説明

カード挿入部およびカードリーダ

【課題】スキミング用磁気ヘッドによる磁気データの読取を阻止するために磁界発生装置が発生させる磁界を弱めたりしなくても、この磁界がデータ読取用の磁気ヘッドでの磁気データの読取に及ぼす影響を低減することが可能なカードリーダ用のカード挿入部を提供する。
【解決手段】カード挿入部4は、カード2の挿入時に磁気ストライプ2aが通過する箇所に形成される切欠部4cと、カード2の挿入方向の上流側に向かって突出する突出部4bと、突出部4bの内部に配置される磁界発生装置14とを備えている。磁界発生装置14は、コア15とコイル16とを備えるとともに、磁界発生装置14が発生させる磁界を表わす磁力線がカード2の挿入時に磁気ストライプ2aが通過する位置を通過するように、かつ、磁力線のコア15の端面から出ていく方向や磁力線のコア15の端面に入っていく方向がカード2の挿入方向に対して傾くように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ストライプを有するカードが挿入されるカードリーダ用のカード挿入部、および、このカード挿入部を備えるカードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カードに記録された磁気データの読取やカードへの磁気データの記録を行うカードリーダが広く利用されている。カードリーダが利用される金融機関等の業界では、従来、犯罪者がカードリーダのカード挿入部に磁気ヘッドを取り付けて、この磁気ヘッドでカードの磁気データを不正に取得するいわゆるスキミングが大きな問題となっている。そこで、スキミング用の磁気ヘッド(以下、「スキミング用磁気ヘッド」とする。)での磁気データの読取を阻止するための妨害磁界発生器を備えるカードリーダが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のカードリーダでは、カードリーダにカードが挿入されるカード挿入時に妨害磁界発生器が所定時間、駆動して、妨害磁界を発生させる。そのため、スキミング用磁気ヘッドがカード挿入部に取り付けられていても、スキミング用磁気ヘッドによる磁気データの適切な読取を阻止して、磁気データの不正取得を防止することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3936496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のカードリーダは、妨害磁界発生器を備えているため、上述のように、スキミング用磁気ヘッドによる磁気データの読取を阻止することが可能である。しかしながら、このカードリーダの場合、妨害磁界発生器が発生させる磁界が、カードリーダの内部に配置されるデータ読取用の磁気ヘッドでの磁気データの読取に影響を及ぼすおそれがある。かかるおそれを低減させるためには、妨害磁界発生器が発生させる妨害磁界を弱める、あるいは、データ読取用の磁気ヘッドでの磁気データの読取時に妨害磁界の発生を停止させる等の方策が考えられるが、このようにすると、スキミング用磁気ヘッドによる磁気データの読取を阻止できなくなるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、スキミング用磁気ヘッドによる磁気データの読取を阻止するために磁界発生装置が発生させる磁界を弱めたり、カードリーダの内部に配置されるデータ読取用の磁気ヘッドでの磁気データの読取時に磁界の発生を停止させたりしなくても、磁界発生装置が発生させる磁界がデータ読取用の磁気ヘッドでの磁気データの読取に及ぼす影響を低減することが可能なカードリーダ用のカード挿入部を提供することにある。また、本発明の課題は、かかるカード挿入部を備えるカードリーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のカード挿入部は、磁気ストライプを有するカードが挿入されるカードリーダ用のカード挿入部において、カードの挿入時に磁気ストライプが通過する箇所に少なくとも形成される切欠部と、カードの挿入方向に略直交するカードの幅方向において切欠部と隣り合うとともにカードの挿入方向の上流側に向かって突出する突出部と、突出部の内部に配置され磁界を発生させる磁界発生装置とを備え、磁界発生装置は、磁性材料で形成されるコアと、コアに巻回されるコイルとを備えるとともに、磁界発生装置が発生させる磁界を表わす磁力線がカードの挿入時に磁気ストライプが通過する位置を通過するように、かつ、磁力線のコアの端面から出ていく方向および/または磁力線のコアの端面に入っていく方向がカードの挿入方向に対して傾斜するように配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明のカード挿入部では、磁界発生装置は、磁界発生装置が発生させる磁力線がカードの挿入時に磁気ストライプが通過する位置を通過するように配置されている。スキミング用磁気ヘッドは、磁気ストライプが通過する位置に取り付けられるため、本発明では、たとえば、磁界発生装置が発生させる磁界を利用して、スキミング用磁気ヘッドによる磁気データの読取を阻止したり、カード挿入部の前面側にスキミング用磁気ヘッドが取り付けられたことを検知することが可能になる。
【0009】
