説明

カードリーダ及び契約端末

【課題】一つの契約端末で複数のサプライヤのどのサプライヤとの間でも契約を行えるようにする。
【解決手段】契約管理DLL情報群35には、各サプライヤ毎のサブ契約管理情報群が含まれ、各種DLL情報群31は、サプライヤ毎に対応している。メニュー制御プログラム41が、複数のサブ契約管理DLL情報群の各々における所定種類の契約管理DLL情報を複数個並べたメニューを表示し、契約管理DLL情報の選択を受けたら、汎用プログラム33をコールし、選択された契約管理DLL情報に関する情報を汎用プログラム33に通知する。汎用プログラム33は、通知された情報から特定されるDLL情報群を各種DLL情報群31から読み込み、そのDLL情報群を用いて起動し、決済に関する処理では、選択された契約管理DLL情報に対応するサブ契約管理DLL情報群を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、契約に関する処理を行うための端末装置に関し、例えば、カードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、売買を成立させるためには、決済が必要となる。特許文献1に開示の端末など、種々の決済端末が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−283698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
決済端末は、例えば、決済に関する処理を行うための所定のアプリケーションプログラム(以下、決済用アプリケーションプログラム)を読み込んで実行することにより、決済に必要となる所定種類の情報(例えば、決済方法や金額)の入力を受け、入力された情報を含んだデータを所定のコンピュータシステム(例えばサーバ)に送信することで、そのコンピュータシステムに対し決済の要求を行うことができる。
【0005】
決済端末が使用される場所として、サプライヤの代理店が考えられる。代理店には、例えば、複数の同種或いは異種のサプライヤ(例えば保険会社)の代理業務を行うタイプの代理店(以下、乗合代理店)や、本業(例えば自動車整備)があり代理業(例えば保険代理業)が兼業であるタイプの代理店(以下、兼業代理店)がある(乗合代理店では、乗り合っている複数のサプライヤがあり、兼業代理店でも、本業としてのサプライヤと代理されるサプライヤとの複数のサプライヤがあるので、以下、乗合代理店や兼業代理店など複数のサプライヤがある代理店を「複数サプライヤ代理店」と総称する)。
【0006】
決済完了に至るまでの手続きは、サプライヤ毎に異なる。例えば、クレジットカードでの決済を認めるサプライヤもいれば、それを認めないサプライヤもいるし、分割払いを認めるサプライヤもいれば、それを認めないサプライヤもいる。
【0007】
そして、複数サプライヤ代理店毎に、サプライヤは様々である。例えば、乗合代理店という点では同じであっても、乗り合うサプライヤは千差万別である。
【0008】
ここで、複数サプライヤ代理店で決済端末を使用することを考えた場合、サプライヤ毎に専用の決済端末が用意されるよりも、一つの決済端末で複数のサプライヤのどのサプライヤに対しても決済を行えるようにすることができた方が、特に複数サプライヤ代理店にとって望ましいと考えられる。幾つもの決済端末を用意しなくて済むからである。
【0009】
一つの決済端末で複数のサプライヤのどのサプライヤに対しても決済を行えるようにするためには、決済完了に至るまでの手続きがサプライヤ毎に異なることを考えると、サプライヤ毎に専用の決済用アプリケーションプログラムを決済端末にインストールする方法が考えられる。
【0010】
しかし、決済用アプリケーションプログラムは、種々の理由(例えば新たな決済方法が採用されたという理由)により改変されることが少なからずあると考えられる。この場合、決済端末に既にインストールされている決済用アプリケーションプログラムを改変後の決済用アプリケーションプログラムにアップデートする必要が生じる。このような作業が、サプライヤ毎の決済用アプリケーションプログラムに生じたのでは、アップデート作業を行う人間にとって非常に手間である。これは、代理店にサプライヤの数が多いほど問題になると考えられる。
【0011】
また、決済端末が、例えば、据置型の高価な装置などのように、メモリ容量を多くしたり処理速度の速いCPUを搭載したりすることが問題とならないタイプの決済端末であれば、サプライヤ毎に決済用アプリケーションプログラムをインストールしてもリソース的にはあまり問題とならないであろうが、携帯型の決済端末となれば、そうはいかないと考えられる。
【0012】
以上のような問題点は、決済とは別種の契約に関する処理を行えるような端末でも同様に存在し得る。
