説明

カーテン保持装置

【課題】医療施設の病室等において、火災発生時にカーテンが燃焼する前にカーテンを落下させ、スプリンクラーの散水を妨げず、速やかに火災の延焼を防ぐことが可能とし、また大掛かりな設備を必要としないカーテン保持装置を提供する。
【解決手段】カーテンフックを吊下できる透孔のハンガー部分5を有するOリング状のカーテンランナー2を用い、前記Oリング状カーテンランナー2のハンガー部分5を上部半球部分7と下部半球部分8の分割形状とし、さらに上部半球部分7と下部半球部分8を55℃〜85℃で溶融または変形する部材で接合することにより、前記Oリング状カーテンランナー2のハンガー部分5に、常温より高温で、炎が直接当たって付与される温度より低温である、前記55℃〜85℃が付与された時にカーテン生地を落下させ、スプリンクラーの散水を妨げる事無く、火災の延焼を防ぐことが出来ることを特徴とするカーテン保持装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療施設等の病室や診療室等における、スプリンクラーの散水障害が懸念される場所での間仕切り用として、天井から吊下げて使用されるカーテンの保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療施設の病室等では、配列されたベッドに患者など多人数が寝起きするが、各人のベッドとベッドとの間にはカーテンを吊架して廻りを仕切り、各人のブライバシーを護るための配慮が為されるのが普通である。しかして、このようなカーテンにおいては、隣の人から見えないための遮蔽性と、強い光を遮るための遮光性とが必要である反面、息苦しさを防止するための通風性が良好なこと、寝タバコなどで失火したような場合にスプリンクラーの水が散布可能であることが要請される。
【0003】
そこで、このような要請に応じ、本発明者らが先に、病室等への設置状態において、天井のスプリンクラーからの広域広角の散水能力を妨げない、水沫透過性のメッシュ部と、プレーン地による遮蔽部とを備えた間仕切り用カーテン(特許文献1)を開示している。しかし水沫透過性のメッシュ部だけではスプリンクラーからの広域広角の散水能力は不十分で、満足のいく防火安全性では無かった。
【0004】
また特許文献2では、火災発生時に、スプリンクラーの妨げにならないように、駆動装置をスプリンクラーに連動させ、カーテンレールからカーテンが外れて落下する提案がなされている。しかし、防火安全性は有るものの、大掛かりな設備が必要であるという問題があった。
【0005】
さらに、特許文献3では、ガイド部材の係止部及びフックの少なくとも1つを低温度で溶融又は変形して、カーテンを脱落させる部材で構成したカ−テン装置が開示されている。しかし、この考案では、カーテンが燃え上ることによって生じる燃焼熱でカーテンを脱落させる仕組みで、火災が拡大してからの作動で、カーテンの燃焼予防及び火災の延焼防止にはならないという問題があった。
【特許文献1】特開平11−276340号公報
【特許文献2】特開平7−269号公報
【特許文献3】実開昭58−156484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その課題は、医療施設の病室等において、火災発生時にカーテンが燃焼する前にカーテンを落下させ、スプリンクラーの散水を妨げず、速やかに火災の延焼を防ぐことが可能とし、また大掛かりな設備を必要としないカーテン保持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は鋭意検討した結果、カーテンフックを吊下できる透孔のハンガー部分を有するOリング状のカーテンランナーを用い、前記Oリング状カーテンランナーのハンガー部分を上部半球部分と下部半球部分の分割形状とし、さらに、上部半球部分と下部半球部分を55℃〜85℃で溶融または変形する部材で接合することにより、火災時カーテンが燃焼する前に、前記Oリング状カーテンランナーのハンガー部分に、常温より高温で、炎が直接当たって付与される温度より低温である、前記55℃〜85℃が付与された時にカーテン生地を落下させ、スプリンクラーの散水を妨げる事無く、火災の延焼を防ぐことが出来ることを見い出し、前記課題を解決し以下の手段を提供する。
【0008】
