説明

カートン

【課題】容器本体を安定した状態で把持できるカートンを提供する。
【解決手段】板紙に罫線を入れて裁断されたブランクシートを罫線に沿って折り曲げて接着剤で貼り合わせてなるカートン1において、ブランクシートの本体パネルを罫線に沿って折り曲げることによって形成される胴部30aの角部に面取り部70を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板紙に罫線を入れて裁断されたブランクシートを罫線に沿って折り曲げて接着剤で貼り合わせてなるカートンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、粉末洗剤などの粉体(内容物)を収容するための容器として、板紙に罫線を入れて裁断されたブランクシートを罫線に沿って折り曲げて接着剤で貼り合わせてなるカートンが採用されている。このようなカートンは、側板に設けられた振出し口から粉末洗剤を取り出すタイプもあるが、近年は容器のコンパクト化や使用性の向上のため、容器本体の上面開口部を覆う蓋体を開閉自在に取り付けて、計量スプーンにより内部の粉末洗剤を計量して取り出せるタイプが一般的となっている。
【0003】
また、カートンの組み立てに際しては、通常は包装材料メーカで印刷などの表面処理や、罫線を入れる罫線加工などを行った板紙から打抜き加工によって所定の形状に型抜きされたブランクシートを作製する。このブランクシートは、4つの側板と1つの糊代とが罫線を挟んで順次連接された本体パネルを有している。
次に、このブランクシートの本体パネルを折曲げ加工により罫線に沿って折り曲げて折りグセを付けた後に、本体パネルの一端の側板に連接された糊代に他端の側板を接着剤で貼着して筒状の胴部を形成する(サック貼りという。)。また、胴部を形成する前に、必要に応じて胴部の上面側に連接された補強用のフラップを胴部の内側に折り曲げて接着剤で貼着する。そして、サック貼り後のブランクシートは、胴部を扁平状に折り畳んだ状態のまま次工程へと送られる。
次工程では、扁平状に折り畳まれた胴部を角筒状に起函した後に、この胴部の底面側に連接された封緘用のフラップを折り曲げて接着剤で貼着することにより、胴部の底面開口部を封緘する。これにより、容器本体が作製される。そして、この作製された容器本体に粉末洗剤を充填した後に、胴部に取り付けた蓋体で容器本体の上面開口部を封止することによって、粉末洗剤入りカートンとして仕上げられる。
【0004】
ところで、上述した粉末洗剤入りカートンを使用する場合、容器本体を片手で把持しながら、計量スプーンにより内部の粉末洗剤を計量して取り出すといった操作を行う。しかしながら、このようなカートンでは、印刷の保護や見栄えを良くするため、ブランクシートの表面にニスコーティングなどの光沢処理が施されており、表面が非常に滑り易くなっている。このため、容器本体を把持した際に手元が滑ってカートンを落としてしまうことが無いよう改善する必要である。特に、水回りで使用される粉末洗剤入りカートンでは、濡れた手で容器本体を把持する場合や、握力の小さい人が容器本体を把持する場合であっても、容器本体を安定した状態で把持できることが求められる。
【0005】
なお、本発明に関連する公知文献として下記特許文献1がある。
具体的に、この特許文献1には、サック貼りした時に折曲げ線となる折罫を、それぞれ主罫線の途中に潰し罫を備えた折罫で構成し、該潰し罫を主罫線に平行な2本の直線部分とこれら直線部分と主罫線とをY字状に連結する連結部分とで構成した紙カートンが記載されている。
この特許文献1には、上述した「潰し罫」という本発明の「面取り部」に似た構成が記載されている。しかしながら、この「潰し罫」は、「サック貼り方式で製函するブランクにおいて起函が容易となること」、並びに「ラップランド方式で製函するブランクにおいて確実に折罫のところで折り曲げること」を目的としたものである。したがって、特許文献1に記載される「潰し罫」は、その形成する目的も、その形状等も、本発明の「面取り部」とは大きく異なっている。すなわち、この「潰し罫」は、本発明の「面取り部」とは全く異なる技術思想に基づくものであって、本発明の課題を解決する有効な手段とはなり得ない。
