説明

カーテンレール及びカーテンレール取付ブラケット

【課題】カーテンレール内を移動するランナー及びカーテンレールの外周面上を移動するリングランナーをともに支持可能としながら、意匠性に優れたカーテンレール取付装置を提供する。
【解決手段】カーテンレール9は、長手方向に開口溝20を備えた円筒の外周面に突条24を設け、突条24を前記開口溝20を下方に向けた状態で、前記円筒の背面側に設けた。また、カーテンレール取付ブラケットは、取付面から水平方向に延びる本体部4に、カーテンレール9を位置決めするために下方に向かって開口する取付凹部10を設け、前記取付凹部10にはカーテンレール9の回転を阻止する係止手段11、19を設け、該係止手段11、19は前記取付凹部10の頂部と前記取付面側とに設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カーテンランナーを移動可能に支持するカーテンレール及びカーテンレール取付ブラケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、カーテンレールは下方を開口した溝型に形成され、そのカーテンレール内で多数のランナーが移動可能に支持され、各ランナーからカーテン生地が吊下支持される。また、装飾性を向上させるために、円筒状あるいは丸棒状のカーテンレールでリングランナーを移動可能に支持し、各リングランナーからカーテン生地を吊下支持したものもある。
【0003】
特許文献1には、円筒状のカーテンレールの下方を開口し、通常のカーテンランナーを移動可能に支持可能とした構成が開示されている。このようなカーテンレールでは、カーテンレールが円筒状であるため、リングランナーを支持するカーテンレールとしても使用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−289145号公報
【特許文献2】意匠登録第1016326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたカーテンレールでは、装飾性を重視してリングランナーを支持するカーテンレールとして使用すると、下方に露出する開口部が美観を損ねる。そこで、カーテンレールを室外側に90度回転させれば、開口部の室内側への露出を防止することができるが、カーテンレールを保持するブラケットは、カーテンレールの外周面を同カーテンレールの中心に対し180度以上に亘って保持する必要がある。従って、ブラケットが大型化し、美観上好ましくない。
【0006】
特許文献2には、カーテンレールの外周面に凹条を設け、その凹条をブラケットに係合させる構成が開示されている。このような構成では、ブラケットを小型化することはできるが、カーテンレールの表面に露出される凹条が美観を損ねるという問題点がある。また、カーテンレールの下方に露出する開口部を隠すために、カーテンレールを回転して保持することはできない。
【0007】
この発明の目的は、カーテンレール内を移動するランナー及びカーテンレールの外周面上を移動するリングランナーをともに支持可能としながら、意匠性に優れたカーテンレール及びカーテンレール取付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1では、長手方向に開口溝を備えた円筒の外周面に突条を設け、該突条を前記開口溝を下方に向けた状態で、前記円筒の背面側に設けたカーテンレールを構成した。
請求項2では、取付面から水平方向に延びる本体部に、カーテンレールを位置決めするために下方に向かって開口する取付凹部を設け、前記取付凹部にはカーテンレールの回転を阻止する係止手段を設け、該係止手段は前記取付凹部の頂部と前記取付面側とに設けたカーテンレール取付ブラケットを構成した。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カーテンレール内を移動するランナー及びカーテンレールの外周面上を移動するリングランナーをともに支持可能としながら、意匠性に優れたカーテンレール及びカーテンレール取付ブラケットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第一の実施の形態のカーテンレール取付装置を示す断面図である。
【図2】カーテンレール取付装置を示す斜視図である。
【図3】第一の実施の形態のカーテンレール取付装置を示す断面図である。
【図4】第二の実施の形態のカーテンレール取付装置を示す断面図である。
