説明

カーテンスプレー塗布装置

【課題】被塗布物上に塗布液をカーテンスプレー装置にて塗設する際、塗布中に液滴の落下を防止し長時間の塗布を安定して行うことが可能なカーテンスプレー塗布装置を提供すること。
【解決手段】塗布液ノズルから吐出された塗布液を、気体ノズルから噴射された気流により液滴にして、被塗布物の搬送方向と交差する方向の所定幅にわたって前記被塗布物に噴霧することにより塗布を行うカーテンスプレー塗布装置において、
塗布後の気流が流れる方向の下流側に、前記気流を回収する回収装置を備え、
前記回収装置が前記気流の上流側に開口部、前記気流の下流側に回収部を有していることを特徴とするカーテンスプレー塗布装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布液を液滴化して噴霧することにより被塗布物に塗布するカーテンスプレー塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被塗布物上に塗布液を塗布する方法は種々知られている。例えば、搬送される長尺の帯状被塗布物上に塗布液を高精度に塗布する方法としては、Edward Cohen,Edgar Gutoff著「MODERN COATING AND DRYING TECHNOLOGY」に述べられている如く、各種の方法が提案されており、例えば、ディップ塗布法、ブレード塗布法、エアーナイフ塗布法、ワイヤーバー塗布法、グラビア塗布法、リバース塗布法、リバースロール塗布法、エクストルージョン塗布法、スライドビード塗布法、カーテン塗布法、カーテンスプレー法等が知られている。これら、エクストルージョン塗布法、スライドビード塗布法は前計量型塗布方法と呼ばれ、高速、薄膜、多層同時塗布が可能であり、その特徴によりインクジェット用記録媒体、写真感光材料、磁気記録材料等のコータとして広く用いられている。エクストルージョン塗布法にはエクストルージョン型コータ、スライドビード塗布法にはスライド型コータが使用されている。その好ましい一例としては、Russell等により米国特許第2,761,791号に提案されたスライドビード塗布装置、或いはエクストルージョン塗布装置等が広く用いられている。又カーテン塗布装置もダイスを有する流量規制型の塗布装置であるが、同様に広く用いられている。
【0003】
しかし、これらコータを有する塗布装置による塗布は、その原理上、ビードやカーテン膜等、塗布装置と被塗布物との間を連続的に塗布液で繋ぐことになる。被塗布物上に均一な厚さの塗布膜を形成するためには、塗布装置からの塗布液流量は、常に一定で、途切れがあってはならない。すなわち、塗布膜を連続的に形成するため、又、塗布膜厚を精度高く一定にするために、所定量以上の塗布液を要することになる。よって、これらの方式において、塗布装置から吐出される塗布液量を極端に少なくすることは、均一な膜厚を得る目的からすると困難を伴う。
【0004】
そのため、塗布層あたりの溶質量が少ない、つまり、塗布液を塗布し乾燥する前の湿潤膜厚がごく薄い膜(例えば、1〜50μm程度)を形成する場合には、塗布液の溶媒量を増やし、塗布液全体を増量することが必要となる。特に塗布液の粘度が低い場合には、基体上で流れてしまうため、安定な塗布膜を形成することが難しく、塗布液量をますます増やさねばならない。
【0005】
しかし、溶媒量を増やすと、塗布後、溶媒を飛ばして乾燥させる負荷(乾燥負荷)が大きくなり、生産効率上好ましくない。又、溶媒量が多かったり、乾燥に時間が掛かると、当該塗布層の下に別の構成層が存在する場合には、該構成層に当該塗布層の塗布液が過度に浸透、拡散し、悪影響を及ぼす場合がある。よって、薄膜を、塗布膜厚の精度高く、乾燥負荷が少なく、生産性高く設ける塗布方法が望まれている。
【0006】
このような高精度に均一な塗布膜厚の薄膜を、構成層上に設けることが必要となる塗布製造物としては色々あるが、例えばインクジェット記録方法に用いられるインクジェット用記録媒体(以下、記録媒体とも言う)が挙げられる。記録媒体としては、例えば、普通紙のように紙そのものであるものや、コート紙のように吸収体を兼ねる被塗布物(支持体)の上にインク吸収層を塗設したもの、或いは樹脂被覆紙やポリエステルフィルムのような非吸収性の支持体の上にインク吸収層を塗設したもの等がある。
【0007】
インクジェット記録は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて記録用紙に付着させ、画像・文字などの記録を行うものであるが、比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の利点を有している。特に、最近ではプリンタの高画質化が進み写真画質に到達していることから、記録用紙も写真画質を実現し、且つ銀塩写真の風合い(光沢性、平滑性、コシなど)を再現することが求められている。
【0008】
銀塩写真の風合いを再現する方法の一つとして、支持体上にゼラチンやポリビニルアルコールなどの親水性バインダを塗設した、いわゆる膨潤型の記録用紙が知られている。しかしながら、この方法で作製された記録用紙は、インク吸収速度が遅い、プリント後に表面がべたつき易い、保存中に湿度の影響を受けて画像がにじみ易い等の欠点を有している。特に、インク吸収速度が遅いため、吸収される前にインクの液滴同士が混ざり合い、異色間のにじみ(ブリーディング)や同色内の色むら(ビーディング)を発生させやすく、銀塩写真と同程度の画質を得るのは非常に困難となっている。
【0009】
上記膨潤型に代わり主流となりつつあるのがいわゆる空隙型であり、インク吸収層に多孔質の無機微粒子を有しており、この多孔質の無機微粒子にインクを吸収させるため、吸収速度が速いのが特徴である。この様な空隙型の記録用紙の例としては、特開平10−119423号、同10−119424号、同10−175364号、同10−193776号、同10−193776号、同10−217601号、同11−20300号、同11−106694号、同11−321079号、同11−348410号、同10−178126号、同11−348409号、特開2000−27093、同2000−94830、同2000−158807、同2000−211241等に記載されている。
【0010】
一方、画質や風合いに加え、耐久性や画像保存性に対する要求もより高度になり、耐光性、耐湿性、耐水性なども銀塩写真レベルに到達させる試みが数多くなされている。耐光性向上の例としては、特開昭57−74192号、同57−87989号、同57−74193号、同58−152072号、同64−36479号、特開平1−95091号、同1−115677号、同3−13376号、同4−7189号、同7−195824号、同8−25796号、同11−321090号、同11−277893号、特開2000−37951等に記載されている多数の技術が開示されている。
【0011】
