カード処理装置
【課題】3枚以上のカードを取り扱う場合でも、複数枚のカードを確実に取り込むことができるようにする。
【解決手段】搬送ローラ7、8により複数枚のカード32を取り込み、カード排出時は、カード32を重ね合わせて搬送ローラ7、8により一括して排出するカード処理装置100において、一方の搬送ローラ8をカード32の厚みに追従して変位可能な可動ローラとする。排出した複数枚のカード32を再度取り込む際には、搬送ローラ18、19の離間により空間部25を搬送力のない状態として、全てのカード32を搬送ローラ7、8を通り過ぎるまで搬送し、搬送されたカード32を空間部25へ格納する。
【解決手段】搬送ローラ7、8により複数枚のカード32を取り込み、カード排出時は、カード32を重ね合わせて搬送ローラ7、8により一括して排出するカード処理装置100において、一方の搬送ローラ8をカード32の厚みに追従して変位可能な可動ローラとする。排出した複数枚のカード32を再度取り込む際には、搬送ローラ18、19の離間により空間部25を搬送力のない状態として、全てのカード32を搬送ローラ7、8を通り過ぎるまで搬送し、搬送されたカード32を空間部25へ格納する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、銀行等の金融機関に設置されるATM(自動現金預払機)に搭載され、キャッシュカードや振込みカードなどの媒体を取り扱うカード処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関等のATMにおいては、振込みを行う際に、キャッシュカードと、振込み先を登録した振込みカードの2枚のカードを装置内に取り込み、必要な処理を実行した後、これらのカードを重ね合わせた状態で一括して排出するものがある。このような複数枚のカードを取り扱うATMに搭載されるカード処理装置の場合、カードの搬送方式として、一般的には、搬送路に設けられた一対の対向する搬送ローラがカードを挟持した状態で、片側もしくは両側の搬送ローラを回転させ、カードを搬送ローラに追従させることで搬送を行う方式が使用されている。カードの挿入口(排出口)の近傍においても、上記と同様の搬送方式が使用されている。
【0003】
2枚のカードを重ねて排出する場合には、排出口直前に設けられている一対の搬送ローラのギャップを開き、空いた空間にカードを重ね合わせて一時的に保留した後、開いていた搬送ローラのギャップを閉じて再度一対の搬送ローラで2枚のカードを挟持し、搬送ローラを回転させてカードの排出を行う。また、顧客が排出されたカードの抜き取りを忘れて立ち去った場合は、所定時間が経過すると、搬送ローラを逆回転させ、排出前のカードを重ね合わせた位置までカードを搬送し装置内に取り込む。これにより、抜き取りを忘れたカードが他の顧客に持ち去られるのを防止している。下記の特許文献1、2には、複数枚のカードを重ね合わせた状態で一括排出するカード処理装置が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開平7−228407号公報
【特許文献2】特開平6−84020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
抜き取り忘れたカードを再度取り込む場合、前述の例のようにカードが2枚ならば、一対の搬送ローラの両方を駆動することで、どちらのカードにも十分な搬送力を伝えることができる。しかしながら、2以上の振込み先に対して振込み処理を続けて行う場合は、1枚のキャッシュカードと2枚以上の振込みカードが使用され、振込み処理が終了した後に3枚以上のカードが重なった状態で排出される。このとき、顧客の操作等に起因して、一番上のカードと一番下のカードとの間にあるカードが排出方向にずれてしまうと、上下のカードが所定位置まで搬送された後では、上下カードで挟まれたカードに搬送ローラの搬送力が伝わらないため、当該カードが装置内に取り込まれず、外部に露出したままとなる恐れがある。この結果、露出したカードが他人に持ち去られるという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するものであって、その目的とするところは、3枚以上のカードを取り扱う場合でも、複数枚のカードを確実に取り込むことができるカード処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るカード処理装置は、カードを挟持して搬送する一対の搬送ローラを有し、この搬送ローラにより複数枚のカードを装置内に取り込み、カードの排出時は、カードを重ね合わせて搬送ローラにより一括して排出するカード処理装置であって、搬送ローラの一方は、カードの厚みに追従して変位可能な可動ローラからなる。また、搬送ローラにより取り込んだ複数枚のカードを格納するための空間部が設けられる。そして、排出した複数枚のカードを装置内に再度取り込む際には、空間部を搬送力のない状態として、全てのカードが搬送ローラを通り過ぎるまで当該搬送ローラによりカードを搬送し、搬送された複数枚のカードを空間部へ格納する。
【0008】
このようにすると、排出したカードの再取り込み時には、カードの厚みに追従して可動ローラが変位するので、排出方向にずれたカードに対しても、上下のカードが搬送ローラを通り抜けた後に搬送力を伝えることができ、その結果、全てのカードを搬送ローラを通り抜けるまで搬送することができる。そして、搬送ローラを通り抜けたカードは、搬送力のない空間部に格納されるため、先に通過したカードと、ずれにより遅れて搬送されるカードとは、いずれも搬送ローラを通り抜けた時点で停止することになる。したがって、全てのカードを確実に装置内の同一位置に整列状態で取り込むことができる。また、取り込まれたカードは整列状態にあるため、再排出が容易となる。
【0009】
本発明においては、空間部を、カードが搬送されるカード搬送路の途中に設けてもよい。このとき、空間部を含むカード搬送路は直線となる。
【0010】
このような構成を採用した場合は、搬送路が直線であることから、カードを曲げる等の余分な負荷をカードに与える必要がないため、カードに対する負荷が少なくて済み、カードが搬送路の途中で引っかかる可能性も低くなる。
【0011】
上記のように空間部をカード搬送路の途中に設けた場合は、空間部の位置に、一対の対向する第2の搬送ローラを設けてもよい。このとき、第2の搬送ローラは、常時は近接した状態にあり、排出した複数枚のカードを装置内に再度取り込む際には離間した状態となる。そして、第2の搬送ローラの離間によって空間部が形成される。
【0012】
このような構成を採用した場合は、複数枚のカードを取り込む際に、第2の搬送ローラを離間させることで空間部が形成され、この空間部にカードを格納することができる。また、格納したカードを排出する際には、第2の搬送ローラを近接させることで複数枚のカードが第2の搬送ローラに挟持され、カードは搬送力が付与されて排出が可能となる。
【0013】
また、本発明においては、空間部を、カードが搬送されるカード搬送路から分岐した位置に設けてもよい。この場合、排出した複数枚のカードを装置内に再度取り込む際に、当該カードを空間部に導くための案内部材が設けられる。
【0014】
このような構成を採用した場合は、第2の搬送ローラの離間により空間部を形成する必要がないので、第2の搬送ローラを接離させるための駆動機構が不要となる。
【0015】
上記のように空間部をカード搬送路から分岐した位置に設けた場合は、空間部に格納された複数枚のカードを再度排出する際に、当該カードを排出方向に押し出す押し板を設けることが推奨される。
【0016】
このような押し板を設け、カード排出時に、搬送ローラによる搬送とあわせて押し板でカードを押し出すようにすれば、排出搬送力が大きくなって、より確実にカードを排出することができる。
【0017】
また、本発明においては、排出する複数枚のカードを重ね合わせて保留する保留部を設け、空間部をこの保留部に隣接して設けてもよい。
【0018】
このような構成を採用した場合は、空間部をカード全体が格納可能な大きさにしなくても、保留部となる空間の一部をカード取り込み時の格納空間に利用することができる。このため、空間部のスペースが少なくて済み、装置の大型化を抑制することができる。
【0019】
上記保留部は、可動ローラがこれと対向する搬送ローラから離間することにより形成することができる。この場合、可動ローラをこれと対向する搬送ローラに対して近接または離間させるソレノイドを設け、ソレノイドの自動復帰用のばね力により、可動ローラをカードの厚みに追従して変位させることが推奨される。
【0020】
このような構成を採用した場合は、ソレノイドの自動復帰用のばね力を利用して、可動ローラをカードの厚みに追従させることができるので、この追従のための専用部品が不要となり、部品点数の増加を抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、3枚以上のカードを取り扱う場合でも、複数枚のカードを確実に取り込むことができ、また、取り込んだカードは整列状態となるため再排出が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は、本発明の第1実施形態に係るカード処理装置の概略構成図である。カード処理装置100は、カードの挿入および排出を行う挿入排出部1、一括排出する複数枚のカードを重ね合わせるためのカードスタック部2、排出したカードを再度取り込む際にカードを格納するための格納部3、および後方の処理部(図示省略)との間でカードの受け渡しを行う搬送部4の4つのブロックから構成される。
【0024】
挿入排出部1は、カードの出入口aを開閉するためのシャッタ5と、このシャッタ5を駆動するアクチュエータとしてのソレノイド6とを備えている。ソレノイド6は、コイルへの通電によりプランジャが吸引されてON状態となり、通電の停止により自動復帰用のばね力でプランジャが復帰してOFF状態となる。シャッタ5は、ソレノイド6のプランジャと連動して動作し、ソレノイド6のOFF時はシャッタ5が閉位置(図1)にあり、ソレノイド6のON時はシャッタ5が開位置(図7)へ移動する。カードの挿入・排出時以外は、シャッタ5は閉じている。
【0025】
カードスタック部2には、カードの挟持および搬送を行うための一対の搬送ローラ7、8が対向して設けられている。上側の搬送ローラ7は固定式の搬送ローラである。下側の搬送ローラ8は、本発明における可動ローラの一例であって、後述するように、カードの厚みに追従して変位可能となっている。また、カードスタック部2には、カードの搬送方向を規制するための上搬送ガイド9、重なったカードを保持するスタックガイド10、および搬送ローラ8の駆動源となるソレノイド12が設けられている。11は、ソレノイド12により搬送ローラ8を下側に開く際の回転支点であり、ソレノイド12がONすると、搬送ローラ8は、図示しないアームを介して回転支点11を中心として下側に回動する。13は、搬送ローラ7、8の横に配置され、カードが通過したことを検知するためのセンサである。センサ13としては、例えば、投光素子と受光素子とを備えた光センサを用いることができる。なお、スタックガイド10は、搬送ローラ8が開閉する動作に追従して、上下にスライド可能となっている。ソレノイド12は、ソレノイド6と同様に、ばね力によりOFF状態へ自動復帰するソレノイドである。ソレノイド12のOFF時には、搬送ローラ8は閉位置(図1)にあって、搬送ローラ7と搬送ローラ8は近接した状態にある。なお、ここでいう近接とは当接も含む概念である(以下同様)。一方、ソレノイド12のON時には、搬送ローラ8は開位置(図2)にあって、搬送ローラ7と搬送ローラ8は離間した状態にある。
