説明

カーテン下辺空気流遮断方法及び昇降機構付きカーテン吊り具、カーテンレール装置

【課題】水平開閉カーテン方式を対象として、閉鎖時にカーテンの下辺と床との隙間をなくし、この隙間をから流入する冷気を遮断し、室内居住環境を良好に保つと共に熱の放散を防止して、省エネルギーに役立てる。
【解決手段】水平開閉方式カーテンにおいて、閉鎖時にカーテンを下降して床面とカーテン下辺との隙間を無くし、カーテンを上昇させて、床面とカーテン下辺との間に間隔を設けた後にカーテンを開けることによりカーテン閉鎖時にカーテン下辺の空気の流れを遮断する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
水平開閉方式のカーテン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅のインテリアにおいてカーテン装置は、意匠性の外、遮光、断熱などの目的で使用される。その方式は、布地の垂れ幕、縦ルーバー、横ルーバーのブラインドなどがある。家庭やホテルなど、住居に布地垂幕方式のカーテンが普及している。住宅などの建物では、壁の断熱化などが進み、省エネルギーが向上しているが、最大の熱のロスは、二重ガラス化を行っても、窓などの開口部である。
カーテンを閉めた時に窓ガラスとカーテンとの間にできる空間の空気は、例えば寒い日には外気に冷やされた窓ガラスからの伝熱、放射などにより冷却され比重が重くなり下降する力が発生する。カーテン下辺と床面との間に隙間があると、窓面に接して冷された空気が、この隙間を通して室内に流入し、床面付近に滞留し、足元が寒く感ずる原因となっている。冬期に足元に溜まる冷気を撹拌し均一に温めようとして、スイング型のエアコンや扇風機を利用しても、容易に解決できないことは、多くの人が実感していることである。
掃き出し窓においてはカーテンの裾と床との間には一般的に約1センチ程度の隙間をもたせるのがカーテン採寸の目安とされているので前記の冷却された空気はこの隙間から室内に流れ込み、あたかも隙間風が侵入したかのような様相を呈し不快感を伴っていた。またこの対流は部屋の暖房効率をも低下させていた。この床面との隙間が存在することによる断熱性に及ぼす影響は、非特許文献1(「技術シリーズ インテリアデザイン」(1989年10月20日発行、内堀、他2名 編)の第178、179ページ)に開示されるように公知である。
ブラインドなどや上下に開閉するカーテン装置においては下辺が床面に達するように設計することも可能であるが、各ルーバーの間からの空気の移動を妨げることができず、満足できる解決手段ではない。
【0003】
従来のカーテンレール吊具は壁などに固定してしまうとカーテンレールの高さは一定で、高さを調整する機能は見受けられなかった。一部にはカーテンレールにカーテンを吊るすフック部にアジャスト機構を設けてカーテンの取付け高さを調節するものがあるが、日常の開閉時にカーテンレール全体を簡単に上下できるものはなかった。ブラインドなどや上下に開閉するカーテン装置においては下辺が床面に達するように設計することも可能であるが、各ルーバーの間からの空気の移動を妨げることができず、満足できる解決手段ではない。
【0004】
左右開閉方式のカーテンにおいても、裾部をたくし上げ可能とした方式(特許文献1:特許3038156号)が提案されているが、カーテン幕や操作具に特別仕様を施す必要がある。
一部では保温性や遮光性を増すためにカーテンの丈を長くして床に密着させるなどの方法がとられていたが床にカーテンを密着させるとカーテンが床と摩擦し引きずられる為ドレープが乱れ易く美観を損なうといった弊害や、カーテンが滑らかに動かないといった弊害、カーテンの裾が擦切れ易いといった弊害、或いはカーテンの裾が汚れ易くクリーニング代が嵩むといった弊害が生じていた。それ故必要なときだけカーテンの裾と床を接することのできる方法の開発が望まれていた。
【特許文献1】特許3038156号
【非特許文献1】内堀、他2名 編「技術シリーズ インテリアデザイン」(1989年10月20日 発行)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、普及している水平開閉カーテン方式を対象として、閉鎖時にカーテンの下辺と床との隙間をなくし、この隙間から流入する冷気を遮断し、室内居住環境を良好に保つと共に熱の放散を防止して、省エネルギーに役立てることを目的として、開発したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の主な構成は、次のとおりである。
(1)水平開閉方式カーテンにおいて、昇降可能なカーテンレールを用いることにより閉鎖時にカーテンを下降して床面とカーテン下辺との隙間を無くし、カーテンを上昇させて、床面とカーテン下辺との間に間隔を設けた後にカーテンを開けることによりカーテン閉鎖時にカーテン下辺の空気の流れを遮断、あるいは抑制する方法。
(2)カーテンを水平に開閉するカーテン装置のカーテン吊り具において、建物側に取り付ける支持部材(A)とカーテンレール(B)を取り付けるカーテンレール取付部材(C)とを備えたカーテン吊り具であって、支持部材(A)とカーテンレール取付部材(C)との接続機構として揺動あるいは上下動可能な可変接続機構(D)を設けたことを特徴とする昇降機構付きカーテン吊り具。
(3)揺動可能な可変接続機構(D)が、前後揺動手段又は左右揺動手段であることを特徴とする(2)記載の昇降機構付きカーテン吊り具。
(4)上下動可能な可変機構として、案内傾斜面を備えた機構であることを特徴とする(2)記載の昇降機構付きカーテン吊り具。
(5)駆動源として、モータを使用することを特徴とする(2)〜(4)記載の昇降機構付きカーテン吊り具。
(6)上昇位置保持機構及び又は下降位置保持機構を備えたことを特徴とする(2)〜(5)のいずれかに記載の昇降機構付きカーテン吊り具。
(7)昇降操作機構を備えたことを特徴とする(2)〜(6)のいずれかに記載の昇降機構付きカーテン吊り具。
(8)昇降機構の操作として外気温に連動させる機構を備えたことを特徴とする(2)〜(7)のいずれかに記載の昇降機構付きカーテン吊り具。
(9)(2)〜(8)のいずれかに記載の昇降機構付きカーテン吊り具を用いた水平開閉カーテン装置。
(10)(2)〜(9)のいずれかに記載の昇降機構付きカーテン吊り具に用いる吊り具又はカーテン装置に用いられるカーテンレール取付部材と支持部材の間に介在する揺動、又は上下動可能な可変接続機構。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、普及している水平開閉カーテン方式を対象として、閉鎖時にカーテンの下辺と床との隙間をなくし、この隙間を通しての空気の移動を遮断、あるいは抑制し、窓面とカーテンの間に移動性の小さい空気層を設けることにより、該空気層が断熱層となり窓面からの熱交換を小さくできる。室内居住環境を良好に保つと共に熱の放散を防止して、省エネルギーに役立てることができる。
日常使用状態において、カーテンレールを上下に位置可変とする装置を提供できる。この可変装置を使用することにより、カーテン布地は従来のものが使用可能とすることができる。