空隙型の記録用紙の場合は、耐光性だけでなく、その空隙構造に起因してオゾン、オキシダント、SOx、NOxなど空気中の極微量の活性な有害ガスにより変褪色を起こし易い問題がある。特に、一般のカラーインクジェットプリンタに採用されているフタロシアニン系水性染料で変褪色が起こり易い。この様にインク吸収層の空隙構造に起因する問題の対策の一つとしてインク吸収層上に表面層を設ける方法が知られている。
【0012】
表面層を設けることで、空隙構造中にオゾン、オキシダント、SOx、NOxなど空気中の極微量の活性な有害ガスを入り込ませないことから効果的であり、例えば特開平7−237348号公報には、0.5〜30μmの厚さの透明高分子膜を設ける技術が知られている。又、特開2004−122705には、インク受容層上に、粘度が0.7〜2mPa・sの塗布液を、乾燥前の厚さが10〜50μmになるように、カーテンスプレー塗布装置を用いて平均液滴径が5〜30μmの噴霧状態でインク受容層上に塗布液層を形成する技術が知られている。しかしながら、カーテンスプレー塗布装置を用いてインク受容層上に塗布液層を形成することで、薄膜塗布が出来、乾燥負荷も少なく、画像保存性の面でも効果はあるが、カーテンスプレー塗布装置を用いて塗布液層を塗布すると、膜厚のバラツキ、噴霧した液滴の飛散に伴う塗布故障の問題点を有していた。
【0013】
特開2004−906には、膜厚のバラツキ対策として、塗布液の粘度、気体を噴出する時の線速度、平均粒径、スプレー装置と被塗布物との距離、塗布速度等を規定することで、基体の幅方向の塗布幅の変動が±20%以下、搬送方向の塗布幅の変動が±10%以下にするカーテンスプレー方法が記載されている。
【0014】
噴霧した液滴の飛散に伴う塗布故障対策として、例えば、基体の搬送方向と交差する方向の塗布幅に渡ってスプレー装置により塗布液を噴霧し、基体上に塗布液層(表面層)を形成する際、噴霧した塗布液の飛散を防止するためにスプレーコータを減圧に保持した筐体内に配設したカーテンスプレー装置が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【特許文献1】特開2004−90330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、特許文献1に記載のカーテンスプレー装置の場合、塗布工程全体に噴霧した塗布液の飛散防止には効果があるが、次の問題点を有している。
【0016】
1)塗布中に筐体内の壁、塗布機に付着し、液滴がノズル部まで流れ込み再噴霧され液滴ムラ(塗布ムラ)の故障を発生させる危険性がある。
【0017】
2)カーテンスプレー装置を収容する筐体と支持体との間隙から、塗布に使用されなかった噴霧状の塗布液の液滴が飛散し、飛散した液滴が支持体に再付着して粒状ムラ(塗布ムラ)を発生させる危険がある。又、飛散した液滴がカーテンスプレー工程内を汚す場合もある。この様な状況から、支持体上に、塗布液をカーテンスプレー装置にて塗設し、塗布膜層を形成する際、塗布中に液滴の落下を防止し長時間の塗布を安定して行うことが可能なカーテンスプレー装置を開発することが望まれている。
【0018】
本発明は、上記状況に鑑みなされたものであり、その目的は、被塗布物上に塗布液をカーテンスプレー装置にて塗設する際、塗布中に液滴の落下を防止し長時間の塗布を安定して行うことが可能なカーテンスプレー塗布装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の目的は、下記の構成により達成することが出来る。
1.塗布液ノズルから吐出された塗布液を、気体ノズルから噴射された気流により液滴にして、被塗布物の搬送方向と交差する方向の所定幅にわたって前記被塗布物に噴霧することにより塗布を行うカーテンスプレー塗布装置において、
塗布後の気流が流れる方向の下流側に、前記気流を回収する回収装置を備え、
前記回収装置が前記気流の上流側に開口部、前記気流の下流側に回収部を有していることを特徴とするカーテンスプレー塗布装置。
2.前記回収装置は、前記被塗布物の搬送方向に沿って設けた2つの側板と、前記被塗布物に対向する底板と、前記底板と所定の間隙を有する天板とを備えていることを特徴とする前記1に記載のカーテンスプレー塗布装置。
3.前記天板の前記塗布位置側の先端部が、前記底板の前記塗布位置側の先端部よりも、水平方向にみて前記液滴が前記被塗布物に着弾する塗布位置に対して遠くにあることを特徴とする前記2に記載のカーテンスプレー塗布装置。
4.前記回収部は排気手段に接続されていることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のカーテンスプレー塗布装置。
5.前記底板の前記塗布位置側の先端部と前記被塗布物との間隙から洩れた前記気流を吸引して回収する補助回収装置を備えていることを特徴とする前記2〜4のいずれか1項に記載のカーテンスプレー塗布装置。
6.前記補助回収装置は、前記被塗布物に対向する補助底板と、前記補助底板と所定の間隙を有する補助天板と、前記被塗布物の搬送方向に沿って設けた2つの補助側板とを備え、
前記底板の前記塗布位置側の先端部が、前記補助底板の前記塗布位置側の先端部よりも、水平方向にみて前記塗布位置に対して遠くにあることを特徴とする前記5に記載のカーテンスプレー塗布装置。
7.前記被塗布物を支持するバックアップローラと、前記バックアップローラの下方で前記被塗布物からみて前記バックアップローラと同じ側に位置する方向変換ローラとを有し、
前記バックアップローラ上で塗布を行うとともに、
前記被塗布物の進路が前記方向変換ローラで変換されるように、前記バックアップローラ及び前記方向変換ローラが配置され、かつ、前記底板の前記塗布位置側の先端部が、前記方向変換ローラと前記被塗布物とが接触している範囲内であって、前記方向変換ローラと所定の隙間をもって配置されていることを特徴とする前記2〜4のいずれか1項に記載のカーテンスプレー塗布装置。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、塗布後の気流が流れる方向の下流側に、前記気流を回収する回収装置を設けることにより、塗布位置における気流を乱すことなく被塗布物に付着しなかった液滴を含んだ気流を確実に回収出来るため、均一な塗布膜厚を形成しながら、被塗布物に液滴が再付着することを防止し長時間の塗布を安定して行うことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の第1の実施の形態を図を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、本実施の形態は、インクジェット記録用紙の表面層のカーテンスプレー塗布装置に関するものである。
【0022】
先ず、図1を用いてカーテンスプレー塗布装置を備えた塗布製造ラインについて説明する。図1は塗布製造ライン1の模式図である。
【0023】
塗布製造ライン1は、帯状の被塗布物(以下、支持体という)201の繰り出し部2、インク吸収層を形成する塗布液を塗布する第1塗工部3、冷却部4、乾燥部5、インク吸収層の上に表面層を形成する第2塗工部6、巻き取り部9等を有している。
