説明

カーテンウォール

【課題】互いに隣接する異なる断面形状を有するカーテンウォールユニットどうしを良好に接続することができるカーテンウォールを提供すること。
【解決手段】上枠部材11a,11b及び下枠部材12a,12b、並びにこれら上枠部材11a,11b及び下枠部材12a,12bの端部どうしを連結する左右一対の縦枠部材13a,13bからなるカーテンウォールユニット10を上下左右に接続することにより形成された、建物の外壁材を構成するカーテンウォールにおいて、互いに隣接し、かつそれぞれの断面形状が異なるカーテンウォールユニット10間に介在して装着された介装部材を備え、介装部材は、それぞれ上枠部材11a,11bに相当する部位の端部を覆うよう取り付けられた蓋部30,32どうしが互いに弾性変形しながら圧着されることによりカーテンウォールユニット10どうしを接続するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁材を構成するカーテンウォールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の外壁材を構成するカーテンウォールは、カーテンウォールユニットと称される矩形状の枠部材に例えばコンクリートパネルやガラスパネル等の面材を保持させて、これらカーテンウォールユニットを上下左右に接続することにより形成されている。
【0003】
このようなカーテンウォールユニットの接続タイプとして、互いに隣接するカーテンウォールユニット間において、対向する枠部材どうしを相互に凹凸嵌合して気密に接続するインターロックタイプと(例えば、特許文献1参照)、対向する枠部材どうしを弾性材からなる環状ガスケット部材を介在させて気密に接続する環状ガスケットタイプとが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
インターロックタイプは、直線を基調とする部位を形成するのに有用である。環状ガスケットタイプは、多角面を構成する部位を形成するのに有用であるが、インターロックタイプに比して製造コストが高くなってしまう。このようなインターロックタイプ及び環状ガスケットタイプのいずれか一方の方式を採用してカーテンウォールを形成するのが一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−42033号公報
【特許文献2】特開平5−331938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、建物においては独自のデザイン性等を有することが求められており、曲面や多角面等が取り入れられたものも多く見受けられる。このような曲面や多角面等が取り入れられた建物を製造するには、環状ガスケットタイプが適用されることになるが、カーテンウォール全体を環状ガスケットタイプのカーテンウォールユニットで形成すると、製造コストが過大なものとなってしまう。そのため、かかる建物における直線を基調とする部位にはインターロックタイプのカーテンウォールユニットを適用することにより製造コストの低減化を図ることが考えられる。
【0007】
しかしながら、インターロックタイプのカーテンウォールユニットと、環状ガスケットタイプのカーテンウォールユニットとでは、その断面形状が異なるために、これらカーテンウォールユニットを気密性及び水密性を確保しながら接続することは困難であった。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みて、互いに隣接する異なる断面形状を有するカーテンウォールユニットどうしを良好に接続することができるカーテンウォールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るカーテンウォールは、上枠部材及び下枠部材、並びにこれら上枠部材及び下枠部材の端部どうしを連結する左右一対の縦枠部材からなるカーテンウォールユニットを上下左右に接続することにより形成された、建物の外壁材を構成するカーテンウォールにおいて、互いに隣接し、かつそれぞれの断面形状が異なるカーテンウォールユニット間に介在して装着された介装部材を備え、前記介装部材は、それぞれ上枠部材に相当する部位の端部を覆うよう取り付けられた蓋部どうしが互いに弾性変形しながら圧着されることによりカーテンウォールユニットどうしを接続することを特徴とする。
【0010】