【特許文献1】特開平8−301266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、容器本体を安定した状態で把持できるカートンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、板紙に罫線を入れて裁断されたブランクシートを備え、前記ブランクシートは、第1罫線を挟んで順次隣り合う4つの側板と、第1罫線を挟んで一端の側板と隣り合う糊代とが前記第1罫線と直交する方向に順次連接された本体パネルと、前記本体パネルの前記第1罫線と直交する一辺に沿った第2罫線を挟んで前記側板と連接された上面フラップと、前記本体パネルの前記第1罫線と直交する他辺に沿った第3罫線を挟んで前記側板と連接された底面フラップとを有し、前記上面フラップを前記第2罫線に沿って前記胴部の内側に折り返して、前記側板の内面に貼着し、前記本体パネルを前記第1罫線に沿って折り曲げて、前記糊代に他端の側板を貼着して筒状の胴部とし、前記胴部を起函した後に前記底面フラップを前記第3罫線に沿って折り曲げて、前記胴部の底面開口部を封緘することによって容器本体が構成されるカートンであって、前記容器本体は、前記本体パネルを前記第1罫線に沿って折り曲げることによって形成される胴部の角部の少なくとも1箇所に面取り部を有し、前記面取り部は、前記第1罫線を上下に分断する1つの長手領域を形成すると共に、この長手領域を区画する第4罫線によって形成されていることを特徴とするカートンである。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、前記長手領域が、前記第1罫線と連続する第4罫線によって区画されていることを特徴とする請求項1に記載のカートンである。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、前記長手領域が、前記第1罫線とは不連続な第4罫線によって区画されていることを特徴とする請求項1に記載のカートンである。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、前記長手領域内に、前記第1罫線と直交する第5罫線が形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のカートンである。
【0011】
また、請求項5に係る発明は、前記面取り部が、罫線加工又はデボス加工によって形成されたことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のカートンである。
【0012】
また、請求項6に係る発明は、前記容器本体の上面開口部を覆う蓋体を備えることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のカートンである。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明に係るカートンでは、本体パネルを第1罫線に沿って折り曲げることによって形成される胴部の角部に面取り部を設けることによって、このような面取り部を設けない場合よりも、容器本体を安定した状態で把持することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を適用したカートンについて、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態として図1に示すカートン1について説明する。
このカートン1は、図1に示すように、内容物として粉末洗剤を収容する紙製の容器であり、粉末洗剤を収容する収容空間を形成する容器本体2と、この容器本体2の上面開口部を覆う蓋体3とを備え、計量スプーン(図示せず。)により内部の粉末洗剤を計量して取り出せるようになっている。
【0015】
容器本体2は、図2に示すように、板紙に罫線を入れて所定の形状に裁断されてなるブランクシート20を罫線に沿って折り曲げて接着剤で貼り合わせることにより組み立てられている。このブランクシート20は、例えば、紙を主体とし、積層した層構成の一部に樹脂を用いた厚さ0.6〜1.0mm程度の板紙からなる。また、このブランクシート20の表面には印刷などが施され、更に、印刷の保護や見栄えを良くするため、このブランクシートの表面200には例えばOPニス加工などの光沢処理が施されている。
【0016】
ブランクシート20は、第1罫線L1を挟んで順次隣り合う4つの側板31,32,33,34と、第1罫線を挟んで一端の側板31と隣り合う糊代35とが第1罫線L1と直交する方向に順次連接された本体パネル30と、本体パネル30の第1罫線L1と直交する一辺に沿った第2罫線L2を挟んで各側板31,32,33,34と連接された4つの上面フラップ41,42,43,44と、本体パネル30の第1罫線L1と直交する他辺に沿った第3罫線L3を挟んで各側板31,32,33,34と連接された4つの底面フラップ51,52,53,54とを有している。
【0017】
