説明

カートリッジ、および画像形成装置

【課題】 電子写真方式の画像形成装置の感光体に電圧を印加するために用いられるブラシにおいて、製造コストが高くなること、および感光体に悪影響を与えることを防止し、感光体に良好に電圧を印加することができるようにする。
【解決手段】 基布72は、絶縁性の繊維により形成されており、基布72の一方側の面である保持面にてブラシ毛71が直立した状態になるようにブラシ毛71が植毛されており、保持面とは反対側の非保持面に導電性流体を含浸させることにより形成されたバックコート層73を備え、電極75は、基布72の非植毛領域におけるにおけるバックコート層73と接触することにより、ブラシ54に給電する。従って、このようなプリンタ1によれば、導電性流体がブラシ毛71を伝わり感光体ドラム27に付着することを防止することができるので、画像の形成に悪影響を及ぼすことを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体表面に電圧を印加するためのブラシを有するカートリッジ、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子写真方式の画像形成装置の感光体に電圧を印加するための手段として、ブラシを用いるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このブラシは、絶縁性布(基布)に、多数の導電性のブラシ毛が植毛されて形成されており、このブラシ毛の先端が感光体に接触するよう配置されている。また、基布の導電性を確保するために、この基布はブラシ毛が植毛された状態で導電性のバックコート剤が含浸されている。
【0003】
そして、このブラシは、基布のブラシ毛が植毛されている側の面(表面)において、ブラシ毛が植毛されていない部分に、電極が当てられることにより、バックコート剤を介してブラシ毛に電圧が印加される。
【特許文献1】特許第3191027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記ブラシは、基布の表面から電極を当てられるよう構成されているので、基布のブラシ毛が織り込まれていない側の面(裏面)からバックコート剤を含浸することを想定すると、基布の表面からバックコート剤が染み出すまで充分にバックコート剤を含浸させておく必要がある。
【0005】
しかしながら、基布に多量のバックコート剤を含浸させると、毛細管現象によりブラシ毛にバックコート剤が付着し、このブラシ毛に付着したバックコート剤が感光体に付着すると、画像形成に悪影響を与えるという問題点があった。
【0006】
すなわち、ブラシ毛にバックコート剤が付着すると、バックコート剤により感光体を汚染したり、電流が感光体表面にリークしたりしてしまうため、均一な画像が形成できなくなるのである。
【0007】
この問題点を解決するためには、例えば、導電性の基布を使用し、バックコート剤を用いない構成が考えられる。ところが、このようにすると、一般的に導電性の基布は高価なため、ブラシの製造コストが高くなってしまうという問題点が発生する。
【0008】
また、金属板等の導電性部材に導電性の接着剤を用いてブラシを接着し、この導電性部材を介してブラシ毛に電圧を印加することも考えられるが、導電性の接着剤は絶縁性の接着剤と比較して一般的に接着力が弱いので、導電性の接着剤を使用するとブラシが剥離し易くなってしまい、感光体とブラシとが良好に接触しなくなる虞がある。
【0009】
そこで、このような問題点を鑑み、電子写真方式の画像形成装置の感光体に電圧を印加するために用いられるブラシにおいて、このブラシの製造コストが高くなること、および感光体に悪影響を与えることを防止し、感光体に良好に電圧を印加することができるようにすることを本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するために成された請求項1に記載の発明は、感光体の表面に静電潜像を形成し、この静電潜像を現像剤により現像し、被記録媒体上に画像を形成する画像形成装置に対して脱着自在に装着可能なカートリッジであって、保持体に多数のブラシ毛が植毛され、前記感光体の表面と接触し、前記感光体の表面に電圧を印加するためのブラシと、外部電源から電源供給を受けて前記ブラシに電圧を印加する給電手段と、を備え、前記ブラシの保持体は、絶縁性の繊維により形成された布からなり、前記布の一方側の面である保持面にて前記ブラシ毛が直立した状態になるように前記ブラシ毛が植毛されており、前記保持面とは反対側の非保持面に前記ブラシ毛と接触する導電層が形成された導電部を備え、前記給電手段は、前記保持体における導電部と接触することにより、前記ブラシに給電することを特徴としている。
【0011】
従って、このようなカートリッジによれば、非保持面側に導電部が形成されているので、導電部を形成する素材がブラシ毛を伝わり感光体に付着することを防止することができる。このため、画像の形成に悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【0012】
また、給電手段はブラシ毛に良好に電圧を印加することができるので、感光体にも良好に電圧を印加することができる。
ところで導電部は、具体的には請求項2に記載のように、導電性流体を含浸させることにより形成されていてもよい。
【0013】
すなわち、ブラシ毛が植毛された保持体において、導電性流体は、非保持面側から保持面側に到達しないよう含浸させられている。
従って、このようなカートリッジによれば、導電性流体がブラシ毛を伝わり感光体に付着することを防止することができる
また、保持体は、ブラシ毛が植毛された植毛領域と、ブラシ毛が植毛されていない非植毛領域とを有する場合には、請求項3に記載のように、給電手段は、保持体の非植毛領域における導電部と接触することにより、ブラシに給電することが好ましい。
【0014】
このようなカートリッジによれば、給電手段を配置する際に、ブラシ毛が邪魔にならないので、給電手段の配置を容易に行うことができる。
次に、請求項1または請求項2に記載のカートリッジにおいて、給電手段は電極を備え、この電極を保持面側から保持体に接触させる場合には、電極と保持体の導電部とを電気的に接続する必要がある。
【0015】
このためには、例えば、請求項4に記載のように、保持体の非植毛領域に織り込まれ、保持体の導電部と通電可能な導電性繊維を備え、電極は導電性繊維と接触するよう構成してもよいし、請求項5に記載のように、保持体の非植毛領域の保持面側に導電性流体を含浸させ、固化させることにより形成された通電部を備え、電極は通電部と接触するよう構成してもよい。また或いは、請求項6に記載のように、電極は保持体の非植毛領域における保持面側から保持面とは反対側の非保持面側に向かって貫入されることにより、保持体の導電部に接触するよう構成してもよいし、特に保持体の非植毛領域が保持体の端部に位置する場合には、請求項7に記載のように、電極は、保持体の非植毛領域において、前記保持面とは反対側の非保持面を保持面側に折り返した状態で、この折り返された非保持面に接触するよう構成してもよい。