【0024】
202は支持体201の元巻きロールを示す。繰り出し部2から繰り出された支持体201は第1塗工部3で支持ローラ301に巻回された支持体201上にコータ302により少なくとも1層のインク吸収層を形成するための塗布が行われる。インク吸収層としては少なくとも1層の無機微粒子と、バインダとを含有する多孔質層で構成されていることが好ましい。コータ302としては同時に多層の塗布液が塗布出来ることから流量規制型のスライドビード塗布装置が好ましい。
【0025】
インク吸収層を形成する塗布液層が塗布された支持体201は、インク吸収層用の塗布液が親水性バインダを含有しているので冷却部4で冷却装置401により固定化された状態で乾燥部5に搬送され、溶媒が除去されてインク吸収層203が形成される。
【0026】
501は乾燥箱を示し、502は搬送用のローラを示し、503は塗布面の接触を避けるため支持体201を浮かせて搬送するための気体を吹き出し塗布膜表面と非接触で反転搬送させるリバーサを示す。これにより、塗布面の接触を避け乾燥することが可能となっている。
【0027】
乾燥部5で、塗布液層中の溶媒が除去されインク吸収層203が形成された段階で、乾燥部5の外側に配置された第2塗工部6で、支持体201のインク吸収層203の上に表面層用の塗布液がカーテンスプレー塗布装置60によりカーテンスプレー塗布される。
【0028】
表面層用の塗布液が塗布された支持体201は再度乾燥箱501に入り乾燥が行われ、表面層用の塗布液の溶媒の除去が行われ表面層204が形成され乾燥箱501から出て、巻き取り部9で巻き芯901に巻き取られロール状の記録用紙902が製造される。
【0029】
尚、乾燥部5における乾燥は、温風を吹き付け乾燥する方式が好ましい(温風吹き付け手段は不図示)。
【0030】
第2塗工部6の配設する位置は乾燥工程の途中、好ましくは減率乾燥以降の位置で、且つ、乾燥部5の外部で、塗工後に再度乾燥を行うことが可能であれば特に限定はない。
【0031】
例えば、本図に示す乾燥部5を第1乾燥部と第2乾燥部との2つ分割し、第1乾燥部と第2乾燥部の間に配設してもよいし、本図に示す様に乾燥箱501の上部に配設してもよいが、工程を大きくすることなく第2塗工部6を構成する部材を納める関係から乾燥箱501の上部に配設することが好ましい。
【0032】
第2塗工部6には、カーテンスプレー塗布装置60を構成する、塗布装置本体600、支持体201に着弾しなかった液滴を回収する回収装置700が配置されている。
【0033】
なお、塗布装置本体600は、支持体201の搬送方向と直交する方向であって、支持体201の塗布面に対向するように配置されている。
【0034】
次に、カーテンスプレー塗布装置60の第1の実施の形態について図2、図3、図4を用いて説明する。
【0035】
図2は図1のカーテンスプレー塗布装置60の要部拡大図、図3は第1方向変換ローラ602近傍の拡大図、図4は図1と同一方向から見た回収装置700の正面図である。
【0036】
支持体201は、図2に示すように、バックアップローラ601と、バックアップローラ601の下方で、かつ、支持体201からみてバックアップローラ601と同じ側に設けた第1方向変換ローラ602、第2方向変換ローラ603に巻き回されている。
【0037】
第1方向変換ローラ602及び第2方向変換ローラ603はこれらのローラを通過する支持体201の進路を変換するように配置されている。
【0038】
即ち、乾燥箱501(図1参照)からほぼ垂直方向上方に搬送される支持体201は、第1方向変換ローラ602にて右斜め上方に進路が変更され、バックアップローラ601に支持された後下方に反転され、バックアップローラ601の右下方の第2方向変換ローラ603でほぼ垂直方向下方に方向変換され再び乾燥箱501に導かれる。
【0039】
次に、バックアップローラ601の上方に設け、バックアップローラ601上でカーテンスプレー塗布を行うための塗布装置本体600について説明する。
【0040】
606は塗布液ノズルであり、不図示の塗布液供給装置から供給された塗布液は塗布液ノズル606の出口から吐出される。
【0041】
607は塗布液ノズル606に接近して両側に設けた気体ノズルであり、不図示の気体供給装置から供給された加圧された気体(本実施の形態では空気)は気体ノズル607から噴射され、塗布液ノズル606から吐出された塗布液に衝突して液滴化し、液滴化された塗布液はバックアップローラ601上の支持体201に着弾し塗布が行われる。
【0042】
なお、液滴化された塗布液が支持体201上に着弾する位置を塗布位置Tとする。
【0043】
支持体201に着弾しなかった液滴を含む気流F(以下気流Fとも称す)支持体201に沿って斜め下方に流れていく。
【0044】
塗布液ノズル606及び気体ノズル607は、例えば、特開2004−906号公報に開示されているように、支持体201の所定幅に渡って塗布出来るように支持体201の搬送方向と直交する方向に所定本数配置されている(スリット形状でも構わない)。
【0045】
次に、塗布後の気流Fが流れる方向の下流側に設けた回収装置700について説明する。
【0046】
回収装置700は、バックアップローラ601の両側に流れ出た気流Fを回収するように2個設置されている。
【0047】
701は支持体201の搬送方向に沿って設けた2つの側板であり、支持体201の幅方向の端面近傍に設置されている。
【0048】
支持体201の表面に直交する方向にみた、側板701と支持体201との間隙G1(図3参照)は、1mm以上10mm以下であることが好ましい。
【0049】
間隙G1が1mm未満では、回収装置700の内圧が低いと、支持体201が側板701と接触して、装置、品質トラブルを起こしてしまう恐れがある。間隙G1が10mmを超えると、間隙から気流Fが流れ出てしまい十分に回収することが出来なくなる。
【0050】
また、側板701の内側側面は、支持体201の幅方向にみた端部と同位置か、又はそれよりも内側にあることが好ましい。
【0051】
このように側板701の内側側面を配置することにより、気流Fを乱すことなく回収できるとともに、支持体201との接触を回避することが出来る。
【0052】
左右の2つの側板701は、図4に示すように、上部において塗布装置本体600の側面に当接している。
【0053】
更に、2つの側板701は、塗布装置本体600の下面600Aからバックアップローラ601の上面までの塗布液が噴霧される噴霧領域に対応して窓部Wを形成しており、これにより、気流Fは窓部Wから大気を巻き込みながら下方にスムーズに流れることが出来る。
【0054】
なお、窓部Wの大きさは、気流Fの速度等により変更出来るように構成しておくことが好ましい。
【0055】
702は支持体201に対向する底板であり、気流Fをスムーズに回収できるように、第1、第2方向変換ローラ602、603近傍から左右斜め下方に向けて形成されている。
【0056】
