士の間隔が当該糸の太さよりも接近する場合、各糸の弾力性に応じた反発力に基づいて糸の形状が変化される。したがって、カーシート用織物を構成する縦糸及び横糸の形状をそれぞれに働く力に応じて変形させることによって、織構造をより現実に近いものにすることができる。
【0014】
また、本発明に係るカーシート用織物シミュレーションプログラムカーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするカーシート用織物シミュレーションプログラムであって、前記カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報の入力を受け付ける組織情報入力受付手段と、前記カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力を受け付ける糸情報入力受付手段と、前記組織情報入力受付手段によって受け付けられた組織情報と、前記糸情報受付手段によって受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造を3次元織物画像として作成する3次元織物画像作成手段と、前記3次元織物画像作成手段によって作成された3次元織物画像をカーシートモデルに貼り付ける画像貼付け手段と、前記画像貼付け手段によって3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルを表示する表示手段としてコンピュータを機能させ、前記3次元織物画像作成手段は、一方の糸が他方の糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の一方の糸の傾きの大きさと通過後の一方の糸の傾きの大きさとを比較し、傾きの大きい方から小さい方へと力を加える。
【0015】
この構成によれば、一方の糸が他方の糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の一方の糸の傾きの大きさと通過後の一方の糸の傾きの大きさとが比較され、傾きの大きい方から小さい方へと力が加えられ、加えられた力の方向に他方の糸が移動することとなる。したがって、一方の糸が他方の糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の一方の糸の傾きの大きさと通過後の一方の糸の傾きの大きさとを比較することによって、他の糸に働く力の方向を決めることができる。
【0016】
また、本発明に係るカーシート用織物シミュレーションプログラムカーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするカーシート用織物シミュレーションプログラムであって、前記カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報の入力を受け付ける組織情報入力受付手段と、前記カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力を受け付ける糸情報入力受付手段と、前記組織情報入力受付手段によって受け付けられた組織情報と、前記糸情報受付手段によって受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造を3次元織物画像として作成する3次元織物画像作成手段と、前記3次元織物画像作成手段によって作成された3次元織物画像をカーシートモデルに貼り付ける画像貼付け手段と、前記画像貼付け手段によって3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルを表示する表示手段としてコンピュータを機能させ、前記3次元織物画像作成手段は、一方の糸が他方の糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の一方の糸の傾きと通過後の一方の糸の傾きとに応じて他方の糸の太さを決定する。
【0017】
この構成によれば、一方の糸が他方の糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の一方の糸の傾きと通過後の一方の糸の傾きとに応じて他方の糸の太さが決定されるので、縦糸及び横糸のうちの一方の糸によって拘束される他方の糸の太さを適切な太さに決定することができる。
【0018】
本発明に係るカーシート用織物製造方法は、カーシート用織物製造装置を用いてカーシート用織物を製造するカーシート用織物製造方法であって、カーシート用織物シミュレーション装置が、カーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするシミュレーションステップと、前記カーシート用織物製造装置が、前記シミュレーションステップにおいてシミュレーションされたカーシート用織物の3次元織物構造を用いてカーシート用織物を製造する製造ステップとを含み、前記シミュレーションステップは、カーシート用織物シミュレーション装置が、前記カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報の入力を受け付ける組織情報入力受付ステップと、カーシート用織物シミュレーション装置が、前記カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力を受け付ける糸情報入力受付ステップと、カーシート用織物シミュレーション装置が、前記組織情報入力受付ステップにおいて受け付けられた組織情報と、前記糸情報受付ステップにおいて受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造を3次元織物画像として作成する3次元織物画像作成ステップと、カーシート用織物シミュレーション装置が、前記3次元織物画像作成ステップにおいて作成された3次元織物画像をカーシートモデルに貼り付ける画像貼付けステップと、カーシート用織物シミュレーション装置が、前記画像貼付けステップにおいて3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルを表示する表示ステップとを含み、前記3次元織物画像作成ステップは、前記組織情報を基に織構造を立体化させ、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とを蛇行させ、縦糸と横糸とのうちの一方の糸が他方の糸に及ぼす力に基づき他方の糸の太さを変化させる
【0019】
この構成によれば、カーシート用織物の3次元織構造がシミュレーションされ、シミュレーションされたカーシート用織物の3次元織物構造を用いてカーシート用織物が製造される。したがって、カーシート用織物の実物を試作することなく、設計及び製造をすることができる。
【0020】
また、カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報を基に織構造が立体化され、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とが蛇行され、縦糸と横糸とのうちの一方の糸が他方の糸に及ぼす力に基づき他方の糸の太さが変化されるので、リアル感のあるカーシート用織物の織構造を仮想的に再現することができる。
【0021】
本発明に係るカーシート用織物製造方法は、カーシート用織物製造装置を用いてカーシート用織物を製造するカーシート用織物製造方法であって、カーシート用織物シミュレーション装置が、カーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするシミュレーションステップと、前記カーシート用織物製造装置が、前記シミュレーションステップにおいてシミュレーションされたカーシート用織物の3次元織物構造を用いてカーシート用織物を製造する製造ステップとを含み、前記シミュレーションステップは、カーシート用織物シミュレーション装置が、前記カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報の入力を受け付ける組織情報入力受付ステップと、カーシート用織物シミュレーション装置が、前記カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力を受け付ける糸情報入力受付ステップと、カーシート用織物シミュレーション装置が、前記組織情報入力受付ステップにおいて受け付けられた組織情報と、前記糸情報受付ステップにおいて受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造を3次元織物画像として作成する3次元織物画像作成ステップと、カーシート用織物シミュレーション装置が、前記3次元織物画像作成ステップにおいて作成された3次元織物画像をカーシートモデルに貼り付ける画像貼付けステップと、カーシート用織物シミュレーション装置が、前記画像貼付けステップにおいて3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルを表示する表示ステップとを含み、前記3次元織物画像作成手段は、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とが交差する場合、各糸に働く張力と各糸の断面内に働く圧力とに基づいて糸の形状を変化させ、隣接する糸の断面の中心点同士の間隔が当該糸の太さよりも接近する場合、各糸の弾力性に応じた反発力に基づいて糸の形状を変化させる。
【0022】
この構成によれば、カーシート用織物の3次元織構造がシミュレーションされ、シミュレーションされたカーシート用織物の3次元織物構造を用いてカーシート用織物が製造される。したがって、カーシート用織物の実物を試作することなく、設計及び製造をすることができる。
【0023】