【0016】
このようなカートリッジによれば、ブラシ毛に導電性流体による悪影響を与えることなく、電極と保持体の導電部との導通を確保することができる。
特に、請求項4に記載のカートリッジによれば、一般的に高価な導電性繊維の使用量をごく僅かにすることができる。このため、電極と保持体の導通部との導通を確保しつつ、コストアップを防止することができる。
【0017】
また、請求項1または請求項2に記載のカートリッジにおいて、給電手段は、請求項8に記載のように、ブラシ毛の少なくとも一部分に直接接触する電極を備えていてもよい。
このようなカートリッジによれば、電極を保持面側から保持体に接触する場合であっても、電極と保持体の導通部とを導通する部材を設けることなくブラシ毛に電圧を印加することができる。
【0018】
さらに、請求項1〜請求項8の何れかに記載のカートリッジにおいては、請求項9に記載のように、保持体の保持面とは反対側の非保持面側を支持する支持部材と、保持体と支持部材との間に配置され、保持体および支持部材を接合する接合材と、を備えていることが望ましい。
【0019】
このようなカートリッジによれば、保持体を非保持面側にて固定支持するので、ブラシ毛全体を感光体に良好に当接させることができる。
また、請求項1または請求項2に記載のカートリッジにおいては、請求項10に記載のように、支持部材と接合材とを備え、接合材は保持体の非保持面の全面に接触するよう積層された状態で、支持部材に接触させられるよう構成してもよい。
【0020】
このようなカートリッジによれば、接合材は予め保持体に積層されており、そのまま支持部材と接触するだけで両者を接合することができるので、このブラシを備えたカートリッジの組立てを容易にすることができる。
【0021】
次に、請求項10に記載のカートリッジにおいて、給電手段に電極を備えている場合には、前述のように、この電極を保持体の保持面側から接触させてもよいが、この電極を保持体と支持部材との間に配置し、電極と非保持面(導通部)とを直接接触させてもよい。
【0022】
すなわち、請求項11に記載のように、接合材には、保持体の非保持面側において、非保持面の一部分が露出するよう切り欠かれた切欠部が形成されており、電極は、保持体の非保持面と支持部材との間、且つ接合材の切欠部が形成されている位置に配置され、保持体の非保持面に接触するよう構成されていればよい。
【0023】
従って、このようなカートリッジによれば、接合材が予め保持体に積層された状態で、保持体と支持部材とを接合する場合であっても、接合材に切欠部が形成されているので、容易に電極と支持部材との通電を行うことができる。
【0024】
さらに、請求項11に記載のカートリッジにおいて、請求項12に記載のように、支持部材には、電極が配置される位置にてこの電極を位置決めするための凹部が形成されていることが望ましい。
【0025】
このようなカートリッジによれば、電極と凹部とが係合することにより電極の位置のずれを防止することができる。また、この凹部を形成しない場合と比べ、電極が支持部材と保持体との接触面から突出する量を少なくすることができるので、電極の突出により接合材が支持部材から剥離し易くなることを防止することができる。
【0026】
また、請求項11または請求項12に記載のカートリッジにおいて、電極は、請求項13に記載のように、非保持面にて保持体を挟持するよう構成してもよいし、電極は、請求項14に記載のように、付勢力を有し、保持体を感光体側に押圧するよう構成してもよい。
【0027】
このようなカートリッジによれば、電極は保持体と密着するように作用するので、電極と保持体とを確実に接触させることができる。
さらに、請求項11〜請求項14の何れかに記載のカートリッジにおいて、電極は、請求項15に記載のように、感光体と対向する位置、且つ保持体の植毛領域における非保持面側に配置されていることが好ましい。
【0028】
このようなカートリッジによれば、保持体と支持部材との間に電極が位置する場合であっても、保持体はブラシ毛を介して感光体側に押さえられるので、保持体が支持部材から浮き上がってしまうことを防止することができる。
【0029】
また、請求項11〜請求項14の何れかに記載のカートリッジにおいては、電極は、請求項16に記載のように、感光体と対向する位置、且つ保持体の非植毛領域における非保持面側に配置されていてもよい。
【0030】
このようなカートリッジによれば、保持体と支持部材との間に電極を配置する場合であっても、植毛領域に段差ができることを防止することができる。
さらに、請求項16に記載のカートリッジにおいては、請求項17に記載のように、保持体の非植毛領域における電極が配置された位置において、保持体を保持面側から非保持面側に押圧する押圧部材を備えていることが望ましい。
【0031】
このようなカートリッジによれば、保持体は押圧部材により電極が位置する非保持面側に押圧されるので、電極と保持体とが離れてしまうことを防止することができる。
加えて、請求項17に記載のカートリッジにおいて、このカートリッジは、ブラシ、電極、および支持部材を有する第1部材と、押圧部材を有する第2部材とを備え、各部材同士を組み合わせることにより構成されている場合には、請求項18に記載のように、第2部材は、第1部材と組み合わせられるときに、押圧部材により保持体の非植毛領域を保持面側から非保持面側に押圧することが好ましい。
【0032】
このようなカートリッジによれば、各部材を組み合わせる際に、電極と保持体との密着性も維持した状態にすることができる。
また、請求項9〜請求項18に記載のカートリッジにおいて、接合材は、請求項19に記載のように、絶縁性の両面テープからなることが好ましい。
【0033】
このようなカートリッジによれば、絶縁性の両面テープは導電性の両面テープよりも一般的に接着力が強いため、より強い接着力で保持体と支持部材とを良好に接合することができる。
【0034】
さらに、請求項9〜請求項19の何れかに記載のカートリッジにおいて、支持部材は、請求項20に記載のように、絶縁性であってもよい。
このようなカートリッジによれば、支持部材が絶縁性であっても、電極から保持体の導電部まで通電を行うことができる。また、第1部材を一般的に安価な樹脂材料等で一体成形することができる。
【0035】
また、請求項4〜請求項20の何れかに記載のカートリッジにおいて、電極は、請求項21に記載のように、感光体による画像形成領域外に配置されていることが好ましい。
このようなカートリッジによれば、電極の配置により画像に影響が出ることを防止することができる。
【0036】
さらに、請求項1〜請求項21に記載のカートリッジにおいて、前記ブラシは、感光体を帯電させるための帯電装置として使用してもよいが、請求項22に記載のように、ブラシ毛に電圧が印加されることにより感光体の表面をクリーニングするクリーニングブラシ装置として使用してもよい。
