カード検出スイッチの製造方法
【課題】カードコネクタの製造コストを低減することができること。
【解決手段】カード認識スイッチ22が、ベース部材10がカード認識スイッチ形成体20を伴ってインサート成形された後、カード認識スイッチ形成体20における連結部20CAがベース部材10の開口部10Dを通じて切断されることにより、形成されるもの。
【解決手段】カード認識スイッチ22が、ベース部材10がカード認識スイッチ形成体20を伴ってインサート成形された後、カード認識スイッチ形成体20における連結部20CAがベース部材10の開口部10Dを通じて切断されることにより、形成されるもの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカード用コネクタに備えられるカード検出スイッチの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICカード用コネクタにおいては、例えば、特許文献1にも示されるように、ICカードがICカード用コネクタに装着されていない場合、コントローラがICカードにデータを誤って書き込む動作、あるいは、消去する動作などを行わないようにすべく、ICカードの終端検出を行うカード終端検出スイッチが、所謂、カード検出スイッチとして設けられたものが実用に供されている。これにより、コントローラは、カード終端検出スイッチからのICカードが装着されていることをあらわす検出信号に基づいて電力供給制御およびデータ転送制御を開始することとなる。カード終端検出スイッチは、例えば、ICカードが装着されるカード収容室の内奥コーナ部に固定されており、装着されるICカードの電極パッドに当接し接続されるコンタクト端子の列と共通の列の一方の端にコンタクト端子に対し離隔して位置している。
【0003】
そのカード終端検出スイッチは、例えば、弾性接片をそれぞれ有する第1従動スイッチエレメント、および、第2従動スイッチエレメントを含んで構成されている。第1従動スイッチエレメント、および、第2従動スイッチエレメントは、互いに向き合って底部に固定されている。第1従動スイッチエレメント、および、第2従動スイッチエレメントの枠体は、それぞれ、カード収容室の底板部にその厚さ方向に沿って階層的に形成される各スロットに圧入されている。
【0004】
また、カード検出スイッチは、例えば、特許文献2にも示されるように、接触部を有する第1スイッチと、ICカードの端部で押圧される第1スイッチの接触部が選択的に接触される接触部を有する第2スイッチと、を含んでなるものも提案されている。第1スイッチおよび第2スイッチの固定部は、それぞれ、カードコネクタのベース部材におけるコンタクトの配列方向に沿って互いに平行に形成される第1空間および第2空間内の溝に圧入固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−320511号公報
【特許文献2】特開2003−208944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような第1従動スイッチエレメント、および、第2従動スイッチエレメントから構成されるカード検出スイッチを製造し、それをICカード用コネクタに組み付ける場合、例えば、第1従動スイッチエレメント、および、第2従動スイッチエレメントが個別にプレス加工により形成された後、それぞれがカードコネクタのベース部材の溝に圧入されることが必要とされる。
【0007】
しかしながら、上述のようにプレス加工によって2種類の従動スイッチエレメントが個別に分離され成形される場合、カード検出スイッチの歩留まりが低下するとともに、各従動スイッチエレメントのベース部材への組み付け作業によるカードコネクタの製造コストが嵩む虞がある。
【0008】
以上の問題点を考慮し、本発明は、カード検出スイッチの製造方法であって、カードコネクタの製造コストを低減することができるカード検出スイッチの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明に係るカード検出スイッチの製造方法は、接点部を有する第1の可動片部と、カードの着脱動作に応じて第1の可動片部の接点部に当接または離隔する接点部を有する第2の可動片部と、第1の可動片部および第2の可動片部にそれぞれ、連なる端部を相互に連結する連結部とを一体に有するカード認識スイッチ形成体を形成し、カード認識スイッチ形成体を、カードを選択的に収容するハウジング部材とともにインサート成形し、インサート成形されたハウジング部材におけるカード認識スイッチ形成体の連結部を第1の可動片部および第2の可動片部に連なる端部から切り離すことを含み、カード認識スイッチ形成体における第1の可動片部と第2の可動片部とが互いに間隔をもって形成され、第2の可動片部の接点部が、第1の可動片部の接点部の真上となる位置まで延在することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るカード検出スイッチの製造方法は、カード認識スイッチ形成体の連結部は、第1の可動片部および第2の可動片部の基端部をそれぞれ、連結するものでもよい。
【0011】
さらに、カード認識スイッチ形成体の連結部は、第1の可動片部の基端部に連なる固定部と、第2の可動片部の基端部に連なる固定部とを連結するものでもよい。
【0012】
カード認識スイッチ形成体の連結部は、ハウジング部材の開口部を介して第1の可動片部および第2の可動片部の基端部から切り離されてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るカード検出スイッチの製造方法によれば、接点部を有する第1の可動片部と、カードの着脱動作に応じて第1の可動片部の接点部に当接または離隔する接点部を有する第2の可動片部と、第1の可動片部および第2の可動片部にそれぞれ、連なる端部を相互に連結する連結部とを一体に有するカード認識スイッチ形成体を形成し、カード認識スイッチ形成体を、カードを選択的に収容するハウジング部材とともにインサート成形し、インサート成形されたハウジング部材におけるカード認識スイッチ形成体の連結部を第1の可動片部および第2の可動片部に連なる端部から切り離すことにより、カード検出スイッチを製造するとともに、それをコネクタのハウジング部材と一体成形するのでカードコネクタの製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るカード検出スイッチの製造方法の第1実施例が適用されたカード認識スイッチ形成体を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るカード検出スイッチの製造方法の一例が適用されたICカード用コネクタを示す平面図である。
【図3】図2に示される例におけるベース部材の下面を示す平面図である。
【図4】図3に示される例における要部を拡大して部分的に示す部分拡大図である。
【図5】図1に示されるカード認識スイッチ形成体を示す平面図である。
【図6】図5に示されるカード認識スイッチ形成体の正面図である。
【図7】(A)、(B)、および、(C)は、それぞれ、図2に示される例におけるカード認識スイッチの動作説明に供される部分断面図である。
【図8】(A)は、本発明に係るカード検出スイッチの製造方法の一例におけるカード認識スイッチ形成体の製造工程の説明に供されるブランクの平面図であり、(B)、および、(C)は、カード認識スイッチ形成体の斜視図である。
【図9】(A)、(B)は、それぞれ、カード認識スイッチ形成体におけるヘミング曲げ加工に用いられる型の動作説明に供される説明図である。
【図10】(A)、(B)は、それぞれ、カード認識スイッチ形成体におけるヘミング曲げ加工に用いられる型の動作説明に供される説明図である。
【図11】(A)、(B)は、それぞれ、カード認識スイッチ形成体におけるヘミング曲げ加工に用いられる型の動作説明に供される説明図である。
【図12】本発明に係るカード検出スイッチの製造方法の第2実施例が適用されたカード認識スイッチを示す平面図である。
【図13】図12に示されるカード認識スイッチの正面図である。
【図14】(A)は、本発明に係るカード検出スイッチの製造方法の第2実施例において、製造工程の説明に供されるカード認識スイッチ形成体の斜視図であり、(B)は、カード認識スイッチの斜視図である。
【図15】(A)、(B)は、それぞれ、図14(A)に示されるカード認識スイッチ形成体の曲げ加工に用いられる型の動作説明に供される説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図2は、本発明に係るカード検出スイッチの製造方法の第1実施例が適用されたカード検出スイッチを備えるICカード用コネクタの構成を概略的に示す。
【0016】