【0013】
従って、本発明の目的は、一つの契約端末で複数のサプライヤのどのサプライヤとの間でも契約を行えるようにすることを、各サプライヤ毎に専用の契約用アプリケーションプログラムをその契約端末にインストールすることなく実現できるようにすることにある。
【0014】
本発明の他の目的は、後の説明から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に従う携帯型のカードリーダは、カード型記憶媒体に記憶されているデータを読み取る読取り部を備えたカードリーダであって、複数のコンピュータプログラムや情報群を記憶することのできる記憶資源と、前記記憶資源からコンピュータプログラムを読み込んで実行するCPUと、入力部と、表示部とを備える。前記複数のコンピュータプログラムには、メニューを表示するためのメニュー制御プログラムと、複数のサプライヤの決済に共通の処理を実行するための汎用プログラムとが含まれている。前記情報群には、複数のサプライヤにそれぞれ対応した複数のパラメータ群と、各サプライヤ毎に対応した一以上のプログラム部品が含まれており、該情報群では、前記メニュー制御プログラムから通知される情報から、該情報に対応するサプライヤに対応した一以上のプログラム部品を特定することができるようになっている。前記CPUに前記メニュー制御プログラムが読み込まれて実行されることにより、該メニュー制御プログラムが、複数のパラメータ群の各々における所定種類のパラメータを複数個並べたメニューを生成して前記表示部に表示させ、前記メニューに含まれる複数のパラメータのうちの或るパラメータの選択を前記入力部を介して受けた場合に、前記汎用プログラムをコールし、前記選択された或るパラメータに関する情報を前記汎用プログラムに通知する。前記汎用プログラムが、前記メニュー制御プログラムからコールされたことを契機に、前記通知された情報から特定される一以上のプログラム部品を用いて起動し、起動した後、該情報から特定されるパラメータ群を用いて、該情報に対応したサプライヤとの決済に関する処理を実行し、該処理において、前記読取り部に前記カード型記憶媒体に記憶されているデータを読み取らせるための動作を行うよう人間に対して指示し、該指示に応じてその動作が行われたことにより、前記カード型記憶媒体に記憶されているデータを前記読取り部から読み取れた場合に、読み取れたデータの少なくとも一部を含んだ電子的な決済要求を作成し、作成した決済要求を所定のシステムに送信する。このカードリーダでは、前記汎用プログラムが前記メニュー制御プログラムからのコール無しに起動しないようになっている。
【0016】
本発明に従う契約端末は、複数のコンピュータプログラムや情報群を記憶することのできる記憶資源と、前記記憶資源からコンピュータプログラムを読み込んで実行するCPUと、入力部と、表示部とを備える(入力部と表示部は、例えば、タッチ型パネルのように、一体となっていてもよい)。前記情報群には、複数のサプライヤにそれぞれ対応した複数のパラメータ群が含まれている。前記複数のコンピュータプログラムには、メニュー制御プログラムと汎用プログラムとが含まれている。前記メニュー制御プログラムが、複数のパラメータ群の各々における所定種類のパラメータを複数個並べたメニューを生成して前記表示部に表示させ、前記メニューに含まれる複数のパラメータのうちの或るパラメータの選択を前記入力部を介して受けた場合に、前記汎用プログラムをコールし、且つ、前記選択された或るパラメータに関する情報を前記汎用プログラムに通知する。前記汎用プログラムが、起動した後、前記通知された情報から特定されるパラメータ群を用いて契約に関する処理を実行する。
【0017】
本明細書で言う「サプライヤ」とは、例えば、保険会社、旅行会社など、商品或いはサービスを提供する者であって、契約の一方の当事者である。
【0018】
第一の実施態様では、前記メニュー制御プログラムが、前記選択された或るパラメータに対応するパラメータ群の全部又は一部のパラメータを前記汎用プログラムに渡す、或いは、該パラメータ群の全部又は一部のパラメータの在り処を示す場所を前記汎用プログラムに通知することにより、前記或るパラメータに関する情報を前記汎用プログラムに通知することができる。
【0019】
第二の実施態様では、前記情報群には、各サプライヤ毎に対応した一以上のプログラム部品が含まれており、該情報群では、前記メニュー制御プログラムから通知される情報から一以上のプログラム部品を特定することができるようになっており、前記汎用プログラムが、前記通知された情報から特定される一以上のプログラム部品を用いて起動することができるようになっている。各プログラム部品は、汎用プログラムのサブプログラムであっても良いし、一種のパラメータであってもよい。
