説明

カートリッジの液体充填方法および液体充填装置

【課題】液体噴射装置における使用後のカートリッジに対して液体を効果的に再充填する
カートリッジの液体再充填方法および液体再充填装置を提供する。
【解決手段】本発明のカートリッジの液体再充填方法は、液体噴射装置における使用後の
カートリッジ1に対してインクを再充填する液体再充填方法であって、使用後のカートリ
ッジ1に対して新品のインクを注入するインク注入工程と、インク注入工程でインクを注
入した後、カートリッジ1が液体噴射装置に対してインクを供給するインク供給口4を介
してカートリッジ1内から所定量のインクを吸引するインク吸引工程とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル開口から液滴を噴射する液体噴射ヘッドを有するプリンタ,ディスプレー製造装置,電極形成装置、あるいはバイオチップ製造装置等の液体噴射装置に装着される、特に液体を消費した使用後のカートリッジに対して液体を充するカートリッジの液体充填方法および液体充填装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体をノズル開口から噴射する液体噴射ヘッドを有する液体噴射装置は、種々な液体を対象にしたものが知られているが、そのなかでも代表的なものとして、インクジェット式記録装置に装着される記録ヘッドをあげることができる。そこで、上記インクジェット式記録装置を例にとって説明する。
【0003】
インクジェット式記録装置では、インク等の液体を吐出して文字や図形等の画像を記録する液体噴射ヘッドと液体噴射ヘッドに供給するインク等の液体を収容保持するカートリッジとを備えており、通常、カートリッジは交換可能とするために着脱自在な構造になっている。カートリッジ内の液体が使用され空になって印字記録ができなくなると、その空になった使用後カートリッジを、インクが入った新しいカートリッジと交換することによって印字記録を再開することができる。
【0004】
近年、上記使用後カートリッジを一度の使用で廃棄することは廃棄物の増加や環境負荷等の問題により好ましいことではないため、使用後カートリッジにインクを再び注入して、その使用後カートリッジを再利用する試みがなされている。
【0005】
上記のような使用後カートリッジを再利用するために、インク袋に残留しているインクを排出し、インク袋に規定量のインクを注入するインクジェット式記録装置用インクカートリッジの再充填方法が提案されている(例えば、下記の特許文献1参照)。この特許文献1に示す方法は、減圧室内で押圧板によりインク袋を押圧し、インク袋に残留しているインクを排出してからインク袋に規定量のインクを注入するようにしている。
【0006】
また、空になったカートリッジに再充填用のインクを補充するインク補充方法が提案されている(例えば、下記の特許文献2参照)。この特許文献2に示す方法は、吸引手段によりインクタンク内を吸引しながら補充手段によるインクの補充を行うようにしている。
【特許文献1】特開平10−193635号公報
【特許文献2】特開平11−207990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に示す方法では、減圧室内で押圧板によりインク袋を押圧しインク袋に残留しているインクを排出してから、インク袋に規定量のインクを注入するようにしている。このため、インク袋でなく、一定形状を有するハードケース容器のカートリッジ等には適用することができない。また、減圧室内に昇降可能な押圧板を配置した装置によりインク袋からインクを排出するため、複雑な装置が必要になるとともに、工程も複雑化するため、リサイクルコスト等が高くなるという問題がある。
【0008】
また、上記特許文献2に示すような方法では、カートリッジ(インクタンク)内のインクを吸引しながらインクの補充を行うようにしているため、上記カートリッジ内に脱気度が低下したり、乾燥によって粘度が上昇したりした品質劣化インクが多く残って補充されるインクと混じったり、補充したインクに多くの気泡が含まれたりしてしまい、再利用時のインク品質が十分確保できない可能性が高いという問題がある。反対に、残インクを十分に排出しようとすると、補充されたインクまで残インクと混ざり合って吸引されてしまう可能性もあり、インクの歩留まりが低下してしまう。このため、再生カートリッジのインク品質とインク歩留まりとの双方を確保するのが困難で、満足のいくリサイクル方法ではなかった。さらに、プリンタ等にインクを供給する供給口からインクを注入するうえ、インクがカートリッジ内のインク保持部材に保持されていることから、吸引時や注入時のインクの流れが使用時のインクの流れと逆方向となり、インクが泡立ってカートリッジ内に気泡として残ってしまい、再使用時に噴射ヘッドの噴射不良を引き起こす原因となる可能性があった。
【0009】
このように、上記文献1および2には、リサイクル品について内部の気泡を除去し、リサイクル品を使用する際の液体噴射ヘッドの噴射不良を防止することに関しては全く言及
されておらず、その工夫もされていないのが実情である。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、液体噴射装置に装着されるカートリッジに対して液体を効果的に充填し、液体噴射ヘッドの噴射不良を防止するカートリッジの液体充填方法および液体充填装置の提供を目的とする。特に、液体噴射装置における使用後のカートリッジに対して液体を効果的に再充填し、リサイクル品を使用する際の液体噴射ヘッドの噴射不良を防止するカートリッジの液体充填方法および液体充填装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明のカートリッジの液体充填方法は、液体噴射装置に装着されるカートリッジに対して液体を充填する液体充填方法であって、上記カートリッジに対して液体を注入する液体注入工程と、上記液体注入工程で液体を注入した後、上記カートリッジが液体噴射装置に対して液体を供給する液体供給口を介してカートリッジ内から所定量の液体を吸引する吸引工程とを備えたことを要旨とする。
【0012】
また、上記目的を達成するため、本発明のカートリッジの液体充填装置は、液体噴射装置に装着されるカートリッジに対して液体を充填する液体充填装置であって、上記カートリッジに対して液体を注入する液体注入手段と、上記液体注入工程で液体を注入した後、上記カートリッジが液体噴射装置に対して液体を供給する液体供給口を介してカートリッジ内から所定量の液体を吸引する吸引手段とを備えたことを要旨とする。
【0013】
すなわち、本発明のカートリッジの液体充填方法および液体充填装置によれば、上記使用後のカートリッジに対して液体を注入した後、上記カートリッジが液体噴射装置に対して液体を供給する液体供給口を介してカートリッジ内から所定量の液体を吸引する。
【0014】
したがって、液体の注入後に液体供給口を介してカートリッジ内から所定量の液体を吸引することにより、カートリッジ内の気泡残りを防止することができる。また、最も気泡残りが噴射ヘッドの噴射性能に与える影響が大きい液体供給口付近の気泡を確実に取り除くことができ、特に再充填後のカートリッジにおいて液体噴射装置の噴射特性を新品のカートリッジと同様に確保することができる。また、気泡を取り除くにあたって、カートリッジの外部から外圧を加えないため、カートリッジの傷みを防止し、カートリッジのリサイクル回数が向上する。このように、特に使用後のカートリッジに適用した場合には、簡単な工程で使用後のカートリッジを効果的にリサイクルできるため、リサイクルコストがあまりかからず、質の良い使用後カートリッジをユーザに対して提供することができる。そして、一度使ったカートリッジに液体を注入することで、カートリッジを再利用することができ、廃棄物削減による環境負荷の低減、部品の再利用によるコストダウンが図れ、ユーザに安価なカートリッジを提供できるのである。
【0015】
本発明において、上記カートリッジは、上記液体供給口に対する液体の供給圧力を制御する圧力制御弁を有し、当該圧力制御弁の圧力制御により内部に液体を保持するタイプのカートリッジである場合には、カートリッジ内の液体貯留室内に液体を保持する吸収材等が存在しないため、液体の吸引および抜き取り、注入の際のカートリッジ内で液体の移動がスムーズで、液体の再充填を容易に行うことができ、本発明の効果が顕著であり効果的である。
【0016】
本発明において、上記吸引工程において、少なくとも上記カートリッジ内の液体供給路のうち上記圧力制御弁から液体供給口までの流路の容積に対応する量の液体を吸引する場合には、上記圧力制御弁から液体供給口までの流路の気泡を確実に取り除くことができる。仮に圧力制御弁よりも上流側に気泡が残ったとしても、圧力制御弁より下流側に気泡が浸入することはないため、噴射トラブルは確実に防止できる。
【0017】
本発明において、上記吸引工程は、吸引工程において液体供給口から吸引する液体量に対応する容量の液体保持部に対し、液体を吸引保持することにより行う場合には、液体供給口から液体保持部の容量だけ液体を吸引することができるため、常に一定の容量の液体を安定して吸引することができ、過剰吸引による液体のロスや吸引不足による気泡残りを確実に防止できる。
【0018】
本発明において、上記吸引工程は、上記液体保持部の上流側に設けた開閉弁を閉弁して上記液体保持部に所定の負圧を蓄積した状態から、上記開閉弁を開弁することにより行う場合には、上記液体供給口付近に付与される負圧は短時間のうちに急激に上昇する。したがって、上記カートリッジ内の液体の吸引流速が急激に高い流速レベルに達し、上記液体供給口から液体を一気に排出することができる。これにより、カートリッジに充填された気泡を含む液体も強力に吸引され、気泡を含まない液体が液体供給口等に満たされて、液体噴射装置から確実な液体噴射が得られる。このように、吸引力を特別に高めることなく、上記液体供給口付近に強力な負圧を付与することができるため、簡素な設備で確実に気泡や液体を吸引することができる。
