カードリーダ制御装置
【課題】カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと通信ができなくなるような状況を搬送波の周波数を変更することなく回避する。
【解決手段】複数のカードリーダの中から1つのカードリーダの指定を受付部112により受け付け、受け付けたカードリーダとカードとの間で行われる通信の誤り率を検出部113により検出する。そして、検出された誤り率が予め定められた閾値以下であるか否かを判断部114により判断し、判断結果に基づき検出された誤り率が閾値を超える場合に受け付けたカードリーダ以外のカードリーダの送信電力が検出時より低下するように送信電力の設定を行う電力設定部115により行う。
【解決手段】複数のカードリーダの中から1つのカードリーダの指定を受付部112により受け付け、受け付けたカードリーダとカードとの間で行われる通信の誤り率を検出部113により検出する。そして、検出された誤り率が予め定められた閾値以下であるか否かを判断部114により判断し、判断結果に基づき検出された誤り率が閾値を超える場合に受け付けたカードリーダ以外のカードリーダの送信電力が検出時より低下するように送信電力の設定を行う電力設定部115により行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波を用いて非接触にてカードと通信を行うカードリーダの調整などを行うカードリーダ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、非接触式のICカードリーダとICカードとして、変調方式や符号化の種類など通信条件が異なる様々なタイプの組み合わせが提供されている。しかしながら、変調方式や符号化の種類など通信条件が異なることから、ICカードリーダは全種類のICカードと通信を行うことができない。
例えば、テナントビルにおいて、テナントビルの出入り口付近にICカードリーダを設置し、ICカードに記録されたデータを読み取ることにより人の出入りを監視することがある。この場合、入居するテナント毎に異なる通信条件のカードを採用することがあり、上述した理由からテナントによって採用された各ICカードに対応したICカードリーダを用意しなければならない。このとき、テナントビルの入居者が自身のICカードに対応するICカードリーダがどれかを考えてICカードをかざさなくてもすむように、各ICカードリーダが備えるアンテナを近接して設置して入居者がICカードの種類にかかわらずほぼ同じ位置にICカードをかざせばよいようにすることが考えられる。
【0003】
ところが、複数のICカードリーダを近接して設置する場合、ICカードリーダとICカードとの間の通信が別のICカードリーダが出力する電波による影響を受け、ICカードリーダがICカードに記録されているデータを正しく読み出すことができない場合が生じる。
これを解決する技術として次のようなものが知られている。ICカードリーダが他のICカードリーダから干渉を受けてICカードからデータを読み出すことができない場合に、ICカードリーダが出力する搬送波の周波数を変更する。これにより、信号成分を含む側波帯の周波数領域を移動させ、他のカードリーダが出力する電波による影響を低減する(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−358608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記の従来の仕組みは、ICカードリーダが複数の周波数の搬送波を出力することができることを必要とすることから、搬送波の周波数を変更することができないICカードリーダ間での電波の干渉を回避する場合には適用することができない。
そこで、本発明は、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと通信ができなくなるような状況を搬送波の周波数を変更することなく回避することができるカードリーダ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明のカードリーダ制御装置は、電波を用いて非接触にてカードと行う通信の通信条件が互いに異なり、相互に干渉し得る位置に配されている複数のカードリーダの調整を行うカードリーダ制御装置において、複数の前記カードリーダの中から1つのカードリーダの指定を受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けた前記カードリーダと当該カードリーダのカード読み取り範囲に存在するカードとの間で行われる通信の通信品質を検出する検出手段と、前記検出手段により検出される前記通信品質が予め定められた通信品質以下であるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段により前記通信品質が予め定められた通信品質以下であると判断される場合に、前記受付手段により受け付けたカードリーダ以外のカードリーダの送信電力が検出時より低下するように、又は、前記受付手段により受け付けたカードリーダの送信電力が検出時より大きくなるように、送信電力の設定を行う電力設定手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
上記のカードリーダ制御装置によれば、指定されたカードリーダとカードとの間で行われる通信の通信品質が予め定められた通信品質以下であれば、指定されたカードリーダからみてノイズ源となるカードリーダの送信電力を低下させ、指定されたカードリーダが受信するノイズの電力レベルが低くなるようにしている。或いは、指定されたカードリーダの送信電力を大きくして、指定されたカードリーダが受信する信号の電力レベルが大きくなるようにしている。このため、搬送波の周波数を変更することなく、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと通信ができなくなるような状況を回避できるようになる。
【0007】
また、本発明のカードリーダ制御装置は、電波を用いて非接触にてカードと行う通信の通信条件が互いに異なり、相互に干渉し得る位置に配されている複数のカードリーダの調整を行うカードリーダ制御装置において、複数の前記カードリーダの中から1つのカードリーダの指定を受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けた前記カードリーダと当該カードリーダのカード読み取り範囲に存在するカードとの間で行われる通信の通信品質を検出する検出手段と、前記検出手段により検出される前記通信品質が予め定められた通信品質以下であるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段により前記通信品質が予め定められた通信品質以下であると判断される場合に、前記受付手段により受け付けたカードリーダが行う送信データを切り替える変調速度を検出時の変調速度と異なるように変更して変調速度の設定を行う変調速度設定手段と、を備えたことを特徴とする。なお、変調速度とは、送信データを送信するシンボルレートであり、変調速度は単位時間当たりのシンボルの切り替え回数によって変化する。また、シンボルとは、1回の変調で送信する1ビットあるいは複数ビットのデータである。
【0008】
上記のカードリーダ制御装置によれば、指定されたカードリーダとカードとの間で行われる通信の通信品質が予め定められた通信品質以下であれば、指定されたカードリーダの変調速度を変更する。この変調速度の変更によって、例えば、側波帯の周波数領域がノイズ源となるカードリーダが出力する電波の電力レベルが低い周波数領域に移動すれば、指定されたカードリーダにおいて信号成分を含む側波帯の周波数領域でのノイズの電力レベルが低下する。このため、搬送波の周波数を変更することなく、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと通信ができなくなるような状況を回避できるようになる。
【0009】
また、上記のカードリーダ制御装置において、前記変調速度設定手段は変調速度の変更を変調速度を遅くすることにより行い、前記変調速度設定手段による変更後の変調速度に応じて、前記受付手段により受け付けたカードリーダの送信電力が検出時より大きくなるように送信電力の設定を行う電力設定手段を更に備えることとしてもよい。
これによれば、変調速度を遅くして指定されたカードリーダの側波帯の周波数領域を移動させながら、指定されたカードリーダの送信電力を大きくして受信信号の電力レベルが大きくなるようにしている。このため、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと通信ができなくなるような状況をより確実に回避できるようになる。
【0010】
なお、現在、電波法では誘導式読み書き通信設備に関して、変調速度に対して側波帯の電力レベルの上限が定められており、変調速度が遅くなるにつれて側波帯の電力レベルの上限が段階的に大きくなるように定められている。上記構成は電波法の誘導式読み書き通信設備に関する規制に沿ったものにもなっている。
また、本発明のカードリーダ制御装置は、電波を用いて非接触にてカードと行う通信の通信条件が互いに異なり、相互に干渉し得る位置に配されている複数のカードリーダの調整を行うカードリーダ制御装置において、複数の前記カードリーダの中から1つのカードリーダの指定を受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けた前記カードリーダと当該カードリーダのカード読み取り範囲に存在するカードとの間で行われる通信の通信品質を検出する検出手段と、前記検出手段により検出される前記通信品質が予め定められた通信品質以下であるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段により前記通信品質が予め定められた通信品質以下であると判断される場合に、前記受付手段により受け付けたカードリーダが電波を出力する出力タイミングを検出時の出力タイミングと異なるように変更して出力タイミングの設定を行うタイミング設定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
上記のカードリーダ制御装置によれば、指定されたカードリーダとカードとの間で行われる通信の通信品質が予め定められた通信品質以下であれば、指定されたカードリーダが電波を出力する出力タイミングを変更して、指定されたカードリーダからみてノイズ源となるカードリーダの出力タイミングとずれるようにする。このため、搬送波の周波数を変更することなく、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと通信ができなくなるような状況を回避できるようになる。
【0012】
また、上記のカードリーダ制御装置の夫々において、前記検出手段は前記通信品質の検出を通信品質に関連した指標である誤り率を算出することにより行い、前記判断手段は前記誤り率が予め定められた閾値を超えた場合に前記通信品質が予め定められた通信品質以下であると判断することとしてもよい。これにより、通信品質が予め定められた通信品質以下であるか否かの判断を行う一形態を実現できる。
【0013】
また、本発明のカードリーダ制御装置は、電波を用いて非接触にてカードと行う通信の通信条件が互いに異なり、相互に干渉し得る位置に配されている複数のカードリーダの制御を行うカードリーダ制御装置において、複数の前記カードリーダの中からカードと通信しているカードリーダを検知する検知手段と、前記検知手段により検知される前記カードリーダ以外のカードリーダの送信電力が低下するように送信電力の制御を行う電力制御手段と、を備えたことを特徴とする。なお、「通信している」とは、カードリーダとカードとの間で例えば通信リンクが確立した段階など予め定められた段階まで通信が進んだことを意味する。
【0014】
上記のカードリーダ制御装置によれば、複数のカードリーダの中の1つのカードリーダがカードと通信を開始すれば、通信を開始したカードリーダからみてノイズ源となるそれ以外のカードリーダの送信電力が低くなるようにして、指定されたカードリーダが受信するノイズの電力レベルを低くする。このため、搬送波の周波数を変更することなく、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと通信ができなくなるような状況を回避できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
《第1の実施の形態》
以下、本発明の第1の実施の形態におけるカードリーダ制御装置について図面を参照しつつ説明する。なお、第1の実施の形態におけるカードリーダ制御装置は、複数のカードリーダの導入時やメンテナンス時などに、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと行う通信の通信品質が予め定められた通信品質以下にならないように、カードリーダの送信電力を調整するものである。ただし、カードリーダの送信電力のレベルは搬送波の出力電力のレベルを指し、他においても同様である。
<全体構成>
本発明の第1の実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成について図1および図2を参照しつつ説明する。図1は本実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成を示すシステム構成図である。図2は図1の各非接触式のICカードリーダのアンテナコイルが配される位置関係を示す模式図である。
【0016】
図1に示すように、カード読取装置100は、カードリーダ制御装置110と、アンテナコイル(以下、アンテナという。)126、136を備えたICカードリーダ(以下、カードリーダという。)120、130と、操作部140と、LED(Light Emitting Diode)150とを備えている。
カードリーダ制御装置110は、カードリーダ120、130の送信電力の調整を行い、カード読取装置100の運用時のカードリーダ120、130の送信電力を設定するものである。
【0017】
カードリーダ120、130は、常時電波を出力して自機のカード読み取り範囲に存在するICカード(以下、カードと略す。)と電波を用いて非接触により通信を行うものであり、変調方式や符号化の種類など通信条件が互いに異なっている。アンテナ126、136は、図2に示すように、図中の矢印A方向に見て互いに平面的に重なるように近接して配置されている。このため、アンテナ136はアンテナ126から放射される電磁波126EMにより干渉を受け、アンテナ126はアンテナ136から放射される電磁波136EMにより干渉を受ける。ただし、カードリーダ120、130はアンテナ126、136と矢印A方向に見て平面的に重なる近接した位置にアンテナ176が存在するカードと通信を行う。なお、後述する第2から第5の実施の形態におけるカード読取装置内のカードリーダが備えるアンテナ間の位置関係は図2に示すアンテナ間の位置関係と同様である。
【0018】
操作部140は、カード読取装置100の入力装置であって、テンキー、確定キー、モード切替キーなどがある。モード切替キーは、カード読取装置100の動作をカードリーダ120、130の調整を行う調整モードに設定する場合に、また、調整モードを解除する場合に押下されるキーである。
LED150は、複数のLEDからなる。調整モード時に、カードリーダとカードとの間の通信の通信品質が予め定められた通信品質を超えていれば点灯するLED(以下、調整報済み知用のLEDという。)、予め定められた通信品質以下であれば点灯するLED(以下、未調整報知用のLEDという。)が割り当てられている。
【0019】
カード読取装置100には上位制御装置160が接続されている。例えば、上位制御装置160はカードリーダ120、130からカードリーダ120、130がカードから読み取った識別番号が入力される。上位制御装置160は入力された識別番号が不図示の記憶装置内のデータベースに予め格納されている登録番号の何れかに一致すれば電気制御可能な入退室ドアの鍵の開錠を一定期間行う。
<カードリーダ制御装置構成>
図1に示すように、カードリーダ制御装置110は、モード切替部111と受付部112と検出部113と判断部114と電力設定部115と報知制御部116とを備える。
【0020】
モード切替部111は、操作部140から入力されるモード切替キーの押下信号に基づき、カード読取装置100が調整モード以外のモードで動作しているときにはカード読取装置100の動作を調整モードに設定し、調整モードで動作しているときには調整モードを解除する。
受付部112は、調整モード時に操作部140から入力されるテンキーの押下信号に基づき、カードリーダ120、130のうちカードを読み取るカードリーダの指定を受け付ける。例えば、不図示のメモリにカードリーダ毎にカードリーダを識別するための識別番号を記憶しておき、作業者は操作部140のテンキーを利用して識別番号を入力することによってカードリーダの指定を行うことにより実現できる。
【0021】
検出部113は、受付部112によって指定を受け付けたカードリーダとカードとの間において行われる通信の誤り率を算出して、両者間において行われる通信の通信品質を検出する。誤り率の算出は、指定を受け付けたカードリーダから入力される当該カードリーダがカードに送信した送信データに対するカードの返信データの正誤に基づき、送信した送信データの回数に対する誤った返信データの回数の割合を算出することにより行う。なお、誤った返信データには返信データがなかった場合も含む。
【0022】
判断部114は、検出部113により算出された誤り率が不図示のメモリに記憶されている予め定められた閾値以下であるか否かを判断し、誤り率が閾値を超えている場合に通信品質が予め定められた通信品質以下であると判断する。
電力設定部115は、判断部114により誤り率が閾値を越えていると判断された場合に、受付部112により指定を受け付けたカードリーダ以外のカードリーダに対して送信電力のレベルを1(dB)下げさせる制御信号を出力する。電力設定部115は、指定を受け付けたカードリーダ以外のカードリーダに対して制御信号を出力することによって、指定を受け付けたカードリーダ以外のカードリーダの送信電力のレベルを検出時の送信電力より1(dB)低い送信電力のレベルに設定する。
【0023】
報知制御部116は、判断部114により誤り率が閾値を越えていると判断された場合にLED150の未調整報知用のLEDを点灯させ、判断部114により誤り率が閾値以下であると判断された場合にLED150の調整済み報知用のLEDを点灯させる。
<カードリーダ構成>
以下、図1のカードリーダ120の構成について図3を参照しつつ説明する。図3は図1のカードリーダ120の装置構成を示す構成図である。
【0024】
図3に示すように、カードリーダ120は、制御回路121と変調回路122とRF(Radio Frequency)送信回路123とRF受信回路124と復調回路125とアンテナ126とを備える。
