説明

カートン用製函装置

【課題】接着の位置だしの安定性と確実性を高め接着ずれが生じないようにすること。
【解決手段】 搬送コンベア101から立設し、搬送方向後側から規制してカートンCを搬送しつつその搬送姿勢を保持するカートンスペーサ112と、搬送コンベア101上部に搬送方向に対して平行に略カートン高さ分の間隔をあけて設けたガイドであってカートンCの高さ方向への移動を規制するトップガイド102と、搬送方向斜め下に延伸する斜辺151を有し、搬送に従って上フラップfuを折り下げていく上フラップ折下ガイド105と、搬送コンベア101上部から鉛直下向きに延伸して搬送方向後側からあてがい、搬送コンベア101と同じ速度で搬送方向へ移動してカートンCの函形状を矯正するアタッチメント162と、を具備した製函装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートン用の製函装置に関し、特に、筒状に展開されたカートンの両端にある4枚フラップを接着ずれが生じないように製函するカートナーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラック内に扁平に折りたたんで収容されたカートン(厚紙箱)を筒状に広げ、これに適宜封入物(被包装物)を挿入等した後、コンベアで搬送しつつフラップを折り込んで封をする製函装置が知られている。
【0003】
図8は、従来のこのような製函装置の一例を示した構成概要図である。図9は、従来の製函装置の下流側の一部分を表した側面図である。図示したように、製函装置800は、搬送コンベア801と、トップガイド802と、下フラップ折上ガイド803と、糊ガン804と、上フラップ折下ガイド805と、を有する。ここではカートンCのサイドフラップfsが折り込まれ、上フラップfu、下フラップfdはまだ展伸したままの状態から説明する。
【0004】
搬送コンベア801の搬送ベルト811に載置されたカートンCは、その搬送に従って、下フラップ折上ガイド803間を通過する際に、下フラップfdが斜辺831により折り上げられる。このとき、既に折り曲げられたサイドフラップfsとともに下フラップfdは元に戻ろうとするが、略平板状である下フラップ折上ガイド803により左右両側から押さえつけられて、そのままカートンCは下流に搬送されていく。
【0005】
移動に従って、下フラップfdの上端が押さえつけられたまま下部ののりしろNが露出する。糊ガン804は、ここへ向けて接着剤を射出する。
【0006】
つづいて、カートンCは、上フラップ折下ガイド805間を通過する。このとき、上フラップfuが斜辺851により折り下げられる。最後まで折り下げられるとのりしろNの接着剤により上フラップfuと下フラップfdが接着し、封(製函)が終了する。製函されたカートンCは、下流でたとえば30箱毎に束ねてラップされ、工場から出荷されていく。
【0007】
搬送コンベア801の上部には、搬送ベルト811と平行にトップガイド802(図8では、部分表示)が設けられ、カートンCが斜辺831や斜辺851との当接により踊らないように姿勢が制御される。また、搬送ベルト811には所定間隔でカートンスペーサ812(図9参照)が突設されていて、カートンCを押しやって下流へ移動させ、後ろ側に(搬送上流側に)カートンCが流れないようにしている。カートンスペーサ812により、接着の際にカートンCが正しい姿勢となるように制御されているともいえる(図9参照)。
【0008】
しかしながら、従来の技術では以下の問題点があった。
製函装置800では、カートンスペーサ812があてがわれるとはいえ上フラップ折下ガイド805やトップガイド802の摩擦力などのバランスとの関係で、接着の際にカートンCが後ろ側にわずかに倒れて製函されてしまう場合があった(図10参照。なお、条件によっては前側に倒れて製函されてしまう場合もある)。すなわち、上フラップfuの接着ずれが生じてしまう場合があり、見栄えが悪く、接着強度の信頼性にも欠けるという問題点があった。
【0009】
従来では、トップガイド802の高さh(図9参照)と上フラップ折下ガイド805の間隔dとを調整して、条件だしをおこなうことにより位置ずれが生じないようにしているものの、実際には、カートンスペーサ812のあそびやガタつきにより位置ずれが生じてしまい、また、カートンスペーサ812が少しでも鉛直から傾くとその先端(上方)での開きが大きくなるため、カートンCの姿勢制御には一定の限界が生じる。加えて、摩擦力が、カートンCの上面で働くため、一定以上の精度確保は原理的に困難であるという問題点があった。
