説明

カーテンウォール

【課題】安価で施工性が良く、美観に優れたカーテンウォールを提供する。
【解決手段】壁面をなす面材と、前記面材が取り付けられる枠体と、前記枠体と係合し、前記面材における周縁を当該枠体側に押圧して前記面材と前記枠体とを取り付けるための押圧係合部材と、を備え、前記面材の周縁は、前記壁面が前記押圧係合部材にて覆われる部位と、屋外側に露出する部位とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面をなす面材と枠体とを有するカーテンウォールに関する。
【背景技術】
【0002】
壁面をなす面材と枠材とを有するカーテンウォールとしては、例えば、壁面が枠材等により覆われないように、建物の構造体や構造体に設けられた枠材にストラクチャルシール材を用いて面材としてのガラスを貼り付ける、所謂SSG構法(STRUCTURAL SEALANT GLAZING SYSTEM)のカーテンウォールが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、壁面が枠材等により覆われる面積を小さくするために、建物の構造体等から屋外側に金具を突出させ、当該金具を面材としてのガラスに貫通させて固定したカーテンウォールも知られている。これらのカーテンウォールは、現場にて面材が取り付けられる。また、施工性を考慮して面材と枠材とをユニット化したカーテンウォールもある。ユニット化されたカーテンウォールは、面材の周縁部が全周に亘って押縁等により枠材に押さえられている。
【特許文献1】実公平7−12621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来のSSG構法のカーテンウォールは、ストラクチャルシール材自身が高価であるとともに耐力を確保するために厳格な品質管理が必要となるため製品コストが高騰してしまうという課題があった。
【0004】
また、壁面において枠材等で覆われる面積を小さくするために、面積の小さな金具を躯体などから突出させ、当該金具にて面材を固定する工法も行われているが、このような工法は現場にて面材を直接取り付けなければならず、高所作業が余儀なくされ施工性が悪いという課題がある。
【0005】
一方、施工性を考慮し工場で枠体などの部材と面材を一体化してユニット化したカーテンウォールは、面材の周縁部を全周に渡って覆う押縁等の枠材により面材が保持されるため、押縁等にて壁面が覆われる面積が広くなり、意匠の自由度が低いという課題がある。
【0006】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、施工性がよく、意匠の自由度が高く、且つ、美観の優れたカーテンウォールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために本発明のカーテンウォールは、壁面をなす面材と、前記面材が取り付けられる枠体と、前記枠体と係合し、前記面材における周縁を当該枠体側に押圧して前記面材と前記枠体とを取り付けるための押圧係合部材と、を備え、前記面材の周縁は、前記壁面が前記押圧係合部材にて覆われる部位と、屋外側に露出する部位とを有することを特徴とするカーテンウォールである。
【0008】
このようなカーテンウォールによれば、面材における周縁を枠体側に押圧する押圧係合部材により面材と枠体とが取り付けられるので、高価なシーリング材を用いることなく安価に取り付けることが可能である。また、取り付けられるカーテンウォールは工場等にて製造できるので、現場での作業が少なく、足場等も必要としないので施工性がよい。また、面材の周縁は、壁面が押圧係合部材にて覆われる部位と、覆われずに屋外側に露出している部位とを有するので、全周に亘って覆われたカーテンウォールより、覆われる部位が狭く露出される部位が広いため、意匠の自由度が高く、且つ、美観の優れたカーテンウォールを実現することが可能である。
【0009】
かかるカーテンウォールであって、前記押圧係合部材と前記面材との間には弾性を有するシール部材が介在されていることが望ましい。
このようなカーテンウォールによれば、押圧係合部材と面材との間に介在されたシール部材の弾性により面材を枠体に、より確実に押圧して保持させることが可能である。
【0010】
かかるカーテンウォールであって、前記面材はガラスであり、前記ガラスと前記枠体との間には、弾性を有する弾性部材が介在されており、前記押圧係合部材と、前記弾性部材とは同系統の色にて形成されていることが望ましい。