制御回路121はカードリーダ120の各種制御を行うものである。制御回路121は、送信電力のレベルと変調速度との初期値を内部に保持しており、カードリーダ制御装置110の電力設定部115から入力される制御信号に基づき、内部に保持している送信電力のレベルを1(dB)下げた送信電力のレベルに変更して保持する。制御回路121は送信するデータを生成するとともに符号化して送信データを作成し、内部に保持している変調速度で送信データのデータを切り替えて変調回路122に供給する。また、制御回路121は保持している送信電力のレベルをRF送信回路123へ出力する。さらに、制御回路121は復調回路125から入力される返信データを解読する。
【0025】
変調回路122は制御回路121から供給される送信データで搬送波(例えば、周波数13.56(MHz)の搬送波)を所定の変調方式(例えば、変調率が100(%)のASK(Amplitude Shift Keying)方式)で変調する。RF送信回路123は制御回路121から入力される送信電力のレベルに搬送波の電力レベルがなるようにアンテナ126に流す電流の大きさを調整して送信データをアンテナ126から放射する。
【0026】
RF受信回路124はカードからアンテナ126を介して入力される返信データを増幅し、変調速度に応じた帯域幅のフィルタでフィルタリングして帯域制限を行い、復調回路125はRF受信回路124による処理後の返信データを復調し、復調後の返信データを制御回路121へ出力する。
なお、カードリーダ130はカードリーダ120と変調方式や符号化の種類など通信条件が異なるものであるが、本発明に関連する部分はカードリーダ120と実質的に同様であるためその説明を省略する。例えば、カードリーダ130の変調方式は変調率が10(%)のASK方式である。
<カード構成>
以下、図1のカード170の構成について図4を参照しつつ説明する。図4は図1のカード170の装置構成を示す構成図である。
【0027】
図4に示すように、カード170は、負荷変調を行うものであり、記憶装置171と復調回路172と制御回路173と変調回路174と電源生成回路175とアンテナ176とを備える。
記憶装置171はカード170に一意に割り振られた識別番号や自身の公開鍵と秘密鍵とのペアや変調速度などを記憶する。
【0028】
復調回路172はアンテナ176によって受信されるカードリーダからの送信データを復調して制御回路173へ出力する。制御回路173は、復調回路172から入力される復調後の送信データを復号して解読し、解読した送信データに基づき、記憶装置171から識別番号を取り出して符号化するなどして、返信データを生成する。そして、制御回路173は、記憶装置171に記憶されている変調速度で返信データのデータを切り替えて変調回路174に供給する。変調回路174は、制御回路173から入力される返信データで副搬送波(例えば、周波数が847.5(kHz)の副搬送波)を変調し、アンテナ176により受信された無変調区間の搬送波により変調後の返信データをアンテナ176から送信する。
【0029】
電源生成回路175はアンテナ176により受信された電磁波よりカード170内で使用する電力を生成して各部へ供給する。
<カードリーダとカード間の通信>
以下、カードリーダ120とカード170との間で行われる通信の概略について記載する。
【0030】
カードリーダ120の制御回路121は送信するデータを生成するとともに符号化して送信データを作成し、変調速度で送信データのデータを切り替えて変調回路122に供給する。変調回路122は制御回路121から供給される送信データで搬送波を変調し、RF送信回路123は制御回路121から入力される送信電力のレベルに応じてアンテナ126に流す電流の大きさを調整して送信データを送信する。
【0031】
カード170はアンテナ176により受信される電磁波から電源生成回路175により電力を生成し、電源生成回路175から各部に電力を供給する。これにより、各部が起動する。復調回路172はカードリーダからの送信データを復調し、制御回路173は復調後の送信データを復号して解読する。そして、制御回路173は解読した送信データに基づいて返信データを生成し、変調速度で返信データのデータを切り替えて変調回路174に供給する。変調回路174は返信データで副搬送波を変調し、無変調区間の搬送波により変調後の返信データをアンテナ176から送信する。
【0032】
カードリーダ120はアンテナ126によってカード170から返信データを受信すると、RF受信回路124は受信した返信データを増幅などし、復調回路125は処理後の返信データを復調する。そして、制御回路121は復調後の返信データを解読する。制御回路121は、カード読取装置100が調整モードで動作している場合、解読した返信データに基づき送信データに対する返信データの正誤を判断し、判断結果をカードリーダ制御装置110へ出力する。
<カードリーダ制御装置の動作>
以下、カードリーダ制御装置110によって行われるカードリーダの送信電力を調整する調整動作について図5を参照しつつ説明する。図5は本実施の形態のカードリーダ制御装置が行うカードリーダの調整動作の流れを示すフローチャートである。
【0033】
カード読取装置110のカードリーダ120、130の運用時の送信電力の設定を行うために、作業者は操作部140のモード切替キーを押下する。モード切替部111は操作部140から入力されるモード切替キーの押下信号に基づきカード読取装置100の動作をカードリーダ120、130の送信電力の調整を行う調整モードに設定する(ステップS101)。
【0034】
モード切替キーの押下後、作業者は操作部140のテンキーを利用してカードリーダ120の識別番号を入力してカードリーダ120の指定を行う。受付部112は操作部140から入力される押下信号に基づきカードリーダ120の指定を受け付ける(ステップS102)。
作業者は指定を行ったカードリーダ120に対応したカードをカードリーダ120のカード読み取り範囲にかざす。カードリーダの指定を受け付けてから或いはLED150の未調整報知用のLEDを点灯させてから所定時間(例えば、3秒)経過後に、カードリーダ120は、複数回、カード読み取り範囲に存在するカードに対して送信データを送信してこれに対する返信データを受信する。そして、カードリーダ120は返信データの正誤を判断し、判断結果をカードリーダ制御装置110へ出力する。検出部113は、カードリーダ120から入力される判断結果に基づき、カードリーダ120とカードとの間で行われる通信の誤り率を算出する(ステップS103)。判断部114はステップS103において算出された誤り率が予め定められた閾値以下であるか否かを判断する(ステップS104)。
【0035】
ステップS104において算出された誤り率が閾値を越えていると判断された場合(S104:NO)、電力設定部115はステップS102において受け付けたカードリーダ120以外のカードリーダ130に対して送信電力のレベルを1(dB)下げさせる制御信号を出力する(ステップS105)。この制御信号により、カードリーダ130の制御回路は内部に保持している送信電力のレベルを1(dB)下げた値に変更して保持することになる。報知制御部116は、作業者に調整ができていないことを知らしめるために、LED150の未調整報知用のLEDを点灯させ(ステップS106)、ステップS103に戻る。
【0036】
ステップS104において誤り率が閾値以下であると判断された場合(S104:YES)、報知制御部116は、作業者に調整ができたことを知らしめるために、LED150の調整済み報知用のLEDを点灯させ(ステップS107)、ステップS108の処理へ進む。
作業者は調整済み報知用のLEDの点灯後、操作部140のテンキーを利用してカードリーダ130の識別番号を入力してカードリーダ130の指定を行う。受付部112は操作部140から入力される押下信号に基づきカードリーダ130の指定を受け付ける(ステップS108)。
【0037】
作業者は指定を行ったカードリーダ130に対応したカードをカードリーダ130のカード読み取り範囲にかざす。カードリーダの指定を受け付けてから或いはLED150の未調整報知用のLEDを点灯させてから所定時間後に、カードリーダ130は、複数回、カード読み取り範囲に存在するカードに対して送信データを送信してこれに対する返信データを受信する。そして、カードリーダ130は返信データの正誤を判断し、判断結果をカードリーダ制御装置110へ出力する。検出部113は、カードリーダ130から入力される判断結果に基づき、カードリーダ130とカードとの間で行われる通信の誤り率を算出する(ステップS109)。判断部114はステップS109において算出された誤り率が予め定められた閾値以下であるか否かを判断する(ステップS110)。
【0038】
ステップS110において、算出された誤り率が閾値を越えていると判断された場合(S110:NO)、電力設定部115はステップS108において受け付けたカードリーダ130以外のカードリーダ120に対して送信電力のレベルを1(dB)下げさせる制御信号を出力する(ステップS111)。この制御信号により、カードリーダ120の制御回路121は内部に保持している送信電力のレベルを1(dB)下げた値に変更して保持することになる。報知制御部116は、LED150の未調整報知用のLEDを点灯させ(ステップS112)、ステップS109に戻る。
【0039】
ステップS110において誤り率が閾値以下であると判断された場合(S110:YES)、報知制御部116は、LED150の調整済み報知用のLEDを点灯させ(ステップS113)、ステップS114の処理へ進む。
作業者は調整済み報知用のLEDの点灯後、ステップS108からステップS113の処理により最初に指定したカードリーダ120がカードと行う通信の通信品質が予め定められた通信品質以下になっていないかを確認するために、操作部140のテンキーを利用してカードリーダ120の識別番号を入力してカードリーダ120の指定を行う。受付部112は操作部140から入力される押下信号に基づきカードリーダ120の指定を受け付ける(ステップS114)。
【0040】
作業者は指定を行ったカードリーダ120に対応したカードをカードリーダ120のカード読み取り範囲にかざし、カード読取装置100においてステップS103の場合と実質的に同様の処理が行われて、検出部113はカードリーダ120とカードとの間で行われる通信の誤り率を算出する(ステップS115)。判断部114はステップS115において算出された誤り率が予め定められた閾値以下であるか否かを判断する(ステップS116)。
【0041】
ステップS116において誤り率が閾値以下であると判断された場合(S116:YES)、報知制御部116は、作業者に調整ができたことを知らしめるために、LED150の調整済み報知用のLEDを点灯させる(ステップS117)。そして、作業者は操作部140のモード切替キーを押下し、モード切替部111は操作部140から入力されるモード切替キーの押下信号に基づきカード読取装置100の調整モードを解除し(ステップS119)、処理を終了する。なお、カードリーダ120、130は、カード読取装置100の運用時には上記の処理により設定された送信電力のレベルで電波を出力することになる。
【0042】
ステップS116において誤り率が閾値を越えていると判断された場合(S116:NO)、報知制御部116は、作業者に調整ができたことを知らしめるために、LED150の未調整報知用のLEDを点灯させる(ステップS118)。そして、作業者は操作部140のモード切替キーを押下し、モード切替部111は操作部140から入力されるモード切替キーの押下信号に基づきカード読取装置100の調整モードを解除し(ステップS119)、処理を終了する。
【0043】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、指定されたカードリーダとカードとの間で行われる通信の通信品質が予め定められた通信品質以下であれば、指定されたカードリーダからみてノイズ源となるカードリーダの送信電力を低下させ、指定されたカードリーダが受信するノイズの電力レベルを下げている。このため、搬送波の周波数を変更することなく、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと通信ができなくなるような状況を回避できるようになる。
《第2の実施の形態》
以下、本発明の第2の実施の形態におけるカードリーダ制御装置について図面を参照しつつ説明する。なお、複数のカードリーダの導入時やメンテナンス時などに、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと行う通信の通信品質が予め定められた通信品質以下にならないように、第1の実施の形態におけるカードリーダ制御装置はカードリーダの送信電力を調整するものであるのに対して、第2の実施の形態におけるカードリーダ制御装置はカードリーダの変調速度を調整するものである。
<全体構成>
本発明の第2の実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成について図6を参照しつつ説明する。図6は本実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成を示すシステム構成図である。なお、第1の実施の形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0044】
カード読取装置200は、カードリーダ制御装置210と、アンテナ226、236を備えたカードリーダ220、230と、操作部140と、LED150とを備えており、カード読取装置200は上位制御装置160に接続されている。
第1の実施の形態のカードリーダ120、130がカードリーダ110からの制御信号に基づき制御回路内に保持している送信電力のレベルを変更する。これに対して、カードリーダ220、230は、カードリーダ制御装置210の後述する変調速度設定部215からの制御信号に基づき、制御回路内に保持している変調速度を制御信号に含まれる変調速度に変更する。カードリーダ220、230は、変調速度に変更があった場合には変更後の変調速度で送信データのデータを切り替える。なお、それ以外の機能については第1の実施の形態のカードリーダ120、130と同様である。
<カードリーダ制御装置構成>
図6に示すように、カードリーダ制御装置210は、モード切替部211と受付部212と検出部213と判断部214と変調速度設定部215と報知制御部216とを備える。モード切替部211、受付部212、検出部213、判断部214、および報知制御部216は、夫々、第1の実施の形態のモード切替部111、受付部112、検出部113、判断部114、および報知制御部116と同様であり、第1の実施の形態の説明が適用できるため説明を省略する。
【0045】
変調速度設定部215は、内部に複数の変調速度を示す数値データ(106ksps、212ksps、424ksps、848ksps)を保持している。変調速度設定部215は、判断部214により誤り率が閾値を越えていると判断された場合に、受付部212により指定を受け付けたカードリーダに対して検出時の変調速度より1段階遅い変調速度(内部に保持している変調速度を示す数値データのうち、検出時の変調速度を示す数値データより小さいものであって、かつ、最大の変調速度を示す数値データ)を含む制御信号を出力する。変調速度設定部215は、指定を受け付けたカードリーダに対して制御信号を出力することによって、指定を受け付けたカードリーダの変調速度を検出時の変調速度より1段階遅い変調速度に設定する。なお、変調速度を大きい順番に使用することにより、カード読取装置200の調整を行う作業者は、調整作業時にカードリーダ220、230が使用する変調速度を知ることができる。
<カードリーダ制御装置の動作>
以下、カードリーダ制御装置210によって行われるカードリーダの変調速度を調整する調整動作について図7を参照しつつ説明する。図7は本実施の形態のカードリーダ制御装置が行うカードリーダの調整動作の流れを示すフローチャートである。
【0046】
モード切替部211は操作部140から入力されるモード切替キーの押下信号に基づきカード読取装置200の動作をカードリーダ220、230の変調速度の調整を行う調整モードに設定する(ステップS201)。
受付部212は操作部140から入力されるテンキーの押下信号に基づき作業者が識別番号を入力することによって指定したカードリーダ220の指定を受け付ける(ステップS202)。
【0047】
作業者は指定を行ったカードリーダ220に対応した現時点でのカードリーダ220の変調速度と同じ変調速度のカードをカードリーダ220のカード読み取り範囲にかざす。第1の実施の形態において説明したステップS103と実質的に同様の処理がカード読取装置200において行われて、検出部213はカードリーダ220とカードとの間で行われる通信の誤り率を算出する(ステップS203)。判断部214はステップS203において算出された誤り率が予め定められた閾値以下であるか否かを判断する(ステップS204)。
【0048】
ステップS204において算出された誤り率が閾値を越えていると判断された場合(S204:NO)、変調速度設定部215はステップS202において受け付けたカードリーダ220に対して検出時の変調速度より1段階遅い変調速度を含む制御信号を出力する(ステップS205)。この制御信号により、カードリーダ220の制御回路は内部に保持している変調速度を制御信号に含まれる検出時の変調速度より1段階遅い変調速度に変更することになる。報知制御部216は、LED150の未調整報知用のLEDを点灯させ(ステップS206)、ステップS203に戻る。
【0049】
ステップS204において誤り率が閾値以下であると判断された場合には(S204:YES)、報知制御部216は、LED150の調整済み報知用のLEDを点灯させ(ステップS207)、ステップS208の処理へ進む。
調整済み報知用のLEDの点灯後、受付部212は操作部140から入力されるテンキーの押下信号に基づき作業者が識別番号を入力することによって指定したカードリーダ230の指定を受け付ける(ステップS208)。
【0050】
作業者は指定を行ったカードリーダ230に対応した現時点でのカードリーダ230の変調速度と同じ変調速度のカードをカードリーダ230のカード読み取り範囲にかざす。第1の実施の形態において説明したステップS109と実質的に同様の処理がカード読取装置200において行われて、検出部213はカードリーダ230とカードとの間で行われる通信の誤り率を算出する(ステップS209)。判断部214はステップS209において算出された誤り率が予め定められた閾値以下であるか否かを判断する(ステップS210)。
【0051】
ステップS210において算出された誤り率が閾値を越えていると判断された場合(S210:NO)、変調速度設定部215はステップS208において受け付けたカードリーダ230に対して検出時の変調速度より1段階遅い変調速度を含む制御信号を出力する(ステップS211)。この制御信号により、カードリーダ230の制御回路は内部に保持している変調速度を制御信号に含まれる検出時の変調速度より1段階遅い変調速度に変更することになる。報知制御部216は、LED150の未調整報知用のLEDを点灯させ(ステップS212)、ステップS209に戻る。
【0052】
ステップS210において誤り率が閾値以下であると判断された場合には(S210:YES)、報知制御部216は、LED150の調整済み報知用のLEDを点灯させ(ステップS213)、ステップS214の処理へ進む。
