説明

カード搬送装置

【課題】 一台のカード搬送装置によって複数種のカードを処理できるようにして使い勝手を向上させる。
【解決手段】 搬送ユニット5は駆動軸43を回転中心として回転自在に支持され、ベルト47を介して第1のモータ35によって回転駆動される。カード供給部から搬送ユニット5に送り出されたカード2Aは、両側端が搬送ユニット5に設けられた駆動ローラ58,79の外周面に挟持され搬送される。駆動軸43はベルト53を介して第2のモータ50によって回転駆動され、駆動ローラ58はベルト57を介して駆動軸43の回転が伝達され、駆動ローラ79はギアを介して駆動軸43の回転が伝達されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード供給部から1枚ずつ送り出されてきたカードに印刷したりデータを書き込むために、カードをカード処理部に搬送する搬送手段を備えたカード搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のカード搬送装置としては、カード挿入口から挿入されたカードの両側端を外周面によって挟持する駆動ローラとピンチローラとでカードを搬送し、カード処理部においてカードに記録されている価値情報を書き換えた後にカード排出口から排出するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3580154号公報(段落「0012」〜「0014」、図1および図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来のカード搬送装置においては、カード挿入口の向きが一方向に固定された構造であるため、カード挿入口にカードを供給するためのカード供給部がカード挿入口に対応して1つしか設けることができなかった。このため、複数種のカードを比較的頻繁に選択して処理したいという要求があった場合は、上述した従来のカード搬送装置ではこれに対応することができなかった。
【0004】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、一台のカード搬送装置によって複数種のカードを処理できるようにして使い勝手を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、装置筺体に回転自在に支持された搬送ユニットと、この搬送ユニットを回転駆動する第1のモータと、前記搬送ユニットに設けられカードの両側端を外周面によって挟持しカードを搬送する少なくとも一対の駆動ローラと、これら駆動ローラを回転駆動する第2のモータと、この第2のモータによって回転駆動される駆動軸と、この駆動軸の回転を前記駆動ローラのそれぞれに伝達する第1の伝達手段および第2の伝達手段とを備え、前記搬送ユニットを前記駆動軸を回転中心として回転自在に支持したものである。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記第2のモータを装置筺体に設けたものである。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、前記第1の伝達手段をベルトとし、前記第2の伝達手段をギアとしたものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、第1のモータによって回動可能な搬送ユニットによって複数種のカードを選択的にカード処理部に搬送できるため、一台のカード搬送装置によって複数種のカードを処理することができるようになり使い勝手が向上する。また、カードの両側端のそれぞれに外周面が対接している一対の駆動ローラを一つのモータによって同時に駆動し、カードの両側端を移動させることによりカードを搬送させるようにしているためカードの搬送が安定する。また、駆動ローラを回転させるための駆動軸を搬送ユニットの回動軸として兼用することにより、部品点数の削減と構造の簡素化とを図ることができる。
【0009】
請求項2に係る発明によれば、第2のモータを搬送ユニットに搭載する必要がないため、回動可能な搬送ユニットの重量を軽減することができる。このため、搬送ユニットを回動させるための第1のモータを小型化することができるとともに、搬送ユニットを停止させる際の慣性力を小さくすることができるから搬送ユニットを所定の回動位置に停止させる精度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は本発明に係るカード搬送装置の平面図、図2は図1におけるII矢視図、図3は図2におけるIII-III 線断面図、図4は図2におけるIV-IV 線断面図、図5は図1におけるV-V 線断面図、図6は図1におけるVI-VI 線断面図、図7は図1におけるVII-VII 線で断面して要部を拡大して示す断面図である。
