説明

カードランからなる液晶ゲル及びその製造方法

【課題】 カードラン分子自体がゲル化機能と液晶形成機能を併せ持つとともに、人体に害を及ぼさず生分解性を有し、光学的に複屈折率の勾配を有するカードランからなる液晶ゲルを製造する。
【解決手段】 カードランからなる液晶ゲルは、糸状、円柱状又は球状に形成され、糸状及び円柱状の場合、長手方向に垂直な断面で観察したときに、また球状の場合直径方向で観察したときに、それぞれ中心から放射状に配向しかつ同心円状の多層構造を有する。円柱状液晶ゲルは、アルカリ濃度が0.05〜2規定である40℃以下のアルカリ性水溶液にカードラン0.5〜12重量部を溶解してなる原液を透析膜チューブに充填密封した後、カルシウム濃度が0.02〜7.2規定であるカルシウム塩を含む45℃以下の水溶液中に浸漬して原液を透析することにより製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードランからなる糸状、円柱状、球状の液晶ゲルに関し、更にこの液晶ゲルを透析により製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カードランは生体に対する毒性がないため、食品、医薬品等の種々の用途に供せられている。多くの場合、カードランはハイドロゲルとして用いられる。ハイドロゲルの調製方法としては、カードラン粉末を水に分散して加熱することによりゲル化させる方法や、アルカリ性水溶液にカードランが溶解した溶解液から中和などによって溶解性物質を前記溶解液から減少させてゲル化した後、所定の形状に成形する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、カードランをアルカリ性水溶液に溶解して調製した紡糸原液を、アルカリ土類金属塩、又はアルカリ金属塩を主成分とする非酸性水溶液からなる凝固浴に吐出して糸条を形成させることを特徴とするカードラン繊維の製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特公昭48−44865号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開平7−310238号公報(請求項1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1及び2に記載された方法は、均質なゲル化したカードランを製造することを目的とするだけであって、本発明のようなカードラン分子自体がゲル化機能と液晶形成機能を併せ持つようにカードランからなる液晶ゲルを製造するものではない。
【0004】
本発明の第1の目的は、カードラン分子自体がゲル化機能と液晶形成機能を併せ持つカードランからなる液晶ゲル及びその製造方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、人体に害を及ぼさず、生分解性を有するカードランからなる液晶ゲルを提供することにある。
本発明の第3の目的は、光学的に複屈折率の勾配を有するカードランからなる液晶ゲルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願請求項1に係る発明は、糸状又は円柱状に形成され、長手方向に垂直な断面で観察したときに中心から放射状に配向しかつ同心円状の多層構造を有するカードランからなる液晶ゲルである。
本発明における「液晶ゲル」とは、カードラン分子の凝集状態が液晶であるとともにゲルであるものをいう。
【0006】
本願請求項3に係る発明は、アルカリ濃度が0.05〜2規定である0〜40℃のアルカリ性水溶液100重量部に分子量が20万以上のカードラン0.5〜12重量部又は再生カードランであるパラミロン10〜30重量部を溶解して原液を調製する工程と、この原液を透析膜のチューブに充填して密封する工程と、チューブに充填密封した原液を0.02規定から飽和濃度までの範囲内のカルシウム塩、マグネシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、銅塩、鉄塩、マンガン塩、カドミウム塩、コバルト塩、或いはアルミニウム塩を含む0〜45℃の水溶液中に浸漬して上記原液を透析することにより、カードラン分子のコンフォメーション変化とカルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、鉄、マンガン、カドミウム、コバルト、或いはアルミニウムによって誘発された架橋を生じさせてチューブ長手方向に垂直な断面で観察したときに中心から放射状に配向しかつ同心円状の多層構造を有する円柱状液晶ゲルをチューブ内に生成する工程とを含むカードランからなる液晶ゲルの製造方法である。
【0007】
本願請求項5に係る発明は、球状に形成され、直径断面で観察したときに中心から放射状に配向しかつ同心円状の多層構造を有するカードランからなる液晶ゲルである。