【0020】
第三の実施態様では、少なくとも一つのパラメータ群には、コード列パターンが含まれており、前記コード列パターンは、桁数と各桁のコード種類とを表しており、前記汎用プログラムが、前記入力部を介してコード列の入力を受けた場合、前記コード列パラメータを用いて、入力されたコード列が前記コード列パターンに対応したコード列になっているか否かをチェックすることができる。
【0021】
第四の実施態様では、前記複数のパラメータ群には、異なる複数のサプライヤと契約するためのパラメータ群である兼業パラメータ群が含まれている。前記汎用プログラムが、前記兼業パラメータ群中の所定種類のパラメータが前記メニューの中から選択され前記メニュー制御プログラムからコールされたことにより起動した場合、前記複数のサプライヤにそれぞれ対応した複数の金額の入力を受け付け、入力された複数の金額を前記複数のサプライヤにそれぞれ支払うための複数の電子的な決済要求を作成して送信することができる。
【0022】
前述した記憶資源には、CD−ROMやDVD(Digital Versatile Disk)等の記録媒体を介して各コンピュータプログラムをインストールすることもできるし、インターネットやLAN等の通信ネットワークを介して各コンピュータプログラムをダウンロードすることもできる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、一つの契約端末で複数のサプライヤのどのサプライヤとの間でも契約を行えるようにすることを、各サプライヤ毎に専用の契約用アプリケーションプログラムをその契約端末にインストールすることなく実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る契約端末(或いはカードリーダ)が適用された決済端末について説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る決済端末を備えたシステム全体の構成例を示す。
【0026】
複数の決済端末1の各々が、複数サプライヤ代理店で使用される。この実施形態に係るシステムでは、決済端末1が、有線又は無線で、通信ネットワーク(例えばインターネット)3を介して決済システム4に対して電子的な決済要求を送信するようになっている。各決済端末1は、据置型であっても携帯型であっても良い。
【0027】
決済システム4は、例えば、複数の決済端末1の各々から決済要求を受付けるサーバ(以下、仲介サーバ)5と、決済要求に従う決済処理を行う複数の決済サブシステム7とを備える。決済サブシステム7としては、例えば、クレジットカード会社のサーバマシンや、マルチペイメントサービスを実行することができるシステムなどがある。仲介サーバ5は、決済端末1から受けた電子的な決済要求が表す決済方法(例えばクレジットカード或いはマルチペイメントでの決済)に対応した決済サブシステム7に、決済を依頼し、その依頼に対する応答(例えば決済完了或いはエラー)に応じて、決済端末1に対し、電子的な決済要求に対する応答を返すことができる。
【0028】
図2は、決済端末1のハードウェア構成例を示す。
【0029】
決済端末1は、例えば、表示部11と、通信部18と、操作部17と、カードリーダ21と、印刷部22と、メモリ15と、CPU13とを備える。通信部18は、例えば、有線又は無線で通信を行うための装置であり、この通信部18を介して、決済システム4と通信することができる。操作部17は、人間が決済端末1を操作するためのマンマシンインタフェース(例えば複数のボタン)である。カードリーダ21は、カード型記憶媒体(例えば磁気カード或いはICカード、以下、単に「カード」と言う)に記録されている情報をそのカードから読み取る装置である。メモリ15は、例えば、一又は複数の半導体メモリであり、コンピュータプログラム群が記憶される領域や、ワーク領域として使用される領域などを備えている。CPU13は、メモリ15に記憶されているコンピュータプログラムを読み込んで実行することができる。以下、説明を分かり易くするために、CPUがコンピュータプログラムを読み込んで実行することにより行われる処理の主体をそのコンピュータプログラムであるとする。
【0030】
図3は、決済端末1のソフトウェア構成例を示す。
【0031】
メモリ15には、オペレーティングシステム(以下、OS)39、ハードコントローラ(カードリーダ21や表示部11等のドライバ)37、メニュー制御プログラム41及び汎用プログラム33が記憶される。また、汎用プログラム33及びメニュー制御プログラム41のうちの少なくともメニュー制御プログラム41に参照される契約管理DLL(Down Line Loading)情報群35や、汎用プログラム33に使用される各種DLL情報群31も記憶される。OS39上で、ハードコントローラ37、メニュー制御プログラム41及び汎用プログラム33が動作するようになっている。メニュー制御プログラム41及び汎用プログラム33は、一種のアプリケーションプログラムである。契約管理DLL情報群35は、抽象的には第一の情報群と言うことができる。各種DLL情報群31は、サプライヤ毎に対応した各第二の情報群と言うことができる。
