カード処理装置
【課題】磁気カードを間欠搬送する機能を備えたカード処理装置において、カード挿入口に取り付けられた偽読取装置によってカード情報が不正に取得されるのをより効果的に防止する。
【解決手段】カード挿入口22付近に搬送ローラ24を設け、カード50がカード挿入口22に挿入されてセンサ31がONになると、搬送ローラ24が間欠駆動されて、カード50を間欠的に搬送しながらカード処理装置100に取り込む。カード50は挿入とほぼ同時に間欠搬送されるので、カード挿入口22に偽読取装置SKが取り付けられていても、カード挿入時に偽読取装置SKの磁気ヘッドHによってスキミングされる情報は、aの範囲のわずかな情報のみであり、大部分の情報はスキミングされない。
【解決手段】カード挿入口22付近に搬送ローラ24を設け、カード50がカード挿入口22に挿入されてセンサ31がONになると、搬送ローラ24が間欠駆動されて、カード50を間欠的に搬送しながらカード処理装置100に取り込む。カード50は挿入とほぼ同時に間欠搬送されるので、カード挿入口22に偽読取装置SKが取り付けられていても、カード挿入時に偽読取装置SKの磁気ヘッドHによってスキミングされる情報は、aの範囲のわずかな情報のみであり、大部分の情報はスキミングされない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気情報が記録されているカードを取り扱うカード処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銀行の現金自動預金支払機(以下、「ATM」という。)などには、磁気情報が記録されている磁気カードを取り扱うカード処理装置が搭載されている。このカード処理装置では、カード挿入口から磁気カードが挿入されると、モータや搬送ローラ等の搬送手段により磁気カードを一定速度で搬送しながら、磁気ヘッドによってカードの磁気ストライプに記録されている磁気情報が読み取られる。また、カード処理装置は、情報の読み取りのほか、必要に応じて情報の書き込みも行う。そして、カードに対する読み取りや書き込みの処理が終了すると、搬送手段によりカードを外部へ排出する。
【0003】
ところで、銀行などに設置されているATMにおいては、磁気カードのカード情報を不正に入手する目的で、ATMに搭載された真正なカード処理装置の前面に、偽読取装置が取り付けられる場合がある。この偽読取装置は、磁気カードから読み取った情報を記憶するメモリを備えている。利用者が、このような偽読取装置が取り付けられていることに気付かずに、あるいは、偽読取装置を真正なカード処理装置の一部と誤解して、磁気カードをその偽読取装置のカードスロットに挿入すると、磁気カードの情報が偽読取装置によって読み取られメモリに記憶される。一方、偽読取装置に挿入された磁気カードは、真正なカード処理装置へ搬送され、ここで本来のカード読取処理が行われる。この場合、磁気カードそのものが偽カードでない限り、ATMにおいては正常に処理が行われる。そして、カード処理が終了すると、真正なカード処理装置は磁気カードを排出し、偽読取装置のカードスロットを介して利用者に磁気カードが返却される。したがって、利用者としては、正常にカードが返却されるため、カード情報が不正に読み取られたことに気付きにくい。また、このカード返却時に偽読取装置によってカード情報が読み取られる場合もある。この後、偽読取装置を取り付けた者は、この装置をATMから取り外し、不正に読み取ったカード情報をメモリから読み出し、このカード情報に基づいてカードを偽造する。
【0004】
以上のような偽読取装置によるカード情報の不正取得は、「スキミング」と呼ばれている。このスキミングを防止するための対策として、磁気カードの挿入時または排出時に、磁気カードを間欠的に搬送する技術が存在する(例えば、後記の特許文献1、特許文献2、非特許文献1参照)。また、磁気カードの間欠的な搬送を更に複雑にしてスキミングを困難にするために、磁気カードをランダムに間欠搬送する技術が存在する(例えば、後記の特許文献3参照)。さらに、磁気カードの取り込み時や排出時において、カードの一部がカードスロットから外部に突出している状態で、一時的に磁気カードの搬送を停止させる技術が存在する(例えば、後記の特許文献4参照)。一般に、磁気カードの磁気ストライプに記録されている情報を正確に読み取るためには、磁気ヘッドに対してカードを一定速度で連続的に移動させる必要があるが、上記のように磁気カードを間欠的に搬送したり一時停止させたりすることで、磁気ストライプから記録情報を正確に読み取ることが不可能となり、これによってスキミングによるカード情報の不正取得にある程度の歯止めをかけることができる。
【0005】
【特許文献1】特開2005−128668号公報
【特許文献2】特開2004−171205号公報
【特許文献3】米国特許第6,460,771号明細書
【特許文献4】特開2001−22894号公報
【非特許文献1】J. Svigals:"Unauthorized Card Stripe Reading Inhibitor", IBM TECHNICALDISCLOSURE BULLETIN, vol. 26, No. 6, Nov. 1, 1983, page 2707 XP002145300, NewYork.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図20は、ATMなどに搭載されるカード処理装置100の一例を示す概略構成図である。20はカード処理装置100の本体、21は本体20の前面側に設けられたカード挿入部、22は磁気カード50が挿入されるカード挿入口、23は磁気カード50の挿入・排出を規制するシャッタ、25〜27は磁気カード50を搬送する搬送ローラ、30および32〜34は磁気カード50を検出するセンサ、2は磁気カード50に記録されている情報を読み取る磁気ヘッドである。このように、ATMなどに搭載されるカード処理装置100は、一般にカード挿入部21を備えている。このカード挿入部21は、カード処理装置100とATMなどの筐体200とをつないだり、カード検出用のセンサ30や、シャッタ23などを組み込んだりするために、機能上必須となる部分である。このカード挿入部21が存在する結果、カード挿入口22から、カード挿入部21を経て搬送ローラ25に至るまで、数10mmの長さがあることになる。
【0007】
ところで、磁気カード50の磁気ストライプには、通常、カードの先端部から情報が記録される。図21は、磁気カード50がキャッシュカードの場合の情報記録形式を示した図である。51は磁気ストライプ、51aは開始符号が記録された領域、51bは有効データが記録された領域、51cはダミーデータが記録された領域、51dは終了符号が記録された領域である。有効データ記録領域51bには、例えば、銀行番号・支店番号・口座番号・カード種別などの取引処理に必要なデータが記録されており、ダミーデータ記録領域51cには、例えば「00000…」のような意味のないデータが記録されている。ここで、磁気ストライプ51にどのような情報を記録するかに関しては、金融機関においてある程度選択できるようになっているため、図21(a)に示すように有効データの多い磁気カード50(キャッシュカード)もあれば、図21(b)に示すように有効データの少ない磁気カード50(キャッシュカード)もある。
【0008】
したがって、上記のようなカード挿入部21を備えたカード処理装置100において、図22に示すように、カード挿入口22に偽読取装置(スキマー)SKが取り付けられた場合、先行技術では、磁気カード50の先端がセンサ32で検出されるまで、搬送ローラ25による間欠搬送が開始されないので、挿入された磁気カード50が搬送ローラ25に届く前に、磁気ストライプ51上のaの範囲に記録されている情報が、偽読取装置SKに内蔵された磁気ヘッドHによりスキミングされてしまい、間欠搬送開始後におけるbの範囲の情報のみがスキミングされないだけである。この結果、磁気カード50に記録されている大部分の情報が読み取られてしまう。挿入部21の長さ、挿入部21から搬送ローラ25までの距離、偽読取装置SKの磁気ヘッドHの位置によっては、磁気ストライプ51の7〜8割の部分の情報を読み取られてしまうことになる。したがって、特に、図21(b)のような有効データ領域の少ない磁気カード50の場合は、たとえカードの間欠搬送を行ったとしても、それ以前の時点で有効データの全てがスキミングされる結果となる。また、カード挿入時だけでなくカード排出時において、磁気カード50が搬送ローラ25を抜けた後、磁気カード50を手で引き抜く時にも、同様の原理により、磁気カード50に記録されている大部分の情報が読み取られてしまうことが起こる。
【0009】
そこで本発明の課題は、磁気カードを間欠搬送する機能を備えたカード処理装置において、カード挿入口に取り付けられた偽読取装置によってカード情報が不正に取得されるのをより効果的に防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るカード処理装置は、磁気情報が記録されているカードを取り扱うカード処理装置であって、装置本体の内部に設けられ、カードを搬送する第1の搬送手段と、装置本体の前面側に設けられ、カード挿入口から挿入されたカードを第1の搬送手段へ導くためのカード挿入部と、カード挿入部の挿入口付近に設けられた第2の搬送手段とを備え、第2の搬送手段が、カード挿入口から挿入されるカードおよび/またはカード挿入口から排出されるカードを間欠的に搬送するようにしたものである。
【0011】
このように、カード挿入口付近にカードを間欠的に搬送する第2の搬送手段を設けたことで、カードの挿入とほぼ同時にカードを間欠搬送することができる。このため、カード挿入口に偽読取装置が取り付けられていても、カードが第1の搬送手段に届くまでの間にカード情報がスキミングされるおそれは殆どない。また、カードを排出する場合も、カードが挿入口に至るのとほぼ同時にカードを間欠搬送することができるので、カードを手で引き抜く過程で偽読取装置によりカード情報がスキミングされるおそれは殆どない。
【0012】
本発明における間欠的な搬送には、規則正しい周期での間欠搬送だけでなく、不規則な周期での間欠搬送も含まれる。また、一方向のみへの間欠搬送に限らず、一方向と他方向への動きを交互に反復しつつ一方向へ移動してゆくような搬送も、本発明でいう間欠的な搬送に含まれる。カードの取り込み時には、取り込み時間を短縮する上で、最初の段階でのみ間欠搬送を行うのが望ましいが、本発明は、カード取り込み時の最初から最後に至るまで間欠的な搬送を行うことを排除するものではない。同様に、カードの排出時には、排出時間を短縮する上で、最後の段階でのみ間欠搬送を行うのが望ましいが、本発明は、カード排出時の最初から最後に至るまで間欠的な搬送を行うことを排除するものではない。また、間欠搬送は、カード取り込み時とカード排出時のいずれか一方の場合にのみ行ってもよいし、両方の場合に行ってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カード挿入部を備えたカード処理装置において、カード挿入口に偽読取装置が取り付けられても、カードの挿入時や排出時にカードに記録されている情報を偽読取装置で読み取ることが実質的に不可能となるので、有効データの少ない磁気カードであっても、スキミングをより効果的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の第1実施形態に係るカード処理装置の概略構造を示す図である。図1において、100はカード処理装置であって、例えばATMに搭載されている。200はATMの筐体を示している。50はこのカード処理装置100で処理されるカードであって、図2のような磁気ストライプ51を有する磁気カードからなる。20はカード処理装置100の本体、21は本体20の前面側に設けられたカード挿入部、22はカード50が挿入されるカード挿入口である。23はシャッタであって、後述するソレノイドにより図の上下方向に開閉し、カード挿入口22から本体20内部へのカード50の進入、または本体20内部からカード挿入口22へのカード50の排出を規制する。
【0015】