作業者は調整済み報知用のLEDの点灯後、最初に指定したカードリーダ120がステップS208からステップS213の処理によりカードとの間の通信品質が予め定められた通信品質以下になっていないかを確認する。受付部212は操作部140から入力されるテンキーの押下信号に基づき作業者が識別番号を入力することによって指定したカードリーダ220の指定を受け付ける(ステップS214)。
【0053】
作業者は指定を行ったカードリーダ220に対応した現時点でのカードリーダ220の変調速度と同じ変調速度のカードをカードリーダ220のカード読み取り範囲にかざす。第1の実施の形態において説明したステップS103と実質的に同様の処理がカード読取装置200において行われて、検出部213はカードリーダ220とカードとの間で行われる通信の誤り率を算出する(ステップS215)。判断部214はステップS215において算出された誤り率が予め定められた閾値以下であるか否かを判断する(ステップS216)。
【0054】
ステップS216において誤り率が閾値以下であると判断された場合(S216:YES)、報知制御部216は、LED150の調整済み報知用のLEDを点灯させる(ステップS217)。そして、作業者は操作部140のモード切替キーを押下し、モード切替部211は操作部140から入力されるモード切替キーの押下信号に基づきカード読取装置200の調整モードを解除し(ステップS219)、処理を終了する。なお、カードリーダ220、230は、カード読取装置200の運用時には上記の処理により設定された変調速度により送信データの切り替えを行うことになる。
【0055】
ステップS216において誤り率が閾値を越えていると判断された場合(S216:NO)、報知制御部216は、LED150の未調整報知用のLEDを点灯させる(ステップS218)。そして、作業者は操作部140のモード切替キーを押下し、モード切替部211は操作部140から入力されるモード切替キーの押下信号に基づきカード読取装置200の調整モードを解除し(ステップS219)、処理を終了する。
【0056】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、指定されたカードリーダとカードとの間で行われる通信の通信品質が予め定められた通信品質以下であれば、指定されたカードリーダの変調速度を変更する。これによって、例えば、側波帯の周波数領域がノイズ源となるカードリーダが出力する電波の電力レベルが低い周波数領域に移動すれば、指定されたカードリーダにおいて信号成分を含む側波帯の周波数領域でのノイズの電力レベルが低下する。このため、搬送波の周波数を変更することなく、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと通信ができなくなるような状況を回避できる。
《第3の実施の形態》
以下、本発明の第3の実施の形態におけるカードリーダ制御装置について図面を参照しつつ説明する。なお、複数のカードリーダの導入時やメンテナンス時などに、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと行う通信の通信品質が予め定められた通信品質以下にならないように、第1の実施の形態におけるカードリーダ制御装置はカードリーダの送信電力を調整するものであるのに対して、第3の実施の形態におけるカードリーダ制御装置はカードリーダの変調速度と送信電力とを調整するものである。
<全体構成>
本発明の第3の実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成について図8を参照しつつ説明する。図8は本実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成を示すシステム構成図である。なお、第1の実施の形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0057】
カード読取装置300は、カードリーダ制御装置310と、アンテナ326、336を備えたカードリーダ320、330と、操作部140と、LED150とを備えており、カード読取装置300は上位制御装置160に接続されている。
第1の実施の形態のカードリーダ120、130はカードリーダ110からの制御信号に基づき制御回路内に保持している送信電力のレベルを変更する。これに対して、カードリーダ320、330は、カードリーダ制御装置310の後述する変調速度設定部315からの制御信号に基づき制御回路内に保持している変調速度を制御信号に含まれる変調速度に変更する。また、カードリーダ320、330は、カードリーダ制御装置310後述する電力設定部317からの制御信号に基づき制御回路内に保持している送信電力のレベルを制御信号に含まれる送信電力のレベルに変更する。カードリーダ320、330は、変調速度に変更があった場合には変更後の変調速度で送信データのデータを切り替え、送信電力のレベルに変更があった場合には変更後の送信電力のレベルで電波を出力する。なお、それ以外の機能については第1の実施の形態のカードリーダ120、130と同様である。
<カードリーダ制御装置構成>
図8に示すように、カードリーダ制御装置310は、モード切替部311と受付部312と検出部313と判断部314と変調速度設定部315と記憶部316と電力設定部317と報知制御部318とを備える。モード切替部311、受付部312、検出部313、判断部314、および報知制御部318は、夫々、第1の実施の形態のモード切替部111、受付部112、検出部113、判断部114、および報知制御部116と同様であり、第1の実施の形態の説明が適用できるため説明を省略する。また、変調速度設定部315は、第2の実施の形態の変調速度設定部215と同様であり、第2の実施の形態の説明が適用できるため説明を省略する。
【0058】
記憶部316は、変調速度毎に送信電力のレベルを記憶しており、記憶されている送信電力のレベルは変調速度が遅い方が大きいレベルになっている。ただし、誘導式読み書き通信設備に関して、電波法により変調速度における側波帯の電力レベルの上限が定められており、側波帯の電力レベルの上限は変調速度が遅くなるにつれて大きくなるようになっている。記憶部316に記憶される変調速度毎の送信電力のレベルは電波法の誘電式読み書き通信設備に関する規制を満たすようにしている。なお、変調方式がASK方式の場合、搬送波の振幅レベルをA1、変調度をmとすれば、側波帯の振幅レベルはm×A1/2である。
【0059】
電力設定部317は、受付部312が指定を受け付けたカードリーダに対して、記憶部316に記憶されている変調速度設定部315による変更後の変調速度に対応した、検出時の送信電力のレベルより大きい、送信電力のレベルを含む制御信号を出力する。電力設定部317は、指定を受け付けたカードリーダに対して制御信号を出力することによって、指定を受け付けたカードリーダの送信電力のレベルを検出時の送信電力のレベルより大きい変更後の変調速度に対応した送信電力のレベルに設定する。
<カードリーダ制御装置調整概要>
以下、本実施の形態におけるカードリーダ制御装置によるカードリーダの調整の概要について図9を参照しつつ説明する。図9は本実施の形態のカードリーダ制御装置によるカードリーダの調整を説明するための図である。図9におけるレベル316aは電波法の誘導式読み書き通信設備に関して規制された変調速度に対する側波帯の電力レベルの上限を示している。記憶部316に記憶される変調速度毎の送信電力のレベルは、電波法の誘電式読み書き通信設備に関する変調速度に対する側波帯の電力レベルの上限を超えないように(ここでは、上限となるように)、側波帯の電力レベルと変調度とを考慮して設定される。
【0060】
カードリーダ320の変調速度がv1、搬送波の電力レベルがV1であった場合(図9(a))に、カードリーダ320がカードと行う通信の通信品質が予め定められた通信品質以下であったとする。このとき、変調速度設定部315はカードリーダ320の変調速度を一段階変調速度を遅らせて変調速度v2に設定する。電力設定部317は、変調速度v2では変調速度v1に比べて搬送波の送信電力のレベルを大きくすることができるので、搬送波の電力レベルがV2になるようにカードリーダ320の送信電力のレベルを設定する。搬送波の電力レベルが大きくなることによって、側波帯の電力レベルも大きくなる。
<カードリーダ制御装置の動作>
以下、カードリーダ制御装置310によって行われるカードリーダの変調速度および送信電力を調整する調整動作について図10を参照しつつ説明する。図10は本実施の形態のカードリーダ制御装置が行うカードリーダの調整動作の流れを示すフローチャートである。
【0061】
モード切替部311は操作部140から入力されるモード切替キーの押下信号に基づきカード読取装置300の動作をカードリーダ320、330の変調速度および送信電力のレベルの調整を行う調整モードに設定する(ステップS301)。
受付部312は操作部140から入力されるテンキーの押下信号に基づき作業者が識別番号を入力することによって指定したカードリーダ320の指定を受け付ける(ステップS302)。
【0062】
作業者は指定を行ったカードリーダ320に対応した現時点でのカードリーダ320の変調速度と同じ変調速度のカードをカードリーダ320のカード読み取り範囲にかざす。第1の実施の形態において説明したステップS103と実質的に同様の処理がカード読取装置300において行われて、検出部313はカードリーダ320とカードとの間で行われる通信の誤り率を算出する(ステップS303)。判断部314はステップS303において算出された誤り率が予め定められた閾値以下であるか否かを判断する(ステップS304)。
【0063】
ステップS304において算出された誤り率が閾値を越えていると判断された場合(S304:NO)、変調速度設定部315はステップS302において受け付けたカードリーダ320に対して検出時の変調速度より1段階遅い変調速度を含む制御信号を出力する(ステップS305)。この制御信号により、カードリーダ320の制御回路は内部に保持している変調速度を制御信号に含まれる検出時の変調速度より1段階遅い変調速度に変更する。電力設定部317は記憶部316から変更後の変調速度に対応した送信電力のレベルを取り出し、取り出した送信電力のレベルが指定を受け付けたカードリーダ320の現在の送信電力のレベルより大きいか否か、つまり、送信電力を大きくできるか否かを判断する(ステップS306)。
【0064】
ステップS306において送信電力のレベルを大きくできないと判断された場合(S306:NO)、報知制御部318はLED150の未調整報知用のLEDを点灯させ(ステップS308)、ステップS303に戻る。
ステップS306において送信電力のレベルを大きくできると判断された場合(S306:YES)、電力設定部317はステップS302において受け付けたカードリーダ320に対して記憶部316から取り出した送信電力のレベルを含む制御信号を出力する(ステップS307)。この制御信号により、カードリーダ320の制御回路は内部に保持している送信電力のレベルを制御信号に含まれる検出時の送信電力のレベルより大きい変更後の変調速度に対応した送信電力のレベルに変更することになる。そして、報知制御部318はLED150の未調整報知用のLEDを点灯させ(ステップS308)、ステップS303に戻る。
【0065】
ステップS304において誤り率が閾値以下であると判断された場合(S304:YES)、報知制御部318はLED150の調整済み報知用のLEDを点灯させ(ステップS309)、ステップS310の処理へ進む。
調整済み報知用のLEDの点灯後、受付部312は操作部140から入力されるテンキーの押下信号に基づき作業者が識別番号を入力することによって指定したカードリーダ330の指定を受け付ける(ステップS310)。
【0066】
作業者は指定を行ったカードリーダ330に対応した現時点でのカードリーダ330の変調速度と同じ変調速度のカードをカードリーダ330のカード読み取り範囲にかざす。第1の実施の形態において説明したステップS109と実質的に同様の処理がカード読取装置300において行われて、検出部313はカードリーダ330とカードとの間で行われる通信の誤り率を算出する(ステップS311)。判断部314はステップS311において算出された誤り率が予め定められた閾値以下であるか否かを判断する(ステップS312)。
【0067】
ステップS312において算出された誤り率が閾値を越えていると判断された場合(S312:NO)、変調速度設定部315はステップS310において受け付けたカードリーダ330に対して検出時の変調速度より1段階遅い変調速度を含む制御信号を出力する(ステップS313)。この制御信号により、カードリーダ330の制御回路は内部に保持している変調速度を制御信号に含まれる検出時の変調速度より1段階遅い変調速度に変更する。電力設定部317は記憶部316から変更後の変調速度に対応した送信電力のレベルを取り出し、取り出した送信電力のレベルが指定を受け付けたカードリーダ330の現在の送信電力のレベルより大きいか否か、つまり、送信電力を大きくできるか否かを判断する(ステップS314)。
【0068】
ステップS314において送信電力のレベルを大きくできないと判断された場合(S314:NO)、報知制御部318はLED150の未調整報知用のLEDを点灯させ(ステップS316)、ステップS311に戻る。
ステップS314において送信電力のレベルを大きくできると判断された場合(S314:YES)、電力設定部317はステップS310において受け付けたカードリーダ330に対して記憶部316から取り出した送信電力のレベルを含む制御信号を出力する(ステップS315)。この制御信号により、カードリーダ330の制御回路は内部に保持している送信電力のレベルを制御信号に含まれる検出時の送信電力のレベルより大きい変更後の変調速度に対応した送信電力のレベルに変更することになる。そして、報知制御部318はLED150の未調整報知用のLEDを点灯させ(ステップS316)、ステップS311に戻る。
【0069】
ステップS312において誤り率が閾値以下であると判断された場合(S312:YES)、報知制御部318はLED150の調整済み報知用のLEDを点灯させ(ステップS317)、ステップS318の処理へ進む。
作業者は調整済み報知用のLEDの点灯後、ステップS310からステップS317の処理により最初に指定したカードリーダ320がカードと行う通信の通信品質が予め定められた通信品質以下になっていないかを確認する。受付部312は操作部140から入力されるテンキーの押下信号に基づき作業者が識別番号を入力することによって指定したカードリーダ320の指定を受け付ける(ステップS318)。
【0070】
作業者は指定を行ったカードリーダ320に対応した現時点でのカードリーダ320の変調速度と同じ変調速度のカードをカードリーダ320のカード読み取り範囲にかざす。第1の実施の形態において説明したステップS103と実質的に同様の処理がカード読取装置300において行われて、検出部313はカードリーダ320とカードとの間で行われる通信の誤り率を算出する(ステップS319)。判断部314はステップS319において算出された誤り率が予め定められた閾値以下であるか否かを判断する(ステップS320)。
【0071】
ステップS320において誤り率が閾値以下であると判断された場合(S320:YES)、報知制御部318はLED150の調整済み報知用のLEDを点灯させる(ステップS321)。そして、作業者は操作部140のモード切替キーを押下し、モード切替部311は操作部140から入力されるモード切替キーの押下信号に基づきカード読取装置300の調整モードを解除し(ステップS323)、処理を終了する。なお、カードリーダ320、330は、カード読取装置300の運用時には上記の処理により設定された変調速度により送信データの切り替えを行い、設定された送信電力のレベルで電波を出力することになる。
【0072】
ステップS320において誤り率が閾値を越えていると判断された場合(S320:NO)、報知制御部318はLED150の未調整報知用のLEDを点灯させる(ステップS322)。そして、作業者は操作部140のモード切替キーを押下し、モード切替部311は操作部140から入力されるモード切替キーの押下信号に基づきカード読取装置300の調整モードを解除し(ステップS323)、処理を終了する。
【0073】
以上説明したように、第3の実施の形態によれば、指定されたカードリーダとカードとの間で行われる通信の通信品質が予め定められた通信品質以下であれば、指定されたカードリーダの変調速度を遅くする。これによって、例えば、側波帯の周波数領域がノイズ源となるカードリーダが出力する電波の電力レベルが低い周波数領域に移動すれば、指定されたカードリーダにおいて信号成分を含む側波帯の周波数領域でのノイズの電力レベルが低下する。また、指定されたカードリーダが変更後の変調速度において送信電力のレベルを大きくできる場合には送信電力のレベルを大きくして、指定されたカードリーダが受信する受信信号の電力レベルを大きくしている。これにより、搬送波の周波数を変更することなく、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと通信ができなくなるような状況を回避できる。
《第4の実施の形態》
以下、本発明の第4の実施の形態におけるカードリーダ制御装置について図面を参照しつつ説明する。なお、複数のカードリーダの導入時やメンテナンス時などに、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと行う通信の通信品質が予め定められた通信品質以下にならないように、第1の実施の形態におけるカードリーダ制御装置はカードリーダの送信電力を調整するものであるのに対して、第4の実施の形態におけるカードリーダ制御装置はカードリーダが電波を出力する出力タイミングを調整するものである。
<全体構成>
本発明の第4の実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成について図11を参照しつつ説明する。図11は本実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成を示すシステム構成図である。なお、第1の実施の形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0074】
カード読取装置400は、カードリーダ制御装置410と、アンテナ426、436を備えたカードリーダ420、430と、操作部140と、LED150とを備えており、カード読取装置400は上位制御装置160に接続されている。
カードリーダ420、430は、制御回路内に変調速度と送信電力のレベルとを記憶するとともに、さらに、アンテナ426、436に電流を流して電波を出力する1周期内の出力タイミングを記憶する。第1の実施の形態のカードリーダ120、130が常時電波を出力するのに対して、カードリーダ420、430は、制御回路内に保持している出力タイミングにてアンテナ426、436に電流を流して電波を出力する。また、カードリーダ120、130がカードリーダ110からの制御信号に基づき制御回路内に保持している送信電力のレベルを変更するのに対して、カードリーダ420、430は、カードリーダ制御装置410の後述するタイミング設定部415からの制御信号に基づき、制御回路内に保持している出力タイミングを制御信号に含まれる出力タイミングに変更する。なお、それ以外の機能については第1の実施の形態のカードリーダ120、130と同様である。