【0032】
本実施形態の一つの特徴は、各サプライヤ毎に専用の決済用アプリケーションプログラムを搭載するのではなく、メニュー制御プログラム41、契約管理DLL情報群35、汎用プログラム33及び各種DLL情報群31のように構築した点にある。
【0033】
契約管理DLL情報群35は、この決済端末1が使用される複数サプライヤ代理店の複数のサプライヤにそれぞれ対応した複数のサブ契約管理DLL情報群を有している。ここでの契約管理DLL情報は、一つのパラメータとすることができる。図4に、契約管理DLL情報群35の構成例を示す。この構成例によれば、この契約管理DLL情報群35を記憶する決済端末1それ自体の識別番号(以下、親番号)と、この決済端末1のパスワードとが含まれている。更に、代理店登録DLL情報群と会社登録DLL情報群とが含まれている。代理店登録DLL情報群には、例えば、表示順及び会社略称が含まれている。表示順を編集することで、初期メニューにおける項目(ここでは後述の画面表示会社名)の並び順を変えることができる。会社登録DLL情報群には、各サプライヤ毎に、端末識別子番号(以下、子番号)、画面表示会社名、印字会社名、証券番号パターン、決済方法情報、領収情報テーブル及び商品名のセットが含まれている。親番号と親番号に紐付けられた子番号とのセットから、どの決済端末1におけるどのサプライヤに対応したサブ契約管理DLL情報群を編集するのかを特定することができる。画面表示会社名は、初期メニューで表示される会社名である。印字会社名は、印刷部22によって印刷される会社名である。証券番号パターンは、何桁あってどの桁にはどんな種別のコードが入るかを表す。種別としては、例えば、A(アルファベット)、N(数字)、W(英数字)の3種類がある。決済方法情報は、決済方法に関する情報を表し、例えば、デビット有無(デビットカードでの決済が可能か否か)、クレジット有無(クレジットカードでの決済が可能か否か)、マルペイ有無(マルチペイメントでの決済が可能か否か)、収納会社コード、入金口座(デビットカードでの決済における入金口座)、及び、扱いクレジット会社テーブル(クレジット有無区分有りの場合、扱える全てのクレジット会社コードが登録されるテーブル)を含んでいる。領収情報テーブルは、決済する領収内容の定義を表しており、例えば、各領収内容毎に、領収コード(何の決済であるかを識別するための領収内容コード)、名称(領収内容の名称)、証券番号入力要否(当該領収の際に証券番号の入力が必要か否かの定義)、及び保険料充当期間(当該領収の際に保険料を充当すべき払込年度回目を必要とするか否かの定義)を含んでいる。商品名は、サプライヤで扱っている商品の名称である。
【0034】
再び図3を参照する。各種DLL情報群31は、サプライヤ毎のDLL情報群であり、例えば、汎用プログラム33のプログラム部品(例えば、汎用プログラム33をコントロールするためのサブプログラム或いはデータ)である。具体的には、例えば、各種DLL情報群31は、決済端末1の接続先などを管理するための一又は複数のテーブル、及び、決済(例えばクレジットカード決済)の際に取得する情報項目が記述された一又は複数のテーブルのうちの少なくとも一つとすることができる。各種DLL情報群31は、汎用プログラム33がどんなサプライヤ情報(サプライヤに関する情報)を受けた場合にどの種類のDLL情報群を読むべきかが汎用プログラム33が特定できるようになっている。例えば、各種DLL情報群31は、汎用プログラム33が受け得るサプライヤ情報に紐付けられている。
【0035】
以上の契約管理DLL情報群35及び各種DLL情報群31のうちの少なくとも契約管理DLL情報群35は、決済端末1を用いて編集することができても良いし、或いは、決済端末1では編集不可能とし、決済端末1と通信可能な計算機(例えば、仲介サーバ5或いは別の計算機)で編集し、編集後の契約管理DLL情報群35の全部又は一部を決済端末1にダウンロードすることで、記憶済みの契約管理DLL情報群35の全部又は一部を編集後の情報にアップデートされてもよい。具体的には、例えば、契約管理DLL情報群35において、代理店登録DLL情報群に含まれる契約管理DLL情報(パラメータ)は、決済端末1を用いて編集することができ、会社登録DLL情報群に含まれる契約管理DLL情報(パラメータ)は、決済端末1ではなくそれと通信可能な計算機で編集することができる。また、編集の際には、パスワードなどの認証情報を受け、認証できたときに、編集可能とさせてもよい。
