説明

カーテン保形体及びカーテン

【課題】 天部ひだを持たないフラットカーテン地を用いて均一なウェーブを引き出すことのできるカーテン保形体及びカーテンを提供する。
【解決手段】 カーテン保形体Bは、フラットカーテン地10の上縁部を補強する帯状体20と、湾曲形状の弾性を備えた保形用プレート60とを備え、帯状体20が、カーテン吊り具50を取り付ける吊り具取付部30と、保形用プレート60を収容するプレート収容部40とを交互に有する。帯状体20を、フラットカーテン地10の上縁部に沿って縫着することによって装着し、その装着箇所で、フラットカーテン地10の上縁部を保形用プレート60の形状に沿わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットカーテン地にウェーブを具備させることに用いられるカーテン保形体に関する。また、本発明は、フラットカーテン地にウェーブを形成させるための対策を講じたカーテンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、カーテンに多様のスタイルが存在することが知られている(たとえば特許文献1参照)。図7(A)(B)(C)にはこの特許文献1に記述があるものを例示してある。同図(A)のカーテン1では、カーテン地2の上縁部に所定の間隔を隔てて形成した天部ひだ3によってカーテン地2に下方に延びるプリーツが形成されるようにしてある。このカーテン1では、カーテン地2の上縁部に所定箇所を隔ててカーテン吊り具(不図示)が取り付けられ、そのカーテン吊り具がカーテンレール(不図示)側のランナーにつり下げられる。同図(B)のカーテン1では、フラットカーテン地4の上縁部に所定間隔ごとに鳩目加工5が施されていて、この鳩目加工5の形成箇所をカーテンレール(不図示)に挿通させることによってカーテン1が吊り下げられる。同図(C)のカーテン1では、フラットカーテン地4の上縁部に共生地で作ったタブ6を設けてあり、このタブ6をランナー(不図示)に吊り下げたりカーテンレール(不図示)に挿通させることによってカーテン1が吊り下げられる。
【0003】
ところで、従来のカーテンスタイルの主流は、図7(A)に見られるカーテン1、すなわち等間隔に天部ひだ3を取ってプリーツを形成するというプリーツタイプであったけれども、近時ではそのようなプリーツカーテンに代わるカーテンスタイルが要望されてきており、それに伴って様々なスタイルが開発されてはいるものの、プリーツカーテンに取って代わるような商品は未だ登場していないのが現状である。
【0004】
このような現状の中で、フラットカーテンというスタイルカーテンが脚光を浴びてきている。フラットカーテンは、プリーツカーテンでは表現することのできない生地のウェーブを得やすく、鳩目加工やタブなどと組み合わせることによってカーテンに様々なアクセントを付けられるという利点をもっていて、個人の好みを自由に表現することのできるパーソナリティあふれるものである。そのため、今後は、このようなフラットカーテンが、カーテン市場でかなりの割合を占めるようになることにそれほどの時間を要しないものと予想されている。
【0005】
そこで、フラットカーテンに均一なウェーブを形成させるために、カーテンレール側のランナーに、隣接するランナーの間隔を一定に保つための特殊なコードを取り付け、この特殊なコードの作用によりランナーのピッチが一定間隔ごとに定まるようにしたカーテンレールが提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開2002−34778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、均一なウェーブを持つカーテンスタイルを得たい場合に、カーテンレール側のランナーに上記した特殊なコードを取り付けるという対策を講じたものを採用すると、カーテンレールとして特殊なコードを取り付けたランナーを備えるカーテンレールを特別に用いる必要があるので、既存のカーテンだけを取り替えて均一なウェーブを形成させるということが不可能であるという問題点があった。
【0008】
本発明はこの問題点を改善するためになされたものであり、フラットカーテン地を用いて均一なウェーブを引き出すことができるようにすることを目的とする。
【0009】