本体パネル30は、図1に示すように、側板31,32,33,34及び糊代35を第1罫線L1に沿って折り曲げて、糊代35に他端の側板34を接着剤で貼着し、容器本体2の背面と正面とを構成する一対の側板(メインパネルという。)31,33と、両側面を構成する一対の側板(サイドパネルという。)32,34とを各々対面させることによって角筒状の胴部30aを構成する。また、胴部30aは、長方形を為す一対のメインパネル31,33の幅が、同じく長方形を為す一対のサイドパネル32,34の幅よりも幅広とされると共に、その上面側に長方形を為す上面開口部30bと、その底面側に長方形を為す底面開口部30cとを有している。
【0018】
背面のメインパネル31には、図1及び図2に示すように、蓋体3を開閉自在に取り付けるためのヒンジ部36が設けられている。このヒンジ部36は、その輪郭に沿った切れ込みをメインパネル31に入れることによって形成されている。また、ヒンジ部36は、上向きに凸状を為しており、その下端部に形成されたミシン目状の罫線36aに沿って折り曲げ可能となっている。正面のメインパネル33には、後述する蓋体3のロック片62が差し込まれる差込み口37が設けられている。この差込み口37は、その輪郭に沿ってメインパネル33を打ち抜くことによって形成されている。
【0019】
上面フラップ41,42,43,44は、胴部30aの上面開口部30b付近を補強するための補強用のフラップであり、各側板31,32,33,34の上端部から延長して設けられている。また、第2罫線L2は、ブランクシート20の表面側から板紙の半分程度の厚さまで切り込みを入れた半切り線からなっている。なお、第2罫線L2は、半切り線に限らず、押し罫又はこれらを組み合わせたものであってもよい。
【0020】
容器本体2は、図1に示すように、上面フラップ41,42,43,44を第2罫線L2に沿って胴部30aの内側に折り返し、側板31,32,33,34の内面に接着剤で貼着することによって、蓋体3が被せられる容器本体2(胴部30a)の上面開口部30b付近における強度、並びに容器本体2に対する蓋体3の取付付近における強度を高めることが可能となっている。なお、正面及び背面側の上面フラップ41,43は、第2罫線L2に沿って胴部30aの内側に折り返したとき、上述したヒンジ部36や差込み口37と折り重なっている。
【0021】
底面フラップ51,52,53,54は、胴部30aの底面開口部30cを封緘するための封緘用のフラップであり、具体的には、サイドパネル32,34の下端部から延長された一対のサイドフラップ52,54と、メインパネル31,33の下端部から延長された一対のメインフラップ51,53とから構成されている。
【0022】
一対のサイドフラップ52,54には、それぞれエンボス部55a,55bが形成されている。これらエンボス部55a,55bは、その輪郭を階段状とし、正面側のメインフラップ53が折り重なる領域を表面に向かって凸状を為している。したがって、これらエンボス部55a,55bが形成されていない領域、すなわち正面側のメインフラップ51が折り重なる領域は、これらエンボス部55a,55bの厚み分だけ相対的に低くなっている。また、エンボス部55a,55bの厚みは、メインフラップ51の厚みに対応している。正面側のメインフラップ51には、これらエンボス部55a,55bに対応した一対の切欠き部56a,56bが形成されている。一対の切欠き部56a,56bは、上述したエンボス部55a,55bの輪郭に沿って階段状に切り欠かれている。
【0023】
容器本体2は、図1に示すように、一対のサイドフラップ52,54を第3罫線L3に沿って折り曲げた後に、背面側のメインフラップ51を第3罫線L3に沿って折り曲げながら一対のサイドフラップ52,54に折り重ねて接着剤で貼着し、更に、正面側のメインフラップ53を第3罫線L3に沿って折り曲げながら一対のサイドフラップ52,54及び背面側のメインフラップ51に折り重ねて接着剤で貼着することによって、胴部30aの底部開口部30cを封緘することが可能となっている。
【0024】
また、一対のサイドフラップ52,54に背面側のメインフラップ51が折り重ねられたとき、エンボス部55a,55bと背面側のメインフラップ51とが略一致した高さとなる。これにより、エンボス部8a,8bと背面側のメインフラップ51との間に亘って形成された平らな面に正面側のメインフラップ53を折り重ねて接着剤で貼着することができる。
【0025】
蓋体3は、図1に示すように、板紙に罫線を入れて所定の形状に裁断されてなるブランクシート(図示を省略する。)を罫線に沿って折り曲げて接着剤で貼り合わせることにより組み立てられている。なお、蓋体3を構成するブランクシートは、上記ブランクシート20と同じ材質の板紙からなる。