また、レールの接続器具を変更するのみで、従来のレールも継続使用が可能である。
カーテンの裾と床との隙間を塞ぐことができ空気の対流が抑止されるとともに窓からの隙間風の室内への流入も抑止できるので特に暖房に対する省エネ効果が期待できる。またこのことは、カーテン周りで生じていた寒い日の冷たい隙間風といった不快感を解消するものでもある。
また一部でとられていた保温性や遮光性を増すためにカーテンの丈を長くして床に密着させる方法における問題点である床にカーテンを密着させるとカーテンに弛みが出易く美観を損なう、カーテンが引きずられる為動きが悪い、カーテンが引きずられる為ドレープが乱れ易く美観を損なうといった弊害やカーテンの裾が擦り切れ易い、カーテンの裾が汚れ易くなりクリーニング代が嵩むといった弊害の解消も期待できる。
具体的な各種の装置、器具を提供することにより、いろいろな条件に応じた実施が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、一般住宅などで多く用いられている水平方向に開閉するカーテンの裾を締めた状態では床面と接するように下降させ、開放動作時にはカーテンの裾を床を引きずらないように上に揚げることができるように、カーテンレールを昇降できる機構を備えたカーテン装置並びにカーテンレールの取付器具、そして、カーテンをしめた状態でのカーテンの裾と床面の隙間からの空気流を遮断する方法を提供するものである。
本発明では、カーテンレールを1本又は2本以上並列した所謂シングルあるいはダブルの両方に適用できる。ダブルの場合は、目的とするカーテンレール側を昇降すれば十分である。普通は、遮光性のある高く重い布地を使用する室内側のカーテンレールを対象として昇降させることとなる。
【0009】
<カーテンの全体構造>
本発明のカーテン装置は、主に、カーテン布地、カーテンレール、支持部材(ブラケット)(A)及びカーテンレール取付器具から構成され、カーテンレール取付器具には建物側に取り付ける支持部材(ブラケット)(A)とカーテンレール取付部材(C)との接続機構として揺動あるいは上下動可能な可変接続機構(D)が設けられている。このカーテン装置は、主に、掃き出し窓など床面とほぼ同じ高さから開口部が設けられている箇所に設けられることが多い。腰高窓などでもカーテンを床面まで垂らす場合には適用できるものである。また、カーテンレールは天井付け、正面付けでも適用できる。カーテンは、一重吊り、二重吊りあるいはそれ以上でも可能である。カーテンの幅は特に限定されるものではない。本発明は、水平開閉方式のカーテンに適用され、主に、布カーテン、アコーディオンカーテンである。
【0010】
1. 各パーツの説明
1−1 カーテン布地
カーテン布地は、遮光、日よけ、防音、目隠しなどの機能性とインテリアとしての意匠性から選択され、一般的な吊り下げるカーテンとして使用できるものであれば、制限はない。通常は、裾が床面から10〜20mm上がる程度の長さに設定されている。
【0011】
1−2 カーテンレール(B)
カーテンレールは断面の形状や外観から、C型、I型、ポール型の3種類に大きく分けられる。このうち、最も一般的なレールがC型で、I型は手で自由に曲げられるため、その特徴から間仕切りや出窓によく使われている。また、ポール型は丸棒材状であって、装飾性が高い。材質は、金属性、木製、プラスチック製などが用いられる。
これらのカーテンレールは、シングルあるいはダブルに設けられ、使用目的に合わせ、機能性、装飾性、用途、窓の形、寸法、構造、場所などに応じて使い分けられる。
【0012】
1−3 支持部材(ブラケット)(A)
建物側に取り付けられて固定される基部とカーテンレール取付部である接続部とから構成される。建物側には、取付高さを微調整できるようにアジャスターを設けることも可能である。
【0013】
1−4 カーテンレール取付部材(C)
従来のカーテンレールはブラケットに直接取り付けられているが、本発明では、カーテンレールを直接取り付ける部材と建物側に固定するブラケットを分離して、その間にカーテンレール取付部材の位置を上下に変更できる可変接続機構(D)を介在させている。カーテンレールを直接取り付ける部分の構造に影響はなく、従来例をそのまま使用することもできるので、既存のレールを付け替えることが可能である。
【0014】
1−5 可変接続機構(D)
可変接続機構(D)は、カーテンレール取付部材(C)の支持部材(A)側を基端として揺動する機構、ヒンジ、傾斜案内面に沿って昇降する機構、吊り下げによって上下動する機構等によって実現できる。上方の位置と下方位置の位置固定機構と操作機構を備えることができる。
揺動機構は、単軸回動、複数の軸回動、平行リンクを用いることができ、軸方向をX軸方向あるいはZ軸方向に設定することができ、軸方向によって、揺動方向が異なる。位置固定はラチェット機構やブレーキ付きワンウェイ機構、カーテンレール取付部材をフックなどに係止する構造、トグル機構、リンク機構、クランク機構、歯車機構、カム機構、送り螺旋機構等を利用することができ、モーターなどの駆動力を利用することもできる。ヒンジとストッパーを組み合わせることもできる。
【0015】
傾斜面は、一様なテーパあるいは曲面加工したカム面とすることも可能であり、この傾斜面をカーテンレール取付部材(C)あるいは支持部材(A)側の一方に固定し、他方には案内部材を設けて、両者が摺擦して移動可能な機構とする。位置規制の例としては、傾斜面の上端側には、小凸部を形成して、案内部材が乗り越えた位置で姿勢保持が可能とすることができる。
【0016】
吊り下げ機構は、滑車とワイヤーなどのひも状部材を利用することができる。ワイヤーなどを操作後に固定することにより位置固定が可能である。また、落下防止として、支持部材(A)とカーテンレール取付部材(C)とに案内穴を設け、双方の穴に案内棒を挿通両端に抜止を設けるなどすることができる。
【0017】
操作は、レバーや紐、電動モーターなどを使用できる。簡単には、カーテンレールやカーテン布地を利用することも可能である。
【0018】
1−6 その他の部品
天板、側幕(板)、カーテンフックなどがある。カーテンレール(B)の上を覆う天板やカーテンの側辺に側幕を設けると窓面とカーテンの間の空気の移動の制限が高くなり、更に、断熱効果が高くなる。
【0019】
2. 昇降機構の説明
建物側に固定される支持部材(A)に対して、カーテンレール取付部材(C)揺動あるいは上下に移動できる構造の連結機構を介在させることによって、目的とするカーテンレールの高さを1〜50mm程度変更できるようにしている。
主な実現手段は、前記可変接続機構(D)を備えたものであって、即ち、回動できるように両者を軸支する構造、リンク機構を用いる方法、傾斜面に沿って移動させる構造、ワイヤーと滑車を吊り下げる機構、両端にZ軸方向に回動可能に支持部材(A)とカーテンレール取付部材(C)を連結して、左右スイングさせて上下位置変更可能とする機構が例示される。
【0020】
昇降操作は、カーテンレール取付部材(C)を直接操作、レールに力を加えることによって操作、紐や棒をフレキシブルワイヤーなどを介在してカーテンレール取付部材(C)を操作、これらの操作具を人力あるいはモータなどの駆動力を利用して操作する事ができる。