また、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とが交差する場合、各糸に働く張力と各糸の断面内に働く圧力とに基づいて糸の形状が変化され、隣接する糸の断面の中心点同士の間隔が当該糸の太さよりも接近する場合、各糸の弾力性に応じた反発力に基づいて糸の形状が変化される。したがって、カーシート用織物を構成する縦糸及び横糸の形状をそれぞれに働く力に応じて変形させることによって、織構造をより現実に近いものにすることができる。
【0024】
本発明に係るカーシート用織物売買方法は、テキスタイルメーカと自動車メーカとでカーシート用織物を売買するカーシート用織物売買方法であって、カーシート用織物シミュレーション装置が、カーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするシミュレーションステップと、自動車メーカ側クライアントコンピュータが、前記シミュレーションステップにおいてシミュレーションされたカーシート用織物の製造を指示する発注情報を送信する発注情報送信ステップと、テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータが、前記発注情報送信ステップにおいて送信された発注情報を受信する発注情報受信ステップと、カーシート用織物製造装置が、前記発注情報受信ステップにおいて発注情報を受信した後、前記シミュレーションステップにおいてシミュレーションされたカーシート用織物の3次元織物構造を用いてカーシート用織物を製造する製造ステップとを含み、前記シミュレーションステップは、カーシート用織物シミュレーション装置が、前記カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報の入力を受け付ける組織情報入力受付ステップと、カーシート用織物シミュレーション装置が、前記カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力を受け付ける糸情報入力受付ステップと、カーシート用織物シミュレーション装置が、前記組織情報入力受付ステップにおいて受け付けられた組織情報と、前記糸情報受付ステップにおいて受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造を3次元織物画像として作成する3次元織物画像作成ステップと、カーシート用織物シミュレーション装置が、前記3次元織物画像作成ステップにおいて作成された3次元織物画像をカーシートモデルに貼り付ける画像貼付けステップと、カーシート用織物シミュレーション装置が、前記画像貼付けステップにおいて3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルを表示する表示ステップとを含み、前記3次元織物画像作成ステップは、前記組織情報を基に織構造を立体化させ、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とを蛇行させ、縦糸と横糸とのうちの一方の糸が他方の糸に及ぼす力に基づき他方の糸の太さを変化させる
【0025】
この構成によれば、カーシート用織物の3次元織構造がシミュレーションされ、シミュレーションされたカーシート用織物の製造を指示する発注情報が送信され、送信された発注情報が受信されることによってカーシート用織物の製造が受注され、発注情報を受信した後、シミュレーションされたカーシート用織物の3次元織物構造を用いてカーシート用織物が製造される。
【0026】
したがって、シミュレーションされたカーシート用織物の3次元織構造を確認してからカーシート用織物の製造を発注することができ、シミュレーションされたカーシート用織物の3次元織物構造を用いてカーシート用織物を製造することができ、製造されたカーシート用織物を納品することができる。
【0027】
また、カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報を基に織構造が立体化され、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とが蛇行され、縦糸と横糸とのうちの一方の糸が他方の糸に及ぼす力に基づき他方の糸の太さが変化されるので、リアル感のあるカーシート用織物の織構造を仮想的に再現することができる。
【0028】
本発明に係るカーシート用織物売買方法は、テキスタイルメーカと自動車メーカとでカーシート用織物を売買するカーシート用織物売買方法であって、カーシート用織物シミュレーション装置が、カーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするシミュレーションステップと、自動車メーカ側クライアントコンピュータが、前記シミュレーションステップにおいてシミュレーションされたカーシート用織物の製造を指示する発注情報を送信する発注情報送信ステップと、テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータが、前記発注情報送信ステップにおいて送信された発注情報を受信する発注情報受信ステップと、カーシート用織物製造装置が、前記発注情報受信ステップにおいて発注情報を受信した後、前記シミュレーションステップにおいてシミュレーションされたカーシート用織物の3次元織物構造を用いてカーシート用織物を製造する製造ステップとを含み、前記シミュレーションステップは、カーシート用織物シミュレーション装置が、前記カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報の入力を受け付ける組織情報入力受付ステップと、カーシート用織物シミュレーション装置が、前記カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力を受け付ける糸情報入力受付ステップと、カーシート用織物シミュレーション装置が、前記組織情報入力受付ステップにおいて受け付けられた組織情報と、前記糸情報受付ステップにおいて受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造を3次元織物画像として作成する3次元織物画像作成ステップと、カーシート用織物シミュレーション装置が、前記3次元織物画像作成ステップにおいて作成された3次元織物画像をカーシートモデルに貼り付ける画像貼付けステップと、カーシート用織物シミュレーション装置が、前記画像貼付けステップにおいて3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルを表示する表示ステップとを含み、前記3次元織物画像作成手段は、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とが交差する場合、各糸に働く張力と各糸の断面内に働く圧力とに基づいて糸の形状を変化させ、隣接する糸の断面の中心点同士の間隔が当該糸の太さよりも接近する場合、各糸の弾力性に応じた反発力に基づいて糸の形状を変化させる。
【0029】
この構成によれば、カーシート用織物の3次元織構造がシミュレーションされ、シミュレーションされたカーシート用織物の製造を指示する発注情報が送信され、送信された発注情報が受信されることによってカーシート用織物の製造が受注され、発注情報を受信した後、シミュレーションされたカーシート用織物の3次元織物構造を用いてカーシート用織物が製造される。
【0030】
したがって、シミュレーションされたカーシート用織物の3次元織構造を確認してからカーシート用織物の製造を発注することができ、シミュレーションされたカーシート用織物の3次元織物構造を用いてカーシート用織物を製造することができ、製造されたカーシート用織物を納品することができる。
【0031】
また、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とが交差する場合、各糸に働く張力と各糸の断面内に働く圧力とに基づいて糸の形状が変化され、隣接する糸の断面の中心点同士の間隔が当該糸の太さよりも接近する場合、各糸の弾力性に応じた反発力に基づいて糸の形状が変化される。したがって、カーシート用織物を構成する縦糸及び横糸の形状をそれぞれに働く力に応じて変形させることによって、織構造をより現実に近いものにすることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明のカーシート用織物シミュレーションプログラムによれば、リアル感のあるカーシート用の織物をシミュレーションすることができ、カーシート用織物を用いたカーシートを仮想的に表示することによって、カーシート用織物の実物を試作することが不要となり、試作品を実際に製造するためのコストを削減することができる。
【0033】
また、カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報を基に織構造が立体化され、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とが蛇行され、縦糸と横糸とのうちの一方の糸が他方の糸に及ぼす力に基づき他方の糸の太さが変化されるので、リアル感のあるカーシート用織物の織構造を仮想的に再現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態によるカーシート用織物シミュレーション装置のハードウエア構成を示す図である。なお、カーシート用織物とは、自動車に取り付けられたシートに用いられる織物を表す。
【0035】
図1に示すカーシート用織物シミュレーション装置は、通常のコンピュータから構成され、入力装置1、ROM(リードオンリメモリ)2、CPU(中央演算処理装置)3、RAM(ランダムアクセスメモリ)4、外部記憶装置5、表示装置6及び記録媒体駆動装置7を備えて構成される。各ブロックは内部のバスに接続され、このバスを介して種々のデータ等が入出力され、CPU3の制御の下、種々の処理が実行される。
【0036】
入力装置1は、キーボード、マウス等から構成され、操作者が種々のデータ及び操作指令等を入力するために使用される。
【0037】