図2において、ICカード用コネクタは、例えば、そのベース部材10のカード収容部10Aに着脱可能に収容されるICカードとしてのメモリカードSCの電極部と所定の電子機器の内部に配される配線基板の接続端子部とを電気的に接続するものとされる。
【0017】
ICカード用コネクタは、例えば、携帯電話機、PDA、デジタルカメラ等の電子機器の内部に配されるものとされる。薄板状のメモリカードSCは、例えば、SIMカードとされ、後述されるコンタクト端子の配列に対応して8個の電極パッドが一方の表面部に形成されている。
【0018】
ICカード用コネクタは、収容されるメモリカードSCに対する電気的接続を行う複数のコンタクト端子が配列されるベース部材10と、ベース部材10を覆うようにベース部材10に係合されベース部材10とともにカード収容部10Aを形成するカバー部材TCとを含んで構成されている。なお、図2においては、カバー部材TC(図7(A)参照)が取り外された状態を示す。
【0019】
カード収容部10Aの一方の端部には、図2に示されるように、矢印の示す方向に沿って着脱されるメモリカードSCが通過する開口部10CS(以下、カードスロット10CSともいう)が形成されている。
【0020】
例えば、樹脂材料で成形されるベース部材10の底部10Bの中央部には、所定の間隔で配される二つの矩形の開口部10aiおよび10bi(i=1〜4)が4列、形成されている。開口部10aiおよび10biは、側壁10RWおよび10LWに対して略平行に細長く形成されている。各同一列の開口部10aiおよび10biは、共通の直線上に形成されている。同一列における各開口部10aiおよび10biは、図2および図3に示されるように、その中間に形成される隔壁10FWにより仕切られている。また、隣接する列における開口部10aおよび10bは、仕切り壁10PAにより仕切られている。
【0021】
ベース部材10には、コンタクト端子12aiおよび12bi(i=1〜4)が上述の各開口部10aiおよび10biに対応してインサート成形により配設されている。コンタクト端子12aiおよび12biは、装着されるメモリカードSCの電極パッドに当接しメモリカードSCと配線基板(不図示)とを電気的に接続するものとされる。
【0022】
コンタクト端子12aiおよび12biは、互いに同一の構成を有するのでコンタクト端子12aiについて説明し、コンタクト端子12biの説明を省略する。
【0023】
コンタクト端子12aiは、薄板金属材料でプレス加工によって作られる。コンタクト端子12aiは、上述のメモリカードSCの電極パッドに当接し電気的に接続される接点部を有する可動片部と、配線基板の導電層に半田付け固定される半田付端子部12sfを有する後端部と、可動片部と後端部とを連結する連結部とを含んで構成されている。
【0024】
弾性変位可能な可動片部は、その接点部が開口部10aiを通じてカード収容部10A内に突出している。各半田付端子部12sfは、カードスロット10CSに向き合うベース部材10の端部から外方に突出している。コンタクト端子12aiにおける連結部および、後端部は、それぞれ、ベース部材10の底部10Bの内部に鋳込まれている。これにより、半田がベース部材10におけるカードスロット10CS周縁に付着することがないのでメモリカードSCの着脱において半田によって支障が生じる虞がない。
【0025】
側壁10RWの内側部分には、メモリカードSCをカード収容部10CS内に保持するとともに、選択的にカード収容部10AからメモリカードSCを排出するイジェクト機構が設けられている。
【0026】
イジェクト機構は、図2に示されるように、ベース部材10に対し移動可能に支持されるイジェクト部材14と、ベース部材10の内周部およびイジェクト部材14相互間に介装され、イジェクト部材14をメモリカードMCの排出方向に付勢するコイルスプリング16と、メモリカードMCの着脱操作に応じてイジェクト部材14を選択的にベース部材10に対し保持または解放する制御を行うイジェクト部材制御部と、を含んで構成されている。
【0027】
コイルスプリング16の一端は、ベース部材10の内周部に形成される軸部に巻装され、コイルスプリング14の他端は、イジェクト部材14内の凹部に連結されている。
【0028】
イジェクト部材14は、例えば、樹脂材料で成形され、その底部がベース部材10に形成される案内溝(不図示)に移動可能に係合されることにより、メモリカードSCの着脱方向に沿って摺動可能にベース部材10に支持されている。
【0029】
また、イジェクト部材14は、挿入されたメモリカードSCの端部の角部に係合される被係合部としてのL字状のカード受け部を一端に有している。
【0030】
イジェクト部材制御部は、イジェクト部材14におけるカバー部材TCの内面に対向して形成された略ハート形状のカム要素(以下、ハートカムともいう)と、ハートカムの周囲に形成された複数の段差部からなるレバー案内溝と、門形状のカムレバーと、上述のカバー部材TCと一体に成形される押えバネとを含んで構成されている。
【0031】
上述の門形状のカムレバーCLは、一方の端部が側壁10RW近傍に設けられる孔に連結され、他方の端部がそのレバー案内溝に沿って摺動せしめられる。押えバネは、図2において図示されていないが、カムレバーの屈曲された先端をレバー案内溝の案内面に対し摺接するように付勢するものとされる。
【0032】
樹脂で成形されるハートカムは、カムレバーの一端部が選択的に係合する略V字状のカム面を有している。レバー案内溝は、ハートカムの一方の傍を側壁10RWに沿って直線的に延在する第1の案内溝と、ハートカムの他方の傍を第1の案内溝の途中から分岐するように側壁10RWに向って斜めに延びた後、第1の案内溝に対し平行に延びる第2の案内溝と、カム面に対向する第1の案内溝の一端と第2の案内溝の一端との間であってカム面に対向する部分を連結する第3の案内溝とから形成されている。
【0033】
第3の案内溝における第2の案内溝の一端側の端部と案内溝の一端との境界部分に段差部分が形成されている。これにより、カムレバーの一端部は、イジェクト部材14の動作に追従して第1の案内溝、第3の案内溝、および第2の案内溝を順次、経由して案内されることとなる。
【0034】
側壁10RWには、図3に示されるように、ベース部材10を配線基板に半田付け固定するための固定片10TAが所定の間隔をもって2箇所に設けられている。また、側壁10LWにも、同様に、各固定片10TAに向き合った固定片10TBが2箇所に設けられている。
【0035】
また、底部10Bにおける側壁10LWの内周部近傍であって開口部10biおよび10aiに対し離隔する方向の位置には、図3に示されるように、メモリカードSCがカード収容部10A内に装着されたか否かを検出するカード認識スイッチ22が設けられている。
【0036】
カード認識スイッチ22は、ベース部材10が後述するカード認識スイッチ形成体20を伴ってインサート成形された後、カード認識スイッチ形成体20における連結部20CAが後述する開口部10Dを通じて切断されることにより、形成される。従って、二部品を個別に製造することにより形成されるカード認識スイッチに比べてカード認識スイッチ22の製造工程数が低減されることとなる。また、カード認識スイッチ形成体20を複数個、同時に成形する場合、その歩留りも向上するのでカード認識スイッチ22の製造コストの低価格化も図れる。
【0037】
カード認識スイッチ22の第1の可動片部20Aおよび第2の可動片部20Bの先端部は、図3に示されるように、底部10Bの開口部10E内に突出している。第1の可動片部20Aは、底部10Bの開口部10Eに向かい合うように側壁10LWに沿って延在している。第2の可動片部20Bは、第1の可動片部20Aに対し略平行に配置されている。なお、第2の可動片部20Bの配置は、第1の可動片部20Aに対し略平行に限られることなく、例えば第1の可動片部20Aに対し略V字状に配置されても良い。図4に拡大されて示されるように、後述する固定部20aの半田付固定端子部20sfaは、ベース部材10の端部から外部に突出し、固定部20bの半田付固定端子部20sfbは、半田付固定端子部20sfaに対し略平行となるように外部に突出している。さらに、開口部10Eと開口部10biとの間であって開口部10Eに隣接した位置には、開口部10Eの大きさよりも小さい大きさの矩形の開口部10Dが底部10Bに形成されている。
【0038】