24〜27はそれぞれ上下一対の搬送ローラであって、後述するモータの正転・逆転によりカード50を図の左右方向に搬送する。搬送ローラ25〜27は本体20の内部に設けられており、本発明における第1の搬送手段の一実施形態を構成する。また、搬送ローラ24は、カード挿入部21のカード挿入口22付近に設けられ、本発明における第2の搬送手段の一実施形態を構成する。
【0016】
31〜34はカード検出用のセンサであって、上下一対の投光素子および受光素子を備えたフォトマイクロセンサから構成される。センサ31はカード挿入部21のカード挿入口22付近において、搬送ローラ24とほぼ同じ位置に設けられており、本発明における検知手段の一実施形態を構成する。センサ32〜34は本体20の内部に設けられており、カード挿入口22からみて、センサ32は搬送ローラ25の直前に、センサ33は搬送ローラ26の直前に、センサ34は搬送ローラ27の直後に、それぞれ配設されている。2は磁気ヘッドであって、カード50の磁気ストライプ51から磁気情報を読み取る。この磁気ヘッド2は、カード挿入口22からみて、搬送ローラ26の直後に配設されており、カード50がローラ26,27によって搬送される過程で、磁気ストライプ51の磁力の変化を検出することにより磁気情報を読み取る。
【0017】
図3は、カード処理装置100の電気的構成を示すブロック図である。図3において、1はカード処理装置100の各部を制御する制御部であって、CPU、ROM、RAM、および後記の制御回路等からなる。なお、ROMにはCPUの動作プログラム等が記憶されており、RAMにはCPUが各部を制御する制御データ等が読み書き可能に記憶される。2は図1で説明した磁気ヘッド、3は図1のセンサ31〜34を総括して表したセンサ、4は前述の搬送ローラ24〜27を回転させるモータである。制御部1は、モータ4の駆動を制御するためのモータ制御回路を備えている。この制御回路によりモータ4が正転駆動または逆転駆動され、これによって搬送ローラ24〜27が回転してカード50を所定方向へ搬送する。5は前述のシャッタ23を開閉するためのシャッタ用ソレノイドである。制御部1は、ソレノイド5の駆動を制御するためのソレノイド制御回路を備えている。この制御回路によりソレノイド5が駆動され、シャッタ23の開閉が行われる。6は上位装置10と相互に通信を行うための通信部であって、本発明における通信手段の一実施形態を構成する。上位装置10は、例えばカード処理装置100が搭載されているATMである。制御部1は、磁気ヘッド2がカード50から読み取った情報を、通信部6を介して上位装置10へ送信する。
【0018】
図4ないし図6は、カード処理装置100の動作手順を示すフローチャートである。各処理は制御部1のCPUにより実行される。図4は全体の概略動作を示し、図5〜図6は部分的な詳細手順を示している。また、図7A〜図8Bは、カード処理装置100におけるカードの搬送状態を示す図である。以下、これらの図を参照して、カード処理装置100の動作を説明する。
【0019】
まず、図4に従い全体の概略動作を説明する。ここでは、上位装置10がATMであって、カード処理装置100はこのATMに搭載されているものとする。ATMにおいてカード50による取引を行う場合、利用者が接客パネルで所定の操作をすると、上位装置10からカード処理装置100に対して処理開始の指令が送信され、通信部6がこの指令を受信する(ステップS1)。指令を受信すると、カード処理装置100はカード50を取り込み、取り込んだカードに記録されている情報の読み取りを行う(ステップS2)。そして、これらの処理が終わると、続いて、カード処理装置100はカード50の排出処理を行い(ステップS3)、排出が終わると一連の動作を終了する。
【0020】
図5は、図4のステップS2における磁気カードの取込・読取処理の詳細な手順を示したフローチャートである。以下、この手順を説明する。制御部1は、カード挿入口22に設けられたセンサ31がONしたかどうかを常時監視している(ステップS11)。図7A(a)は、カード挿入口22へカード50が挿入される前の状態を示しており、このときセンサ31はOFFの状態にある(ステップS11:NO)。なお、本図では図1におけるATMの筐体200の図示を省略してある(以下の図についても同様)。
【0021】
次に、図7A(b)のように、利用者がカード挿入口22へカード50を挿入して、カード50の先端(左端)がセンサ31の位置まで達すると、センサ31がカード50を検知してONとなり(ステップS11:YES)、シャッタ用ソレノイド5が駆動されて、シャッタ23が開く(ステップS12)。これに続いて、モータ4が間欠的に正転駆動され、これによって搬送ローラ24〜27も間欠的に正回転する(ステップS13)。この結果、カード50は、カード挿入口22へ挿入された直後から搬送ローラ24により間欠的に搬送されながら、カード挿入部21に取り込まれる。
【0022】
このとき、制御部1のモータ駆動回路からモータ4へは、例えば図18(a)に示したような制御量(駆動電圧)が与えられ、これによって、モータ4は図19(a)に示したような間欠回転動作を行なう。図19(a)の場合、モータ4は、1単位時間の間に1単位回転量だけ回転して、次の1単位時間の間は停止し、この動作が反復される。この結果、センサ31の位置まで挿入されたカード50は、間欠回転する搬送ローラ24によって図の左方向に間欠的に搬送されて行く。そして、カード挿入部21から本体20の内部に取り込まれたカード50は、図7A(c)に示したように、間欠回転する搬送ローラ25によって引き続き左方向に間欠的に搬送されて行く。なお、カード50が搬送ローラ25の位置まで搬送される過程で、センサ32がONとなる。
【0023】
次に、センサ33がONしたかどうかを判定する(ステップS14)。図7B(d)のように、カード50がセンサ33の位置まで搬送されると、センサ33がカード50を検知してONとなり(ステップS14:YES)、これに応答して、モータ4の駆動が間欠駆動から連続駆動に切り替えられ、モータ4は連続的に正転駆動される。これによって、搬送ローラ24〜27も連続的に正回転する(ステップS15)。この結果、カード50は、連続回転する搬送ローラ25,26によって図の左方向に連続的に搬送されて行く。続いて、センサ32がONからOFFに変化したか否かを判定する(ステップS16)。図7B(e)のように、カード50の後端(右端)がセンサ32を通過すると、センサ32はONからOFFとなり(ステップS16:YES)、これに応答して、シャッタ用ソレノイド5がシャッタ23を閉じる(ステップS17)。そして、図7B(f)のように、カード50が磁気ヘッド2の位置へ至ると、磁気ヘッド2によってカード50の磁気情報(磁気ストライプ51に記録されている情報)の読み取りが開始される(ステップS18)。
【0024】
その後、カード50は図7C(g)のように、搬送ローラ26,27によって連続的に搬送されて行き、この搬送過程でカード50の磁気情報が磁気ヘッド2により読み取られる。一方、制御部1はセンサ34がONしたか否かを判定する(ステップS19)。図7C(h)のように、カード50がセンサ34の位置まで搬送されると、センサ34がカード50を検知してONとなり(ステップS19:YES)、これに応答して、磁気ヘッド2による磁気情報読み取りは終了する(ステップS20)。また、制御部1はセンサ34がONしたことで、カード50がカード処理装置100の奥まで搬送されたと判断し、モータ4を停止させる。これによって、搬送ローラ24〜27の回転も停止される(ステップS21)。
【0025】
なお、ステップS14において、センサ33がONにならなければ(ステップS14:NO)、センサ31がONしてから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS22)。所定時間が経過してなければ(ステップS22:NO)、ステップS14へ戻って、センサ33の状態を監視する。センサ33がONにならないまま(ステップS14:NO)、所定時間が経過すると(ステップS22:YES)、カード50が本体20の内部へ取り込まれなかったと判断して、シャッタ用ソレノイド5によりシャッタ23を閉じ(ステップS23)、処理を終了する。
【0026】
以上のように、図5の手順においては、カード挿入口22付近に設けた搬送ローラ24により、カード挿入とほぼ同時にカード50を間欠搬送するようにしているので、図9に示したように、カード挿入口22に偽読取装置SKが取り付けられていても、カード挿入時に偽読取装置SKの磁気ヘッドHによってスキミングされる情報は、カード50が搬送ローラ24に達するまでに読み取られる情報、すなわち、磁気ストライプ51上のaの範囲に記録されているわずかな情報のみであり、範囲bに記録されている大部分の情報はスキミングされない。このため、カード50が有効データの少ないカードであっても、カード挿入時のスキミングを極力防止することができる。
【0027】
また、図5の手順においては、カード50をカード処理装置の本体20の内部に取り込む過程で、カード挿入口22から挿入されたカード50を最初は間欠的に搬送し、カード50が本体20内部のセンサ33の位置まで搬送された後は、カード50を連続的に搬送するようにしている。ここで、センサ33の位置を、カード50の磁気情報がスキミングされるおそれのない限界位置、すなわち、偽読取装置SKによってカード50の磁気情報を正常に取得できなくなるまでカード50がカード挿入部21に取り込まれたときの当該カード50の先端(左端)位置に設定しておくと、磁気情報のスキミングのおそれがある状態では、カード50を間欠的に搬送してスキミングを防止し、磁気情報のスキミングのおそれがない状態では、カード50を連続的に搬送して、高速で本体20内部に取り込むことができる。
【0028】
なお、モータ4の駆動を停止した後、制御部1は、磁気ヘッド2がカード50から読み取った情報を通信部6を介して上位装置10へ送信する。上位装置10では、受信したカード情報に基づいて所定の取引処理(例えば現金引出し)が行われる。そして、取引処理が終了すると、上位装置10は処理の終了をカード処理装置100へ通知する。この通知を通信部6が受信すると、制御部1は、カード50の排出処理(図4のステップS3)を以下に説明する手順に従って実行する。
【0029】
図6は、図4のステップS3における磁気カードの排出処理の詳細な手順を示したフローチャートである。排出処理が開始されると、制御部1はモータ4を連続的に逆転駆動し、これによって搬送ローラ24〜27も連続的に逆回転する(ステップS31)。搬送ローラ24〜27が逆回転することによって、図8A(a)の位置(図7C(h)と同じ位置)にあったカード50は、図8A(b)のように、搬送ローラ26,27によって右方向に連続的に搬送されて行く。次に、センサ32がONしたか否かを判定する(ステップS32)。図8A(c)のように、カード50の先端(右端)がセンサ32の位置に至ると、センサ32がカード50を検知してONとなり(ステップS32:YES)、これに応答して、シャッタ用ソレノイド5がシャッタ23を開く(ステップS33)。これにより、カード50はカード挿入口22に向って搬送されて行く。
【0030】
シャッタ23が開いた後、制御部1は、センサ31がONしたか否かを判定する(ステップS34)。図8B(d)のように、カード50がセンサ31の位置まで搬送されると、センサ31がカード50を検知してONとなる(ステップS34:YES)。センサ31がONとなったことに応答して、モータ4の駆動が連続駆動から間欠駆動に切り替えられ、モータ4は間欠的に逆転駆動される。これによって、搬送ローラ24〜27も間欠的に逆回転する(ステップS35)。この結果、カード50は、間欠回転する搬送ローラ24,25によって図の右方向に間欠的に搬送されながら、図8B(e)のように、カード挿入口22から外部に排出されて行く。このときのモータ4の駆動は、前述した図18(a)および図19(a)と同じ態様で行われる。
【0031】
ステップS35で搬送ローラの間欠回転が開始された後、制御部1はセンサ31がONしてから所定時間が経過したかどうかを監視する(ステップS36)。そして、所定時間が経過すると(ステップS36:YES)、搬送ローラ24〜27の回転を停止し(ステップS37)、シャッタ23を閉じる(ステップS38)。これにより、カード50は、図8B(f)のように、後端が一対の搬送ローラ24により保持された状態で、カード挿入口22から返却される。以上で、磁気カード50を用いたATMでの一連の取引処理は完了する。