ROM2には、BIOS(Basic Input/Output System)等のシステムプログラム等が記憶されている。外部記憶装置5は、ハードディスクドライブ等から構成され、所定のOS(Operating System)及び後述するカーシート用織物シミュレーションプログラム等が記憶されている。RAM4は、CPU3の作業領域等として用いられる。
【0038】
表示装置6は、液晶表示装置又はCRT(陰極線管)等から構成され、CPU3の制御の基、カーシート用織物シミュレーションプログラムが実行されることによって作成される仮想的なカーシート用織物及びカーシート用織物が仮想的に貼り付けられたカーシートを表示する。
【0039】
記録媒体駆動装置7は、DVD−ROMドライブ、CD−ROMドライブ、フレキシブルディスクドライブ等から構成される。なお、カーシート用織物シミュレーションプログラムを、DVD−ROM、CD−ROM、フレキシブルディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体8に記録し、記録媒体駆動装置7により記録媒体8からカーシート用織物シミュレーションプログラムを読み出して外部記憶装置5にインストールして実行するようにしてもよい。また、カーシート用織物シミュレーション装置が通信装置等を備え、カーシート用織物シミュレーションプログラムが通信ネットワークを介して接続された他のコンピュータに記憶されている場合、当該コンピュータからネットワークを介してカーシート用織物シミュレーションプログラムをダウンロードして実行するようにしてもよい。
【0040】
図2は、本発明に係るカーシート用織物シミュレーション装置の機能を説明するためのブロック図である。図2に示すように、カーシート用織物シミュレーション装置は、プログラム実行部100、記憶部200、入力部300及び表示部400を備えて構成される。プログラム実行部100は、CPU3がカーシート用織物シミュレーションプログラムを実行することにより実現され、織物組織情報入力受付部101、糸情報入力受付部102、3次元織物画像作成部103、3次元織物画像表示制御部104、画像貼付け部105及びカーシート画像表示制御部106を備えて構成される。記憶部200は、RAM4等から構成され、CPU3がカーシート用織物シミュレーションプログラムを実行することにより実現され、織物組織情報記憶部201、糸情報記憶部202、3次元織物画像記憶部203、カーシートモデル記憶部204及びカーシート画像記憶部205を備えて構成される。表示部400は、表示装置6等から構成され、3次元織物画像表示部401及びカーシート画像表示部402を備えて構成される。
【0041】
入力部300は、入力装置1等から構成され、カーシート用織物に使用する織物組織に関する織物組織情報及びカーシート用織物に使用する糸の種類及び太さ等に関する糸情報が入力される。例えば、ユーザは、織物組織情報入力画面を表示部400に表示させ、カーシート用織物に使用する織物組織を入力する。また、ユーザは、糸情報入力画面を表示部400に表示させ、カーシート用織物に使用する糸の種類及び太さ等を入力する。
【0042】
織物組織情報入力受付部101は、カーシート用織物に使用する織物組織に関する織物組織情報の入力を受け付ける。織物組織情報は、カーシート用織物の縦糸と横糸との交錯状態及び織組織の密度や縦糸と横糸とに対してどれくらいの張力が作用するか等の織物製造条件を表している。糸情報入力受付部102は、カーシート用織物に使用する糸の種類及び太さ等に関する糸情報の入力を受け付ける。
【0043】
織物組織情報記憶部201は、織物組織情報入力受付部101によって受け付けられた織物組織情報を記憶する。糸情報記憶部202は、糸情報入力受付部102によって受け付けられた糸情報を記憶する。
【0044】
3次元織物画像作成部103は、織物組織情報入力受付部101によって受け付けられた織物組織情報と、糸情報入力受付部102によって受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間上における3次元織物画像を作成し、立体化処理部107、蛇行処理部108及び断面形状変化処理部109を備えて構成される。
【0045】
立体化処理部107は、織物組織情報を基に織構造を立体化させる。すなわち、立体化処理部107は、織物組織情報の織物製造条件に含まれる初期の糸の張力によってそれぞれの糸が縮もうとする性質と、縦糸と横糸との接触点における力の釣り合いとにより、カーシート用織物を構成する縦糸及び横糸の張力をシミュレーションし、縦糸と横糸とが交差する交点における縦糸及び横糸の中心点の3次元空間内の位置座標を求めることで織構造を立体化させる。なお、立体化処理部107は、糸の位置による高さの変化を最小にするように移動させ、糸の太さに比較して大きく糸を上下方向に移動させる。
【0046】
蛇行処理部108は、縦糸と横糸とが交差する交点において織構造を蛇行させる。すなわち、蛇行処理部108は、立体化処理部107によって求められた各交点における縦糸及び横糸の中心点を結ぶことによって織構造を蛇行させる。なお、各交点における縦糸及び横糸の中心点は、例えば正弦曲線やスプライン曲線等の滑らかな曲線によって接続される。また、蛇行処理部108は、縦糸と横糸とのうちの一方の糸が他方の糸上方又は下方を通過する場合、通過前の一方の糸の傾きと通過後の一方の糸の傾きとを比較し、傾きの大きい方から小さい方へと他方の糸に対して働く力を算出し、算出された力の大きさに応じて他方の糸の位置を移動させる。
【0047】
断面形状変化処理部109は、縦糸と横糸とが交差する交点において一方の糸が他方の糸に及ぼす力に基づき太さを変化させる。すなわち、断面形状変化処理部109は、蛇行処理部108によって蛇行された縦糸の断面形状を横糸から受ける力の大きさに応じて変化させるとともに、蛇行処理部108によって蛇行された横糸の断面形状を縦糸から受ける力の大きさに応じて変化させることで、縦糸及び横糸の太さを変化させる。
【0048】
3次元織物画像記憶部203は、3次元織物画像作成部103によって作成された3次元織物画像を記憶する。3次元織物画像表示制御部104は、3次元織物画像記憶部203に記憶されている3次元織物画像を読み出し、3次元織物画像表示部401に出力する。3次元織物画像表示部401は、3次元織物画像表示制御部104から入力される3次元織物画像を表示する。
【0049】
カーシートモデル記憶部204は、仮想3次元空間内において、複数のポリゴンで構成されるカーシートモデルの3次元データを記憶する。画像貼付け部105は、カーシートモデル記憶部204から読み出したカーシートモデルに対して、3次元織物画像記憶部203から読み出した3次元織物画像を貼り付ける。カーシート画像記憶部205は、画像貼付け部105によってカーシートモデルに3次元織物画像が貼り付けられたカーシート画像を記憶する。
【0050】
カーシート画像表示制御部106は、カーシート画像記憶部205に記憶されているカーシート画像を読み出し、カーシート画像表示部402に出力する。カーシート画像表示部402は、カーシート画像表示制御部106から入力されるカーシート画像を表示する。
【0051】
次に、カーシート用織物シミュレーション処理について説明する。図3は、図2に示すカーシート用織物シミュレーション装置によるカーシート用織物シミュレーション処理を説明するためのフローチャートである。
【0052】
まず、ステップS1において、織物組織情報入力受付部101は、ユーザによる織物組織情報の入力を受け付ける。ユーザは、入力部300を用いて織物組織情報を入力する。織物組織情報入力受付部101によって受け付けられた織物組織情報は、織物組織情報記憶部201に記憶される。
【0053】
ここで、織物組織情報について説明する。図4は、織物組織の一例を示す図である。
【0054】
織物の組織は、図4に示す組織図で表すことができる。図4に示す織物組織501は、n×mのマス目で表され、線と線との間を1本の糸とし、縦糸が横糸の上に浮いて交錯している位置のマス目を黒く塗りつぶす(図4では斜線で示す)ことによって、縦糸と横糸との交点における交錯状態を表している。織物組織情報とは、図4に示すように縦糸と横糸とが交錯する交点において縦糸及び横糸のうちのどちらの糸が上になるかを表す情報である。
【0055】
図3に戻って、ステップS2において、糸情報入力受付部102は、ユーザによる糸情報の入力を受け付ける。ユーザは、入力部300を用いて糸情報を入力する。糸情報入力受付部102によって受け付けられた糸情報は、糸情報記憶部202に記憶される。
【0056】
ここで、糸情報について説明する。糸情報には、糸の種類及び糸の太さに関する情報が含まれる。糸の種類としては、例えば、糸を製造しているメーカ名、糸の素材名、糸の色、長繊維であるか、短繊維であるか、及び意匠撚糸であるか等が入力される。また、糸の太さとしては、例えば、番手、デニール、Fカウント、撚糸であるか否か、及び撚糸であればその撚り数等が入力される。
【0057】
次に、ステップS3において、立体化処理部107は、織物構造の立体化処理を行う。具体的に、立体化処理部107は、糸情報記憶部202から糸情報を読み出し、カーシート用織物を構成する縦糸及び横糸の張力を算出する。そして、立体化処理部107は、織物組織情報記憶部201から織物組織情報を読み出し、読み出された織物組織情報に含まれる織物組織の各マス目における縦糸及び横糸の3次元空間内における位置座標を、算出された張力に基づいて求める。
【0058】
次に、ステップS4において、蛇行処理部108は、織物構造の蛇行処理を行う。具体的に、蛇行処理部108は、立体化処理部107によって求められた織物組織の各マス目における縦糸の3次元空間内における位置座標を曲線で結ぶことで縦糸を蛇行させ、立体化処理部107によって求められた織物組織の各マス目における横糸の3次元空間内における位置座標を曲線で結ぶことで横糸を蛇行させる。なお、縦糸の位置座標を結んだ曲線が、縦糸の断面の中心点を通る糸軸となり、横糸の位置座標を結んだ曲線が、横糸の断面の中心点を通る糸軸となる。蛇行処理部108は、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とが交差する場合、各糸に働く張力と各糸の断面内に働く圧力とに基づいて糸の形状を変化させ、隣接する糸の織平面に垂直な断面の中心点同士の間隔が当該糸の太さ(径)よりも接近する場合、各糸の弾力性に応じた反発力に基づいて糸の形状を変化させる。