さらに具体的には、本発明は、フラットカーテン地に取り付けるだけでそのフラットカーテン地が均一なウェーブを形成するようになるカーテン保形体を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、上記したような特殊なコードを取り付けたランナーを備えるカーテンレールを用いることなく、均一なウェーブが引き出されるカーテンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るカーテン保形体は、フラットカーテン地の上縁部に沿って装着される芯地と置き換えられて上記フラットカーテン地の上縁部を補強する帯状体と、湾曲形状の弾性を備えた保形用プレートとを備え、上記帯状体に、上記保形用プレートを収容するプレート収容部が等間隔おきに並んで形成されている。
【0012】
この構成であると、帯状体をフラットカーテン地の上縁部に沿って装着し、その帯状体の所定のプレート収容部に保形用プレートを収容させておくことにより、帯状体が芯地の作用を発揮してフラットカーテン地の上縁部が適度に補強されるだけでなく、フラットカーテン地の上縁部が湾曲形状の保形用プレートによって湾曲形状に保形されるようになる。したがって、フラットカーテン地の上縁部で形作られている湾曲形状の影響がそのフラットカーテン地の下部にも及んでフラットカーテン地に下方へ延びる一直線状のウェーブが引き出され、そのようなウェーブによってフラットカーテン地の柄模様が美しく表現されるようになる。また、帯状体のプレート収容部が等間隔おきに並んで形成されていることにより、保形用プレートを収容するプレート収容部を適切に選定することによって、フラットカーテン地の上縁部での湾曲形状に保形する箇所を任意に選定することが可能になり、そうすることによって、ウェーブの形成箇所や形成ピッチを所望に応じて容易に定めることができるようになる。そして、このことによっても、フラットカーテン地の柄模様が美しく表現されるようになる。その上、当該カーテンをカーテンレールに取り付ける手段として、フック形状のカーテン吊り具のほか、鳩目加工や共生地で作ったタブを所望に応じて採用することが可能になってカーテンにアクセントを付けることが容易に可能になる。さらに、図7(A)で説明したような天部ひだ3を形成してウェーブを引き出すようなものに比べると、フラットカーテン地の細かい幅調整を行なう必要がなくなってフリーサイズとして使用することができるという利便性や、天部ひだ3を形成する必要がないので、当該カーテンを開いたときの生地溜まり部分が少なくて済むといった利点もある。加えて、天部ひだ3を縫製加工する必要がなくなるために従来のプリーツカーテンに比べて縫製加工が簡単になるという利点もある。
【0013】
本発明では、上記帯状体に、カーテン吊り具が取り付けられる吊り具取付部と上記プレート収容部とが交互に並んで形成されているという構成を採用することが可能であり、そのようにすることにより、カーテン吊り具を取り付ける箇所をフラットカーテン地に別途形成する必要がなくなる。
【0014】
本発明では、帯状体の上記プレート収容部が、上記保形用プレートを出入れ可能な開き口を有する袋状に形成されていることが望ましい。これによれば、保形用プレートをプレート収容部に出入れする作業が容易になるので、形状の異なる保形用プレートをプレート収容部に入れ換えてウェーブの幅や深さなどを容易に変更することができるようになる。
【0015】
次に、本発明に係るカーテンは、上記した帯状体が、フラットカーテン地の上縁部に沿って装着されていて、その帯状体の装着箇所で、上記フラットカーテン地の上縁部が、その帯状体の上記プレート収容部に収容された上記保形用プレートの形状に沿う湾曲形状に保形されている、というものである。このものにあっては、上記帯状体の横方向全長部分をフラットカーテン地の上縁部に沿って縫着することにより、その帯状体がフラットカーテン地の上縁部に沿って装着されていることが望ましい。
【0016】
この構成を備えたカーテンは、フラットカーテン地の上縁部が芯材としての機能を発揮する帯状体によって適度に補強されているだけでなく、湾曲形状の保形用プレートによって湾曲形状に保形されたフラットカーテン地の上縁部から下方に向けて一直線状のウェーブが引き出されてフラットカーテン地の柄模様が美しく表現されるようになる。したがって、この構成によると、上記したような特殊なコードを取り付けたランナーを備えるカーテンレールを用いることなく、均一なウェーブが引き出されるカーテンを提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明に係るカーテン保形体及びカーテンによれば、天部ひだを持たないフラットカーテン地を用いて均一なウェーブを引き出すことができる。特に、本発明に係るカーテン保形体及びカーテンでは、フラットカーテン地の上縁部を補強するための芯地の代わりに帯状体が補強作用を発揮するので、芯地をフラットカーテン地に縫着したりしておく必要がなくなる。