【0026】
格納部3には、カードの挟持および搬送を行うための一対の搬送ローラ18、19が対向して設けられている。上側の搬送ローラ19は、駆動力が付与されない従動ローラであり、下側の搬送ローラ18との間にカードを挟持した状態で、下側の搬送ローラ18の回転に従動して回転する。これらの搬送ローラ18、19は、本発明における第2の搬送ローラの一例である。また、格納部3には、カードの搬送方向を規制するための上搬送ガイド9、重なったカードを保持する格納ガイド20、および搬送ローラ18の駆動源となるソレノイド22が設けられている。21は、ソレノイド22により搬送ローラ18を下側に開く際の回転支点であり、ソレノイド22がONすると、搬送ローラ18は、図示しないアームを介して回転支点21を中心として下側に回動する。23は、搬送ローラ18、19の横に配置され、カードが通過したことを検知するためのセンサである。センサ23としては、センサ13と同様の光センサを用いることができる。なお、格納ガイド20は、搬送ローラ18が開閉する動作に追従して、上下にスライド可能となっている。ソレノイド22は、ソレノイド6、12と同様に、ばね力によりOFF状態へ自動復帰するソレノイドである。ソレノイド22のOFF時には、搬送ローラ18は閉位置(図1)にあって、搬送ローラ18と搬送ローラ19は近接した状態にある。一方、ソレノイド22のON時には、搬送ローラ18は開位置(図8)にあって、搬送ローラ18と搬送ローラ19は離間した状態にある。
【0027】
搬送部4には、カードの挟持および搬送を行うための一対の搬送ローラ14、15が対向して設けられており、また、カードの搬送方向を規制するための上搬送ガイド9、搬送されるカードを案内するための下搬送ガイド16、および搬送ローラ7、8、14、15、18を共通に駆動するためのステッピングモータ17を備えている。
【0028】
上搬送ガイド9と、スタックガイド10、格納ガイド20、および下搬送ガイド16との間に、カードが搬送されるカード搬送路bが形成される。
【0029】
次に、上述した構成からなるカード処理装置100の動作につき、図2〜図12を参照して説明する。以下では、3枚のカードを取り込み、装置内で必要な処理を実行した後、これらのカードを重ねて一括排出する場合を例に挙げて説明する。
【0030】
取り込まれた3枚のカードは、搬送部4の後方(図で左側)にある図示しない処理部に保持されている。カードを排出する場合は、まず、図2のように、カードスタック部2のソレノイド12をONして搬送ローラ8を搬送ローラ7から離間させ、カードを一時的に保留するための保留部24を確保する。そして、この状態で、ステッピングモータ17を排出方向に駆動し、図3に示すように、処理部から送られてきた1枚目のカード32を、矢印で示す排出方向に搬送する。
【0031】
搬送された1枚目のカード32が格納部3の搬送ローラ18、19を通過し終ると、カード32は、図4に示すように、保留部24に落とし込まれる。また、センサ23が、1枚目のカードが搬送ローラ18、19を通過したことを検知(遮光から透光への変化を検知)すると、2枚目のカードの搬送へ移行する。2枚目のカードが搬送ローラ18、19を通過し終ると、このカードは保留部24に落とし込まれ、1枚目のカードの上に重ねられる。3枚目のカードについても同様に、搬送ローラ18、19を通過し終ると保留部24に落とし込まれ、2枚目のカードの上に重ねられる。この結果、図5に示すように、保留部24には3枚のカード32が重なった状態で保留される。
【0032】
3枚目のカードの重ね合わせが終わった時点で、ステッピングモータ17を停止する。そして、ソレノイド12をOFFにして、搬送ローラ8を閉状態に戻し、図6に示すように、搬送ローラ7、8により3枚のカード32を挟持する。このとき、搬送ローラ8は、ソレノイド12の自動復帰用のばね力により、カード32に圧接する。次に、図7に示すように、挿入排出部1のソレノイド6をONしてシャッタ5を開状態にするとともに、ステッピングモータ17を排出方向に駆動して搬送ローラ7、8を回転させ、重ね合わせた3枚のカード32を出入口aから一括排出する。
【0033】
排出したカード32が抜き取られないまま所定時間が経過し、取り忘れと判断された場合は、カードの再取り込み動作に移行する。まず、図8のように、格納部3のソレノイド22をONして搬送ローラ18を搬送ローラ19から離間させ、再取り込み時のカード32を格納するための再格納エリアとなる空間部25を確保する。そして、この状態で、ステッピングモータ17を取り込み方向に駆動し、図8に示すように、搬送ローラ7、8により3枚のカード32を挟持して、矢印で示す取り込み方向に搬送する。そして、全てのカード32が搬送ローラ7、8を通過したことをセンサ13が検知(遮光から透光への変化を検知)するまで、搬送ローラ7、8を回転させてカード32の搬送を行う。これにより、カード32は格納部3の空間部25へ送られる。このとき、格納部3の搬送ローラ18、19が離間しているため、空間部25ではカードに対して搬送力は付与されない。したがって、カード32は、その後端(図では右端)が搬送ローラ7、8を通過し終わった時点で、搬送力を受けなくなって停止し、図9に示すように、整列して重なった状態で空間部25に格納される。この空間部25は保留部24(図2)と隣接しているので、保留部24となる空間の一部をカード32の格納空間に利用することができる。したがって、空間部25にはカード32の一部が格納される。
【0034】
ここで、排出したカード32に対する顧客の操作等に起因して、カード32の重なりにずれが生じ、図10に示すように、上下のカード32a、32cに挟まれた中間のカード32bだけが排出方向に飛び出した状態となった場合を考える。このとき、上下のカード32a、32cは排出搬送ローラ7、8により搬送されるが、格納部3の搬送ローラ18、19が離間しているため、空間部25ではカードに対して搬送力は付与されない。したがって、上下のカード32a、32cは、その後端(図では右端)が搬送ローラ7、8を通過し終わった時点で、搬送力を受けなくなって停止する。
【0035】
一方、上下のカード32a、32cが搬送ローラ7、8を通過し終わると、搬送ローラ8がソレノイド1の復帰ばね力によりカードの厚みに追従して上方へ変位し、中間のカード32bに圧接する。これにより、カード32bは搬送ローラ7、8に挟持されて、図11に示すように装置内部に取り込まれる。そして、カード32bは、その後端が搬送ローラ7、8を通過し終わった時点、すなわち先に通過したカード32a、32cと同じ位置まで搬送された時点で停止する。この結果、図9で示したように、3枚のカード32は整列して重なった状態で空間部25に格納される。したがって、再取り込み開始時点でずれた状態にあるカード(図10)と、ずれていないカード(図8)のいずれを再取り込みする場合においても、全てのカード32を取り込んで同一の位置に整列させることができる。
【0036】
再取り込みしたカードを再び排出する場合は、図12に示すように、ソレノイド22をOFFにして、格納部3の搬送ローラ18を閉状態に戻す。このとき、搬送ローラ18は、ソレノイド22の復帰ばね力によりカード32に圧接し、カード32が搬送ローラ18、19に挟持される。また、カードスタック部2のソレノイド12をONして搬送ローラ8を開き、カード32を一時保留する保留部24を確保する。この状態で、ステッピングモータ17を排出方向に駆動し、搬送ローラ18、19を回転させて、全てのカード32が搬送ローラ18、19を通過したことをセンサ23が検知(遮光から透光への変化を検知)するまで、カード32の搬送を行う。この結果、カード32は図5で示した状態となるので、以降は図6および図7と同様のカード排出動作を行えばよい。このような再取り込みしたカードの再排出は、金融機関等の係員の操作により行われる。
【0037】
図24〜図26は、上述したカード処理装置100の動作を示したフローチャートである。これらの手順は、図示しない処理部に備わる制御回路のCPUにより実行される。
【0038】
図24はカード排出時の手順を示している。ステップS1では、ソレノイド12をONし、カードスタック部2に保留部24を確保する(図2)。ステップS2で、ステッピングモータ17を排出方向に駆動し、ステップS3で、カードを1枚搬送する(図3)。そして、ステップS4で、カードが搬送ローラ18、19を通過し終わったか否かをセンサ23で監視し、通過が検知されると(図4)、ステップS5で、所定枚数のカードの通過が完了したかどうかを判定する。通過が完了してなければ(ステップS5:NO)、ステップS3へ戻り、通過が完了すれば(ステップS5:YES)、ステップS6へ進んで、ステッピングモータ17を停止する(図5)。
【0039】
続いて、ステップS7でソレノイド12をOFFにして、搬送ローラ7、8で保留部24のカード32を挟持し(図6)、ステップS8でソレノイド6をONにして、シャッタ5を開く。そして、ステップS9で、ステッピングモータ17を排出方向に駆動し、ステップS10で、重なったカード32を排出位置まで搬送する(図7)。排出位置まで搬送したかどうかは、ステッピングモータ17の回転数に基づいて判断してもよいし、図示しないセンサの検知出力に基づいて判断してもよい。
【0040】
その後、ステップS11で、排出したカード32が抜き取られたかどうかをセンサ13の出力に基づいて監視し、カードが抜き取られた場合は(ステップS11:YES)、処理を終了する。また、カードが抜き取られなかった場合は(ステップS11:NO)、ステップS12で、所定時間が経過したかどうかを監視する。所定時間が経過しないうちは(ステップS12:NO)、ステップS11、S12を反復する。そして、所定時間が経過すると(ステップS12:YES)、ステップS13のカード再取り込み動作へ移行する。
【0041】
図25は、ステップS13のカード再取り込み動作の詳細手順である。ステップS21で、ソレノイド22をONして、格納部3に空間部25を確保する(図8)。ステップS22で、ステッピングモータ17を取り込み方向に駆動し、ステップS23で、重なったカード32を搬送ローラ7、8により搬送する(図8、図10、図11)。そして、ステップS24で、全てのカードが搬送ローラ7、8を通過し終わったか否かをセンサ13で監視し、通過が検知されると、ステップS25へ進んで、ステッピングモータ17を停止する(図9)。
【0042】
図26はカード再排出時の手順を示している。ステップS31で、ソレノイド22をOFFして、搬送ローラ18、19でカード32を挟持し、ステップS32で、ソレノイド12をONして、カードスタック部2に保留部24を確保する(図12)。そして、ステップS33で、ステッピングモータ17を排出方向に駆動し、ステップS34で、重なったカード32を排出位置まで搬送し(図7)、ステップS35で、ステッピングモータ17を停止する。その後、図24のステップS7へ移り、以降の手順によりカード32を再排出する。
【0043】