このようなカーテンウォールによれば、面材がガラスなので、押圧係合部材に覆われる面積が小さいことにより、より多くの採光が可能である。また、面材がガラスなので、外壁側から弾性部材が視認されてしまうが、押圧係合部材を弾性部材と同系統の色とすることにより、押圧係合部材が目立たなくなり、意匠性に優れた壁面を形成することが可能である。
【0011】
かかるカーテンウォールであって、前記面材はガラスであり、前記ガラスと前記枠体との間には、弾性を有する弾性部材が介在されており、前記押圧係合部材と、前記弾性部材とは互いに異なる系統の色にて形成されていてもよい。
このようなカーテンウォールによれば、面材がガラスなので、押圧係合部材に覆われる面積が小さいことにより、より多くの採光が可能である。また、面材がガラスなので、外壁側から弾性部材が視認されてしまうが、押圧係合部材を弾性部材と互いに異なる系統の色とすることにより、押圧係合部材を目立たせて意匠性に優れた壁面を形成することが可能である。
【0012】
かかるカーテンウォールであって、前記面材は多角形状をなし、前記面材の外周縁部が前記押圧係合部材にて押圧されていることが望ましい。
このようなカーテンウォールによれば、面材が多角形状なので、面材を外周縁部で支えつつ様々な形状、例えば三次元形状の外壁を形成することが可能であり、デザインにおける自由度が高いのでより意匠性に優れた外壁を形成することが可能である。
【0013】
かかるカーテンウォールであって、前記面材は、縦横二対の辺が前記外周縁部となる矩形状をなし、前記二対のうちの一対の辺側が前記押圧係合部材にて押圧されていることが望ましい。
このようなカーテンウォールによれば、縦横二対の辺が前記外周縁部となる矩形状をなす面材の一対の辺側が押圧係合部材にて押圧されているので、面材が押圧係合部材にて覆われる面積が小さくなり、より美観に優れたカーテンウォールを実現することが可能である。
【0014】
かかるカーテンウォールであって、前記面材は長方形状をなし、前記二対の辺のうち長さの長い一対の辺側が前記押圧係合部材にて押圧されていることが望ましい。
このようなカーテンウォールによれば、二対の辺のうち長さの長い一対の辺側が押圧係合部材にて押圧されているので、より安定して確実に面材を保持させることが可能である。
【0015】
かかるカーテンウォールであって、矩形状をなす前記面材は四隅が前記押圧係合部材にて押圧されていることが望ましい。
このようなカーテンウォールによれば、面材の四隅に押圧係合部材にて枠体側に押圧されているので、各押圧係合部材が面材の四辺のうちの隣接する二辺ずつを押圧して面材を確実に保持するとともに、面材が押圧係合部材に覆われる部位は四隅なので押圧係合部材が目立ちにくく、より美観に優れた壁面を構成することが可能である。
【0016】
かかるカーテンウォールであって、前記押圧係合部材は、見込み方向における一方の側に移動されて係合され、前記押圧係合部材を、前記枠体に沿う方向における所定の位置に保持する保持部材を有し、前記保持部材は、前記押圧係合部材が保持された状態で、前記見込み方向における他方の側への移動を規制する移動規制部を有することが望ましい。
このようなカーテンウォールによれば、面材と枠体とを取り付ける押圧係合部材は保持された状態では見込み方向における他方の側、すなわち、押圧係合部材が係合される方向と反対の方向への移動が規制されるので、取り付けた面材と枠体とが外れにくいカーテンウォールを提供することが可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、施工性がよく、意匠の自由度が高く、且つ、美観の優れたカーテンウォールを提供することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係るカーテンウォールについて図面を参照して説明する。
【0019】
実施形態の一例として、工場等にて枠体と面材等とが取り付けられてユニット化され、上下方向及び左右方向に隣接させて建築物の構造材に複数取り付けられるカーテンウォール10について説明する。
【0020】
以下の説明では、カーテンウォール10を屋外側から見たときに上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向または見付け方向、屋内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。
【0021】
本実施形態のカーテンウォール10は、例えばビル等の上下の階床間を覆う外壁材として用いられ、上階の床を支持する構造材としてのスラブ(不図示)等に固定されて吊り下げられる。
【0022】