また、本発明では、磁界発生装置は、磁力線のコアの端面から出ていく方向および/または磁力線のコアの端面に入っていく方向がカードの挿入方向に対して傾斜するように配置されている。そのため、カードの挿入方向の下流側でカードリーダの内部に配置されるデータ読取用の磁気ヘッドに磁界発生装置で発生する磁界の影響が及びにくくなる。したがって、磁界発生装置が発生させる磁界を弱めたり、データ読取用の磁気ヘッドでの磁気データの読取時に磁界の発生を停止させたりしなくても、磁界発生装置が発生させる磁界がデータ読取用の磁気ヘッドでの磁気データの読取に及ぼす影響を低減することが可能になる。
【0010】
また、本発明では、切欠部が、カードの挿入時に磁気ストライプが通過する箇所に形成されているため、犯罪者は、この切欠部にスキミング用磁気ヘッドを取り付けやすくなる。すなわち、スキミング用磁気ヘッドの取付位置を特定しやすくなる。したがって、本発明では、スキミング用磁気ヘッドでの磁気データの読取を阻止するための磁界をスキミング用磁気ヘッドに向けて発生させやすくなり、また、スキミング用磁気ヘッドがカード挿入部の前面側に取り付けられたことを検知しやすくなる。
【0011】
また、本発明では、切欠部にカードの一部を露出させるとともに切欠部に露出するカードの一部をユーザが摘んでカード挿入部から引き抜くための切欠部を形成するために必要となる突出部の内部に磁界発生装置が配置されている。そのため、デッドスペースとなりやすい突出部の内部を利用して、磁界発生装置を配置することができる。したがって、本発明では、磁界発生装置を配置するためのスペースを別途、カード挿入部に設ける必要がなくなり、カード挿入部を小型化することが可能になる。
【0012】
なお、本発明において、「磁力線のコアの端面から出ていく方向および/または磁力線のコアの端面に入っていく方向がカードの挿入方向に対して傾斜する」とは、磁力線のコアの端面から出ていく方向および/または磁力線のコアの端面に入っていく方向がカードの挿入方向に対して平行ではなく、磁力線のコアの端面から出ていく方向および/または磁力線のコアの端面に入っていく方向がカードの挿入方向と交わるようにカードの挿入方向に対して傾いていることを意味する。磁力線のコアの端面から出ていく方向および/または磁力線のコアの端面に入っていく方向がカードの挿入方向に対して傾斜する場合には、磁力線のコアの端面から出ていく方向および/または磁力線のコアの端面に入っていく方向がカードの幅方向と略平行になっている場合も含まれる。
【0013】
本発明において、磁界発生装置は、カードの挿入方向とカードの幅方向とに略直交するカードの厚さ方向から見たときに、磁力線のコアの端面の中心から出ていく方向および/または磁力線のコアの端面の中心に入っていく方向がカードの幅方向と略平行になるように配置されていることが好ましい。すなわち、本発明において、たとえば、コアは、カードの挿入方向とカードの幅方向とに略直交するカードの厚さ方向から見たときに、カードの幅方向を中心軸の方向として配置され、コイルは、コアの中心軸を中心に巻回されていることが好ましい。このように構成すると、カードの挿入方向におけるデータ読取用の磁気ヘッドと磁界発生装置との距離が近くても、データ読取用の磁気ヘッドに磁界発生装置で発生する磁界の影響が及びにくくなる。したがって、磁界発生装置が発生させる磁界がデータ読取用の磁気ヘッドでの磁気データの読取に及ぼす影響を低減しつつ、カードの挿入方向におけるデータ読取用の磁気ヘッドと磁界発生装置との距離を縮めることが可能になり、その結果、カード挿入口が取り付けられるカードリーダを小型化することが可能になる。
【0014】
本発明において、磁界発生装置は、たとえば、カード挿入部の前面側に取り付けられるスキミング用磁気ヘッドによる磁気ストライプに記録された磁気データの読取を妨害するための妨害磁界を発生させる。この場合には、磁界発生装置が発生させる妨害磁界によって、スキミング用磁気ヘッドによる磁気データの読取を阻止することが可能になる。
【0015】
本発明において、磁界発生装置の一部は、カードの挿入方向において、切欠部の、カードの挿入方向における下流側端面よりも下流側に配置されていることが好ましい。また、本発明において、コアの中心軸は、カードの挿入方向において、切欠部の、カードの挿入方向における下流側端面と同じ位置、または、切欠部の下流側端面よりも下流側に配置されていることがより好ましい。カードの挿入方向において、コアの中心軸の位置とスキミング用磁気ヘッドの中心位置とが一致すると、磁界発生装置で妨害磁界を発生させても、この妨害磁界が、スキミング用磁気ヘッドに対して妨害磁界として作用しない。すなわち、カードの挿入方向において、コアの中心軸の位置と、スキミング用磁気ヘッドの中心位置とが一致すると、磁界発生装置で妨害磁界を発生させても、スキミング用磁気ヘッドで読み取られる磁気データにデータ読取妨害用のノイズがのらない。
【0016】
磁界発生装置の一部が、カードの挿入方向において、切欠部の下流側端面よりも下流側に配置されていれば、スキミング用磁気ヘッドの中心位置とコアの中心軸の位置とがカードの挿入方向において一致するのを防止しやすくなる。したがって、この場合には、磁界発生装置で発生させる妨害磁界によって、スキミング用磁気ヘッドでの磁気データの読取をより高い確率で阻止することが可能になる。また、コアの中心軸が、カードの挿入方向において、切欠部の下流側端面と同じ位置、または、切欠部の下流側端面よりも下流側に配置されていれば、スキミング用磁気ヘッドの中心位置とコアの中心軸の位置とがカードの挿入方向において一致するのを防止することができる。したがって、この場合には、磁界発生装置で発生させる妨害磁界によって、スキミング用磁気ヘッドでの磁気データの読取を確実に阻止することが可能になる。