【0010】
特に、接着位置のずれは1mm以内を要求されることもあり、このような場合は、上記条件だしをおこなっても、カートンCの表面印刷のロットが変わるだけで、微妙に摩擦力が変化し、要求値に収まらなくなってしまう。加えて、この印刷ロットの変わり目は実質的に事前に分からないため、大量の接着ずれが生じてしまう可能性があるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−48123
【特許文献2】特表2000−505749
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
すなわち、解決しようとする問題点は、接着の位置だしの安定性と確実性を高め接着ずれが生じないようにする点である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の製函装置は、筒状に展開されたカートンを、その軸を搬送方向に対して直角になるように搬送コンベア上に載置し、筒両端の4枚フラップの左右のフラップをまず折り込み、次いで下フラップを折り上げ、最後に上フラップを折り下げて下フラップとの間でのり付けして製函する製函装置であって、搬送コンベアから立設し、搬送方向後側から規制してカートンを搬送しつつその搬送姿勢を保持するカートンスペーサと、搬送コンベア上部に搬送方向に対して平行に略カートン高さ分の間隔をあけて設けたガイドであって、カートンの高さ方向への移動を規制するトップガイドと、フラップ分を取り除いた略カートン長さ分の間隔をあけて搬送方向左右に設けたガイドであって、搬送方向斜め下に延伸する斜辺を有し、搬送に従って上フラップを折り下げていく上フラップ折下ガイドと、搬送コンベア上部から鉛直下向きに延伸して搬送方向後側からあてがい、搬送コンベアと同じ速度で搬送方向へ移動してカートンの函形状を矯正する矯正体と、を具備したことを最も主要な特徴とする。
【0014】
すなわち、請求項1に係る発明は、トップガイドと上フラップ折下ガイドの摩擦力でカートンを積極的に後ろ倒しさせる向きに力をかけ、矯正体がこれに抗して前向きに力をかけるため、適正な位置だしが可能となり、これにより、位置だしの安定性と確実性を高めて接着ずれを生じなくすることが実現される。換言すれば、従来は、カートンの紙の応力ないし弾性力と、トップガイドと上フラップ折下ガイドとの摩擦力により力のバランスをとっていたところ、本発明では、トップガイドと上フラップ折下ガイドによる摩擦力(搬送方向逆向きの力)と、カートンスペーサと矯正体の抗力(搬送方向の力)によりバランスをとるため、カートンの微妙な応力ないし弾性力に左右されず、安定的な位置だしが可能となる。
【0015】
なお、カートンスペーサは、カートンと面接触する板体であっても、線接触する棒体(但し複数本)であってもよく、カートンの後ろずれを規制し、姿勢を保ちながら搬送させるものであれば特に限定されない。また、矯正体は、いわば、搬送コンベア上方からカートンにあてがう第2のカートンスペーサといえ、2本のアタッチメント(長細い平板体、棒状体、柱状体、突体、係止体)が鉛直下向きに延伸するように形成したものであるが、これに限定されず、L字体でカートンの後ろ側上部中央の角に押しあてるようなものであってもよい。なお、前者であれば、構造が簡素となる。
【0016】
なお、矯正体をサーボモータにより駆動する第2コンベアのベルトまたはチェンに突設するようにすれば、適正な位置だしないし函形状の矯正を簡便におこなうことができる。なお、ここで、突設するとは、直付けを含み、また、突き出た態様であれば直付けでないものも含むものとする。また、搬送コンベアを駆動するモータもサーボモータとしてもよい。
【0017】
また、フラップ分を取り除いた略カートン長さとは、製函した場合の函(カートンC)の軸方向の長さと同程度の長さを意味する。カートンの高さ方向とは、鉛直上向き、上方向を意味する。また、搬送方向左右とは、コンベアの進行方向に沿った両側という意味である。
【0018】