これによれば、互いに隣接するカーテンウォールユニットどうしの断面形状が異なっていてもこれら蓋部が弾性変形して吸収することができる。しかも、蓋部は上枠部材に相当する部位の端部を覆っているから雨水等の水が各カーテンウォールユニットに進入することを防止することができる。
【0011】
また、本発明の請求項2に係るカーテンウォールは、上述した請求項1において、前記介装部材は、自身が介在するカーテンウォールユニット間の水の移動を遮断することを特徴とする。
【0012】
これによれば、互いに隣接するカーテンウォールユニット間での水の移動が生ずることなく、雨水等の水は下方に向けて移動することとなり、カーテンウォールユニット間での水密性を確保することができる。
【0013】
また、本発明の請求項3に係るカーテンウォールは、上述した請求項1又は請求項2において、前記介装部材は、一方のカーテンウォールユニットの上枠部材に付設されたアタッチメント部材と、他方のカーテンウォールユニットの上枠部材との間に介在して装着されたことを特徴とする。
【0014】
これによれば、一方のカーテンウォールユニットの上枠部材と他方のカーテンウォールユニットの上枠部材との高さ寸法が異なる場合に、一方の上枠部材にアタッチメント部材を付設することで高さ寸法の差を小さいものとし、互いのカーテンウォールユニットどうしを確実に接続することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るカーテンウォールによれば、互いに隣接する異なる断面形状を有するカーテンウォールユニットどうしを良好に接続することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の実施の形態であるカーテンウォールが適用された建物を模式的に示すもので、(a)は斜視図であり、(b)は平面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態であるカーテンウォールの要部を拡大して模式的に示す横断面図である。
【図3】図3は、図2に示すカーテンウォールの多角部と直線部との境界にあるカーテンウォールユニットどうしの接続状態を模式的に示す斜視図である。
【図4】図4は、図3に示したカーテンウォールユニットを分離して示すもので、各カーテンウォールユニットの上部を示す斜視図である。
【図5】図5は、図3に示したカーテンウォールユニットを分離して示すもので、各カーテンウォールユニットの下部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明に係るカーテンウォールの好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態であるカーテンウォールが適用された建物を模式的に示す説明図である。ここで例示する建物1は、例えばビルやマンション等であり、外壁が多角状に形成された多角部2と、外壁が直線状に形成された直線部3とを有し、これらの組み合わせにより成るものである。
【0019】
図2は、図1に示した建物に適用されるカーテンウォールの要部を拡大して模式的に示す横断面図である。ここで例示するカーテンウォールは、複数のカーテンウォールユニット10が上下左右に接続されて形成されるものである。ここでカーテンウォールユニット10は、上枠部材11(11a,11b)、下枠部材12(12a,12b)及び左右一対の縦枠部材13(13a,13b)を枠組みすることによって構成した枠の内部に面材パネル14(14a,14b)を保持させたものである。
【0020】
このようなカーテンウォールユニット10は、カーテンウォールの多角部2においては、上述したような環状ガスケットタイプのものが適用されて上下左右に隣接するカーテンウォールユニットと接続する。一方、カーテンウォールの直線部3においては、図には明示しないが、上述したようなインターロックタイプのものが適用されて上下左右に接するカーテンウォールユニットと接続する。
【0021】
そして、図2に示すように、カーテンウォールの多角部2と直線部3との境界においては、互いに隣接するカーテンウォールユニット10は次のように接続することになる。
【0022】
図3は、図2に示すカーテンウォールの多角部2と直線部3との境界にあるカーテンウォールユニット10どうしの接続状態を模式的に示す斜視図である。図4は、図3に示したカーテンウォールユニット10を分離して示すもので、各カーテンウォールユニット10の上部を示す斜視図である。図5は、図3に示したカーテンウォールユニット10を分離して示すもので、各カーテンウォールユニット10の下部を示す斜視図である。
【0023】