本実施形態のカーテンウォール10は、図1に示すように、外壁として上下左右に隣接させて取り付けられると、建物の外観はほぼ全域がガラスで覆われているように見える。
【0023】
カーテンウォール10は、壁面をなす面材としてのガラス12と、ガラス12の上下左右にそれぞれ配置される上下の横枠22、24及び左右の縦枠26、28を有しガラス12が取り付けられる枠体20と、図2に示すように、枠体20と係合しガラス12の外周縁部を枠体20に押圧してガラス12と枠体20とを取り付けるための押圧係合部材30と、押圧係合部材30を枠体20に沿う方向における所定の位置に保持する保持部材50(図6)とを有している。
【0024】
枠体20を構成する上の横枠(上枠)22は、ガラス12の上端を収容し、下の横枠(下枠)24は、ガラス12の下端を収容する。
【0025】
左の縦枠(左枠)26は、ガラス12の左側の縁に沿って屋内側に配置され、右の縦枠(右枠)28は、ガラス12の右側の縁に沿って屋内側に配置される。左枠26の左側の側部及び右枠28の右側の側部には、図3、図4に示すように、それぞれ押圧係合部材30と係合する縦枠フック部26a、28aが、見込み方向における屋外側に上下方向に沿って全長に亘って設けられている。また、縦枠フック部26a、28aは、左枠26及び右枠28にそれぞれ、見込み方向に間隔を隔てて2箇所に設けられている。すなわち、縦枠フック部26a、28aは、上枠22、下枠24、左枠26、右枠28が矩形状に接合された枠体20の外周面における縦方向の側面に、長手方向に沿って全域に亘り見込み方向に間隔を隔てて2列形成されている。
【0026】
また、縦枠フック部26a、28aは、見付け方向の外方側に突出されており、その先端部には見込み方向に沿って屋内側に向かって形成された係合片26b、28bが設けられている。すなわち、縦枠フック部26a、28aは、見付け方向の最も外方側に係合片26b、28bが位置し、係合片26b、28bより、見付け方向における枠体の20の中央側に、押圧係合部材30の後述する係合部材フック部34aが屋内側から挿入することにより左枠26、右枠28と押圧係合部材30が係合する。
【0027】
また、枠体20の外周面における見込み方向の中央付近には、防水シール14の端部が挿入される防水シール収容部20aが設けられている。このため、カーテンウォール10は外周部に全周に亘って防水シール14が設けられ、複数のカーテンウォール10を縦横に並べて配置して外壁を形成した際には、隣接するカーテンウォール10の防水シール14同士がそれぞれ互いに当接されるように構成されている。
【0028】
さらに、枠体20の見込み方向の屋内側、すなわち、防水シール収容部20aより屋内側には、長手方向に連通する屋内側中空部20bが設けられている。そして、複数のカーテンウォール10が縦横に並べて配置された際に、隣接するカーテンウォール10の屋内側中空部20b同士の外周部が互いに対面し、屋内側中空部20b間には空隙が形成される。この空隙の屋外側には、バックアップ材19が設けられ、屋内側には防風シール16が充填されている。
【0029】
また、枠体20のガラス12と対向する面、すなわち屋外側の面には、突起20cが全周に設けられており、突起20cには、ガラス12と枠体20との間をシールするための弾性を有するガラス枠間シール部材18が取り付けられており、ガラス枠間シール部材18の外周側には、ガラス枠間シール部材18の潰れを防止するための弾性を有するバックアップ材19が設けられている。
【0030】
押圧係合部材30は、ガラス12の屋外側の面すなわち外壁面側から側面及び縦枠側に亘って配置される本体部32と、本体部32とガラス12との間に介在されるべく本体部32に嵌め付けられるシール部材38とを有している。押圧係合部材30は、図1に示すように、長方形状をなすガラス12の縁をなす二対の辺のうち一対の辺側、ここでは長さの長い一対の辺側、すなわちガラス12の長手方向に沿う縁側が左右4箇所ずつにてガラス12を左枠26及び右枠28に押圧すべく係合されている。そして、押圧係合部材30が左枠26及び右枠28に係合された状態における押圧係合部材30の高さは、カーテンウォール10の高さより十分に小さいため、ガラス12の周縁は、外壁面が押圧係合部材30にて覆われる部位と、覆われずに屋外側に露出する部位とを有している。
【0031】
本体部32は、ガラス12の外壁面側に対面させて配置される板状の壁面対向部33と、側面及び縦枠側に配置される板状の側面対向部34とを有し、壁面対向部33と側面対向部34とは、ほぼ直角をなしている。壁面対向部33のガラス12側には、シール部材38が嵌め付けられる突部33aが設けられている。
