説明

カーテンレール構造

【課題】 構造が簡単で、既存のカーテンレールの大幅な改修等を必要とせず、また、簡単な操作で確実に分岐させることができるカーテンレール構造を提供する。
【解決手段】 1本の主レール2aの先端側が分岐部7を介して複数本の副レール2cに分岐するカーテンレール構造において、分岐部7に、主レール2aと副レール2cとを連結する連結プレート8と、この連結プレート8に対して揺動軸10で揺動自在に枢支され且つ揺動位置によって主レール2aとそれぞれの副レール2cとを接続可能な揺動レール2yを設け、また、この揺動レールの揺動位置を規制すると同時に揺動レールを所望の位置に保持しておくための磁着式の保持機構13を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば病院等において大部屋の病室を個室風に仕切る間仕切り用のカーテンに好適なカーテンレール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば病院等の大部屋に複数人の患者を収容するような場合、プライバシー保護等のため、ベッドの周囲にカーテンをかけて個室風に仕切ることがあり、(例えば、特許文献1参照。)この際、少なくとも人目に留まりやすい側のベッドの側面とベッドの足側の面だけにL字型にカーテンをかけて仕切ることもある。
ところで、ベッドの足側の面にカーテンをかけて仕切るような場合、医師が患者を診察する回診等を行う際、カーテンでベッドの周囲を仕切ったまま、医師がカーテン開放側のベッドの側方に位置し、治療用具や医薬品等が搭載されるカートをベッドの足側近傍に位置させることが多いため、カートがカーテンに接触するという衛生管理上の問題があった。また、カートに搭載する治療用具や医薬品等がカーテンに引っ掛かって、取り出す時の邪魔になるような不具合もあった。
【0003】
そこで、ベッドの足側でカーテンレールを二又に分岐させ、一方側の分岐レールを従来通りベッドに近くに配置し、他方側の分岐レールをベッドから遠ざけることにより、回診時にはベッドから遠い方のカーテンレールを使用すれば、カーテンとカートとが干渉しなくなる。そこで、カーテンレールを途中で二又に分岐させるような技術として、分岐点にレールに対して横方向に平行移動可能な方向切換部材を設け、レール内を走行するカーテンランナーを左右の分岐レールに切換え導入するような技術が知られている(特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−25912号広報
【特許文献2】実開平3−64580号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献2の場合、先行ランナー内に揺動可能な作動レバーを設けたり、枢軸によって枢着される切換リンクを設けたりする等、カーテンレール内の構造が複雑で、しかも、既存のカーテンレールを簡易に改修して使用するには適していなかった。
【0006】
そこで本発明は、構造が簡単で、既存のカーテンレールの大幅な改修等を必要とせず、また、簡単な操作で確実にレール路を分岐させることができるカーテンレール構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明は、基端側の1本の主レールの先端側が分岐部を介して複数本の副レールに分岐し且つそれぞれのレール内を複数のカーテンランナーが走行自在にされるカーテンレール構造において、前記分岐部には、前記主レールと副レールとを連結する連結プレートと、この連結プレートに対して揺動軸で揺動自在に枢支され且つ揺動位置によって主レールとそれぞれの副レールとを接続可能な揺動レールと、この揺動レールの揺動角度を規制すると同時に揺動レールを所望の位置に保持しておくための磁着式の保持機構を設けるようにした。
【0008】
そして、主レールと所望の副レールを接続する際は、例えば先頭のカーテンランナーを揺動レール内に入れ、カーテンを所望の方向に引っ張ることで揺動レールを揺動させて接続すれば、例えば、病室のベッドの近傍にカートが運搬された場合などにおいて、カートに干渉しない位置にカーテンを垂らすことができる。この際、磁着式の保持機構により、揺動レールの揺動角度を所望の位置で規制すると同時に、揺動レールを一時的に保持するようにすれば、副レールの切換作業が楽に行え、レール路を確実に切り換えることができる。しかも、揺動レールを揺動させて副レールを切り換えるような構造のため、既存のレール構造を大幅に設計変更しなくてもよくなり簡素に構成できる。
なお、ここでいう磁着式の保持機構とは、磁石と磁性体とを用い、磁力によって吸着保持する方式のものをいう。
【0009】
また本発明では、前記連結プレートを揺動レールの上方に配置し、また、この連結プレートの所定の箇所に、揺動レールの自重の一部を支え且つ揺動レールの揺動を案内するための円弧状のスリット孔を設けるようにした。