【0059】
このように、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とが交差する場合、各糸に働く張力と各糸の断面内に働く圧力とに基づいて糸の形状が変化され、隣接する糸の断面の中心点同士の間隔が当該糸の太さよりも接近する場合、各糸の弾力性に応じた反発力に基づいて糸の形状が変化されるので、カーシート用織物を構成する縦糸及び横糸の形状をそれぞれに働く力に応じて変形させることによって、織構造をより現実に近いものにすることができる。
【0060】
また、蛇行処理部108は、縦糸が横糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の縦糸の傾きと通過後の縦糸の傾きとを比較し、傾きの大きい方から小さい方へと横糸に対して力を加え、横糸が縦糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の横糸の傾きと通過後の横糸の傾きとを比較し、傾きの大きい方から小さい方へと縦糸に対して力を加える。
【0061】
図5は、縦糸が横糸の下方を通過する場合における横糸に働く力について説明するための図である。図5では、縦糸601が横糸602の下方を通過している。蛇行処理部108は、縦糸601が横糸602の下方を通過する場合、通過前の縦糸601の傾きaと通過後の縦糸601の傾きbとを比較する。すなわち、図5に示すように、蛇行処理部108は、通過前の縦糸601の断面の中心点を通る糸軸603上の任意の点Aにおいて、断面に垂直な方向のベクトルvaと織平面Hとがなす角度(傾き)aを求めるとともに、通過後の縦糸601の断面の中心点を通る糸軸603上の任意の点Bにおいて、断面に垂直な方向のベクトルvbと織平面Hとがなす角度(傾き)bを求め、傾きaと傾きbとを比較する。蛇行処理部108は、傾きaと傾きbとの大きさを比較した結果、傾きの大きい方から小さい方へと力を加える。図5では、傾きaが傾きbよりも大きいので(a>b)、横糸602には図5の右方向へと力Fが加えられ、横糸602は右方向に移動することとなる。傾きaが傾きbよりも小さい場合(a<b)、横糸602には図5の左方向へと力Fが加えられ、横糸602は左方向に移動することとなる。
【0062】
このように、一方の糸が他方の糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の一方の糸の傾きの大きさと通過後の一方の糸の傾きの大きさとが比較され、傾きの大きい方から小さい方へと力が加えられ、加えられた力の方向に他方の糸が移動することとなる。したがって、一方の糸が他方の糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の一方の糸の傾きの大きさと通過後の一方の糸の傾きの大きさとを比較することによって、他の糸に働く力の方向を決めることができる。
【0063】
図6は、蛇行処理を施したカーシート用織物と蛇行処理を施していないカーシート用織物とを比較するための図であり、図6(a)は、蛇行処理を施していないカーシート用織物を示す図であり、図6(b)は、蛇行処理を施したカーシート用織物を示す図であり、図6(c)は、図6(b)に示すカーシート用織物の縦糸のみを示す図である。
【0064】
図6(a)に示すように、蛇行処理が施される前の立体化処理が施されたカーシート用織物の織構造701は、織平面に対して垂直な方向にのみ糸の位置が移動し、立体化されている。そのため、蛇行処理を施していないカーシート用織物の織構造701は、縦糸と横糸とが互いに影響しあう3次元的な織構造を充分に反映することができず、リアル感の無いものとなってしまう。一方、図6(b)に示すように、蛇行処理を施した場合、カーシート用織物の織構造702は、縦糸と横糸とが互いに影響を及ぼしあって、よりリアル感のあるものとなっている。また、図6(c)に示すように、蛇行処理を施した場合の縦糸703は、横糸からの圧力と、隣接する縦糸の弾性力に応じた反発力とによって、蛇行することとなる。
【0065】
次に、ステップS5において、断面形状変化処理部109は、カーシート用織物を構成する縦糸及び横糸の断面形状を変化させる断面形状変化処理を行う。具体的に、断面形状変化処理部109は、糸情報記憶部202から糸情報を読み出し、読み出された糸情報に含まれる糸の太さに応じて縦糸及び横糸の太さを決定する。この際、断面形状変化処理部109は、縦糸が横糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の縦糸の傾きと通過後の縦糸の傾きとに応じて横糸の太さを決定し、横糸が縦糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の横糸の傾きと通過後の横糸の傾きとに応じて縦糸の太さを決定する。つまり、断面形状変化処理部109は、縦糸が横糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の縦糸と通過後の縦糸との間隔と、予め設定されている糸の太さとを比較し、通過前の縦糸と通過後の縦糸との間隔が予め設定されている糸の太さよりも短い場合、当該間隔に応じて糸の太さ(断面形状)を織平面に平行な方向に変化させる。また、断面形状変化処理部109は、縦糸と横糸とが交差する場合、当該交差位置において、縦糸及び横糸の張力によって一方の糸が他方の糸に対して織平面に垂直な方向に作用する力に応じて、他方の糸の太さを織平面に垂直な方向に変化させる。このように、断面形状変化処理部109は、縦糸及び横糸のうちの一方の糸の傾きに応じて他方の糸に対して働く水平方向の力を求め、求めた水平方向の力に応じて糸の水平方向の長さを決定し、縦糸及び横糸の張力に応じてそれぞれの糸に対して働く垂直方向の力を求め、求めた垂直方向の力に応じて糸の垂直方向の長さを決定し、決定された水平方向及び垂直方向の長さに基づいて糸の断面形状が決定される。
【0066】
なお、本実施形態において、糸の断面形状は、水平方向の長さ及び垂直方向の長さのうちの一方の長さを長径とし他方の長さを短径とする楕円によって近似されるが、本発明は特にこれに限定されず、より現実に近い複雑な形状を計算により求めてもよい。
【0067】
そして、断面形状変化処理部109は、カーシート用織物のポリゴンデータを作成し、作成したポリゴンデータを3次元織物画像データとして3次元織物画像記憶部203に記憶させる。このとき、3次元織物画像記憶部203には、図6(b)に示すような3次元織物画像が記憶される。
【0068】
このように、一方の糸が他方の糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の一方の糸の傾きと通過後の一方の糸の傾きとに応じて他方の糸の太さが決定されるので、縦糸及び横糸のうちの一方の糸によって拘束される他方の糸の太さを適切な太さに決定することができる。
【0069】
次に、ステップS6において、3次元織物画像表示制御部104は、3次元織物画像記憶部203に記憶されている3次元織物画像データを読み出し、読み出された3次元織物画像データを3次元織物画像表示部401に出力する。3次元織物画像表示部401は、3次元織物画像表示制御部104から出力される3次元織物画像データに応じてカーシート用織物組織の立体構造を仮想的に表示する。このとき、3次元織物画像表示部401には、図6(b)に示すような3次元織物画像が表示される。また、3次元織物画像を表示する際に、3次元織物画像データがレンダリングされるが、3次元織物画像表示制御部104は、各々の糸表面や糸を含む空間の各部の放射輝度テーブルを事前に算出する前計算を行うことによって、光源方向へのレイトレーシングを不用にし、レンダリングの高速化及び計算コストの大幅な削減を行っている。
【0070】
なお、本実施形態におけるレンダリング方法は上記に限定されず、他の既存のレンダリング方法を用いてもよい。
【0071】
次に、ステップS7において、画像貼付け部105は、3次元織物画像記憶部203に記憶されている3次元織物画像データを読み出すとともに、カーシートモデル記憶部204に記憶されているカーシートモデルを読み出し、読み出された3次元織物画像をボリューム空間に置き換え、置き換えられたボリューム空間内における3次元織物画像をカーシートモデルに対して3Dテクスチャマッピングを用いて貼り付ける。なお、3次元織物画像記憶部203には、織物組織の最小単位の3次元織物画像データが記憶されており、画像貼付け部105は、最小単位の3次元織物画像をカーシートモデルの大きさに応じて複数組み合わせて貼り付けることによって、カーシートモデルに3次元織物画像が貼り付けられたカーシート画像を作成する。画像貼付け部105は、カーシートモデルに3次元織物画像が貼り付けられたカーシートのポリゴンデータを作成し、作成したポリゴンデータをカーシート画像データとしてカーシート画像記憶部205に記憶させる。
【0072】
次に、ステップS8において、カーシート画像表示制御部106は、カーシート画像記憶部205に記憶されているカーシート画像データを読み出し、読み出されたカーシート画像データをカーシート画像表示部402に出力する。カーシート画像表示部402は、カーシート画像表示制御部106から出力されるカーシート画像データに応じてカーシート用織物が表面に貼り付けられたカーシートを仮想的に表示する。
【0073】
図7は、カーシート用織物が貼り付けられたカーシートモデルを仮想的に表示した場合に表示画面に表示されるカーシート画像の一例を示す図である。図7に示すように、表示画面801には、カーシート用織物の3次元構造がシミュレーションされた3次元織物画像が貼り付けられたカーシート画像802が表示される。カーシート画像802は、織物の凹凸までリアルにシミュレーションされている。