本願請求項7に係る発明は、アルカリ濃度が0.05〜1規定である0〜40℃のアルカリ性水溶液100重量部に分子量が20万以上のカードラン3〜12重量部又は再生カードランであるパラミロン10〜30重量部を溶解して原液を調製する工程と、この原液を0.1規定から飽和濃度までの範囲内のカルシウム塩、マグネシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、銅塩、鉄塩、マンガン塩、カドミウム塩、コバルト塩、或いはアルミニウム塩を含む0〜45℃の水溶液中に滴下してこの水溶液中において液滴全周囲に透析膜を形成するとともに上記原液を透析することにより、カードラン分子のコンフォメーション変化とカルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、鉄、マンガン、カドミウム、コバルト、或いはアルミニウムによって誘発された架橋を生じさせて直径断面で観察したときに中心から放射状に配向しかつ同心円状の多層構造を有する球状液晶ゲルを前記透析膜内に生成する工程とを含むカードランからなる液晶ゲルの製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本願請求項1に係るカードランからなる液晶ゲルは、糸状又は円柱状に形成され、長手方向に垂直な断面で観察したときに中心から放射状に配向しかつ同心円状の多層構造を有するため、上記断面では光学的に複屈折率の勾配を有する。
【0009】
本願請求項3に係る方法では、所定のアルカリ濃度と温度を有するアルカリ性水溶液に所定の割合でカードランを溶解することにより所望の粘性を有する原液が調製され、この原液を充填密封した透析チューブを所定の濃度と温度を有するカルシウム塩、マグネシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、銅塩、鉄塩、マンガン塩、カドミウム塩、コバルト塩、或いはアルミニウム塩を含む水溶液中に浸漬して透析することにより、カードラン分子のコンフォメーション変化とカルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、鉄、マンガン、カドミウム、コバルト、或いはアルミニウムによって誘発された架橋を生じさせてチューブ長手方向に垂直な断面で観察したときに中心から放射状に配向しかつ同心円状の多層構造を有する円柱状液晶ゲルがチューブ内に生成される。この液晶ゲルはカードラン分子自体がゲル化機能と液晶形成機能を併せ持つ特徴を有する。
【0010】
本願請求項5に係るカードランからなる液晶ゲルは、球状に形成され、直径断面で観察したときに中心から放射状に配向しかつ同心円状の多層構造を有するため、上記断面では光学的に複屈折率の勾配を有する。
【0011】
本願請求項7に係る方法では、上記原液を所定の濃度と温度を有するカルシウム塩、マグネシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、銅塩、鉄塩、マンガン塩、カドミウム塩、コバルト塩、或いはアルミニウム塩を含む水溶液中に滴下してこの水溶液中において液滴全周囲に透析膜を形成するとともに原液を透析することにより、カードラン分子のコンフォメーション変化とカルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、鉄、マンガン、カドミウム、コバルト、或いはアルミニウムによって誘発された架橋を生じさせて直径断面で観察したときに中心から放射状に配向しかつ同心円状の多層構造を有する球状液晶ゲルが透析膜内に生成される。この液晶ゲルはカードラン分子自体がゲル化機能と液晶形成機能を併せ持つ特徴を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の最良の実施の形態について説明する。
本発明で使用するカードラン又は再生カードランであるパラミロンは、β−1,3グルカン構造をもつ多糖類である。本発明における「カードラン」はカードランは勿論、再生カードランであるパラミロンをも含む。ここではカードランを用いた3つの液晶ゲルの方法について述べる。なお、パラミロンを用いての液晶ゲルの製造は、入手可能なパラミロンの分子量がカードランより小さいために原液への溶解量をカードランよりも3〜5倍程度に多くする以外、カードランと同様に行うことができる。
【0013】
(a) 第1の液晶ゲルの製造方法(円柱状液晶ゲルの製造方法)