また、請求項2に記載の製函装置は、請求項1に記載の製函装置において、上フラップ折下ガイド通過後のカートンの上フラップの接着状態を撮影する撮影手段と、撮影手段により撮影された接着状態に基づいて上フラップの接着位置のずれが所定範囲内であるかを判定する位置ずれ判定手段と、位置ずれ判定手段により上フラップの接着位置のずれが所定範囲内でない場合に、矯正体の位置を前後に移動させて位置ずれが所定範囲内となるように制御するずれ制御手段と、を具備したことを主要な特徴とする。
【0019】
すなわち、請求項2に係る発明は、位置だしを自動化可能となり、印刷ロットが変わって表面の摩擦係数が変わった場合であっても位置ずれが発生しないようにすることが可能となる。
【0020】
なお、製函装置のカートンスペーサと矯正体とをそれぞれ2本の棒状体ないし板状体とし、トップガイドも2枚の扁平板または2本の突条体とすれば、これらを搬送コンベアの上部に搬送方向の中心から左右対称に干渉し合うことなく配置でき、装置自体のコンパクト化を実現でき、更には搬送上流の装置(カートンラック、封入物の収容機構など)や搬送下流の装置(接着後のカートンの束包装置など)の設計の自由度を高めることも可能となる。なお、棒状体ないし板状体とは、搬送方向から見た場合、棒のように細く伸びたものであれば、その断面形状や凹凸は特に限定されるものではない。
【0021】
また、請求項3記載の製函装置は、筒状に展開されたカートンを、その軸を搬送方向に対して直角かつ鉛直方向になるように搬送コンベア上で保持し、筒上下両端の4枚フラップのうち搬送方向前後のフラップをまず折り込み、次いでコンベア側フラップを折り込み、最後にコンベア側の反対側にある対向フラップを折り曲げてコンベア側フラップとの間でのり付けして製函する製函装置であって、搬送コンベアから立設し、搬送方向前後からカートンを把持してカートンを立てたまま搬送するカートンスペーサと、搬送コンベア外側に搬送方向に対して平行に所定間隔をあけて設けたガイドであって、カートンの外側方向への移動を規制する対向ガイドと、上下のフラップ分を取り除いた略カートン高さ分の間隔をあけて搬送方向上下に設けたガイドであって、搬送方向コンベア側に延伸する斜辺を有し、搬送に従って対向フラップを折り曲げていく対向フラップ折曲ガイドと、搬送コンベア外側から内側に延伸して搬送方向後側からあてがい、搬送コンベアと同じ速度で搬送方向へ移動してカートンの函形状を矯正する矯正体と、を具備したことを特徴とする。
【0022】
すなわち、請求項1に係る発明がカートンを横置きするカートナーであるのに対し、請求項3に係る発明は、カートンを縦置きするカートナーに関するものであって、対向ガイドと対向フラップ折曲ガイドの摩擦力でカートンを積極的に後ろ倒しさせる向きに力をかけ、矯正体がこれに抗して前向きに力をかけるため、適正な位置だしが可能となり、これにより、位置だしの安定性と確実性を高めて接着ずれを生じなくすることが実現される。
【0023】
なお、各部の構成ないし機能は、請求項1に係る発明と同様であり、搬送方向前後のフラップは左右のフラップに、コンベア側フラップは下フラップに、対向フラップは上フラップに、対向ガイドはトップガイドに、対向フラップ折曲ガイドは上フラップ折下ガイドにそれぞれ対応する。なお、請求項3に係る発明におけるカートンスペーサはカートンを前後から把持するが、請求項1に係る発明においても前後で把持する態様であっても良い。また、請求項2に係る発明を請求項3に係る発明に適用可能であることはいうまでもない。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、接着の位置だしの安定性と確実性を高め接着ずれが生じないようにすることが可能となる。具体的には、製函装置(請求項1)によれば、トップガイドと上フラップ折下ガイドの摩擦力でカートンを積極的に後ろ倒しさせる向きに力をかけ、矯正体がこれに抗して前向きに力をかけるため、適正な位置だしが可能となり、これにより、位置だしの安定性と確実性を高めて接着ずれを生じなくすることができる。また、製函装置(請求項2)によれば、位置だしを自動化可能となる。また、製函装置(請求項3)によれば、対向ガイドと対向フラップ折曲ガイドの摩擦力でカートンを積極的に後ろ倒しさせる向きに力をかけ、矯正体がこれに抗して前向きに力をかけるため、適正な位置だしが可能となり、これにより、位置だしの安定性と確実性を高めて接着ずれを生じなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施の形態の製函装置の概要側面図である。