【図5】第三の実施の形態のカーテンレール取付装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明を具体化したカーテンレール取付装置の一実施の形態を図面に従って説明する。図1及び図2に示す取付装置は、ベース1の基端部が垂直方向の取付面2にネジ1aで固定され、そのベース1の中央部には水平方向に突出する支軸3が設けられている。
【0012】
前記ベース1にはカーテンレールを保持する本体部4が固定される。すなわち、本体部4の基端面に取付孔5が開口され、その取付孔5に前記支軸3が嵌挿されている。そして、本体部4の外周面からネジ6を螺入して、支軸3に設けられた凹部7にネジ6の先端を係合させることにより、本体部4がベース1に支持されるようになっている。
【0013】
前記本体部4の基端部はフランジ状に拡径され、前記ベース1に本体部4を固定した状態では、ベース1が本体部4の基端部に覆われるようになっている。
本体部4の先端部にはレール押さえ8が取着され、そのレール押さえ8と本体部4とにより、ほぼ円筒状のカーテンレール9が支持される。その詳細を以下に説明する。
【0014】
前記本体部4の先端部下面には、カーテンレール9の外周面に沿うような断面ほぼ半円状の取付凹部10が形成され、その取付凹部10の最上部(頂部)には本体部4の軸心に対し直交する方向に凹条(係止手段、係止部)11が形成されている。
【0015】
前記取付凹部10に連続して、本体部4の基端側には前記レール押さえ8を嵌合可能とした嵌合凹部12が形成されている。その嵌合凹部12の両側面には、上下方向に係止溝13が形成されている。
【0016】
前記レール押さえ8は、前記取付凹部10に嵌合可能とした直方体状に形成され、その両側面には前記係止溝13に嵌挿可能とした係止突部14が形成されている。また、レール押さえ8の下面にはネジ15を挿通可能とした取付孔16が形成されている。
【0017】
そして、図1に示すように、レール押さえ8を嵌合凹部12内に挿入し、その状態で取付孔16に挿入したネジ15を本体部4のネジ孔に螺入すると、レール押さえ8が本体部4に固定されるようになっている。
【0018】
前記レール押さえ8には下方に延びる受け部17が形成され、その受け部17の本体部4先端側の側面には、前記取付凹部10の湾曲面に連続する曲面状の受け面18が形成されている。また、受け面18の上縁には本体部4の基端側に凹む段差部(係止手段、係止部)19が形成されている。
【0019】
前記カーテンレール9は、ほぼ円筒状に形成されるともに、その一側に開口溝20が形成され、その開口溝20の開口縁部は互いに対向するように折り曲げられて、ランナー21を支持する支持片22a,22bが形成されている。そして、図1に示すように、開口溝20を下方へ開口した状態では、支持片22a,22bでランナー21を移動可能に支持可能となっている。
【0020】
前記カーテンレール9内には、その中心を通り前記支持片22a,22bと平行となるリブ23が形成されている。前記カーテンレール9の外周面には、前記リブ23を一方に延長した位置、すなわち開口溝20を下方に向けた状態で本体部4の基端側となる側面に、突条(係止手段)24が同カーテンレール9の長手方向に形成されている。
【0021】
このように構成されたカーテンレール9を本体部4に取付けるには、レール押さえ8を本体部4から取り外し、カーテンレール9をその開口溝20が下方に位置する状態で取付凹部10にあてがう。
【0022】
そして、レール押さえ8を嵌合凹部12に嵌合し、ネジ15で本体部4に固定すると、図1に示すように、取付凹部10とレール押さえ8の受け面18とでカーテンレール9が保持される。また、レール押さえ8の段差部19と取付凹部10の端縁との間で突条24が保持されて、カーテンレール9の回転が阻止される。
【0023】
この状態では、カーテンレール9内を移動するランナー21を支持片22a,22b上で支持可能である。
一方、図3に示すように、カーテンレール9を90度回転させた状態で保持することもできる。すなわち、図1に示す状態からネジ15を緩めてレール押さえ8を下方へスライドさせ、カーテンレール9を本体部4に対し回転させ得る状態とする。
【0024】
次いで、カーテンレール9の開口溝20がレール押さえ8に対向するように90度回転させ、突条24を取付凹部10の凹条11に係合させる。そして、ネジ15を締め込んでレール押さえ8を固定すると、カーテンレール9が取付凹部10とレール押さえ8の先端部との間で保持される。
【0025】
この状態では、複数のカーテンレール取付装置の各本体部4間でリングランナー25を移動可能に支持することが可能となり、カーテンレール9の開口溝20は本体部4の基端側に向いているので、室内側に露出されることはない。