外気温を感知するセンサーと連動することによって、自動的に位置変更することも可能である。
昇降機構には、上下位置で姿勢が安定するように、位置規制具を備えることができる。例えば、ラチェット機構、カム機構、クランク機構、リンク機構、バネやトグル機構、滑車などを使用することにより、上昇位置のロックと解除をスムーズに行うことができる。また、小さな力でも容易に姿勢を変更できるようにすることができる。
カーテン幕の裾と床との個別間隔に合わせるために、上昇位置を2カ所にすることも可能である。例えば、10mmと30mmなどである。
上下の位置変更距離は、10〜50mm程度ある。通常多用されているダブルカーテンのカーテンレール取付具は、長さが60〜100mm程度であるから、揺動範囲は30°程度でも十分に実現できる。したがって、揺動機構など昇降機構に対する操作荷重も大きくならず、カーテンレール取付部材も重量もさほど重くする必要がないので十分に使用可能な形状、構造を提供できる。
また、従来のカーテンレールの保持機は水平であるが、本発明では、水平に限らず、水平よりも上向あるいは下向とすることが可能である。上位置あるいは下位置で安定姿勢を保つには、水平以外の角度の方がモーメントが小さく、軸支部の負担が小さくてすむこととなる。
【0021】
3. 使用方法
本発明のカーテンレール取付部材は、従来のカーテンレールの取付構造と同様にすることができるので、使用中のカーテンレールのブラケットを交換して使用することができる。即ち、使用中のカーテン布地はそのまま継続使用ができる。また、カーテンレールとセットのカーテン吊り具として製造販売することもできる。
また、カーテンレールとセットのカーテン吊り具にカーテン幕及び天板や側板も加えたカーテン装置としても使用可能である。
自動開閉機構や温度センサーを組み合わせることもできる。
本発明のカーテン装置は、水平開閉タイプのカーテン幕に使用される。外気温が低下して、カーテンの裾からの冷気が気になるようになったときに、カーテンレールを下降させて床との隙間を塞ぐようにすると、冷気の流れを遮断することができる。
また、外気温が高く、室内では冷房を使用しているときにカーテンの裾の隙間を塞ぐことにより、空気流を遮断できるので、熱ロスを少なくすることができる。したがって、冬季だけでなく夏季においても有用なカーテン装置を提供できる。
本発明は住宅などの建物において、放熱が大きく、断熱構造を採用しにくい開口窓部の断熱効果を向上させることができ、省エネに寄与する。省エネ住宅の実現にも寄与できるカーテン装置が提供できる。
【0022】
[実施例]
本発明の代表的な実施の形態を以下に図面を参照して説明する。
なお、以下の詳細な説明および図面の記載において同様の要素は同様の参照番号により表わされる。また本明細書で使用される例えば上、下、縦横、等の方向を示す用語は添付の図面において図示されている事例を基準として用いられるものである。
【0023】
実施例は多岐にわたるため、ここでは一部の代表例についてのみ説明するが本発明は前記カーテンレールの動作軌跡の如何にかかわらず前記カーテンレールの高さを日常的に随時に変化させる機能を有することを第一の特徴とするものである。
【0024】
図1は部屋の断面を表した図である。外気が室温に比べて冷たい状態を例にあげて請求項1に示すカーテンレールの高さを調節する方法の意義を模式的に示した。左側の図のカーテンレール上昇時の状態は従来のカーテンレールと同等な状態を示した図である。前述のとおりカーテンの裾(5a)部と床(2)は一般的に1センチ程度隙間が開いた状態にある。この状態では窓ガラス(4)とカーテン(5)の間の空気は窓ガラス(4)を介して外気に熱を奪われて比重が増し室内の空気と較べて比重が重くなる為下向きの力が発生し矢印のような窓側から室内への空気の流れが発生する。右側のカーテンレール下降時の図はカーテンが下がり床と接したため前記空気の流路が塞がれた状態を示している。この状態では空気の比重が大きくなっても室内に冷気が流れ込みにくい。本発明は、カーテンレールに上下昇降機能を付加することによりカーテンを必要に応じて床と接することにより前記のカーテン下辺におけるカーテン表裏間の空気の流れを遮る方法を指すものである。
【実施例1】
【0025】
実施例1は、図2に図示されている。カーテンレール取付部材の基部が支持部材に軸着して枢支しており、上下に回動可能とされている。図2に示された本実施例は、昇降機能付カーテンレールの基本形の一例を示している。図中符号(9)がカーテンレール吊具であり、2本のカーテンレール(8)がカーテンレール吊具(9)に組み付られた、ダブル掛けの状態のカーテン装置を示している。
本図では、基本概略構造を示すものであって、操作方法、位置固定手段は他の実施例の手段など適宜適用できるものである。
図3,図4,図5,図6,図7,図8はカーテンレール吊具の高さ調節の代表的機構を示すものである。レールの上下駆動方法や位置決め機構は後述する。
これらの図では一般的に機能性カーテンレールとよばれているものを2本装着した例を示すが装着レール本数、レールの断面形状や種類、レールの取付け固定方法はこの限りではない。例えば、丸棒状の装飾用カーテンレールやアコーデオンカーテンレールに対しても応用できる機構である。
また本図は窓側の壁にカーテンレールを固定した例を示すがこの限りではない。機構を応用して天井に取り付けることも可能である。
【実施例2】
【0026】
実施例2を図3に示す。図示は、カーテンレール吊具の一例を示すを示す概略図であって蝶番式カーテンレール吊具を斜め上方から見た斜視図を示す。カーテンレール(8)を固定するカーテンレール取付部(10)と、前記カーテンレール取付部(10)と回動可能に係合した支持部(11)と軸(12)とからなるカーテンレール吊具である。カーテンレール(8)の長さに合せて図2と同様に吊具を複数個取付けて使用する。
カーテンレール(8)に上下方向の外力を加えると前記カーテンレール取付部(10)は軸(12)を中心に回動しカーテンレール(8)の高さを変えることが可能な構造である。
【0027】
図3は少ない外力でカーテンレールの高さ調整ができるようにバネ(13)などの弾性体を組み込んだ例を示した。下降姿勢ではバネ(13)の軸線と軸(12)が近づきバネ両端の支点とその間の点としての軸(12)で構成されるリンクが直線に近づくためバネの引っ張り力が緩和され下降姿勢が保たれる。レールを少し上に上げるとバネが効くため軽く持ち上げることができる。カーテンレール(8)を押し上げるとバネ(13)の引張力によって上方へ揺動して停止できる。
図3(b)は、引張力を発揮するバネの装着変形例を示すものである。軸(12)にバネ(13b)を巻き付けて、上向きに付勢力が発生するようにする。
【実施例3】
【0028】
