説明

カーテン用ランナー

【課題】 カーテンレールの長手方向にスムーズに移動するカーテン用ランナーを提供する。
【解決手段】 カーテンレール2の各底壁5上をカーテンレール2の長手方向Xに転動する一対の転動輪9と、カーテンレール2内に配置されていて前記転動輪9を回動自在に支持する支持部11と、カーテンレール2の下方側に配置されていてカーテンが取り付けられる取付部12と、カーテンレール2の前記溝6を挿通していて支持部11と取付部12とを連結する連結部13とを備え、前記連結部13はカーテンレール2の長手方向Xに一対並設され、各連結部13に、上下方向の軸心回りに回動自在とされていてカーテンレール2の底壁5の並設方向Y内端側に接当可能とされたローラ部14を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテン用ランナーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、長手方向の溝を挟んで並設された一対の底壁を有するカーテンレールに長手方向に移動自在に支持されるカーテン用ランナーとして、各底壁上をカーテンレールの長手方向に転動する一対の転動輪と、カーテンレール内に配置されていて前記転動輪を回動自在に支持する支持部と、カーテンレールの下方側に配置されていてカーテンが取り付けられる取付部と、カーテンレールの溝を挿通して支持部と取付部とを連結する連結部とを備え、連結部が支持部及び取付部と一体形成されているものがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭60−188114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来のものにあっては、転動輪がカーテンレールの長手方向に転動することでランナーが移動するので、カーテンを開け閉めする際において、ランナーは比較的スムーズに移動するが、カーテンを手前に引っ張りながら開け閉めする場合に、連結部が傾動して該連結部の中途部がカーテンレールの底壁の並設方向内端側に接当ながらランナーがカーテンレールの長手方向に移動する場合があり、この場合、カーテンレールに対するランナーの摺動抵抗が大きくなり、ランナーの移動がスムーズに行われない場合がある。
そこで、本発明は、前記問題点を解決したカーテン用ランナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、長手方向の溝を挟んで並設された一対の底壁を有するカーテンレールに長手方向に移動自在に支持されるカーテン用ランナーであって、
各底壁上をカーテンレールの長手方向に転動する一対の転動輪と、カーテンレール内に配置されていて前記転動輪を回動自在に支持する支持部と、カーテンレールの下方側に配置されていてカーテンが取り付けられる取付部と、カーテンレールの前記溝を挿通していて支持部と取付部とを連結する連結部とを備え、前記連結部はカーテンレールの長手方向に一対並設され、各連結部に、上下方向の軸心回りに回動自在とされていてカーテンレールの底壁の並設方向内端側に接当可能とされたローラ部を備えてなることを特徴とする。
ローラ部は、連結部とは別体で且つ筒状に形成されていて、連結部に上下方向の軸心回りに回動自在に外嵌されていてもよい。
【0005】
また、各転動輪は、支持部に設けられた回転軸に外嵌されて回動自在に支持された芯部と、転動輪の外周側を構成する樹脂製の外輪部とから構成されているのがよい。
また、カーテンレールの長手方向で隣接するランナーの転動輪同志が接当するような大きさに該転動輪が形成されているのがよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ランナーが、上下方向に対してカーテンレールの長手方向に直交する方向に傾いて該カーテンレールの底壁の並設方向内端側に接当しながらカーテンレールの長手方向に移動する場合であっても、ランナーはカーテンレールの長手方向にスムーズに移動する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1〜図3において、1は樹脂製のカーテン用ランナーであり、2は該ランナー1を長手方向移動自在に支持するカーテンレールである。
以下、本実施の形態では、カーテンレール2の長手方向を前後方向Xとし、カーテンレール2の長手方向及び上下方向に直交する方向を左右方向Yとして説明する。
カーテンレール2は、建物の天井又は(取付金具を介して)壁等に取り付けられる上壁3と、この上壁3の左右両側から下方に向けて延出されていて左右方向Yで対向する左右一対の側壁4と、各側壁4の下端から左右方向Y内方(対向方向内方)に延出されていて前後方向Xの溝6を挟んで並設された左右一対の底壁5とを備えている。
【0008】
各底壁5の左右方向Y中途部には、上方に向けて延出された規制壁7が設けられ、底壁5上面の規制壁7より左右方向Y内方側がランナー1が走行するレール面8とされている。
ランナー1は、各底壁5のレール面8上を前後方向Xに転動する左右一対の転動輪9と、この左右転動輪9を左右方向Yの軸心を有する回転軸10を介して該回転軸10の軸心回りに回動自在に支持する支持部11と、カーテンレール2の下方側に配置されていてカーテンが取り付けられる取付部12と、カーテンレール2の前記溝6を挿通して支持部11と取付部12とを連結する前後一対の連結部13と、各連結部13に上下方向の軸心回りに回動自在に備えられ且つカーテンレール2の底壁5間に位置していてカーテンレール2の底壁5の左右方向Y内端側に接当可能とされた前後一対のローラ部14とを備えてなる。