<カードリーダ制御装置構成>
図11に示すように、カードリーダ制御装置410は、モード切替部411と受付部412と検出部413と判断部414とタイミング設定部415と報知制御部416とを備える。モード切替部411、受付部412、検出部413、および判断部414は、夫々、第1の実施の形態のモード切替部111、受付部112、検出部113、および判断部114と同様であり、第1の実施の形態の説明が適用できるため説明を省略する。
【0075】
タイミング設定部415は、判断部414により誤り率が閾値を越えていると判断された場合に、受付部412により指定を受け付けたカードリーダに対して検出時の出力タイミングと異なる出力タイミングをランダムに決定し、決定した出力タイミングを含む制御信号を出力する。タイミング設定部415は、指定を受け付けたカードリーダに対して制御信号を出力することによって、指定を受け付けたカードリーダの出力タイミングを検出時の出力タイミングと異なる出力タイミングに設定する。
【0076】
報知制御部416は、判断部414により誤り率が閾値を越えていると判断された場合にLED150の未調整報知用のLEDを点灯させ、連続して11回誤り率が閾値を超えていると判断された場合にLED150の未調整報知用のLEDを点滅させる。また、報知制御部416は、判断部414により誤り率が閾値以下であると判断された場合にLED150の調整済み報知用のLEDを点灯させる。
<カードリーダ制御装置の動作>
以下、カードリーダ制御装置410によって行われるカードリーダの出力タイミングを調整する調整動作について図12を参照しつつ説明する。図12は本実施の形態のカードリーダ制御装置が行うカードリーダの調整動作の流れを示すフローチャートである。
【0077】
モード切替部411は操作部140から入力されるモード切替キーの押下信号に基づきカード読取装置400の動作をカードリーダ420、430の出力タイミングの調整を行う調整モードに設定する(ステップS401)。
受付部412は操作部140から入力されるテンキーの押下信号に基づき作業者が識別番号を入力することによって指定したカードリーダ420の指定を受け付ける(ステップS402)。
【0078】
作業者は指定を行ったカードリーダ420に対応したカードをカードリーダ420のカード読み取り範囲にかざす。第1の実施の形態において説明したステップS103と実質的に同様の処理がカード読取装置400において行われて、検出部413はカードリーダ420とカードとの間で行われる通信の誤り率を算出する(ステップS403)。判断部414はステップS403において算出された誤り率が予め定められた閾値以下であるか否かを判断する(ステップS404)。
【0079】
ステップS404において算出された誤り率が閾値を越えていると判断された場合(S404:NO)、タイミング設定部415はカウンタのカウンタ値を1カウントアップし(ステップS405)、カウントアップ後のカウンタ値が10より大きいか否かを判断する(ステップS406)。
ステップS406においてカウンタ値が10以下であると判断された場合(S406:NO)、タイミング設定部415はステップS402において受け付けたカードリーダ420の出力タイミングを検出時の出力タイミングと異なるようにランラムに決定する。そして、タイミング設定部415はカードリーダ420に対して決定した出力タイミングを含む制御信号を出力する(ステップS407)。この制御信号により、カードリーダ420の制御回路は内部に保持している出力タイミングを制御信号に含まれる検出時の出力タイミングと異なる出力タイミングに変更することになる。そして、報知制御部416はLED150の未調整報知用のLEDを点灯させ(ステップS408)、ステップS403に戻る。
【0080】
ステップS406においてカウンタ値が10を超えていると判断された場合(S406:YES)、作業者に調整ができなかったことを知らしめるために、報知制御部416はLED150の未調整報知用のLEDを点滅させる(ステップS409)。そして、作業者は操作部140のモード切替キーを押下し、モード切替部411は操作部140から入力されるモード切替キーの押下信号に基づきカード読取装置400の調整モードを解除し(ステップS411)、処理を終了する。なお、カウンタを利用することによって出力タイミングを変更する回数の上限を設けている。
【0081】
ステップS404において誤り率が閾値以下であると判断された場合(S404:YES)、報知制御部416はLED150の調整済み報知用のLEDを点灯させる(ステップS410)。そして、作業者は操作部140のモード切替キーを押下し、モード切替部411は操作部140から入力されるモード切替キーの押下信号に基づきカード読取装置400の調整モードを解除し(ステップS411)、処理を終了する。なお、カードリーダ420、430は、カード読取装置400の運用時には上記の処理により設定された出力タイミングにより電波を出力することになる。
【0082】
以上説明したように、第4の実施の形態によれば、指定されたカードリーダとカードとの間で行われる通信の通信品質が予め定められた通信品質以下であれば、指定されたカードリーダの電波を出力する出力タイミングを変更して、ノイズ源となるカードリーダが電波を出力する出力タイミングとずらす。これにより、搬送波の周波数を変更することなく、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと通信ができなくなるような状況を回避できるようになる。
《第5の実施の形態》
以下、本発明の第5の実施の形態におけるカードリーダ制御装置について図面を参照しつつ説明する。なお、第1から第4の実施の形態はカードリーダの導入時或いはメンテナンス時などにカードリーダの送信電力などを調整するものであるのに対して、第5の実施の形態におけるカードリーダ制御装置は、複数のカードリーダの運用時に、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードとの間の通信が途中でできなくなることを防ぐために、カードリーダの送信電力を制御するものである。
<全体構成>
本発明の第5の実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成について図13を参照しつつ説明する。図13は本実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成を示すシステム構成図である。なお、第1の実施の形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0083】
カード読取装置500は、カードリーダ制御装置510と、アンテナ526、536を備えたカードリーダ520、530と、操作部140と、LED150とを備えており、カード読取装置500は上位制御装置160に接続されている。
カードリーダ520、530は、カードとの間で予め定められた段階(本実施の形態ではカードとの間で通信リンクを確立した段階)になると、カードリーダ制御装置510に対してカードと通信をしていることを通知する通信通知信号を出力する。また、カードリーダ520、530は、カードとの通信が完了すると、カードリーダ制御装置510に対してカードとの通信が完了したことを通知する完了通知信号を出力する。カードリーダ520、530はカードリーダ制御装置510からの制御信号に基づき送信電力を一時的に低下させる。なお、カードリーダ520、530が通信の際に行う基本的な動作は第1の実施の形態のカードリーダ120、130と実質的に同様である。
<カードリーダ制御装置構成>
図13に示すように、カードリーダ制御装置510は、リーダ検知部511と完了検知部512と電力制御部513とを備える。
【0084】
リーダ検知部511はカードリーダから入力される通信通知信号に基づきカードと通信リンクを確立したカードリーダ、言い換えるとカードと通信しているカードリーダを検知する。完了検知部512はカードリーダから入力される完了通知信号に基づき通信をしていたカードリーダが通信を完了したことを検知する。
電力制御部513はリーダ検知部511によってカードと通信しているカードリーダが検知されると、リーダ検知部511により検知されたカードリーダ以外のカードリーダに対して送信電力のレベルを低下させる(例えば送信電力を0にさせる)制御信号を出力して、検知されたカードリーダ以外のカードリーダの送信電力を低下させる。また、電力制御部513は、完了検知部512によってカードリーダが通信を完了したことを検知すると、リーダ検知部511により検知されたカードリーダ以外のカードリーダに対して送信電力のレベルを元に戻させる制御信号を出力し、検知されたカードリーダ以外のカードリーダの送信電力を元に戻す。
<カードリーダ制御装置の動作>
以下、カードリーダ制御装置510によって行われるカードリーダの送信電力を制御する制御動作について図14を参照しつつ説明する。図14は本実施の形態のカードリーダ制御装置が行うカードリーダの調整動作の流れを示すフローチャートである。なお、カードと通信を行うカードリーダが520であるとして記載する。
【0085】
リーダ検知部511がカードリーダ520から入力される通信通知信号に基づきカードリーダ520がカードとの間で通信リンクを確立して通信していることを検知する(ステップS501)。電力制御部513は検知したカードリーダ520以外のカードリーダ530に対して送信電力のレベルを低下させる制御信号を出力する(ステップS502)。この制御信号により、カードリーダ530の送信電力が低下する。
【0086】
完了検知部512はカードリーダ520がカードとの間の通信を完了したか否かをカードリーダ520から入力される完了通知信号に基づき検知する(ステップS503)。カードリーダ520がカードとの間の通信を完了したことを検知できなかった場合(S503:NO)、ステップS503に戻り、引き続きカードリーダ520がカードとの間の通信を完了したかを監視する。
【0087】
ステップS503においてカードリーダ520がカードとの間の通信を完了したことを検知した場合(S503:YES)、電力制御部513はステップS501においてリーダ検知部511が検知したカードリーダ520以外のカードリーダ530に対して送信電力を元に戻させる制御信号を出力する(ステップS504)。この制御信号により、カードリーダ530の送信電力が元に戻る。
【0088】
以上説明したように、第5の実施の形態によれば、カードリーダの何れかがカードと通信をしていることを検知すると、カードと通信を行っているカードリーダ以外のカードリーダの送信電力を低下させる。このため、搬送波の周波数を変更することなく、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと通信ができなくなるような状況を回避できるようになる。
《補足》
上記の第1の実施の形態では、カードリーダ読取装置内のカードリーダが2台の場合であるが、これに限られず、カードリーダが3台以上であってもよい。この場合、指定されたカードリーダ以外の全てのカードリーダの送信電力を下げるようにしてもよく、指定されたカードリーダ以外の1台或いは複数台のカードリーダの送信電力を下げるようにしてもよい。
【0089】
また、同様に、上記の第2から第5の実施の形態では、カードリーダ読取装置内のカードリーダが2台の場合であるが、これに限られず、カードリーダが3台以上であってもよい。
さらに、上記の第1から第5の実施の形態では、カードリーダ制御装置がカード読取装置内にある場合であるが、これに限られず、上位制御装置内に設けるなどカード読取装置外にあってもよい。
【0090】
さらに、上記の第1の実施の形態においては、指定されたカードリーダとカードとの間で行われる通信の通信品質が予め定められた通信品質以下であれば指定されたカードリーダ以外のカードリーダの送信電力を低下させている場合である。が、これに限らず、指定されたカードリーダの送信電力を高くするようにしてもよい。
さらに、上記の第2の実施の形態によれば、変調速度を段階的に遅くするような場合であるが、これに限られず、変調速度を段階的に速くするようにしてもよい。
【0091】
さらに、上記の第1から第4の実施の形態においては、カードリーダとカードとの間の通信の誤り率を送信データの送信回数に対する誤った返信データの受信回数の割合としていたが、これに限らず、例えば、カードリーダ側が内部に保持している複数のビットからなるデータをカードからカードリーダへ出力するようにしておき、ビットの数に対する誤ったビットの数の割合としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】第1の実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成を示すシステム構成図。
【図2】図1のカードリーダのアンテナが置かれる位置関係を示す模式図。
【図3】図1のカードリーダの装置構成を示す構成図。
【図4】図1のカードの装置構成を示す構成図。
【図5】図1のカードリーダ制御装置が行うカードリーダの調整動作の流れを示すフローチャート。
【図6】第2の実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成を示すシステム構成図。
【図7】図6のカードリーダ制御装置が行うカードリーダの調整動作の流れを示すフローチャート。
【図8】第3の実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成を示すシステム構成図。
【図9】図8のカードリーダ制御装置によるカードリーダの変調速度および送信電力のレベルの調整を説明するための図。
【図10】図8のカードリーダ制御装置が行うカードリーダの調整動作の流れを示すフローチャート。
【図11】第4の実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成を示すシステム構成図。
【図12】図11のカードリーダ制御装置が行うカードリーダの調整動作の流れを示すフローチャート。
【図13】第5の実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成を示すシステム構成図。
【図14】図13のカードリーダ制御装置が行うカードリーダの調整動作の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0093】
100、200、300、400、500 カード読取装置
110、210、310、410、510 カードリーダ制御装置
111、211、311、411 モード切替部
112、212、312、412 受付部
113、213、313、413 検出部
114、214、314、414 判断部
115、317、 電力設定部
116、216、318、416 報知制御部
215、315、 変調速度設定部
316 記憶部
511 リーダ検知部
512 完了検知部
513 電力制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波を用いて非接触にてカードと通信を行うカードリーダの調整などを行うカードリーダ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、非接触式のICカードリーダとICカードとして、変調方式や符号化の種類など通信条件が異なる様々なタイプの組み合わせが提供されている。しかしながら、変調方式や符号化の種類など通信条件が異なることから、ICカードリーダは全種類のICカードと通信を行うことができない。
例えば、テナントビルにおいて、テナントビルの出入り口付近にICカードリーダを設置し、ICカードに記録されたデータを読み取ることにより人の出入りを監視することがある。この場合、入居するテナント毎に異なる通信条件のカードを採用することがあり、上述した理由からテナントによって採用された各ICカードに対応したICカードリーダを用意しなければならない。このとき、テナントビルの入居者が自身のICカードに対応するICカードリーダがどれかを考えてICカードをかざさなくてもすむように、各ICカードリーダが備えるアンテナを近接して設置して入居者がICカードの種類にかかわらずほぼ同じ位置にICカードをかざせばよいようにすることが考えられる。
【0003】
ところが、複数のICカードリーダを近接して設置する場合、ICカードリーダとICカードとの間の通信が別のICカードリーダが出力する電波による影響を受け、ICカードリーダがICカードに記録されているデータを正しく読み出すことができない場合が生じる。
これを解決する技術として次のようなものが知られている。ICカードリーダが他のICカードリーダから干渉を受けてICカードからデータを読み出すことができない場合に、ICカードリーダが出力する搬送波の周波数を変更する。これにより、信号成分を含む側波帯の周波数領域を移動させ、他のカードリーダが出力する電波による影響を低減する(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−358608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記の従来の仕組みは、ICカードリーダが複数の周波数の搬送波を出力することができることを必要とすることから、搬送波の周波数を変更することができないICカードリーダ間での電波の干渉を回避する場合には適用することができない。
そこで、本発明は、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと通信ができなくなるような状況を搬送波の周波数を変更することなく回避することができるカードリーダ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明のカードリーダ制御装置は、電波を用いて非接触にてカードと行う通信の通信条件が互いに異なり、相互に干渉し得る位置に配されている複数のカードリーダの調整を行うカードリーダ制御装置において、複数の前記カードリーダの中から1つのカードリーダの指定を受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けた前記カードリーダと当該カードリーダのカード読み取り範囲に存在するカードとの間で行われる通信の通信品質を検出する検出手段と、前記検出手段により検出される前記通信品質が予め定められた通信品質以下であるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段により前記通信品質が予め定められた通信品質以下であると判断される場合に、前記受付手段により受け付けたカードリーダ以外のカードリーダの送信電力が検出時より低下するように、又は、前記受付手段により受け付けたカードリーダの送信電力が検出時より大きくなるように、送信電力の設定を行う電力設定手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