実施例3を図4に示す。本実施例に係るカーテンレール吊具は、平行リンク式カーテンレール吊具であり、斜め上方から見た斜視図を図4に示す。複数のヒンジ部が平行に配置されたカーテンレール取付部(14)と、前記カーテンレール取付部(14)に設けられた複数のヒンジ部と同じピッチにヒンジを配した支持部(15)と、それぞれの相対したヒンジを結び平行リンクを構成する、両端にヒンジを持つ同一ピッチ長さの複数の連結部(17a),(17b)と軸(16a),(16b),(16c) ,(16c)とからなり、前記支持部(15)と前記連結部(17a),(17b)及び前記カーテンレール取付部(14)が回動可能に係合しているカーテンレール吊具である。カーテンレール(8)に上下方向の外力を加えると前記カーテンレール取付部(14)は軸(16a),(16b) ,(16c) ,(16c)を中心に、平行リンク機構により床に対する角度を保ちながら回動しカーテンレールの高さを変えることが可能な構造である。
本実施例の図4に示す機構においても、実施例2である図3に示すと同様の意味のバネを用いた例を示した。
【実施例4】
【0029】
実施例4を図5に示す。本実施例のカーテンレール吊具は、天秤式カーテンレール吊具であり、斜め上方から見た斜視図を図5に示す。2本のカーテンレールを跨ぐように取り付けたカーテンレール取付部であって、カーテンレールの軸線と交差する断面の重心付近に支軸用穴が設けてあるカーテンレール取付部(19)と、これと回動自在に軸着する支持部(20)と軸(21)とから成るカーテンレール吊具である。いずれかのカーテンレールに上下方向の外力を加えると前記カーテンレール取付部(19)は軸(21)を中心に回動しカーテンレールの高さを変えることが可能な構造である。
図5(b)に示す例は、支持片(20f)を延出して、軸(21)によって両側の支持片(21)の間にカーテンレール取付部材(19)を装着することにより、カーテン吊具の厚みTを図5(a)に図示したタイプより薄くできる変形例である。
【実施例5】
【0030】
実施例5を図6に示す。本実施例カーテンレール吊具が、レール軸方向スイング式カーテンレール吊具であり、斜め上方から見た斜視図を図6に示す。ヒンジ部を有すカーテンレール取付部(22)と、ヒンジ部を有する支持部(23)と、前記ヒンジをそれぞれ結ぶ両端にヒンジを持つ連結部(24)と軸(25) (26)とからなり、前記支持部(23)と前記連結部(24)、前記カーテンレール取付部(22)が回動可能に係合しているカーテンレール吊具である。カーテンレール(8)にカーテンレール軸方向の外力を加えると前記カーテンレール取付部(22)は軸(25)を中心に回動しカーテンレールの高さを変えることが可能な構造である。
【実施例6】
【0031】
実施例6を図7に示す。本実施例に係るカーテンレール吊具は、摺動式上下機能付カーテンレール吊具であり、斜め上方から見た斜視図を図7に示す。壁に固定され支持部(27)に設けた案内部(30)と、これに対する従動部(28)を有するカーテンレール取付部(29)とから成るカーテンレール吊具であって、従動部(28)は水平に対して角度をつけた傾斜面をもつよう設計されて取付けられており、カーテンレール(8)並びにカーテンレール取付部(29)を水平方向に移動させると前記支持部(27)の案内部(30)が従動部(28)の傾斜面に沿って昇降移動して、カーテンレールが上下することを特徴とするカーテンレール吊具である。尚、案内部と従動部は前記構成の逆でもよい。
【実施例7】
【0032】
実施例7を図8に示す。本実施例に係るカーテンレール吊具は、滑車式上下機能付カーテンレール吊具であり、斜め上方から見た斜視図を図8に示す。滑車(32)を内蔵する壁に固定された支持部(31)と、滑車(34)を内蔵するカーテンレール取付部(33)と、ワイヤー(36)と、案内体(35)とからなるカーテンレール吊具であって、ワイヤー(36)の一端は支持部(31)に固定され滑車(32)と(34)を交互に渡り該吊具外へ出ており、これを引くことでカーテンレール取付部(33)以下を軽い力で持ち上げることが出来ることを特徴とする機構である。案内体(35)はカーテンレール取付部(33)の水平方向のズレ及び下降端を規制している。案内溝(37)は、ワイヤー(36)の軌道を規制するものである。本吊具は、複数個をカーテンレール(8)に取付けて使用するので、ワイヤーは途中で一本に束ねられたのちにねじを用いた巻き上げ機構やトグルクランプ機構などにより巻き取り、位置決めをされるものである。
【0033】
その他軸受けを持つ支持部と、前記軸受けに内接し偏芯してカーテンレールを保持するカーテンレール取付部とから成るカーテンレール吊具は装飾用カーテンレールに応用できる。
また、カーテンレールの上方及び側方の窓枠や壁との開放部を覆う様に全体をカバー状にすればカーテン上部での空気の流れを規制できるので省エネ効果が期待できる。これは、他の実施例でも同様である。
【0034】
レール高さの位置決め機構には図3、図4、図8などの場合は前述した弾性体による位置決めや、各吊具のカーテンレール取付部にワイヤーを取り付け各ワイヤーを途中で一本に束ねられたのちにねじを用いた巻き上げ機構やトグルクランプ機構などで巻き取り位置決めを行う方法などがある。また図5の場合は例えば両方のカーテンレールに紐を垂らしその紐によりカーテンレール取付部の姿勢を制御する方法が考えられる。図6、図7の場合は図中左サイドに壁への固定部を設け、ねじやカム、トグル機構などを用いてカーテンレールを押す方法や右サイドからワイヤーなどで引張る方法などがある。
また、カーテンレールの上昇端、下降端の規制はボルトなどのアジャスト機構による方法もある。位置決めのポイントも上下2箇所に限定するものではなく連続的でもよい。
また、カーテンレール長さを分割して、それぞれ別々に昇降操作にできるようにすると、カーテンレールに働く捻れ力を小さくすることができる。
【実施例8】
【0035】
<ラチェット方式A>
実施例8を図9〜図11に示す。本実施例は、枢軸揺動する方式の、軸着部にラチェット機構を組み込んで、上昇位置でカーテンレールの姿勢保持が確実に確保され、下降時には保持位置を容易に解除操作できる機構例である。この機構は、実施例1,2,4,6等に示された、軸を中心に揺動させる方式に採用できる。
図9は、実線が上昇位置を示し、2点鎖線で現された上向動作で規制を解除し、2点鎖線で示される下降状態に変更できる断面を示す模式図である。支持部(11)側に固定された固定ガイド(110)とカーテンレール取付部材(10)をピン(111)で軸着して回動自在に枢支されている。この状態では、係合爪(120)が係止されており、カーテンレール取付部材(10)は、水平状態で上昇位置にある。下降位置では、係合爪の係止が、いったん上向に回動されて解除され、下方揺動して支持部(11)側から延出されたし支承板(113)に支持された状態で下降位置となる。
分解状態を図10に示す。固定ガイド(110)には、ガイド部(114)、該ガイド部(114)には、上昇位置規制溝(112)が形成されている。なお、本実施例では、固定ガイドが支持部材を兼用することも、別体とすることも可能である。カーテンレール取付部材(10)側には、係合爪(120)と係合爪(120)を固定ガイド(110)側に常時付勢するバネ(122)が設けられている。係合爪(120)はピン(121)よってカーテンレール取付部材(10)に回動自在に軸着されている。固定ガイド(110)とカーテンレール取付部材(10)の間に可動ガイド(130)を同軸に介在させる。可動ガイド(130)は、係止爪(120)が侵入する係合溝(131)を備え、自由回動できるように軸着され、固定ガイド(110)のガイド部(114)と回動ガイド(130)の外形や大きさは既知のラチェット機構と同様に形成される。