先ずカードランをアルカリ性水溶液に溶解して原液を調製する。このときのアルカリ性水溶液は、pHを広く調節できること、カルシウム塩、マグネシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、銅塩、鉄塩、マンガン塩、カドミウム塩、コバルト塩、或いはアルミニウム塩との反応により中和されること、中性から弱アルカリ性までの液晶ゲルを形成できること、及びカードランに対する溶解性が高いこと等の理由から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化リチウムの水溶液であることが好ましい。アルカリ性水溶液のアルカリ濃度は0.05〜2規定である。好ましくは0.2〜1.0規定であり、より好ましくは0.2〜0.4規定である。またアルカリ性水溶液の温度は0〜40℃である。好ましくは10〜20℃である。またカードランの溶解割合はアルカリ性水溶液100重量部に対して0.5〜12重量部である。好ましくは4〜9重量部であり、より好ましくは5〜7重量部である。アルカリ濃度が上限値以上またはカードランの量が下限値未満ではカードランがゲル化してもカードラン自体に液晶形成機能を付与することができず、カードランの濃度が上限値を越えると粘性が増加し均質な溶液を得ることが困難になる。パラミロンの溶解割合は10〜30重量部である。特にアルカリ濃度が上限値を越える場合、カードランの分解反応が速く進むため黄色から褐色に着色するとともに分子量が低下する等の副反応が起こるという不具合を生じる。アルカリ濃度が下限値未満ではゲル化はするが液晶はできない。水溶液の温度が下限値未満では溶液が凝固し、また上限値を越えると次のチューブに充填する前でゲル化が開始してしまう不具合を生じる。
【0014】
次いで得られた原液を透析膜のチューブに充填する。充填前にチューブの下端は封止される。透析膜としては、特に制限はなく、酢酸セルロース、ポリメチルメタクリレート等が例示されるが、セルロース系透析膜が好ましい。ここで透析チューブの膜厚及び直径により、ゲル化の速度及び得られるゲルの液晶性と層構造が変化する。最終的に得られる円柱状液晶ゲルの直径はチューブの直径に依存する。チューブの直径及び長さは液晶ゲルの用途に応じて決められる。例えば直径6mm〜10cmの範囲から選択され、このチューブからは直径6mm〜10cmの円柱状液晶ゲルが得られる。原液をチューブに充填した後、チューブの上端を封止することにより、原液がチューブに充填密封される。
【0015】
次にチューブに充填密封された原液をカルシウム塩を含む水溶液中に浸漬する。このときのカルシウム塩を含む水溶液は、塩化カルシウム、硝酸カルシウム又は酢酸カルシウムの水溶液であることが、配向性や力学的強度などの物性が良い液晶ゲルが得られるため好ましい。液晶ゲルを得るための水溶液のカルシウム濃度は0.02規定から飽和濃度である。好ましくは0.02〜7.2規定であり、より好ましくは0.1〜3規定であり、更により好ましくは0.5〜2規定である。カルシウム濃度が下限値未満では液晶ゲルが生成されず、上限値を超えるとゲルが収縮し過ぎるという不具合を生じる。またこの水溶液の調製時の温度は0℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましい。更にこの水溶液の透析時の温度は0〜45℃である。好ましくは0〜25℃であり、より好ましくは15〜25℃である。調製時の温度が下限値未満ではカルシウム塩が均一に溶解せず、また透析時の温度が下限値未満では溶液が凝固してしまう不具合がある。透析時の温度が上限値を超えると透析中にカードランの分子量が低下するとともに、分解したカードランがゲル中に沈殿する等の副反応が生じるという不具合を生じる。チューブをカルシウム塩を含む水溶液に浸漬すると、透析膜のチューブ内のOHアニオンがチューブ外に拡散し、一方チューブ外の解離したCaカチオンがチューブ内に拡散する。
【0016】
上記透析によりチューブ内に円柱状液晶ゲルが生成する。チューブの直径に応じた直径の円柱状液晶ゲルが生成される。この液晶ゲルをチューブから取り出し、チューブ長手方向に垂直に液晶ゲルを切断し切断面を自然光で観察すると、図1の模式図に示すように、中心から放射状に配向しかつ同心円状の多層構造を有する上、中心と外周縁では配向度の異なる円柱状液晶ゲル10が得られる。これはチューブ内に拡散したOHアニオンとCaカチオンにより、カードランにコンフォメーション変化が起こるとともにカードランが架橋したためである。カードラン分子の秩序正しさは、層が透析チューブの中心に向かうに従って同心状の液晶層の曲率が増大することにより減少する。 図1に示した液晶ゲルは液晶の配向度が異なるため、光学的に複屈折率の勾配を有し、また円柱体外周部分の液晶ゲルの内側には、立体障害により同心円状でしかもリング状のアモルファス層11が存在する。アモルファス層11は液晶構造を有しないが、アモルファス層の内側は液晶構造を有する。液晶ゲル10の半径をR0、アモルファス層11のリング外径をR1とするとき、R0−R1=δが液晶層の厚さである。本発明の液晶ゲルは、δ/R0が0.15以上の値を有することが好ましく、0.4以上の値を有することが更に好ましい。また液晶ゲルの直径が大きい場合には、アモルファス層は同心円状に複数形成される。特にアルカリ性水溶液のアルカリ濃度が0.2〜0.4規定の範囲で、カードラン濃度が4〜9重量部で、しかもカルシウム濃度が0.5〜2規定の範囲ではδ/R0が0.15以上になる。