【0010】
このように、連結プレートを揺動レールの上方に配置すれば、レールの下方に吊り下げられるカーテンの移動の邪魔にならない。そして、例えば、揺動レールの揺動軸枢支側の自重は揺動軸で支えるようにし、これとは反対側の連結プレートに円弧状のスリット孔を設け、この円弧状のスリット孔に沿ってガイド部材が移動することで揺動レールの揺動をガイドできるようにし、また、このガイド部材で揺動レールの揺動軸枢支側とは反対側の揺動レールの自重を支えるようにすれば、揺動レールの一方側が垂れ下がるような不具合を防止できる。
【0011】
また本発明では、前記揺動レールに、主レールと所望の位置の副レールとを接続する際、所望の位置以外の副レールの開口部を封止する封止手段を設けるようにした。
【0012】
ここで、揺動レールを揺動させて所望の副レールと主レールを接続する(各レールのカーテンランナーが走行する空間部同士を連通させた状態にする)と、接続されていない側の副レールのカーテンランナーが走行する空間部が開放されて開口部となる。一方、磁着式の保持機構は、揺動レールを磁力の力で一時的に所望の副レールの位置に保持しているだけであるため、例えば、カーテンを閉めてカーテンランナーが分岐部を跨いで主レールと副レールの両方に位置している場合に、揺動レールに不時に磁着力以上の力が加わって揺動レールが所望の副レール以外の箇所に揺動すると、カーテンを開けようとした場合に、副レールに入っているカーテンランナーがカーテンレールの開口部から落下するような不具合が生じる。このため、このような場合に、所望の位置の副レールと主レールが接続された状態で、それ以外の副レールの開口部が封止されるようにしておけば、カーテンランナーが落下するような不具合はない。
【0013】
また本発明では、前記揺動レールに、先頭のカーテンランナーが前進方向に向けて分岐部を通過した後、この先頭のカーテンランナーが後退方向に向けて分岐部を通過しない限り、揺動レールの位置を固定しておくロック機構を設けるようにした。
【0014】
このように、カーテンを閉めることにより、先頭のカーテンランナーが分岐部を通過し、分岐部を跨いでカーテンランナーが主レールと副レールの両方に位置している場合に、揺動レールの位置をロック機構で固定しておくようにすれば、揺動レールに磁着力以上の力が加わっても、不時に揺動レールが所望の位置以外に揺動することがないため、カーテンランナーが落下するような不具合を防止できる。なお、この場合、揺動レールを揺動させるためには、先頭のカーテンランナーを後退方向に向けて分岐部を通過するまで移動させてロック機構を解除する必要があり、移動させた時点ではすべてのカーテンランナーが主レールまたは揺動レールの分岐部より手前に位置しているため、副レールの開口部からカーテンランナーが落下する虞はない。この際、ロック機構の構成としては、センサ等を用いたものでもよく、機械的な機構等を用いたものでもよい。
【0015】
また本発明では、前記カーテンレール構造を、病室においてベッドを間仕切りするためのカーテンレール構造として採用し、前記主レールを、ベッドの側方上部にベッドの長手方向とほぼ平行に配置し、前記複数本の副レールを、ベッドの足側の上部に主レールに対して交差する方向に複数本をほぼ平行に配置した。
このような複数の患者を収容する病室のベッド間仕切り用として採用することで特に好適である。
【発明の効果】
【0016】
基端側の1本の主レールの先端側が分岐部を介して複数本の副レールに分岐するカーテン構造において、分岐部に、揺動レールを配置すると同時に、この揺動レールの揺動位置を規制して所望の副レールと主レールを接続する構造を採用することで、既存のレールを使用して簡易に構成でき、また、例えば、病室のベッドの近傍にカートが運搬された場合などにおいて、簡単な操作でカートに干渉しない位置にカーテンを移動させることができるようになる。
この際、主レールと副レールを連結する連結プレートに円弧状のスリット孔を設けて、揺動レールの自重の一部を支えれば、揺動や連結がスムーズとなり、また、所望の副レール以外の副レールの開口部を封止手段で封止したり、先頭のカーテンランナーが前進方向に向けて分岐部を通過した後、この先頭のカーテンランナーが後退方向に向けて分岐部を通過しない限り、揺動レールの位置をロックするロック機構を設けたりすることで、カーテンランナーがカーテンレールから落下するような不具合を防止することができる。そしてこのようなカーテンレール構造を病室のベッドの間仕切り用として採用すれば特に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】病室のベッドの周囲に配置されるカーレンレール構造の説明図である。
【図2】カーテンレールとカーテンランナーの説明図である。
【図3】本カーテンレール構造の分岐部の斜視図である。
【図4】同カーテンレール構造を上方から見た説明図である。
【図5】図4のA−A線断面図である。