このカーテンレール吊り具は、上昇位置で固定ガイド(110)のガイド部(114)に形成された上昇位置規制溝(112)と可動ガイド(130)に形成された係合溝(131)に係合爪(120)が侵入して係合して、姿勢が保持される。この状態から、カーテンレール(8)に設けられた操作棒(40)を操作して、一旦上方へ押し上げるとこの係合関係が解除され、可動ガイド(130)が下方へ回動して係合溝(131)の上方の解除凸部(132)が固定ガイド側の上昇位置規制溝(112)に係合爪(120)が侵入することを防止する。このため、カーテンレール取付部材(10)は、下降でき、カーテンレールを下降位置とすることができる。下降位置において、可動ガイド(130)の係合溝(131)と係合爪(120)は係合関係になるように設計されており、操作棒を操作して上昇させるときは、この係合関係を保持したまま可動ガイド(110)の上昇位置規制溝(112)と係合して、上昇位置に姿勢を変更することが可能である。
図11には、この実施例のカーテン吊り具(9)を備えたカーテン装置を示す。この図示は、カーテンレール(8,8)を分割して、左右別々に操作可能に現してあるが、連続することも可能である。図示では、カーテンレールに操作棒40を設けて、操作をし易いようにしている。
【実施例9】
【0036】
<ラチェット方式B>
実施例9を図12〜図14に示す。本実施例は、実施例8と同様にラチェット機構を組み込んだものである。本例は、ダブルのカーテンレールに利用するカーテンレール取付部材(10)を別々に保持する別体構造にしたものである。室内側に位置する外側のカーテンレールを保持するカーテンレール取付部材(10a)と窓側となる内側のカーテンレールを保持するカーテンレール取付部材(10b)とし、内側のカーテンレール取付部材(10b)を図示しない支持部材に固定し、外側のカーテンレール取付部材(10a)を内側のカーテンレール取付部材(10b)に被せてピンを用いて回動可能に軸着する。外側のカーテンレール取付部材(10a)は、内側のカーテンレール取付部材(10b)の上面に接触して下方位置の姿勢をとる。上昇位置は、内側カーテンレール取付部材(10b)の先端外周縁をガイド部(114)として利用し、係合爪(120)を係合して、姿勢を保持できるようにする。
分解状態を図13に示す。内側カーテンレール取付部材(10b)、外側カーテンレール取付部材(10a)、可動ガイド(130)、係合爪(120)、常時付勢するバネ(122)、及びそれらを組み付けるピン(111)(121)から構成される。固定ガイドは内側カーテンレール取付部材(10b)の先端外周縁をガイド部(114)に形成する。ガイド部(114)には、上昇位置規制溝(112)が形成されている。可動ガイド(130)には、係止爪(120)が侵入する係合溝(131)を備えている。
これらの部品の組み付けを図13と図14を用いて説明する。外側カーテンレール取付部材(10a)の前方内側に係止爪(120)をフリー状態にピン(121)にて軸着し、該係止爪(120)をガイド部(114)側に常時付勢するバネ(122)を外側カーテンレール取付部材(10a)の前方に設置する。この外側カーテンレール取付部材(10a)の基端部と可動ガイド(130)の基端部を回動自在になるように内側カーテンレール取付部材(10b)の基端部にピン(111)を用いて軸着して、カーテンレール吊り具とする。
【0037】
このカーテンレール吊り具は、上昇位置で固定ガイド部(114)に形成された上昇位置規制溝(112)と可動ガイド(130)に形成された係合溝(131)に係合爪(120)が侵入して係合して、姿勢が保持される。この状態から、カーテンレールに設けられた操作棒などを操作して、一旦上方へ押し上げるとこの係合関係が解除され、可動ガイド(130)が下方へ回動して係合溝(131)の上方の解除凸部(132)が固定ガイド側の上昇位置規制溝(112)に係合爪(120)が侵入することを防止する。このため、外側のカーテンレール取付部材(10a)は、下降でき、カーテンレールを下降位置とすることができる。下降位置において、可動ガイド(130)の下方凸部と係合爪(120)が圧接するように設計されており、上昇させるときは操作棒などによりカーテンレール取付部材(10a)を上方に押し上げると係合爪(120)と可動ガイド(130)は前記係合関係を保持したまま上昇し、可動ガイド(130)は固定カーテンレール取付部材(10b)の天井部に当接して止まり、一方係合爪(120)は上昇し、前記上昇位置規制溝(112)と前記係合溝(131)と係合爪(120)が係合して、上昇位置に姿勢を変更することが可能である。
本実施例は、1本のカーテンレールのみを昇降させるものであるので、負荷する重量負担も少なくなる。また、固定カーテンレール取付部材(10b)は、カーテンレールを取り付けなければ、外側のカーテンレール取付部材(10a)のみを昇降させることができる。したがって、本例は、シングルタイプのカーテン装置としても使用できる。
ダブルのカーテンレールを設けた場合、カーテンレール取付部材(10)の長さは、通常、約80〜100mmであるから、回動角度は10〜45°程度で、10〜80mm程度の昇降幅が確保できる。また、30°以内の回動を許容する程度あれば、10〜20mmの上下幅は十分に確保できる。図12には、引き出し線を用いて、寸法例を示している。単位はmmを使用している。
本例の操作は、前実施例8と同様に操作することができる。また、単独レールにも対応できるものである。
【実施例10】
【0038】
<ワンウェン+ブレーキ方式>
実施例10を図15〜図17に示す。本実施例は、回転軸に揺動可能に設置したカーテンレール取付部材(10)を用いるものであって、該回転軸にブレーキとワンウェイ機構を組み込んだカーテンレール取り付け部材の例である。
図15に分解図を示す。建物側に固定する支持部材(11)、該支持部材(11)に回動可能に軸着されるカーテンレール取付部材(10)、ブレーキとワンウェイを備えた軸着部から構成される。
ブレーキは、軸12の外周にブレーキシュー(171)を巻き付け、該ブレーキシュー(171)を締付体(170)で覆い、締め付け力をブレーキ調節ネジ(172)で調整して摩擦力を加減する。
ワンウェイは、軸12の一部に大径部を設けてワンウェイガイド部(161)とし、該ワンウェイガイド部(161)に対して、くさび状に進退する可動ピン(162)によって構成される。可動ピン(162)は、可動ピン支持体(163)に設けた上側を広く下側を狭くした可動ピンガイド孔(164)に保持し、軸(12)を反時計回りに回したときに、ワンウェイガイド部(161)と可動ピン(162)が離れ、自由回動ができる。一方、時計回りに軸(12)を回したときには、可動ピンガイド孔(164)に案内されてワンウェイガイド部(161)と可動ピン(162)が接近し、くさび状に摩擦力が働き、回動を停止する。ブレーキはカーテンレール取付部材(10)の基端部に設けた左右の板状部(10W)(10W)の間に、軸(12)に巻き付くように設けられている。