【0036】
メニュー制御プログラム41は、契約管理DLL情報群35に書かれている各画面表示会社名(契約管理DLL情報)をその表示順に従って並べた初期メニューを生成し、その初期メニューを表示部11に表示させる。そして、メニュー制御プログラム41は、初期メニューに含まれている複数の会社名の中から或る会社名が選択されたならば、汎用プログラム33をコールし、選択された会社に関するサプライヤ情報を汎用プログラム33に通知する。具体的には、例えば、メニュー制御プログラム41は、契約管理DLL情報群35中の、選択された或る会社名に対応した一又は複数の契約管理DLL情報(画面表示会社名を含んでいてもいなくても良い)を、起動した汎用プログラム33に渡すか、或いは、その一又は複数のパラメータが記憶されている場所を汎用プログラム33に通知する。
【0037】
汎用プログラム33は、決済相手のサプライヤに依存しないコンピュータプログラム、換言すれば、決済相手がどのサプライヤであっても決済に関する処理を実行することのできる汎用のコンピュータプログラムである。汎用プログラム33は、例えば、メニュー制御プログラム41からコールされない限り起動しないプログラムである。汎用プログラム33は、メニュー制御プログラム41からコールされた場合、メニュー制御プログラム41からのサプライヤ情報に対応する種類のDLL情報群を各種DLL情報群31から読み込み、読み込んだDLL情報群を用いて起動することができる。具体的には、例えば、汎用プログラム33は、一又は複数の契約管理DLL情報(パラメータ)を受けた場合、受けた一又は複数の契約管理DLL情報のうちの少なくとも一つの契約管理DLL情報に対応するDLL情報群を各種DLL情報群31から取得することができる。また、例えば、汎用プログラム33は、一又は複数の契約管理DLL情報の場所の通知を受けた場合、その場所に対応するDLL情報群、或いは、その場所から一又は複数の契約管理DLL情報を取得し、取得した一又は複数の契約管理DLL情報のうちの少なくとも一つの契約管理DLL情報に対応するDLL情報群を各種DLL情報群31から取得することができる。汎用プログラム33は、通知されたサプライヤ情報に対応したDLL情報群を読み込んで起動することにより、そのサプライヤ情報に対応したサプライヤに専用の決済用アプリケーションプログラムとして動作することができる。汎用プログラム33は、複数のサプライヤに共通の処理については、DLL情報群が無くても実行することができるように構成され、個々のサプライヤによって異なる処理については、取得したDLL情報群を用いて実行することができるように構成されている。
【0038】
以下、図5以降を参照して、決済端末1で行われる処理の流れの一例を説明する。なお、図5以降の各ステップにおいて、括弧書きで「共通」と示したのは、決済相手がどのサプライヤであっても行われる処理であり、括弧書きで「個社」と示したのは、サプライヤによって行われたり行われなかったりする処理である。「個社」に対応した処理は、例えば、どんな種類の契約管理DLL情報をサブ契約管理DLL情報群に含めるかによって実現することができる。
【0039】
図5に示すように、例えば決済端末1の主電源が投入された場合、所定のコンピュータプログラム(例えば、OS39内のモジュール或いはメニュー制御プログラム41)が、パスワードの入力を受付けるための画面を表示部11に表示させ、操作部11を介してパスワードが入力されたならば、その入力されたパスワードの正当性をチェックする(ステップS1)。入力されたパスワードが、契約管理DLL情報群35内のパスワードに適合すれば、S2が行われる。
【0040】
S2では、メニュー制御プログラム41は、契約管理DLL情報群35に含まれている各画面表示会社名(契約管理DLL情報)をその表示順に従って並べた初期メニューを生成し、その初期メニューを表示部11に表示させる。
【0041】
その初期メニューの中から或る画面表示会社名の選択を操作部17を介して受けた場合(例えば、画面表示会社名に対応した番号のボタンが押された場合)、メニュー制御プログラム41は、図6に示すように、汎用プログラム33を起動し、契約管理DLL情報群35から取得した、選択された会社名に対応した一又は複数の契約管理DLL情報を、汎用プログラム33に渡す(S3A)。汎用プログラム33が、渡された契約管理DLL情報に対応したDLL情報群を各種DLL情報群31から読み込み、その読み込んだDLL情報群を用いて起動する(S3B)。これにより、汎用プログラム33が、選択された会社名に対応したサプライヤに専用の決済用アプリケーションプログラムとして動作することができるようになる。以下、初期メニューにおいて「BBB火災」が選択されたものとして、説明を進める。