【図6】図4のB−B線断面図である。
【図7】揺動レールに封止手段としての封止板を取り付けた状態図である。
【図8】揺動レールにロック機構を設けた場合の説明図であり、(a)は側方から見た説明図、(b)はロック機構の部分を上方から見た説明図である。
【図9】ロック機構の作用を示す説明図で、カーテンを閉める(カーテンランナーを前進させる)際の説明図である。
【図10】ロック機構の作用を示す説明図で、カーテンを開ける(カーテンランナーを後退させる)際の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るカーテンレール構造は、例えば、病院等において大部屋の病室を個室風に仕切る間仕切り用のカーテンに好適なカーテンレール構造として構成され、医師が患者を診察する回診等を行う際に、治療用具や医薬品等を搭載したカートをベッドの足側近傍に位置させた場合でも、カーテンにカートが接触するような不具合を防止できるようにされている。
【0019】
すなわち、このようなカーテンは、本実施例では、図1に示すように、病室のベッド1の一方側の側面と、ベッド1の足側の面を覆うように配置されており、この場合には、回診時等において、治療用具や医薬品等が搭載されるカートをベッドの足側近傍に位置させても、カーテンの位置を変えることにより、カーテンがカートに接触しない位置に垂れ下がるようにされている。
【0020】
そしてこのようなカーテンレール2の構造は、図2に示すように、上部中空部3と下部中空部4が中間壁21によって上下に区画され、またレールの上面と下面の中央部に設けられた中央溝3m、4mによって上部中空部3と下部中空部4が外部空間と連通するような形態としてアルミ材等から構成されている。そして、上部中空部3と上部の中央溝3mは、天井等から吊り下げられる吊下げ具5を固定するために利用できるようにされ、下部中空部4と下部の中央溝4mは、カーテンランナー6を走行させるために利用できるようにされている。
【0021】
そして、従来のベッド1の一方側側面と足側の面を覆うようなL字型のカーテンレール2の場合、一本のカーテンレール2が単純にL字型にされているだけであるため、ベッド1の足側の近傍に、治療用具や医薬品等が搭載されるカートを運搬してくると、カーテンとカートが接触して衛生上の不具合等が生じていたことについては前記の通りである。
【0022】
そこで、本発明では、図1に示すように、ベッド1の側方のカーテンレール2を一本の主レール2aとし、ベッド1の足側のカーテンレール2を、分岐部7を介して、2本の副レール2cに分岐させ、一方側の副レール2cは、従来どおりベッド1に近い位置に配置し、他方側の副レール2cはベッド1から遠い位置に配置することにより、回診時にカートを運搬する場合は、ベッド1から遠い副レール2cを使用することで、垂れ下がったカーテンがカートに接触しないようにしている。
【0023】
分岐部7の構成について、図3、図4に基づき説明する。
分岐部7は、主レール2aと副レール2cの上部に結合されて各レール2a、2cを連結する連結プレート8と、この連結プレート8の主レール2a側に近い部分で揺動レール2yを揺動自在に枢支する揺動軸10(図5)を備えており、揺動レール2yを揺動させることで、主レール2aとどちらかの副レール2cとを接続できるようにされている。
【0024】
また、連結プレート8の副レール2c側に近い部分には、円弧状のスリット孔11が形成されるとともに、このスリット孔11に対応する揺動レール2yの上部には、図6にも示すようなガイド軸12が取り付けられ、このガイド軸12の上部の大径部12dは、スリット孔11の溝幅より大径にされている。
このため、主レール2aに近い側の揺動レール2yの自重は揺動軸10部分で支えられ、副レール2cに近い側の揺動レール2yの自重は、ガイド軸12部分で支えられることになり、揺動レール2yが傾くような不具合がなく揺動がスムーズに行える。
【0025】
また、連結プレート8の副レール2c側に近い両側側面と揺動レール2yとの間には、揺動レール2yの揺動量を規制し、且つ揺動レール2yの先端側を副レール2cに接続するための位置に保持しておく磁着式の保持機構13が設けられている。
この保持機構13は、連結プレート8の両側側面に取り付けられるストッパ部材14と、このストッパ部材14の内面側に固定される磁性体15と、揺動レール2yの両側側面に取り付けられる磁石16から構成されているが、勿論、磁性体15と磁石16の取り付け方向は逆であってもよい。
なお、本実施例では、副レール2cを二本として、磁着式の保持機構13によって揺動レール2yの片側側面を規制する構造としているが、副レール2cを二本以上とし、例えばそれぞれの副レール2cに対応して複数の磁性体15を連結プレート8の裏側等に取り付け、揺動レール2yの上面等に磁石16を取り付けることにより、揺動レール2yを所望の位置の副レール2cに接続すべく位置決め保持できるようにしてもよい。