【0011】
図1に全体を符号1で示すカード搬送装置は、積載されたカード2A,2B,2Cを1枚ずつ送り出し後述する搬送ユニット5の周囲に設けられた3つのカード供給部3A,3B,3Cと、これらカード供給部3A,3B,3Cから送り出されたカードを搬送する搬送手段4を有する搬送ユニット5と、この搬送ユニット5によって搬送されたカードを処理するカード処理部6とによって概ね構成されている。
【0012】
次に、図7を用いて、カード供給部3A,3B,3Cについて説明する。これらカード供給部3A,3B,3Cは、いずれも同じ構造を有しているので、ここではカード供給部3Aについてのみ詳細に説明し、必要に応じて他のカード供給部3B,3Cについても説明する。
【0013】
同図において、カード供給部3Aには、中央部に矢印A−B方向に延在する長方形の窓10aが設けられた基台10が備えられており、この基台10の矢印A側の端部にはフロントパネル11が立設されている。基台10の前板10bには、載置板12が水平状態となるように固定されており、この載置板12上には、基台10上に設置される後述するスタッカ27内に積層されたカード2Aの前端側が載置される。13はゲージ板であって、このゲージ板13と載置板7との間には、スリット状に形成されたカード排出口14が設けられており、このカード排出口14の高さ方向の寸法は、カード2Aの1枚の厚みよりも大きく、かつカード2Aの2枚の厚みよりも小さく形成されている。
【0014】
15はカード供給部3Aから搬送ユニット5にカード2Aを1枚ずつ送り出すカード送り出し手段であって、カード2Aの後端に係合する爪部16aを有する移動部材16と、移動部材16を矢印A−B方向へ移動させるモータ17とによって概ね構成されている。18は基台10に固定されたブラケットであって、前端部と後端部とが互いに対向するように折り曲げられることにより折曲部18a,18aが設けられており、中央部には矢印A−B方向に延在する長方形の窓18bが設けられている。このブラケット18の折曲部18a,18a間にはガイドバー19が支架されており、移動部材16は支持板20およびガイドブロック21を介してガイドバー19に矢印A−B方向に移動自在に支持されている。
【0015】
22は扁平な直方体状に形成された移動子であって、ガイド部材21の一方の側部に固定されており、上下方向に延在する被駆動溝22aが凹設されている。モータ17は外側板21に固定されており、出力軸23には駆動子24の一端側が軸着されており、駆動子24の他端側には、移動子22の被駆動溝22aに係入したピン25が植設されている。したがって、モータ17を駆動することによって出力軸23が反時計方向へ180°回転すると、駆動子24を介してピン25が出力軸23を回転中心として180°反時計方向に回動するため、移動子22が矢印A方向へ移動するから移動部材16も矢印A方向へ移動する。
【0016】
この移動によって、スタッカ27に積層されているカード12Aのうち最下層に位置するカード12Aが、移動部材16の爪部16aによって矢印A方向へ搬送され、カード排出口14から後述する搬送ユニット5のスペーサ32Aないし32Cの案内溝32aとスペーサ33Aないし33Cの案内溝33aに送り出される。さらに出力軸23が180°反時計方向に回転すると、駆動子24を介してピン25が出力軸23を回転中心として、さらに180°反時計方向に回転するため、矢印A方向へ移動した移動子22が矢印B方向へ移動するから移動部材16も矢印B方向へ移動し初期位置に戻る。
【0017】
27は多数枚のカード2Aを積載して蓄積するスタッカであって、上方および下方が開口した略角筒状に形成されており、前板の下端部にはスリット状に形成した切欠き27aが設けられている。このスタッカ27は周知の着脱手段によって、前板がフロントパネル11に密着して基台10上に立設するようにして取り付けられている。
【0018】
次に、図2ないし図5を用いて、搬送ユニット5について説明する。搬送ユニット5は、図5に示すように円板状に形成され互いに対向する上部支持体30および下部支持体31と、これら両支持体30,31間に介在する三対のスペーサ32Aないし32Cおよびスペーサ33Aないし33Cと、図2に示すように両支持体30,31を装置筺体に回転自在に支持する一対のスタッド34,34と、両支持体30,31を回転駆動する第1のモータ35とによって概ね構成されている。
【0019】