[1]カーテンレールに複数のカーテンランナーが移動可能に支持され、前記カーテンランナーに、カーテン生地に取り付けられたカーテンフックを吊下支持するカーテン保持装置において、前記カーテンランナーが上部のスライダー部分と下部のハンガー部分からなり、前記ハンガー部分の形状が前記カーテンフックを吊下できる透孔を有するOリング状であり、さらに該Oリング状のハンガー部分が上部半球部分と下部半球部分の分割形状であり、上部半球部分と下部半球部分が、55℃〜85℃で溶融または変形する部材で接合されていることを特徴とするカーテン保持装置。
【0009】
[2]前記カーテンランナーのハンガー部分における温度が前記55℃〜85℃に達した時に、前記Oリング状カーテンランナーのハンガー部分の上部半球部分と下部半球部分の接合部分が溶融または変形により外れ、スプリンクラーが作動する前に、前記カーテンフック及びカーテン生地が落下することを特徴とする前項1に記載のカーテン保持装置。
【0010】
[3]前記55℃〜85℃で溶融または変形する部材が、低融点はんだからなることを特徴とする前項1または2に記載のカーテン保持装置。
【発明の効果】
【0011】
[1]の発明によれば、Oリング状カーテンランナーのハンガー部分が上部半球部分と下部半球部分の分割形状であり、上部半球部分と下部半球部分が55℃〜85℃で溶融または変形する部材で接合されているために、常温時には、カーテンフックをしっかりと吊下支持し、火災発生時初期には、燃焼物からの温度を火災発生初期に感知し、前記Oリング状カーテンランナーのハンガー部分において、上部半球部分と下部半球部分の接合部分が溶融または変形により外れるカーテン保持装置となる。
【0012】
[2]の発明によれば、記カーテンランナーの温度が火災等の初期時に前記55℃〜85℃に達した時に、前記Oリング状カーテンランナーのハンガー部分の上部半球部分と下部半球部分の接合部分が溶融または変形により外れ、前記カーテンフック及びカーテン生地が落下するために、カーテンが燃焼する事無く、速やかに落下し、その後にスプリンクラーが作動し、スプリンクラーの散水を妨げる事無く、散水により火災の延焼を防ぐことができ、また早期にカーテンを落下させることで対流する熱流を遮蔽することを防ぎスプリンクラーの初期作動の妨げとならない、簡単な構造で防火安全性の高いカーテン保持装置となる。
【0013】
[3]の発明によれば、前記55℃〜85℃で溶融または変形する部材が、低融点はんだからなることから、所定温度で安定して溶融または変形し、前記Oリング状カーテンランナーのハンガー部分の上部半球部分と下部半球部分の接合部分を外すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明について、以下に具体的に説明する。図1は、本実施形態のカーテン保持装置(1)を構成するをOリング状カーテンランナー(2)を示す略図であり、図2は、本実施形態のカーテン保持装置(1)を構成するOリング状カーテンランナー(2)が55℃〜85℃に達した時の状態を示した概略図である。
【0015】
本発明に係わるカーテン保持装置(1)を構成する棒状のカーテンレール(3)は、Oリング状カーテンランナー(2)を移動可能に外嵌できるものであれば良く、木製、樹脂製、金属製からなる公知のカーテンレール(3)を用いることができる。形状としては、下向きに凹溝を有した断面コ字状に形成され、そのカーテンレール(3)の溝内で多数のOリング状カーテンランナー(2)のスライダー部分(4)を移動可能に支持する形状や、装飾性を向上させるために、Oリング状カーテンランナー(2)のスライダー部分(4)をリング状とし、該リング状のスライダー部分のリング内に通して移動可能に支持した、円筒状あるいは丸棒状のものを用いることができる。
【0016】
なお、前記カーテンレール(3)は、均等な間隔で複数個取り付けられたブラケットで支持され、そのブラケットが取付面に固定される。例えばネジや釘、ボルト、アンカー或いは面ファスナー、両面粘着テープ等の固定手段を用いて、建物の天井部に対して架設される。
【0017】
本発明に係わるカーテン保持装置(1)を構成するOリング状カーテンランナー(2)は、カーテンレール(3)に嵌合するスライダー部分(4)とカーテンフックを吊下支持するハンガー部分(5)からなり、前記スライダー部分(4)は下向きに凹溝を有した断面コ字状に形成されたカーテンレール(3)に対応する形状として、カーテンレール(3)に沿ってスライドする摺動式のスライダー部分(4−1)を用いることができる。該摺動式のスライダー部分(4−1)を有するOリング状カーテンランナー(2)をカーテンレール(3)に多数個並べて使用する。またローラ付きの転動式のスライダー部分(4−2)も用いることができる。
