説明

カード処理装置

【課題】 カード挿入路に挿入されるカードに対する磁気ヘッドの位置調整を不要にし、もって組立作業を容易にする。
【解決手段】 カード挿入路5を備えたICユニット7は制御基板8に搭載され、制御基板8は突起14を介してカード挿入口部材4に位置決めされている。磁気ヘッドホルダー10は突当て部32aをICユニット7の基準面22aに突き当てた状態で、制御基板8と共にねじ40によってカード挿入口部材4に一体化されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードに記録された情報を磁気ヘッドと接触型IC接点とによって処理するカード処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のカード処理装置としては、カードを挿入するカード挿入口と、カード挿入口から挿入されたカードに追従して移動し移動端限においてカードの端子と接触するIC接触子を有するIC接点ホルダーと、挿入されたカードの磁気情報を処理する磁気ヘッドとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−34714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来のカード処理装置においては、IC接点ホルダーと磁気ヘッドとが、それぞれ筐体に個別に取り付けられた構造になっている。したがって、カード挿入路に挿入されるカードに対するIC接点ホルダーのIC接触子の位置調整と、磁気ヘッドの位置調整との2つの位置調整を個別に行わなければならないため組立作業が煩雑であるいう問題があった。
【0004】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、カード挿入路に挿入されるカードに対する磁気ヘッドの位置調整を不要にし、もって組立作業を容易にするところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、カードを挿入するカード挿入口と、このカード挿入口を形成するカード挿入口部材と、このカード挿入口から挿入されたカードのカード挿入路を形成し、このカード挿入路に挿入されたカードの端子と接触するIC接触端子が設けられたICユニットと、このICユニットを搭載する制御基板と、前記カード挿入路に挿入されたカードの磁気情報を処理する磁気ヘッドと、この磁気ヘッドが取り付けられる磁気ヘッドホルダーとを備えたカード処理装置において、前記ICユニットに対して前記磁気ヘッドホルダーを位置決めした状態で、前記カード挿入口部材に前記制御基板と前記磁気ヘッドホルダーとを一体的に取り付けたものである。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記カード挿入口部材に前記磁気ヘッドに対向する対向板を一体に設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明によれば、ICユニットと磁気ヘッドホルダーとを個別に取り付けるのではなく、ICユニットに対して前記磁気ヘッドホルダーを位置決めした状態で、カード挿入口部材に一体的に取り付けることによって、カード挿入路に挿入されるカードに対する磁気ヘッドの位置調整が不要になる。また、ICユニットのカード挿入路に挿入されるカードに対して磁気ヘッドを正しい位置に位置付けることができるため、磁気ヘッドによる処理不良を防止することができる。
【0008】
請求項2に係る発明によれば、磁気ヘッドに対向させるタッチローラ等を設ける必要がないため部品点数を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は本発明に係るカード処理装置の平面図、図2は図1におけるII-II 線断面図、図3は図1におけるIII-III 線断面図、図4は同じくカード挿入口部材を示し、同図(A)は平面図、同図(B)は正面図、同図(C)は側面図、同図(D)は同図(B)におけるIV(D)-IV(D) 線断面図、図5は同じくICユニットを示し、同図(A)は平断面図、同図(B)は同図(A)におけるV(B)-V(B) 線断面図、図6は同じく磁気ヘッドホルダーを示し、同図(A)は平面図、同図(A)におけるVI(B)-VI(B) 線断面図である。
【0010】
図1に全体を符号1で示すカード処理装置は、カード2を挿入するためのカード挿入口3を有するカード挿入口部材4と、カード挿入路5を形成しIC接触端子6を有するICユニット7と、このICユニット7を搭載する制御基板8と、磁気ヘッド9が取り付けられたヘッド基板10とによって概ね構成されている。
【0011】
前記カード挿入口部材4は、図4に示すようにカード挿入口3が形成された前面板12を備えており、この前面板12の両端部には、一対の取付片13,13が矢印A方向に一体に突設されている。これら取付片13,13には、位置決め用の突起14とねじ挿通孔15が設けられている。16,16は磁気ヘッド9に対向するヘッド対向板であって、前面板12の中央部から矢印A方向へ一体に突設されている。このように、磁気ヘッド9に対向するヘッド対向板16をカード挿入口部材4に一体に設けたことにより、磁気ヘッド9に対向させるタッチローラ等を設ける必要がないため部品点数を削減することができる。
【0012】
ICユニット7は、図5に示すように、底部21と、この底部21の両端部から立設された互いに対向する一対の側部22A,22Bと、底部1の矢印A方向の端部から立設され、IC接触端子6が取り付けられた背面部23とを備えている。前記一対の側部22A,22Bの一方の側部22Aの側面は、後述する磁気ヘッドホルダー10の突当て部32aが突き当てられ、磁気ヘッドホルダー10に取り付けられた磁気ヘッド9を位置決めする基準面22aを形成している。24,24は側部22A,22Bに互いに対向するように取り付けられたガイド部材であって、断面がコ字状に形成されており、上下に互いに対向する折曲部24a,24bが設けられている。
【0013】