【0009】
各転動輪9は、芯部15と、転動輪9の少なくとも外周側を構成する外輪部16とから主構成されている。
芯部15は、本実施の形態では、左右方向Y中央側の大径部15aと、この大径部15aより小径に形成されていて大径部15aの中心側で且つ左右両側に位置する小径部15b,15cとから形成され、該芯部15には、転動輪9の中心に位置する軸挿通孔17が左右方向Y貫通状に形成されている。
芯部15の大径部15aは金属等の硬質材料によって形成され、また、芯部15の小径部15b,15c及び外輪部16は樹脂によって形成されている。
【0010】
外輪部16は、芯部15の、小径部15b,15cより外周側を被覆するように設けられており、例えば、転動輪9を成形する成形型内に芯材15をインサートすることにより形成される。
なお、転動輪9は、外輪部16と、芯部15の小径部15b,15cとから構成されていてもよく(芯部15の大径部15aを設けなくてもよく)、この場合は、左右の小径部15b,15cは一体形成される。また、前記転動輪9の構成は、換言すると、樹脂製の本体部15b,15c,16と、該本体部15b,15c,16に埋設された金属製円板状の芯材15aとから構成され、前記本体部15b,15c,16が、外周側の外輪部16と、回転軸心側(中心側)の左右一対の中心部15b,15cとから構成されているとも言える。
【0011】
また、本実施の形態では、転動輪9の外輪部16は、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)等の比較的柔らかい・静音性に優れた樹脂材料(軟質樹脂材料)によって形成されていて、ランナー1の走行音の低減を図っている。
また、転動輪9全体を比較的柔らかい・静音性に優れた樹脂材料によって形成すると、ランナー1の走行音の低減は図れるものの、転動輪9とこれを支持する回転軸10との間の摩擦抵抗が大きくなり、転動輪9の回動性能が悪くなるという問題が生じる。
そこで、本実施の形態では、転動輪9の外周側を静音性に優れた樹脂材料によって形成すると共に、回転軸10に支持される芯部15の小径部15b,15cを比較的硬い・摩擦抵抗の小さい樹脂材料(硬質樹脂材料、外輪部16よりも硬質の樹脂材料)によって形成し、ランナー1の走行音の低減と転動輪9の回動性能の確保との両立を図っている。
【0012】
前記支持部11は、カーテンレール2内で且つ左右転動輪9間に配置されており、該支持部11の前後方向X及び上下方向の略中央部には軸支孔18が左右方向Yに貫通されている。
そして、一方の転動輪9の軸挿通孔17から支持部11の軸支孔18を経て他方の転動輪9の軸挿通孔17にわたって回転軸10を左右方向Yの軸心回りに相対回動自在に挿通することにより、左右の転動輪9が回転軸10を介して支持部11に左右方向Yの軸心回りに回動自在に支持されている。
【0013】
回転軸10は、本実施の形態では、セミチューブラリベットによって構成され、先端側に設けた中空部分10aを拡開する(かしめる)ことにより、軸挿通孔17及び軸支孔18からの抜止めがなされている。
支持部11の軸支孔18の下方側には、前後一対の開口部19が左右方向Yに貫通状に形成されている。
また、支持部11の、前記各開口部19下方側の壁部20には、支持部11の下面から各開口部19に連通するように前後一対の軸装着孔21が上下方向貫通状に形成されている。この軸装着孔21の下端側は下方に行くに従って漸次拡径するように形成されている。
【0014】
取付部12は上部12aが上下方向の軸心を有する略円板状に形成され、下部12bは、前記円板状の上部12aの前後方向中央部から下方に延出されており、該下部12bには、開口部22が前後方向に貫通状に形成されている。
また、本実施形態のランナー1にあっては、取付部12の下部12bには、前記開口部22を介してリング部材23が取り付けられており、このリング部材23に、カーテンの上縁側に取り付けられるフックを引っ掛けることによりカーテンが取り付けられる。なお、カーテンの上縁側に取り付けられるフックを、開口部22を介して取付部12の下部12bに直接引っ掛けるように構成してもよい。
【0015】
前後の連結部13は、取付部12の上面から上方に突出するように該取付部12に一体形成されており、上下方向の軸心を有する。
各連結部13は下部24が円柱状に形成されていると共に、その上部側には、下部24よりも径小の円柱状に形成されていて、支持部11の軸装着孔21に挿通される挿通部25と、該挿通部25より上方に位置していて挿通部25の軸装着孔21からの抜止めをする抜止め部26とを備えている。
抜止め部26は、下部側が、上下方向の軸心を有し且つ挿通部25及び軸装着孔21より径大の円柱状に形成され、上面が上方に行くに従って漸次縮径する円錐形状に形成されている。
【0016】
前後のローラ部14は、連結部13とは別体で且つ円筒状に形成されていて、連結部13の下部24に上下方向の軸心回りに回動自在に外嵌されている