【0042】
汎用プログラム33は、サプライヤ「BBB火災」に対応したサブ契約管理DLL情報群中の決済方法情報を用いて、取引業務メニューを生成し表示部11に表示させる(S4)。ここでは、例えば、マルペイ有無区分で有りになっているので、取引業務メニュー上には、口座振替の設定を受付ける項目も表示するが、マルペイ有無区分が無しであれば、その項目は表示しない。
【0043】
取引業務メニューにおいて、決済が選択された場合、汎用プログラム33は、サプライヤ「BBB火災」に対応したサブ契約管理DLL情報群中の領収情報テーブルに登録されている全ての領収コード及び名称を含んだ取引選択メニューを生成し表示部11に表示させる(S5)。なお、ここで、もし、領収情報テーブルに領収コード及び名称が全く登録されていなければ、S5は行われない。
【0044】
汎用プログラム33は、取引選択メニューにおいて、異動保険料の選択を操作部17を介して受けた場合、例えば、図8に示すように、その領収情報テーブルにおいて、異動保険料は、証券番号の入力が必要で保険料充当期間も必要となっているので、証券番号及び充当年度回目の入力を求める画面を表示部11に表示させる(S6)。なお、ここで、もし、証券番号及び充当年度回目のいずれか一方が必要となっていれば、いずれか一方の入力を受付ける画面が表示され、いずれの入力も不要となっていれば、S6は行われない。また、汎用プログラム33は、証券番号が操作部17を介して入力された場合、サプライヤ「BBB火災」に対応したパラメータ群中の証券番号パターンを用いて、入力された証券番号がサプライヤ「BBB火災」に適した証券番号パターンになっているか否かをチェックする(適していなければ例えば証券番号の再入力を求めることができる)。
【0045】
汎用プログラム33は、或るタイミングで(例えば個社の全ての処理を終えた場合に)、図9に示すように、領収すべき金額(バイヤが支払うべき金額)の入力を受付ける(S7)。
【0046】
汎用プログラム33は、金額が入力されたならば、サプライヤ「BBB火災」に対応したサブ契約管理DLL情報群中の決済方法情報を用いて、決済方法を表示した決済方法メニューを生成し表示部11に表示させる(S8)。ここでは、デビットカードもクレジットカードもマルチペイメントも利用可能なので、それらの決済方法が選択可能に表示される。なお、もし、各区分において利用不可が設定されている場合には、その区分に対応した決済方法は選択可能には表示されない(例えば、決済方法が選択不可能に表示されるか或いはその決済方法が表示されない)。
【0047】
汎用プログラム33は、決済方法が選択されたならば、領収する金額をバイヤに確認してもらうための画面(S7で入力された金額を表示した画面)を表示部11に表示させる(S9)。
【0048】
その後、汎用プログラム33は、図10に示すように、カードの読み取りを指示する(S10)。カードリーダ21からカードに記録されている情報が読み取られたならば、汎用プログラム33は、そのカードの暗証番号の入力を求める(S11)。汎用プログラム33は、入力された暗証番号が正しい暗証番号であることが得られれば、決済依頼電文(例えば、パラメータ群中の振込み先口座、カード中の振込み元口座、金額を含んだ電文)を生成して通信部18から仲介サーバ5に送信する。仲介サーバ5から、所定の回答(例えば決済終了)を通信部18を介して受けたら、汎用プログラム33は、決済完了画面を表示する(S12)。ここで、所定のキーが押されたら、印刷部22から、決済の詳細(例えば、パラメータ群中の印字会社名や、領収された金額を含んだ情報)を印刷することができる。また、別の所定のキーが押されたら、汎用プログラム33は終了し、再び、メニュー制御プログラム33がS2を行う。
【0049】
以上、上述した実施形態によれば、メニュー制御プログラム41と汎用プログラム33とが用意され、各プログラム41、33毎にDLL情報群が用意される。メニュー制御プログラム41が参照する契約管理DLL情報群35には、各サプライヤ毎のサブ契約管理DLL情報群が含まれており、汎用プログラム33が参照する各種DLL情報群31は、サプライヤ毎に対応している。初めに、メニュー制御プログラム41が、複数のサブ契約管理DLL情報群の各々における所定種類の契約管理DLL情報を複数個並べたメニューを生成して表示部11に表示させることで、複数のサプライヤのうちのどのサプライヤに対する決済をするかの選択を受付け、契約管理DLL情報の選択を受けたら、汎用プログラム33をコールし、選択された契約管理DLL情報に対応するサプライヤに関するサプライヤ情報を汎用プログラム33に通知する。汎用プログラム33は、サプライヤ情報に対応したDLL情報群を各種DLL情報群31から読み込み、そのDLL情報群を用いて起動する。汎用プログラム33は、決済に関する処理では、そのサプライヤ情報に対応した、契約管理DLL情報群35中の契約管理DLL情報を適宜に使用する。これにより、各サプライヤ毎に専用の決済用アプリケーションプログラムをその決済端末1にインストールすることなく、一つの決済端末1で複数のサプライヤのどのサプライヤとの間でも決済を行えるようにすることができる。