【0039】
これらの部品は、ブレーキとワンウェイとカーテンレール取付部材(10)を組み付け、軸(12)の両端に軸受(182)を挿入し、これらを支持部材(11)に設けた取付開口(180)へ装着し、最後にカバー(150)を挿入し支持部(11)の上面に形成した孔を通して雄ネジ(181)によって、支持部(11)の内側に螺着する。組み付けられた状態のX−X断面を図16に、Y−Y断面を図17に示す。
ブレーキはブレーキ調節ネジ(172)によりカーテンレール取付部材(10)が自重により下降しない程度に調整して使用する。
操作方法は、下方位置は支持部材(11)がカーテンレール取付部材(10)を支承することによる。上方位置は上方へ回動するとワンウェイ機構が働いて軸(12)がフリー状態になり、軸(12)とカーテンレール取付部材(10)はブレーキが効いた状態で共回りする。放置するとワンウェイ機構が働いて軸(12)をロックし姿勢を保持する。下降移動するときは操作棒や操作紐などの手段によりカーテンレール取付部材(10)に下向きの力を加えると軸(12)はワンウェイ機構でロック状態のままブレーキ部に滑りが生じてカーテンレール取付部材(10)が下方に回動する。
【実施例11】
【0040】
<天秤方式>
実施例11を図18,19に示す。本実施例は、建物側に固定する支持部(11)とカーテンレール取付部材(10)をヒンジ部材(190)を介して揺動可能に設置した例である。
支持部材(11)は、建物側に沿う垂下片(11b)ヒンジを取り付ける水平延出片(11a)を備えている。水平延出片(11a)の先端側にヒンジ(190)の一方の片を取り付け、他片をカーテンレール取付部材(10)の中央部に取り付けて、カーテンレール取付部材(10)が揺動可能とする。
図18に図示した例は、2本のカーテンレールを取り付けるタイプを示しているが、1本でも差し支えない。操作は、レールの一端部に操作用の紐(40)を設けて、窓枠等に設けたフック等の紐止めに係止するなどの手段により、カーテンレールの昇降位置姿勢を保持することができる。昇降位置規制は、支持部材(11)とカーテンレール取付部材(10)の間に規制部材を設けることによっても可能である。例えば、板バネ(191)などが利用できる。
板バネ(191)は、図18の図示の例では垂下片(11b)に沿って、先端を下方に延出し、先端部を湾曲させて、カーテン取付部材(10)の側方に圧接して、カーテン取付部材(10)の揺動に制動をかけている。
強い力でカーテン取付部材(10)を反時計回りに回動すると、板バネ(191)を退却させてカーテン取付部材(10)を下降位置とすることができる。図19には、本実施例のカーテン吊具(9)を用いたカーテン装置が図示されている。カーテンレール(8,8)を2本用いており、カーテン(5,5)を用いている。カーテンレールの両端に操作用の紐(40、40)を設けて、揺動操作するようにしている。
また、ヒンジとしてトルク調整ヒンジを用いて、揺動に制動をかけて、緩やかな動作にすることができる。
【実施例12】
【0041】
<スイング方式>
実施例12を図20〜22に示す。本実施例は、建物側に固定する支持部材(11)とカーテンレール取付部材(10)を両端に回動軸を設けた位置変更具(200)を介して左右揺動可能に設置したカーテンレール保持具の例である。
支持部材(11)とカーテンレール取付部材(10)との間に位置変更具(200)を設け、位置変更具が略水平位置から略垂直位置へ変更することによって、位置変更具のほぼ長さ分に該当するカーテンレールの高さ位置を昇降可能とするものである。
分解部品図を図21を示す。支持部材(11)は、建物側に固定する基端部から水平部(116)を延出し、該水平部からY軸方向に垂直面(115)を垂下し、更にその先端をX軸方向に延出させた支承面(117)を形成する。該支承面には、位置変更具を揺動自在に枢支できる軸受部(118)を設ける。位置変更具(200)は、レールの高さを変更する必要長に相当する長さを有する板状材であって、板状部(210)の両端に揺動自在に枢支できる軸受部(203)(204)を備えている。位置変更具の長さは、例えば10〜50mm程度である。カーテンレール取付部材(10)は、カーテンレールの外側を抱持する外側抱持片(10c)、内側抱持片(10d)、両抱持片を接合するネジ(10e)とから構成され、外側抱持片(10c)のほぼ中央部には位置変更具を揺動自在に枢支できる軸受部(119)を備えている。そして、これらの部品は、位置変更具の軸受部(203)と支持部材(11)の支承面(117)側の軸受部(118)にピン(201)を挿通して係止し、位置変更具の軸受部(204)と外側抱持片(10c)の軸受部(119)をピン(202)を挿通して係止する。更に、位置変更具(200)を立設状態としたときに安定性を高めるために、上昇端ロックノブ(220)を支持部材(11)の水平部(116)に付加することができ、不意の下降を防止する。
組み立て状態を図20a、bに示す。図20aは斜視図を、図20bは断面図を表している。本実施例では、ダブルのカーテンレールの使用例を示しており、支持部材(11)の垂直面(115)は、2本のカーテンレールの中間に位置するように垂下させて、その中間位置で位置変更具(200)を介してカーテンレール取付部材(10)を接続している。
【0042】
使用状態を図22a、22bに示す。カーテンレール保持具を左右2カ所設けた例を示している。位置変更具(200)は、支持部材(11)の支承面(117)によってほぼ水平に支えられてカーテンレールは下降位置となり、ほぼ垂直に立設した状態で上昇位置となる。部品展開図では、言及を省略したが、図22bを参照して、付加説明する。支承面(117)は、水平部と途中で前端側を持ち上げるように角度を付けた屈曲部とを有し、屈曲箇所に軸受部(118)を設けている。カーテンレールを下降した位置では屈曲部に接しており、この状態から昇降運動させると、スムーズに上昇回転させることができる。また、上昇させた位置では、位置変更具(200)は、90°を越えて倒れ込み、垂直面(115)によって支えられる状態となるので、外力が働かなければ、上昇位置で安定することとなる。不意の外力が加わり、図面では、時計方向に回動する事を防止するために上昇端ロックノブ(220)を設けて、カーテンレール取付部材(10)の側縁部をロックするようにする。
【実施例13】
【0043】
<屈曲バネ方式>
実施例13を図23、図24に示す。本実施例は、「へ」の字リンクを用い、屈曲方向を変更することにより、カーテンレール取付部材(10)の上昇位置と下降位置の姿勢変更を可能とするものである。
図23は、昇降状態の模式図であり、図24は、分解図を示す。本実施例は、建物側に固定される支持部材(11)に対してカーテンレール取付部材(10)を、その基端部を軸支して、揺動可能に枢支する図2に示される実施例1と同様手段を基礎とするものである。