また、フラットカーテン地のウェーブを引き出すための手段として、帯状体のプレート収容部に保形用プレートを収容するという手段を採用していることにより天部ひだを縫製する手間がなくなり、さらに、汎用的な安価なカーテンレールに吊り下げることが可能であるために、カーテンだけを取り替えてフラットカーテン地の柄模様を美しく表現させることができるようになるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は本発明に係るカーテンAの概略正面図、図2はカーテン保形体Bの装着箇所の拡大正面図、図3(A)は図2のIIIA−IIIA線断面図、図3(B)は図2のIIIB−IIIB線断面図、図4はカーテン保形体Bの概略分解斜視図、図5は保形用プレート60の概略斜視図である。
【0019】
図1のカーテンAにおいて、カーテン地にはフラットカーテン地10が採用されている。そのため、カーテン地の上縁部に天部ひだが形成されていない。また、フラットカーテン地10を採用したカーテンでは、芯地を上縁部に縫着することによってその上縁部に一定の腰の強さを具備させておくのが従来より行なわれている一般的な手法であるけれども、この実施形態では、そのような芯地を縫着するということも行なわれていない。その代わりに、フラットカーテン地10の上縁部に沿ってカーテン保形体Bの帯状体20が縫着によって装着されている。
【0020】
カーテン保形体Bの帯状体20には、上記した芯地によってフラットカーテン地の上縁部に付与される腰の強さと同程度の強度をフラットカーテン地10に与え得る腰の強さを備えていることが要求される。そこで、この実施形態では、帯状体20として、所定の太さ及び腰の強さを有する樹脂繊維糸を用いて形成されたメッシュ地が採用されており、帯状体20としてそのようなメッシュ地を用いることによって、フラットカーテン地10の生地色や柄模様が帯状体20によって隠蔽されなくなるという利点も生じる。この利点を最大限度に生かすためには、そのメッシュ地に、透明又は乳白色の樹脂繊維糸を用いることが望ましい。なお、この帯状体20の縦幅寸法は6〜10cm程度に定めることが可能である。
【0021】
図4に示したように、帯状体20は、交互に並んで形成された吊り具取付部30とプレート収容部40とを備えている。すなわち、帯状体20は、横長テープ状のベース部21に、袋状に形成された縦長の吊り具取付部30と、同様に袋状に形成された略矩形のプレート収容部40とを備えていて、これらの吊り具取付部30やプレート収容部40は帯状体20に縫着されている。そして、吊り具取付部30は、その下端が開き口31として形成されていて残りの上端及び左右の端部は閉じている。また、プレート収容部40は袋状に形成されていて、横方向片側の端部が開き口41として形成されているのに対し、残りの上下両端及び横方向他側の端部は閉じている。さらに、吊り具取付部30やプレート収容部40のそれぞれの相互間隔は一定に定められていて、任意の吊り具取付部30に後述するカーテン吊り具50を取り付けることができ、任意のプレート収容部40に後述する保形用プレート60を収容させることができるようになっている。
【0022】
図4に帯状体20と併せて例示したように、カーテン吊り具50は、金属線材を折り曲げることによって形成されたものや、樹脂製成形品によって形成されていて、支持軸部51とフック部52とを備えている。このカーテン吊り具50は、支持軸部51を任意に選定した上記吊り具取付部30にその開き口31を通して差し込むことによって帯状体20に取り付けられ、また、フック部52をカーテンレール側のランナー(不図示)に係止させることによってカーテンレールから吊り下げられる。また、保形用プレート60は、樹脂プレート、好ましくは透明の樹脂プレートでなり、袋状の上記プレート収容部40にその開き口41を経て収容される。
【0023】
図5に示したように、保形用プレート60は、湾曲形状に折れ曲がった弾性を備える樹脂プレートによって形成されており、その湾曲形状の具体例としては、たとえば、半円筒形、半楕円筒形などを掲げることができる。
【0024】
フラットカーテン地10の上縁部にカーテン保形体Bを具備するカーテンAを製作する場合、前段階として、フラットカーテン地10の左右両サイドの所謂三つ巻き、所謂幅つなぎ、下端部の折返しなどをあらかじめ縫製しておく。これらの縫製加工が行なわれているフラットカーテン地10の上縁部に沿って、上記した芯地に置き換えて、カーテン保形体Bの帯状体20の上下の端縁をその長さ方向全長に亘って縫着することにより、その帯状体20をフラットカーテン地10の上縁部に装着する。この後、カーテン吊り具50を吊り具取付部30に取り付け、併せて、保形用プレート60をその軸線を縦方向にした状態でプレート収容部40に収容する。