斯かる構成において、メモリカードSCがベース部材10におけるカード収容部10Aに装着されていない場合、図7(A)に示されるように、カード認識スイッチ22における第1の可動片部20Aの接点部20ACは、第2の可動片部20Bの接点部20BCに対し所定の隙間をもって離隔した位置とされる。図7(B)に示されるように、矢印INの示す方向にメモリカードSCの端部がイジェクト部材14のカード受け部に受け止められるまで挿入された後、矢印INの示す方向にさらにメモリカードSCの端部が押し込まれる場合、イジェクト部材14は、カムレバーの一端部がハートカムのカム面に保持されることにより、ロック状態とされる。また、メモリカードSCは、コンタクト端子12aiおよび12biの可動片部の接点部とコンタクトパッドとの間、および、メモリカードSCの表面とカバー部材TCの内周面との間の接触圧力によりカード収容部10A内に保持される。その際、図7(C)に示されるように、カード認識スイッチ22における第1の可動片部20Bが第2の可動片部20Aに近接するようにその弾性力に抗して押圧されることにより、第2の可動片部20Bの接点部20BCが、その接点部20ACに対し当接されることとなる。その際、第2の可動片部20Bにおいて段差部(クランク部)20BSが設けられているので第2の可動片部20Bの接点部20BCの変位量が比較的大に設定することが可能とされる。従って、カードコネクタのさらなる低背化が図られる。また、コンタクト端子の接点部がICカードのコンタクトパッドに当接した後、カード認識スイッチ22がオン状態となるように段差部(クランク部)20BSが設けられているのでコンタクト端子の接点部がICカードのコンタクトパッドに当接した後、第2の可動片部20Bの接点部20BCが押し下げられることとなる。
【0039】
従って、メモリカードSCがカード収容部10A内に装着されたことをあらわす検出信号がカード認識スイッチ22により図示が省略される配線基板上の制御部に送出される。 一方、メモリカードSCがベース部材10におけるカード収容部10Aから排出される場合、メモリカードSCの端部が再度、押し込まれるとき、アンロック状態とされたイジェクト部材14は、コイルスプリング16の復元力により、メモリカードSCを伴ってカードスロット10CS側に向けて移動せしめられる。これにより、メモリカードSCの端部がカードスロット10CSを通じて排出される。その際、カード認識スイッチ22における第2の可動片部20Bの接点部20BCは、その復元力により、第1の可動片部20Aの接点部20ACに対し所定の隙間をもって離隔した位置に戻される。
【0040】
カード認識スイッチとして完成していない半完成品である一体成型のカード認識スイッチ形成体20(以下、スイッチ形成体20ともいう)は、図1、図5、および、図6に拡大されて示されるように、例えば、薄板金属材料によりプレス加工によって成形されている。スイッチ形成体20は、接点部20ACを有する第1の可動片部20Aと、メモリカードSCの着脱動作に応じて第1の可動片部20Aの接点部20CAに選択的に当接せしめられる接点部20BCを有する第2の可動片部20Bと、第1の可動片部20Aの基端部と第2の可動片部20Bの基端部とを連結する連結部20CAと、第1の可動片部20Aの中間部に連結され半田付固定端子部20sfaを有する固定部20aと、第2の可動片部20Bの基端部近傍に連結され半田付固定端子部20sfbを有する固定部20bと、から構成されている。
【0041】
第1の可動片部20Aは、図5に拡大されて示されるように、先端に近づくにつれて先細形状となるように形成されている。また、図6に示されるように、第1の可動片部20Aは、湾曲した接点部20ACを先端部に有している。第1の可動片部20Aの先細形状の部分は、第1の可動片部20Aの基端部に対し所定の角度で交差するように傾斜している。
【0042】
帯状片とされる第2の可動片部20Bは、接点部20ACに対向する位置まで延在するように第1の可動片部20Aに対し略平行に所定のスリット20Cをもって形成されている。第2の可動片部20Bの基端部は、鉤形の連結部20CAを介して第1の可動片部20Aの基端部に連結されている。第2の可動片部20Bの中間部には、段差部20BSが形成されている。図6に示されるように、段差部20BSの一方の端と第2の可動片部20Bの基端部との間の部分は、その基端部に対し交差するように僅かに傾斜している。また、段差部20BSの他方の端と先端部との間の部分は、固定部20aおよび固定部20bに対し略平行に形成されている。第2の可動片部20Bの接点部20BCは、第2の可動片部20Bの先端部が接点部20ACに対し離隔する方向に折り曲げられて形成されている。第2の可動片部20Bの接点部20BCは、接点部20AC側に矩形状に延びるとともに、接点部20ACに対し所定の隙間をもって真上となる位置に形成されている。
【0043】
連結部20CAは、上述したように、ベース部材10のインサート成形後、開口部10Dを通じて図5においてX線およびY線に沿って切断される。なお、X線は、第1の可動片部20Aおよび第2の可動片部20Bに対し平行にスリット20Cを通過するように設定されている。Y線は、X線に対し直交し固定部20bの基端近傍を通過するように設定されている。
【0044】
固定部20bは、図5に示されるように、第2の可動片部20Bに対し所定の隙間をもって略平行に接点部20BCの傍の位置を越えて延在している。また、固定部20aは、第1の可動片部20Aに対し所定の隙間をもって略平行に接点部20ACの傍の位置を越えて延在している。固定部20aの半田付固定端子部20sfaと固定部20bの半田付固定端子部20sfbとは、互いに向き合って形成されている。
【0045】
なお、上述のスイッチ形成体20における第2の可動片部20Bは、段差部20BSを有する構成とされるが、斯かる例に限られることなく、例えば、そのような段差部20BSが形成されることなく帯状の第2の可動片部20Bが形成されてもよい。
【0046】
スイッチ形成体20を製造するにあたっては、図8(A)に示されるように、先ず、ブランク30が所定のプレス加工用金型により一枚の薄板金属材料から打ち抜かれることにより得られる。なお、図8(A)においては、代表的に、1個のブランク30が示されているが、複数個のブランク30が一枚の薄板金属材料から同時に打ち抜かれることにより、複数個のブランク30が得られてもよいことは勿論である。
【0047】
ブランク30は、上述のスイッチ形成体20における第1の可動片部20Aに対応する部分となる第1の部分30Aと、第2の可動片部20Bに対応する部分となる第2の部分30Bと、第1の部分30Aの基端部と第2の部分30Bの基端部とを連結する連結部と、第1の部分30Aの中間部に連結され固定部20aに対応する部分となる脚部30aと、固定部20bに対応する部分となる脚部30bと、から構成されている。
【0048】
なお、図8(A)は、ブランク30の下面30USを示す。
【0049】
第2の部分30Bには、上述のスイッチ形成体20における接点部20BCに対応する部分となる部分30BCが形成されている。脚部30aおよび脚部30bには、それぞれ、半田付固定端子部20sfa、半田付固定端子部20sfbに対応する部分となる端部30sfa,30sfbが形成されている。
【0050】
次に、ブランク30は、所定のプレス加工用金型により曲げ加工および打抜き加工されることによって、図8(B)に示されるように、スイッチ形成体32が得られる。スイッチ形成体32は、ブランク30の第2の部分30Bが打ち抜かれ、段差部に対応する部分を形成するように折り曲げられた帯状の第2の部分32Bを有している。第2の部分32Bにおける折り曲げられた先端部には、スイッチ形成体20における接点部20BCに対応する部分となる部分32BCが形成されている。また、スイッチ形成体32は、ブランク30の第1の部分30Aが折り曲げられ、接点部20ACに対応する部分32ACが形成された第1の部分32Aを有している。
【0051】
そして、スイッチ形成体32が、接点部20BCに対応した接点部を形成するようにヘミング曲げ加工が第2の部分32Bの先端部に対して施される。これにより、スイッチ形成体20が、図8(C)に示されるように、得られる。
【0052】
ヘミング曲げ加工にあたっては、先ず、図9(A)に示されるように、第2の部分32Bにおける部分32BCの上面が可動型60に向き合うように可動型60と固定型62との間に配置される。可動型60は、固定型62に対し近接または離隔可能に配置されている。後述する可動型64,68も、同様に固定型66,70に対し近接または離隔可能に配置されている。固定型62は、可動型60における略90°の断面形状を有する角部が係合される凹部62Rを有している。これにより、図9(B)に示されるように、可動型60が固定型62に対し近接するように移動せしめられるとき、部分32BCが第2の部分32Bにおける他の部分に対して略垂直に曲げられる。
【0053】
次に、可動型60が固定型62に対し離隔された後、図10(A)に示されるように、鉤状に折り曲げられた部分32BCが、固定型66と可動型64との間に移動され配置される。固定型66は、可動型64における流線形の断面形状を有する角部が係合される凹部66Rを有している。これにより、図10(B)に示されるように、可動型64が固定型66に対し近接するように移動せしめられるとき、部分32BCが第2の部分32Bにおける他の部分に対して鋭角に交差するように曲げられる。
【0054】