【0074】
このように、カーシート用織物に使用する織物組織に関する織物組織情報の入力が受け付けられ、カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力が受け付けられる。そして、受け付けられた組織情報と、受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造が3次元織物画像として作成される。作成された3次元織物画像がカーシートモデルに貼り付けられ、3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルが表示される。
【0075】
したがって、リアル感のあるカーシート用の織物をシミュレーションすることができ、カーシート用織物を用いたカーシートを仮想的に表示することによって、カーシート用織物の実物を試作することが不要となり、試作品を実際に製造するためのコストを削減することができる。
【0076】
また、立体化処理部107によって、カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報を基に織構造が立体化され、蛇行処理部108によって、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とが蛇行され、断面形状変化処理部109によって、縦糸と横糸とのうちの一方の糸が他方の糸に及ぼす力に基づき他方の糸の太さが変化されるので、リアル感のあるカーシート用織物の織構造を仮想的に再現することができる。
【0077】
次に、テキスタイルメーカと自動車メーカとでカーシート用織物を売買するカーシート用織物売買システムについて説明する。図8は、本発明に係るカーシート用織物売買システムの全体構成を示す図である。図8に示すカーシート用織物売買システム10は、テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11、サーバ12、自動車メーカ側クライアントコンピュータ13及びカーシート用織物製造装置14を備えて構成される。テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11、サーバ12及び自動車メーカ側クライアントコンピュータ13は、ネットワーク15を介して互いに通信可能に接続されている。
【0078】
ネットワーク15としては、例えば、インターネットが使用され、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)に従いサーバ12とテキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11との間で相互に種々の情報等が送受信され、サーバ12と自動車メーカ側クライアントコンピュータ13との間で相互に種々の情報等が送受信される。なお、ネットワーク15としては、インターネットに特に限定されず、イントラネット等の他のネットワーク、または、インターネット、イントラネット等の種々のネットワークを組み合わせたネットワーク等を用いてもよい。また、専用回線によってサーバ12、テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11及び自動車メーカ側クライアントコンピュータ13を相互に接続してもよい。
【0079】
また、ネットワーク15としてインターネットを使用する場合、通常、テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11及び自動車メーカ側クライアントコンピュータ13はモデム等を介して所定のプロバイダサーバに接続され、当該プロバイダサーバを経由してネットワーク15に接続される場合が多いが、説明を容易にするため、プロバイダサーバの図示及び説明を省略している。
【0080】
テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11及び自動車メーカ側クライアントコンピュータ13は、通常のパーソナルコンピュータ等から構成され、ROM、CPU、RAM、外部記憶装置、入力部、通信部、表示部及び記録媒体駆動装置を含む。サーバ12は、通常のサーバ装置等から構成され、ROM、CPU、RAM、外部記憶装置及び通信部を含む。カーシート用織物製造装置14は、カーシート用織物に関する情報が入力されることによってカーシート用織物を自動的に製造する。
【0081】
図9は、本発明に係るカーシート用織物売買システムの構成を示すブロック図である。
【0082】
テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11は、自動車メーカ側クライアントコンピュータ13から送信されるカーシート用織物作成指示を受信するカーシート用織物作成指示受信部111と、カーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするシミュレーション処理部112と、3次元織物画像データをサーバ12に送信する3次元織物画像データ送信部113と、自動車メーカ側クライアントコンピュータ13から送信される発注情報を受信する発注情報受信部114とを備えて構成される。なお、シミュレーション処理部112は、図2に示すカーシート用織物シミュレーション装置と同じ機能を有している。
【0083】
サーバ12は、テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11から送信される3次元織物画像データを受信する3次元織物画像データ受信部121と、3次元織物画像データ受信部121によって受信された3次元織物画像データを記憶する3次元織物画像データ記憶部122と、自動車メーカ側クライアントコンピュータ13から送信される3次元織物画像データ要求を受信する3次元織物画像データ要求受信部123と、3次元織物画像データ記憶部122に記憶されている3次元織物画像データを読み出し、読み出された3次元織物画像データを自動車メーカ側クライアントコンピュータ13に送信する3次元織物画像データ送信部124とを備えて構成される。
【0084】
自動車メーカ側クライアントコンピュータ13は、カーシート用織物作成指示をテキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11に送信するカーシート用織物作成指示送信部131と、3次元織物画像データ要求をサーバ12に送信する3次元織物画像データ要求送信部132と、サーバ12から送信される3次元織物画像データを受信する3次元織物画像データ受信部133と、3次元織物画像データ受信部133によって受信された3次元織物画像を表示する3次元織物画像表示部134と、カーシート用織物を発注する発注情報をテキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11に送信する発注情報送信部135とを備えて構成される。
【0085】
ここで、カーシート用織物売買システムの動作について説明する。まず、カーシート用織物作成指示送信部131は、カーシート用織物作成指示をテキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11に送信する。次に、テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11のカーシート用織物作成指示受信部111は、自動車メーカ側クライアントコンピュータ13から送信されたカーシート用織物作成指示を受信する。そして、カーシート用織物作成指示を受信すると、シミュレーション処理部112は、カーシート用織物の3次元織構造のシミュレーション処理を実行する。なお、このシミュレーション処理は、図3に示す処理と同じであるので説明を省略する。
【0086】
次に、3次元織物画像データ送信部113は、シミュレーション処理部112によってシミュレーション処理が実行されることによって得られる3次元織物画像データをサーバ12に送信する。サーバ12の3次元織物画像データ受信部121は、テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11から送信される3次元織物画像データを受信する。そして、3次元織物画像データ記憶部122は、3次元織物画像データ受信部121によって受信された3次元織物画像データを記憶する。
【0087】
次に、自動車メーカ側クライアントコンピュータ13の3次元織物画像データ要求送信部132は、3次元織物画像データ要求をサーバ12に送信する。サーバ12の3次元織物画像データ要求受信部123は、自動車メーカ側クライアントコンピュータ13から送信された3次元織物画像データ要求を受信する。3次元織物画像データ要求を受信すると、3次元織物画像データ送信部124は、3次元織物画像データ記憶部122に記憶されている3次元織物画像データを読み出し、読み出された3次元織物画像データを自動車メーカ側クライアントコンピュータ13に送信する。
【0088】
次に、自動車メーカ側クライアントコンピュータ13の3次元織物画像データ受信部133は、サーバ12から送信される3次元織物画像データを受信する。そして、3次元織物画像表示部134は、3次元織物画像データ受信部133によって受信された3次元織物画像を表示する。ここで、ユーザは、3次元織物画像表示部134によって表示される3次元織物画像を見ることによって、カーシート用織物の織構造を確認することができる。
【0089】
そして、3次元織物画像表示部134によって表示されているカーシート用織物を発注するか否かを受け付ける。ここで、カーシート用織物を発注しない場合、カーシート用織物作成指示送信部131によって、カーシート用織物作成指示が再びテキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11に送信される。カーシート用織物を発注する場合、発注情報送信部135は、カーシート用織物を発注する発注情報をテキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11に送信する。