【0050】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。
【0051】
例えば、各種DLL情報群31には、サプライヤ毎のDLL情報群だけでなく、複数サプライヤ代理店の業態(例えば乗合代理店であるか兼業代理店であるか)に特化したDLL情報群が含まれていても良い。この場合、汎用プログラム33は、業態の指定を受け、指定された業態に対応したDLL情報群を用いて処理を実行することができる。或いは、汎用プログラム33が、決済端末1が使用される複数サプライヤ代理店の業態に特化した構成になっていてもよい。
【0052】
また、例えば、決済端末1は、複数の決済を一連の決済処理の中で行うことができる。具体的には、例えば、契約管理DLL情報群35に、兼業代理店に対応したサブ契約管理DLL情報群が含まれ、そのサブ契約管理DLL情報群には、複数のサプライヤに対応したDLL情報群が含まれる。この場合、図11に例示するように、S1〜S4が行われた後(S3Aでは、兼業代理店に対応した契約管理DLL情報が選択される)、汎用プログラム33が、トータルの決済金額の入力を受けた後に、第一のサプライヤ(例えば旅行会社)への支払い金額及び決済方法(例えばデビットカードかクレジットカードか)の入力を受付けることができる(S100)。それらが入力されたならば、汎用プログラム33は、第二のサプライヤ(例えば保険会社)への支払い金額及び決済方法の入力を受付けることができる(S200)。つまり、トータルの決済金額をどのように分離するかの指定を受け付けることができる。それらが入力されたならば、汎用プログラム33は、第一の決済依頼電文(S100で受けた金額及び決済方法に従う電文)と第二の決済依頼電文(S200で受けた金額及び決済方法に従う電文)を生成し、それらを決済システム4(具体的には仲介サーバ5)に一斉に或いは順次に送信することができる。順次に送信する場合、例えば、第一の決済依頼電文に対して決済完了を受けた場合に、第二の決済依頼電文を送信し、第一の決済依頼電文を送信してから所定時間内に決済完了を受けることができなかった場合には、第二の決済依頼電文を送信しないようにすることもできる。以上のように、決済端末1は、決済相手や支払い先の異なる複数の決済を一連の決済処理において行うことができる。これは、兼業代理店で決済端末1が使用される場合に特に有用であると考えられる。なお、例えば、決済端末1は、送信した複数の決済依頼電文のうちの少なくとも一つについてエラーを決済システム4から受けた場合には、エラーに対応した決済依頼電文を再送するか、或いは、その電文に関わる決済のための情報の再入力を表示部11を介して求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係る決済端末を備えたシステム全体の構成例を示す。
【図2】決済端末1のハードウェア構成例を示す。
【図3】決済端末1のソフトウェア構成例を示す。
【図4】契約管理DLL情報群35の構成例を示す。
【図5】決済端末1で行われる処理の流れの一例の第一部を示す。
【図6】決済端末1で行われる処理の流れの一例の第二部を示す。
【図7】決済端末1で行われる処理の流れの一例の第三部を示す。
【図8】決済端末1で行われる処理の流れの一例の第四部を示す。
【図9】決済端末1で行われる処理の流れの一例の第五部を示す。
【図10】決済端末1で行われる処理の流れの一例の第六部を示す。
【図11】決済端末1で行われる処理の流れの別の一例を示す。
【符号の説明】
【0054】
1…決済端末 4…決済システム 5…仲介サーバ 7…決済サブシステム 11…表示部 13…CPU 15…メモリ 17…操作部 21…カードリーダ 22…印刷部 31…各種DLL情報群 33…汎用プログラム 35…契約管理DLL情報群 37…ハードコントローラ 39…OS(オペレーティングシステム) 41…メニュー制御プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード型記憶媒体に記憶されているデータを読み取る読取り部を備えた携帯型のカードリーダにおいて、
複数のコンピュータプログラムや情報群を記憶することのできる記憶資源と、
前記記憶資源からコンピュータプログラムを読み込んで実行するCPUと、
入力部と、
表示部と
を備え、
前記複数のコンピュータプログラムには、