【0017】
本発明において、磁界発生装置は、コイルに電流を供給するためのケーブルを備え、ケーブルは、切欠部の下流端面の近傍で引き回されていることが好ましい。このように構成すると、カードの挿入方向において、コアの中心軸の位置とスキミング用磁気ヘッドの中心位置とを一致させようとして、たとえば、犯罪者がカードの挿入方向の下流側に向かって切欠部の下流端面を削ると、ケーブルが断線する。したがって、たとえば、ケーブルの断線を検知することで、カードの挿入方向において、コアの中心軸の位置とスキミング用磁気ヘッドの中心位置とを一致させるための細工を犯罪者が行ったことを検知することが可能になる。
【0018】
本発明のカード挿入部は、磁気ストライプに記録された磁気データを読み取る磁気ヘッドを備えるカードリーダに用いることができる。このカードリーダでは、磁界発生装置が発生させる磁界を弱めたり、データ読取用の磁気ヘッドでの磁気データの読取時に磁界の発生を停止させたりしなくても、磁界発生装置が発生させる磁界がデータ読取用の磁気ヘッドでの磁気データの読取に及ぼす影響を低減することが可能になる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明のカード挿入部およびカードリーダでは、スキミング用磁気ヘッドによる磁気データの読取を阻止するために磁界発生装置が発生させる磁界を弱めたり、データ読取用の磁気ヘッドでの磁気データの読取時に磁界の発生を停止させたりしなくても、磁界発生装置が発生させる磁界がデータ読取用の磁気ヘッドでの磁気データの読取に及ぼす影響を低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態にかかるカードリーダの斜視図である。
【図2】図1に示すカードリーダの前面側の概略断面図である。
【図3】図1に示すカードリーダの前面側の構成を説明するための概略平面図である。
【図4】図3に示す磁界発生装置の構成を説明するための図である。
【図5】図1に示すカードリーダの効果を説明するための図である。
【図6】本発明の他の実施の形態にかかる磁界発生装置の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
(カードリーダの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の斜視図である。図2は、図1に示すカードリーダ1の前面側の概略断面図である。
【0023】
本形態のカードリーダ1は、カード2に記録された磁気データの読取および/またはカード2への磁気データの記録を行うための装置であり、たとえば、ATM等の所定の上位装置に搭載されて使用される。このカードリーダ1は、図1、図2に示すように、カード2が挿入される挿入口3が形成されるカード挿入部4と、カード2が搬送されるカード搬送路5が形成される本体部6とを備えている。本体部6の内部には、磁気データの読取および/または磁気データの記録を行う磁気ヘッド7と、カード2を搬送するための駆動ローラ8およびパッドローラ9とが配置されている。
【0024】
本形態では、図1等に示すX方向でカード2が搬送される。具体的には、X1方向にカード2が挿入され、X2方向にカード2が排出される。すなわち、X1方向は、カード2の挿入方向であり、X2方向は、カード2の排出方向である。また、X1方向側は、カード2の挿入方向の下流側であり、X2方向側は、カード2の挿入方向の上流側である。さらに、X方向に略直交する図1等のZ方向は、カード2の厚さ方向であり、X方向とZ方向とに略直交する図1等のY方向は、カード2の幅方向(短手幅方向)である。なお、以下の説明では、X1方向側を「奥(後ろ)」側、X2方向側を「前」側、Y1方向側を「右」側、Y2方向側を「左」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
【0025】
カード2は、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。このカード2の裏面(下面)には、磁気データが記録される磁気ストライプ2a(図3参照)が形成されている。なお、カード2の表面にICチップが固定されても良いし、通信用のアンテナがカード2に内蔵されても良い。また、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードであっても良いし、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0026】
カード挿入部4は、本体部6の前端面に取り付けられている。このカード挿入部4の詳細な構成については、後述する。
【0027】
磁気ヘッド7は、そのギャップ部がカード搬送路5に下側から臨むように配置されている。また、磁気ヘッド7は、カード2の磁気ストライプ2aに接触可能な位置に配置されている。磁気ヘッド7の上側には、対向ローラ10が配置されており、磁気ヘッド7と上下方向で対向している。駆動ローラ8は、カード搬送路5に下側から臨むように配置されている。パッドローラ9は、駆動ローラ8の上側で駆動ローラ8に対向しており、駆動ローラ8に向かって付勢されている。
【0028】