【0025】
カーテン吊り具50を取り付けるための吊り具取付部30や、保形用プレート60を収容させるプレート収容部40としては、任意の吊り具取付部30やプレート収容部40を選択することができる。たとえば、カーテン吊り具50を全部の吊り具取付部30に取り付け、保形用プレート60を全部のプレート収容部40に収容させることができ、また、カーテン吊り具50を任意に選択した幾つかの吊り具取付部30に取り付け、保形用プレート60を任意に選択した幾つかのプレート収容部40に収容させることもできる。
【0026】
プレート収容部40に保形用プレート60を収容させると、その保形用プレート60の湾曲形状に沿ってフラットカーテン地10の上縁部が図6のように湾曲形状の保形用プレート60によって湾曲形状に保形される。そのため、フラットカーテン地10の上縁部で形作られている湾曲形状の影響がそのフラットカーテン地10の下部にも及んでフラットカーテン地に一直線状のウェーブが引き出され、そのようなウェーブによってフラットカーテン地10の柄模様が美しく表現されるようになる。また、フラットカーテン地10に引き出すウェーブの幅や深さは、プレート収容部40に収容する保形用プレート60の形状を変えることによって容易に変更することができる。
【0027】
この実施形態では、フラットカーテン地10を使用しているために、天部ひだ3(図7(A)参照)を形成してウェーブを引き出すようにしたカーテン地に比べると、天部ひだ3の形成代を考慮する必要がないので、フラットカーテン地10の細かい幅調整を行なう必要がなくなり、当該カーテンAをフリーサイズとして使用することができるという利便性がある。
【0028】
この実施形態では、当該カーテンAをカーテンレールに取り付ける手段として、フック形状のカーテン吊り具50を用いているけれども、この点は、帯状体20に鳩目加工を行なってその架構箇所をカーテンレールに挿通させたり、帯状体に具備させたタブをカーテンレールに挿通させたりすることも可能であり、そのような様々な態様を選択することによってカーテンにアクセントを付けることが容易に可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係るカーテンの概略正面図である。
【図2】カーテン保形体の装着箇所の拡大正面図である。
【図3】(A)は図2のIIIA−IIIA線断面図、(B)は図2のIIIB−IIIB線断面図である。
【図4】カーテン保形体の概略分解斜視図である。
【図5】保形用プレートの概略斜視図である。
【図6】保形プレートの作用を説明するための概略部分平面図である。
【図7】(A)従来のプリーツカーテンの概略正面図、(B)は鳩目加工を施した従来のフラットカーテンの概略正面図、(C)は共生地で作ったタブを有する従来のフラットカーテンの概略正面図である。
【符号の説明】
【0030】
10 フラットカーテン地
20 帯状体
60 保形用プレート
40 プレート収容部
B カーテン保形体
50 カーテン吊り具
30 吊り具取付部
41 開き口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラットカーテン地の上縁部に沿って装着される芯地と置き換えられて上記フラットカーテン地の上縁部を補強する帯状体と、湾曲形状の弾性を備えた保形用プレートとを備え、上記帯状体が、上記保形用プレートを収容するプレート収容部を等間隔おきに有することを特徴とするカーテン保形体。
【請求項2】
上記帯状体に、カーテン吊り具が取り付けられる吊り具取付部と上記プレート収容部とが交互に並んで具備されている請求項1に記載したカーテン保形体。
【請求項3】
帯状体の上記プレート収容部が、上記保形用プレートを出入れ可能な開き口を有する袋状に形成されている請求項1又は請求項2に記載したカーテン保持体。
【請求項4】
請求項1、請求項2又は請求項3のいずれか1項に記載した帯状体が、フラットカーテン地の上縁部に沿って装着されていて、その帯状体の装着箇所で、上記フラットカーテン地の上縁部が、その帯状体の上記プレート収容部に収容された上記保形用プレートの形状に沿う湾曲形状に保形されていることを特徴とするカーテン。
【請求項5】
上記帯状体の横方向全長部分をフラットカーテン地の上縁部に沿って縫着することにより、その帯状体がフラットカーテン地の上縁部に沿って装着されている請求項4に記載したカーテン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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