【0032】
以上のように、図6の手順においては、カード挿入口22付近に設けた搬送ローラ24により、カード50をカード挿入口22からほぼ排出し終わるまで、間欠搬送するようにしているので、図9に示したように、カード挿入口22に偽読取装置SKが取り付けられていても、カード排出時に偽読取装置SKの磁気ヘッドHによってスキミングされる情報は、カード50が搬送ローラ24から離れた後に読み取られる情報、すなわち、磁気ストライプ51上のaの範囲に記録されているわずかな情報のみであり、範囲bに記録されている大部分の情報はスキミングされない。このため、カード50が有効データの少ないカードであっても、カード排出時のスキミングを極力防止することができる。
【0033】
また、図6の手順においては、カード50をカード処理装置本体20の外部に排出する過程で、カード50がカード挿入口22付近に設けられたセンサ31の位置へ搬送されるまでは、カード50を連続的に搬送し、カード50がセンサ31の位置まで搬送された時点から、カード50を間欠的に搬送するようにしている。ここで、センサ31の位置を、カード50の磁気情報がスキミングされるおそれのある限界位置、すなわち、偽読取装置SKによってカード50の磁気情報を正常に取得できるようになるときの当該カードの先端(右端)位置に設定しておくと、磁気情報のスキミングのおそれがない状態では、カード50を連続的に搬送してカード排出までの時間を短縮し、磁気情報のスキミングのおそれがある状態では、カード50を間欠的に搬送してスキミングを防止することができる。
【0034】
このようにして、第1実施形態によれば、カード挿入部21の存在によりカード挿入口22から搬送ローラ25までに距離がある場合でも、カード挿入口22付近に設けた搬送ローラ24によって、カード挿入とほぼ同時にカード50の間欠搬送を開始することができるので、カード50が搬送ローラ25に至ってから間欠搬送を開始する従来のものと比べて、スキミングをより効果的に防止することができる。また、カード50の磁気情報がスキミングされたとしても、図9と図22とを比較すれば明らかなように、従来の場合(図22)は、スキミング可能な範囲aのほうがスキミング不可能な範囲bよりも圧倒的に大きな割合を占めるのに対し、本発明の場合(図9)は、スキミング不可能な範囲bのほうがスキミング可能な範囲aよりも圧倒的に大きな割合を占めるので、たとえスキミングにより磁気情報の不正取得が行なわれたとしても、本発明ではその被害を最小限に抑えることができる。
【0035】
また、上記第1実施形態によれば、カード挿入口22付近において、カード50の挿入を検知するセンサ31が搬送ローラ24の位置に設けられていることから、カード挿入口22からみてセンサ31を搬送ローラ24の奥に設けた場合に比べて、カード50の間欠搬送が開始されるタイミングを早くすることができ、カード50のスキミング可能領域aを小さくすることができる。また一方で、カード挿入口22からみてセンサ31を搬送ローラ24の手前に設けた場合に比べて、カード挿入部21の長さ(図では左右方向の長さ)を抑制することができる。
【0036】
図10は、本発明の第2実施形態に係るカード処理装置の概略構造を示す図である。前述の第1実施形態では、カード挿入口22付近にカード50を検知するためのセンサ31を設け、このセンサ31がカード50を検知したことに基づいて、搬送ローラ24がカード50を間欠搬送するようにしたが、第2実施形態では、センサ31を設けずに、上位装置10からの指令に基づいて搬送ローラ24がカード50を間欠搬送する。
【0037】
図10において、100はカード処理装置、200はATMの筐体、50は図2に示したカード、20はカード処理装置100の本体、21はカード挿入部、22はカード挿入口、24〜27は搬送ローラ、32〜34はセンサ、2は磁気ヘッドであって、これらは図1で説明したものと同じであるので、ここでは詳細な説明は省略する。図10の構成において、図1と相違する点は、図1のセンサ31とシャッタ23とが省略されていることである。但し、シャッタ23は備わっていてもよい。また、カード処理装置100のブロック図は、シャッタ用ソレノイド5が省略される以外は図3と同じであるので、これについても詳細な説明は省略する。
【0038】
次に、図10のカード処理装置100の動作について説明する。全体の概略動作は、図4に示したフローチャートと変わりがない。すなわち、上位装置10から処理開始の指令を受信すると(ステップS1)、処理装置100はカード50を取り込んで情報の読み取りを行い(ステップS2)、この処理が終わるとカード50の排出処理を行う(ステップS3)。
【0039】
図11は、図4のステップS2における磁気カードの取込・読取処理の詳細な手順を示したフローチャートである。以下、この手順を説明する。制御部1は、図4のステップS1で上位装置10から処理開始指令を受け取ると、直ちにモータ4を間欠的に正転駆動し、これによって搬送ローラ24〜27も間欠的に正回転する(ステップS51)。すなわち、本実施形態では、図13A(a)のようにカード50が挿入口22へ挿入されるより前に、搬送ローラ24〜27が間欠駆動されている。このため、図13A(b)のように、カード50をカード挿入口22から搬送ローラ24の位置まで挿入すると、カード50はカード挿入口22へ挿入された直後から搬送ローラ24により間欠的に搬送されながら、図13A(c)のように、カード挿入部21を介して本体20の内部に取り込まれる。このとき、制御部1のモータ駆動回路からモータ4へは、例えば図18(a)に示したような制御量(駆動電圧)が与えられ、これによって、モータ4は図19(a)に示したような間欠回転動作を行なう。これについては、すでに述べたとおりである。
【0040】
次に、センサ33がONしたかどうかを判定する(ステップS52)。図13B(d)のように、カード50がセンサ33の位置まで搬送されると、センサ33がカード50を検知してONとなり(ステップS52:YES)、これに応答して、モータ4の駆動が間欠駆動から連続駆動に切り替えられ、モータ4は連続的に正転駆動される。これによって、搬送ローラ24〜27も連続的に正回転する(ステップS53)。この結果、カード50は、連続回転する搬送ローラ25,26によって、図13B(e)のように、図の左方向に連続的に搬送されて行く。そして、図13B(f)のように、カード50が磁気ヘッド2の位置へ至ると、磁気ヘッド2によってカード50の磁気情報(磁気ストライプ51に記録されている情報)の読み取りが開始される(ステップS54)。
【0041】
その後、カード50は図13C(g)のように、搬送ローラ26,27によって連続的に搬送されて行き、この搬送過程でカード50の磁気情報が磁気ヘッド2により読み取られる。一方、制御部1はセンサ34がONしたか否かを判定する(ステップS55)。図13C(h)のように、カード50がセンサ34の位置まで搬送されると、センサ34がカード50を検知してONとなり(ステップS55:YES)、これに応答して、磁気ヘッド2による磁気情報読み取りは終了する(ステップS56)。また、制御部1はセンサ34がONしたことで、カード50がカード処理装置100の奥まで搬送されたと判断し、モータ4を停止させる。これによって、搬送ローラ24〜27の回転も停止される(ステップS57)。
【0042】
以上のように、図11の手順においては、カード挿入口22付近に設けた搬送ローラ24により、カード挿入とほぼ同時にカード50を間欠搬送するようにしているので、図9の場合と同様に、カード挿入口22に偽読取装置SKが取り付けられていても、カード挿入時に偽読取装置SKの磁気ヘッドHによってスキミングされる情報は、カード50が搬送ローラ24に達するまでに読み取られる情報、すなわち、磁気ストライプ51上のaの範囲に記録されているわずかな情報のみであり、範囲bに記録されている大部分の情報はスキミングされない。このため、カード50が有効データの少ないカードであっても、カード挿入時のスキミングを極力防止することができる。
【0043】
また、図11の手順においては、カード50をカード処理装置の本体20の内部に取り込む過程で、カード挿入口22から挿入されたカード50を最初は間欠的に搬送し、カード50が本体20内部のセンサ33の位置まで搬送された後は、カード50を連続的に搬送するようにしている。ここで、センサ33の位置を、カード50の磁気情報がスキミングされるおそれのない限界位置、すなわち、偽読取装置SKによってカード50の磁気情報を正常に取得できなくなるまでカード50がカード挿入部21に取り込まれたときの当該カード50の先端(左端)位置に設定しておくと、磁気情報のスキミングのおそれがある状態では、カード50を間欠的に搬送してスキミングを防止し、磁気情報のスキミングのおそれがない状態では、カード50を連続的に搬送して、高速で本体20内部に取り込むことができる。
【0044】
なお、モータ4の駆動を停止した後、制御部1は、磁気ヘッド2がカード50から読み取った情報を通信部6を介して上位装置10へ送信する。上位装置10では、受信したカード情報に基づいて所定の取引処理(例えば現金引出し)が行われる。そして、取引処理が終了すると、上位装置10は処理の終了をカード処理装置100へ通知する。この通知を通信部6が受信すると、制御部1は、カード50の排出処理(図4のステップS3)を以下に説明する手順に従って実行する。
【0045】
図12は、図4のステップS3における磁気カードの排出処理の詳細な手順を示したフローチャートである。排出処理が開始されると、制御部1はモータ4を連続的に逆転駆動し、これによって搬送ローラ24〜27も連続的に逆回転する(ステップS71)。搬送ローラ24〜27が逆回転することによって、図14A(a)の位置(図13C(h)と同じ位置)にあったカード50は、図14A(b)のように、搬送ローラ26,27によって右方向に連続的に搬送されて行く。次に、センサ32がONしたか否かを判定する(ステップS72)。図14A(c)のように、カード50の先端(右端)がセンサ32の位置に至ると、センサ32がカード50を検知してONとなる(ステップS72:YES)。
【0046】
センサ32がONとなったことに応答して、モータ4の駆動が連続駆動から間欠駆動に切り替えられ、モータ4は間欠的に逆転駆動される。これによって、搬送ローラ24〜27も間欠的に逆回転する(ステップS73)。この結果、カード50は、図14B(d)のように、間欠回転する搬送ローラ24,25によって図の右方向に間欠的に搬送されながら、カード挿入口22へ搬送されて行く。このときのモータ4の駆動は、前述した図18(a)および図19(a)と同じ態様で行われる。
【0047】
ステップS73で搬送ローラの間欠回転が開始された後、制御部1はセンサ32がOFFしたか否かを判定する(ステップS74)。図14B(e)のように、カード50の後端(左端)がセンサ32の位置を通過すると、センサ32はOFFとなる(ステップS74:YES)。センサ32がOFFになると、続いて制御部1は、所定時間が経過したかどうかを監視する(ステップS75)。この間は、ステップS73での搬送ローラ24の間欠駆動が継続されており、したがって、カード50は搬送ローラ24により間欠的に搬送されながら、カード挿入口22から外部に排出されてゆく。そして、所定時間が経過すると(ステップS75:YES)、制御部1はモータ4を停止して、搬送ローラ24〜27の回転を停止する(ステップS76)。これにより、カード50は、図14B(f)のように、後端が一対の搬送ローラ24により保持された状態で、カード挿入口22から返却される。以上で、カード50を用いたATMでの一連の取引処理は完了する。
【0048】
以上のように、図12の手順においては、カード挿入口22付近に設けた搬送ローラ24により、カード50をカード挿入口22からほぼ排出し終わるまで、間欠搬送するようにしているので、図9に示したように、カード挿入口22に偽読取装置SKが取り付けられていても、カード排出時に偽読取装置SKの磁気ヘッドHによってスキミングされる情報は、カード50が搬送ローラ24から離れた後に読み取られる情報、すなわち、磁気ストライプ51上のaの範囲に記録されているわずかな情報のみであり、範囲bに記録されている大部分の情報はスキミングされない。このため、カード50が有効データの少ないカードであっても、カード排出時のスキミングを極力防止することができる。