【図2】本実施の形態の製函装置を搬送上流側から下流側へ見た正面図である。
【図3】カートンCの半成形状態と、筒状に展開された状態を示した説明図である。
【図4】本実施の形態の製函装置の下流側の概要構成を示した斜視図である。
【図5】アタッチメントの別の構成例を示した説明図である。
【図6】上フラップの接着状態の説明図である。
【図7】本発明を縦型カートナーとして適用した場合のカートンスペーサによるカートンCの把持の様子を示した平面図である。
【図8】従来の製函装置の一例を示した構成概要図である。
【図9】従来の製函装置のカートン姿勢の制御の様子を示した説明図である。
【図10】カートンの接着ずれの様子を示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施の形態の製函装置の概要側面図である。また、図2は、本実施の形態の製函装置を搬送上流側から下流側へ見た正面図である。図4は、本実施の形態の製函装置の下流側の構成の一部を示した外観斜視図である。なお、図では説明の便宜上一部の構成を抜いて表示しているものもある。
【0027】
製函装置100は、図示したように、搬送コンベア101と、トップガイド102と、下フラップ折上ガイド103と、糊ガン104(図4参照)と、上フラップ折下ガイド105と、アタッチコンベア106と、カメラシステム107と、を有する。
【0028】
本実施の形態では、扁平に折りたたまれた半成形のカートンC(図3(a))がラックから取り出され、筒状に展開された状態(図3(b))で搬送コンベア101の搬送ベルト111上に載置された後の製函の様子を説明する。図示したように、カートンCは、4枚フラップを有し、このうち、搬送ベルト111側にあるものを下フラップfd、左右にあるものをサイドフラップfs、上側(トップガイド102側)にあるものを上フラップfuと称することとする。これらのフラップは軸方向の両端にそれぞれあり、カートンCはその軸を搬送方向と直角になるように搬送ベルト111上に載置される。カートンCの大きさとしては、製函後に、縦(高さ)5cm、横6cm(搬送方向)、長さ(軸方向)15cmとなる例を挙げることができる。また、カートンCの厚みとしては、0.4mmの例を挙げることができる。
【0029】
なお、封入物は、予め搬送コンベア101の上流で横から挿入されているものとし、またサイドフラップfsは既に折りたたまれているものとする。
【0030】
カートンCは、搬送ベルト111上に所定間隔毎に上向き(外向き)に立設されたカートンスペーサ112により一つずつ区切られ、下流へ搬送されていく。カートンスペーサ112は、搬送ベルト111の搬送方向の中心線から左右対称に2本つきだしており、カートンCの後ろ側に当接している。カートンCは、封入物の封入時や、サイドフラップfsの折り曲げ時に、搬送方向に対して直角の姿勢からずれる場合もあるが、このずれは、下フラップ折上ガイド103を通過する際に自然に矯正される。すなわち、カートンスペーサ112は単なる仕切りではなく、カートンCの姿勢矯正部としても機能する。
【0031】
カートンスペーサ112は、搬送ベルト111に直付けされていてもよいが、搬送面に対して垂直に突出するのであれば別途チェンベルトで駆動されるようにしてもよい。なお、搬送ベルト111からの突き出し高さは、たとえば7cm程度とすることもできる。この場合は高さは、カートンCの高さ以上であるが、製函装置100は、図示するように、トップガイド102や後述のアタッチメント162は厚みが小さいので、互いに干渉しないように配置することができ、問題とならない。カートンスペーサ112の間隔は適宜調整でき、カートンの種類を変更したときは、これに対応可能としている。
【0032】
搬送ベルト111は無縁ベルトとなっており、プーリー113を回転させることにより搬送ベルト111およびカートンスペーサ112が移動する。このプーリー113はサーボモータ(図示せず)が駆動する。
【0033】