以上述べた第1実施形態のカード処理装置100においては、排出したカード32の再取り込み時には、カード32の厚みに追従して搬送ローラ8が変位するので、図10のように排出方向にずれたカード32bに対しても、上下のカード32a、32cが搬送ローラ7、8を通り抜けた後に搬送力を伝えることができ、その結果、全てのカード32を搬送ローラ7、8を通り抜けるまで搬送することができる。そして、搬送ローラ7、8を通り抜けたカードは、搬送力のない空間部25に格納されるため、先に通過したカード32a、32cと、ずれにより遅れて搬送されるカード32bとは、いずれも搬送ローラ7、8を通り抜けた時点で停止することになる。したがって、全てのカード32を確実に装置内の同一位置に整列状態で取り込むことができる。また、取り込まれたカード32は整列状態にあるため、再排出が容易となる。
【0044】
また、第1実施形態では、空間部25がカード搬送路bの途中に設けられており、空間部25を含むカード搬送路bが直線となっている。このため、カードを曲げる等の余分な負荷をカード32に与える必要がないので、カード32に対する負荷が少なくて済み、カード32が搬送路bの途中で引っかかる可能性も低くなる。
【0045】
また、第1実施形態では、空間部25を保留部24に隣接して設けており、空間部25をカード全体が格納可能な大きさにしなくても、保留部24となる空間の一部をカード取り込み時の格納空間に利用することができる。このため、空間部25のスペースが少なくて済み、装置の大型化を抑制することができる。
【0046】
さらに、第1実施形態では、ソレノイド12の自動復帰用のばね力により、搬送ローラ8をカード32の厚みに追従して変位させるようにしているので、この追従のための専用部品が不要となり、部品点数の増加を抑制することができる。
【0047】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図13は、本発明の第2実施形態に係るカード処理装置の概略構成図である。図13において、図1と同一部分または対応部分には、同一符号を付してある。カード処理装置200は、挿入排出部1、カードスタック部2、格納部3、および搬送部4の4つのブロックから構成される。挿入排出部1と搬送部4の構成は図1と同じであるが、カードスタック部2と格納部3の構成は図1と異なっている。したがって、以下では挿入排出部1と搬送部4についての説明は省略し、カードスタック部2と格納部3について説明する。
【0048】
格納部3において、カードの挟持および搬送を行うための一対の搬送ローラ18、26が対向して設けられている。搬送ローラ18、26のそれぞれには、ステッピングモータ17により駆動力が付与される。また、格納部3には、カードの搬送方向を規制するための上搬送ガイド9と下搬送ガイド20、再取り込み時のカードを格納するための再格納エリアとなる空間部25、空間部25に格納したカードを押し出すための押し板29、押し板29に連結されたタイミングベルト30、およびタイミングベルト30を駆動するためのギアモータ31が設けられている。ここでは、空間部25は、下搬送ガイド20を延長してU字形に折曲することにより形成されているが、下搬送ガイド20とは別に設けたU字形の部材により空間部25を形成してもよい。23は搬送ローラ18、26の横に配置され、カードが通過したことを検知するためのセンサである。
【0049】
カードスタック部2において、カードの挟持および搬送を行うための一対の搬送ローラ7、8が対向して設けられている。この搬送ローラ7、8は、図1のものと同じである。また、カードスタック部2には、カードの搬送方向を規制するための上搬送ガイド9、重なったカードを保持するスタックガイド10、および搬送ローラ8の駆動源となるソレノイド12が設けられている。11は、ソレノイド12により搬送ローラ8を下側に開く際の回転支点であり、ソレノイド12がONすると、搬送ローラ8は、図示しないアームを介して回転支点11を中心として下側に回動する。13は、搬送ローラ7、8の横に配置され、カードが通過したことを検知するためのセンサである。スタックガイド10は、搬送ローラ8が開閉する動作に追従して、上下にスライド可能となっている。ソレノイド12は、ばね力によりOFF状態へ自動復帰するソレノイドである。ソレノイド12のOFF時には、搬送ローラ8は閉位置(図13)にあって、搬送ローラ7と搬送ローラ8は近接した状態にある。一方、ソレノイド12のON時には、搬送ローラ8は開位置(図14)にあって、搬送ローラ7と搬送ローラ8は離間した状態にある。以上に関しては、図1と基本的に同じである。
【0050】
カードスタック部2には、さらに、カードを再取り込みする際に搬送方向を切り替えて、カードを空間部25に導くための案内部材27と、この案内部材27の駆動源となるソレノイド28とが設けられている。ソレノイド28は、ばね力によりOFF状態へ自動復帰するソレノイドである。ソレノイド28のOFF時には、案内部材27は図13の状態にあって、取り込まれたカードを格納部3および搬送部4の搬送路bに案内する。一方、ソレノイド28のON時には、案内部材27は下方へ回動して図19の状態に切り替わり、取り込まれたカードを格納部3の空間部25へ案内する。
【0051】
次に、上述した構成からなるカード処理装置200の動作につき、図14〜図23を参照して説明する。以下では、3枚のカードを取り込み、装置内で必要な処理を実行した後、これらのカードを重ねて一括排出する場合を例に挙げて説明する。
【0052】
取り込まれた3枚のカードは、搬送部4の後方(図で左側)にある図示しない処理部に保持されている。カードを排出する場合は、まず、図14のように、カードスタック部2のソレノイド12をONして搬送ローラ8を搬送ローラ7から離間させ、カードを一時的に保留するための保留部24を確保する。そして、この状態で、ステッピングモータ17を排出方向に駆動し、処理部から送られてきた1枚目のカード32を、矢印で示す排出方向に搬送する。
【0053】
搬送された1枚目のカード32が格納部3の搬送ローラ18、19を通過し終ると、カード32は、図15に示すように、保留部24に落とし込まれる。また、センサ23が、1枚目のカードが搬送ローラ18、19を通過したことを検知(遮光から透光への変化を検知)すると、2枚目のカードの搬送へ移行する。2枚目のカードが搬送ローラ18、19を通過し終ると、このカードは保留部24に落とし込まれ、1枚目のカードの上に重ねられる。3枚目のカードについても同様に、搬送ローラ18、19を通過し終ると保留部24に落とし込まれ、2枚目のカードの上に重ねられる。この結果、図16に示すように、保留部24には3枚のカード32が重なった状態で保留される。
【0054】
3枚目のカードの重ね合わせが終わった時点で、ステッピングモータ17を停止する。そして、ソレノイド12をOFFにして、搬送ローラ8を閉状態に戻し、図17に示すように、搬送ローラ7、8により3枚のカード32を挟持する。このとき、搬送ローラ8は、ソレノイド12の自動復帰用のばね力により、カード32に圧接する。次に、図18に示すように、挿入排出部1のソレノイド6をONしてシャッタ5を開状態にするとともに、ステッピングモータ17を排出方向に駆動して搬送ローラ7、8を回転させ、重ね合わせた3枚のカード32を出入口aから一括排出する。ここまでの動作は、第1実施形態の場合(図2〜図7)と基本的に同じである。
【0055】
排出したカード32が抜き取られないまま所定時間が経過し、取り忘れと判断された場合は、カードの再取り込み動作に移行する。まず、図19のように、ソレノイド28をONして案内部材27を下げ、再取り込みされるカード32の搬送方向を空間部25側に切り替える。そして、ステッピングモータ17を取り込み方向に駆動し、搬送ローラ7、8により3枚のカード32を挟持して、矢印で示す取り込み方向に搬送する。そして、全てのカード32が搬送ローラ7、8を通過したことをセンサ13が検知(遮光から透光への変化を検知)するまで、搬送ローラ7、8を回転させてカード32の搬送を行う。これにより、カード32は、案内部材27に案内されて格納部3の空間部25へ送られる。このとき、空間部25には搬送力を付与する手段がないので、カード32は、その後端(図では右端)が搬送ローラ7、8を通過し終わった時点で、搬送力を受けなくなって停止し、図20に示すように、整列して重なった状態で空間部25に格納される。この空間部25は保留部24(図14)と隣接しているので、保留部24となる空間の一部をカード32の格納空間に利用することができる。したがって、空間部25にはカード32の一部が格納される。
【0056】
ここで、排出したカード32に対する顧客の操作等に起因して、カード32の重なりにずれが生じ、図21に示すように、上下のカード32a、32cに挟まれた中間のカード32bだけが排出方向に飛び出した状態となった場合を考える。このとき、上下のカード32a、32cは排出搬送ローラ7、8により搬送されるが、空間部25ではカードに搬送力が付与されないため、上下のカード32a、32cは、その後端(図では右端)が搬送ローラ7、8を通過し終わった時点で、搬送力を受けなくなって停止する。
【0057】
一方、上下のカード32a、32cが搬送ローラ7、8を通過し終わると、搬送ローラ8がソレノイド1の復帰ばね力によりカードの厚みに追従して上方へ変位し、中間のカード32bに圧接する。これにより、カード32bは搬送ローラ7、8に挟持されて、図22に示すように装置内部に取り込まれる。そして、カード32bは、その後端が搬送ローラ7、8を通過し終わった時点、すなわち先に通過したカード32a、32cと同じ位置まで搬送された時点で停止する。この結果、図20で示したように、3枚のカード32は整列して重なった状態で空間部25に格納される。したがって、再取り込み開始時点でずれた状態にあるカード(図21)と、ずれていないカード(図19)のいずれを再取り込みする場合においても、全てのカード32を取り込んで同一の位置に整列させることができる。
【0058】
再取り込みしたカードを再び排出する場合は、図23に示すように、カードスタック部2のソレノイド12をONして搬送ローラ8を開き、カード32を一時保留する保留部24を確保する。そして、この状態でギアモータ31を駆動し、タイミングベルト30を介して、押し板29を矢印で示すカード排出方向に移動させ、空間部25のカード32を保留部24へ押し出す。この結果、カード32は図16で示した状態となるので、以降は図17および図18と同様のカード排出動作を行えばよい。このような再取り込みしたカードの再排出は、金融機関等の係員の操作により行われる。なお、図23では、案内部材27が下がった状態となっているが、案内部材27を上がった状態にしてもよい。
【0059】
図27〜図29は、上述したカード処理装置200の動作を示したフローチャートである。これらの手順は、図示しない処理部に備わる制御回路のCPUにより実行される。
【0060】
図27はカード排出時の手順を示している。ステップS41では、ソレノイド12をONし、カードスタック部2に保留部24を確保する(図14)。ステップS42で、ステッピングモータ17を排出方向に駆動し、ステップS43で、カードを1枚搬送する(図14)。そして、ステップS44で、カードが搬送ローラ18、26を通過し終わったか否かをセンサ23で監視し、通過が検知されると(図15)、ステップS45で、所定枚数のカードの通過が完了したかどうかを判定する。通過が完了してなければ(ステップS45:NO)、ステップS43へ戻り、通過が完了すれば(ステップS45:YES)、ステップS46へ進んで、ステッピングモータ17を停止する(図16)。
【0061】