【0032】
側面対向部34は、枠体20側に突出し、左枠26及び右枠28に係合される姿勢にて上下方向に沿って設けられ、縦枠フック部26a、28aと係合する係合部材フック部34aが設けられている。係合部材フック部34aも縦枠フック部26a、28と同様に、左枠26及び右枠28と係合される姿勢にて見込み方向に間隔を隔てて2箇所に設けられている。
【0033】
また、係合部材フック部34aは、縦枠26、28側に突出されており、その先端部には見込み方向に沿って屋外側に向かって形成された突片34bが設けられている。すなわち、係合部材フック部34aは、側面対向部34の側板部34cと突片34bとが見付け方向に間隔を隔てて設けられており、側板部34cと突片34bとが、突片34bの屋内側の縁にて連結部34dにて連結されている。
【0034】
そして、側面対向部34は、左枠26及び右枠28と係合される姿勢における高さ方向の中央にて上側と下側とが対象な形状をなしているので、左枠26に係合される押圧係合部材30と、右枠28に係合される押圧係合部材30とは同一であり、共通の部材が用いられる。
【0035】
シール部材38は、図5、図6に示すように、弾性を有し、壁面対向部33に設けられた突部33aに係合するための鉤部38aを有している。シール部材38は、壁面対向部33の上面、下面、及び、見付け方向におけるカーテンウォール10の中央側の側面、を覆うように壁面対向部33に嵌め付けられて、押圧係合部材30が左枠26及び右枠28と係合した際にガラス12と壁面対向部33との間に介在される。
【0036】
保持部材50は、図6に示すように、左枠26及び右枠28の外周側面に設けられた2箇所の縦枠フック部26a、28a間にねじにて固定される部材である。保持部材50は、下側に位置して上下方向における所望の位置に押圧係合部材30を保持する位置決め部52と、位置決め部52と繋がって上側に位置し押圧係合部材30の屋内側への移動を規制する移動規制部54とを有している。
【0037】
位置決め部52は、上面が押圧係合部材30の側面対向部34における下端が載置される載置部52aであり、左枠26及び右枠28と対面する部位の中央にねじが貫通されるねじ穴が形成されている。このため、載置部52aに側面対向部34の下端が載置された際に押圧係合部材30が所望の位置となるように保持部材50は左枠26及び右枠28にねじにて固定される。
【0038】
移動規制部54は、保持部材50が固定された際に、左枠26及び右枠28の外周側面に設けられた2箇所の縦枠フック部26a、28a間において、屋内側の縦枠フック部26a、28a側に偏った位置に配置される。そして、移動規制部54の屋外側の面54aと、縦枠フック部26a、28aの係合片26b、28bの屋内側の縁との間隔は、係合部材フック部34aの連結部34dの見込み方向の幅より広く形成され、係合部材フック部34aの突片34bの見込み方向における全幅より広く形成されている。
【0039】
カーテンウォール10を組み立てる際には、上枠22、下枠24、左枠26、右枠28が矩形状に接合され、バックアップ材19及びガラス枠間シール部材18が取り付けられた枠体20に、押圧係合部材30にてガラス12を保持すべき所定の位置に保持部材50を固定する。次に、シール部材38が嵌め付けられた押圧係合部材30を、保持部材50の上方に配置しつつガラス12の側面及び縦枠26、28の側面に近接させて、シール部材38をガラス12の屋外側の面に当接させる。このとき、シール部材38は、係合部材フック部34aより縦枠26、28側に突出している部位をガラス12の屋外側の面に当接させる。
【0040】
そして、押圧係合部材30をガラス12側、すなわち屋内方向に押圧しつつ、さらに縦枠26、28側に移動させる。この移動により、2つの係合部材フック部34aが、縦枠26、28が有する2箇所の縦枠フック部26a、28aより屋内側にそれぞれ配置される。そして、押圧係合部材30を屋外側から押圧している力を弱めると押圧係合部材30がガラス枠間シール部材18、バックアップ材19、シール部材38の弾性力により屋外側に移動され、2つの係合部材フック部34aと2箇所の縦枠フック部26a、28aとが係合する。
【0041】
その後、2つの係合部材フック部34aと2箇所の縦枠フック部26a、28aとの係合状態を維持したままで、押圧係合部材30を下方に移動させると、移動規制部54の屋外側の面54aと、縦枠フック部26a、28aの係合片26b、28bの屋内側の縁との間に押圧係合部材30の連結部34dは入り込むとともに保持部材50の載置部52aに押圧係合部材30が載置される。