トップガイド102は、2枚の平板体であって、搬送方向の中心線から左右対称に搬送ベルト111に平行に配置している。その配置高さはカートンCの高さにわずかな間隙を加えたものとしている。また、その長さは少なくとも以降に説明する下フラップ折上ガイド103と上フラップ折下ガイド105を覆うものとしている。トップガイド102は、カートンCの搬送によって、カートンCが上方向に暴れるのを押さえ込む。すなわち、トップガイド102は、カートンスペーサ112と同様にカートンCの姿勢矯正部として機能する。なお、図示は省略するが、下辺121は面取りが施されている。これにより、カートンCがトップガイド102に当接しても、上面は傷付かない。
【0034】
上方向への移動規制は種々考えられるが、トップガイド102は駆動部を有しないので、製函装置100の設計の自由度を高め、また各種条件だしの簡便さに寄与する。なお、トップガイド102は、適宜高さを調整でき、カートンの種類が変更されたときは、これに対応可能としている。
【0035】
次に、下フラップ折上ガイド103、糊ガン104、上フラップ折下ガイド105について説明する。
カートンスペーサ112によりカートンCが搬送されると、まず、両方の下フラップfdが下フラップ折上ガイド103に当接し、そのまま押し込まれて上に折り上げられる。下フラップ折上ガイド103は、カートンCの長さに若干の間隙を加えた間隔で搬送方向の中心線から左右対称に配置された略平板状の部材である。斜辺131が搬送方向に対して斜め上にせり上がっているので、下フラップfdがすくい上げられ、自動的に折り曲げられていく。このとき、斜辺131によりカートンCは浮き上がろうとするが、トップガイド102により姿勢がそのまま維持され搬送される。下フラップfdの折り上げ機構は種々考えられるが、下フラップ折上ガイド103は駆動部を有しないので、製函装置100の設計の自由度を高め、また各種条件だしの簡便さに寄与する。
【0036】
なお、斜辺131も面取りがしてあり、カートンCに傷が付かないようにしている。また、下フラップ折上ガイド103は、適宜間隔を調整でき、カートンの種類が変更されたときは、これに対応可能としている。
【0037】
カートンCが更に下流に搬送されると、折り上げられた下フラップfdの先端部分は押さえ片132によりそのまま保持され、その下にのりしろNが露出する。ここで糊ガン104が接着剤を射出し、上フラップfuの接着準備が整う。
【0038】
糊ガン104も下フラップ折上ガイド103と同様に搬送路左右両側に配設されている。糊ガン104には内部にヒータがあり、温められると粘度が低くなる液状の接着剤が収容されている。この接着剤は、のりしろNに付着すると接着力を維持したまま液だれが生じない粘度となる。
【0039】
カートンCがカートンスペーサ112により更に下流に搬送されると、両方の上フラップfuが上フラップ折下ガイド105に当接し、そのまま押し込まれて下に折り下げられ、接着剤によって下フラップfdと接着する。上フラップ折下ガイド105も、カートンCの長さに若干の間隙を加えた間隔で搬送方向の中心線から左右対称に配置された平板状の部材である。斜辺151が搬送方向に対して斜め下に切り取られているので、上フラップfuが順次下に押しやられ、自動的に上フラップfuが折り曲げられる。
【0040】
このとき、斜辺151によりカートンCは後ろ側に押し戻されて倒れ込もうとするが、カートンスペーサ112により規制され、断面形状は四角形を維持する。また、カートンCの展開ぐせやラックに収容されていたときの折ぐせにより、それまで前方若しくは後方に倒れ断面形状が平行四辺形となっていた場合であっても、上フラップ折下ガイド105とカートンスペーサ112によりカートンCの断面形状は略四角形に整えられる。
【0041】
上フラップfuの折り下げ機構は種々考えられるが、上フラップ折下ガイド105は駆動部を有しないので、製函装置100の設計の自由度を高め、また各種条件だしの簡便さに寄与する。なお、斜辺151も面取りがしてあり、カートンCに傷が付かないようにしている。また、上フラップ折下ガイド105は、適宜間隔を調整でき、カートンの種類が変更されたときは、これに対応可能としている。
【0042】
上フラップfuの折下げの際、上述したように、上フラップ折下ガイド105とカートンスペーサ112によりカートンCの断面形状は略四角形に整えられる。しかしながら、厳密には、カートンスペーサ112は下が固定されているだけで上が開放しているので、上フラップ折下ガイド105によりカートンCが後ろ側(上流側)に押しつけられると、搬送ベルト111のあそびにより傾き、カートンCはわずかに後ろ側に倒れた平行四辺形となる。これは、接着ずれ(貼り合わせずれ)を招来するので、アタッチコンベア106がこれを矯正する。