【0037】
このようなカートリッジによれば、このブラシにより感光体表面をクリーニングすることができる。
また、請求項1〜請求項22の何れかに記載のカートリッジにおいては、請求項23に記載のように、感光体を備えていることが望ましい。
【0038】
このようなカートリッジによれば、カートリッジに感光体が備えられているので、感光体のメンテナンス(点検および交換)を容易に行うことができる。
次に、請求項24に記載の発明は、感光体の表面に電圧を印加するためのブラシを有するカートリッジが装着可能に構成され、前記感光体の表面に静電潜像を形成し、この静電潜像を現像剤により現像し、被記録媒体上に画像を形成する画像形成装置であって、前記カートリッジとして請求項1〜請求項23の何れかに記載のカートリッジを備え、前記カートリッジが装着されたときに、前記画像形成装置本体に備えられた電源部と前記カートリッジの給電手段とが電気的に接続され、前記画像形成装置本体から前記カートリッジに対して給電可能となることを特徴としている。
【0039】
すなわち、この画像形成装置においては、請求項1〜請求項23の何れかに記載のカートリッジが装着されたときに、カートリッジの外部且つ画像形成装置の内部(画像形成装置本体)に備えられた電源部からカートリッジに対して給電可能になる。
【0040】
従って、このような画像形成装置によれば、カートリッジに電源部を配置することなく、カートリッジに給電することができる。
次に、請求項25に記載の発明は、感光体の表面に静電潜像を形成し、この静電潜像を現像剤により現像し、被記録媒体上に画像を形成する画像形成装置であって、保持体に多数のブラシ毛が植毛され、前記感光体の表面と接触し、前記感光体の表面に電圧を印加するためのブラシと、電源部から電源供給を受けて前記ブラシに電圧を印加する給電手段と、を備え、前記ブラシの保持体は、絶縁性の繊維により形成された布からなり、前記布の一方側の面である保持面にて前記ブラシ毛が直立した状態になるように前記ブラシ毛が植毛されており、前記保持面とは反対側の非保持面に前記ブラシ毛と接触する導電層が形成された導電部を備え、前記給電手段は、前記保持体における導電部と接触することにより、前記ブラシに給電することを特徴としている。
【0041】
従って、このような画像形成装置によれば、請求項1に記載のカートリッジを用いた場合の効果と同様に、非保持面側に導電部が形成されているので、導電部を形成する素材がブラシ毛を伝わり感光体に付着することを防止することができる。このため、画像の形成に悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【0042】
また、給電手段はブラシ毛に良好に電圧を印加することができるので、感光体にも良好に電圧を印加することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
図1は、本発明の画像形成装置としてのレーザプリンタの一実施形態を示す要部側断面図である。図1において、プリンタ1(本発明でいう画像形成装置)は、本体ケーシング2内に、用紙3を給紙するためのフィーダ部4や、給紙された用紙3(本発明でいう被記録媒体)に画像を形成するための画像形成部5などを備えている。
【0044】
フィーダ部4は、本体ケーシング2内の底部に、着脱可能に装着される給紙トレイ6と、給紙トレイ6内に設けられる用紙押圧板7と、給紙トレイ6の一端側端部の上方に設けられる給紙ローラ8および分離パッド9と、給紙ローラ8に対し用紙3の搬送方向下流側に設けられる紙粉取りローラ10および11と、紙粉取りローラ10および11に対し用紙3の搬送方向下流側(以下、用紙3の搬送方向下流側または上流側を、単に、下流側または上流側という場合がある。)に設けられるレジストローラ12とを備えている。
【0045】
用紙押圧板7は、用紙3を積層状にスタック可能とされ、給紙ローラ8に対して遠い方の端部において揺動可能に支持されることによって、近い方の端部が上下方向に移動可能とされており、また、その裏側から図示しないばねによって上方向に付勢されている。そのため、用紙押圧板7は、用紙3の積層量が増えるに従って、給紙ローラ8に対して遠い方の端部を支点として、ばねの付勢力に抗して下向きに揺動される。給紙ローラ8および分離パッド9は、互いに対向状に配置され、分離パッド9の裏側に設けられるばね13によって、分離パッド9が給紙ローラ8に向かって押圧されている。
【0046】
用紙押圧板7上の最上位にある用紙3は、用紙押圧板7の裏側から図示しないばねによって給紙ローラ8に向かって押圧され、その給紙ローラ8の回転によって給紙ローラ8と分離パッド9とで挟まれた後、1枚毎に給紙される。
【0047】
給紙された用紙3は、紙粉取りローラ10および11によって、紙粉が取り除かれた後、レジストローラ12に搬送される。レジストローラ12は、互いに対向する1対のローラを備えており、用紙3を、レジスト後に、画像形成位置に送るようにしている。なお、画像形成位置は、用紙3に感光体ドラム27上のトナー像を転写する転写位置であって、本実施形態では、感光体ドラム27と転写ローラ30との接触位置である。
【0048】
なお、このフィーダ部4は、さらに、マルチパーパストレイ14と、マルチパーパストレイ14上に積層される用紙3を給紙するためのマルチパーパス側給紙ローラ15およびマルチパーパス側分離パッド25とを備えている。マルチパーパス側給紙ローラ15およびマルチパーパス側分離パッド25は、互いに対向状に設けられ、マルチパーパス側分離パッド25の裏側に設けられるばね17によって、マルチパーパス側分離パッド25がマルチパーパス側給紙ローラ15に向かって押圧されている。
【0049】
マルチパーパストレイ14上に積層される用紙3は、マルチパーパス側給紙ローラ15の回転によって、マルチパーパス側給紙ローラ15とマルチパーパス側分離パッド25とで挟まれた後、1枚毎に給紙される。
【0050】
画像形成部5は、スキャナ部16、プロセスカートリッジ26(或いは感光体カートリッジ51は、本発明でいうカートリッジに該当)、定着部18などを備えている。
スキャナ部16は、本体ケーシング2内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部、回転駆動されるポリゴンミラー19、レンズ20および21、反射鏡22、23および24などを備えている。レーザ発光部からの発光される画像データに基づくレーザビームは、鎖線で示すように、ポリゴンミラー19、レンズ20、反射鏡22および23、レンズ21、反射鏡24の順に通過あるいは反射して、プロセスカートリッジ26の後述する感光体ドラム27の表面上に高速走査にて照射される。
【0051】