【0042】
このように保持部材50に押圧係合部材30が保持されると、押圧係合部材30が自重により降下したり、屋内方向に移動して係合部材フック部34aと縦枠フック部26a、28aとの係合が外れることが防止され、ガラス12保持の信頼性が高いカーテンウォール10を提供することが可能である。
【0043】
本実施形態のカーテンウォール10によれば、ガラス12における周縁を枠体20側に押圧する押圧係合部材30によりガラス12と枠体20とが取り付けられるので、例えばストラクチャルシール材等の高価なシーリング材等を用いることなく取り付けることが可能である。また、取り付けられるカーテンウォール10は工場等にて製造できるので、現場での作業が少なく、足場等も必要としないので施工性がよい。また、ガラス12の周縁は、壁面が押圧係合部材30にて覆われる部位と、覆われずに露出している部位とを有するので、全周に亘って覆われたカーテンウォールより、覆われる部位が狭く露出される部位が広いため、意匠の自由度が高く、美観の優れたカーテンウォール10を実現することが可能である。
【0044】
また、押圧係合部材30とガラス12との間に介在されたシール部材38の弾性によりガラス12を枠体20に、より確実に押圧して保持させることが可能である。
【0045】
本実施形態のカーテンウォール10は、押圧係合部材30が従来の押縁より面積が小さいため押圧係合部材30により覆われる面積が小さい。このため、面材をガラス12としたカーテンウォール10は、より多くの採光が可能である。また、面材がガラス12なので、外壁側からガラス枠間シール部材18、バックアップ材19が視認されてしまうが、押圧係合部材30をガラス枠間シール部材18、バックアップ材19と同系統の色、例えば黒とすることにより、押圧係合部材30の存在が目立たなくなり、さらに美観に優れた壁面を形成することが可能である。又は、押圧係合部材30をガラス枠間シール部材18、バックアップ材19とは異なる系統の色とすることにより、押圧係合部材30を目立たせることも可能であり、デザイン性に優れ、意匠の自由度も高い壁面を形成することが可能である。
【0046】
また、矩形状のガラス12の一対の辺側が押圧係合部材30にて押圧されているので、ガラス12が押圧係合部材30にて覆われる面積が小さくなり、より美観に優れたカーテンウォール10を実現することが可能である。このとき、長方形状をなすガラス12の二対の辺のうち長さの長い一対の辺側を押圧係合部材30にて押圧したので、より安定して確実にガラス12を保持させることが可能である。
【0047】
上記実施形態においては、面材を押圧係合部材30にて押圧する箇所を、面債の長手方向における左右の4箇所ずつとしたが、これに限るものではない。
【0048】
また、上記実施形態においては、上枠22にガラス12の上端が収容され、下枠24にガラス12の下端が収容され、ガラス12の長手方向に沿う縁側が押圧係合部材30にて左枠26側または右枠28側に押圧されて取り付けられることによりユニット化されているカーテンウォール10について説明したが、これに限るものではない。例えば、図8(a)に示すように、左右の縦枠にガラス12の左右の端がそれぞれ収容され、ガラス12の上下端が押圧係合部材30にて上枠側または下枠側に押圧されて取り付けられていてもよい。また、図8(b)に示すように、ガラス12の四辺が押圧係合部材30により上枠側、下枠側、左枠側、縦枠側にそれぞれ押圧されて取り付けられていてもよい。
【0049】
また、図8(c)に示すように、ガラス12の角部を枠体に押圧して係合される押圧係合部材31により、ガラス12の四隅が枠体にそれぞれ押圧されて取り付けられていてもよい。この場合には、各押圧係合部材31がガラス12の四辺のうちの二辺ずつを押圧してガラス12を確実に保持するとともに、ガラス12が押圧係合部材31に覆われる部位が四隅となるので押圧係合部材31がより目立ちにくく、より美観に優れた壁面を構成することが可能である。このとき、ガラス12の長手方向に沿う縁を、上記実施形態の押圧係合部材30にて枠体側に押圧すると、より強固にガラス12を枠体に保持することが可能である。
【0050】
また、ガラス12など面材の形状は矩形に限ることなく、図8(d)に示すような三角形や、六角形、八角形などの多角形状であっても良い。面材が多角形状の場合には、ガラス12などの面材を外周縁部にて支えつつ様々な形状、例えば三次元形状の外壁を形成することが可能であり、面材の表面がより広く露出されることと相俟って、デザインにおける自由度が高く、より意匠性に優れた外壁を形成することが可能である。