【0026】
以上のような分岐部7の構成において、カーテンを垂らす方向を変えるときは、例えば、一旦先頭のカーテンランナー6を分岐部7の手前まで戻し、例えば先頭側の数個のカーテンランナー6を揺動レール2yに留めた状態にして、カーテンを切り換える方向の副レール2cの側に向けて引っ張ると、揺動レール2yは所望の副レール2c側に揺動してレール路を切り換えることができる。
このため、例えば、通常時は、図1のベッド1の足側に近い副レール2cを使用し、回診等において、ベッド1の足側の近傍にカートが進入する空間部を開けたい場合は、一旦、先頭のカーテンランナー6を分岐部7の手前まで戻し、揺動レール2yを揺動させてレール路を切換え、再びカーテンを閉めれば、ベッド1の足側の端部とカーテンとの間の空間部を広くすることができ、カートとカーテンが干渉するような不具合を防止できる。また、その操作も簡単である。
【0027】
ところで、以上のような分岐部7の構成では、副レール2cに一部のカーテンランナー6が入った状態で揺動レール7yに磁着力以上の力が加わり、不時作動によって揺動レール2yが所望以外の副レール2cに接続されたとき、それまでカーテンランナー6が入っていた副レール2cの接続側端部が開放され、下部中空部4が開口部となってカーテンを開けようとした場合に、カーテンランナー6が副レール2cから落下するような不具合が生じうる。
【0028】
このため、図7の構成例は、揺動レール2yが所望の副レール2cの位置に揺動すると、それ以外の副レール2cの開口部を封止部材17で封止するようにした構成であり、この場合は、揺動レール2yの先端部の両側面に封止部材17を固定して一体化し、揺動レール2yが一方側の副レール2cの方向に揺動すると、他方側の副レール2cの開口部を封止するようにしている。なお、この場合封止する開口部としては、少なくともカーテンランナー6が走行する下部中空部4を封止すればよく、また、封止の程度としては、下部中空部4を完全に封止しなくてもカーテンランナー6の脱落を防止できる程度のものでよい。
【0029】
この場合、揺動レール2yが不時作動等により所望以外の副レール2cに揺動した場合でも、カーテンを開けようとすると、分岐部7でカーテンランナー6が邪魔されてカーテンを開けることができなくなるため、カーテンを引っ張って所望の位置の副レール2cに切り換えればよい。
【0030】
次に、図8の構成例は、先頭のカーテンランナー6が前進方向に向けて分岐部を通過して副レール2cに入った後、この先頭のカーテンランナー6が後退方向に向けて分岐部を通過しない限り、揺動レールの位置を固定しておくロック機構20を設けるような構成例の一つである。
【0031】
この構成例におけるロック機構20は、揺動レール2yの上部中空部3と下部中空部4を仕切る中間壁21の先端側(副レール2c側)中央部に長溝状の切り込み21h設ける一方、中間壁21上に概略矩形状で且つ下面中央部に突起tを有するロック部材22を載置すると同時に、下面の突起tを長溝状の切り込み21hを通して下部中空部4に突出させて、ロック部材22を切り込み21hに沿ってスライド自在にし、また、一番先頭のカーテンランナー6の頂部だけに突部p(図2の鎖線)を形成し、ロック部材22の下方を先頭のカーテンランナー6が通過すると、突起tと突部pが干渉するようにし、しかも、先頭のカーテンランナー6の突部pが前進または後退して突起tに衝突すると、突部pが突起tを押圧してロック部材22を切り込み21hに沿ってスライドさせ、突起tが切り込み21の端部まで押圧されてその後、行き場所がなくなると、ロック部材22が僅かに上方に浮き上がって先頭のカーテンランナー6の突部pを通過させ、突部pが通過した後は、自重で降下し、浮き上がる直前の位置に戻るようにされている。このため、突部pも突起tも共に、接触部にアール形状をもたせた形状にすることで、最終的にスムーズにロック部材22が浮き上がるようにしている。なお、長溝状の切り込み21hは、中間壁21の端部に開放しない形態の長孔であっても良い。
【0032】
また、ロック部材22下面の突起tは、先頭のカーテンランナー6の突部pには接触するが、後続のカーテンランナー6には接触しないような高さにされている。
このため、図9(a)に示すように、先頭のカーテンランナー6がロック部材22の下方を通過すると、突起tが突部pに押されてロック部材22が前進し、突起tが長溝状の切り込み21hの端部まで押されると、ロック部材22の突起tの行き場所がなくなって、図9(b)に示すように、ロック部材22が僅かに浮き上がった状態で先頭のカーテンランナー6の通過を許容するとともに、先頭のカーテンランナー6が通過した後、ロック部材22は自重で降下し、この位置は、ロック部材22が揺動レール2yと副レール2cの両者に入り込んだ状態となって、揺動レール2yの揺動が規制されるようになっている。
【0033】