【0017】
なお、カルシウム塩を含む水溶液を用いた場合に最も形状が整った液晶ゲルを製造することができるが、このカルシウム塩を含む水溶液に代えて、マグネシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、銅塩、鉄塩、マンガン塩、カドミウム塩、コバルト塩、或いはアルミニウム塩を含む水溶液を用いてカードランからなる液晶ゲルを製造することができる。このうち、3価の鉄塩、アルミニウム塩を含む水溶液を用いた場合が比較的形状の整った液晶ゲルを製造することができる。上記マグネシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、銅塩、鉄塩、マンガン塩、カドミウム塩、コバルト塩、或いはアルミニウム塩を含む水溶液の濃度はカルシウム塩を含む水溶液と同程度として良い。また、上記マグネシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、銅塩、鉄塩、マンガン塩、カドミウム塩、コバルト塩、或いはアルミニウム塩を含む水溶液は、塩化物のような水溶性塩であれば液晶ゲルを製造することができる。
【0018】
(b) 第2の液晶ゲルの製造方法(球状液晶ゲルの製造方法)
第1の製造方法と同様に原液及びカルシウム塩を含む水溶液を調製する。この原液を調製するときのアルカリ性水溶液のアルカリ濃度及びカードランの含有量は、透析膜を自己形成させるために、界面張力により形を球状に保てる程度の粘性が必要であるという点で第1の製造方法と異なる。即ち、アルカリ性水溶液のアルカリ濃度は0.05〜1規定である。好ましくは0.2〜0.8規定であり、より好ましくは0.2〜0.4規定である。また、カードラン濃度はアルカリ性溶液100重量部に対して3〜12重量部であり、好ましくは4〜9重量部であり、より好ましくは5〜7重量部である。さらに、カルシウム塩を含む水溶液のカルシウム濃度は、透析膜を自己形成させるために、即座に架橋を生じなくてはならないという理由から、0.1規定以上でなくてはならない点で第1の製造方法と異なる。即ち、この水溶液のカルシウム濃度は0.1規定から飽和濃度である。好ましくは0.1〜7.2規定である。より好ましくは0.1〜3規定であり、更により好ましくは1〜2規定である。なお、アルカリ性水溶液の温度及びカルシウム塩を含む水溶液の温度は、それぞれ第1の製造方法と同じである。
【0019】
第2の製造方法では、透析膜のチューブの代わりにシリンジ(syringe)又はノズルを用いる。最終的に得られる球状液晶ゲルの直径はシリンジ又はノズルの吐出口の口径に依存する。このシリンジ又はノズルの吐出口の口径は液晶ゲルの用途に応じて決められる。例えば、1μm〜1mmの範囲から選択され、このシリンジ又はノズルからは直径100μm〜4mmの球状液晶ゲルが得られる。原液をシリンジ又はノズルに充填した後、吐出口を下方に向けてシリンジ又はノズルをカルシウム塩を含む水溶液の液面より1〜15cm上方の所定の位置に固定する。
【0020】
次いでシリンジ又はノズルの内部を加圧することにより、シリンジ又はノズルに充填された原液をカルシウム塩を含む水溶液中に滴下させる。原液が液滴の形態で水溶液中に泳動する間において液滴全周囲に透析膜が形成される。この透析膜はCaカチオンにより誘発されたカードラン分子からなる。この状態を維持すると、液滴を構成していた原液が透析され、透析膜内部に球状液晶ゲルが生成される。シリンジ又はノズルの吐出口の口径に応じた直径の球状液晶ゲルが生成される。
【0021】
この球状液晶ゲルを半球になるように直径方向に切断し切断面を観察すると、図示しないが、球状液晶ゲルは、外殻を有し、中心から放射状に配向しかつ同心円状の多層構造を有する中心と外周縁では配向度の異なる構造になっている。この液晶ゲル部分の内側にも、第1の製造方法で作られた円柱状液晶ゲルと同様に、立体障害により同心円状でしかもリング状のアモルファス層が存在する。この構造が形成されるメカニズムは円柱状液晶ゲルと同じである。
【0022】
なお、この第2の製造方法においても、カルシウム塩を含む水溶液に代えて、マグネシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、銅塩、鉄塩、マンガン塩、カドミウム塩、コバルト塩、或いはアルミニウム塩を含む水溶液を用いてカードランからなる液晶ゲルを製造することができる。
【0023】
(c) 第3の液晶ゲルの製造方法(糸状液晶ゲルの製造方法)