プロセスカートリッジ26は、スキャナ部16の下方に設けられ、図2に示すように、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着される感光体カートリッジ51と、現像カートリッジ28とを備えている。その感光体カートリッジ51内には、感光体ドラム27、スコロトロン型帯電器29、ブラシ54および転写ローラ30が設けられている。
【0052】
感光体カートリッジ51は、上下に2分割に構成されている。すなわち、感光体カートリッジ51は、下フレーム26a(本発明でいう支持部材および第1部材)と、この下フレーム26aと別体に形成され、下フレーム26aに上方から組み合わされる上フレーム26b(本発明でいう第2部材)とを備えている。
【0053】
現像カートリッジ28は、感光体カートリッジ51に対して着脱自在に装着されており、現像ローラ31、層厚規制ブレード32、供給ローラ33およびトナーホッパ34を備えている。
【0054】
トナーホッパ34内には、現像剤として、正帯電性の非磁性1成分のトナーが収容されている。このトナーとしては、重合性単量体、たとえば、スチレンなどのスチレン系単量体や、アクリル酸、アルキル(C1〜C4)アクリレート、アルキル(C1〜C4)メタアクリレートなどのアクリル系単量体を、懸濁重合などの公知の重合方法によって共重合させることにより得られる重合トナーが使用されている。このような重合トナーは、略球状をなし、流動性が極めて良好である。なお、このようなトナーには、カーボンブラックなどの着色剤やワックスなどが配合され、流動性を向上させるために、シリカなどの外添剤が添加されている。その粒子径は、約6〜10μm程度である。
【0055】
そして、トナーホッパ34内のトナーは、トナーホッパ34の中心に設けられる回転軸35に支持されるアジテータ36により攪拌されて、トナーホッパ34の側部に開口されたトナー供給口37から放出される。なお、トナーホッパ34の側壁には、トナーの残量検知用の窓38が設けられており、回転軸35に支持されたクリーナ39によって清掃される。
【0056】
トナー供給口37の側方位置には、供給ローラ33が回転可能に設けられており、また、この供給ローラ33に対向して、現像ローラ31が回転可能に設けられている。これら供給ローラ33と現像ローラ31とは、それぞれがある程度圧縮するような状態で互いに当接されている。
【0057】
供給ローラ33は、金属製のローラ軸に、導電性の発泡材料からなるローラ部が被覆されている。
現像ローラ31は、金属製のローラ軸に、導電性のゴム材料からなるローラ部が被覆されている。より具体的には、現像ローラ31のローラ部は、カーボン微粒子などを含む導電性のウレタンゴムまたはシリコーンゴムからなるローラ層の表面に、フッ素が含有されているウレタンゴムまたはシリコーンゴムのコート層が被覆されている。なお、現像ローラ31には、現像時に、現像バイアスが印加される。
【0058】
また、現像ローラ31の近傍には、層厚規制ブレード32が設けられている。この層厚規制ブレード32は、金属の板ばね材からなるブレード本体の先端部に、絶縁性のシリコーンゴムからなる断面半円形状の押圧部40を備えており、現像ローラ31の近くにおいて現像カートリッジ28に支持されて、押圧部40がブレード本体の弾性力によって現像ローラ31上に圧接されるように設けられている。
【0059】
そして、トナー供給口37から放出されるトナーは、供給ローラ33の矢印方向(反時計方向)への回転により、現像ローラ31に供給され、この時、供給ローラ33と現像ローラ31との間で正に摩擦帯電される。現像ローラ31上に供給されたトナーは、現像ローラ31の矢印方向(反時計方向)への回転に伴なって、層厚規制ブレード32の押圧部40と現像ローラ31との間に進入し、一定厚さの薄層として現像ローラ31上に担持される。
【0060】
感光体ドラム27は、現像ローラ31の側方位置において、その現像ローラ31と対向するような状態で、下フレーム26aに、矢印方向(時計方向)へ回転可能に支持されている。
【0061】
この感光体ドラム27は、円筒状のドラム本体と、そのドラム本体の表面に形成されるポリカーボネートなどからなる感光層とを備えている。
スコロトロン型帯電器29は、感光体ドラム27の上方位置であって、感光体ドラム27の回転方向における現像ローラ31との対向位置の上流側かつ後述する転写ローラ30との対向位置の下流側において、感光体ドラム27と接触しないように、所定間隔を隔てて対向配置され、上フレーム26bに支持されている。このスコロトロン型帯電器29は、タングステンなどの帯電用ワイヤからコロナ放電を発生させる正帯電用のスコロトロン型の帯電器であり、感光体ドラム27の表面を一様に正極性に帯電させることができるように、設けられている。
【0062】
また、ブラシ54は、後で詳述するが、感光体ドラム27の側方位置(現像ローラ31と反対側の側方位置)であって、感光体ドラム27の回転方向におけるスコロトロン型帯電器29との対向位置の上流側かつ転写ローラ30との対向位置の下流側において、感光体ドラム27と対向配置され、下フレーム26aと上フレーム26bとの間に支持されている。
【0063】
このブラシ54は、先端が感光体ドラム27の表面と接触する多数のブラシ毛71を備えている。なお、クリーニング時には、ブラシ部材53に、後述する電極56(本発明でいう給電手段:図3等参照)を介して、本体ケーシング2内に設けられる図示しないクリーニング印加電源(本発明でいう電源部および外部電源)から、クリーニングバイアスが印加される。
【0064】
転写ローラ30は、感光体ドラム27の下方位置であって、感光体ドラム27の回転方向におけるブラシ54との対向位置の上流側かつ現像ローラ31との対向位置の下流側において、感光体ドラム27と対向配置され、下フレーム26aに、矢印方向(反時計方向)へ回転可能に支持されている。
【0065】
そして、感光体ドラム27の表面は、スコロトロン型帯電器29により一様に正帯電された後、スキャナ部16からのレーザビームの高速走査により露光され、画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0066】
次いで、現像ローラ31の回転により、現像ローラ31上に担持されかつ正帯電されているトナーが、感光体ドラム27に対向して接触する時に、感光体ドラム27の表面上に形成される静電潜像、すなわち、一様に正帯電されている感光体ドラム27の表面のうち、レーザビームによって露光され電位が下がっている露光部分に供給され、選択的に担持されることによって可視像化され、これによって反転現像によりトナー像が形成される。
【0067】
その後、感光体ドラム27と転写ローラ30とが、それらの間で用紙3を挟持して搬送するように回転駆動され、感光体ドラム27と転写ローラ30との間を用紙3が搬送されることにより、感光体ドラム27の表面に担持されているトナー像が用紙3上に転写される。
【0068】