【0019】
本発明において、上記液体注入工程に先立って上記使用後のカートリッジ内に残存した液体を、上記液体供給口から抜き取る液体抜取工程を備えた場合には、使用後に残存した液体を抜き取ってから注入するため、品質劣化した液体の影響を少なくすることができる。また、上記液体供給口から上記カートリッジ内に残存した液体を抜き取るため、抜き取り時の液体の流れがカートリッジの使用時と同じになり、無理なくスムーズに抜き取りが行える。また、液体噴射装置側の装置と同じ構造の抜取治具を用いることができ、部品が共通化できて装置のコストを低減し、カートリッジの使用時と同様にスムーズに液体を抜き取ることができる。
【0020】
本発明において、上記液体注入工程において、上記液体抜取工程で液体を抜き取ったカートリッジに対し、上記液体供給口とは別の第2の開口から新品の液体を注入する場合には、気泡を取り込むことなく短時間で効率的に液体の注入を行うことができる。
【0021】
本発明において、上記第2の開口は、上記圧力制御弁より上流側のインク貯留室に連通する開口である場合には、カートリッジ使用時における液体の流れと同じ流れとなるよう液体の注入を行うこととなるため、気泡を巻き込んだり残したりすることを防止しながらスムーズに液体を注入できる。
【0022】
本発明において、上記液体注入工程において、上記液体抜取工程で液体を抜き取った後のカートリッジ内をあらかじめ600Pa以上3800Pa以下に減圧した状態で、当該カートリッジに対して新品の液体を注入する場合には、カートリッジ内を十分に空気を除去した状態から液体を注入するため、カートリッジ内に気泡を取り込むことなくスムーズに液体を満たすことができる。特に、圧力制御弁内蔵タイプのカートリッジにおいては、カートリッジ内に空気があると圧力制御弁を空気が通過する抵抗が、充填性に悪影響を及ぼしたり気泡を残したりするため、効果的である。また、必要以上に減圧しすぎないため、カートリッジ内に微妙に残った液体が蒸発して固化したり、激しく泡立って充填性に悪影響を及ぼしたりすることを防止できる。
【0023】
本発明のカートリッジの液体再充填方法により液体が再充填されカートリッジによれば、液体が注入された後、液体噴射装置に対して液体を供給する液体供給口を介してカートリッジ内から所定量の液体が吸引されることにより再充填がなされる。したがって、液体の注入後に液体供給口を介してカートリッジ内から所定量の液体を吸引することにより、結果として内部に気泡の少ない液体が再充填されたカートリッジを提供することができる。また、最も気泡残りが噴射ヘッドの噴射性能に与える影響が大きい液体供給口付近の気泡が確実に取り除かれるため、液体噴射装置の噴射特性が新品のカートリッジと同様な再充填されたカートリッジとすることができる。また、気泡を取り除くにあたって、カートリッジの外部から外圧を加えないため、カートリッジに傷みがなく、カートリッジのリサイクル回数が向上する。このように、簡単な工程で使用後のカートリッジを効果的にリサイクルできるため、リサイクルコストがあまりかからず、質の良い使用後カートリッジをユーザに対して提供することができる。そして、一度使ったカートリッジに液体を注入することで、カートリッジを再利用することができ、廃棄物削減による環境負荷の低減、部品の再利用によるコストダウンが図れ、ユーザに安価なカートリッジを提供できるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0025】
なお、以下の説明では、液体噴射装置の一種であるインクジェット式記録装置(以下、「記録装置」という)を例に挙げる。この記録装置は、ノズル開口から吐出させた液滴(液体状のインク)を噴射対象物である記録紙(印刷媒体の一種)の表面に着弾させることで文字や画像を記録するものであり、画像記録装置の一種でもある。
【0026】
上記記録装置は、インクカートリッジ(以下「カートリッジ」という)1が搭載されるとともに、記録ヘッドが取り付けられたキャリッジを備えている。
【0027】
上記キャリッジは、タイミングベルトを介してステッピングモータに接続され、ガイドバーに案内されて記録紙の紙幅方向(主走査方向)に往復移動するようになっている。上記キャリッジは、上部に開放する大略箱型を呈し、記録紙と対向する面(この例では下面)に、記録ヘッドのノズル面が露呈するよう取り付けられるとともに、カートリッジ1が搭載されるようになっている。
【0028】
そして、上記記録ヘッドにカートリッジ1からインクが供給され、キャリッジを移動させながら記録紙上面にインク滴を吐出させて記録紙に画像や文字をドットマトリックスにより印刷するようになっている。
【実施例1】
【0029】
図1は、使用後のカートリッジ1に再充填用のインク(再充填用インク)を再び注入して、そのカートリッジ1を再利用するためのリサイクル工程の全工程を示す図である。
【0030】
図示のように、上記カートリッジ1のリサイクル工程は、まず、カートリッジ1を回収する「回収工程」、カートリッジ1を選別する「選別工程」、カートリッジ1の外観を検査する「外観検査工程」、後述のオーバーシート59を剥がす「カバーラベル剥がし工程」が順に行なわれる。
【0031】
ついで、後述のインク供給口4を封止する供給孔フィルムを剥がす「供給孔フィルム剥がし工程」、使用後のカートリッジ1に残存したインク(残インク)を抜き取る「インク抜取工程」、後述の空気排出口21の注入孔フィルムFに穴をあける「注入孔フィルム穴あけ工程」、カートリッジ1内に再充填用インクを注入する「インク注入工程」が順に行なわれる。
【0032】
つぎに、後述の注入孔フィルムFに孔を空けた後、別の注入孔フィルム90を再溶着する「注入孔フィルム再溶着工程」、供給孔フィルムを再溶着する「供給孔フィルム再溶着工程」、カートリッジ1の重量を検査する「重量検査工程」、後述のICチップ49に情報を書き込む「ICデータ書き込み工程」、ICチップ49の情報を読み込む「ICデータ読み込み工程」が順に行なわれる。
【0033】
そののち、カートリッジ1にロットナンバを刻印する「ロット刻印工程」、カートリッジ1にラベルを貼付する「ラベル貼付工程」、カートリッジ1に対して外圧検査を行う「外圧検査工程」、カートリッジ1を減圧パックする「パック工程」、カートリッジ1からのインクや空気漏れをチェックする「12h漏れチェック工程」、カートリッジ1を箱詰めする「個装箱詰め工程」が順に行なわれる。上記各工程についての詳細な説明は後述する。
【0034】
ここで、図2〜図11を参照して、本実施例のカートリッジ1について詳しく説明する。
【0035】
図2および図3は、本実施例のカートリッジ1の一実施の形態を示す分解斜視図である。また、図4および図5は、それぞれ上記容器本体2を開口側から見た状態、容器本体2を表面側(以下、容器本体2の開口側と反対側の面を「容器本体2の表面」という)から見た状態を示す。
【0036】
上記カートリッジ1は、一方の面(図2における左側面)が開口した扁平な矩形状の容器本体2と、上記開口部に溶着されて開口を封止する蓋体3とを備えている。上記容器本体2および蓋体3は、いずれも合成樹脂から形成されている。
【0037】
上記容器本体2には、その表面に、インク流路となるインク溝35,18Aが形成されるとともに、大気連通路となる大気連通溝36が形成されている。そして、上記容器本体2表面に遮気性を有する1枚の第1フィルム57が溶着されることにより、上記インク溝35,18Aと大気連通溝36の開口が封止されてインク溝35,18Aがインク流路に、大気連通溝36が大気連通路にそれぞれ形成されている。
【0038】
このようにすることにより、カートリッジ1は、容器本体2表面に形成したインク溝35や大気連通溝36等の開口を第1フィルム57で封止して流路を形成するため、インク流路や大気連通路等の比較的複雑な流路が形成された容器を容易に成形することができ、成形型の設計や加工等が容易になり、低コストで製造することができる。
【0039】
以下、上記容器本体2の流路構造等について詳しく説明する。
【0040】
上記容器本体2の上記キャリッジへの挿入方向の先端面(この例では下面)には、インク供給口4が形成され、正面と背面(図4における左右)にはそれぞれカートリッジ1着脱の際に把持される把持アーム5,6が容器本体2と一体的に形成されている。上記インク供給口4にはインク供給針の挿通により開弁する弁体(図示せず)が収容されている。なお、図3において、49はインク供給口4側の把持アーム5の下部に設けられた記憶手段としてのICチップである。
【0041】
上記ICチップ49は、カートリッジ1内のインクの使用量、カートリッジ1内のインクの残量、後述のリサイクル情報等の情報を記憶する。これらの情報は、情報読み書き手段(例えば、後述のICチェッカー等)により読み書きされる。
【0042】
上記容器本体2の開口側内部は、略水平方向でインク供給口4の側に若干下り傾斜となるように延びる壁10を含む枠状部14が形成されている。この枠状部14は、容器本体2の天井面および両側面と略一定の隙間を持たせて形成されている。上記枠状部14より下側の領域は、インクが収容される第1インク室11に形成されている。
【0043】
そして、上記枠状部14と容器本体2の外周壁との間に形成された隙間と、上記枠状部14のバルブ収容室8側に設けられた壁12とにより、通孔67を介して第1インク室11を大気と連通させる大気連通路13,13Aが形成されている。
【0044】
上記壁12と容器本体2の外周壁とに蓋体3が融着されて大気連通路13Aが形成される。また、上記大気連通路13Aを形成する壁12の上端部は、使用状態において第1インク室11内の液面より上方に突出するよう容器本体2の天井部近傍まで延びている。これにより、上記大気連通路13Aの開口が第1インク室11内の液面より上方に開口し、通孔67へのインクの逆流をできるだけ防止するようになっている。