続いて、ステップS47でソレノイド12をOFFにして、搬送ローラ7、8で保留部24のカード32を挟持し(図17)、ステップS48でソレノイド6をONにして、シャッタ5を開く。そして、ステップS49で、ステッピングモータ17を排出方向に駆動し、ステップS50で、重なったカード32を排出位置まで搬送する(図18)。排出位置まで搬送したかどうかは、ステッピングモータ17の回転数に基づいて判断してもよいし、図示しないセンサの検知出力に基づいて判断してもよい。
【0062】
その後、ステップS51で、排出したカード32が抜き取られたかどうかをセンサ13の出力に基づいて監視し、カードが抜き取られた場合は(ステップS51:YES)、処理を終了する。また、カードが抜き取られなかった場合は(ステップS51:NO)、ステップS52で、所定時間が経過したかどうかを監視する。所定時間が経過しないうちは(ステップS52:NO)、ステップS51、S52を反復する。そして、所定時間が経過すると(ステップS52:YES)、ステップS53のカード再取り込み動作へ移行する。
【0063】
図28は、ステップS53のカード再取り込み動作の詳細手順である。ステップS61で、ソレノイド28をONして案内部材27を下げ(図19)、ステップS62で、ステッピングモータ17を取り込み方向に駆動し、ステップS63で、重なったカード32を搬送ローラ7、8により搬送する(図19、図21、図22)。そして、ステップS64で、全てのカードが搬送ローラ7、8を通過し終わったか否かをセンサ13で監視し、通過が検知されると、ステップS65へ進んで、ステッピングモータ17を停止する(図20)。
【0064】
図29はカード再排出時の手順を示している。ステップS71で、ソレノイド12をONして、カードスタック部2に保留部24を確保する(図23)。ステップS72で、ギアモータ31を駆動し、ステップS73で、押し板29をカード排出方向に移動して、重なったカード32を押し出す(図23)。そして、ステップS74で、押し板29が所定量移動したかどうかを判定する。この判定は、ギアモータ31の回転数に基づいて判断してもよいし、図示しないセンサの検知出力に基づいて判断してもよい。押し板29が所定量移動してなければ(ステップS74:NO)、ステップS73へ戻り、所定量移動すれば(ステップS74:YES)、ステップS75で、ソレノイド28をOFFするとともに、ステップS76で、押し板29を元の位置へ戻す。その後、図27のステップS47へ移り、以降の手順によりカード32を再排出する。
【0065】
以上述べた第2実施形態のカード処理装置200においては、排出したカード32の再取り込み時には、カード32の厚みに追従して搬送ローラ8が変位するので、図21のように排出方向にずれたカード32bに対しても、上下のカード32a、32cが搬送ローラ7、8を通り抜けた後に搬送力を伝えることができ、その結果、全てのカード32を搬送ローラ7、8を通り抜けるまで搬送することができる。そして、搬送ローラ7、8を通り抜けたカードは、搬送力のない空間部25に格納されるため、先に通過したカード32a、32cと、ずれにより遅れて搬送されるカード32bとは、いずれも搬送ローラ7、8を通り抜けた時点で停止することになる。したがって、全てのカード32を確実に装置内の同一位置に整列状態で取り込むことができる。また、取り込まれたカード32は整列状態にあるため、再排出が容易となる。
【0066】
また、第2実施形態の場合は、空間部25がカード搬送路bから分岐した位置に設けられているため、カードの再取り込み時にカード32を曲げることになり、カード32の負荷が増加するが、押し板29の可動範囲を空間部25の後端からカード排出時のカード後端位置までの範囲に設定しておき、カード排出時にローラ7、8による搬送と合わせて、押し板29によるカードの押し出す動作を行うことにより、排出搬送力が大きくなって、より確実にカードを排出することができる。また、保留部24に保留されている重なったカード32を押し板29で押すことで、カード32を容易に整列させることもできる。さらに、第2実施形態では、搬送ローラ18、26の離間により空間部25を形成する必要がないので、搬送ローラ18、26を接離させるための駆動機構が不要となる。
【0067】
また、第2実施形態においても、空間部25を保留部24に隣接して設けており、空間部25をカード全体が格納可能な大きさにしなくても、保留部24となる空間の一部をカード取り込み時の格納空間に利用することができる。このため、空間部25のスペースが少なくて済み、装置の大型化を抑制することができる。
【0068】
また、第2実施形態においても、ソレノイド12の自動復帰用のばね力により、搬送ローラ8をカード32の厚みに追従して変位させるようにしているので、この追従のための専用部品が不要となり、部品点数の増加を抑制することができる。
【0069】
本発明では、以上述べた以外にも、種々の実施形態を採用することができる。例えば、前記各実施形態においては、搬送ローラ7と搬送ローラ8の双方がステッピングモータ17の駆動力により回転する方式を例に挙げたが、片方の搬送ローラのみが回転する機構であっても、同様の効果が期待できる。
【0070】
また、前記各実施形態においては、ソレノイド6、12、22、28、ステッピングモータ17、タイミングベルト30、ギアモータ31などの駆動手段を用いたが、これらの駆動手段は、同等の機能を有する他の駆動手段であってもよい。
【0071】
また、前記各実施形態においては、キャッシュカードと振込みカードを例に挙げたが、本発明のカード処理装置で取り扱うカードは、クレジットカード、ICカード、IC付き磁気カード、非接触カード等であってもよい。
【0072】
さらに、前記各実施形態においては、金融機関等のATMに搭載されるカード処理装置を例に挙げたが、本発明は、交通機関で用いられる定期券発行機などに搭載されるカード処理装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1実施形態に係るカード処理装置の概略構成図である。
【図2】同カード処理装置のカード排出動作を説明する図である。
【図3】同カード処理装置のカード排出動作を説明する図である。
【図4】同カード処理装置のカード排出動作を説明する図である。
【図5】同カード処理装置のカード排出動作を説明する図である。
【図6】同カード処理装置のカード排出動作を説明する図である。
【図7】同カード処理装置のカード排出動作を説明する図である。
【図8】同カード処理装置のカード再取り込み動作を説明する図である。
【図9】同カード処理装置のカード再取り込み動作を説明する図である。
【図10】同カード処理装置のカード再取り込み動作を説明する図である。
【図11】同カード処理装置のカード再取り込み動作を説明する図である。
【図12】同カード処理装置のカード再排出動作を説明する図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係るカード処理装置の概略構成図である。
【図14】同カード処理装置のカード排出動作を説明する図である。
【図15】同カード処理装置のカード排出動作を説明する図である。
【図16】同カード処理装置のカード排出動作を説明する図である。
【図17】同カード処理装置のカード排出動作を説明する図である。
【図18】同カード処理装置のカード排出動作を説明する図である。
【図19】同カード処理装置のカード再取り込み動作を説明する図である。
【図20】同カード処理装置のカード再取り込み動作を説明する図である。
【図21】同カード処理装置のカード再取り込み動作を説明する図である。
【図22】同カード処理装置のカード再取り込み動作を説明する図である。
【図23】同カード処理装置のカード再排出動作を説明する図である。
【図24】第1実施形態におけるカード排出動作の手順を示したフローチャートである。
【図25】第1実施形態におけるカード再取り込み動作の手順を示したフローチャートである。
【図26】第1実施形態におけるカード再排出動作の手順を示したフローチャートである。
【図27】第2実施形態におけるカード排出動作の手順を示したフローチャートである。
【図28】第2実施形態におけるカード再取り込み動作の手順を示したフローチャートである。
【図29】第2実施形態におけるカード再排出動作の手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
1 挿入排出部
2 カードスタック部
3 格納部
4 搬送部
7、8 搬送ローラ
12 ソレノイド
18、19 搬送ローラ
24 保留部
25 空間部
27 案内部材
29 押し板
32 カード
100 カード処理装置
200 カード処理装置
a 出入口
b カード搬送路
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、銀行等の金融機関に設置されるATM(自動現金預払機)に搭載され、キャッシュカードや振込みカードなどの媒体を取り扱うカード処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関等のATMにおいては、振込みを行う際に、キャッシュカードと、振込み先を登録した振込みカードの2枚のカードを装置内に取り込み、必要な処理を実行した後、これらのカードを重ね合わせた状態で一括して排出するものがある。このような複数枚のカードを取り扱うATMに搭載されるカード処理装置の場合、カードの搬送方式として、一般的には、搬送路に設けられた一対の対向する搬送ローラがカードを挟持した状態で、片側もしくは両側の搬送ローラを回転させ、カードを搬送ローラに追従させることで搬送を行う方式が使用されている。カードの挿入口(排出口)の近傍においても、上記と同様の搬送方式が使用されている。
【0003】
2枚のカードを重ねて排出する場合には、排出口直前に設けられている一対の搬送ローラのギャップを開き、空いた空間にカードを重ね合わせて一時的に保留した後、開いていた搬送ローラのギャップを閉じて再度一対の搬送ローラで2枚のカードを挟持し、搬送ローラを回転させてカードの排出を行う。また、顧客が排出されたカードの抜き取りを忘れて立ち去った場合は、所定時間が経過すると、搬送ローラを逆回転させ、排出前のカードを重ね合わせた位置までカードを搬送し装置内に取り込む。これにより、抜き取りを忘れたカードが他の顧客に持ち去られるのを防止している。下記の特許文献1、2には、複数枚のカードを重ね合わせた状態で一括排出するカード処理装置が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開平7−228407号公報
【特許文献2】特開平6−84020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