上記のカードリーダ制御装置によれば、指定されたカードリーダとカードとの間で行われる通信の通信品質が予め定められた通信品質以下であれば、指定されたカードリーダからみてノイズ源となるカードリーダの送信電力を低下させ、指定されたカードリーダが受信するノイズの電力レベルが低くなるようにしている。或いは、指定されたカードリーダの送信電力を大きくして、指定されたカードリーダが受信する信号の電力レベルが大きくなるようにしている。このため、搬送波の周波数を変更することなく、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと通信ができなくなるような状況を回避できるようになる。
【0007】
また、本発明のカードリーダ制御装置は、電波を用いて非接触にてカードと行う通信の通信条件が互いに異なり、相互に干渉し得る位置に配されている複数のカードリーダの調整を行うカードリーダ制御装置において、複数の前記カードリーダの中から1つのカードリーダの指定を受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けた前記カードリーダと当該カードリーダのカード読み取り範囲に存在するカードとの間で行われる通信の通信品質を検出する検出手段と、前記検出手段により検出される前記通信品質が予め定められた通信品質以下であるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段により前記通信品質が予め定められた通信品質以下であると判断される場合に、前記受付手段により受け付けたカードリーダが行う送信データを切り替える変調速度を検出時の変調速度と異なるように変更して変調速度の設定を行う変調速度設定手段と、を備えたことを特徴とする。なお、変調速度とは、送信データを送信するシンボルレートであり、変調速度は単位時間当たりのシンボルの切り替え回数によって変化する。また、シンボルとは、1回の変調で送信する1ビットあるいは複数ビットのデータである。
【0008】
上記のカードリーダ制御装置によれば、指定されたカードリーダとカードとの間で行われる通信の通信品質が予め定められた通信品質以下であれば、指定されたカードリーダの変調速度を変更する。この変調速度の変更によって、例えば、側波帯の周波数領域がノイズ源となるカードリーダが出力する電波の電力レベルが低い周波数領域に移動すれば、指定されたカードリーダにおいて信号成分を含む側波帯の周波数領域でのノイズの電力レベルが低下する。このため、搬送波の周波数を変更することなく、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと通信ができなくなるような状況を回避できるようになる。
【0009】
また、上記のカードリーダ制御装置において、前記変調速度設定手段は変調速度の変更を変調速度を遅くすることにより行い、前記変調速度設定手段による変更後の変調速度に応じて、前記受付手段により受け付けたカードリーダの送信電力が検出時より大きくなるように送信電力の設定を行う電力設定手段を更に備えることとしてもよい。
これによれば、変調速度を遅くして指定されたカードリーダの側波帯の周波数領域を移動させながら、指定されたカードリーダの送信電力を大きくして受信信号の電力レベルが大きくなるようにしている。このため、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと通信ができなくなるような状況をより確実に回避できるようになる。
【0010】
なお、現在、電波法では誘導式読み書き通信設備に関して、変調速度に対して側波帯の電力レベルの上限が定められており、変調速度が遅くなるにつれて側波帯の電力レベルの上限が段階的に大きくなるように定められている。上記構成は電波法の誘導式読み書き通信設備に関する規制に沿ったものにもなっている。
また、本発明のカードリーダ制御装置は、電波を用いて非接触にてカードと行う通信の通信条件が互いに異なり、相互に干渉し得る位置に配されている複数のカードリーダの調整を行うカードリーダ制御装置において、複数の前記カードリーダの中から1つのカードリーダの指定を受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けた前記カードリーダと当該カードリーダのカード読み取り範囲に存在するカードとの間で行われる通信の通信品質を検出する検出手段と、前記検出手段により検出される前記通信品質が予め定められた通信品質以下であるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段により前記通信品質が予め定められた通信品質以下であると判断される場合に、前記受付手段により受け付けたカードリーダが電波を出力する出力タイミングを検出時の出力タイミングと異なるように変更して出力タイミングの設定を行うタイミング設定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
上記のカードリーダ制御装置によれば、指定されたカードリーダとカードとの間で行われる通信の通信品質が予め定められた通信品質以下であれば、指定されたカードリーダが電波を出力する出力タイミングを変更して、指定されたカードリーダからみてノイズ源となるカードリーダの出力タイミングとずれるようにする。このため、搬送波の周波数を変更することなく、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと通信ができなくなるような状況を回避できるようになる。
【0012】
また、上記のカードリーダ制御装置の夫々において、前記検出手段は前記通信品質の検出を通信品質に関連した指標である誤り率を算出することにより行い、前記判断手段は前記誤り率が予め定められた閾値を超えた場合に前記通信品質が予め定められた通信品質以下であると判断することとしてもよい。これにより、通信品質が予め定められた通信品質以下であるか否かの判断を行う一形態を実現できる。
【0013】
また、本発明のカードリーダ制御装置は、電波を用いて非接触にてカードと行う通信の通信条件が互いに異なり、相互に干渉し得る位置に配されている複数のカードリーダの制御を行うカードリーダ制御装置において、複数の前記カードリーダの中からカードと通信しているカードリーダを検知する検知手段と、前記検知手段により検知される前記カードリーダ以外のカードリーダの送信電力が低下するように送信電力の制御を行う電力制御手段と、を備えたことを特徴とする。なお、「通信している」とは、カードリーダとカードとの間で例えば通信リンクが確立した段階など予め定められた段階まで通信が進んだことを意味する。
【0014】
上記のカードリーダ制御装置によれば、複数のカードリーダの中の1つのカードリーダがカードと通信を開始すれば、通信を開始したカードリーダからみてノイズ源となるそれ以外のカードリーダの送信電力が低くなるようにして、指定されたカードリーダが受信するノイズの電力レベルを低くする。このため、搬送波の周波数を変更することなく、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと通信ができなくなるような状況を回避できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
《第1の実施の形態》
以下、本発明の第1の実施の形態におけるカードリーダ制御装置について図面を参照しつつ説明する。なお、第1の実施の形態におけるカードリーダ制御装置は、複数のカードリーダの導入時やメンテナンス時などに、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと行う通信の通信品質が予め定められた通信品質以下にならないように、カードリーダの送信電力を調整するものである。ただし、カードリーダの送信電力のレベルは搬送波の出力電力のレベルを指し、他においても同様である。
<全体構成>
本発明の第1の実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成について図1および図2を参照しつつ説明する。図1は本実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成を示すシステム構成図である。図2は図1の各非接触式のICカードリーダのアンテナコイルが配される位置関係を示す模式図である。
【0016】
図1に示すように、カード読取装置100は、カードリーダ制御装置110と、アンテナコイル(以下、アンテナという。)126、136を備えたICカードリーダ(以下、カードリーダという。)120、130と、操作部140と、LED(Light Emitting Diode)150とを備えている。
カードリーダ制御装置110は、カードリーダ120、130の送信電力の調整を行い、カード読取装置100の運用時のカードリーダ120、130の送信電力を設定するものである。
【0017】
カードリーダ120、130は、常時電波を出力して自機のカード読み取り範囲に存在するICカード(以下、カードと略す。)と電波を用いて非接触により通信を行うものであり、変調方式や符号化の種類など通信条件が互いに異なっている。アンテナ126、136は、図2に示すように、図中の矢印A方向に見て互いに平面的に重なるように近接して配置されている。このため、アンテナ136はアンテナ126から放射される電磁波126EMにより干渉を受け、アンテナ126はアンテナ136から放射される電磁波136EMにより干渉を受ける。ただし、カードリーダ120、130はアンテナ126、136と矢印A方向に見て平面的に重なる近接した位置にアンテナ176が存在するカードと通信を行う。なお、後述する第2から第5の実施の形態におけるカード読取装置内のカードリーダが備えるアンテナ間の位置関係は図2に示すアンテナ間の位置関係と同様である。
【0018】
操作部140は、カード読取装置100の入力装置であって、テンキー、確定キー、モード切替キーなどがある。モード切替キーは、カード読取装置100の動作をカードリーダ120、130の調整を行う調整モードに設定する場合に、また、調整モードを解除する場合に押下されるキーである。
LED150は、複数のLEDからなる。調整モード時に、カードリーダとカードとの間の通信の通信品質が予め定められた通信品質を超えていれば点灯するLED(以下、調整報済み知用のLEDという。)、予め定められた通信品質以下であれば点灯するLED(以下、未調整報知用のLEDという。)が割り当てられている。
【0019】
カード読取装置100には上位制御装置160が接続されている。例えば、上位制御装置160はカードリーダ120、130からカードリーダ120、130がカードから読み取った識別番号が入力される。上位制御装置160は入力された識別番号が不図示の記憶装置内のデータベースに予め格納されている登録番号の何れかに一致すれば電気制御可能な入退室ドアの鍵の開錠を一定期間行う。
<カードリーダ制御装置構成>
図1に示すように、カードリーダ制御装置110は、モード切替部111と受付部112と検出部113と判断部114と電力設定部115と報知制御部116とを備える。
【0020】
モード切替部111は、操作部140から入力されるモード切替キーの押下信号に基づき、カード読取装置100が調整モード以外のモードで動作しているときにはカード読取装置100の動作を調整モードに設定し、調整モードで動作しているときには調整モードを解除する。
受付部112は、調整モード時に操作部140から入力されるテンキーの押下信号に基づき、カードリーダ120、130のうちカードを読み取るカードリーダの指定を受け付ける。例えば、不図示のメモリにカードリーダ毎にカードリーダを識別するための識別番号を記憶しておき、作業者は操作部140のテンキーを利用して識別番号を入力することによってカードリーダの指定を行うことにより実現できる。
【0021】
検出部113は、受付部112によって指定を受け付けたカードリーダとカードとの間において行われる通信の誤り率を算出して、両者間において行われる通信の通信品質を検出する。誤り率の算出は、指定を受け付けたカードリーダから入力される当該カードリーダがカードに送信した送信データに対するカードの返信データの正誤に基づき、送信した送信データの回数に対する誤った返信データの回数の割合を算出することにより行う。なお、誤った返信データには返信データがなかった場合も含む。
【0022】
判断部114は、検出部113により算出された誤り率が不図示のメモリに記憶されている予め定められた閾値以下であるか否かを判断し、誤り率が閾値を超えている場合に通信品質が予め定められた通信品質以下であると判断する。
電力設定部115は、判断部114により誤り率が閾値を越えていると判断された場合に、受付部112により指定を受け付けたカードリーダ以外のカードリーダに対して送信電力のレベルを1(dB)下げさせる制御信号を出力する。電力設定部115は、指定を受け付けたカードリーダ以外のカードリーダに対して制御信号を出力することによって、指定を受け付けたカードリーダ以外のカードリーダの送信電力のレベルを検出時の送信電力より1(dB)低い送信電力のレベルに設定する。
【0023】
報知制御部116は、判断部114により誤り率が閾値を越えていると判断された場合にLED150の未調整報知用のLEDを点灯させ、判断部114により誤り率が閾値以下であると判断された場合にLED150の調整済み報知用のLEDを点灯させる。
<カードリーダ構成>
以下、図1のカードリーダ120の構成について図3を参照しつつ説明する。図3は図1のカードリーダ120の装置構成を示す構成図である。
【0024】
図3に示すように、カードリーダ120は、制御回路121と変調回路122とRF(Radio Frequency)送信回路123とRF受信回路124と復調回路125とアンテナ126とを備える。
制御回路121はカードリーダ120の各種制御を行うものである。制御回路121は、送信電力のレベルと変調速度との初期値を内部に保持しており、カードリーダ制御装置110の電力設定部115から入力される制御信号に基づき、内部に保持している送信電力のレベルを1(dB)下げた送信電力のレベルに変更して保持する。制御回路121は送信するデータを生成するとともに符号化して送信データを作成し、内部に保持している変調速度で送信データのデータを切り替えて変調回路122に供給する。また、制御回路121は保持している送信電力のレベルをRF送信回路123へ出力する。さらに、制御回路121は復調回路125から入力される返信データを解読する。
【0025】
変調回路122は制御回路121から供給される送信データで搬送波(例えば、周波数13.56(MHz)の搬送波)を所定の変調方式(例えば、変調率が100(%)のASK(Amplitude Shift Keying)方式)で変調する。RF送信回路123は制御回路121から入力される送信電力のレベルに搬送波の電力レベルがなるようにアンテナ126に流す電流の大きさを調整して送信データをアンテナ126から放射する。
【0026】
RF受信回路124はカードからアンテナ126を介して入力される返信データを増幅し、変調速度に応じた帯域幅のフィルタでフィルタリングして帯域制限を行い、復調回路125はRF受信回路124による処理後の返信データを復調し、復調後の返信データを制御回路121へ出力する。
なお、カードリーダ130はカードリーダ120と変調方式や符号化の種類など通信条件が異なるものであるが、本発明に関連する部分はカードリーダ120と実質的に同様であるためその説明を省略する。例えば、カードリーダ130の変調方式は変調率が10(%)のASK方式である。
<カード構成>
以下、図1のカード170の構成について図4を参照しつつ説明する。図4は図1のカード170の装置構成を示す構成図である。
【0027】
図4に示すように、カード170は、負荷変調を行うものであり、記憶装置171と復調回路172と制御回路173と変調回路174と電源生成回路175とアンテナ176とを備える。
記憶装置171はカード170に一意に割り振られた識別番号や自身の公開鍵と秘密鍵とのペアや変調速度などを記憶する。
【0028】
復調回路172はアンテナ176によって受信されるカードリーダからの送信データを復調して制御回路173へ出力する。制御回路173は、復調回路172から入力される復調後の送信データを復号して解読し、解読した送信データに基づき、記憶装置171から識別番号を取り出して符号化するなどして、返信データを生成する。そして、制御回路173は、記憶装置171に記憶されている変調速度で返信データのデータを切り替えて変調回路174に供給する。変調回路174は、制御回路173から入力される返信データで副搬送波(例えば、周波数が847.5(kHz)の副搬送波)を変調し、アンテナ176により受信された無変調区間の搬送波により変調後の返信データをアンテナ176から送信する。
【0029】
電源生成回路175はアンテナ176により受信された電磁波よりカード170内で使用する電力を生成して各部へ供給する。
<カードリーダとカード間の通信>
以下、カードリーダ120とカード170との間で行われる通信の概略について記載する。
【0030】
カードリーダ120の制御回路121は送信するデータを生成するとともに符号化して送信データを作成し、変調速度で送信データのデータを切り替えて変調回路122に供給する。変調回路122は制御回路121から供給される送信データで搬送波を変調し、RF送信回路123は制御回路121から入力される送信電力のレベルに応じてアンテナ126に流す電流の大きさを調整して送信データを送信する。
【0031】
カード170はアンテナ176により受信される電磁波から電源生成回路175により電力を生成し、電源生成回路175から各部に電力を供給する。これにより、各部が起動する。復調回路172はカードリーダからの送信データを復調し、制御回路173は復調後の送信データを復号して解読する。そして、制御回路173は解読した送信データに基づいて返信データを生成し、変調速度で返信データのデータを切り替えて変調回路174に供給する。変調回路174は返信データで副搬送波を変調し、無変調区間の搬送波により変調後の返信データをアンテナ176から送信する。
【0032】
カードリーダ120はアンテナ126によってカード170から返信データを受信すると、RF受信回路124は受信した返信データを増幅などし、復調回路125は処理後の返信データを復調する。そして、制御回路121は復調後の返信データを解読する。制御回路121は、カード読取装置100が調整モードで動作している場合、解読した返信データに基づき送信データに対する返信データの正誤を判断し、判断結果をカードリーダ制御装置110へ出力する。
<カードリーダ制御装置の動作>
以下、カードリーダ制御装置110によって行われるカードリーダの送信電力を調整する調整動作について図5を参照しつつ説明する。図5は本実施の形態のカードリーダ制御装置が行うカードリーダの調整動作の流れを示すフローチャートである。
【0033】
カード読取装置110のカードリーダ120、130の運用時の送信電力の設定を行うために、作業者は操作部140のモード切替キーを押下する。モード切替部111は操作部140から入力されるモード切替キーの押下信号に基づきカード読取装置100の動作をカードリーダ120、130の送信電力の調整を行う調整モードに設定する(ステップS101)。
【0034】
モード切替キーの押下後、作業者は操作部140のテンキーを利用してカードリーダ120の識別番号を入力してカードリーダ120の指定を行う。受付部112は操作部140から入力される押下信号に基づきカードリーダ120の指定を受け付ける(ステップS102)。