【0090】
次に、テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11の発注情報受信部114は、自動車メーカ側クライアントコンピュータ13から送信された発注情報を受信する。カーシート用織物製造装置14は、発注情報を受信すると、シミュレーション処理部112によってシミュレーションされたカーシート用織物を製造する。ここで、カーシート用織物製造装置14は、シミュレーションする際に入力を受け付けた糸情報及び織物組織情報を用いてカーシート用織物を製造する。カーシート用織物製造装置14によって製造されたカーシート用織物は、自動車メーカに納品される。
【0091】
このように、シミュレーション処理部112によって、カーシート用織物の3次元織構造がシミュレーションされ、カーシート用織物製造部115によって、シミュレーションされたカーシート用織物の3次元織物構造を用いてカーシート用織物が製造される。したがって、カーシート用織物の実物を試作することなく、設計及び製造をすることができる。
【0092】
また、シミュレーション処理部112によって、カーシート用織物の3次元織構造がシミュレーションされ、発注情報送信部135によって、シミュレーションされたカーシート用織物の製造を指示する発注情報が送信され、発注情報受信部114によって、送信された発注情報が受信され、カーシート用織物の製造が受注される。そして、カーシート用織物製造装置14によって、シミュレーションされたカーシート用織物の3次元織物構造を用いてカーシート用織物が製造される。
【0093】
したがって、シミュレーションされたカーシート用織物の3次元織構造を確認してからカーシート用織物の製造を発注することができ、シミュレーションされたカーシート用織物の3次元織物構造を用いてカーシート用織物を製造することができ、製造されたカーシート用織物を納品することができる。
【0094】
なお、本実施形態では、テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11と自動車メーカ側クライアントコンピュータ13とは、サーバ12を介して3次元織物画像データを送受信しているが、本発明は特にこれに限定されず、テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11と自動車メーカ側クライアントコンピュータ13とが、サーバ12を介さずに直接3次元織物画像データを送受信してもよい。
【0095】
また、本実施形態では、自動車メーカ側クライアントコンピュータ13の発注情報送信部135がカーシート用織物を発注する発注情報をテキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11に送信し、テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11の発注情報受信部114が発注情報を受信することによって、カーシート用織物製造装置14がカーシート用織物を製造しているが、本発明は特にこれに限定されず、自動車メーカ側クライアントコンピュータ13の3次元織物画像表示部134が3次元織物画像を表示して処理を終了してもよい。
【0096】
さらに、複数のテキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11と、自動車メーカ側クライアントコンピュータ13と、サーバ12とが通信可能に接続されている場合、複数のテキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11によって作成された3次元織物画像データをサーバ12に送信し、サーバ12が各テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11によって作成された3次元織物画像データを自動車メーカ側クライアントコンピュータ13に送信し、3次元織物画像データを受信した自動車メーカ側クライアントコンピュータ13が各テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11によって作成された3次元織物画像を表示してもよい。この場合、自動車メーカ側クライアントコンピュータ13は、各テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11によって作成された3次元織物画像を選択可能に表示し、ユーザによる1の3次元織物画像の選択を受け付け、選択された3次元織物画像を作成したテキスタイルメーカ側クライアントコンピュータ11に発注情報を送信してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の一実施形態によるカーシート用織物シミュレーション装置のハードウエア構成を示す図である。
【図2】本発明に係るカーシート用織物シミュレーション装置の機能を説明するためのブロック図である。
【図3】図2に示すカーシート用織物シミュレーション装置によるカーシート用織物シミュレーション処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】織物組織の一例を示す図である。
【図5】縦糸が横糸の下方を通過する場合における横糸に働く力について説明するための図である。
【図6】蛇行処理を施したカーシート用織物と蛇行処理を施していないカーシート用織物とを比較するための図である。
【図7】カーシート用織物が貼り付けられたカーシートモデルを仮想的に表示した場合に表示画面に表示されるカーシート画像の一例を示す図である。
【図8】本発明に係るカーシート用織物売買システムの全体構成を示す図である。
【図9】本発明に係るカーシート用織物売買システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0098】
1 入力装置
2 ROM
3 CPU
4 RAM
5 外部記憶装置
6 表示装置
7 記録媒体駆動装置
8 記録媒体
100 プログラム実行部
101 織物組織情報入力受付部
102 糸情報入力受付部
103 3次元織物画像作成部
104 3次元織物画像表示制御部
105 画像貼付け部
106 カーシート画像表示制御部
107 立体化処理部
108 蛇行処理部
109 断面形状変化処理部
200 記憶部
201 織物組織情報記憶部
202 糸情報記憶部
203 3次元織物画像記憶部
204 カーシートモデル記憶部
205 カーシート画像記憶部
300 入力部
400 表示部
401 3次元織物画像表示部
402 カーシート画像表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするカーシート用織物シミュレーションプログラムであって、
前記カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報の入力を受け付ける組織情報入力受付手段と、
前記カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力を受け付ける糸情報入力受付手段と、
前記組織情報入力受付手段によって受け付けられた組織情報と、前記糸情報受付手段によって受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造を3次元織物画像として作成する3次元織物画像作成手段と、
前記3次元織物画像作成手段によって作成された3次元織物画像をカーシートモデルに貼り付ける画像貼付け手段と、
前記画像貼付け手段によって3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルを表示する表示手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするカーシート用織物シミュレーションプログラム。
【請求項2】
前記3次元織物画像作成手段は、前記組織情報を基に織構造を立体化させ、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とを蛇行させ、縦糸と横糸とのうちの一方の糸が他方の糸に及ぼす力に基づき他方の糸の太さを変化させることを特徴とする請求項1記載のカーシート用織物シミュレーションプログラム。
【請求項3】
前記3次元織物画像作成手段は、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とが交差する場合、各糸に働く張力と各糸の断面内に働く圧力とに基づいて糸の形状を変化させ、隣接する糸の断面の中心点同士の間隔が当該糸の太さよりも接近する場合、各糸の弾力性に応じた反発力に基づいて糸の形状を変化させることを特徴とする請求項1又は2記載のカーシート用織物シミュレーションプログラム。
【請求項4】
前記3次元織物画像作成手段は、一方の糸が他方の糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の一方の糸の傾きの大きさと通過後の一方の糸の傾きの大きさとを比較し、傾きの大きい方から小さい方へと力を加えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカーシート用織物シミュレーションプログラム。
【請求項5】
前記3次元織物画像作成手段は、一方の糸が他方の糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の一方の糸の傾きと通過後の一方の糸の傾きとに応じて他方の糸の太さを決定することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカーシート用織物シミュレーションプログラム。
【請求項6】
カーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするカーシート用織物シミュレーション方法であって、