【0045】
上記枠状部14の内部は、底部にインクが流通する連通口15Aが形成された縦方向に延びる壁15により左右に分割されている。そして、上記壁15で分割された図示の右側に位置する領域は、第1インク室11から吸い上げたインクを一時貯留する第2インク室16に形成されている。また、図示の左側に位置する領域には、第3インク室17,第4インク室23,第5インク室34等が形成されるとともに、膜弁52やバネ50等から構成される差圧弁が収容されるようになっている。
【0046】
上記差圧弁は、インク供給口4に対するインクの供給圧力を制御する圧力制御弁であり、当該圧力制御弁の圧力制御によりカートリッジ1内部にインクを保持するために設けられている。このように、本実施例のカートリッジ1は、インク供給口4に対するインクの供給圧力を制御する圧力制御弁を有し、当該圧力制御弁の圧力制御により内部にインクを保持するタイプのカートリッジである。このようなタイプのカートリッジを用いるため、カートリッジ1内でインクの移動がスムーズとなるため、インクの再充填を容易に行うことができ、本発明の効果が顕著であり効果的である。
【0047】
上記第1インク室11の第2インク室16より下側の部分には、第2インク室16と容器本体2の底面近傍との間を連通させて第1インク室11のインクを第2インク室16に吸い上げる吸上げ流路18が形成されている。上記吸上げ流路18の下部には、周囲が壁19で囲まれた矩形の領域が形成され、上記壁19には、その下部と上面とにそれぞれ連通口19A,19Bが形成されている。
【0048】
上記吸上げ流路18は、容器本体2の表面に溝状のインク溝18Aを形成し、このインク溝18Aが第1フィルム57で封止されることにより形成されている。
【0049】
そして、上記吸上げ流路18は、その上部が連通口47を介して第2インク室16と連通し、下部の壁19で囲まれた矩形の領域内に開口部48が形成されて下端開口18B(図9参照)が第1インク室11と連通している。これにより、第1インク室11と第2インク室16とが吸上げ流路18を介して連通され、第1インク室11のインクが第2インク室16に導入されるようになっている。
【0050】
また、容器本体2の底面には、その吸上げ流路18に対応する箇所に、第1インク室11にインクを注入する際に用いられるインク注入口20が形成されている。さらに、上記インク注入口20の近傍には、インク注入の際に空気を排出する空気排出口21が形成されている。
【0051】
上記インク供給口4とは別の第2の開口である空気排出口21は、上記差圧弁より上流側のインク貯留室である第1インク室11に連通する開口である。本実施例では、上記「インク注入工程」において、上記空気排出口21からインクを注入するようになっている。すなわち、新品のカートリッジにインクを注入する場合は、上記インク注入口20から新インクを注入し、使用後のカートリッジ1にインクを注入する場合は、上記空気排出口21からインクを注入するようにしている。本実施例では、未使用のカートリッジ内には、18.18グラム(g)のインクが充填される。
【0052】
上記第3インク室17には、枠状部14の上面14Aとの間で所定間隔を隔てて横方向
に延びる壁22が形成されている。また、上記第3インク室17は、上記壁22に連続した略円弧状を呈する壁24によって区画され、上記壁24に囲まれた部分が、差圧弁収容室33と第5インク室34が形成される領域になっている。
【0053】
上記円弧状の壁24で囲まれた領域は、第5インク室34と対向する領域の表面側に差圧弁収容室33を形成するよう壁25により厚み方向に2分割されている。上記壁25には、上記第5インク室34に流入したインクを差圧弁収容室33に導くインク流通口25Aが設けられている。
【0054】
上記略円弧状の壁24の下部には、壁10との間に連通口26Aを備えた区画壁26が形成され、この区画壁26より下流側(図4における左側)が第4インク室23に形成されている。また、上記略円弧状の壁24と枠状部14との間には下部に連通口27Aを備えて縦方向に延びる区画壁27、および上下に連通口32A,32Bを備えて縦方向に延びる区画壁32が設けられ、インク流路28A,28Bが形成されている。
【0055】
また、上記容器本体2には、上記区画壁27の上端部に連続するとともに、略円弧状の壁24および壁22に接続されるよう形成された円弧状の壁30が形成されている。そして、上記円弧状の壁30に囲まれた領域が、ブロック状(この例では円柱状)のフィルタ7が収容されるフィルタ収容室9に形成されている。
【0056】
そして、上記フィルタ収容室9を形成している円弧状の壁30にまたがって、大円と小円を連結した形状の貫通穴29が形成されている。そして、上記貫通穴29の大円側がインク流路28Aの上部に連通し、貫通穴29の小円側が、略円弧状の壁24の先端部に設けられた連通口24Aを介して第5インク室34の上部に連通している。これにより、上記貫通穴29を介してインク流路28Aと第5インク室34とが連通している。
【0057】
そして、第2インク室16から連通口15A,26A,32B,27A等を通過してインク流路28Aに流入したインクは、フィルタ収容室9のフィルタ7でろ過されて貫通穴29の大円側に流れ込む。ついで、貫通穴29に流入したインクは、貫通穴29の小円側から連通口24Aを介して第5インク室34に流れ込むようになっている。上記貫通穴29の容器本体2表面側の開口も第1フィルム57で封止されている。
【0058】
ここで、上記枠状部14の開口側には、遮気性の第2フィルム56が溶着されている。すなわち、上記第2フィルム56は、枠状部14,壁10,15,22,24,30,42,区画壁26,27,32と溶着され、インク室や流路を形成している。
【0059】
一方、上記差圧弁収容室33の下部とインク供給口4とは、表面側に形成されたインク溝35と、このインク溝35を覆う遮気性の第1フィルム57とからなる流路により連通されている。上記インク溝35は、上下端部がそれぞれ差圧弁収容室33およびインク供給口4に連通している。これにより、第5インク室34に流入したインクは、インク流通口25Aを通過し、差圧弁収容室33を通ってインク溝35で形成される流路からインク供給口4に流れるようになっている。
【0060】
また、容器本体2の表面には、なるべく流路抵抗が高くなるよう蛇行する大気連通溝36と、上記大気連通溝36に連通し、差圧弁収容室33および大気連通溝36の周囲を囲む幅広の溝37とが形成されている。また、上記容器本体2の表面には、その第2インク室16に対応する領域に矩形状の凹部38が形成されている。
【0061】
上記矩形状の凹部38内には、一段下がりの状態で枠部39およびリブ40が形成されている。そして、これらに發インク性を有する通気性シート55が張設されることにより、上記矩形状の凹部38内が、大気連通溝36および溝37を介して大気に連通する大気通気室に形成されている。
【0062】
上記凹部38の奥面には貫通穴41が穿設され、第2インク室16内の長円状の壁42で区画された細長い領域43に連通されている。また、上記凹部38の通気性シート55よりも表面側の領域には大気連通溝36が連通している。さらに、上記細長い領域43の貫通穴41と反対側の端部には貫通穴44が穿設されている。この貫通穴44は、容器本体2の表面側に形成された連通用の溝45、および上記溝45と連通するよう穿設された貫通穴46を介して大気開放弁室であるバルブ収容室8に連通されている。
【0063】
上記バルブ収容室8には、第1インク室11に形成された大気連通路13Aに形成された通孔67に連通する貫通穴60が形成されている。これにより、大気連通溝36および溝37を通って凹部38に入った空気は、貫通穴41,細長い領域43,貫通穴44,46を介してバルブ収容室8に至り、バルブ収容室8から貫通穴60,通孔67,大気連通路13,13Aを介して第1インク室11に至るようになっている。
【0064】
また、上記バルブ収容室8は、そのカートリッジ挿入側(この実施例では下側)が開放されていて、後述するように、記録装置本体に設けられた識別片や作動杆が進入可能になっており、上部に上記作動杆の進入により開弁して常時開放弁状態を維持する大気開放弁が収容される。
【0065】
図6は、前述の第5インク室34および差圧弁収容室33近傍の断面構造を示す。なお、図示の右側が差圧弁収容室33のある容器本体2の表面側である。上記差圧弁収容室33には、バネ50とエラストマー等の弾性変形可能な材料により構成され、中心に貫通穴51を備えた膜弁52が収容されている。上記膜弁52はその周囲が環状の厚肉部52Aを有し、この厚肉部52Aに一体に形成された枠部54を介して容器本体2に固定されている。また、上記バネ50は、一端が膜弁52のバネ受け部52Bに当接され、他端が差圧弁収容室33を蓋する蓋体53のバネ受け部53Aに当接されて支持されている。
【0066】
このような構成により、第5インク室34からインク流通口25Aを通過したインクは、膜弁52によって流通を阻止される。この状態でインク供給口4の圧力が低下すると、その負圧により膜弁52がバネ50の付勢力に抗して弁座部25Bから離れ、インクは貫通穴51を通過してインク溝35で形成された流路を経由してインク供給口4に流れ込む。
【0067】
インク供給口4のインク圧力が所定の値に上昇すると、膜弁52がバネ50の付勢力によって弁座部25Bに弾接され、インクの流通が遮断される。このような動作を繰り返すことにより一定の負圧を維持しながらインクをインク供給口4から排出することができる。
【0068】