これら図3〜図5に示すように、直線部3を構成するカーテンウォールユニット10(以下、第1カーテンウォールユニット10aともいう)においては、上枠部材11aは、自身の上部に位置するカーテンウォールユニットの下枠部材12aと嵌合可能なように嵌合部111が形成してある。この嵌合部111を形成する板材の一部に貫通孔112が形成してある。当該貫通孔112は、雨水等が嵌合部111内に進入した場合に、外部に排出するためのものである。
【0024】
このような上枠部材11aのうち多角部2を構成するカーテンウォールユニット10(以下、第2カーテンウォールユニット10bともいう)と対向する端部には、スポンジ等からなる第1蓋部30が取り付けてある。かかる第1蓋部30は、該上枠部材11aの嵌合部111に対応するよう切欠31が形成されているが、該上枠部材11aの端部を覆う態様で取り付けてある。
【0025】
図には明示しないが、第1カーテンウォールユニット10aの下枠部材12aも、自身の下部に位置するカーテンウォールユニットの上枠部材と嵌合可能なように嵌合部が形成してある。また、これら上枠部材11a及び下枠部材を連結する縦枠部材13aであって、第2カーテンウォールユニット10bと対向するものと反対側に位置するものは、互いに隣接するカーテンウォールユニットであって自身に対向する縦枠部材と嵌合可能なように嵌合部が形成してある。
【0026】
一方、第1カーテンウォールユニット10aの縦枠部材13aであって、第2カーテンウォールユニット10bの縦枠部材13bと対向するものは、図4及び図5に示すように、上下方向に沿って延在する複数(図示の例では2つ)の長尺状のガスケット部材21a,22aが設けてある。これらガスケット部材21a,22aのうち前方側に配設されたものは、平板状の突出部が形成されてなるものであり、対向する縦枠部材13bのガスケット部材21bと当接して、雨水等の前方側からの進入を防ぐレインバリアとしての役割を有している。一方、後方側に配設されたガスケット部材22aは、突出する部分が環状をなしており、対向する縦枠部材13bのガスケット部材22bと当接して、気密性を確保するウインドバリアとしての役割を有している。
【0027】
第2カーテンウォールユニット10bにおいては、上枠部材11bは、第1カーテンウォールユニット10aの上枠部材11aのように嵌合部111を有していないため、該上枠部材11aとの高さ寸法に差があるため、アタッチメント部材15が付設してある。このアタッチメント部材15は、前方に向けて漸次下方に傾斜する傾斜面を有している。
【0028】
このようなアタッチメント部材15及び上枠部材11bのうち第1カーテンウォールユニット10aと対向する端部には第2蓋部32が取り付けてある。かかる第2蓋部32は、上記第1蓋部30と同じ材質から形成された弾性部材であり、該アタッチメント部材15及び上枠部材11bの端部を覆う態様で取り付けてある。
【0029】
また、このようなカーテンウォールユニット10bを構成する縦枠部材13bは、図4及び図5に示すように、上下方向に沿って延在する複数(図示の例では2つ)の長尺状のガスケット部材21b,22bが設けてある。これらガスケット部材21b,22bのうち前方側に配設されたものは、平板状の突出部が形成されてなるものであり、対向する縦枠部材13aのガスケット部材21aと当接して、雨水等の前方側からの進入を防ぐレインバリアとしての役割を有している。一方、後方側に配設されたガスケット部材22bは、突出する部分が環状をなしており、対向する縦枠部材13aのガスケット部材22aと当接して、気密性を確保するウインドバリアとしての役割を有している。
【0030】
そして、上記第1カーテンウォールユニット10aと第2カーテンウォールユニット10bとは、図3に示すように、互いに対向する縦枠部材13a,13bに設けられたガスケット部材21a,22a,21b,22bどうしが互いに弾性変形しながら当接するとともに、第1蓋部30と第2蓋部32とが互いに弾性変形しながら圧着して接続することになる。つまり、第1蓋部30と第2蓋部32とが互いに断面形状が異なるカーテンウォールユニット10間に介在して装着された介装部材を構成し、かかる介装部材が、第1蓋部30と第2蓋部32とが互いに弾性変形しながら圧着されることによりカーテンウォールユニット10(10a,10b)どうしを接続するものとなる。
【0031】
このように第1蓋部30と第2蓋部32とが互いに弾性変形しながら圧着することにより、第1カーテンウォールユニット10aの断面形状と第2カーテンウォールユニット10bの断面形状とが異なってもこれら第1蓋部30と第2蓋部32とが変形して吸収することができ、これによりこれら第1カーテンウォールユニット10aと第2カーテンウォールユニット10bとを良好に接続することができる。