【0026】
上記のように構成されたカーテンレール取付装置では、次に示す作用効果を得ることができる。
(1)共通のカーテンレール9を使用しながら、カーテンレール9内を移動するランナー21及びカーテンレール9の外周面上を移動するリングランナー25のいずれにも対応可能である。
(2)リングランナー25を支持するカーテンレールとして使用するとき、開口溝20が室内側に露出されない。従って、美観を損ねることはない。
(3)カーテンレール取付装置は、カーテンレール9の上半周分を覆う本体部4と、同カーテンレール9の後方において同カーテンレール9を下方から支えるレール押さえ8とで構成される。従って、カーテンレール9を保持する部分を小型化し、すなわち室内側に露出する部分を小型化して、美観を向上させることができる。
(4)本体部4に対するカーテンレール9の回転を阻止するための突条24は、ランナー21を支持する状態では、カーテンレール9の背面に位置し、リングランナー25を支持する状態ではカーテンレール9の上面に位置する。従って、いずれの場合にも室内側に露出されないので、美観を損ねることはない。
(第二の実施の形態)
図4は、第二の実施の形態を示す。この実施の形態は、前記カーテンレール9をリングランナー25を支持するレールとして使用するとき、カーテンレール9を安定して保持する専用のレール押さえ26を用意したものである。
【0027】
レール押さえ26は、カーテンレール9を図4に示すように回動させて保持するとき、カーテンレール9を安定して保持できるように、開口溝20の下方に位置する支持片22b及びその支持片22bに連なる外周面を下方から支持する受け面27を形成したものである。
【0028】
このような構成により、カーテンレール9を安定して保持することができる。なお、ランナー21を支持する構成とするときは、第一の実施の形態のレール押さえに交換する必要がある。
(第三の実施の形態)
図5は、第三の実施の形態を示す。この実施の形態は、一本の本体部28に取付凹部10を2箇所設け、各取付凹部10に第一の実施の形態のレール押さえ8と、第二の実施の形態のレール押さえ26とを取着したものである。
【0029】
このような構成により、各取付凹部10に共通のカーテンレール9を保持可能であるとともに、例えば部屋側のカーテンレール9でリングランナー25を支持可能とし、窓側のカーテンレール9で通常のランナー21を支持する構成とすることができる。そして、各カーテンレール9において第一の実施の形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0030】
上記実施の形態は、以下の態様で実施してもよい。
・取付凹部10は、カーテンレール9の外周面の半周分以下で同カーテンレール9を保持するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0031】
2…取付面、4,28…本体部、8,26…レール押さえ、9…カーテンレール、10…取付凹部、11…係止手段、係止部(凹条)、19…係止手段、係止部(段差部)、20…開口溝、21…ランナー、24…係止手段(突条)、25…リングランナー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に開口溝を備えた円筒の外周面に突条を設け、該突条を前記開口溝を下方に向けた状態で、前記円筒の背面側に設けたことを特徴とするカーテンレール。
【請求項2】
取付面から水平方向に延びる本体部に、カーテンレールを位置決めするために下方に向かって開口する取付凹部を設け、前記取付凹部にはカーテンレールの回転を阻止する係止手段を設け、該係止手段は前記取付凹部の頂部と前記取付面側とに設けたことを特徴とするカーテンレール取付ブラケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−200734(P2011−200734A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158212(P2011−158212)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【分割の表示】特願2005−317463(P2005−317463)の分割
【原出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(000250672)立川ブラインド工業株式会社 (224)
【Fターム(参考)】