上記第2の製造方法と同一の原液、カルシウム塩を含む水溶液、シリンジ又はノズルを用意する。第2の製造方法のようにシリンジ又はノズルの吐出口から原液をカルシウム塩を含む水溶液に滴下することなく、吐出口から連続的に糸状に吐出する。これにより原液が糸状体の形態で水溶液中に泳動する間において糸状体全周囲に透析膜が形成される。球状液晶ゲルと同様にこの状態を維持すると、糸状体を構成していた原液が透析され、透析膜内部にシリンジ又はノズルの吐出口の口径に応じて太さ100μm〜4mmの糸状液晶ゲルが得られる。
【0024】
なお、この第3の製造方法においても、カルシウム塩を含む水溶液に代えて、マグネシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、銅塩、鉄塩、マンガン塩、カドミウム塩、コバルト塩、或いはアルミニウム塩を含む水溶液を用いてカードランからなる液晶ゲルを製造することができる。
【実施例】
【0025】
次に本発明の実施例を比較例とともに説明する。
【0026】
<実施例1>
25℃の0.4規定(0.4M)の水酸化ナトリウム水溶液に市販の分子量5.9×105のカードランを7重量%の割合で溶解して原液を調製した。この原液100mlを下端を封止した市販の酢酸セルロースからなる直径28.8mmのチューブに注入した後、上端を封止して密封した。次いで原液を充填密封した透析膜のチューブを1.8規定(10g/100ml)の25℃の塩化カルシウム水溶液2リットル中に浸漬し、4時間維持した。上記原液が透析され、チューブ内に直径25.6mmの円柱状ゲルが生成された。チューブ充填時と比較してこの円柱状ゲルのサイズ減少率は直径で10%、体積で29%であった。
【0027】
得られた円柱状ゲルをチューブから取り出し、長軸方向に垂直に5mmの長さに切断した。図2に実施例1で得られた円柱状ゲルを切断した後の斜視図を示す。また図2の方向Aから自然光で観察した実施例1の円柱状ゲルの模式図を図1に示す。図1から明らかなように、自然光の下で同心円状の複数の層が観察され、ゲルは液晶化していた。外周縁から中心から透明な層と濁った層とが交互に現れた。これらのリング状の層はチューブの上端から下端まで連続してパイプ状に形成された。図2の方向Aからクロスニコルの下で観察した実施例1の円柱状ゲルを図3に示す。図3から明らかなように、同一色を有する各段の厚さは外周縁で約10μmであって、その厚さは中心に近づくに従って徐々に増大した。同一色を有する各段の平均厚さは数百μmであった。図2の方向Bからクロスニコルの下で観察した実施例1の円柱状ゲルの断面図を図4に示す。図4の縞模様は図3の縞模様に相応する。得られた円柱状液晶ゲルは硬く、複屈折率は大きかった。
【0028】
<実施例2>
カードランの含有量を4重量%に変えた以外、実施例1と同様にしてゲルを生成した。得られたゲルは円柱状液晶ゲルであった。しかし実施例1のものよりも脆かった。また液晶化は見られたが、複屈折率は比較的小さかった。
【0029】
<実施例3>
カードランの含有量を9重量%に変えた以外、実施例1と同様にしてゲルを生成した。得られたゲルは円柱状液晶ゲルであった。このゲルは、実施例1よりも硬く、収縮率も小さかったが、脱泡しきれなかったため、気泡を多く含んでいた。
【0030】
<実施例4>
0.2規定の水酸化ナトリウム水溶液に、カードランを5重量%の割合で溶解して、原液を調整した以外は、実施例1と同様にしてゲルを生成した。得られたゲルは円柱状液晶ゲルであった。
【0031】
<実施例5>
1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液を用いた以外、実施例1と同様にしてゲルを生成した。得られたゲルは液晶化していた。このゲルの収縮は激しく円柱形を留めていない部分もあった。外側にアモルファスのゲルが作られ、その内側に同心円状の液晶ゲルが形成された。
【0032】
<実施例6>
0.5規定の塩化カルシウム水溶液を用い、0.3規定の水酸化ナトリウム水溶液に、カードランを5重量%の割合で溶解して原液を調整した以外、実施例1と同様にしてゲルを生成した。得られたゲルは円柱状液晶ゲルであった。
【0033】
<実施例7>
3規定の塩化カルシウム水溶液を用いた以外、実施例1と同様にしてゲルを生成した。得られたゲルは、収縮して円柱形を留めない部分もあったが、液晶性は高かった。
【0034】
<比較例1>
カードランの含有量を0.4重量%に変えた以外、実施例1と同様にしてゲルを生成しようとしたが、カードランの含有量が少な過ぎてゲル自体生成されなかった。
【0035】
<比較例2>
カードランの含有量を13重量%に変えた以外、実施例1と同様にしてゲルを生成しようとしたが、水酸化ナトリウム水溶液の粘性が大きくなり過ぎて均質な溶液とならず、ゲル自体生成されなかった。
【0036】
<比較例3>