続いて、可動型64が固定型66に対し離隔された後、図11(A)に示されるように、鋭角に折り曲げられた部分32BCが固定型70と可動型68との間に移動され配置される。可動型68は、固定型70に向き合う平坦な端面を有している。これにより、図11(B)に示されるように、可動型68が固定型70に対し近接するように移動せしめられるとき、部分32BCが第2の部分32Bにおける他の部分に対して略平行となるようにさらに曲げられる。従って、第2の部分32Bの先端部についてのヘミング曲げ加工が終了する。
【0055】
図12は、本発明に係るカード検出スイッチの製造方法の第2実施例が適用されたカード認識スイッチを示す。
【0056】
図2に示されるカード認識スイッチ22におけるスイッチ形成体20においては、第1の可動片部20Aと第2の可動片部20Bとが、連結部20CAを介して連結されていたが、その代わりに、図12に示されるカード認識スイッチ40におけるスイッチ形成体42は、図13(A)に示されるように、カード認識スイッチ40の固定部40aおよび固定部40bに対応する部分42aおよび42bが連結されるキャリアCAにより、カード認識スイッチ40の第1の可動片部40Aおよび第2の可動片部40Bに対応する各部分が相互に連結されるものとされる。なお、図13(A)においては、キャリアCAに連結される複数個のカード認識スイッチ形成体42のうちの1個のカード認識スイッチ形成体42が代表的に示されている。
【0057】
図12において、カード認識スイッチ40は、ベース部材10が後述するカード認識スイッチ形成体42を伴ってインサート成形された後、図14(A)に示されるカード認識スイッチ形成体42における連結部としてのキャリアCAがZ−Z線に沿って切り離されることにより、図14(B)に示されるように、カード認識スイッチ40が得られる。
【0058】
カード認識スイッチ40は、例えば、薄板金属材料によりプレス加工によって成形されている。カード認識スイッチ40は、図12および図13に示されるように、接点部40ACを有する第1の可動片部40Aと、メモリカードSCの着脱動作に応じて第1の可動片部40Aの接点部40CAに選択的に当接せしめられる接点部40BCを有する第2の可動片部40Bと、第1の可動片部40Aの中間部に連結され半田付固定端子部40sfaを有する固定部40aと、第2の可動片部40Bの基端部近傍に連結され半田付固定端子部40sfbを有する固定部40bと、から構成されている。
【0059】
第1の可動片部40Aは、先端に近づくにつれて先細形状となるように形成されている。また、第1の可動片部40Aは、湾曲した接点部40ACを先端部に有している。第1の可動片部40Aの先細形状の部分は、第1の可動片部40Aの基端部に対し所定の角度で交差するように傾斜している。
【0060】
帯状片とされる第2の可動片部40Bは、接点部40ACに対向する位置まで延在するように第1の可動片部40Aに対し略平行に所定の間隔をもって形成されている。第2の可動片部40Bの基端部は、後述する固定部40bに連結されている。第2の可動片部40Bの中間部には、段差部40BSが形成されている。図13に示されるように、段差部40BSの一方の端と第2の可動片部40Bの基端部との間の部分は、その基端部に対し交差するように僅かに傾斜している。また、段差部40BSの他方の端と先端部との間の部分は、固定部40aおよび固定部40bに対し略平行に形成されている。第2の可動片部40Bの接点部40BCは、第2の可動片部40Bの先端部が接点部40ACに対し略平行となるように折り曲げられて形成されている。第2の可動片部40Bの接点部40BCは、所定の隙間をもって接点部40ACに対し真上となる位置に形成されている。なお、第2の可動片部40Bの配置は、第1の可動片部40Aに対し略平行に限られることなく、例えば第1の可動片部40Aに対し略V字状に配置されても良い。
【0061】
固定部40bは、第2の可動片部40Bに対し所定の隙間をもって略平行に接点部40BCの傍の位置を越えて延在している。また、固定部40aは、第1の可動片部40Aに対し所定の隙間をもって略平行に接点部40ACの傍の位置を越えて延在している。固定部40aにおける中間部分には、U字状の湾曲部40arが形成されている。固定部40aの半田付固定端子部40sfaと固定部40bの半田付固定端子部40sfbとは、互いに向き合って形成されている。
【0062】
なお、上述の第2の可動片部40Bは、段差部40BSを有する構成とされるが、斯かる例に限られることなく、例えば、そのような段差部40BSが形成されることなく帯状の第2の可動片部40Bが形成されてもよい。
【0063】
カード認識スイッチとして完成していない半完成品である一体成型のカード認識スイッチ形成体42(以下、スイッチ形成体42ともいう)は、図14(A)に拡大されて示されるように、例えば、薄板金属材料によりプレス加工によって成形されている。
【0064】
スイッチ形成体42は、カード認識スイッチ40の第1の可動片部40Aに対応した接点部42ACを有する第1の可動片部42Aと、カード認識スイッチ40の第2の可動片部40Bに対応した接点部42BCを有する第2の可動片部42Bと、カード認識スイッチ40の固定部40aに対応した第1の可動片部42Aの基端部に連結され半田付固定端子部42sfaを有する固定部42aと、カード認識スイッチ40の固定部40bに対応した第2の可動片部42Bの基端部近傍に連結され半田付固定端子部42sfbを有する固定部42bと、固定部42aと固定部42bとを連結するキャリアCAと、から構成されている。
【0065】
スイッチ形成体42を製造するにあたっては、上述の例と同様に、先ず、キャリアCAを有するブランク(不図示)が所定のプレス加工用金型により一枚の薄板金属材料から打ち抜かれることにより得られる。次に、ブランクは、所定のプレス加工用金型により曲げ加工および打抜き加工されることによって、図14(A)に示されるように、スイッチ形成体42が得られる。続いて、固定部42aにおいて、図15(B)に示されるように、カード認識スイッチ40の固定部40aの湾曲部40arに対応する湾曲部42arが形成される。
【0066】
固定部42aの湾曲部42arを成形するにあたっては、先ず、図15(A)に示されるように、固定部42aの上面が可動型72に向き合うように可動型72と固定型74との間に配置される。可動型72は、固定型74に対し近接または離隔可能に配置されている。
【0067】
固定型74は、可動型72における凹部72Rが係合される円弧状の断面形状を有する凸部74Pを有している。図15(B)に示されるように、可動型72が固定型74に対し近接するように移動せしめられる場合、固定部42aの一部が、固定部42aにおける他の部分に対してU字状に折り曲げられる。これにより、第2の可動片部42Bの接点部42BCが、第1の可動片部42Aの接点部42ACの真上に位置することになる。
【符号の説明】
【0068】
10 ベース部材
10D 開口部
12ai,12bi コンタクト端子
20,42 カード認識スイッチ形成体(スイッチ形成体)
20A,42A 第1の可動片部
20B,42B 第2の可動片部
20CA 連結部
22,40 カード認識スイッチ
SC メモリカード
CA キャリア
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカード用コネクタに備えられるカード検出スイッチの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICカード用コネクタにおいては、例えば、特許文献1にも示されるように、ICカードがICカード用コネクタに装着されていない場合、コントローラがICカードにデータを誤って書き込む動作、あるいは、消去する動作などを行わないようにすべく、ICカードの終端検出を行うカード終端検出スイッチが、所謂、カード検出スイッチとして設けられたものが実用に供されている。これにより、コントローラは、カード終端検出スイッチからのICカードが装着されていることをあらわす検出信号に基づいて電力供給制御およびデータ転送制御を開始することとなる。カード終端検出スイッチは、例えば、ICカードが装着されるカード収容室の内奥コーナ部に固定されており、装着されるICカードの電極パッドに当接し接続されるコンタクト端子の列と共通の列の一方の端にコンタクト端子に対し離隔して位置している。
【0003】
そのカード終端検出スイッチは、例えば、弾性接片をそれぞれ有する第1従動スイッチエレメント、および、第2従動スイッチエレメントを含んで構成されている。第1従動スイッチエレメント、および、第2従動スイッチエレメントは、互いに向き合って底部に固定されている。第1従動スイッチエレメント、および、第2従動スイッチエレメントの枠体は、それぞれ、カード収容室の底板部にその厚さ方向に沿って階層的に形成される各スロットに圧入されている。
【0004】