図3に示すように、底板702の塗布位置T側の先端部702Aは、第1方向変換ローラ602が支持体201と接触している接触点P1、P2の範囲であって、かつ、第1方向変換ローラ602上の支持体201に対して所定の間隙をもって配置されている。
【0057】
先端部702Aと第1方向変換ローラ602上の支持体201との隙間は1〜5mmであることが好ましい。
【0058】
先端部702Aと支持体201との間隙が1mm以下では、回収装置700の内圧が低いと、支持体201が先端部702Aと接触してしまい、5mm以上では回収装置700からの気流Fの漏れが発生してしまう。
【0059】
第2方向変換ローラ603と先端部702Aとの位置関係も同様に構成されているが、説明は省略する。
【0060】
703は底板702と所定の間隙をもって配置された天板である。
【0061】
図2に示すように、天板703の先端部703Aは底板702の先端部702Aよりも、水平方向にみて塗布位置Tに対して遠くにある。
【0062】
回収装置700の気流Fの上流側は天板703がなく大きく開放され開口部700Aが形成され、回収装置700の気流Fの下流側は、2つの側板701、底板702、天板703により囲まれた空間である回収部700Bが形成されている。
【0063】
704は底板702と天板703とを繋ぐ開口部を設けた背面板であり、開口部から不図示のブロアー等の吸引手段が接続されており、これにより気流Fが回収される。
【0064】
次に、上述した構成のスプレー塗布装置60の動作、及び、効果について説明する。
【0065】
塗布装置本体600の塗布液ノズル606から吐出された塗布液は気体ノズル607により液滴化され、バックアップローラ601に支持された支持体201に噴霧される。
【0066】
噴霧された液滴は支持体201にほとんど着弾するが、着弾しなかった液滴を含む気流Fは回収装置700の開口部700Aから大気Aを巻き込みながら支持体201に沿って斜め下方に流れ、第1、第2方向変換ローラ602、603近傍で支持体201と離れ、底板702に沿って進み回収部700Bに導かれ、前記吸引手段により吸引され回収される。
【0067】
以上述べたように、塗布後の気流Fが流れる方向の下流側に、気流Fを回収する回収装置700を設け、回収部を塗布位置から離すことにより、塗布位置Tにおける気流を乱すことなく支持体201に付着しなかった液滴を含んだ気流Fを確実に回収出来るため、均一な塗布膜厚を形成しながら、支持体201に液滴が再付着することを防止することが出来る。
【0068】
加えて、第1、第2方向変換ローラ602、603を設け、気流Fを支持体201から分離することにより、確実に回収することが出来る。
【0069】
更に、底板702の先端部702Aが、支持体201が第1、第2方向変換ローラ602、603に接触している範囲内(P1〜P2)に対向配置する事で、回収装置700内が減圧下になっても、支持体201が浮き上がって先端部702Aに接触することを防止できる。
【0070】
なお、第1、第2方向変換ローラ602、603の下方に複数の方向変換ローラ、例えば、図7に示すように、方向変換ローラ602A、602B、603A、603Bを設けて、先端部702Aを最も下方にある方向変換ローラ602B、603Bが支持体201を抱いている範囲内であって、かつ、所定の隙間を有する位置に配置しても良い。
【0071】
このような構成により、複数の方向変換ローラで気流Fを剥離するため、先端部702Aと方向変換ローラ602B、603Bとの隙間から漏れる気流Fの量を少なくすることが出来る。
【0072】
また、気流Fを出来るだけスムーズに回収するために、気流Fを回収する回収口Kは、図7に示すように、気流Fが流れる方向の延長線上に設けることが好ましい。
【0073】
更に、前述した吸引手段を使用しないで、気流Fの圧力を利用して回収(排気)するようにしても良く、この場合には、気流Fの排気口を塗布に影響のない位置に設置する必要があるが、吸引に伴う支持体201と側板701とが接触する可能性等を回避する点では有利である。
【0074】
次に、第2の実施の形態として、底板702の先端部702Aと支持体201との間隙から漏れる場合の気流Fを回収するための補助回収装置800を備えたカーテンスプレー塗布装置60について、図5を用いて説明する。
【0075】
図5は、第2の実施の形態におけるカーテンスプレー塗布装置60の要部拡大図である。
【0076】
なお、以降の説明においては、第1の実施の形態と異なる部分のみを説明するものとするとともに、第1の実施の形態と同一機能、同一部材については同一の参照符号を付すものとする。
【0077】
まず、第3方向変換ローラ604、第4方向変換ローラ605が第1、第2方向変換ローラ602、603の下方に配置されている。
【0078】
また、底板702の先端部702Aが、第1、第2方向変換ローラ602、603と、第1、第2方向変換ローラ604、605との間にくるように配置されている。
【0079】
回収装置700の下方に配置された補助回収装置800において、801は支持体201の搬送方向に沿って設けた2つの補助側板であり、支持体201の幅方向の端面近傍に設置されている。
【0080】
802は底板702と所定の空間をもって配置された補助底板である。
【0081】
補助底板802の塗布位置T側の先端部802Aは、図6に示すように、第3方向変換ローラ604が支持体201と接触している接触点P3、P4の範囲であって、かつ、第3方向変換ローラ604上の支持体201に対して所定の間隙をもって配置されている。
【0082】
第4方向変換ローラ605と先端部802Aとの位置関係も同様に構成されている。
【0083】
804は補助底板802と底板702とを繋ぐ補助背面板で開口部があり、開口部には不図示のブロアー等の吸引手段が接続されており、これにより気流Fが回収される。
【0084】
以上の説明から明らかなように、補助回収装置800は補助側板801、補助底板802、底板702を有する箱形構造である。
【0085】
なお、補助回収装置800の天板として回収装置700の底板702を用いたが、天板を独立して設けてもよい。
【0086】
以上述べた構成により、底板702の塗布位置T側の先端部702Aと支持体201との間隙から漏れた気流Fを吸引して回収する補助回収装置800を備えることにより、より確実に液滴を含んだ気流Fを回収することが出来る。
【0087】
加えて、第3、第4方向変換ローラ604、605を設け、気流Fを支持体201から離すことにより、確実に回収することが出来る。
【0088】
更に、補助底板802の先端部802Aが、支持体201が第3、第4方向変換ローラ604、605に接触している範囲内(P3〜P4)に対向配置されているので、補助回収装置800内が減圧されても、支持体201が浮き上がって先端部802Aに接触することを防止できる。
【0089】
次に、以上説明した第2の実施の形態における回収装置700、補助回収装置800の好ましい様態、及びその効果について説明する。
【0090】
[1]側板701の内側側面及び補助側板801の内側側面は、支持体201の幅方向にみた端部と同位置か、又はそれよりも内側にあることが好ましい。