【0026】
蓋体3は、長方形を為す天板3aと、この天板3aの四辺に折り曲げ可能に連接された4つの側板3b,3c,3d,3eとを有し、その背面と正面とを構成する一対の側板3b,3dと、その両側面を構成する一対の側板3c,3eとを各々対面させて、側板3c,3eに折り曲げ可能に連接された一対の糊代3fをそれぞれ側板3c,3eの内面に接着剤で貼着することによって構成されている。そして、この蓋体3は、上記容器本体2の上面部に被せた状態で、側板3bの内面を上記ヒンジ部36に接着剤で貼着することによって、容器本体2に開閉自在に取り付けられる。
【0027】
蓋体3には、容器本体2に固定するためのロック機構60が設けられている。このロック機構60は、蓋体3を容器本体2に固定する際に操作される摘み片61と、この摘み片61を操作しながら上記差込み口37から側板33と上面フラップ43との間の隙間に差し込まれるロック片62とを有している。
【0028】
具体的に、摘み片61は、側板3dの下端部中央から下方に向かって突出されると共に、ロック片62を挟んだ両側に位置する一対の罫線61aに沿って折り曲げ可能となっている。一方、ロック片62は、摘み片61の内側に位置して、一対の罫線61aを結ぶラインよりも上向きに凸状を為している。また、ロック片62は、その輪郭に沿った切れ込みを側板3dに入れることによって形成されている。
【0029】
このロック機構60では、摘み片61を持ち上げて、ロック片62を差込み口37から側板33と上面フラップ43との間の隙間に差し込みながら、摘み片61を下げる、いわゆるコハゼ掛けによって蓋体3を容器本体2に固定することが可能となっている。
【0030】
次に、上記カートン1の製造工程について説明する。
上記カートン1を製造する際は、通常は包装材料メーカで印刷などの表面処理や、罫線を入れる罫線加工などを行った板紙から打抜き加工によって、上記形状に型抜きされたブランクシート20を作製する。
【0031】
次に、この型抜きされたブランクシート20の上面フラップ41,42,43,44を第2罫線L2に沿って胴部30aの内側に折り返し、各側板31,32,33,34の内面に接着剤で貼着する。次に、本体パネル30を構成する4つの側板31,32,33,34のうち、糊代35と背面のメインパネル31との間及び一方のサイドパネル32と正面のメインパネル33との間の第1罫線L1に沿って折り曲げて折りグセを付けた後に、背面のメインパネル31と一方のサイドパネル32との間及び正面のメインパネル33と他方のサイドパネル34との間の第1罫線L1に沿って折り曲げて、本体パネル30の糊代35に他方のサイドパネル34を接着剤で貼着し、筒状の胴部30aを形成する(サック貼りという。)。
【0032】
ここで、サック貼り後のブランクシート20は、図3に示すように、胴部30aを扁平状に折り畳んだ状態のまま、輸送箱(図示せず。)に詰め込まれて次工程へと送られる。次工程では、扁平状に折り畳まれた胴部30aを角筒状に起函した後に、一対のサイドフラップ52,54を第3罫線L3に沿って折り曲げた後に、背面側のメインフラップ51を第3罫線L3に沿って折り曲げながら一対のサイドフラップ52,54に折り重ねて接着剤で貼着し、更に、正面側のメインフラップ53を第3罫線L3に沿って折り曲げながら一対のサイドフラップ52,54及び背面側のメインフラップ51に折り重ねて接着剤で貼着する。これにより、胴部30aの底面開口部30cが封緘された容器本体2が作製される。
【0033】
そして、この作製された容器本体2に粉末洗剤を充填した後に、蓋体3をヒンジ部36に接着剤で貼着し、容器本体2(胴部30a)の上面開口部30bを蓋体3で封止する。これにより、粉末洗剤入りカートンとして仕上げられる。なお、上記ブランクシート20には、図2に示すように、空になった容器本体2を捨てる際に折り畳み易くするための罫線38が設けられている。
【0034】
ところで、本発明を適用した上記カートン1では、図1及び図2に示すように、容器本体2の胴部30aを把持し易くするための面取り部70が設けられている。
具体的に、この面取り部70は、角筒状に起函された胴部30aの4つの角部において、それぞれが第1罫線L1を上下に分断する1つの長手領域71を形成している。この長手領域71は、図4(a)に拡大して示すように、第1罫線L1に平行な2つの第4罫線L4の両端と上下の第1罫線L1とをそれぞれ結ぶことよって区画されている。
【0035】