抜き取り忘れたカードを再度取り込む場合、前述の例のようにカードが2枚ならば、一対の搬送ローラの両方を駆動することで、どちらのカードにも十分な搬送力を伝えることができる。しかしながら、2以上の振込み先に対して振込み処理を続けて行う場合は、1枚のキャッシュカードと2枚以上の振込みカードが使用され、振込み処理が終了した後に3枚以上のカードが重なった状態で排出される。このとき、顧客の操作等に起因して、一番上のカードと一番下のカードとの間にあるカードが排出方向にずれてしまうと、上下のカードが所定位置まで搬送された後では、上下カードで挟まれたカードに搬送ローラの搬送力が伝わらないため、当該カードが装置内に取り込まれず、外部に露出したままとなる恐れがある。この結果、露出したカードが他人に持ち去られるという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するものであって、その目的とするところは、3枚以上のカードを取り扱う場合でも、複数枚のカードを確実に取り込むことができるカード処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るカード処理装置は、カードを挟持して搬送する一対の搬送ローラを有し、この搬送ローラにより複数枚のカードを装置内に取り込み、カードの排出時は、カードを重ね合わせて搬送ローラにより一括して排出するカード処理装置であって、搬送ローラの一方は、カードの厚みに追従して変位可能な可動ローラからなる。また、搬送ローラにより取り込んだ複数枚のカードを格納するための空間部が設けられる。そして、排出した複数枚のカードを装置内に再度取り込む際には、空間部を搬送力のない状態として、全てのカードが搬送ローラを通り過ぎるまで当該搬送ローラによりカードを搬送し、搬送された複数枚のカードを空間部へ格納する。
【0008】
このようにすると、排出したカードの再取り込み時には、カードの厚みに追従して可動ローラが変位するので、排出方向にずれたカードに対しても、上下のカードが搬送ローラを通り抜けた後に搬送力を伝えることができ、その結果、全てのカードを搬送ローラを通り抜けるまで搬送することができる。そして、搬送ローラを通り抜けたカードは、搬送力のない空間部に格納されるため、先に通過したカードと、ずれにより遅れて搬送されるカードとは、いずれも搬送ローラを通り抜けた時点で停止することになる。したがって、全てのカードを確実に装置内の同一位置に整列状態で取り込むことができる。また、取り込まれたカードは整列状態にあるため、再排出が容易となる。
【0009】
本発明においては、空間部を、カードが搬送されるカード搬送路の途中に設けてもよい。このとき、空間部を含むカード搬送路は直線となる。
【0010】
このような構成を採用した場合は、搬送路が直線であることから、カードを曲げる等の余分な負荷をカードに与える必要がないため、カードに対する負荷が少なくて済み、カードが搬送路の途中で引っかかる可能性も低くなる。
【0011】
上記のように空間部をカード搬送路の途中に設けた場合は、空間部の位置に、一対の対向する第2の搬送ローラを設けてもよい。このとき、第2の搬送ローラは、常時は近接した状態にあり、排出した複数枚のカードを装置内に再度取り込む際には離間した状態となる。そして、第2の搬送ローラの離間によって空間部が形成される。
【0012】
このような構成を採用した場合は、複数枚のカードを取り込む際に、第2の搬送ローラを離間させることで空間部が形成され、この空間部にカードを格納することができる。また、格納したカードを排出する際には、第2の搬送ローラを近接させることで複数枚のカードが第2の搬送ローラに挟持され、カードは搬送力が付与されて排出が可能となる。
【0013】
また、本発明においては、空間部を、カードが搬送されるカード搬送路から分岐した位置に設けてもよい。この場合、排出した複数枚のカードを装置内に再度取り込む際に、当該カードを空間部に導くための案内部材が設けられる。
【0014】
このような構成を採用した場合は、第2の搬送ローラの離間により空間部を形成する必要がないので、第2の搬送ローラを接離させるための駆動機構が不要となる。
【0015】
上記のように空間部をカード搬送路から分岐した位置に設けた場合は、空間部に格納された複数枚のカードを再度排出する際に、当該カードを排出方向に押し出す押し板を設けることが推奨される。
【0016】
このような押し板を設け、カード排出時に、搬送ローラによる搬送とあわせて押し板でカードを押し出すようにすれば、排出搬送力が大きくなって、より確実にカードを排出することができる。
【0017】
また、本発明においては、排出する複数枚のカードを重ね合わせて保留する保留部を設け、空間部をこの保留部に隣接して設けてもよい。
【0018】
このような構成を採用した場合は、空間部をカード全体が格納可能な大きさにしなくても、保留部となる空間の一部をカード取り込み時の格納空間に利用することができる。このため、空間部のスペースが少なくて済み、装置の大型化を抑制することができる。
【0019】
上記保留部は、可動ローラがこれと対向する搬送ローラから離間することにより形成することができる。この場合、可動ローラをこれと対向する搬送ローラに対して近接または離間させるソレノイドを設け、ソレノイドの自動復帰用のばね力により、可動ローラをカードの厚みに追従して変位させることが推奨される。
【0020】
このような構成を採用した場合は、ソレノイドの自動復帰用のばね力を利用して、可動ローラをカードの厚みに追従させることができるので、この追従のための専用部品が不要となり、部品点数の増加を抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、3枚以上のカードを取り扱う場合でも、複数枚のカードを確実に取り込むことができ、また、取り込んだカードは整列状態となるため再排出が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は、本発明の第1実施形態に係るカード処理装置の概略構成図である。カード処理装置100は、カードの挿入および排出を行う挿入排出部1、一括排出する複数枚のカードを重ね合わせるためのカードスタック部2、排出したカードを再度取り込む際にカードを格納するための格納部3、および後方の処理部(図示省略)との間でカードの受け渡しを行う搬送部4の4つのブロックから構成される。
【0024】
挿入排出部1は、カードの出入口aを開閉するためのシャッタ5と、このシャッタ5を駆動するアクチュエータとしてのソレノイド6とを備えている。ソレノイド6は、コイルへの通電によりプランジャが吸引されてON状態となり、通電の停止により自動復帰用のばね力でプランジャが復帰してOFF状態となる。シャッタ5は、ソレノイド6のプランジャと連動して動作し、ソレノイド6のOFF時はシャッタ5が閉位置(図1)にあり、ソレノイド6のON時はシャッタ5が開位置(図7)へ移動する。カードの挿入・排出時以外は、シャッタ5は閉じている。
【0025】
カードスタック部2には、カードの挟持および搬送を行うための一対の搬送ローラ7、8が対向して設けられている。上側の搬送ローラ7は固定式の搬送ローラである。下側の搬送ローラ8は、本発明における可動ローラの一例であって、後述するように、カードの厚みに追従して変位可能となっている。また、カードスタック部2には、カードの搬送方向を規制するための上搬送ガイド9、重なったカードを保持するスタックガイド10、および搬送ローラ8の駆動源となるソレノイド12が設けられている。11は、ソレノイド12により搬送ローラ8を下側に開く際の回転支点であり、ソレノイド12がONすると、搬送ローラ8は、図示しないアームを介して回転支点11を中心として下側に回動する。13は、搬送ローラ7、8の横に配置され、カードが通過したことを検知するためのセンサである。センサ13としては、例えば、投光素子と受光素子とを備えた光センサを用いることができる。なお、スタックガイド10は、搬送ローラ8が開閉する動作に追従して、上下にスライド可能となっている。ソレノイド12は、ソレノイド6と同様に、ばね力によりOFF状態へ自動復帰するソレノイドである。ソレノイド12のOFF時には、搬送ローラ8は閉位置(図1)にあって、搬送ローラ7と搬送ローラ8は近接した状態にある。なお、ここでいう近接とは当接も含む概念である(以下同様)。一方、ソレノイド12のON時には、搬送ローラ8は開位置(図2)にあって、搬送ローラ7と搬送ローラ8は離間した状態にある。
【0026】
格納部3には、カードの挟持および搬送を行うための一対の搬送ローラ18、19が対向して設けられている。上側の搬送ローラ19は、駆動力が付与されない従動ローラであり、下側の搬送ローラ18との間にカードを挟持した状態で、下側の搬送ローラ18の回転に従動して回転する。これらの搬送ローラ18、19は、本発明における第2の搬送ローラの一例である。また、格納部3には、カードの搬送方向を規制するための上搬送ガイド9、重なったカードを保持する格納ガイド20、および搬送ローラ18の駆動源となるソレノイド22が設けられている。21は、ソレノイド22により搬送ローラ18を下側に開く際の回転支点であり、ソレノイド22がONすると、搬送ローラ18は、図示しないアームを介して回転支点21を中心として下側に回動する。23は、搬送ローラ18、19の横に配置され、カードが通過したことを検知するためのセンサである。センサ23としては、センサ13と同様の光センサを用いることができる。なお、格納ガイド20は、搬送ローラ18が開閉する動作に追従して、上下にスライド可能となっている。ソレノイド22は、ソレノイド6、12と同様に、ばね力によりOFF状態へ自動復帰するソレノイドである。ソレノイド22のOFF時には、搬送ローラ18は閉位置(図1)にあって、搬送ローラ18と搬送ローラ19は近接した状態にある。一方、ソレノイド22のON時には、搬送ローラ18は開位置(図8)にあって、搬送ローラ18と搬送ローラ19は離間した状態にある。
【0027】
搬送部4には、カードの挟持および搬送を行うための一対の搬送ローラ14、15が対向して設けられており、また、カードの搬送方向を規制するための上搬送ガイド9、搬送されるカードを案内するための下搬送ガイド16、および搬送ローラ7、8、14、15、18を共通に駆動するためのステッピングモータ17を備えている。
【0028】
上搬送ガイド9と、スタックガイド10、格納ガイド20、および下搬送ガイド16との間に、カードが搬送されるカード搬送路bが形成される。
【0029】
次に、上述した構成からなるカード処理装置100の動作につき、図2〜図12を参照して説明する。以下では、3枚のカードを取り込み、装置内で必要な処理を実行した後、これらのカードを重ねて一括排出する場合を例に挙げて説明する。
【0030】
取り込まれた3枚のカードは、搬送部4の後方(図で左側)にある図示しない処理部に保持されている。カードを排出する場合は、まず、図2のように、カードスタック部2のソレノイド12をONして搬送ローラ8を搬送ローラ7から離間させ、カードを一時的に保留するための保留部24を確保する。そして、この状態で、ステッピングモータ17を排出方向に駆動し、図3に示すように、処理部から送られてきた1枚目のカード32を、矢印で示す排出方向に搬送する。
【0031】
搬送された1枚目のカード32が格納部3の搬送ローラ18、19を通過し終ると、カード32は、図4に示すように、保留部24に落とし込まれる。また、センサ23が、1枚目のカードが搬送ローラ18、19を通過したことを検知(遮光から透光への変化を検知)すると、2枚目のカードの搬送へ移行する。2枚目のカードが搬送ローラ18、19を通過し終ると、このカードは保留部24に落とし込まれ、1枚目のカードの上に重ねられる。3枚目のカードについても同様に、搬送ローラ18、19を通過し終ると保留部24に落とし込まれ、2枚目のカードの上に重ねられる。この結果、図5に示すように、保留部24には3枚のカード32が重なった状態で保留される。
【0032】