【0091】
上記内側側面が支持体201の端部よりも外側にあると、気流Fが乱れて、気流Fに含まれる液滴が回収装置の内壁、塗布装置本体600の壁面に付着し、付着した液滴が支持体201上に再付着する等の品質トラブルを誘発する可能性が生じる。
【0092】
[2]回収装置700の吸引手段(参照符号なし)の排風量は、気体ノズル607から
噴射される気体の風量に対して、20〜40倍であることが好ましい。
【0093】
20倍以下では、支持体201に沿って流れる気流Fが回収装置700の開口部700Aから飛散してカーテンスプレー塗布装置60の各部材に付着して汚染や塗布故障、動作不良を招いたり、或いは、回収装置700内に滞留して回収装置700の内壁、塗布装置本体600に付着した後に、支持体201に再付着する。40倍以上では過剰設備になってしまう。
【0094】
[3]回収装置700の容積、即ち、側板701の全周辺に底板702及び天板730があると仮定した時の容積Xm3と、気体ノズル607から噴射される気体の風量Ym3/minとの関係は、10Y<X<500Yであることが好ましい。
【0095】
X≦10Yでは、支持体201に沿って流れる気流Fが回収装置700の開口部700Aから飛散し、カーテンスプレー塗布装置60の各部材に付着して汚染や動作不良を招いたり、或いは、回収装置700内で滞留して回収装置700の内壁、塗布装置本体600に付着した後に、支持体201に再付着する。X≧500Yでは過剰設備になってしまう。
【0096】
[4]回収装置700の開口面積、即ち、天板703の先端部703Aから側板701の上端部701Aまでの側板701の外周に沿った開口部700Aの開口面積をS1、塗布装置本体600の下面600Aと塗布位置Tにおける支持体201との間隙をG、2つの側板701間の距離をWとしたときのスリット面積S2(G×W)との関係は、10×S2<S1<500×S2であることが好ましい。
【0097】
S1≦10×S2では、開口部700Aからの空気の取り入れが不足して気流Fが回収装置700内で乱れてしまい、気流Fに含まれる液滴が側板701等に付着し、これが支持体210上に落下して汚してしまう恐れがある。
S≧500×S2では装置が大型化してしまう。
【0098】
[5]回収装置700における回収部700Bの内圧をPAとしたとき、−150Pa<PA<0Paであることが好ましい。
【0099】
PA≧0Paでは、気流Fが開口部700Aから飛散し、カーテンスプレー塗布装置60の各部材に付着して汚染や塗布故障、動作不良を招いたり、或いは、回収装置700内で滞留して回収装置700の内壁、塗布装置本体600に付着した後に、支持体201に再付着する。
【0100】
PA≦−150Paでは、支持体201が側板701に吸い付いてしまい、支持体201に傷が発生したり、亀裂が入り切れてしまう恐れがある。また、気流Fの流れが乱れてしまう等の不具合が発生する。
【0101】
なお、内圧PAの値は側面板704の内側近傍で測定した値である。
【0102】
[6]補助回収装置800の内圧をPBとしたとき、−100Pa<PB<−50Paであることが好ましい。
【0103】
PB≧−50Paでは、回収装置700から漏れ出た気流Fを十分に回収することが出来なくなり、工程汚染や補助底板の先端部802A等にミストが付着し、支持体201に付着してしまう危険性がある。
【0104】
PB≦−100Paでは、支持体201が補助側板801に吸い付いてしまい、支持体201に傷が発生したり、気流Fの流れが乱れてしまう等の不具合が発生する。
【0105】
なお、内圧PBの値は側面板804の内側近傍で測定した値である。
【0106】
[7]支持体201の表面に直交する方向にみた、側板701と支持体201との間隙G2(図6参照)及び補助側板801と支持体201との間隙G3(図6参照)は、1mm以上10mm以下であることが好ましい。
【0107】
間隙G2及びG3が1mm未満では、回収装置700、補助回収装置800の内圧が低いと、側板701及び補助側板801が支持体201と接触して、装置、品質トラブルを起こしてしまう恐れがある。間隙G2及びG3が10mmを超えると、間隙から気流が流れ出てしまい十分に回収することが出来なくなる。
【0108】
[8]天板703の先端部703Aが、底板702の先端部702Aよりも、水平方向にみて塗布位置Tに対して遠くにあり、かつ、底板702の先端部702Aが、補助底板802の先端部802Aよりも、水平方向にみて塗布位置Tに対して遠くにあることが好ましい。
【0109】
これにより、万が一、天板703及び底板702の下面に付着した液滴が落下しても、支持体201上に付着することを防止できる。
【0110】
より好ましくは、底板702の先端部702Aと支持体201との間隙は、5mm〜100mm、補助底板802の先端部802Aと支持体201との間隙は1〜5mmである。
【0111】
但し、底板702の先端部702Aは補助底板802の先端部802Aよりも、水平方向にみて塗布位置Tよりも遠くにある必要がある。
【0112】
底板702の先端部702Aと支持体との間隔が5mm以下では、支持体201が先端部702Aに吸い付けられてしまう恐れがある。100mm以上では、間隙からの気流Fの漏れ量が増えてしまい、補助回収装置800で十分に回収できなくなる恐れがある。
【0113】
補助底板802の先端部802Aと支持体201との間隙が1mm以下では、補助回収装置800の内圧が低いと、先端部802Aが支持体201と接触してしまい、5mm以上では補助回収装置800からの気流Fの漏れが発生してしまう。
【0114】
[9]回収装置700の底板702の先端部702Aは、方向変換ローラ602、603の中心を通る水平線より下方に位置することが好ましい。
【0115】
これにより、気流Fが支持体201から離れる方向に進むことになり、より確実に気流Fを回収することが出来る。
【0116】
回収装置700の底板702の先端部702Aは、第1、第2方向変換ローラ602、603の中心を通る水平線よりも10mm〜300mm下方に位置することがより好ましい。
【0117】
10mm未満では気流Fの回収が十分に行われず、300mmを越えると装置が大型化してしまう。
【実施例】
【0118】
以下にインクジェット記録用紙の表面層作製の第2の実施の形態における実施例を説明するが、本発明の実施の形態は本実施例に限定されるものではない。尚、実施例中で「%」は特に断りのない限り質量%を示す。
【0119】
図1に示す塗布製造ライン1を使用して支持体201へのインク吸収層203、表面層204の塗布を行った。
【0120】
[インク吸収層203の作製]
(分散液の調製)
カチオン性ポリマー(P1)の15%水溶液100gに、一次粒子の平均粒子径が12μmの微粒子シリカ(トクヤマ製、QS−20)の25%水分散液500g、次いでホウ酸3.0g、ホウ砂0.7gを添加し、高速ホモジナイザーで分散し、青白色澄明な分散液を得た。
【0121】
【化1】