このローラ部14を各連結部13の下部24に外嵌した状態で、連結部13上端側の抜止め部26を、支持部11の軸装着孔21に下方側から圧入させて上方側(開口部19側)へと挿通させることにより、挿通部25が軸装着孔21に上下方向の軸心回りに相対回動自在に挿通されると共に、抜止め部26が軸装着孔21周囲の前記壁部20上面に係合することにより、挿通部25の軸装着孔21からの抜止めがなされ、これによって、連結部13により支持部11と取付部12とが連結されるように構成されている。
【0017】
前記ローラ部14はカーテンレール2の底壁5間に位置し、連結部13が支持部11から垂下された状態(図1(a))では、カーテンレール2の底壁5の左右方向内端部との間に隙間がある状態とされ、連結部13が上下方向に対して左右に傾動するとカーテンレール2の底壁5の左右方向Y内端側に接当可能とされている。
前記構成のランナー1にあっては、特に、カーテンを手前に引っ張りながら(下方に行くに従って左右一側に移行する斜め方向に引っ張りながら)開け閉めすると、図1(b)に示すように、左右一方の転動輪9がレール面8から浮くと共に連結部13が傾動してローラ部14がカーテンレール2の底壁5の左右方向Y内端側に接当するが、この場合、本実施の形態のランナー1にあっては、ローラ部14が連結部13に軸心回りに回動自在に外嵌されているので、ローラ部14が回動することにより、ランナー1とカーテンレール底壁5の左右方向Y内端側とが接触する部分の抵抗が軽減され、ランナー1がカーテンレール2に対して前後方向Xにスムーズに移動する。
【0018】
また、本実施形態のランナー1にあっては、転動輪9は、支持部11,前後のローラ部14及び取付部12よりも前後に突出するような大きさに形成されており、カーテンレール2の長手方向Xで隣接するランナー1の転動輪9同志が接当するように構成されている。
したがって、カーテンを開けた時などにおいて、ランナー1同志が接触する場合、比較的柔らかい樹脂材料で形成された外輪部16同志が接当することとなり、衝突音の低減を図ることができる。
【0019】
なお、本実施形態では、支持部11,取付部12,連結部13及びローラ部14は、PE(ポリエチレン)等の樹脂材料によって形成されている。
また、前記ローラ部14は、連結部13に一体形成されていてもよく、この場合は、支持部11に対する連結部13の上部側の連結構造と同様の構造によって、各連結部13の下端側を取付部12に対して上下方向の軸心回りに回動自在に連結することにより(連結部13自体を、支持部11及び取付部12に対して上下方向の軸心回りに相対回動自在とすることにより)、ローラ部14が上下方向の軸心回りに回動自在とされるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)はカーテンレール及びランナーの正面断面図であり、(b)はランナーが傾動した状態を示す正面断面図である。
【図2】(a)はランナーの側面図であり、(b)はランナーの正面図であり、(c)はランナーの平面図である。
【図3】(a)はカーテンレール及びランナーの側面断面図であり、(b)はランナーの斜視図である。
【符号の説明】
【0021】
2 カーテンレール
5 底壁
6 溝
9 転動輪
10 回転軸
11 支持部
12 取付部
13 連結部
14 ローラ部
15 芯部
16 外輪部
X カーテンレールの長手方向(前後方向)
Y カーテンレールの長手方向及び上下方向に直交する方向(左右方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向(X)の溝(6)を挟んで並設された一対の底壁(5)を有するカーテンレール(2)に長手方向(X)に移動自在に支持されるカーテン用ランナーであって、
各底壁(5)上をカーテンレール(2)の長手方向(X)に転動する一対の転動輪(9)と、カーテンレール(2)内に配置されていて前記転動輪(9)を回動自在に支持する支持部(11)と、カーテンレール(2)の下方側に配置されていてカーテンが取り付けられる取付部(12)と、カーテンレール(2)の前記溝(6)を挿通していて支持部(11)と取付部(12)とを連結する連結部(13)とを備え、前記連結部(13)はカーテンレール(2)の長手方向(X)に一対並設され、各連結部(13)に、上下方向の軸心回りに回動自在とされていてカーテンレール(2)の底壁(5)の並設方向(Y)内端側に接当可能とされたローラ部(14)を備えてなることを特徴とするカーテン用ランナー。
【請求項2】
ローラ部(14)は、連結部(13)とは別体で且つ筒状に形成されていて、連結部(13)に上下方向の軸心回りに回動自在に外嵌されていることを特徴とする請求項1に記載のカーテン用ランナー。
【請求項3】
各転動輪(9)は、支持部(11)に設けられた回転軸(10)に外嵌されて回動自在に支持された芯部(15)と、転動輪(9)の外周側を構成する樹脂製の外輪部(16)とから構成されていることを特徴とする請求項2に記載のカーテン用ランナー。
【請求項4】
カーテンレール(2)の長手方向(X)で隣接するランナー(1)の転動輪(9)同志が接当するような大きさに該転動輪(9)が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のカーテン用ランナー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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