これらガイド24および折曲部24a,24bと底板21とによってカード2を矢印A−B方向に案内するカード挿入路5が形成されている。25は底板6に対向するように側部22A,22Bに取り付けられた基台であって、位置決め用突起25aを介して制御基板8が取り付けられる。また、この制御基板8の矢印B方向の端部には、図3に示すように、ねじ挿通孔26,26および位置決め用孔27ならびに長孔28が設けられている。
【0014】
磁気ヘッドホルダー10は、図6に示すように、ヘッド用窓31a,31bが設けられた底板31と、この底板31の両端部から立設され互いに対向する一対の側壁32A,32Bとこれら側壁32A,32Bの上端に設けられたフランジ33,33とによって形成されている。一方の側壁32Aの内側には、上記したICユニット7の一方の側部22Aに突き当てられる突当て部32aが形成されている。前記フランジ33,33の裏面には、筒部34が一体に突設されており、この筒部34にはねじ孔34aが設けられている。
【0015】
ICユニット7を搭載した制御基板8は、図3に示すように位置決め用孔27および長孔28に、カード挿入口部材4の取付片13の位置決め用の突起14,14が係入され、取付片13,13上に載置されている。磁気ヘッドホルダー10は、突当て部32aをICユニット7の基準面22aに突き当てた状態で、制御基板8の挿通孔26とカード挿入口部材4の挿通孔15に挿通させ、磁気ヘッドホルダー10のねじ孔34aに螺合したねじ40によって、カード挿入口部材4に制御基板8と共に一体に取り付けられている。この状態で、カード挿入口部材4の対向板16が、図2に示すように磁気ヘッドホルダー10に取り付けられた磁気ヘッド9に対向する。
【0016】
このように、磁気ヘッドホルダー10は、カード挿入路5が形成されているICユニット7の基準面22aに突当て部32aを突き当てた状態でカード挿入口部材4に取り付けられている。このため、磁気ヘッドホルダー10に取り付けた磁気ヘッド9が、カード挿入路5に挿入されるカード2の幅方向(矢印C−D方向)に対して正しい位置に位置付けられるから、磁気ヘッド9の位置調整が不要になるとともに、磁気ヘッド9による読取り不良を防止することができる。
【0017】
また、ICユニット7とヘッドホルダー10とを個別に取り付けるのではなく、カード挿入口部材4に、ICユニット7にヘッドホルダー10を位置決めした状態で、ICユニット7とヘッドホルダー10とを一体的に取り付けている。したがって、ICユニット7のIC接触子6と、ヘッドホルダー10に取り付けた磁気ヘッド9とを個別に位置調整することなく、磁気ヘッド9が挿入されるカード2に対して正しい位置に位置付けられる。このため、IC接触子6に対する磁気ヘッド9の位置調整が不要になり、組立作業が容易になる。
【0018】
このような構成において、図1において、カード2をカード挿入口3からカード挿入路5内に挿入することによって、挿入されたカード2の両側部は、ICユニットの両ガイド24,24によって矢印A方向に案内される。カード2をカード挿入路5内に挿入し切ると、カード2の端子がIC接触子6に接触するとともにカード2の磁気ストライプに記録された磁気情報が磁気ヘッド9によって処理され、IC接触子6を介してカード2に内蔵されたICに記録されている情報が処理される。カード2に記録された情報の処理が終了したら、カード2を矢印B方向に移動させ、カード挿入口3から抜き取る。
【0019】
なお、本実施の形態においては、カード2にIC接触子6に接触する端子と磁気ストライプの両方を備えた例を説明したが、端子と磁気ストライプを個別に備えたカードを使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るカード処理装置の平面図である。
【図2】図1におけるII-II 線断面図である。
【図3】図1におけるIII-III 線断面図である。
【図4】本発明に係るカード処理装置におけるカード挿入口部材を示し、同図(A)は平面図、同図(B)は正面図、同図(C)は側面図、同図(D)は同図(B)におけるIV(D)-IV(D) 線断面図である。
【図5】本発明に係るカード処理装置におけるICユニットを示し、同図(A)は平断面図、同図(B)は同図(A)におけるV(B)-V(B) 線断面図である。
【図6】本発明に係るカード処理装置における磁気ヘッドホルダーを示し、同図(A)は平面図、同図(A)におけるVI(B)-VI(B) 線断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1…カード処理装置、2…カード、3…カード挿入口、4…カード挿入口部材、5…カード挿入路、6…IC接触子、7…ICユニット、8…制御基板、9…磁気ヘッド、10…磁気ヘッドホルダー、14…位置決め用突起、15…挿通孔、16…対向板、22a…基準面、32a…突当て部、40…ねじ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードを挿入するカード挿入口と、このカード挿入口を形成するカード挿入口部材と、このカード挿入口から挿入されたカードのカード挿入路を形成し、このカード挿入路に挿入されたカードの端子と接触するIC接触端子が設けられたICユニットと、このICユニットを搭載する制御基板と、前記カード挿入路に挿入されたカードの磁気情報を処理する磁気ヘッドと、この磁気ヘッドが取り付けられる磁気ヘッドホルダーとを備えたカード処理装置において、
前記ICユニットに対して前記磁気ヘッドホルダーを位置決めした状態で、前記カード挿入口部材に前記制御基板と前記磁気ヘッドホルダーとを一体的に取り付けたことを特徴とするカード処理装置。
【請求項2】
請求項1記載のカード処理装置において、
前記カード挿入口部材に前記磁気ヘッドに対向する対向板を一体に設けたことを特徴とするカード処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−95009(P2007−95009A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−287112(P2005−287112)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】