(カード挿入部の構成)
図3は、図1に示すカードリーダ1の前面側の構成を説明するための概略平面図である。図4は、図3に示す磁界発生装置14の構成を説明するための図である。
【0029】
カード挿入部4は、本体部6に固定される固定部4aと、固定部4aから前側に向かって突出する突出部4bとを備えている。突出部4bは、カード挿入部4の左右方向の全域には形成されていない。具体的には、突出部4bは、カード挿入部4の左端から右端側に向かって所定の範囲に形成されており、突出部4bの右側は、固定部4aから前側へ突出する部分が存在しない切欠部4cとなっている。すなわち、左右方向において、突出部4bと切欠部4cとは隣り合っている。
【0030】
突出部4bは、中空状に形成されている。また、突出部4bは、上下方向で挿入口3を挟むように配置される上側突出部4dと下側突出部4eとを備えている。挿入口3の下側に配置される下側突出部4eの内部には、磁界を発生させる磁界発生装置14が配置されている。切欠部4cは、図3に示すように、左右方向において、磁気ヘッド7が配置される位置に形成されている。すなわち、切欠部4cは、カード2の磁気ストライプ2aが通過する箇所に形成されている。なお、突出部4bには、挿入口3にカード2が挿入されたことを検知するためのカード検知器(図示省略)が配置されている。
【0031】
磁界発生装置14は、磁性材料で形成されるコア15と、コア15の中心軸CLを中心に巻回される励磁用のコイル16とを備えている。コア15は、略直方体の棒状に形成されている。コイル16は、コア15の中心位置に巻回されている。コイル16の両端部のそれぞれは、図示を省略する端子に接続されている。この端子の一方は、所定のケーブルを介して、図示を省略する電源に接続され、この端子の他方は、所定のケーブルを介して接地されている。本形態では、コイル16の端部が接続される端子に接続されたケーブルは、切欠部4cの奥端面4fの奥側の固定部4a等の内部で引き回されている。本形態の奥端面4fは、切欠部4cの、カード2の挿入方向における下流側端面である。
【0032】
図3に示すように、コア15は、左右方向をその中心軸CLの軸方向として配置されている。すなわち、コア15は、その中心軸CLが左右方向と平行になるように突出部4bの内部に配置されている。コア15の一部は、前後方向において、切欠部4cの奥端面4fよりも奥側に配置されている。また、コア15の中心軸CLは、前後方向において、切欠部4cの奥端面4fよりも奥側に配置されている。具体的には、コア15の中心軸CLは、前後方向において、切欠部4cの奥端面4fよりもわずかに奥側に配置されている。
【0033】
本形態の磁界発生装置14は、カード挿入部4の前面側に取り付けられるスキミング用磁気ヘッド20によるカード2の磁気データの読取を妨害するための妨害磁界を発生させる妨害磁界発生装置として機能する。そのため、磁界発生装置14は、磁界発生装置14が発生させる磁界を表わす磁力線ML(図4参照)がスキミング用磁気ヘッド20の取付位置を通過するように配置されている。すなわち、磁界発生装置14は、カード2の挿入時にカード2の磁気ストライプ2aが通過する位置を磁力線MLが通過するように配置されている。本形態では、スキミング用磁気ヘッド20を取り付けやすい切欠部4cにスキミング用磁気ヘッド20が取り付けられると想定されるため、磁界発生装置14は、磁力線MLが切欠部4cを通過するように配置されている。なお、図4では、便宜上、1本の磁力線MLを図示しているが、実際には、多数本の磁力線MLによって、磁界発生装置14が発生させる磁界が表わされる。
【0034】
磁界発生装置14では、コイル16が励磁されて、妨害用の磁界が発生する。図4に示すように、磁界発生装置14が発生させる磁界を表わす磁力線MLの、コア15の一方の端面(中心軸CL方向の端面)の中心に入っていく方向、および、磁力線MLの、コア15の他方の端面の中心から出ていく方向は、コア15の中心軸CLの軸方向と略一致している。すなわち、本形態では、磁力線MLのコア15の端面の中心に入っていく方向、および、磁力線MLのコア15の端面の中心から出ていく方向は、左右方向と略平行になっている。
【0035】
(カードリーダの概略動作)
以上のように構成されたカードリーダ1では、カード2が挿入されていない待機時には、図示を省略するシャッタ部材等によってカード搬送路5は閉鎖しており、カードリーダ1へのカード2の挿入ができない状態となっている。この状態で、カード挿入部4に配置されるカード検知器によって、挿入口3にカード2が挿入されたことが検知されると、カード搬送路5が開放されて、カードリーダ1の内部へカード2が取り込まれる。また、カード検知器によってカード2が挿入されたことが検知されると、磁界発生装置14は、妨害用の磁界を発生させる。たとえば、磁界発生装置14は、挿入口3から挿入され、カードリーダ1の内部に取り込まれたカード2が排出されるまで、妨害用の磁界を発生させる。あるいは、磁界発生装置14は、挿入口3から挿入され、カードリーダ1の内部に取り込まれたカード2が排出されるまでの間であって、カード2の搬送が行われている間、妨害用の磁界を発生させる。
【0036】
なお、駆動ローラ8およびパッドローラ9によって排出されたカード2の前端は、切欠部4cの奥端面4fよりも前側にあるが、突出部4bの前端面よりも奥側にある。すなわち、駆動ローラ8およびパッドローラ9によって排出されたカード2の前端側は、切欠部4cに露出している。カードリーダ1からカード2が排出されると、ユーザは、切欠部4cに露出したカード2の前端側を摘んで、カード2をカードリーダ1から引き抜く。突出部4bは、カードリーダ1からカード2を引き抜く際にカード2を摘むための切欠部4cを形成するために、設けられている。
【0037】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、磁界発生装置14は、カード2の挿入時にカード2の磁気ストライプ2aが通過する位置(すなわち、スキミング用磁気ヘッド20が取り付けられると想定される位置)を磁力線MLが通過するように配置されている。そのため、カード挿入部4の前面側にスキミング用磁気ヘッド20が取り付けられても、磁界発生装置14が発生させる妨害用の磁界によって、スキミング用磁気ヘッド20による磁気データの読取を阻止することが可能になる。
【0038】
また、本形態では、コア15は、その中心軸CLが左右方向と平行になるように配置されており、磁力線MLのコア15の端面の中心に入っていく方向、および、磁力線MLのコア15の端面の中心から出ていく方向は、左右方向と平行になっている。そのため、磁界発生装置14よりも奥側に配置される磁気ヘッド7に磁界発生装置14が発生させる妨害用の磁界の影響が及びにくい。したがって、本形態では、磁界発生装置14が発生させる磁界を弱めたり、磁気ヘッド7での磁気データの読取時に磁界の発生を停止させたりしなくても、磁界発生装置14が発生させる磁界が、磁気ヘッド7での磁気データの読取に及ぼす影響を低減することが可能になる。
【0039】
特に、本形態では、コア15の中心軸CLが左右方向と平行になっているため、前後方向における磁気ヘッド7と磁界発生装置14との距離が近くても、磁界発生装置14が発生させる妨害用の磁界の影響が磁気ヘッド7に及びにくくなる。したがって、本形態では、磁界発生装置14が発生させる磁界が磁気ヘッド7の磁気データの読取に及ぼす影響を低減しつつ、前後方向における磁気ヘッド7と磁界発生装置14との距離を縮めることが可能になり、その結果、カードリーダ1を小型化することが可能になる。
【0040】
本形態では、切欠部4cは、カード2の挿入時に磁気ストライプ2aが通過する箇所に形成されている。そのため、犯罪者は、切欠部4cにスキミング用磁気ヘッド20を取り付けやすくなる。したがって、本形態では、スキミング用磁気ヘッド20の取付位置を特定しやすくなり、その結果、スキミング用磁気ヘッド20での磁気データの読取を阻止するための磁界をスキミング用磁気ヘッド20に向けて発生させやすくなる。また、本形態では、駆動ローラ8およびパッドローラ9によって排出されたカード2の前端側は切欠部4cに露出しており、ユーザは、切欠部4cに露出したカード2の前端側を摘んでカード2をカードリーダ1から引き抜くため、切欠部4cにスキミング用磁気ヘッド20に取り付けられたことをユーザが気づきやすくなる。
【0041】
本形態では、切欠部4cに露出したカード2の前端側を摘んでカード2をカードリーダ1から引き抜くための切欠部4cを形成するために必要となる突出部4bの内部に磁界発生装置14が配置されている。そのため、デッドスペースとなりやすい中空状の突出部4bの内部を利用して、磁界発生装置14を配置することができる。したがって、本形態では、磁界発生装置14を配置するためのスペースを別途、カード挿入部4に設ける必要がなくなり、カード挿入部4を小型化することが可能になる。
【0042】
ここで、前後方向において、図5(C)、(D)に示すように、コア15の中心軸CLの位置とスキミング用磁気ヘッド20の中心CL1の位置とが一致すると、磁界発生装置14で妨害用の磁界を発生させても、この磁界が、スキミング用磁気ヘッド20に対して妨害用の磁界として作用しない。すなわち、スキミング用磁気ヘッド20がコア21とコア21に巻回されるコイル22とを備えるとともに、コア21が磁気ギャップ20aを介して前後方向で対向する第1コア部21aと第2コア部21bとを備える場合、前後方向において、コア15の中心軸CLの位置とスキミング用磁気ヘッド20の中心CL1とが一致すると、磁界発生装置14が発生させる磁界の影響で第1コア部21aに発生する磁界を表わす磁力線ML1の向きと、磁界発生装置14が発生させる磁界の影響で第2コア部21bに発生する磁界を表わす磁力線ML2の向きとが反対になり、かつ、磁力線ML1の密度と磁力線ML2の密度とが等しくなる。そのため、磁界発生装置14が発生させる磁界の影響で第1コア部21aに生じる磁界と第2コア部21bに生じる磁界とのバランスが取れて、コイル22に、磁界発生装置14が発生させる磁界の影響による電流が流れず、スキミング用磁気ヘッド20で読み取られる磁気データに妨害用のノイズがのらない。
【0043】
本形態では、前後方向において、コア15の中心軸CLが切欠部4cの奥端面4fよりも奥側に配置されている。そのため、カード挿入部4の前面側に取り付けられるスキミング用磁気ヘッド20の中心CL1の位置とコア15の中心軸CLの位置とが前後方向において一致することがない。したがって、図5(A)、(B)に示すように、磁界発生装置14が発生させる磁界の影響で第1コア部21aに発生する磁界を表わす磁力線ML1の密度と、磁界発生装置14が発生させる磁界の影響で第2コア部21bに発生する磁界を表わす磁力線ML2の密度とが異なる。したがって、磁界発生装置14が発生させる磁界の影響で第1コア部21aに生じる磁界と第2コア部21bに生じる磁界とのバランスが崩れ、コイル22に、磁界発生装置14が発生させる磁界の影響による電流が流れて、スキミング用磁気ヘッド20で読み取られる磁気データに妨害用のノイズがのる。その結果、本形態では、磁界発生装置14で発生させる妨害用の磁界によって、スキミング用磁気ヘッド20での磁気データの読取を確実に阻止することが可能になる。
【0044】
本形態では、磁界発生装置14のコイル16の端部が接続される端子に接続されたケーブルは、切欠部4cの奥端面4fの奥側の固定部4a等の内部で引き回されている。そのため、コア15の中心軸CLの位置とスキミング用磁気ヘッド20の中心CL1の位置とを前後方向において一致させるようとして、たとえば、犯罪者が奥側に向かって奥端面4fを削ると、このケーブルが断線する。したがって、たとえば、このケーブルの断線を検知することで、コア15の中心軸CLの位置とスキミング用磁気ヘッド20の中心CL1の位置とを前後方向において一致させるための細工を犯罪者が行ったことを検知することが可能になる。
【0045】
(磁界発生装置の変形例)
図6は、本発明の他の実施の形態にかかる磁界発生装置34の構成を説明するための図である。
【0046】
上述した形態の磁界発生装置14に代えて、図6に示す磁界発生装置34が下側突出部4eの内部に配置されても良い。磁界発生装置34は、磁性材料で形成されるコア35と、コア35の中心軸CLを中心に巻回される一対の励磁用のコイル36、37および検出用のコイル38と、コイル36、37の端部が接続される端子(図示省略)と、コイル38の端部が接続される端子(図示省略)とを備えている。
【0047】
コア35は、図6の紙面垂直方向を厚さ方向とする薄板状に形成されている。このコア35は、中心軸CLの軸方向における略中央に配置される中央コア部35aと、中心軸CLの軸方向において中央コア部35aの両端側のそれぞれに配置される一対の軸端コア部35bと、中央コア部35aと軸端コア部35bとの間に配置される鍔部35cとによって構成されている。中央コア部35aの幅は、軸端コア部35bの幅よりも広くなっている。また、鍔部35cの幅は、中央コア部35aの幅よりも広くなっている。
【0048】
コイル38は、中央コア部35aに巻回されている。コイル38の両端部のそれぞれは、端子に接続されている。この端子には、所定のケーブルの一端部が接続されており、ケーブルの他端部は、カードリーダ1の制御基板に接続されている。
【0049】
コイル36、37は、一対の軸端コア部35bのそれぞれに巻回されている。コイル36、37の一端部は、端子に接続されている。この端子には、所定のケーブルの一端部が接続されており、ケーブルの他端部は、カードリーダ1の制御基板に実装される可変抵抗39を介して交流電源40に接続されている。コイル36、37の他端部は、導線41の一端部に接続されている。導線41の他端部は、端子に接続されている。この端子には、所定のケーブルの一端部が接続されており、ケーブルの他端部は、接地されている。なお、この場合には、励磁用コイル36、37の端部が接続される端子に接続されたケーブルは、切欠部4cの奥端面4fの奥側の固定部4a等の内部で引き回されている。
【0050】
上述した形態と同様に、コア35は、左右方向をその中心軸CLの軸方向として配置されている。また、コア35の一部は、前後方向において、切欠部4cの奥端面4fよりも奥側に配置されている。さらに、コア35の中心軸CLは、前後方向において、切欠部4cの奥端面4fよりも奥側に配置されている。
【0051】
磁界発生装置34は、カード挿入部4の前面側に取り付けられるスキミング用磁気ヘッド20によるカード2の磁気データの読取を妨害するための妨害磁界を発生させる妨害磁界発生装置としての機能と、コイル36、37が発生させる磁界の変化をコイル38で検出して、カード挿入部4の前面側にスキミング用磁気ヘッド20が取り付けられたことを検知する磁気センサとしての機能とを備えている。そのため、磁界発生装置34は、コイル36が発生させる磁界を表わす磁力線ML11またはコイル37が発生させる磁界を表わす磁力線ML12がスキミング用磁気ヘッド20の取付位置を通過するように配置されている。
【0052】
磁界発生装置34が妨害磁界発生装置として機能する場合には、コイル36、37が励磁されて、妨害用の磁界が発生する。たとえば、磁力線ML11、ML12が軸端コア部35bの端面に入っていくように、妨害用の磁界が発生する。図6に示すように、磁力線ML11、ML12の軸端コア部35bの端面の中心に入っていく方向は、コア35の中心軸CLの軸方向と略一致している。なお、磁界発生装置34では、磁力線ML11、ML12が軸端コア部35bの端面から出ていくように、妨害用の磁界が発生しても良い。
【0053】
また、磁界発生装置34が磁気センサとして機能する場合には、磁界発生装置34の検知可能領域(磁力線ML11、ML12が通過する領域)にスキミング用磁気ヘッド20がないときに、コイル36が発生させる磁界を表わす磁力線ML11の密度と、コイル37が発生させる磁界を表わす磁力線ML12の密度とが略同じになるように、かつ、磁力線ML11の方向と磁力線ML12の方向とが逆方向になるように、コイル36、37が励磁されている。すなわち、磁界発生装置34の検知可能領域にスキミング用磁気ヘッド20がないときに、コイル36が発生させる磁界とコイル37が発生させる磁界とのバランスが取れるように、可変抵抗39が調整されており、磁界発生装置34の検知可能領域にスキミング用磁気ヘッド20がないときには、コイル38の両端部の間に電圧が発生していない。
【0054】
そのため、磁界発生装置34の検知可能領域にスキミング用磁気ヘッド20が設置されると、その影響で、コイル36が発生させる磁界とコイル37が発生させる磁界とのバランスが崩れ、コイル38の両端部の間に電圧が発生する。このように、磁界発生装置34は、コイル38の両端部の間に発生する電圧を検出することで、スキミング用磁気ヘッド20を検知する。なお、磁界発生装置34が磁気センサとして機能する場合に、コイル36、37に供給される励磁電流は、磁界発生装置34が妨害磁界発生装置として機能する場合に、コイル36、37に供給される励磁電流よりも小さくなっている。
【0055】
このように磁界発生装置14に代えて磁界発生装置34が配置されている場合には、たとえば、カード2が挿入されていない待機時には、磁界発生装置34は、磁気センサとして機能している。また、待機時には、シャッタ部材等によってカード搬送路5が閉鎖しており、カードリーダ1へのカード2の挿入ができない状態となっている。この状態で、磁界発生装置34によって、スキミング用磁気ヘッド20等の金属部材が検知されると、スキミングを防止するため、カード搬送路5が閉鎖された状態が維持され、カードリーダ1へのカード2の挿入ができない状態が維持される。
【0056】
また、カード2が挿入されていない待機状態であって、かつ、磁界発生装置34がスキミング用磁気ヘッド20等の金属部材を検知していない状態で、カード挿入部4に配置されるカード検知器によって、挿入口3にカード2が挿入されたことが検知されると、磁界発生装置34は、妨害磁界発生装置として機能する。すなわち、挿入口3にカード2が挿入されたことが検知されると、磁界発生装置34は、妨害用の磁界を発生させる。たとえば、磁界発生装置34は、挿入口3から挿入され、カードリーダ1の内部に取り込まれたカード2が排出されるまで、妨害用の磁界を発生させる。
【0057】
このように磁界発生装置14に代えて磁界発生装置34が下側突出部4eの内部に配置されていると、磁界発生装置34が妨害磁界発生装置として機能する場合には、磁界発生装置34が発生させる妨害用の磁界によって、スキミング用磁気ヘッド20による磁気データの読取を阻止することが可能になり、また、磁界発生装置34が磁気センサとして機能する場合には、磁界発生装置34によって、カード挿入部4の前面側にスキミング用磁気ヘッド20が取り付けられたことを検知することが可能になる。また、磁界発生装置34が発生させる磁界を弱めたり、磁気ヘッド7での磁気データの読取時に磁界の発生を停止させたりしなくても、磁界発生装置34が発生させる磁界が磁気ヘッド7での磁気データの読取に及ぼす影響を低減することが可能になる等の上述した形態と同様の効果を得ることもできる。
【0058】
なお、磁界発生装置34は、磁気センサとしての機能のみを有していても良い。また、磁界発生装置34がスキミング用磁気ヘッド20等の金属部材を検知したときにのみ、磁界発生装置34が妨害用の磁界を発生させても良い。また、磁界発生装置34は、コアと、このコアに巻回される励磁および検出兼用のコイルとによって構成されても良い。
【0059】
(他の実施の形態)
上述した形態および変形例は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0060】
上述した形態では、コア15の中心軸CLは、左右方向と平行になっている。この他にもたとえば、上下方向から見たときに、コア15の中心軸CLが左右方向と平行になっているのであれば、前後方向から見たときに、コア15の中心軸CLが左右方向に対して傾斜していても良い。この場合には、磁界発生装置14は、下側突出部4eの内部に配置されても良いし、上側突出部4dの内部に配置されても良い。
【0061】
また、上述した形態では、コア15の中心軸CLは、左右方向と平行になっているが、コア15の中心軸CLは、前後方向と平行にならないのであれば(すなわち、前後方向に対して傾斜しているのであれば)、上下方向から見たときに、左右方向に対して傾いていても良い。この場合であっても、磁界発生装置14で発生する磁界の影響が磁気ヘッド7に及びにくくなる。したがって、磁界発生装置14が発生させる磁界を弱めたり、磁気ヘッド7での磁気データの読取時に磁界の発生を停止させたりしなくても、磁界発生装置14が発生させる磁界が磁気ヘッド7での磁気データの読取に及ぼす影響を低減することが可能になる。
【0062】
上述した形態では、コア15の中心軸CLは、前後方向において、切欠部4cの奥端面4fよりも奥側に配置されている。この他にもたとえば、コア15の中心軸CLは、前後方向において、切欠部4cの奥端面4fと同じ位置に配置されても良い。また、コア15の中心軸CLがスキミング用磁気ヘッド20の中心CL1よりも奥側に配置されるのであれば、あるいは、コア15の中心軸CLがスキミング用磁気ヘッド20の中心CL1よりも前側に配置されるのであれば(すなわち、前後方向において、コア15の中心軸CLの位置とスキミング用磁気ヘッド20の中心CL1の位置とがずれるのであれば)、コア15の中心軸CLは、切欠部4cの奥端面4fより前側に配置されても良い。また、上述した形態では、コア15の一部は、前後方向において、切欠部4cの奥端面4fよりも奥側に配置されているが、コア15の中心軸CLがスキミング用磁気ヘッド20の中心CL1よりも奥側に配置されるのであれば、あるいは、コア15の中心軸CLがスキミング用磁気ヘッド20の中心CL1よりも前側に配置されるのであれば、前後方向において、コア15の全体が切欠部4cの奥端面4fよりも前側に配置されても良い。
【0063】
上述した形態では、突出部4bは、カード挿入部4の左端から右端側に向かって所定の範囲に形成されており、突出部4bの右側が、固定部4aから前側へ突出する部分が存在しない切欠部4cとなっている。この他にもたとえば、突出部4bが、カード挿入部4の左端から右端側に向かって所定の範囲に形成される第1突出部と、カード挿入部4の右端から左端側に向かって所定の範囲に形成される第2突出部とによって構成されるとともに、第1突出部と第2突出部との間が、固定部4aから前側へ突出する部分が存在しない切欠部4cとなっていても良い。このように、切欠部4cは、左右方向において、磁気ヘッド7が配置される箇所に少なくとも形成されていれば良い。
【0064】
上述した形態では、カードリーダ1は、駆動ローラ8およびパッドローラ9を備えるカード搬送式のカードリーダであるが、本発明の構成が適用されるカードリーダは、ユーザが手動でカード2を移動させながら、磁気データの読取や記録を行う手動式のカードリーダであっても良い。たとえば、本発明の構成が適用されるカードリーダは、カードリーダ内へカード2を差し込む際、あるいは、カードリーダからカード2を引き抜く際に磁気データの読取や記録を行ういわゆるディップ式のカードリーダであっても良い。
【符号の説明】
【0065】
1 カードリーダ
2 カード
2a 磁気ストライプ
4 カード挿入部
4b 突出部
4c 切欠部
4f 奥端面(下流側端面)
7 磁気ヘッド
14、34 磁界発生装置
15、35 コア
16、36、37 コイル
20 スキミング用磁気ヘッド
CL 中心軸
ML 磁力線
X1 カードの挿入方向
Y カードの幅方向
Z カードの厚さ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ストライプを有するカードが挿入されるカードリーダ用のカード挿入部において、
前記カードの挿入時に前記磁気ストライプが通過する箇所に少なくとも形成される切欠部と、前記カードの挿入方向に略直交する前記カードの幅方向において前記切欠部と隣り合うとともに前記カードの挿入方向の上流側に向かって突出する突出部と、前記突出部の内部に配置され磁界を発生させる磁界発生装置とを備え、
前記磁界発生装置は、磁性材料で形成されるコアと、前記コアに巻回されるコイルとを備えるとともに、前記磁界発生装置が発生させる磁界を表わす磁力線が前記カードの挿入時に前記磁気ストライプが通過する位置を通過するように、かつ、前記磁力線の前記コアの端面から出ていく方向および/または前記磁力線の前記コアの端面に入っていく方向が前記カードの挿入方向に対して傾斜するように配置されていることを特徴とするカード挿入部。
【請求項2】
前記磁界発生装置は、前記カードの挿入方向と前記カードの幅方向とに略直交する前記カードの厚さ方向から見たときに、前記磁力線の前記コアの端面の中心から出ていく方向および/または前記磁力線の前記コアの端面の中心に入っていく方向が前記カードの幅方向と略平行になるように配置されていることを特徴とする請求項1記載のカード挿入部。
【請求項3】
前記コアは、前記カードの挿入方向と前記カードの幅方向とに略直交する前記カードの厚さ方向から見たときに、前記カードの幅方向を中心軸の方向として配置され、
前記コイルは、前記コアの前記中心軸を中心に巻回されていることを特徴とする請求項1または2記載のカード挿入部。
【請求項4】
前記磁界発生装置は、前記カード挿入部の前面側に取り付けられるスキミング用磁気ヘッドによる前記磁気ストライプに記録された磁気データの読取を妨害するための妨害磁界を発生させることを特徴とする請求項3記載のカード挿入部。
【請求項5】
前記磁界発生装置の一部は、前記カードの挿入方向において、前記切欠部の、前記カードの挿入方向における下流側端面よりも下流側に配置されていることを特徴とする請求項4記載のカード挿入部。
【請求項6】
前記コアの前記中心軸は、前記カードの挿入方向において、前記切欠部の、前記カードの挿入方向における下流側端面と同じ位置、または、前記切欠部の前記下流側端面よりも下流側に配置されていることを特徴とする請求項4または5記載のカード挿入部。
【請求項7】
前記磁界発生装置は、前記コイルに電流を供給するためのケーブルを備え、
前記ケーブルは、前記切欠部の前記下流端面の近傍で引き回されていることを特徴とする請求項5または6記載のカード挿入部。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のカード挿入部と、前記磁気ストライプに記録された磁気データを読み取る磁気ヘッドとを備えることを特徴とするカードリーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−12022(P2013−12022A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144074(P2011−144074)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】