【0051】
上記実施形態においては、左枠16及び右枠28の側面にそれぞれ2列の縦枠フック部26a、28を備え、押圧係合部材30をこれら縦枠フック部26a、28aと係合する例について説明したが、従来のカーテンウォールにて枠体に面材を固定するための押縁との係合部を使用することにより従来の枠体を使用することが可能である。
【0052】
上記実施形態では、面材をガラス12としたが、これに限るものではない。
【0053】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本実施形態に係るカーテンウォールが建物に取り付けられている状態を屋外側から見た外観図である。
【図2】本実施形態に係るカーテンウォールの構造を説明するための斜視図である。
【図3】図2におけるA−A面である。
【図4】図2におけるB−B面である。
【図5】図2におけるC矢視図である。
【図6】図2におけるD矢視図である。
【図7】押圧係合部材と保持部材との関係を説明するための模式図である。
【図8】カーテンウォールの変形例を示す外観図である。
【符号の説明】
【0055】
10 カーテンウォール、12 ガラス、
18 ガラス枠間シール部材、19 バックアップ材、
30 押圧係合部材、31 押圧係合部材、38 シール部材、
50 保持部材、54 移動規制部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面をなす面材と、
前記面材が取り付けられる枠体と、
前記枠体と係合し、前記面材における周縁を当該枠体側に押圧して前記面材と前記枠体とを取り付けるための押圧係合部材と、
を備え、
前記面材の周縁は、前記壁面が前記押圧係合部材にて覆われる部位と、屋外側に露出する部位とを有することを特徴とするカーテンウォール。
【請求項2】
請求項1に記載のカーテンウォールであって、
前記押圧係合部材と前記面材との間には弾性を有するシール部材が介在されていることを特徴とするカーテンウォール。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のカーテンウォールであって、
前記面材はガラスであり、
前記ガラスと前記枠体との間には、弾性を有する弾性部材が介在されており、
前記押圧係合部材と、前記弾性部材とは同系統の色にて形成されていることを特徴とするカーテンウォール。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のカーテンウォールであって、
前記面材はガラスであり、
前記ガラスと前記枠体との間には、弾性を有する弾性部材が介在されており、
前記押圧係合部材と、前記弾性部材とは互いに異なる系統の色にて形成されていることを特徴とするカーテンウォール。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のカーテンウォールであって、
前記面材は多角形状をなし、
前記面材の外周縁部が前記押圧係合部材にて押圧されていることを特徴とするカーテンウォール。
【請求項6】
請求項5に記載のカーテンウォールであって、
前記面材は、縦横二対の辺が前記外周縁部となる矩形状をなし、
前記二対のうちの一対の辺側が前記押圧係合部材にて押圧されていることを特徴とするカーテンウォール。
【請求項7】
請求項6に記載のカーテンウォールであって、
前記面材は長方形状をなし、前記2対の辺のうち長さの長い一対の辺側が前記押圧係合部材にて押圧されていることを特徴とするカーテンウォール。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載のカーテンウォールであって、
矩形状をなす前記面材は四隅が前記押圧係合部材にて押圧されていることを特徴とするカーテンウォール。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のカーテンウォールであって、
前記押圧係合部材は、見込み方向における一方の側に移動されて係合され、
前記押圧係合部材を、前記枠体に沿う方向における所定の位置に保持する保持部材を有し、
前記保持部材は、前記押圧係合部材が保持された状態で、前記見込み方向における他方の側への移動を規制する移動規制部を有することを特徴とするカーテンウォール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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