【0049】
また、図12の手順においては、カード50を排出する過程で、カード50がセンサ32の位置へ搬送されるまでは、カード50を連続的に搬送し、カード50がセンサ32の位置まで搬送された時点から、カード50を間欠的に搬送するようにしている。このため、カード50の間欠搬送によってスキミングを防止しつつ、カード50の連続搬送によってカード排出までの時間を短縮することができる。
【0050】
このようにして、第2実施形態によれば、カード挿入部21の存在によりカード挿入口22から搬送ローラ25までに距離がある場合でも、カード挿入口22付近に設けた搬送ローラ24によって、カード挿入とほぼ同時にカード50の間欠搬送を開始することができるので、カード50が搬送ローラ25に至ってから間欠搬送を開始する従来のものと比べて、スキミングをより効果的に防止することができる。また、カード50の磁気情報がスキミングされたとしても、図9と図22とを比較してすでに説明したように、本発明ではスキミングされる情報はわずかなので、被害を最小限に抑えることができる。
【0051】
また、第2実施形態によれば、上位装置10からの指令に基づいて、搬送ローラ24によるカード50の間欠搬送が行われるので、第1実施形態のようなカード挿入口22付近のセンサ31が不要となり、その分コストダウンを図ることができる。
【0052】
図15は、本発明の第3実施形態に係るカード処理装置の概略構造を示す図である。図15では、図1と同一部分には同一符号を付してある。図15のカード処理装置100が図1のそれと相違する点は、カード挿入部21において、センサ31のほかに、磁気ストライプ検出センサ41が設けられていることである。この磁気ストライプ検出センサ41は、本発明における判別手段の一実施形態を構成する。その他の部分については、図1の場合と同一であるので、図15の詳細な説明は省略する。
【0053】
第3実施形態では、磁気ストライプ検出センサ41によって、挿入されるカード50が磁気カードか否かを判別するようにしている。磁気ストライプ検出センサ41は、磁気ヘッドから構成されており、カード50が磁気カードである場合は、磁気ストライプの磁気情報を読み取って読取信号を出力するが、カード50が磁気カードでない場合は、磁気情報を読み取ることができず、読取信号を出力しない。したがって、センサ41の読取信号の有無により、カード50が磁気カードであるか否かを判別することができる。なお、センサ41は磁気カードの挿入を検知する機能も備えているので、本実施形態では、センサ31を省略することも可能である。
【0054】
図16は、図15のカード処理装置100の概略動作を示したフローチャートである。ここでも、図4の場合と同様に、上位装置10がATMであって、カード処理装置100はこのATMに搭載されているものとする。ATMにおいてカード50による取引を行う場合、利用者が接客パネルで所定の操作をすると、上位装置10からカード処理装置100の通信部6へ取引開始信号が送信され、これにより、カード処理装置100はカードの処理を開始する。最初に、カード挿入口22にカード50が挿入されると(ステップS101)、磁気ストライプ検出センサ41の出力に基づいて、カード50が磁気カードか否かを判定する(ステップS102)。カード50が磁気カードの場合は(ステップS102:YES)、ステップS103へ進んで磁気カードの取込・読取処理が行われ、この処理が終わると、続いて磁気カードの排出処理が行われる(ステップS104)。ステップS103,S104の詳細手順は図5,図6と同様であるので、これらについての説明は省略する。一方、カード50が磁気カードでない場合は(ステップS102:NO)、そのまま終了するか、もしくは、搬送ローラ24を逆転してカード50を返却する。
【0055】
上述した第3実施形態によると、第1および第2実施形態と同様にスキミングを有効に防止できるとともに、カード50をカード処理装置100の内部に取り込む前に、カード50が磁気カードか否かを判別し、磁気カードである場合にのみカード50を取り込むようにしているので、磁気カード以外のカードや異物などを誤って取り込むおそれがなく、カード処理装置100の内部でカードが詰まったり、搬送機構や磁気ヘッド2などが損傷を受けるのを未然に防止することができる。
【0056】
本発明では、以上述べた実施形態以外にも、種々の実施形態を採用することができる。例えば、前記第1実施形態(図1)においては、センサ31を搬送ローラ24と同じ位置に設けたが、センサ31の位置は搬送ローラ24の近傍であれば特に限定はされず、例えば図17に示すように、センサ31を搬送ローラ24よりシャッタ23側の位置に設けてもよい。
【0057】
また、以上述べた実施形態では、カード50の取り込み時において、センサ33がONとなった時点から、カード搬送を間欠搬送から連続搬送へ切り替えたが(図5のステップS14〜S15、図11のステップS52〜S53)、これに代えて、センサ31がOFFになった時点、あるいはセンサ32がOFFになった時点から、カード搬送を間欠搬送から連続搬送へ切り替えるようにしてもよい。
【0058】
また、第1実施形態では、カード50の排出時において、センサ31がONとなった時点から、カード50の搬送を連続搬送から間欠搬送へ切り替えたが(図6のステップS34〜S35)、これに代えて、センサ33がOFFになった時点から、カード50の搬送を間欠搬送から連続搬送へ切り替えるようにしてもよい。
【0059】
また、第2実施形態では、カード50の排出時において、センサ32がONとなった時点から、カード50の搬送を連続搬送から間欠搬送へ切り替えたが(図12のステップS72〜S73)、これに代えて、センサ32がONとなった時点からタイマをスタートさせ、カード50の先端(右端)がセンサ32の位置からカード挿入口22へ至るまでの時間に相当するタイマ時間が経過した時点で、カード50の搬送を連続駆動から間欠駆動に切り替えるようにしてもよい。
【0060】
また、以上述べた各実施形態では、カード50の間欠搬送を行う方式として、図18(a)および図19(a)の例を挙げたが、これに代えて、図18(b)〜図18(d)のような制御量(駆動電圧)をモータ4に与えることにより、それぞれに対応して、図19(b)〜図19(d)のようなモータ4の間欠回転動作が行われるようにしてもよい。図19(b)では、モータ4は、1単位時間の間に2単位回転量だけ正回転して、次の1単位時間の間は1単位回転量だけ逆回転し、この動作が反復される。図19(c)では、モータ4は、1単位時間の間に2単位回転量だけ正回転して、次の1単位時間の間は停止し、その次の1単位時間の間は1単位回転量だけ逆回転し、さらにその次の1単位時間の間は停止し、この動作が反復される。図19(d)は、図19(a)において回転期間と停止期間とを不規則にして、ランダムに回転と停止とを繰り返すようにしたものである。この他、図19(b),(c)において、回転期間と停止期間とを不規則にして、ランダムに回転と停止とを繰り返すようにしてもよい。
【0061】
また、以上述べた各実施形態では、カード50の位置を検出する位置検出手段として、フォトマイクロセンサから構成されるセンサ31〜34を設けた例を挙げたが、位置検出手段としては、例えば搬送ローラ24〜27やモータ4の回転量に応じた信号を出力するロータリーエンコーダを用いてもよい。この場合は、ロータリーエンコーダの出力信号から搬送ローラまたはモータの回転量を演算し、演算した回転量からカード50の位置を検出することができる。また、位置検出手段としては、上述したセンサやロータリーエンコーダに代えて、タイマと演算器とを用いることも可能である。この場合は、タイマの計測時間およびカードの搬送速度に基づいて、演算器でカードの移動距離を演算し、演算した移動距離からカードの位置を検出すればよい。
【0062】
さらに、以上述べた各実施形態では、カード処理装置100をATMに搭載した場合を例に挙げたが、本発明のカード処理装置は、ATM以外にも、例えばCD(現金自動支払機)、自動券売機、物品販売機など各種の機器に搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1実施形態に係るカード処理装置の概略構造図である。
【図2】磁気カードを示す図である。
【図3】カード処理装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】カード処理装置の概略動作を示すフローチャートである。
【図5】カードの取込・読取処理の詳細手順を示したフローチャートである。
【図6】カードの排出処理の詳細手順を示したフローチャートである。
【図7A】カードの取込・読取の動作を説明する図である。
【図7B】カードの取込・読取の動作を説明する図である。
【図7C】カードの取込・読取の動作を説明する図である。
【図8A】カードの排出の動作を説明する図である。
【図8B】カードの排出の動作を説明する図である。
【図9】本発明におけるスキミングを説明する図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係るカード処理装置の概略構造図である。
【図11】カードの取込・読取処理の詳細手順を示したフローチャートである。
【図12】カードの排出処理の詳細手順を示したフローチャートである。
【図13A】カードの取込・読取の動作を説明する図である。
【図13B】カードの取込・読取の動作を説明する図である。
【図13C】カードの取込・読取の動作を説明する図である。
【図14A】カードの排出の動作を説明する図である。
【図14B】カードの排出の動作を説明する図である。
【図15】本発明の第3実施形態に係るカード処理装置の概略構造図である。
【図16】カード処理装置の概略動作を示すフローチャートである。
【図17】センサ位置の他の例を示す概略構造図である。
【図18】モータに与える制御量の例である。
【図19】モータの間欠回転動作を説明する図である。
【図20】従来のカード処理装置の概略構造図である。
【図21】カードの記録情報を説明する図である。
【図22】従来におけるスキミングを説明する図である。
【符号の説明】
【0064】
1 制御部
2 磁気ヘッド
3 センサ
4 モータ
6 通信部
10 上位装置
20 カード処理装置の本体
22 カード挿入口
24〜27 搬送ローラ
31〜34 カード検出センサ
41 磁気ストライプ検出センサ
50 カード
51 磁気ストライプ
100 カード処理装置
SK 偽読取装置
H 磁気ヘッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気情報が記録されているカードを取り扱うカード処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銀行の現金自動預金支払機(以下、「ATM」という。)などには、磁気情報が記録されている磁気カードを取り扱うカード処理装置が搭載されている。このカード処理装置では、カード挿入口から磁気カードが挿入されると、モータや搬送ローラ等の搬送手段により磁気カードを一定速度で搬送しながら、磁気ヘッドによってカードの磁気ストライプに記録されている磁気情報が読み取られる。また、カード処理装置は、情報の読み取りのほか、必要に応じて情報の書き込みも行う。そして、カードに対する読み取りや書き込みの処理が終了すると、搬送手段によりカードを外部へ排出する。
【0003】
ところで、銀行などに設置されているATMにおいては、磁気カードのカード情報を不正に入手する目的で、ATMに搭載された真正なカード処理装置の前面に、偽読取装置が取り付けられる場合がある。この偽読取装置は、磁気カードから読み取った情報を記憶するメモリを備えている。利用者が、このような偽読取装置が取り付けられていることに気付かずに、あるいは、偽読取装置を真正なカード処理装置の一部と誤解して、磁気カードをその偽読取装置のカードスロットに挿入すると、磁気カードの情報が偽読取装置によって読み取られメモリに記憶される。一方、偽読取装置に挿入された磁気カードは、真正なカード処理装置へ搬送され、ここで本来のカード読取処理が行われる。この場合、磁気カードそのものが偽カードでない限り、ATMにおいては正常に処理が行われる。そして、カード処理が終了すると、真正なカード処理装置は磁気カードを排出し、偽読取装置のカードスロットを介して利用者に磁気カードが返却される。したがって、利用者としては、正常にカードが返却されるため、カード情報が不正に読み取られたことに気付きにくい。また、このカード返却時に偽読取装置によってカード情報が読み取られる場合もある。この後、偽読取装置を取り付けた者は、この装置をATMから取り外し、不正に読み取ったカード情報をメモリから読み出し、このカード情報に基づいてカードを偽造する。