本実施例は、カーテンレール取付部材(10)の回転軸と同軸に軸着し、先端をカーテンレール取付部材(10)の中間部に軸着して、屈曲方向を変更することにより、カーテンレール取付部材(10)の上昇位置と下降位置の姿勢を変更しようとするものである。具体的な構成を、図24に示す分解図を用いて説明する。
「へ」の字リンク(230)は、前リンク部材(231)と後リンク部材(232)をピン(241)で屈曲可能に軸着されている。両リンク部材は、屈曲方向変更時にたわんで許容できるような、板バネの材質などが用いられる。
カーテンレール取付部材(10)の基端部は、支持部材(11)にピン(12)によって回動自存に軸着されるとともに、支持部材(11)の基端部には、長孔(245)が設けられ、長孔(245)はカーテンレール取付部材(10)に固定したピン(244)を案内し、カーテンレール取付部材(10)を揺動を案内するとともに、下降時の姿勢を支承する役目をもつ。
「へ」の字リンク(230)の後リンク部材(232)の基端には、軸孔(236)が形成され、ピン(12)によって、支持部材(11)に回動可能に軸着されており、前リンク部材(231)の先端には軸孔(233)が形成され、カーテンレール取付部材(10)の側壁(10f)中間位置に設けられた孔(246)とを、ピン(242)によって枢支される。
「へ」の字リンク(230)の屈曲方向を変更する操作レバー(250)を、カーテンレール取付部材(10)の側壁(10f)に取り付ける。操作レバー(250)は、その中間に設けた孔(251)と側壁(10f)に設けられた孔(247)とをピン(243)によって軸着して、取り付けられる。操作レバー(250)の基端部にはカム面(253)が形成され、カム面は後リンク部材(232)に接触して、押圧距離が変更するように関係付けられている。
図23には、下降位置が実線表記され、上昇位置が2点鎖線表記されている。下降位置においては、「へ」の字リンク(230)は、A−B−Cの状態となっており、これを操作レバー(250)を操作するとA’−B’−Cの状態に屈曲状態が変更されて、カーテンレール取付部材(10)は上昇姿勢となる。
【実施例14】
【0044】
<形状記憶合金方式>
実施例14を図25に示す。本実施例は、形状記憶合金を用いて、外気温が一定温度以下に下がったときに感知して、カーテンレールを自動的に下げるようにしたものである。感温部となる形状記憶合金部を窓の外に設置し、ワイヤーなどの動作部を介して、カーテンレール吊り具と連結して、操作するようにする。図25(a)に屋外に設置する感温部(300)を示す。感温部(300)は、容器(311)内に、形状記憶合金バネ(310)を収容し、該形状記憶合金製バネ(310)の収容した前記容器(311)の外へ延出するワイヤー(312)を接続している。前記形状記憶合金製バネ(310)の他端は、前記容器(311)に固定されている。ワイヤー(312)は、ケーブル外筒(301)内に通されて室内に導入される。
【0045】
図25(b)に本実施例のカーテン装置全体概略を断面的、模式的に示す。この図示では、カーテンレール吊り具(9)の例として図18に示す例を記載しているが、この形式に限定されるものではない。感温部(300)から伸びるワイヤー(312)は、ケーブル外筒(301)と共に壁(1)等を通して室内側に引き込まれ、該ワイヤー他端をカーテンレール昇降機構の操作部に連結する。本実施例では、形状記憶合金は、例えば、コイルバネとされ、低温では縮み、高温では伸びるように形成する。形状記憶樹脂でもよい。設定温度は、例えば、縮み温度を10℃程度とする。
操作部への連結は、例えば、図18を援用して説明すると、ダブルのカーテンの室内側に通常は重い布地のカーテンが用いられるので、この重いカーテン幕を吊り下げるカーテンレールには下降力が常に働いている。図25(b)の図示では、カーテンレール取付部材(10)のダブルのカーテンレールの窓側レールを取り付ける側にワイヤー他端を接続して、操作するようにしている。このワイヤー他端付近には、支持部材にコイルバネを添えて、ワイヤーの駆動力を補助している。
【0046】
また、本実施例では、駆動源として、モーターなどを使用することにより、感温部の感知によって、モーターのスイッチ制御に利用することもできる。本実施例は、カーテンの自動開閉装置と連動することもできるものである。
【実施例15】
【0047】
<揺動方式C>
実施例15を図26、27に示す。本実施例は、枢軸揺動する方式であって、軸着部に位置規制バネによって押圧されるピンと位置係合溝を組み込んで、カーテンレールを昇降可能とするものである。図示は、丸棒状のカーテンレールに適用できるカーテンレールの保持具の例を示しているが、これに限られるものではない。
図26には、本実施例のカーテンレール保持具の使用状態の側面図を示し、実線は上昇状態を示し、2点鎖線は下降状態を示している。図27には、分解部品図を示している。
【0048】
建物側に固定する支持部材(11)とカーテンレール取付部材(10)は、軸(12)によって軸着され、揺動可能に枢軸されている。カーテンレール取付部材(10)は、先端側に丸棒状のカーテンレールを保持する挿入孔(405)が設けられており、基部には揺動規制位置を決める係合溝が少なくとも2箇所形成される。係合溝は、上昇位置係合溝(401)と下降位置係合溝(402)とする。3箇所設けると、カーテンの昇降長さを変更できる。支持部材(11)側には、前記係合溝に係合するピンを挿入し、そのピンを押圧する位置規制付勢バネ(403)を装着したバネ装着体(404)を設けている。位置規制付勢バネ(403)は、コイルバネで形成した例である。バネ装着体(404)は、支持部材(11)内に進退を調整できるように取り付け、カーテンレール取り付け部材(10)との圧接力調整できるようにする。圧接力の調製によって、カーテンレールの保持力を調整可能となる。バネ装着体(404)を支持部材(11)に組み込んだ支持部材(11)の底面図を図26(b)に示している。
本実施例は、カーテンレールあるいはカーテンレール取付部材を手あるいは操作具を用いて、回動することにより、掛止位置を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】昇降機能付カーテンレールによる対流制御方法説明図
【図2】昇降機能付カーテンレール基本形
【図3(a)】実施例2に関する蝶番式カーテンレール吊具
【図3(b)】実施例2に関する蝶番式カーテンレール吊具の変形例
【図4】実施例3に関する平行リンク式カーテンレール吊具
【図5(a)】実施例4に関する天秤式カーテンレール吊具
【図5(b)】実施例4に関する天秤式カーテンレール吊具の変形例
【図6】実施例5に関するレール軸方向スイング式カーテンレール吊具
【図7】実施例6に関する摺動式上下機能付カーテンレール吊具
【図8】実施例7に関する滑車式上下機能付カーテンレール吊具
【図9】実施例8に関するラチェット方式カーテンレール吊り具全体構成図
【図10】実施例8に関するラチェット方式カーテンレール吊り具の分解部品図
【図11】実施例8に関するラチェット方式カーテンレール吊り具を用いたカーテンレール装置概略図
【図12】実施例9に関するラチェット方式カーテンレール吊り具全体構成図