0.04規定の水酸化ナトリウム水溶液を用いた以外、実施例1と同様にしてゲルを生成した。水酸化ナトリウム水溶液の粘性が大きくなり過ぎて均質な溶液とならず、ゲルは生成されたが、液晶化は殆ど起こらなかった。
【0037】
<比較例4>
2.1規定の水酸化ナトリウム水溶液を用いた以外、実施例1と同様にしてゲルを生成しようとしたが、得られたゲルは全体的に収縮が激しく円柱形を留めていなかった。外側にアモルファスのゲルが作られ、その内側に同心円状の液晶ゲルが形成されたが、脆かった。
【0038】
<比較例5>
0.005規定の塩化カルシウム水溶液を用いた以外、実施例1と同様にしてゲルを生成した。ゲルは円柱形をなしたが、液晶性を有さず、全体が透明であった。
【0039】
<比較例6>
7.5規定の塩化カルシウム水溶液を用いた以外、実施例1と同様にしてゲルを生成した。このゲルは収縮、離水が激しく原型を留めていなかった。また液晶化はしているが、その配向方向に長距離的な秩序はなかった。
【0040】
<比較評価>
実施例1〜7及び比較例1〜6で得られたゲルについて、それぞれの形状及び液晶化の有無を表1にまとめた。併せて円柱状を示したものについて、図1に示したδ/R0を測定し、その結果を表1に示した。
【0041】
【表1】

【0042】
表1から明らかなように、比較例1、2で作ったものは、ゲル化していなかった。また比較例3〜5はゲル化していたが、液晶化していなかった。更に比較例6は液晶化していたが形状が不定であった。これらに対して実施例1〜7の円柱状ゲルはすべて液晶化していた。またδ/R0に関しては比較例1〜6の円柱状ゲルでは、アモルファス層ができない、収縮が激しいなどの理由から0又は測定ができなかった。実施例1は、液晶ゲルを生成するに好ましい条件であったため、強い複屈折率を有し、しかもδ/R0が大きく、明確な複屈折率の勾配を有していた。実施例2、3、4、6で得られたゲルには液晶性が弱い点、δ/R0が小さい点があるものの、透析チューブの長手方向に垂直な同心円状の多層構造をもつ液晶ゲルが形成され、複屈折率の勾配が見られた。実施例5と実施例7に関しては液晶化していたが、収縮により円柱形から若干かけ離れてしまったため、δ/R0を測定できなかった。
【0043】
<実施例8>
25℃の0.3規定(0.3M)の水酸化ナトリウム水溶液に市販の分子量5.9×105のカードランを5重量%の割合で溶解して原液を調製した。この原液を吐出口の口径1mmのシリンジに充填し、1.8規定(10g/100ml)の25℃の塩化カルシウム水溶液100ml中に液面からの高さ15cmの位置から滴下し、4時間維持した。上記原液の周囲が即座にゲル化し、これが透析膜の役割を果たし、直径約3.5mmの球状ゲルが生成された。得られたゲルは液晶ゲルであって、直径断面は図1と同様に自然光の下で同心円状の複数の層が観察された。
【0044】
<実施例9>
カードランの含有量を3重量%に変えた以外、実施例8と同様にしてゲルを生成した。球状液晶ゲルが形成されるものの、真球にはならず、雫型になり、脆いゲルとなった。平均直径は約3mmであった。
【0045】
<実施例10>
0.01規定の塩化カルシウム水溶液を用いた以外、実施例8と同様にしてゲルを生成した。得られた球状ゲルの液晶性は弱く、直径は約4mmだった。
【0046】
<実施例11>
0.4規定の水酸化ナトリウム水溶液を用い、カードランの含有量を7重量%に変えた以外、実施例8と同様にしてゲルを生成した。得られたゲルは直径約4mmの球状であって、液晶性が高かった。
【0047】
<実施例12>
吐出口の直径が100μmのシリンジを用いた以外、実施例8と同様にしてゲルを生成した。得られたゲルは直径約1mmの球状であった。
【0048】
<比較例7>
カードランの含有量を1重量%に変えた以外、実施例8と同様にして、球状ゲルを生成することを試みた。塩化カルシウム水溶液に接触すると同時に原液は球状を保つことができなくなり、球状のゲルは形成されなかった。
【0049】
<比較例8>
0.001規定の塩化カルシウム水溶液を用いた以外、実施例8と同様にして、球状ゲルを生成することを試みた。塩化カルシウム水溶液に接触すると同時に原液は球状を保つことができなくなり、球状のゲルは形成されなかった。
【0050】
<比較例9>
2規定の水酸化ナトリウム水溶液を用いた以外、実施例8と同様にして、球状ゲルを生成することを試みた。塩化カルシウム水溶液に接触すると同時に原液は球状を保つことができなくなり、球状のゲルは形成されなかった。
【0051】
<比較例10>
原液を液面からの高さ30cmから滴下した以外、実施例8と同様にして、球状ゲルを生成した。得られたゲルは球形にならず、平たい円盤状の形のものが得られた。
【0052】
<実施例13>