作業者は指定を行ったカードリーダ120に対応したカードをカードリーダ120のカード読み取り範囲にかざす。カードリーダの指定を受け付けてから或いはLED150の未調整報知用のLEDを点灯させてから所定時間(例えば、3秒)経過後に、カードリーダ120は、複数回、カード読み取り範囲に存在するカードに対して送信データを送信してこれに対する返信データを受信する。そして、カードリーダ120は返信データの正誤を判断し、判断結果をカードリーダ制御装置110へ出力する。検出部113は、カードリーダ120から入力される判断結果に基づき、カードリーダ120とカードとの間で行われる通信の誤り率を算出する(ステップS103)。判断部114はステップS103において算出された誤り率が予め定められた閾値以下であるか否かを判断する(ステップS104)。
【0035】
ステップS104において算出された誤り率が閾値を越えていると判断された場合(S104:NO)、電力設定部115はステップS102において受け付けたカードリーダ120以外のカードリーダ130に対して送信電力のレベルを1(dB)下げさせる制御信号を出力する(ステップS105)。この制御信号により、カードリーダ130の制御回路は内部に保持している送信電力のレベルを1(dB)下げた値に変更して保持することになる。報知制御部116は、作業者に調整ができていないことを知らしめるために、LED150の未調整報知用のLEDを点灯させ(ステップS106)、ステップS103に戻る。
【0036】
ステップS104において誤り率が閾値以下であると判断された場合(S104:YES)、報知制御部116は、作業者に調整ができたことを知らしめるために、LED150の調整済み報知用のLEDを点灯させ(ステップS107)、ステップS108の処理へ進む。
作業者は調整済み報知用のLEDの点灯後、操作部140のテンキーを利用してカードリーダ130の識別番号を入力してカードリーダ130の指定を行う。受付部112は操作部140から入力される押下信号に基づきカードリーダ130の指定を受け付ける(ステップS108)。
【0037】
作業者は指定を行ったカードリーダ130に対応したカードをカードリーダ130のカード読み取り範囲にかざす。カードリーダの指定を受け付けてから或いはLED150の未調整報知用のLEDを点灯させてから所定時間後に、カードリーダ130は、複数回、カード読み取り範囲に存在するカードに対して送信データを送信してこれに対する返信データを受信する。そして、カードリーダ130は返信データの正誤を判断し、判断結果をカードリーダ制御装置110へ出力する。検出部113は、カードリーダ130から入力される判断結果に基づき、カードリーダ130とカードとの間で行われる通信の誤り率を算出する(ステップS109)。判断部114はステップS109において算出された誤り率が予め定められた閾値以下であるか否かを判断する(ステップS110)。
【0038】
ステップS110において、算出された誤り率が閾値を越えていると判断された場合(S110:NO)、電力設定部115はステップS108において受け付けたカードリーダ130以外のカードリーダ120に対して送信電力のレベルを1(dB)下げさせる制御信号を出力する(ステップS111)。この制御信号により、カードリーダ120の制御回路121は内部に保持している送信電力のレベルを1(dB)下げた値に変更して保持することになる。報知制御部116は、LED150の未調整報知用のLEDを点灯させ(ステップS112)、ステップS109に戻る。
【0039】
ステップS110において誤り率が閾値以下であると判断された場合(S110:YES)、報知制御部116は、LED150の調整済み報知用のLEDを点灯させ(ステップS113)、ステップS114の処理へ進む。
作業者は調整済み報知用のLEDの点灯後、ステップS108からステップS113の処理により最初に指定したカードリーダ120がカードと行う通信の通信品質が予め定められた通信品質以下になっていないかを確認するために、操作部140のテンキーを利用してカードリーダ120の識別番号を入力してカードリーダ120の指定を行う。受付部112は操作部140から入力される押下信号に基づきカードリーダ120の指定を受け付ける(ステップS114)。
【0040】
作業者は指定を行ったカードリーダ120に対応したカードをカードリーダ120のカード読み取り範囲にかざし、カード読取装置100においてステップS103の場合と実質的に同様の処理が行われて、検出部113はカードリーダ120とカードとの間で行われる通信の誤り率を算出する(ステップS115)。判断部114はステップS115において算出された誤り率が予め定められた閾値以下であるか否かを判断する(ステップS116)。
【0041】
ステップS116において誤り率が閾値以下であると判断された場合(S116:YES)、報知制御部116は、作業者に調整ができたことを知らしめるために、LED150の調整済み報知用のLEDを点灯させる(ステップS117)。そして、作業者は操作部140のモード切替キーを押下し、モード切替部111は操作部140から入力されるモード切替キーの押下信号に基づきカード読取装置100の調整モードを解除し(ステップS119)、処理を終了する。なお、カードリーダ120、130は、カード読取装置100の運用時には上記の処理により設定された送信電力のレベルで電波を出力することになる。
【0042】
ステップS116において誤り率が閾値を越えていると判断された場合(S116:NO)、報知制御部116は、作業者に調整ができたことを知らしめるために、LED150の未調整報知用のLEDを点灯させる(ステップS118)。そして、作業者は操作部140のモード切替キーを押下し、モード切替部111は操作部140から入力されるモード切替キーの押下信号に基づきカード読取装置100の調整モードを解除し(ステップS119)、処理を終了する。
【0043】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、指定されたカードリーダとカードとの間で行われる通信の通信品質が予め定められた通信品質以下であれば、指定されたカードリーダからみてノイズ源となるカードリーダの送信電力を低下させ、指定されたカードリーダが受信するノイズの電力レベルを下げている。このため、搬送波の周波数を変更することなく、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと通信ができなくなるような状況を回避できるようになる。
《第2の実施の形態》
以下、本発明の第2の実施の形態におけるカードリーダ制御装置について図面を参照しつつ説明する。なお、複数のカードリーダの導入時やメンテナンス時などに、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと行う通信の通信品質が予め定められた通信品質以下にならないように、第1の実施の形態におけるカードリーダ制御装置はカードリーダの送信電力を調整するものであるのに対して、第2の実施の形態におけるカードリーダ制御装置はカードリーダの変調速度を調整するものである。
<全体構成>
本発明の第2の実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成について図6を参照しつつ説明する。図6は本実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成を示すシステム構成図である。なお、第1の実施の形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0044】
カード読取装置200は、カードリーダ制御装置210と、アンテナ226、236を備えたカードリーダ220、230と、操作部140と、LED150とを備えており、カード読取装置200は上位制御装置160に接続されている。
第1の実施の形態のカードリーダ120、130がカードリーダ110からの制御信号に基づき制御回路内に保持している送信電力のレベルを変更する。これに対して、カードリーダ220、230は、カードリーダ制御装置210の後述する変調速度設定部215からの制御信号に基づき、制御回路内に保持している変調速度を制御信号に含まれる変調速度に変更する。カードリーダ220、230は、変調速度に変更があった場合には変更後の変調速度で送信データのデータを切り替える。なお、それ以外の機能については第1の実施の形態のカードリーダ120、130と同様である。
<カードリーダ制御装置構成>
図6に示すように、カードリーダ制御装置210は、モード切替部211と受付部212と検出部213と判断部214と変調速度設定部215と報知制御部216とを備える。モード切替部211、受付部212、検出部213、判断部214、および報知制御部216は、夫々、第1の実施の形態のモード切替部111、受付部112、検出部113、判断部114、および報知制御部116と同様であり、第1の実施の形態の説明が適用できるため説明を省略する。
【0045】
変調速度設定部215は、内部に複数の変調速度を示す数値データ(106ksps、212ksps、424ksps、848ksps)を保持している。変調速度設定部215は、判断部214により誤り率が閾値を越えていると判断された場合に、受付部212により指定を受け付けたカードリーダに対して検出時の変調速度より1段階遅い変調速度(内部に保持している変調速度を示す数値データのうち、検出時の変調速度を示す数値データより小さいものであって、かつ、最大の変調速度を示す数値データ)を含む制御信号を出力する。変調速度設定部215は、指定を受け付けたカードリーダに対して制御信号を出力することによって、指定を受け付けたカードリーダの変調速度を検出時の変調速度より1段階遅い変調速度に設定する。なお、変調速度を大きい順番に使用することにより、カード読取装置200の調整を行う作業者は、調整作業時にカードリーダ220、230が使用する変調速度を知ることができる。
<カードリーダ制御装置の動作>
以下、カードリーダ制御装置210によって行われるカードリーダの変調速度を調整する調整動作について図7を参照しつつ説明する。図7は本実施の形態のカードリーダ制御装置が行うカードリーダの調整動作の流れを示すフローチャートである。
【0046】
モード切替部211は操作部140から入力されるモード切替キーの押下信号に基づきカード読取装置200の動作をカードリーダ220、230の変調速度の調整を行う調整モードに設定する(ステップS201)。
受付部212は操作部140から入力されるテンキーの押下信号に基づき作業者が識別番号を入力することによって指定したカードリーダ220の指定を受け付ける(ステップS202)。
【0047】
作業者は指定を行ったカードリーダ220に対応した現時点でのカードリーダ220の変調速度と同じ変調速度のカードをカードリーダ220のカード読み取り範囲にかざす。第1の実施の形態において説明したステップS103と実質的に同様の処理がカード読取装置200において行われて、検出部213はカードリーダ220とカードとの間で行われる通信の誤り率を算出する(ステップS203)。判断部214はステップS203において算出された誤り率が予め定められた閾値以下であるか否かを判断する(ステップS204)。
【0048】
ステップS204において算出された誤り率が閾値を越えていると判断された場合(S204:NO)、変調速度設定部215はステップS202において受け付けたカードリーダ220に対して検出時の変調速度より1段階遅い変調速度を含む制御信号を出力する(ステップS205)。この制御信号により、カードリーダ220の制御回路は内部に保持している変調速度を制御信号に含まれる検出時の変調速度より1段階遅い変調速度に変更することになる。報知制御部216は、LED150の未調整報知用のLEDを点灯させ(ステップS206)、ステップS203に戻る。
【0049】
ステップS204において誤り率が閾値以下であると判断された場合には(S204:YES)、報知制御部216は、LED150の調整済み報知用のLEDを点灯させ(ステップS207)、ステップS208の処理へ進む。
調整済み報知用のLEDの点灯後、受付部212は操作部140から入力されるテンキーの押下信号に基づき作業者が識別番号を入力することによって指定したカードリーダ230の指定を受け付ける(ステップS208)。
【0050】
作業者は指定を行ったカードリーダ230に対応した現時点でのカードリーダ230の変調速度と同じ変調速度のカードをカードリーダ230のカード読み取り範囲にかざす。第1の実施の形態において説明したステップS109と実質的に同様の処理がカード読取装置200において行われて、検出部213はカードリーダ230とカードとの間で行われる通信の誤り率を算出する(ステップS209)。判断部214はステップS209において算出された誤り率が予め定められた閾値以下であるか否かを判断する(ステップS210)。
【0051】
ステップS210において算出された誤り率が閾値を越えていると判断された場合(S210:NO)、変調速度設定部215はステップS208において受け付けたカードリーダ230に対して検出時の変調速度より1段階遅い変調速度を含む制御信号を出力する(ステップS211)。この制御信号により、カードリーダ230の制御回路は内部に保持している変調速度を制御信号に含まれる検出時の変調速度より1段階遅い変調速度に変更することになる。報知制御部216は、LED150の未調整報知用のLEDを点灯させ(ステップS212)、ステップS209に戻る。
【0052】
ステップS210において誤り率が閾値以下であると判断された場合には(S210:YES)、報知制御部216は、LED150の調整済み報知用のLEDを点灯させ(ステップS213)、ステップS214の処理へ進む。
作業者は調整済み報知用のLEDの点灯後、最初に指定したカードリーダ120がステップS208からステップS213の処理によりカードとの間の通信品質が予め定められた通信品質以下になっていないかを確認する。受付部212は操作部140から入力されるテンキーの押下信号に基づき作業者が識別番号を入力することによって指定したカードリーダ220の指定を受け付ける(ステップS214)。
【0053】
作業者は指定を行ったカードリーダ220に対応した現時点でのカードリーダ220の変調速度と同じ変調速度のカードをカードリーダ220のカード読み取り範囲にかざす。第1の実施の形態において説明したステップS103と実質的に同様の処理がカード読取装置200において行われて、検出部213はカードリーダ220とカードとの間で行われる通信の誤り率を算出する(ステップS215)。判断部214はステップS215において算出された誤り率が予め定められた閾値以下であるか否かを判断する(ステップS216)。
【0054】
ステップS216において誤り率が閾値以下であると判断された場合(S216:YES)、報知制御部216は、LED150の調整済み報知用のLEDを点灯させる(ステップS217)。そして、作業者は操作部140のモード切替キーを押下し、モード切替部211は操作部140から入力されるモード切替キーの押下信号に基づきカード読取装置200の調整モードを解除し(ステップS219)、処理を終了する。なお、カードリーダ220、230は、カード読取装置200の運用時には上記の処理により設定された変調速度により送信データの切り替えを行うことになる。
【0055】
ステップS216において誤り率が閾値を越えていると判断された場合(S216:NO)、報知制御部216は、LED150の未調整報知用のLEDを点灯させる(ステップS218)。そして、作業者は操作部140のモード切替キーを押下し、モード切替部211は操作部140から入力されるモード切替キーの押下信号に基づきカード読取装置200の調整モードを解除し(ステップS219)、処理を終了する。
【0056】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、指定されたカードリーダとカードとの間で行われる通信の通信品質が予め定められた通信品質以下であれば、指定されたカードリーダの変調速度を変更する。これによって、例えば、側波帯の周波数領域がノイズ源となるカードリーダが出力する電波の電力レベルが低い周波数領域に移動すれば、指定されたカードリーダにおいて信号成分を含む側波帯の周波数領域でのノイズの電力レベルが低下する。このため、搬送波の周波数を変更することなく、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと通信ができなくなるような状況を回避できる。
《第3の実施の形態》
以下、本発明の第3の実施の形態におけるカードリーダ制御装置について図面を参照しつつ説明する。なお、複数のカードリーダの導入時やメンテナンス時などに、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと行う通信の通信品質が予め定められた通信品質以下にならないように、第1の実施の形態におけるカードリーダ制御装置はカードリーダの送信電力を調整するものであるのに対して、第3の実施の形態におけるカードリーダ制御装置はカードリーダの変調速度と送信電力とを調整するものである。
<全体構成>
本発明の第3の実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成について図8を参照しつつ説明する。図8は本実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成を示すシステム構成図である。なお、第1の実施の形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0057】
カード読取装置300は、カードリーダ制御装置310と、アンテナ326、336を備えたカードリーダ320、330と、操作部140と、LED150とを備えており、カード読取装置300は上位制御装置160に接続されている。
第1の実施の形態のカードリーダ120、130はカードリーダ110からの制御信号に基づき制御回路内に保持している送信電力のレベルを変更する。これに対して、カードリーダ320、330は、カードリーダ制御装置310の後述する変調速度設定部315からの制御信号に基づき制御回路内に保持している変調速度を制御信号に含まれる変調速度に変更する。また、カードリーダ320、330は、カードリーダ制御装置310後述する電力設定部317からの制御信号に基づき制御回路内に保持している送信電力のレベルを制御信号に含まれる送信電力のレベルに変更する。カードリーダ320、330は、変調速度に変更があった場合には変更後の変調速度で送信データのデータを切り替え、送信電力のレベルに変更があった場合には変更後の送信電力のレベルで電波を出力する。なお、それ以外の機能については第1の実施の形態のカードリーダ120、130と同様である。
<カードリーダ制御装置構成>
図8に示すように、カードリーダ制御装置310は、モード切替部311と受付部312と検出部313と判断部314と変調速度設定部315と記憶部316と電力設定部317と報知制御部318とを備える。モード切替部311、受付部312、検出部313、判断部314、および報知制御部318は、夫々、第1の実施の形態のモード切替部111、受付部112、検出部113、判断部114、および報知制御部116と同様であり、第1の実施の形態の説明が適用できるため説明を省略する。また、変調速度設定部315は、第2の実施の形態の変調速度設定部215と同様であり、第2の実施の形態の説明が適用できるため説明を省略する。