なお、胴部30aの4つの角部のうち、背面のメインパネル31と他方のサイドパネル34との間の角部は、糊代35に他方のサイドパネル34が貼着された部分である。したがって、この部分の見栄えを良くするために、他方のサイドパネル34の側端部には、図2に示すように、第4罫線L4の輪郭に沿った切欠き部72が設けられている。
【0036】
第4罫線L4によって区画される長手領域71は、罫線加工又はデボス加工によって形成することができる。罫線加工の場合には、本体パネル30を第4罫線L4に沿って折り曲げ易くすることができる。一方、デボス加工の場合には、第4罫線L4によって区画される長手領域71が周囲の面と滑らかに接続するため、罫割れを防ぐだけでなく、外観の見栄えを優れたものにできる。
【0037】
本発明を適用したカートン1では、第4罫線L4に沿って本体パネル30を折り曲げたときに、この第4罫線L4によって区画された長手領域71が角部の一部を長手方向に亘って平坦化することによって、上述した面取り部70が形成されている。本発明を適用したカートン1では、このような面取り部70を胴部30aの角部に設けることによって、容器本体2が把持し易くなる。
【0038】
また、容器本体2を把持し易くするため、面取り部70の長さDは、少なくとも15mm以上とすることが好ましい。この面取り部70の長さDが15mm未満であると、容器本体2を把持しづらくなる。
なお、面取り部70の長さDの上限については、この面取り部70を挟んで上下に位置する第1罫線L1をどの程度確保するかによって設定すればよい。すなわち、第1罫線L1については、少なくとも5mm以上確保することが好ましい。この第1罫線L1の長さが5mm未満であると、第1罫線の部分に罫線割れが生じるおそれがある。
一方、面取り部70の幅Wは、3〜20mmの範囲とすることが好ましい。この面取り部70の幅Wが3mm未満であると、面取り部70の幅Wが狭くなり過ぎてしまい、容器本体2を把持し易くなるといった効果を充分に得られなくなる。また、この面取り部70の幅Wが20mmを超えると、面取り部70の幅Wが広くなり過ぎてしまい、胴部30aを角筒状に起函しづらくなる。さらに、第1罫線L1と第4罫線L4との間で折りグセが付かず、見栄えも悪くなる。
【0039】
以上のように、本発明を適用したカートン1では、上述した面取り部70を胴部30aの角部に設けることによって、容器本体2を安定した状態で把持することが可能である。特に、上述した光沢処理などにより表面が滑り易くなっているカートン1では、面取り部70を設けることによって、例えば濡れた手で容器本体2を把持する場合や、握力の小さい人が容器本体2を把持する場合であっても、容器本体2を安定した状態で把持することが可能である。したがって、容器本体2を片手で把持しながら、計量スプーンにより内部の粉末洗剤を計量して取り出すといった操作を行った際に、手元が滑ってカートン1を落としてしまうといったことを未然に防ぐことが可能である。
【0040】
なお、本発明は、上記カートン1の構成に必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記面取り部70は、上述した胴部30aの4つの角部のうち、少なくとも1箇所に配置すればよい。また、上記面取り部70は、上述した角部上に複数並べて配置することも可能である。
【0041】
また、面取り部70は、上述した図4(a)に示すように、平行に並ぶ2つの第4罫線L4の両端と上下の第1罫線L1とをそれぞれ曲線的に結ぶことによって長手領域71を区画した形状のものに限らず、例えば図4(b)に示すように、平行に並ぶ2つの第4罫線L4の両端と上下の第1罫線L1とをそれぞれ直線的に結ぶことによって長手領域71を区画した形状のものであってもよい。
【0042】
また、面取り部70は、上述した図4(a),(b)に示すような前記第1罫線L1と連続する第4罫線L4によって長手領域71を区画したものに限らず、例えば図4(c)に示すように、第1罫線L1とは不連続な第4罫線L4によって長手領域71を区画したものであってもよい。この場合、第4罫線L4は、第1罫線L1に平行、且つ、長手領域71の両端にある第1罫線L1に一部厚み方向に重なる位置まで形成することが好ましい。これにより、本体パネル30を第4罫線L4に沿って折り曲げ易くすることができる。また、第1罫線L1と第4罫線L4との間で罫割れ等が生じるのを防ぐことができ、外観の見栄えも良くすることができる。
【0043】