スペーサ32Aないし32Cとスペーサ33Aないし33Cとは、図3に示すように互いに対向するように両支持体30,31間に設けられており、互いに対向する面にはカード2Aの両側端縁が係入されカード2Aを矢印A−B方向に移動自在に支持する案内溝32a,33aが設けられている。また、スペーサ32Bには、後述するベルト77との接触を回避するための中空部32bが設けられ、スペーサ33Bには、後述するベルト62,57との接触を回避するための中空部33b,33cが設けられている。両支持体30,31とスペーサ32Aないし32Cおよびスペーサ33Aないし33Cとによって囲まれた空間36は、図3中矢印A−B方向が開口しており、後述するように矢印B方向の開口36aがカードスタッカ27からカード2A,2B,2Cを受け入れるカード受入口を形成している。一方、矢印A方向の開口36bが搬送ユニット5からカード処理部6にカード2A,2B,2Cを排出するカード排出口を形成している。
【0020】
下部支持体31の下面には、図5に示すように断面円弧状に形成されたリング状の溝31aが全周にわたって設けられており、下部支持体31の中央部には貫通孔31bが設けられ、この貫通孔31bを囲むように凹部38aが設けられたプーリ38が一体に形成されている。39は略円板状に形成された支持板であって、プーリ38の下面に固定されており、中央部に両端が開口した筒部39aが設けられ、外周面には、図4に示すように4個の凹部39bないし39eが円周方向に等角度おいて設けられている。
【0021】
スタッド34,34は、図2に示すように装置筺体の底板40に立設されており、これらスタッド34,34の上面にはボール41,41を介して、下部支持体31の溝31aが載置されている。図5において、43は底板40に軸受部材44を介して回転自在に支持された駆動軸であって、この駆動軸43に支持板39の筒部39aが嵌装されている。したがって、搬送ユニット5はこの駆動軸43を回転中心としてボール41,41を介してスタッド34,34に回転自在に支持されている。図4において、45a,45bはスタッド34,34に互いに対向するように設けられたボールプランジャーであって、支持板39の4個の凹部39bないし39eのうちの互いに対向するいずれか2個に選択的に係合するように構成されている。
【0022】
第1のモータ35の出力軸に軸着されたプーリ46と下部支持体32のプーリ38との間にはベルト47が張架されており、第1のモータ35を正・逆方向に駆動することにより、搬送ユニット5が図3中時計・反時計方向に回動する。搬送ユニット5は、図3に示した状態ではカード受入口36aがカード供給部3Aを指向し、カード排出口36bがカード処理部6を指向している。この状態から、第1のモータ35を正方向に駆動し、搬送ユニット5を時計方向に90°だけ回動させ、ボールプランジャー45aに支持板39の凹部39cに係合させ、ボールプランジャー45bに支持板39の凹部39eに係合させることにより、カード受入口36aがカード供給部3Cを指向する。カード受入口36aがカード供給部3Cを指向することによって、カード供給部3Cのカード排出口14から排出されるカード2Cの両側端縁が搬送ユニット5のスペーサ32Aないし32Cの案内溝32aとスペーサ33Aないし33Cの案内溝33aとのそれぞれに係入される。
【0023】
また、第1のモータ35を逆方向に駆動し、図3の状態から搬送ユニット5を反時計方向に90°だけ回動させ、ボールプランジャー45aに支持板39の凹部39eに係合させ、ボールプランジャー45bに支持板39の凹部39cに係合させることにより、カード受入口36aがカード供給部3Bを指向する。カード受入口36aがカード供給部3Bを指向することによって、カード供給部3Bのカード排出口14から排出されるカード2Bの両側端縁が搬送ユニット5のスペーサ32Aないし32Cの案内溝32aとスペーサ33Aないし33Cの案内溝33aとのそれぞれに係入される。
【0024】
次に、図2ないし図6を用いて、搬送手段4について説明する。図2において、50は第2のモータであって、この第2のモータ50の出力軸に軸着されたプーリ51と、駆動軸43に軸着されたプーリ52との間にベルト53が張架されている。駆動軸43の上部側に形成された細径部43aは、図5に示すように下部支持体31の貫通孔31bを貫通し下部支持体31の上方に突出されており、この突出部にプーリ54が軸着されている。
【0025】
プーリ54と両支持体30,31間に回転自在に支持された軸55に軸着されたプーリ56との間には、第1の伝達手段としてのベルト57が張架されており、軸55には第1の駆動ローラ58が軸着されている。軸55にはプーリ59が軸着されており、このプーリ59と両支持体30,31間に回転自在に支持された軸60に軸着されたプーリ61との間にはベルト62が張架されており、軸60には第2の駆動ローラ63が軸着されている。