なお、このプリンタ1では、転写ローラ30によって用紙3に転写された後に感光体ドラム27の表面に残存する、いわゆる残存トナーを、クリーナレス方式によって、現像ローラ31で回収するようにしている。クリーナレス方式によって残存トナーを回収すれば、残存トナーを回収するための機構および貯留部を設ける必要がなく、装置の簡略化および小型化を図ることができる。
【0069】
また、転写後に、用紙3との接触によって感光体ドラム27の表面に付着した紙粉は、その感光体ドラム27の表面が、感光体ドラム27の回転に伴って、ブラシ54のブラシ部材53と対向した時に、クリーニングバイアスの印加により、そのブラシ部材53によって電気的に吸引されると同時に絡め取られ、感光体ドラム27の表面から除去される。
【0070】
定着部18は、図1に示すように、プロセスカートリッジ26の側方位置であって、用紙搬送方向下流側に設けられ、加熱ローラ41と、加熱ローラ41と対向配置され、加熱ローラ41を押圧する押圧ローラ42と、これら加熱ローラ41および押圧ローラ42の下流側に設けられる1対の搬送ローラ43とを備えている。
【0071】
加熱ローラ41は、金属製で加熱のためのハロゲンランプを備えており、プロセスカートリッジ26において用紙3上に転写されたトナー像を、用紙3が加熱ローラ41と押圧ローラ42との間を通過する間に熱定着させ、その後、その用紙3を搬送ローラ43によって、排紙パス44に搬送するようにしている。
【0072】
排紙パス44に送られた用紙3は、排紙ローラ45に搬送され、その排紙ローラ45によって排紙トレイ46上に排紙される。
また、このプリンタ1には、用紙3の両面に画像を形成するために、反転搬送部47が設けられている。この反転搬送部47は、排紙ローラ45と、反転搬送パス48と、フラッパ49と、複数の反転搬送ローラ50とを備えている。
【0073】
排紙ローラ45は、1対のローラからなり、正回転および逆回転の切り換えができるように構成されている。この排紙ローラ45は、上記したように、排紙トレイ46上に用紙3を排紙する場合には、正方向に回転するが、用紙3を反転させる場合には、逆方向に回転する。
【0074】
反転搬送パス48は、排紙ローラ45から画像形成位置の下方に配設される複数の反転搬送ローラ50まで用紙3を搬送することができるように、上下方向に沿って設けられており、その上流側端部が、排紙ローラ45の近くに配置され、その下流側端部が、反転搬送ローラ50の近くに配置されている。
【0075】
フラッパ49は、排紙パス44と反転搬送パス48との分岐部分に臨むように、揺動可能に設けられており、図示しないソレノイドの励磁または非励磁により、排紙ローラ45によって反転された用紙3の搬送方向を、排紙パス44に向かう方向から、反転搬送パス48に向かう方向に切り換えることができるように構成されている。
【0076】
反転搬送ローラ50は、給紙トレイ6の上方において、略水平方向に複数設けられており、最も上流側の反転搬送ローラ50が、反転搬送パス48の後端部の近くに配置されるとともに、最も下流側の反転搬送ローラ50が、レジストローラ12の下方に配置されるように設けられている。
【0077】
そして、用紙3の両面に画像を形成する場合には、この反転搬送部47が、次のように動作される。すなわち、一方の面に画像が形成された用紙3が搬送ローラ43によって排紙パス44から排紙ローラ45に搬送されてくると、排紙ローラ45は、用紙3を挟んだ状態で正回転して、この用紙3を一旦外側(排紙トレイ46側)に向けて搬送し、用紙3の大部分が外側に送られ、用紙3の後端が排紙ローラ45に挟まれた時に、正回転を停止する。次いで、排紙ローラ45は、逆回転するとともに、フラッパ49が、用紙3が反転搬送パス48に搬送されるように、搬送方向を切り換えて、用紙3を前後逆向きの状態で反転搬送パス48に搬送するようにする。なお、フラッパ49は、用紙3の搬送が終了すると、元の状態、すなわち、搬送ローラ43から送られる用紙3を排紙ローラ45に送る状態に切り換えられる。
【0078】
次いで、反転搬送パス48に逆向きに搬送された用紙3は、反転搬送ローラ50に搬送され、この反転搬送ローラ50から、上方向に反転されて、レジストローラ12に送られる。レジストローラ12に搬送された用紙3は、裏返しの状態で、再び、レジスト後に、画像形成位置に向けて送られ、これによって、用紙3の両面に画像が形成される。
【0079】
次に、ブラシ54について説明する。図3はブラシ54を示す説明図である。
図3(a)に示すように、ブラシ54は、絶縁性の織布からなる基布72(本発明でいう保持体)と、多数のブラシ毛71とを備えている。このブラシ54は、基布72に多数のブラシ毛71が直立した状態になるように植毛されている。そして、この基布72には、ブラシ毛71が植毛された保持面とは反対側の非保持面側から、導電性流体が含浸され、その後固化されることによりバックコート層73(本発明でいう導電部)が形成されている。ここで、この基布72に含浸される導電性流体は、例えば、カーボンを含有したアクリルエマルジョンやSBR(styrene-butadiene rubber)からなり、基布72の保持面側には到達しないよう基布72に含浸される量が調節されている。このため、基布72には、導電性流体が含浸されていない層と、導電性流体が含浸された層(バックコート層73)とを有することとなる。また、ブラシ毛71は、保持面の全面に植毛されているわけではなく、ブラシ54の長手方向の端部(図3(a)では手前側の端部)は、ブラシ毛71が植毛されていない非植毛領域とされている。
【0080】
また、ブラシ54は前述のプロセスカートリッジ26の下フレーム26aに、両面テープ74(本発明でいう接合材)により取り付けられている。
この両面テープ74は、絶縁性の接着剤が塗布されており、予め基布72側に片面が接着された状態で、下フレーム26aの所定の位置に接合されることにより、ブラシ54と下フレーム26aとを接着している。
【0081】
そして、この状態で、基布72の保持面側に接触する電極75が配置されている。この電極75は、ブラシ54付近において、基布72が下フレーム26aと密着するよう保持面側から非保持面側に向かって押圧するよう設定されている。また、この電極75は、一端が基布72と接触すると共に、他端(接触部75c)が下フレーム26aの外部に突出するよう構成されている。
【0082】
つまり、プロセスカートリッジ26には、クリーニング印加電源を持たないため、電極75は本体ケーシング2に備えられたクリーニング印加電源から電力の供給を受けられるように、下フレーム26aの外部に突出させられているのである。この構成により、プロセスカートリッジ26がプリンタ1に正しく装着されると、プリンタ1本体側の電源部から延びる電極(図示省略)と、プロセスカートリッジ26に設けられた電極75とが接触部75cにて接触し、電極75に電圧が印加されることになる。
【0083】
なお、下フレーム26aは、電極75が配置される位置にて切欠部80が形成されており、電極75と切欠部80とが係合することにより、電極75の位置がずれないよう構成されている。