【0043】
アタッチコンベア106は、タイミングベルト161と、アタッチメント162と、プーリー163と、サーボモータ164と、を有する(図4参照)。アタッチコンベア106は、搬送コンベア101の上方にこれと平行に配置され、アタッチメント162が搬送ベルト111と同速で搬送方向に移動する。このとき、アタッチメント162は、カートンCの後ろ側の上方から当接し、カートンCのわずかなずれを矯正し、接着ずれが生じないようにその形状をただす。すなわち、カートンCの姿勢は後ろ側から矯正され、カートンスペーサ112はその下側から、アタッチメント162はその上側から、その役割を担う。換言すれば、製函装置100は、カートンCの後ろ側の2つの角(2辺)を規制してカートンCの接着ずれをなくすのである。
【0044】
詳細な構成は次の通りである。アタッチメント162は、タイミングベルト161に所定間隔で外側に植設されており、タイミングベルト161の下側では鉛直下向きに延伸している。この植設間隔はカートンスペーサ112の間隔と同じにし、カートンスペーサ112の移動と同期させている。タイミングベルト161は図4に示したように、左右2本設け、これによりアタッチメント162はカートンCを左右対称に押し進めていく。
【0045】
タイミングベルト161は、それぞれプーリー163に捲回させ、プーリー163は、サーボモータ164により駆動される。サーボモータ164は、アタッチメント162の移動速度が搬送ベルト111の搬送速度と同じになるように駆動し、後述するように、接着位置のずれをフィードバックして、正しい接着位置が確保されるようにアタッチメント162の位置を調節する。
【0046】
なお、本実施の形態では、アタッチメント162を、長さ2cm、巾7mm、厚み2mmの平板体としているが、これに限定されず、角棒であっても、円柱棒であってもよい。巾の大きくない平板体であれば場所をとらずに形状矯正が可能となり、また、製函装置100の設計の自由度を高める。なお、アタッチメントは、図5に示したようなL字状のいわば背板とすることもできる。この場合は、中央に配置できるのでタイミングベルトを一本にしてこの点から装置構成を簡素化することもできる。なお、アタッチコンベア106は、適宜高さを調整でき、カートンの種類が変更されたときは、これに対応可能としている。
【0047】
上フラップ折下ガイド105を通過したカートンCは、つづいて、両側面からカメラシステム107により、のり付け面が撮影され、接着位置がずれていないかを検品すると共に、位置ずれが生じそうな場合は、サーボモータ164にフィードバックさせ、位置ずれを未然に防ぐ。これはまず、カメラシステム107が両側の上フラップfuの接着状態をカートンCの通過毎に撮影することによりおこなわれる。図6は、フラップの様子を示した説明図である。位置ずれは、図のa,bの距離を測定することにより判定し、接着位置のずれが所定範囲内でない場合には、制御信号によりサーボモータ164がタイミングベルト161を前後させ、アタッチメント162の位置を変更してずれが生じないように制御する。なお、この判定および制御信号の生成は、カメラシステム107内でおこなってもよく、サーボモータ164でおなってもよい。
【0048】
仕様の態様によっては、過去5回(5個のカートンC)のずれの平均値を毎回算出して、これに基づいて少しずつアタッチメント162の位置を変更するようにしてもよい。
【0049】
以上説明したように、製函装置100によれば、上フラップ折下ガイド105によりカートンCを押し倒そうとする後ろ向きの力に抗するように、カートンスペーサ112とアタッチメント162が2方向から(カートンCの後ろ側の下辺と上辺から)協働して押し戻すため、安定的かつ正確にカートンCの姿勢を矯正可能となる。これにより、上フラップfuの接着ずれを生じないようにすることが可能となる。
【0050】