【0026】
したがって、第2のモータ50を駆動すると、ベルト53を介して駆動軸43が回転し、駆動軸43の回転はベルト57を介して軸55に伝達され、第1の駆動ローラ58が図3中時計方向に回転するとともに、ベルト62を介して第2の駆動ローラ63が時計方向に回転する。これら第1および第2の駆動ローラ58,63の外周面は、図3に示すようにスペーサ33A,33B,33Cの案内溝33aに臨んでいる。
【0027】
駆動軸43の細径部43aには、図6に示すようにプーリ38の凹部38a内に収納されたギア66が軸着されており、このギア66に噛合するギア67は下部支持体30に回転自在に支持された軸68に軸着されている。軸68にはギア69が軸着されており、このギア69には下部支持体31に植設された軸70に回転自在に支持されたギア71が噛合している。72は両支持体30,31に回転自在に支持された軸であって、この軸72にはギア71に噛合するギア73が軸着されているとともに第3の駆動ローラ74が軸着され、かつプーリ75が軸着されている。
【0028】
76は両支持体30,31間に回転自在に支持された軸であって、この軸76にはプーリ75との間にベルト77が張架されたプーリ78が軸着されているとともに、第4の駆動ローラ79が軸着されている。したがって、第2のモータ50を駆動すると、ベルト53を介して駆動軸43が回転し、駆動軸43の回転はギア66,67を介して軸68に伝達され、この軸68の回転はギア69,71,73を介して軸72に伝達される。軸72が回転することによって、第3の駆動ローラ74は図3中反時計方向に回転し、ベルト77を介して第4の駆動ローラ79が反時計方向に回転する。第3の駆動ローラ74は第2の駆動ローラ63に対向し、第4の駆動ローラ79は第1の駆動ローラ58に対向し、第3および第4の駆動ローラ74,79の外周面は、図3に示すようにスペーサ32A,32B,32Cの案内溝32aに臨んでいる。ギア66,67,69,71,73が駆動軸43の回転を第3の駆動プーリ74に伝達する第2の伝達手段80を構成している。
【0029】
カード処理部6においては、搬送ユニット5の搬送手段4によって搬送されてきたカード2A,2B,2Cに所定の印刷処理を行い、カード2Aを矢印A方向に排出する。
【0030】
次に、このように構成されたカード搬送装置において、カードを搬送する動作について説明する。先ず、カード供給部3A内に蓄積されているカード2Aを搬送する動作について説明する。この場合は、図1に示すように、搬送ユニット5のカード受入口36aをカード供給部3Aに対応させた位置に位置付ける。この状態で、モータ17を駆動することによって、図7に示すように出力軸23を反時計方向へ180°回動させると、駆動子24を介してピン25が出力軸23を回動中心として180°反時計方向に回動するため、移動子22が矢印A方向へ移動するから移動部材16も矢印A方向へ移動する。
【0031】
この移動によって、スタッカ27に積層されているカード2Aのうち最下層に位置するカード2Aが、移動部材16の爪部16aによって矢印A方向へ搬送され、カード排出口14から搬送ユニット5の第1および第2の案内溝32a,33aに送り出され、両側端が第1の駆動ローラ58と第4の駆動ローラ79の外周面に対接する。
【0032】
カード2Aが第1および第2の案内溝32a,33aに送り出されたことを図示を省略した検知手段によって検知すると、第2のモータ50が駆動し、ベルト53を介して駆動軸43が回転する。この駆動軸43の回転によって、第1の駆動ローラ58がベルト57を介して図3中時計方向に回転するとともに、第2の駆動ローラ63がベルト62を介して時計方向に回転する。同時に駆動軸43の回転によって、第3の駆動ローラ74がギア66,67,69,71,73を介して反時計方向に回転するとともに、第4の駆動ローラ79がベルト77を介して反時計方向に回転する。
【0033】
したがって、両側端が第1の駆動ローラ58と第4の駆動ローラ79の外周面に対接しているカード2Aは、第1の駆動ローラ58の時計方向の回転と第4の駆動ローラ79の反時計方向の回転とによって矢印A方向に搬送され、両側端が第2の駆動ローラ63と第3の駆動ローラ74との外周面に対接する。このため、カード2Aは第2の駆動ローラ63の時計方向の回転と第3の駆動ローラ74の反時計方向の回転とによって矢印A方向に搬送され、カード排出口36bからカード処理部6に搬送される。カード処理部6に搬送されてきたカード2Aは、このカード処理部6において所定の印刷処理が行われて矢印A方向に排出される。