また、カード検出スイッチは、例えば、特許文献2にも示されるように、接触部を有する第1スイッチと、ICカードの端部で押圧される第1スイッチの接触部が選択的に接触される接触部を有する第2スイッチと、を含んでなるものも提案されている。第1スイッチおよび第2スイッチの固定部は、それぞれ、カードコネクタのベース部材におけるコンタクトの配列方向に沿って互いに平行に形成される第1空間および第2空間内の溝に圧入固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−320511号公報
【特許文献2】特開2003−208944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような第1従動スイッチエレメント、および、第2従動スイッチエレメントから構成されるカード検出スイッチを製造し、それをICカード用コネクタに組み付ける場合、例えば、第1従動スイッチエレメント、および、第2従動スイッチエレメントが個別にプレス加工により形成された後、それぞれがカードコネクタのベース部材の溝に圧入されることが必要とされる。
【0007】
しかしながら、上述のようにプレス加工によって2種類の従動スイッチエレメントが個別に分離され成形される場合、カード検出スイッチの歩留まりが低下するとともに、各従動スイッチエレメントのベース部材への組み付け作業によるカードコネクタの製造コストが嵩む虞がある。
【0008】
以上の問題点を考慮し、本発明は、カード検出スイッチの製造方法であって、カードコネクタの製造コストを低減することができるカード検出スイッチの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明に係るカード検出スイッチの製造方法は、接点部を有する第1の可動片部と、カードの着脱動作に応じて第1の可動片部の接点部に当接または離隔する接点部を有する第2の可動片部と、第1の可動片部および第2の可動片部にそれぞれ、連なる端部を相互に連結する連結部とを一体に有するカード認識スイッチ形成体を形成し、カード認識スイッチ形成体を、カードを選択的に収容するハウジング部材とともにインサート成形し、インサート成形されたハウジング部材におけるカード認識スイッチ形成体の連結部を第1の可動片部および第2の可動片部に連なる端部から切り離すことを含み、カード認識スイッチ形成体における第1の可動片部と第2の可動片部とが互いに間隔をもって形成され、第2の可動片部の接点部が、第1の可動片部の接点部の真上となる位置まで延在することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るカード検出スイッチの製造方法は、カード認識スイッチ形成体の連結部は、第1の可動片部および第2の可動片部の基端部をそれぞれ、連結するものでもよい。
【0011】
さらに、カード認識スイッチ形成体の連結部は、第1の可動片部の基端部に連なる固定部と、第2の可動片部の基端部に連なる固定部とを連結するものでもよい。
【0012】
カード認識スイッチ形成体の連結部は、ハウジング部材の開口部を介して第1の可動片部および第2の可動片部の基端部から切り離されてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るカード検出スイッチの製造方法によれば、接点部を有する第1の可動片部と、カードの着脱動作に応じて第1の可動片部の接点部に当接または離隔する接点部を有する第2の可動片部と、第1の可動片部および第2の可動片部にそれぞれ、連なる端部を相互に連結する連結部とを一体に有するカード認識スイッチ形成体を形成し、カード認識スイッチ形成体を、カードを選択的に収容するハウジング部材とともにインサート成形し、インサート成形されたハウジング部材におけるカード認識スイッチ形成体の連結部を第1の可動片部および第2の可動片部に連なる端部から切り離すことにより、カード検出スイッチを製造するとともに、それをコネクタのハウジング部材と一体成形するのでカードコネクタの製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るカード検出スイッチの製造方法の第1実施例が適用されたカード認識スイッチ形成体を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るカード検出スイッチの製造方法の一例が適用されたICカード用コネクタを示す平面図である。
【図3】図2に示される例におけるベース部材の下面を示す平面図である。
【図4】図3に示される例における要部を拡大して部分的に示す部分拡大図である。
【図5】図1に示されるカード認識スイッチ形成体を示す平面図である。
【図6】図5に示されるカード認識スイッチ形成体の正面図である。
【図7】(A)、(B)、および、(C)は、それぞれ、図2に示される例におけるカード認識スイッチの動作説明に供される部分断面図である。
【図8】(A)は、本発明に係るカード検出スイッチの製造方法の一例におけるカード認識スイッチ形成体の製造工程の説明に供されるブランクの平面図であり、(B)、および、(C)は、カード認識スイッチ形成体の斜視図である。
【図9】(A)、(B)は、それぞれ、カード認識スイッチ形成体におけるヘミング曲げ加工に用いられる型の動作説明に供される説明図である。
【図10】(A)、(B)は、それぞれ、カード認識スイッチ形成体におけるヘミング曲げ加工に用いられる型の動作説明に供される説明図である。
【図11】(A)、(B)は、それぞれ、カード認識スイッチ形成体におけるヘミング曲げ加工に用いられる型の動作説明に供される説明図である。
【図12】本発明に係るカード検出スイッチの製造方法の第2実施例が適用されたカード認識スイッチを示す平面図である。
【図13】図12に示されるカード認識スイッチの正面図である。
【図14】(A)は、本発明に係るカード検出スイッチの製造方法の第2実施例において、製造工程の説明に供されるカード認識スイッチ形成体の斜視図であり、(B)は、カード認識スイッチの斜視図である。
【図15】(A)、(B)は、それぞれ、図14(A)に示されるカード認識スイッチ形成体の曲げ加工に用いられる型の動作説明に供される説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図2は、本発明に係るカード検出スイッチの製造方法の第1実施例が適用されたカード検出スイッチを備えるICカード用コネクタの構成を概略的に示す。
【0016】
図2において、ICカード用コネクタは、例えば、そのベース部材10のカード収容部10Aに着脱可能に収容されるICカードとしてのメモリカードSCの電極部と所定の電子機器の内部に配される配線基板の接続端子部とを電気的に接続するものとされる。
【0017】
ICカード用コネクタは、例えば、携帯電話機、PDA、デジタルカメラ等の電子機器の内部に配されるものとされる。薄板状のメモリカードSCは、例えば、SIMカードとされ、後述されるコンタクト端子の配列に対応して8個の電極パッドが一方の表面部に形成されている。
【0018】
ICカード用コネクタは、収容されるメモリカードSCに対する電気的接続を行う複数のコンタクト端子が配列されるベース部材10と、ベース部材10を覆うようにベース部材10に係合されベース部材10とともにカード収容部10Aを形成するカバー部材TCとを含んで構成されている。なお、図2においては、カバー部材TC(図7(A)参照)が取り外された状態を示す。
【0019】
カード収容部10Aの一方の端部には、図2に示されるように、矢印の示す方向に沿って着脱されるメモリカードSCが通過する開口部10CS(以下、カードスロット10CSともいう)が形成されている。
【0020】
例えば、樹脂材料で成形されるベース部材10の底部10Bの中央部には、所定の間隔で配される二つの矩形の開口部10aiおよび10bi(i=1〜4)が4列、形成されている。開口部10aiおよび10biは、側壁10RWおよび10LWに対して略平行に細長く形成されている。各同一列の開口部10aiおよび10biは、共通の直線上に形成されている。同一列における各開口部10aiおよび10biは、図2および図3に示されるように、その中間に形成される隔壁10FWにより仕切られている。また、隣接する列における開口部10aおよび10bは、仕切り壁10PAにより仕切られている。
【0021】
ベース部材10には、コンタクト端子12aiおよび12bi(i=1〜4)が上述の各開口部10aiおよび10biに対応してインサート成形により配設されている。コンタクト端子12aiおよび12biは、装着されるメモリカードSCの電極パッドに当接しメモリカードSCと配線基板(不図示)とを電気的に接続するものとされる。
【0022】
コンタクト端子12aiおよび12biは、互いに同一の構成を有するのでコンタクト端子12aiについて説明し、コンタクト端子12biの説明を省略する。
【0023】