【0004】
以上のような偽読取装置によるカード情報の不正取得は、「スキミング」と呼ばれている。このスキミングを防止するための対策として、磁気カードの挿入時または排出時に、磁気カードを間欠的に搬送する技術が存在する(例えば、後記の特許文献1、特許文献2、非特許文献1参照)。また、磁気カードの間欠的な搬送を更に複雑にしてスキミングを困難にするために、磁気カードをランダムに間欠搬送する技術が存在する(例えば、後記の特許文献3参照)。さらに、磁気カードの取り込み時や排出時において、カードの一部がカードスロットから外部に突出している状態で、一時的に磁気カードの搬送を停止させる技術が存在する(例えば、後記の特許文献4参照)。一般に、磁気カードの磁気ストライプに記録されている情報を正確に読み取るためには、磁気ヘッドに対してカードを一定速度で連続的に移動させる必要があるが、上記のように磁気カードを間欠的に搬送したり一時停止させたりすることで、磁気ストライプから記録情報を正確に読み取ることが不可能となり、これによってスキミングによるカード情報の不正取得にある程度の歯止めをかけることができる。
【0005】
【特許文献1】特開2005−128668号公報
【特許文献2】特開2004−171205号公報
【特許文献3】米国特許第6,460,771号明細書
【特許文献4】特開2001−22894号公報
【非特許文献1】J. Svigals:"Unauthorized Card Stripe Reading Inhibitor", IBM TECHNICALDISCLOSURE BULLETIN, vol. 26, No. 6, Nov. 1, 1983, page 2707 XP002145300, NewYork.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図20は、ATMなどに搭載されるカード処理装置100の一例を示す概略構成図である。20はカード処理装置100の本体、21は本体20の前面側に設けられたカード挿入部、22は磁気カード50が挿入されるカード挿入口、23は磁気カード50の挿入・排出を規制するシャッタ、25〜27は磁気カード50を搬送する搬送ローラ、30および32〜34は磁気カード50を検出するセンサ、2は磁気カード50に記録されている情報を読み取る磁気ヘッドである。このように、ATMなどに搭載されるカード処理装置100は、一般にカード挿入部21を備えている。このカード挿入部21は、カード処理装置100とATMなどの筐体200とをつないだり、カード検出用のセンサ30や、シャッタ23などを組み込んだりするために、機能上必須となる部分である。このカード挿入部21が存在する結果、カード挿入口22から、カード挿入部21を経て搬送ローラ25に至るまで、数10mmの長さがあることになる。
【0007】
ところで、磁気カード50の磁気ストライプには、通常、カードの先端部から情報が記録される。図21は、磁気カード50がキャッシュカードの場合の情報記録形式を示した図である。51は磁気ストライプ、51aは開始符号が記録された領域、51bは有効データが記録された領域、51cはダミーデータが記録された領域、51dは終了符号が記録された領域である。有効データ記録領域51bには、例えば、銀行番号・支店番号・口座番号・カード種別などの取引処理に必要なデータが記録されており、ダミーデータ記録領域51cには、例えば「00000…」のような意味のないデータが記録されている。ここで、磁気ストライプ51にどのような情報を記録するかに関しては、金融機関においてある程度選択できるようになっているため、図21(a)に示すように有効データの多い磁気カード50(キャッシュカード)もあれば、図21(b)に示すように有効データの少ない磁気カード50(キャッシュカード)もある。
【0008】
したがって、上記のようなカード挿入部21を備えたカード処理装置100において、図22に示すように、カード挿入口22に偽読取装置(スキマー)SKが取り付けられた場合、先行技術では、磁気カード50の先端がセンサ32で検出されるまで、搬送ローラ25による間欠搬送が開始されないので、挿入された磁気カード50が搬送ローラ25に届く前に、磁気ストライプ51上のaの範囲に記録されている情報が、偽読取装置SKに内蔵された磁気ヘッドHによりスキミングされてしまい、間欠搬送開始後におけるbの範囲の情報のみがスキミングされないだけである。この結果、磁気カード50に記録されている大部分の情報が読み取られてしまう。挿入部21の長さ、挿入部21から搬送ローラ25までの距離、偽読取装置SKの磁気ヘッドHの位置によっては、磁気ストライプ51の7〜8割の部分の情報を読み取られてしまうことになる。したがって、特に、図21(b)のような有効データ領域の少ない磁気カード50の場合は、たとえカードの間欠搬送を行ったとしても、それ以前の時点で有効データの全てがスキミングされる結果となる。また、カード挿入時だけでなくカード排出時において、磁気カード50が搬送ローラ25を抜けた後、磁気カード50を手で引き抜く時にも、同様の原理により、磁気カード50に記録されている大部分の情報が読み取られてしまうことが起こる。
【0009】
そこで本発明の課題は、磁気カードを間欠搬送する機能を備えたカード処理装置において、カード挿入口に取り付けられた偽読取装置によってカード情報が不正に取得されるのをより効果的に防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るカード処理装置は、磁気情報が記録されているカードを取り扱うカード処理装置であって、装置本体の内部に設けられ、カードを搬送する第1の搬送手段と、装置本体の前面側に設けられ、カード挿入口から挿入されたカードを第1の搬送手段へ導くためのカード挿入部と、カード挿入部の挿入口付近に設けられた第2の搬送手段とを備え、第2の搬送手段が、カード挿入口から挿入されるカードおよび/またはカード挿入口から排出されるカードを間欠的に搬送するようにしたものである。
【0011】
このように、カード挿入口付近にカードを間欠的に搬送する第2の搬送手段を設けたことで、カードの挿入とほぼ同時にカードを間欠搬送することができる。このため、カード挿入口に偽読取装置が取り付けられていても、カードが第1の搬送手段に届くまでの間にカード情報がスキミングされるおそれは殆どない。また、カードを排出する場合も、カードが挿入口に至るのとほぼ同時にカードを間欠搬送することができるので、カードを手で引き抜く過程で偽読取装置によりカード情報がスキミングされるおそれは殆どない。
【0012】
本発明における間欠的な搬送には、規則正しい周期での間欠搬送だけでなく、不規則な周期での間欠搬送も含まれる。また、一方向のみへの間欠搬送に限らず、一方向と他方向への動きを交互に反復しつつ一方向へ移動してゆくような搬送も、本発明でいう間欠的な搬送に含まれる。カードの取り込み時には、取り込み時間を短縮する上で、最初の段階でのみ間欠搬送を行うのが望ましいが、本発明は、カード取り込み時の最初から最後に至るまで間欠的な搬送を行うことを排除するものではない。同様に、カードの排出時には、排出時間を短縮する上で、最後の段階でのみ間欠搬送を行うのが望ましいが、本発明は、カード排出時の最初から最後に至るまで間欠的な搬送を行うことを排除するものではない。また、間欠搬送は、カード取り込み時とカード排出時のいずれか一方の場合にのみ行ってもよいし、両方の場合に行ってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カード挿入部を備えたカード処理装置において、カード挿入口に偽読取装置が取り付けられても、カードの挿入時や排出時にカードに記録されている情報を偽読取装置で読み取ることが実質的に不可能となるので、有効データの少ない磁気カードであっても、スキミングをより効果的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の第1実施形態に係るカード処理装置の概略構造を示す図である。図1において、100はカード処理装置であって、例えばATMに搭載されている。200はATMの筐体を示している。50はこのカード処理装置100で処理されるカードであって、図2のような磁気ストライプ51を有する磁気カードからなる。20はカード処理装置100の本体、21は本体20の前面側に設けられたカード挿入部、22はカード50が挿入されるカード挿入口である。23はシャッタであって、後述するソレノイドにより図の上下方向に開閉し、カード挿入口22から本体20内部へのカード50の進入、または本体20内部からカード挿入口22へのカード50の排出を規制する。
【0015】
24〜27はそれぞれ上下一対の搬送ローラであって、後述するモータの正転・逆転によりカード50を図の左右方向に搬送する。搬送ローラ25〜27は本体20の内部に設けられており、本発明における第1の搬送手段の一実施形態を構成する。また、搬送ローラ24は、カード挿入部21のカード挿入口22付近に設けられ、本発明における第2の搬送手段の一実施形態を構成する。
【0016】
31〜34はカード検出用のセンサであって、上下一対の投光素子および受光素子を備えたフォトマイクロセンサから構成される。センサ31はカード挿入部21のカード挿入口22付近において、搬送ローラ24とほぼ同じ位置に設けられており、本発明における検知手段の一実施形態を構成する。センサ32〜34は本体20の内部に設けられており、カード挿入口22からみて、センサ32は搬送ローラ25の直前に、センサ33は搬送ローラ26の直前に、センサ34は搬送ローラ27の直後に、それぞれ配設されている。2は磁気ヘッドであって、カード50の磁気ストライプ51から磁気情報を読み取る。この磁気ヘッド2は、カード挿入口22からみて、搬送ローラ26の直後に配設されており、カード50がローラ26,27によって搬送される過程で、磁気ストライプ51の磁力の変化を検出することにより磁気情報を読み取る。
【0017】
図3は、カード処理装置100の電気的構成を示すブロック図である。図3において、1はカード処理装置100の各部を制御する制御部であって、CPU、ROM、RAM、および後記の制御回路等からなる。なお、ROMにはCPUの動作プログラム等が記憶されており、RAMにはCPUが各部を制御する制御データ等が読み書き可能に記憶される。2は図1で説明した磁気ヘッド、3は図1のセンサ31〜34を総括して表したセンサ、4は前述の搬送ローラ24〜27を回転させるモータである。制御部1は、モータ4の駆動を制御するためのモータ制御回路を備えている。この制御回路によりモータ4が正転駆動または逆転駆動され、これによって搬送ローラ24〜27が回転してカード50を所定方向へ搬送する。5は前述のシャッタ23を開閉するためのシャッタ用ソレノイドである。制御部1は、ソレノイド5の駆動を制御するためのソレノイド制御回路を備えている。この制御回路によりソレノイド5が駆動され、シャッタ23の開閉が行われる。6は上位装置10と相互に通信を行うための通信部であって、本発明における通信手段の一実施形態を構成する。上位装置10は、例えばカード処理装置100が搭載されているATMである。制御部1は、磁気ヘッド2がカード50から読み取った情報を、通信部6を介して上位装置10へ送信する。
【0018】
図4ないし図6は、カード処理装置100の動作手順を示すフローチャートである。各処理は制御部1のCPUにより実行される。図4は全体の概略動作を示し、図5〜図6は部分的な詳細手順を示している。また、図7A〜図8Bは、カード処理装置100におけるカードの搬送状態を示す図である。以下、これらの図を参照して、カード処理装置100の動作を説明する。
【0019】