メニューを表示するためのメニュー制御プログラムと、
複数のサプライヤの決済に共通の処理を実行するための汎用プログラムと
が含まれており、
前記情報群には、複数のサプライヤにそれぞれ対応した複数のパラメータ群と、各サプライヤ毎に対応した一以上のプログラム部品が含まれており、該情報群では、前記メニュー制御プログラムから通知される情報から、該情報に対応するサプライヤに対応した一以上のプログラム部品を特定することができるようになっており、
前記CPUに前記メニュー制御プログラムが読み込まれて実行されることにより、該メニュー制御プログラムが、複数のパラメータ群の各々における所定種類のパラメータを複数個並べたメニューを生成して前記表示部に表示させ、前記メニューに含まれる複数のパラメータのうちの或るパラメータの選択を前記入力部を介して受けた場合に、前記汎用プログラムをコールし、前記選択された或るパラメータに関する情報を前記汎用プログラムに通知し、
前記汎用プログラムが、前記メニュー制御プログラムからコールされたことを契機に、前記通知された情報から特定される一以上のプログラム部品を用いて起動し、起動した後、該情報から特定されるパラメータ群を用いて、該情報に対応したサプライヤとの決済に関する処理を実行し、該処理において、前記読取り部に前記カード型記憶媒体に記憶されているデータを読み取らせるための動作を行うよう人間に対して指示し、該指示に応じてその動作が行われたことにより、前記カード型記憶媒体に記憶されているデータを前記読取り部から読み取れた場合に、読み取れたデータの少なくとも一部を含んだ電子的な決済要求を作成し、作成した決済要求を所定のシステムに送信し、
前記汎用プログラムが前記メニュー制御プログラムからのコール無しに起動しないようになっている、
携帯型のカードリーダ。
【請求項2】
複数のコンピュータプログラムや情報群を記憶することのできる記憶資源と、
前記記憶資源からコンピュータプログラムを読み込んで実行するCPUと、
入力部と、
表示部と
を備え、
前記情報群には、複数のサプライヤにそれぞれ対応した複数のパラメータ群が含まれており、
前記複数のコンピュータプログラムには、メニュー制御プログラムと汎用プログラムとが含まれており、
前記メニュー制御プログラムが、複数のパラメータ群の各々における所定種類のパラメータを複数個並べたメニューを生成して前記表示部に表示させ、前記メニューに含まれる複数のパラメータのうちの或るパラメータの選択を前記入力部を介して受けた場合に、前記汎用プログラムをコールし、且つ、前記選択された或るパラメータに関する情報を前記汎用プログラムに通知し、
前記汎用プログラムが、起動した後、前記通知された情報から特定されるパラメータ群を用いて契約に関する処理を実行する、
契約端末。
【請求項3】
前記メニュー制御プログラムが、前記選択された或るパラメータに対応するパラメータ群の全部又は一部のパラメータを前記汎用プログラムに渡す、或いは、該パラメータ群の全部又は一部のパラメータの在り処を示す場所を前記汎用プログラムに通知することにより、前記或るパラメータに関する情報を前記汎用プログラムに通知する、
請求項2記載の契約端末。
【請求項4】
前記情報群には、各サプライヤ毎に対応した一以上のプログラム部品が含まれており、該情報群では、前記メニュー制御プログラムから通知される情報から一以上のプログラム部品を特定することができるようになっており、
前記汎用プログラムが、前記通知された情報から特定される一以上のプログラム部品を用いて起動するようになっている、
請求項2記載の契約端末。
【請求項5】
少なくとも一つのパラメータ群には、コード列パターンが含まれており、
前記コード列パターンは、桁数と各桁のコード種類とを表しており、
前記汎用プログラムが、前記入力部を介してコード列の入力を受けた場合、前記コード列パラメータを用いて、入力されたコード列が前記コード列パターンに対応したコード列になっているか否かをチェックする、
請求項2記載の契約端末。
【請求項6】
前記複数のパラメータ群には、異なる複数のサプライヤと契約するためのパラメータ群である兼業パラメータ群が含まれており、
前記汎用プログラムが、前記兼業パラメータ群中の所定種類のパラメータが前記メニューの中から選択され前記メニュー制御プログラムからコールされたことにより起動した場合、前記複数のサプライヤにそれぞれ対応した複数の金額の入力を受け付け、入力された複数の金額を前記複数のサプライヤにそれぞれ支払うための複数の電子的な決済要求を作成して送信する、
請求項2記載の契約端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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