コンタクト端子12aiは、薄板金属材料でプレス加工によって作られる。コンタクト端子12aiは、上述のメモリカードSCの電極パッドに当接し電気的に接続される接点部を有する可動片部と、配線基板の導電層に半田付け固定される半田付端子部12sfを有する後端部と、可動片部と後端部とを連結する連結部とを含んで構成されている。
【0024】
弾性変位可能な可動片部は、その接点部が開口部10aiを通じてカード収容部10A内に突出している。各半田付端子部12sfは、カードスロット10CSに向き合うベース部材10の端部から外方に突出している。コンタクト端子12aiにおける連結部および、後端部は、それぞれ、ベース部材10の底部10Bの内部に鋳込まれている。これにより、半田がベース部材10におけるカードスロット10CS周縁に付着することがないのでメモリカードSCの着脱において半田によって支障が生じる虞がない。
【0025】
側壁10RWの内側部分には、メモリカードSCをカード収容部10CS内に保持するとともに、選択的にカード収容部10AからメモリカードSCを排出するイジェクト機構が設けられている。
【0026】
イジェクト機構は、図2に示されるように、ベース部材10に対し移動可能に支持されるイジェクト部材14と、ベース部材10の内周部およびイジェクト部材14相互間に介装され、イジェクト部材14をメモリカードMCの排出方向に付勢するコイルスプリング16と、メモリカードMCの着脱操作に応じてイジェクト部材14を選択的にベース部材10に対し保持または解放する制御を行うイジェクト部材制御部と、を含んで構成されている。
【0027】
コイルスプリング16の一端は、ベース部材10の内周部に形成される軸部に巻装され、コイルスプリング14の他端は、イジェクト部材14内の凹部に連結されている。
【0028】
イジェクト部材14は、例えば、樹脂材料で成形され、その底部がベース部材10に形成される案内溝(不図示)に移動可能に係合されることにより、メモリカードSCの着脱方向に沿って摺動可能にベース部材10に支持されている。
【0029】
また、イジェクト部材14は、挿入されたメモリカードSCの端部の角部に係合される被係合部としてのL字状のカード受け部を一端に有している。
【0030】
イジェクト部材制御部は、イジェクト部材14におけるカバー部材TCの内面に対向して形成された略ハート形状のカム要素(以下、ハートカムともいう)と、ハートカムの周囲に形成された複数の段差部からなるレバー案内溝と、門形状のカムレバーと、上述のカバー部材TCと一体に成形される押えバネとを含んで構成されている。
【0031】
上述の門形状のカムレバーCLは、一方の端部が側壁10RW近傍に設けられる孔に連結され、他方の端部がそのレバー案内溝に沿って摺動せしめられる。押えバネは、図2において図示されていないが、カムレバーの屈曲された先端をレバー案内溝の案内面に対し摺接するように付勢するものとされる。
【0032】
樹脂で成形されるハートカムは、カムレバーの一端部が選択的に係合する略V字状のカム面を有している。レバー案内溝は、ハートカムの一方の傍を側壁10RWに沿って直線的に延在する第1の案内溝と、ハートカムの他方の傍を第1の案内溝の途中から分岐するように側壁10RWに向って斜めに延びた後、第1の案内溝に対し平行に延びる第2の案内溝と、カム面に対向する第1の案内溝の一端と第2の案内溝の一端との間であってカム面に対向する部分を連結する第3の案内溝とから形成されている。
【0033】
第3の案内溝における第2の案内溝の一端側の端部と案内溝の一端との境界部分に段差部分が形成されている。これにより、カムレバーの一端部は、イジェクト部材14の動作に追従して第1の案内溝、第3の案内溝、および第2の案内溝を順次、経由して案内されることとなる。
【0034】
側壁10RWには、図3に示されるように、ベース部材10を配線基板に半田付け固定するための固定片10TAが所定の間隔をもって2箇所に設けられている。また、側壁10LWにも、同様に、各固定片10TAに向き合った固定片10TBが2箇所に設けられている。
【0035】
また、底部10Bにおける側壁10LWの内周部近傍であって開口部10biおよび10aiに対し離隔する方向の位置には、図3に示されるように、メモリカードSCがカード収容部10A内に装着されたか否かを検出するカード認識スイッチ22が設けられている。
【0036】
カード認識スイッチ22は、ベース部材10が後述するカード認識スイッチ形成体20を伴ってインサート成形された後、カード認識スイッチ形成体20における連結部20CAが後述する開口部10Dを通じて切断されることにより、形成される。従って、二部品を個別に製造することにより形成されるカード認識スイッチに比べてカード認識スイッチ22の製造工程数が低減されることとなる。また、カード認識スイッチ形成体20を複数個、同時に成形する場合、その歩留りも向上するのでカード認識スイッチ22の製造コストの低価格化も図れる。
【0037】
カード認識スイッチ22の第1の可動片部20Aおよび第2の可動片部20Bの先端部は、図3に示されるように、底部10Bの開口部10E内に突出している。第1の可動片部20Aは、底部10Bの開口部10Eに向かい合うように側壁10LWに沿って延在している。第2の可動片部20Bは、第1の可動片部20Aに対し略平行に配置されている。なお、第2の可動片部20Bの配置は、第1の可動片部20Aに対し略平行に限られることなく、例えば第1の可動片部20Aに対し略V字状に配置されても良い。図4に拡大されて示されるように、後述する固定部20aの半田付固定端子部20sfaは、ベース部材10の端部から外部に突出し、固定部20bの半田付固定端子部20sfbは、半田付固定端子部20sfaに対し略平行となるように外部に突出している。さらに、開口部10Eと開口部10biとの間であって開口部10Eに隣接した位置には、開口部10Eの大きさよりも小さい大きさの矩形の開口部10Dが底部10Bに形成されている。
【0038】
斯かる構成において、メモリカードSCがベース部材10におけるカード収容部10Aに装着されていない場合、図7(A)に示されるように、カード認識スイッチ22における第1の可動片部20Aの接点部20ACは、第2の可動片部20Bの接点部20BCに対し所定の隙間をもって離隔した位置とされる。図7(B)に示されるように、矢印INの示す方向にメモリカードSCの端部がイジェクト部材14のカード受け部に受け止められるまで挿入された後、矢印INの示す方向にさらにメモリカードSCの端部が押し込まれる場合、イジェクト部材14は、カムレバーの一端部がハートカムのカム面に保持されることにより、ロック状態とされる。また、メモリカードSCは、コンタクト端子12aiおよび12biの可動片部の接点部とコンタクトパッドとの間、および、メモリカードSCの表面とカバー部材TCの内周面との間の接触圧力によりカード収容部10A内に保持される。その際、図7(C)に示されるように、カード認識スイッチ22における第1の可動片部20Bが第2の可動片部20Aに近接するようにその弾性力に抗して押圧されることにより、第2の可動片部20Bの接点部20BCが、その接点部20ACに対し当接されることとなる。その際、第2の可動片部20Bにおいて段差部(クランク部)20BSが設けられているので第2の可動片部20Bの接点部20BCの変位量が比較的大に設定することが可能とされる。従って、カードコネクタのさらなる低背化が図られる。また、コンタクト端子の接点部がICカードのコンタクトパッドに当接した後、カード認識スイッチ22がオン状態となるように段差部(クランク部)20BSが設けられているのでコンタクト端子の接点部がICカードのコンタクトパッドに当接した後、第2の可動片部20Bの接点部20BCが押し下げられることとなる。
【0039】
従って、メモリカードSCがカード収容部10A内に装着されたことをあらわす検出信号がカード認識スイッチ22により図示が省略される配線基板上の制御部に送出される。 一方、メモリカードSCがベース部材10におけるカード収容部10Aから排出される場合、メモリカードSCの端部が再度、押し込まれるとき、アンロック状態とされたイジェクト部材14は、コイルスプリング16の復元力により、メモリカードSCを伴ってカードスロット10CS側に向けて移動せしめられる。これにより、メモリカードSCの端部がカードスロット10CSを通じて排出される。その際、カード認識スイッチ22における第2の可動片部20Bの接点部20BCは、その復元力により、第1の可動片部20Aの接点部20ACに対し所定の隙間をもって離隔した位置に戻される。
【0040】