【0084】
ところで、電極75に電圧が印加されたとしても、基布72は絶縁性であるため、基布72の保持面側からバックコート層73までの通電を行なわなければ、ブラシ毛71に電圧を印加することができない。
【0085】
このため、本実施形態においては、例えば、図3(b)に示すようにしている。すなわち、ブラシ毛71と同様の導電性繊維を部分的に非植毛領域においても基布72に織り込むよう構成している。
【0086】
ここで、基布72にブラシ毛71を植毛する際には、例えば、図4に示すように、2つの基布72を所定の距離を隔てて対向配置した状態において、ブラシ毛71を形成する複数のパイル76を2つの基布72の間で縫い込む。そして、このパイル76を非植毛領域において、一方の基布72にのみにそれぞれ縫い込む。このようにパイル76を基布72に縫い込んだ後に、中央で切断することにより、図3(b)に示すようなブラシ54が2つ形成される。
【0087】
以上のように詳述したプリンタ1においては、基布72は、絶縁性の繊維により形成されており、基布72の一方側の面である保持面にてブラシ毛71が直立した状態になるようにブラシ毛71が植毛されており、保持面とは反対側の非保持面に導電性流体を含浸させることにより形成されたバックコート層73を備え、電極75は、基布72の非植毛領域におけるにおけるバックコート層73と接触することにより、ブラシ54に給電する。
【0088】
また、基布72の非保持面側を支持する絶縁性の下フレーム26aと、基布72と下フレーム26aとは、これらの間に配置された絶縁性の両面テープ74により接合されている。そして、電極75は、感光体ドラム27による画像形成領域外に配置されている。
【0089】
従って、このようなプリンタ1によれば、導電性流体がブラシ毛71を伝わり感光体ドラム27に付着することを防止することができるので、画像の形成に悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【0090】
また、電極75はブラシ毛71に良好に電圧を印加することができるので、感光体ドラム27にも良好に電圧を印加することができる。
さらに、電極75を配置する際に、ブラシ毛71が邪魔にならないので、電極75の配置を容易に行うことができる。
【0091】
また、絶縁性の両面テープ74により基布72を非保持面側の全面を固定支持するので、ブラシ毛71全体を感光体ドラム27に良好に当接させることができる。特に、絶縁性の両面テープは導電性の両面テープよりも一般的に接着力が強いため、より強い接着力で基布72と下フレーム26aとを良好に接合することができる。
【0092】
さらに、下フレーム26aは導電性である必要がないので、下フレーム26aを一般的に安価な樹脂材料等で一体成形することができる。
ところで、プリンタ1において、ブラシ54は、ブラシ毛71に電圧が印加されることにより感光体ドラム27の表面をクリーニングするクリーニングブラシ54装置として使用されているので、このブラシ54により感光体ドラム27表面をクリーニングすることができる。
【0093】
また、ブラシ毛71を植毛する工程で非植毛領域にもパイル76を織り込むので、パイル76を織り込む工程を新たに設ける必要がない。
なお、本発明の実施の形態は、上記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0094】
例えば、本実施形態においては、電極75とバックコート層73とを導通するために、ブラシ毛71を織り込む工程において、パイル76を非植毛領域に織り込むよう構成したが、特にこのように構成する必要はなく、パイル76と同様または異なる導電性繊維を、ブラシ毛71を織り込む工程とは別の工程にて織り込むよう構成してもよい。
【0095】
具体的には、図3(c)に示すように、基布72において電極75と接触する領域およびその近傍のみに導電性繊維を織り込むようにすればよい。
このようにすれば、導電性繊維の使用量をより少なくすることができる。
【0096】
また、図5(a)に示すように、基布72の非植毛領域において、導電性流体を保持面側から含浸させ、固化することにより、通電部77を形成し、この通電部77により電極75からバックコート層73まで導通するようにしてもよい。
【0097】
さらに、図5(b)に示すように、非植毛領域においてバックコート層73が保持面側に来るよう折り返し、この折り返されたバックコート層73に電極75を接触するよう構成してもよい。
【0098】
加えて、図6(a)示すように、先端が鋭利な先端部75aを有する電極75を使用し、この先端部75aを基布72に貫入させることにより、電極75の先端部75aをバックコート層73に直接接触させるよう構成してもよい。また、図6(a)に示す電極75は、基布72に貫入される先端部75aを1つだけ有するものであるが、2つ以上の先端部75aを有するものであってもよい。
【0099】
特にこの場合には、複数の先端部75aがバックコート層73と接触することになるので、電極75からブラシ毛71に対して、より安定した電力の供給を行うことができる。
また、図6(b)に示すように、電極75をブラシ毛71の一部分に直接接触させるようにしてもよい。
【0100】
このようにすれば、感光体ドラム27に導電性流体による悪影響を与えることなく、電極75が接触しているブラシ毛71およびバックコート層73を介して、電極75から電極75が接触していないブラシ毛71に導通することができる。
【0101】
ここで、本実施形態においては、基布72の保持面側から電極75を接触させる構成としたが、特にこのように構成する必要はなく、基布72の非保持面側に直接電極75を接触するよう構成してもよい。
【0102】
具体的には、例えば、図7(a)に示すように、予め下フレーム26aおよび両面テープ74において電極75を配置する部分については、バックコート層73(非保持面)の一部分が露出するよう切欠部81を形成しておき、図7(b)に示すように、この切欠部81に電極75を配置する。なお、図7(b)に示すブラシ54においては、基布72の植毛領域、および非植毛領域の2箇所に電極75が配置されている。
【0103】
また、この電極75は、図7(c)に示すように、下フレーム26aおよび両面テープ74の厚みの分よりも、僅かに電極75の厚みが大きくなるよう先端部を曲げておくとさらによい。すなわち、電極75によってブラシ54を感光体ドラム27に押圧する構成にするとよりよい。
【0104】
また、下フレーム26aは、図7(b)に示すように、ブラシ54の非植毛領域と感光体ドラム27との間に、押圧部26c(本発明でいう押圧部材)を備えている。この押圧部26cは、基布72の保持面と接触し、電極75により基布72が感光体ドラム27の方向に押圧された場合に、基布72と接触することにより、電極75による押圧力を受けるよう設定されている。
【0105】