【0034】
次に、カード供給部3B内に蓄積されているカード2Bを搬送する動作について説明する。この場合は、先ず、第1のモータ35を逆方向に駆動し、カード受入口36aがカード供給部3Bを指向するように、搬送ユニット5を図1の状態から反時計方向に90°だけ回動させる。この状態としてから、モータ17を駆動することによって、図7に示すように出力軸23を反時計方向へ180°回動させると、駆動子24を介してピン25が出力軸23を回動中心として180°反時計方向に回動するため、移動子22が矢印A方向へ移動するから移動部材16も矢印A方向へ移動する。
【0035】
この移動によって、スタッカ27に積層されているカード2Bのうち最下層に位置するカード2Bが、移動部材16の爪部16aによって矢印A方向へ搬送され、カード排出口14から搬送ユニット5の第1および第2の案内溝32a,33aに送り出され、両側端が第1の駆動ローラ58と第4の駆動ローラ79の外周面に対接する。
【0036】
カード2Bが第1および第2の案内溝32a,33aに送り出されたことを図示を省略した検知手段によって検知すると、第2のモータ50が駆動し、ベルト53を介して駆動軸43が回転する。この駆動軸43の回転によって、第1の駆動ローラ58がベルト57を介して図3中時計方向に回転するとともに、第2の駆動ローラ63がベルト62を介して時計方向に回転する。同時に駆動軸43の回転によって、第3の駆動ローラ74がギア66,67,69,71,73を介して反時計方向に回転するとともに、第4の駆動ローラ79がベルト77を介して反時計方向に回転する。
【0037】
したがって、両側端が第1の駆動ローラ58と第4の駆動ローラ79の外周面に対接しているカード2Bは、第1の駆動ローラ58の時計方向の回転と第4の駆動ローラ79の反時計方向の回転とによって矢印A方向に搬送される。カード2Bの両側端が第2の駆動ローラ63と第3の駆動ローラ74との外周面に対接したことを図示を省略した検知手段によって検知すると、第2のモータ50の駆動が停止する。
【0038】
次いで、第1のモータ35を正方向に駆動し、カード排出口36bがカード処理部6を指向するように、搬送ユニット5を図1において時計方向に90°だけ回動させる。この状態で、第2のモータ50が駆動し、第2の駆動ローラ63と第3の駆動ローラ74との外周面に両側端が対接するカード2Bは、第2の駆動ローラ63の時計方向の回転と第3の駆動ローラ74の反時計方向の回転とによって矢印A方向に搬送され、カード排出口36bからカード処理部6に搬送される。カード処理部6に搬送されてきたカード2Bは、このカード処理部6において所定の印刷処理が行われて矢印A方向に排出される。
【0039】
次に、カード供給部3C内に蓄積されているカード2Cを搬送する動作について説明する。この場合は、先ず、第1のモータ35を正方向に駆動し、カード受入口36aがカード供給部3Cを指向するように、搬送ユニット5を図1の状態から時計方向に90°だけ回動させる。この状態としてから、モータ17を駆動することによって、図7に示すように出力軸23を反時計方向へ180°回動させると、駆動子24を介してピン25が出力軸23を回動中心として180°反時計方向に回動するため、移動子22が矢印A方向へ移動するから移動部材16も矢印A方向へ移動する。
【0040】
この移動によって、スタッカ27に積層されているカード2Cのうち最下層に位置するカード2Cが、移動部材16の爪部16aによって矢印A方向へ搬送され、カード排出口14から搬送ユニット5の第1および第2の案内溝32a,33aに送り出され、両側端が第1の駆動ローラ58と第4の駆動ローラ79の外周面に対接する。
【0041】
カード2Cが第1および第2の案内溝32a,33aに送り出されたことを図示を省略した検知手段によって検知すると、第2のモータ50が駆動し、ベルト53を介して駆動軸43が回転する。この駆動軸43の回転によって、第1の駆動ローラ58がベルト57を介して図3中時計方向に回転するとともに、第2の駆動ローラ63がベルト62を介して時計方向に回転する。同時に駆動軸43の回転によって、第3の駆動ローラ74がギア66,67,69,71,73を介して反時計方向に回転するとともに、第4の駆動ローラ79がベルト77を介して反時計方向に回転する。
【0042】
したがって、両側端が第1の駆動ローラ58と第4の駆動ローラ79の外周面に対接しているカード2Cは、第1の駆動ローラ58の時計方向の回転と第4の駆動ローラ79の反時計方向の回転とによって矢印A方向に搬送される。カード2Cの両側端が第2の駆動ローラ63と第3の駆動ローラ74との外周面に対接したことを図示を省略した検知手段によって検知すると、第2のモータ50の駆動が停止する。