3枚目のカードの重ね合わせが終わった時点で、ステッピングモータ17を停止する。そして、ソレノイド12をOFFにして、搬送ローラ8を閉状態に戻し、図6に示すように、搬送ローラ7、8により3枚のカード32を挟持する。このとき、搬送ローラ8は、ソレノイド12の自動復帰用のばね力により、カード32に圧接する。次に、図7に示すように、挿入排出部1のソレノイド6をONしてシャッタ5を開状態にするとともに、ステッピングモータ17を排出方向に駆動して搬送ローラ7、8を回転させ、重ね合わせた3枚のカード32を出入口aから一括排出する。
【0033】
排出したカード32が抜き取られないまま所定時間が経過し、取り忘れと判断された場合は、カードの再取り込み動作に移行する。まず、図8のように、格納部3のソレノイド22をONして搬送ローラ18を搬送ローラ19から離間させ、再取り込み時のカード32を格納するための再格納エリアとなる空間部25を確保する。そして、この状態で、ステッピングモータ17を取り込み方向に駆動し、図8に示すように、搬送ローラ7、8により3枚のカード32を挟持して、矢印で示す取り込み方向に搬送する。そして、全てのカード32が搬送ローラ7、8を通過したことをセンサ13が検知(遮光から透光への変化を検知)するまで、搬送ローラ7、8を回転させてカード32の搬送を行う。これにより、カード32は格納部3の空間部25へ送られる。このとき、格納部3の搬送ローラ18、19が離間しているため、空間部25ではカードに対して搬送力は付与されない。したがって、カード32は、その後端(図では右端)が搬送ローラ7、8を通過し終わった時点で、搬送力を受けなくなって停止し、図9に示すように、整列して重なった状態で空間部25に格納される。この空間部25は保留部24(図2)と隣接しているので、保留部24となる空間の一部をカード32の格納空間に利用することができる。したがって、空間部25にはカード32の一部が格納される。
【0034】
ここで、排出したカード32に対する顧客の操作等に起因して、カード32の重なりにずれが生じ、図10に示すように、上下のカード32a、32cに挟まれた中間のカード32bだけが排出方向に飛び出した状態となった場合を考える。このとき、上下のカード32a、32cは排出搬送ローラ7、8により搬送されるが、格納部3の搬送ローラ18、19が離間しているため、空間部25ではカードに対して搬送力は付与されない。したがって、上下のカード32a、32cは、その後端(図では右端)が搬送ローラ7、8を通過し終わった時点で、搬送力を受けなくなって停止する。
【0035】
一方、上下のカード32a、32cが搬送ローラ7、8を通過し終わると、搬送ローラ8がソレノイド1の復帰ばね力によりカードの厚みに追従して上方へ変位し、中間のカード32bに圧接する。これにより、カード32bは搬送ローラ7、8に挟持されて、図11に示すように装置内部に取り込まれる。そして、カード32bは、その後端が搬送ローラ7、8を通過し終わった時点、すなわち先に通過したカード32a、32cと同じ位置まで搬送された時点で停止する。この結果、図9で示したように、3枚のカード32は整列して重なった状態で空間部25に格納される。したがって、再取り込み開始時点でずれた状態にあるカード(図10)と、ずれていないカード(図8)のいずれを再取り込みする場合においても、全てのカード32を取り込んで同一の位置に整列させることができる。
【0036】
再取り込みしたカードを再び排出する場合は、図12に示すように、ソレノイド22をOFFにして、格納部3の搬送ローラ18を閉状態に戻す。このとき、搬送ローラ18は、ソレノイド22の復帰ばね力によりカード32に圧接し、カード32が搬送ローラ18、19に挟持される。また、カードスタック部2のソレノイド12をONして搬送ローラ8を開き、カード32を一時保留する保留部24を確保する。この状態で、ステッピングモータ17を排出方向に駆動し、搬送ローラ18、19を回転させて、全てのカード32が搬送ローラ18、19を通過したことをセンサ23が検知(遮光から透光への変化を検知)するまで、カード32の搬送を行う。この結果、カード32は図5で示した状態となるので、以降は図6および図7と同様のカード排出動作を行えばよい。このような再取り込みしたカードの再排出は、金融機関等の係員の操作により行われる。
【0037】
図24〜図26は、上述したカード処理装置100の動作を示したフローチャートである。これらの手順は、図示しない処理部に備わる制御回路のCPUにより実行される。
【0038】
図24はカード排出時の手順を示している。ステップS1では、ソレノイド12をONし、カードスタック部2に保留部24を確保する(図2)。ステップS2で、ステッピングモータ17を排出方向に駆動し、ステップS3で、カードを1枚搬送する(図3)。そして、ステップS4で、カードが搬送ローラ18、19を通過し終わったか否かをセンサ23で監視し、通過が検知されると(図4)、ステップS5で、所定枚数のカードの通過が完了したかどうかを判定する。通過が完了してなければ(ステップS5:NO)、ステップS3へ戻り、通過が完了すれば(ステップS5:YES)、ステップS6へ進んで、ステッピングモータ17を停止する(図5)。
【0039】
続いて、ステップS7でソレノイド12をOFFにして、搬送ローラ7、8で保留部24のカード32を挟持し(図6)、ステップS8でソレノイド6をONにして、シャッタ5を開く。そして、ステップS9で、ステッピングモータ17を排出方向に駆動し、ステップS10で、重なったカード32を排出位置まで搬送する(図7)。排出位置まで搬送したかどうかは、ステッピングモータ17の回転数に基づいて判断してもよいし、図示しないセンサの検知出力に基づいて判断してもよい。
【0040】
その後、ステップS11で、排出したカード32が抜き取られたかどうかをセンサ13の出力に基づいて監視し、カードが抜き取られた場合は(ステップS11:YES)、処理を終了する。また、カードが抜き取られなかった場合は(ステップS11:NO)、ステップS12で、所定時間が経過したかどうかを監視する。所定時間が経過しないうちは(ステップS12:NO)、ステップS11、S12を反復する。そして、所定時間が経過すると(ステップS12:YES)、ステップS13のカード再取り込み動作へ移行する。
【0041】
図25は、ステップS13のカード再取り込み動作の詳細手順である。ステップS21で、ソレノイド22をONして、格納部3に空間部25を確保する(図8)。ステップS22で、ステッピングモータ17を取り込み方向に駆動し、ステップS23で、重なったカード32を搬送ローラ7、8により搬送する(図8、図10、図11)。そして、ステップS24で、全てのカードが搬送ローラ7、8を通過し終わったか否かをセンサ13で監視し、通過が検知されると、ステップS25へ進んで、ステッピングモータ17を停止する(図9)。
【0042】
図26はカード再排出時の手順を示している。ステップS31で、ソレノイド22をOFFして、搬送ローラ18、19でカード32を挟持し、ステップS32で、ソレノイド12をONして、カードスタック部2に保留部24を確保する(図12)。そして、ステップS33で、ステッピングモータ17を排出方向に駆動し、ステップS34で、重なったカード32を排出位置まで搬送し(図7)、ステップS35で、ステッピングモータ17を停止する。その後、図24のステップS7へ移り、以降の手順によりカード32を再排出する。
【0043】
以上述べた第1実施形態のカード処理装置100においては、排出したカード32の再取り込み時には、カード32の厚みに追従して搬送ローラ8が変位するので、図10のように排出方向にずれたカード32bに対しても、上下のカード32a、32cが搬送ローラ7、8を通り抜けた後に搬送力を伝えることができ、その結果、全てのカード32を搬送ローラ7、8を通り抜けるまで搬送することができる。そして、搬送ローラ7、8を通り抜けたカードは、搬送力のない空間部25に格納されるため、先に通過したカード32a、32cと、ずれにより遅れて搬送されるカード32bとは、いずれも搬送ローラ7、8を通り抜けた時点で停止することになる。したがって、全てのカード32を確実に装置内の同一位置に整列状態で取り込むことができる。また、取り込まれたカード32は整列状態にあるため、再排出が容易となる。
【0044】
また、第1実施形態では、空間部25がカード搬送路bの途中に設けられており、空間部25を含むカード搬送路bが直線となっている。このため、カードを曲げる等の余分な負荷をカード32に与える必要がないので、カード32に対する負荷が少なくて済み、カード32が搬送路bの途中で引っかかる可能性も低くなる。
【0045】
また、第1実施形態では、空間部25を保留部24に隣接して設けており、空間部25をカード全体が格納可能な大きさにしなくても、保留部24となる空間の一部をカード取り込み時の格納空間に利用することができる。このため、空間部25のスペースが少なくて済み、装置の大型化を抑制することができる。
【0046】
さらに、第1実施形態では、ソレノイド12の自動復帰用のばね力により、搬送ローラ8をカード32の厚みに追従して変位させるようにしているので、この追従のための専用部品が不要となり、部品点数の増加を抑制することができる。
【0047】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図13は、本発明の第2実施形態に係るカード処理装置の概略構成図である。図13において、図1と同一部分または対応部分には、同一符号を付してある。カード処理装置200は、挿入排出部1、カードスタック部2、格納部3、および搬送部4の4つのブロックから構成される。挿入排出部1と搬送部4の構成は図1と同じであるが、カードスタック部2と格納部3の構成は図1と異なっている。したがって、以下では挿入排出部1と搬送部4についての説明は省略し、カードスタック部2と格納部3について説明する。
【0048】
格納部3において、カードの挟持および搬送を行うための一対の搬送ローラ18、26が対向して設けられている。搬送ローラ18、26のそれぞれには、ステッピングモータ17により駆動力が付与される。また、格納部3には、カードの搬送方向を規制するための上搬送ガイド9と下搬送ガイド20、再取り込み時のカードを格納するための再格納エリアとなる空間部25、空間部25に格納したカードを押し出すための押し板29、押し板29に連結されたタイミングベルト30、およびタイミングベルト30を駆動するためのギアモータ31が設けられている。ここでは、空間部25は、下搬送ガイド20を延長してU字形に折曲することにより形成されているが、下搬送ガイド20とは別に設けたU字形の部材により空間部25を形成してもよい。23は搬送ローラ18、26の横に配置され、カードが通過したことを検知するためのセンサである。
【0049】
カードスタック部2において、カードの挟持および搬送を行うための一対の搬送ローラ7、8が対向して設けられている。この搬送ローラ7、8は、図1のものと同じである。また、カードスタック部2には、カードの搬送方向を規制するための上搬送ガイド9、重なったカードを保持するスタックガイド10、および搬送ローラ8の駆動源となるソレノイド12が設けられている。11は、ソレノイド12により搬送ローラ8を下側に開く際の回転支点であり、ソレノイド12がONすると、搬送ローラ8は、図示しないアームを介して回転支点11を中心として下側に回動する。13は、搬送ローラ7、8の横に配置され、カードが通過したことを検知するためのセンサである。スタックガイド10は、搬送ローラ8が開閉する動作に追従して、上下にスライド可能となっている。ソレノイド12は、ばね力によりOFF状態へ自動復帰するソレノイドである。ソレノイド12のOFF時には、搬送ローラ8は閉位置(図13)にあって、搬送ローラ7と搬送ローラ8は近接した状態にある。一方、ソレノイド12のON時には、搬送ローラ8は開位置(図14)にあって、搬送ローラ7と搬送ローラ8は離間した状態にある。以上に関しては、図1と基本的に同じである。