25℃の0.3規定(0.3M)の水酸化ナトリウム水溶液に市販の分子量5.9×105のカードランを5重量%の割合で溶解して原液を調製した。この原液25mlを下端を封止した市販の酢酸セルロースからなる直径28.6mmのチューブに注入した後、上端を封止して密封した。次いで原液を充填密封した透析膜のチューブを0.10規定(0.10M)の25℃の塩化アルミニウム水溶液300ml中に浸漬し、48時間維持した。上記原液が透析され、チューブ内に直径28.6mmの円柱状ゲルが生成された。チューブ充填時と比較してこの円柱状ゲルのサイズ減少率は直径で0%、体積で0%であった。
【0053】
得られた円柱状ゲルをチューブから取り出し、長軸方向に垂直に5mmの長さに切断した。図5に実施例13の円柱状ゲルの切断面をクロスニコルの下で観察した図を示す。
【0054】
<実施例14>
塩化アルミニウム水溶液の代わりに0.18規定(0.18M)の塩化鉄水溶液を用いた以外は実施例13と同様にしてゲルを生成した。得られたゲルは円柱状液晶ゲルであった。得られた円柱状ゲルをチューブから取り出し、長軸方向に垂直に5mmの長さに切断した。図6に実施例14の円柱状ゲルの切断面をクロスニコルの下で観察した図を示す。
【0055】
<実施例15>
塩化アルミニウム水溶液の代わりに0.18規定(0.18M)の塩化マグネシウム水溶液を用いた以外は実施例13と同様にしてゲルを生成した。得られたゲルは円柱状液晶ゲルであった。得られた円柱状ゲルをチューブから取り出し、長軸方向に垂直に5mmの長さに切断した。図7に実施例15の円柱状ゲルの切断面をクロスニコルの下で観察した図を示す。
【0056】
<実施例16>
塩化アルミニウム水溶液の代わりに0.18規定(0.18M)の塩化バリウム水溶液を用いた以外は実施例13と同様にしてゲルを生成した。得られたゲルは円柱状液晶ゲルであった。得られた円柱状ゲルをチューブから取り出し、長軸方向に垂直に5mmの長さに切断した。図8に実施例16の円柱状ゲルの切断面をクロスニコルの下で観察した図を示す。
【0057】
<比較評価>
実施例13〜16で得られたゲルについて、それぞれの形状及び液晶化の有無を表2にまとめた。
【0058】
【表2】

【0059】
表2から明らかなように、実施例13〜16の円柱状ゲルはすべて液晶化していた。
<実施例17>
25℃の0.3規定(0.3M)の水酸化ナトリウム水溶液に市販の分子量5.9×105のカードランを5重量%の割合で溶解して原液を調製した。この原液を吐出口の口径1mmのシリンジに充填し、0.10規定(0.10M)の25℃の塩化アルミニウム水溶液100ml中に液面からの高さ15cmの位置から滴下し、48時間維持した。上記原液の周囲が即座にゲル化し、これが透析膜の役割を果たし、直径約3.5mmの球状ゲルが生成された。得られたゲルは液晶ゲルであって、直径断面は図1と同様に自然光の下で同心円状の複数の層が観察された。
【0060】
<実施例18>
塩化アルミニウム水溶液の代わりに0.18規定(0.18M)の塩化鉄水溶液を用いた以外は実施例17と同様にしてゲルを生成した。生成したゲルの平均直径は約3.5mmであった。得られたゲルは液晶ゲルであって、直径断面は図1と同様に自然光の下で同心円状の複数の層が観察された。
<実施例19>
塩化アルミニウム水溶液の代わりに0.18規定(0.18M)の塩化マグネシウム水溶液を用いた以外は実施例17と同様にしてゲルを生成した。生成したゲルの平均直径は約3.5mmであった。得られたゲルは液晶ゲルであって、直径断面は図1と同様に自然光の下で同心円状の複数の層が観察された。
<実施例20>
塩化アルミニウム水溶液の代わりに0.18規定(0.18M)の塩化バリウム水溶液を用いた以外は実施例17と同様にしてゲルを生成した。生成したゲルの平均直径は約3.5mmであった。得られたゲルは液晶ゲルであって、直径断面は図1と同様に自然光の下で同心円状の複数の層が観察された。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の液晶ゲルは複屈折率を有するため、円柱状液晶ゲルの場合、これをスライスすれば偏光レンズに利用できる。また本発明の液晶ゲルは、球状液晶ゲルの場合、原液に薬成分を含ませておけば、球状液晶ゲル内に薬成分が含有され、液晶ゲルの同心円状の多層構造に由来して、服薬したときに薬成分が液晶ゲルの外側より放散し、内側薬成分は外側薬成分が放散した後で順次放散する徐放作用を生じるため、薬物の放出速度を制御可能なドラッグデリバリーシステム材料などに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明実施の形態の円柱状液晶ゲルを模式的に示す断面図である。
【図2】実施例1で得られた円柱状ゲルを切断した後の斜視図である。
【図3】図2の方向Aからクロスニコルの下で観察した実施例1の切断後の円柱状ゲルを示す図である。
【図4】図2の方向Bからクロスニコルの下で観察した実施例1の円柱状ゲルの断面図である。
【図5】実施例13の円柱状液晶ゲルの切断面をクロスニコルの下で観察した図である。
【図6】実施例14の円柱状液晶ゲルの切断面をクロスニコルの下で観察した図である。
【図7】実施例15の円柱状液晶ゲルの切断面をクロスニコルの下で観察した図である。
【図8】実施例16の円柱状液晶ゲルの切断面をクロスニコルの下で観察した図である。
【符号の説明】
【0063】
10 円柱状液晶ゲル
11 アモルファス層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸状又は円柱状に形成され、長手方向に垂直な断面で観察したときに中心から放射状に配向しかつ同心円状の多層構造を有するカードランからなる液晶ゲル。
【請求項2】
円柱体外周部分の液晶ゲルの内側に同心円状に液晶構造を有しないアモルファス層を有する請求項1記載の液晶ゲル。
【請求項3】
アルカリ濃度が0.05〜2規定である0〜40℃のアルカリ性水溶液100重量部に分子量が20万以上のカードラン0.5〜12重量部又は再生カードランであるパラミロン10〜30重量部を溶解して原液を調製する工程と、
前記原液を透析膜のチューブに充填して密封する工程と、
前記チューブに充填密封した原液を0.02規定から飽和濃度までの範囲内のカルシウム塩、マグネシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、銅塩、鉄塩、マンガン塩、カドミウム塩、コバルト塩、或いはアルミニウム塩を含む0〜45℃の水溶液中に浸漬して前記原液を透析することにより、カードラン分子のコンフォメーション変化とカルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、鉄、マンガン、カドミウム、コバルト、或いはアルミニウムによって誘発された架橋を生じさせてチューブ長手方向に垂直な断面で観察したときに中心から放射状に配向しかつ同心円状の多層構造を有する円柱状液晶ゲルを前記チューブ内に生成する工程と
を含むカードランからなる液晶ゲルの製造方法。
【請求項4】
アルカリ性水溶液が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化リチウムの水溶液であって、カルシウム塩を含む水溶液が塩化カルシウム、硝酸カルシウム又は酢酸カルシウムの水溶液である請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
球状に形成され、直径断面で観察したときに中心から放射状に配向しかつ同心円状の多層構造を有するカードランからなる液晶ゲル。
【請求項6】
液晶ゲル内部に同心円状に液晶構造を有しないアモルファス層を有する請求項5記載の液晶ゲル。
【請求項7】
アルカリ濃度が0.05〜1規定である0〜40℃のアルカリ性水溶液100重量部に分子量が20万以上のカードラン3〜12重量部又は再生カードランであるパラミロン10〜30重量部を溶解して原液を調製する工程と、
前記原液を0.1規定から飽和濃度までの範囲内のカルシウム塩、マグネシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、銅塩、鉄塩、マンガン塩、カドミウム塩、コバルト塩、或いはアルミニウム塩を含む0〜45℃の水溶液中に滴下して前記水溶液中において液滴全周囲に透析膜を形成するとともに前記原液を透析することにより、カードラン分子のコンフォメーション変化とカルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、鉄、マンガン、カドミウム、コバルト、或いはアルミニウムによって誘発された架橋を生じさせて直径断面で観察したときに中心から放射状に配向しかつ同心円状の多層構造を有する球状液晶ゲルを前記透析膜内に生成する工程と
を含むカードランからなる液晶ゲルの製造方法。
【請求項8】
アルカリ性水溶液が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化リチウムの水溶液であって、カルシウム塩を含む水溶液が塩化カルシウム、硝酸カルシウム又は酢酸カルシウムの水溶液である請求項7記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−96987(P2006−96987A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−242554(P2005−242554)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2004年3月3日 社団法人日本物理学会発行の「日本物理学会 第59回年次大会 講演概要集」に発表
【出願人】(504145364)国立大学法人群馬大学 (352)
【Fターム(参考)】