【図13】実施例9に関するラチェット方式カーテンレール吊り具の分解部品図
【図14】実施例9に関するラチェット方式カーテンレール吊り具の組み立て図
【図15】実施例10に関するワンウェイ+ブレーキ方式カーテンレール吊り具の分解部品図
【図16】実施例10に関するカーテンレール吊り具のX-X断面図
【図17】実施例10に関するカーテンレール吊り具のY-Y断面図
【図18】実施例11に関する天秤方式カーテンレール吊り具全体構成図
【図19】実施例11に関する天秤方式カーテンレール吊り具を用いたカーテンレール装置概略図
【図20(a)】実施例12に関するスイング方式カーテンレール吊り具全体構成斜視図
【図20(b)】実施例12に関するスイング方式カーテンレール吊り具全体構成側面図
【図21】実施例12に関するスイング方式カーテンレール吊り具の分解部品図
【図22(a)】実施例12に関するスイング方式カーテンレール吊り具のカーテンレール作動図
【図22(b)】実施例12に関するスイング方式カーテンレール吊り具のカーテンレール作動図の拡大図
【図23】実施例13に関する屈曲バネ方式カーテンレール吊り具全体構成図
【図24】実施例13に関する屈曲バネ方式カーテンレール吊り具の分解部品図
【図25(a)】実施例14に関する形状記憶合金感温部を示す図
【図25(b)】実施例14に関するカーテン装置概略図
【図26】実施例15に関する揺動方式カーテンレール吊具を示す図
【図27】実施例15に関する揺動方式カーテンレール吊具の分解部品図
【符号の説明】
【0050】
1 壁
2 床
3 天井
4 窓ガラス
5 カーテン
5 a カーテン裾部
6 カーテンレール取付部
7 支持部
8 カーテンレール
9 カーテンレール吊具
10 カーテンレール取付部
10f カーテンレール取付部材の側壁
11 支持部
12 軸
13 バネ
14 カーテンレール取付部
15 支持部
16 a 軸
16 b 軸
16 c 軸
17 a 連結部
17 b 連結部
18 バネ
19 カーテンレール取付部
20 支持部
21 軸
22 カーテンレール取付部
23 支持部
24 連結部
25 軸
26 軸
27 支持部
28 従動部
29 カーテンレール取付部
30 案内部
31 支持部
32 滑車
33 カーテンレール取付部
34 滑車
35 案内体
36 ワイヤー
37 案内溝
40 操作棒
110 固定ガイド
111 ピン
113 支承板
114 ガイド部
118 軸受部
115 垂直面
119 軸受部
116 水平部
117 支承面
120 係合爪
121 ピン
122 常時付勢するバネ
130 可動ガイド
131 係合溝
132 解除凸部
150 カバー
161 ワンウェイガイド部
162 可動ピン
163 可動ピンガイド
164 可動ピンガイド孔
170 締付体
171 ブレーキシュー
172 ブレーキ調節ネジ
180 取付開口
181 雄ネジ
182 軸受
183 雌ネジ
190 ヒンジ部材
200 位置変更具
210 板状部
203,204 軸受部
201 ピン
202 ピン
204 位置変更具の軸受部
220 上昇端ロックノブ
230 「へ」の字リンク
231 前リンク部材
232 後リンク部材
233 軸孔
236 軸孔
241 ピン
242 ピン
243 長孔
244 ピン
246 孔
247 孔
250 操作レバー
251 孔
253 カム面
300 感温部
301 ケーブル外筒
310 形状記憶合金バネ
311 容器
312 ワイヤー
313 コイルバネ
321,322 リンク部材
323 軸支
401 上昇位置係合溝
402 下降位置係合溝
403 位置規制バネ
404 バネ装着体
405 挿入孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平開閉方式カーテンにおいて、昇降可能なカーテンレールを用いることにより閉鎖時にカーテンを下降して床面とカーテン下辺との隙間を無くし、カーテンを上昇させて、床面とカーテン下辺との間に間隔を設けた後にカーテンを開けることによりカーテン閉鎖時にカーテン下辺の空気の流れを遮断、あるいは抑制する方法。
【請求項2】
カーテンを水平に開閉するカーテン装置のカーテン吊り具において、建物側に取り付ける支持部材(A)とカーテンレール(B)を取り付けるカーテンレール取付部材(C)とを備えたカーテン吊り具であって、支持部材(A)とカーテンレール取付部材(C)との接続機構として揺動あるいは上下動可能な可変接続機構(D)を設けたことを特徴とする昇降機構付きカーテン吊り具。
【請求項3】
揺動可能な可変接続機構(D)が、前後揺動手段又は左右揺動手段であることを特徴とする請求項2記載の昇降機構付きカーテン吊り具。
【請求項4】
上下動可能な可変機構として、案内傾斜面を備えた機構であることを特徴とする請求項2記載の昇降機構付きカーテン吊り具。
【請求項5】
駆動源として、モータを使用することを特徴とする請求項2〜4記載の昇降機構付きカーテン吊り具。
【請求項6】
上昇位置保持機構及び又は下降位置保持機構を備えたことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の昇降機構付きカーテン吊り具。
【請求項7】
昇降操作機構を備えたことを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の昇降機構付きカーテン吊り具。
【請求項8】
昇降機構の操作として外気温に連動させる機構を備えたことを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の昇降機構付きカーテン吊り具。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれかに記載の昇降機構付きカーテン吊り具を用いた水平開閉カーテン装置。
【請求項10】
請求項2〜9のいずれかに記載の昇降機構付きカーテン吊り具に用いる吊り具又はカーテン装置に用いられるカーテンレール取付部材と支持部材の間に介在する揺動、又は上下動可能な可変接続機構。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3(a)】
image rotate

【図3(b)】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5(a)】
image rotate

【図5(b)】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20(a)】
image rotate

【図20(b)】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22(a)】
image rotate

【図22(b)】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25(a)】
image rotate

【図25(b)】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate