説明

カード

【課題】非接触通信によって供給される電力によって発光するカードにおいて、発光状態を用いて真贋判定を行うことができるとともに、その発光状態を視認しやすくする。
【解決手段】電力供給源から照射される電磁波を受信し、該電磁波の強さに応じた起電力を発生させるアンテナ21と、供給された電流に応じた明るさで発光する有機EL素子と、アンテナ21にて発生した起電力に基づいて、有機EL素子が所定の明るさを具備する発光状態となるために十分な電圧を生成する駆動電圧生成部40と、駆動電圧生成部40にて生成された電圧が、有機EL素子が上記発光状態となる電圧値よりもマージンを具備して低い値となる所定値以上となった場合にのみ、その電圧に応じた電流を有機EL素子に供給する定電流回路43とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触通信によって供給される電力によって発光するカードに関し、特に、発光状態の視認性の向上技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会の進展に伴って、情報をカードに記録し、該カードを用いた情報管理や決済等が行われている。このような情報管理や決済等に用いられるカードは、ICチップが内蔵されたICカードや、磁気により情報が書き込まれた磁気カード等があり、専用の装置を用いて情報の書き込み及び読み出しが行われる。
【0003】
さらに、ICカードにおいては、情報の書き込み及び読み出しを専用の装置に接触させることにより行う接触型ICカードと、専用の装置に近接させるだけで情報の書き込み及び読み出しを行うことができる非接触型ICカードとがある。これらのICカードは、磁気カードと比較してセキュリティ性が高いとともに書き込み可能な情報量が多く、また、1枚のカードを多目的に使用できるため、市場における普及度は増加の一途を辿っている。また、その中でも、非接触型ICカードにおいては、情報の書き込みあるいは読み出しを行う際、カードを取り出して専用の装置に挿入する必要がなく取り扱いに便利なため、そのカード及び該カードに書き込まれた情報を読み取るための装置の急速な普及が進みつつある。
【0004】
近年、このような非接触型ICカードに発光機能を付加したものが考えられており、例えば、特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示された非接触型ICカードは、リーダライタに近接することによって起電力が生じた場合に、有機EL素子を発光させ、メモリに書き込まれた情報を表示することができるように構成されている。また、発光手段を内蔵することにより真贋判定を可能としたシートが特許文献2に開示されている。このシートにおいては、シート端辺に設けられた端子から電力が供給された場合に発光手段を発光させることにより、真贋判定を行うことができる。
【0005】
そこで、上述したような技術を組み合わせることにより、リーダライタに近接することによって起電力が生じた場合、その起電力によって発光素子を発光させて真贋判定を行なうことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−217215号公報
【特許文献2】特開2004−78608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したような従来の技術においては、発光状態を用いて真贋判定を行ったとしても、リーダライタに近接することによって起電力が生じるカードであれば、全てのカードの発光素子が光ることになるため、真贋判定を行うことができるとは言い難い。また、リーダライタに近接させる動作によっては、発光状態が一瞬となる場合があり、その場合、発光状態を確認することができず、真贋判定を行うことができなくなる虞れがある。特に、有機EL素子においては、明るさを一定なものとするために、有機EL素子に供給する電流を、有機EL素子が所定の明るさを有する発光状態となる値とするために定電流回路が用いられている場合があり、その場合、有機EL素子の明るさが一定なものとなるため、上述したように発光状態が一瞬となると、その発光状態を確認することが極めて困難となってしまうという問題点がある。
【0008】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、非接触通信によって供給される電力によって発光するカードにおいて、発光状態を用いて真贋判定を行うことができるとともに、その発光状態を視認しやすくすることができるカードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、
電力供給源から照射される電磁波を受信し、該電磁波の強さに応じた起電力を発生させるアンテナと、
供給された電流に応じた明るさで発光する有機EL素子と、
前記アンテナにて発生した起電力に基づいて、前記有機EL素子が所定の明るさを具備する発光状態となるために十分な電圧を生成する駆動電圧生成手段と、
前記駆動電圧生成手段にて生成された電圧が、前記有機EL素子が前記発光状態となる電圧値よりもマージンを具備して低い値となる所定値以上となった場合にのみ、当該電圧に応じた電流を前記有機EL素子に供給する電流供給手段とを有する。
【0010】
上記のように構成された本発明においては、電力供給源から照射される電磁波がアンテナにて受信され、アンテナにて受信された電磁波の強さに応じた起電力が発生すると、駆動電圧生成手段において、アンテナにて発生した起電力に基づいて、有機EL素子が所定の明るさを具備する発光状態となるために十分な電圧が生成されて電流供給手段に供給される。電流供給手段においては、駆動電圧生成手段から供給された電圧に応じた電流が有機EL素子に供給され、有機EL素子が、電流供給手段から供給された電流に応じた明るさで発光することになる。ここで、電流供給手段においては、有機EL素子が所定の明るさを具備する発光状態になるように、駆動電圧生成手段から供給された電圧が所定値以上となった場合にのみその電圧に応じた電流が有機EL素子に供給されているが、その所定値が、有機EL素子が所定の明るさを具備する発光状態となる電圧値よりもマージンを具備して低い値となっているので、このカードが電力供給源に近づいていき、電力供給源から照射される電磁波の強さが強くなっていくと、有機EL素子には、駆動電圧生成手段から供給された電圧が上記所定値になった際にその所定値に応じた電流が流れ始め、その後、駆動電圧生成手段から供給された電圧が、有機EL素子が所定の明るさを具備する発光状態となるために十分な電圧となってその電圧に応じた電流が流れるまで、この電流の変化によって有機EL素子の明るさが明るくなっていく。また、このカードが電力供給源から遠ざかり、電力供給源から照射される電磁波の強さが弱くなっていくと、これとは逆に、有機EL素子には、駆動電圧生成手段から供給された電圧が上記所定値になるまで、その電流値が徐々に少なくなっていきながら電流が流れ、この電流の変化によって有機EL素子の明るさが暗くなっていく。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本発明においては、電力供給源から照射される電磁波を受信し、電磁波の強さに応じた起電力を発生させるアンテナと、供給された電流に応じた明るさで発光する有機EL素子と、アンテナにて発生した起電力に基づいて、有機EL素子が所定の明るさを具備する発光状態となるために十分な電圧を生成する駆動電圧生成手段と、駆動電圧生成手段にて生成された電圧が、有機EL素子が上記発光状態となる電圧値よりもマージンを具備して低い値となる所定値以上となった場合にのみ、その電圧に応じた電流を有機EL素子に供給する電流供給手段とを有する構成としたため、電流供給手段から有機EL素子に電流を供給するための電圧の所定値を、電力供給源から照射される電磁波の強さに応じて有機EL素子が所定の発光状態となる電圧値よりもマージンを具備して低い値とすれば、カードを電力供給源に近づけた場合や電力供給源から遠ざけた場合において有機EL素子の発光状態が変化することとなり、それにより、有機EL素子の発光状態を用いて真贋判定を行うことができるとともに、その発光状態を視認しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のカードの実施の一形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は内部構造を示す図である。
【図2】図1に示した制御回路の一構成例を示すブロック図である。
【図3】図1及び図2に示したカードの動作を説明するための図である。
【図4】図2に示した昇圧定電圧回路の動作を説明するための図である。
【図5】図2に示した定電流回路の動作を説明するための図であり、(a)は等価回路図、(b)は入力電圧に対する出力電流の特性を示す図である。
【図6】図1に示した制御回路の他の構成例を示すブロック図である。
【図7】図6に示した制御回路を有するカードを用いて決済を行う場合の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明のカードの実施の一形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は内部構造を示す図である。
【0015】
本形態は図1に示すように、絶縁材料からなる基板20と、透明な材料からなる保護フィルム34と、表面シート10とが積層され、透明な粘着剤15によってこれらが互いに接着されて構成されている。
【0016】
基板20には、保護フィルム34との積層面に、コイル状のアンテナ21が基板20の外周に沿って形成されているとともに、アンテナ21の内側の領域に表示電極31a〜31cが形成されている。この表示電極31a〜31cはそれぞれ、カード1にて表示すべき情報を示す形状を有し、表示電極31aは“A”、表示電極31bは“B”、表示電極31cは“C”の形状を有している。表示電極31a〜31c上には、有機EL素子からなる有機EL発光層33がそれぞれ積層されており、この有機EL発光層33を覆うようにITO32が積層されている。また、基板20の保護フィルム34との積層面には、アンテナ21にて生じた起電力に基づいて表示電極31a〜31c及びITO32を介して有機EL発光層33に電流を供給する制御回路35が設けられており、アンテナ21は制御回路35と接続され、表示電極31a〜31c及びITO32は、基板20上に形成された配線パターン36a,37bを介して制御回路35にそれぞれ接続されている。
【0017】
有機EL発光層33は、例えばポリシラン誘導体を含む有機EL素子からなり、表示電極31a〜31cに電圧が印加されることにより電流が供給されると、ポリシラン誘導体が発光し、その発光状態がITO32、保護フィルム34及び表面シート10を介して視認されることになる。この有機EL発光層33は、表示電極31a〜31cと同一の形状を有するものであれば、表示電極31a〜31cに電圧が印加されることにより電流が供給された場合に、表示電極31a〜31cの形状に発光することができるが、表示電極31a〜31cをそれぞれ覆うように表示電極31a〜31cよりも大きな形状を有するものとすることにより、表示電極31a〜31c間、または、表示電極31a〜31cとITO32との間における電気的短絡を防止することができるようになる。
【0018】
表面シート10は、表示電極31a〜31c及び有機EL発光層33に対向する領域に、表示電極31a〜31c及び有機EL発光層33と同一形状を有する窓部11a〜11cが形成されている。この窓部11a〜11cは、表面シート10が透明な材料から構成され、窓部11a〜11c以外の領域が着色されることにより形成される。
【0019】
図2は、図1に示した制御回路35の一構成例を示すブロック図である。
【0020】
本例における制御回路35は図2に示すように、アンテナ21にて発生した起電力に基づいて、有機EL発光層33が所定の明るさを具備する発光状態となるために十分な電圧を生成する駆動電圧生成部40と、駆動電圧生成部40にて生成された電圧が、有機EL発光層33が上記発光状態となる電圧値よりもマージンを具備して低い値となる所定値以上となった場合にのみ、その電圧に応じた電流を、表示電極31a〜31c及びITO32を介して有機EL発光層33に供給する電流供給手段である定電流回路43とから構成されており、駆動電圧生成部40は、アンテナ21にて発生した起電力による電圧を整流する整流回路41と、整流回路41にて整流された電圧を、有機EL発光層33が上記発光状態となるために十分な電圧まで昇圧するとともに、その上限電圧を制限して出力する昇圧定電圧回路42とから構成されている。
【0021】
以下に、上記のように構成されたカード1の動作について説明する。
【0022】
まず、図1及び図2に示したカード1の基本動作について説明する。
【0023】
図3は、図1及び図2に示したカード1の動作を説明するための図である。
【0024】
図1に示したカード1を動作させる場合は、図3(a)に示すように、コイル状のアンテナ2aが内蔵されたリーダライタ2にカード1を近接させる。リーダライタ2は、アンテナ2aに流れる電流によって、アンテナ2aのコア部分から放出される方向に磁界が発生している。この状態で、カード1をリーダライタ2に近接させると、アンテナ2aを流れる電流によって発生した磁界が、カード1のアンテナ21に照射されてアンテナ21のコイル状のコア部分を貫通し、電磁誘導により、カード1のアンテナ21にて起電力が生じる。
【0025】
アンテナ21にて起電力が生じると、まず、制御回路35の整流回路41において、アンテナ21にて生じた起電力による電圧が整流され、次に、制御回路35の昇圧定電圧回路42において、整流回路41にて整流された電圧が、有機EL発光層33が所定の明るさを具備する発光状態となるために十分な電圧まで昇圧されるとともに、その上限電圧が制限して出力される。なお、アンテナ21にて生じる起電力は、アンテナ2aを流れる電流によって発生した磁界がアンテナ21のコイル状のコア部分を貫通する磁束密度の大きさに応じたものとなっており、カード1がリーダライタ2に近いほどアンテナ21にて生じる起電力は大きなものとなる。
【0026】
図4は、図2に示した昇圧定電圧回路42の動作を説明するための図である。
【0027】
図2に示した昇圧定電圧回路42においては、入力される電圧に対して3倍の昇圧度を有しており、また、出力電圧の上限として15Vが設定されている。そのため、図4に示すように、整流回路41から出力された電圧が5Vとなるまで、入力された電圧に対して3倍の電圧が出力され、整流回路41から出力された電圧が5Vとなった場合に15Vの電圧が出力され、その後は、整流回路41から出力された電圧が5V以上となっても15Vの電圧が出力される。なお、出力電圧の上限値は、有機EL発光層33が所定の明るさを具備する発光状態となるために十分な値として設定されており、有機EL発光層33の発光によって得たい明るさに応じて適宜設定することができる。
【0028】
その後、制御回路35の定電流回路43において、昇圧定電圧回路42から出力された電圧に応じた電流が、表示電極31a〜31c及びITO32を介して有機EL発光層33に供給される。
【0029】
すると、表示電極31a〜31cとITO32とに挟み込まれた有機EL発光層33が、表示電極31a〜31cの形状に発光し、その発光状態が、図3(b)に示すように、ITO32、保護フィルム34及び表面シート10の窓部11a〜11cを介して視認されることになる。
【0030】
次に、本形態の特徴について説明する。
【0031】
有機EL発光層33においては、流れる電流の大きさに応じてその明るさが変化するが、有機EL素子の内部抵抗は起動時と安定時において変化するため、一定の電圧が供給された場合であっても、起動時と安定時においてその明るさが変化してしまう。そこで、このような明るさの変化を回避するため、図3に示したようなリーダライタ2に近接することによって生じた起電力による電圧が所定値となった場合に、有機EL発光層33に一定の電流を供給する定電流回路43が用いられている。
【0032】
図5は、図2に示した定電流回路43の動作を説明するための図であり、(a)は等価回路図、(b)は入力電圧に対する出力電流の特性を示す図である。
【0033】
図5(a)に示すように、図2に示した定電流回路43は、昇圧定電圧回路42から出力された電圧が電源51から供給され、有機EL素子層33に直列に接続されたツェナーダイオード52と、このツェナーダイオード52を介して有機EL素子層33に電流を供給する定電流源53とから構成された回路構成と等価になっている。ツェナーダイオード52は、10Vの電圧が印加された場合に定電流源53からの電流を有機EL素子層33に供給する。また、定電流源53は、その内部抵抗が変化することにより、15Vの電圧が印加された場合に1mAの電流を安定して生成、出力する。なお、ツェナーダイオード52にて電流を流し始める電圧は、このカード1を用いるリーダライタ2のアンテナ2aから照射される電磁波の強さに応じて、有機EL発光層33が所定の発光状態となる電圧値よりもマージンを具備して低い値となっている。本形態においては、リーダライタ2のアンテナ2aから照射される電磁波の強さに基づいて昇圧定電圧回路42から出力される電圧が15Vである場合の有機EL発光層33の発光状態を所定の発光状態とし、その15Vよりもマージンを具備して低い10Vとしている。
【0034】
上記のように構成された定電流回路43においては、図5(b)に示すように、昇圧定電圧回路42から出力された電圧が電源51から供給されると、その電圧が10Vになるまでは、定電流源53からの電流はツェナーダイオード52によって有機EL素子層33に供給されない。そして、昇圧定電圧回路42から出力された電圧が10Vになると、定電流源53からの電流が有機EL素子層33に供給されはじめる。定電流源53から有機EL素子層33に供給される電流は、昇圧定電圧回路42から出力された電圧が高くなるにつれて増加していく。そして、昇圧定電圧回路42から出力された電圧が15Vになると、定電流源53から有機EL素子層33に供給される電流が1mAとなって安定する。
【0035】
このように、図2に示した定電流回路43においては、昇圧定電圧回路42から出力された電圧が、昇圧定電圧回路42において有機EL発光層33が所定の明るさを具備する発光状態となるために十分な電圧として設定された上限値である15Vよりも5Vのマージンを具備して低い値となる10V以上となった場合にのみ、昇圧定電圧回路42から出力された電圧に応じた電流が、表示電極31a〜31c及びITO32を介して有機EL発光層33に供給されることになる。そのため、昇圧定電圧回路42から出力された電圧が10Vとなってから、昇圧定電圧回路42から出力された電圧が15Vとなるまでの間、定電流回路43から表示電極31a〜31c及びITO32を介して有機EL発光層33に供給される電流が徐々に増加していくこととなり、この電流の変化によって、有機EL発光層33の有機EL素子の明るさが徐々に明るくなっていく。また、その逆に、昇圧定電圧回路42から出力された電圧が15Vである状態から、昇圧定電圧回路42から出力された電圧が10Vとなるまでの間、定電流回路43から表示電極31a〜31c及びITO32を介して有機EL発光層33に供給される電流が徐々に減少していくこととなり、この電流の変化によって、有機EL発光層33の有機EL素子の明るさが徐々に暗くなっていく。
【0036】
上述したように本形態においては、定電流回路43において、昇圧定電圧回路42から出力された電圧が、昇圧定電圧回路42にて上限値として設定された15Vよりも5Vのマージンを具備して低い値となる10V以上となった場合にのみ、昇圧定電圧回路42から出力された電圧に応じた電流が、表示電極31a〜31c及びITO32を介して有機EL発光層33に供給されるので、カード1を図3に示した電力供給源となるリーダライタ2に近づけたりリーダライタ2から遠ざけたりして、リーダライタ2のアンテナ2aにて生じた磁界のアンテナ21における磁束密度の大きさが変化して昇圧定電圧回路42から出力された電圧が変化した場合に、昇圧定電圧回路42から出力された電圧が10Vと15Vとの間にて有機EL発光層33の発光状態が変化することとなり、この発光状態の変化の有無によってカード1の真贋判定を行うことができるとともに、発光状態の変化によってその発光状態を視認しやすくすることができる。
【0037】
上述した本形態においては、非接触状態にて外部から供給される電力によって情報を表示する機能のみを有するカード1を例に挙げて説明したが、一般的な非接触型ICカードのように、情報の書き込みや読み出しが可能なICチップを搭載し、非接触状態にて情報の書き込みや読み出しを可能とする機能を付加することもできる。
【0038】
図6は、図1に示した制御回路35の他の構成例を示すブロック図である。
【0039】
本例における制御回路35は図6に示すように、図2に示したものに対して、通信部49が追加されているとともに、通信部49の制御によって整流回路41と昇圧定電圧回路42との接続を切り離すスイッチ部44を有する点のみが異なるものである。通信部49は、整流機能や変復調機能を具備し、アンテナ21を介してリーダライタ2(図3参照)との間にて情報の送受信を行う無線部45と、情報が記憶されたメモリ47と、無線部45における情報の送受信動作を制御する通信制御部46と、通信制御部46の制御によって整流回路41と昇圧定電圧回路42との接続を切り離すための信号を出力するI/F部48とから構成されている。
【0040】
以下に、上記のように構成された制御回路35を有するカード1の動作について、カード1を用いて決済を行う場合を例に挙げて説明する。
【0041】
図7は、図6に示した制御回路35を有するカード1を用いて決済を行う場合の動作を説明するためのフローチャートである。
【0042】