【0050】
カードスタック部2には、さらに、カードを再取り込みする際に搬送方向を切り替えて、カードを空間部25に導くための案内部材27と、この案内部材27の駆動源となるソレノイド28とが設けられている。ソレノイド28は、ばね力によりOFF状態へ自動復帰するソレノイドである。ソレノイド28のOFF時には、案内部材27は図13の状態にあって、取り込まれたカードを格納部3および搬送部4の搬送路bに案内する。一方、ソレノイド28のON時には、案内部材27は下方へ回動して図19の状態に切り替わり、取り込まれたカードを格納部3の空間部25へ案内する。
【0051】
次に、上述した構成からなるカード処理装置200の動作につき、図14〜図23を参照して説明する。以下では、3枚のカードを取り込み、装置内で必要な処理を実行した後、これらのカードを重ねて一括排出する場合を例に挙げて説明する。
【0052】
取り込まれた3枚のカードは、搬送部4の後方(図で左側)にある図示しない処理部に保持されている。カードを排出する場合は、まず、図14のように、カードスタック部2のソレノイド12をONして搬送ローラ8を搬送ローラ7から離間させ、カードを一時的に保留するための保留部24を確保する。そして、この状態で、ステッピングモータ17を排出方向に駆動し、処理部から送られてきた1枚目のカード32を、矢印で示す排出方向に搬送する。
【0053】
搬送された1枚目のカード32が格納部3の搬送ローラ18、19を通過し終ると、カード32は、図15に示すように、保留部24に落とし込まれる。また、センサ23が、1枚目のカードが搬送ローラ18、19を通過したことを検知(遮光から透光への変化を検知)すると、2枚目のカードの搬送へ移行する。2枚目のカードが搬送ローラ18、19を通過し終ると、このカードは保留部24に落とし込まれ、1枚目のカードの上に重ねられる。3枚目のカードについても同様に、搬送ローラ18、19を通過し終ると保留部24に落とし込まれ、2枚目のカードの上に重ねられる。この結果、図16に示すように、保留部24には3枚のカード32が重なった状態で保留される。
【0054】
3枚目のカードの重ね合わせが終わった時点で、ステッピングモータ17を停止する。そして、ソレノイド12をOFFにして、搬送ローラ8を閉状態に戻し、図17に示すように、搬送ローラ7、8により3枚のカード32を挟持する。このとき、搬送ローラ8は、ソレノイド12の自動復帰用のばね力により、カード32に圧接する。次に、図18に示すように、挿入排出部1のソレノイド6をONしてシャッタ5を開状態にするとともに、ステッピングモータ17を排出方向に駆動して搬送ローラ7、8を回転させ、重ね合わせた3枚のカード32を出入口aから一括排出する。ここまでの動作は、第1実施形態の場合(図2〜図7)と基本的に同じである。
【0055】
排出したカード32が抜き取られないまま所定時間が経過し、取り忘れと判断された場合は、カードの再取り込み動作に移行する。まず、図19のように、ソレノイド28をONして案内部材27を下げ、再取り込みされるカード32の搬送方向を空間部25側に切り替える。そして、ステッピングモータ17を取り込み方向に駆動し、搬送ローラ7、8により3枚のカード32を挟持して、矢印で示す取り込み方向に搬送する。そして、全てのカード32が搬送ローラ7、8を通過したことをセンサ13が検知(遮光から透光への変化を検知)するまで、搬送ローラ7、8を回転させてカード32の搬送を行う。これにより、カード32は、案内部材27に案内されて格納部3の空間部25へ送られる。このとき、空間部25には搬送力を付与する手段がないので、カード32は、その後端(図では右端)が搬送ローラ7、8を通過し終わった時点で、搬送力を受けなくなって停止し、図20に示すように、整列して重なった状態で空間部25に格納される。この空間部25は保留部24(図14)と隣接しているので、保留部24となる空間の一部をカード32の格納空間に利用することができる。したがって、空間部25にはカード32の一部が格納される。
【0056】
ここで、排出したカード32に対する顧客の操作等に起因して、カード32の重なりにずれが生じ、図21に示すように、上下のカード32a、32cに挟まれた中間のカード32bだけが排出方向に飛び出した状態となった場合を考える。このとき、上下のカード32a、32cは排出搬送ローラ7、8により搬送されるが、空間部25ではカードに搬送力が付与されないため、上下のカード32a、32cは、その後端(図では右端)が搬送ローラ7、8を通過し終わった時点で、搬送力を受けなくなって停止する。
【0057】
一方、上下のカード32a、32cが搬送ローラ7、8を通過し終わると、搬送ローラ8がソレノイド1の復帰ばね力によりカードの厚みに追従して上方へ変位し、中間のカード32bに圧接する。これにより、カード32bは搬送ローラ7、8に挟持されて、図22に示すように装置内部に取り込まれる。そして、カード32bは、その後端が搬送ローラ7、8を通過し終わった時点、すなわち先に通過したカード32a、32cと同じ位置まで搬送された時点で停止する。この結果、図20で示したように、3枚のカード32は整列して重なった状態で空間部25に格納される。したがって、再取り込み開始時点でずれた状態にあるカード(図21)と、ずれていないカード(図19)のいずれを再取り込みする場合においても、全てのカード32を取り込んで同一の位置に整列させることができる。
【0058】
再取り込みしたカードを再び排出する場合は、図23に示すように、カードスタック部2のソレノイド12をONして搬送ローラ8を開き、カード32を一時保留する保留部24を確保する。そして、この状態でギアモータ31を駆動し、タイミングベルト30を介して、押し板29を矢印で示すカード排出方向に移動させ、空間部25のカード32を保留部24へ押し出す。この結果、カード32は図16で示した状態となるので、以降は図17および図18と同様のカード排出動作を行えばよい。このような再取り込みしたカードの再排出は、金融機関等の係員の操作により行われる。なお、図23では、案内部材27が下がった状態となっているが、案内部材27を上がった状態にしてもよい。
【0059】
図27〜図29は、上述したカード処理装置200の動作を示したフローチャートである。これらの手順は、図示しない処理部に備わる制御回路のCPUにより実行される。
【0060】
図27はカード排出時の手順を示している。ステップS41では、ソレノイド12をONし、カードスタック部2に保留部24を確保する(図14)。ステップS42で、ステッピングモータ17を排出方向に駆動し、ステップS43で、カードを1枚搬送する(図14)。そして、ステップS44で、カードが搬送ローラ18、26を通過し終わったか否かをセンサ23で監視し、通過が検知されると(図15)、ステップS45で、所定枚数のカードの通過が完了したかどうかを判定する。通過が完了してなければ(ステップS45:NO)、ステップS43へ戻り、通過が完了すれば(ステップS45:YES)、ステップS46へ進んで、ステッピングモータ17を停止する(図16)。
【0061】
続いて、ステップS47でソレノイド12をOFFにして、搬送ローラ7、8で保留部24のカード32を挟持し(図17)、ステップS48でソレノイド6をONにして、シャッタ5を開く。そして、ステップS49で、ステッピングモータ17を排出方向に駆動し、ステップS50で、重なったカード32を排出位置まで搬送する(図18)。排出位置まで搬送したかどうかは、ステッピングモータ17の回転数に基づいて判断してもよいし、図示しないセンサの検知出力に基づいて判断してもよい。
【0062】
その後、ステップS51で、排出したカード32が抜き取られたかどうかをセンサ13の出力に基づいて監視し、カードが抜き取られた場合は(ステップS51:YES)、処理を終了する。また、カードが抜き取られなかった場合は(ステップS51:NO)、ステップS52で、所定時間が経過したかどうかを監視する。所定時間が経過しないうちは(ステップS52:NO)、ステップS51、S52を反復する。そして、所定時間が経過すると(ステップS52:YES)、ステップS53のカード再取り込み動作へ移行する。
【0063】
図28は、ステップS53のカード再取り込み動作の詳細手順である。ステップS61で、ソレノイド28をONして案内部材27を下げ(図19)、ステップS62で、ステッピングモータ17を取り込み方向に駆動し、ステップS63で、重なったカード32を搬送ローラ7、8により搬送する(図19、図21、図22)。そして、ステップS64で、全てのカードが搬送ローラ7、8を通過し終わったか否かをセンサ13で監視し、通過が検知されると、ステップS65へ進んで、ステッピングモータ17を停止する(図20)。
【0064】
図29はカード再排出時の手順を示している。ステップS71で、ソレノイド12をONして、カードスタック部2に保留部24を確保する(図23)。ステップS72で、ギアモータ31を駆動し、ステップS73で、押し板29をカード排出方向に移動して、重なったカード32を押し出す(図23)。そして、ステップS74で、押し板29が所定量移動したかどうかを判定する。この判定は、ギアモータ31の回転数に基づいて判断してもよいし、図示しないセンサの検知出力に基づいて判断してもよい。押し板29が所定量移動してなければ(ステップS74:NO)、ステップS73へ戻り、所定量移動すれば(ステップS74:YES)、ステップS75で、ソレノイド28をOFFするとともに、ステップS76で、押し板29を元の位置へ戻す。その後、図27のステップS47へ移り、以降の手順によりカード32を再排出する。
【0065】
以上述べた第2実施形態のカード処理装置200においては、排出したカード32の再取り込み時には、カード32の厚みに追従して搬送ローラ8が変位するので、図21のように排出方向にずれたカード32bに対しても、上下のカード32a、32cが搬送ローラ7、8を通り抜けた後に搬送力を伝えることができ、その結果、全てのカード32を搬送ローラ7、8を通り抜けるまで搬送することができる。そして、搬送ローラ7、8を通り抜けたカードは、搬送力のない空間部25に格納されるため、先に通過したカード32a、32cと、ずれにより遅れて搬送されるカード32bとは、いずれも搬送ローラ7、8を通り抜けた時点で停止することになる。したがって、全てのカード32を確実に装置内の同一位置に整列状態で取り込むことができる。また、取り込まれたカード32は整列状態にあるため、再排出が容易となる。
【0066】
また、第2実施形態の場合は、空間部25がカード搬送路bから分岐した位置に設けられているため、カードの再取り込み時にカード32を曲げることになり、カード32の負荷が増加するが、押し板29の可動範囲を空間部25の後端からカード排出時のカード後端位置までの範囲に設定しておき、カード排出時にローラ7、8による搬送と合わせて、押し板29によるカードの押し出す動作を行うことにより、排出搬送力が大きくなって、より確実にカードを排出することができる。また、保留部24に保留されている重なったカード32を押し板29で押すことで、カード32を容易に整列させることもできる。さらに、第2実施形態では、搬送ローラ18、26の離間により空間部25を形成する必要がないので、搬送ローラ18、26を接離させるための駆動機構が不要となる。