カード認識スイッチとして完成していない半完成品である一体成型のカード認識スイッチ形成体20(以下、スイッチ形成体20ともいう)は、図1、図5、および、図6に拡大されて示されるように、例えば、薄板金属材料によりプレス加工によって成形されている。スイッチ形成体20は、接点部20ACを有する第1の可動片部20Aと、メモリカードSCの着脱動作に応じて第1の可動片部20Aの接点部20CAに選択的に当接せしめられる接点部20BCを有する第2の可動片部20Bと、第1の可動片部20Aの基端部と第2の可動片部20Bの基端部とを連結する連結部20CAと、第1の可動片部20Aの中間部に連結され半田付固定端子部20sfaを有する固定部20aと、第2の可動片部20Bの基端部近傍に連結され半田付固定端子部20sfbを有する固定部20bと、から構成されている。
【0041】
第1の可動片部20Aは、図5に拡大されて示されるように、先端に近づくにつれて先細形状となるように形成されている。また、図6に示されるように、第1の可動片部20Aは、湾曲した接点部20ACを先端部に有している。第1の可動片部20Aの先細形状の部分は、第1の可動片部20Aの基端部に対し所定の角度で交差するように傾斜している。
【0042】
帯状片とされる第2の可動片部20Bは、接点部20ACに対向する位置まで延在するように第1の可動片部20Aに対し略平行に所定のスリット20Cをもって形成されている。第2の可動片部20Bの基端部は、鉤形の連結部20CAを介して第1の可動片部20Aの基端部に連結されている。第2の可動片部20Bの中間部には、段差部20BSが形成されている。図6に示されるように、段差部20BSの一方の端と第2の可動片部20Bの基端部との間の部分は、その基端部に対し交差するように僅かに傾斜している。また、段差部20BSの他方の端と先端部との間の部分は、固定部20aおよび固定部20bに対し略平行に形成されている。第2の可動片部20Bの接点部20BCは、第2の可動片部20Bの先端部が接点部20ACに対し離隔する方向に折り曲げられて形成されている。第2の可動片部20Bの接点部20BCは、接点部20AC側に矩形状に延びるとともに、接点部20ACに対し所定の隙間をもって真上となる位置に形成されている。
【0043】
連結部20CAは、上述したように、ベース部材10のインサート成形後、開口部10Dを通じて図5においてX線およびY線に沿って切断される。なお、X線は、第1の可動片部20Aおよび第2の可動片部20Bに対し平行にスリット20Cを通過するように設定されている。Y線は、X線に対し直交し固定部20bの基端近傍を通過するように設定されている。
【0044】
固定部20bは、図5に示されるように、第2の可動片部20Bに対し所定の隙間をもって略平行に接点部20BCの傍の位置を越えて延在している。また、固定部20aは、第1の可動片部20Aに対し所定の隙間をもって略平行に接点部20ACの傍の位置を越えて延在している。固定部20aの半田付固定端子部20sfaと固定部20bの半田付固定端子部20sfbとは、互いに向き合って形成されている。
【0045】
なお、上述のスイッチ形成体20における第2の可動片部20Bは、段差部20BSを有する構成とされるが、斯かる例に限られることなく、例えば、そのような段差部20BSが形成されることなく帯状の第2の可動片部20Bが形成されてもよい。
【0046】
スイッチ形成体20を製造するにあたっては、図8(A)に示されるように、先ず、ブランク30が所定のプレス加工用金型により一枚の薄板金属材料から打ち抜かれることにより得られる。なお、図8(A)においては、代表的に、1個のブランク30が示されているが、複数個のブランク30が一枚の薄板金属材料から同時に打ち抜かれることにより、複数個のブランク30が得られてもよいことは勿論である。
【0047】
ブランク30は、上述のスイッチ形成体20における第1の可動片部20Aに対応する部分となる第1の部分30Aと、第2の可動片部20Bに対応する部分となる第2の部分30Bと、第1の部分30Aの基端部と第2の部分30Bの基端部とを連結する連結部と、第1の部分30Aの中間部に連結され固定部20aに対応する部分となる脚部30aと、固定部20bに対応する部分となる脚部30bと、から構成されている。
【0048】
なお、図8(A)は、ブランク30の下面30USを示す。
【0049】
第2の部分30Bには、上述のスイッチ形成体20における接点部20BCに対応する部分となる部分30BCが形成されている。脚部30aおよび脚部30bには、それぞれ、半田付固定端子部20sfa、半田付固定端子部20sfbに対応する部分となる端部30sfa,30sfbが形成されている。
【0050】
次に、ブランク30は、所定のプレス加工用金型により曲げ加工および打抜き加工されることによって、図8(B)に示されるように、スイッチ形成体32が得られる。スイッチ形成体32は、ブランク30の第2の部分30Bが打ち抜かれ、段差部に対応する部分を形成するように折り曲げられた帯状の第2の部分32Bを有している。第2の部分32Bにおける折り曲げられた先端部には、スイッチ形成体20における接点部20BCに対応する部分となる部分32BCが形成されている。また、スイッチ形成体32は、ブランク30の第1の部分30Aが折り曲げられ、接点部20ACに対応する部分32ACが形成された第1の部分32Aを有している。
【0051】
そして、スイッチ形成体32が、接点部20BCに対応した接点部を形成するようにヘミング曲げ加工が第2の部分32Bの先端部に対して施される。これにより、スイッチ形成体20が、図8(C)に示されるように、得られる。
【0052】
ヘミング曲げ加工にあたっては、先ず、図9(A)に示されるように、第2の部分32Bにおける部分32BCの上面が可動型60に向き合うように可動型60と固定型62との間に配置される。可動型60は、固定型62に対し近接または離隔可能に配置されている。後述する可動型64,68も、同様に固定型66,70に対し近接または離隔可能に配置されている。固定型62は、可動型60における略90°の断面形状を有する角部が係合される凹部62Rを有している。これにより、図9(B)に示されるように、可動型60が固定型62に対し近接するように移動せしめられるとき、部分32BCが第2の部分32Bにおける他の部分に対して略垂直に曲げられる。
【0053】
次に、可動型60が固定型62に対し離隔された後、図10(A)に示されるように、鉤状に折り曲げられた部分32BCが、固定型66と可動型64との間に移動され配置される。固定型66は、可動型64における流線形の断面形状を有する角部が係合される凹部66Rを有している。これにより、図10(B)に示されるように、可動型64が固定型66に対し近接するように移動せしめられるとき、部分32BCが第2の部分32Bにおける他の部分に対して鋭角に交差するように曲げられる。
【0054】
続いて、可動型64が固定型66に対し離隔された後、図11(A)に示されるように、鋭角に折り曲げられた部分32BCが固定型70と可動型68との間に移動され配置される。可動型68は、固定型70に向き合う平坦な端面を有している。これにより、図11(B)に示されるように、可動型68が固定型70に対し近接するように移動せしめられるとき、部分32BCが第2の部分32Bにおける他の部分に対して略平行となるようにさらに曲げられる。従って、第2の部分32Bの先端部についてのヘミング曲げ加工が終了する。
【0055】
図12は、本発明に係るカード検出スイッチの製造方法の第2実施例が適用されたカード認識スイッチを示す。
【0056】
図2に示されるカード認識スイッチ22におけるスイッチ形成体20においては、第1の可動片部20Aと第2の可動片部20Bとが、連結部20CAを介して連結されていたが、その代わりに、図12に示されるカード認識スイッチ40におけるスイッチ形成体42は、図13(A)に示されるように、カード認識スイッチ40の固定部40aおよび固定部40bに対応する部分42aおよび42bが連結されるキャリアCAにより、カード認識スイッチ40の第1の可動片部40Aおよび第2の可動片部40Bに対応する各部分が相互に連結されるものとされる。なお、図13(A)においては、キャリアCAに連結される複数個のカード認識スイッチ形成体42のうちの1個のカード認識スイッチ形成体42が代表的に示されている。
【0057】
図12において、カード認識スイッチ40は、ベース部材10が後述するカード認識スイッチ形成体42を伴ってインサート成形された後、図14(A)に示されるカード認識スイッチ形成体42における連結部としてのキャリアCAがZ−Z線に沿って切り離されることにより、図14(B)に示されるように、カード認識スイッチ40が得られる。
【0058】
カード認識スイッチ40は、例えば、薄板金属材料によりプレス加工によって成形されている。カード認識スイッチ40は、図12および図13に示されるように、接点部40ACを有する第1の可動片部40Aと、メモリカードSCの着脱動作に応じて第1の可動片部40Aの接点部40CAに選択的に当接せしめられる接点部40BCを有する第2の可動片部40Bと、第1の可動片部40Aの中間部に連結され半田付固定端子部40sfaを有する固定部40aと、第2の可動片部40Bの基端部近傍に連結され半田付固定端子部40sfbを有する固定部40bと、から構成されている。