図7は、大気連通用のバルブ収容室8の断面構造を示す。なお、図示の右側が容器本体2の表面側である。上記バルブ収容室8を区画する壁には貫通穴60が穿設され、ここにゴム等の弾性部材により構成された押圧部材61がその周囲を容器本体2に支持されて移動可能に挿入されている。上記押圧部材61の進入側の先端には、弾性部材62に支持されて貫通穴60に常時付勢された弁体65が配置されている。上記弾性部材62は、この例では下端が突起63で固定され、中央部が突起64で規制された板バネが用いられている。
【0069】
一方、上記押圧部材61の反対側には、アーム66が配置されている。上記アーム66は、そのカートリッジ1の挿入方向側(この例では下端)が、後述する作動杆70より内側に位置する回動支点66Aを介して容器本体2に固定されている。また、上記アーム66は、その引き抜き側(この例では上部側)が作動杆70の進入路に斜めに突出している。上記アーム66の先端には、押圧部材61を弾圧する凸部66Bが形成されている。このような構成により、弁体65の開弁時に、上述したように、第1インク室11の上部に設けられた通孔67が、貫通穴60,バルブ収容室8,貫通穴46,溝45,貫通穴44,細長い領域43,貫通穴41を介して大気連通用の凹部38に接続される。
【0070】
また、上記バルブ収容室8には、アーム66よりも挿入側(この例では下側)に記録装置に対するカートリッジ1の適否を判断するための識別用凸部68が設けられている。この識別用凸部68は、インク供給針72(図8参照)にインク供給口4を連通させる前でかつ弁体65を開弁させる前に、識別片(作動杆)70Aによる判定が可能な位置に設けられている。
【0071】
このような構成により、図8に示したように下面に作動杆70が立設されたカートリッジホルダ71にカートリッジ1が装填されると、作動杆70が傾斜したアーム66に当接し、カートリッジ1の押込みとともに押圧部材61を弁体65の側に傾斜させる。これにより弁体65が貫通穴60から離れ、前述したように貫通穴46,溝45,貫通穴44,領域43,貫通穴41を介して大気連通用の凹部38を大気開放させる。
【0072】
また、カートリッジホルダ71から引き抜かれた場合には、アーム66が作動杆70の支持を失うため、弾性部材62の付勢力により弁体65が貫通穴60を封鎖し、インク収容領域と大気との連通を断つ。
【0073】
つぎに、上記のように弁等の全ての部材が容器本体2に組み込まれた状態で、表面には、少なくとも凹部が形成されている領域を覆うように遮気性の第1フィルム57を貼付する。これにより、表面側には凹部と第1フィルム57により大気連通路となるキャピラリが形成される。
【0074】
ここで、上記キャピラリを含む流路の配置や流路の形成等について詳しく説明する。
【0075】
上記カートリッジ1では、上述したように、上記容器本体2の表面に、1枚の第1フィルム57が溶着されることにより、容器本体2表面に形成されたインク溝35,貫通穴29,インク溝18A,溝45,大気連通溝36および凹部38の開口がそれぞれ封止され、インク溝35,貫通穴29,インク溝18Aおよび溝45は、それぞれインク流路に形成され、大気連通溝36および凹部38は、それぞれ大気連通路に形成される。第1フィルム57を溶着した状態のカートリッジ1を図9に示す。
【0076】
このとき、第1フィルム57の容器本体2表面への溶着は、例えば、第1フィルム57を容器本体2表面に被せ、加熱加圧板で押圧することにより熱溶着することが行なわれる。
【0077】
ここで、大気連通溝36は、インクの蒸発をできるだけ防止するとともに流路抵抗を必要以上に大きくしないよう、複雑に屈曲させた細くて浅い溝が形成されている。したがって、大気連通溝36を第1フィルム57で封止する際には、溶着の際の高さを高精度に管理しないと、大気連通溝36が潰れて空気の流通を妨げてしまうおそれがある。一方、インク溝35等のインク流路を形成する凹部は、インク漏れを防ぐために溶着強度を重視して溶着することが望ましい。
【0078】
そこで、上記容器本体2の表面は、図10に示すように、インク溝35や貫通穴29等の主としてインク流路となる凹部が形成された領域(b)と、主として大気連通溝36が形成された領域(a)とに大略区分されるように流路を配置している。また、上記容器本体2表面の領域(a)と領域(b)との境界の部分に、流路を構成しない溝31を形成している。
【0079】
そして、第1フィルム57を容器本体2に溶着する際に1つの加熱加圧板で一度に加圧する範囲(以下「溶着範囲」という)を、主として溶着の高さ精度の管理を要する領域(a)と、主として溶着強度の管理を要する領域(b)とに分割し、それぞれの領域(a)(b)で独立して溶着条件の制御を行うようにしている。このようにすることにより、溶着精度管理と溶着強度管理とを併せて行うことができるうえ、比較的狭い面積の溶着状態を制御すればよくなることから、溶着の条件出しも比較的容易に行えるようになる。
【0080】
さらに、言い換えれば、上記第1フィルム57の溶着範囲は、カートリッジ1内に負圧を発生させる差圧弁よりも下流側のインク流路となるインク溝35が形成された領域(b)と、他の領域(a)とに分割されている。すなわち、差圧弁を有するカートリッジ1では、比較的インク流路や大気連通路等の流路形状が複雑となることから、複雑な流路を容易に形成できる効果が顕著である。
【0081】
また、上記流路を構成しない溝31が、分割された溶着範囲(a)(b)の境界部に位置しているため、第1フィルム57を溶着させる溶着加圧面を、分割された溶着範囲(a)(b)同士の間でオーバーラップさせることができ、溶着装置の設計の自由度が向上する。図9において、57Aは第1フィルム57の、溝31に対応する部分に設けられた切欠部である。
【0082】
上記カートリッジ1は、図11に示すように、上記容器本体2の表面に、上記第1フィルム57を覆うオーバーシート59が貼着されている。このようにすることにより、第1フィルム57がオーバーシート59で保護されて第1フィルム57の破損によるインク漏れが防止され、インクの蒸発も防ぐことができる。図において、59Aはオーバーシート59の、溝31に対応する部分に設けられた切欠部である。
【0083】
上記オーバーシート59は、第1フィルム57の厚みより厚いものが用いられている。すなわち、上記カートリッジ1では、第1フィルム57の厚みが、オーバーシート59の厚みより薄く設定されている。このようにすることにより、第1フィルム57を溶着してインク溝35,18Aや大気連通溝36等を封止する際、第1フィルム57が容器本体2の表面に沿いやすいため、溶着強度や溶着精度の向上に有利である。また、比較的厚みの厚いオーバーシート59により第1フィルム57を有効に保護できる。
【0084】
また、上記オーバーシート59は、容器本体2の下面まで覆う延長領域59Bが形成され、上記延長領域59Bがインク注入口20および空気排出口21を覆っている。このように、インク注入口20や空気排出口21まで1枚のオーバーシート59で覆うことができ、工程の簡略化や部品点数の節減に有利である。
【0085】
一方、容器本体2の開口部には、上述したように、枠状部14,壁10,15,22,24,30,42,区画壁26,27,32に対して気密的になるよう、遮気性の第2フィルム56が熱溶着等により貼着される。そして、そのうえから蓋体3をかぶせて溶着等により固定される。これにより、各壁によって区画された領域が連通口や開口を介してのみ連通するように封止される。
【0086】
さらに、バルブ収容室8の開口側も、同様に熱溶着により遮気性の第3フィルム58で封止され、カートリッジ1に仕上げられる。このようにインク収容領域を遮気性の第1および第2フィルム56,57等により封止する構造を採ることにより、容器本体2を容易に成形できるばかりでなく、キャリッジの往復動に起因するインクの揺動を第1および第2フィルム56,57の膜変形により吸収してインク圧力をなるべく一定に維持することが可能となる。
【0087】
ついで、インク注入口20にインク注入管を挿通するとともに、空気排出口21を開放した状態で、十分に脱気したインクを注入する。注入が完了した後、インク注入口20および空気排出口21を注入孔フィルムF(図15参照)およびオーバーシート59で封止する。
【0088】
このように構成されたカートリッジ1は、弁等により大気との連通が断たれて保存されるため、インクの脱気度が十分に維持される。
【0089】
そして、カートリッジ1をカートリッジホルダ71に装填する際、当該カートリッジホルダ71に適合したカートリッジ1である場合には、インク供給口4がインク供給針72に挿通される位置まで進入し、また前述したように作動杆70により貫通穴60が開放され、インク収容領域が大気に連通し、またインク供給口4のバルブもインク供給針72により開弁される。
【0090】
一方、当該ホルダに適合しない場合には、インク供給口4がインク供給針72に到達する前に、識別用凸部68がカートリッジホルダ71の識別片70Aに当接して進入が阻止される。この状態では、作動杆70もアーム66に到達できないため、弁体65が封止状態を維持し、インク収容領域の大気開放が阻止されてインクの蒸発を防止する。
【0091】
カートリッジ1がカートリッジホルダ71に正常に装着され、印刷が行なわれて記録ヘッドによりインクが消費されると、インク供給口4の圧力が規定値以下に低下するため、前述のように膜弁52が開放される。また、インク供給口4の圧力が上昇すると膜弁52が閉弁する。このようにして、所定の負圧に維持されたインクが記録ヘッドに流れ込む。
【0092】
記録ヘッドでのインクの消費が進行すると、第1インク室11のインクが吸上げ流路18を介して第2インク室16に流れ込む。ここに流れ込んだ気泡は浮力により上昇し、インクだけが下部の連通口15Aを経由して第3インク室17に流れ込む。
【0093】
第3インク室17のインクは、略円形に形成された壁24下端部に形成された区画壁26の連通口26Aを通過して第4インク室23を通り、インク流路28A,28Bへ流れ込む。