【0043】
次いで、第1のモータ35を逆方向に駆動し、カード排出口36bがカード処理部6を指向するように、搬送ユニット5を図1において反時計方向に90°だけ回動させる。この状態で、第2のモータ50が駆動し、第2の駆動ローラ63と第3の駆動ローラ74との外周面に両側端が対接するカード2Cは、第2の駆動ローラ63の時計方向の回転と第3の駆動ローラ74の反時計方向の回転とによって矢印A方向に搬送され、カード排出口36bからカード処理部6に搬送される。カード処理部6に搬送されてきたカード2Cは、このカード処理部6において所定の印刷処理が行われて矢印A方向に排出される。
【0044】
このように、本発明に係るカード搬送装置1によれば、移動可能な搬送ユニット5によって複数種のカード2A,2B,2Cを選択的にカード処理部6に搬送できるため、一台のカード搬送装置によって複数種のカードを処理することができるようになり使い勝手が向上する。また、カード2A,2B,2Cの両側端のそれぞれに外周面が対接している二対の駆動ローラ58,63,74,79を一つの第2のモータ50によって同時に駆動し、カード2A,2B,2Cの両側端を移動させることによりカード2A,2B,2Cを搬送させるようにしているためカード2A,2B,2Cの搬送が安定する。
【0045】
また、駆動ローラ58,63,74,79を回転させるための駆動軸43を、搬送ユニット5の回動軸として兼用することにより、部品点数の削減と構造の簡素化とを図ることができる。また、第2のモータ50を装置筺体の底板40に取り付け、搬送ユニット5に搭載する必要をなくしたため、回動可能な搬送ユニット5の重量を軽減することができる。このため、搬送ユニット5を回動させるための第1のモータ35を小型化することができるとともに、搬送ユニット5を停止させる際の慣性力を小さくすることができるから搬送ユニット5を所定の回動位置に停止させる精度が向上する。
【0046】
なお、本実施の形態においては、第1ないし第4の駆動ローラ58,63,74,79を二対設けたが、一対でもよく必要に応じて三対以上設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係るカード搬送装置の平面図である。
【図2】図1におけるII矢視図である。
【図3】図2におけるIII-III 線断面図である。
【図4】図2におけるIV-IV 線断面図である。
【図5】図1におけるV-V 線断面図である。
【図6】図1におけるVI-VI 線断面図である。
【図7】図1におけるVII-VII 線で断面して要部を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1…カード搬送装置、2A,2B,2C…カード、3A,3B,3C…カード供給部、4…搬送手段、5…搬送ユニット、6…カード処理部、27…スタッカ、30…上部支持体、31…下部支持体、32a,33a…案内溝、35…第1のモータ、43…駆動軸、50…第2のモータ、57…ベルト(第1の伝達手段)、58…第1の駆動ローラ、63…第2の駆動ローラ、66,67,69,71,73…ギア、74…第3の駆動ローラ、79…第4の駆動ローラ、80…第2の伝達手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置筺体に回転自在に支持された搬送ユニットと、この搬送ユニットを回転駆動する第1のモータと、前記搬送ユニットに設けられカードの両側端を外周面によって挟持しカードを搬送する少なくとも一対の駆動ローラと、これら駆動ローラを回転駆動する第2のモータと、この第2のモータによって回転駆動される駆動軸と、この駆動軸の回転を前記駆動ローラのそれぞれに伝達する第1の伝達手段および第2の伝達手段とを備え、前記搬送ユニットを前記駆動軸を回転中心として回転自在に支持したことを特徴とするカード搬送装置。
【請求項2】
前記第2のモータを装置筺体に設けたことを特徴とする請求項1記載のカード搬送装置。
【請求項3】
前記第1の伝達手段をベルトとし、前記第2の伝達手段をギアとしたことを特徴とする請求項1または2記載のカード搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−30894(P2008−30894A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−206058(P2006−206058)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】