説明

カーテン形成装置及びカーテンの形成方法

【課題】ドレープ形成時において、耐熱温度が比較的低いカーテンフックや縫製糸の熱劣化の防止することが可能なカーテン形成装置及びカーテン形成方法を提供する。
【解決手段】襞部C2を備えたカーテンCに取り付けられたカーテンフック15を懸架する懸架部10と、カーテンCの裾部C1を波打ち形状に保持する2組の形状保持ピン21、22と、カーテンCの裾部C1から上方に向かって熱風41を送出する熱風送出部とを備えたカーテン形成装置において、懸架部10は、襞部C2に向かって冷却風43を送出する冷却風送出部30を備えたカーテン形成装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱によりカーテンのドレープを形成する装置及びその方法に関し、ドレープ形成時において、耐熱温度が比較的低いカーテンフックや縫製糸の熱劣化の防止に関する。
【背景技術】
【0002】
カーテン上部に襞部を設け、襞部より下部のカーテン布地にドレープと呼ばれる波打ち形状が形成された、ドレープカーテンと呼ばれるカーテンが使用されることがある。ドレープカーテンに形成する装置としては、特許文献1に記載された装置が知られている。当該装置では、上部に襞部を設けられたカーテンを懸架し、2組のピンにより該カーテンの裾部を挟んで、カーテンの、襞部より下部の部分に波打ち形状を形成する。そして、カーテンの波打ち形状を保持した状態でカーテンに熱風を当てて、ドレープを形成している。
【0003】
【特許文献1】特開2006−116073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の装置では、熱風がカーテンの裾部から襞部に向かって吹き上げられるので、裾部に当たる熱風の温度に比べ、襞部に当たる熱風の温度は下がっている。しかし、ドレープを良好に形成するために、熱風の温度をある程度の温度にする必要があり、襞部に当たる熱風の温度はある程度までしか下げることができなかった。
【0005】
合成樹脂製のカーテンフックを使用した場合、熱風によりカーテンフックが熱劣化する問題があった。特に、カーテンフックが、耐熱温度が比較的低い樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂)製である場合、熱風による影響を受けやすく、カーテンフックが変形することがある。金属製のカーテンフックを使用してドレープを形成することもできるが、合成樹脂製のカーテンフックを装着したカーテンを出荷する場合、カーテンフックを再度装着しなおす作業が必要となり、製造コストの上昇に繋がっている。
【0006】
金属製のカーテンフックを使用する場合であっても、襞部を縫製している糸が、耐熱温度が比較的低い合成繊維製である場合、熱風により糸が縮むなどの問題がある。
【0007】
従って、本発明の目的は、ドレープ形成時において、耐熱温度が比較的低いカーテンフックや縫製糸の熱劣化の防止することが可能なカーテン形成装置及びカーテン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明の装置は、襞部を備えたカーテンに取り付けられたカーテンフックを懸架する懸架部と、前記カーテンの裾部を波打ち形状に保持する2組の形状保持ピンと、前記カーテンの裾部から上方に向かって熱風を送出する熱風送出部とを備えたカーテン形成装置において、
前記懸架部は、前記襞部に向かって冷却風を送出する冷却風送出部を備えたことを特徴とする。
【0009】
本願発明の方法は、襞部を備えたカーテンを懸架し、前記カーテンの裾部を波打ち形状に保持し、前記カーテンの裾部から上方に向かって熱風を送出するカーテンを形成する方法であって、
前記熱風の送出と共に、前記襞部に向かって冷却風を送出することを特徴とする。
【0010】
ドレープカーテンを熱により形成する装置及び方法では、カーテン襞部に達する熱風の温度をある程度までしか下げることができなかったが、襞部に向かって冷却風が送出されるので、襞部に当たる熱風の温度がより下がり、耐熱温度が比較的低いカーテンフックや縫製糸の熱劣化の防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明に係るカーテン形成装置の概略図である。懸架部10は、装置1の上部に配置された、カーテンを懸架する部分であり、カーテンに装着されたカーテンフックを掛止することができる掛止部11を備えている。掛止部11は間隔をおいて水平方向Hに配置されている。また、懸架部10は、ヒンジ(図示しない)により連結された2つの部分10a、10bで構成され、カーテンが装着された状態でカーテンの襞部を挟むように閉じることができる。連結された2つの部分10a、10bには冷却風送出部30が設けられている。