【0094】
インク流路28Aを流れたインクは、フィルタ収容室9に流れ込んでフィルタ7でろ過される。上記フィルタ収容室9を通過したインクは、貫通穴29の大円側から小円側と流れ、連通口24Aを通過して第5インク室34の上部に流れ込む。
【0095】
ついで、第5インク室34に流入したインクは、インク流通口25Aを通過して差圧弁収容室33に流れ込み、前述したように膜弁52の開閉動作により所定の負圧でインク供給口4に流れ込む。
【0096】
ここで、第1インク室11は、大気連通路13,13Aおよび通孔67,バルブ収容室8等を介して大気に連通されており、大気圧に維持されているため、負圧が発生してインクの流れを阻害することにはならない。仮に、第1インク室11のインクが逆流して凹部38まで流れ込んだとしても、ここには發インク性の通気性シート55が設けられているから、この通気性シート55により大気との連通は維持しつつインクの流出が阻止される。これにより、大気連通溝36にインクが流れ込んで固化する等により大気連通溝36が閉塞するような不都合を未然に防止できる。
【0097】
このように、上記カートリッジ1では、容器本体2表面に形成したインク溝35等や大気連通溝36を形成し、それらの開口を第1フィルム57で封止することにより流路を形成するため、インク流路や大気連通路等の比較的複雑な流路が形成された容器を容易に成形することができ、成形型の設計や加工等が容易になり、低コストで製造することができる。
【0098】
なお、上記実施例では、フィルタ7として円柱状のものを用いた例を示したが、これに限定するものではなく、ブロック状を呈したフィルタであれば、各種の形状大きさのものを含む趣旨である。
【0099】
つぎに、再び図1を参照して、上記使用後のカートリッジのリサイクル工程について説明する。
【0100】
まず、「回収工程」で種類や色毎に使用後のカートリッジ1を回収し、ついで、「選別工程」で上記回収したカートリッジ1を選別する。
【0101】
上記「選別工程」では、ICチップ49に記憶されたリサイクル情報を読み取るICチェッカーにより、カートリッジ1のICチップ49に記憶されたリサイクル情報を読み取る。上記リサイクル情報としてカートリッジの製造日を記憶しておき、読み取った製造日から所定期間経過しているか否かにより、インク抜き取りを行うか否かを決定することが行われる。例えば、カートリッジ1が製造日から1.5年が経過しているか否かを判別し、この判別で1.5年が経過していない場合は、「インク抜取工程」を行わず、カートリッジ1内に残インクが残っている状態で再充填用インクを追加注入する。一方、1.5年が経過している場合は、本実施例のように、「インク抜取工程」を行って、カートリッジ1内から残インクを抜き取ってから再充填用インクを注入することが行われる。
【0102】
上記リサイクル情報として、リサイクル回数等を書き込むこともできる。この場合、リサイクル情報は後述の「ICデータ書き込み工程」において書き込まれる。
【0103】
ついで、上記「外観検査工程」では、選別したカートリッジ1の外観を検査する。ここでは、回収したカートリッジ1の中から、インク漏れ等でインク汚れが顕著なカートリッジや、把持アーム折れ,ICチップ外れ等の外傷が顕著なカートリッジ等の不良カートリッジ1を目視で選別し取り除く。
【0104】
ついで、上記「カバーラベル剥がし工程」では、上記オーバーシート59のうちインク注入口20および空気排出口21を覆う延長領域59Bを容器本体2の下面から剥がして除去する。
【0105】
図12に示すように、「カバーラベル剥がし工程」では、オーバーシート59から延長領域59Bをハサミやカッターナイフ等で切断して、延長領域59Bを容器本体2の下面から剥がす。
【0106】
ついで、上記「供給孔フィルム剥がし工程」では、ピンセット等でカートリッジ1のインク供給口4を封止する供給口フィルム(図示していない)を剥がす。
【0107】
ついで、上記「インク抜取工程」では、上記カートリッジ1内に残存した残インクを抜き取る。
【0108】
図13に示すように、「インク抜取工程」では、使用後のカートリッジ1内に残存した残インクを吸引して抜き取る抜取吸引工程と、当該抜取吸引工程で残インクを抜き取った後にカートリッジ1内に残留するインクの残量が、未使用のカートリッジに充填されるインクの全量に対して所定割合以下であるか否かを確認する残量確認工程とが行われる。
【0109】
図14は、使用後のカートリッジ1に対してインクを再充填する本発明の液体再充填装置における液体抜き取り装置である。この装置は、上記カートリッジ1内に残存した残インクを抜き取る後述の液体抜取手段と、残インクを抜き取った後にカートリッジ1内に残留するインクの残量が所定割合以下であるか否かを計量する計量手段である計量装置89と、後述の液体注入手段とを備えている。
【0110】
上記液体抜取手段は、再充填しようとするカートリッジ1内に残っている残インクを抜き取って回収するインクトラップ81と、後述のトラップ減圧管85を介してインクトラップ81内を減圧する吸引ポンプ83と、吸引ポンプ83の吸引によりインクトラップ81内を減圧するためのトラップ減圧管85と、カートリッジ1内から残インクを吸引するためのインク吸引管87とを含んで構成されている。
【0111】
上記インクトラップ81内には、インクトラップ81内に吸引された残インクを受けるインク受け81aが設けられている。上記インク吸引管87の一端には、インク供給口4からカートリッジ1内の残インクを抜き取るための抜取治具が設けられている。そして、上記一端(抜取治具)は、インク供給口4に接続され、他端は、インクトラップ81のインク受け81a内に配置されている。
【0112】
上記抜取治具は、基本的には、液体噴射装置においてカートリッジが装着される装着部と同様の構造であり、インク供給口4に挿入されるインク供給針72や大気連通用の凹部38を大気開放させるための作動杆70が設けられたものである。上記抜取治具は、インクトラップ81より上方に配置され、上記インク供給口4を下方に向けてカートリッジ1を支持する。これにより、残インクは、抜取治具から抜き取られる際にインク吸引管87を通ってインクトラップ81内に落下していく。
【0113】
上記トラップ減圧管85の一端は、吸引ポンプ83と接続され、他端はインクトラップ81内の上方に配置されている。
【0114】
上記のような構成の液体再充填装置により、上記抜取吸引工程では、吸引ポンプ83を駆動し、トラップ減圧管85を介してインクトラップ81内を所定負圧(例えば、100Torrすなわち13.3kPa程度)に減圧する。そして、カートリッジ1からインク供給口4を介して残インクを抜き取り、その抜き取った残インクをインクトラップ81のインク受け81aで受ける。本実施例では、このようにして、上記使用後のカートリッジ1内に残存したインクを上記インク供給口4から抜き取る。
【0115】
このように、上記使用後のカートリッジ1内に残存した残インクを上記インク供給口4から抜き取ることにより、使用後に残存したインクを抜き取ってから注入するため、品質劣化した残インクの影響を少なくすることができる。また、上記インク供給口4から上記カートリッジ1内に残存したインクを抜き取るため、抜き取り時のインクの流れがカートリッジ1の使用時と同じになり、無理なくスムーズに抜き取りが行える。また、液体噴射装置側の装置と同じ構造の抜取治具を用いることができ、部品が共通化できて装置のコストを低減し、カートリッジの使用時と同様にスムーズに残インクを抜き取ることができる。
【0116】
上記カートリッジ1内の残インクを抜き取る際には、カートリッジ1内部の表面積に応じた所定量の液体をカートリッジ1内に残すようにしている。具体的には、カートリッジ1内に残すインク量は、新品時に充填されるインクの全量に対して約2.5容積%(本実施例では、0.5g)である。このようにカートリッジ1内部の表面積に応じた所定量の残インクを残すことで、インクの入り難い部分(例えばインクの流路が狭い部分)や、インクの濡れの悪い部分へのインクの流動性を改善し、インクの充填性を向上させるとともに、気泡の残存を抑制することができる。このとき、カートリッジ1内部の表面積が大きい場合にはインクを多く残し、小さい場合にはインクを少なく残すことで上記機能が有効に機能する。
【0117】
つぎに、残量確認工程において、インクを抜き取った後にカートリッジ1内に残留するインクの残量が、未使用のカートリッジに充填されるインクの全量に対して所定割合以下であるか否かを確認する。
【0118】
上記残量確認工程における所定割合は6容積%である。すなわち、上記カートリッジ1内に残留するインクの残量が、未使用のカートリッジに充填されるインクの全量に対して6容積%以下であるか否かを確認する。
【0119】
本実施例では、未使用のカートリッジには、18.18グラム(g)のインクが充填されるため、上記カートリッジ1内に残留するインクの残量が、18.18gの6容積%である1g以下であるか否かを確認する。
【0120】
上記残量確認工程における所定割合は、6容積%であるため、上記カートリッジ内に残存した品質劣化した液体の影響を確実に無視できるレベルまで液体の品質を確保することができ、使用後のカートリッジ内の液体を再充填用の液体に確実に置き換えてリフレッシュすることができる。そして、残った液体を十分に排出しながら補充する液体の歩留まりを確保でき、再生カートリッジの液体品質と液体歩留まりとの双方を確保できる。
【0121】
このように、「インク抜取工程」で0.5g以上1g以下の重量のインクをカートリッジ1内に残して、「インク抜取工程」を終了し、つぎの工程に進む。
【0122】
ついで(図1参照)、上記「注入孔フィルム穴あけ工程(フィルム除去工程)」では、上記残留するインクの残量が1g以下であるカートリッジ1の空気排出口21の周囲に溶着されて上記空気排出口21を封止する注入孔フィルムFを、上記空気排出口21が連通するよう除去する。