まず、図4に従い全体の概略動作を説明する。ここでは、上位装置10がATMであって、カード処理装置100はこのATMに搭載されているものとする。ATMにおいてカード50による取引を行う場合、利用者が接客パネルで所定の操作をすると、上位装置10からカード処理装置100に対して処理開始の指令が送信され、通信部6がこの指令を受信する(ステップS1)。指令を受信すると、カード処理装置100はカード50を取り込み、取り込んだカードに記録されている情報の読み取りを行う(ステップS2)。そして、これらの処理が終わると、続いて、カード処理装置100はカード50の排出処理を行い(ステップS3)、排出が終わると一連の動作を終了する。
【0020】
図5は、図4のステップS2における磁気カードの取込・読取処理の詳細な手順を示したフローチャートである。以下、この手順を説明する。制御部1は、カード挿入口22に設けられたセンサ31がONしたかどうかを常時監視している(ステップS11)。図7A(a)は、カード挿入口22へカード50が挿入される前の状態を示しており、このときセンサ31はOFFの状態にある(ステップS11:NO)。なお、本図では図1におけるATMの筐体200の図示を省略してある(以下の図についても同様)。
【0021】
次に、図7A(b)のように、利用者がカード挿入口22へカード50を挿入して、カード50の先端(左端)がセンサ31の位置まで達すると、センサ31がカード50を検知してONとなり(ステップS11:YES)、シャッタ用ソレノイド5が駆動されて、シャッタ23が開く(ステップS12)。これに続いて、モータ4が間欠的に正転駆動され、これによって搬送ローラ24〜27も間欠的に正回転する(ステップS13)。この結果、カード50は、カード挿入口22へ挿入された直後から搬送ローラ24により間欠的に搬送されながら、カード挿入部21に取り込まれる。
【0022】
このとき、制御部1のモータ駆動回路からモータ4へは、例えば図18(a)に示したような制御量(駆動電圧)が与えられ、これによって、モータ4は図19(a)に示したような間欠回転動作を行なう。図19(a)の場合、モータ4は、1単位時間の間に1単位回転量だけ回転して、次の1単位時間の間は停止し、この動作が反復される。この結果、センサ31の位置まで挿入されたカード50は、間欠回転する搬送ローラ24によって図の左方向に間欠的に搬送されて行く。そして、カード挿入部21から本体20の内部に取り込まれたカード50は、図7A(c)に示したように、間欠回転する搬送ローラ25によって引き続き左方向に間欠的に搬送されて行く。なお、カード50が搬送ローラ25の位置まで搬送される過程で、センサ32がONとなる。
【0023】
次に、センサ33がONしたかどうかを判定する(ステップS14)。図7B(d)のように、カード50がセンサ33の位置まで搬送されると、センサ33がカード50を検知してONとなり(ステップS14:YES)、これに応答して、モータ4の駆動が間欠駆動から連続駆動に切り替えられ、モータ4は連続的に正転駆動される。これによって、搬送ローラ24〜27も連続的に正回転する(ステップS15)。この結果、カード50は、連続回転する搬送ローラ25,26によって図の左方向に連続的に搬送されて行く。続いて、センサ32がONからOFFに変化したか否かを判定する(ステップS16)。図7B(e)のように、カード50の後端(右端)がセンサ32を通過すると、センサ32はONからOFFとなり(ステップS16:YES)、これに応答して、シャッタ用ソレノイド5がシャッタ23を閉じる(ステップS17)。そして、図7B(f)のように、カード50が磁気ヘッド2の位置へ至ると、磁気ヘッド2によってカード50の磁気情報(磁気ストライプ51に記録されている情報)の読み取りが開始される(ステップS18)。
【0024】
その後、カード50は図7C(g)のように、搬送ローラ26,27によって連続的に搬送されて行き、この搬送過程でカード50の磁気情報が磁気ヘッド2により読み取られる。一方、制御部1はセンサ34がONしたか否かを判定する(ステップS19)。図7C(h)のように、カード50がセンサ34の位置まで搬送されると、センサ34がカード50を検知してONとなり(ステップS19:YES)、これに応答して、磁気ヘッド2による磁気情報読み取りは終了する(ステップS20)。また、制御部1はセンサ34がONしたことで、カード50がカード処理装置100の奥まで搬送されたと判断し、モータ4を停止させる。これによって、搬送ローラ24〜27の回転も停止される(ステップS21)。
【0025】
なお、ステップS14において、センサ33がONにならなければ(ステップS14:NO)、センサ31がONしてから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS22)。所定時間が経過してなければ(ステップS22:NO)、ステップS14へ戻って、センサ33の状態を監視する。センサ33がONにならないまま(ステップS14:NO)、所定時間が経過すると(ステップS22:YES)、カード50が本体20の内部へ取り込まれなかったと判断して、シャッタ用ソレノイド5によりシャッタ23を閉じ(ステップS23)、処理を終了する。
【0026】
以上のように、図5の手順においては、カード挿入口22付近に設けた搬送ローラ24により、カード挿入とほぼ同時にカード50を間欠搬送するようにしているので、図9に示したように、カード挿入口22に偽読取装置SKが取り付けられていても、カード挿入時に偽読取装置SKの磁気ヘッドHによってスキミングされる情報は、カード50が搬送ローラ24に達するまでに読み取られる情報、すなわち、磁気ストライプ51上のaの範囲に記録されているわずかな情報のみであり、範囲bに記録されている大部分の情報はスキミングされない。このため、カード50が有効データの少ないカードであっても、カード挿入時のスキミングを極力防止することができる。
【0027】
また、図5の手順においては、カード50をカード処理装置の本体20の内部に取り込む過程で、カード挿入口22から挿入されたカード50を最初は間欠的に搬送し、カード50が本体20内部のセンサ33の位置まで搬送された後は、カード50を連続的に搬送するようにしている。ここで、センサ33の位置を、カード50の磁気情報がスキミングされるおそれのない限界位置、すなわち、偽読取装置SKによってカード50の磁気情報を正常に取得できなくなるまでカード50がカード挿入部21に取り込まれたときの当該カード50の先端(左端)位置に設定しておくと、磁気情報のスキミングのおそれがある状態では、カード50を間欠的に搬送してスキミングを防止し、磁気情報のスキミングのおそれがない状態では、カード50を連続的に搬送して、高速で本体20内部に取り込むことができる。
【0028】
なお、モータ4の駆動を停止した後、制御部1は、磁気ヘッド2がカード50から読み取った情報を通信部6を介して上位装置10へ送信する。上位装置10では、受信したカード情報に基づいて所定の取引処理(例えば現金引出し)が行われる。そして、取引処理が終了すると、上位装置10は処理の終了をカード処理装置100へ通知する。この通知を通信部6が受信すると、制御部1は、カード50の排出処理(図4のステップS3)を以下に説明する手順に従って実行する。
【0029】
図6は、図4のステップS3における磁気カードの排出処理の詳細な手順を示したフローチャートである。排出処理が開始されると、制御部1はモータ4を連続的に逆転駆動し、これによって搬送ローラ24〜27も連続的に逆回転する(ステップS31)。搬送ローラ24〜27が逆回転することによって、図8A(a)の位置(図7C(h)と同じ位置)にあったカード50は、図8A(b)のように、搬送ローラ26,27によって右方向に連続的に搬送されて行く。次に、センサ32がONしたか否かを判定する(ステップS32)。図8A(c)のように、カード50の先端(右端)がセンサ32の位置に至ると、センサ32がカード50を検知してONとなり(ステップS32:YES)、これに応答して、シャッタ用ソレノイド5がシャッタ23を開く(ステップS33)。これにより、カード50はカード挿入口22に向って搬送されて行く。
【0030】
シャッタ23が開いた後、制御部1は、センサ31がONしたか否かを判定する(ステップS34)。図8B(d)のように、カード50がセンサ31の位置まで搬送されると、センサ31がカード50を検知してONとなる(ステップS34:YES)。センサ31がONとなったことに応答して、モータ4の駆動が連続駆動から間欠駆動に切り替えられ、モータ4は間欠的に逆転駆動される。これによって、搬送ローラ24〜27も間欠的に逆回転する(ステップS35)。この結果、カード50は、間欠回転する搬送ローラ24,25によって図の右方向に間欠的に搬送されながら、図8B(e)のように、カード挿入口22から外部に排出されて行く。このときのモータ4の駆動は、前述した図18(a)および図19(a)と同じ態様で行われる。
【0031】
ステップS35で搬送ローラの間欠回転が開始された後、制御部1はセンサ31がONしてから所定時間が経過したかどうかを監視する(ステップS36)。そして、所定時間が経過すると(ステップS36:YES)、搬送ローラ24〜27の回転を停止し(ステップS37)、シャッタ23を閉じる(ステップS38)。これにより、カード50は、図8B(f)のように、後端が一対の搬送ローラ24により保持された状態で、カード挿入口22から返却される。以上で、磁気カード50を用いたATMでの一連の取引処理は完了する。
【0032】
以上のように、図6の手順においては、カード挿入口22付近に設けた搬送ローラ24により、カード50をカード挿入口22からほぼ排出し終わるまで、間欠搬送するようにしているので、図9に示したように、カード挿入口22に偽読取装置SKが取り付けられていても、カード排出時に偽読取装置SKの磁気ヘッドHによってスキミングされる情報は、カード50が搬送ローラ24から離れた後に読み取られる情報、すなわち、磁気ストライプ51上のaの範囲に記録されているわずかな情報のみであり、範囲bに記録されている大部分の情報はスキミングされない。このため、カード50が有効データの少ないカードであっても、カード排出時のスキミングを極力防止することができる。
【0033】
また、図6の手順においては、カード50をカード処理装置本体20の外部に排出する過程で、カード50がカード挿入口22付近に設けられたセンサ31の位置へ搬送されるまでは、カード50を連続的に搬送し、カード50がセンサ31の位置まで搬送された時点から、カード50を間欠的に搬送するようにしている。ここで、センサ31の位置を、カード50の磁気情報がスキミングされるおそれのある限界位置、すなわち、偽読取装置SKによってカード50の磁気情報を正常に取得できるようになるときの当該カードの先端(右端)位置に設定しておくと、磁気情報のスキミングのおそれがない状態では、カード50を連続的に搬送してカード排出までの時間を短縮し、磁気情報のスキミングのおそれがある状態では、カード50を間欠的に搬送してスキミングを防止することができる。
【0034】
このようにして、第1実施形態によれば、カード挿入部21の存在によりカード挿入口22から搬送ローラ25までに距離がある場合でも、カード挿入口22付近に設けた搬送ローラ24によって、カード挿入とほぼ同時にカード50の間欠搬送を開始することができるので、カード50が搬送ローラ25に至ってから間欠搬送を開始する従来のものと比べて、スキミングをより効果的に防止することができる。また、カード50の磁気情報がスキミングされたとしても、図9と図22とを比較すれば明らかなように、従来の場合(図22)は、スキミング可能な範囲aのほうがスキミング不可能な範囲bよりも圧倒的に大きな割合を占めるのに対し、本発明の場合(図9)は、スキミング不可能な範囲bのほうがスキミング可能な範囲aよりも圧倒的に大きな割合を占めるので、たとえスキミングにより磁気情報の不正取得が行なわれたとしても、本発明ではその被害を最小限に抑えることができる。
【0035】