【0122】
(塗布液の調製)
上記調製した分散液を45℃に昇温し、ポリビニルアルコール(クラレ製、PVA203)の10%水溶液及びポリビニルアルコール(クラレ製、PVA245)の6%水溶液をそれぞれ45℃に昇温した後に添加した。次いで、45℃の純水を加えて液量を調整して、半透明状の塗布液を得た。
【0123】
(塗布)
両面をポリエチレンで被覆した紙支持体(幅1500mm、厚み230μm)上に、スライドビード方塗布機を用いて上記塗布液を塗布、乾燥して、多孔質インク吸収層塗布済み帯状の支持体を10000m作製した。
【0124】
塗布幅は1450mmで、塗布スピードは200m/minで行った。
【0125】
多孔質インク吸収層塗布済み帯状の支持体の下層における各成分の付量は以下の通りで、乾燥膜厚は35μmである。
【0126】
微粒子シリカ 15g/m2
カチオン性ポリマー(P1) 2.2g/m2
ポリビニルアルコール 2.3g/m2
インク吸収層用塗布液の塗布後は、10℃に保った冷却ゾーンを15秒間通過させて膜面の温度を10℃以下にまで低下させた後、以下の温度の風を順次インク吸収層表面に吹き付けながら乾燥工程の各ゾーンを通過させて乾燥した。
【0127】
尚、第1乾燥部での全乾燥工程は360秒とし、この内、前半の270秒は、吹き付ける風の平均相対湿度を30%以下とした。270秒以降は、相対湿度が40〜60%の調湿ゾーンとした。
【0128】
〔表面層204の作製〕
(表面層用の塗布液の調製)
以下の組成からなる塗布液を調製した。
【0129】
ポリ塩化アルミニウム 160ml
(多木化学(株)製PAC250A、固形分23.5%)
水溶性染料(D1) 2ml
水 840ml
粘度は25℃で、B型粘度計で測定した結果、0.9mPaであった。尚、表面張力は40mN/mになるように界面活性剤で調整した。静的表面張力(SST)は、表面張力計(協和界面科学製:CBVP−Z)を使用し、塗布液温度25℃の時の白金プレート法による表面張力値を測定した。
【0130】
【化2】