【0123】
図15に示すように、「注入孔フィルム穴あけ工程」では、具体的には、上記空気排出口21の注入孔フィルムFを除去する際、空気排出口21の注入孔フィルムFをフィルム除去手段(例えばハサミやカッターナイフ)等により切り取って、フィルムFのうち空気排出口21を覆う部分に穴をあける。
【0124】
このように、フィルムFのうち空気排出口21を覆う部分を切り取って空気排出口21を覆うフィルムFに貫通孔を形成することにより、空気排出口21を覆うフィルムFを除去する。そして、後の「インク注入工程」において、上記カートリッジ1に対してインクを上記空気排出口21から注入するようになっている。このように、上記空気排出口21を覆う注入孔フィルムFに貫通孔を形成することにより上記カートリッジ1等を傷つけることなく上記空気排出口21を連通させることができて後述する再溶着面にも傷をつけにくいため、清浄な面に再溶着を行うことができて再溶着が確実に行われる。また、カートリッジ1内に気泡を取り込むことなく、短時間で効率的に液体を注入することができる。
【0125】
ついで、上記「インク注入工程」では、カートリッジ1に対してインクを注入する。
【0126】
図16に示すように、「インク注入工程」では、後述の液体注入手段を使用し、まず、上記「インク抜取工程」でインクを抜き取った後のカートリッジ1内をあらかじめ所定の真空度(本実施例では37Pa)以下に減圧する真空引き工程、カートリッジ1に対してインクを注入する注入工程、後述の一時貯留タンク93内にインクを補充するインク補充工程、上記注入工程でインクを注入した後、上記インク供給口4を介してカートリッジ1内から所定量のインクを吸引する吸引工程であるインク吸引工程、これらの「インク注入工程」を終了する終了工程が順に行われる。
【0127】
図17は、本発明の液体再充填装置における液体注入装置である。この装置において、上記液体注入手段は、上部に大気と連通する連通管91が接続されるとともに、上記計量装置89で計量した残インクの残量が所定割合(6容積%)以下であることを確認したカートリッジ1の上方で、当該カートリッジ1に再充填するためのインクを一時貯留する一時貯留タンク93と、インクを収容するインクタンクと接続され当該インクを一時貯留タンク93内に供給するための供給管95と、一時貯留タンク93内のインクを上記空気排出口21からカートリッジ1内に注入するための注入管97と、カートリッジ1内のインクを抜き取って収容するインクトラップ99と、後述のトラップ減圧管103を介してインクトラップ99内を減圧する吸引ポンプ101と、吸引ポンプ101の吸引によりインクトラップ99内を減圧するためのトラップ減圧管103と、カートリッジ1内からインクを吸引するためのインク吸引管105とを備えている。
【0128】
上記液体注入手段は、上記計量装置89で計量した残インクの残量が所定割合(6容積%)以下であることを確認したカートリッジ1に対し、上記の構成により、インクを注入するようになっている。
【0129】
上記連通管91には、当該連通管91を開閉し一時貯留タンク93内への空気の出入りを開閉制御する連通管開閉弁91aが設けられている。また、上記供給管95には、当該供給管95を開閉し一時貯留タンク93内へのインクの供給を開閉制御する供給管開閉弁95aが設けられている。また、上記注入管97には、当該注入管97を開閉しカートリッジ1内へのインクの注入を開閉制御する注入管開閉弁97aが設けられている。
【0130】
上記インクトラップ99内には、その中に吸引された残インクを受けるインク受け99aが設けられている。上記インク吸引管105の一端には、上記インク供給口4からカートリッジ1内のインクを吸引するための吸引治具が設けられている。そして、その吸引治具が設けられた上記一端は、インク供給口4に接続され、他端は、インクトラップ99のインク受け99a内に配置されている。
【0131】
上記吸引治具は、その上方で上記インク供給口4を上方に向けてカートリッジ1を支持する。すなわち、カートリッジ1は、吸引治具より下方でインク供給口4を上方に向けて配置される。これにより、カートリッジ1内のインクに気泡が含まれている場合、その気泡をインク供給口4付近に集めることができ、インク供給口4近傍の気泡を確実に吸引除去できる。上記吸引治具は、インク供給口4に挿入されるインク供給針72が設けられているが、作動杆70は設けられていない。
【0132】
上記トラップ減圧管103の一端は、吸引ポンプ101と接続され、他端はインクトラップ99内の上方に配置されている。
【0133】
上記インク吸引管105には、後のインク吸引工程においてインク供給口4から吸引する液体量に対応する容量(本実施例では、約4cc容量)の液体保持部107が設けられている。また、上記インク吸引管105のうち液体保持部107の上流側には、カートリッジ1と液体保持部107間のインク吸引管105を開閉し液体保持部107内へのインクの吸引を開閉制御する上流側吸引管開閉弁105aが設けられている。また、上記インク吸引管105のうち液体保持部107の下流側には、インクトラップ99と液体保持部107間のインク吸引管105を開閉しインクトラップ99内へのインクの吸引を開閉制御する下流側吸引管開閉弁105bが設けられている。
【0134】
上記インクトラップ99,吸引ポンプ101,インク吸引管105,上流側吸引管開閉弁105a,下流側吸引管開閉弁105b,液体保持部107等は、上記インク供給口4を介してカートリッジ1内から所定量のインクを吸引する吸引手段としての役割を果たす。
【0135】
上記「真空引き工程」では、吸引ポンプ101を駆動するとともに、上流側吸引管開閉弁105a,下流側吸引管開閉弁105bを開状態にし、連通管開閉弁91a,供給管開閉弁95a,注入管開閉弁97aを閉状態にし、カートリッジ1内を約600Pa(約5torr程度)以上約3800パスカル(約28torr程度)以下に減圧する。
【0136】
上記カートリッジ1内の真空度は、例えば上記吸引手段を制御する吸引制御手段等により上記吸引手段の吸引を制御し、好ましくは、5torr以上28torr以下、さらに好ましくは10torr(約1300Pa)以上28torr以下に設定できる。
【0137】
上記注入工程では、吸引ポンプ101の駆動を停止するとともに、連通管開閉弁91a,注入管開閉弁97aを開状態にし、上流側吸引管開閉弁105a,供給管開閉弁95a,下流側吸引管開閉弁105bを閉状態にする。このようにすることで、あらかじめ約600Pa以上3800Pa以下に減圧され上記残量確認工程でインクの残量が上記6容積%(本実施例では1g)以下であることを確認したカートリッジ1内に一時貯留タンク93内のインクが上記空気排出口21から注入される。
【0138】
このように、上記「インク抜取工程」でインクを抜き取った後のカートリッジ1内をあらかじめ600Pa以上3800Pa以下に減圧した状態で、当該カートリッジ1に対してインクを注入する。このようにすることにより、カートリッジ1内を十分に空気を除去した状態からインクを注入するため、カートリッジ1内に気泡を取り込むことなくスムーズにインクを満たすことができる。特に、本実施例のカートリッジのように、圧力制御弁内蔵タイプのカートリッジにおいては、カートリッジ1内に空気があると圧力制御弁を空気が通過する抵抗が、充填性に悪影響を及ぼしたり気泡を残したりするため、効果的である。また、必要以上に減圧しすぎないため、カートリッジ1内に微妙に残ったインクが蒸発して固化したり、激しく泡立って充填性に悪影響を及ぼしたりすることを防止できる。
【0139】
また、インクを抜き取った後にカートリッジ1内に残留するインクの残量が、未使用のカートリッジに充填されるインクの全量に対して所定割合以下であるか否かを確認し、インクの残量が所定割合以下であることを確認したカートリッジに対してインクを注入するため、カートリッジ1内に充填されたインクに対して上記カートリッジ1内に残存したインク(例えば脱気度低下、乾燥による粘度上昇等の品質劣化したインク)の影響をほとんど無視できるレベルまで残さないようにすることができ、使用後のカートリッジ1内のインクの品質を確保することができる。そして、残ったインクを十分に排出しながら補充するインクの歩留まりを確保でき、再生カートリッジのインク品質とインク歩留まりとの双方を確保できる。
【0140】
また、上記液体再充填装置は、上記液体抜取手段により、上記使用後のカートリッジ1内の残インクを抜き取る。そして、上記計量装置89により、残インクを抜き取った後にカートリッジ1内に残留するインクの残量が所定割合以下であるか否かを計量し、上記液体注入手段により、計量した液体の残量が、未使用のカートリッジに充填される液体の全量に対して所定割合以下であるカートリッジに対して再充填用の液体を注入するため、簡単な構造で使用後のカートリッジ1を効果的にリサイクルできるため、装置のランニングコストやリサイクルコストがあまりかからない。
【0141】
また、上記インク抜取工程でインクを抜き取ったカートリッジ1に対し、上記インク供給口4とは別の第2の開口である空気排出口21からインクを注入するため、気泡を取り込むことなく短時間で効率的にインクの注入を行うことができる。
【0142】
さらに、上記空気排出口21は、膜弁52やバネ50等から構成される差圧弁(圧力制御弁)より上流側のインク貯留室(第1インク室11)に連通する開口であるため、カートリッジ1使用時におけるインクの流れと同じ流れとなるようインクの注入を行うこととなるため、気泡を巻き込んだり残したりすることを防止しながらスムーズにインクを注入できる。
【0143】
ついで、上記インク補充工程では、連通管開閉弁91a,供給管開閉弁95aを開状態にし、上流側吸引管開閉弁105a,注入管開閉弁97a,下流側吸引管開閉弁105bを閉状態にすることにより、インクタンク内のインクが一時貯留タンク93内に供給される。