【0058】
記憶部316は、変調速度毎に送信電力のレベルを記憶しており、記憶されている送信電力のレベルは変調速度が遅い方が大きいレベルになっている。ただし、誘導式読み書き通信設備に関して、電波法により変調速度における側波帯の電力レベルの上限が定められており、側波帯の電力レベルの上限は変調速度が遅くなるにつれて大きくなるようになっている。記憶部316に記憶される変調速度毎の送信電力のレベルは電波法の誘電式読み書き通信設備に関する規制を満たすようにしている。なお、変調方式がASK方式の場合、搬送波の振幅レベルをA1、変調度をmとすれば、側波帯の振幅レベルはm×A1/2である。
【0059】
電力設定部317は、受付部312が指定を受け付けたカードリーダに対して、記憶部316に記憶されている変調速度設定部315による変更後の変調速度に対応した、検出時の送信電力のレベルより大きい、送信電力のレベルを含む制御信号を出力する。電力設定部317は、指定を受け付けたカードリーダに対して制御信号を出力することによって、指定を受け付けたカードリーダの送信電力のレベルを検出時の送信電力のレベルより大きい変更後の変調速度に対応した送信電力のレベルに設定する。
<カードリーダ制御装置調整概要>
以下、本実施の形態におけるカードリーダ制御装置によるカードリーダの調整の概要について図9を参照しつつ説明する。図9は本実施の形態のカードリーダ制御装置によるカードリーダの調整を説明するための図である。図9におけるレベル316aは電波法の誘導式読み書き通信設備に関して規制された変調速度に対する側波帯の電力レベルの上限を示している。記憶部316に記憶される変調速度毎の送信電力のレベルは、電波法の誘電式読み書き通信設備に関する変調速度に対する側波帯の電力レベルの上限を超えないように(ここでは、上限となるように)、側波帯の電力レベルと変調度とを考慮して設定される。
【0060】
カードリーダ320の変調速度がv1、搬送波の電力レベルがV1であった場合(図9(a))に、カードリーダ320がカードと行う通信の通信品質が予め定められた通信品質以下であったとする。このとき、変調速度設定部315はカードリーダ320の変調速度を一段階変調速度を遅らせて変調速度v2に設定する。電力設定部317は、変調速度v2では変調速度v1に比べて搬送波の送信電力のレベルを大きくすることができるので、搬送波の電力レベルがV2になるようにカードリーダ320の送信電力のレベルを設定する。搬送波の電力レベルが大きくなることによって、側波帯の電力レベルも大きくなる。
<カードリーダ制御装置の動作>
以下、カードリーダ制御装置310によって行われるカードリーダの変調速度および送信電力を調整する調整動作について図10を参照しつつ説明する。図10は本実施の形態のカードリーダ制御装置が行うカードリーダの調整動作の流れを示すフローチャートである。
【0061】
モード切替部311は操作部140から入力されるモード切替キーの押下信号に基づきカード読取装置300の動作をカードリーダ320、330の変調速度および送信電力のレベルの調整を行う調整モードに設定する(ステップS301)。
受付部312は操作部140から入力されるテンキーの押下信号に基づき作業者が識別番号を入力することによって指定したカードリーダ320の指定を受け付ける(ステップS302)。
【0062】
作業者は指定を行ったカードリーダ320に対応した現時点でのカードリーダ320の変調速度と同じ変調速度のカードをカードリーダ320のカード読み取り範囲にかざす。第1の実施の形態において説明したステップS103と実質的に同様の処理がカード読取装置300において行われて、検出部313はカードリーダ320とカードとの間で行われる通信の誤り率を算出する(ステップS303)。判断部314はステップS303において算出された誤り率が予め定められた閾値以下であるか否かを判断する(ステップS304)。
【0063】
ステップS304において算出された誤り率が閾値を越えていると判断された場合(S304:NO)、変調速度設定部315はステップS302において受け付けたカードリーダ320に対して検出時の変調速度より1段階遅い変調速度を含む制御信号を出力する(ステップS305)。この制御信号により、カードリーダ320の制御回路は内部に保持している変調速度を制御信号に含まれる検出時の変調速度より1段階遅い変調速度に変更する。電力設定部317は記憶部316から変更後の変調速度に対応した送信電力のレベルを取り出し、取り出した送信電力のレベルが指定を受け付けたカードリーダ320の現在の送信電力のレベルより大きいか否か、つまり、送信電力を大きくできるか否かを判断する(ステップS306)。
【0064】
ステップS306において送信電力のレベルを大きくできないと判断された場合(S306:NO)、報知制御部318はLED150の未調整報知用のLEDを点灯させ(ステップS308)、ステップS303に戻る。
ステップS306において送信電力のレベルを大きくできると判断された場合(S306:YES)、電力設定部317はステップS302において受け付けたカードリーダ320に対して記憶部316から取り出した送信電力のレベルを含む制御信号を出力する(ステップS307)。この制御信号により、カードリーダ320の制御回路は内部に保持している送信電力のレベルを制御信号に含まれる検出時の送信電力のレベルより大きい変更後の変調速度に対応した送信電力のレベルに変更することになる。そして、報知制御部318はLED150の未調整報知用のLEDを点灯させ(ステップS308)、ステップS303に戻る。
【0065】
ステップS304において誤り率が閾値以下であると判断された場合(S304:YES)、報知制御部318はLED150の調整済み報知用のLEDを点灯させ(ステップS309)、ステップS310の処理へ進む。
調整済み報知用のLEDの点灯後、受付部312は操作部140から入力されるテンキーの押下信号に基づき作業者が識別番号を入力することによって指定したカードリーダ330の指定を受け付ける(ステップS310)。
【0066】
作業者は指定を行ったカードリーダ330に対応した現時点でのカードリーダ330の変調速度と同じ変調速度のカードをカードリーダ330のカード読み取り範囲にかざす。第1の実施の形態において説明したステップS109と実質的に同様の処理がカード読取装置300において行われて、検出部313はカードリーダ330とカードとの間で行われる通信の誤り率を算出する(ステップS311)。判断部314はステップS311において算出された誤り率が予め定められた閾値以下であるか否かを判断する(ステップS312)。
【0067】
ステップS312において算出された誤り率が閾値を越えていると判断された場合(S312:NO)、変調速度設定部315はステップS310において受け付けたカードリーダ330に対して検出時の変調速度より1段階遅い変調速度を含む制御信号を出力する(ステップS313)。この制御信号により、カードリーダ330の制御回路は内部に保持している変調速度を制御信号に含まれる検出時の変調速度より1段階遅い変調速度に変更する。電力設定部317は記憶部316から変更後の変調速度に対応した送信電力のレベルを取り出し、取り出した送信電力のレベルが指定を受け付けたカードリーダ330の現在の送信電力のレベルより大きいか否か、つまり、送信電力を大きくできるか否かを判断する(ステップS314)。
【0068】
ステップS314において送信電力のレベルを大きくできないと判断された場合(S314:NO)、報知制御部318はLED150の未調整報知用のLEDを点灯させ(ステップS316)、ステップS311に戻る。
ステップS314において送信電力のレベルを大きくできると判断された場合(S314:YES)、電力設定部317はステップS310において受け付けたカードリーダ330に対して記憶部316から取り出した送信電力のレベルを含む制御信号を出力する(ステップS315)。この制御信号により、カードリーダ330の制御回路は内部に保持している送信電力のレベルを制御信号に含まれる検出時の送信電力のレベルより大きい変更後の変調速度に対応した送信電力のレベルに変更することになる。そして、報知制御部318はLED150の未調整報知用のLEDを点灯させ(ステップS316)、ステップS311に戻る。
【0069】
ステップS312において誤り率が閾値以下であると判断された場合(S312:YES)、報知制御部318はLED150の調整済み報知用のLEDを点灯させ(ステップS317)、ステップS318の処理へ進む。
作業者は調整済み報知用のLEDの点灯後、ステップS310からステップS317の処理により最初に指定したカードリーダ320がカードと行う通信の通信品質が予め定められた通信品質以下になっていないかを確認する。受付部312は操作部140から入力されるテンキーの押下信号に基づき作業者が識別番号を入力することによって指定したカードリーダ320の指定を受け付ける(ステップS318)。
【0070】
作業者は指定を行ったカードリーダ320に対応した現時点でのカードリーダ320の変調速度と同じ変調速度のカードをカードリーダ320のカード読み取り範囲にかざす。第1の実施の形態において説明したステップS103と実質的に同様の処理がカード読取装置300において行われて、検出部313はカードリーダ320とカードとの間で行われる通信の誤り率を算出する(ステップS319)。判断部314はステップS319において算出された誤り率が予め定められた閾値以下であるか否かを判断する(ステップS320)。
【0071】
ステップS320において誤り率が閾値以下であると判断された場合(S320:YES)、報知制御部318はLED150の調整済み報知用のLEDを点灯させる(ステップS321)。そして、作業者は操作部140のモード切替キーを押下し、モード切替部311は操作部140から入力されるモード切替キーの押下信号に基づきカード読取装置300の調整モードを解除し(ステップS323)、処理を終了する。なお、カードリーダ320、330は、カード読取装置300の運用時には上記の処理により設定された変調速度により送信データの切り替えを行い、設定された送信電力のレベルで電波を出力することになる。
【0072】
ステップS320において誤り率が閾値を越えていると判断された場合(S320:NO)、報知制御部318はLED150の未調整報知用のLEDを点灯させる(ステップS322)。そして、作業者は操作部140のモード切替キーを押下し、モード切替部311は操作部140から入力されるモード切替キーの押下信号に基づきカード読取装置300の調整モードを解除し(ステップS323)、処理を終了する。
【0073】
以上説明したように、第3の実施の形態によれば、指定されたカードリーダとカードとの間で行われる通信の通信品質が予め定められた通信品質以下であれば、指定されたカードリーダの変調速度を遅くする。これによって、例えば、側波帯の周波数領域がノイズ源となるカードリーダが出力する電波の電力レベルが低い周波数領域に移動すれば、指定されたカードリーダにおいて信号成分を含む側波帯の周波数領域でのノイズの電力レベルが低下する。また、指定されたカードリーダが変更後の変調速度において送信電力のレベルを大きくできる場合には送信電力のレベルを大きくして、指定されたカードリーダが受信する受信信号の電力レベルを大きくしている。これにより、搬送波の周波数を変更することなく、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと通信ができなくなるような状況を回避できる。
《第4の実施の形態》
以下、本発明の第4の実施の形態におけるカードリーダ制御装置について図面を参照しつつ説明する。なお、複数のカードリーダの導入時やメンテナンス時などに、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと行う通信の通信品質が予め定められた通信品質以下にならないように、第1の実施の形態におけるカードリーダ制御装置はカードリーダの送信電力を調整するものであるのに対して、第4の実施の形態におけるカードリーダ制御装置はカードリーダが電波を出力する出力タイミングを調整するものである。
<全体構成>
本発明の第4の実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成について図11を参照しつつ説明する。図11は本実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成を示すシステム構成図である。なお、第1の実施の形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0074】
カード読取装置400は、カードリーダ制御装置410と、アンテナ426、436を備えたカードリーダ420、430と、操作部140と、LED150とを備えており、カード読取装置400は上位制御装置160に接続されている。
カードリーダ420、430は、制御回路内に変調速度と送信電力のレベルとを記憶するとともに、さらに、アンテナ426、436に電流を流して電波を出力する1周期内の出力タイミングを記憶する。第1の実施の形態のカードリーダ120、130が常時電波を出力するのに対して、カードリーダ420、430は、制御回路内に保持している出力タイミングにてアンテナ426、436に電流を流して電波を出力する。また、カードリーダ120、130がカードリーダ110からの制御信号に基づき制御回路内に保持している送信電力のレベルを変更するのに対して、カードリーダ420、430は、カードリーダ制御装置410の後述するタイミング設定部415からの制御信号に基づき、制御回路内に保持している出力タイミングを制御信号に含まれる出力タイミングに変更する。なお、それ以外の機能については第1の実施の形態のカードリーダ120、130と同様である。
<カードリーダ制御装置構成>
図11に示すように、カードリーダ制御装置410は、モード切替部411と受付部412と検出部413と判断部414とタイミング設定部415と報知制御部416とを備える。モード切替部411、受付部412、検出部413、および判断部414は、夫々、第1の実施の形態のモード切替部111、受付部112、検出部113、および判断部114と同様であり、第1の実施の形態の説明が適用できるため説明を省略する。
【0075】
タイミング設定部415は、判断部414により誤り率が閾値を越えていると判断された場合に、受付部412により指定を受け付けたカードリーダに対して検出時の出力タイミングと異なる出力タイミングをランダムに決定し、決定した出力タイミングを含む制御信号を出力する。タイミング設定部415は、指定を受け付けたカードリーダに対して制御信号を出力することによって、指定を受け付けたカードリーダの出力タイミングを検出時の出力タイミングと異なる出力タイミングに設定する。
【0076】
報知制御部416は、判断部414により誤り率が閾値を越えていると判断された場合にLED150の未調整報知用のLEDを点灯させ、連続して11回誤り率が閾値を超えていると判断された場合にLED150の未調整報知用のLEDを点滅させる。また、報知制御部416は、判断部414により誤り率が閾値以下であると判断された場合にLED150の調整済み報知用のLEDを点灯させる。
<カードリーダ制御装置の動作>
以下、カードリーダ制御装置410によって行われるカードリーダの出力タイミングを調整する調整動作について図12を参照しつつ説明する。図12は本実施の形態のカードリーダ制御装置が行うカードリーダの調整動作の流れを示すフローチャートである。
【0077】
モード切替部411は操作部140から入力されるモード切替キーの押下信号に基づきカード読取装置400の動作をカードリーダ420、430の出力タイミングの調整を行う調整モードに設定する(ステップS401)。
受付部412は操作部140から入力されるテンキーの押下信号に基づき作業者が識別番号を入力することによって指定したカードリーダ420の指定を受け付ける(ステップS402)。
【0078】
作業者は指定を行ったカードリーダ420に対応したカードをカードリーダ420のカード読み取り範囲にかざす。第1の実施の形態において説明したステップS103と実質的に同様の処理がカード読取装置400において行われて、検出部413はカードリーダ420とカードとの間で行われる通信の誤り率を算出する(ステップS403)。判断部414はステップS403において算出された誤り率が予め定められた閾値以下であるか否かを判断する(ステップS404)。
【0079】
ステップS404において算出された誤り率が閾値を越えていると判断された場合(S404:NO)、タイミング設定部415はカウンタのカウンタ値を1カウントアップし(ステップS405)、カウントアップ後のカウンタ値が10より大きいか否かを判断する(ステップS406)。
ステップS406においてカウンタ値が10以下であると判断された場合(S406:NO)、タイミング設定部415はステップS402において受け付けたカードリーダ420の出力タイミングを検出時の出力タイミングと異なるようにランラムに決定する。そして、タイミング設定部415はカードリーダ420に対して決定した出力タイミングを含む制御信号を出力する(ステップS407)。この制御信号により、カードリーダ420の制御回路は内部に保持している出力タイミングを制御信号に含まれる検出時の出力タイミングと異なる出力タイミングに変更することになる。そして、報知制御部416はLED150の未調整報知用のLEDを点灯させ(ステップS408)、ステップS403に戻る。
【0080】
ステップS406においてカウンタ値が10を超えていると判断された場合(S406:YES)、作業者に調整ができなかったことを知らしめるために、報知制御部416はLED150の未調整報知用のLEDを点滅させる(ステップS409)。そして、作業者は操作部140のモード切替キーを押下し、モード切替部411は操作部140から入力されるモード切替キーの押下信号に基づきカード読取装置400の調整モードを解除し(ステップS411)、処理を終了する。なお、カウンタを利用することによって出力タイミングを変更する回数の上限を設けている。
【0081】
ステップS404において誤り率が閾値以下であると判断された場合(S404:YES)、報知制御部416はLED150の調整済み報知用のLEDを点灯させる(ステップS410)。そして、作業者は操作部140のモード切替キーを押下し、モード切替部411は操作部140から入力されるモード切替キーの押下信号に基づきカード読取装置400の調整モードを解除し(ステップS411)、処理を終了する。なお、カードリーダ420、430は、カード読取装置400の運用時には上記の処理により設定された出力タイミングにより電波を出力することになる。
【0082】
以上説明したように、第4の実施の形態によれば、指定されたカードリーダとカードとの間で行われる通信の通信品質が予め定められた通信品質以下であれば、指定されたカードリーダの電波を出力する出力タイミングを変更して、ノイズ源となるカードリーダが電波を出力する出力タイミングとずらす。これにより、搬送波の周波数を変更することなく、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと通信ができなくなるような状況を回避できるようになる。
《第5の実施の形態》
以下、本発明の第5の実施の形態におけるカードリーダ制御装置について図面を参照しつつ説明する。なお、第1から第4の実施の形態はカードリーダの導入時或いはメンテナンス時などにカードリーダの送信電力などを調整するものであるのに対して、第5の実施の形態におけるカードリーダ制御装置は、複数のカードリーダの運用時に、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードとの間の通信が途中でできなくなることを防ぐために、カードリーダの送信電力を制御するものである。
<全体構成>
本発明の第5の実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成について図13を参照しつつ説明する。図13は本実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成を示すシステム構成図である。なお、第1の実施の形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0083】
カード読取装置500は、カードリーダ制御装置510と、アンテナ526、536を備えたカードリーダ520、530と、操作部140と、LED150とを備えており、カード読取装置500は上位制御装置160に接続されている。
カードリーダ520、530は、カードとの間で予め定められた段階(本実施の形態ではカードとの間で通信リンクを確立した段階)になると、カードリーダ制御装置510に対してカードと通信をしていることを通知する通信通知信号を出力する。また、カードリーダ520、530は、カードとの通信が完了すると、カードリーダ制御装置510に対してカードとの通信が完了したことを通知する完了通知信号を出力する。カードリーダ520、530はカードリーダ制御装置510からの制御信号に基づき送信電力を一時的に低下させる。なお、カードリーダ520、530が通信の際に行う基本的な動作は第1の実施の形態のカードリーダ120、130と実質的に同様である。
<カードリーダ制御装置構成>
図13に示すように、カードリーダ制御装置510は、リーダ検知部511と完了検知部512と電力制御部513とを備える。
【0084】
リーダ検知部511はカードリーダから入力される通信通知信号に基づきカードと通信リンクを確立したカードリーダ、言い換えるとカードと通信しているカードリーダを検知する。完了検知部512はカードリーダから入力される完了通知信号に基づき通信をしていたカードリーダが通信を完了したことを検知する。
電力制御部513はリーダ検知部511によってカードと通信しているカードリーダが検知されると、リーダ検知部511により検知されたカードリーダ以外のカードリーダに対して送信電力のレベルを低下させる(例えば送信電力を0にさせる)制御信号を出力して、検知されたカードリーダ以外のカードリーダの送信電力を低下させる。また、電力制御部513は、完了検知部512によってカードリーダが通信を完了したことを検知すると、リーダ検知部511により検知されたカードリーダ以外のカードリーダに対して送信電力のレベルを元に戻させる制御信号を出力し、検知されたカードリーダ以外のカードリーダの送信電力を元に戻す。
<カードリーダ制御装置の動作>
以下、カードリーダ制御装置510によって行われるカードリーダの送信電力を制御する制御動作について図14を参照しつつ説明する。図14は本実施の形態のカードリーダ制御装置が行うカードリーダの調整動作の流れを示すフローチャートである。なお、カードと通信を行うカードリーダが520であるとして記載する。
【0085】
リーダ検知部511がカードリーダ520から入力される通信通知信号に基づきカードリーダ520がカードとの間で通信リンクを確立して通信していることを検知する(ステップS501)。電力制御部513は検知したカードリーダ520以外のカードリーダ530に対して送信電力のレベルを低下させる制御信号を出力する(ステップS502)。この制御信号により、カードリーダ530の送信電力が低下する。
【0086】
完了検知部512はカードリーダ520がカードとの間の通信を完了したか否かをカードリーダ520から入力される完了通知信号に基づき検知する(ステップS503)。カードリーダ520がカードとの間の通信を完了したことを検知できなかった場合(S503:NO)、ステップS503に戻り、引き続きカードリーダ520がカードとの間の通信を完了したかを監視する。
【0087】
ステップS503においてカードリーダ520がカードとの間の通信を完了したことを検知した場合(S503:YES)、電力制御部513はステップS501においてリーダ検知部511が検知したカードリーダ520以外のカードリーダ530に対して送信電力を元に戻させる制御信号を出力する(ステップS504)。この制御信号により、カードリーダ530の送信電力が元に戻る。
【0088】
以上説明したように、第5の実施の形態によれば、カードリーダの何れかがカードと通信をしていることを検知すると、カードと通信を行っているカードリーダ以外のカードリーダの送信電力を低下させる。このため、搬送波の周波数を変更することなく、カードリーダが他のカードリーダから干渉を受けてカードと通信ができなくなるような状況を回避できるようになる。
《補足》
上記の第1の実施の形態では、カードリーダ読取装置内のカードリーダが2台の場合であるが、これに限られず、カードリーダが3台以上であってもよい。この場合、指定されたカードリーダ以外の全てのカードリーダの送信電力を下げるようにしてもよく、指定されたカードリーダ以外の1台或いは複数台のカードリーダの送信電力を下げるようにしてもよい。
【0089】
また、同様に、上記の第2から第5の実施の形態では、カードリーダ読取装置内のカードリーダが2台の場合であるが、これに限られず、カードリーダが3台以上であってもよい。
さらに、上記の第1から第5の実施の形態では、カードリーダ制御装置がカード読取装置内にある場合であるが、これに限られず、上位制御装置内に設けるなどカード読取装置外にあってもよい。
【0090】
さらに、上記の第1の実施の形態においては、指定されたカードリーダとカードとの間で行われる通信の通信品質が予め定められた通信品質以下であれば指定されたカードリーダ以外のカードリーダの送信電力を低下させている場合である。が、これに限らず、指定されたカードリーダの送信電力を高くするようにしてもよい。
さらに、上記の第2の実施の形態によれば、変調速度を段階的に遅くするような場合であるが、これに限られず、変調速度を段階的に速くするようにしてもよい。
【0091】
さらに、上記の第1から第4の実施の形態においては、カードリーダとカードとの間の通信の誤り率を送信データの送信回数に対する誤った返信データの受信回数の割合としていたが、これに限らず、例えば、カードリーダ側が内部に保持している複数のビットからなるデータをカードからカードリーダへ出力するようにしておき、ビットの数に対する誤ったビットの数の割合としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】第1の実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成を示すシステム構成図。
【図2】図1のカードリーダのアンテナが置かれる位置関係を示す模式図。
【図3】図1のカードリーダの装置構成を示す構成図。
【図4】図1のカードの装置構成を示す構成図。
【図5】図1のカードリーダ制御装置が行うカードリーダの調整動作の流れを示すフローチャート。
【図6】第2の実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成を示すシステム構成図。
【図7】図6のカードリーダ制御装置が行うカードリーダの調整動作の流れを示すフローチャート。
【図8】第3の実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成を示すシステム構成図。
【図9】図8のカードリーダ制御装置によるカードリーダの変調速度および送信電力のレベルの調整を説明するための図。
【図10】図8のカードリーダ制御装置が行うカードリーダの調整動作の流れを示すフローチャート。
【図11】第4の実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成を示すシステム構成図。
【図12】図11のカードリーダ制御装置が行うカードリーダの調整動作の流れを示すフローチャート。
【図13】第5の実施の形態におけるカードリーダ制御装置を含むシステム全体の構成を示すシステム構成図。
【図14】図13のカードリーダ制御装置が行うカードリーダの調整動作の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0093】
100、200、300、400、500 カード読取装置
110、210、310、410、510 カードリーダ制御装置
111、211、311、411 モード切替部
112、212、312、412 受付部
113、213、313、413 検出部
114、214、314、414 判断部
115、317、 電力設定部
116、216、318、416 報知制御部
215、315、 変調速度設定部
316 記憶部
511 リーダ検知部
512 完了検知部
513 電力制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を用いて非接触にてカードと行う通信の通信条件が互いに異なり、相互に干渉し得る位置に配されている複数のカードリーダの調整を行うカードリーダ制御装置において、
複数の前記カードリーダの中から1つのカードリーダの指定を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けた前記カードリーダと当該カードリーダのカード読み取り範囲に存在するカードとの間で行われる通信の通信品質を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出される前記通信品質が予め定められた通信品質以下であるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記通信品質が予め定められた通信品質以下であると判断される場合に、前記受付手段により受け付けたカードリーダ以外のカードリーダの送信電力が検出時より低下するように、又は、前記受付手段により受け付けたカードリーダの送信電力が検出時より大きくなるように、送信電力の設定を行う電力設定手段と、
を備えたことを特徴とするカードリーダ制御装置。
【請求項2】
電波を用いて非接触にてカードと行う通信の通信条件が互いに異なり、相互に干渉し得る位置に配されている複数のカードリーダの調整を行うカードリーダ制御装置において、
複数の前記カードリーダの中から1つのカードリーダの指定を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けた前記カードリーダと当該カードリーダのカード読み取り範囲に存在するカードとの間で行われる通信の通信品質を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出される前記通信品質が予め定められた通信品質以下であるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記通信品質が予め定められた通信品質以下であると判断される場合に、前記受付手段により受け付けたカードリーダが行う送信データを切り替える変調速度を検出時の変調速度と異なるように変更して変調速度の設定を行う変調速度設定手段と、
を備えたことを特徴とするカードリーダ制御装置。
【請求項3】
前記変調速度設定手段は変調速度の変更を変調速度を遅くすることにより行い、
前記変調速度設定手段による変更後の変調速度に応じて、前記受付手段により受け付けたカードリーダの送信電力が検出時より大きくなるように送信電力の設定を行う電力設定手段を更に備えたことを特徴とする請求項2記載のカードリーダ制御装置。
【請求項4】
電波を用いて非接触にてカードと行う通信の通信条件が互いに異なり、相互に干渉し得る位置に配されている複数のカードリーダの調整を行うカードリーダ制御装置において、
複数の前記カードリーダの中から1つのカードリーダの指定を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けた前記カードリーダと当該カードリーダのカード読み取り範囲に存在するカードとの間で行われる通信の通信品質を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出される前記通信品質が予め定められた通信品質以下であるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記通信品質が予め定められた通信品質以下であると判断される場合に、前記受付手段により受け付けたカードリーダが電波を出力する出力タイミングを検出時の出力タイミングと異なるように変更して出力タイミングの設定を行うタイミング設定手段と、
を備えたことを特徴とするカードリーダ制御装置。
【請求項5】
前記検出手段は前記通信品質の検出を通信品質に関連した指標である誤り率を算出することにより行い、
前記判断手段は前記誤り率が予め定められた閾値を超えた場合に前記通信品質が予め定められた通信品質以下であると判断することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のカードリーダ制御装置。
【請求項6】
電波を用いて非接触にてカードと行う通信の通信条件が互いに異なり、相互に干渉し得る位置に配されている複数のカードリーダの制御を行うカードリーダ制御装置において、
複数の前記カードリーダの中からカードと通信しているカードリーダを検知する検知手段と、
前記検知手段により検知される前記カードリーダ以外のカードリーダの送信電力が低下するように送信電力の制御を行う電力制御手段と、
を備えたことを特徴とするカードリーダ制御装置。
【請求項1】
電波を用いて非接触にてカードと行う通信の通信条件が互いに異なり、相互に干渉し得る位置に配されている複数のカードリーダの調整を行うカードリーダ制御装置において、
複数の前記カードリーダの中から1つのカードリーダの指定を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けた前記カードリーダと当該カードリーダのカード読み取り範囲に存在するカードとの間で行われる通信の通信品質を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出される前記通信品質が予め定められた通信品質以下であるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記通信品質が予め定められた通信品質以下であると判断される場合に、前記受付手段により受け付けたカードリーダ以外のカードリーダの送信電力が検出時より低下するように、又は、前記受付手段により受け付けたカードリーダの送信電力が検出時より大きくなるように、送信電力の設定を行う電力設定手段と、
を備えたことを特徴とするカードリーダ制御装置。
【請求項2】
電波を用いて非接触にてカードと行う通信の通信条件が互いに異なり、相互に干渉し得る位置に配されている複数のカードリーダの調整を行うカードリーダ制御装置において、
複数の前記カードリーダの中から1つのカードリーダの指定を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けた前記カードリーダと当該カードリーダのカード読み取り範囲に存在するカードとの間で行われる通信の通信品質を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出される前記通信品質が予め定められた通信品質以下であるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記通信品質が予め定められた通信品質以下であると判断される場合に、前記受付手段により受け付けたカードリーダが行う送信データを切り替える変調速度を検出時の変調速度と異なるように変更して変調速度の設定を行う変調速度設定手段と、
を備えたことを特徴とするカードリーダ制御装置。
【請求項3】
前記変調速度設定手段は変調速度の変更を変調速度を遅くすることにより行い、
前記変調速度設定手段による変更後の変調速度に応じて、前記受付手段により受け付けたカードリーダの送信電力が検出時より大きくなるように送信電力の設定を行う電力設定手段を更に備えたことを特徴とする請求項2記載のカードリーダ制御装置。
【請求項4】
電波を用いて非接触にてカードと行う通信の通信条件が互いに異なり、相互に干渉し得る位置に配されている複数のカードリーダの調整を行うカードリーダ制御装置において、
複数の前記カードリーダの中から1つのカードリーダの指定を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けた前記カードリーダと当該カードリーダのカード読み取り範囲に存在するカードとの間で行われる通信の通信品質を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出される前記通信品質が予め定められた通信品質以下であるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記通信品質が予め定められた通信品質以下であると判断される場合に、前記受付手段により受け付けたカードリーダが電波を出力する出力タイミングを検出時の出力タイミングと異なるように変更して出力タイミングの設定を行うタイミング設定手段と、
を備えたことを特徴とするカードリーダ制御装置。
【請求項5】
前記検出手段は前記通信品質の検出を通信品質に関連した指標である誤り率を算出することにより行い、
前記判断手段は前記誤り率が予め定められた閾値を超えた場合に前記通信品質が予め定められた通信品質以下であると判断することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のカードリーダ制御装置。
【請求項6】
電波を用いて非接触にてカードと行う通信の通信条件が互いに異なり、相互に干渉し得る位置に配されている複数のカードリーダの制御を行うカードリーダ制御装置において、
複数の前記カードリーダの中からカードと通信しているカードリーダを検知する検知手段と、
前記検知手段により検知される前記カードリーダ以外のカードリーダの送信電力が低下するように送信電力の制御を行う電力制御手段と、
を備えたことを特徴とするカードリーダ制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−148564(P2007−148564A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−339168(P2005−339168)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]