【0032】
特に本実施の形態のように第2カーテンウォールユニット10bの上枠部材11bが第1カーテンウォールユニット10aの上枠部材11aとの高さ寸法が大きく異なる場合には、かかる上枠部材11bにアタッチメント部材15を付設することで高さ寸法の差を小さいものとし、上枠部材11b及びアタッチメント部材15に第2蓋部32を取り付けることにより、第2カーテンウォールユニット10bを第1カーテンウォールユニット10aに確実に接続することができる。
【0033】
しかも、第1蓋部30は上枠部材11aの端部を覆っており、第2蓋部32は上枠部材11b及びアタッチメント部材15の端部を覆っているから雨水等の水が各カーテンウォールユニット10に進入することを防止することができる。
【0034】
更に、第1蓋部30と第2蓋部32とは互いに弾性変形しながら圧着することにより、第1カーテンウォールユニット10aと第2カーテンウォールユニット10bとの間での水の移動を遮断する。これにより、第1カーテンウォールユニット10aと第2カーテンウォールユニット10bとの間での水の移動が生ずることなく、雨水等の水は下方に向けて移動することとなり、第1カーテンウォールユニット10aと第2カーテンウォールユニット10bとの間での水密性を確保することができる。
【0035】
以上説明したように、本実施の形態であるカーテンウォールによれば、互いに隣接する異なる断面形状を有するカーテンウォールユニット10どうしを気密性及び水密性を確保しながら良好に接続することができる。
【0036】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0037】
例えば、各カーテンウォールユニットを構成する縦枠部材のビスホールの位置は、環状ガスケットタイプのものでもインターロックタイプのものでも調整することにより、上枠部材及び下枠部材を共通化するようにしてもよい。これによりコストの低減化を図ることができる。
【0038】
また、上述した実施の形態では、互いに断面形状が異なるカーテンウォールユニット10a,10bの上枠部材11a,11bは、高さ寸法に差があったので、一方の上枠部材11bにアタッチメント部材15を設けていたが、本発明ではかかるアタッチメント部材15は必須の構成要素ではなく、上枠部材どうしの高さ寸法の差が十分に小さければ、アタッチメント部材を設ける必要がない。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、本発明に係るカーテンウォールは、建物の外壁材を構成するのに有用である。
【符号の説明】
【0040】
10(10a,10b) カーテンウォールユニット
11a,11b 上枠部材
12a,12b 下枠部材
13a,13b 縦枠部材
14a,14b 面材パネル
15 アタッチメント部材
21a,22a,21b,22b ガスケット部材
30 第1蓋部
32 第2蓋部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠部材及び下枠部材、並びにこれら上枠部材及び下枠部材の端部どうしを連結する左右一対の縦枠部材からなるカーテンウォールユニットを上下左右に接続することにより形成された、建物の外壁材を構成するカーテンウォールにおいて、
互いに隣接し、かつそれぞれの断面形状が異なるカーテンウォールユニット間に介在して装着された介装部材を備え、
前記介装部材は、それぞれ上枠部材に相当する部位の端部を覆うよう取り付けられた蓋部どうしが互いに弾性変形しながら圧着されることによりカーテンウォールユニットどうしを接続することを特徴とするカーテンウォール。
【請求項2】
前記介装部材は、自身が介在するカーテンウォールユニット間の水の移動を遮断することを特徴とする請求項1に記載のカーテンウォール。
【請求項3】
前記介装部材は、一方のカーテンウォールユニットの上枠部材に付設されたアタッチメント部材と、他方のカーテンウォールユニットの上枠部材との間に介在して装着されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカーテンウォール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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