従って、このようなブラシ54が搭載されたプリンタ1であっても、上述の効果と同様の効果が得られる。
また、上述の効果に加えて、特にこのプリンタ1においては、両面テープ74は予め基布72に積層されており、そのまま下フレーム26aと接触するだけで両者を接合することができるので、このブラシ54を備えたカートリッジの組立てを容易にすることができる。
【0106】
また、両面テープ74に切欠部81が形成されているので、容易に電極75と下フレーム26aとの通電を行うことができる。
さらに、電極75がブラシ54を感光体ドラム27に押圧することにより、電極75は基布72と密着するように作用し、基布72は押圧部26cにより電極75が位置する非保持面側に押圧されるので、電極75と基布72とは密着し、電極75と基布72とが剥離してしまうことを防止することができる。
【0107】
また、図7に示すブラシ54においては、下フレーム26aに備えられた押圧部26cを用いて電極75による押圧力を受けるよう構成したが、図8に示すように、上フレーム26bに押圧部26d(本発明でいう押圧部材)を備えておき、各フレームを組み合わせることにより上フレーム26b設けられた押圧部26dを用いて電極75による押圧力を受けるよう構成してもよい。また、プリンタ1において、電極75は、感光体ドラム27と対向する位置、且つ基布72の非植毛領域における非保持面側に配置されている。
【0108】
従って、このプリンタ1によれば、各フレームを組み合わせる際に、電極75と基布72との密着性も維持した状態にすることができる。
また、基布72と下フレーム26aとの間に電極75を配置する場合であっても、植毛領域に段差ができることを防止することができる。
【0109】
さらに、図7および図8に示す実施形態においては、両面テープ74だけでなく、下フレーム26aの電極75が配置される部分についても切欠部81を設けたが、図9(a)に示すように、両面テープ74のみに切欠部81を形成し、下フレーム26aには切欠部81を形成しないようにしてもよい。
【0110】
この場合には、図9(b)に示すように、下フレーム26aの両面テープ74と接触する面における電極75が配置される部分に、電極75を位置決めするための凹部82を形成しておくとよい。
【0111】
従って、このようなプリンタ1によれば、電極75と凹部82とが係合することにより電極75の位置のずれを防止することができる。また、この凹部82を形成しない場合と比べ、電極75が下フレーム26aと基布72との接触面から突出する量を少なくすることができるので、電極75の突出により両面テープ74が下フレーム26aから剥離し易くなることを防止することができる。
【0112】
また、上記のように、電極75を基布72のバックコート層73に接触する場合であっても、電極75は、図10(a)に示すように、基布72と下フレーム26aとを挟持するように構成してもよい。また、下フレーム26aに切欠部81が形成されている場合には、電極75に、下フレーム26aおよび両面テープ74の厚みの分だけの段差部75bを形成しておけばよい。
【0113】
このようなプリンタ1であっても、上記プリンタ1と同様の効果が得られる。
また、上記の各実施形態において、ブラシ54は、感光体ドラム27の表面をクリーニングするためのクリーニングブラシとして使用したが、例えば、感光体ドラム27を帯電させるための帯電用ブラシとして使用してもよい。
【0114】
さらに、上記の実施形態において、プロセスカートリッジ26は、感光体カートリッジ51と、現像カートリッジ28とに分離可能に構成されているが、特にこの構成に限らず、感光体カートリッジ51と現像カートリッジ28とが一体に構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】レーザプリンタを示す要部側断面図である。
【図2】プロセスカートリッジを示す側断面図である。
【図3】ブラシと電極との接触状態を示す説明図である。
【図4】ブラシの製法を示す説明図である。
【図5】変形例のブラシと電極との接触状態を示す説明図である(電極を保持面側から接触させるもの)。
【図6】変形例のブラシと電極との接触状態を示す説明図である(電極を保持面側から接触させるもの)。
【図7】変形例のブラシと電極との接触状態を示す説明図である(電極を非保持面側から接触させるもの)。
【図8】変形例のブラシと電極との接触状態を示す説明図である(電極を非保持面側から接触させるもの)。
【図9】変形例のブラシと電極との接触状態を示す説明図である(電極を非保持面側から接触させるもの)。
【図10】変形例のブラシと電極との接触状態を示す説明図である(電極を非保持面側から接触させるもの)。
【符号の説明】
【0116】
1…プリンタ、2…本体ケーシング、3…用紙、4…フィーダ部、5…画像形成部、16…スキャナ部、18…定着部、26…プロセスカートリッジ、26a…下フレーム、26b…上フレーム、26c,26d…押圧部、27…感光体ドラム、28…現像カートリッジ、29…スコロトロン型帯電器、30…転写ローラ、31…現像ローラ、51…感光体カートリッジ、53…ブラシ部材、54…ブラシ、55…ブラシホルダ、56…電極、71…ブラシ毛、72…基布、73…バックコート層、74…両面テープ、75…電極、75a…先端部、75b…段差部、75c…接触部、76…パイル、77…通電部、80,81…切欠部、82…凹部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体の表面に静電潜像を形成し、この静電潜像を現像剤により現像し、被記録媒体上に画像を形成する画像形成装置に対して脱着自在に装着可能なカートリッジであって、
保持体に多数のブラシ毛が植毛され、前記感光体の表面と接触し、前記感光体の表面に電圧を印加するためのブラシと、
外部電源から電源供給を受けて前記ブラシに電圧を印加する給電手段と、
を備え、
前記ブラシの保持体は、絶縁性の繊維により形成された布からなり、前記布の一方側の面である保持面にて前記ブラシ毛が直立した状態になるように前記ブラシ毛が植毛されており、前記保持面とは反対側の非保持面に前記ブラシ毛と接触する導電層が形成された導電部を備え、
前記給電手段は、前記保持体における導電部と接触することにより、前記ブラシに給電すること
を特徴とするカートリッジ。
【請求項2】
前記導電部は導電性流体を含浸させることにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記保持体は、前記ブラシ毛が植毛された植毛領域と、前記ブラシ毛が植毛されていない非植毛領域とを有し、
前記給電手段は、前記保持体の非植毛領域における導電部と接触することにより、前記ブラシに給電すること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記保持体の非植毛領域に織り込まれ、前記保持体の導電部と通電可能な導電性繊維を備え、
前記給電手段は、前記導電性繊維と接触する電極を備えたこと