【0059】
第1の可動片部40Aは、先端に近づくにつれて先細形状となるように形成されている。また、第1の可動片部40Aは、湾曲した接点部40ACを先端部に有している。第1の可動片部40Aの先細形状の部分は、第1の可動片部40Aの基端部に対し所定の角度で交差するように傾斜している。
【0060】
帯状片とされる第2の可動片部40Bは、接点部40ACに対向する位置まで延在するように第1の可動片部40Aに対し略平行に所定の間隔をもって形成されている。第2の可動片部40Bの基端部は、後述する固定部40bに連結されている。第2の可動片部40Bの中間部には、段差部40BSが形成されている。図13に示されるように、段差部40BSの一方の端と第2の可動片部40Bの基端部との間の部分は、その基端部に対し交差するように僅かに傾斜している。また、段差部40BSの他方の端と先端部との間の部分は、固定部40aおよび固定部40bに対し略平行に形成されている。第2の可動片部40Bの接点部40BCは、第2の可動片部40Bの先端部が接点部40ACに対し略平行となるように折り曲げられて形成されている。第2の可動片部40Bの接点部40BCは、所定の隙間をもって接点部40ACに対し真上となる位置に形成されている。なお、第2の可動片部40Bの配置は、第1の可動片部40Aに対し略平行に限られることなく、例えば第1の可動片部40Aに対し略V字状に配置されても良い。
【0061】
固定部40bは、第2の可動片部40Bに対し所定の隙間をもって略平行に接点部40BCの傍の位置を越えて延在している。また、固定部40aは、第1の可動片部40Aに対し所定の隙間をもって略平行に接点部40ACの傍の位置を越えて延在している。固定部40aにおける中間部分には、U字状の湾曲部40arが形成されている。固定部40aの半田付固定端子部40sfaと固定部40bの半田付固定端子部40sfbとは、互いに向き合って形成されている。
【0062】
なお、上述の第2の可動片部40Bは、段差部40BSを有する構成とされるが、斯かる例に限られることなく、例えば、そのような段差部40BSが形成されることなく帯状の第2の可動片部40Bが形成されてもよい。
【0063】
カード認識スイッチとして完成していない半完成品である一体成型のカード認識スイッチ形成体42(以下、スイッチ形成体42ともいう)は、図14(A)に拡大されて示されるように、例えば、薄板金属材料によりプレス加工によって成形されている。
【0064】
スイッチ形成体42は、カード認識スイッチ40の第1の可動片部40Aに対応した接点部42ACを有する第1の可動片部42Aと、カード認識スイッチ40の第2の可動片部40Bに対応した接点部42BCを有する第2の可動片部42Bと、カード認識スイッチ40の固定部40aに対応した第1の可動片部42Aの基端部に連結され半田付固定端子部42sfaを有する固定部42aと、カード認識スイッチ40の固定部40bに対応した第2の可動片部42Bの基端部近傍に連結され半田付固定端子部42sfbを有する固定部42bと、固定部42aと固定部42bとを連結するキャリアCAと、から構成されている。
【0065】
スイッチ形成体42を製造するにあたっては、上述の例と同様に、先ず、キャリアCAを有するブランク(不図示)が所定のプレス加工用金型により一枚の薄板金属材料から打ち抜かれることにより得られる。次に、ブランクは、所定のプレス加工用金型により曲げ加工および打抜き加工されることによって、図14(A)に示されるように、スイッチ形成体42が得られる。続いて、固定部42aにおいて、図15(B)に示されるように、カード認識スイッチ40の固定部40aの湾曲部40arに対応する湾曲部42arが形成される。
【0066】
固定部42aの湾曲部42arを成形するにあたっては、先ず、図15(A)に示されるように、固定部42aの上面が可動型72に向き合うように可動型72と固定型74との間に配置される。可動型72は、固定型74に対し近接または離隔可能に配置されている。
【0067】
固定型74は、可動型72における凹部72Rが係合される円弧状の断面形状を有する凸部74Pを有している。図15(B)に示されるように、可動型72が固定型74に対し近接するように移動せしめられる場合、固定部42aの一部が、固定部42aにおける他の部分に対してU字状に折り曲げられる。これにより、第2の可動片部42Bの接点部42BCが、第1の可動片部42Aの接点部42ACの真上に位置することになる。
【符号の説明】
【0068】
10 ベース部材
10D 開口部
12ai,12bi コンタクト端子
20,42 カード認識スイッチ形成体(スイッチ形成体)
20A,42A 第1の可動片部
20B,42B 第2の可動片部
20CA 連結部
22,40 カード認識スイッチ
SC メモリカード
CA キャリア
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接点部を有する第1の可動片部と、カードの着脱動作に応じて該第1の可動片部の接点部に当接または離隔する接点部を有する第2の可動片部と、該第1の可動片部および第2の可動片部にそれぞれ、連なる端部を相互に連結する連結部とを一体に有するカード認識スイッチ形成体を形成し、
前記カード認識スイッチ形成体を、前記カードを選択的に収容するハウジング部材とともにインサート成形し、
前記インサート成形された前記ハウジング部材における前記カード認識スイッチ形成体の連結部を前記第1の可動片部および第2の可動片部に連なる端部から切り離すことを含み、
前記カード認識スイッチ形成体における前記第1の可動片部と前記第2の可動片部とが互いに間隔をもって形成され、該第2の可動片部の接点部が、前記第1の可動片部の接点部の真上となる位置まで延在することを特徴とするカード検出スイッチの製造方法。
【請求項2】
前記カード認識スイッチ形成体の連結部は、前記第1の可動片部および第2の可動片部の基端部をそれぞれ、連結することを特徴とする請求項1記載のカード検出スイッチの製造方法。
【請求項3】
前記カード認識スイッチ形成体の連結部は、前記第1の可動片部の基端部に連なる固定部と、前記第2の可動片部の基端部に連なる固定部とを連結することを特徴とする請求項1記載のカード検出スイッチの製造方法。
【請求項4】
前記カード認識スイッチ形成体の連結部は、前記ハウジング部材の開口部を介して前記第1の可動片部および第2の可動片部の基端部から切り離されることを特徴とする請求項2記載のカード検出スイッチの製造方法。
【請求項1】
接点部を有する第1の可動片部と、カードの着脱動作に応じて該第1の可動片部の接点部に当接または離隔する接点部を有する第2の可動片部と、該第1の可動片部および第2の可動片部にそれぞれ、連なる端部を相互に連結する連結部とを一体に有するカード認識スイッチ形成体を形成し、
前記カード認識スイッチ形成体を、前記カードを選択的に収容するハウジング部材とともにインサート成形し、
前記インサート成形された前記ハウジング部材における前記カード認識スイッチ形成体の連結部を前記第1の可動片部および第2の可動片部に連なる端部から切り離すことを含み、
前記カード認識スイッチ形成体における前記第1の可動片部と前記第2の可動片部とが互いに間隔をもって形成され、該第2の可動片部の接点部が、前記第1の可動片部の接点部の真上となる位置まで延在することを特徴とするカード検出スイッチの製造方法。
【請求項2】
前記カード認識スイッチ形成体の連結部は、前記第1の可動片部および第2の可動片部の基端部をそれぞれ、連結することを特徴とする請求項1記載のカード検出スイッチの製造方法。
【請求項3】
前記カード認識スイッチ形成体の連結部は、前記第1の可動片部の基端部に連なる固定部と、前記第2の可動片部の基端部に連なる固定部とを連結することを特徴とする請求項1記載のカード検出スイッチの製造方法。
【請求項4】
前記カード認識スイッチ形成体の連結部は、前記ハウジング部材の開口部を介して前記第1の可動片部および第2の可動片部の基端部から切り離されることを特徴とする請求項2記載のカード検出スイッチの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−114787(P2013−114787A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257451(P2011−257451)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000177690)山一電機株式会社 (233)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000177690)山一電機株式会社 (233)
【Fターム(参考)】
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