なお、製函装置の配向を変え、縦型カートナーとすることもできる。各部の構成は実質的にほとんど変わらず、図1を縦型カートナーの平面図と同一視すればよいためその詳細な説明は省略する。但し、カートンスペーサによりカートンCを把持するため、搬送方向前後にカートンCを配置するようにする(図7参照)。このとき、カートンスペーサは、適宜その表面をゴムで被覆して安定的な把持を実現するようにする。また、別途、カートンCの保持手段を設けるようにしても良い。
【0051】
なお、横型カートナーである製函装置100においてカートンスペーサ112をカートンCの前後に配して(すなわち搬送ベルト111から4本つきだして)これを挟み込み、より安定的に搬送するようにしてもよい。

【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明によれば、最低限の駆動系の導入により、汎用的なカートナーを提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0053】
100 製函装置
101 搬送コンベア
102 トップガイド
103 下フラップ折上ガイド
104 糊ガン
105 上フラップ折下ガイド
106 アタッチコンベア
107 カメラシステム
111 搬送ベルト
112 カートンスペーサ
113 プーリー
121 下辺
131 斜辺
132 押さえ片
151 斜辺
161 タイミングベルト
162 アタッチメント
163 プーリー
164 サーボモータ
fd 下フラップ
fs サイドフラップ
fu 上フラップ
N のりしろ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に展開されたカートンを、その軸を搬送方向に対して直角になるように搬送コンベア上に載置し、筒両端の4枚フラップの左右のフラップをまず折り込み、次いで下フラップを折り上げ、最後に上フラップを折り下げて下フラップとの間でのり付けして製函する製函装置であって、
搬送コンベアから立設し、搬送方向後側から規制してカートンを搬送しつつその搬送姿勢を保持するカートンスペーサと、
搬送コンベア上部に搬送方向に対して平行に略カートン高さ分の間隔をあけて設けたガイドであって、カートンの高さ方向への移動を規制するトップガイドと、
フラップ分を取り除いた略カートン長さ分の間隔をあけて搬送方向左右に設けたガイドであって、搬送方向斜め下に延伸する斜辺を有し、搬送に従って上フラップを折り下げていく上フラップ折下ガイドと、
搬送コンベア上部から鉛直下向きに延伸して搬送方向後側からあてがい、搬送コンベアと同じ速度で搬送方向へ移動してカートンの函形状を矯正する矯正体と、
を具備したことを特徴とする製函装置。
【請求項2】
上フラップ折下ガイド通過後のカートンの上フラップの接着状態を撮影する撮影手段と、
撮影手段により撮影された接着状態に基づいて上フラップの接着位置のずれが所定範囲内であるかを判定する位置ずれ判定手段と、
位置ずれ判定手段により上フラップの接着位置のずれが所定範囲内でない場合に、矯正体の位置を前後に移動させて位置ずれが所定範囲内となるように制御するずれ制御手段と、
を具備したことを特徴とする請求項1に記載の製函装置。
【請求項3】
筒状に展開されたカートンを、その軸を搬送方向に対して直角かつ鉛直方向になるように搬送コンベア上で保持し、筒上下両端の4枚フラップのうち搬送方向前後のフラップをまず折り込み、次いでコンベア側フラップを折り込み、最後にコンベア側の反対側にある対向フラップを折り曲げてコンベア側フラップとの間でのり付けして製函する製函装置であって、
搬送コンベアから立設し、搬送方向前後からカートンを把持してカートンを立てたまま搬送するカートンスペーサと、
搬送コンベア外側に搬送方向に対して平行に所定間隔をあけて設けたガイドであって、カートンの外側方向への移動を規制する対向ガイドと、
上下のフラップ分を取り除いた略カートン高さ分の間隔をあけて搬送方向上下に設けたガイドであって、搬送方向コンベア側に延伸する斜辺を有し、搬送に従って対向フラップを折り曲げていく対向フラップ折曲ガイドと、
搬送コンベア外側から内側に延伸して搬送方向後側からあてがい、搬送コンベアと同じ速度で搬送方向へ移動してカートンの函形状を矯正する矯正体と、
を具備したことを特徴とする製函装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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