【0144】
上記インク吸引工程では、吸引ポンプ101を駆動するとともに、下流側吸引管開閉弁105bを開状態にし、その他の開閉弁を全て閉状態にし、液体保持部107に所定圧力(本実施例では、約100Torrすなわち13300Pa程度)の負圧を貯留させる。ついで、この状態で下流側吸引管開閉弁105bを閉状態に切り替えて上流側吸引管開閉弁105aを開状態にすることにより、カートリッジ1内から液体保持部107の容量(本実施例では、約1.12g:1cc〜4cc)分だけインクを吸引する。
【0145】
このように、上記インク吸引工程は、上記液体保持部107の上流側に設けた上流側吸引管開閉弁105aを閉弁して上記液体保持部107に所定の負圧を蓄積した状態から、上流側吸引管開閉弁105aを開弁することにより、上記インク供給口4付近に付与される負圧は短時間のうちに急激に上昇する。したがって、上記カートリッジ1内のインクの吸引流速が急激に高い流速レベルに達し、上記インク供給口4からインクを一気に排出することができる。これにより、カートリッジ1に充填された気泡を含むインクも強力に吸引され、気泡を含まないインクがインク供給口4等に満たされて、液体噴射装置から良好な液体噴射が得られる。このように、吸引力を特別に高めることなく、上記インク供給口4付近に強力な負圧を付与することができるため、簡素な設備で確実に気泡や液体を吸引することができる。
【0146】
また、上記カートリッジ1に対してインクを注入した後、上記インク供給口4を介してカートリッジ1内から所定量のインクを吸引する。したがって、インクの注入後にインク供給口4を介してカートリッジ1内から所定量のインクを吸引することにより、カートリッジ1内の気泡残りを防止することができる。また、最も気泡の影響が大きいインク供給口付近の気泡を取り除くことができ、再充填後のカートリッジ1において液体噴射装置の噴射安定性を新品のカートリッジと同様に確保することができる。また、気泡を取り除くにあたって、カートリッジ1の外部から外圧を加えないため、カートリッジ1が傷み難く、カートリッジ1のリサイクル回数が向上する。
【0147】
このように、上記「インク吸引工程」は、少なくとも上記カートリッジ1内のインク供給口4のうち上記差圧弁からインク供給口4までの流路の容積に対応する量のインクを上記液体保持部107により一定容量、一定真空度で吸引し、インク供給口4から吸引する液体量に対応する容量の液体保持部107に対し、インクを吸引保持することにより行う。このようにすることにより、上記差圧弁からインク供給口4までの流路の気泡を確実に取り除くことができる。仮に上記差圧弁よりも上流側に気泡が残ったとしても、上記差圧弁より下流側に気泡が浸入することはないため、噴射トラブルは確実に防止できる。
【0148】
また、上記「インク吸引工程」においてインク供給口4から吸引する液体量に対応する容量の液体保持部107に対し、インクを吸引保持することにより行うことで、インク供給口4から液体保持部107の容量だけインクを吸引することができるため、常に一定の容量のインクを安定して吸引することができ、過剰吸引によるインクのロスや吸引不足による気泡残りを確実に防止できる。
【0149】
上記終了工程では、吸引ポンプ101の駆動を停止するとともに、全ての開閉弁を閉状態にして「インク注入工程」を終了し、つぎの工程に進む。
【0150】
上記「注入孔フィルム再溶着工程」では(図1参照)、再溶着手段であるヒータ113により、上記インク注入工程でインクを注入した上記空気排出口21を再び封止するよう、最初の溶着面(平滑面)とは別の面(平滑面)を再溶着面として、注入孔フィルムFに形成された貫通孔を覆うように別の注入孔フィルム90を再溶着するようになっている。このようにすることにより、カートリッジ1の形状を変形させることなく、インクのリーク(漏れ)の無い溶着強度を確保した溶着品質が得られる。また、別の注入孔フィルム90として新品と同じフィルムを使うことで、寿命劣化に対する信頼性を確保することができる。また、最初の溶着面とは別の面を再溶着面として別の注入孔フィルム90を再溶着することで、溶着の信頼性が向上する。
【0151】
詳細には、図18に示すように、上記カートリッジ1の空気排出口21には、その開口縁からカートリッジ1内に向かって下り傾斜する傾斜面111が形成されている。上記再溶着面は、ヒータ113により、上記空気排出口21周囲の最初の溶着面よりも凹んだ部分で形成される。このようにすることにより、再溶着面が周囲よりも凹んだ部分にあり、通常は注入孔フィルムFに覆われているので、使用中に再溶着面には傷等がほとんどつかず、清浄な面に再溶着を行うことができて再溶着が確実に行われる。
【0152】
より具体的には、上記再溶着面として、上記傾斜面111に別の注入孔フィルム90を溶着する。このようにすることにより、再溶着面が開口縁からカートリッジ1内に向かって下り傾斜する傾斜面111であるため、上記傾斜に沿った溶着治具(ヒータ113)で容易に溶着できることから上記空気排出口21をより確実に封止することができる。
【0153】
なお、再溶着にあたって、伸縮性を有するフィルムを使用して注入孔フィルム90を変形させながら溶着させたり、伸縮性に乏しいフィルムを使用してしわを形成しながら再溶着するようにしてもよい。このようにすることにより、空気排出口21を再溶着面の形状に沿ってぴったりと封止することができ、見た目が綺麗に仕上がるとともに、より確実にインク漏れを防止することができる。
【0154】
上記再充填カートリッジによれば、カートリッジ1の形状を変形させることなく、インクの漏れの無い溶着強度を確保した溶着品質の再充填カートリッジ1をユーザが再利用することができる。また、注入孔フィルム90として新品と同じフィルムが使われることで、寿命劣化に対する信頼性が確保される。また、最初の溶着面とは別の面を再溶着面として注入孔フィルム90が再溶着されているため、溶着の信頼性が増し、ユーザの満足度が向上する。
【0155】
上記「供給口フィルム再溶着工程」では(図1参照)、ヒータにより、インク供給口4を再び封止するよう供給口フィルムを再溶着する。ここでは、上記「注入孔フィルム再溶着工程」と同様に、最初の溶着面とは別の面を再溶着面として供給口フィルムを再溶着してもよいし、インク供給口4の上記のような傾斜面を再溶着面として再溶着してもよい。
【0156】
ついで(図1参照)、上記「重量検査工程」では、カートリッジ1の重量を検査し、再充填したカートリッジ1が新品のカートリッジと略同じ重量であるか否かを確認する。具体的には、新品のカートリッジは、約20.5gであるため、20.5の±1gの範囲であれば、つぎの工程に進む。
【0157】
ついで、上記「ICデータ書き込み工程」では、ICチップ49のリサイクル情報等の情報を読み書きする情報読み書き手段であるICチェッカーにより、カートリッジ1のICチップ49にリサイクル情報を書き込む。
【0158】
上記リサイクル情報は、カートリッジ1のリサイクル回数(再充填回数)等の情報であり、上記「ICデータ書き込み工程」では、リサイクル回数として、「1」を加算する。
【0159】
なお、上記「選別工程」において、ICチェッカーによりICチップ49に記憶された情報を読み取る際、上記リサイクル回数が所定回数以上であれば、そのICチップ49に設けられたカートリッジ1をNGとして取り除いてもよいし、その回数を所定の報知手段により報知するようにしてもよい。このようにすることにより、リサイクル回数を管理することができる。また、部品劣化があるので、同じカートリッジを何回もリサイクルしてしまうことを防止することができ、傷んだカートリッジが流通してしまうことをより確実に防止することができる。
【0160】
また、上記ICチップに、カートリッジ1を記録装置で使用した際に、カウントされたインク残量を記憶しておき、上記「インク抜取工程」において、上記インク残量をICチップ49から読み取って、読み取られたインク残量に応じた量のインクを上記使用後のカートリッジ1内から抜き取るようにしてもよい。このようにすることにより、再充填に好適な量の残インクを抜き取ることができ、使用後のカートリッジ1内のインクを再充填用インクへより一層効果的に置き換えることができる。
【0161】
また、上記ICチップに、「インク抜き取り工程」において、計量されたインク抜き取り後のインク残量を記憶しておき、その後の「インク注入工程」において、ICチップ49に記憶されたインク残量を読み出してインクを再注入するか否かを決定したり、インク残量に応じた量のインクを再注入するようにしてもよい。このようにすることにより、例えば、残インクの残量が1g以下のカートリッジにのみインクをより確実に注入するようにすることができる。また、再充填に好適な量のインクを注入することができる。
【0162】
ついで、上記「ICデータ書き込み工程」の後、上記「ICデータ読み込み工程」では、上記「ICデータ書き込み工程」で確実に情報が書き込まれたか否かを確認するため、ICチェッカーにより、カートリッジ1のICチップ49の情報を読み込む。
【0163】
ついで、上記「ロット刻印工程」では、カートリッジ1にロットナンバを刻印する。なお、上記刻印は、熱刻印であっても、スタンプであってもよい。
【0164】
ついで、上記「ラベル貼付工程」では、カートリッジ1にリサイクル判別用の新規ラベルや、空気排出口21近傍を隠すためのラベルを貼付する。
【0165】
ついで、上記「外圧検査工程」では、カートリッジ1からのインク漏れを検査する。ここでは、所定負圧に減圧された箱の中に所定時間カートリッジ1を入れ、減圧下においてカートリッジ1からインク漏れがあるか否かを確認する。そして、容器本体2等が割れていたり、インク漏れがあるとNGとして取り除かれる。
【0166】
ついで、上記「パック工程」では、カートリッジ1内のインクが空気に触れないように