また、上記第1実施形態によれば、カード挿入口22付近において、カード50の挿入を検知するセンサ31が搬送ローラ24の位置に設けられていることから、カード挿入口22からみてセンサ31を搬送ローラ24の奥に設けた場合に比べて、カード50の間欠搬送が開始されるタイミングを早くすることができ、カード50のスキミング可能領域aを小さくすることができる。また一方で、カード挿入口22からみてセンサ31を搬送ローラ24の手前に設けた場合に比べて、カード挿入部21の長さ(図では左右方向の長さ)を抑制することができる。
【0036】
図10は、本発明の第2実施形態に係るカード処理装置の概略構造を示す図である。前述の第1実施形態では、カード挿入口22付近にカード50を検知するためのセンサ31を設け、このセンサ31がカード50を検知したことに基づいて、搬送ローラ24がカード50を間欠搬送するようにしたが、第2実施形態では、センサ31を設けずに、上位装置10からの指令に基づいて搬送ローラ24がカード50を間欠搬送する。
【0037】
図10において、100はカード処理装置、200はATMの筐体、50は図2に示したカード、20はカード処理装置100の本体、21はカード挿入部、22はカード挿入口、24〜27は搬送ローラ、32〜34はセンサ、2は磁気ヘッドであって、これらは図1で説明したものと同じであるので、ここでは詳細な説明は省略する。図10の構成において、図1と相違する点は、図1のセンサ31とシャッタ23とが省略されていることである。但し、シャッタ23は備わっていてもよい。また、カード処理装置100のブロック図は、シャッタ用ソレノイド5が省略される以外は図3と同じであるので、これについても詳細な説明は省略する。
【0038】
次に、図10のカード処理装置100の動作について説明する。全体の概略動作は、図4に示したフローチャートと変わりがない。すなわち、上位装置10から処理開始の指令を受信すると(ステップS1)、処理装置100はカード50を取り込んで情報の読み取りを行い(ステップS2)、この処理が終わるとカード50の排出処理を行う(ステップS3)。
【0039】
図11は、図4のステップS2における磁気カードの取込・読取処理の詳細な手順を示したフローチャートである。以下、この手順を説明する。制御部1は、図4のステップS1で上位装置10から処理開始指令を受け取ると、直ちにモータ4を間欠的に正転駆動し、これによって搬送ローラ24〜27も間欠的に正回転する(ステップS51)。すなわち、本実施形態では、図13A(a)のようにカード50が挿入口22へ挿入されるより前に、搬送ローラ24〜27が間欠駆動されている。このため、図13A(b)のように、カード50をカード挿入口22から搬送ローラ24の位置まで挿入すると、カード50はカード挿入口22へ挿入された直後から搬送ローラ24により間欠的に搬送されながら、図13A(c)のように、カード挿入部21を介して本体20の内部に取り込まれる。このとき、制御部1のモータ駆動回路からモータ4へは、例えば図18(a)に示したような制御量(駆動電圧)が与えられ、これによって、モータ4は図19(a)に示したような間欠回転動作を行なう。これについては、すでに述べたとおりである。
【0040】
次に、センサ33がONしたかどうかを判定する(ステップS52)。図13B(d)のように、カード50がセンサ33の位置まで搬送されると、センサ33がカード50を検知してONとなり(ステップS52:YES)、これに応答して、モータ4の駆動が間欠駆動から連続駆動に切り替えられ、モータ4は連続的に正転駆動される。これによって、搬送ローラ24〜27も連続的に正回転する(ステップS53)。この結果、カード50は、連続回転する搬送ローラ25,26によって、図13B(e)のように、図の左方向に連続的に搬送されて行く。そして、図13B(f)のように、カード50が磁気ヘッド2の位置へ至ると、磁気ヘッド2によってカード50の磁気情報(磁気ストライプ51に記録されている情報)の読み取りが開始される(ステップS54)。
【0041】
その後、カード50は図13C(g)のように、搬送ローラ26,27によって連続的に搬送されて行き、この搬送過程でカード50の磁気情報が磁気ヘッド2により読み取られる。一方、制御部1はセンサ34がONしたか否かを判定する(ステップS55)。図13C(h)のように、カード50がセンサ34の位置まで搬送されると、センサ34がカード50を検知してONとなり(ステップS55:YES)、これに応答して、磁気ヘッド2による磁気情報読み取りは終了する(ステップS56)。また、制御部1はセンサ34がONしたことで、カード50がカード処理装置100の奥まで搬送されたと判断し、モータ4を停止させる。これによって、搬送ローラ24〜27の回転も停止される(ステップS57)。
【0042】
以上のように、図11の手順においては、カード挿入口22付近に設けた搬送ローラ24により、カード挿入とほぼ同時にカード50を間欠搬送するようにしているので、図9の場合と同様に、カード挿入口22に偽読取装置SKが取り付けられていても、カード挿入時に偽読取装置SKの磁気ヘッドHによってスキミングされる情報は、カード50が搬送ローラ24に達するまでに読み取られる情報、すなわち、磁気ストライプ51上のaの範囲に記録されているわずかな情報のみであり、範囲bに記録されている大部分の情報はスキミングされない。このため、カード50が有効データの少ないカードであっても、カード挿入時のスキミングを極力防止することができる。
【0043】
また、図11の手順においては、カード50をカード処理装置の本体20の内部に取り込む過程で、カード挿入口22から挿入されたカード50を最初は間欠的に搬送し、カード50が本体20内部のセンサ33の位置まで搬送された後は、カード50を連続的に搬送するようにしている。ここで、センサ33の位置を、カード50の磁気情報がスキミングされるおそれのない限界位置、すなわち、偽読取装置SKによってカード50の磁気情報を正常に取得できなくなるまでカード50がカード挿入部21に取り込まれたときの当該カード50の先端(左端)位置に設定しておくと、磁気情報のスキミングのおそれがある状態では、カード50を間欠的に搬送してスキミングを防止し、磁気情報のスキミングのおそれがない状態では、カード50を連続的に搬送して、高速で本体20内部に取り込むことができる。
【0044】
なお、モータ4の駆動を停止した後、制御部1は、磁気ヘッド2がカード50から読み取った情報を通信部6を介して上位装置10へ送信する。上位装置10では、受信したカード情報に基づいて所定の取引処理(例えば現金引出し)が行われる。そして、取引処理が終了すると、上位装置10は処理の終了をカード処理装置100へ通知する。この通知を通信部6が受信すると、制御部1は、カード50の排出処理(図4のステップS3)を以下に説明する手順に従って実行する。
【0045】
図12は、図4のステップS3における磁気カードの排出処理の詳細な手順を示したフローチャートである。排出処理が開始されると、制御部1はモータ4を連続的に逆転駆動し、これによって搬送ローラ24〜27も連続的に逆回転する(ステップS71)。搬送ローラ24〜27が逆回転することによって、図14A(a)の位置(図13C(h)と同じ位置)にあったカード50は、図14A(b)のように、搬送ローラ26,27によって右方向に連続的に搬送されて行く。次に、センサ32がONしたか否かを判定する(ステップS72)。図14A(c)のように、カード50の先端(右端)がセンサ32の位置に至ると、センサ32がカード50を検知してONとなる(ステップS72:YES)。
【0046】
センサ32がONとなったことに応答して、モータ4の駆動が連続駆動から間欠駆動に切り替えられ、モータ4は間欠的に逆転駆動される。これによって、搬送ローラ24〜27も間欠的に逆回転する(ステップS73)。この結果、カード50は、図14B(d)のように、間欠回転する搬送ローラ24,25によって図の右方向に間欠的に搬送されながら、カード挿入口22へ搬送されて行く。このときのモータ4の駆動は、前述した図18(a)および図19(a)と同じ態様で行われる。
【0047】
ステップS73で搬送ローラの間欠回転が開始された後、制御部1はセンサ32がOFFしたか否かを判定する(ステップS74)。図14B(e)のように、カード50の後端(左端)がセンサ32の位置を通過すると、センサ32はOFFとなる(ステップS74:YES)。センサ32がOFFになると、続いて制御部1は、所定時間が経過したかどうかを監視する(ステップS75)。この間は、ステップS73での搬送ローラ24の間欠駆動が継続されており、したがって、カード50は搬送ローラ24により間欠的に搬送されながら、カード挿入口22から外部に排出されてゆく。そして、所定時間が経過すると(ステップS75:YES)、制御部1はモータ4を停止して、搬送ローラ24〜27の回転を停止する(ステップS76)。これにより、カード50は、図14B(f)のように、後端が一対の搬送ローラ24により保持された状態で、カード挿入口22から返却される。以上で、カード50を用いたATMでの一連の取引処理は完了する。
【0048】
以上のように、図12の手順においては、カード挿入口22付近に設けた搬送ローラ24により、カード50をカード挿入口22からほぼ排出し終わるまで、間欠搬送するようにしているので、図9に示したように、カード挿入口22に偽読取装置SKが取り付けられていても、カード排出時に偽読取装置SKの磁気ヘッドHによってスキミングされる情報は、カード50が搬送ローラ24から離れた後に読み取られる情報、すなわち、磁気ストライプ51上のaの範囲に記録されているわずかな情報のみであり、範囲bに記録されている大部分の情報はスキミングされない。このため、カード50が有効データの少ないカードであっても、カード排出時のスキミングを極力防止することができる。
【0049】
また、図12の手順においては、カード50を排出する過程で、カード50がセンサ32の位置へ搬送されるまでは、カード50を連続的に搬送し、カード50がセンサ32の位置まで搬送された時点から、カード50を間欠的に搬送するようにしている。このため、カード50の間欠搬送によってスキミングを防止しつつ、カード50の連続搬送によってカード排出までの時間を短縮することができる。
【0050】
このようにして、第2実施形態によれば、カード挿入部21の存在によりカード挿入口22から搬送ローラ25までに距離がある場合でも、カード挿入口22付近に設けた搬送ローラ24によって、カード挿入とほぼ同時にカード50の間欠搬送を開始することができるので、カード50が搬送ローラ25に至ってから間欠搬送を開始する従来のものと比べて、スキミングをより効果的に防止することができる。また、カード50の磁気情報がスキミングされたとしても、図9と図22とを比較してすでに説明したように、本発明ではスキミングされる情報はわずかなので、被害を最小限に抑えることができる。
【0051】
また、第2実施形態によれば、上位装置10からの指令に基づいて、搬送ローラ24によるカード50の間欠搬送が行われるので、第1実施形態のようなカード挿入口22付近のセンサ31が不要となり、その分コストダウンを図ることができる。
【0052】
図15は、本発明の第3実施形態に係るカード処理装置の概略構造を示す図である。図15では、図1と同一部分には同一符号を付してある。図15のカード処理装置100が図1のそれと相違する点は、カード挿入部21において、センサ31のほかに、磁気ストライプ検出センサ41が設けられていることである。この磁気ストライプ検出センサ41は、本発明における判別手段の一実施形態を構成する。その他の部分については、図1の場合と同一であるので、図15の詳細な説明は省略する。
【0053】
第3実施形態では、磁気ストライプ検出センサ41によって、挿入されるカード50が磁気カードか否かを判別するようにしている。磁気ストライプ検出センサ41は、磁気ヘッドから構成されており、カード50が磁気カードである場合は、磁気ストライプの磁気情報を読み取って読取信号を出力するが、カード50が磁気カードでない場合は、磁気情報を読み取ることができず、読取信号を出力しない。したがって、センサ41の読取信号の有無により、カード50が磁気カードであるか否かを判別することができる。なお、センサ41は磁気カードの挿入を検知する機能も備えているので、本実施形態では、センサ31を省略することも可能である。
【0054】