【0018】
前記カーテンレール(3)に沿ってスライドする摺動式のスライダー部分(4−1)は図1に示すように、摺動方向に長い細帯状面を介してカーテンレール(3)のレール面と接触可能な略立法長方形に形成されており、このスライダー部分(4−1)に対しその摺動方向の前後でハンガー部分(5)が揺動自在に連結されている。
【0019】
前記摺動式のスライダー部分(4−1)は、例えばポリカーボネート樹脂やポリアセタール樹脂、フッ素樹脂、ABS樹脂、アクリル等の接触抵抗の小さい合成樹脂や或いは軟質金属などで形成することができる。
【0020】
一方、円筒状あるいは丸棒状のカーテンレール(3)に対応する形状として、スライダー部分(4)をリング状とし、円筒状あるいは丸棒状のカーテンレール(3)上を移動可能に支持したスライダー部分(4−3)を用いることができる。前記リング状スライダー部分(4−3)は前記円筒状あるいは丸棒状のカーテンレール(3)と意匠的に調和する金属、または木製、または樹脂で環状に形成される外部リングと、その外部リングの内周側に嵌着される内部リングとで構成される。
【0021】
前記内部リングは、接触抵抗の小さい合成樹脂で開口部を備えた環状に形成され、内部リングが外部リングの内周側に保持され外部リングの内周面が内部リングで覆われ、該内部リング内に前記円筒状あるいは丸棒状のカーテンレール(3)を通し、スムーズに移動可能なOリング状カーテンランナー(2)となる。
【0022】
本発明に係わるOリング状カーテンランナー(2)を構成するカーテンフックを吊下支持するハンガー部分(5)は、前記スライダー部分(4)の下部に接合部分(6)によって支持される。該接合部分(6)は、前記ハンガー部分(5)と前記スライダー部分(4)を接合するものであれば良く、樹脂成型品や金属成型品を用いることができる。樹脂成型品としては、通常の成形品に使用される熱可塑性合成樹脂であればいずれでもよく、例えばポ
リエチレン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系、ポリスチレン系、ポリウレタン系、ポリビニル系、ポリアセタール系などが挙げられる。また金属成型品としてはアルミニウム、ステンレスなどが挙げられる。
【0023】
本発明の最大の特徴として、前記ハンガー部分(5)はカーテンフックを吊下できる透孔を有するOリング状であり、さらに該Oリング状カーテンランナー(2)のハンガー部分(5)が上部半球部分(7)と下部半球部分(8)の分割形状であり、上部半球部分と下部半球部分が、55℃〜85℃で溶融または変形する部材で接合されている。
【0024】
前記Oリング状カーテンランナー(2)のハンガー部分(5)の上部半球部分(7)と下部半球部分(8)は、共に前記55℃〜85℃で溶融または変形する部材で接合できる材料であれば良く、公知の樹脂成型品や金属成型品を用いることができる。樹脂成型品としては、通常の成形品に使用される熱可塑性合成樹脂であればいずれでもよく、例えばポリエチレン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系、ポリスチレン系、ポリウレタン系、ポリビニル系、ポリアセタール系などが挙げられる。また金属成型品としてはアルミニウム、ステンレスなどが挙げられる。サイズは、様々なカーテンのサイズに応じたカーテンレール、及びそれに準じたサイズの前記Oリング状カーテンランナー(2)が必要となる。
【0025】
前記ハンガー部分(5)は透孔を有するOリング状であることから、容易にカーテンフックを吊下でき、常温時には、即ち夏季でも室温が55℃を越える事の無い状態では、前記上部半球部分(7)と前記下部半球部分(8)の接合部分が外れる事無く、カーテンフックをしっかりと吊下支持することができる。55℃を下回る温度で接合部分が外れる部材では、エアコンの故障等で室温が異常に上昇した場合に、誤ってカーテンフック及びカーテン生地が落下する可能性がある。
【0026】