【0131】
(塗布装置本体の準備)
塗布液ノズルに対する気体ノズルの角度が40deg、塗布幅1400mm、塗布液ノズルの間隙の幅60μm、気体ノズルの間隙の幅200μmの塗布装置本体を準備した。
【0132】
(回収装置、補助回収装置の準備)
図5に示す回収装置、補助回収装置を準備するに当たり、気流の回収条件を表1〜表5に示すように設定した。
【0133】
【表1】

【0134】
【表2】

【0135】
【表3】

【0136】
【表4】

【0137】
【表5】

【0138】
表1は、回収装置700の吸引手段(参照符号なし)の排風量の、気体ノズル607から噴射される気体の風量に対する割合(風量比)、回収装置700の容積Xm3の、気体ノズル607から噴射される気体の風量Ym3/minに対する割合(容積比)、及び、回収装置700の開口面積S1の、塗布装置本体600のスリット面積S2に対する割合(面積比)を変化させたものである。
【0139】
なお、他の条件は、表2の試料番号2−4、表3の試料番号3−5、表4の試料番号4−6、表5の試料番号5−4とした。
【0140】
表2は、回収部700Bの内圧、補助回収装置800の内圧を変化させたものである。
【0141】
内圧の測定は、側面板704、補助側面板804の内側近傍で行った。
【0142】
なお、他の条件は、表1の試料番号1−20、表3の試料番号3−5、表4の試料番号4−6、表5の試料番号5−4とした。
【0143】
表3は、支持体201表面に直交する方向にみた側板701と支持体201との間隙及び補助側板801と支持体201との間隙を変化させたものである。
【0144】
なお、他の条件は、表1の試料番号1−20、表2の試料番号2−4、表4の試料番号4−6、表5の試料番号5−4とした。
【0145】
表4は、先端部702Aと支持体201との間隙、先端部802Aと支持体201との間隙を変化させたものである。
【0146】
なお、図6の水平方向にみて、先端部702Aから先端部802Aまでに対応する支持体201のシフト量Lは10mmである。
【0147】
また、表4におけるMは、図6に示すように、先端部802Aから先端部702Aまでの水平方向の距離を表しており、図6の左方向をマイナス表示している。
【0148】
他の条件は、表1の試料番号1−20、表2の試料番号2−4、表3の試料番号3−5、表5の試料番号5−4とした。
【0149】
表5は、底板702の先端部702Aの位置を第1、第2方向変換ローラ602、603の中心を通る水平線に対して垂直方向に変化させたもの(下方にある場合をマイナス表示してある)、先端部802Aの位置を第3、第4方向変換ローラ604、605のP3〜P4間、P3〜P4外に変化させたものである。なお、他の条件は、表1の試料番号1−20、表2の試料番号2−4、表3の試料番号3−5、表4の試料番号4−6とした。
【0150】
(表面層の塗布)
表1〜表5の各条件のもとで、図1に示す第1乾燥部での乾燥インク吸収層の減率乾燥が終了した時点で、表面層用の塗布液を、湿潤膜厚として15μmになるようにスプレー塗布し、第2乾燥部で乾燥し、表面層を形成した。
【0151】
尚、第2乾燥部での全乾燥工程は100秒とし、相対湿度が40〜60%の風を吹き付けた。塗布液は、塗布液ノズルの間隙の幅60μmに対して1/20の口径のフィルターを使用して濾過したものを使用した。気体としては空気を使用し、気体ノズルの間隙の幅200μmに対して1/50の口径のフィルターを使用して濾過したものを使用した。
【0152】
気体ノズルから噴出される空気の供給条件としては、10m3/min(塗布幅当たりの流量)とし、その時の気体ノズルでの内圧としては8kPaとなるようにした。空気の線速度vは150m/sとした。塗布液ノズル及び気体ノズルの吐出口とインク吸収層との間隙は20mm、塗布速度は200m/minで行った。
【0153】
[評価]
作製した各試料に付き、液滴の落下に伴う粒状ムラ、濃度ムラ、気流の漏れ量等の判定を行い、以下に示す評価方法と評価ランクに従って評価した結果を表6〜表8に示す。
【0154】
(粒状ムラの評価方法)
作製した試料の終わりから1000mに付き、100m間隔で、3cm×3cmの大きさの試料を切り取り、試料全面濃度を、スキャナー(Epson社製 ES−8000)で読み取り、測定した濃度測定値を下式(1)に従って粒状ムラを評価する指標としてRMSを算出した。これは、平均濃度に対する各ポイントでの濃度差の二乗平均から粒状ムラを定量化したものであり、粒状ムラが小さいほどRMS値は小さい値となる。
【0155】
【数1】