、カートリッジ1を減圧パックする。このように、減圧パックすることで大気との連通が断たれて保存されるため、カートリッジ1内のインクの脱気度が十分に維持される。
【0167】
ついで、上記「12h漏れチェック工程」では、減圧パックしたカートリッジ1を12時間放置して、カートリッジ1からインク漏れがあるか、減圧パックに空気が入り込んでいないか否かを確認する。
【0168】
ついで、上記「個装箱詰め工程」では、カートリッジ1からインク漏れ等がない良品の再充填カートリッジ1を箱詰めする。
【0169】
以上が本実施例のカートリッジの液体再充填方法の一例である。
【0170】
このように、上記液体再充填方法では、一度使ったカートリッジ1にインクを注入することで、カートリッジ1を再利用することができ、廃棄物削減による環境負荷の低減、部品の再利用によるコストダウンが図れ、ユーザに安価なカートリッジを提供できる。また、カートリッジ1の外部から外圧を加える必要もないため、カートリッジ1が傷み難く、カートリッジ1のリサイクル回数が向上する。このように、簡単な工程で使用後のカートリッジ1を効果的にリサイクルできるため、リサイクルコストがあまりかからず、質の良い使用後カートリッジ1をユーザに対して提供することができる。
【0171】
なお、再充填されるインクは、同一色のインクであってもよいし、同系色または類似色のインクであってもよい。ここで、同系色のインクとは、充填前にカートリッジ内に充填され消費されたインクとほぼ同一の発色特性を有する同系の色材(例、赤とうす赤等)を備えたものを指し、また類似のインクとは、充填前にカートリッジ内に充填され消費されたインクと類似した発色特性を有する色材(例、赤とオレンジ等)を備えたものが一例として挙げられる。また、場合によっては、再充填される液体は、インクの場合、全く異なる色のインクを充填してもよい。
【0172】
上記実施例は、インクジェット式記録装置を対象にしたものであるが、上記液体噴射装置は、インクジェット式記録装置用のインクだけを対象にするのではなく、グルー,マニキュア,導電性液体(液体金属)等を噴射することができる。さらに、上記実施例では、液体の一つであるインクを用いたインクジェット式記録ヘッドについて説明したが、プリンタ等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド,液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド,有機ELディスプレー,FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド,バイオチップ製造に用いられる生体有機噴射ヘッド等の液体を吐出する液体噴射ヘッド全般に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0173】
【図1】使用後のカートリッジのリサイクル工程を示す図である。
【図2】本発明のカートリッジの一実施の形態を示す分解斜視図である。
【図3】上記カートリッジを示す分解斜視図である。
【図4】容器本体の開口部の状態を示す図である。
【図5】容器本体の表面の状態を示す図である。
【図6】差圧弁収容室の断面構造を拡大して示す図である。
【図7】バルブ収容室の断面構造を拡大して示す図である。
【図8】カートリッジホルダの一例を示す図である。
【図9】第1フィルムを溶着した状態を示す図である。
【図10】本発明のカートリッジの流路の配置を説明する図である。
【図11】オーバーシートを溶着した状態を示す図である。
【図12】カバーラベル剥がし工程を示す図である。
【図13】インク抜取工程を示す図である。
【図14】インク抜取工程における液体抜取手段を示す図である。
【図15】注入孔フィルム穴あけ工程を示す図である。
【図16】インク注入工程を示す図である。
【図17】インク注入工程における液体注入手段を示す図である。
【図18】注入孔フィルム再溶着工程を示す図である。
【符号の説明】
【0174】
1 カートリッジ,2 容器本体,3 蓋体,4 インク供給口,5 把持アーム,6 把持アーム,7 フィルタ,8 バルブ収容室,9 フィルタ収容室,10 壁,11 第1インク室,12 壁,13 大気連通路,13A 大気連通路,14 枠状部,14A 上面,15 壁,15A 連通口,16 第2インク室,17 第3インク室,18 吸上げ流路,18A インク溝,18B 下端開口,19 壁,19A 連通口,19B 連通口,20 インク注入口,21 空気排出口,22 壁,23 第4インク室,24 壁,24A 連通口,25 壁,25A インク流通口,25B 弁座部,26 区画壁,26A 連通口,27 区画壁,27A 連通口,28A インク流路,28B インク流路,29 貫通穴,30 壁,31 溝,32 区画壁,32A 連通口,32B 連通口,33 差圧弁収容室,34 第5インク室,35 インク溝,36 大気連通溝,37 溝,38 凹部,39 枠部,40 リブ,41 貫通穴,42 壁,43 細長い領域,44 貫通穴,45 溝,46 貫通穴,47 連通口,48 開口部,49 ICチップ,50 バネ,51 貫通穴,52 膜弁,52A 厚肉部,52B バネ受け部,53 蓋体,53A バネ受け部,54 枠部,55 通気性シート,56 第2フィルム,57 第1フィルム,57A 切欠部,58 第3フィルム,59 オーバーシート,59A 切欠部,59B 延長領域,60 貫通穴,61 押圧部材,62 弾性部材,63 突起,64 突起,65 弁体,66 アーム,66A 回動支点,66B 凸部,67 通孔,68 識別用凸部,70 作動杆,70A 識別片,71 カートリッジホルダ,72 インク供給針,73 記録ヘッド,75 キャリッジ,76 記録紙,77 タイミングベルト,78 ガイドバー,79 ステッピングモータ,81 インクトラップ,81a インク受け,83 吸引ポンプ,85 トラップ減圧管,87 インク吸引管,89 計量装置,90 別の注入孔フィルム,91 連通管,91a 連通管開閉弁,93 一時貯留タンク,95 供給管,95a 供給管開閉弁,97 注入管,97a 注入管開閉弁,99 インクトラップ,99a インク受け,101 吸引ポンプ,103 トラップ減圧管,105 インク吸引管,105a 上流側吸引管開閉弁,105b 下流側吸引管開閉弁,107 液体保持部,111 傾斜面,113 ヒータ,F 注入孔フィルム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体噴射装置に装着されるカートリッジに対して液体を充填する液体充填方法であって、
上記カートリッジに対して液体を注入する液体注入工程と、
上記液体注入工程で液体を注入した後、上記カートリッジが液体噴射装置に対して液体を供給する液体供給口を介してカートリッジ内から所定量の液体を吸引する吸引工程と、を備えたことを特徴とするカートリッジの液体充填方法。
【請求項2】
上記カートリッジは、上記液体供給口に対する液体の供給圧力を制御する圧力制御弁を有し、当該圧力制御弁の圧力制御により内部に液体を保持するタイプのカートリッジである請求項1記載のカートリッジの液体充填方法。
【請求項3】
上記吸引工程において、少なくとも上記カートリッジ内の液体供給路のうち上記圧力制御弁から液体供給口までの流路の容積に対応する量の液体を吸引する請求項2記載のカートリッジの液体充填方法。
【請求項4】
上記吸引工程は、吸引工程において液体供給口から吸引する液体量に対応する容量の液体保持部に対し、液体を吸引保持することにより行う請求項1〜3のいずれか一項に記載のカートリッジの液体充填方法。
【請求項5】
上記吸引工程は、上記液体保持部の上流側に設けた開閉弁を閉弁して上記液体保持部に所定の負圧を蓄積した状態から、上記開閉弁を開弁することにより行う請求項4記載のカートリッジの液体充填方法。
【請求項6】
上記カートリッジは液体噴射装置に装着され液体が消費された使用後のカートリッジであり、
上記液体注入工程に先立って上記使用後のカートリッジ内に残存した液体を、上記液体供給口から抜き取る液体抜取工程を備えた請求項1〜5のいずれか一項に記載のカートリッジの液体充填方法。
【請求項7】
上記液体注入工程において、上記液体抜取工程で液体を抜き取ったカートリッジに対し、上記液体供給口とは別の第2の開口から液体を注入する請求項6記載のカートリッジの液体充填方法。
【請求項8】
上記第2の開口は、上記圧力制御弁より上流側のインク貯留室に連通する開口である請求項7記載のカートリッジの液体充填方法。
【請求項9】
上記液体注入工程において、上記液体抜取工程で液体を抜き取った後のカートリッジ内をあらかじめ600Pa以上3800Pa以下に減圧した状態で、当該カートリッジに対して液体を注入する請求項6〜8のいずれか一項に記載の液体充填方法。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか1項に記載の液体充填方法によって液体が充填されたカートリッジ。
【請求項11】
液体噴射装置に装着されるカートリッジに対して液体を充填する液体充填装置であって、
上記カートリッジに対して液体を注入する液体注入手段と、
上記液体注入工程で液体を注入した後、上記カートリッジが液体噴射装置に対して液体を供給する液体供給口を介してカートリッジ内から所定量の液体を吸引する吸引手段と、を備えたことを特徴とするカートリッジの液体充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−175855(P2006−175855A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−344561(P2005−344561)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】