さらに、面取り部70は、図4(d)に示すように、長手領域71内に第1罫線L1と直交する第5罫線L5を形成したものであってもよい。この場合、本体パネル30を第4罫線L4に沿って折り曲げ易くすると共に、長手領域71の第1罫線L1と直交する方向の強度を高めることができる。また、このような第5罫線L1を長手領域71の長手方向に複数並べて形成することによって、滑り止めとしても機能することになる。
【0044】
なお、上述した面取り部70の長手領域71を区画する2つの第4罫線Lは、必ずしも平行である必要はなく、2つの第4罫線Lを互いに外向き円弧状に形成することによって、長手領域71の中央部を両端部よりも幅広とした形状や、2つの第4罫線Lを互いに内向き円弧状に形成することによって、長手領域71の中央部を両端部よりも幅狭とした形状としてもよい。また、2つの第4罫線Lによって区画される長手領域71は、第1罫線L1を挟んで左右の幅を異ならせた形状や上下の幅を異ならせた形状とすることもできる。さらに、長手領域71を多角形状としてもよい。また、上述した面取り部70は、角部の中央に限らず、上方又は下方に偏倚して設けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、本発明を適用したカートンの一例を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示すカートンを構成するブランクシートの平面図である。
【図3】図3は、図2に示すブランクシートのサック貼り後の折り畳み状態を示す平面図である。
【図4】図4は、面取り部の構成例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0046】
1…カートン 2…容器本体 3…蓋体 20…ブランクシート 30…本体パネル 31,32,33,34…側板 35…糊代 36…ヒンジ部 37…差込み口 41,42,43,44…上面フラップ 51,52,53,54…底面フラップ 60…ロック機構 61…摘み片 62…ロック片 70…面取り部 71…長手領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板紙に罫線を入れて裁断されたブランクシートを備え、前記ブランクシートは、第1罫線を挟んで順次隣り合う4つの側板と、第1罫線を挟んで一端の側板と隣り合う糊代とが前記第1罫線と直交する方向に順次連接された本体パネルと、前記本体パネルの前記第1罫線と直交する一辺に沿った第2罫線を挟んで前記側板と連接された上面フラップと、前記本体パネルの前記第1罫線と直交する他辺に沿った第3罫線を挟んで前記側板と連接された底面フラップとを有し、
前記上面フラップを前記第2罫線に沿って前記胴部の内側に折り返して、前記側板の内面に貼着し、前記本体パネルを前記第1罫線に沿って折り曲げて、前記糊代に他端の側板を貼着して筒状の胴部とし、前記胴部を起函した後に前記底面フラップを前記第3罫線に沿って折り曲げて、前記胴部の底面開口部を封緘することによって容器本体が構成されるカートンであって、
前記容器本体は、前記本体パネルを前記第1罫線に沿って折り曲げることによって形成される胴部の角部の少なくとも1箇所に面取り部を有し、
前記面取り部は、前記第1罫線を上下に分断する1つの長手領域を形成すると共に、この長手領域を区画する第4罫線によって形成されていることを特徴とするカートン。
【請求項2】
前記長手領域は、前記第1罫線と連続する第4罫線によって区画されていることを特徴とする請求項1に記載のカートン。
【請求項3】
前記長手領域は、前記第1罫線とは不連続な第4罫線によって区画されていることを特徴とする請求項1に記載のカートン。
【請求項4】
前記長手領域内には、前記第1罫線と直交する第5罫線が形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のカートン。
【請求項5】
前記面取り部が、罫線加工又はデボス加工によって形成されたことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のカートン。
【請求項6】
前記容器本体の上面開口部を覆う蓋体を備えることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のカートン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−155946(P2008−155946A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−346009(P2006−346009)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】