図6に示した制御回路35を有するカード1を用いて決済を行うために、図3に示したものと同様にカード1をリーダライタ2に近接させると、上述したようにアンテナ21に起電力が生じ、リーダライタ2とカード1との間にて非接触通信が開始されるとともに(ステップS1)、上述した有機EL発光層33の発光動作が開始する。
【0043】
そして、通信制御部46の制御によって、メモリ47に記憶された情報が読み出され、その情報が無線部45及びアンテナ21を介してリーダライタ2に送信されたり、リーダライタ2から送信された情報がアンテナ21及び無線部45を介して通信制御部46に受信されたりすることにより、所定の決済処理が行われる(ステップS2)。
【0044】
決済が完了していない状態においては、通信制御部46を構成するICチップのうち、整流回路41と昇圧定電圧回路42との接続を切り離すための信号を出力するポート端子がHIGHレベルとなっており(ステップS3)、このHIGHレベルによる信号がI/F部48を介してスイッチ部44に供給されている。スイッチ部44を構成するスイッチング素子は、HIGHレベルによる信号が供給されている場合は導通状態となっており(ステップS4)、それにより、整流回路41と昇圧定電圧回路42とが接続された状態となり、上述したような有機EL発光層33の発光動作が行われている。
【0045】
その後、決済が完了すると、通信制御部46を構成するICチップの上記ポート端子がLOWレベルとなり(ステップS5)、このLOWレベルによる信号がI/F部48を介してスイッチ部44に供給される。スイッチ部44を構成するスイッチング素子は、LOWレベルによる信号が供給されている場合は非導通状態となり(ステップS6)、それにより、整流回路41と昇圧定電圧回路42との接続が遮断された状態となり、有機EL発光層33の発光動作が停止する。
【0046】
これにより、カード1を用いた決済において、その決済が完了したかどうかを視覚的に認識することができるようになる。なお、スイッチ部44は、整流回路41と昇圧定電圧回路42との間に設けることに限らず、昇圧定電圧回路42と定電流回路43との間に設けてもよい。
【0047】
なお、上述した実施の形態においては、電磁誘導によって電流が流れるアンテナ21を用いたものを例に挙げて説明したが、照射される電波に共振して電流が流れるアンテナを用いたものであってもよい。
【0048】
また、図1に示したカード1においては、有機EL発光層33を覆うようにITO32が積層されているが、本発明のカードにおいては、レアメタルを使用しない透明電極や透明導電膜等をITO32の代わりに用いてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 カード
2 リーダライタ
2a,21 アンテナ
10 表面シート
11a〜11c 窓部
15 粘着剤
20 基板
31a〜31c,131 表示電極
32 ITO
33 有機EL発光層
34 保護フィルム
35 制御回路
36a,36b 配線パターン
40 駆動電圧生成部
41 整流回路
42 昇圧定電圧回路
43 定電流回路
44 スイッチ部
45 無線部
46 通信制御部
47 メモリ
48 I/F部
49 通信部
51 電源
52 ツェナーダイオード
53 定電流源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給源から照射される電磁波を受信し、該電磁波の強さに応じた起電力を発生させるアンテナと、
供給された電流に応じた明るさで発光する有機EL素子と、
前記アンテナにて発生した起電力に基づいて、前記有機EL素子が所定の明るさを具備する発光状態となるために十分な電圧を生成する駆動電圧生成手段と、
前記駆動電圧生成手段にて生成された電圧が、前記有機EL素子が前記発光状態となる電圧値よりもマージンを具備して低い値となる所定値以上となった場合にのみ、当該電圧に応じた電流を前記有機EL素子に供給する電流供給手段とを有するカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−182098(P2010−182098A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−25086(P2009−25086)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】