コンピュータが、前記カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報の入力を受け付ける組織情報入力受付ステップと、
コンピュータが、前記カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力を受け付ける糸情報入力受付ステップと、
コンピュータが、前記組織情報入力受付ステップにおいて受け付けられた組織情報と、前記糸情報受付ステップにおいて受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造を3次元織物画像として作成する3次元織物画像作成ステップと、
コンピュータが、前記3次元織物画像作成ステップにおいて作成された3次元織物画像をカーシートモデルに貼り付ける画像貼付けステップと、
コンピュータが、前記画像貼付けステップにおいて3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルを表示する表示ステップとを含むことを特徴とするカーシート用織物シミュレーション方法。
【請求項7】
カーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするカーシート用織物シミュレーション装置であって、
前記カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報の入力を受け付ける組織情報入力受付手段と、
前記カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力を受け付ける糸情報入力受付手段と、
前記組織情報入力受付手段によって受け付けられた組織情報と、前記糸情報受付手段によって受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造を3次元織物画像として作成する3次元織物画像作成手段と、
前記3次元織物画像作成手段によって作成された3次元織物画像をカーシートモデルに貼り付ける画像貼付け手段と、
前記画像貼付け手段によって3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルを表示する表示手段とを備えることを特徴とするカーシート用織物シミュレーション装置。
【請求項8】
カーシート用織物製造装置を用いてカーシート用織物を製造するカーシート用織物製造方法であって、
前記請求項7記載のカーシート用織物シミュレーション装置が、カーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするシミュレーションステップと、
前記カーシート用織物製造装置が、前記シミュレーションステップにおいてシミュレーションされたカーシート用織物の3次元織物構造を用いてカーシート用織物を製造する製造ステップとを含むことを特徴とするカーシート用織物製造方法。
【請求項9】
テキスタイルメーカと自動車メーカとでカーシート用織物を売買するカーシート用織物売買方法であって、
前記請求項7記載のカーシート用織物シミュレーション装置が、カーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするシミュレーションステップと、
自動車メーカ側クライアントコンピュータが、前記シミュレーションステップにおいてシミュレーションされたカーシート用織物の製造を指示する発注情報を送信する発注情報送信ステップと、
テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータが、前記発注情報送信ステップにおいて送信された発注情報を受信する発注情報受信ステップと、
カーシート用織物製造装置が、前記発注情報受信ステップにおいて発注情報を受信した後、前記シミュレーションステップにおいてシミュレーションされたカーシート用織物の3次元織物構造を用いてカーシート用織物を製造する製造ステップとを含むことを特徴とするカーシート用織物売買方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするカーシート用織物シミュレーションプログラムであって、
前記カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報の入力を受け付ける組織情報入力受付手段と、
前記カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力を受け付ける糸情報入力受付手段と、
前記組織情報入力受付手段によって受け付けられた組織情報と、前記糸情報受付手段によって受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造を3次元織物画像として作成する3次元織物画像作成手段と、
前記3次元織物画像作成手段によって作成された3次元織物画像をカーシートモデルに貼り付ける画像貼付け手段と、
前記画像貼付け手段によって3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルを表示する表示手段としてコンピュータを機能させ
前記3次元織物画像作成手段は、前記組織情報を基に織構造を立体化させ、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とを蛇行させ、縦糸と横糸とのうちの一方の糸が他方の糸に及ぼす力に基づき他方の糸の太さを変化させることを特徴とするカーシート用織物シミュレーションプログラム。
【請求項2】
カーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするカーシート用織物シミュレーションプログラムであって、
前記カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報の入力を受け付ける組織情報入力受付手段と、
前記カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力を受け付ける糸情報入力受付手段と、
前記組織情報入力受付手段によって受け付けられた組織情報と、前記糸情報受付手段によって受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造を3次元織物画像として作成する3次元織物画像作成手段と、
前記3次元織物画像作成手段によって作成された3次元織物画像をカーシートモデルに貼り付ける画像貼付け手段と、
前記画像貼付け手段によって3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルを表示する表示手段としてコンピュータを機能させ、
前記3次元織物画像作成手段は、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とが交差する場合、各糸に働く張力と各糸の断面内に働く圧力とに基づいて糸の形状を変化させ、隣接する糸の断面の中心点同士の間隔が当該糸の太さよりも接近する場合、各糸の弾力性に応じた反発力に基づいて糸の形状を変化させることを特徴とするカーシート用織物シミュレーションプログラム。
【請求項3】
カーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするカーシート用織物シミュレーションプログラムであって、
前記カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報の入力を受け付ける組織情報入力受付手段と、
前記カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力を受け付ける糸情報入力受付手段と、
前記組織情報入力受付手段によって受け付けられた組織情報と、前記糸情報受付手段によって受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造を3次元織物画像として作成する3次元織物画像作成手段と、
前記3次元織物画像作成手段によって作成された3次元織物画像をカーシートモデルに貼り付ける画像貼付け手段と、
前記画像貼付け手段によって3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルを表示する表示手段としてコンピュータを機能させ、
前記3次元織物画像作成手段は、一方の糸が他方の糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の一方の糸の傾きの大きさと通過後の一方の糸の傾きの大きさとを比較し、傾きの大きい方から小さい方へと力を加えることを特徴とするカーシート用織物シミュレーションプログラム。
【請求項4】
カーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするカーシート用織物シミュレーションプログラムであって、
前記カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報の入力を受け付ける組織情報入力受付手段と、
前記カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力を受け付ける糸情報入力受付手段と、
前記組織情報入力受付手段によって受け付けられた組織情報と、前記糸情報受付手段によって受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造を3次元織物画像として作成する3次元織物画像作成手段と、
前記3次元織物画像作成手段によって作成された3次元織物画像をカーシートモデルに貼り付ける画像貼付け手段と、
前記画像貼付け手段によって3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルを表示する表示手段としてコンピュータを機能させ、