一方、もしも火災等が発生した場合、前記上部半球部分(7)と下部半球部分(8)の接合部分は、火災発生初期時に、燃焼物からの温度、55℃〜85℃を感知し、溶融または変形により外れ、前記下部半球部分(8)をカーテンフック及びカーテン生地と共に落下させることができる。
【0027】
スプリンクラーの作動温度は一般的には70℃〜75℃であり、化成品等の火災を想定した高温火災の場合では80℃〜95℃であることから、それぞれのスプリンクラーの設定温度より低い温度で溶融する部材で接合することにより、それぞれのスプリンクラーが作動する前にーテンフック及びカーテン生地と共に落下させる必要がある。即ち一般的な70℃〜75℃設定のスプリンクラーに対しては、55℃〜65℃で溶融する部材で接合し、高温火災を想定した80℃〜95℃設定のスプリンクラーに対しては、75℃〜85℃で溶融する部材で接合する。該それぞれの設定温度に対応した接合部材により、本発明におけるOリング状カーテンランナー(2)のハンガー部分(5)は、火災が発生した場合、スプリンクラーが作動する前に前記上部半球部分(7)と前記下部半球部分(8)の接合部分が外れ、カーテンフック及びカーテン生地が落下し、スプリンクラーの散水を妨げる事が無いので、火災の延焼を防ぐことができる。また早期にカーテンフック及びカーテン生地を落下させることで対流する熱流を遮蔽することを防ぎ、スプリンクラーの初期作動の妨げとならないカーテン保持装置となる。したがって65℃を上回る温度で接合部分が外れる部材では、スプリンクラーの作動時に、カーテンがまだ吊られている状態で、スプリンクラーの散水を妨げ、スプリンクラーの初期作動の妨げとなることになり、その結果、火災の延焼を防ぐ事ができない。
【0028】
本発明に係わる、55℃〜85℃で溶融または変形する部材は、低融点はんだを用いることができる。前記低融点はんだは、錫を主成分とする一般のはんだに、銅、鉛、インジウム等の低融点合金を含ませたもので、各成分の混合比で溶融温度を55℃〜65℃、或いは75℃〜85℃とコントロールが可能となる。該低融点はんだを用いて、前記Oリング状カーテンランナー(2)のハンガー部分(5)の前記上部半球部分(7)と前記下部半球部分(8)を接合することにより、常温時には、カーテンフックをしっかりと吊下支持し、火災発生初期時に、燃焼物からの温度、55℃〜85℃を感知し、溶融または変形により外れ、前記下部半球部分(8)をカーテンフック及びカーテン生地と共に落下させることができる。
【0029】
本発明に係わるカーテン保持装置(1)に吊るすを構成するカーテン生地は、隣の人から見えないための遮蔽性と、強い光を遮るための遮光性、及び息苦しさを防止するための通風性が良好なものであれば良く、天然繊維または合成繊維からなる公知の編織物を用いることができる。好ましくは、耐洗濯性等の機能面、経済性、及び外観上の観点等から合成繊維からなる織物が好ましい。
【実施例】
【0030】
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0031】
<実施例1>ポリプロピレン樹脂をOリング状の上部半球部分と下部半球部分に成形し、Oリング状となるように、錫55重量%、鉛25重量%、インジウム20重量%からなる、70℃〜75℃設定のスプリンクラーを想定し、55℃〜65℃で溶融する低融点はんだを用いて接合しOリング状カーテンランナーのハンガー部分を作成した。次に該Oリング状カーテンランナーのハンガー部分を接合部分を介してポリプロピレン樹脂からなる略立法長方形に成形されたスライダー部分と接合しOリング状カーテンランナーを作成した。さらに該Oリング状カーテンランナーをポリプロピレン樹脂からなる、下向きに凹溝を有した断面コ字状に形成されたカーテンレールに嵌合しカーテン保持装置を作成した。このカーテン保持装置にポリエステル繊維の織物からなるカーテン生地をカーテンフックを介して吊るしたところ、常温ではしっかりとカーテン生地を保持し、電気発熱器具を用いて、加熱したところOリング状カーテンランナーの掛かる温度が61℃に達した時点で、Oリング状カーテンランナーのハンガー部分において、上部半球部分と下部半球部分の接合部分が外れてカーテン生地が落下した。
【0032】