【0067】
また、第2実施形態においても、空間部25を保留部24に隣接して設けており、空間部25をカード全体が格納可能な大きさにしなくても、保留部24となる空間の一部をカード取り込み時の格納空間に利用することができる。このため、空間部25のスペースが少なくて済み、装置の大型化を抑制することができる。
【0068】
また、第2実施形態においても、ソレノイド12の自動復帰用のばね力により、搬送ローラ8をカード32の厚みに追従して変位させるようにしているので、この追従のための専用部品が不要となり、部品点数の増加を抑制することができる。
【0069】
本発明では、以上述べた以外にも、種々の実施形態を採用することができる。例えば、前記各実施形態においては、搬送ローラ7と搬送ローラ8の双方がステッピングモータ17の駆動力により回転する方式を例に挙げたが、片方の搬送ローラのみが回転する機構であっても、同様の効果が期待できる。
【0070】
また、前記各実施形態においては、ソレノイド6、12、22、28、ステッピングモータ17、タイミングベルト30、ギアモータ31などの駆動手段を用いたが、これらの駆動手段は、同等の機能を有する他の駆動手段であってもよい。
【0071】
また、前記各実施形態においては、キャッシュカードと振込みカードを例に挙げたが、本発明のカード処理装置で取り扱うカードは、クレジットカード、ICカード、IC付き磁気カード、非接触カード等であってもよい。
【0072】
さらに、前記各実施形態においては、金融機関等のATMに搭載されるカード処理装置を例に挙げたが、本発明は、交通機関で用いられる定期券発行機などに搭載されるカード処理装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1実施形態に係るカード処理装置の概略構成図である。
【図2】同カード処理装置のカード排出動作を説明する図である。
【図3】同カード処理装置のカード排出動作を説明する図である。
【図4】同カード処理装置のカード排出動作を説明する図である。
【図5】同カード処理装置のカード排出動作を説明する図である。
【図6】同カード処理装置のカード排出動作を説明する図である。
【図7】同カード処理装置のカード排出動作を説明する図である。
【図8】同カード処理装置のカード再取り込み動作を説明する図である。
【図9】同カード処理装置のカード再取り込み動作を説明する図である。
【図10】同カード処理装置のカード再取り込み動作を説明する図である。
【図11】同カード処理装置のカード再取り込み動作を説明する図である。
【図12】同カード処理装置のカード再排出動作を説明する図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係るカード処理装置の概略構成図である。
【図14】同カード処理装置のカード排出動作を説明する図である。
【図15】同カード処理装置のカード排出動作を説明する図である。
【図16】同カード処理装置のカード排出動作を説明する図である。
【図17】同カード処理装置のカード排出動作を説明する図である。
【図18】同カード処理装置のカード排出動作を説明する図である。
【図19】同カード処理装置のカード再取り込み動作を説明する図である。
【図20】同カード処理装置のカード再取り込み動作を説明する図である。
【図21】同カード処理装置のカード再取り込み動作を説明する図である。
【図22】同カード処理装置のカード再取り込み動作を説明する図である。
【図23】同カード処理装置のカード再排出動作を説明する図である。
【図24】第1実施形態におけるカード排出動作の手順を示したフローチャートである。
【図25】第1実施形態におけるカード再取り込み動作の手順を示したフローチャートである。
【図26】第1実施形態におけるカード再排出動作の手順を示したフローチャートである。
【図27】第2実施形態におけるカード排出動作の手順を示したフローチャートである。
【図28】第2実施形態におけるカード再取り込み動作の手順を示したフローチャートである。
【図29】第2実施形態におけるカード再排出動作の手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
1 挿入排出部
2 カードスタック部
3 格納部
4 搬送部
7、8 搬送ローラ
12 ソレノイド
18、19 搬送ローラ
24 保留部
25 空間部
27 案内部材
29 押し板
32 カード
100 カード処理装置
200 カード処理装置
a 出入口
b カード搬送路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードを挟持して搬送する一対の搬送ローラを有し、前記搬送ローラにより複数枚のカードを装置内に取り込み、カードの排出時は、前記カードを重ね合わせて前記搬送ローラにより一括して排出するカード処理装置において、
前記搬送ローラの一方は、カードの厚みに追従して変位可能な可動ローラからなり、
前記搬送ローラにより取り込んだ複数枚のカードを格納するための空間部が設けられ、
排出した複数枚のカードを装置内に再度取り込む際には、前記空間部を搬送力のない状態として、全てのカードが前記搬送ローラを通り過ぎるまで当該搬送ローラによりカードを搬送し、搬送された複数枚のカードを前記空間部へ格納することを特徴とするカード処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカード処理装置において、
前記空間部は、前記カードが搬送されるカード搬送路の途中に設けられ、
前記空間部を含むカード搬送路が直線となっていることを特徴とするカード処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載のカード処理装置において、
前記空間部の位置に、一対の対向する第2の搬送ローラを備え、
前記第2の搬送ローラは、常時は近接した状態にあり、排出した複数枚のカードを装置内に再度取り込む際には離間した状態となり、
前記第2の搬送ローラの離間によって前記空間部が形成されることを特徴とするカード処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載のカード処理装置において、
前記空間部は、前記カードが搬送されるカード搬送路から分岐した位置に設けられ、
排出した複数枚のカードを装置内に再度取り込む際に、当該カードを前記空間部に導くための案内部材を有することを特徴とするカード処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載のカード処理装置において、
前記空間部に格納された複数枚のカードを再度排出する際に、当該カードを排出方向に押し出す押し板を設けたことを特徴とするカード処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のカード処理装置において、
排出する複数枚のカードを重ね合わせて保留する保留部を備え、
前記空間部が、前記保留部に隣接して設けられることを特徴とするカード処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載のカード処理装置において、
前記可動ローラがこれと対向する搬送ローラから離間することにより、前記保留部が形成されることを特徴とするカード処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載のカード処理装置において、
前記可動ローラをこれと対向する搬送ローラに対して近接または離間させるソレノイドを備え、
前記ソレノイドの自動復帰用のばね力により、前記可動ローラをカードの厚みに追従して変位させることを特徴とするカード処理装置。
【請求項1】
カードを挟持して搬送する一対の搬送ローラを有し、前記搬送ローラにより複数枚のカードを装置内に取り込み、カードの排出時は、前記カードを重ね合わせて前記搬送ローラにより一括して排出するカード処理装置において、
前記搬送ローラの一方は、カードの厚みに追従して変位可能な可動ローラからなり、
前記搬送ローラにより取り込んだ複数枚のカードを格納するための空間部が設けられ、
排出した複数枚のカードを装置内に再度取り込む際には、前記空間部を搬送力のない状態として、全てのカードが前記搬送ローラを通り過ぎるまで当該搬送ローラによりカードを搬送し、搬送された複数枚のカードを前記空間部へ格納することを特徴とするカード処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカード処理装置において、
前記空間部は、前記カードが搬送されるカード搬送路の途中に設けられ、
前記空間部を含むカード搬送路が直線となっていることを特徴とするカード処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載のカード処理装置において、
前記空間部の位置に、一対の対向する第2の搬送ローラを備え、
前記第2の搬送ローラは、常時は近接した状態にあり、排出した複数枚のカードを装置内に再度取り込む際には離間した状態となり、
前記第2の搬送ローラの離間によって前記空間部が形成されることを特徴とするカード処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載のカード処理装置において、
前記空間部は、前記カードが搬送されるカード搬送路から分岐した位置に設けられ、
排出した複数枚のカードを装置内に再度取り込む際に、当該カードを前記空間部に導くための案内部材を有することを特徴とするカード処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載のカード処理装置において、
前記空間部に格納された複数枚のカードを再度排出する際に、当該カードを排出方向に押し出す押し板を設けたことを特徴とするカード処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のカード処理装置において、
排出する複数枚のカードを重ね合わせて保留する保留部を備え、
前記空間部が、前記保留部に隣接して設けられることを特徴とするカード処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載のカード処理装置において、
前記可動ローラがこれと対向する搬送ローラから離間することにより、前記保留部が形成されることを特徴とするカード処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載のカード処理装置において、
前記可動ローラをこれと対向する搬送ローラに対して近接または離間させるソレノイドを備え、
前記ソレノイドの自動復帰用のばね力により、前記可動ローラをカードの厚みに追従して変位させることを特徴とするカード処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2009−282658(P2009−282658A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−132697(P2008−132697)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
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