図16は、図15のカード処理装置100の概略動作を示したフローチャートである。ここでも、図4の場合と同様に、上位装置10がATMであって、カード処理装置100はこのATMに搭載されているものとする。ATMにおいてカード50による取引を行う場合、利用者が接客パネルで所定の操作をすると、上位装置10からカード処理装置100の通信部6へ取引開始信号が送信され、これにより、カード処理装置100はカードの処理を開始する。最初に、カード挿入口22にカード50が挿入されると(ステップS101)、磁気ストライプ検出センサ41の出力に基づいて、カード50が磁気カードか否かを判定する(ステップS102)。カード50が磁気カードの場合は(ステップS102:YES)、ステップS103へ進んで磁気カードの取込・読取処理が行われ、この処理が終わると、続いて磁気カードの排出処理が行われる(ステップS104)。ステップS103,S104の詳細手順は図5,図6と同様であるので、これらについての説明は省略する。一方、カード50が磁気カードでない場合は(ステップS102:NO)、そのまま終了するか、もしくは、搬送ローラ24を逆転してカード50を返却する。
【0055】
上述した第3実施形態によると、第1および第2実施形態と同様にスキミングを有効に防止できるとともに、カード50をカード処理装置100の内部に取り込む前に、カード50が磁気カードか否かを判別し、磁気カードである場合にのみカード50を取り込むようにしているので、磁気カード以外のカードや異物などを誤って取り込むおそれがなく、カード処理装置100の内部でカードが詰まったり、搬送機構や磁気ヘッド2などが損傷を受けるのを未然に防止することができる。
【0056】
本発明では、以上述べた実施形態以外にも、種々の実施形態を採用することができる。例えば、前記第1実施形態(図1)においては、センサ31を搬送ローラ24と同じ位置に設けたが、センサ31の位置は搬送ローラ24の近傍であれば特に限定はされず、例えば図17に示すように、センサ31を搬送ローラ24よりシャッタ23側の位置に設けてもよい。
【0057】
また、以上述べた実施形態では、カード50の取り込み時において、センサ33がONとなった時点から、カード搬送を間欠搬送から連続搬送へ切り替えたが(図5のステップS14〜S15、図11のステップS52〜S53)、これに代えて、センサ31がOFFになった時点、あるいはセンサ32がOFFになった時点から、カード搬送を間欠搬送から連続搬送へ切り替えるようにしてもよい。
【0058】
また、第1実施形態では、カード50の排出時において、センサ31がONとなった時点から、カード50の搬送を連続搬送から間欠搬送へ切り替えたが(図6のステップS34〜S35)、これに代えて、センサ33がOFFになった時点から、カード50の搬送を間欠搬送から連続搬送へ切り替えるようにしてもよい。
【0059】
また、第2実施形態では、カード50の排出時において、センサ32がONとなった時点から、カード50の搬送を連続搬送から間欠搬送へ切り替えたが(図12のステップS72〜S73)、これに代えて、センサ32がONとなった時点からタイマをスタートさせ、カード50の先端(右端)がセンサ32の位置からカード挿入口22へ至るまでの時間に相当するタイマ時間が経過した時点で、カード50の搬送を連続駆動から間欠駆動に切り替えるようにしてもよい。
【0060】
また、以上述べた各実施形態では、カード50の間欠搬送を行う方式として、図18(a)および図19(a)の例を挙げたが、これに代えて、図18(b)〜図18(d)のような制御量(駆動電圧)をモータ4に与えることにより、それぞれに対応して、図19(b)〜図19(d)のようなモータ4の間欠回転動作が行われるようにしてもよい。図19(b)では、モータ4は、1単位時間の間に2単位回転量だけ正回転して、次の1単位時間の間は1単位回転量だけ逆回転し、この動作が反復される。図19(c)では、モータ4は、1単位時間の間に2単位回転量だけ正回転して、次の1単位時間の間は停止し、その次の1単位時間の間は1単位回転量だけ逆回転し、さらにその次の1単位時間の間は停止し、この動作が反復される。図19(d)は、図19(a)において回転期間と停止期間とを不規則にして、ランダムに回転と停止とを繰り返すようにしたものである。この他、図19(b),(c)において、回転期間と停止期間とを不規則にして、ランダムに回転と停止とを繰り返すようにしてもよい。
【0061】
また、以上述べた各実施形態では、カード50の位置を検出する位置検出手段として、フォトマイクロセンサから構成されるセンサ31〜34を設けた例を挙げたが、位置検出手段としては、例えば搬送ローラ24〜27やモータ4の回転量に応じた信号を出力するロータリーエンコーダを用いてもよい。この場合は、ロータリーエンコーダの出力信号から搬送ローラまたはモータの回転量を演算し、演算した回転量からカード50の位置を検出することができる。また、位置検出手段としては、上述したセンサやロータリーエンコーダに代えて、タイマと演算器とを用いることも可能である。この場合は、タイマの計測時間およびカードの搬送速度に基づいて、演算器でカードの移動距離を演算し、演算した移動距離からカードの位置を検出すればよい。
【0062】
さらに、以上述べた各実施形態では、カード処理装置100をATMに搭載した場合を例に挙げたが、本発明のカード処理装置は、ATM以外にも、例えばCD(現金自動支払機)、自動券売機、物品販売機など各種の機器に搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1実施形態に係るカード処理装置の概略構造図である。
【図2】磁気カードを示す図である。
【図3】カード処理装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】カード処理装置の概略動作を示すフローチャートである。
【図5】カードの取込・読取処理の詳細手順を示したフローチャートである。
【図6】カードの排出処理の詳細手順を示したフローチャートである。
【図7A】カードの取込・読取の動作を説明する図である。
【図7B】カードの取込・読取の動作を説明する図である。
【図7C】カードの取込・読取の動作を説明する図である。
【図8A】カードの排出の動作を説明する図である。
【図8B】カードの排出の動作を説明する図である。
【図9】本発明におけるスキミングを説明する図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係るカード処理装置の概略構造図である。
【図11】カードの取込・読取処理の詳細手順を示したフローチャートである。
【図12】カードの排出処理の詳細手順を示したフローチャートである。
【図13A】カードの取込・読取の動作を説明する図である。
【図13B】カードの取込・読取の動作を説明する図である。
【図13C】カードの取込・読取の動作を説明する図である。
【図14A】カードの排出の動作を説明する図である。
【図14B】カードの排出の動作を説明する図である。
【図15】本発明の第3実施形態に係るカード処理装置の概略構造図である。
【図16】カード処理装置の概略動作を示すフローチャートである。
【図17】センサ位置の他の例を示す概略構造図である。
【図18】モータに与える制御量の例である。
【図19】モータの間欠回転動作を説明する図である。
【図20】従来のカード処理装置の概略構造図である。
【図21】カードの記録情報を説明する図である。
【図22】従来におけるスキミングを説明する図である。
【符号の説明】
【0064】
1 制御部
2 磁気ヘッド
3 センサ
4 モータ
6 通信部
10 上位装置
20 カード処理装置の本体
22 カード挿入口
24〜27 搬送ローラ
31〜34 カード検出センサ
41 磁気ストライプ検出センサ
50 カード
51 磁気ストライプ
100 カード処理装置
SK 偽読取装置
H 磁気ヘッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気情報が記録されているカードを取り扱うカード処理装置であって、
装置本体の内部に設けられ、前記カードを搬送する第1の搬送手段と、
前記装置本体の前面側に設けられ、カード挿入口から挿入されたカードを前記第1の搬送手段へ導くためのカード挿入部と、
前記カード挿入部の前記挿入口付近に設けられた第2の搬送手段とを備え、
前記第2の搬送手段は、前記カード挿入口から挿入されるカードおよび/または前記カード挿入口から排出されるカードを、間欠的に搬送することを特徴とするカード処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカード処理装置において、
前記カード挿入口付近にカードを検知するための検知手段を設け、
前記第2の搬送手段は、前記検知手段がカードを検知したことに基づいて、当該カードを間欠的に搬送することを特徴とするカード処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載のカード処理装置において、
前記検知手段は、前記第2の搬送手段とほぼ同じ位置に設けられていることを特徴とするカード処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載のカード処理装置において、
上位装置と通信するための通信手段を備え、
前記第2の搬送手段は、前記通信手段が前記上位装置から指令を受信したことに基づいて、カードを間欠的に搬送することを特徴とするカード処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載のカード処理装置において、
前記カード挿入口付近に、挿入されるカードが磁気カードか否かを判別する判別手段を設け、
前記第2の搬送手段は、前記判別手段が前記カードを磁気カードと判別したことに基づいて、当該カードを間欠的に搬送することを特徴とするカード処理装置。
【請求項1】
磁気情報が記録されているカードを取り扱うカード処理装置であって、
装置本体の内部に設けられ、前記カードを搬送する第1の搬送手段と、
前記装置本体の前面側に設けられ、カード挿入口から挿入されたカードを前記第1の搬送手段へ導くためのカード挿入部と、
前記カード挿入部の前記挿入口付近に設けられた第2の搬送手段とを備え、
前記第2の搬送手段は、前記カード挿入口から挿入されるカードおよび/または前記カード挿入口から排出されるカードを、間欠的に搬送することを特徴とするカード処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカード処理装置において、
前記カード挿入口付近にカードを検知するための検知手段を設け、
前記第2の搬送手段は、前記検知手段がカードを検知したことに基づいて、当該カードを間欠的に搬送することを特徴とするカード処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載のカード処理装置において、
前記検知手段は、前記第2の搬送手段とほぼ同じ位置に設けられていることを特徴とするカード処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載のカード処理装置において、
上位装置と通信するための通信手段を備え、
前記第2の搬送手段は、前記通信手段が前記上位装置から指令を受信したことに基づいて、カードを間欠的に搬送することを特徴とするカード処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載のカード処理装置において、
前記カード挿入口付近に、挿入されるカードが磁気カードか否かを判別する判別手段を設け、
前記第2の搬送手段は、前記判別手段が前記カードを磁気カードと判別したことに基づいて、当該カードを間欠的に搬送することを特徴とするカード処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2007−164459(P2007−164459A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−359621(P2005−359621)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
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