前記3次元織物画像作成手段は、一方の糸が他方の糸の上方又は下方を通過する場合、通過前の一方の糸の傾きと通過後の一方の糸の傾きとに応じて他方の糸の太さを決定することを特徴とするカーシート用織物シミュレーションプログラム。
【請求項5】
カーシート用織物製造装置を用いてカーシート用織物を製造するカーシート用織物製造方法であって、
カーシート用織物シミュレーション装置が、カーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするシミュレーションステップと、
前記カーシート用織物製造装置が、前記シミュレーションステップにおいてシミュレーションされたカーシート用織物の3次元織物構造を用いてカーシート用織物を製造する製造ステップとを含み、
前記シミュレーションステップは、
カーシート用織物シミュレーション装置が、前記カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報の入力を受け付ける組織情報入力受付ステップと、
カーシート用織物シミュレーション装置が、前記カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力を受け付ける糸情報入力受付ステップと、
カーシート用織物シミュレーション装置が、前記組織情報入力受付ステップにおいて受け付けられた組織情報と、前記糸情報受付ステップにおいて受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造を3次元織物画像として作成する3次元織物画像作成ステップと、
カーシート用織物シミュレーション装置が、前記3次元織物画像作成ステップにおいて作成された3次元織物画像をカーシートモデルに貼り付ける画像貼付けステップと、
カーシート用織物シミュレーション装置が、前記画像貼付けステップにおいて3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルを表示する表示ステップとを含み、
前記3次元織物画像作成ステップは、前記組織情報を基に織構造を立体化させ、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とを蛇行させ、縦糸と横糸とのうちの一方の糸が他方の糸に及ぼす力に基づき他方の糸の太さを変化させることを特徴とするカーシート用織物製造方法。
【請求項6】
カーシート用織物製造装置を用いてカーシート用織物を製造するカーシート用織物製造方法であって、
カーシート用織物シミュレーション装置が、カーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするシミュレーションステップと、
前記カーシート用織物製造装置が、前記シミュレーションステップにおいてシミュレーションされたカーシート用織物の3次元織物構造を用いてカーシート用織物を製造する製造ステップとを含み、
前記シミュレーションステップは、
カーシート用織物シミュレーション装置が、前記カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報の入力を受け付ける組織情報入力受付ステップと、
カーシート用織物シミュレーション装置が、前記カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力を受け付ける糸情報入力受付ステップと、
カーシート用織物シミュレーション装置が、前記組織情報入力受付ステップにおいて受け付けられた組織情報と、前記糸情報受付ステップにおいて受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造を3次元織物画像として作成する3次元織物画像作成ステップと、
カーシート用織物シミュレーション装置が、前記3次元織物画像作成ステップにおいて作成された3次元織物画像をカーシートモデルに貼り付ける画像貼付けステップと、
カーシート用織物シミュレーション装置が、前記画像貼付けステップにおいて3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルを表示する表示ステップとを含み、
前記3次元織物画像作成手段は、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とが交差する場合、各糸に働く張力と各糸の断面内に働く圧力とに基づいて糸の形状を変化させ、隣接する糸の断面の中心点同士の間隔が当該糸の太さよりも接近する場合、各糸の弾力性に応じた反発力に基づいて糸の形状を変化させることを特徴とするカーシート用織物製造方法。
【請求項7】
テキスタイルメーカと自動車メーカとでカーシート用織物を売買するカーシート用織物売買方法であって、
カーシート用織物シミュレーション装置が、カーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするシミュレーションステップと、
自動車メーカ側クライアントコンピュータが、前記シミュレーションステップにおいてシミュレーションされたカーシート用織物の製造を指示する発注情報を送信する発注情報送信ステップと、
テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータが、前記発注情報送信ステップにおいて送信された発注情報を受信する発注情報受信ステップと、
カーシート用織物製造装置が、前記発注情報受信ステップにおいて発注情報を受信した後、前記シミュレーションステップにおいてシミュレーションされたカーシート用織物の3次元織物構造を用いてカーシート用織物を製造する製造ステップとを含み、
前記シミュレーションステップは、
カーシート用織物シミュレーション装置が、前記カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報の入力を受け付ける組織情報入力受付ステップと、
カーシート用織物シミュレーション装置が、前記カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力を受け付ける糸情報入力受付ステップと、
カーシート用織物シミュレーション装置が、前記組織情報入力受付ステップにおいて受け付けられた組織情報と、前記糸情報受付ステップにおいて受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造を3次元織物画像として作成する3次元織物画像作成ステップと、
カーシート用織物シミュレーション装置が、前記3次元織物画像作成ステップにおいて作成された3次元織物画像をカーシートモデルに貼り付ける画像貼付けステップと、
カーシート用織物シミュレーション装置が、前記画像貼付けステップにおいて3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルを表示する表示ステップとを含み、
前記3次元織物画像作成ステップは、前記組織情報を基に織構造を立体化させ、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とを蛇行させ、縦糸と横糸とのうちの一方の糸が他方の糸に及ぼす力に基づき他方の糸の太さを変化させることを特徴とするカーシート用織物売買方法。
【請求項8】
テキスタイルメーカと自動車メーカとでカーシート用織物を売買するカーシート用織物売買方法であって、
カーシート用織物シミュレーション装置が、カーシート用織物の3次元織構造をシミュレーションするシミュレーションステップと、
自動車メーカ側クライアントコンピュータが、前記シミュレーションステップにおいてシミュレーションされたカーシート用織物の製造を指示する発注情報を送信する発注情報送信ステップと、
テキスタイルメーカ側クライアントコンピュータが、前記発注情報送信ステップにおいて送信された発注情報を受信する発注情報受信ステップと、
カーシート用織物製造装置が、前記発注情報受信ステップにおいて発注情報を受信した後、前記シミュレーションステップにおいてシミュレーションされたカーシート用織物の3次元織物構造を用いてカーシート用織物を製造する製造ステップとを含み、
前記シミュレーションステップは、
カーシート用織物シミュレーション装置が、前記カーシート用織物に使用する織物組織に関する組織情報の入力を受け付ける組織情報入力受付ステップと、
カーシート用織物シミュレーション装置が、前記カーシート用織物に使用する糸に関する糸情報の入力を受け付ける糸情報入力受付ステップと、
カーシート用織物シミュレーション装置が、前記組織情報入力受付ステップにおいて受け付けられた組織情報と、前記糸情報受付ステップにおいて受け付けられた糸情報とに基づいて、3次元空間内におけるカーシート用織物の立体構造を3次元織物画像として作成する3次元織物画像作成ステップと、
カーシート用織物シミュレーション装置が、前記3次元織物画像作成ステップにおいて作成された3次元織物画像をカーシートモデルに貼り付ける画像貼付けステップと、
カーシート用織物シミュレーション装置が、前記画像貼付けステップにおいて3次元織物画像が貼り付けられたカーシートモデルを表示する表示ステップとを含み、
前記3次元織物画像作成手段は、カーシート用織物を構成する縦糸と横糸とが交差する場合、各糸に働く張力と各糸の断面内に働く圧力とに基づいて糸の形状を変化させ、隣接する糸の断面の中心点同士の間隔が当該糸の太さよりも接近する場合、各糸の弾力性に応じた反発力に基づいて糸の形状を変化させることを特徴とするカーシート用織物売買方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−65573(P2006−65573A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−247099(P2004−247099)
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(501260510)デジタルファッション株式会社 (13)
【出願人】(000241485)豊田通商株式会社 (73)
【Fターム(参考)】