【0012】
装置1の下部には、間隔をおいて水平方向Hに配置された、2組の第1及び第2形状保持ピン21、22を備える形状保持部20を備える。第1形状保持ピン21、第2形状保持ピン22のうち少なくとも一方は奥行き方向Dに移動可能である。すなわち、第1形状保持ピン21と第2形状保持ピン22との間に、カーテンの裾部が挟まれるようにカーテンを懸架する。その後、形状保持ピン21、22の少なくとも一方を移動させて裾部を波打ち形状にして、波打ち形状を保持する。
【0013】
例えば、図2に示すように、図1において、第1形状保持ピン21よりも奥側にあった第2形状保持ピン22が、第1形状保持ピン21よりも手前に相対的に移動している。その結果、カーテンCの裾部C1が波打ち形状に保持されている。なお、形状保持ピンの移動機構は省略しているが、公知の移動機構を使用できる。形状保持ピンを1本ずつ移動させてもよく、同じ組の形状保持ピン同士を連結させて同時に移動させてもよい。また、カーテンCの高さに合わせて懸架部10が上下方向Vに移動できる機構を備えてもよい。
【0014】
図3は、波打ち形状を保持されたカーテンCを側面から見た図である。カーテンCにはカーテンフック15が装着され、カーテンフック15は掛止部11に掛止され、カーテンCが吊られている。この状態で、カーテンCの襞部C2は懸架部10a、10bの間に位置する。上述したように、形状保持ピン21、22より裾部C1が波打ち形状を保持されているが、波打ち形状は襞部C2付近まで保持されている。
【0015】
装置1の下部から熱風送出部(図示しない)により熱風41が送風され、熱風41はカーテンCに沿って襞部C2まで達する。熱風41により、カーテンCにドレープが形成される。熱風送出部は、公知の熱風送出装置で構わず、間欠的に湿気を含んだ熱風を送風し、その後乾燥した熱風を送風することもできる。また、熱風41を効率よく送出するため、カーテンCの前後及び両側面は筐体3により覆われていることが好ましい。
【0016】
水平方向Hに延びる冷却風送出部30は管状であり、水平方向Hに間隔をおいて並んだ排出孔31を備え、冷却風送出装置(図示しない)に接続されている。各冷却風送出部30の排出孔31から襞部C2に向かって冷却風43が送風され、襞部C2まで達した熱風41は、冷却風43により冷却される。その結果、カーテンフック15や襞部C2を縫製している糸の耐熱温度が低い場合であっても、熱劣化を防止することができる。
【0017】
冷却風43の温度は、カーテンフック15や襞部C2を縫製している糸の熱劣化を防止できる程度であれば、室温程度の温度でも構わない。襞部C2の長さやカーテンフック15の位置に応じて、冷却風送出部30が上下方向Vに移動できる機構を備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るカーテン形成装置の概略図である。
【図2】カーテンの裾部が波打ち形状に保持された状態を示す図である。
【図3】熱風及び冷却風の流れをカーテン側面から見た図である。
【符号の説明】
【0019】
10 懸架部
11 掛止部
15 カーテンフック
21 第1形状保持ピン
22 第2形状保持ピン
30 冷却風送出部
41 熱風
43 冷却風
C カーテン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
襞部を備えたカーテンに取り付けられたカーテンフックを懸架する懸架部と、前記カーテンの裾部を波打ち形状に保持する2組の形状保持ピンと、前記カーテンの裾部から上方に向かって熱風を送出する熱風送出部とを備えたカーテン形成装置において、
前記懸架部は、前記襞部に向かって冷却風を送出する冷却風送出部を備えたことを特徴とするカーテン形成装置。
【請求項2】
襞部を備えたカーテンを懸架し、前記カーテンの裾部を波打ち形状に保持し、前記カーテンの裾部から上方に向かって熱風を送出するカーテンを形成する方法であって、
前記熱風の送出と共に、前記襞部に向かって冷却風を送出することを特徴とするカーテンを形成する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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