そして、カーテンを閉めた状態では、図10(a)に示すように、ロック部材22が揺動レール2yの揺動を規制する位置にあり、このロック部材22による揺動レール2yの揺動制限の解除は、先頭のカーテンランナー6を少なくとも揺動レール2yまで戻す必要があり、この場合は、図10(b)に示すように、先頭のカーテンランナー6を後退させることによって、先頭のカーテンランナー6の突部pでロック部材22の突起tを押して、ロック部材22を揺動レール2y内に押し戻す。そして、突起tが切り込み21hの端部まで押されると、ロック部材22の突起tの行き場所がなくなって、図10(c)に示すように、ロック部材22が僅かに浮き上がった状態で先頭のカーテンランナー6の通過を許容することについては、カーテンランナー6を前進させるときの要領と同様である。そして、最終的に自重で降下したときのロック部材22の位置は、図8に示すように、ロック部材22が副レール2cから離れて揺動レール2y内だけに位置し、揺動レール2yの揺動がフリーとなるようにしている
【0034】
このような構成によって、カーテンを閉めた状態では揺動レール2yが予期しない位置の副レール2c側に揺動するのを防止することができる。
なお、先頭のカーテンランナー6が前進方向に通過すると、先頭のカーテンランナー6が後退方向に通過するまで揺動レール2yの揺動をロックする構造としては、例えば、先頭のカーテンランナー6にセンサ等を取り付けてセンサの感知によって揺動レール2yの揺動を規制する部材を制御するようにしてもよい。
【0035】
以上のような封止部材17やロック機構20を採用することにより、カーテンランナー6がカーテンレール2から落下するような不具合を防止することができる。
【0036】
なお、本発明は以上のような実施形態に限定されるものではない。本発明の特許請求の範囲に記載した事項と実質的に同一の構成を有し、同一の作用効果を奏するものは本発明の技術的範囲に属する。
例えば、カーテンレール6の分岐方向や適用箇所等は例示である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
既存のカーテンレールの大幅な改修等が必要とされず簡素な構成で、しかもカーテン操作も楽に行えるため、例えば、病院等における大部屋の病室を個室風に仕切る間仕切り用のカーテン構造等において広い普及が期待される。
【符号の説明】
【0038】
2…カーテンレール、2a…主レール、2c…副レール、2y…揺動レール、6…カーテンランナー、7…分岐部、8…連結プレート、10…揺動軸、11…スリット孔、13…保持機構、17…封止部材、20…ロック機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端側の1本の主レールの先端側が分岐部を介して複数本の副レールに分岐し且つそれぞれのレール内を複数のカーテンランナーが走行自在にされるカーテンレール構造であって、前記分岐部には、前記主レールと副レールとを連結する連結プレートと、この連結プレートに対して揺動軸で揺動自在に枢支され且つ揺動位置によって主レールとそれぞれの副レールとを接続可能な揺動レールと、この揺動レールの揺動角度を規制すると同時に揺動レールを所望の位置に保持しておくための磁着式の保持機構が設けられることを特徴とするカーテンレール構造。
【請求項2】
前記連結プレートは、前記揺動レールの上方に配置され、また、この連結プレートの所定の箇所には、前記揺動レールの自重の一部を支え且つ揺動レールの揺動を案内するための円弧状のスリット孔が設けられることを特徴とする請求項1に記載のカーテンレール構造。
【請求項3】
前記揺動レールには、主レールと所望の位置の副レールとを接続する際、所望の位置以外の副レールの開口部を封止する封止手段が設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカーテンレール構造。
【請求項4】
前記揺動レールは、先頭のカーテンランナーが前進方向に向けて分岐部を通過した後、この先頭のカーテンランナーが後退方向に向けて分岐部を通過しない限り、揺動レールの位置を固定しておくロック機構を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のカーテンレール構造。
【請求項5】
前記カーテンレール構造は、病室においてベッドを間仕切りするためのカーテンレール構造として採用され、前記主レールは、ベッドの側方上部にベッドの長手方向とほぼ平行に配置され、前記複数本の副レールは、ベッドの足側の上部に主レールに対して交差する方向に複数本がほぼ平行に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のカーテンレール構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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