を特徴とする請求項3に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記保持体の非植毛領域の保持面側に導電性流体を含浸させ、固化させることにより形成された通電部を備え、
前記給電手段は、前記通電部と接触する電極を備えたこと
を特徴とする請求項3に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記給電手段は、前記保持体の非植毛領域における保持面側から前記保持面とは反対側の非保持面側に向かって貫入されることで前記保持体の導電部に接触する電極を備えたことを特徴とする請求項3に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記保持体の非植毛領域は、前記保持体の端部に位置し、
前記給電手段は、前記保持体の非植毛領域において、前記保持面とは反対側の非保持面を保持面側に折り返した状態で、この折り返された非保持面に接触する電極を備えたこと
を特徴とする請求項3に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記給電手段は、前記ブラシ毛の少なくとも一部分に直接接触する電極を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記保持体の保持面とは反対側の非保持面側を支持する支持部材と、
前記保持体と支持部材との間に配置され、前記保持体および前記支持部材を接合する接合材と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項8の何れかに記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記保持体の保持面とは反対側の非保持面側を支持する支持部材と、
前記保持体の非保持面の全面に接触するよう積層された状態で、前記支持部材に接触させられることにより、前記保持体および前記支持部材を接合する接合材と、
を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記接合材には、前記保持体の非保持面側において、前記非保持面の一部分が露出するよう切り欠かれた切欠部が形成されており、
前記給電手段は、前記保持体の非保持面と前記支持部材との間、且つ前記接合材の切欠部が形成されている位置に配置され、前記保持体の非保持面に接触する電極を備えていること
を特徴とする請求項10に記載のカートリッジ。
【請求項12】
前記支持部材には、前記電極が配置される位置にてこの電極を位置決めするための凹部が形成されていること
を特徴とする請求項11に記載のカートリッジ。
【請求項13】
前記電極は前記非保持面にて保持体を挟持することを特徴とする請求項11または請求項12に記載のカートリッジ。
【請求項14】
前記電極は、前記保持体を前記感光体側に押圧する付勢力を有することを特徴とする請求項11または請求項12に記載のカートリッジ。
【請求項15】
前記保持体は、前記ブラシ毛が植毛された植毛領域と、前記ブラシ毛が植毛されていない非植毛領域とを有し、
前記電極は、感光体と対向する位置、且つ前記保持体の植毛領域における非保持面側に配置されていること
を特徴とする請求項11〜請求項14の何れかに記載のカートリッジ。
【請求項16】
前記保持体は、前記ブラシ毛が植毛された植毛領域と、前記ブラシ毛が植毛されていない非植毛領域とを有し、
前記電極は、感光体と対向する位置、且つ前記保持体の非植毛領域における非保持面側に配置されていること
を特徴とする請求項請求項11〜請求項14の何れかに記載のカートリッジ。
【請求項17】
前記保持体の非植毛領域における前記電極が配置された位置において、前記保持体を前記保持面側から前記非保持面側に押圧する押圧部材を備えたことを特徴とする請求項16に記載のカートリッジ。
【請求項18】
前記カートリッジは、前記ブラシ、前記電極、および前記支持部材を有する第1部材と、前記押圧部材を有する第2部材とを備え、前記各部材同士を組み合わせることにより構成されており、
前記第2部材は、前記第1部材と組み合わせられるときに、前記押圧部材により前記保持体の非植毛領域を前記保持面側から前記非保持面側に押圧すること
を特徴とする請求項17に記載のカートリッジ。
【請求項19】
前記接合材は、絶縁性の両面テープからなることを特徴とする請求項9〜請求項18の何れかに記載のカートリッジ。
【請求項20】
前記支持部材は絶縁性であることを特徴とする請求項9〜請求項19の何れかに記載のカートリッジ。
【請求項21】
前記電極は、前記感光体による画像形成領域外に配置されていることを特徴とする請求項4〜請求項20の何れかに記載のカートリッジ。
【請求項22】
前記ブラシは、前記ブラシ毛に電圧が印加されることにより前記感光体の表面をクリーニングするクリーニングブラシ装置として使用されることを特徴とする請求項1〜請求項21の何れかに記載のカートリッジ。
【請求項23】
前記カートリッジは、少なくとも前記感光体を備えていることを特徴とする請求項1〜請求項22の何れかに記載のカートリッジ。
【請求項24】
感光体の表面に電圧を印加するためのブラシを有するカートリッジを装着可能に構成され、前記感光体の表面に静電潜像を形成し、この静電潜像を現像剤により現像し、被記録媒体上に画像を形成する画像形成装置であって、
前記カートリッジとして請求項1〜請求項23の何れかに記載のカートリッジを備え、
前記カートリッジが装着されたときに、前記画像形成装置本体に備えられた電源部と前記カートリッジの給電手段とが電気的に接続され、前記画像形成装置本体から前記カートリッジに対して給電可能となることを特徴とする画像形成装置。
【請求項25】
感光体の表面に静電潜像を形成し、この静電潜像を現像剤により現像し、被記録媒体上に画像を形成する画像形成装置であって、
保持体に多数のブラシ毛が植毛され、前記感光体の表面と接触し、前記感光体の表面に電圧を印加するためのブラシと、
電源部から電源供給を受けて前記ブラシに電圧を印加する給電手段と、
を備え、
前記ブラシの保持体は、絶縁性の繊維により形成された布からなり、前記布の一方側の面である保持面にて前記ブラシ毛が直立した状態になるように前記ブラシ毛が植毛されており、前記保持面とは反対側の非保持面に前記ブラシ毛と接触する導電層が形成された導電部を備え、
前記給電手段は、前記保持体における導電部と接触することにより、前記ブラシに給電すること
を特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−10768(P2006−10768A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183861(P2004−183861)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】