<実施例2>錫70重量%、鉛15重量%、インジウム15重量%からなる、80℃〜95℃設定のスプリンクラーを想定し、75℃〜85℃で溶融する低融点はんだを用いたこと以外実施例1と全く同様にしてカーテン保持装置を作成した。このカーテン保持装置にポリエステル繊維の織物からなるカーテン生地をカーテンフックを介して吊るしたところ、常温ではしっかりとカーテン生地を保持し、電気発熱器具を用いて、加熱したところOリング状カーテンランナーの掛かる温度が72℃に達した時点で、Oリング状カーテンランナーのハンガー部分において、上部半球部分と下部半球部分の接合部分が外れてカーテン生地が落下した。
【0033】
<比較例1>Oリング状となるように、錫60重量%、鉛40重量%からなる通常のはんだを用いて接合したこと以外実施例1と全く同様にしてカーテン保持装置を作成した。このカーテン保持装置にポリエステル繊維の織物からなるカーテン生地をカーテンフックを介して吊るしたところ、常温ではしっかりとカーテン生地を保持できたが、電気発熱器具を用いて、加熱したところOリング状カーテンランナーの掛かる温度が135℃に達した時点で、Oリング状カーテンランナーのハンガー部分において、上部半球部分と下部半球部分の接合部分が外れてカーテン生地が落下した。
【0034】
実施例1、2のカーテン保持装置は、常温ではしっかりとカーテン生地を保持することが出来、加熱された時に、それぞれの想定したスプリンクラーの設定温度に達する前にカーテン生地が落下した。即ち、スプリンクラーの設置された病室での火災を想定すると、火災発生初期にカーテンが落下しその後にスプリンクラーが作動し、カーテンがスプリンクラーの散水を妨げる事無く、火災の延焼を防ぐ事が出来る。
【0035】
一方、比較例1のカーテン保持装置は、常温ではしっかりとカーテン生地を保持することが出来るが、135℃に加熱された時にカーテン生地が落下した。即ち、スプリンクラーの設置された病室での火災を想定すると、カーテンが落下する前に、スプリンクラーが作動し、カーテンがスプリンクラーの散水を妨げ、火災の延焼を防ぐ事が出来ないことが予測される結果となった。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施形態のカーテン保持装置を構成するをOリング状カーテンランナーを示す略図で概略図である。
【図2】本実施形態のカーテン保持装置を構成するOリング状カーテンランナー(2)が55℃〜85℃に達した時の状態を示した概略図である。
【符号の説明】
【0037】
1………カーテン保持装置2………Oリング状カーテンランナー3………カーテンレール4………スライダー部分4−1… 摺動式のスライダー部分4−2… 転動式のスライダー部分5………ハンガー部分6………スライダー部分とハンガー部分の接合部分7………上部半球部分8………下部半球部分9………上部半球部分と下部半球部分の接合部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテンレールに複数のカーテンランナーが移動可能に支持され、前記カーテンランナーに、カーテン生地に取り付けられたカーテンフックを吊下支持するカーテン保持装置において、前記カーテンランナーが上部のスライダー部分と下部のハンガー部分からなり、前記ハンガー部分の形状が前記カーテンフックを吊下できる透孔を有するOリング状であり、さらに該Oリング状のハンガー部分が上部半球部分と下部半球部分の分割形状であり、上部半球部分と下部半球部分が、55℃〜85℃で溶融または変形する部材で接合されていることを特徴とするカーテン保持装置。
【請求項2】
前記カーテンランナーのハンガー部分における温度が前記55℃〜85℃に達した時に、前記Oリング状カーテンランナーのハンガー部分の上部半球部分と下部半球部分の接合部分が溶融または変形により外れ、スプリンクラーが作動する前に、前記カーテンフック及びカーテン生地が落下することを特徴とする請求項1に記載のカーテン保持装置。
【請求項3】
前記55℃〜85℃で溶融または変形する部材が、低融点はんだからなることを特徴とする請求項1または2に記載のカーテン保持装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−110295(P2011−110295A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270859(P2009−270859)
【出願日】平成21年11月28日(2009.11.28)
【出願人】(390014487)住江織物株式会社 (294)
【Fターム(参考)】