【0156】
式中、Xi:濃度測定値、X:濃度測定平均値、n:測定点数を表す。
【0157】
粒状ムラの評価ランク
○:RMS値1.0未満(塗布面に粒状ムラが全く認められない)
△:RMS値1.0以上、2.0未満(塗布面に実用上許容の範囲である粒状ムラが認められる)
×:RMS値2.0以上3.0未満(粒状ムラが強く製品化は不可能である)
××:RMS値3.0以上(粒状ムラが強く製品化は不可能である)
(気流の漏れ量)
底板802の先端部802Aと支持体201との間隙からの漏れ量を、先端部802Aへの塗布液の付着量(結露状態)を目視で判定した。
【0158】
○:付着無し。
【0159】
△:若干付着あるが、実用上問題なし
×;付着あり、実用上問題あり
【0160】
【表6】

【0161】
【表7】

【0162】
【表8】

【0163】
【表9】

【0164】
【表10】

【0165】
表6〜表10に示すように、本実施の形態の有用性が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】塗布製造ライン1の模式図。
【図2】図1のカーテンスプレー塗布装置60の要部拡大図。
【図3】第1方向変換ローラ602近傍の拡大図
【図4】図1と同一方向から見た回収装置700の正面図。
【図5】第2の実施の形態におけるカーテンスプレー塗布装置60の要部拡大図。
【図6】先端部702A、802A近傍の拡大図。
【図7】第1の実施の形態において、方向変換ローラを複数設けた場合の構成図。
【符号の説明】
【0167】
1 塗布製造ライン
2 繰り出し部
3 第1塗工部
4 冷却部
5 乾燥部
6 第2塗工部
9 巻き取り部
60 カーテンスプレー塗布装置
201 支持体
202 元巻きロール
203 インク吸収層
204 表面層
301 支持ローラ
302 コータ
401 冷却装置
501 乾燥箱
502 搬送用ローラ
503 リバーサ
600 塗布装置本体
601 バックアップローラ
602 第1方向変換ローラ
603 第2方向変換ローラ
604 第3方向変換ローラ
605 第4方向変換ローラ
606 塗布液ノズル
607 気体ノズル
700 回収装置
700A 開口部
700B 回収部
701 側板
702 底板
702A 底板の先端部
703 天板
703A 天板の先端部
704 背面板
800 補助回収装置
801 補助側板
802 補助底板
802A 補助底板の先端部
804 補助背面板
901 巻き芯
902 ロール状の記録用紙
A 大気
F 気流
G1、G2、G3 間隙
K 回収口
L シフト量
P1、P2、P3、P4 接触点
PA 回収装置700の内圧
PB 補助回収装置800の内圧
T 塗布位置
W 窓部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布液ノズルから吐出された塗布液を、気体ノズルから噴射された気流により液滴にして、被塗布物の搬送方向と交差する方向の所定幅にわたって前記被塗布物に噴霧することにより塗布を行うカーテンスプレー塗布装置において、塗布後の気流が流れる方向の下流側に、前記気流を回収する回収装置を備え、前記回収装置が前記気流の上流側に開口部、前記気流の下流側に回収部を有していることを特徴とするカーテンスプレー塗布装置。
【請求項2】
前記回収装置は、前記被塗布物の搬送方向に沿って設けた2つの側板と、前記被塗布物に対向する底板と、前記底板と所定の間隙を有する天板とを備えていることを特徴とする請求項1に記載のカーテンスプレー塗布装置。
【請求項3】
前記天板の前記塗布位置側の先端部が、前記底板の前記塗布位置側の先端部よりも、水平方向にみて前記液滴が前記被塗布物に着弾する塗布位置に対して遠くにあることを特徴とする請求項2に記載のカーテンスプレー塗布装置。
【請求項4】
前記回収部は排気手段に接続されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカーテンスプレー塗布装置。
【請求項5】
前記底板の前記塗布位置側の先端部と前記被塗布物との間隙から洩れた前記気流を吸引して回収する補助回収装置を備えていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のカーテンスプレー塗布装置。
【請求項6】
前記補助回収装置は、前記被塗布物に対向する補助底板と、前記補助底板と所定の間隙を有する補助天板と、前記被塗布物の搬送方向に沿って設けた2つの補助側板とを備え、
前記底板の前記塗布位置側の先端部が、前記補助底板の前記塗布位置側の先端部よりも、水平方向にみて前記塗布位置に対して遠くにあることを特徴とする請求項5に記載のカーテンスプレー塗布装置。
【請求項7】
前記被塗布物を支持するバックアップローラと、前記バックアップローラの下方で前記被塗布物からみて前記バックアップローラと同じ側に位置する方向変換ローラとを有し、
前記バックアップローラ上で塗布を行うとともに、
前記被塗布物の進路が前記方向変換ローラで変換されるように、前記バックアップローラ及び前記方向変換ローラが配置され、かつ、前記底板の前記塗布位置側の先端部が、前記方向変換ローラと前記被塗布物とが接触している範囲内であって、前記方向変換ローラと所定の隙間をもって配置されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のカーテンスプレー塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−196151(P2007−196151A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−18771(P2006−18771)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(303050159)コニカミノルタフォトイメージング株式会社 (1,066)
【Fターム(参考)】